説明

書籍盗難防止器具

【課題】書籍の天、地、背に沿った状態で書籍に装着できるようにした盗難防止器具を改良し、天に沿った施錠スリーブが不正に持ち上げられることが無いようにして不正行為に対処できるようにすることである。
【解決手段】書籍Aの背aに沿った背枠21の下端に背寄り地差込片23が設けられ、その背枠21の上端部に天cに沿って屈曲したヒンジ基部24にヒンジ25を介して施錠スティック26が連結され、その施錠スティック26に盗難防止タグ36が取り付けられる。施錠スリーブ28がヒンジ基部24まで嵌合された際に、施錠スリーブ28が施錠スティック26にロックされる。施錠スリーブ28の前端部に、書籍Aの小口dの天cに寄った部分の開封防止包装を突き破って差し込まれる天寄り小口差込片32を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、書店、コンビニエンスストア、コミック本のレンタル店等の店舗において発生する書籍の盗難(いわゆる万引)の防止器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
書店等において、盗難防止タグを書籍に取り付けておき、そのタグを付けたまま書籍が客とともに検知ゲートを通過すると、これを電子的に検知することにより盗難を防止するようにした防犯システムが知られている。前記タグを書籍に取り付ける方法として、盗難防止器具の内側にタグを取り付け、その器具を書籍に装着して施錠することにより、解錠しない限り器具を書籍から外すことができないようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
前記の器具を装着したままの書籍が検知ゲートを通過すると、その器具に取り付けられたタグが電子的に検知されるので、一応所期の目的を果たすことができる。しかし、書籍に装着する際、書籍の表紙又は裏表紙に器具本体が重なるので、書籍の厚みが増し、書籍の陳列スペースが減少する問題がある。
【0004】
この問題を解決する器具として、本願の出願人は、先に、書籍の背、天、地の3辺に沿った状態に装着できるようにした枠形の書籍盗難防止器具を特許出願した(特願2010−12008号)。
【0005】
この特許出願の一実施例を図15及び図16に示す。この書籍盗難防止器具は、書籍Aの背aの外側面に沿う背枠1を有し、その背枠1の下端部に書籍Aの地bに沿って屈曲された短いアーム2が設けられる。そのアーム2に地bの背aに寄った部分のページ間に差し込む上向きの薄い背寄り地差込片3が設けられる。
【0006】
前記背枠1の上端部に書籍Aの天cに沿うように屈曲されたヒンジ基部4が設けられ、そのヒンジ基部4にヒンジ5を介して施錠スティック6が連結される。施錠スリーブ7が前記施錠スティック6の前端(自由端)側から前記ヒンジ基部4までスライド可能に嵌合される。その施錠スリーブ7の下面に天cの背aに寄った部分のページ間に差し込むための下向きの薄い背寄り天差込片8が設けられる。
【0007】
前記施錠スティック6に施錠スリーブ7に対するロック機構9(図16参照)が設けられる。盗難防止タグ10は、施錠スティック6の一部に貼り付けられる。
【0008】
前記施錠スティック6は、施錠スリーブ7がヒンジ5より前方に部分的に抜け出した仮止め状態(図15の実線状態参照)ではそのヒンジ5を中心として、天cに対し接近・離反する方向に部分的に回転することができる。
【0009】
前記の仮止め状態から前記施錠スリーブ7が天cに沿い、ヒンジ5を越えてヒンジ基部4まで押し込まれることにより最も深く嵌合されると、ロック機構9の2個所の係合爪11が2個所の係合穴12に係合される。これにより施錠スリーブ7が施錠スティック6にロックされる(図16参照)。
【0010】
そのロックにより施錠スリーブ7の抜け出しが阻止され、施錠スリーブ7及びその内部の施錠スティック6はヒンジ5を中心に回転することはできず、天cに沿った姿勢に保持される。また、背寄り地差込片3及び背寄り天差込片8は、それぞれ背aに近い部分において、地b及び天cのページ間に差し込まれる。
【0011】
前記のロック状態においては、器具の外部から盗難防止タグ10に触れることができず、また器具は、書籍Aの背a、地b、天c及び小口dのいずれの方向へも、また書籍Aの表裏両面と直交する方向にも拘束され、容易に外れることはない。
【0012】
この器具を書籍Aから外すためには、管理者の手元にある磁石13を内蔵した解錠器具14を施錠スリーブ7の上面に当て、各係合爪11に設けられたビス15に吸引力を及ぼし、ロック機構9のロックを解除する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−104837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記特許出願に係る盗難防止器具は、書籍の表紙又は裏表紙に重なる部分がないので、書籍の厚さに影響をもたらすことがない利点がある。しかし、通常の場合、前記の器具はプラスチックの成形品によって構成されるものであるから、素材自体の弾性、施錠スリーブ7とヒンジ基部4との間の嵌合スキマ等によって、施錠スリーブ7の自由端(前端)に不正な力が上向きに強く作用すると(図16の白抜き矢印参照)、施錠スリーブ7が内部の施錠スティック6とともに天cから持ち上げられる恐れがある。
【0015】
施錠スリーブ7が持ち上げられると、ヒンジ基部4が破壊されたり、天差込片8が書籍Aの天cから引き抜かれたりするおそれがある。
【0016】
そこで、この発明は、前記の盗難防止器具を改良し、施錠スリーブ7が書籍Aの天cから容易に持ち上げられないようにすることにより、不正行為に対処できるようにした書籍盗難防止器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の課題を解決するために、この出願に係る第一の発明(請求項1に係る発明)は、書籍の背の外側面に沿う背枠、前記背枠の下端部に書籍の地に沿って屈曲されたアーム、そのアームに設けられた地差込片、前記背枠の上端部に書籍の天に沿うように屈曲して設けられたヒンジ基部、前記ヒンジ基部にヒンジを介して連結された施錠スティック、前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部までスライド可能に嵌合された施錠スリーブ、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する差込片、及び前記施錠スティックに設けられた前記施錠スリーブに対するロック機構をそれぞれ備え、前記施錠スリーブが前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部まで押し込まれた際に前記ロック機構が作用し施錠スリーブがロックされるようにした書籍盗難防止器具において、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する前記差込片が、書籍の天の背に寄った部分に差し込まれる背寄り天差込片と、小口の天に寄った部分に差し込まれる天寄り小口差込片とにより構成され、書籍の天と小口によって構成される天・小口コーナ部を含む部分に開封防止包装が施された書籍に適用されるものである。
【0018】
前記構成の書籍盗難防止器具は、背枠を書籍の背の外側面に沿わせるとともに、背寄り地差込片を書籍の地のページ間に差し込む。また、施錠スリーブをヒンジまで達しない仮止め状態に保持したまま天に沿うように回転させ、背寄り天差込片を天のページ間に差し込む。さらに施錠スリーブをヒンジ基部まで押し込むと、施錠スリーブが施錠スティックにロックされる。
【0019】
また、前記のように、施錠スリーブをヒンジ基部まで押し込んだ際に、施錠スリーブに設けられた天寄り小口差込片が天・小口コーナ部の開封防止包装を突き破って小口のページ間に差し込まれる。
【0020】
ロック状態にある施錠スリーブの前端部にこれを持ち上げようとする不正な外力が作用した場合、小口のページ間に差し込まれた天寄り小口差込片は、天・小口コーナ部の開封防止包装の一部に係合されることによって天側への抜け出しが防止される。これにより、施錠スリーブ前端部の持ち上げが防止される。
【0021】
また、前記の課題を解決するために、この出願に係る第二の発明(請求項5に係る発明)は、前記の第一の発明に、小口の外側面に沿う小口枠が設けられ、その小口枠の下端部に書籍の地と小口によって構成される地・小口コーナ部の地側の小口に寄った部分に差し込まれる小口寄り地差込片が設けられ、前記小口枠の上端部に前記施錠スリーブの天寄り小口差込片が挿通されるスリットが設けられた構成を加え、かつ開封防止包装の形態として、書籍の地と小口によって構成される地・小口コーナ部を含む部分に開封防止包装が施されたものに限定するようにしたものである。
【0022】
この第二の発明によれば、小口枠の下端部に設けられた小口寄り地差込み片が地・小口コーナ部の包装によって小口側への抜け出しが防止され、また、天寄り小口差込片が天方向へ抜け出すことは、天寄り小口差込片が小口枠のスリットに係合することにより防止される。
【0023】
また、前記の課題を解決するために、この出願に係る第三の発明(請求項6に係る発明)は、開封防止包装を施した書籍に適用されるという限定がないものである。
【0024】
即ち、書籍の背の外側面に沿う背枠、前記背枠の下端部に書籍の地に沿って屈曲されたアーム、そのアームに設けられ背に寄った部分に差し込まれる背寄り地差込片、前記背枠の上端部に書籍の天に沿うように屈曲して設けられたヒンジ基部、前記ヒンジ基部にヒンジを介して連結された施錠スティック、前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部までスライド可能に嵌合された施錠スリーブ、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する差込片、及び前記施錠スティックに設けられた前記施錠スリーブに対するロック機構をそれぞれ備え、前記施錠スリーブが前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部まで押し込まれた際に前記ロック機構が作用し施錠スリーブがロックされるようにした書籍盗難防止器具において、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する前記差込片が、書籍の天の背に寄った部分に差し込まれる背寄り天差込片と、小口の天に寄った部分に差し込まれる天寄り小口差込片とにより構成され、前記小口の外側面に沿う小口枠が設けられ、その小口枠の下端部に書籍の地の小口に寄った部分に差し込まれる小口寄り地差込片が設けられ、前記小口枠の上端部に前記施錠スリーブの天寄り小口差込片が挿通されるスリットが設けられ、前記書籍の地に沿う地枠が設けられ、その地枠の背側端部に設けられた背側スリットの下面から前記の背枠下端部の背寄り地差込片が挿通され、前記地枠の小口側端部に設けられた小口側スリットの下面から前記小口枠下端部の小口寄り地差込片が挿通された構成としたものである。
【0025】
この場合は、背枠の下端部と小口枠の下端部が地枠によって連結されるので、ロック状態にある施錠スリーブの前端部にこれを持ち上げようとする不正な外力が作用した場合、その力は小口枠を経て地枠によって受けられる。このため、開封防止包装が施されていない書籍についても使用することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明は、書籍の天に沿った施錠スリーブに、書籍の小口の天に寄った部分に差し込まれる天寄り小口差込片を設けたことにより、施錠スリーブを持ち上げようとする不正な外力に対向して、その天寄り小口差込片が天・小口コーナ部をカバーする開封防止包装に係合する。これにより、施錠スリーブを持ち上げることが防止され、書籍盗難防止器具を破壊したり、ロックを解錠したりする不正行為に対処することができる。
【0027】
また、天・小口コーナ部を含む部分をカバーする開封防止包装の内面に補強シートを介在させたり、開封防止包装の外面に補強テープを貼るなどの補強手段を施すことにより当該小口差込片の係合力が増大し、前記の機能を一層効果的に発揮させることができる。
【0028】
包装形態として地・小口コーナ部を含む部分をカバーする開封防止包装を採り、小口枠の小口寄り地差込片の抜け出しをその包装によって防止し、小口枠の上端部に設けたスリットに施錠スリーブの天寄り小口差込片を挿通する構成を採ることにより、施錠スリーブを持ち上げようとする不正な外力に対向して強固に対向することができる。
【0029】
さらに、前記背枠の下端部と小口枠の下端部とを地枠によって連結した構成を採った場合は、開封防止包装の施されていない書籍の場合であっても、施錠スリーブの前端部を持ち上げる力に対向することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】は、実施形態1の盗難防止器具の装着状態における正面図である。
【図2】は、同上の分解斜視図である。
【図3】は、同上の装着途中における正面図である。
【図4】(a)は、同上のロック状態における一部断面図、同(b)は同(a)の一部拡大断面図である。
【図5】は、同上の施錠スティックの底面図である。
【図6】(a)は、施錠スリーブの縦断正面図、同(b)は同じく施錠スリーブの底面図、同(c)は施錠スリーブの一部拡大断面図、(d)は同(c)のd−d線の断面図である。
【図7】は、同上の仮止め状態の一部を示す断面図である。
【図8】(a)は、書籍の包装形態を示す正面図、同(b)は書籍に対する差し込み部分の断面図、同(c)は、他の差し込み部分の断面図である。
【図9】(a)は、同上の補強構造を示す一部斜視図、同(b)は他の補強構造を示す一部斜視図、同(c)は同(b)の拡大断面図、同(d)はその他の補強構造を示す一部斜視図、同(e)は同(d)の拡大断面図である。
【図10】(a)、同(b)は、包装形態の諸例を示す正面図、同(c)は包装形態の他の例を示す斜視図、同(d)は同(c)の変形例の一部省略斜視図である。
【図11】(a)は、実施形態2の装着状態の一部断面図、同(b)は小口枠の斜視図である。
【図12】は、実施形態3の装着途中における縦断正面図である。
【図13】は、同上の施錠スリーブの斜視図である。
【図14】は、同上の装着状態における正面図である。
【図15】は、先行例の装着途中における断面図である。
【図16】は、同上のロック状態における一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[実施形態1]
実施形態1の盗難防止器具は、図1から図3に示したように、書籍Aの背aの外側面に沿う背枠21を有し、その背枠21の下端部に書籍Aの地bに沿って屈曲された短いアーム22が設けられる。そのアーム22に地bのページ間に差し込むことができるように上向の薄い背寄り地差込片23が設けられる。
【0032】
前記背枠21の上端部に書籍Aの天cに沿うように直角に屈曲されたヒンジ基部24が設けられ、そのヒンジ基部24にヒンジ25を介して施錠スティック26が連結される。前記ヒンジ基部24の補強のために、これに連続した背枠21の上端部に補強リブ27を設けた補強構造が設けられている。施錠スティック26は、四角形断面のスティック状をなす。
【0033】
前記施錠スティック26の前端側から前記ヒンジ基部24まで、スライド可能に施錠スリーブ28が嵌合される。施錠スリーブ28は、前記施錠スティック26の四面の外側にスライド自在に嵌合されるように四角形の筒形に形成される。施錠スリーブ28の前端は開放されているが、内向きの開口縁30によって狭められている(図2参照)。
【0034】
また、施錠スリーブ28の後端部の下面に切欠き部29が設けられ、施錠スリーブ28が最も深く押し込まれた際、即ち、施錠スティック26に最も深く嵌合された際に、その切欠き部29が背枠21の上端部分に嵌合するようになっている(図1参照)。
【0035】
前記施錠スリーブ28は、前記のように、施錠スティック26に最も深く嵌合された状態で、その前端が書籍Aの天cの前端にほぼ一致し、また後端がヒンジ基部24の後端に達する。これによって、施錠スティック26の全体が施錠スリーブ28の内部に隠れる。
【0036】
施錠スリーブ28の前端部には、小口dに沿うよう直角に屈曲した短いアーム31が設けられ、そのアーム31の内側面に内向きの天寄り小口差込片32が設けられる。天寄り小口差込片32は、小口dの天cに接近した位置に設けられ、その部分のページ間に差し込めるよう薄く形成される。
【0037】
また、施錠スリーブ28の後端部下面において、前記の切欠き部29に近い位置に下向きに背寄り天差込片33が設けられる。この背寄り天差込片33は天cの背aに近い部分においてそのページ間に差し込めるように薄く形成される。
【0038】
なお、前記施錠スリーブ28の前端部下面において、天cの小口dに近い部分においてそのページ間に差しこまれる小口寄り天差込片33aを設ける場合がある。この小口寄り天差込片33aは、書籍Aの天cと小口dのコーナ部分に表紙側又は裏表紙側への強い不正な外力が加えられた場合に、背寄り天差込片33だけでは支え切れず施錠スリーブ28が天cから外れる事態を防止するうえで有効である。
【0039】
次に前記施錠スティック26の施錠スリーブ28に対するロック機構34について説明する。
【0040】
図2、図4及び図5に示したように、施錠スティック26の下面の後端側の約半分の下面は、前端側の半分より段差35によって若干凹入している。その凹入した下面に電子的に検知可能な盗難防止タグ36が貼り付けられる。
【0041】
施錠スティック26の下面の前端側の約半分の範囲に係合爪37、38、39が設けられる。そのうち2個所の係合爪37、39は、施錠スティック26の長さ方向に一定の間隔をおき、かつ、施錠スティック26の下面に沿った同一面に設けられる。これに対し、他の1個所の係合爪38は、前者の係合爪37に並行する位置において(図5参照)、施錠スティック26の上面に寄って設けられる(図4(a)(b)参照)。
【0042】
前記の係合爪37の一端は施錠スティック26の前端壁41の内面に一体化され、他端の自由端部が前端壁41の後方に一定間隔をおいて設けられた中間壁42の方向に延びている。他方の係合爪39は、その一端部が中間壁42の内面(盗難防止タグ36側の面)に一体化され、他端の自由端部が前記の段差35の近くまで延びている。
【0043】
前記各係合爪37、39は、それぞれ自由端部の近くにおいて、下施錠スティック26の下面より下方へ若干突き出した係合突起43、44が設けられる。前記係合突起43、44は幅方向に微小距離xだけずれた位置関係にある(図5参照)。また、各係合突起43、44に接して各係合爪37、39の先端部に磁性体のビス45、46がねじ込まれている。各ビス45、46の頭部は、施錠スティック26の上面の方向を向いているが、通常の状態ではその上面より若干低い位置にある(図4(a)(b)参照)。
【0044】
もう一つの前記係合爪38は、その一端部が前記の前端壁41の内面に一体化され、他端の自由端部が前記係合爪37よりも長く延び中間壁42に接近している(図5参照)。この係合爪38の自由端部の近くにおいて、前述の係合突起43、44とは反対向きに、施錠スティック26の上面の方向に突き出した係合突起47が設けられる。この係合突起47は、通常の状態では施錠スティック26の上面と同じ高さにあり、それ以上突き出すことはない。
【0045】
また、その係合突起47に接して係合爪38の先端部に磁性体のビス48がねじ込まれている。そのビス48の頭部は、前述の他のビス45、46と同様に、施錠スティック26の上面の方向を向いているが、通常の状態ではその上面より若干低い位置にある(図4(a)(b)参照)。
【0046】
施錠スリーブ28が施錠スティック26に最も深く嵌合された状態で、施錠スティック26の前端部が施錠スリーブ28の前端の開口縁30の内面に当たり、前端壁41に設けられた前端突起40が開口に嵌合される。また、施錠スリーブ28の後端部は切欠き部29が背枠21に嵌り、ヒンジ25を越えてヒンジ基部24の後端に達する。
【0047】
前記施錠スリーブ28の下壁の内面には、施錠スティック26に対し最も深く嵌合した前記の状態において、前記係合爪37、39の係合突起43、44に合致する位置に係合凹部51、52が設けられる。前記のように係合突起43、44は施錠スティック26の下面から下方に若干突き出しているので、最も深く嵌合した状態で各係合突起43、44がそれぞれ係合凹部51、52に係合し、施錠スリーブ28は施錠スティック26に対してロック状態となる。
【0048】
前述のように、係合突起43、44は、施錠スティック26の幅方向に微小距離xだけずれているので、これに対応して係合凹部51、52も幅方向に同じ微小距離xだけ施錠スリーブ28の幅方向にずれている(図6(d)参照)。
【0049】
前記の係合凹部51、52に代えてこれらを2個所の係合穴としてもロックさせることはできる。しかし、係合穴の場合は外部から工具などを差し込んで不正にロックが解除される恐れがある。このような恐れを解消するために、外部に開放されない係合凹部51、52を設け、これに係合突起43、44を係合させるようにしている。
【0050】
なお、前記の係合凹部51、52を成形する場合に必要となる成形用穴51a、52aが対向した上壁に残存する(図6(a)参照)。
【0051】
前記のロック状態において、もう一つの係合爪38の係合突起47は施錠スリーブ28の上面に設けられた係合穴50の下方に臨む。係合突起47は施錠スティック26の上面より低い位置にあるので、通常の状態では係合穴50に係合することはない。
【0052】
前記のロック状態が解除され、施錠スリーブ28が施錠スティック26から引き抜かれて、図7に示したように、ヒンジ25から抜け出した中間的な嵌合状態において、前記係合突起43、44が嵌る係合穴53、54が施錠スリーブ28の下面に設けられる(図6(a)〜(d)参照)。
【0053】
前記の中間的な嵌合状態においては、施錠スティック26の係突起43、44が施錠スリーブ28の係合穴53、54に係合した状態を施錠スリーブ28の仮止め状態と称する。
【0054】
図6(d)に示したように、前記の係合穴53は、係合凹部51と同一線上に、また他方の係合穴54は、係合凹部52と同一線上に位置する。その結果、これらの係合穴53、54も幅方向に微小距離xだけずれている。
【0055】
係合突起43、44は、それぞれの前端側の立ち上がり縁55、56が若干のテーパを持っている(図4(b)参照)。このため、前記の仮止め状態において、施錠スリーブ28に若干の力を加えて後端方向(ヒンジ25の方向)に押し込むことにより、係合突起43、44を係合穴53、54から外すことができる。これにより仮止めが外れ、施錠スリーブ28は後退してロック状態に移行する。
【0056】
一方、係合突起43、44の後端の立ち上り縁はテーパを持っていないので、前記の仮止め状態から施錠スリーブ28を前端方向へさらに引き抜くことは、次に述べる解錠器具57を用いない限りできない。
【0057】
前記の解錠器具57(図4(a)参照)は、前記ビス45、46の間隔に一致する間隔で磁石59、60が検知面に埋め込まれ、またこれらの磁石59、60がビス45、46に対向したロック解除状態において、施錠スリーブ28の後端部上面に突き出した突起58に係合し得る位置にロック解除時位置決め溝57aが設けられる。
【0058】
また、施錠スリーブ28が前記の仮止め状態にあるとき(図7参照)、その仮止めを解除するためには、その状態におけるビス45、46と磁石59、60の位置を合わせる必要がある。このため、解錠器具57には、前記のロック解除時位置決め溝57aより内側(磁石60寄り)の所定位置に仮止め解除時位置決め溝57bが設けられる。
【0059】
実施形態1の書籍盗難防止具は以上のように構成され、次にその作用について説明する。
【0060】
前述のように、実施形態1の場合は、シュリンク包装等によって書籍Aの全体に透明フィルムによる開封防止包装61(図8、図9等参照、以下、「開封防止包装61」を単に「包装61」と称する。)が施されたものに適用される。その書籍Aにこの器具を装着する手順は、施錠スリーブ28を仮止め状態に保持した状態(図3参照)で、背枠21の下端の背寄り地差込片23を地bの背aに近い部分において、その部分の開封防止包装61を突き破ってページ間に差し込み、アーム22を地bに、また背枠21を背aに沿わせる(図8(a)参照)。
【0061】
同時に背枠21の上端部とヒンジ基部24のコーナ部を書籍Aの背aと天cとのコーナ部に合わせる。これによりヒンジ基部24が天cに沿う(図3参照)。
【0062】
その状態から施錠スリーブ28を下方へ回転させ、背寄り天差込片33を天cの包装61を突き破ってページ間に差し込み、施錠スリーブ28を天cに沿わせる(図2の二点鎖線参照)。
【0063】
さらに、前記施錠スリーブ28を天cに沿って後方、即ちヒンジ基部24側へ押し込むことにより、前端部のアーム31が小口dに沿うとともに、天寄り小口差込片32が天cに近い小口dの包装61を突き破って小口dのページ間に差し込まれる(図8(c)参照)。その差し込みによって施錠スリーブ28が施錠スティック26に対し最も深く差し込まれると、施錠スリーブ28の2個所の係合爪37、39の係合突起43、44が係合凹部51、52係合されロック状態となる(図4(a)参照)。
【0064】
前記のロック状態においては、背枠21は、背aと直角方向に作用する外力に対しては、背寄り地差込片23及び背寄り天差込片33が背aに係合し、また施錠スリーブ28から延びたアーム31が小口dに係合するため、書籍Aから外れることがない。また、その背枠21に上向きの外力が作用した場合は、背枠21の下端部のアーム22が背aの下端部に係合し、また下向きの外力が作用した場合は、ヒンジ基部24が天c及び背aの上端部に係合するため、この場合も書籍Aから外れることがない。
【0065】
また、書籍Aの表紙及び裏表紙の面に直角の方向の外力に対しては、背寄り地差込片23、背寄り天差込片33、天寄り小口差込片32がページ間に差し込まれていることにより、この場合も書籍Aから外れることがない。この場合、前述のように、小口寄り天差込片33a(図1参照)が設けられていると、一層確実に書籍Aからの分離を防止することができる。
【0066】
さらに、施錠スリーブ28の前端部に上向きの外力が作用した場合は(図1の白抜き矢印参照)、天寄り小口差込片32が天cの部分の包装61によって上方への抜け出しが防止されるため(図8(c)参照)、施錠スリーブ28が強制的に持ち上げられることはない。
【0067】
前記のロック状態を解除するには、解錠器具57を、磁石59、60が埋め込まれた検知面を上向きにしてテーブル等の上に固定する。盗難防止器具を装着した書籍Aは、天地を逆にして解錠器具57の検知面に載せ、解錠器具57の検知面に施錠スリーブ28の上面を当て、その後端部上面に突き出した突起58を解錠器具57のロック解除時位置決め溝57aに係合することにより位置決めする(図4(a)の二点鎖線参照)。
【0068】
その位置決め状態において、解錠器具57の磁石59、60は、施錠スティック26の2個所の係合爪37、39の各ビス45、46に対向する。各ビス45,46が磁石59、60に引き寄せられることにより、各係合突起45、46が係合凹部51、52から抜け出しロックが解除される。ロックが解除されると、解錠器具57のロック解除時位置決め溝57aに係合された状態にある施錠スリーブ28に対し、施錠スティック26がその後端方向へ抜け出すことができる(図4(a)の矢印a参照)。同時に背枠21、及び書籍Aも同方向に移動し、天寄り小口差込片32が書籍Aの小口dから抜け出す。その後退途中において、係合突起43,44、が係合穴53、54に係合して仮止め状態となる(図7参照)。
【0069】
前記の仮止め状態においては、ヒンジ基部24及びヒンジ25が施錠スリーブ28から抜け出すので、背枠21が回転可能となる。その回転によって書籍Aを器具から分離することができる。
【0070】
書籍Aを器具から分離するためには、施錠スティック26は仮止め状態となる位置まで引き抜くだけでよく、施錠スティック26を施錠スリーブ28から完全に抜き出す必要はない。しかし、盗難防止タグ36の貼り替え等を行う場合は、前記の仮止め状態からさらに施錠スティック26を引き抜き、施錠スリーブ28から完全に分離する必要がある。
【0071】
そのため、解錠器具57に対して、仮止め状態にある施錠スリーブ28の突起を仮止め解錠時位置決め溝57bに係合するように位置決めを行う(図7の二点鎖線参照)。この位置決めによって、ビス45、46が磁石59、60に対向し吸引されるので、係合突起43、44は係合穴53、54から外れる。これによって仮止め状態が解除され、施錠スリーブ28から施錠スティック26を完全に抜き出すことができる。
【0072】
天寄り小口差込片32の上方への抜け出しを防止するために包装61だけでは十分な強度が得られない場合は、図9(a)に示したように、天cの小口dに近い部分、又は図示を省略しているが、小口dの天cに近い部分において、包装61の外側面に補強テープ62を貼るなどの補強手段を施すことが望ましい。
【0073】
補強手段のその他の例として、図9(b)(c)に示したように、包装61を施す前に、厚紙、プラスチック等の補強シート76の一端部に逆L形の屈曲部77を形成し、その補強シート76を天cの小口dに近い部分に沿わせるとともに、その屈曲部77を書籍Aの表紙78とその折り返し片79とのすき間に挿入したうえで、包装61を施す構成をとることもできる。補強手段が包装61の内側面において施されることになる。補強シート76の屈曲部77を書籍Aの裏表紙80側のすき間に挿入するようにしてもよい。
【0074】
いずれの場合も、包装時に補強シート76が天cの幅方向及び小口dの方向へずれ動く不具合を防止することができる。補強シート76の背a方向へのずれ動きを確実に防止するためには、補強シート76を天cの長さ方向に長い形状に形成すればよい。
【0075】
また、図9(d)(e)に示した例は、前記の場合と同様の屈曲部77を設けるとともに、小口側屈曲部81を設けて一体化し、立体的な補強部材82を構成したものである。小口側屈曲部81は、前記の天寄り小口差込片32の差し込みに支障をきたさないように、小口dの半分を越えない幅に形成されている。
【0076】
この場合は、前述の例のように、屈曲部77を表紙78と折り返し片79のすき間に挿入する必要がなく、前記の補強部材82を天c、小口d及び表紙78(又は裏表紙80)が作るコーナ部に被せるだけでよく、そののちに包装61を施す。
【0077】
なお、施錠スリーブ28を施錠スティック26に差し込み、ロックするまで押し込む場合、まず、施錠スティック26の係合突起43、44が、施錠スリーブ28の係合穴53、54を通過する。この場合、前述のように、両方の係合突起43、44及び係合穴53、54は、それぞれ幅方向に微小距離xだけずれているので、先頭の係合突起43が2個所の係合穴53、54に次々係合することはなく、一対一に対応して係合し、仮止め状態となる。
【0078】
仮止め状態からさらに押し込み方向の力を加えると、各係合突起43、44は、その立上がり縁55、56のテーパによって軽く係合を脱することができる。
【0079】
次に、係合突起43、44と係合凹部51、52の関係も前記の場合と同様に、それぞれ幅方向に微小距離xだけずれているので、先頭の係合突起43が2個所の係合凹部51、52に次々係合することはなく、一対一に対応して係合しロック状態となる。ロック状態になると、施錠スリーブ28の開口縁30に施錠スティック26の前端壁41が当たり、それ以上差し込むことが不可能となる。このため、係合突起43、44が係合凹部51、52から外れることがなく、したがって、ロック状態が解除されることはない。
【0080】
なお、施錠スリーブ28の上面に解錠器具57に近い程度の大きさの1個の磁石が不正に当てられる場合が考えられる。その磁石によって3個所の係合爪37、38、39のビス45、46、48に吸引力が作用する。その場合、2個所の係合爪37、39のビス45、46に対してはロックを解除する方向に作用するが、1個所の係合爪38についてはその係合突起47が係合穴50に係合するため、施錠スリーブ28のロックが不正に解除されることはない。
【0081】
以上の説明においては、包装61がシュリンク包装により書籍Aの全体に施される場合について説明したが、包装61は、この形態に限られず図10(a)から(d)に示したような形態もある。図8(a)の場合を含むこれらの形態に共通の構造は、いずれも、書籍Aの天cと小口dによって形成される天・小口コーナ部67又はその近辺をカバーする形態である点である。
【0082】
即ち、図10(a)は、書籍Aの地b及び天cを含む上下端部を除き、透明フィルムの包装用紙を背a、表裏表紙、及び小口dに渡り横帯状に巻き付けたものである。背寄り地差込片23、背寄り天差込片33はいずれも包装61を貫通することなく、それぞれ地b、天cのページ間に直接差し込まれる。天寄り小口差込片32は、前記の天・小口コーナ部67の近辺の小口側に包装61を突き破って差し込まれる。天寄り小口差込片32は天・小口コーナ部67の近辺に存在する包装61に係合されるため、天c側へ抜け出すことが防止される。
【0083】
図10(b)に示した包装形態は、書籍Aの背a及び小口dを含む書籍の左右両側部を除き、透明フィルムの包装用紙を地b、表裏用紙、及び天cに渡り縦帯状に巻き付けたものであり、天・小口コーナ部67の近辺が包装61によってカバーされる。背寄り地差込片23、背寄り天差込片33はいずれも包装61を突き破ってそれぞれ地b、天cのページ間に差し込まれる。天寄り小口差込片32は、前記の天・小口コーナ部67の近辺の小口側に直接差し込まれる。天寄り小口差込片32は天・小口コーナ部67の近辺に存在する包装61に係合され天c側へ抜け出すことが防止される。
【0084】
前記の図10(b)は、表裏用紙の上から縦帯状に包装61を施す場合を示しているが、同(c)のように、表紙e、裏表紙fを除き、本体部分に包装61を施す場合、同(d)のように、本体部分の一部に包装61を施す場合がある。
【0085】
なお、図10(a)から(d)のいずれの場合も、先に図9において示した補強手段が追加される場合がある。
【0086】
[実施形態2]
実施形態2の盗難防止器具は、図11(a)(b)に示したように、前記実施形態1の盗難防止器具に小口枠63を組み合わせたものであり、包装61の形態は、地・小口コーナ部68又はその近辺をカバーする形態に限られる。
【0087】
この場合の小口枠63は、書籍Aの小口dの外側面に沿い、その全長に一致する長さを有する。その下端部には、地bに沿うように屈曲された短いアーム64が設けられ、そのアーム64の上面に地bの小口dに近い部分のページ間に差し込まれる薄い小口寄り地差込片65が上向きに設けられる。
【0088】
また、小口枠63の上端近くに上下方向に長いスリット66が設けられ、そのスリット66に前記の天寄り小口差込片32が挿通されるようになっている。
【0089】
前記の器具を書籍Aに装着する方法は、基本的には実施形態1の場合と同じであるが、相違する点は、この実施形態2の場合は、前記の小口枠63の小口寄り地差込片65を書籍Aの地bの包装61を突き破ってページ間に差し込み、小口枠63を小口dに沿わせる。
【0090】
その後、施錠スリーブ28を後方に押し込む際に天寄り小口差込片32を小口枠63のスリット66に挿通させる。天寄り小口差込片32の上辺がスリット66の上端に接触するか、又は接近させるように両者の位置関係を定める。
【0091】
スリット66を貫通した天寄り小口差込片32は、前記実施形態1の場合と同様に、包装61を突き破って小口dのページ間に差し込まれる。
【0092】
この実施形態2の場合は、小口枠63の小口寄り地差込片65が小口d方向へ抜け出すことは、地・小口コーナ部68の小口dに近い部分の包装61によって防がれる。また、天寄り小口差込片32が天c方向へ抜け出すことは、天寄り小口差込片32の上辺が小口枠63のスリット66の上端に係合することにより防止され、天cの部分の包装61がその抜け出しに寄与することは少ない。このため、その部分の包装61に特別な補強手段を施すことなく、施錠スリーブ28の持ち上げを確実に防止することができる。
【0093】
但し、小口枠63の下端部に設けた小口寄り地差込片65が小口d方向へ抜け出しを防ぐために、包装61が地・小口コーナ部68の小口d近辺に存在する必要がある。このため、この実施形態2の場合の包装形態は、少なくとも地・小口コーナ部68及びその近辺に包装61が存在する形態であることが必要である。
【0094】
[実施形態3]
次に、図12から図14に示した実施形態3は、前記実施形態2(図11(a)(b)参照)の構成に、地枠71を追加した構成である。
【0095】
即ち、地枠71は、書籍Aの地bに沿った枠板によって形成される。その背枠21側の端部に背側スリット72が長さ方向に設けられ、また小口枠63側の端部に小口側スリット73が同じく長さ方向に設けられる。前者の背側スリット72には、その下面から前記背枠21下端部の背寄り地差込片23が挿通され、また後者の小口側スリット73には、前記小口枠63下端部の小口寄り地差込片65が挿通される。
【0096】
これにより、背枠21と小口枠63の下端部が地枠71によって連結され、書籍Aの背a、地b、天c及び小口dに沿った背枠21、地枠71、天枠(施錠スティック26と施錠スリーブ28とにより構成される。)及び小口枠63によって、四角枠形の書籍盗難防止器具が構成される(図14参照)。
【0097】
前記地枠71の背側スリット72の内側(小口d寄りの位置)に、幅方向のヒンジ74が形成され、図12に示したように、当該器具を装着する途中において、地枠71の背枠21側端部が屈曲し易くなっている。ヒンジ74は、小口側スリット73の内側(背a寄りの位置)に設け、その部分で屈曲できるようにしてもよい。
【0098】
この場合の施錠スリーブ28は、その下面の前端寄りに前記の小口寄り天差込片33aを設けたものを示している。小口寄り天差込片33aは、前述のように、書籍Aの天cと小口dのコーナ部分に表紙側又は裏表紙側への強い不正な外力が加えられた場合に、施錠スリーブ28が天cから外れる事態を防止する。
【0099】
また、この施錠スリーブ28の前端部上面に前端に至るほど低くなる緩やかなテーパ面75を設けている。これは、当該器具を装着した書籍を本棚に収納する際、施錠スリーブ28の前端上部コーナが棚板に衝突することを避け、円滑に収納できるようにするためである。
【0100】
実施形態3は以上のようなものであり、背枠21の下端部と小口枠63の下端部が地枠71によって連結されているので、ロック状態にある施錠スリーブ28の前端部にこれを持ち上げようとする不正な外力が作用した場合、その力は小口枠63を経て地枠71によって受けられる。このため、包装が施されていない書籍についても使用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 背枠
2 アーム
3 地差込片
4 ヒンジ基部
5 ヒンジ
6 施錠スティック
7 施錠スリーブ
8 天差込片
9 ロック機構
10 盗難防止タグ
11 係合爪
12 係合穴
13 磁石
14 解錠器具
15 ビス
21 背枠
22 アーム
23 背寄り地差込片
24 ヒンジ基部
25 ヒンジ
26 施錠スティック
27 補強リブ
28 施錠スリーブ
29 切欠き部
30 開口縁
31 アーム
32 天寄り小口差込片
33 背寄り天差込片
33a 小口寄り天差込片
34 ロック機構
35 段差
36 盗難防止タグ
37、38、39 係合爪
40 前端突起
41 前端壁
42 中間壁
43、44 係合突起
45、46 ビス
47 係合突起
48 ビス
50 係合穴
51、52 係合凹部
51a、52a 成形用穴
53、54 係合穴
55、56 立上がり縁
57 解錠器具
57a ロック解除時位置決め溝
57b 仮止め解除時位置決め溝
58 突起
59、60 磁石
61 開封防止包装(包装)
62 補強テープ
62a 補強シート
63 小口枠
64 アーム
65 小口寄り地差込片
66 スリット
67 天・小口コーナ部
68 地・小口コーナ部
71 地枠
72 背側スリット
73 小口側スリット
74 ヒンジ
75 テーパ面
76 補強シート
77 屈曲部
78 表紙
79 折り返し片
80 裏表紙
81 小口側屈曲部
82 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書籍の背の外側面に沿う背枠、前記背枠の下端部に書籍の地に沿って屈曲されたアーム、そのアームに設けられ地の背に近い部分に差し込まれる背寄り地差込片、前記背枠の上端部に書籍の天に沿うように屈曲して設けられたヒンジ基部、前記ヒンジ基部にヒンジを介して連結された施錠スティック、前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部までスライド可能に嵌合された施錠スリーブ、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する差込片、及び前記施錠スティックに設けられた前記施錠スリーブに対するロック機構をそれぞれ備え、
前記施錠スリーブが前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部まで押し込まれた際に前記ロック機構が作用し施錠スリーブがロックされるようにした書籍盗難防止器具において、
前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する前記差込片が、書籍の天の背に寄った部分に差し込まれる背寄り天差込片と、小口の天に寄った部分に差し込まれる天寄り小口差込片とにより構成され、書籍の天と小口によって構成される天・小口コーナ部を含む部分に開封防止包装が施された書籍に適用されることを特徴とする書籍盗難防止器具。
【請求項2】
前記天寄り小口差込片が、前記施錠スリーブの前端から下向きに設けられたアームの内側に内向きni
設けられたことを特徴とする請求項1に記載の書籍盗難防止器具。
【請求項3】
前記天・小口コーナ部における天又は小口に、その部分の開封防止包装の補強手段が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の書籍盗難防止器具。
【請求項4】
前記補強手段が、前記開封防止包装の内面又は外面のいずれかに設けられたことを特徴とする請求項3に記載の書籍盗難防止器具。
【請求項5】
書籍の背の外側面に沿う背枠、前記背枠の下端部に書籍の地に沿って屈曲されたアーム、そのアームに設けられ地の背に近い部分に差し込まれる背寄り地差込片、前記背枠の上端部に書籍の天に沿うように屈曲して設けられたヒンジ基部、前記ヒンジ基部にヒンジを介して連結された施錠スティック、前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部までスライド可能に嵌合された施錠スリーブ、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する差込片、及び前記施錠スティックに設けられた前記施錠スリーブに対するロック機構をそれぞれ備え、
前記施錠スリーブが前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部まで押し込まれた際に前記ロック機構が作用し施錠スリーブがロックされるようにした書籍盗難防止器具において、
前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する前記差込片が、書籍の天の背に寄った部分に差し込まれる背寄り天差込片と、小口の天に寄った部分に差し込まれる天寄り小口差込片とにより構成され、
前記小口の外側面に沿う小口枠が設けられ、その小口枠の下端部に書籍の地と小口によって構成される地・小口コーナ部の地側の小口に寄った部分に差し込まれる小口寄り地差込片が設けられ、前記小口枠の上端部に前記施錠スリーブの天寄り小口差込片が挿通されるスリットが設けられ、
書籍の地と小口によって構成される地・小口コーナ部を含む部分に開封防止包装が施された書籍に適用されることを特徴とする書籍盗難防止器具。
【請求項6】
書籍の背の外側面に沿う背枠、前記背枠の下端部に書籍の地に沿って屈曲されたアーム、そのアームに設けられ地の背に寄った部分に差し込まれる背寄り地差込片、前記背枠の上端部に書籍の天に沿うように屈曲して設けられたヒンジ基部、前記ヒンジ基部にヒンジを介して連結された施錠スティック、前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部までスライド可能に嵌合された施錠スリーブ、前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する差込片、及び前記施錠スティックに設けられた前記施錠スリーブに対するロック機構をそれぞれ備え、
前記施錠スリーブが前記施錠スティックの前端側から前記ヒンジ基部まで押し込まれた際に前記ロック機構が作用し施錠スリーブがロックされるようにした書籍盗難防止器具において、
前記施錠スリーブに設けられた書籍に対する前記差込片が、書籍の天の背に寄った部分に差し込まれる背寄り天差込片と、小口の天に寄った部分に差し込まれる天寄り小口差込片とにより構成され、
前記書籍の地に沿う地枠が設けられ、その地枠の背側端部に設けられた背側スリットの下面から前記の背枠下端部の背寄り地差込片が挿通され、前記地枠の小口側端部に設けられた小口側スリットの下面から前記小口枠下端部の小口寄り地差込片が挿通されたことを特徴とする書籍盗難防止器具。
【請求項7】
前記地枠の背側スリットの内側又は小口側スリットの内側にヒンジが設けられたことを特徴とする請求項6に記載の書籍盗難防止器具。
【請求項8】
前記施錠スリーブに小口寄り天差込片が設けられたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の書籍盗難防止器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−217804(P2011−217804A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87255(P2010−87255)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(506230437)
【Fターム(参考)】