説明

暖房機器

【課題】 表示部を遮熱板の上部中央に設け、操作部を本体の上面に設ける構造とすることにより、熱源器からの熱の影響を受けず、リモコンによる受光性能、表示の見易さを損なわずに本体スイッチによる操作性能を向上させ、かつ部品点数を増加することなく、組立性を向上させることができる暖房機器を提供する。
【解決手段】 吸込口5と吹出口6とを結ぶ空気通路に、温風を生成する熱源器と、温風を前記吹出口に送出する送風ファンとを配設し、熱源器の前面に熱が本体前面に伝導するのを防止するとともに、空気通路を構成する遮熱板を設ける一方、機器の運転状況を表示する表示部11および、または機器の操作を行う操作部14とを備えてなる暖房機器において、表示部および、または操作部を遮熱板に設けてなる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンコンベクタなどの暖房機器に係わり、より詳しくは、表示部および操作部の機器への配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファンコンベクタなどの暖房機器は、本体の操作部、表示部およびリモコン受光部が本体正面に配置されている構造であった。また、そのリモコン受光部は前面パネルに固定されていた。
本体のスイッチにより操作を行う場合、スイッチが正面に配置されいるためスイッチを押すと本体がぐらつくため、本体上部を手で押さえながら操作を行う必要があった。
本体の操作部および表示部が本体正面に配置されている暖房機器として、例えば図8(A),(B),(C)で示すようものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図8(A),(B),(C)において、1’は機器本体で、2’は前面上部に備えられた操作部、3’は温風を案内するルーバ4’が取り付けられた温風吹出口、5’は背面の温風取入口6’にファンガード7’を介して取り付けられた対流ファン、8’は前記温風取入口6’と温風吹出口3’とを連通する送風ボックス、9’は前記送風ボックス8’内にバーナヘッド10’を突出して設けられたバーナ部、11’は前記バーナヘッド10’を囲堯して燃焼空間を形成する燃焼筒、12’は前記送風ボックス8’内で前記燃焼筒11’の真上に配設された遮熱板である。
前記機器本体1’の外装体は、前面を覆う前パネル13’と、上面を覆う上面板14’と、側面及び背面を覆う背面板15’とを置き台16’の上に固定して構成されている。
【0004】
機器本体1’の前面側上部に機器の操作を行う操作部2’と、運転中は緑色で点灯し、運転開始より所定時間経過で自動消火させる消し忘れタイマー手段34’により自動消火する一定時間前から緑色で点滅し、さらに残り燃料量が所定量以下になると赤色で点滅表示するカラー表示器46’とを備え、カラー表示器46’を操作部2’とは独立して操作部2’と温風吹出口3’の間の中央に設けたので、このカラー表示器46’を容易に確認することができる。
【0005】
前記操作部2’には機器の運転/停止を指示する運転スイッチ37’と、前記消し忘れタイマー手段34’のカウント時間をリセットして再度所定時間(3時間)のカウントを開始させる延長スイッチ38’と、前記おはようタイマー手段35’を動作させるタイマースイッチ39’と、運転スイッチ37に近接して設けられた運転ランプ40’と、タイマースイッチ39’に近接して設けられたタイマーランプ41’と、室温や時刻を表示する数字表示部42’と、給油という文字を表示する給油文字表示部43’と、各スイッチの操作時や何等かの警告時に音を発するブザー44’とが設けられており、前記数字表示部42’と給油文字表示部43’は液晶表示器45’に設けられているものである。
【0006】
しかし、上記構成の場合、操作部2’が正面よりやや傾斜させて配置されているものの、座った状態でスイッチを押すと水平方向により力が加わり、本体がぐらつくおそれがある。また、各表示部を含めた操作部2’は取付金具兼操作部取付板52’に取り付けるため部品点数が増え、コスト、作業性上において不利となっている。
そこで、リモコンによる受光性能および、表示の見易さを損なわずに、部品点数の削減及び本体スイッチによる操作性能を向上させる方法が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開2001−336828号公報(2〜3頁、第1、2、4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑み、表示素子およびリモコン受光部を備えた表示部を遮熱板の上部中央に設け、操作部を本体の上面に設ける構造とすることにより、熱源器からの熱の影響を受けず、リモコンによる受光性能、表示の見易さを損なわずに本体スイッチによる操作性能を向上させ、かつ部品点数を増加することなく、組立性を向上させることができる暖房機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の課題を解決するため、筐体の背面に吸込口を、前面に吹出口を設け、前記吸込口と前記吹出口とを結ぶ空気通路に、温風を生成する熱源器と、前記温風を前記吹出口に送出する送風ファンとを配設し、前記熱源器の前面に熱が本体前面に伝導するのを防止するとともに、前記空気通路を構成する遮熱板を設ける一方、機器の運転状況を表示する表示部および、または機器の操作を行う操作部とを備えてなる暖房機器において、
前記表示部および、または前記操作部を前記遮熱板に設けてなる構成となっている。
【0010】
また、前記遮熱板と対向する前記表示部および、または前記操作部の裏面との間に、所定の隙間を設けてなる構成となっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、請求項1の表示部および、または操作部を遮熱板に設けることにより、熱源器からの熱の影響を受けず、かつ部品点数を増加することなく、組立性を向上させることができる。請求項2の遮熱板と対向する表示部の裏面との間に、所定の隙間を設けることにより、熱源器からの熱の影響をさらに受けないようになされている。尚、操作部を本体の上面カバーに設ける構造とすることにより、表示部のリモコンによる受光性能、表示の見易さを損なわずに本体スイッチによる操作性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の暖房機器の実施の形態をファンコンベクタを例に、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図1は本発明におけるファンコンベクタの外観斜視図である。
図2は本発明におけるファンコンベクタの展開斜視図である。
図3は本発明におけるファンコンベクタの内部を前面から見た斜視図である。
図4は本発明における、(A)は操作部、(B)は表示部を示す図である。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例1を図1、図2および図3に基づいて説明する。
図1、図2および図3において、1はファンコンベクタ本体、2は床面に載置される前記本体1を構成するスタンド、3は前面が開放された背面パネル、4は後面が開放され前記背面パネル3に被着される前面パネルで、これらにより本体1を構成している。
【0014】
5は前記筐体1の背面上部に設けられた吸込口、6は前面下部に設けられた送風ケーシング7からなる吹出口、8はこれら吸込口5および吹出口6を結ぶ空気通路(図示せず)に設けられ、前記吸込口5に臨ませて、温水を循環することにより前記吸込口5から吸い込まれた吸込空気を熱交換する熱交換器、9は前記送風ケーシング7に収納され、前記熱交換器8により熱交換された温風を前記吹出口6に送出するための送風ファン、9aは同送風ファン9に直結されたファンモータ、9bは同ファンモータ9aを固定するためのモータ固定具、10は前記筐体1の上面、前面および両側面との間に所定の間隔をなし同筐体1内に配置され、前記熱交換器8に相対向して設けられ、空気通路を形成してなる第1遮熱板で、例えば、熱に強く安全性を有し、精度の出し易いABS樹脂を用い、前記熱交換器8により熱交換された温風による熱を、前記前面パネル4に伝わらないようにしている。
【0015】
10Aは前記第1遮熱板10の下部に設けられ、前記モータ固定具9bを備えると共に,前記送風ファン9に対向するように配設された第2遮熱板で、前記第1遮熱板と同様に、前記熱交換器8により熱交換された温風による熱を、前記前面パネル4に伝わらないようにしている。
尚、本実施例では遮熱板を第1遮熱板10と第2遮熱板10Aとに分割してあるが、これに限定したものではなく、一体に形成しても良い。
【0016】
前記第1遮熱板10は、図4に示すように、前記熱交換器8に対向する前面部10fと、同前面部10fの上端から、前記熱交換器8の上面に向け突出する上面部10gと、前記前面部10fと上面部10gの左右両側端を覆う側面部10hとから構成し、前記前面部10fの中央部には矩形状の凹部10aが設けられいる。
【0017】
また、11は前記本体1の前面上部に装着され、機器の運転状況を表示するセブンセグメント等の表示素子12と、リモコン信号を受光するリモコン受光部13を搭載した表示基板17とから構成された表示部である。
また、図3に示すように、14は後述する前記本体1の上部を覆う上面カバーに設けられ、機器の操作を行う操作部、15は前記本体1の上部を覆う上面カバー、16は前記第1遮熱板10の前面中央に設けられた凹部10aに収容された制御基板である。
【0018】
前記制御基板16と前記表示基板17は、前記第1遮熱板10に取り付けた後、前記両基板をワイヤハーネス18により接続され、その後、前記前面パネル4が前記背面パネル3に被着される。このため、図8(B)に示す従来例のように表示基板の取り付けを、送風ボックス8’の上部空間で上面板14’の前縁に取り付けた取付金具兼操作部取付板52’に取り付けるのと異なり、本発明では別部品を使用するようなことがないため、部品点数も増加することがない。
【0019】
また、前記表示部11を図4及び図5に示すように、前記第1遮熱板10の前面上部中央に取り付け、表示部11の一部が第1遮熱板10の前面部10fの上端から突設させ、前記第1遮熱板10と対向する前記表示部11の裏面との間に、所定の隙間hを設けてなる構成とすることにより、部品点数の削減および操作性の向上を図り、かつ熱交換器(熱源器)8からの熱の影響をより受けないようになされている。
【0020】
機器の運転操作を行う前記操作部14は、図7(A)に示すように、機器の運転または停止動作を行う運転/停止スイッチaと、室内温度を設定する温度設定スイッチbと、タイマーにより機器の「入」または「切」を行うワンタッチタイマースイッチcと、全ての動作を無効にでき、小さな子供の誤動作を防ぐ、鍵マークで示されたチャイルドロックスイッチdとから構成されている。
前記操作部14の取付位置は、前記本体1前面の前記表示部11に設け、第1遮熱板10に取付けてもよいが、本発明では図1に示すように、前記本体1の上部を覆う前記上面カバー15に設けられている。前記操作部14を前記上面カバー15に設けることにより、操作を行う場合、機器の上方から各スイッチを押圧するため、従来例のように機器の前面に設けた場合に比べ、機器を手で押えることなく、安定に操作できる。
【0021】
前記表示部12は図7(B)に示すように、前記操作部14で設定した内容を文字などで表示するもので、各文字の後方に取り付けられたLEDにより文字を光らすものと、7セグメントにより表示するものとがある。
「リモコン」は機器の操作をリモコンで行った場合、文字が光るもので、前記操作部14を手動により行った場合は光らず、最後にリモコンで操作した場合に文字が光るようになされている。
【0022】
「運転」は運転/停止スイッチaにより、機器を運転動作させたとき文字が光る。「速暖」は室外機の気化機を温めておき、急速暖房を行えるようにしたものである。
室温および各設定時刻は7セグメントにより表示される。室温の設定は10〜30℃の間で1℃間隔で設定することができる。
タイマーはON,OFFタイマーで運転状態を時刻表示するもので、前記操作部14のワンタッチタイマースイッチcにより、ONの場合は「入」により何時何分に機器をONさせるかを設定する。また、OFFの場合は「切」により何時何分後に機器をOFFさせるかを設定する。
【0023】
「ロック」の鍵マークは前記操作部14のチャイルドロックスイッチdを押すことにより、ロックと解除が繰返され、ロック状態のとき文字が光るようになされ、全ての動作を無効にでき、小さな子供の誤動作を防ぐことができる。
【0024】
「水補給」は室外機のタンク内の不凍液(水)の水量が所定量より不足した場合、水補給を知らせるもので、センサによりのタンク内の水位を検知し、所定水位以下になると水補給の文字が光るようになっている。
【0025】
上記に説明したように、本発明によれば、表示素子およびリモコン受光部を備えた表示部11を第1遮熱板10の上部中央に設け、操作部14を本体1の上面カバー15に設ける構造とすることにより、熱交換器(熱源器)8からの熱の影響を受けず、リモコンによる受光性能および、表示の見易さを損なわずに本体スイッチによる操作性能を向上させ、かつ部品点数を増加することなく、組立性を向上させることができる暖房機器となる。
尚、本実施例では、操作部14は上面カバー15に設けているが、これに限られず、操作部14を第1遮熱板10に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例を示すファンコンベクタの外観の斜視図である。
【図2】本発明の実施例を示すファンコンベクタの展開斜視図である。
【図3】本発明の実施例を示すファンコンベクタの内部を前面から見た斜視図である。
【図4】本発明の表示部の配置を示す斜視図である。
【図5】本発明の表示部の取付け状態を示す断面図である。
【図6】本発明の表示部の取付け状態を示す斜視図である。
【図7】(A)は本発明の操作部の上面図で、(B)は本発明の表示部の正面図である。
【図8】(A)は従来例を示す温水暖房機の外観の斜視図、(B)は従来例を示す温水暖房機の縦断面図で、(C)は従来例の操作部と表示部の正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ファンコンベクタ本体
2 ベース
3 背面パネル
4 前面パネル
5 吸込口
6 吹出口
8 熱交換器
9 送風ファン
10 第1遮熱板
10A 第2遮熱板
10a 凹部
10f 前面部
10g 上面部
10h 側面部
11 表示部
12 表示素子
13 リモコン受光部
14 操作部
15 上面カバー
16 制御基板
17 表示基板
18 ワイヤーハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の背面に吸込口を、前面に吹出口を設け、前記吸込口と前記吹出口とを結ぶ空気通路に、熱源器と、同熱源器により熱交換された温風を前記吹出口に送出する送風ファンとを配設し、前記熱源器の熱が筐体前面に伝導するのを防止するとともに、前記空気通路を構成する遮熱板を設ける一方、機器の運転状況を表示する表示部および、または機器の操作を行う操作部とを備えてなる暖房機器において、
前記表示部および、または前記操作部を前記遮熱板に設けてなることを特徴とする暖房機器。
【請求項2】
前記遮熱板と対向する前記表示部および、または前記操作部の裏面との間に、所定の隙間を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の暖房機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−40625(P2007−40625A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226110(P2005−226110)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】