説明

書画カメラ

【課題】従来の書画カメラよりも可搬性のよい書画カメラを提供する。
【解決手段】先端にカメラ136を有する第1アーム部130と第1アーム部130を支持する第2アーム部120とを有し、第1アーム部130と第2アーム部120とを折り畳み可能なアーム部と、非使用時にはアーム部を折り畳んだ状態で収納する収納凹部114と、操作部112とを有する本体部110とを有する書画カメラ100であって、非使用時には、アーム部を、第1アーム部130と第2アーム部120と本体部110とがZ字状になるように折り畳んで収納凹部114に収納し、使用時には、アーム部を、第1アーム部130と第2アーム部120とが逆L字状になるように展開して使用するように構成されていることを特徴とする書画カメラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書画カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
書画カメラは、文書や画像などを取り込んでパソコンやプロジェクターなどにデータを送り多人数に同時に見せることのできる機器であり、近年、教室での授業用途や会議室での会議用途などに、従来のOHPに代わって広く普及し始めている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3122844号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「DC-10s Document Camera」、[online]、Epson America Inc.、[平成20年12月17日検索]、インターネット<URL:http://www.epson.com/cgi-bin/Store/support/supDetail.jsp?BV_UseBVCookie=yes&infoType=Doc&oid=105288&prodoid=63075467&category=Products>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような書画カメラにおいては、教室間や会議室間で書画カメラを楽に移動できるように可搬性がよいことが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、従来の書画カメラよりも可搬性のよい書画カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の書画カメラは、先端にカメラを有する第1アーム部と前記第1アーム部を支持する第2アーム部とを有し、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを折り畳み可能なアーム部と、非使用時には前記アーム部を折り畳んだ状態で収納する収納凹部と、操作部とを有する本体部とを有する書画カメラであって、非使用時には、前記アーム部を、前記第1アーム部と前記第2アーム部と前記本体部とがZ字状になるように折り畳んで前記収納凹部に収納し、使用時には、前記アーム部を、前記第1アーム部と前記第2アーム部とが逆L字状になるように展開して使用するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
このため、本発明の書画カメラは、非使用時に、折り畳んだアーム部を本体部の収納凹部に収納することが可能となるため、非使用時における製品高さをより低く、かつ、製品幅をより狭くすることができ、従来の書画カメラよりも可搬性のよい書画カメラとなる。
【0009】
(2)本発明の書画カメラにおいては、前記アーム部を折り畳んで前記収納凹部に収納したとき、前記アーム部の上面と前記操作部の上面とが略面一となるように構成されていることが好ましい。
【0010】
このような構成とすることにより、非使用時における書画カメラ上面における凹凸を無くすることができるため、さらに可搬性をよくすることができる。
【0011】
(3)本発明の書画カメラにおいては、前記アーム部を折り畳んで前記収納凹部に収納したときに前記アーム部を前記収納凹部に固定するためのフック機構をさらに有することが好ましい。
【0012】
このような構成とすることにより、非使用時にはフック機構を用いてアーム部を収納凹部に固定することが可能となるため、さらに可搬性をよくすることができる。
【0013】
(4)本発明の書画カメラにおいては、前記第1アーム部と前記第2アーム部との連結部及び前記第2アーム部と前記本体部との連結部には、前記アーム部の展開状態を維持するためのバネ機構が配設されていることが好ましい。
【0014】
このような構成とすることにより、アーム部を展開する操作を行うだけで、第1アーム部と第2アーム部とが自動的に逆L字状に展開した状態で本発明の書画カメラを使用することが可能となる。
【0015】
(5)本発明の書画カメラにおいては、前記第2アーム部は、前記本体部に支持される第2アーム基端部と、前記第2アーム基端部の先端側に位置する第2アーム先端部とを有し、前記第2アーム基端部と前記第2アーム先端部とを前記第2アーム部の長手方向に沿って摺動させることにより前記第2アーム部が伸縮自在となるように構成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることにより、非使用時における第2アーム部の長さを短くすることができるため、これを収納する収納凹部の長さを短くすることが可能となる。その結果、非使用時における書画カメラの大きさを小さくすることが可能となり、さらに可搬性をよくすることが可能となる。
【0017】
(6)本発明の書画カメラにおいては、前記第1アーム部は、前記第2アーム部に支持される第1アーム基端部と、前記第1アーム基端部の先端側に位置し、前記カメラを有する前記第1アーム先端部とを有し、前記第1アーム先端部は、前記第1アーム部の長手方向に沿った所定の軸を中心として回転自在に前記第1アーム基端部に支持されるとともに、前記カメラの光学軸が鉛直方向下向きになった回転位置及びカメラの光学軸が水平方向になった回転位置で固定可能となるように構成されていることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、第1アーム先端部を回転することにより、カメラを鉛直方向真下に向けたり水平方向に向けたりすることが可能となり、机上の書画以外の撮影対象物(例えば、教師、黒板、生徒、教室、景色など。)を正しく撮影することが可能となる。また、カメラを鉛直方向真下に向けた状態(実際上最も使用頻度が高い状態)に設定する作業やカメラを水平方向に向けた状態に設定する作業を容易に行うことが可能となり、使い勝手のよい書画カメラとなる。
【0019】
(7)本発明の書画カメラにおいては、前記カメラは、前記第1アーム先端部の中で前記カメラの光学軸の周りに回転可能となるように構成されていることが好ましい。
【0020】
このような構成とすることにより、撮影画像の縦横を変更したり、撮影画像の傾きを修正したりする作業を容易に行うことが可能となり、使い勝手のよい書画カメラとなる。
【0021】
(8)本発明の書画カメラにおいては、使用時には、逆L字状に展開された前記アーム部を、前記第2アーム部の長手方向に沿った所定の軸の周りに前記収納凹部側に90°回転して使用するように構成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、本体部の横に書画を置くことができるようになり、机上のスペースを有効に使用することが可能となる。
【0023】
(9)本発明の書画カメラにおいては、前記本体部は、前記アーム部を展開したときに前記書画カメラが転倒しないようにするための転倒防止ストッパを有し、前記転倒防止ストッパは、非使用時には本体部所定箇所に収納可能となるように構成されていることが好ましい。
【0024】
このような構成とすることにより、本体部の重量をそれ程重くしなくても使用時に書画カメラが転倒してしまうことがなくなるため、書画カメラを軽量化することが可能となり、さらに可搬性をよくすることができる。本発明の書画カメラにおいては、重量を1kg以下とすることも十分に可能である。
なお、本発明の書画カメラにおいては、非使用時には転倒防止ストッパを本体部所定箇所に収納すれば、持ち運び時に可搬性を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る書画カメラ100を説明するために示す図。
【図2】実施形態に係る書画カメラ100の六面図。
【図3】本体部110の平面図。
【図4】第1アーム先端部134の底面図。
【図5】実施形態に係る書画カメラ100を展開するときの操作を説明するために示す図。
【図6】実施形態に係る書画カメラ100を展開するときの操作を説明するために示す図。
【図7】第1アーム先端部134を回転させる操作を説明するために示す図。
【図8】比較例1に係る書画カメラ700の斜視図。
【図9】比較例2に係る書画カメラ800を説明するために示す図。
【図10】比較例3に係る書画カメラ900を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の書画カメラについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0027】
1.書画カメラの構成
図1は、実施形態に係る書画カメラ100を説明するために示す図である。図1(a)は使用状態における書画カメラ100の斜視図であり、図1(b)は非使用時における書画カメラ100の斜視図である。
図2は、実施形態に係る書画カメラ100の六面図である。図2(a)は書画カメラ100の正面図であり、図2(b)は書画カメラ100の背面図であり、図2(c)は書画カメラ100の左側面図であり、図2(d)は書画カメラ100の右側面図であり、図2(e)は書画カメラ100の上面図であり、図2(f)は書画カメラ100の底面図である。
図3は、本体部110の平面図である。
図4は、第1アーム先端部134の底面図である。
【0028】
実施形態に係る書画カメラ100は、図1及び図2に示すように、先端にカメラを有する第1アーム部130と第1アーム部130を支持する第2アーム部120とを有し第1アーム部130と第2アーム部120とを折り畳み可能なアーム部と、非使用時にはアーム部を折り畳んだ状態で収納する収納凹部114と操作部112とを有する本体部110とを有する。そして、実施形態に係る書画カメラ100は、非使用時には、アーム部を、第1アーム部130と第2アーム部120と本体部110とがZ字状になるように折り畳んで収納凹部114に収納し、使用時には、アーム部を、第1アーム部130と第2アーム部120とが逆L字状になるように展開して使用するように構成されている。
【0029】
本体部100は、図2(c)〜図2(f)に示すように、アーム部を展開したときに書画カメラが転倒しないようにするための転倒防止ストッパ116をさらに有する。転倒防止ストッパ116は、非使用時には本体部110所定箇所に収納可能となるように構成されている。また、本体部100は、図1に示すように、プロジェクター、パソコンその他の電子機器に書画カメラ100を接続するためのUSBコネクタ(USB Aコネクタ118及びUSB Bコネクタ119)を有する。
【0030】
実施形態に係る書画カメラ100においては、操作部112には、図3に示すように、書画カメラスイッチ140、オートフォーカススイッチ142、ズームスイッチ(ズームインスイッチ、ズームアウトスイッチ)144、LED光源スイッチ146、ソースサーチスイッチ148、フックボタン150が配列されている。
【0031】
実施形態に係る書画カメラ100においては、図1(b)に示すように、アーム部を折り畳んで収納凹部114に収納したとき、アーム部の上面と操作部112の上面とが略面一となるように構成されている。
【0032】
実施形態に係る書画カメラ100においては、アーム部を折り畳んで収納凹部114に収納したときにアーム部を収納凹部114に固定するためのフック機構(図示せず。)をさらに有する。
【0033】
実施形態に係る書画カメラ100においては、第1アーム部130と第2アーム部120との連結部及び第2アーム部120と本体部110との連結部には、アーム部の展開状態を維持するためのバネ機構(図示せず。)が配設されている。
【0034】
実施形態に係る書画カメラ100においては、図1(a)に示すように、第2アーム部120は、本体部110に支持される第2アーム基端部122と、第2アーム基端部122の先端側に位置する第2アーム先端部124とを有し、第2アーム基端部122と第2アーム先端部124とを第2アーム部120の長手方向に沿って摺動させることにより第2アーム部120が伸縮自在となるように構成されている(後述する図5(c)及び図6(a)参照。)。
【0035】
実施形態に係る書画カメラ100においては、図1(a)に示すように、第1アーム部130は、第2アーム部120に支持される第1アーム基端部132と、第1アーム基端部132の先端側に位置し、カメラ136(図4参照。)を有する第1アーム先端部134とを有し、第1アーム先端部134は、後述する図7に示すように、第1アーム部130長手方向に沿った所定の軸を中心として回転自在に第1アーム基端部132に支持されるとともに、カメラ136の光学軸が鉛直方向下向きになった回転位置及びカメラの光学軸が水平方向になった回転位置で固定可能となるように構成されている。
【0036】
実施形態に係る書画カメラ100においては、第1アーム先端部134は、図4に示すように、カメラ136(レンズ部分のみ図示。)と、カメラ136の両側に配置されたLED光源138とを有する。カメラ136は、例えば200万画素のCCD又はCMOS撮像素子及びレンズを有する。また、オートフォーカス機能及びズーム機能を有していて、操作部112における書画カメラスイッチ140によって電源が入り、オートフォーカススイッチ142によってオートフォーカスされ、ズームスイッチ(ズームインスイッチ、ズームアウトスイッチ)144によってズームイン又はズームアウトされるよう構成されている。
【0037】
実施形態に係る書画カメラ100においては、カメラ136は、図4に示すように、第1アーム先端部134の中でカメラ136の光学軸の周りに回転可能となるように構成されている(図4中の矢印参照。)。
【0038】
実施形態に係る書画カメラ100においては、後述する図6に示すように、使用時には、逆L字状に展開されたアーム部を、第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りに収納凹部114側に90°回転して使用するように構成されている。
【0039】
2.書画カメラの使用方法
図5及び図6は、実施形態に係る書画カメラ100を展開するときの操作を説明するために示す図である。図5(a)は非使用時における書画カメラ100を示す斜視図であり、図5(b)はアーム部を展開しかけた状態における書画カメラ100を示す斜視図であり、図5(c)はアーム部を完全に展開した状態における書画カメラ100を示す斜視図であり、図6(a)は第2アーム部を伸ばした状態における書画カメラ100を示す斜視図であり、図6(b)は第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りにアーム部を収納凹部114側に90°回転した状態における書画カメラ100を示す斜視図である。
【0040】
図7は、第1アーム先端部134を回転させる操作を説明するために示す図である。図7(a)は第1アーム先端部134を回転させてカメラを鉛直方向真下に向けた場合における書画カメラ100の斜視図であり、図7(b)は第1アーム先端部134を回転させてカメラを水平方向前方に向けた場合(教師や黒板を撮影する場合など)における書画カメラ100の斜視図であり、図7(c)は第1アーム先端部134を回転させてカメラを水平方向後方に向けた場合(生徒や教室を撮影する場合など)における書画カメラ100の斜視図である。
【0041】
(1)書画カメラの設置
まず、図5(a)に示すように、机の上に書画カメラ100を置く。
次に、フックボタン150を押しながらアーム部を収納凹部114から浮かした後、図5(b)及び図5(c)に示すように、アーム部を展開する。展開途中においてはアーム部と本体部110とはZ字状となり、展開終了後においては、アーム部は逆L字状となる。
次に、図5(c)及び図6(a)に示すように、アーム部を伸ばした後、図6(a)及び図6(b)に示すように、アーム部を、第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りに収納凹部114側に90°回転させる。
次に、USBケーブルを用いて、予め準備しておいたプロジェクター(図示せず。)に書画カメラ100を接続する。
これによって、書画カメラ100を使用することができる状態となる。
【0042】
(2)書画カメラによる書画の撮影
まず、プロジェクターの電源を入れる。すると、USBケーブルを介して、書画カメラ100に電源が供給されるようになる。
次に、書画カメラスイッチ140を入れる。すると、書画カメラ100の電源が入る。
次に、撮影対象の書画を設置し、その後、書画カメラ100のカメラ136を、カメラ136の光学軸が鉛直方向下向きになった回転位置に固定する。
次に、スクリーンに表示されている書画の画像を確認しながら、書画を正しい位置、角度に配置する。その際、必要に応じて、オートフォーカススイッチ142、ズームスイッチ(ズームインスイッチ又はズームアウトスイッチ)144を用いる。
これによって、スクリーン上に所望の書画が正しく表示されるようになる。その後、必要に応じて撮影対象物を変えながら、書画カメラの使用を継続する。この際、撮影対象物が教師、黒板、生徒、教室などである場合には、第1アーム先端部134を適宜回転させて最適な回転位置で撮影を行う。
【0043】
(3)書画カメラの片づけ
書画カメラの片づけは、上記した「書画カメラの設置」とは逆の手順で行う。
すなわち、まず、書画カメラスイッチ140を押して、書画カメラ100の電源を切った後、書画カメラ100からUSBケーブルを取り外す。
次に、図6(b)及び図6(a)に示すように、アーム部を、第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りに収納凹部114側に−90°回転した後、図6(a)及び図5(c)に示すように、アーム部を縮める。
次に、アーム部を折り畳む。アーム部を完全に折り畳むと、フック機構が働いて、アーム部が収納凹部114に固定された状態となる。このとき、アーム部の上面と操作部112の上面とは略面一となる。
これによって、書画カメラ100の片づけ作業が完了する。従って、爾後、書画カメラ100を所定の収納場所にしまったり、隣りの教室などに持ち運んだりすることが容易にできるようになる。
【0044】
3.書画カメラの効果
以上説明した実施形態に係る書画カメラ100によれば、上記したようなアーム部と本体部110とを有し、非使用時には、アーム部を、第1アーム部130と第2アーム部120と本体部110とがZ字状になるように折り畳んで収納凹部114に収納し、使用時には、アーム部を、第1アーム部130と第2アーム部120とが逆L字状になるように展開して使用するように構成されているため、非使用時に、折り畳んだアーム部を本体部110の収納凹部114に収納することが可能となる。その結果、実施形態に係る書画カメラ100は、非使用時における製品高さをより低く、かつ、製品幅をより狭くすることができ、従来の書画カメラよりも可搬性のよい書画カメラとなる。
【0045】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、アーム部を折り畳んで収納凹部114に収納したとき、アーム部の上面と操作部112の上面とが略面一となるように構成されているため、非使用時における書画カメラ上面における凹凸を無くすることができ、さらに可搬性をよくすることができる。
【0046】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、アーム部を折り畳んで収納凹部114に収納したときにアーム部を収納凹部114に固定するためのフック機構をさらに有するため、非使用時にはフック機構を用いてアーム部を収納凹部114に固定することが可能となり、さらに可搬性をよくすることができる。
【0047】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、第1アーム部130と第2アーム部120との連結部及び第2アーム部120と本体部110との連結部には、アーム部の展開状態を維持するためのバネ機構が配設されているため、アーム部を展開する操作を行うだけで、第1アーム部130と第2アーム部120とが自動的に逆L字状に展開した状態で書画カメラを使用することが可能となる。
【0048】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、第2アーム部120は、本体部110に支持される第2アーム基端部122と、第2アーム基端部122の先端側に位置する第2アーム先端部124とを有し、第2アーム基端部122と第2アーム先端部124とを第2アーム部の長手方向に沿って摺動させることにより第2アーム部が伸縮自在となるように構成されているため、非使用時における第2アーム部の長さを短くすることができ、これを収納する収納凹部114の長さを短くすることが可能となる、その結果、非使用時における書画カメラの大きさを小さくすることが可能となり、さらに可搬性をよくすることが可能となる。
【0049】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、第1アーム部130は、第2アーム部120に支持される第1アーム基端部132と、第1アーム基端部132の先端側に位置し、カメラ136を有する第1アーム先端部134とを有し、第1アーム先端部134は、第1アーム部の長手方向に沿った所定の軸を中心として回転自在に第1アーム基端部132に支持されるとともに、カメラ136の光学軸が鉛直方向下向きになった回転位置及びカメラの光学軸が水平方向になった回転位置で固定可能となるように構成されているため、第1アーム先端部134を回転することにより、カメラ136を鉛直方向真下に向けたり水平方向に向けたりすることが可能となり、机上の書画以外の撮影対象物(例えば、教師、黒板、生徒、教室、景色など。)を正しく撮影することが可能となる。また、カメラ136を鉛直方向真下に向けた状態(実際上最も使用頻度が高い状態)に設定する作業やカメラを水平方向に向けた状態に設定する作業を容易に行うことが可能となり、使い勝手のよい書画カメラとなる。
【0050】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、カメラ136は、第1アーム先端部134の中でカメラ136の光学軸の周りに回転可能となるように構成されているため、撮影画像の縦横を変更したり、撮影画像の傾きを修正したりする作業を容易に行うことが可能となり、使い勝手のよい書画カメラとなる。
【0051】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、使用時には、逆L字状に展開されたアーム部を、第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りに収納凹部114側に90°回転して使用するように構成されているため、本体部110の横に書画を置くことができるようになり、机上のスペースを有効に使用することが可能となる。
【0052】
また、実施形態に係る書画カメラ100によれば、本体部110は、アーム部を展開したときに書画カメラが転倒しないようにするための転倒防止ストッパ116を有し、転倒防止ストッパ116は、非使用時には本体部所定箇所に収納可能となるように構成されているため、本体部の重量をそれ程重くしなくても使用時に書画カメラが転倒してしまうことがなくなる。このため、書画カメラをさらに軽量化することが可能となり、さらに可搬性をよくすることができる。なお、実施形態に係る書画カメラ100においては、非使用時には転倒防止ストッパ116を本体部110所定箇所に収納すれば、持ち運び時に可搬性を損なうこともない。
【0053】
以下、実施形態に係る書画カメラ100の効果を各比較例に係る書画カメラ700,800,900が有する問題点を参照しながら説明する。
【0054】
図8は、比較例1に係る書画カメラ700の斜視図である。
図9は、比較例2に係る書画カメラ800を説明するために示す図である。図9(a)〜図9(e)はアーム部を展開するときの書画カメラ800の様子を示す図である。
図10は、比較例3に係る書画カメラ900を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(c)はアーム部を展開するときの書画カメラ900の様子を示す図である。
【0055】
比較例1に係る書画カメラ700は、特許文献1に記載の書画カメラである。比較例1に係る書画カメラ700は、図8に示すように、折り曲げ自由度の高いグースネック式アーム720を採用していることに起因して非使用時に小さく折り畳むことが困難であるため、可搬性がよくないという問題がある。また、比較例1に係る書画カメラ700は、アームの操作性を確保するとともに転倒を防止する観点から本体部710の重量を軽くするのが容易ではなく(重量:2.4kg)、これによっても可搬性がよくないという問題がある。また、比較例1に係る書画カメラ700は、グースネック式アーム720によりアームの姿勢を自由に変化させることができるという利点はあるものの、アームの姿勢に関して自由度がありすぎて、カメラ730を鉛直方向真下に向けた状態(実際上最も使用頻度が高い状態)に設定する作業やカメラを水平方向に向けた状態に設定する作業を容易に行うことができず、使い勝手がよくないという問題がある。
【0056】
比較例2に係る書画カメラ800は、従来の書画カメラである。比較例2に係る書画カメラ800は、図9に示すように、非使用時に、折り畳んだアーム部820,830を本体部810の上にそのまま重ねて配置するように構成されているため、非使用時における製品高さが高くなってしまい、比較例1に係る書画カメラ700ほどではないものの、可搬性がよくないという問題がある。また、比較例2に係る書画カメラ800は、比較例1に係る書画カメラよりは軽いもののそれでも重量が約1.2kgもあり、比較例1に係る書画カメラ700ほどではないものの、可搬性がよくないという問題がある。また、比較例2に係る書画カメラ800は、カメラを水平方向に向けることができないことに起因して、机上の書画以外の撮影対象物(例えば、教師、黒板、生徒、教室、景色など。)を正しく撮影することができないため、使い勝手がよくないという問題がある。
【0057】
比較例3に係る書画カメラ900は、非特許文献1に記載の書画カメラである。比較例3に係る書画カメラ900は、図10に示すように、非使用時に、折り畳んだアーム部920,930を本体部910の横に配置するように構成されているため、非使用時における製品幅が広くなってしまい、比較例1に係る書画カメラ700ほどではないものの、可搬性がよくないという問題がある。また、比較例3に係る書画カメラ900は、重量が約2.4kgもあり、可搬性がよくないという問題がある。また、比較例3に係る書画カメラ900は、カメラ部940を回転することにより、カメラを鉛直方向真下に向けたり水平方向に向けたりすることは可能であるが、その際カメラ部940を回転する際の自由度がありすぎて、カメラを鉛直方向真下に向けた状態に設定する作業やカメラを水平方向に向けた状態に設定する作業を容易に行うことができず、使い勝手がよくないという問題がある。
【0058】
これに対して、実施形態に係る書画カメラ100は、上記したように、各比較例に係る書画カメラ700,800,900よりも可搬性がよく、さらには、各比較例に係る書画カメラ700,800,900よりも簡単な操作で書画カメラを設置したり使用したりでき使い勝手がよい書画カメラである。
【0059】
以上、本発明の書画カメラを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0060】
(1)上記実施形態においては、使用時には、逆L字状に展開されたアーム部を、第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りに収納凹部114側に90°回転して使用することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、逆L字状に展開されたアーム部を回転しないでそのまま使用することとしてもよい。この場合、アーム部を第2アーム部120の長手方向に沿った所定の軸の周りに回転する機構を書画カメラから省略することができる。
【0061】
(2)上記実施形態においては、第2アーム基端部122と第2アーム先端部124とを有し伸縮自在の第2アーム部を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、伸縮しない第2アーム部を用いることもできる。
【0062】
(3)上記実施形態においては、書画カメラをプロジェクターに接続する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、書画カメラをパソコンに接続するようにしてもよい。この場合、パソコンに接続された他のプロジェクターその他の表示装置に書画の画像が表示されることとなる。
【0063】
(4)上記実施形態においては、書画カメラをUSBケーブルを用いてプロジェクターに接続する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、書画カメラをビデオコンポジットケーブル、DVIケーブル、HDMIケーブル、ネットワークケーブル、無線インタフェースを用いてプロジェクター若しくはパソコン又はネットワークに接続してもよい。
【符号の説明】
【0064】
100,700,800,900…書画カメラ、110,710,810,910…本体部、112,812…操作部、114…収納凹部、116…転倒防止ストッパ、118…USB Aコネクタ、119…USB Bコネクタ、120,820,920…第2アーム部、122…第2アーム基端部、124…第2アーム先端部、130,830,930…第1アーム部、132…第1アーム基端部、134…第1アーム先端部、136…カメラ、138…LED光源、140…書画カメラスイッチ、142…オートフォーカススイッチ、144…ズームスイッチ(ズームインスイッチ、ズームアウトスイッチ)、146…LED光源スイッチ、148…ソースサーチスイッチ、150…フックボタン、720…アーム部、730,840,940…カメラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にカメラを有する第1アーム部と前記第1アーム部を支持する第2アーム部とを有し、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを折り畳み可能なアーム部と、
非使用時には前記アーム部を折り畳んだ状態で収納する収納凹部と、操作部とを有する本体部とを有する書画カメラであって、
非使用時には、前記アーム部を、前記第1アーム部と前記第2アーム部と前記本体部とがZ字状になるように折り畳んで前記収納凹部に収納し、
使用時には、前記アーム部を、前記第1アーム部と前記第2アーム部とが逆L字状になるように展開して使用するように構成されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の書画カメラにおいて、
前記アーム部を折り畳んで前記収納凹部に収納したとき、前記アーム部の上面と前記操作部の上面とが略面一となるように構成されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の書画カメラにおいて、
前記アーム部を折り畳んで前記収納凹部に収納したときに前記アーム部を前記収納凹部に固定するためのフック機構をさらに有することを特徴とする書画カメラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の書画カメラにおいて、
前記第1アーム部と前記第2アーム部との連結部及び前記第2アーム部と前記本体部との連結部には、前記アーム部の展開状態を維持するためのバネ機構が配設されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の書画カメラにおいて、
前記第2アーム部は、前記本体部に支持される第2アーム基端部と、前記第2アーム基端部の先端側に位置する第2アーム先端部とを有し、
前記第2アーム基端部と前記第2アーム先端部とを前記第2アーム部の長手方向に沿って摺動させることにより前記第2アーム部が伸縮自在となるように構成されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の書画カメラにおいて、
前記第1アーム部は、前記第2アーム部に支持される第1アーム基端部と、前記第1アーム基端部の先端側に位置し、前記カメラを有する前記第1アーム先端部とを有し、
前記第1アーム先端部は、前記第1アーム部の長手方向に沿った所定の軸を中心として回転自在に前記第1アーム基端部に支持されるとともに、前記カメラの光学軸が鉛直方向下向きになった回転位置及びカメラの光学軸が水平方向になった回転位置で固定可能となるように構成されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の書画カメラにおいて、
前記カメラは、前記第1アーム先端部の中で前記カメラの光学軸の周りに回転可能となるように構成されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の書画カメラにおいて、
使用時には、逆L字状に展開された前記アーム部を、前記第2アーム部の長手方向に沿った所定の軸の周りに前記収納凹部側に90°回転して使用するように構成されていることを特徴とする書画カメラ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の書画カメラにおいて、
前記本体部は、前記アーム部を展開したときに前記書画カメラが転倒しないようにするための転倒防止ストッパを有し、
前記転倒防止ストッパは、非使用時には本体部所定箇所に収納可能となるように構成されていることを特徴とする書画カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85289(P2013−85289A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282796(P2012−282796)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2009−12690(P2009−12690)の分割
【原出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】