説明

最適化された内部トレイ設計を有する反応器

【課題】反応に従って、ガス状副生物を除去したり、反応器中を流れる反応媒体の粘度が増加する反応媒体を処理するための反応器の提供。
【解決手段】複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含んでなり、前記トレイの少なくとも10%が、反応媒体の少なくとも一部を、その上を流れて、直ぐ下に配置されている次のトレイの方に通過させるために、上方に伸びている、少なくとも6.35cm(2.5インチ)の高さを有する堰を含み、前記トレイが反対方向に傾斜している複数個の一方向トレイを含み、そして前記トレイの傾斜がトレイからトレイへ下方に向って増加している、反応媒体を処理する反応器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、媒体が反応器を通って流れるときに増加する粘度を有する反応媒体を処理するための反応器に関する。別の面に於いて、本発明は、反応媒体の重合度が増加しながら、その上を重合反応媒体が流れる、複数個の垂直に間隔を空けて配置されたトレイを有する重合反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
或る種の化学プロセススキームに於いて、1個又はそれ以上の比較的薄いシート状で流れる反応媒体中で、化学反応が起こることが望ましい。このようなプロセススキームに於いて、反応媒体のシートは、必要な反応条件に曝露されながら、反応は長時間に亘って進行する。この形式のプロセスは、化学反応によってガス状反応副生物が製造され、反応媒体からこのような副生物を迅速且つ完全に除外することが望ましい場合に、特に有利である。例えば、ガス状副生物を製造する化学反応が可逆的である場合、副生物を適切に除外しないことは、所望の反応が妨害されるおそれがある。反応媒体が1個又はそれ以上の比較的薄いシート状で流れるとき、ガス状反応副生物は反応媒体から迅速に逃がすことができる。更に、反応媒体が1個又はそれ以上の比較的薄いシート状で流れるとき、反応媒体の底部部分上の低い静水圧は、反応が、比較的深い反応媒体を使用して実施されるときに生ずるおそれがある沸騰抑制を最小にする。
【0003】
反応媒体の比較的薄いシート中で化学反応を実施することは多数の利点を有するが、この形式のプロセスは、また、多数の課題を呈する。例えば、反応媒体の薄いシートは、その上を流れる多量の表面積を必要とするので、商業的量の反応生成物を製造するために、非常に大きい及び/又は多数の反応器が必要になろう。更に、反応媒体の薄いシートを使用する多数のプロセスに於いて、反応媒体の粘度は、反応が進行するに従って変化する。従って、最終生成物の粘度は、初期の反応媒体の粘度よりも遙かに大きいか又は遙かに小さいであろう。反応媒体のこの変化する粘度は、反応媒体の流量及び/又は深さにおける顕著な変動は望ましくないであろうから、多数の設計的課題を示す。
【0004】
1つ又はそれ以上の反応媒体の比較的薄いシート中で化学反応を実施することが望ましい、一般的な商業的プロセスの一例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製造の「仕上げ」段階にある。PET仕上げ段階の間に、重縮合によって、反応媒体の重合度が著しく増加し、また、反応副生物として、エチレングリコール、アセトアルデヒド及び水が製造される。典型的には、仕上げ反応器/ゾーン中に導入される反応媒体の重合度は、20〜60であり、他方、仕上げ反応から出る反応媒体/生成物の重合度は80〜200である。仕上げの間におけるこの反応媒体の重合度の増加によって、反応媒体の粘度は著しく増大する。更に、PET仕上げに付随する重縮合反応は可逆的であるので、反応媒体からエチレングリコール反応副生物を、できるだけ迅速に且つ完全に開放することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、長時間に亘って比較的薄いシート状での大量の反応媒体の処理を容易にする、一層効率的で且つ経済的な反応器についてのニーズが存在する。更に、必要な重合度を得るための適切な滞留時間を与えながら、仕上げ反応器を通して、比較的均一で薄いシート状で流れる大量の反応媒体の重縮合を容易にする、一層効率的で且つ有効なPET仕上げ反応器についてのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に従えば、複数個の垂直に間隔を空けて配置された一方向に傾斜したトレイ及び複数個の垂直に間隔を空けて配置された二方向に傾斜したトレイを含んでなり、一方向トレイの傾斜が、下方に向って増加している反応器が提供される。
【0007】
本発明の別の態様に従えば、反応媒体を処理する反応器が提供される。この反応器は、複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含んでなる。このトレイの少なくとも一部には、直ぐ下に配置された次のトレイの方に通過するために、それを越えて反応媒体の少なくとも一部が流れる、上方に伸びた堰が含まれている。
【0008】
本発明の更に別の態様に従えば、(a)反応媒体を、複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含む重合反応器中に、導入する工程、(b)反応媒体を、重合反応器内で、垂直に間隔を空けて配置されたトレイを越えて、下方に流す工程(ここで、垂直に間隔を空けて配置されたトレイ上を流れる反応媒体の平均厚さは約2.5インチ又はそれ以上に維持する)並びに(c)重合反応器から反応媒体を取り出す工程(ここで、重合反応器から取り出される反応媒体の重合度は、重合反応器中に導入される反応媒体の重合度よりも少なくとも約25%大きい)を含んでなる重合プロセスが提供される。
【0009】
本発明の更に別の態様に従えば、(a)反応媒体を、複数個の一方向に傾斜したトレイ及び複数個の二方向に傾斜したトレイを含む反応器の上部セクション中に導入する工程、(b)反応媒体を、反応器内で、一方向トレイ及び二方向トレイを越えて、下方に流す工程並びに(c)反応器の下部セクションから反応媒体を取り出す工程を含んでなるプロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】そこを通って下方に流れる反応媒体を処理する反応器の断面正面図、特に、2個のトレイボックスを含み、トレイのそれぞれが、反応媒体が反応器を通って下方に通過するときに、反応媒体がそれを越えて流れる、複数個の垂直に間隔をあけて配置された傾斜した内部トレイを収容する反応器を例示する。
【図2a】図1中の線2a−2aに沿って取った反応器の断面平面図、特に頂部一方向トレイ上の反応媒体の流れの縦方向を例示する。
【図2b】図1中の線2b−2bに沿って取った反応器の断面平面図、特に図2a中に示されるトレイの直ぐ下に配置された一方向トレイ上の反応媒体の流れの縦方向を例示する。
【図3a】図1中の線3a−3aに沿って取った反応器の断面平面図、特に図2a及び2b中に示される縦トレイの直ぐ下に配置された一方向トレイ上の反応媒体の流れの横方向を例示する。
【図3b】図1中の線3b−3bに沿って取った反応器の断面平面図、特に、図3a中に示されるトレイの直ぐ下に配置された一方向トレイ上の反応媒体の流れの横方向を例示する。
【図4a】図1中の線4a−4aに沿って取った反応器の断面平面図、特に、一方向トレイの下に配置された、下方に分岐する二方向ルーフトレイ上の反応媒体の流れの方向を例示する。
【図4b】図1中の線4b−4bに沿って取った反応器の断面平面図、特に、図4a中に示すルーフトレイの直ぐ下に配置された、下方に近寄っている二方向トラフトレイ上の反応媒体の流れの方向を例示する。
【図5a】図1中の、ファントム線で囲み、「5」とラベルを付けた、一対の縦一方向トレイの拡大正面図である。
【図5b】図5a中に示す縦一方向トレイの側面図である。
【図6a】図1中の、ファントム線で囲み、「6」とラベルを付けた、一対の横一方向トレイの拡大正面図である。
【図6b】図6a中に示す横一方向トレイの側面図である。
【図7a】図1中の、ファントム線で囲み、「7」とラベルを付けた、一対の二方向トレイの拡大正面図である。
【図7b】図7a中に示す二方向トレイの側面図である。
【図8a】図1中の、ファントム線で囲み、「8」とラベルを付けた、転移アセンブリの拡大正面図である。
【図8b】図8a中に示す転移アセンブリの平面図である。
【図9】本発明の第一の代替態様に従って構成された反応器の断面正面図、特に、この反応器が、その中に配置された単一のトレイボックスのみを有することを例示する。
【図10】図9中の線10−10に沿って取った代替反応器の断面平面図、特に、単一のトレイボックスが反応器内に配置されている方式を例示する。
【図11】本発明の第二の代替態様に従って構成された反応器の断面正面図、特に、この反応器が、その中に配置された3個のトレイボックスを有することを例示する。
【図12】図1中の線12−12に沿って取った代替反応器の断面平面図、特に、3個のトレイボックスが反応器内に配置されている方式を例示する。
【図13】本発明の第三の代替態様に従って構成された反応器の断面平面図、特に、この反応器が、反応器内に並んで配置された6個のトレイボックスを有することを例示する。
【図14】本発明の代替態様に従って構成された一連の一方向トレイの側面図、特に、一方向トレイの後部に間隙を形成させて、反応媒体の一部が、1個のトレイの後部をオーバーフローして、次のより低いトレイに落ちることを可能にできることを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に図1を参照するに、反応器20は、容器シェル22、ディストリビュータ24及び2個のトレイボックス26a、bを含むものとして、示される。容器シェル22は、好ましくは、細長い、一般的に円筒形の形状を有する。容器シェル22の長さ対直径(L:D)比は、好ましくは少なくとも約1:1、更に好ましくは約2:1〜約30:1の範囲内、最も好ましくは3:1〜10:1の範囲内である。反応器20の正常運転の間に、容器シェル22は、実質的に垂直位置で維持される。
【0012】
容器シェル22は上部入口28及び下部出口30を規定する。ディストリビュータ24及びトレイボックス26a、bは、入口28と出口30との間に垂直に配置されており、入口28を経て反応器20に入る反応媒体が、ディストリビュータ24及びトレイボックス26a、bを通って下方に流れ、その後、出口30を経て反応器20から排出され得るようになっている。
【0013】
反応器20が、複数個のトレイボックス26a、bを含むときには、ディストリビュータ24は、入ってくる反応媒体の流れを分割し、分配して、それぞれのトレイボックス26a、bが、実質的に同じ量の反応媒体を受け取り、そして処理するようにするために使用される。反応器20が1個のみのトレイボックスを使用するものであった場合、ディストリビュータは反応媒体の流を分割しないが、なお、トレイボックスの入り口の中に反応媒体を適切に分配する作用をするであろう。
【0014】
図1〜8に示した態様に於いて、反応器20は、2個の実質的に同じトレイボックス26a、bを含む。以下のセクションは、全てのトレイボックス26a、bが実質的に同じ形状を有するとの理解で、1個のみのトレイボックス26aの形状を説明する。
【0015】
図1及び2aを参照するに、トレイボックス26aは、複数個の垂直の側壁27a、b、c、dを含み、これらは、一般的に長方形の内部空間を規定する。トレイボックス26aは、また、内部空間内に収容され、側壁27a、b、c、dに堅く結合された複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含む。側壁27a、b、c、dによって規定される内部空間は、頂部及び底部で開放されており、そうして反応媒体がトレイボックス26aの頂部に入り、傾斜したトレイの上の内部空間を通って下方に流れ、そしてトレイボックス26aの底部から出るようになっている。好ましくは、トレイボックス26aは、少なくとも約10個のトレイ、更に好ましくは少なくとも約20個のトレイ、最も好ましくは30〜100個の範囲内のトレイを含む。勿論、反応器20内のトレイの好ましい全数は、単純に、1個のトレイボックス内のトレイの数×反応器20内のトレイボックスの数である。トレイの傾斜は、一般的に、反応媒体がトレイの上を下方に流れるとき反応媒体の増加する粘度に適応するように、反応器20内で下方に増加している。
【0016】
図1を参照するに、トレイボックス26aについて、そこを通過する反応媒体の流れを最適化するために、異なった形状及び/又は配置を有するトレイを含むことが好ましい。好ましくは、トレイボックス26aは、複数個の一方向トレイ32及び複数個の二方向トレイ34を含む。本明細書で使用する用語「一方向トレイ(uni-directional tray)」は、一方向のみに傾斜していて、トレイボックス内を流れる流体が、トレイの高い所で一方向にのみ流れるようになっているトレイを意味する。本明細書で使用する用語「二方向トレイ(bi-directional tray)」は、二つの方向に傾斜していて、トレイボックス内を流れる流体がトレイの高い所で二つの方向に流れるようになっているトレイを意味する。本発明の好ましい態様に於いて、一方向トレイ32の少なくとも一部は、二方向トレイ34の少なくとも一部の上に配置されている。最も好ましくは、一方向トレイ32の全ては、二方向トレイ34の全ての上に配置されている。好ましくは、トレイボックス26aは、少なくとも約5個の一方向トレイ、更に好ましくは少なくとも約10個の一方向トレイ、最も好ましくは15〜50個の範囲内の一方向トレイを含む。好ましくは、トレイボックス26aは、少なくとも約5個の二方向トレイ、更に好ましくは少なくとも約10個の二方向トレイ、最も好ましくは15〜50個の範囲内の二方向トレイを含む。好ましくは、トレイボックス26a内のトレイの全ての少なくとも約10%は一方向トレイであり、更に好ましくは少なくとも約20%は一方向トレイであり、最も好ましくは30%〜80%の範囲内は一方向トレイである。好ましくは、トレイボックス26a内の全てのトレイの少なくとも約10%が二方向トレイであり、更に好ましくは少なくとも約20%が二方向トレイである。
【0017】
図1に示すように、トレイボックス26aは、好ましくは、一方向トレイ32の上部セット36及び下部セット38を含む。一方向トレイ32の上部セット36は、好ましくは、複数個の縦に傾斜したトレイ40を含む。一方向トレイ32の下部セット38は、好ましくは、複数個の横に傾斜したトレイ42を含む。図2及び3に矢印によって示すように、それぞれの一方向トレイ32について、トレイ伸長の方向に於いて傾斜している縦に傾斜したトレイ40(図2)と共に伸びていることが好ましく、一方、横に傾斜しているトレイ42(図3)は、トレイ伸長の方向に対して垂直に傾斜していることが好ましい。図2及び3に示すように、縦に傾斜したトレイ40及び横に傾斜したトレイ42の傾斜の方向は、互いに対して実質的に垂直である。
【0018】
図1、2及び5に示すように、垂直に隣接した縦に傾斜したトレイ40a、bは、一般的に反対方向に傾斜して、反応媒体が反応器20内を下方向に進行するとき、反応媒体が、縦に傾斜したトレイ40の上を前後に(back and forth)流れるように強制されるようになっている。図2及び5に示すように、それぞれの縦に傾斜したトレイ40には、実質的に平坦で、実質的に長方形の主部材44及び堰46が含まれている。図1〜6に示す態様に於いて、主部材44の3個の側面は、好ましくはトレイボックス26aの4個の側壁27の3個に結合され、それに沿ってシールされており、一方、間隙47(図2a、b及び5b)が、主部材44の第四の側面とトレイボックス26aの残りの側壁27との間に形成されている。間隙47は、それを通って、反応媒体が、次のより低い縦に傾斜したトレイ40の上に下方に落ちることができる通路を提供する。主部材44は下方に傾斜していて、反応媒体が、重力によって堰46の方に流れることができるようになっている。主部材44の下方傾斜は、好ましくは、水平から約0.5〜約10度の範囲内、最も好ましくは水平から1〜4度の範囲内である。
【0019】
再び図2及び5を参照するに、主部材44は、一般的に、平坦で、上方に向いた上表面を示す。主部材44は、好ましくは、その中に実質的に開口を有しておらず、トレイ40上を流れる全ての液体が、トレイ40から離れるために、堰46を越えて/貫通して通らなくてはならないようになっている。堰46は、主部材44の最も低い高さの所に近い、主部材44の上表面から上方に伸びている。好ましくは、堰46は、主部材44の末端縁から約6インチ未満、更に好ましくは約3インチ未満、最も好ましくは2インチ未満、間隔をあけて配置されている。好ましくは、堰46は、側壁27aから側壁27cまで、縦に傾斜したトレイ40の幅に沿ってずっと通して伸びている。堰46は、トレイ40上の実質的に均一な反応媒体のシートを維持することを助ける。好ましくは、堰46は、少なくとも約2.5インチの高さを有する。更に好ましくは、堰46の高さは、3〜12インチの範囲内である。図5aに示すように、複数個の比較的小さい堰開口48が、好ましくは、主部材44に隣接して、堰46の底部付近に形成されている。堰開口48は、反応器20の通常の運転の間に、比較的少量の反応媒体が、そこを通って流れることを許容する。反応器20の運転停止の間に、堰開口48は、反応媒体の実質的に全てがトレイ40から排出されることを可能にして、反応器20が運転停止されたとき、反応媒体のプールが堰46の後ろに捕捉されて残らないようにする。
【0020】
図1、3及び6に示すように、垂直に隣接する横に傾斜したトレイ42a、bは、一般的に反対方向に傾斜しており、反応媒体が反応器20内を下方向に進行するとき、反応媒体が、横に傾斜したトレイ42の上を前後に(back and forth)流れるように強制されるようになっている。図3及び6に示すように、それぞれの横に傾斜したトレイ42は、実質的に平坦で、実質的に長方形の主部材50及び堰52を含む。主部材44の3個の側面は、トレイボックス26aの4個の側壁27の3個に結合され、それに沿ってシールされており、一方、間隙53(図3a、b及び6b)が、主部材50の第四の側面とトレイボックス26aの残りの側壁27との間に形成されている。間隙53は、それを通って、反応媒体が、次のより低い横に傾斜したトレイ42の上に下方に落下することができる通路を提供する。主部材50は傾斜していて、反応媒体が、重力によって堰52の方に流れることができるようになっている。横に傾斜したトレイ42の下方傾斜は、反応器20内で下方に増加している。好ましくは、横に傾斜したトレイ42の最も上のものは、水平から約0.5〜約10度の範囲内、最も好ましくは水平から1〜4度の範囲内の下向き傾斜を有する。好ましくは、横に傾斜したトレイ42の最も下のものは、水平から約2〜約20度の範囲内、最も好ましくは水平から4〜10度の範囲内の下向き傾斜を有する。好ましくは、横に傾斜したトレイ42の最も下のものの下向き傾斜は、横に傾斜したトレイ42の最も上のものの下向き傾斜よりも少なくとも約1度大きく、更に好ましくは横に傾斜したトレイ42の最も上のものの下向き傾斜よりも少なくとも約2度大きく、最も好ましくは横に傾斜したトレイ42の最も上のものの下向き傾斜よりも4〜10度の範囲内で大きい。
【0021】
図3及び6を再び参照するに、主部材50は、好ましくは、その中に実質的に開口を有しておらず、トレイ42上を流れる全ての液体が、トレイ42から離れるために、堰52を越えて/貫通して通らなくてはならないようになっている。主部材50は、一般的に上方に向いている上表面を表す。堰52は、主部材50の最も低い高さの所に近い、主部材50の上表面から上方に伸びている。好ましくは、堰52は、主部材50の末端縁から約6インチ未満、更に好ましくは約3インチ未満、最も好ましくは1インチ未満の距離で、間隔をあけて配置されている。好ましくは、堰52は、側壁27bと側壁27dとの間で、ずっと通して伸びている。堰52は、トレイ42上の実質的に均一な反応媒体のシートを維持することを助ける。好ましくは、堰52は、少なくとも約2.5インチの高さを有する。更に好ましくは、堰52の高さは、3〜12インチの範囲内である。図6aに示すように、複数個の比較的小さい堰開口54が、好ましくは、主部材50に隣接して、堰52の底付近に形成されている。堰開口54は、反応器20の通常の運転の間に、比較的少量の反応媒体が、そこを通って流れることを許容する。反応器20の運転停止の間に、堰開口54は、反応媒体の実質的に全てがトレイ42から排出されることを可能にして、反応器20が運転停止されたとき、反応媒体のプールが、堰52の後ろに捕捉されて残らないようにする。
【0022】
本発明の一つの態様に於いて、一方向トレイ32の少なくとも5個に堰が設けられており、更に好ましくは一方向トレイ32の少なくとも10個に堰が設けられている。好ましくは、トレイボックス26a内の全ての一方向トレイ32の少なくとも10%に堰が設けられており、更に好ましくは、一方向トレイ32の少なくとも33%に堰が設けられており、最も好ましくは、一方向トレイ32の少なくとも66%に堰が設けられている。
【0023】
堰は、等しいか又はそれ以下の反応器体積、トレイ及び/又は金属表面を必要としながら、従来の設計に於けるよりも長い、本発明の反応器内の滞留時間を提供することを助けることができる。更に、堰は、従来のPET仕上げ装置設計よりも厚い、トレイ上の反応媒体のシートを提供することを助けることができる。また、本明細書に記載した態様は、トレイからトレイに下方に落ちる反応媒体のより薄いシート及びトレイ上の反応媒体のより厚いシートを有利に提供することが、注目されるべきである。
【0024】
図1、4及び7に示すように、二方向トレイ34は、トレイボックス26aの側壁27b、dに結合され、それらの間で伸びている。二方向トレイ34は、交互になっているルーフトレイ34a及びトラフトレイ34bを含む。図4a及び7aにおそらく最も良く示すように、それぞれの二方向ルーフトレイ34aは、垂直の分割部材(divider member)56及びディバイダー部材56の底部から一般的に反対方向に伸びている、一対の下方に傾斜したルーフ部材58、60を含む。ルーフ部材58、60は、それらが下方に、そしてディバイダー部材56から外側に伸びているときに、互いに広がっている(diverge)。第一の間隙62は、ルーフ部材58の末端縁と側壁27aとの間に形成されている。第二の間隙64は、ルーフ部材60の末端縁と側壁27cとの間に形成されている。反応媒体は、間隙62、64を通って下方に流れて、次の下の二方向トラフトレイ34bに達する。
【0025】
ここで図4b及び7aを参照するに、それぞれの二方向トラフトレイ34bは、トレイボックス26aの側壁27a、cに結合し、それらから内側に伸びている、一対の下方に傾斜したトラフ部材66、68が含まれている。トラフ部材66、68は、それらが下方に、そして側壁27a、cから内側に伸びているときに、互いに収束し又は近寄って(converge)いる。間隙70がトラフ部材66、68の下方の末端縁の間に形成されている。間隙70は、反応媒体が間隙70を通って次の下のルーフトレイ34aの方に落ちるとき、トラフ部材66、68上を流れる反応媒体の分離したシートが、分離したままであることを可能にするために十分に大きい。トラフ部材66、68上を流れる反応媒体の分離した部分は、間隙70を通って、次の下のルーフトレイ34aの分割部材(dividing member)56の反対側上に下方に落ちる。
【0026】
本発明の好ましい態様に於いて、二方向トレイ34の傾斜は、反応器20内で下方に向って増加している。好ましくは、二方向トレイ34の最も上のものは、水平から約0.5〜約10度の範囲内、最も好ましくは水平から1〜4度の範囲内の下向きの傾斜を有する。好ましくは、二方向トレイ42の最も下のものは、水平から約5〜約40度の範囲内、最も好ましくは水平から10〜25度の範囲内の下向きの傾斜を有する。好ましくは、二方向トレイ34の最も下のものの下向きの傾斜は、二方向トレイ34の最も上のものの下向きの傾斜よりも少なくとも約2度大きく、更に好ましくは二方向トレイ34の最も上のものの下向きの傾斜よりも少なくとも約4度大きく、最も好ましくは二方向トレイ34の最も上のものの下向きの傾斜よりも6〜20度の範囲内で大きい。
【0027】
ここで図1及び8を参照するに、一方向トレイ32上の単一シート流から、二方向トレイ34上の二重シート流に、反応媒体の流れを転移させるために、転移部材(transition member)72が使用される。転移部材74は、トレイボックス26aの側壁27b、dに結合し、それらの間で伸びている。転移部材74には、上部分配ビン(distribution bin)76及び下部分配トレイ78が含まれている。分配ビン76は、最も下の一方向トレイ32からの反応媒体を受け取り、この反応媒体を2個の実質的に等しい部分に分割するように操作可能である。反応媒体の2個の等しい部分は、分配ビン76の底部から分配トレイ78の分離した末広又は分岐(diverging)セクション80a、bの上に排出される。同じ方式で、下流の二方向トレイから出る流に於ける続く分割が、同様の分配ボックスを使用して可能である。この方式に於いて、粘度、流量及び液体深さ目標によって必要な場合、複数の二方向の通路を作ることができる。
【0028】
分配ビン76は、下方に互いの方に収束して(又は近寄って)いる、一対の傾斜した側壁82a、bが含まれている。ディバイダーライン84は、側壁82a、bが互いに結合している場所で規定される。複数個の第一の開口86aは、ディバイダーライン84付近の側壁82a内に規定されている。複数個の第二の開口86bは、ディバイダーライン84付近の側壁82b内に規定されている。好ましくは、転移部材78は、合計で少なくとも約10個の開口86a、bを含む。図8bに最も良く示すように、第一及び第二の開口86a、bは、ディバイダーライン84の反対側に配置されている。好ましくは、第一の開口86aによって規定される累積開口面積は、第二の開口86bによって規定される累積開口面積に実質的に等しく、等量の反応媒体が、第一及び第二の開口86a、bを通って自動的に流れるようになっている。第一の開口86aは、分配トレイ78の第一のセクション80aの上に整列され、一方、第二の開口86bは、分配トレイ78の第二のセクション80bの上に整列されている。
【0029】
図8a、bに示すように、分配トレイ78の第一及び第二の傾斜したセクション80a、bの末端縁は、側壁27a、cから間隔を空けて配置されており、それらの間に間隙88a、bが形成されるようになっている。分配ビン76から排出される反応媒体の2個の実質的に等しい部分は、分配トレイ78の下方に傾斜した分岐セクション80a、b上を間隙88a、bの方に流れる。次いで、反応媒体の分離した部分は、分布トレイ78から、間隙88a、bを通って、最も上の収束した二方向トレイ34bの上に落ちる。前記のように、次いで、反応媒体の2個の実質的に等しい部分は、それらが二方向トレイ34の上を下方に流れるとき、分離して保持される。
【0030】
ここで図9及び10を参照するに、第一の代替反応器設計が示されている。代替反応器100は、単一のトレイボックス102のみを含む。この設計は、供給物を、複数のトレイボックスの間に分割することが必要でないという利点を有する。従って、ディストリビュータ104の構造は単純化されている。また、反応器100内の、トレイの全数、異なった形式のトレイの分布、堰の数、堰の位置及びトレイの傾斜は、反応器20(図1〜8)のものとは異なっている。これらの相違は、その中で実施されるプロセスの特別の必要条件に適合するように、反応器の設計を変えることが望ましいであろうことを示している。しかしながら、本明細書中に開示された全ての設計は、本発明の範囲内である。
【0031】
ここで図11及び12を参照するに、第二の代替反応器設計が示されている。代替反応器200は3個のトレイボックス202a、b及びcを含む。
【0032】
ここで図13を参照するに、第三の代替反応器設計が示されている。代替反応器300は、6個のトレイボックス302を含む。この設計は、反応容器内でより多くの空間を使用することの利点を有し、それによって、反応容器のサイズを小さくすることができる。
【0033】
ここで図14を参照するに、代替一方向トレイ設計が示されている。図14に示される一方向トレイ400は、図5及び6に示されるものと同様であるが、それぞれの一方向トレイ400の後部404とトレイボックスの最も近い側壁406との間に、間隙402を設けるように形作られている。側壁406は、トレイ400が付属しているトレイボックスの壁である必要はなくて、側壁406は、他のトレイボックスの壁又は反応容器の壁であってよい。図14に示されるように、それぞれのトレイ400の後部404と最も近い側壁406との間のこの間隙402によって、処理された反応媒体408の一部が、トレイ400の後部404をオーバーフローして、次の下のトレイ400の方に下方に落ちることが可能になる。オーバーフローする反応媒体408の通過のための十分に大きい開口を設けるために、トレイ400の後部404と最も近い側壁406との間の間隙402について、少なくとも約1インチ、更に好ましくは約1.5〜約12インチの範囲内、最も好ましくは約2〜8インチの範囲内の平均幅を有することが好ましい。
【0034】
図14に示す態様に於いて、それぞれの一方向トレイ400の後部404について、オーバーフローした反応媒体が、次の最も下のトレイ400の少なくとも一部の上に配置されるまで、オーバーフローした反応媒体408が上方のトレイ400に「粘着する(cling)」ことを可能にする、丸くなった下の縁410を含むことが好ましい。次の最も下のトレイ400の上に配置されると、反応媒体408は、上のトレイ400から下のトレイ400に落ち、そこで、これは、上のトレイ400の末端縁412を越えて下のトレイ400の上に流れた反応媒体408の部分と再び一緒にされる。オーバーフローした反応媒体が、下のトレイ400の上に配置されるまで、上のトレイ400に粘着することを可能にするために、一方向トレイ400の丸くなった下の縁410について、少なくとも1インチ、更に好ましくは約1.5〜約12インチの範囲内、最も好ましくは2〜8インチの範囲内の最小曲率半径を有することが好ましい。
【0035】
また、図14に示す態様では、堰を有しない一方向トレイ400を使用していることが注目されるべきである。従って、図14に示すトレイ400の末端縁412は、堰の上縁によるのではなくて、トレイ400の実質的に平坦な主部材414の縁によって規定される。しかしながら、図14に示す後部オーバーフロー設計は、また、堰を有するトレイで使用するために適していることが予想される。
【0036】
図1〜14に示す反応器は、種々の異なったプロセスに於いて使用することができる。これらの反応器は、化学反応について、反応媒体の比較的薄いシート中で起こることが有利であるプロセスに於いて特に有用である。更に、これらの反応器は、反応媒体の粘度が処理の間に上昇する状況に適合するように設計される。本発明の好ましい態様に於いて、反応器から出る反応媒体の動的粘度(ポイズによって測定される)が、反応器に入る反応媒体の動的粘度よりも少なくとも約50%大きく、更に好ましくは反応器に入る反応媒体の動的粘度よりも少なくとも約250%大きく、最も好ましくは反応器に入る反応媒体の動的粘度よりも少なくとも1,000%大きい。好ましくは、上記の反応器(群)は、重合されている反応媒体を処理するのに使用される重合反応器である。
【0037】
特に好ましいプロセスに於いて、この反応器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を製造するプロセスに於いて使用する。このようなプロセスに於いて、反応器に入る反応媒体は、約20〜約75の範囲内、更に好ましくは約35〜約60の範囲内、最も好ましくは40〜55の範囲内の重合度(DP)を有する。本明細書で使用する「重合度」又は「DP」は、数平均重合度を意味し、これは、繰り返し単位分子量によって割った、数平均ポリマー分子量として定義される。反応媒体が反応器を通過して下方に流れるとき、反応媒体のDPは、重縮合のために増加する。好ましくは、反応器から出る反応媒体のDPは、反応器に入る反応媒体のDPよりも少なくとも約25%、更に好ましくは反応器に入る反応媒体のDPよりも約50〜約500%の範囲内で大きく、最も好ましくは反応器に入る反応媒体のDPよりも80〜400%の範囲内で大きい。好ましくは、反応器から出る反応媒体は、約75〜約200の範囲内、更に好ましくは約90〜約180の範囲内、最も好ましくは105〜165の範囲内のDPを有する。
【0038】
本発明の好ましい態様に於いて、反応器内の反応条件は、約250〜約325℃の範囲内の温度及び約0.1〜約4トルの範囲内の圧力、更に好ましくは約270〜約310℃の範囲内の温度及び約0.2〜約2トルの範囲内の圧力、最も好ましくは275〜295℃の範囲内の温度及び0.3〜1.5トルの範囲内の圧力に維持する。反応器内の反応媒体の平均滞留時間は、好ましくは約0.25〜約5時間の範囲内、最も好ましくは0.5〜2.5時間の範囲内である。
【0039】
図1〜14を参照して上記説明した反応器形状は、好ましくは少なくとも約2.5インチ、最も好ましくは3〜12インチの範囲内の、トレイ上の反応媒体の平均深さを維持するように運転できる。
【0040】
本発明者らは、本明細書中に示した全ての数値範囲について、範囲の上端及び下端は、互いに独立であってよいことを指摘する。例えば10〜100の数値範囲は、10よりも大きく及び/又は100よりも小さいことを意味する。従って、10〜100の範囲は、10よりも大きい(上限を含まない)特許請求の範囲限界、100よりも小さい(下限を含まない)特許請求の範囲限界及び10〜100の全範囲(上限及び下限を含む)のための支持を提供する。
【0041】
本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に説明したが、その変形及び修正を、本発明の精神及び範囲内で実施できることが理解されるであろう。
【0042】
以下に、本発明及びその関連態様を列挙する。
態様1.複数個の垂直に間隔を空けて配置された一方向に傾斜したトレイ及び複数個の垂直に間隔を空けて配置された二方向に傾斜したトレイを含んでなり、前記一方向トレイの傾斜が下方に向って増加している反応器。
態様2.前記二方向トレイの傾斜が下方に向って増加している態様1に記載の反応器。
態様3.前記一方向トレイの少なくとも一部が前記二方向トレイの少なくとも一部の上方に配置されている態様1に記載の反応器。
態様4.前記一方向トレイの全部が前記二方向トレイの全部の上方に配置されている態様1に記載の反応器。
態様5.前記一方向トレイの隣接するトレイが反対方向に傾斜している態様1に記載の反応器。
態様6.前記二方向トレイが、交互にルーフトレイ及びトラフトレイを含み、前記ルーフトレイが、一対の下方向に広がっているルーフ部材を含み、前記トラフトレイが、一対の下方向に収束しているトラフ部材を含む態様1に記載の反応器。
態様7.前記複数個の一方向トレイが、第一の方向に於いて前後に傾斜している一方向トレイの上方グループ並びに第二の方向に於いて前後に傾斜している一方向トレイの下方グループを含み、前記第一の方向及び第二の方向が、互いに対して実質的に垂直である態様1に記載の反応器。
態様8.前記反応器内の全てのトレイの少なくとも10%が一方向トレイであり、そして前記反応器内の全てのトレイの少なくとも10%が二方向トレイである態様1に記載の反応器。
態様9.前記一方向トレイの傾斜が少なくとも約2度まで変化し、そして前記二方向トレイの傾斜が少なくとも約4度まで変化する態様1に記載の反応器。
態様10.前記一方向トレイが上方に向いた傾斜面を示す実質的に平坦な主部材を含み、前記主部材が実質的に開口を有さない態様1に記載の反応器。
態様11.前記一方向トレイの少なくとも一部が前記主部材に結合し、前記上方に向いた傾斜面から上方に伸びている堰を含む、態様10に記載の反応器。
態様12.前記堰が少なくとも約2.5インチの高さを有する態様11に記載の反応器。
態様13.前記一方向トレイの全部の少なくとも10%が前記堰を設け、前記堰が3〜12インチの範囲内の高さを有する態様11に記載の反応器。
態様14.前記反応器が前記一方向トレイの下方で且つ前記二方向トレイの上方に配置された転移部材を含み、前記転移部材が分割ラインを規定し、開口の第一グループが前記分割ラインの一方の側に配置され、開口の第二グループが前記分割ラインの他方の側に配置され、前記開口の第一グループによって規定される累積開口面積が前記開口の第二グループによって規定される累積開口面積と実質的に同じである態様1に記載の反応器。
態様15.前記転移部材が前記分割ラインの方向に収束する一対の下方に収束する壁を含み、前記開口の第一グループ及び第二グループが前記下方に収束する壁の底部付近に配置されている態様14に記載の反応器。
態様16.前記一方向トレイの少なくとも一部が後部端及び末端を表し、前記後部端及び末端が、前記一方向トレイの一般的に反対端部に配置され、前記トレイが前記後部端から前記末端の方に下方に向って傾斜しており、前記反応器が前記後部端に隣接して配置された後部間隙及び前記末端に隣接して配置された末端間隙を規定している態様1に記載の反応器。
態様17.前記反応器が、複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含んでなり、前記トレイの少なくとも幾らかに、前記反応媒体の少なくとも一部がその上を流れて、直ぐ下に配置されている次のトレイの方に通過する、上方に伸びている堰を含む反応媒体を処理する反応器。
態様18.前記堰が少なくとも約2.5インチの高さを有する態様17に記載の反応器。
態様19.前記堰が3〜12インチの範囲内の高さを有する態様17に記載の反応器。
態様20.前記トレイの全部の少なくとも10%に前記堰が設けられている態様17に記載の反応器。
態様21.前記トレイが複数個の一方向トレイを含む態様17に記載の反応器。
態様22.前記一方向トレイの隣接するトレイが反対方向に傾斜している態様21に記載の反応器。
態様23.前記一方向トレイの傾斜が下方に向って増加している態様22に記載の反応器。
態様24.前記トレイが複数個の二方向トレイを含む態様21に記載の反応器。
態様25.前記二方向トレイが、交互にルーフトレイ及びトラフトレイを含み、前記ルーフトレイが、一対の下方向に広がっているルーフ部材が含まれており、前記トラフトレイが一対の下方向に収束しているトラフ部材を含む態様24に記載の反応器。
態様26.前記二方向トレイの傾斜が下方に向って増加している態様25に記載の反応器。
態様27.前記二方向トレイが前記一方向トレイの下方に配置されている態様24に記載の反応器。
態様28.前記反応器が、少なくとも5個の前記一方向トレイ及び少なくとも5個の前記二方向トレイを含む態様24に記載の反応器。
態様29.前記傾斜したトレイの少なくとも一部が後部端を表し、前記トレイが前記後部端から前記堰の方に下方向に傾斜し、前記反応器が前記後部端に隣接して配置される後部間隙を規定し、前記反応媒体の少なくとも一部が前記後部端を越えて前記後部間隙を通って下方に流れて、直ぐ下に配置されている次のトレイまで通過する態様17に記載の反応器。
態様30.(a)反応媒体を、複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含む重合反応器中に、導入する工程、(b)前記反応媒体を、前記重合反応器内で、前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイを越えて、下方に流す工程(ここで、前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイ上を流れる前記反応媒体の平均厚さは約2.5インチ又はそれ以上に維持する)並びに(c)前記重合反応器から前記反応媒体を取り出す工程(ここで、前記重合反応器から取り出される前記反応媒体の重合度(DP)は、前記重合反応器中に導入される前記反応媒体のDPよりも少なくとも約25%大きい)を含んでなる重合方法。
態様31.前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイ上を流れる反応媒体の平均厚さを約3〜12インチの範囲内に維持する態様30に記載の重合方法。
態様32.前記重合反応器中に導入される反応媒体のDPが約20〜約75の範囲内である態様30に記載の重合方法。
態様33.前記重合反応器から取り出される反応媒体がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む態様30に記載の重合方法。
態様34.前記反応媒体を、前記重合反応器内で、約250〜約325℃の範囲内の温度及び約0.1〜約4トルの範囲内の圧力で維持する態様30に記載の重合方法。
態様35.前記トレイの少なくとも幾らかが、前記反応媒体の少なくとも一部が、その上を流れて直ぐ下に配置されている次のトレイの方に通過する、上方に伸びている堰を含む態様30に記載の重合方法。
態様36.前記堰が少なくとも約2.5インチの高さを有する態様35に記載の重合方法。
態様37.前記トレイの全部の少なくとも10%に前記堰が設けられている態様35に記載の重合方法。
態様38.前記トレイが複数個の一方向トレイを含む態様30に記載の重合方法。
態様39.前記一方向トレイの隣接するトレイが反対方向に傾斜している態様38に記載の重合方法。
態様40.前記一方向トレイの傾斜が下方向に増加している態様39に記載の重合方法。
態様41.前記トレイが複数個の二方向トレイを含む態様38に記載の重合方法。
態様42.前記二方向トレイが、交互にルーフトレイ及びトラフトレイを含み、前記ルーフトレイが、一対の下方向に広がっているルーフ部材を含み、前記トラフトレイが、一対の下方向に収束しているトラフ部材を含む態様41に記載の重合方法。
態様43.前記二方向トレイの傾斜が下方に向って増加している態様42に記載の重合方法。
態様44.前記二方向トレイが前記一方向トレイの下方に配置されている態様41に記載の重合方法。
態様45.前記反応器が少なくとも5個の前記一方向トレイ及び少なくとも5個の前記二方向トレイを含む態様41に記載の重合方法。
態様46.前記トレイが複数個の一方向トレイを含み、前記方法が、前記反応媒体の少なくとも一部を、前記一方向トレイの少なくとも1個の2つの一般的に反対の位置にある端部を越えて、同時に流すことを更に含む態様30に記載の重合方法。
態様47.前記一方向トレイの一般的に反対の位置にある端部が異なった高度で配置されている態様46に記載の重合方法。
態様48.(a)反応媒体を、複数個の一方向に傾斜したトレイ及び複数個の二方向に傾斜したトレイを含む反応器の上部セクション中に導入する工程、(b)前記反応媒体を、反応器内で前記一方向トレイ及び二方向トレイを越えて、下方に流す工程並びに(c)前記反応器の下部セクションから反応媒体を取り出す工程を含んでなる方法。
態様49.前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイ上を流れる反応媒体の平均厚さが少なくとも約2.5インチである態様48に記載の方法。
態様50.前記反応器から取り出される反応媒体の動的粘度が反応器の中に導入される反応媒体の動的粘度よりも少なくとも約50%大きい態様48に記載の方法。
態様51.前記一方向トレイの傾斜が下方向に増加している態様48に記載の方法。
態様52.前記二方向トレイの傾斜が下方向に増加している態様51に記載の方法。
態様53.前記一方向トレイの少なくとも一部が二方向トレイの少なくとも一部の上方に配置されている態様48に記載の方法。
態様54.前記プロセスが、下方に流れる反応媒体を、反応媒体が二方向トレイの上を流れる前に、2個の実質的に等しい部分に分割することを含む態様53に記載の方法。
態様55.前記一方向トレイの隣接するトレイが反対方向に傾斜しており、前記二方向トレイが、交互にルーフトレイ及びトラフトレイを含み、前記ルーフトレイに、一対の下方向に分岐しているルーフ部材が含まれており、前記トラフトレイに、一対の下方向に広がっているトラフ部材を含む態様48に記載の方法。
態様56.前記複数個の一方向トレイが一方向トレイの上部グループ及び一方向トレイの下部グループを含み、前記反応媒体が、第一の方向に於いて、一方向トレイの上部グループの上方を前後に流れ、前記反応媒体が、第二の方向に於いて、一方向トレイの下部グループの上方を前後に流れ、前記第一の方向及び第二の方向が互いに実質的に垂直である態様48に記載の方法。
態様57.前記反応器内の全てのトレイの少なくとも10%が一方向トレイであり、そして前記反応器内の全てのトレイの少なくとも10%が二方向トレイである態様48に記載の方法。
態様58.前記一方向トレイの少なくとも一部が、前記反応媒体の少なくとも一部がその上を流れて、直ぐ下に配置されている次のトレイの方に通過させる、上方に伸びている堰を含む態様48に記載の方法。
態様59.前記堰が少なくとも約2.5インチの高さを有する態様58に記載の方法。
態様60.前記反応器中に導入される反応媒体の重合度(DP)が約20〜約75の範囲内であり、前記反応器から取り出される反応媒体のDPが反応器中に導入される反応媒体のDPよりも少なくとも約50%大きい態様48に記載の重合方法。
態様61.前記反応器から取り出される反応媒体がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む態様60に記載の方法。
態様62.前記反応媒体を、反応器内で、約250〜約325℃の範囲内の温度及び約0.1〜約4トルの範囲内の圧力に維持する態様48に記載の方法。
態様63.前記反応媒体の少なくとも一部が、前記一方向トレイの少なくとも1個の2つの一般的に反対の位置にある端部を越えて同時に流すことを更に含む態様44に記載の方法。
態様64.前記一方向トレイの一般的に反対の位置にある端部が異なった高さに配置されている態様63に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含んでなり、前記トレイの少なくとも10%が、反応媒体の少なくとも一部を、その上を流れて、直ぐ下に配置されている次のトレイの方に通過させるために、上方に伸びている、少なくとも6.35cm(2.5インチ)の高さを有する堰を含み、前記トレイが反対方向に傾斜している複数個の一方向トレイを含み、そして前記トレイの傾斜がトレイからトレイへ下方に向って増加している、反応媒体を処理する反応器。
【請求項2】
前記堰が7.62〜30.48cm(3〜12インチ)の範囲内の高さを有する請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
(a)反応媒体を、複数個の垂直に間隔を空けて配置された傾斜したトレイを含む重合反応器中に、導入する工程、(b)前記反応媒体を、前記重合反応器内で、前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイを越えて、下方に流す工程(ここで、前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイ上を流れる前記反応媒体の平均厚さは6.35cm(2.5インチ)又はそれ以上に維持する)並びに(c)前記重合反応器から前記反応媒体を取り出す工程(ここで、前記重合反応器から取り出される前記反応媒体の重合度(DP)は、前記重合反応器中に導入される前記反応媒体のDPよりも少なくとも25%大きい)を含んでなり、前記トレイが反対方向に傾斜している複数個の一方向トレイを含み、そして前記トレイの傾斜がトレイからトレイへ下方に向って増加している、重合方法。
【請求項4】
前記垂直に間隔を空けて配置されたトレイ上を流れる反応媒体の平均厚さを7.62〜30.48cm(3〜12インチ)の範囲内に維持する請求項3に記載の重合方法。
【請求項5】
前記反応媒体を、前記重合反応器内で、250〜325℃の範囲内の温度及び13.33〜533.2パスカル(0.1〜4トル)の範囲内の圧力で維持する請求項3に記載の重合方法。
【請求項6】
前記トレイが反対方向に傾斜している複数個の一方向トレイ及び複数個の二方向トレイを含む請求項3に記載の重合方法。
【請求項7】
前記二方向トレイが、交互にルーフトレイ及びトラフトレイを含み、前記ルーフトレイが、一対の下方向に広がっているルーフ部材を含み、前記トラフトレイが、一対の下方向に収束しているトラフ部材を含み、そして二方向トレイの傾斜が下方に向って増加している請求項6に記載の重合方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−40354(P2013−40354A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−261410(P2012−261410)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2011−97402(P2011−97402)の分割
【原出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】