説明

替歯スプロケット

【課題】短いチェーンピッチのチェーンに対応可能な替歯スプロケットを提供すること。
【解決手段】スプロケット歯(121、131)を備えた複数の替歯体(120、130)がスプロケット本体110の外周に等ピッチで形成した複数の替歯装着部112に対してそれぞれ取り外し可能に装着されている替歯スプロケット100において、スプロケット本体110が、円形の外周形状(114)を備えているとともに、複数の替歯体(120、130)が、前記スプロケット本体の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体(120、130)同士で接触して配設されている替歯スプロケット100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプロケット本体とこのスプロケット本体に対して着脱可能な替歯体とを備えた替歯スプロケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプロケット本体とこのスプロケット本体に対して着脱可能な替歯体とを備えた替歯スプロケットが知られている。
このような従来の替歯スプロケットとして、例えば、図7に示すような替歯スプロケット500がある。
従来の替歯スプロケット500は、スプロケット本体510の外周において等間隔に替歯体520を嵌め込んでボルト530によって固定するように設けられている。
【0003】
具体的には、スプロケット本体510の外周を切り欠いて径方向および周方向に対して傾斜した周方向側面部分511が形成されている。
他方、一の替歯体520の周方向両側にも、径方向および周方向に対して傾斜した周方向側面部分521が形成されている。
そして、スプロケット本体510の周方向側面部分511に、替歯体520の周方向側面部分521を面接触させてボルト530で固定するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2883557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の替歯スプロケット500は、スプロケット本体510の外周において、一の替歯体520が他の替歯体520と間隔を空けて配設される構造であったため、歯形ピッチが大きくなり短いチェーンピッチのチェーンに対応することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、短いチェーンピッチのチェーンに対応可能な替歯スプロケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本請求項1に係る発明は、スプロケット歯を備えた複数の替歯体がスプロケット本体の外周に等ピッチで形成した複数の替歯装着部に対してそれぞれ取り外し可能に装着されている替歯スプロケットにおいて、前記スプロケット本体が、円形の外周形状を備えているとともに、前記複数の替歯体が、前記スプロケット本体の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体同士で接触して配設されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された替歯スプロケットの構成に加えて、前記替歯体が、前記スプロケット本体の径方向に延びた係合突条を周方向両側に有している第1替歯体と前記スプロケット本体の径方向に延びて第1替歯体の係合突条と嵌合する被係合溝を周方向両側に有している第2替歯体とで構成され、前記第1替歯体と第2替歯体とが、前記スプロケット本体の周縁に同じ数だけ交互に配設されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項3に係る発明は、請求項2に記載された替歯スプロケットの構成に加え、前記係合突条の外周側係合幅および内周側係合幅のいずれか一方が、他方より狭くなっているとともに、前記被係合溝の外周側被係合幅および内周側被係合幅のいずれか一方が、前記係合突条の係合幅に対応して他方より狭くなっていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された替歯スプロケットの構成に加え、前記係合突条の外周側係合幅が、前記係合突条の内周側係合幅より狭くなっているとともに、前記被係合溝の外周側被係合幅が、前記被係合溝の内周側被係合幅より狭くなっていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載された替歯スプロケットの構成に加え、前記スプロケット本体の周方向に延設されたリング部材が、前記複数の替歯体と係合していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本請求項1に係る発明の替歯スプロケットは、スプロケット歯を備えた複数の替歯体がスプロケット本体の外周に等ピッチで形成した複数の替歯装着部に対してそれぞれ取り外し可能に装着されている替歯スプロケットにおいて、スプロケット本体が、円形の外周形状を備えているとともに、複数の替歯体が、スプロケット本体の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体同士で接触して配設されていることにより、従来と比較して歯形ピッチが小さくなるため、より短いチェーンピッチのチェーンに対応することができる。
また、スプロケット本体の外周形状が円形で周方向に凹凸がないため、従来と比較して、スプロケット本体の加工が容易となる。
【0013】
本請求項2に係る発明の替歯スプロケットは、請求項1に係る替歯スプロケットが奏する効果に加えて、替歯体が、スプロケット本体の径方向に延びた係合突条を周方向両側に有している第1替歯体とスプロケット本体の径方向に延びて第1替歯体の係合突条と嵌合する被係合溝を周方向両側に有している第2替歯体とで構成され、第1替歯体と第2替歯体とが、スプロケット本体の周縁に同じ数だけ交互に配設されていることにより、第1替歯体と第2替歯体とがスラスト方向への相対的な位置関係を規制して一体的に嵌合されるため、一体的に嵌合しあっている第1替歯体および第2替歯体におけるスラスト方向の強度を向上させることができる。
また、係合突条を被係合溝に嵌合させる際、例えば第1替歯体を取り付けた後に第2替歯体をスプロケット本体の径方向外側から中心側へ向かって差し込むだけでよいため、第1替歯体および第2替歯体の取り付けを容易に行うことができる。
同様に取り外しについても容易に行うことができる。
【0014】
本請求項3に係る発明の替歯スプロケットは、請求項2に係る替歯スプロケットが奏する効果に加えて、係合突条の外周側係合幅および内周側係合幅のいずれか一方が、他方より狭くなっているとともに、被係合溝の外周側被係合幅および内周側被係合幅のいずれか一方が、前記係合突条の係合幅に対応して他方より狭くなっていることにより、第1替歯体および第2替歯体の一方が、他方の相対的なスプロケット本体の径方向一方への移動を規制して第1替歯体と第2替歯体とが一体的に嵌合されるため、一体的に嵌合しあっている第1替歯体および第2替歯体におけるスプロケット本体の径方向の強度を向上させることができる。
【0015】
本請求項4に係る発明の替歯スプロケットは、請求項2または請求項3に係る替歯スプロケットが奏する効果に加えて、係合突条の外周側係合幅が、係合突条の内周側係合幅より狭くなっているとともに、被係合溝の外周側被係合幅が、被係合溝の内周側被係合幅より狭くなっていることにより、第2替歯体が第1替歯体の相対的なスプロケット本体の径方向外側への移動を規制して第1替歯体と第2替歯体とが一体的に嵌合されるため、一体的に嵌合しあっている第1替歯体および第2替歯体におけるスプロケット本体の径方向の強度を向上させることができる。
【0016】
本請求項5に係る発明の替歯スプロケットは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに係る替歯スプロケットが奏する効果に加えて、スプロケット本体の周方向に延設されたリング部材が、複数の替歯体と係合していることにより、複数の替歯体が装着された状態でより強固に保持されるため、径方向だけでなく、周方向およびスラスト方向への替歯体の保持力をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例の替歯スプロケットの正面図。
【図2】本発明の第1実施例の第1替歯体および第2替歯体の斜視図。
【図3】本発明の第1実施例の径方向外側からみた第1替歯体の側面図、正面図および周方向からみた側面図。
【図4】本発明の第1実施例の径方向外側からみた第2替歯体の側面図、正面図および周方向からみた側面図。
【図5】本発明の第1実施例の替歯スプロケットの周方向からみた拡大側断面図。
【図6】本発明の第2実施例の替歯スプロケットの周方向からみた拡大側断面図。
【図7】従来の替歯スプロケットの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の替歯スプロケットは、スプロケット歯を備えた複数の替歯体がスプロケット本体の外周に等ピッチで形成した複数の替歯装着部に対してそれぞれ取り外し可能に装着されている替歯スプロケットにおいて、スプロケット本体が、円形の外周形状を備えているとともに、複数の替歯体が、スプロケット本体の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体同士で接触して配設されていることによって、従来と比較して歯形ピッチが小さくなり、より短いチェーンピッチのチェーンに対応可能となるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0019】
例えば、本発明の替歯スプロケットは、取り付けられる替歯体の数がいくつでもよい。
また、1つの替歯体に形成されるスプロケット歯の数がいくつでもよい。
言い換えると、1つの替歯体がチェーンピッチ一つ分に対応していてもよいし、二つ分以上のチェーンピッチに対応していてもよい。
またさらに、一種類の替歯体が周方向に連続して接触する構成でもよいし、二種類の替歯体が交互に連続して接触する構成でもよい。
また、替歯体をスプロケット本体に取り付ける手段または構造は、替歯体をスプロケット本体に対して着脱可能であれば如何なるものであっても構わない。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明の第1実施例である替歯スプロケット100について、図1乃至図5に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例の替歯スプロケット100の正面図であり、図2(a)は、第1替歯体の斜視図であり、図2(b)は、第2替歯体の斜視図であり、図3(a)は、スプロケット本体の径方向外側からみた第1替歯体120の側面図であり、図3(b)は、第1替歯体120の正面図であり、図3(c)は、周方向からみた第1替歯体120の側面図であり、図4(a)は、スプロケット本体の径方向外側からみた第2替歯体130の側面図であり、図4(b)は、第2替歯体130の正面図であり、図4(c)は、周方向からみた第2替歯体130の側面図であり、図5は、本発明の第1実施例の替歯スプロケット100の周方向からみた拡大側断面図である。
【0021】
本発明の第1実施例である替歯スプロケット100は、図1乃至図5に示すように、スプロケット本体110と替歯体の一例である第1替歯体120とこの第1替歯体120と同数の第2替歯体130とリング部材180とを備えている。
このうち、スプロケット本体110は、中心を軸支されることにより中心を支点に回転する部材であり、スプロケット本体110の外周縁114の形状は、円形に形成されている。
【0022】
また、第1替歯体120および第2替歯体130が、交互に接触して連続的にスプロケット本体110の外周に着脱可能にテーパーボルト140とナット160とによって取り付けられている。
これにより、従来と比較して替歯スプロケット100の歯形ピッチが小さくなる。
具体的には、スプロケット本体110の外周に替歯装着部112が等ピッチで形成されており、替歯装着部112には、テーパーボルト140が挿通される第1孔111が、第1替歯体120および第2替歯体130の数に対応する数だけ等間隔に形成されている。
【0023】
一方、第1替歯体120には、スプロケット歯121と被装着部122と係合突条124とが形成されている。
このうち、スプロケット歯121は、第1替歯体120の外周側に形成されている。
また、被装着部122は、第1替歯体120の内周側に形成されており、替歯装着部112と係合するように設けられている。
【0024】
さらに、被装着部122には、テーパーボルト140が挿入される第2孔123が形成されている。
また、係合突条124は、第1替歯体120におけるスプロケット本体110の周方向両側において、スプロケット本体110の径方向に延設されている。
【0025】
また、第2替歯体130には、スプロケット歯131と被装着部132と被係合溝134とが形成されている。
このうち、スプロケット歯131は、第1替歯体120のスプロケット歯121と同様に、第2替歯体130の外周側に形成されている。
また、被装着部132は、第1替歯体120の被装着部122と同様に、第2替歯体130の内周側に形成されており、替歯装着部112と係合するように設けられている。
【0026】
さらに、被装着部132には、テーパーボルト140が挿入される第2孔133が形成されている。
また、被係合溝134は、第2替歯体130におけるスプロケット本体110の周方向両側において、係合突条124と嵌合するようにスプロケット本体110の径方向に延設されている。
これにより、第1替歯体120と第2替歯体130とがスラスト方向への相対的な位置関係を規制して一体的に嵌合される。
【0027】
さらに、係合突条124の外周側係合幅W1および内周側係合幅W2のいずれか一方が、他方より狭くなっているとともに、被係合溝134の外周側被係合幅W3および内周側被係合幅W4のいずれか一方が、係合突条124の係合幅W1、W2に対応して他方より狭くなっている。
これにより、第1替歯体120および第2替歯体130の一方が、他方の相対的なスプロケット本体110の径方向一方への移動を規制して第1替歯体120と第2替歯体130とが一体的に嵌合される。
【0028】
本第1実施例では、係合突条124の外周側係合幅W1が、係合突条124の内周側係合幅W2より狭くなっているとともに、被係合溝134における外周側被係合幅W3が、被係合溝134の内周側被係合幅W4より狭くなっている。
これにより、第2替歯体130が第1替歯体120の外周側への相対的な移動を規制して第1替歯体120と第2替歯体130とが一体的に嵌合される。
【0029】
また、リング部材180は、スプロケット本体110の周方向に延設され、第1孔111と対応する箇所に第1孔111と同様の第3孔181を有している。
そして、リング部材180は、スプロケット本体110に装着された第1替歯体120および第2替歯体130と係合するように設けられている。
これにより、第1替歯体120および第2替歯体130が装着された状態でより強固に保持されている。
【0030】
続いて、第1替歯体120および第2替歯体130の取り付け方について説明する。
先ず、第1替歯体120の被装着部122を、スプロケット本体110の替歯装着部112に係合させ、第2孔123の位置を第1孔111の位置に対応させる。
次に、リング部材180と、スプロケット本体110の替歯装着部112とによって、第1替歯体120の被装着部122を挟むようにして、テーパーボルト140を第3孔181、第2孔123および第1孔111に挿入して、第1替歯体120をスプロケット本体110に取り付ける。
これにより、スプロケット本体110の径方向、周方向およびスラスト方向への第1替歯体120および第2替歯体130の締付け力が向上する。
【0031】
このとき、第2孔123の位置は、第1孔111の位置および第3孔181の位置よりもスプロケット本体110の径方向の外側にわずかにずれた位置となるように設けられている。
この際、テーパーボルト140の挿入方向にスリットが設けられた公知のスリーブ150およびワッシャー170を介してテーパーボルト140とナット160とで締付けて、第1替歯体120をスプロケット本体110に固定する。
【0032】
テーパーボルト140およびナット160によって締付けられるとスリーブ150が、挿入方向と交差する方向に変形するため、第2孔123の位置と第1孔111の位置とが同じ位置となるように第1替歯体120とスプロケット本体110との間で相対的に力が作用する。
言い換えると、第1替歯体120においてスプロケット本体110の径方向中心側へ向かう力が作用する。
これにより、第1替歯体120の一部がスプロケット本体110の外周縁114としっかりと面接触するため、第1替歯体120をスプロケット本体110に対して径方向に精度よく位置決めすることができる。
【0033】
同様に、第2替歯体130を第1替歯体120と隣接させ、第2替歯体130の被装着部132をスプロケット本体110の替歯装着部112に係合させ、第2孔133の位置を第1孔111および第3孔181の位置に対応させて、テーパーボルト140を挿入して、第2替歯体130をスプロケット本体110に取り付ける。
【0034】
この際、第2替歯体130を第1替歯体120に対してスプロケット本体110の径方向外側から中心側へ向かって差し込むだけで、係合突条124が被係合溝134に嵌合する。
このようにして、最後の一つまで容易に取り付けることができる。
【0035】
仮に、周方向に突出している凸部と周方向に凹んでいる凹部とを嵌合させる構造である場合は、最後の一つを径方向外側から中心側へ向かって差し込むようにして取り付けることが困難であるが、このような構造と比較して、本発明では、最後の一つまで容易に取り付けることができる。
【0036】
また、係合突条124の係合幅W1、W2と被係合溝134の被係合幅W3、W4との関係上、先に全ての第1替歯体120をスプロケット本体110に取り付けてから、第2替歯体130をスプロケット本体110に取り付けると、最後の一つまで容易に取り付けることができる。
【0037】
第1替歯体120および第2替歯体130を取り外す際は、先に全ての第2替歯体130をスプロケット本体110から取り外してから、第1替歯体120を取り外すと、最後の一つまで容易に取り外すことができる。
【0038】
なお、リング部材180を用いずに、リング部材180の分をスプロケット本体110と一体に形成することにより、スプロケット本体110の替歯装着部112における符号113の箇所に差込み溝を形成し、第1替歯体120および第2替歯体130の被装着部122、132が差込み溝113に差し込まれる構造としてもよいのは勿論である。
【0039】
このようにして得られた第1実施例である替歯スプロケット100は、スプロケット本体110が円形の外周縁114を備えているとともに、複数の替歯体120、130が、スプロケット本体110の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体同士で接触して配設されていることにより、従来と比較して、より短いチェーンピッチのチェーンに対応することができるとともに、スプロケット本体110の加工を容易にすることができる。
【0040】
また、スプロケット本体110の径方向に延びた係合突条124を有する第1替歯体120とスプロケット本体110の径方向に延びて第1替歯体120の係合突条124と嵌合する被係合溝134を有する第2替歯体130とが、スプロケット本体110の外周縁114に同じ数だけ交互に配設されていることにより、一体的に嵌合しあっている第1替歯体130および第2替歯体130におけるスラスト方向の強度を向上させることができるとともに、スプロケット本体110に対する第1替歯体120および第2替歯体130の着脱を容易に行うことができる。
【0041】
さらに、係合突条124の外周側係合幅W1および内周側係合幅W2のいずれか一方が、他方より狭くなっているとともに、被係合溝134の外周側被係合幅W3および内周側被係合幅W4のいずれか一方が、係合突条124の係合幅W1、W2に対応して他方より狭くなっていることにより、一体的に嵌合しあっている第1替歯体120および第2替歯体130におけるスプロケット本体110の径方向の強度を向上させることができる。
【0042】
係合突条124の外周側係合幅W1が、係合突条124の内周側係合幅W2より狭くなっているとともに、被係合溝134の外周側被係合幅W3が、被係合溝134の内周側被係合幅W4より狭くなっていることにより、一体的に嵌合しあっている第1替歯体120および第2替歯体130におけるスプロケット本体110の径方向の強度を向上させることができる。
【0043】
また、スプロケット本体110の周方向に延設されたリング部材180が、複数の替歯体120、130と係合していることにより、径方向だけでなく、周方向およびスラスト方向への替歯体120、130の保持力をも向上させることができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0044】
続いて、本発明の第2実施例である替歯スプロケット200について、図6に基づいて説明する。
ここで、図6に示すのは、本発明の第2実施例の替歯スプロケット200の周方向からみた拡大側断面図である。
第2実施例の替歯スプロケット200は、第1実施例の替歯スプロケット100の替歯体120、130の被装着部122、132とスプロケット本体110の替歯装着部112とのオスメス関係を逆にするとともにリング部材180を用いないこととしたものであり、多くの要素について第1実施例の替歯スプロケット100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
【0045】
本発明の第2実施例では、第1替歯体220および第2替歯体230の被装着部222、232に差込み溝225、235を形成し、スプロケット本体210の替歯装着部212が、差込み溝225、235に差し込まれる構造とした。
【0046】
このようにして得られた第2実施例である替歯スプロケット200は、スプロケット本体210が円形の外周縁214を備えているとともに、複数の替歯体220、230が、スプロケット本体210の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体同士で接触して配設されていることにより、従来と比較して、より短いチェーンピッチのチェーンに対応することができるとともに、スプロケット本体210の加工が容易となるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0047】
100、200 ・・・ 替歯スプロケット
110、210 ・・・ スプロケット本体
111、211 ・・・ 第1孔
112、212 ・・・ 替歯装着部
113 ・・・ 差込み溝
114、214 ・・・ 外周縁
120、220 ・・・ 第1替歯体
121、221 ・・・ スプロケット歯
122、222 ・・・ 被装着部
123、223 ・・・ 第2孔
124 ・・・ 係合突条
130、230 ・・・ 第2替歯体
131、231 ・・・ スプロケット歯
132、232 ・・・ 被装着部
133、233 ・・・ 第2孔
134 ・・・ 被係合溝
140、240 ・・・ テーパーボルト
150、250 ・・・ スリーブ
160、260 ・・・ ナット
170、270 ・・・ ワッシャー
180 ・・・ リング部材
181 ・・・ 第3孔
225 ・・・ 差込み溝
235 ・・・ 差込み溝
500 ・・・ 替歯スプロケット
510 ・・・ スプロケット本体
511 ・・・ 周方向側面部分
520 ・・・ 替歯体
521 ・・・ 周方向側面部分
530 ・・・ ボルト
W1 ・・・ 係合突条の外周側係合幅
W2 ・・・ 係合突条の内周側係合幅
W3 ・・・ 被係合溝の外周側被係合幅
W4 ・・・ 被係合溝の内周側被係合幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケット歯を備えた複数の替歯体がスプロケット本体の外周に等ピッチで形成した複数の替歯装着部に対してそれぞれ取り外し可能に装着されている替歯スプロケットにおいて、
前記スプロケット本体が、円形の外周形状を備えているとともに、
前記複数の替歯体が、前記スプロケット本体の周方向にそれぞれ隣り合う替歯体同士で接触して配設されていることを特徴とする替歯スプロケット。
【請求項2】
前記替歯体が、前記スプロケット本体の径方向に延びた係合突条を周方向両側に有している第1替歯体と前記スプロケット本体の径方向に延びて第1替歯体の係合突条と嵌合する被係合溝を周方向両側に有している第2替歯体とで構成され、
前記第1替歯体と第2替歯体とが、前記スプロケット本体の周縁に同じ数だけ交互に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の替歯スプロケット。
【請求項3】
前記係合突条の外周側係合幅および内周側係合幅のいずれか一方が、他方より狭くなっているとともに、
前記被係合溝の外周側被係合幅および内周側被係合幅のいずれか一方が、前記係合突条の係合幅に対応して他方より狭くなっていることを特徴とする請求項2に記載の替歯スプロケット。
【請求項4】
前記係合突条の外周側係合幅が、前記係合突条の内周側係合幅より狭くなっているとともに、
前記被係合溝の外周側被係合幅が、前記被係合溝の内周側被係合幅より狭くなっていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の替歯スプロケット。
【請求項5】
前記スプロケット本体の周方向に延設されたリング部材が、前記複数の替歯体と係合していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の替歯スプロケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate