書類綴じ補助器
【課題】書類の綴り作業について、熟練を要することなく正確かつ容易に行えるようにする。
【解決手段】書類を綴る際に予定した位置でステープルの打設又は穴開けの作業を正確に行うための書類綴じ補助器1Aであって、所定の用紙とサイズが一致した載置面100を構成する板材7外周側に壁体15が立設されてその内周側で書類200を揃った状態で保持する書類載置台10と、書類載置台10を所定高さで支持する支持部と、書類載置台10の外周側から壁体15及び板材7が切り欠かれてステープラー5又は穴開けパンチ6を書類の所定位置に案内するガイド切り欠き17a,17b,17c,17d,17e,20a,20bが設けられており、載置台10に載せた書類200をその下方にステープラー5又は/及び穴開けパンチ6を挿入可能な高さで保持しつつその案内・位置決めをさせて作業を行わせるものとした。
【解決手段】書類を綴る際に予定した位置でステープルの打設又は穴開けの作業を正確に行うための書類綴じ補助器1Aであって、所定の用紙とサイズが一致した載置面100を構成する板材7外周側に壁体15が立設されてその内周側で書類200を揃った状態で保持する書類載置台10と、書類載置台10を所定高さで支持する支持部と、書類載置台10の外周側から壁体15及び板材7が切り欠かれてステープラー5又は穴開けパンチ6を書類の所定位置に案内するガイド切り欠き17a,17b,17c,17d,17e,20a,20bが設けられており、載置台10に載せた書類200をその下方にステープラー5又は/及び穴開けパンチ6を挿入可能な高さで保持しつつその案内・位置決めをさせて作業を行わせるものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類綴じ補助器に関し、殊に、所定の規格による同一サイズの用紙を重ねた書類をステープラーや穴開けパンチを用いて綴る際に、その作業を正確に行えるように補助する書類綴じ補助器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の用紙を重ねた書類を綴って一冊に纏める際には、ステープル(ホッチキス針)で留めたりパンチ穴を穿設してバインダーや綴り紐で留めたりすることが行われている。ステープラー(ホッチキス)を用いて綴る場合は、書類の長辺側の2又は3箇所でステープル止めするのが一般的であり、穴開けパンチの場合は2穴式のものを用いて書類の長辺側又は短辺側に2つのパンチ穴を同時に穿設するのが一般的である。
【0003】
しかし、ステープラーを用いて綴る場合、書類における長辺の二等分線を挟んだ対称位置に打設することに加え用紙端縁から同一深さで止めることが外観上好ましいところ、目測による手作業で行うのが通常であるため、正確な位置決めが実際には困難であった。また、穴開けパンチの場合も、毎回同じ位置でパンチ穴を開けないと書類を重ねて綴る際に端縁側が揃わなくなることから、穿設対象になる辺の二等分線から同一距離で2つのパンチ穴を設けるために書類を一旦2つ折りにして目印を設けているのが一般的であり、折り目が残って外観上好ましくなかった。
【0004】
斯かる問題に対し、特開2000−354999号公報には、書類の上に重ねる方形状の板体に正しいパンチ穴の位置にガイド用の穴を設けるとともに書類の二等分線に相当する位置に中心位置決め表示部を表示してなるパンチ穴開け補助器が提案され、書類を折り曲げずにパンチ穴の位置決めを行えるガイドとして使用できるものとしている。
【0005】
また、特開2006−198756号公報には、書類と同一サイズにした透明シートの端縁側に穴開けパンチの基準位置となる印を表示することに加え、ステープラーの基準位置となる切り欠きを設けてなるガイドシートも提案されており、穴開けパンチとステープラーの両方の位置決めを行えるガイドとして知られている。
【0006】
ところが、これらのガイドは複数枚の用紙を正確に重ねた書類の上に板体やシートの端縁側を正確に合わせて載せた状態にて作業を行うものであるところ、A4やB5等の日本工業規格による同一サイズの用紙であったとしても、例えばレーザープリンターによる熱で湾曲したコピー用紙や折り目のある用紙が集合した書類の場合は、総ての用紙の端縁を正確に揃えて重ねることは実際には容易ではない。
【0007】
また、用紙がいったん正確に揃った場合でも、厚い書類の場合は綴り作業の途中に用紙間でずれが生じやすく、さらに前述の補助具やガイドシートは書類の上に載せただけの状態で使用するものであることから、用紙同士が作業途中でずれ動いてしまいやすいという難点もあり、これらをガイドとして用いても書類を正確に綴ることが容易ではないケースも多い。
【0008】
殊に、ステープラーを用いて綴る場合は、書類とステープラーの両方を手に持った状態で行うため、ステープルを複数回打設するうちに用紙間のずれが拡大しやすくなるという問題もある。また、穴開けパンチの場合はこれを卓上に置いて作業を行うところ、書類の下側に位置する下側部材が厚い機種では、書類の穴を開ける側が持ち上がって斜めになることでずれが生じやすくなる。そのため、厚い書類を作成して顧客に提出するような業種においては、正確に美しく綴られた書類が好まれることから、綴り作業に熟練した事務員が一部ずつ手間と時間をかけながら手作業で行っているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−354999号公報
【特許文献2】特開2006−198756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、書類の綴り作業について、熟練を要することなく正確かつ容易に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、ステープラー又は穴開けパンチを用いて書類を綴る際に予定した位置にてステープルの打設又は穴開けの作業を正確に行えるようにガイドする書類綴じ補助器であって、所定の規格による所定サイズの用紙と長辺・短辺のサイズが一致した載置面を構成する板材の外周側所定範囲で所定高さの壁体が立設されてこの壁体内周側で載置面に載せた書類の総ての用紙を端縁が揃った状態で保持する書類載置台と、この書類載置台を卓上の所定高さ位置で載置面を水平にして支持する支持部と、書類載置台の外周側から所定深さで壁体及び板材が切り欠かれてステープラー又は穴開けパンチを書類における所定のステープル打設位置又は穴開け位置に案内するガイド切り欠きが複数設けられており、載置台に載せた書類をその下方にステープラー又は/及び穴開けパンチの下側部材先端側が挿入可能な高さで用紙が揃った状態のまま保持しつつ、外周側から挿入したステープラー又は/及び穴開けパンチをガイド切り欠きで案内しながら位置決めさせて前記作業を行わせる、ことを特徴とするものとした。
【0012】
このように、書類載置台に載せた書類をステープラー又は/及び穴開けパンチを挿入可能な高さで用紙の端縁が揃った状態のまま保持しながら、ガイド切り欠きでステープラー又は穴開けパンチを正確な位置に案内して位置決めさせるものとしたことで、誰が書類の綴り作業を行っても正確で美しい仕上がりを容易に実現可能なものとなる。
【0013】
また、この書類綴じ補助器において、平面視の長辺・短辺のサイズ及び形状が書類載置台の載置面と一致するとともに壁体内周側に上から挿入して載置面に載せることのできる書類押え板を備えており、この書類押え板には載置面に形成されている各ガイド切り欠きとサイズ・形状・位置の一致した切り欠きが設けられており、書類載置台に載せた書類に被せて上から押さえ付けた状態にて、ステープラー又は/及び穴開けパンチを外周側から挿入して使用することが可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、載置面に重ねた用紙を書類押え板で上から押さえ付けて密着させた状態で書類の綴り作業を行えるものとなる。
【0014】
さらに、この書類押え板を備えた書類綴じ補助器において、その書類押え板の上面には、各ガイド切り欠きの挿入方向先端側にステープラー又は穴開けパンチの先端側をガイド切り欠き内の中心線上に位置決めさせるための目印又はガイドラインが表示されている、ことを特徴としたものとすれば、ステープラー又は/及び穴開けパンチの位置決めが更に正確に行えるようになる。
【0015】
さらにまた、上述した書類綴じ補助器において、そのガイド切り欠きのうち少なくともステープラー用のものには、ステープラーの下側部材先端面に当接してその挿入深さを規制するとともに規制する深さ位置の変更・調整を可能とする挿入深さ調整手段が設けられている、ことを特徴としたものとすれば、使用するステープラーの種類に応じて正確な位置にてステープルの打設が行えるものとなる。
【0016】
加えて、上述した書類綴じ補助器において、その書類載置台の板材は表裏両面を載置面として使用可能とされ、その壁体が各載置面外周側部分から上下に延設されて各々支持部を兼ねるとともにその先端までの長さが互いに異なり、卓上に置いた際の載置面の高さが表と裏で異なるものとされ、下側部材の高さが異なるステープラー又は/及び穴開けパンチに各々対応可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、裏返して使用するだけで、下側部材の高さが異なるステープラー又は/及び穴開けパンチに対応可能なものとなる。
【0017】
或いは、上述した書類綴じ補助器において、表裏両面を使用して載置面の高さを変更する前記方式とは異なり、書類載置台の板材を支持する支持部が、板材裏面側の少なくとも四隅に設けられた上下方向に弾性変形可能な脚体で構成され、所定レベル以上の圧力を上から加えることで脚体が変形しながら載置面を下降させ、圧力を解除することで脚体が弾性反発力で載置面を元の高さに戻すものとされ、フラットクリンチ式のステープラーでステープルを打設する際には、ステープル針先貫通後の折り曲げ動作時にステープラー下側部材針受け部の下降動作に追従して載置面の少なくとも打設位置側を下降させるように所定の脚体が弾性変形する、ことを特徴としたものとすれば、使用するステープラーや穴開けパンチの下側部材に対し載置面が高い場合であっても、これを上から押圧することで高さ調整が可能であることに加え、フラットクリンチ式のステープルによる2段階目の下降動作に対しても載置面の高さを追従可能として、あらゆる状況でステープル止めの綺麗な仕上がりを実現しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0018】
書類をステープラーや穴開けパンチを挿入可能な高さで用紙が揃った状態のまま保持しながら、ガイド切り欠きでステープラーや穴開けパンチを正確な位置に案内して位置決めさせる構成とした本発明によると、熟練を要することなく書類の綴り作業が正確かつ容易に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における第1の実施の形態の斜視図である。
【図2】図1の書類綴じ補助器の使用状態を説明するための斜視図である。
【図3】図1の書類綴じ補助器の応用例を示す平面図である。
【図4】図3のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図1の書類綴じ補助器の応用例として図1の書類綴じ補助器に付設される書類押え板を示す平面図である。
【図6】図5の書類押え板の使用状態を説明するための斜視図である。
【図7】本発明における第2の実施の形態の斜視図である。
【図8】図7のY−Y線に沿う断面図である。
【図9】本発明における第3の実施の形態の斜視図である。
【図10】図9の書類綴じ補助器の応用例を示す斜視図である。
【図11】本発明における第4の実施の形態の底面図である。
【図12】(A)は図11のZ−Z線に沿う断面図、(B)は図11の書類綴じ補助器の脚体の動作を説明するための拡大した部分底面図、(C)は図7の側面図である。
【図13】(A),(B),(C)は図11の書類綴じ補助器の脚体の機能を説明するための側面図である。
【図14】図11の書類綴じ補助器の平面図である。
【図15】(A)は図14の書類綴じ補助器に書類押え板を付設した場合の連結部分の構成を説明するための拡大した部分平面図、(B)は(A)の正面図である。
【図16】図11の書類綴じ補助器の応用例を示す平面図である。
【図17】(A),(B)は専用の書類押え板を付設した図16の書類綴じ補助器の作用を説明するための拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明における第1の実施の形態である書類綴じ補助器1Aの斜視図を示している。本発明は、ステープラー又は穴開けパンチを用いて日本工業規格による同一サイズの用紙を重ねた書類を綴る際に、予定した位置でステープルの打設又は穴開け作業が正確に行えるようにガイドするための器具であり、綴る対象の用紙はA4又はB5を想定しているが、以下の形態においてはA4の場合を説明するものとする。
【0022】
書類綴じ補助器1Aは所定の厚さを有した板材7を使用しており、その素材として木材やプラスティックを用いることを想定している。この場合、外形の長辺・短辺のサイズがA4用紙と一致した載置面100を構成する板材7の外周位置にて、切り欠き箇所を除く部分に垂直に立設した所定高さの壁体15を有してその内周面で載置面100に載せた書類の総ての用紙を端縁が揃った状態で保持する書類載置台10からなり、その板材7の下側部分がこの書類載置台10を卓上の所定高さ位置で載置面100が水平の状態にて支持する支持部を兼ねたものとなっている。尚、壁体15は切り欠き部分で分断されて実際には複数となっているが、切り欠きがない場合は外周総てに亘って形成される性格のものであるため、全体として壁体15と称することにしている。また、載置面100の各サイズが用紙サイズに一致するとしたのは重なった用紙を綺麗に揃える目的によるものであるから、厳密な意味の完全一致を指しているのではなく、温度や湿度の条件により用紙が伸び縮みすること等を鑑みれば、少なくとも用紙が壁体15内周側に収まるのであれば1mm前後の誤差は許容することができる。
【0023】
そして、この書類載置台10には、その外周側から各辺の直角方向所定深さで壁体15及び板材7が切り欠かれてステープラー又は穴開けパンチを書類における所定のステープル打設位置又は穴開け位置に案内するための複数のガイド切り欠き17a,17b,17c,17d,17e,20a,20bが設けられており、載置台10に載せた書類をその下方にステープラー又は/及び穴開けパンチの下側部材先端側が挿入可能な高さで用紙が揃った状態のまま保持しながら、外周側から挿入したステープラー又は/及び穴開けパンチを各ガイド切り欠きで案内して位置決めさせるようになっている。
【0024】
図2は、この書類綴じ補助器1Aを用いてA4用紙を複数枚重ねた書類200を綴る場合を説明するための斜視図である。例えば、レーザープリンターでA4のコピー用紙に複数枚印刷した場合、すぐに綴る際には印刷時の熱で用紙が湾曲しているためこれらの端縁側を手で揃えるのが難しいところ、A4と同一サイズの載置面100を有して内側の短径・長径がA4サイズになるように立設した壁体15を備えてなる書類載置台10に手で大雑把に揃えた書類200を載せるだけで、総ての用紙の端縁が正確に揃った状態となる。
【0025】
本実施の形態の場合、ガイド切り欠き17a,17bはステープラー5による2箇所止めの位置に設けられ、ガイド切り欠き17c,17d,17eはステープラーによる3箇所止めの位置に設けられている。また、各切り欠きの外周からの深さは使用するステープラー5の下側部材5bのステープル打設位置に応じて用紙の端縁から適度な位置で打設できる深さとしてある。これにより、従来の目測による打設においてステープル止めの位置が不正確で仕上がりの美しさに欠けていたのに対し、熟練を要することなく挿入するだけでステープラーが自動的に位置決めされ、正確な位置にて打設することができる。
【0026】
また、ガイド切り欠き17a,17bの間の部分及び短辺の一方には、穴開けパンチ6に対応した幅広のガイド切り欠き20a,20bが設けられており、書類200の長辺の2等分線及び短辺の2等分線の位置に穴開けパンチ6の中心線が来るようにガイドされて穴開け作業が行えるようになっている。これにより、従来は書類200を予め2つ折りにして2等分線の位置に折り線を設ける手間を要したり目測で不正確な位置に穴開けしたりしていたのに対し、熟練を要することなく挿入するだけで穴開けパンチ6が自動的に位置決めされて、正確な位置にて穴開け作業を行えるものとなる。
【0027】
尚、使用するステープラー5の下側部材5b先端側の高さと、使用する穴開けパンチ6の下側部材6b先端側の高さが近似している場合は、卓上面からの載置面100の高さをこれらに応じた高さ(通常6〜18mm)としておくことで、ステープラー5及び穴開けパンチ6の各々を卓上に置いたまま上側部材5a,6aを手で押し下げるだけで作業が行えるものとなる。また、上述した各ガイド切り欠きの幅は、使用するステープラーや穴開けパンチの幅よりも僅かに大きく設定することが好ましく、その幅の真ん中になるように目測で挿入すれば良い。
【0028】
また、穴開けパンチ6の下側部材6bがステープラー5の下側部材5bよりも大幅に高い場合は、卓上からの載置面100の高さを穴開けパンチ6の方に適合した高さに設定しておき、ステープラー5を使用する場合には、書類綴じ補助器1Aを綴る側が卓上の端になるように置いてから、ステープラー5を手で持ち上げて書類200の高さに合わせた状態にして打設すれば良い。
【0029】
図3は前述した書類綴じ補助器1Aの応用例としての書類綴じ補助器1Bの平面図を示している。この書類綴じ補助器1Bは、ステープラー用のガイド切り欠き18a,18b,18c,18d,18eに、ステープラー5の下側部材5bにおける打設位置に応じて用紙の端縁から適切な深さ位置で打設させるように調整可能とした挿入深さ調整手段としてのストッパ板70及びそれを深さ位置を変えて段階的に挿入させる複数の凹部を有した調整用溝170,170を設けた点を特徴としている。
【0030】
この調整用溝170は、ガイド切り欠き18a,・・の奥側左右の側壁を載置面110から板材8の厚さ方向中程まで三角柱状に切り欠いて形成した凹部を奥行き方向に連設してなるものであり、短径が板材8の厚さに一致し長径がガイド切り欠き18a,・・の幅に一致した長方形の板材であるストッパ板70の短辺端面の上半分で三角柱状に突設した挿入凸部70a,70bを、各々上から所望位置の凹部に挿入して、ステープラー5の挿入深さ位置を段階的に設定・調整できるようになっている。
【0031】
図4は、図3のX−X線に沿う断面図を示しているが、ガイド切り欠き18eに一点鎖線で示すステープラー5を挿入した場合に、下側部材5bの先端がストッパ板70に当接して挿入が停止され、書類200の用紙端縁から適度な位置にてステープルの打設が行えるようになっている。尚、これよりも浅い位置で打設したい場合は、調整用溝170における浅い位置の凹部にストッパ板70を挿入し、さらに深い位置で打設したい場合は調整用溝170におけるもう一段深い位置にストッパ板70を挿入するかストッパ板70を外して使用すれば良い。
【0032】
また、この応用例では、板材8の裏側面に脚挿入用凹部112a,112bが4隅の角部に設けられており、これにブロック状の脚体113を嵌入することにより書類載置台11を支持する支持部の一部分及び載置面高さ調整手段を構成するようになっている。また、脚挿入用凹部112a,112bはその深さが段階的に異なっており、脚体113を使用しない場合を含めると3種類の載置面110の高さh1〜h3を選択して調整を行うことができ、様々な種類のステープラー・穴開けパンチに対応可能となっている。
【0033】
図5は、前述の書類綴じ補助器1Aの応用例としてこれに付設される書類押え板14を示している。この書類押え板14は、板材140を平面視の長辺・短辺のサイズ及び形状が書類載置台10の載置面100と一致する(厳密な意味の完全一致ではなく挿入可能とする範囲で僅かに小さい)とともにその厚さが壁体15の高さよりも小さく形成してなるものであり、壁体15内周側に上から挿入して載置面100に載置できるようになっている。
【0034】
この書類押え板14には、載置面100に形成された各ガイド切り欠きにサイズ・形状・位置が一致した切り欠き142a,142b,142c,142d,142e,143a,143bが設けられており、書類載置台10に載せた書類200に被せて上から押さえ付けた状態にて、ステープラー5又は/及び穴開けパンチ6を外周側から挿入して使用することを可能としている。
【0035】
図6は、書類載置台10に書類押え板14を付設してなる書類綴じ補助器1Cの使用状態を説明するためのものであり、これを使用する際には図示しない書類200を書類載置台10の載置面100に載せた後、書類押え板14上面に形成した梁140bを指で把持しながら壁体15内周側に上から挿入して書類200を押さえ付けるようにして載置する。
【0036】
そして、ステープラー5を用いる場合は、梁140b,ガイドライン140c,140d,140e,140fを目視しながらステープラー5の中心と向きをこれに合わせ、穴開けパンチ6を用いる場合は、梁140b,ガイドライン140hを目視しながら穴開けパンチ6の中心と向きをこれに合わせることで一層正確な位置決めが行える。尚、前記ガイドラインの代わりにドットやドットの連続等による目印を表示しても前記同様の機能を発揮することができる。また、斯かる書類押え板14は、この応用例に限らず、本発明による書類綴じ補助器の総てに付設して前述の機能を発揮させることが可能である。
【0037】
図7は、本発明における第2の実施の形態である書類綴じ補助器1Dの平面図を示しており、前述した第1の実施の形態が木材やプラスティックを素材に用いることを想定しているのに対し、本実施の形態ではアルミニウムやステンレス等の金属薄板を所定形状にカットして板金作業又は/及び型プレスにて形成することを想定したものである。
【0038】
この書類綴じ補助器1Dの基本構成は、載置面100の外周側に壁体16が形成されて、ガイド切り欠き19a,19b,19c,19d,19e,22a,22bが設けられている点で第1の実施の形態と同様であるが、壁体16が載置面120から裏面、さらにその下側まで延設されてその下半分が書類載置台12の支持部の一部を兼ねるものとされ、書類載置台12の下側部分が中空になっている点を特徴としている。
【0039】
このように、板材13を弾性のある薄い素材で作成したことにより、載置面120の高さが使用するステープラーや穴開けパンチの下側部材よりも少々高い場合であっても、作業の際に板材13自体が撓って書類200の下面側を下側部材上面に密着させやすくなるため、正確かつ美しい仕上がりを実現しやすくなる利点もある。
【0040】
また、ステープラー5用のガイド切り欠き19a,19b,19c,19d,19eに挿入深さ調整手段が設けられている点は類綴じ補助器1Bと同様であるが、これがストッパ板70ではなくガイド切り欠きの奥側の壁にネジ80を挿入方向に螺入してなるものとされ、このネジ80を回すだけで挿入深さを容易に調整可能となっている点が特徴となっている。尚、このネジ80の螺入による挿入深さ調整手段も、本発明による総ての書類綴じ補助器に適用して同様の機能を発揮させることが可能である。
【0041】
また、板材13における載置面120の裏側には、脚固定部122が四隅の角部分に各々設けられており、これにゴム等で作成したネジ固定式の脚体144が各々固定されて壁体16下部側とともに書類載置台12の支持部の一部分及び載置面高さ調整手段を構成している。図7のY−Y線に沿う断面図である図8を参照して、脚固定部122は段階的に高さを変えて形成された複数の脚取付け面に各々ネジ孔を有しており、本実施の形態では脚体114を用いない場合を含めて、載置面120の高さをh1〜h4の4段階に選択・調整することができる。
【0042】
図9は、本発明における第3の実施の形態である書類綴じ補助器1Eを示している。本実施の形態の構成も第1の実施の形態の書類綴じ補助器1Aと殆ど共通しているが、これよりも板材9を薄くするとともに壁体26aの裏側にこれよりも低い壁体26bを反対方向に突設した構成となっており、表裏両方で使用できるようになっている点を特徴としている。
【0043】
このように、板材9を挟んで上下に延びた壁体26a,26bを互いに異なる高さとしたことにより、表と裏で載置面の高さを異なる状態にして使用することができ、これらが支持部を兼ねながら、支持部の高さを調整するための載置面高さ調整手段を使用することなく、2段階の載置面の高さh1,h2(図10参照)にて使用可能としている。
【0044】
図10は、書類綴じ補助器1Eの応用例としての書類綴じ補助器1Fを示しており、この応用例でもステープラー用のガイド切り欠きの挿入深さ調整手段としてネジ90を挿入方向に螺入している点は上述した書類綴じ補助器1Dと同様である。しかし、この応用例においては、板材9が薄いためにネジ頭の外周側が載置面130よりも上に突出して書類200を平行に載せにくくなることから、ネジ頭の中心に対しネジ軸を偏芯してなるネジ90を使用している点を特徴としており、これにより、ネジ頭の長い方を下向きの状態にして使用することで、載置面130側に突出しないものとなる。
【0045】
図11は、本発明における第4の実施の形態である書類綴じ補助器1Gの底面図を示している。本実施の形態は、書類載置台10Bの板材7Bを支える支持部が、板材7B裏面側の少なくとも四隅に設けられた上下方向に弾性変形可能な4本の脚体115で構成され、載置面100B(図12(A)参照)側に所定レベル以上の圧力を上から加えることで脚体115が圧縮変形しながら載置面100Bを下降させ、圧力を解除することで脚体115が弾性反発力で載置面100Bを元の高さに戻すようになっている点を特徴としたものである。
【0046】
また、この書類綴じ補助器1Gは、フラットクリンチ式のステープラーでステープルを打設する際に、ステープラーの上側部材を上から押圧することによるステープル針先貫通後の折り曲げ動作時に、ステープラー下側部材針受け部の下降動作に追従しながら載置面の少なくとも打設位置側を下降させるように、所定の脚体115が弾性変形するようになっている。
【0047】
そのため、使用するステープラーや穴開けパンチの下側部材に対し載置面100Bが高い場合であっても、これを上から押圧することでその高さを合わせられることに加え、針受け部が上下するフラットクリンチ式ステープラーにおける2段階目の下降動作に対しても、載置面100Bの高さを針受け部に追従して下降させることができ、書類に変形痕を残すことなくしっかりとステープル止めを行えるようになる。
【0048】
図12を参照しながら本実施の形態による機能的な特徴部分を説明すると、図(A)は図11のZ−Z線に沿う断面図であるが、支持部を構成する4本の脚体115は、短冊状の金属板や樹脂板等をヘアピン状に湾曲させてバネ状の弾性部材を形成するとともに、その基端側の外面からキノコ状の軸115bを突設してなるものであり、取り付けた状態で上下方向に弾性変形可能なものとなっている。
【0049】
また、この脚体115は、板材7Bの裏面から穿設した軸孔71に軸115bを嵌入することによりこれを中心に約90°の範囲で旋回可能に枢着された状態となっており、図(A)の位置では脚体115の先端側が持ち上がって載置面100Bが最も高くなっている。尚、本実施の形態においては、上述したものよりも簡易化したストッパ板95を用いており、側面視横向きL字状の板材上面左右両側を、両面テープ等の貼付手段で板材7Bの裏面各ガイド切り欠き17f〜17jの所定位置(目盛りに合わせて)に張り付けて設ける構成としている。
【0050】
さらに、図(B)に示すように、板材7B裏面の脚体115の90°の旋回軌道に沿って弧状のスロープ123が突出して形成されており、図(B)の位置では脚体115の先端側が持ち上がっておらず載置面100Bが最も低い位置であり、この位置から脚体115の先端側を図中下向きに旋回させることで、脚体115はスロープ123の上面を滑りながら先端側を持ち上げられて、破線で示す脚体115の角度位置で載置面100Bが最も高くなる。
【0051】
したがって、四隅の脚体115の旋回角度を操作するだけで、載置面100Bの高さを容易に調整することができる点が特徴となっている。尚、図(C)は脚体115が図(B)の角度位置の場合の書類綴じ補助器1Gの側面図であるが、この状態で脚体115の突出量(持ち上げ量)は最も小さく、載置面100Bの高さが最も低くなっている。
【0052】
図13を参照して、フラットクリンチ式のステープラー5Bを用いたステープル止め作業における脚体115の作用を説明する。先ず、図(A)のように、下側部材の針受け部5c上面の高さが載置面100Bの高さに一致した状態で、ステープラー5Bがガイド切り欠き17gに挿入される。
【0053】
次に、図(B)に示すようにステープラー5Bの上側部材を上から押圧して閉じ方向に動かすことによりステープルの針先が書類200を貫通するが、この時点で載置面100Bの高さは変わっていない。さらに押圧を続けると、図(C)のように、主として打設位置側の脚体115が弾性変形して載置面100Bを下降させながら、ステープラー5B下側部材の針受け部5c上面の下降動作に追従し、スムースに針曲げ動作を完了させる。
【0054】
例えば針受け部5cの下降量が5mmとすると、脚体115を3mm程度弾性変形可能とすれば、板材7B及び書類200の僅かな撓みが加わって合計5mm程度の下降動作を実現(但し卓上面との隙間は5mm以上)することから、ステープル針先の折り曲げ動作がスムースに行われ、打設位置の書類200を過剰に変形させることなく確実なステープル止めを行なうことができる。
【0055】
図14は書類綴じ補助器1Gの平面図を示している。本実施の形態では、載置面100Bにおけるステープル用の各ガイド切り欠き17H〜17gの端縁位置となる角部分を面取りした面取り面171〜175を設けている点も特徴部分となっている。この面取り面171〜175は、5mm程度の幅で端縁側の面取り深さが1〜2mm程度を想定している。
【0056】
この面取り面171〜175があることで、フラットクリンチ式ステープラーの下側部材針受け部の下降動作に対し、書類200のガイド切り欠きの形状・位置に一致する部分が下方向に撓みやすくなるため、前述した載置面100Bの下降幅を大きく設定しなくても、確実なステープル止めを実現しやすいものとなる。尚、この面取り面171〜175は、上述した総ての実施の形態においても適用することができ、フラットクリンチ式のステープラーを使用する際に同様の機能を発揮することができる。
【0057】
図15は、前述した書類綴じ補助器1Gに専用の書類押え板14Bを付設した場合の両部材の連結部分の詳細な構成を示しており、図(A)は平面図、図(B)は側面図を示している。この書類押え板14Bは、上述した書類押え板14とほぼ同様の構成であるが、その2つの長辺を構成する側面の一端側に凸軸141,142が対で突設されている。
【0058】
この対の凸軸141,142を、書類載置台10Bにおける周壁15Bの対応位置に形成した軸溝151,152に上から挿入し、その開口部を押え金具155,156で閉鎖したことにより、書類押え板14Bを凸軸141,142を中心に開閉可能な状態で連結している。これにより、書類綴じ補助器1Gと書類押え板14Bが一体となるため、作業が迅速に行えるとともに収納の際に便利なものとなる。尚、凸軸141,142の直径は軸溝151,152の幅よりも小さいものとして、書類押え板14Bが最も開いた状態(例えば100°以上)で停止するようにすることで、書類200を載置する際に書類押え板14Bが邪魔にならない。また、この連結方式は前述した総ての書類押え板を用いる実施例にも適用可能である。
【0059】
図16は前述の書類押え板1Gの応用例としての書類押え板1Hの平面図を示している。この例では、板材7Cの書類載置面100Cに書類300を3つ折りにする際の目印(痕跡)を形成させるための折り溝153,154を形成してなる書類載置台10Cとした点を特徴としている。
【0060】
この折り溝153,154は、図17(A)に示すように板材7C上面を横向き三角柱状に短径方向に切り欠いて溝を形成したものであり、比較的薄い書類300を載置面100Cに載置した状態で、下面の対応位置に横向き三角柱状に短径方向に突条143,144を設けた書類押え板14Cをセットして押圧することにより、書類300の表面に僅かな線状の痕跡が形成されるようになっている。この2つの線を基準に書類300を折り曲げれば綺麗な三つ折りになるため、手紙等を折り畳んで封筒に入れる場合に極めて便利である。
【0061】
以上、述べたように、本発明により、書類の綴り作業について熟練を要することなく正確かつ容易に行えるようになった。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H 書類綴じ補助器、5,5B ステープラー、6 穴開けパンチ、7,7B,7C,8,9,13,140 板材、10,10B,10C,11,12 書類載置台、15,15C,16,26a,26b 壁体、14,14B 書類押え板、17a,17b,17c,17d,17e,18a,18b,18c,18d,18e,19a,19b,19c,19d,19e,20a,20b,22a,22b ガイド切り欠き、70,95 ストッパ板、80,90 ネジ、100,100B,100C,110,120,130 載置面、112a,112b 挿入用凹部、113,114,115 脚体、122 脚固定部、140b 梁、140c,140d,140e,140f,140g,140h ガイドライン、142a,142b,142c,142d,142e、43a,143b 切り欠き、170 調整用溝、200,300 書類
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類綴じ補助器に関し、殊に、所定の規格による同一サイズの用紙を重ねた書類をステープラーや穴開けパンチを用いて綴る際に、その作業を正確に行えるように補助する書類綴じ補助器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の用紙を重ねた書類を綴って一冊に纏める際には、ステープル(ホッチキス針)で留めたりパンチ穴を穿設してバインダーや綴り紐で留めたりすることが行われている。ステープラー(ホッチキス)を用いて綴る場合は、書類の長辺側の2又は3箇所でステープル止めするのが一般的であり、穴開けパンチの場合は2穴式のものを用いて書類の長辺側又は短辺側に2つのパンチ穴を同時に穿設するのが一般的である。
【0003】
しかし、ステープラーを用いて綴る場合、書類における長辺の二等分線を挟んだ対称位置に打設することに加え用紙端縁から同一深さで止めることが外観上好ましいところ、目測による手作業で行うのが通常であるため、正確な位置決めが実際には困難であった。また、穴開けパンチの場合も、毎回同じ位置でパンチ穴を開けないと書類を重ねて綴る際に端縁側が揃わなくなることから、穿設対象になる辺の二等分線から同一距離で2つのパンチ穴を設けるために書類を一旦2つ折りにして目印を設けているのが一般的であり、折り目が残って外観上好ましくなかった。
【0004】
斯かる問題に対し、特開2000−354999号公報には、書類の上に重ねる方形状の板体に正しいパンチ穴の位置にガイド用の穴を設けるとともに書類の二等分線に相当する位置に中心位置決め表示部を表示してなるパンチ穴開け補助器が提案され、書類を折り曲げずにパンチ穴の位置決めを行えるガイドとして使用できるものとしている。
【0005】
また、特開2006−198756号公報には、書類と同一サイズにした透明シートの端縁側に穴開けパンチの基準位置となる印を表示することに加え、ステープラーの基準位置となる切り欠きを設けてなるガイドシートも提案されており、穴開けパンチとステープラーの両方の位置決めを行えるガイドとして知られている。
【0006】
ところが、これらのガイドは複数枚の用紙を正確に重ねた書類の上に板体やシートの端縁側を正確に合わせて載せた状態にて作業を行うものであるところ、A4やB5等の日本工業規格による同一サイズの用紙であったとしても、例えばレーザープリンターによる熱で湾曲したコピー用紙や折り目のある用紙が集合した書類の場合は、総ての用紙の端縁を正確に揃えて重ねることは実際には容易ではない。
【0007】
また、用紙がいったん正確に揃った場合でも、厚い書類の場合は綴り作業の途中に用紙間でずれが生じやすく、さらに前述の補助具やガイドシートは書類の上に載せただけの状態で使用するものであることから、用紙同士が作業途中でずれ動いてしまいやすいという難点もあり、これらをガイドとして用いても書類を正確に綴ることが容易ではないケースも多い。
【0008】
殊に、ステープラーを用いて綴る場合は、書類とステープラーの両方を手に持った状態で行うため、ステープルを複数回打設するうちに用紙間のずれが拡大しやすくなるという問題もある。また、穴開けパンチの場合はこれを卓上に置いて作業を行うところ、書類の下側に位置する下側部材が厚い機種では、書類の穴を開ける側が持ち上がって斜めになることでずれが生じやすくなる。そのため、厚い書類を作成して顧客に提出するような業種においては、正確に美しく綴られた書類が好まれることから、綴り作業に熟練した事務員が一部ずつ手間と時間をかけながら手作業で行っているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−354999号公報
【特許文献2】特開2006−198756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、書類の綴り作業について、熟練を要することなく正確かつ容易に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、ステープラー又は穴開けパンチを用いて書類を綴る際に予定した位置にてステープルの打設又は穴開けの作業を正確に行えるようにガイドする書類綴じ補助器であって、所定の規格による所定サイズの用紙と長辺・短辺のサイズが一致した載置面を構成する板材の外周側所定範囲で所定高さの壁体が立設されてこの壁体内周側で載置面に載せた書類の総ての用紙を端縁が揃った状態で保持する書類載置台と、この書類載置台を卓上の所定高さ位置で載置面を水平にして支持する支持部と、書類載置台の外周側から所定深さで壁体及び板材が切り欠かれてステープラー又は穴開けパンチを書類における所定のステープル打設位置又は穴開け位置に案内するガイド切り欠きが複数設けられており、載置台に載せた書類をその下方にステープラー又は/及び穴開けパンチの下側部材先端側が挿入可能な高さで用紙が揃った状態のまま保持しつつ、外周側から挿入したステープラー又は/及び穴開けパンチをガイド切り欠きで案内しながら位置決めさせて前記作業を行わせる、ことを特徴とするものとした。
【0012】
このように、書類載置台に載せた書類をステープラー又は/及び穴開けパンチを挿入可能な高さで用紙の端縁が揃った状態のまま保持しながら、ガイド切り欠きでステープラー又は穴開けパンチを正確な位置に案内して位置決めさせるものとしたことで、誰が書類の綴り作業を行っても正確で美しい仕上がりを容易に実現可能なものとなる。
【0013】
また、この書類綴じ補助器において、平面視の長辺・短辺のサイズ及び形状が書類載置台の載置面と一致するとともに壁体内周側に上から挿入して載置面に載せることのできる書類押え板を備えており、この書類押え板には載置面に形成されている各ガイド切り欠きとサイズ・形状・位置の一致した切り欠きが設けられており、書類載置台に載せた書類に被せて上から押さえ付けた状態にて、ステープラー又は/及び穴開けパンチを外周側から挿入して使用することが可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、載置面に重ねた用紙を書類押え板で上から押さえ付けて密着させた状態で書類の綴り作業を行えるものとなる。
【0014】
さらに、この書類押え板を備えた書類綴じ補助器において、その書類押え板の上面には、各ガイド切り欠きの挿入方向先端側にステープラー又は穴開けパンチの先端側をガイド切り欠き内の中心線上に位置決めさせるための目印又はガイドラインが表示されている、ことを特徴としたものとすれば、ステープラー又は/及び穴開けパンチの位置決めが更に正確に行えるようになる。
【0015】
さらにまた、上述した書類綴じ補助器において、そのガイド切り欠きのうち少なくともステープラー用のものには、ステープラーの下側部材先端面に当接してその挿入深さを規制するとともに規制する深さ位置の変更・調整を可能とする挿入深さ調整手段が設けられている、ことを特徴としたものとすれば、使用するステープラーの種類に応じて正確な位置にてステープルの打設が行えるものとなる。
【0016】
加えて、上述した書類綴じ補助器において、その書類載置台の板材は表裏両面を載置面として使用可能とされ、その壁体が各載置面外周側部分から上下に延設されて各々支持部を兼ねるとともにその先端までの長さが互いに異なり、卓上に置いた際の載置面の高さが表と裏で異なるものとされ、下側部材の高さが異なるステープラー又は/及び穴開けパンチに各々対応可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、裏返して使用するだけで、下側部材の高さが異なるステープラー又は/及び穴開けパンチに対応可能なものとなる。
【0017】
或いは、上述した書類綴じ補助器において、表裏両面を使用して載置面の高さを変更する前記方式とは異なり、書類載置台の板材を支持する支持部が、板材裏面側の少なくとも四隅に設けられた上下方向に弾性変形可能な脚体で構成され、所定レベル以上の圧力を上から加えることで脚体が変形しながら載置面を下降させ、圧力を解除することで脚体が弾性反発力で載置面を元の高さに戻すものとされ、フラットクリンチ式のステープラーでステープルを打設する際には、ステープル針先貫通後の折り曲げ動作時にステープラー下側部材針受け部の下降動作に追従して載置面の少なくとも打設位置側を下降させるように所定の脚体が弾性変形する、ことを特徴としたものとすれば、使用するステープラーや穴開けパンチの下側部材に対し載置面が高い場合であっても、これを上から押圧することで高さ調整が可能であることに加え、フラットクリンチ式のステープルによる2段階目の下降動作に対しても載置面の高さを追従可能として、あらゆる状況でステープル止めの綺麗な仕上がりを実現しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0018】
書類をステープラーや穴開けパンチを挿入可能な高さで用紙が揃った状態のまま保持しながら、ガイド切り欠きでステープラーや穴開けパンチを正確な位置に案内して位置決めさせる構成とした本発明によると、熟練を要することなく書類の綴り作業が正確かつ容易に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における第1の実施の形態の斜視図である。
【図2】図1の書類綴じ補助器の使用状態を説明するための斜視図である。
【図3】図1の書類綴じ補助器の応用例を示す平面図である。
【図4】図3のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図1の書類綴じ補助器の応用例として図1の書類綴じ補助器に付設される書類押え板を示す平面図である。
【図6】図5の書類押え板の使用状態を説明するための斜視図である。
【図7】本発明における第2の実施の形態の斜視図である。
【図8】図7のY−Y線に沿う断面図である。
【図9】本発明における第3の実施の形態の斜視図である。
【図10】図9の書類綴じ補助器の応用例を示す斜視図である。
【図11】本発明における第4の実施の形態の底面図である。
【図12】(A)は図11のZ−Z線に沿う断面図、(B)は図11の書類綴じ補助器の脚体の動作を説明するための拡大した部分底面図、(C)は図7の側面図である。
【図13】(A),(B),(C)は図11の書類綴じ補助器の脚体の機能を説明するための側面図である。
【図14】図11の書類綴じ補助器の平面図である。
【図15】(A)は図14の書類綴じ補助器に書類押え板を付設した場合の連結部分の構成を説明するための拡大した部分平面図、(B)は(A)の正面図である。
【図16】図11の書類綴じ補助器の応用例を示す平面図である。
【図17】(A),(B)は専用の書類押え板を付設した図16の書類綴じ補助器の作用を説明するための拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明における第1の実施の形態である書類綴じ補助器1Aの斜視図を示している。本発明は、ステープラー又は穴開けパンチを用いて日本工業規格による同一サイズの用紙を重ねた書類を綴る際に、予定した位置でステープルの打設又は穴開け作業が正確に行えるようにガイドするための器具であり、綴る対象の用紙はA4又はB5を想定しているが、以下の形態においてはA4の場合を説明するものとする。
【0022】
書類綴じ補助器1Aは所定の厚さを有した板材7を使用しており、その素材として木材やプラスティックを用いることを想定している。この場合、外形の長辺・短辺のサイズがA4用紙と一致した載置面100を構成する板材7の外周位置にて、切り欠き箇所を除く部分に垂直に立設した所定高さの壁体15を有してその内周面で載置面100に載せた書類の総ての用紙を端縁が揃った状態で保持する書類載置台10からなり、その板材7の下側部分がこの書類載置台10を卓上の所定高さ位置で載置面100が水平の状態にて支持する支持部を兼ねたものとなっている。尚、壁体15は切り欠き部分で分断されて実際には複数となっているが、切り欠きがない場合は外周総てに亘って形成される性格のものであるため、全体として壁体15と称することにしている。また、載置面100の各サイズが用紙サイズに一致するとしたのは重なった用紙を綺麗に揃える目的によるものであるから、厳密な意味の完全一致を指しているのではなく、温度や湿度の条件により用紙が伸び縮みすること等を鑑みれば、少なくとも用紙が壁体15内周側に収まるのであれば1mm前後の誤差は許容することができる。
【0023】
そして、この書類載置台10には、その外周側から各辺の直角方向所定深さで壁体15及び板材7が切り欠かれてステープラー又は穴開けパンチを書類における所定のステープル打設位置又は穴開け位置に案内するための複数のガイド切り欠き17a,17b,17c,17d,17e,20a,20bが設けられており、載置台10に載せた書類をその下方にステープラー又は/及び穴開けパンチの下側部材先端側が挿入可能な高さで用紙が揃った状態のまま保持しながら、外周側から挿入したステープラー又は/及び穴開けパンチを各ガイド切り欠きで案内して位置決めさせるようになっている。
【0024】
図2は、この書類綴じ補助器1Aを用いてA4用紙を複数枚重ねた書類200を綴る場合を説明するための斜視図である。例えば、レーザープリンターでA4のコピー用紙に複数枚印刷した場合、すぐに綴る際には印刷時の熱で用紙が湾曲しているためこれらの端縁側を手で揃えるのが難しいところ、A4と同一サイズの載置面100を有して内側の短径・長径がA4サイズになるように立設した壁体15を備えてなる書類載置台10に手で大雑把に揃えた書類200を載せるだけで、総ての用紙の端縁が正確に揃った状態となる。
【0025】
本実施の形態の場合、ガイド切り欠き17a,17bはステープラー5による2箇所止めの位置に設けられ、ガイド切り欠き17c,17d,17eはステープラーによる3箇所止めの位置に設けられている。また、各切り欠きの外周からの深さは使用するステープラー5の下側部材5bのステープル打設位置に応じて用紙の端縁から適度な位置で打設できる深さとしてある。これにより、従来の目測による打設においてステープル止めの位置が不正確で仕上がりの美しさに欠けていたのに対し、熟練を要することなく挿入するだけでステープラーが自動的に位置決めされ、正確な位置にて打設することができる。
【0026】
また、ガイド切り欠き17a,17bの間の部分及び短辺の一方には、穴開けパンチ6に対応した幅広のガイド切り欠き20a,20bが設けられており、書類200の長辺の2等分線及び短辺の2等分線の位置に穴開けパンチ6の中心線が来るようにガイドされて穴開け作業が行えるようになっている。これにより、従来は書類200を予め2つ折りにして2等分線の位置に折り線を設ける手間を要したり目測で不正確な位置に穴開けしたりしていたのに対し、熟練を要することなく挿入するだけで穴開けパンチ6が自動的に位置決めされて、正確な位置にて穴開け作業を行えるものとなる。
【0027】
尚、使用するステープラー5の下側部材5b先端側の高さと、使用する穴開けパンチ6の下側部材6b先端側の高さが近似している場合は、卓上面からの載置面100の高さをこれらに応じた高さ(通常6〜18mm)としておくことで、ステープラー5及び穴開けパンチ6の各々を卓上に置いたまま上側部材5a,6aを手で押し下げるだけで作業が行えるものとなる。また、上述した各ガイド切り欠きの幅は、使用するステープラーや穴開けパンチの幅よりも僅かに大きく設定することが好ましく、その幅の真ん中になるように目測で挿入すれば良い。
【0028】
また、穴開けパンチ6の下側部材6bがステープラー5の下側部材5bよりも大幅に高い場合は、卓上からの載置面100の高さを穴開けパンチ6の方に適合した高さに設定しておき、ステープラー5を使用する場合には、書類綴じ補助器1Aを綴る側が卓上の端になるように置いてから、ステープラー5を手で持ち上げて書類200の高さに合わせた状態にして打設すれば良い。
【0029】
図3は前述した書類綴じ補助器1Aの応用例としての書類綴じ補助器1Bの平面図を示している。この書類綴じ補助器1Bは、ステープラー用のガイド切り欠き18a,18b,18c,18d,18eに、ステープラー5の下側部材5bにおける打設位置に応じて用紙の端縁から適切な深さ位置で打設させるように調整可能とした挿入深さ調整手段としてのストッパ板70及びそれを深さ位置を変えて段階的に挿入させる複数の凹部を有した調整用溝170,170を設けた点を特徴としている。
【0030】
この調整用溝170は、ガイド切り欠き18a,・・の奥側左右の側壁を載置面110から板材8の厚さ方向中程まで三角柱状に切り欠いて形成した凹部を奥行き方向に連設してなるものであり、短径が板材8の厚さに一致し長径がガイド切り欠き18a,・・の幅に一致した長方形の板材であるストッパ板70の短辺端面の上半分で三角柱状に突設した挿入凸部70a,70bを、各々上から所望位置の凹部に挿入して、ステープラー5の挿入深さ位置を段階的に設定・調整できるようになっている。
【0031】
図4は、図3のX−X線に沿う断面図を示しているが、ガイド切り欠き18eに一点鎖線で示すステープラー5を挿入した場合に、下側部材5bの先端がストッパ板70に当接して挿入が停止され、書類200の用紙端縁から適度な位置にてステープルの打設が行えるようになっている。尚、これよりも浅い位置で打設したい場合は、調整用溝170における浅い位置の凹部にストッパ板70を挿入し、さらに深い位置で打設したい場合は調整用溝170におけるもう一段深い位置にストッパ板70を挿入するかストッパ板70を外して使用すれば良い。
【0032】
また、この応用例では、板材8の裏側面に脚挿入用凹部112a,112bが4隅の角部に設けられており、これにブロック状の脚体113を嵌入することにより書類載置台11を支持する支持部の一部分及び載置面高さ調整手段を構成するようになっている。また、脚挿入用凹部112a,112bはその深さが段階的に異なっており、脚体113を使用しない場合を含めると3種類の載置面110の高さh1〜h3を選択して調整を行うことができ、様々な種類のステープラー・穴開けパンチに対応可能となっている。
【0033】
図5は、前述の書類綴じ補助器1Aの応用例としてこれに付設される書類押え板14を示している。この書類押え板14は、板材140を平面視の長辺・短辺のサイズ及び形状が書類載置台10の載置面100と一致する(厳密な意味の完全一致ではなく挿入可能とする範囲で僅かに小さい)とともにその厚さが壁体15の高さよりも小さく形成してなるものであり、壁体15内周側に上から挿入して載置面100に載置できるようになっている。
【0034】
この書類押え板14には、載置面100に形成された各ガイド切り欠きにサイズ・形状・位置が一致した切り欠き142a,142b,142c,142d,142e,143a,143bが設けられており、書類載置台10に載せた書類200に被せて上から押さえ付けた状態にて、ステープラー5又は/及び穴開けパンチ6を外周側から挿入して使用することを可能としている。
【0035】
図6は、書類載置台10に書類押え板14を付設してなる書類綴じ補助器1Cの使用状態を説明するためのものであり、これを使用する際には図示しない書類200を書類載置台10の載置面100に載せた後、書類押え板14上面に形成した梁140bを指で把持しながら壁体15内周側に上から挿入して書類200を押さえ付けるようにして載置する。
【0036】
そして、ステープラー5を用いる場合は、梁140b,ガイドライン140c,140d,140e,140fを目視しながらステープラー5の中心と向きをこれに合わせ、穴開けパンチ6を用いる場合は、梁140b,ガイドライン140hを目視しながら穴開けパンチ6の中心と向きをこれに合わせることで一層正確な位置決めが行える。尚、前記ガイドラインの代わりにドットやドットの連続等による目印を表示しても前記同様の機能を発揮することができる。また、斯かる書類押え板14は、この応用例に限らず、本発明による書類綴じ補助器の総てに付設して前述の機能を発揮させることが可能である。
【0037】
図7は、本発明における第2の実施の形態である書類綴じ補助器1Dの平面図を示しており、前述した第1の実施の形態が木材やプラスティックを素材に用いることを想定しているのに対し、本実施の形態ではアルミニウムやステンレス等の金属薄板を所定形状にカットして板金作業又は/及び型プレスにて形成することを想定したものである。
【0038】
この書類綴じ補助器1Dの基本構成は、載置面100の外周側に壁体16が形成されて、ガイド切り欠き19a,19b,19c,19d,19e,22a,22bが設けられている点で第1の実施の形態と同様であるが、壁体16が載置面120から裏面、さらにその下側まで延設されてその下半分が書類載置台12の支持部の一部を兼ねるものとされ、書類載置台12の下側部分が中空になっている点を特徴としている。
【0039】
このように、板材13を弾性のある薄い素材で作成したことにより、載置面120の高さが使用するステープラーや穴開けパンチの下側部材よりも少々高い場合であっても、作業の際に板材13自体が撓って書類200の下面側を下側部材上面に密着させやすくなるため、正確かつ美しい仕上がりを実現しやすくなる利点もある。
【0040】
また、ステープラー5用のガイド切り欠き19a,19b,19c,19d,19eに挿入深さ調整手段が設けられている点は類綴じ補助器1Bと同様であるが、これがストッパ板70ではなくガイド切り欠きの奥側の壁にネジ80を挿入方向に螺入してなるものとされ、このネジ80を回すだけで挿入深さを容易に調整可能となっている点が特徴となっている。尚、このネジ80の螺入による挿入深さ調整手段も、本発明による総ての書類綴じ補助器に適用して同様の機能を発揮させることが可能である。
【0041】
また、板材13における載置面120の裏側には、脚固定部122が四隅の角部分に各々設けられており、これにゴム等で作成したネジ固定式の脚体144が各々固定されて壁体16下部側とともに書類載置台12の支持部の一部分及び載置面高さ調整手段を構成している。図7のY−Y線に沿う断面図である図8を参照して、脚固定部122は段階的に高さを変えて形成された複数の脚取付け面に各々ネジ孔を有しており、本実施の形態では脚体114を用いない場合を含めて、載置面120の高さをh1〜h4の4段階に選択・調整することができる。
【0042】
図9は、本発明における第3の実施の形態である書類綴じ補助器1Eを示している。本実施の形態の構成も第1の実施の形態の書類綴じ補助器1Aと殆ど共通しているが、これよりも板材9を薄くするとともに壁体26aの裏側にこれよりも低い壁体26bを反対方向に突設した構成となっており、表裏両方で使用できるようになっている点を特徴としている。
【0043】
このように、板材9を挟んで上下に延びた壁体26a,26bを互いに異なる高さとしたことにより、表と裏で載置面の高さを異なる状態にして使用することができ、これらが支持部を兼ねながら、支持部の高さを調整するための載置面高さ調整手段を使用することなく、2段階の載置面の高さh1,h2(図10参照)にて使用可能としている。
【0044】
図10は、書類綴じ補助器1Eの応用例としての書類綴じ補助器1Fを示しており、この応用例でもステープラー用のガイド切り欠きの挿入深さ調整手段としてネジ90を挿入方向に螺入している点は上述した書類綴じ補助器1Dと同様である。しかし、この応用例においては、板材9が薄いためにネジ頭の外周側が載置面130よりも上に突出して書類200を平行に載せにくくなることから、ネジ頭の中心に対しネジ軸を偏芯してなるネジ90を使用している点を特徴としており、これにより、ネジ頭の長い方を下向きの状態にして使用することで、載置面130側に突出しないものとなる。
【0045】
図11は、本発明における第4の実施の形態である書類綴じ補助器1Gの底面図を示している。本実施の形態は、書類載置台10Bの板材7Bを支える支持部が、板材7B裏面側の少なくとも四隅に設けられた上下方向に弾性変形可能な4本の脚体115で構成され、載置面100B(図12(A)参照)側に所定レベル以上の圧力を上から加えることで脚体115が圧縮変形しながら載置面100Bを下降させ、圧力を解除することで脚体115が弾性反発力で載置面100Bを元の高さに戻すようになっている点を特徴としたものである。
【0046】
また、この書類綴じ補助器1Gは、フラットクリンチ式のステープラーでステープルを打設する際に、ステープラーの上側部材を上から押圧することによるステープル針先貫通後の折り曲げ動作時に、ステープラー下側部材針受け部の下降動作に追従しながら載置面の少なくとも打設位置側を下降させるように、所定の脚体115が弾性変形するようになっている。
【0047】
そのため、使用するステープラーや穴開けパンチの下側部材に対し載置面100Bが高い場合であっても、これを上から押圧することでその高さを合わせられることに加え、針受け部が上下するフラットクリンチ式ステープラーにおける2段階目の下降動作に対しても、載置面100Bの高さを針受け部に追従して下降させることができ、書類に変形痕を残すことなくしっかりとステープル止めを行えるようになる。
【0048】
図12を参照しながら本実施の形態による機能的な特徴部分を説明すると、図(A)は図11のZ−Z線に沿う断面図であるが、支持部を構成する4本の脚体115は、短冊状の金属板や樹脂板等をヘアピン状に湾曲させてバネ状の弾性部材を形成するとともに、その基端側の外面からキノコ状の軸115bを突設してなるものであり、取り付けた状態で上下方向に弾性変形可能なものとなっている。
【0049】
また、この脚体115は、板材7Bの裏面から穿設した軸孔71に軸115bを嵌入することによりこれを中心に約90°の範囲で旋回可能に枢着された状態となっており、図(A)の位置では脚体115の先端側が持ち上がって載置面100Bが最も高くなっている。尚、本実施の形態においては、上述したものよりも簡易化したストッパ板95を用いており、側面視横向きL字状の板材上面左右両側を、両面テープ等の貼付手段で板材7Bの裏面各ガイド切り欠き17f〜17jの所定位置(目盛りに合わせて)に張り付けて設ける構成としている。
【0050】
さらに、図(B)に示すように、板材7B裏面の脚体115の90°の旋回軌道に沿って弧状のスロープ123が突出して形成されており、図(B)の位置では脚体115の先端側が持ち上がっておらず載置面100Bが最も低い位置であり、この位置から脚体115の先端側を図中下向きに旋回させることで、脚体115はスロープ123の上面を滑りながら先端側を持ち上げられて、破線で示す脚体115の角度位置で載置面100Bが最も高くなる。
【0051】
したがって、四隅の脚体115の旋回角度を操作するだけで、載置面100Bの高さを容易に調整することができる点が特徴となっている。尚、図(C)は脚体115が図(B)の角度位置の場合の書類綴じ補助器1Gの側面図であるが、この状態で脚体115の突出量(持ち上げ量)は最も小さく、載置面100Bの高さが最も低くなっている。
【0052】
図13を参照して、フラットクリンチ式のステープラー5Bを用いたステープル止め作業における脚体115の作用を説明する。先ず、図(A)のように、下側部材の針受け部5c上面の高さが載置面100Bの高さに一致した状態で、ステープラー5Bがガイド切り欠き17gに挿入される。
【0053】
次に、図(B)に示すようにステープラー5Bの上側部材を上から押圧して閉じ方向に動かすことによりステープルの針先が書類200を貫通するが、この時点で載置面100Bの高さは変わっていない。さらに押圧を続けると、図(C)のように、主として打設位置側の脚体115が弾性変形して載置面100Bを下降させながら、ステープラー5B下側部材の針受け部5c上面の下降動作に追従し、スムースに針曲げ動作を完了させる。
【0054】
例えば針受け部5cの下降量が5mmとすると、脚体115を3mm程度弾性変形可能とすれば、板材7B及び書類200の僅かな撓みが加わって合計5mm程度の下降動作を実現(但し卓上面との隙間は5mm以上)することから、ステープル針先の折り曲げ動作がスムースに行われ、打設位置の書類200を過剰に変形させることなく確実なステープル止めを行なうことができる。
【0055】
図14は書類綴じ補助器1Gの平面図を示している。本実施の形態では、載置面100Bにおけるステープル用の各ガイド切り欠き17H〜17gの端縁位置となる角部分を面取りした面取り面171〜175を設けている点も特徴部分となっている。この面取り面171〜175は、5mm程度の幅で端縁側の面取り深さが1〜2mm程度を想定している。
【0056】
この面取り面171〜175があることで、フラットクリンチ式ステープラーの下側部材針受け部の下降動作に対し、書類200のガイド切り欠きの形状・位置に一致する部分が下方向に撓みやすくなるため、前述した載置面100Bの下降幅を大きく設定しなくても、確実なステープル止めを実現しやすいものとなる。尚、この面取り面171〜175は、上述した総ての実施の形態においても適用することができ、フラットクリンチ式のステープラーを使用する際に同様の機能を発揮することができる。
【0057】
図15は、前述した書類綴じ補助器1Gに専用の書類押え板14Bを付設した場合の両部材の連結部分の詳細な構成を示しており、図(A)は平面図、図(B)は側面図を示している。この書類押え板14Bは、上述した書類押え板14とほぼ同様の構成であるが、その2つの長辺を構成する側面の一端側に凸軸141,142が対で突設されている。
【0058】
この対の凸軸141,142を、書類載置台10Bにおける周壁15Bの対応位置に形成した軸溝151,152に上から挿入し、その開口部を押え金具155,156で閉鎖したことにより、書類押え板14Bを凸軸141,142を中心に開閉可能な状態で連結している。これにより、書類綴じ補助器1Gと書類押え板14Bが一体となるため、作業が迅速に行えるとともに収納の際に便利なものとなる。尚、凸軸141,142の直径は軸溝151,152の幅よりも小さいものとして、書類押え板14Bが最も開いた状態(例えば100°以上)で停止するようにすることで、書類200を載置する際に書類押え板14Bが邪魔にならない。また、この連結方式は前述した総ての書類押え板を用いる実施例にも適用可能である。
【0059】
図16は前述の書類押え板1Gの応用例としての書類押え板1Hの平面図を示している。この例では、板材7Cの書類載置面100Cに書類300を3つ折りにする際の目印(痕跡)を形成させるための折り溝153,154を形成してなる書類載置台10Cとした点を特徴としている。
【0060】
この折り溝153,154は、図17(A)に示すように板材7C上面を横向き三角柱状に短径方向に切り欠いて溝を形成したものであり、比較的薄い書類300を載置面100Cに載置した状態で、下面の対応位置に横向き三角柱状に短径方向に突条143,144を設けた書類押え板14Cをセットして押圧することにより、書類300の表面に僅かな線状の痕跡が形成されるようになっている。この2つの線を基準に書類300を折り曲げれば綺麗な三つ折りになるため、手紙等を折り畳んで封筒に入れる場合に極めて便利である。
【0061】
以上、述べたように、本発明により、書類の綴り作業について熟練を要することなく正確かつ容易に行えるようになった。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H 書類綴じ補助器、5,5B ステープラー、6 穴開けパンチ、7,7B,7C,8,9,13,140 板材、10,10B,10C,11,12 書類載置台、15,15C,16,26a,26b 壁体、14,14B 書類押え板、17a,17b,17c,17d,17e,18a,18b,18c,18d,18e,19a,19b,19c,19d,19e,20a,20b,22a,22b ガイド切り欠き、70,95 ストッパ板、80,90 ネジ、100,100B,100C,110,120,130 載置面、112a,112b 挿入用凹部、113,114,115 脚体、122 脚固定部、140b 梁、140c,140d,140e,140f,140g,140h ガイドライン、142a,142b,142c,142d,142e、43a,143b 切り欠き、170 調整用溝、200,300 書類
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープラー又は穴開けパンチを用いて書類を綴る際に予定した位置にてステープルの打設又は穴開けの作業を正確に行えるようにガイドする書類綴じ補助器であって、
所定の規格による所定サイズの用紙と長辺・短辺のサイズが一致した載置面を構成する板材の外周側所定範囲で所定高さの壁体が立設されて該壁体内周側で前記載置面に載せた書類の総ての用紙を端縁が揃った状態で保持する書類載置台と、該書類載置台を卓上の所定高さ位置で前記載置面を水平にして支持する支持部と、前記書類載置台の外周側から所定深さで前記壁体及び前記板材が切り欠かれてステープラー又は穴開けパンチを前記書類における所定のステープル打設位置又は穴開け位置に案内するガイド切り欠きが複数設けられており、前記載置台に載せた前記書類をその下方にステープラー又は/及び穴開けパンチの下側部材先端側が挿入可能な高さで前記用紙が揃った状態のまま保持しつつ、外周側から挿入したステープラー又は/及び穴開けパンチを前記ガイド切り欠きで案内しながら位置決めさせて前記作業を行わせる、ことを特徴とする書類綴じ補助器。
【請求項2】
平面視の長辺・短辺のサイズ及び形状が前記載置面と一致するとともに前記壁体内周側に上から挿入して前記載置面に載せることのできる書類押え板を備えており、該書類押え板には前記載置面に形成されている前記各ガイド切り欠きとサイズ・形状・位置の一致した切り欠きが設けられており、前記書類載置台に載せた書類に被せて上から押さえ付けた状態にて、ステープラー又は/及び穴開けパンチを外周側から挿入して使用することが可能とされている、ことを特徴とする請求項1に記載した書類綴じ補助器。
【請求項3】
前記書類押え板の上面には、前記各ガイド切り欠きの挿入方向先端側にステープラー又は穴開けパンチの先端側を前記各ガイド切り欠き内の中心線上に位置決めさせるための目印又はガイドラインが表示されている、ことを特徴とする請求項2に記載した書類綴じ補助器。
【請求項4】
前記ガイド切り欠きのうち少なくともステープラー用のものには、ステープラーの下側部材先端面に当接してその挿入深さを規制するとともに規制する深さ位置の変更・調整を可能とする挿入深さ調整手段が設けられている、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した書類綴じ補助器。
【請求項5】
前記板材は、表裏両面を前記載置面として使用可能とされ、前記壁体が前記各載置面外周側部分から上下に延設されて各々前記支持部を兼ねるとともにその先端までの長さが互いに異なり、卓上に置いた際の前記載置面の高さが表と裏で異なるものとされ、前記下側部材の高さが異なるステープラー又は/及び穴開けパンチに各々対応可能とされている、ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載した書類綴じ補助器。
【請求項6】
前記支持部は、前記板材裏面側の少なくとも四隅に設けられた上下方向に弾性変形可能な脚体で構成され、所定レベル以上の圧力を上から加えることで前記脚体が変形しながら前記載置面を下降させ、前記圧力を解除することで前記脚体が弾性反発力で載置面を元の高さに戻すものとされ、フラットクリンチ式のステープラーでステープルを打設する際には、ステープル針先貫通後の折り曲げ動作時にステープラー下側部材針受け部の下降動作に追従して前記載置面の少なくとも打設位置側を下降させるように所定の前記脚体が弾性変形する、ことを特徴とする請求項1,2,3,または4に記載した書類綴じ補助器。
【請求項1】
ステープラー又は穴開けパンチを用いて書類を綴る際に予定した位置にてステープルの打設又は穴開けの作業を正確に行えるようにガイドする書類綴じ補助器であって、
所定の規格による所定サイズの用紙と長辺・短辺のサイズが一致した載置面を構成する板材の外周側所定範囲で所定高さの壁体が立設されて該壁体内周側で前記載置面に載せた書類の総ての用紙を端縁が揃った状態で保持する書類載置台と、該書類載置台を卓上の所定高さ位置で前記載置面を水平にして支持する支持部と、前記書類載置台の外周側から所定深さで前記壁体及び前記板材が切り欠かれてステープラー又は穴開けパンチを前記書類における所定のステープル打設位置又は穴開け位置に案内するガイド切り欠きが複数設けられており、前記載置台に載せた前記書類をその下方にステープラー又は/及び穴開けパンチの下側部材先端側が挿入可能な高さで前記用紙が揃った状態のまま保持しつつ、外周側から挿入したステープラー又は/及び穴開けパンチを前記ガイド切り欠きで案内しながら位置決めさせて前記作業を行わせる、ことを特徴とする書類綴じ補助器。
【請求項2】
平面視の長辺・短辺のサイズ及び形状が前記載置面と一致するとともに前記壁体内周側に上から挿入して前記載置面に載せることのできる書類押え板を備えており、該書類押え板には前記載置面に形成されている前記各ガイド切り欠きとサイズ・形状・位置の一致した切り欠きが設けられており、前記書類載置台に載せた書類に被せて上から押さえ付けた状態にて、ステープラー又は/及び穴開けパンチを外周側から挿入して使用することが可能とされている、ことを特徴とする請求項1に記載した書類綴じ補助器。
【請求項3】
前記書類押え板の上面には、前記各ガイド切り欠きの挿入方向先端側にステープラー又は穴開けパンチの先端側を前記各ガイド切り欠き内の中心線上に位置決めさせるための目印又はガイドラインが表示されている、ことを特徴とする請求項2に記載した書類綴じ補助器。
【請求項4】
前記ガイド切り欠きのうち少なくともステープラー用のものには、ステープラーの下側部材先端面に当接してその挿入深さを規制するとともに規制する深さ位置の変更・調整を可能とする挿入深さ調整手段が設けられている、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した書類綴じ補助器。
【請求項5】
前記板材は、表裏両面を前記載置面として使用可能とされ、前記壁体が前記各載置面外周側部分から上下に延設されて各々前記支持部を兼ねるとともにその先端までの長さが互いに異なり、卓上に置いた際の前記載置面の高さが表と裏で異なるものとされ、前記下側部材の高さが異なるステープラー又は/及び穴開けパンチに各々対応可能とされている、ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載した書類綴じ補助器。
【請求項6】
前記支持部は、前記板材裏面側の少なくとも四隅に設けられた上下方向に弾性変形可能な脚体で構成され、所定レベル以上の圧力を上から加えることで前記脚体が変形しながら前記載置面を下降させ、前記圧力を解除することで前記脚体が弾性反発力で載置面を元の高さに戻すものとされ、フラットクリンチ式のステープラーでステープルを打設する際には、ステープル針先貫通後の折り曲げ動作時にステープラー下側部材針受け部の下降動作に追従して前記載置面の少なくとも打設位置側を下降させるように所定の前記脚体が弾性変形する、ことを特徴とする請求項1,2,3,または4に記載した書類綴じ補助器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−56410(P2013−56410A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88868(P2012−88868)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(308007309)有限会社ハリックス (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(308007309)有限会社ハリックス (2)
【Fターム(参考)】
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