曲線案内機構及び歩行補助装置
【課題】円弧形状の案内軌道を有する案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する可動体とから成る曲線案内機構において、可動体を小型軽量化できると共に異物の噛み込みも防止できるようにする。
【解決手段】案内軌道は案内体31に形成した円弧形状の案内溝33で構成される。可動体32に、案内溝33の長手方向に離隔して配置される複数の回転体から成る回転体列が溝幅方向に離隔して2列設けられる。各回転体列は、案内溝33の内周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の内側回転体341と、案内溝33の外周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の外側回転体342とで構成される構成される。また、案内体31は、案内溝33の内周側の溝壁面と外周側の溝壁面とを結ぶ縦壁部313を有し、可動体32に、溝幅方向から縦壁部313に当接するスラスト受け35が取付けられる。
【解決手段】案内軌道は案内体31に形成した円弧形状の案内溝33で構成される。可動体32に、案内溝33の長手方向に離隔して配置される複数の回転体から成る回転体列が溝幅方向に離隔して2列設けられる。各回転体列は、案内溝33の内周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の内側回転体341と、案内溝33の外周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の外側回転体342とで構成される構成される。また、案内体31は、案内溝33の内周側の溝壁面と外周側の溝壁面とを結ぶ縦壁部313を有し、可動体32に、溝幅方向から縦壁部313に当接するスラスト受け35が取付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円弧状の案内軌道に沿って可動体を案内する曲線案内機構及びこの案内機構を用いた歩行補助装置及びに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の歩行補助装置として、利用者が跨ぐようにして着座する着座部材と、着座部材を下方から支える脚リンクとを備え、利用者の体重の少なくとも一部を着座部材を介して脚リンクで受けることにより、利用者の脚に作用する荷重を軽減して歩行を補助するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このもので、着座部材と脚リンクとは、着座部材の上方に曲率中心を持つ前後方向に長手の円弧形状の案内軌道を有する、着座部材に連結される案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する、脚リンクに固定の可動体とから成る曲線案内機構を介して連結されている。そのため、脚リンクは、案内軌道の形状である円弧形状の曲率中心を揺動支点として前後方向に揺動自在となる。これによれば、着座部材に対する利用者の上半身の体重の作用点が脚リンクの前後方向の揺動支点の前方にずれて、着座部材が前下がりに傾斜した場合、脚リンクの前後方向の揺動支点が着座部材の上方に位置するため、体重作用点は脚リンクの前後方向の揺動支点の下側で後方に変位し、該支点と体重作用点との間の前後方向距離が減少して、着座部材に作用する回転モーメントも減少する。そして、体重作用点が脚リンクの前後方向の揺動支点の真下の位置まで変位したところで、着座部材に作用する回転モーメントが零になり、この状態で着座部材が安定する。このようにして着座部材が自動的に安定状態に収束するため、着座部材が利用者の股下で前後方向にずれることを抑制できる。
【0004】
ここで、上記従来例では、案内体に案内軌道となる円弧形状のレールを固定し、可動体の前後の各端部に、円弧形状の曲率中心に近い内周側のレール側縁(上側縁)と曲率中心から遠い外周側のレール側縁(下側縁)とに夫々転動自在に当接する内側回転体と外側回転体とを設けている。そのため、可動体の上下方向幅は、レールの上下方向幅に内側回転体と外側回転体の径を加えた寸法以上になり、可動体が大型化して重量が増し、脚リンクの慣性モーメントが増加する不具合がある。更に、ズボン等の異物がレールの側縁とこれに係合する回転体との間に噛み込んで、脚リンクの揺動の円滑性が損なわれることもある。
【0005】
また、回転体は、一般的に、深溝玉軸受で構成され、可動体に設けた支軸に軸受の内輪を外嵌させ、軸受の外輪をレール側縁に当接させている。ここで、横方向のローリングモーメントを内側回転体と外側回転体とで受けられるようにするには、外輪の外周面にレール側縁に係合する溝を形成して、外輪をレール側縁に対し横ずれしないように係合させることが必要になる。従って、外輪の外周に溝を有しない汎用の深溝玉軸受を回転体として用いることができず、コストが高くなる。
【特許文献1】特開2007−20909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、可動体を小型軽量化できると共に異物の噛み込みも抑制できるようにした低コストの曲線案内機構及びこの案内機構を用いた歩行補助装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の曲線案内機構は、円弧形状の案内軌道を有する案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する可動体とから成り、案内軌道は案内体に形成した前記円弧形状の案内溝で構成され、可動体に、案内溝の長手方向に離隔して配置される複数の回転体から成る回転体列が案内溝の長手方向及び前記円弧形状の曲率半径方向に直交する溝幅方向に離隔して2列設けられ、各回転体列は、案内溝の前記円弧形状の曲率中心に近い内周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の内側回転体と、案内溝の前記円弧形状の曲率中心から遠い外周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の外側回転体とで構成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の歩行補助装置は、利用者が跨ぐようにして着座する着座部材と、着座部材を下方から支える脚リンクとを備え、着座部材と脚リンクとは、着座部材の上方に曲率中心を持つ前後方向に長手の円弧形状の案内軌道を有する、着座部材に連結される案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する、脚リンクの上端に連結される可動体とから成る曲線案内機構を介して連結されるものにおいて、曲線案内機構は、上記本発明の曲線案内機構で構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の曲線案内機構では、各回転体列の内側回転体と外側回転体とが案内溝の長手方向に離れた位置で案内溝の内周側と外周側の溝壁面に当接するため、ピッチングモーメント(溝幅方向に沿う軸回りのモーメント)は各回転体列の内側回転体と外側回転体とで受けられる。また、案内溝の溝幅方向に離隔した2列の回転体列が設けられているため、ローリングモーメント(案内溝の長手方向に沿う軸回りのモーメント)は一方の回転体列の内側回転体又は外側回転体と他方の回転体列の外側回転体又は内側回転体とで受けられる。従って、可動体を案内溝に沿ってピッチング方向やローリング方向のガタを生ずることなくスムーズに移動させることができる。
【0010】
また、このように2列の回転体列を設けることでローリングモーメントが受けられるため、各回転体の外周面に案内体に対する係合溝を形成する必要がない。従って、各回転体として汎用の深溝玉軸受を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0011】
また、本発明の曲線案内機構では、各回転体列の内側回転体と外側回転体とが案内溝の長手方向に離れているため、各回転体列の内側回転体と外側回転体とを案内溝の曲率半径方向にオーバーラップするように配置できる。従って、案内溝の曲率半径方向の幅は、内側と外側の各回転体の直径にこの回転体が当接する溝壁面とは反対側の溝壁面との接触防止に必要な若干のクリアランスを加えた寸法であれば足りる。その結果、案内溝の曲率半径方向幅を小さくでき、可動体も可及的に小型軽量化できる。
【0012】
そして、このような曲線案内機構を用いた本発明の歩行補助装置によれば、可動体を小型軽量化できるため、脚リンクの慣性モーメントが軽減される。これにより、利用者が脚を前方に振り出す際に感じる脚リンクの慣性モーメントによる抵抗感を少なくすることができる。また、回転体が案内体の外面から凹入した案内溝の溝壁面に当接するため、ズボン等の異物が回転体の当接部に噛み込むことを有効に抑制でき、脚リンクの揺動の円滑性が確保される。
【0013】
尚、本発明の歩行補助装置において、案内体は、案内溝の内周側の溝壁面を構成する内周壁部と、案内溝の外周側の溝壁面を構成する外周壁部と、内周壁部と外周壁部とを溝幅方向両側で連結する一対の縦壁部と、外周壁部の溝幅方向中央部に形成したスリットとを有する断面C形の型材から成り、この型材の内部空間で案内溝が画成され、可動体は、スリットを通して案内溝に挿入される挿入部を有し、この挿入部の溝幅方向一側と他側とに前記各回転体列が設けられることが望ましい。これによれば、ズボン等の異物が案内溝に侵入することを確実に防止でき、脚リンクの揺動の円滑性が確実に確保される。
【0014】
ところで、本発明の曲線案内機構において、各回転体列が各1個の内側回転体と外側回転体とで構成される場合、案内溝の長手方向における内側回転体と外側回転体の並び順が一方の回転体列と他方の回転体列とで同一になっていると、内側回転体と外側回転体とが夫々案内溝の内周側と外周側の溝壁面から離れる方向のピッチングモーメントは受けられなくなる。従って、この場合には、案内溝の長手方向における内側回転体と外側回転体の並び順を一方の回転体列と他方の回転体列とで逆にすることが望ましい。これによれば、一方の回転体列の内側回転体と外側回転体とが夫々案内溝の内周側と外周側の溝壁面から離れる方向のピッチングモーメントは他方の回転体列で受けられ、他方の回転体列の内側回転体と外側回転体とが夫々案内溝の内周側と外周側の溝壁面から離れる方向のピッチングモーメントは一方の回転体列で受けられる。
【0015】
また、本発明の曲線案内機構において、内側回転体と外側回転体との一方の回転体の支軸は可動体に固定され、他方の回転体の支軸は、前記円弧形状の曲率半径方向の厚みを持つシムを介して可動体に取付けられるブロックに固定されることが望ましい。これによれば、上記一方の回転体の支軸に対し上記他方の回転体の支軸が前記円弧形状の曲率半径方向にシムの厚さに応じて変位する。従って、シムにより案内溝に対する可動体の前記円弧形状の曲率半径方向のガタ調整を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明の曲線案内機構において、案内体は、案内溝の内周側の溝壁面と外周側の溝壁面とを結ぶ縦壁部を有し、可動体に、溝幅方向から縦壁部に当接するスラスト受けが取付けられることが望ましい。これによれば、案内体に対し可動体が溝幅方向にガタ付くことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の歩行補助装置について説明する。歩行補助装置は、図1及び図2に示す如く、利用者Pが跨ぐようにして着座する着座部材1と、着座部材1を下方から支える左右一対の脚リンク2,2とを備えている。
【0018】
各脚リンク2は、着座部材1に後述する曲線案内機構3を介して前後方向に揺動自在に連結される大腿リンク部4と、大腿リンク部4の下端に回転式の膝関節部5を介して連結される下腿リンク部6とを備える屈伸自在なリンクで構成される。また、下腿リンク部6の下端には、足首関節部7を介して、利用者Pの左右の各足平に装着される足平装着部8が連結されている。
【0019】
また、各脚リンク2には、膝関節部5用の駆動源9が搭載されている。そして、駆動源9による膝関節部5の回転駆動で各脚リンク2に伸び方向の力を加え、利用者Pの体重の少なくとも一部を支持する支持力(以下、体重免荷アシスト力という)を発生させようにしている。各脚リンク2で発生された体重免荷アシスト力は着座部材1を介して利用者Pの胴体に伝達され、利用者Pの脚に作用する荷重が軽減される。
【0020】
駆動源9は、大腿リンク部4の上端部外側面に取付けた減速機9a付きの電動モータで構成されている。そして、減速機9aの出力部材たる駆動プーリ9bと、下腿リンク部6に膝関節部5の関節軸5aと同心に固定した従動プーリ6aとをワイヤ、チェーン、ベルト等の巻掛け伝動部材9cを介して連結している。これによれば、駆動源9から減速機9aを介して出力される動力が巻掛け伝動部材9cを介して下腿リンク部6に伝達され、下腿リンク部6が大腿リンク部4に対し関節軸5aを中心にして揺動して、脚リンク2が屈伸される。尚、大腿リンク部4には、巻掛け伝動部材9cを覆うカバー4aが取付けられている。
【0021】
着座部材1は、利用者Pが着座するサドル状のシート部1aと、シート部1aを支持する下面の支持フレーム1bと、シート部1aの後側で立上る支持フレーム1bの後端の立上り部に取り付けた腰当て部1cとで構成されている。また、腰当て部1cには、利用者Pが把持可能なアーチ状の把持部1dが設けられている。
【0022】
各足平装着部8は、靴8aと、靴8aに固定した上方にのびる連結部材8bとを備えている。そして、この連結部材8bに各脚リンク2の下腿リンク部6が3軸構造の足首関節部7を介して連結されている。また、図1に示すように、靴8a内に設けられる中敷8cの下面に、利用者Pの足平の中趾節関節(MP関節)部分と踵部分とに作用する荷重を検出する前後一対の圧力センサ10,10が取付けられている。更に、足首関節部7には2軸の力センサ11が組み込まれている。これら圧力センサ10及び力センサ11の検出信号は着座部材1の支持フレーム1bに収納したコントローラ12に入力される。コントローラ12は、圧力センサ10及び力センサ11からの信号に基づき、駆動源9を制御して脚リンク2の膝関節部5を駆動し、上記アシスト力を発生させる歩行アシスト制御を実行する。
【0023】
ここで、アシスト力は、横方向から見て、着座部材1に対する脚リンク2の前後方向の揺動支点3aと、足首関節部7における脚リンク2の前後方向の揺動支点とを結ぶ線(以下、基準線という)上に作用する。そこで、歩行アシスト制御では、基準線上に作用する実際のアシスト力(正確にはアシスト力と着座部材1及び各脚リンク2の重量による力との合力)を力センサ11で検出される2軸方向の力の検出値に基づいて算出する。また、各足平装着部8の圧力センサ10の検出圧力に基づいて、利用者Pの両足平に作用する全荷重に対する各足平の作用荷重の割合を算出する。次に、予め設定されるアシスト力の設定値に各足平の荷重割合を乗算した値を各脚リンク2で発生すべきアシスト力の制御目標値として算出する。そして、力センサ11の検出値に基づいて算出される実際のアシスト力が制御目標値になるように駆動源9を制御する。
【0024】
曲線案内機構3は、着座部材1の支持フレーム1bの後端の立上り部に前後方向の支軸3bを介して横方向に揺動自在に連結した案内体31と、大腿リンク部4の上端部に固定した可動体32とで構成されている。案内体31には、案内軌道となる前後方向に長手の円弧形状の案内溝33が形成されている。案内溝33の円弧形状の曲率中心3aは着座部材1のシート部1aの上面より上方に位置する。
【0025】
以下、図3乃至図6を参照して、曲線案内機構3について詳述する。案内体31は、案内溝33の曲率中心3aに近い内周側の溝壁面33aを構成する内周壁部311と、案内溝33の曲率中心3aから遠い外周側の溝壁面33bを構成する外周壁部312と、内周壁部311と外周壁部312とを案内溝33の長手方向(前後方向)及び円弧形状の曲率半径方向(上下方向)に直交する溝幅方向(横方向)両側で連結する一対の縦壁部313,313と、外周壁部312の溝幅方向中央部に形成したスリット314とを有する断面C形の型材から成り、この型材の内部空間で案内溝33が画成されている。尚、図4では脚リンク2を省略している。
【0026】
可動体32は、案内体31のスリット314を通して案内溝33に挿入される挿入部321を有している。そして、挿入部321の溝幅方向一側と他側とに、案内溝33の長手方向に離隔して配置される各1個の内側回転体341と外側回転体342とから成る回転体列を1列宛設けている。従って、可動体32には、回転体列が溝幅方向に離隔して2列設けられることになる。
【0027】
ここで、内側回転体341は、案内溝33の内周側溝壁面33aに転動自在に当接し、外側回転体342は、案内溝33の外周側溝壁面33bに転動自在に当接する。尚、各回転体341,342は深溝玉軸受で構成されている。そして、可動体32の挿入部321に設けた支軸341に軸受の内輪342を外嵌させ、軸受の外輪343を内周側と外周側の各溝壁面33a,33bに当接させている。
【0028】
これによれば、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが案内溝33の長手方向に離れた位置で案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bに当接するため、ピッチングモーメント(溝幅方向に沿う軸回りのモーメント)Mpは各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とで受けられる。尚、案内溝33の長手方向における内側回転体341と外側回転体342の並び順が一方の回転体列と他方の回転体列とで同一になっていると、内側回転体341と外側回転体342とが夫々案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bから離れる方向のピッチングモーメントは受けられなくなる。そこで、本実施形態では、案内溝33の長手方向における内側回転体341と外側回転体342の並び順を一方の回転体列と他方の回転体列とで逆にしている。そのため、一方の回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが夫々案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bから離れる方向のピッチングモーメントは他方の回転体列で受けられ、他方の回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが夫々案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bから離れる方向のピッチングモーメントは一方の回転体列で受けられる。
【0029】
また、案内溝33の溝幅方向に離隔した2列の回転体列が設けられているため、ローリングモーメント(案内溝33の長手方向に沿う軸回りのモーメント)Mrは一方の回転体列の内側回転体341又は外側回転体342と他方の回転体列の外側回転体342又は内側回転体341とで受けられる。従って、可動体32を案内溝33に沿ってピッチング方向やローリング方向のガタを生ずることなくスムーズに移動させることができる。そして、各脚リンク2は、案内溝33の曲率中心3aを中心にして前後方向に揺動することになり、各脚リンク2の着座部材1に対する前後方向の揺動支点は案内溝33の曲率中心3aになる。
【0030】
また、案内体31は、着座部材1に上記の如く支軸3bを介して横方向に揺動自在に連結されているため、利用者Pの脚を外転できるようになる。ここで、案内溝33の曲率中心(脚リンク2の前後方向の揺動支点)3a及び支軸3bの軸線はシート部1aより上方に位置する。そのため、利用者Pの体重移動で着座部材1が上下左右に大きくピッチング及びローリングすることを防止できる。
【0031】
また、溝幅方向に離隔した2列の回転体列を設けることでローリングモーメントMrが受けられるため、各回転体341,342を構成する軸受の外輪343の外周面に案内体31に対する係合溝を形成する必要がない。従って、各回転体341,342として汎用の深溝玉軸受を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0032】
また、可動体32の挿入部321には、案内溝33の円弧形状の曲率半径方向の厚みを持つシム322を介してブロック323が取付けられている。そして、各回転列の外側回転体342の支軸341を挿入部321に固定すると共に、各回転体列の内側回転体341の支軸341をブロック323に固定している。これによれば、外側回転体342の支軸341に対し内側回転体341の支軸341が案内溝33の円弧形状の曲率半径方向にシム322の厚さに応じて変位する。従って、シム322により案内溝33に対する可動体32の曲率半径方向のガタ調整を容易に行うことができる。
【0033】
また、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが案内溝33の長手方向に離れているため、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とを案内溝33の曲率半径方向(上下方向)にオーバーラップするように配置できる。従って、案内溝33の上下方向幅は、内側と外側の各回転体341,342の直径にこの回転体が当接する溝壁面とは反対側の溝壁面との接触防止に必要な若干のクリアランスを加えた寸法であれば足りる。その結果、案内溝33の上下方向幅を小さくでき、可動体32も可及的に小型軽量化できる。そのため、脚リンク2の慣性モーメントが軽減されて、利用者Pが脚を前方に振り出す際に感じる脚リンク2の慣性モーメントによる抵抗感を少なくすることができる。
【0034】
更に、案内体31を断面C形の型材で構成することにより、ズボン等の異物が案内溝33に侵入することを確実に防止できる。そのため、回転体341、342の当接部への異物の噛み込みを生じず、脚リンク2の揺動の円滑性が確実に確保される。
【0035】
また、可動体32の挿入部321には、案内溝33の長手方向両端部に位置させて、案内体31の各縦壁部313に溝幅方向から当接するボールから成るスラスト受け35が取付けられている。そのため、案内体31に対し可動体32が溝幅方向にガタ付くことを防止でき、更に、ヨーイングモーメント(案内溝33の曲率半径方向に沿う軸回りのモーメント)も受けることができる。尚、図中35aは、スラスト受け35となるボールを抜け止めするボール押えである。
【0036】
ところで、上記第1実施形態では、各回転体列を各1個の内側回転体341と外側回転体342とから成る2個の回転体で構成したが、これに限らない。例えば、内側回転体341と外側回転体342との一方を1個、他方を2個として、3個の回転体で各回転体列を構成しても良い。更には、図7乃至図9に示す第2実施形態のように、各回転体列を、各2個の内側回転体341と外側回転体342とで構成しても良い。このように3個以上の回転体で各回転体列を構成すれば、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とで何れの方向のピッチングモーメントも受けることができる。そこで、第2実施形態では、案内溝33の長手方向における内側回転体341と外側回転体342の並び順を一方の回転体列と他方の回転体列とで同一にしている。即ち、可動体32の挿入部321に、案内溝33の長手方向両端に位置させて各回転体列の2個の内側回転体341を配置し、その中間に各回転体列の2個の外側回転体342を配置している。
【0037】
また、内側回転体341の支軸341を可動体32の挿入部321に固定し、外側回転体342の支軸341を挿入部321にシム322を介して取付けるブロック323に固定している。更に、案内体31の各縦壁部313に溝幅方向から当接するスラスト受け35が各回転体341,342の支軸341に取付けられている。即ち、スラスト受け35が支軸341を介して可動体32に間接的に取付けられている。尚、このスラスト受け35は摺動タイプのものである。
【0038】
また、上記第1と第2の実施形態では、案内体31を断面C形の型材で構成したが、これに限らない。例えば、図10乃至図12に示す第3実施形態のように、案内体31を、案内溝33の内周側の溝壁面33aを構成する内周壁部311と、案内溝33の外周側の溝壁面33bを構成する外周壁部312と、内周壁部311と外周壁部312とを溝幅方向中央で連結する縦壁部313とを有する断面H形の型材で構成しても良い。この場合、内周壁部311と外周壁部312との間に縦壁部313で仕切られた一対の案内溝33が画成されることになる。
【0039】
また、第3実施形態の可動体32は、案内体31を挟んで溝幅方向に対峙する一対の側板部324を有している。そして、各側板部324の溝幅方向内側に各2個の内側回転体341と外側回転体342とから成る各回転体列が設けられている。尚、各側板部324は、可動体32に一体の部分324aと、可動体32にシム322を介して取付けられるブロック323に一体の部分324bとで構成されている。そして、可動体32に一体の側板部324の部分324aに外側回転体342の支軸341をボルト止めし、ブロック323に一体の側板部324の部分324bに内側回転体341の支軸341をボルト止めしている。また、各支軸341の端部に、縦壁部313に溝幅方向から当接する摺動タイプのスラスト受け35が一体成形されている。
【0040】
第3実施形態の曲線案内機構3においても、回転体341,342が案内体31の外面から凹入した案内溝33の溝壁面33a,33bに当接するため、ズボン等の異物が回転体341,342の当接部に噛み込むことを抑制できる。但し、案内体31を断面C形の型材で構成した方が案内溝33への異物の侵入をより確実に防止でき、有利である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、脚リンク2として、中間に回転式の関節部5を有する屈伸自在なリンクを用いているが、中間に直動式の関節部を有する伸縮自在なリンクを用いることも可能である。また、足平装着部8を省略し、各脚リンク2の下端部を利用者の各脚の下腿部に適宜の手段で固定し、この固定部より下の脚の部分を反力受けにして、体重免荷アシスト力を発生させることも可能である。更に、片方の脚が骨折等で不自由な利用者の歩行を補助するため、上記実施形態の左右の脚リンク2,2のうち利用者の不自由な脚側の脚リンクのみを残して他方の脚リンクを省略することも可能である。また、膝関節部5を伸び方向(着座部材1を押し上げる方向)に付勢する付勢手段を設け、駆動源9を省略することも可能である。
【0042】
また、上記実施形態の曲線案内機構3は歩行補助装置用のものであるが、歩行補助装置以外の用途の曲線案内機構にも同様に本発明の曲線案内機構を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態の歩行補助装置の側面図。
【図2】第1実施形態の歩行補助装置の正面図。
【図3】第1実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の部分切断側面図。
【図4】第1実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の斜視図。
【図5】図3のV−V線切断面図。
【図6】図3のVI−VI線切断面図。
【図7】第2実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII線切断面図。
【図9】図7のIX−IX線切断面図。
【図10】第3実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の斜視図。
【図11】図10のXI−XI線切断面図。
【図12】図10のXII−XII線切断面図。
【符号の説明】
【0044】
1…着座部材、2…脚リンク、3…曲線案内機構、3a…曲率中心、31…案内体、311…内周壁部、312…外周壁部、313…縦壁部、314…スリット、32…可動体、321…挿入部、322…シム、323…ブロック、33…案内溝、33a…内周側溝壁面、33b…外周側溝壁面、341…内側回転体、342…外側回転体、341…支軸、35…スラスト受け。
【技術分野】
【0001】
本発明は、円弧状の案内軌道に沿って可動体を案内する曲線案内機構及びこの案内機構を用いた歩行補助装置及びに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の歩行補助装置として、利用者が跨ぐようにして着座する着座部材と、着座部材を下方から支える脚リンクとを備え、利用者の体重の少なくとも一部を着座部材を介して脚リンクで受けることにより、利用者の脚に作用する荷重を軽減して歩行を補助するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このもので、着座部材と脚リンクとは、着座部材の上方に曲率中心を持つ前後方向に長手の円弧形状の案内軌道を有する、着座部材に連結される案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する、脚リンクに固定の可動体とから成る曲線案内機構を介して連結されている。そのため、脚リンクは、案内軌道の形状である円弧形状の曲率中心を揺動支点として前後方向に揺動自在となる。これによれば、着座部材に対する利用者の上半身の体重の作用点が脚リンクの前後方向の揺動支点の前方にずれて、着座部材が前下がりに傾斜した場合、脚リンクの前後方向の揺動支点が着座部材の上方に位置するため、体重作用点は脚リンクの前後方向の揺動支点の下側で後方に変位し、該支点と体重作用点との間の前後方向距離が減少して、着座部材に作用する回転モーメントも減少する。そして、体重作用点が脚リンクの前後方向の揺動支点の真下の位置まで変位したところで、着座部材に作用する回転モーメントが零になり、この状態で着座部材が安定する。このようにして着座部材が自動的に安定状態に収束するため、着座部材が利用者の股下で前後方向にずれることを抑制できる。
【0004】
ここで、上記従来例では、案内体に案内軌道となる円弧形状のレールを固定し、可動体の前後の各端部に、円弧形状の曲率中心に近い内周側のレール側縁(上側縁)と曲率中心から遠い外周側のレール側縁(下側縁)とに夫々転動自在に当接する内側回転体と外側回転体とを設けている。そのため、可動体の上下方向幅は、レールの上下方向幅に内側回転体と外側回転体の径を加えた寸法以上になり、可動体が大型化して重量が増し、脚リンクの慣性モーメントが増加する不具合がある。更に、ズボン等の異物がレールの側縁とこれに係合する回転体との間に噛み込んで、脚リンクの揺動の円滑性が損なわれることもある。
【0005】
また、回転体は、一般的に、深溝玉軸受で構成され、可動体に設けた支軸に軸受の内輪を外嵌させ、軸受の外輪をレール側縁に当接させている。ここで、横方向のローリングモーメントを内側回転体と外側回転体とで受けられるようにするには、外輪の外周面にレール側縁に係合する溝を形成して、外輪をレール側縁に対し横ずれしないように係合させることが必要になる。従って、外輪の外周に溝を有しない汎用の深溝玉軸受を回転体として用いることができず、コストが高くなる。
【特許文献1】特開2007−20909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、可動体を小型軽量化できると共に異物の噛み込みも抑制できるようにした低コストの曲線案内機構及びこの案内機構を用いた歩行補助装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の曲線案内機構は、円弧形状の案内軌道を有する案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する可動体とから成り、案内軌道は案内体に形成した前記円弧形状の案内溝で構成され、可動体に、案内溝の長手方向に離隔して配置される複数の回転体から成る回転体列が案内溝の長手方向及び前記円弧形状の曲率半径方向に直交する溝幅方向に離隔して2列設けられ、各回転体列は、案内溝の前記円弧形状の曲率中心に近い内周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の内側回転体と、案内溝の前記円弧形状の曲率中心から遠い外周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の外側回転体とで構成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の歩行補助装置は、利用者が跨ぐようにして着座する着座部材と、着座部材を下方から支える脚リンクとを備え、着座部材と脚リンクとは、着座部材の上方に曲率中心を持つ前後方向に長手の円弧形状の案内軌道を有する、着座部材に連結される案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する、脚リンクの上端に連結される可動体とから成る曲線案内機構を介して連結されるものにおいて、曲線案内機構は、上記本発明の曲線案内機構で構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明の曲線案内機構では、各回転体列の内側回転体と外側回転体とが案内溝の長手方向に離れた位置で案内溝の内周側と外周側の溝壁面に当接するため、ピッチングモーメント(溝幅方向に沿う軸回りのモーメント)は各回転体列の内側回転体と外側回転体とで受けられる。また、案内溝の溝幅方向に離隔した2列の回転体列が設けられているため、ローリングモーメント(案内溝の長手方向に沿う軸回りのモーメント)は一方の回転体列の内側回転体又は外側回転体と他方の回転体列の外側回転体又は内側回転体とで受けられる。従って、可動体を案内溝に沿ってピッチング方向やローリング方向のガタを生ずることなくスムーズに移動させることができる。
【0010】
また、このように2列の回転体列を設けることでローリングモーメントが受けられるため、各回転体の外周面に案内体に対する係合溝を形成する必要がない。従って、各回転体として汎用の深溝玉軸受を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0011】
また、本発明の曲線案内機構では、各回転体列の内側回転体と外側回転体とが案内溝の長手方向に離れているため、各回転体列の内側回転体と外側回転体とを案内溝の曲率半径方向にオーバーラップするように配置できる。従って、案内溝の曲率半径方向の幅は、内側と外側の各回転体の直径にこの回転体が当接する溝壁面とは反対側の溝壁面との接触防止に必要な若干のクリアランスを加えた寸法であれば足りる。その結果、案内溝の曲率半径方向幅を小さくでき、可動体も可及的に小型軽量化できる。
【0012】
そして、このような曲線案内機構を用いた本発明の歩行補助装置によれば、可動体を小型軽量化できるため、脚リンクの慣性モーメントが軽減される。これにより、利用者が脚を前方に振り出す際に感じる脚リンクの慣性モーメントによる抵抗感を少なくすることができる。また、回転体が案内体の外面から凹入した案内溝の溝壁面に当接するため、ズボン等の異物が回転体の当接部に噛み込むことを有効に抑制でき、脚リンクの揺動の円滑性が確保される。
【0013】
尚、本発明の歩行補助装置において、案内体は、案内溝の内周側の溝壁面を構成する内周壁部と、案内溝の外周側の溝壁面を構成する外周壁部と、内周壁部と外周壁部とを溝幅方向両側で連結する一対の縦壁部と、外周壁部の溝幅方向中央部に形成したスリットとを有する断面C形の型材から成り、この型材の内部空間で案内溝が画成され、可動体は、スリットを通して案内溝に挿入される挿入部を有し、この挿入部の溝幅方向一側と他側とに前記各回転体列が設けられることが望ましい。これによれば、ズボン等の異物が案内溝に侵入することを確実に防止でき、脚リンクの揺動の円滑性が確実に確保される。
【0014】
ところで、本発明の曲線案内機構において、各回転体列が各1個の内側回転体と外側回転体とで構成される場合、案内溝の長手方向における内側回転体と外側回転体の並び順が一方の回転体列と他方の回転体列とで同一になっていると、内側回転体と外側回転体とが夫々案内溝の内周側と外周側の溝壁面から離れる方向のピッチングモーメントは受けられなくなる。従って、この場合には、案内溝の長手方向における内側回転体と外側回転体の並び順を一方の回転体列と他方の回転体列とで逆にすることが望ましい。これによれば、一方の回転体列の内側回転体と外側回転体とが夫々案内溝の内周側と外周側の溝壁面から離れる方向のピッチングモーメントは他方の回転体列で受けられ、他方の回転体列の内側回転体と外側回転体とが夫々案内溝の内周側と外周側の溝壁面から離れる方向のピッチングモーメントは一方の回転体列で受けられる。
【0015】
また、本発明の曲線案内機構において、内側回転体と外側回転体との一方の回転体の支軸は可動体に固定され、他方の回転体の支軸は、前記円弧形状の曲率半径方向の厚みを持つシムを介して可動体に取付けられるブロックに固定されることが望ましい。これによれば、上記一方の回転体の支軸に対し上記他方の回転体の支軸が前記円弧形状の曲率半径方向にシムの厚さに応じて変位する。従って、シムにより案内溝に対する可動体の前記円弧形状の曲率半径方向のガタ調整を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明の曲線案内機構において、案内体は、案内溝の内周側の溝壁面と外周側の溝壁面とを結ぶ縦壁部を有し、可動体に、溝幅方向から縦壁部に当接するスラスト受けが取付けられることが望ましい。これによれば、案内体に対し可動体が溝幅方向にガタ付くことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の歩行補助装置について説明する。歩行補助装置は、図1及び図2に示す如く、利用者Pが跨ぐようにして着座する着座部材1と、着座部材1を下方から支える左右一対の脚リンク2,2とを備えている。
【0018】
各脚リンク2は、着座部材1に後述する曲線案内機構3を介して前後方向に揺動自在に連結される大腿リンク部4と、大腿リンク部4の下端に回転式の膝関節部5を介して連結される下腿リンク部6とを備える屈伸自在なリンクで構成される。また、下腿リンク部6の下端には、足首関節部7を介して、利用者Pの左右の各足平に装着される足平装着部8が連結されている。
【0019】
また、各脚リンク2には、膝関節部5用の駆動源9が搭載されている。そして、駆動源9による膝関節部5の回転駆動で各脚リンク2に伸び方向の力を加え、利用者Pの体重の少なくとも一部を支持する支持力(以下、体重免荷アシスト力という)を発生させようにしている。各脚リンク2で発生された体重免荷アシスト力は着座部材1を介して利用者Pの胴体に伝達され、利用者Pの脚に作用する荷重が軽減される。
【0020】
駆動源9は、大腿リンク部4の上端部外側面に取付けた減速機9a付きの電動モータで構成されている。そして、減速機9aの出力部材たる駆動プーリ9bと、下腿リンク部6に膝関節部5の関節軸5aと同心に固定した従動プーリ6aとをワイヤ、チェーン、ベルト等の巻掛け伝動部材9cを介して連結している。これによれば、駆動源9から減速機9aを介して出力される動力が巻掛け伝動部材9cを介して下腿リンク部6に伝達され、下腿リンク部6が大腿リンク部4に対し関節軸5aを中心にして揺動して、脚リンク2が屈伸される。尚、大腿リンク部4には、巻掛け伝動部材9cを覆うカバー4aが取付けられている。
【0021】
着座部材1は、利用者Pが着座するサドル状のシート部1aと、シート部1aを支持する下面の支持フレーム1bと、シート部1aの後側で立上る支持フレーム1bの後端の立上り部に取り付けた腰当て部1cとで構成されている。また、腰当て部1cには、利用者Pが把持可能なアーチ状の把持部1dが設けられている。
【0022】
各足平装着部8は、靴8aと、靴8aに固定した上方にのびる連結部材8bとを備えている。そして、この連結部材8bに各脚リンク2の下腿リンク部6が3軸構造の足首関節部7を介して連結されている。また、図1に示すように、靴8a内に設けられる中敷8cの下面に、利用者Pの足平の中趾節関節(MP関節)部分と踵部分とに作用する荷重を検出する前後一対の圧力センサ10,10が取付けられている。更に、足首関節部7には2軸の力センサ11が組み込まれている。これら圧力センサ10及び力センサ11の検出信号は着座部材1の支持フレーム1bに収納したコントローラ12に入力される。コントローラ12は、圧力センサ10及び力センサ11からの信号に基づき、駆動源9を制御して脚リンク2の膝関節部5を駆動し、上記アシスト力を発生させる歩行アシスト制御を実行する。
【0023】
ここで、アシスト力は、横方向から見て、着座部材1に対する脚リンク2の前後方向の揺動支点3aと、足首関節部7における脚リンク2の前後方向の揺動支点とを結ぶ線(以下、基準線という)上に作用する。そこで、歩行アシスト制御では、基準線上に作用する実際のアシスト力(正確にはアシスト力と着座部材1及び各脚リンク2の重量による力との合力)を力センサ11で検出される2軸方向の力の検出値に基づいて算出する。また、各足平装着部8の圧力センサ10の検出圧力に基づいて、利用者Pの両足平に作用する全荷重に対する各足平の作用荷重の割合を算出する。次に、予め設定されるアシスト力の設定値に各足平の荷重割合を乗算した値を各脚リンク2で発生すべきアシスト力の制御目標値として算出する。そして、力センサ11の検出値に基づいて算出される実際のアシスト力が制御目標値になるように駆動源9を制御する。
【0024】
曲線案内機構3は、着座部材1の支持フレーム1bの後端の立上り部に前後方向の支軸3bを介して横方向に揺動自在に連結した案内体31と、大腿リンク部4の上端部に固定した可動体32とで構成されている。案内体31には、案内軌道となる前後方向に長手の円弧形状の案内溝33が形成されている。案内溝33の円弧形状の曲率中心3aは着座部材1のシート部1aの上面より上方に位置する。
【0025】
以下、図3乃至図6を参照して、曲線案内機構3について詳述する。案内体31は、案内溝33の曲率中心3aに近い内周側の溝壁面33aを構成する内周壁部311と、案内溝33の曲率中心3aから遠い外周側の溝壁面33bを構成する外周壁部312と、内周壁部311と外周壁部312とを案内溝33の長手方向(前後方向)及び円弧形状の曲率半径方向(上下方向)に直交する溝幅方向(横方向)両側で連結する一対の縦壁部313,313と、外周壁部312の溝幅方向中央部に形成したスリット314とを有する断面C形の型材から成り、この型材の内部空間で案内溝33が画成されている。尚、図4では脚リンク2を省略している。
【0026】
可動体32は、案内体31のスリット314を通して案内溝33に挿入される挿入部321を有している。そして、挿入部321の溝幅方向一側と他側とに、案内溝33の長手方向に離隔して配置される各1個の内側回転体341と外側回転体342とから成る回転体列を1列宛設けている。従って、可動体32には、回転体列が溝幅方向に離隔して2列設けられることになる。
【0027】
ここで、内側回転体341は、案内溝33の内周側溝壁面33aに転動自在に当接し、外側回転体342は、案内溝33の外周側溝壁面33bに転動自在に当接する。尚、各回転体341,342は深溝玉軸受で構成されている。そして、可動体32の挿入部321に設けた支軸341に軸受の内輪342を外嵌させ、軸受の外輪343を内周側と外周側の各溝壁面33a,33bに当接させている。
【0028】
これによれば、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが案内溝33の長手方向に離れた位置で案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bに当接するため、ピッチングモーメント(溝幅方向に沿う軸回りのモーメント)Mpは各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とで受けられる。尚、案内溝33の長手方向における内側回転体341と外側回転体342の並び順が一方の回転体列と他方の回転体列とで同一になっていると、内側回転体341と外側回転体342とが夫々案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bから離れる方向のピッチングモーメントは受けられなくなる。そこで、本実施形態では、案内溝33の長手方向における内側回転体341と外側回転体342の並び順を一方の回転体列と他方の回転体列とで逆にしている。そのため、一方の回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが夫々案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bから離れる方向のピッチングモーメントは他方の回転体列で受けられ、他方の回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが夫々案内溝33の内周側と外周側の溝壁面33a,33bから離れる方向のピッチングモーメントは一方の回転体列で受けられる。
【0029】
また、案内溝33の溝幅方向に離隔した2列の回転体列が設けられているため、ローリングモーメント(案内溝33の長手方向に沿う軸回りのモーメント)Mrは一方の回転体列の内側回転体341又は外側回転体342と他方の回転体列の外側回転体342又は内側回転体341とで受けられる。従って、可動体32を案内溝33に沿ってピッチング方向やローリング方向のガタを生ずることなくスムーズに移動させることができる。そして、各脚リンク2は、案内溝33の曲率中心3aを中心にして前後方向に揺動することになり、各脚リンク2の着座部材1に対する前後方向の揺動支点は案内溝33の曲率中心3aになる。
【0030】
また、案内体31は、着座部材1に上記の如く支軸3bを介して横方向に揺動自在に連結されているため、利用者Pの脚を外転できるようになる。ここで、案内溝33の曲率中心(脚リンク2の前後方向の揺動支点)3a及び支軸3bの軸線はシート部1aより上方に位置する。そのため、利用者Pの体重移動で着座部材1が上下左右に大きくピッチング及びローリングすることを防止できる。
【0031】
また、溝幅方向に離隔した2列の回転体列を設けることでローリングモーメントMrが受けられるため、各回転体341,342を構成する軸受の外輪343の外周面に案内体31に対する係合溝を形成する必要がない。従って、各回転体341,342として汎用の深溝玉軸受を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0032】
また、可動体32の挿入部321には、案内溝33の円弧形状の曲率半径方向の厚みを持つシム322を介してブロック323が取付けられている。そして、各回転列の外側回転体342の支軸341を挿入部321に固定すると共に、各回転体列の内側回転体341の支軸341をブロック323に固定している。これによれば、外側回転体342の支軸341に対し内側回転体341の支軸341が案内溝33の円弧形状の曲率半径方向にシム322の厚さに応じて変位する。従って、シム322により案内溝33に対する可動体32の曲率半径方向のガタ調整を容易に行うことができる。
【0033】
また、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とが案内溝33の長手方向に離れているため、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とを案内溝33の曲率半径方向(上下方向)にオーバーラップするように配置できる。従って、案内溝33の上下方向幅は、内側と外側の各回転体341,342の直径にこの回転体が当接する溝壁面とは反対側の溝壁面との接触防止に必要な若干のクリアランスを加えた寸法であれば足りる。その結果、案内溝33の上下方向幅を小さくでき、可動体32も可及的に小型軽量化できる。そのため、脚リンク2の慣性モーメントが軽減されて、利用者Pが脚を前方に振り出す際に感じる脚リンク2の慣性モーメントによる抵抗感を少なくすることができる。
【0034】
更に、案内体31を断面C形の型材で構成することにより、ズボン等の異物が案内溝33に侵入することを確実に防止できる。そのため、回転体341、342の当接部への異物の噛み込みを生じず、脚リンク2の揺動の円滑性が確実に確保される。
【0035】
また、可動体32の挿入部321には、案内溝33の長手方向両端部に位置させて、案内体31の各縦壁部313に溝幅方向から当接するボールから成るスラスト受け35が取付けられている。そのため、案内体31に対し可動体32が溝幅方向にガタ付くことを防止でき、更に、ヨーイングモーメント(案内溝33の曲率半径方向に沿う軸回りのモーメント)も受けることができる。尚、図中35aは、スラスト受け35となるボールを抜け止めするボール押えである。
【0036】
ところで、上記第1実施形態では、各回転体列を各1個の内側回転体341と外側回転体342とから成る2個の回転体で構成したが、これに限らない。例えば、内側回転体341と外側回転体342との一方を1個、他方を2個として、3個の回転体で各回転体列を構成しても良い。更には、図7乃至図9に示す第2実施形態のように、各回転体列を、各2個の内側回転体341と外側回転体342とで構成しても良い。このように3個以上の回転体で各回転体列を構成すれば、各回転体列の内側回転体341と外側回転体342とで何れの方向のピッチングモーメントも受けることができる。そこで、第2実施形態では、案内溝33の長手方向における内側回転体341と外側回転体342の並び順を一方の回転体列と他方の回転体列とで同一にしている。即ち、可動体32の挿入部321に、案内溝33の長手方向両端に位置させて各回転体列の2個の内側回転体341を配置し、その中間に各回転体列の2個の外側回転体342を配置している。
【0037】
また、内側回転体341の支軸341を可動体32の挿入部321に固定し、外側回転体342の支軸341を挿入部321にシム322を介して取付けるブロック323に固定している。更に、案内体31の各縦壁部313に溝幅方向から当接するスラスト受け35が各回転体341,342の支軸341に取付けられている。即ち、スラスト受け35が支軸341を介して可動体32に間接的に取付けられている。尚、このスラスト受け35は摺動タイプのものである。
【0038】
また、上記第1と第2の実施形態では、案内体31を断面C形の型材で構成したが、これに限らない。例えば、図10乃至図12に示す第3実施形態のように、案内体31を、案内溝33の内周側の溝壁面33aを構成する内周壁部311と、案内溝33の外周側の溝壁面33bを構成する外周壁部312と、内周壁部311と外周壁部312とを溝幅方向中央で連結する縦壁部313とを有する断面H形の型材で構成しても良い。この場合、内周壁部311と外周壁部312との間に縦壁部313で仕切られた一対の案内溝33が画成されることになる。
【0039】
また、第3実施形態の可動体32は、案内体31を挟んで溝幅方向に対峙する一対の側板部324を有している。そして、各側板部324の溝幅方向内側に各2個の内側回転体341と外側回転体342とから成る各回転体列が設けられている。尚、各側板部324は、可動体32に一体の部分324aと、可動体32にシム322を介して取付けられるブロック323に一体の部分324bとで構成されている。そして、可動体32に一体の側板部324の部分324aに外側回転体342の支軸341をボルト止めし、ブロック323に一体の側板部324の部分324bに内側回転体341の支軸341をボルト止めしている。また、各支軸341の端部に、縦壁部313に溝幅方向から当接する摺動タイプのスラスト受け35が一体成形されている。
【0040】
第3実施形態の曲線案内機構3においても、回転体341,342が案内体31の外面から凹入した案内溝33の溝壁面33a,33bに当接するため、ズボン等の異物が回転体341,342の当接部に噛み込むことを抑制できる。但し、案内体31を断面C形の型材で構成した方が案内溝33への異物の侵入をより確実に防止でき、有利である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、脚リンク2として、中間に回転式の関節部5を有する屈伸自在なリンクを用いているが、中間に直動式の関節部を有する伸縮自在なリンクを用いることも可能である。また、足平装着部8を省略し、各脚リンク2の下端部を利用者の各脚の下腿部に適宜の手段で固定し、この固定部より下の脚の部分を反力受けにして、体重免荷アシスト力を発生させることも可能である。更に、片方の脚が骨折等で不自由な利用者の歩行を補助するため、上記実施形態の左右の脚リンク2,2のうち利用者の不自由な脚側の脚リンクのみを残して他方の脚リンクを省略することも可能である。また、膝関節部5を伸び方向(着座部材1を押し上げる方向)に付勢する付勢手段を設け、駆動源9を省略することも可能である。
【0042】
また、上記実施形態の曲線案内機構3は歩行補助装置用のものであるが、歩行補助装置以外の用途の曲線案内機構にも同様に本発明の曲線案内機構を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態の歩行補助装置の側面図。
【図2】第1実施形態の歩行補助装置の正面図。
【図3】第1実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の部分切断側面図。
【図4】第1実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の斜視図。
【図5】図3のV−V線切断面図。
【図6】図3のVI−VI線切断面図。
【図7】第2実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII線切断面図。
【図9】図7のIX−IX線切断面図。
【図10】第3実施形態の歩行補助装置の曲線案内機構の斜視図。
【図11】図10のXI−XI線切断面図。
【図12】図10のXII−XII線切断面図。
【符号の説明】
【0044】
1…着座部材、2…脚リンク、3…曲線案内機構、3a…曲率中心、31…案内体、311…内周壁部、312…外周壁部、313…縦壁部、314…スリット、32…可動体、321…挿入部、322…シム、323…ブロック、33…案内溝、33a…内周側溝壁面、33b…外周側溝壁面、341…内側回転体、342…外側回転体、341…支軸、35…スラスト受け。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧形状の案内軌道を有する案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する可動体とから成る曲線案内機構であって、
案内軌道は案内体に形成した前記円弧形状の案内溝で構成され、
可動体に、案内溝の長手方向に離隔して配置される複数の回転体から成る回転体列が案内溝の長手方向及び前記円弧形状の曲率半径方向に直交する溝幅方向に離隔して2列設けられ、
各回転体列は、案内溝の前記円弧形状の曲率中心に近い内周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の内側回転体と、案内溝の前記円弧形状の曲率中心から遠い外周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の外側回転体とで構成されることを特徴とする曲線案内機構。
【請求項2】
請求項1記載の曲線案内機構であって、前記各回転体列が各1個の前記内側回転体と前記外側回転体とで構成されるものにおいて、
前記案内溝の長手方向における内側回転体と外側回転体の並び順が一方の回転体列と他方の回転体列とで逆になっていることを特徴とする曲線案内機構。
【請求項3】
前記内側回転体と前記外側回転体との一方の回転体の支軸は前記可動体に固定され、他方の回転体の支軸は、前記円弧形状の曲率半径方向の厚みを持つシムを介して可動体に取付けられるブロックに固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の曲線案内機構。
【請求項4】
前記案内体は、前記案内溝の前記内周側の溝壁面と前記外周側の溝壁面とを結ぶ縦壁部を有し、前記可動体に、前記溝幅方向から縦壁部に当接するスラスト受けが取付けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の曲線案内機構。
【請求項5】
利用者が跨ぐようにして着座する着座部材と、着座部材を下方から支える脚リンクとを備える歩行補助装置であって、
着座部材と脚リンクとは、着座部材の上方に曲率中心を持つ前後方向に長手の円弧形状の案内軌道を有する、着座部材に連結される案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する、脚リンクの上端に連結される可動体とから成る曲線案内機構を介して連結されるものにおいて、
曲線案内機構は、請求項1〜4の何れか1項記載の曲線案内機構で構成されることを特徴とする歩行補助装置。
【請求項6】
請求項5記載の歩行補助装置であって、
前記案内体は、前記案内溝の前記内周側の溝壁面を構成する内周壁部と、前記案内溝の前記外周側の溝壁面を構成する外周壁部と、内周壁部と外周壁部とを前記溝幅方向両側で連結する一対の縦壁部と、外周壁部の前記溝幅方向中央部に形成したスリットとを有する断面C形の型材から成り、この型材の内部空間で案内溝が画成され、
前記可動体は、スリットを通して案内溝に挿入される挿入部を有し、この挿入部の前記溝幅方向一側と他側とに前記各回転体列が設けられることを特徴とする歩行補助装置。
【請求項1】
円弧形状の案内軌道を有する案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する可動体とから成る曲線案内機構であって、
案内軌道は案内体に形成した前記円弧形状の案内溝で構成され、
可動体に、案内溝の長手方向に離隔して配置される複数の回転体から成る回転体列が案内溝の長手方向及び前記円弧形状の曲率半径方向に直交する溝幅方向に離隔して2列設けられ、
各回転体列は、案内溝の前記円弧形状の曲率中心に近い内周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の内側回転体と、案内溝の前記円弧形状の曲率中心から遠い外周側の溝壁面に転動自在に当接する少なくとも1個の外側回転体とで構成されることを特徴とする曲線案内機構。
【請求項2】
請求項1記載の曲線案内機構であって、前記各回転体列が各1個の前記内側回転体と前記外側回転体とで構成されるものにおいて、
前記案内溝の長手方向における内側回転体と外側回転体の並び順が一方の回転体列と他方の回転体列とで逆になっていることを特徴とする曲線案内機構。
【請求項3】
前記内側回転体と前記外側回転体との一方の回転体の支軸は前記可動体に固定され、他方の回転体の支軸は、前記円弧形状の曲率半径方向の厚みを持つシムを介して可動体に取付けられるブロックに固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の曲線案内機構。
【請求項4】
前記案内体は、前記案内溝の前記内周側の溝壁面と前記外周側の溝壁面とを結ぶ縦壁部を有し、前記可動体に、前記溝幅方向から縦壁部に当接するスラスト受けが取付けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の曲線案内機構。
【請求項5】
利用者が跨ぐようにして着座する着座部材と、着座部材を下方から支える脚リンクとを備える歩行補助装置であって、
着座部材と脚リンクとは、着座部材の上方に曲率中心を持つ前後方向に長手の円弧形状の案内軌道を有する、着座部材に連結される案内体と、案内軌道に複数の回転体を介して移動自在に係合する、脚リンクの上端に連結される可動体とから成る曲線案内機構を介して連結されるものにおいて、
曲線案内機構は、請求項1〜4の何れか1項記載の曲線案内機構で構成されることを特徴とする歩行補助装置。
【請求項6】
請求項5記載の歩行補助装置であって、
前記案内体は、前記案内溝の前記内周側の溝壁面を構成する内周壁部と、前記案内溝の前記外周側の溝壁面を構成する外周壁部と、内周壁部と外周壁部とを前記溝幅方向両側で連結する一対の縦壁部と、外周壁部の前記溝幅方向中央部に形成したスリットとを有する断面C形の型材から成り、この型材の内部空間で案内溝が画成され、
前記可動体は、スリットを通して案内溝に挿入される挿入部を有し、この挿入部の前記溝幅方向一側と他側とに前記各回転体列が設けられることを特徴とする歩行補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−247605(P2009−247605A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99144(P2008−99144)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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