月経血幹細胞と共に臍帯血由来細胞を共培養する方法
CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得るための方法を提供する。本方法は、臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種すること、および臍帯血細胞の少なくとも2回以上の集団倍化を支援する培養条件下で月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養することを含む。本方法は、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずるためにも提供される。増幅細胞は、CD34、SSEA−4およびHLA−IIを発現することができる。増幅細胞の組成もまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年10月31日に出願され、「月経血幹細胞と共に臍帯血由来細胞を共培養する方法」と題する、米国仮特許出願第61/001,456号の優先権を主張し、その全体は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、ヒト細胞培養および共培養を介して単離された細胞集団を増強する方法に一般的に関する。より具体的には、本発明は、CD34を発現する増幅臍帯血由来細胞の改善された細胞集団を得るために、月経血幹細胞と共に共培養する臍帯血由来細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
臍帯血は、ヒト身体の多数の障害を治療する能力を備えた幹細胞の認められているソースである。臍帯血は、CD34細胞を含む単核細胞を含む造血系祖先細胞が豊富なソースである。家族は、子または家族のメンバーの医学的に必要な場合に備えて、幹細胞が豊富なソースを保存する潜在的利益のために、臍帯血の回収を決定することができる。
【0004】
臍帯血(umbilical cord blood)とも呼ばれる臍帯血(cord blood)は、出生時に臍帯および胎盤中に残存する血液である。この血液は幹細胞が豊富なソースであり、将来の使用の可能性のために回収され、プロセシングされ、凍結保存することができる。臍帯血幹細胞は、高生着率であり、組織不適合についてより寛容であり、重篤な移植臓器対個体反応疾患(幹細胞移植における主要な合併症)が低率であり、めったに潜伏ウィルスが混入しないので有利である。
【0005】
臍帯血により治療可能なヒト不全症の数は、過去十年間にわたって有意に増大した。一例として、臍帯血細胞を使用して、癌、骨髄不全関連症候群、血液疾患、代謝障害、免疫不全障害、および他の疾患状態の様々な形態の少なくとも70形態を治療した。例えば、臍帯血細胞を使用して、以下のものが治療されてきた。急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、血球貪食性リンパ組織球症、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ腫様肉芽腫症、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、無巨核球性血小板減少症、自己免液性好中球減少症(重症)、先天性赤血球異形成貧血、周期性好中球減少症、ダイアモンド−ブラックファン貧血、エヴァンズ症候群、ファンコニ貧血、グランツマン病、若年性皮膚筋炎、コストマン症候群、赤血球形成不全、シュバッハマン症候群、重症再生不良性貧血、先天性鉄芽球性貧血、血小板減少性橈骨欠損症(TAR症候群)、先天性角化異常症、鎌形赤血球貧血症(ヘモグロビンSS)、HbSC疾患、鎌状赤血球β−サラセミア、α−サラセミアメジャー(胎児水腫)およびβ−サラセミアメジャー(クーリー貧血)、β−中間型サラセミア、E−βサラセミア、E−β+サラセミア、副腎白質ジストロフィー、ゴーシェ病(幼児)、異染性ロイコジストロフィー、クラッベ病(グロボイド細胞性ロイコジストロフィー)、ギュンター病、ヘルマンスキー−プドゥラック症候群、ハーラー症候群、ハーラー−シャイエ症候群、ハンター症候群、サンフィリッポ症候群、マロトー‐ラミー症候群、ムコリピド蓄積症II型、III型、αマンノシドーシス、ニーマン‐ピック病、A型およびB型、サンドフ(Sandoff)症候群、テイ−サックス病、バッテン病(遺伝性神経セロイドリポフスチン症)、レッシュ−ナイハン病、毛細血管拡張性運動失調、慢性肉芽腫症、ディ・ジョージ症候群、IKKγ欠損症、X連鎖免疫調節異常多腺性内分泌障害、ムコリピド蓄積症、II型、ミエロカテシス(myelokathesis)、X連鎖免疫不全症、重症複合免疫不全症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖性疾患、オーメン症候群、細網形成障害、胸腺異形成、白血球接着不全症、および大理石骨病。
【0006】
ヒト障害の治療において、臍帯血細胞の回収および使用には限定がある。第一に、臍帯血細胞は出生後のみに回収されうる。このことは、臍帯血を回収できる回数に対して有意な限定を課す。第二に、臍帯血は、限定的な量の幹細胞を含む少量の体積で回収される。特定の障害は、多数の幹細胞の注入または移植を必要とする。回収可能な臍帯血細胞が少量であるので、多数の細胞を必要とする療法のためのかかる細胞の使用は実行不可能になる。
【0007】
臍帯血細胞の限定を克服する進歩を発展させる研究が進行中である。複数の臍帯血単位を組み合わせるか、または移植の前に単一臍帯血単位中の幹細胞を増幅する技術が開発されている。かかる技術は、幹細胞の集団が障害を治療するにはあまりにも少量であというる問題に対処するために開発された。この開発があっても、臍帯血幹細胞は、細胞培養中で増幅するのが困難であることが証明されている。幹細胞が豊富である限定されたソースはなお障害の治療に対する制限を有する。
【0008】
インビトロの分析系は、多能性祖先、ならびに赤血球、顆粒球、単球マクロファージ、および巨核球骨髄細胞系譜の系譜が限定された祖先の定量に開発されている。適切な半固形マトリックス中で培養された場合、コロニー形成細胞(CFC)と呼ばれる個別の祖先は、増殖して分離した細胞集団またはコロニーを形成する。CFC分析は、栄養素およびサイトカインを補足したメチルセルロースまたはコラーゲンなどの半固形培地へと細胞懸濁物を置き、続いてインキュベーションすることによって実行される。次に、CFCは、コロニー内の1つまたは複数のタイプの造血系系譜細胞の形態的認識に基づいて分類および列挙される。コロニー評価および列挙は、光学顕微鏡法によってインシトゥーで、または個別のコロニーを取り出し、次に細胞化学方法および免疫細胞化学的方法を使用して細胞を染色することによって行うことができる。
【0009】
メチルセルロースを含む様々なゲル化剤は、CFC分析に使用されてきた。メチルセルロースは、十分な光学的透明度を備えた安定したゲルを形成する、比較的不活性なポリマーである。それは、ウシ胎仔血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、2−メルカプトエタノール、インスリン、トランスフェリン、およびコロニー刺激因子のソースとして組換えサイトカインまたは馴化培地を含む化合物を補足した培養培地中で一般的には使用される。メチルセルロースベースの培地は、他のタイプの半固形マトリックスよりも赤芽球系譜細胞の十分な成長を許容し、したがって同じ培養内で赤芽球、顆粒球、単球および多能性CFCの分析を可能にする。この培地は、ヒト赤芽球コロニー形成細胞(CFU−E)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)および顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の検出および列挙を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
進歩はあるのだが、ヒト障害の治療で使用される大量の幹細胞を産生する臍帯幹細胞の増加を改善する方法が引き続き必要とされている。本発明はこの必要性を満たすことに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、月経血細胞(menstrual cell)の集団と共に共培養した場合、臍帯血由来の幹細胞が十分多数に増殖するという発見に基づく。この発見は、月経血幹細胞が臍帯血幹細胞と共に培養において支持機能を供給して、臍帯血細胞の増殖を増強することを示した。臍帯血細胞は、回収、凍結保存および保存のために現在の業界基準に従って回収される。臍帯血幹細胞と共に共培養するために使用された月経血幹細胞は、米国特許公報第20080241113号の教示に従って回収することができる。臍帯血細胞および月経血細胞の共培養は、CD34、SSEA4およびHLA−IIを発現する細胞の増加を促進する培養環境を生成する。
【0012】
米国特許公報第20080241113号の教示は、本発明における使用に適切な月経血幹細胞集団を回収する多数の方法を提供する。共培養のために使用される月経血幹細胞は、新鮮な月経血幹細胞または凍結保存した月経血幹細胞から得ることができる。月経血幹細胞はCD117または他の細胞表面マーカーについて単離され、細胞培養を介してさらに増幅することができる。月経血幹細胞は特定の細胞マーカーについてもまた単離され、次に増加のために培養することができる。米国特許公報第20080241113号中で記述される月経血幹細胞のいかなる集団も、本発明の共培養の方法およびプロセスにおいて使用することができる。
【0013】
したがって、本発明は、臍帯血細胞の増殖の改善のために、月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養する方法を提供する。
【0014】
関連する態様において、本発明は、ヒト臍帯血細胞の集団倍化(population doubling)を促進するヒト月経血細胞と共に、適切な培養条件で、ヒト臍帯血細胞の増加から得られたCD34を発現するヒト細胞の集団を提供する。細胞の集団はSSEA4およびHLA−IIを発現する。
【0015】
本発明の細胞の集団は、凍結保存剤、培養培地、成長培地、または分化培地のうちのいずれか1つ中に懸濁し得る。
【0016】
本発明のCD34を発現するヒト細胞の集団は、少なくとも2回以上の集団倍化から生じる。
【0017】
本発明の細胞の集団は、コロニー形成細胞(colony forming unit)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞(blood lineage precursor cell)のうちのいずれか1つを生ずることができる。
【0018】
他の態様において、本発明は、臍帯血細胞の増加に適切な条件で十分な量の月経血幹細胞と共に十分な量の臍帯血幹細胞を共培養し、次に、少なくとも2回の集団倍化を介して十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させることを含むプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団もまた提供する。十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させる工程は、臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0019】
1つの実施形態において、本発明のプロセスは、十分な量の培養中の臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞(CFU)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含み得る。
【0020】
なお他の実施形態において、本発明のプロセスは、十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させた後に、CD34を発現する臍帯血細胞を単離する工程を含み得る。
【0021】
さらなる実施形態において、本発明のプロセスは、十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させた後に、CD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団を凍結保存する工程を含み得る。
【0022】
本発明のプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団は、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後に、CD34、SSEA4およびHLA−IIのうちの少なくとも1つもまた発現し得る。
【0023】
なおさらなる態様において、本発明は、CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得る方法を提供する。本発明の方法は、臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で、十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種して、臍帯血細胞の少なくとも2回または複数回の集団倍化を支援する培養条件下で、月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養する工程を含み得る。
【0024】
ある実施形態において、CD34を発現するヒト臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、少なくとも1種または複数のSSEA4およびHLA−IIを発現させることを含む。
【0025】
他の実施形態において、本発明の増幅ヒト臍帯血細胞は高レベルのCD34を発現する。さらに、本発明の臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0026】
代替の実施形態において、本発明の方法は、増幅ヒト臍帯血細胞をCD34について免疫選択すること、ヒトへの注入のために増幅ヒト臍帯血細胞を培養から分離すること、増幅ヒト臍帯血細胞を凍結保存すること、または増幅臍帯血細胞を細胞系譜へと分化させること、のさらなる工程のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0027】
なお他の実施形態において、本発明の方法は、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の図式的なフローチャートを示した図である。
【図2a】実施例1において記述した造血系コロニー形成細胞のためのメソカルト(MethoCult)4053半固形メチルセルロース培地中で、解凍後にプレーティングし培養した臍帯871R細胞の細胞培養の写真である。臍帯871R細胞は、1ウェルあたり1mlの培地中で1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングされた。細胞培養8日後の細胞の写真(200×)である。コロニー形成細胞(CFU)の成長のない半固形培養培地中の遊離した細胞を実証する。
【図2b】実施例1において記述した造血系コロニー形成細胞のためのメソカルト4053半固形メチルセルロース培地中で、解凍後にプレーティングし培養した臍帯871R細胞の細胞培養の写真である。臍帯871R細胞は、1ウェルあたり1mlの培地中で1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングされた。細胞培養9日後の細胞の写真(40×)である。コロニー形成細胞(CFU)の成長のない半固形培養培地中の遊離した細胞を実証する。
【図3a】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養における細胞の写真(100×)である。
【図3b】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。コロニー形成細胞のためのメチルセルロース培地中の遊離細胞の培養8日後の写真(100×)である。
【図3c】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞で細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養における細胞の写真(200×)である。
【図3d】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞で細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養における細胞の写真(200×)である。
【図3e】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり5,000細胞で細胞をプレーティングし8日間培養した後に初期のBFU−E産生を示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図3f】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養中の細胞の写真(100×)である。
【図3g】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養中の細胞の写真(100×)である。
【図3h】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図3i】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞をプレーティングし9日間培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、細胞培養の写真(100×)である。
【図3j】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞をプレーティングし9日間培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、細胞培養の写真(100×)である。
【図3k】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞をプレーティングし9日間培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、細胞培養の写真(40×)である。
【図3l】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。この濃度ではコロニー形成能のない培地中の遊離細胞の写真である。
【図4a】1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でM28101R月経血細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にCFU−GMを示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図4b】1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞で細胞をプレーティングし9日間培養した後にCFU−GM産生を示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図4c】1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞で細胞をプレーティングし数日間細胞培養した後にBFU−E産生を示す、培養中の細胞の写真(100×)である。
【図4d】1ウェルあたり5,000細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり5,000細胞で細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後の遊離細胞の写真(40×)である。
【図5a】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の培養後の写真(100×)を示す。CFU−GMコロニー形成を明示する。
【図5b】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の細胞培養後の写真(200×)である。
【図5c】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の細胞培養後の写真(100×)である。
【図5d】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり5,000細胞でプレーティングした月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯血細胞による9日間の培養後のCFU−GMの一部の写真(40×)である。
【図5e】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の培養後の写真(100×)を示す。CFU−GMコロニー形成を明示する。
【図5f】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の9日間の細胞培養後の写真(100×)である。
【図5g】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の9日間の培養後の写真(100×)を示す。BFU−Eコロニー形成を明示する。
【0029】
【図6a】実施例5において記述したM28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。メチルセルロース半固形造血系培地中の遊離細胞を明示する。異なる濃度でプレーティングした場合、単独で培養したM28101R月経血細胞はCFU−GMおよびBFU−Eを産生することができた。
【図6b】実施例5において記述したM28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。メチルセルロース半固形造血系培地中の遊離細胞を明示する。異なる濃度でプレーティングした場合、単独で培養したM28101R月経血細胞はCFU−GMおよびBFU−Eを産生することができた。
【図6c】実施例5において記述したM28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。メチルセルロース半固形造血系培地中の遊離細胞を明示する。異なる濃度でプレーティングした場合、単独で培養したM28101R月経血細胞はCFU−GMおよびBFU−Eを産生することができた。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜6を参照して、CD34を発現する細胞の数を増幅するために月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養するプロセスおよび方法は、本発明によって提供される。本発明のプロセスおよび方法によって得られたCD34を発現する増幅ヒト細胞の組成もまた提供される。
【0031】
全臍帯血は、CD34+細胞を含む単核細胞を含む造血系祖先細胞の豊富なソースである。臍帯血幹細胞は、CD34+細胞を含む単核細胞を含む。臍帯血幹細胞は、新生児の娩出後であるが一般的に胎盤が娩出される前に、臍帯から抽出した全臍帯血から得られる。娩出の瞬間は新生児の幹細胞を採取する唯一の機会である。さらに回収は経膣分娩および帝王切開分娩の両方で安全である。臍帯血を回収するために、臍帯血は臍帯から血液回収バッグの中へ抜き取られる。臍帯血は梱包材中にパッケージングされ、回収の36〜48時間以内にプロセシングするために実験室へ発送される。
【0032】
全血は、新生児の出生に後続して臍帯のクランプ後に臍帯から回収される。全臍帯血の体積は約110mlでありえる。回収された臍帯血サンプルは、プロセシングのために実験室へ業界基準下で発送される。
【0033】
密度勾配分離(フィコール/ハイパック)を使用して無菌状態下で臍帯血をプロセシングして、CD34を発現する細胞の集団を含む単核細胞を分離する。臍帯血は滅菌された50mlチューブへと小分けする。チューブを470gで約15分間遠心分離する。遠心分離後に、パックされた細胞は1体積あたり1:3の比率であるべきである。遠心分離後のチューブから血漿を除去することができるか、またはパックされた細胞に対する体積を1:3の比率で達成するようにチューブにDPBSを追加することができる。各々のチューブは多くとも約35mlの体積を有するべきである。10mlのLSMを各々のチューブの下層に置く。各々のチューブを400gで約30分間遠心分離する。血漿の上層を除去する。単核細胞および血漿を含む次の層を取り出して、別の50mlチューブに移す。
【0034】
50mlチューブ中の細胞は、RPMI対細胞混合物が約1:2比率でL−グルタミンを含む1×RPMI01640を使用して、最大約45mlの体積で懸濁されるべきである。細胞懸濁物を含むチューブは470gで約15分間遠心分離することができる。遠心分離後に、上清を除去する。少量のRPMIを追加して、沈殿を再懸濁する。15mlチューブに細胞懸濁物を移す。15mlチューブ中の細胞懸濁物を400gで約15分間遠心分離する。上清をデカントし、RPMIを使用して5mlまで沈殿を再懸濁する。5mlのDMSO/自己血漿(1mlのDMSOおよび4mlの自己血漿)を滴下して追加する。速度制御フリーザー中のDMSO/自己血漿中の細胞懸濁物の温度を約−85℃まで低下させる。約−185℃またはそれ以下の液体窒素タンク中にチューブを置く。
【0035】
語句「月経血細胞」は、米国特許公報第20080241113号の方法のうちのいずれかに記載の月経流出物から回収された細胞に関して使用される。月経血細胞は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166、およびHLAクラスIを含むが、これらに限定されない細胞マーカーまたは細胞内マーカーの少なくとも1つを発現するが、CD3およびMHC IIを低レベルで発現するかまたは発現しない細胞を含む。細胞の前述の特徴は例示的な特徴として提供されるが、月経血細胞の追加および代わりの細胞表面特徴は、米国特許公報第20080241113号において開示された表および図でそれに対して提供された特徴、凍結保存の前および後の特徴、CD117選択の前および後の特徴、細胞培養の前および後の特徴、または任意の組合せの特徴を含むが、これらに限定されず、米国特許公報第20080241113号における開示の全体にわたって提供される。さらに、米国特許公報第20080241113号は、その全体を参照することにより本明細書に組み入れられ、本発明の月経血細胞に関するさらなる開示を提供する。臍帯血幹細胞と共に共培養するために使用された月経血細胞は、米国特許公報第20080241113号の教示に従って、月経流出物から回収し、濃縮し、凍結保存することができ、後に本発明の方法に従って解凍することができる。あるいは、米国特許公報第20080241113号の教示は、本発明における使用に適切な月経血細胞を得る多数の方法を提供する。
【0036】
用語「細胞(cell)」は適用において単数の意味で使用することができるが、用語「細胞(cells)」もまた本発明により使用される1つより多い細胞を指すように使用することができる。
【0037】
特定の細胞は、多数の別個の細胞タイプへと分化する細胞能力に起因して、天然で多能性であることが認識される。多能性細胞は、多数の異なる哺乳類細胞タイプへと分化を行う能力を保持する。一例として、本発明において使用される月経血細胞は、例えば神経細胞系譜および心臓形成細胞系譜、軟骨形成細胞系譜、脂肪形成細胞系譜、および骨形成細胞系譜などの、様々な細胞系譜へと分化する能力を示す。
【0038】
本発明の方法および組成
【0039】
治療上の使用のために増幅CD34細胞の使用は、多数の理由で有利であろう。特に、増幅CD34細胞は、(a)他の臍帯血細胞増幅方法との比較では増殖のためにより少ない臍帯血細胞の使用を必要とし、(b)月経血細胞との共培養において増殖性であり、(c)自己適用が可能であり、(d)同種異系の適用(allogenic application)が可能であり、(e)ソースとしてカスタマイズ再生医療法に使用し得る。
【0040】
本発明は、ヒト臍帯血細胞の集団倍化を促進するヒト月経血細胞と共に、適切な培養条件で、ヒト臍帯血細胞の増加から得られたCD34を発現するヒト細胞の集団を提供する。細胞の集団はSSEA4およびHLA−IIもまた発現する。
【0041】
本発明の細胞の集団は、凍結保存剤、培養培地、成長培地、または分化培地のうちのいずれか1つ中に懸濁し得る。
【0042】
本発明のCD34を発現するヒト細胞の集団は、少なくとも2回以上の集団倍化から生じる。
【0043】
本発明の細胞の集団は、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることができる。
【0044】
本発明は、臍帯血細胞の増加に適切な条件で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血幹細胞を共培養し、次に少なくとも2回の集団倍化を介して十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させることを含むプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団もまた提供する。十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させる工程は、臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0045】
本発明のプロセスは、十分な量の培養における臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞(CFU)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含み得る。
【0046】
本発明のプロセスは、十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現する臍帯血細胞を単離する工程を含み得る。
【0047】
本発明のプロセスは、十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団を凍結保存する工程を含み得る。
【0048】
本発明のプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団は、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後にCD34、SSEA4、およびHLA−IIの少なくとも1つもまた発現み得る。
【0049】
本発明は、CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得る方法を提供する。本発明の方法は、臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種する工程、および臍帯血細胞の少なくとも2回または複数回の集団倍化を支援する培養条件下で月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養する工程を含む。
【0050】
CD34を発現するヒト臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、少なくとも1種または複数のSSEA4およびHLA−IIを発現させることを含む。本発明の増幅ヒト臍帯血細胞は、高レベルのCD34を発現する。
【0051】
本発明の臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0052】
本発明の方法は、CD34のために増幅するヒト臍帯血細胞を免疫選択すること、ヒトへの注入のために増幅ヒト臍帯血細胞を培養から分離すること、増幅ヒト臍帯血細胞を凍結保存すること、または増幅臍帯血細胞を細胞系譜へと分化させること、のさらなる工程の少なくとも1つを含み得る。
【0053】
本発明の方法は、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含む。
【0054】
培養のための細胞の調製物
【0055】
臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルは保存において凍結保存することができる。あるいは、臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルのいずれかまたは両方は、回収された生の血液サンプルからプロセシングした後に新鮮でありえる。臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルのいずれかまたは両方が凍結保存される事例において、凍結保存した臍帯血細胞および/または月経血細胞は、培養のための調製において解凍されなくてはならない。臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルのいずれかまたは両方が新鮮である事例において、細胞は培養のために調製し得る。
【0056】
凍結保存細胞を解凍するプロセスは、凍結保存細胞を解凍し、次に遠心分離を介してそれらを洗浄する工程を含む。凍結保存細胞は、凍結保存から細胞のバイアルを取り出して、凍結サンプルの少数のかけらが残るまで約37〜40℃ウォーターバス中でバイアルを撹拌することによって解凍される。凍結保存細胞は完全に解凍するべきではない。部分的に解凍された細胞は、DNase(100mlあたり10滴)を含む冷却したチャンの(Chang's)完全培地に移し、反転によって穏やかに混合する。チャンの完全培地は、部分的に解凍した細胞に対して5:1比率で混合するべきである。例えば、25mlのチャンの完全培地を5mlの解凍細胞に合わせる。この時点で、チャンの完全培地および解凍細胞の約100〜200μlのサンプルを、さらに詳細に以下で記述されたフローサイトメトリー分析のために取り出し得る。
【0057】
次に解凍細胞を懸濁したチャンの完全培地溶液を、およそ周囲温度で約120g約5分間の遠心分離の第1の工程を行い得る。一旦遠心分離が完了すれば上清を除去し、細胞および恐らく他の残屑の沈殿を緩やかな反転によってチャンのDNase不含有完全培地中で再懸濁する。次にチャンの完全培地中で懸濁した細胞は、およそ周囲温度で約120g約5分間の遠心分離の第2の工程を行い得る。一旦第2の遠心分離工程が完了すれば上清を除去し、細胞の沈殿を7mlの15%FBSチャンの成長培地中で再懸濁する。
【0058】
チャンの完全培地は、MEMα培地、チャンB、チャンC、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン、およびES−FBSを含む。チャンの完全培地は、650mlのMEMα培地、180mlのチャンB(基本培地)(18%v/v)、20mlのチャンC(2%v/v)、10mlのペニシリン/ストレプトマイシン(10,000単位/mlのペニシリンGナトリウムおよび10,000μg/ml硫酸ストレプトマイシン)、10mlのL−グルタミン200mM(100×)、および150mlのES−FBS(19%v/v)を組み合わせることによって調製される。
【0059】
凍結保存細胞を解凍し洗浄するプロセスを使用して、培養のために凍結保存された臍帯血細胞および月経血細胞を調製し得る。
【0060】
フラスコ中の培養を介する細胞の増加
【0061】
解凍した臍帯血細胞または新鮮な臍帯血細胞を、解凍した月経血細胞または新鮮な細胞と共にプレーティングして、フラスコ中で細胞を共培養する。臍帯血細胞および月経血細胞は、組織培養用の処理をしていないT−25フラスコ中で共培養することができる。細胞は、1フラスコあたり約10,000,000細胞を上回るべきでない。十分な数の臍帯血細胞を、フラスコ中で月経血細胞の十分な数と共に共培養する。1つの実施形態において、臍帯血細胞は約1,000細胞〜約10,000細胞にわたりうるが、月経血細胞は約10,000細胞〜約50,000細胞にわたりうる。月経血細胞が臍帯血細胞の増加を促進する支持機能を提供する限り、他の量の臍帯血細胞および月経血細胞は十分でありえる。
【0062】
事前に培養した臍帯血細胞および月経血細胞は、約48時間の継代時間で1cm2あたり約2,000でプレーティングし得る。より多くの細胞がプレーティングされるならば、細胞は約24時間の継代を介して進めることができる。臍帯血細胞および月経血細胞は、約7ml、約15ml、および約30mlのチャンの完全培地で、組織培養用の処理をしていないT−25、T−75、およびT−175のフラスコ中でそれぞれプレーティングし得る。
【0063】
細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、臍帯血細胞および月経血細胞の共培養を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートし得る。
【0064】
臍帯血細胞および月経血細胞の共培養は、トリプシン処理工程によってフラスコから解離し得る。共培養した臍帯血および月経血細胞が解離できる状態になっていることが明らかな場合、フラスコ中の培地を吸引し、次に非組織培養用フラスコは、T−25フラスコについては約5ml、T−75フラスコについては約10ml、またはT−157フラスコについては約25mlの体積のカルシウムまたはマグネシウム不含有DPBSにより洗浄する。洗浄後に、細胞を、T−25フラスコについては約1.5ml、T−75フラスコについては約3ml、およびT−175フラスコについては約6mlの体積のTrypLE酵素により、約36℃〜約38℃で覆い得る。TrypLE酵素を細胞と共に約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中で約5分間インキュベートし得る。インキュベーション後に細胞を外し、フラスコの内容物は、細胞を覆うのに最初に使用したTrypLE酵素の同じ体積で希釈し得る。次に、懸濁した細胞の内容物を含むTrypLE酵素溶液を、50ml遠心分離チューブに移し得る。カルシウムまたはマグネシウム不含有DPBSを使用して、T−25フラスコについては約5ml、T−75フラスコについては約10ml、およびT−175フラスコについては約25mlの体積でフラスコの内容物を洗浄し得る。本発明の実施において使用されるフラスコは組織培養用の処理をしていないフラスコでありえる。約50mlのDPBSを、TrypLE酵素および懸濁した細胞の内容物を含む50ml遠心分離チューブに追加し得る。
【0065】
50ml遠心分離チューブは、周囲温度で約120g約5分間遠心分離することができる。20μlなどの沈殿の小さなアリコートを取り出して、手動の血球計数器または自動化装置により細胞のカウントを実行することができる。遠心分離後に上清を除去して廃棄し、残存する沈殿を約7mlのチャンの完全培地中に懸濁する。
【0066】
チャンの完全培地中に懸濁した共培養した増幅細胞は、凍結保存のために調製することができるか、CD34細胞についての免疫選択を行なうことができるか、ヒトへの注入のために調製することができるか、または任意の数の細胞経路に沿った細胞分化のために調製することができる。
【0067】
共培養情報は細胞培養の経過の間に得ることができる。培地は約3日ごとまたはそれ以上で交換し得る。共培養が10,000,000以上の細胞を含むならば、共培養における細胞は同じ培養条件下で継代培養するために取り出すことができるか、またはあるいは本出願において記述した凍結保存方法に従って凍結保存することができる。
【0068】
プレートでの培養を介する細胞の増加
【0069】
細胞は、プレーティング技術を使用して滅菌条件下で共培養することができる。本発明の方法において使用される培地は、CB中のBFU−E、CFU−GM、CFU−GEMMの検出のためにhSCF、hGM−CSF、hIL−3、hG−CSF、hEPOを含むメソカルト4034でありえる。−80℃で保存した培養培地(メソカルト#4034)は、約2〜8℃または室温で解凍される。共培養のための解凍した培養培地および細胞を、プレーティングの前に氷上に約15分間置く。約0.3mlの細胞懸濁物を培養培地を含むチューブに追加し、ボルテックスにより撹拌し、氷上で約30分間インキュベートする。シリンジを使用して、1ウェルあたり約1mlで4ウェル培養プレートの3ウェル中に培養培地を均一に分配する。プレートの第4のウェルへ約1mlのDPBSを追加する。プレートは滅菌された条件下で約14〜約21日間約37℃でインキュベートするべきである。
【0070】
フローサイトメトリー分析
【0071】
共培養した臍帯血細胞および月経血細胞のサンプルは、増幅したか増幅しないかにかかわらず、全細胞数、色素排除を介するトリパンブルーによる細胞生存率、および細胞表面マーカーの発現について分析することができる。
【0072】
増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞の全細胞カウントおよび細胞生存率は、血球計数器による手動カウント、フローサイトメーター、または例えばバイセル(ViCell)(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社)もしくは顕微鏡画像に表示された細胞をカウントするのに適切なソフトウェアなどの、細胞カウントを得るのに適切な他の手段によって定量し得る。
【0073】
増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞は、フローサイトメトリーによって分析することができる。1×NH4CL溶解溶液は、50mlチューブの中へ約36mlの蒸留水および4mlの10×溶解溶液を追加することによって、ステムキット(StemKit)から調製し得る。約50μlの細胞サンプルを2本のチューブに追加して、分析を実行することができる。1本のチューブはCD34+/生存率の分析のためのものであり、2本目のチューブはアイソクロニック対照のためのものである。約10μLの7−AAD生存率用色素を各々のチューブに追加し得る。約10μLのCD45−FITC/CD34−PEを第1のチューブに追加し得る。約10μLのCD45−FITC/CTRL−PEを第2のチューブに追加し得る。混合物をボルテックスにより撹拌し、次に遮光して、約15℃〜約30℃で少なくとも20分間インキュベートし得る。次に約1mlの1×NH4CL溶解溶液を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌し得る。混合物は約15℃〜約30℃で約20分間インキュベートし得る。約100μLのステム−カウントフルオロスフェア(Stem−Count Fluorospheres)を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌し得る。次にサンプルを分析のためにフローサイトメーター上に流すべきである。
【0074】
細胞表面マーカー、細胞生存率、および他の細胞特性を分析するために、増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞も、フローサイトメトリーによって分析することができる。新鮮な細胞のサンプルは、細胞溶解後に以下のプロトコールに従ってもまた分析することができる。
【0075】
増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞のサンプルは、約2000rpmで約7分間遠心分離することができる。上清を除去し、約100μlの洗浄培地(25%HSA、DNAse、ヘパリン、ならびにCa+およびMg+含有HBSS)中に細胞を再懸濁することができる。次に再懸濁した細胞は、ブラッド・バンク・セロフュージ(Blood Bank Serofuge)中で約1分間遠心分離することができる。上清はデカントすることができ、細胞を約1.2mlのシース液を中で再懸濁し、ボルテックスにより撹拌した。
【0076】
シース液中の細胞は任意の数の細胞表面マーカーについて分析することができる。限定するのではなく一例として、表Aにおいて記述されているように、約100μlのシース液中の細胞のサンプルを、各チューブ中に1つの試薬あたり10μlまたは20μlの体積のいずれかで以下の試薬を含む各チューブに追加し、次にチューブをボルテックスにより撹拌して試薬およびサンプルを混合する。
【0077】
表A:フローサイトメトリーロード図表
【0078】
20分間室温(15〜30℃)でインキュベートする。遮光する。RBCを含む新鮮なサンプルで実行するならば、500μlの溶解溶液を追加し、さらに10分間室温でインキュベートし、遮光する。密度勾配または解凍したサンプルで実行する場合は、溶解しない。サンプルを溶解しなかった場合は、20分のインキュベーション後に1mlの洗浄培地により洗浄する。1分間遠心分離し、次に上清をデカントする。サンプルを溶解したならば、1分間サンプルを遠心分離し、溶解物をデカントする。1mlの洗浄培地を追加し、ボルテックスにより撹拌し、再び遠心分離し、次に再びデカントする。各チューブに500μLのシース液を追加し、ボルテックスにより撹拌し、FC500フローサイトメーターを実行する。
【0079】
細胞マーカー分析の前に、全細胞カウントを細胞サンプルで実行することができる。任意の数の陽性対照は、カスミ(Kasumi)−3対照細胞または他の対照細胞を使用して、フローサイトメトリー分析のために設定し得る。
【0080】
細胞カウントおよび細胞生存率分析のための資材は、フローサイトメーター、イソフロー・シース液(Isoflow Sheath Fluid)、コールター・クレンズ洗浄剤(Coulter Clenz Cleaning Agent)、ならびにCD45−FITC/CD34−PE、CD45−FITC/アイソクロニック対照−PE、7−AAD生存率用色素、ステム−カウント・フルオロスフェア、塩化アンモニウム(NH4CL)溶解溶液10×濃縮および22%のウシアルブミン溶液を含むが、これらに限定されない試薬を含むが、これらに限定されない。ステムキット(商標)CD34+HPCエニュメレーション・キット(Enumeration Kit)添付文書−バージョン03(PNIM2390);ベックマン・コールター製品是正処置、CXP2.0&2.1パネルインタラプション−3/10/06、PCAM−D−1013;14.3ステムラボ(StemLab)、ビルド番号、バージョン3.2.1 200706260856を参照。フローサイトメトリーのための資材は、イソフロー・シース液;コールター・クレンズ洗浄剤;ならびに以下の試薬(使用の前に約20〜25℃):CD117−PE、CD29−FITC、CD34−ECD、CD44−FITC、CD45−ECD、CD90−PC5、CD105−PE、CD166−PE、IgGFITC、IgG−PE、IgG−ECD、IgG1−PC5、HLA−I−FITC、CD133−PE、HLA−II ECD、CD9−FITC、CD54−PE、CD10−PC5、CD59−FITC、CD63−PE、CD13−PC5、CD49e−FITC、CD81−PE、CD49f−PC5、CD44−FITC、CD38−PC5、CD29−FITC、CD105−PE(CD41−ECD)、CD3−PC5、CD19−FITC、NANOG−FITC、SSEA3−PE、SSEA4−PE、CD14−FITC、CD56−PE、7−AAD生存率用色素、塩化アンモニウム(NH4CL)溶解溶液10×濃縮、洗浄培地(HBSS(Ca+およびMg+含有ハンクス)500ml、ヘパリン5ml、25%ヒト血清アルブミン50ml、1アンプルDNASEを含む)、カスミ−3細胞(CD34+細胞)、タイマー、およびボルテックスミキサーもまた含むが、これらに限定されない。
【0081】
増幅細胞の凍結保存
【0082】
フラスコおよびさらにプレートにおける組織培養から得られた、チャンの完全培地中に懸濁し共培養した増幅細胞は、凍結保存のために調製し得る。増幅細胞をチャンの完全培地中に再懸濁し得る。1つの実施形態において、増幅細胞は1:1比率で凍結保存剤と合わせ得る。例えば、5mlバイアルは約2.5mlの細胞および2.5mlの凍結保存剤を含み得る。増幅細胞の懸濁物は凍結保存剤の追加の前に少なくとも約15分間氷上に置くべきである。
【0083】
凍結保存剤は、4:1の比率でES−FBSとDMSO(99%)を組み合わせることによって調製される。例えば、約2mlのES−FBSは0.5mlのDMSOに追加し得る。ES−FBSはDMSOの追加の前に少なくとも約15分間氷上で冷却し得る。一旦冷却されたならば、ES−FBSをDMSOに追加する。ES−FBSおよびDMSOは、少なくとも約15分間冷却し得る。
【0084】
代替の実施形態において、他の凍結保存培地を使用し得る。例えば、例えば、クリオストア(CryoStor)CS10もしくはCS5(バイオライフ(Biolife)社)、プロパンジオールおよびショ糖により補足された胚の凍結保存培地(ビトロライフ(Vitrolife)社)、またはSAGE培地(クーパー・サージカル(Cooper Surgical)社)などの凍結保存剤を使用して、解凍後の高細胞生存率転帰を維持し得る。グリセロールは他の凍結保存剤(DMSOなど)と共に使用し得るか、または適切なタンパク質を含む培地中で約10%の濃度で単独で使用し得る。
【0085】
凍結保存剤は、増幅細胞の懸濁物に氷上で一滴ずつ追加し得る。増幅細胞および懸濁した増幅細胞の溶液は穏やかに混合し得る。溶液は、凍結保存のための調製において所望される体積のバイアルの中へ小分けし得る。バイアルはクリオバイアルでありえる。速度制御フリーザーへと置く準備ができるまで、バイアルは氷上で維持される。
【0086】
凍結保存剤中の増幅細胞の調製物は、複数の温度低下工程に暴露して、速度制御フリーザーまたは他の適切なフリーザーシステム(モニタリングダンプフリーズまたはフリーズコンテナー(ナルゲン(Nalgene)社))を利用して、約−90℃の最終温度まで増幅細胞の温度を低下させることができる。適切な速度制御フリーザーは、クリオメド・サーモ・フォーマ・コントロールド・レート・フリーザー(Cryomed Thermo Forma Controlled Rate Freezer)7454(サーモ・エレクトロン(Thermo Electron)社)、プラナー・コントロールド・レート・フリーザー・クリオ(Planar Controlled Rate Freezer Kryo)10/16(TSサイエンティフィック(TS Scientific)社)、ゴーディナー(Gordinier)、バイオ−クール−FTSシステムズ(Bio−Cool−FTS Systems)、およびアシンプトート(Asymptote)EF600、バイオストア(BIOSTOR)CBS 2100シリーズを含むが、これらに限定されない。
【0087】
温度低下工程は速度制御フリーザーにおいてプログラムし得る。凍結保存剤および増幅細胞は、フリーザー中での最終的な保存のための調製において、速度制御した温度低下を行い得る。速度制御低下は、細胞生存率を維持するようにデザインし得る。クリオ−メドフリーザー(サーモ・エレクトロン社)、液体窒素シリンダーおよびポータブルクリオ−メドフリーザーを、フリーザー中での最終的な保存のための調製における速度制御した低下に使用し得る。約−90℃の温度を達成するようにクリオバイアルまたはクリオバッグ(cryobag)中で細胞は速度制御低下を行い得る。
【0088】
クリオバッグ中に回収された増幅細胞のサンプルについて、以下の速度制御した低下プロフィールを増幅細胞に対して行い得る:約4℃で待機、−6.0℃まで1分につき1.0℃(サンプル)、−50.0℃まで1分につき25.0℃(チャンバー)、−14.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、−45.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−90.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、および終了(サンプルは−85.0℃またはそれ以下で)。
【0089】
クリオバイアル中に回収された増幅細胞のサンプルについて、以下の速度制御した低下プロフィールを細胞に対して行い得る:4.0℃で待機、−3.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−20.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、−40.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−90.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、および終了。
【0090】
一旦凍結保存剤および増幅細胞の混合物が約−85℃またはそれ以下になれば、凍結保存バイアルは低温保存ユニットに移され、約−135℃またはそれ以下の温度で液体窒素の蒸気中に保存されるか、またはあるいはバイアルは液体窒素の液体相中に保存し得る。例えば適切な低温保存ユニットは、LN2フリーザーMVE1830(チャート・インダストリーズ(Chart Industries)社)を含むが、これらに限定されない。
【0091】
増幅細胞の免疫選択
【0092】
臍帯血細胞および月経血細胞の共培養を介して増幅した細胞は、少なくとも1つの所望される細胞マーカーについて選択し得る。一例として、所望される細胞マーカーはCD34、HLA−II、またはSSEA−4でありえる。細胞に対して、所望されない細胞を除去するネガティブな選択工程もまた行い得る。細胞選択プロセスの全体にわたって、無菌技術を使用し得る。細胞選択は、新鮮な細胞、または事前に凍結保存し共培養した解凍細胞について使用し得る。細胞選択は、250万細胞〜1000万細胞で実行し得る。細胞は、250万未満の細胞を含むサンプルまたは1000万以上の細胞を含むサンプルからもまた選択し得る。
【0093】
細胞選択のための資材は、DNase、パルモザイム(ジェネンテック(Genentech)社)−1アンプル、ネガティブまたはポジティブに選択される任意の抗細胞表面マーク(例えば抗CD34抗体)、ヤギ抗マウスIgGマイクロビーズ、および磁石体を含むが、これらに限定されない。
【0094】
増幅して共培養した臍帯血細胞および月経血細胞の1.0×106以上の細胞を含む細胞懸濁物を約4℃で約7分間約300gで遠心分離した。上清は細胞沈殿を乱さずに除去し得る。沈殿は約100μlの洗浄培地により再懸濁し得る。1つの実施形態において、抗細胞表面抗体は抗CD34抗体である。溶液中の細胞は、氷上で約20分〜約25分間インキュベートし得る。インキュベーション後に、約2mlの洗浄培地を細胞に追加し、穏やかに混合し得る。混合物は約4℃で約10分間約300gで遠心分離し得る。遠心分離後に、上清は沈殿を乱さずに吸引し得る。沈殿は約80μlの洗浄培地中に再懸濁し得る。約20μlのヤギ抗マウスIgGを細胞懸濁物に追加し、穏やかに混合し得る。混合物は氷上で約30分間インキュベートし得る。インキュベーション後に、約2mlの洗浄培地を追加すること、および次に溶液を混合することによって、細胞を洗浄し得る。細胞は約4℃で約10分間約300gで遠心分離し得る。
【0095】
カラムを使用して、選択されない細胞から選択した細胞を分離し得る。カラムは約500μlのワーキングバッファー中で湿らせることによって調製し得る。遠心分離後に、上清は沈殿を乱さずに吸引し得る。沈殿は約500μlのワーキングバッファー中に再懸濁し得る。細胞接着を回避するために、追加のDNaseを細胞に追加し得る。細胞懸濁物はピペットを使用して、カラムに追加し得る。抗体に標識された細胞(陽性画分)は、マックス(MACS)セパレーターによって提供される磁石体にさらされるカラムに付着するに違いない。未標識細胞(陰性画分)はカラムを通って流出するものであり、回収するべきである。
【0096】
細胞懸濁物をカラムを通して流出させ、陰性画分として回収した後、カラムは1洗浄あたり500μlのワーキングバッファーを使用して、少なくとも3回洗浄し得る。各洗浄は、次の洗浄の前にカラムを通して完全に流出させ得る。各洗浄は陰性画分と共にし得る。約100μlの陰性画分を分析のために取り出し得る。血球計を使用する細胞カウント、およびトリパンブルーまたは他の方法を使用する生存率測定を実行し得る。表現型分析は、以前に論じられたようなフローサイトメトリーを使用するか、または他のフローサイトメトリー法を使用して行い得る。陰性画分は凍結保存のために調製し得るか、またはさらなる細胞の増殖および増加ならびに後のプロセシングのために培養を行い得る。
【0097】
陰性画分を回収し、カラムを洗浄した後に、陽性画分を回収するために他のチューブをカラムの下に置くことができる。約1mlのワーキングバッファーをカラムに追加し、カラムから磁石体を取り除くことができる。ワーキングバッファーおよび陽性画分が回収されるべきである。プランジャーを使用して、陽性画分についてのカラムから可能な限り多くの標識細胞を除去し得る。トリパンブルーまたはフローサイトメトリーを使用する細胞カウントおよび生存率を含むが、これらに限定されない分析のために、約100μlの陽性画分を取り出すことができる。陽性画分は、凍結保存、培養、または治療用の使用のために調製し得る。
【0098】
所望される細胞マーカーを発現する細胞を免疫選択する工程は、図1で示されるような本発明の実施形態に従って行い得る。特に、選択は、少なくとも臍帯血細胞および月経血細胞を共培養する工程の後に行い得る。特定の細胞マーカーを発現する月経血幹細胞を選択する工程は、選択された細胞マーカーを発現する濃縮された細胞の集団を提供し、それはさらなる細胞培養、凍結保存、または治療用の使用のために使用し得る。
【0099】
1つの実施形態において、細胞の集団からCD34を発現する増幅細胞を選択する工程は、抗ヒトCD34抗体により増幅細胞を標識すること、および次に抗ヒトCD34抗体に結合が可能な磁気標識抗体によりCD34幹細胞−抗ヒトCD34抗体複合体を標識することを含む。さらに、本方法は、抗ヒトCD34抗体によりCD34を発現する細胞を標識すること、および次に抗ヒトCD34抗体に結合が可能な磁気標識抗体によりCD34細胞−抗ヒトCD34抗体複合体を標識することを含む。CD34を発現する細胞を選択する方法は、本発明に従って実行または増幅したCD34を発現する細胞を選択することを含むことができる。細胞を免疫選択する工程は、CD34細胞、抗ヒトCD34抗体、および磁気標識抗体を含む複合体を磁石体に暴露して、カラムに磁気標識抗体および複合体の残りを引き付けること、および分析のためのカラムを通して他のすべてのCD34陰性細胞を洗浄することを含む。
【0100】
CD34を発現する細胞を選択する工程の全体にわたって、細胞の細胞懸濁物およびワーキングバッファー(DNaseを含有するマックス(登録商標)分離ランニングバッファー、ミルテニー(Miltenyi)社)は、低温で維持することができる。他の磁気分離キットは使用のために適切でありえる(R&Dシステムズ(R&D Systems)社)。
【0101】
細胞懸濁物は約10分間約300gで遠心分離し得る。沈殿は抗ヒトCD34抗体を含むワーキングバッファー中に懸濁し得る。例えばワーキングバッファーは、例えばPBS(約pH7.2)、ウシ血清アルブミン、EDTAおよび約0.09%のアジド(または適切な溶液)(BDバイオサイエンス社)を含み得る。沈殿は、例えば約100μlのワーキングバッファーおよび約5uμgのヒトCD34について親和性を有する精製抗体の中に懸濁し得る。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありえる。抗体は、ヒトCD34に結合可能な精製されたIgGまたは他の抗体でありえる。抗体はマウス抗CD34抗体でありえる。
【0102】
細胞、ワーキングバッファーおよび抗CD34の抗体を含む溶液を、インキュベーション期間の間インキュベートする。例えば、インキュベーション期間は氷上で約20分〜約25分の間を含み得る。あるいはインキュベーション期間は、温度が少なくとも約2℃〜約8℃であるならば約20分未満、または少なくとも室温であるならば約5分〜約10分に短縮し得る。インキュベーション期間後に、細胞を含む溶液をワーキングバッファーにより洗浄して未結合の抗体を除去し、次に遠心分離し得る。例えば、遠心分離は約10分間約300gで行い得る。遠心分離後に、上清は吸引し、分析のために保存でき、沈殿をワーキングバッファー中に懸濁する。例えば、ワーキングバッファーの体積は約80μlでありえる。
【0103】
添付されるマイクロビーズを有し、抗ヒトCD34抗体に対する親和性を有する第2バッチの抗体は、沈殿の懸濁に使用するワーキングバッファーに追加する。マイクロビーズは例えば、酸化鉄および多糖を含み得る。マイクロビーズは生体分解性でありえる。マイクロビーズはミルテニー・バイオテク社を介して入手可能である。例えば、抗体の第2バッチは、ヒトCD34について親和性を有する抗体について特異的であり、例えばヤギ抗マウスIgG抗体などである。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありえる。抗体は、マウス抗体の軽鎖および/または重鎖に結合することができる。抗体は、例えば製品130−048−401としてミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なヤギ抗マウスIgGマイクロビーズコンジュゲートでありえる。前述のヤギ抗マウスIgGの2mlバイアルを、およそ1.0×109の全未分離細胞のために使用し得る。
【0104】
細胞懸濁物を、第2のインキュベーション期間の間インキュベートする。例えばインキュベーション期間は、約30分〜約35分の範囲でありえる。あるいはインキュベーション期間は、インキュベーションが約2℃〜約8℃で行われる場合は約30分未満、またはインキュベーションがおよそ室温で行なわれる場合は約5〜約10分でありえる。インキュベーション期間が完了した後に、細胞は例えば約2mlのワーキングバッファーなどのワーキングバッファーにより洗浄し、次に細胞を遠心分離する。例えば、遠心分離は約10分間約300gで行い得る。上清は吸引して分析のために保存することができ、細胞を含む沈殿を、例えば約500μlのワーキングバッファーなどのワーキングバッファー中に懸濁する。
【0105】
細胞分離
【0106】
CD34細胞をMSのカラムを使用してワーキングバッファー中の細胞懸濁物から分離し、CD34幹細胞を分離し得る。例えば、MSカラム(ミルテニー・バイオテク社)または他の適切なカラムを使用し得る。あるいは、細胞を分離する他の適切な方法を使用し得る。ユニット、マルチスタンド、MSカラムおよびマイクロビーズを含むミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なミニマックス(MiniMACS)キットは、CD34細胞選択のために使用し得る。MSカラムはワーキングバッファーによるリンスによって調製し得る。例えば、カラムのリンスに使用するワーキングバッファーの体積は約500μlでありえる。カラムを、ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なマックスセパレーターの磁石体、または磁石体を提供する適切なセパレーター中に置く。
【0107】
ワーキングバッファー中の細胞懸濁物を、ピペットまたはある体積液体を移すことができる他の器具によりカラムに追加する。抗ヒトCD34抗体により標識されたCD34細胞(それはマイクロビーズに付着した抗体と結合する)は、マックスセパレーターの磁石体のためにカラム中で保持される。いずれの未標識細胞は、ワーキングバッファーと一緒にカラムを通して流出するべきであり、細胞表現型決定および細胞カウントのために滅菌済みチューブ中に回収し得る。カラムを通って流出する未標識細胞を陰性画分として同定し得る。カラムは細胞懸濁物の追加後にワーキングバッファーにより洗浄し得る。例えばカラムは、少なくとも3回、またはすべてもしくは実質的にすべての未標識細胞がカラムを通って通過する任意の量の回数で洗浄し得る。洗浄工程からの排出物は、細胞の表現型決定およびカウントのために回収し得る。排出物は陰性画分としても同定し得る。
【0108】
カラムが洗浄された後に、標識されたCD34細胞をカラムから回収し得る。標識されたCD34細胞は、滅菌されたチューブをカラムの下に置き磁石体からカラムを除去することによって回収される。一旦カラムが磁石体から除去されれば、標識されたCD34細胞はカラムを通って通過し、滅菌されたチューブの中へ入る。カラム中の残存する標識されたCD34細胞は、カラムにワーキングバッファーを追加してカラムを通して細胞を洗浄することによって、および任意にプランジャーによるカラムを剥がして細胞を放出するよって、洗い出すことができる。回収された標識したCD34細胞は、陽性画分として同定し得る。標識されたCD34細胞のより精製された集団を得るために、陽性画分は、任意に、以前に開示された洗浄手順に従って、カラムを通すことを少なくとも1回以上実行し得る。陽性画分を約10分間約300gで遠心分離し、上清を吸引し得る。沈殿を約5mlのワーキングバッファー中に懸濁し得る。
【0109】
陽性画分および陰性画分を血球計数器により分析して、全生存細胞のカウントを得る。陰性画分は表現型決定のためのフローサイトメトリーによって分析される。任意に、陽性画分はフローサイトメトリーを使用して表現型を決めることができる。
【0110】
CD34または他の所望される細胞マーカーを発現する細胞を含む陽性画分は、本発明の方法に従って凍結保存のために調製し得る。約1mlのヒト血清アルブミン、約3mlのDPBSおよび約1mlのDMSOを、約5mlの陽性画分に追加する。あるいは、例えば完全培地またはウシ血清アルブミン、ウシ胎仔血清、ウシ胎仔血清、タンパク質血漿画分、または自己血清などの他の培養培地は、凍結保存のために細胞を調製する工程で使用し得る。増幅細胞を含む溶液を混合し、氷上で約10分間冷却する。約1mlのDMSOを凍結保存剤として追加する。あるいは、約6%のHESヒドロキシエチルデンプンおよび約5%のDMSOの約1mlの混合物を、凍結保存剤として使用し得る。結果として生じる溶液をクリオバイアルの中へ小分けする。あるいは、結果として生じる溶液は例えば凍結保存バッグなどの凍結保存のために適切な任意の容器の中へ小分けすることができる。次にクリオバイアルは、本発明の速度制御フリーザープロトコールに従って速度制御フリーザー(クリオメッド(Cryomed)社)中で凍結保存する。一旦増幅細胞を含む溶液が約−90℃の標的温度に到達すれば、クリオバイアルを長期間保存用フリーザーの中へ移し、約−135℃またはそれ以下で保存する。あるいは、クリオバイアルまたは他の適切な凍結保存容器を、モニタリングダンプフリーズへと置き、約−80℃に凍結し、次に約−135℃でまたはそれ以下で長期間保存フリーザー中の液体窒素の気相の中へ移すことができる。
【0111】
増幅細胞の治療用の使用
【0112】
本発明によって得られたCD34を発現する増幅細胞を、治療用の使用のために調製してヒト障害を治療し得る。1つの実施形態において、増幅細胞、共培養を介する増加から免疫選択したCD34細胞、または凍結保存後に解凍された増幅細胞を、レシピエントへの静脈内注入のために調製し得る。
【0113】
静脈内注入のための技術は、ヒトへの細胞注入について許容される手段に従って実行することができる。静脈内注入は、増幅したCD34細胞の自己注入または同種異系注入(allogenic infusion)を含み得る。
【0114】
増幅細胞の分化
【0115】
本発明の増幅したCD34臍帯血細胞は身体中の260の体細胞のうちのいかなるものへも分化することができる。例えば、細胞は、少なくとも肝細胞、膵細胞、筋原細胞、骨形成細胞、軟骨形成細胞、脂肪細胞、上皮細胞、神経細胞、角化細胞、および心筋細胞へと分化することができる。共培養システムにおいて見られるように、細胞は、他の素因のある細胞と共に培養した場合に、肝細胞、膵細胞、筋原細胞、骨形成細胞、軟骨形成細胞、脂肪細胞、上皮細胞、神経細胞、角化細胞および心筋細胞などに分化する能力もまた保持することができる。分化から得られた細胞および共培養から得られた細胞は、置換療法または再生療法、他の治療用適用、薬用化粧品、器官拒絶の治療法、および他の適用のための処理において使用される可能性もまた有し得る。
【0116】
本発明によって得られたCD34を発現する増幅した臍帯血細胞は、特異的な細胞系譜への分化のために調製し得る。1つの実施形態において、増幅細胞、共培養を介する増加から免疫選択したCD34細胞、または凍結保存後に解凍された増幅細胞は、細胞分化のために調製し得る。
【0117】
分化のための技術は、ヒトに細胞分化について許容される手段に従って実行することができる。
【実施例】
【0118】
以下の実施例は、限定ではなく実例として提示される。当業者は、特に本明細書において引用された様々な参照の教示の観点から、実施例で具体化された本発明の変形を行うことができ、それらの開示は参照することによってそれらの全体を組み入れられることを認識するだろう。
【0119】
実施例1−臍帯871Rの培養
【0120】
臍帯血細胞871Rを本出願中で記述された方法に従って回収し、臍帯血回収産業において使用した。
【0121】
臍帯871R細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述された臍帯血のためのプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約2日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯871R細胞は約2.5年間凍結保存で保持した。臍帯871R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0122】
培養−プレート
【0123】
約3mlの培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)を室温で解凍し、次に臍帯細胞希釈物(500,000細胞/mL)と共に氷上に15分間置いた。15分後に約0.3mlの臍帯細胞希釈物を培養培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で約30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および臍帯871R細胞を、4ウェル培養プレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1ミリリットルのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0124】
培養−フラスコ
【0125】
臍帯871R細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0126】
再懸濁した臍帯871R細胞を、組織用の処理をしていないT25培養フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約1,000,000細胞で播種した。細胞は約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。第1の継代では接着細胞はなかった。
【0127】
表B−M28100RM、M28100RM、M28101R、M28101R+871Rおよび871Rのプレート培養
【0128】
実施例2−M28100RM月経血細胞の培養
【0129】
月経血幹細胞M28100RMを、約9mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0130】
M28100RM月経血細胞のための月経流出物サンプルをプロセシングし、M28100RM月経血細胞を回収の約2日後に凍結保存した。細胞は約8か月間凍結保存で保持し、次に本出願中で記述した方法に従ってCFUのために解凍した。
【0131】
培養−プレート
【0132】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlチューブを、50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および21,600細胞/mlの細胞希釈で、室温で解凍し、次に氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各月経血細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果を表B中に要約する。
【0133】
培養−フラスコ
【0134】
M28100RM月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約25mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0135】
再懸濁したM28100RM月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約221,000の細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Cで示した複数の継代を行なった。表C中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0136】
表C−M28100RM月経血細胞の培養
【0137】
実施例3−M28101Rの培養
【0138】
月経血幹細胞M28100RMを、約9mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0139】
M28101R月経血細胞のための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約7か月間凍結保存で保持した。M28101R月経血細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0140】
培養−プレート
【0141】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlのチューブを室温で解凍し、次にM28101R月経血細胞の細胞希釈物(50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および216,000細胞/ml)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、0.3mlの各月経血細胞希釈物を培養培地のチューブへと接種した。次にチューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地中の月経血細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1ミリリットルのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果は表B中に要約する。
【0142】
培養−フラスコ
【0143】
M28101R月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約25mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0144】
再懸濁した月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約724,780細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表D中で示した複数の継代を行なった。表D中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行なった。
【0145】
表D−M28101R月経血細胞の培養
【0146】
実施例4−M28100RM月経血細胞および臍帯871Rの培養
【0147】
月経血幹細胞M28100RMを、約10mlの月経流出物の回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0148】
月経血幹細胞M28100Rのための月経流出物を、回収の約2日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約6か月間凍結保存で保持した。M28100R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0149】
臍帯871R細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約2日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯871R細胞は約2.5年間凍結保存で保持した。臍帯871R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0150】
培養−プレート
【0151】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlチューブを室温で解凍し、次に細胞希釈物(50,000細胞/mlのM28100R+500,000細胞/mlの臍帯871R;100,000細胞/mlのM28100R+500,000細胞/mlの臍帯871R;および216,000細胞/mlのM28100R+500,000細胞/mlの臍帯871R)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、0.3mLの培養培地中の各細胞希釈物を培養培地の個別のチューブへと接種した。次にチューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地中の各細胞希釈物を、個別の4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として各プレートの第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果を表B中に要約する。
【0152】
培養−フラスコ
【0153】
臍帯871R細胞およびM28101R月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程に個別にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0154】
再懸濁したM28101R月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、約221,400細胞で7mlの15%のチャンの完全培地中で約1,000,000の臍帯871R細胞と共に播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Eで示した複数の継代を行った。表E中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0155】
表E−M28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の培養
【0156】
実施例5−M28101R+臍帯871Rの培養
【0157】
月経血幹細胞M28101Rを、約9mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0158】
月経血幹細胞M28101Rのための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約6か月間凍結保存で保持した。M28101R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0159】
臍帯871R細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約2日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯871R細胞は約2.5年間凍結保存で保持した。臍帯871R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0160】
培養−プレート
【0161】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlチューブを室温で解凍し、次に細胞希釈物(50,000細胞/mlのM28101R+500,000細胞/mlの臍帯871R;100,000細胞/mlのM28101R+500,000細胞/mlの臍帯871R;および216,000細胞/mlのM28101R+500,000細胞/mlの臍帯871R)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、0.3mlの培養培地中の各細胞希釈物を培養培地の個別のチューブへと接種した。次にチューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地中の各細胞希釈物を、個別の4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として各プレートの第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果を表Bで要約する。
【0162】
培養−フラスコ
【0163】
臍帯871R細胞およびM28101R月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願中で開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0164】
再懸濁した月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、約724,000細胞で7mlの15%のチャンの完全培地の中で約1,000,000の臍帯血幹細胞と共に播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃でCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Fで示した複数の継代を行なった。表F中で示す15%のチャン完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0165】
表F−M28101R月経血細胞+臍帯871R細胞の培養
【0166】
実施例6−M2−048の培養
【0167】
月経血幹細胞M2−048を、約9.7mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0168】
月経血幹細胞M2−048のための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約3か月間凍結保存で保持した。M2−048細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0169】
培養−プレート
【0170】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および216,000細胞/mlの細胞希釈で氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各M2細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3つのウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0171】
培養−フラスコ
【0172】
M2−048月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願中で開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0173】
再懸濁した月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャン完全培地中で約1,000,000細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃でCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Gで示した複数の継代を行った。表G中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0174】
表G−M2−048月経血細胞の培養
【0175】
実施例7−M2−048+混合した臍帯(5006−2180および5013−2670)の培養
【0176】
月経血幹細胞M2−048を、月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0177】
月経血幹細胞M2−048のための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約3か月間凍結保存で保持した。M2−048細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0178】
臍帯5006−2180細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約1日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯5006−2180細胞は約3年間凍結保存で保持した。臍帯5006−2180細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0179】
臍帯5013−2670細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約1日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯5013−2670細胞は約3年間凍結保存で保持した。臍帯5013−2670細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0180】
培養−プレート
【0181】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の1本の3mlチューブを室温で解凍し、次に50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および216,000細胞/mlの臍帯5006−2180細胞希釈と共に氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0182】
培養−フラスコ
【0183】
再懸濁した臍帯5006−2180細胞を、2つの組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約2,000,000細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は複数の継代を行った。15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0184】
培養−プレート
【0185】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の2本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に50,000細胞/mL、100,000細胞/mL、および216,000細胞/mLの臍帯5013−2670細胞希釈物を氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各M2細胞をはメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0186】
表I−臍帯5013−2670のプレート培養
【0187】
培養−フラスコ
【0188】
臍帯5013−2670細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0189】
再懸濁した月経血細胞を、2つの組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約2,000,000細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は複数の継代を行なった。15%のチャン完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行なった。
【0190】
培養−プレート
【0191】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に細胞希釈物(10,000細胞/mlのM2−048月経血細胞+250,000細胞/mlの臍帯5006−2180;10,000細胞/mlのM2−048月経血細胞+250,000細胞/mlの臍帯5013−2670;10,000細胞/mlのM2−048月経血細胞+500,000細胞/mlの臍帯5013−2670)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地の個別のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0192】
表J−臍帯5013−2670+M2−048のプレート培養
【0193】
培養−フラスコ
【0194】
継代4から採取した1,000,000のM2−048月経血細胞、および100,000の臍帯5006−2180細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地の中で接種した。1,000,000のM2−048月経血細胞および1,000,000の臍帯5013−2670細胞を、7mlの15%のチャンの完全培地中に播種した。トリプシン処理後に、2つの細胞培養は、M2−048、および臍帯5013−2670と混合した臍帯5006−2180として混合された。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は複数の継代を行った。15%のチャン完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0195】
表K−培養:M2−048−01のP4+混合した臍帯5006−2180および臍帯5013−2670
【0196】
実施例6および7の表現型分析
【0197】
M2−048、臍帯5006−2180、ならびに継代7で回収された臍帯5013−2670およびM2−048月経血細胞培養の混合培養を含む3,240,000細胞は、本出願中で記述した方法に従って表現型分析を行った。表現型分析の結果を表Lで示す。
【0198】
表L−細胞培養のフローサイトメトリー分析
【0199】
実施例8−M2−048月経血細胞、5006−2180臍帯細胞、および5013−2670の細胞の様々な濃度の培養
【0200】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の7本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に、細胞希釈物(25,000細胞/mlの5006−2180臍帯細胞;25,000細胞/mlの5013−2670臍帯細胞;50,000の細胞/mlの5013−2670臍帯細胞;1,000細胞/mlのM2−048;25,000細胞/mlのM2−048+1,000細胞/mlの5006−2180臍帯細胞;25,000細胞/mlのM2−048+1,000細胞/mlの5013−2670臍帯細胞;および50,000細胞/mlのM2−048+1,000細胞/mlの5013−2670臍帯細胞)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、各細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地の個別のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血細胞、臍帯細胞、ならびに月経血細胞および臍帯細胞の組合せをそれぞれ、インキュベーションのために7つの異なる4ウェルプレートのウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として7つの異なる4ウェルプレートの各々の第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0201】
表M−臍帯5006−2180細胞、臍帯5013−2670細胞、M2−048月経血細胞、M2−048月経血細胞+臍帯5006−2180細胞、M2−048月経血細胞+臍帯5013−2670細胞、およびM2−048月経血細胞+臍帯5013−2670細胞のプレート培養
【0202】
本発明の好ましい実施形態が示され記述されたが、そのより広範囲の態様において本発明から逸脱することなく、多くの変化および修飾を行なえることが当業者に明らかだろう。したがって添付された請求項は、本発明の趣旨および範囲内にあるように、かかる変化および修飾をすべて包含するように意図される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年10月31日に出願され、「月経血幹細胞と共に臍帯血由来細胞を共培養する方法」と題する、米国仮特許出願第61/001,456号の優先権を主張し、その全体は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、ヒト細胞培養および共培養を介して単離された細胞集団を増強する方法に一般的に関する。より具体的には、本発明は、CD34を発現する増幅臍帯血由来細胞の改善された細胞集団を得るために、月経血幹細胞と共に共培養する臍帯血由来細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
臍帯血は、ヒト身体の多数の障害を治療する能力を備えた幹細胞の認められているソースである。臍帯血は、CD34細胞を含む単核細胞を含む造血系祖先細胞が豊富なソースである。家族は、子または家族のメンバーの医学的に必要な場合に備えて、幹細胞が豊富なソースを保存する潜在的利益のために、臍帯血の回収を決定することができる。
【0004】
臍帯血(umbilical cord blood)とも呼ばれる臍帯血(cord blood)は、出生時に臍帯および胎盤中に残存する血液である。この血液は幹細胞が豊富なソースであり、将来の使用の可能性のために回収され、プロセシングされ、凍結保存することができる。臍帯血幹細胞は、高生着率であり、組織不適合についてより寛容であり、重篤な移植臓器対個体反応疾患(幹細胞移植における主要な合併症)が低率であり、めったに潜伏ウィルスが混入しないので有利である。
【0005】
臍帯血により治療可能なヒト不全症の数は、過去十年間にわたって有意に増大した。一例として、臍帯血細胞を使用して、癌、骨髄不全関連症候群、血液疾患、代謝障害、免疫不全障害、および他の疾患状態の様々な形態の少なくとも70形態を治療した。例えば、臍帯血細胞を使用して、以下のものが治療されてきた。急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、血球貪食性リンパ組織球症、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ腫様肉芽腫症、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、無巨核球性血小板減少症、自己免液性好中球減少症(重症)、先天性赤血球異形成貧血、周期性好中球減少症、ダイアモンド−ブラックファン貧血、エヴァンズ症候群、ファンコニ貧血、グランツマン病、若年性皮膚筋炎、コストマン症候群、赤血球形成不全、シュバッハマン症候群、重症再生不良性貧血、先天性鉄芽球性貧血、血小板減少性橈骨欠損症(TAR症候群)、先天性角化異常症、鎌形赤血球貧血症(ヘモグロビンSS)、HbSC疾患、鎌状赤血球β−サラセミア、α−サラセミアメジャー(胎児水腫)およびβ−サラセミアメジャー(クーリー貧血)、β−中間型サラセミア、E−βサラセミア、E−β+サラセミア、副腎白質ジストロフィー、ゴーシェ病(幼児)、異染性ロイコジストロフィー、クラッベ病(グロボイド細胞性ロイコジストロフィー)、ギュンター病、ヘルマンスキー−プドゥラック症候群、ハーラー症候群、ハーラー−シャイエ症候群、ハンター症候群、サンフィリッポ症候群、マロトー‐ラミー症候群、ムコリピド蓄積症II型、III型、αマンノシドーシス、ニーマン‐ピック病、A型およびB型、サンドフ(Sandoff)症候群、テイ−サックス病、バッテン病(遺伝性神経セロイドリポフスチン症)、レッシュ−ナイハン病、毛細血管拡張性運動失調、慢性肉芽腫症、ディ・ジョージ症候群、IKKγ欠損症、X連鎖免疫調節異常多腺性内分泌障害、ムコリピド蓄積症、II型、ミエロカテシス(myelokathesis)、X連鎖免疫不全症、重症複合免疫不全症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖性疾患、オーメン症候群、細網形成障害、胸腺異形成、白血球接着不全症、および大理石骨病。
【0006】
ヒト障害の治療において、臍帯血細胞の回収および使用には限定がある。第一に、臍帯血細胞は出生後のみに回収されうる。このことは、臍帯血を回収できる回数に対して有意な限定を課す。第二に、臍帯血は、限定的な量の幹細胞を含む少量の体積で回収される。特定の障害は、多数の幹細胞の注入または移植を必要とする。回収可能な臍帯血細胞が少量であるので、多数の細胞を必要とする療法のためのかかる細胞の使用は実行不可能になる。
【0007】
臍帯血細胞の限定を克服する進歩を発展させる研究が進行中である。複数の臍帯血単位を組み合わせるか、または移植の前に単一臍帯血単位中の幹細胞を増幅する技術が開発されている。かかる技術は、幹細胞の集団が障害を治療するにはあまりにも少量であというる問題に対処するために開発された。この開発があっても、臍帯血幹細胞は、細胞培養中で増幅するのが困難であることが証明されている。幹細胞が豊富である限定されたソースはなお障害の治療に対する制限を有する。
【0008】
インビトロの分析系は、多能性祖先、ならびに赤血球、顆粒球、単球マクロファージ、および巨核球骨髄細胞系譜の系譜が限定された祖先の定量に開発されている。適切な半固形マトリックス中で培養された場合、コロニー形成細胞(CFC)と呼ばれる個別の祖先は、増殖して分離した細胞集団またはコロニーを形成する。CFC分析は、栄養素およびサイトカインを補足したメチルセルロースまたはコラーゲンなどの半固形培地へと細胞懸濁物を置き、続いてインキュベーションすることによって実行される。次に、CFCは、コロニー内の1つまたは複数のタイプの造血系系譜細胞の形態的認識に基づいて分類および列挙される。コロニー評価および列挙は、光学顕微鏡法によってインシトゥーで、または個別のコロニーを取り出し、次に細胞化学方法および免疫細胞化学的方法を使用して細胞を染色することによって行うことができる。
【0009】
メチルセルロースを含む様々なゲル化剤は、CFC分析に使用されてきた。メチルセルロースは、十分な光学的透明度を備えた安定したゲルを形成する、比較的不活性なポリマーである。それは、ウシ胎仔血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、2−メルカプトエタノール、インスリン、トランスフェリン、およびコロニー刺激因子のソースとして組換えサイトカインまたは馴化培地を含む化合物を補足した培養培地中で一般的には使用される。メチルセルロースベースの培地は、他のタイプの半固形マトリックスよりも赤芽球系譜細胞の十分な成長を許容し、したがって同じ培養内で赤芽球、顆粒球、単球および多能性CFCの分析を可能にする。この培地は、ヒト赤芽球コロニー形成細胞(CFU−E)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)および顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の検出および列挙を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
進歩はあるのだが、ヒト障害の治療で使用される大量の幹細胞を産生する臍帯幹細胞の増加を改善する方法が引き続き必要とされている。本発明はこの必要性を満たすことに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、月経血細胞(menstrual cell)の集団と共に共培養した場合、臍帯血由来の幹細胞が十分多数に増殖するという発見に基づく。この発見は、月経血幹細胞が臍帯血幹細胞と共に培養において支持機能を供給して、臍帯血細胞の増殖を増強することを示した。臍帯血細胞は、回収、凍結保存および保存のために現在の業界基準に従って回収される。臍帯血幹細胞と共に共培養するために使用された月経血幹細胞は、米国特許公報第20080241113号の教示に従って回収することができる。臍帯血細胞および月経血細胞の共培養は、CD34、SSEA4およびHLA−IIを発現する細胞の増加を促進する培養環境を生成する。
【0012】
米国特許公報第20080241113号の教示は、本発明における使用に適切な月経血幹細胞集団を回収する多数の方法を提供する。共培養のために使用される月経血幹細胞は、新鮮な月経血幹細胞または凍結保存した月経血幹細胞から得ることができる。月経血幹細胞はCD117または他の細胞表面マーカーについて単離され、細胞培養を介してさらに増幅することができる。月経血幹細胞は特定の細胞マーカーについてもまた単離され、次に増加のために培養することができる。米国特許公報第20080241113号中で記述される月経血幹細胞のいかなる集団も、本発明の共培養の方法およびプロセスにおいて使用することができる。
【0013】
したがって、本発明は、臍帯血細胞の増殖の改善のために、月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養する方法を提供する。
【0014】
関連する態様において、本発明は、ヒト臍帯血細胞の集団倍化(population doubling)を促進するヒト月経血細胞と共に、適切な培養条件で、ヒト臍帯血細胞の増加から得られたCD34を発現するヒト細胞の集団を提供する。細胞の集団はSSEA4およびHLA−IIを発現する。
【0015】
本発明の細胞の集団は、凍結保存剤、培養培地、成長培地、または分化培地のうちのいずれか1つ中に懸濁し得る。
【0016】
本発明のCD34を発現するヒト細胞の集団は、少なくとも2回以上の集団倍化から生じる。
【0017】
本発明の細胞の集団は、コロニー形成細胞(colony forming unit)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞(blood lineage precursor cell)のうちのいずれか1つを生ずることができる。
【0018】
他の態様において、本発明は、臍帯血細胞の増加に適切な条件で十分な量の月経血幹細胞と共に十分な量の臍帯血幹細胞を共培養し、次に、少なくとも2回の集団倍化を介して十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させることを含むプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団もまた提供する。十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させる工程は、臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0019】
1つの実施形態において、本発明のプロセスは、十分な量の培養中の臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞(CFU)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含み得る。
【0020】
なお他の実施形態において、本発明のプロセスは、十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させた後に、CD34を発現する臍帯血細胞を単離する工程を含み得る。
【0021】
さらなる実施形態において、本発明のプロセスは、十分な量の培養中の臍帯血細胞を増殖させた後に、CD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団を凍結保存する工程を含み得る。
【0022】
本発明のプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団は、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後に、CD34、SSEA4およびHLA−IIのうちの少なくとも1つもまた発現し得る。
【0023】
なおさらなる態様において、本発明は、CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得る方法を提供する。本発明の方法は、臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で、十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種して、臍帯血細胞の少なくとも2回または複数回の集団倍化を支援する培養条件下で、月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養する工程を含み得る。
【0024】
ある実施形態において、CD34を発現するヒト臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、少なくとも1種または複数のSSEA4およびHLA−IIを発現させることを含む。
【0025】
他の実施形態において、本発明の増幅ヒト臍帯血細胞は高レベルのCD34を発現する。さらに、本発明の臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0026】
代替の実施形態において、本発明の方法は、増幅ヒト臍帯血細胞をCD34について免疫選択すること、ヒトへの注入のために増幅ヒト臍帯血細胞を培養から分離すること、増幅ヒト臍帯血細胞を凍結保存すること、または増幅臍帯血細胞を細胞系譜へと分化させること、のさらなる工程のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0027】
なお他の実施形態において、本発明の方法は、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の図式的なフローチャートを示した図である。
【図2a】実施例1において記述した造血系コロニー形成細胞のためのメソカルト(MethoCult)4053半固形メチルセルロース培地中で、解凍後にプレーティングし培養した臍帯871R細胞の細胞培養の写真である。臍帯871R細胞は、1ウェルあたり1mlの培地中で1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングされた。細胞培養8日後の細胞の写真(200×)である。コロニー形成細胞(CFU)の成長のない半固形培養培地中の遊離した細胞を実証する。
【図2b】実施例1において記述した造血系コロニー形成細胞のためのメソカルト4053半固形メチルセルロース培地中で、解凍後にプレーティングし培養した臍帯871R細胞の細胞培養の写真である。臍帯871R細胞は、1ウェルあたり1mlの培地中で1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングされた。細胞培養9日後の細胞の写真(40×)である。コロニー形成細胞(CFU)の成長のない半固形培養培地中の遊離した細胞を実証する。
【図3a】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養における細胞の写真(100×)である。
【図3b】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。コロニー形成細胞のためのメチルセルロース培地中の遊離細胞の培養8日後の写真(100×)である。
【図3c】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞で細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養における細胞の写真(200×)である。
【図3d】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞で細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養における細胞の写真(200×)である。
【図3e】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり5,000細胞で細胞をプレーティングし8日間培養した後に初期のBFU−E産生を示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図3f】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養中の細胞の写真(100×)である。
【図3g】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養中の細胞の写真(100×)である。
【図3h】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図3i】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞をプレーティングし9日間培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、細胞培養の写真(100×)である。
【図3j】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞をプレーティングし9日間培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、細胞培養の写真(100×)である。
【図3k】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞をプレーティングし9日間培養した後にヘモグロビン産生の赤い色調を明示するBFU−Eを示す、細胞培養の写真(40×)である。
【図3l】実施例2において記述したCFUのためのメチルセルロース培地中で培養されるM28100RM月経血細胞の写真である。この濃度ではコロニー形成能のない培地中の遊離細胞の写真である。
【図4a】1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でM28101R月経血細胞をプレーティングし8日間細胞培養した後にCFU−GMを示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図4b】1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり10,000細胞で細胞をプレーティングし9日間培養した後にCFU−GM産生を示す、培養中の細胞の写真(40×)である。
【図4c】1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり21,600細胞で細胞をプレーティングし数日間細胞培養した後にBFU−E産生を示す、培養中の細胞の写真(100×)である。
【図4d】1ウェルあたり5,000細胞でプレーティングしたM28101R月経血細胞の写真である。1ウェルあたり5,000細胞で細胞をプレーティングし9日間細胞培養した後の遊離細胞の写真(40×)である。
【図5a】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の培養後の写真(100×)を示す。CFU−GMコロニー形成を明示する。
【図5b】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の細胞培養後の写真(200×)である。
【図5c】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の細胞培養後の写真(100×)である。
【図5d】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり5,000細胞でプレーティングした月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯血細胞による9日間の培養後のCFU−GMの一部の写真(40×)である。
【図5e】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の8日間の培養後の写真(100×)を示す。CFU−GMコロニー形成を明示する。
【図5f】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり21,600細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の9日間の細胞培養後の写真(100×)である。
【図5g】実施例4において記述したM28100RM月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。1ウェルあたり10,000細胞でプレーティングしたM28100RM月経血細胞、および1ウェルあたり50,000細胞でプレーティングした臍帯871R細胞の9日間の培養後の写真(100×)を示す。BFU−Eコロニー形成を明示する。
【0029】
【図6a】実施例5において記述したM28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。メチルセルロース半固形造血系培地中の遊離細胞を明示する。異なる濃度でプレーティングした場合、単独で培養したM28101R月経血細胞はCFU−GMおよびBFU−Eを産生することができた。
【図6b】実施例5において記述したM28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。メチルセルロース半固形造血系培地中の遊離細胞を明示する。異なる濃度でプレーティングした場合、単独で培養したM28101R月経血細胞はCFU−GMおよびBFU−Eを産生することができた。
【図6c】実施例5において記述したM28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の共培養の写真である。メチルセルロース半固形造血系培地中の遊離細胞を明示する。異なる濃度でプレーティングした場合、単独で培養したM28101R月経血細胞はCFU−GMおよびBFU−Eを産生することができた。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜6を参照して、CD34を発現する細胞の数を増幅するために月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養するプロセスおよび方法は、本発明によって提供される。本発明のプロセスおよび方法によって得られたCD34を発現する増幅ヒト細胞の組成もまた提供される。
【0031】
全臍帯血は、CD34+細胞を含む単核細胞を含む造血系祖先細胞の豊富なソースである。臍帯血幹細胞は、CD34+細胞を含む単核細胞を含む。臍帯血幹細胞は、新生児の娩出後であるが一般的に胎盤が娩出される前に、臍帯から抽出した全臍帯血から得られる。娩出の瞬間は新生児の幹細胞を採取する唯一の機会である。さらに回収は経膣分娩および帝王切開分娩の両方で安全である。臍帯血を回収するために、臍帯血は臍帯から血液回収バッグの中へ抜き取られる。臍帯血は梱包材中にパッケージングされ、回収の36〜48時間以内にプロセシングするために実験室へ発送される。
【0032】
全血は、新生児の出生に後続して臍帯のクランプ後に臍帯から回収される。全臍帯血の体積は約110mlでありえる。回収された臍帯血サンプルは、プロセシングのために実験室へ業界基準下で発送される。
【0033】
密度勾配分離(フィコール/ハイパック)を使用して無菌状態下で臍帯血をプロセシングして、CD34を発現する細胞の集団を含む単核細胞を分離する。臍帯血は滅菌された50mlチューブへと小分けする。チューブを470gで約15分間遠心分離する。遠心分離後に、パックされた細胞は1体積あたり1:3の比率であるべきである。遠心分離後のチューブから血漿を除去することができるか、またはパックされた細胞に対する体積を1:3の比率で達成するようにチューブにDPBSを追加することができる。各々のチューブは多くとも約35mlの体積を有するべきである。10mlのLSMを各々のチューブの下層に置く。各々のチューブを400gで約30分間遠心分離する。血漿の上層を除去する。単核細胞および血漿を含む次の層を取り出して、別の50mlチューブに移す。
【0034】
50mlチューブ中の細胞は、RPMI対細胞混合物が約1:2比率でL−グルタミンを含む1×RPMI01640を使用して、最大約45mlの体積で懸濁されるべきである。細胞懸濁物を含むチューブは470gで約15分間遠心分離することができる。遠心分離後に、上清を除去する。少量のRPMIを追加して、沈殿を再懸濁する。15mlチューブに細胞懸濁物を移す。15mlチューブ中の細胞懸濁物を400gで約15分間遠心分離する。上清をデカントし、RPMIを使用して5mlまで沈殿を再懸濁する。5mlのDMSO/自己血漿(1mlのDMSOおよび4mlの自己血漿)を滴下して追加する。速度制御フリーザー中のDMSO/自己血漿中の細胞懸濁物の温度を約−85℃まで低下させる。約−185℃またはそれ以下の液体窒素タンク中にチューブを置く。
【0035】
語句「月経血細胞」は、米国特許公報第20080241113号の方法のうちのいずれかに記載の月経流出物から回収された細胞に関して使用される。月経血細胞は、CD9、CD10、CD13、CD29、CD44、CD49e、CD49f、CD59、CD81、CD105、CD166、およびHLAクラスIを含むが、これらに限定されない細胞マーカーまたは細胞内マーカーの少なくとも1つを発現するが、CD3およびMHC IIを低レベルで発現するかまたは発現しない細胞を含む。細胞の前述の特徴は例示的な特徴として提供されるが、月経血細胞の追加および代わりの細胞表面特徴は、米国特許公報第20080241113号において開示された表および図でそれに対して提供された特徴、凍結保存の前および後の特徴、CD117選択の前および後の特徴、細胞培養の前および後の特徴、または任意の組合せの特徴を含むが、これらに限定されず、米国特許公報第20080241113号における開示の全体にわたって提供される。さらに、米国特許公報第20080241113号は、その全体を参照することにより本明細書に組み入れられ、本発明の月経血細胞に関するさらなる開示を提供する。臍帯血幹細胞と共に共培養するために使用された月経血細胞は、米国特許公報第20080241113号の教示に従って、月経流出物から回収し、濃縮し、凍結保存することができ、後に本発明の方法に従って解凍することができる。あるいは、米国特許公報第20080241113号の教示は、本発明における使用に適切な月経血細胞を得る多数の方法を提供する。
【0036】
用語「細胞(cell)」は適用において単数の意味で使用することができるが、用語「細胞(cells)」もまた本発明により使用される1つより多い細胞を指すように使用することができる。
【0037】
特定の細胞は、多数の別個の細胞タイプへと分化する細胞能力に起因して、天然で多能性であることが認識される。多能性細胞は、多数の異なる哺乳類細胞タイプへと分化を行う能力を保持する。一例として、本発明において使用される月経血細胞は、例えば神経細胞系譜および心臓形成細胞系譜、軟骨形成細胞系譜、脂肪形成細胞系譜、および骨形成細胞系譜などの、様々な細胞系譜へと分化する能力を示す。
【0038】
本発明の方法および組成
【0039】
治療上の使用のために増幅CD34細胞の使用は、多数の理由で有利であろう。特に、増幅CD34細胞は、(a)他の臍帯血細胞増幅方法との比較では増殖のためにより少ない臍帯血細胞の使用を必要とし、(b)月経血細胞との共培養において増殖性であり、(c)自己適用が可能であり、(d)同種異系の適用(allogenic application)が可能であり、(e)ソースとしてカスタマイズ再生医療法に使用し得る。
【0040】
本発明は、ヒト臍帯血細胞の集団倍化を促進するヒト月経血細胞と共に、適切な培養条件で、ヒト臍帯血細胞の増加から得られたCD34を発現するヒト細胞の集団を提供する。細胞の集団はSSEA4およびHLA−IIもまた発現する。
【0041】
本発明の細胞の集団は、凍結保存剤、培養培地、成長培地、または分化培地のうちのいずれか1つ中に懸濁し得る。
【0042】
本発明のCD34を発現するヒト細胞の集団は、少なくとも2回以上の集団倍化から生じる。
【0043】
本発明の細胞の集団は、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることができる。
【0044】
本発明は、臍帯血細胞の増加に適切な条件で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血幹細胞を共培養し、次に少なくとも2回の集団倍化を介して十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させることを含むプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団もまた提供する。十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させる工程は、臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0045】
本発明のプロセスは、十分な量の培養における臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞(CFU)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含み得る。
【0046】
本発明のプロセスは、十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現する臍帯血細胞を単離する工程を含み得る。
【0047】
本発明のプロセスは、十分な量の培養における臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団を凍結保存する工程を含み得る。
【0048】
本発明のプロセスによって得られたCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団は、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後にCD34、SSEA4、およびHLA−IIの少なくとも1つもまた発現み得る。
【0049】
本発明は、CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得る方法を提供する。本発明の方法は、臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種する工程、および臍帯血細胞の少なくとも2回または複数回の集団倍化を支援する培養条件下で月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養する工程を含む。
【0050】
CD34を発現するヒト臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、少なくとも1種または複数のSSEA4およびHLA−IIを発現させることを含む。本発明の増幅ヒト臍帯血細胞は、高レベルのCD34を発現する。
【0051】
本発明の臍帯血細胞の共培養は、臍帯血細胞を増幅して、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む。
【0052】
本発明の方法は、CD34のために増幅するヒト臍帯血細胞を免疫選択すること、ヒトへの注入のために増幅ヒト臍帯血細胞を培養から分離すること、増幅ヒト臍帯血細胞を凍結保存すること、または増幅臍帯血細胞を細胞系譜へと分化させること、のさらなる工程の少なくとも1つを含み得る。
【0053】
本発明の方法は、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含む。
【0054】
培養のための細胞の調製物
【0055】
臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルは保存において凍結保存することができる。あるいは、臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルのいずれかまたは両方は、回収された生の血液サンプルからプロセシングした後に新鮮でありえる。臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルのいずれかまたは両方が凍結保存される事例において、凍結保存した臍帯血細胞および/または月経血細胞は、培養のための調製において解凍されなくてはならない。臍帯血細胞サンプルおよび月経血細胞サンプルのいずれかまたは両方が新鮮である事例において、細胞は培養のために調製し得る。
【0056】
凍結保存細胞を解凍するプロセスは、凍結保存細胞を解凍し、次に遠心分離を介してそれらを洗浄する工程を含む。凍結保存細胞は、凍結保存から細胞のバイアルを取り出して、凍結サンプルの少数のかけらが残るまで約37〜40℃ウォーターバス中でバイアルを撹拌することによって解凍される。凍結保存細胞は完全に解凍するべきではない。部分的に解凍された細胞は、DNase(100mlあたり10滴)を含む冷却したチャンの(Chang's)完全培地に移し、反転によって穏やかに混合する。チャンの完全培地は、部分的に解凍した細胞に対して5:1比率で混合するべきである。例えば、25mlのチャンの完全培地を5mlの解凍細胞に合わせる。この時点で、チャンの完全培地および解凍細胞の約100〜200μlのサンプルを、さらに詳細に以下で記述されたフローサイトメトリー分析のために取り出し得る。
【0057】
次に解凍細胞を懸濁したチャンの完全培地溶液を、およそ周囲温度で約120g約5分間の遠心分離の第1の工程を行い得る。一旦遠心分離が完了すれば上清を除去し、細胞および恐らく他の残屑の沈殿を緩やかな反転によってチャンのDNase不含有完全培地中で再懸濁する。次にチャンの完全培地中で懸濁した細胞は、およそ周囲温度で約120g約5分間の遠心分離の第2の工程を行い得る。一旦第2の遠心分離工程が完了すれば上清を除去し、細胞の沈殿を7mlの15%FBSチャンの成長培地中で再懸濁する。
【0058】
チャンの完全培地は、MEMα培地、チャンB、チャンC、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン、およびES−FBSを含む。チャンの完全培地は、650mlのMEMα培地、180mlのチャンB(基本培地)(18%v/v)、20mlのチャンC(2%v/v)、10mlのペニシリン/ストレプトマイシン(10,000単位/mlのペニシリンGナトリウムおよび10,000μg/ml硫酸ストレプトマイシン)、10mlのL−グルタミン200mM(100×)、および150mlのES−FBS(19%v/v)を組み合わせることによって調製される。
【0059】
凍結保存細胞を解凍し洗浄するプロセスを使用して、培養のために凍結保存された臍帯血細胞および月経血細胞を調製し得る。
【0060】
フラスコ中の培養を介する細胞の増加
【0061】
解凍した臍帯血細胞または新鮮な臍帯血細胞を、解凍した月経血細胞または新鮮な細胞と共にプレーティングして、フラスコ中で細胞を共培養する。臍帯血細胞および月経血細胞は、組織培養用の処理をしていないT−25フラスコ中で共培養することができる。細胞は、1フラスコあたり約10,000,000細胞を上回るべきでない。十分な数の臍帯血細胞を、フラスコ中で月経血細胞の十分な数と共に共培養する。1つの実施形態において、臍帯血細胞は約1,000細胞〜約10,000細胞にわたりうるが、月経血細胞は約10,000細胞〜約50,000細胞にわたりうる。月経血細胞が臍帯血細胞の増加を促進する支持機能を提供する限り、他の量の臍帯血細胞および月経血細胞は十分でありえる。
【0062】
事前に培養した臍帯血細胞および月経血細胞は、約48時間の継代時間で1cm2あたり約2,000でプレーティングし得る。より多くの細胞がプレーティングされるならば、細胞は約24時間の継代を介して進めることができる。臍帯血細胞および月経血細胞は、約7ml、約15ml、および約30mlのチャンの完全培地で、組織培養用の処理をしていないT−25、T−75、およびT−175のフラスコ中でそれぞれプレーティングし得る。
【0063】
細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、臍帯血細胞および月経血細胞の共培養を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートし得る。
【0064】
臍帯血細胞および月経血細胞の共培養は、トリプシン処理工程によってフラスコから解離し得る。共培養した臍帯血および月経血細胞が解離できる状態になっていることが明らかな場合、フラスコ中の培地を吸引し、次に非組織培養用フラスコは、T−25フラスコについては約5ml、T−75フラスコについては約10ml、またはT−157フラスコについては約25mlの体積のカルシウムまたはマグネシウム不含有DPBSにより洗浄する。洗浄後に、細胞を、T−25フラスコについては約1.5ml、T−75フラスコについては約3ml、およびT−175フラスコについては約6mlの体積のTrypLE酵素により、約36℃〜約38℃で覆い得る。TrypLE酵素を細胞と共に約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中で約5分間インキュベートし得る。インキュベーション後に細胞を外し、フラスコの内容物は、細胞を覆うのに最初に使用したTrypLE酵素の同じ体積で希釈し得る。次に、懸濁した細胞の内容物を含むTrypLE酵素溶液を、50ml遠心分離チューブに移し得る。カルシウムまたはマグネシウム不含有DPBSを使用して、T−25フラスコについては約5ml、T−75フラスコについては約10ml、およびT−175フラスコについては約25mlの体積でフラスコの内容物を洗浄し得る。本発明の実施において使用されるフラスコは組織培養用の処理をしていないフラスコでありえる。約50mlのDPBSを、TrypLE酵素および懸濁した細胞の内容物を含む50ml遠心分離チューブに追加し得る。
【0065】
50ml遠心分離チューブは、周囲温度で約120g約5分間遠心分離することができる。20μlなどの沈殿の小さなアリコートを取り出して、手動の血球計数器または自動化装置により細胞のカウントを実行することができる。遠心分離後に上清を除去して廃棄し、残存する沈殿を約7mlのチャンの完全培地中に懸濁する。
【0066】
チャンの完全培地中に懸濁した共培養した増幅細胞は、凍結保存のために調製することができるか、CD34細胞についての免疫選択を行なうことができるか、ヒトへの注入のために調製することができるか、または任意の数の細胞経路に沿った細胞分化のために調製することができる。
【0067】
共培養情報は細胞培養の経過の間に得ることができる。培地は約3日ごとまたはそれ以上で交換し得る。共培養が10,000,000以上の細胞を含むならば、共培養における細胞は同じ培養条件下で継代培養するために取り出すことができるか、またはあるいは本出願において記述した凍結保存方法に従って凍結保存することができる。
【0068】
プレートでの培養を介する細胞の増加
【0069】
細胞は、プレーティング技術を使用して滅菌条件下で共培養することができる。本発明の方法において使用される培地は、CB中のBFU−E、CFU−GM、CFU−GEMMの検出のためにhSCF、hGM−CSF、hIL−3、hG−CSF、hEPOを含むメソカルト4034でありえる。−80℃で保存した培養培地(メソカルト#4034)は、約2〜8℃または室温で解凍される。共培養のための解凍した培養培地および細胞を、プレーティングの前に氷上に約15分間置く。約0.3mlの細胞懸濁物を培養培地を含むチューブに追加し、ボルテックスにより撹拌し、氷上で約30分間インキュベートする。シリンジを使用して、1ウェルあたり約1mlで4ウェル培養プレートの3ウェル中に培養培地を均一に分配する。プレートの第4のウェルへ約1mlのDPBSを追加する。プレートは滅菌された条件下で約14〜約21日間約37℃でインキュベートするべきである。
【0070】
フローサイトメトリー分析
【0071】
共培養した臍帯血細胞および月経血細胞のサンプルは、増幅したか増幅しないかにかかわらず、全細胞数、色素排除を介するトリパンブルーによる細胞生存率、および細胞表面マーカーの発現について分析することができる。
【0072】
増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞の全細胞カウントおよび細胞生存率は、血球計数器による手動カウント、フローサイトメーター、または例えばバイセル(ViCell)(ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社)もしくは顕微鏡画像に表示された細胞をカウントするのに適切なソフトウェアなどの、細胞カウントを得るのに適切な他の手段によって定量し得る。
【0073】
増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞は、フローサイトメトリーによって分析することができる。1×NH4CL溶解溶液は、50mlチューブの中へ約36mlの蒸留水および4mlの10×溶解溶液を追加することによって、ステムキット(StemKit)から調製し得る。約50μlの細胞サンプルを2本のチューブに追加して、分析を実行することができる。1本のチューブはCD34+/生存率の分析のためのものであり、2本目のチューブはアイソクロニック対照のためのものである。約10μLの7−AAD生存率用色素を各々のチューブに追加し得る。約10μLのCD45−FITC/CD34−PEを第1のチューブに追加し得る。約10μLのCD45−FITC/CTRL−PEを第2のチューブに追加し得る。混合物をボルテックスにより撹拌し、次に遮光して、約15℃〜約30℃で少なくとも20分間インキュベートし得る。次に約1mlの1×NH4CL溶解溶液を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌し得る。混合物は約15℃〜約30℃で約20分間インキュベートし得る。約100μLのステム−カウントフルオロスフェア(Stem−Count Fluorospheres)を各チューブに追加し、ボルテックスにより撹拌し得る。次にサンプルを分析のためにフローサイトメーター上に流すべきである。
【0074】
細胞表面マーカー、細胞生存率、および他の細胞特性を分析するために、増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞も、フローサイトメトリーによって分析することができる。新鮮な細胞のサンプルは、細胞溶解後に以下のプロトコールに従ってもまた分析することができる。
【0075】
増幅し共培養した臍帯血細胞および月経血細胞のサンプルは、約2000rpmで約7分間遠心分離することができる。上清を除去し、約100μlの洗浄培地(25%HSA、DNAse、ヘパリン、ならびにCa+およびMg+含有HBSS)中に細胞を再懸濁することができる。次に再懸濁した細胞は、ブラッド・バンク・セロフュージ(Blood Bank Serofuge)中で約1分間遠心分離することができる。上清はデカントすることができ、細胞を約1.2mlのシース液を中で再懸濁し、ボルテックスにより撹拌した。
【0076】
シース液中の細胞は任意の数の細胞表面マーカーについて分析することができる。限定するのではなく一例として、表Aにおいて記述されているように、約100μlのシース液中の細胞のサンプルを、各チューブ中に1つの試薬あたり10μlまたは20μlの体積のいずれかで以下の試薬を含む各チューブに追加し、次にチューブをボルテックスにより撹拌して試薬およびサンプルを混合する。
【0077】
表A:フローサイトメトリーロード図表
【0078】
20分間室温(15〜30℃)でインキュベートする。遮光する。RBCを含む新鮮なサンプルで実行するならば、500μlの溶解溶液を追加し、さらに10分間室温でインキュベートし、遮光する。密度勾配または解凍したサンプルで実行する場合は、溶解しない。サンプルを溶解しなかった場合は、20分のインキュベーション後に1mlの洗浄培地により洗浄する。1分間遠心分離し、次に上清をデカントする。サンプルを溶解したならば、1分間サンプルを遠心分離し、溶解物をデカントする。1mlの洗浄培地を追加し、ボルテックスにより撹拌し、再び遠心分離し、次に再びデカントする。各チューブに500μLのシース液を追加し、ボルテックスにより撹拌し、FC500フローサイトメーターを実行する。
【0079】
細胞マーカー分析の前に、全細胞カウントを細胞サンプルで実行することができる。任意の数の陽性対照は、カスミ(Kasumi)−3対照細胞または他の対照細胞を使用して、フローサイトメトリー分析のために設定し得る。
【0080】
細胞カウントおよび細胞生存率分析のための資材は、フローサイトメーター、イソフロー・シース液(Isoflow Sheath Fluid)、コールター・クレンズ洗浄剤(Coulter Clenz Cleaning Agent)、ならびにCD45−FITC/CD34−PE、CD45−FITC/アイソクロニック対照−PE、7−AAD生存率用色素、ステム−カウント・フルオロスフェア、塩化アンモニウム(NH4CL)溶解溶液10×濃縮および22%のウシアルブミン溶液を含むが、これらに限定されない試薬を含むが、これらに限定されない。ステムキット(商標)CD34+HPCエニュメレーション・キット(Enumeration Kit)添付文書−バージョン03(PNIM2390);ベックマン・コールター製品是正処置、CXP2.0&2.1パネルインタラプション−3/10/06、PCAM−D−1013;14.3ステムラボ(StemLab)、ビルド番号、バージョン3.2.1 200706260856を参照。フローサイトメトリーのための資材は、イソフロー・シース液;コールター・クレンズ洗浄剤;ならびに以下の試薬(使用の前に約20〜25℃):CD117−PE、CD29−FITC、CD34−ECD、CD44−FITC、CD45−ECD、CD90−PC5、CD105−PE、CD166−PE、IgGFITC、IgG−PE、IgG−ECD、IgG1−PC5、HLA−I−FITC、CD133−PE、HLA−II ECD、CD9−FITC、CD54−PE、CD10−PC5、CD59−FITC、CD63−PE、CD13−PC5、CD49e−FITC、CD81−PE、CD49f−PC5、CD44−FITC、CD38−PC5、CD29−FITC、CD105−PE(CD41−ECD)、CD3−PC5、CD19−FITC、NANOG−FITC、SSEA3−PE、SSEA4−PE、CD14−FITC、CD56−PE、7−AAD生存率用色素、塩化アンモニウム(NH4CL)溶解溶液10×濃縮、洗浄培地(HBSS(Ca+およびMg+含有ハンクス)500ml、ヘパリン5ml、25%ヒト血清アルブミン50ml、1アンプルDNASEを含む)、カスミ−3細胞(CD34+細胞)、タイマー、およびボルテックスミキサーもまた含むが、これらに限定されない。
【0081】
増幅細胞の凍結保存
【0082】
フラスコおよびさらにプレートにおける組織培養から得られた、チャンの完全培地中に懸濁し共培養した増幅細胞は、凍結保存のために調製し得る。増幅細胞をチャンの完全培地中に再懸濁し得る。1つの実施形態において、増幅細胞は1:1比率で凍結保存剤と合わせ得る。例えば、5mlバイアルは約2.5mlの細胞および2.5mlの凍結保存剤を含み得る。増幅細胞の懸濁物は凍結保存剤の追加の前に少なくとも約15分間氷上に置くべきである。
【0083】
凍結保存剤は、4:1の比率でES−FBSとDMSO(99%)を組み合わせることによって調製される。例えば、約2mlのES−FBSは0.5mlのDMSOに追加し得る。ES−FBSはDMSOの追加の前に少なくとも約15分間氷上で冷却し得る。一旦冷却されたならば、ES−FBSをDMSOに追加する。ES−FBSおよびDMSOは、少なくとも約15分間冷却し得る。
【0084】
代替の実施形態において、他の凍結保存培地を使用し得る。例えば、例えば、クリオストア(CryoStor)CS10もしくはCS5(バイオライフ(Biolife)社)、プロパンジオールおよびショ糖により補足された胚の凍結保存培地(ビトロライフ(Vitrolife)社)、またはSAGE培地(クーパー・サージカル(Cooper Surgical)社)などの凍結保存剤を使用して、解凍後の高細胞生存率転帰を維持し得る。グリセロールは他の凍結保存剤(DMSOなど)と共に使用し得るか、または適切なタンパク質を含む培地中で約10%の濃度で単独で使用し得る。
【0085】
凍結保存剤は、増幅細胞の懸濁物に氷上で一滴ずつ追加し得る。増幅細胞および懸濁した増幅細胞の溶液は穏やかに混合し得る。溶液は、凍結保存のための調製において所望される体積のバイアルの中へ小分けし得る。バイアルはクリオバイアルでありえる。速度制御フリーザーへと置く準備ができるまで、バイアルは氷上で維持される。
【0086】
凍結保存剤中の増幅細胞の調製物は、複数の温度低下工程に暴露して、速度制御フリーザーまたは他の適切なフリーザーシステム(モニタリングダンプフリーズまたはフリーズコンテナー(ナルゲン(Nalgene)社))を利用して、約−90℃の最終温度まで増幅細胞の温度を低下させることができる。適切な速度制御フリーザーは、クリオメド・サーモ・フォーマ・コントロールド・レート・フリーザー(Cryomed Thermo Forma Controlled Rate Freezer)7454(サーモ・エレクトロン(Thermo Electron)社)、プラナー・コントロールド・レート・フリーザー・クリオ(Planar Controlled Rate Freezer Kryo)10/16(TSサイエンティフィック(TS Scientific)社)、ゴーディナー(Gordinier)、バイオ−クール−FTSシステムズ(Bio−Cool−FTS Systems)、およびアシンプトート(Asymptote)EF600、バイオストア(BIOSTOR)CBS 2100シリーズを含むが、これらに限定されない。
【0087】
温度低下工程は速度制御フリーザーにおいてプログラムし得る。凍結保存剤および増幅細胞は、フリーザー中での最終的な保存のための調製において、速度制御した温度低下を行い得る。速度制御低下は、細胞生存率を維持するようにデザインし得る。クリオ−メドフリーザー(サーモ・エレクトロン社)、液体窒素シリンダーおよびポータブルクリオ−メドフリーザーを、フリーザー中での最終的な保存のための調製における速度制御した低下に使用し得る。約−90℃の温度を達成するようにクリオバイアルまたはクリオバッグ(cryobag)中で細胞は速度制御低下を行い得る。
【0088】
クリオバッグ中に回収された増幅細胞のサンプルについて、以下の速度制御した低下プロフィールを増幅細胞に対して行い得る:約4℃で待機、−6.0℃まで1分につき1.0℃(サンプル)、−50.0℃まで1分につき25.0℃(チャンバー)、−14.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、−45.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−90.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、および終了(サンプルは−85.0℃またはそれ以下で)。
【0089】
クリオバイアル中に回収された増幅細胞のサンプルについて、以下の速度制御した低下プロフィールを細胞に対して行い得る:4.0℃で待機、−3.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−20.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、−40.0℃まで1分につき1.0℃(チャンバー)、−90.0℃まで1分につき10.0℃(チャンバー)、および終了。
【0090】
一旦凍結保存剤および増幅細胞の混合物が約−85℃またはそれ以下になれば、凍結保存バイアルは低温保存ユニットに移され、約−135℃またはそれ以下の温度で液体窒素の蒸気中に保存されるか、またはあるいはバイアルは液体窒素の液体相中に保存し得る。例えば適切な低温保存ユニットは、LN2フリーザーMVE1830(チャート・インダストリーズ(Chart Industries)社)を含むが、これらに限定されない。
【0091】
増幅細胞の免疫選択
【0092】
臍帯血細胞および月経血細胞の共培養を介して増幅した細胞は、少なくとも1つの所望される細胞マーカーについて選択し得る。一例として、所望される細胞マーカーはCD34、HLA−II、またはSSEA−4でありえる。細胞に対して、所望されない細胞を除去するネガティブな選択工程もまた行い得る。細胞選択プロセスの全体にわたって、無菌技術を使用し得る。細胞選択は、新鮮な細胞、または事前に凍結保存し共培養した解凍細胞について使用し得る。細胞選択は、250万細胞〜1000万細胞で実行し得る。細胞は、250万未満の細胞を含むサンプルまたは1000万以上の細胞を含むサンプルからもまた選択し得る。
【0093】
細胞選択のための資材は、DNase、パルモザイム(ジェネンテック(Genentech)社)−1アンプル、ネガティブまたはポジティブに選択される任意の抗細胞表面マーク(例えば抗CD34抗体)、ヤギ抗マウスIgGマイクロビーズ、および磁石体を含むが、これらに限定されない。
【0094】
増幅して共培養した臍帯血細胞および月経血細胞の1.0×106以上の細胞を含む細胞懸濁物を約4℃で約7分間約300gで遠心分離した。上清は細胞沈殿を乱さずに除去し得る。沈殿は約100μlの洗浄培地により再懸濁し得る。1つの実施形態において、抗細胞表面抗体は抗CD34抗体である。溶液中の細胞は、氷上で約20分〜約25分間インキュベートし得る。インキュベーション後に、約2mlの洗浄培地を細胞に追加し、穏やかに混合し得る。混合物は約4℃で約10分間約300gで遠心分離し得る。遠心分離後に、上清は沈殿を乱さずに吸引し得る。沈殿は約80μlの洗浄培地中に再懸濁し得る。約20μlのヤギ抗マウスIgGを細胞懸濁物に追加し、穏やかに混合し得る。混合物は氷上で約30分間インキュベートし得る。インキュベーション後に、約2mlの洗浄培地を追加すること、および次に溶液を混合することによって、細胞を洗浄し得る。細胞は約4℃で約10分間約300gで遠心分離し得る。
【0095】
カラムを使用して、選択されない細胞から選択した細胞を分離し得る。カラムは約500μlのワーキングバッファー中で湿らせることによって調製し得る。遠心分離後に、上清は沈殿を乱さずに吸引し得る。沈殿は約500μlのワーキングバッファー中に再懸濁し得る。細胞接着を回避するために、追加のDNaseを細胞に追加し得る。細胞懸濁物はピペットを使用して、カラムに追加し得る。抗体に標識された細胞(陽性画分)は、マックス(MACS)セパレーターによって提供される磁石体にさらされるカラムに付着するに違いない。未標識細胞(陰性画分)はカラムを通って流出するものであり、回収するべきである。
【0096】
細胞懸濁物をカラムを通して流出させ、陰性画分として回収した後、カラムは1洗浄あたり500μlのワーキングバッファーを使用して、少なくとも3回洗浄し得る。各洗浄は、次の洗浄の前にカラムを通して完全に流出させ得る。各洗浄は陰性画分と共にし得る。約100μlの陰性画分を分析のために取り出し得る。血球計を使用する細胞カウント、およびトリパンブルーまたは他の方法を使用する生存率測定を実行し得る。表現型分析は、以前に論じられたようなフローサイトメトリーを使用するか、または他のフローサイトメトリー法を使用して行い得る。陰性画分は凍結保存のために調製し得るか、またはさらなる細胞の増殖および増加ならびに後のプロセシングのために培養を行い得る。
【0097】
陰性画分を回収し、カラムを洗浄した後に、陽性画分を回収するために他のチューブをカラムの下に置くことができる。約1mlのワーキングバッファーをカラムに追加し、カラムから磁石体を取り除くことができる。ワーキングバッファーおよび陽性画分が回収されるべきである。プランジャーを使用して、陽性画分についてのカラムから可能な限り多くの標識細胞を除去し得る。トリパンブルーまたはフローサイトメトリーを使用する細胞カウントおよび生存率を含むが、これらに限定されない分析のために、約100μlの陽性画分を取り出すことができる。陽性画分は、凍結保存、培養、または治療用の使用のために調製し得る。
【0098】
所望される細胞マーカーを発現する細胞を免疫選択する工程は、図1で示されるような本発明の実施形態に従って行い得る。特に、選択は、少なくとも臍帯血細胞および月経血細胞を共培養する工程の後に行い得る。特定の細胞マーカーを発現する月経血幹細胞を選択する工程は、選択された細胞マーカーを発現する濃縮された細胞の集団を提供し、それはさらなる細胞培養、凍結保存、または治療用の使用のために使用し得る。
【0099】
1つの実施形態において、細胞の集団からCD34を発現する増幅細胞を選択する工程は、抗ヒトCD34抗体により増幅細胞を標識すること、および次に抗ヒトCD34抗体に結合が可能な磁気標識抗体によりCD34幹細胞−抗ヒトCD34抗体複合体を標識することを含む。さらに、本方法は、抗ヒトCD34抗体によりCD34を発現する細胞を標識すること、および次に抗ヒトCD34抗体に結合が可能な磁気標識抗体によりCD34細胞−抗ヒトCD34抗体複合体を標識することを含む。CD34を発現する細胞を選択する方法は、本発明に従って実行または増幅したCD34を発現する細胞を選択することを含むことができる。細胞を免疫選択する工程は、CD34細胞、抗ヒトCD34抗体、および磁気標識抗体を含む複合体を磁石体に暴露して、カラムに磁気標識抗体および複合体の残りを引き付けること、および分析のためのカラムを通して他のすべてのCD34陰性細胞を洗浄することを含む。
【0100】
CD34を発現する細胞を選択する工程の全体にわたって、細胞の細胞懸濁物およびワーキングバッファー(DNaseを含有するマックス(登録商標)分離ランニングバッファー、ミルテニー(Miltenyi)社)は、低温で維持することができる。他の磁気分離キットは使用のために適切でありえる(R&Dシステムズ(R&D Systems)社)。
【0101】
細胞懸濁物は約10分間約300gで遠心分離し得る。沈殿は抗ヒトCD34抗体を含むワーキングバッファー中に懸濁し得る。例えばワーキングバッファーは、例えばPBS(約pH7.2)、ウシ血清アルブミン、EDTAおよび約0.09%のアジド(または適切な溶液)(BDバイオサイエンス社)を含み得る。沈殿は、例えば約100μlのワーキングバッファーおよび約5uμgのヒトCD34について親和性を有する精製抗体の中に懸濁し得る。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありえる。抗体は、ヒトCD34に結合可能な精製されたIgGまたは他の抗体でありえる。抗体はマウス抗CD34抗体でありえる。
【0102】
細胞、ワーキングバッファーおよび抗CD34の抗体を含む溶液を、インキュベーション期間の間インキュベートする。例えば、インキュベーション期間は氷上で約20分〜約25分の間を含み得る。あるいはインキュベーション期間は、温度が少なくとも約2℃〜約8℃であるならば約20分未満、または少なくとも室温であるならば約5分〜約10分に短縮し得る。インキュベーション期間後に、細胞を含む溶液をワーキングバッファーにより洗浄して未結合の抗体を除去し、次に遠心分離し得る。例えば、遠心分離は約10分間約300gで行い得る。遠心分離後に、上清は吸引し、分析のために保存でき、沈殿をワーキングバッファー中に懸濁する。例えば、ワーキングバッファーの体積は約80μlでありえる。
【0103】
添付されるマイクロビーズを有し、抗ヒトCD34抗体に対する親和性を有する第2バッチの抗体は、沈殿の懸濁に使用するワーキングバッファーに追加する。マイクロビーズは例えば、酸化鉄および多糖を含み得る。マイクロビーズは生体分解性でありえる。マイクロビーズはミルテニー・バイオテク社を介して入手可能である。例えば、抗体の第2バッチは、ヒトCD34について親和性を有する抗体について特異的であり、例えばヤギ抗マウスIgG抗体などである。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルでありえる。抗体は、マウス抗体の軽鎖および/または重鎖に結合することができる。抗体は、例えば製品130−048−401としてミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なヤギ抗マウスIgGマイクロビーズコンジュゲートでありえる。前述のヤギ抗マウスIgGの2mlバイアルを、およそ1.0×109の全未分離細胞のために使用し得る。
【0104】
細胞懸濁物を、第2のインキュベーション期間の間インキュベートする。例えばインキュベーション期間は、約30分〜約35分の範囲でありえる。あるいはインキュベーション期間は、インキュベーションが約2℃〜約8℃で行われる場合は約30分未満、またはインキュベーションがおよそ室温で行なわれる場合は約5〜約10分でありえる。インキュベーション期間が完了した後に、細胞は例えば約2mlのワーキングバッファーなどのワーキングバッファーにより洗浄し、次に細胞を遠心分離する。例えば、遠心分離は約10分間約300gで行い得る。上清は吸引して分析のために保存することができ、細胞を含む沈殿を、例えば約500μlのワーキングバッファーなどのワーキングバッファー中に懸濁する。
【0105】
細胞分離
【0106】
CD34細胞をMSのカラムを使用してワーキングバッファー中の細胞懸濁物から分離し、CD34幹細胞を分離し得る。例えば、MSカラム(ミルテニー・バイオテク社)または他の適切なカラムを使用し得る。あるいは、細胞を分離する他の適切な方法を使用し得る。ユニット、マルチスタンド、MSカラムおよびマイクロビーズを含むミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なミニマックス(MiniMACS)キットは、CD34細胞選択のために使用し得る。MSカラムはワーキングバッファーによるリンスによって調製し得る。例えば、カラムのリンスに使用するワーキングバッファーの体積は約500μlでありえる。カラムを、ミルテニー・バイオテク社を介して入手可能なマックスセパレーターの磁石体、または磁石体を提供する適切なセパレーター中に置く。
【0107】
ワーキングバッファー中の細胞懸濁物を、ピペットまたはある体積液体を移すことができる他の器具によりカラムに追加する。抗ヒトCD34抗体により標識されたCD34細胞(それはマイクロビーズに付着した抗体と結合する)は、マックスセパレーターの磁石体のためにカラム中で保持される。いずれの未標識細胞は、ワーキングバッファーと一緒にカラムを通して流出するべきであり、細胞表現型決定および細胞カウントのために滅菌済みチューブ中に回収し得る。カラムを通って流出する未標識細胞を陰性画分として同定し得る。カラムは細胞懸濁物の追加後にワーキングバッファーにより洗浄し得る。例えばカラムは、少なくとも3回、またはすべてもしくは実質的にすべての未標識細胞がカラムを通って通過する任意の量の回数で洗浄し得る。洗浄工程からの排出物は、細胞の表現型決定およびカウントのために回収し得る。排出物は陰性画分としても同定し得る。
【0108】
カラムが洗浄された後に、標識されたCD34細胞をカラムから回収し得る。標識されたCD34細胞は、滅菌されたチューブをカラムの下に置き磁石体からカラムを除去することによって回収される。一旦カラムが磁石体から除去されれば、標識されたCD34細胞はカラムを通って通過し、滅菌されたチューブの中へ入る。カラム中の残存する標識されたCD34細胞は、カラムにワーキングバッファーを追加してカラムを通して細胞を洗浄することによって、および任意にプランジャーによるカラムを剥がして細胞を放出するよって、洗い出すことができる。回収された標識したCD34細胞は、陽性画分として同定し得る。標識されたCD34細胞のより精製された集団を得るために、陽性画分は、任意に、以前に開示された洗浄手順に従って、カラムを通すことを少なくとも1回以上実行し得る。陽性画分を約10分間約300gで遠心分離し、上清を吸引し得る。沈殿を約5mlのワーキングバッファー中に懸濁し得る。
【0109】
陽性画分および陰性画分を血球計数器により分析して、全生存細胞のカウントを得る。陰性画分は表現型決定のためのフローサイトメトリーによって分析される。任意に、陽性画分はフローサイトメトリーを使用して表現型を決めることができる。
【0110】
CD34または他の所望される細胞マーカーを発現する細胞を含む陽性画分は、本発明の方法に従って凍結保存のために調製し得る。約1mlのヒト血清アルブミン、約3mlのDPBSおよび約1mlのDMSOを、約5mlの陽性画分に追加する。あるいは、例えば完全培地またはウシ血清アルブミン、ウシ胎仔血清、ウシ胎仔血清、タンパク質血漿画分、または自己血清などの他の培養培地は、凍結保存のために細胞を調製する工程で使用し得る。増幅細胞を含む溶液を混合し、氷上で約10分間冷却する。約1mlのDMSOを凍結保存剤として追加する。あるいは、約6%のHESヒドロキシエチルデンプンおよび約5%のDMSOの約1mlの混合物を、凍結保存剤として使用し得る。結果として生じる溶液をクリオバイアルの中へ小分けする。あるいは、結果として生じる溶液は例えば凍結保存バッグなどの凍結保存のために適切な任意の容器の中へ小分けすることができる。次にクリオバイアルは、本発明の速度制御フリーザープロトコールに従って速度制御フリーザー(クリオメッド(Cryomed)社)中で凍結保存する。一旦増幅細胞を含む溶液が約−90℃の標的温度に到達すれば、クリオバイアルを長期間保存用フリーザーの中へ移し、約−135℃またはそれ以下で保存する。あるいは、クリオバイアルまたは他の適切な凍結保存容器を、モニタリングダンプフリーズへと置き、約−80℃に凍結し、次に約−135℃でまたはそれ以下で長期間保存フリーザー中の液体窒素の気相の中へ移すことができる。
【0111】
増幅細胞の治療用の使用
【0112】
本発明によって得られたCD34を発現する増幅細胞を、治療用の使用のために調製してヒト障害を治療し得る。1つの実施形態において、増幅細胞、共培養を介する増加から免疫選択したCD34細胞、または凍結保存後に解凍された増幅細胞を、レシピエントへの静脈内注入のために調製し得る。
【0113】
静脈内注入のための技術は、ヒトへの細胞注入について許容される手段に従って実行することができる。静脈内注入は、増幅したCD34細胞の自己注入または同種異系注入(allogenic infusion)を含み得る。
【0114】
増幅細胞の分化
【0115】
本発明の増幅したCD34臍帯血細胞は身体中の260の体細胞のうちのいかなるものへも分化することができる。例えば、細胞は、少なくとも肝細胞、膵細胞、筋原細胞、骨形成細胞、軟骨形成細胞、脂肪細胞、上皮細胞、神経細胞、角化細胞、および心筋細胞へと分化することができる。共培養システムにおいて見られるように、細胞は、他の素因のある細胞と共に培養した場合に、肝細胞、膵細胞、筋原細胞、骨形成細胞、軟骨形成細胞、脂肪細胞、上皮細胞、神経細胞、角化細胞および心筋細胞などに分化する能力もまた保持することができる。分化から得られた細胞および共培養から得られた細胞は、置換療法または再生療法、他の治療用適用、薬用化粧品、器官拒絶の治療法、および他の適用のための処理において使用される可能性もまた有し得る。
【0116】
本発明によって得られたCD34を発現する増幅した臍帯血細胞は、特異的な細胞系譜への分化のために調製し得る。1つの実施形態において、増幅細胞、共培養を介する増加から免疫選択したCD34細胞、または凍結保存後に解凍された増幅細胞は、細胞分化のために調製し得る。
【0117】
分化のための技術は、ヒトに細胞分化について許容される手段に従って実行することができる。
【実施例】
【0118】
以下の実施例は、限定ではなく実例として提示される。当業者は、特に本明細書において引用された様々な参照の教示の観点から、実施例で具体化された本発明の変形を行うことができ、それらの開示は参照することによってそれらの全体を組み入れられることを認識するだろう。
【0119】
実施例1−臍帯871Rの培養
【0120】
臍帯血細胞871Rを本出願中で記述された方法に従って回収し、臍帯血回収産業において使用した。
【0121】
臍帯871R細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述された臍帯血のためのプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約2日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯871R細胞は約2.5年間凍結保存で保持した。臍帯871R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0122】
培養−プレート
【0123】
約3mlの培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)を室温で解凍し、次に臍帯細胞希釈物(500,000細胞/mL)と共に氷上に15分間置いた。15分後に約0.3mlの臍帯細胞希釈物を培養培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で約30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および臍帯871R細胞を、4ウェル培養プレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1ミリリットルのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0124】
培養−フラスコ
【0125】
臍帯871R細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0126】
再懸濁した臍帯871R細胞を、組織用の処理をしていないT25培養フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約1,000,000細胞で播種した。細胞は約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。第1の継代では接着細胞はなかった。
【0127】
表B−M28100RM、M28100RM、M28101R、M28101R+871Rおよび871Rのプレート培養
【0128】
実施例2−M28100RM月経血細胞の培養
【0129】
月経血幹細胞M28100RMを、約9mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0130】
M28100RM月経血細胞のための月経流出物サンプルをプロセシングし、M28100RM月経血細胞を回収の約2日後に凍結保存した。細胞は約8か月間凍結保存で保持し、次に本出願中で記述した方法に従ってCFUのために解凍した。
【0131】
培養−プレート
【0132】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlチューブを、50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および21,600細胞/mlの細胞希釈で、室温で解凍し、次に氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各月経血細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果を表B中に要約する。
【0133】
培養−フラスコ
【0134】
M28100RM月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約25mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0135】
再懸濁したM28100RM月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約221,000の細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Cで示した複数の継代を行なった。表C中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0136】
表C−M28100RM月経血細胞の培養
【0137】
実施例3−M28101Rの培養
【0138】
月経血幹細胞M28100RMを、約9mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0139】
M28101R月経血細胞のための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約7か月間凍結保存で保持した。M28101R月経血細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0140】
培養−プレート
【0141】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlのチューブを室温で解凍し、次にM28101R月経血細胞の細胞希釈物(50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および216,000細胞/ml)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、0.3mlの各月経血細胞希釈物を培養培地のチューブへと接種した。次にチューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地中の月経血細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1ミリリットルのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果は表B中に要約する。
【0142】
培養−フラスコ
【0143】
M28101R月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約25mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0144】
再懸濁した月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約724,780細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表D中で示した複数の継代を行なった。表D中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行なった。
【0145】
表D−M28101R月経血細胞の培養
【0146】
実施例4−M28100RM月経血細胞および臍帯871Rの培養
【0147】
月経血幹細胞M28100RMを、約10mlの月経流出物の回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0148】
月経血幹細胞M28100Rのための月経流出物を、回収の約2日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約6か月間凍結保存で保持した。M28100R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0149】
臍帯871R細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約2日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯871R細胞は約2.5年間凍結保存で保持した。臍帯871R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0150】
培養−プレート
【0151】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlチューブを室温で解凍し、次に細胞希釈物(50,000細胞/mlのM28100R+500,000細胞/mlの臍帯871R;100,000細胞/mlのM28100R+500,000細胞/mlの臍帯871R;および216,000細胞/mlのM28100R+500,000細胞/mlの臍帯871R)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、0.3mLの培養培地中の各細胞希釈物を培養培地の個別のチューブへと接種した。次にチューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地中の各細胞希釈物を、個別の4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として各プレートの第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果を表B中に要約する。
【0152】
培養−フラスコ
【0153】
臍帯871R細胞およびM28101R月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程に個別にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0154】
再懸濁したM28101R月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、約221,400細胞で7mlの15%のチャンの完全培地中で約1,000,000の臍帯871R細胞と共に播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Eで示した複数の継代を行った。表E中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0155】
表E−M28101R月経血細胞および臍帯871R細胞の培養
【0156】
実施例5−M28101R+臍帯871Rの培養
【0157】
月経血幹細胞M28101Rを、約9mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0158】
月経血幹細胞M28101Rのための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約6か月間凍結保存で保持した。M28101R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0159】
臍帯871R細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約2日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯871R細胞は約2.5年間凍結保存で保持した。臍帯871R細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0160】
培養−プレート
【0161】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlチューブを室温で解凍し、次に細胞希釈物(50,000細胞/mlのM28101R+500,000細胞/mlの臍帯871R;100,000細胞/mlのM28101R+500,000細胞/mlの臍帯871R;および216,000細胞/mlのM28101R+500,000細胞/mlの臍帯871R)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、0.3mlの培養培地中の各細胞希釈物を培養培地の個別のチューブへと接種した。次にチューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地中の各細胞希釈物を、個別の4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として各プレートの第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。細胞培養の特定の結果を表Bで要約する。
【0162】
培養−フラスコ
【0163】
臍帯871R細胞およびM28101R月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願中で開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0164】
再懸濁した月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、約724,000細胞で7mlの15%のチャンの完全培地の中で約1,000,000の臍帯血幹細胞と共に播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃でCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Fで示した複数の継代を行なった。表F中で示す15%のチャン完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0165】
表F−M28101R月経血細胞+臍帯871R細胞の培養
【0166】
実施例6−M2−048の培養
【0167】
月経血幹細胞M2−048を、約9.7mlの月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を約24時間〜約48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0168】
月経血幹細胞M2−048のための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約3か月間凍結保存で保持した。M2−048細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0169】
培養−プレート
【0170】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および216,000細胞/mlの細胞希釈で氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各M2細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3つのウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0171】
培養−フラスコ
【0172】
M2−048月経血細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願中で開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0173】
再懸濁した月経血細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャン完全培地中で約1,000,000細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃でCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は表Gで示した複数の継代を行った。表G中で示す15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0174】
表G−M2−048月経血細胞の培養
【0175】
実施例7−M2−048+混合した臍帯(5006−2180および5013−2670)の培養
【0176】
月経血幹細胞M2−048を、月経流出物を回収すること、ならびにカルシウムおよびマグネシウムを含有し抗生物質を含有しない獲得培地DPBSおよび防腐剤不含有ヘパリン中で回収物を48時間以内にプロセシング施設に発送することによって、米国特許公報第20080241113号の方法に従って回収した。月経流出物サンプルを抗生物質中で24時間インキュベートし、続いて洗浄し、遠心分離を介して濃縮し、10%DMSO凍結保存剤と共に混合し、米国特許出願公報第20080241113号の教示に従って凍結保存した。
【0177】
月経血幹細胞M2−048のための月経流出物を、回収の約3日後に、本出願中で記述した月経血幹細胞のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収後にプロセシングし、凍結保存した。細胞は約3か月間凍結保存で保持した。M2−048細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0178】
臍帯5006−2180細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約1日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯5006−2180細胞は約3年間凍結保存で保持した。臍帯5006−2180細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0179】
臍帯5013−2670細胞のための臍帯血サンプルを、本出願中で記述した臍帯血のプロセシングおよび凍結保存の方法に従って、回収の約1日後にプロセシングし、凍結保存した。臍帯5013−2670細胞は約3年間凍結保存で保持した。臍帯5013−2670細胞は本出願中で記述した解凍方法に従って解凍した。
【0180】
培養−プレート
【0181】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の1本の3mlチューブを室温で解凍し、次に50,000細胞/ml、100,000細胞/ml、および216,000細胞/mlの臍帯5006−2180細胞希釈と共に氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0182】
培養−フラスコ
【0183】
再懸濁した臍帯5006−2180細胞を、2つの組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約2,000,000細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は複数の継代を行った。15%のチャンの完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0184】
培養−プレート
【0185】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の2本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に50,000細胞/mL、100,000細胞/mL、および216,000細胞/mLの臍帯5013−2670細胞希釈物を氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各M2細胞をはメソカルト#4034半固形培地のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0186】
表I−臍帯5013−2670のプレート培養
【0187】
培養−フラスコ
【0188】
臍帯5013−2670細胞を、凍結保存細胞を解凍し、次に本出願において開示された遠心分離を介してチャンの完全培地中で洗浄する工程にかけた。細胞の沈殿を約7mlの15%のチャンの完全培地中で再懸濁した。
【0189】
再懸濁した月経血細胞を、2つの組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地中で約2,000,000細胞で播種した。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は複数の継代を行なった。15%のチャン完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行なった。
【0190】
培養−プレート
【0191】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の3本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に細胞希釈物(10,000細胞/mlのM2−048月経血細胞+250,000細胞/mlの臍帯5006−2180;10,000細胞/mlのM2−048月経血細胞+250,000細胞/mlの臍帯5013−2670;10,000細胞/mlのM2−048月経血細胞+500,000細胞/mlの臍帯5013−2670)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、約0.3mlの各細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地の個別のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血幹細胞を、4ウェルプレートの最初の3ウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0192】
表J−臍帯5013−2670+M2−048のプレート培養
【0193】
培養−フラスコ
【0194】
継代4から採取した1,000,000のM2−048月経血細胞、および100,000の臍帯5006−2180細胞を、組織培養用の処理をしていないT25フラスコにおいて、7mlの15%のチャンの完全培地の中で接種した。1,000,000のM2−048月経血細胞および1,000,000の臍帯5013−2670細胞を、7mlの15%のチャンの完全培地中に播種した。トリプシン処理後に、2つの細胞培養は、M2−048、および臍帯5013−2670と混合した臍帯5006−2180として混合された。細胞が約70〜80%のコンフルエントになるまで、細胞を約36℃〜約38℃のCO2インキュベーター中でインキュベートした。細胞は複数の継代を行った。15%のチャン完全培地の完全な交換を含む継代を約3日または4日後に行った。
【0195】
表K−培養:M2−048−01のP4+混合した臍帯5006−2180および臍帯5013−2670
【0196】
実施例6および7の表現型分析
【0197】
M2−048、臍帯5006−2180、ならびに継代7で回収された臍帯5013−2670およびM2−048月経血細胞培養の混合培養を含む3,240,000細胞は、本出願中で記述した方法に従って表現型分析を行った。表現型分析の結果を表Lで示す。
【0198】
表L−細胞培養のフローサイトメトリー分析
【0199】
実施例8−M2−048月経血細胞、5006−2180臍帯細胞、および5013−2670の細胞の様々な濃度の培養
【0200】
培養培地(メソカルト#4034−半固形培地)の7本の3mlのチューブを室温で解凍し、次に、細胞希釈物(25,000細胞/mlの5006−2180臍帯細胞;25,000細胞/mlの5013−2670臍帯細胞;50,000の細胞/mlの5013−2670臍帯細胞;1,000細胞/mlのM2−048;25,000細胞/mlのM2−048+1,000細胞/mlの5006−2180臍帯細胞;25,000細胞/mlのM2−048+1,000細胞/mlの5013−2670臍帯細胞;および50,000細胞/mlのM2−048+1,000細胞/mlの5013−2670臍帯細胞)と共に氷上に15分間置いた。15分後に、各細胞希釈物をメソカルト#4034半固形培地の個別のチューブへと接種した。チューブを穏やかにボルテックスにより撹拌し、次に氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、培養培地および月経血細胞、臍帯細胞、ならびに月経血細胞および臍帯細胞の組合せをそれぞれ、インキュベーションのために7つの異なる4ウェルプレートのウェルへと均一に分割した。1mlのDPBSを湿度の補助として7つの異なる4ウェルプレートの各々の第4のウェルに追加し、細胞を37℃でインキュベートした。
【0201】
表M−臍帯5006−2180細胞、臍帯5013−2670細胞、M2−048月経血細胞、M2−048月経血細胞+臍帯5006−2180細胞、M2−048月経血細胞+臍帯5013−2670細胞、およびM2−048月経血細胞+臍帯5013−2670細胞のプレート培養
【0202】
本発明の好ましい実施形態が示され記述されたが、そのより広範囲の態様において本発明から逸脱することなく、多くの変化および修飾を行なえることが当業者に明らかだろう。したがって添付された請求項は、本発明の趣旨および範囲内にあるように、かかる変化および修飾をすべて包含するように意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト臍帯血細胞の集団倍化を促進するヒト月経血細胞と共に、適切な培養条件で、ヒト臍帯血細胞の増加から得られたCD34を発現するヒト細胞の集団。
【請求項2】
前記ヒト細胞の集団がSSEA4もまた発現する、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項4】
前記ヒト細胞の集団がHLA−IIもまた発現する、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項5】
前記CD34を発現するヒト細胞の集団が、凍結保存剤、培養培地、成長培地、または分化培地のうちのいずれか1つ中に懸濁される、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項6】
前記CD34を発現するヒト細胞の集団が、少なくとも2回以上の集団倍化の結果である、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項7】
前記ヒト細胞の集団が、コロニー形成細胞、コロニー形成細胞顆粒球(CFU−GM)マクロファージ、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることができる、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項8】
臍帯血細胞の増加のために適切な条件で十分な量の月経血幹細胞と共に十分な量の臍帯血幹細胞を共培養すること、及び
少なくとも2回の集団倍化を介して十分な量の、培養中の臍帯血細胞を増殖させること
を含むプロセスによって得られるCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団。
【請求項9】
前記プロセスが、十分な量の、培養中の臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞(CFU)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる更なる工程を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが、十分な量の、培養中の臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現する臍帯血細胞を単離する更なる工程を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが、十分な量の、培養中の臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団を凍結保存する更なる工程を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記CD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団が、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後にHLA−IIもまた発現する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項13】
前記CD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団が、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後にSSEA4もまた発現する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記十分な量の、培養中の臍帯血細胞の増殖が、臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得る方法であって、
臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種すること、及び
臍帯血細胞の少なくとも2回以上の集団倍化を支援する培養条件下で月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養すること、
を含む方法。
【請求項16】
前記CD34を発現するヒト臍帯血細胞の共培養が、臍帯血細胞を増幅して、少なくとも1種以上のSSEA−4およびHLA−IIを発現させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅ヒト臍帯血細胞が、高レベルのCD34を発現する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記臍帯血細胞の共培養が、臍帯血細胞を増幅して、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、CD34について増幅したヒト臍帯血細胞を免疫選択すること、ヒトへの注入のための培養から増幅したヒト臍帯血細胞を単離すること、増幅したヒト臍帯血細胞を凍結保存すること、又は増幅した臍帯血細胞を細胞系譜へと分化させること、のさらなる工程の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項1】
ヒト臍帯血細胞の集団倍化を促進するヒト月経血細胞と共に、適切な培養条件で、ヒト臍帯血細胞の増加から得られたCD34を発現するヒト細胞の集団。
【請求項2】
前記ヒト細胞の集団がSSEA4もまた発現する、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項4】
前記ヒト細胞の集団がHLA−IIもまた発現する、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項5】
前記CD34を発現するヒト細胞の集団が、凍結保存剤、培養培地、成長培地、または分化培地のうちのいずれか1つ中に懸濁される、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項6】
前記CD34を発現するヒト細胞の集団が、少なくとも2回以上の集団倍化の結果である、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項7】
前記ヒト細胞の集団が、コロニー形成細胞、コロニー形成細胞顆粒球(CFU−GM)マクロファージ、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることができる、請求項1に記載のヒト細胞の集団。
【請求項8】
臍帯血細胞の増加のために適切な条件で十分な量の月経血幹細胞と共に十分な量の臍帯血幹細胞を共培養すること、及び
少なくとも2回の集団倍化を介して十分な量の、培養中の臍帯血細胞を増殖させること
を含むプロセスによって得られるCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団。
【請求項9】
前記プロセスが、十分な量の、培養中の臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞(CFU)、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる更なる工程を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが、十分な量の、培養中の臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現する臍帯血細胞を単離する更なる工程を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが、十分な量の、培養中の臍帯血細胞を増殖させた後にCD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団を凍結保存する更なる工程を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記CD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団が、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後にHLA−IIもまた発現する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項13】
前記CD34を発現するヒト臍帯血細胞の集団が、適切な培養条件下で十分な量の臍帯血細胞を増殖させた後にSSEA4もまた発現する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記十分な量の、培養中の臍帯血細胞の増殖が、臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
CD34を発現する増幅ヒト臍帯血細胞を得る方法であって、
臍帯血細胞の増加の促進に適切な共培養条件下で十分な量の月経血細胞と共に十分な量の臍帯血細胞を播種すること、及び
臍帯血細胞の少なくとも2回以上の集団倍化を支援する培養条件下で月経血細胞と共に臍帯血細胞を共培養すること、
を含む方法。
【請求項16】
前記CD34を発現するヒト臍帯血細胞の共培養が、臍帯血細胞を増幅して、少なくとも1種以上のSSEA−4およびHLA−IIを発現させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅ヒト臍帯血細胞が、高レベルのCD34を発現する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記臍帯血細胞の共培養が、臍帯血細胞を増幅して、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、CD34について増幅したヒト臍帯血細胞を免疫選択すること、ヒトへの注入のための培養から増幅したヒト臍帯血細胞を単離すること、増幅したヒト臍帯血細胞を凍結保存すること、又は増幅した臍帯血細胞を細胞系譜へと分化させること、のさらなる工程の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、増幅ヒト臍帯血細胞を成長させて、コロニー形成細胞、顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞(CFU−GM)、赤芽球バースト形成細胞(BFU−E)、および顆粒球−赤血球−マクロファージ−巨核球コロニー形成細胞(CFU−GEMM)の血液系譜前駆細胞のうちのいずれか1つを生ずる工程を含む、請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図3g】
【図3h】
【図3i】
【図3j】
【図3k】
【図3l】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図3g】
【図3h】
【図3i】
【図3j】
【図3k】
【図3l】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【公表番号】特表2011−501960(P2011−501960A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532061(P2010−532061)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/012376
【国際公開番号】WO2009/058365
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(509245577)クライオ−セル インターナショナル インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/012376
【国際公開番号】WO2009/058365
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(509245577)クライオ−セル インターナショナル インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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