説明

有価証券に識別マークを設けるための方法と装置

少なくとも一つの彫刻印刷プレート(6)を有する版シリンダ(4)と、圧シリンダ(3)と、拭き取り装置(10)と、インキ付与システム(5a〜8d)とを含む有価証券を印刷するための凹版印刷機であって、版シリンダに対面して、拭き取り装置の下流側且つ版シリンダと圧シリンダとの間の接触ゾーンの上流側に配置された少なくとも一つのレーザマーキングヘッド(15)を有するレーザマーキング装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれがコピーや偽造に対して改良された安全手段(security)を提供する個別化された識別マークを有する種々のデータを有価証券(security document)に付与することを意図した方法と装置の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
「有価証券」と云う用語は、ここでは主として銀行券を指すが、その他にも消費税又は税金証紙、郵便切手、小切手、宝くじ、権利証書、株券、債券、その他の非銀行券の持参者証券、パスポートその他の識別用文書、信用状その他の支払いカード、製品ラベル、出所証明等のその他の形式の財務的な価値を有する任意の種類の証券も含んでいる。「識別マーク」と云う用語は、人間の目或いは特別な機械によって読取可能な任意の記号を称し、その特徴はファイルに記憶され、各有価証券がそれによって同じタイプの他の有価証券と区別されるように変えられているものを指す。例えば、識別マークは、それに限定されるものではないが、連続数字、バーコード、幾何学パターン、パンチ孔、磁気的に暗号化された領域等を含む。「基板」と云う用語は、主として紙或いは合成高分子材料、及びシート、ウエブ形状をした合成或いは金属フィルムを組み込んだ積層構造体を指す。
【0003】
特に、本発明は、印刷機とレーザマーキングステーションとを組み込んだ方法と装置に関する。
【0004】
安全印刷の分野において、レーザ光源からレーザ光を基板上に照射して確実なマークを設け、確実なマークを形成することは周知である。このような方法の一例が米国特許4,740,269(Berger他)に記載されており、これは、制御されたレーザ放射の変位によって所望のパターンを発生させることが可能なコンピュータ制御された回動可能なミラー装置を含んだレーザマーキングステーションによって、紙のシート又はウエブから材料を部分的に燃焼或いは蒸発させることによってマークを発生させる。
【0005】
米国特許4,579,754(Maurer他)は、可視光に対しては透明であるが赤外線によって変化可能なフィルム層を押捺された基板層の上に設け、この変化可能な層をパルス状のレーザビームに露出することによって、フィルム内に変色部分、微小気泡形成、蒸発等を作り出し、他方、他のカード層には実質的な影響を与えないようにすることによって、赤外線照射レーザによって識別カード上に上方を発生させる方法を開示している。この情報は、処理された領域の光学的性質の局部的変化の形で存在する。顕微鏡的レベルにおけるマーク領域の変質は、容易にチェックすることが可能で、これの偽造を困難にしている。
【0006】
レーザによるマーキング技術は高い融通性を有し、非常に高い解像度を以って印字することができる。本出願人は、レーザ光源、マーキングヘッドユニット、カバー及び煙除去システムを含みたレーザマーキング装置を開発した。この装置は、KBA-GIORIの活版印刷機に組み込まれて、有価証券の最終製造段階において、基板或いは前記基板上に取り付けられた光可変装置(OVD)にプリントされた赤外線吸収材料にマーキングを行い、他方、基板には実質的に何らの変化も与えない。
【0007】
銀行券印刷産業において、凹版印刷法が長年にわたって好まれてきた。凹版印刷法において、金属の彫刻印刷プレートがインキで覆われる。次に、各プレートの外面がきれいに拭われてインキが彫刻部、即ちプレートのパターン及び文字溝に残される。そして、各シートは高圧で印刷プレートの細かい凹溝に押し込まれてインキを拾い上げる。こうして、銀行券の印刷面は僅かに盛り上がり、他方、反対側は僅かに凹み、したがって、印刷された部分は立体的になる。凹版印刷法で作られた銀行券のこの独特な手触りは、銀行券若しくは紙幣印刷産業における最も重要な明白な安全特徴の一つである。
【0008】
凹版印刷装置自体は公知であり、変化する識別マークを提供することはできない。したがって、この凹版印刷技術の利点を変化可能マーキングの技術、即ち高解像度のレーザマーキング技術と組合わせることが望ましいことは明らかである。
【0009】
詳しくは、本発明は、レーザマーキング装置を、少なくとも一つの彫刻印刷プレートを有する版シリンダと、圧シリンダと、拭取り装置と、インキ付けシステムとを含む有価証券を印刷するための凹版印刷機に関する。このインキ付けシステムは、印刷プレートと相互作用を行うコレクタインキ付与シリンダと、前記コレクタインキ付与シリンダの外周面の一部に並んで配置された複数のカラー選択用シリンダと、各カラー選択用シリンダに関するインキ付与装置を含む。このタイプのインキ付けシステムは、本出願人の特許EP0406157及び0873866に記載されている。
【0010】
標準タイプの凹版インキはレーザによる印字が不可能である。しかし、赤外線吸収性顔料を凹版インキに添加して、赤外線安全インキを提供することが可能である。赤外線安全インキは可視スペクトルの外側の750〜1150nmの赤外線波長を吸収する。この赤外線インキは機械で読み取り可能な手段として凹版印刷においてしばしば使用され、証明用の手段を提供する。
【0011】
赤外線安全インキによって作られたプリントをレーザマーキングステーションの赤外線レーザビームに曝される変化可能な層として使用することは、既に提案されている。予備的ステップとして、赤外線インキの印刷層が紙又は高分子基板に付与される。この印刷層は、レーザマーキングステーションで処理される前に乾かされることが望ましい。レーザビームに反応するこの層は、次にマーキング工程の際にレーザスポットが接触する小さな表面上でごく短時間に強力な加熱融剤の作用下で溶融或いは瞬間的に蒸発することにより局部的に除去される。このマーキング工程は、レーザパルスのピークのパワーと時間に依存し、相互作用の時間が長い程、材料に移転される加熱融剤は多くなる。下の基板は、それが紙であっても高分子材料であっても、レーザビームによって燃やされてはならない。このように、これらのすべてのパラメータは注意深く選択されて、正確な結果が得られるように設定されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、増大された実行能力を提供する凹版印刷とレーザマーキングに関連するもう一つの方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の態様によれば、広義における本発明は、表面の所定領域内に濡れたインキを担持した印刷プレート又はシリンダがそのインキをシート或いはウエブに移転して、シート或いはウエブの対応する領域に印刷を行う印刷方法の改良に関し、その改良は、前記プレート又はシリンダの前記領域がシート又はウエブに接触する直前に、前記プレート或いはシリンダの濡れたインキの付着した表面の所定領域にレーザマーキング装置のレーザビームを照射することを含み、この場合に、識別マークを形成する道筋に沿って濡れたインキを蒸発させるように、レーザ照射のパラメータが選択且つ設定され、それによって印刷されたシートやウエブが道筋に沿ったシート又はウエブの対応する領域内のインキを空にすることを特徴とする。
【0014】
更に詳しくは、本発明の目的は、凹版印刷プレートがインキによって被覆され、次いで凹版印刷プレートの表面が拭き取られてインキをプレートの切欠き(cut)内に残し、印刷プレートの所定領域が凹版パターンによってインキを付与される凹版印刷方法によって印刷された有価証券上に識別マークを設ける方法を提供することであって、この方法は、インキが付与された後であって且つ印刷プレートが印刷されるべきシートに接触する前に、レーザインキ装置のレーザビームが印刷プレートに照射され、レーザスポットが識別マークの道筋に沿って移動し、そして前記レーザビームのパラメータが、前記道筋に沿った前記切欠き内に存在するインキを蒸発させるように選択且つ設定されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、レーザビームは、濡れたインキのみを蒸発させ、印刷プレート又はシリンダの材料とは反応しない強度レベル、即ち凹版印刷法の場合にはクロームめっきされたプレ−トを損傷しないレベルに設定される。
【0016】
当業者であれば、紙の基板の中に入っているセルロース繊維や高分子基板の白色不透明層を実質的に損傷せずに印刷された固体顔料を蒸発させるように強度レベルを調節するよりも、プレートの容器機能金属基板に全体的に損傷を与えずに濡れたインキを蒸発するレーザビームの適宜な強度レベルを設定する方がはるかに容易なことは理解するであろう。
【0017】
レーザビームは紙や高分子の基板上に照射されないので、レーザビームに対する基板の感度は考慮しなくてもよい。したがって、広範囲の基板を処理することができる。
【0018】
光エネルギを吸収するインキの成分、即ちレーザが赤外線発射レーザである場合には赤外線を吸収成分は顔料であるが、溶剤等の他の成分であってもよい。マーキング装置のレーザは、赤外線発射レーザ、可視光発射レーザ、紫外線発射レーザの中から選ばれてよい。したがって、本発明のこの方法は、従来技術のレーザマーキング方法よりも広範囲で使用可能である。更に、種々のワニス、高分子の伝導性材料、その他が適宜レーザ光に反応し且つ印刷機で処理可能である限り、これらに本発明の方法を適用することができる。
【0019】
この本発明の方法は、顕微鏡レベルの新規なタイプの識別マークを提供する。他方、レーザマーキングステーションによって作られる公知の識別マークは、前述の「燃焼痕跡」やその他の光化学反応の痕跡の形で存在し、本発明によって提供される識別マークは、印刷領域内に単なる非印刷道筋の形で存在する。
【0020】
第二の態様によれば、広義における本発明は、所定領域内の表面に濡れたインキを担持した印刷プレート或いはシリンダが、インキをシート又はウエブ上に移転し、それによってシート又はウエブの対応領域に印刷を行う改良された印刷機を提供し、改良された印刷機は印刷プレート又はシリンダ上にレーザビームを照射するレーザマーキング装置を含み、レーザマーキング装置の場所は、印刷プレート又はシリンダの前記所定領域がシート又はウエブに接触する前にレーザビームがインキで濡れているプレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択され、かつ識別マークを形成する道筋に沿ってインキを蒸発させるようにレーザビームのパラメータを選択且つ設定する手段を含み、それによって印刷されたシート又はウエブが、前記道筋に沿ってシート又はウエブの対応する領域内のインキを空の状態に維持することを特徴とする。
【0021】
本発明は、更に、前述のタイプの有価証券を印刷するための凹版印刷機を提供し、この印刷機は、前記拭き取り装置の下流側で且つ前記版シリンダと、前記基板と、前記圧シリンダとの間の接触ゾーンの上流側において前記版シリンダに対面して配置されたレーザマーキング装置を含む。
【0022】
本発明の凹版印刷機は、シート供給凹版印刷機であってよい。
【0023】
本発明の凹版印刷機は、ウエブ凹版印刷機であってよい。
【0024】
凹版印刷機の印刷プレートは、複数の個別の点即ちセルが彫刻されかつ前記レーザマーキング装置の前面を走行する領域を含む。これらのセルは連続する行と列に配列されている。
【0025】
好ましくは、前記レーザマーキング装置はレーザマーキングヘッドによるアレイを形成し、ヘッドの数は、シート或いはウエブ上に印刷される有価証券の列の数に等しい。
【0026】
本発明の方法と印刷機の他の特徴と利点は、図面を参照した以下の好適実施形態の説明から、当業者には明らかになるであろう。
【0027】
図1に示された機械は、版シリンダ4と相互作用を行うこれと同じ直径を有する圧シリンダ3、及び版シリンダ4に接触するコレクタインキ付与シリンダ5を含む。コレクタインキ付与(collector inking)シリンダ5の直径と版シリンダ4の直径との比は2/3に等しい。版シリンダ4は、その周囲に均等に配列された彫刻された複数の印刷プレート6を有する。この例では、版シリンダ4は三つの印刷プレートを担持する。したがって、圧シリンダ3は三つのブランケットを担持し、コレクタインキ付与シリンダ5は二つのブランケットを有する。弾性表面を有するコレクタインキ付与シリンダ5の外周の一部に沿って、三つのカラー選択シリンダ7a〜7cが装着され、そのそれぞれは、対応するカラー選択シリンダにインキを付与するインキ付与装置8a〜8cと連携する。カラー選択シリンダの直径は版シリンダ4の1/3に等しい。インキ付与装置8dを有する第四のカラー選択シリンダ7dは、版シリンダ4にインキを直接に付与する。
【0028】
カラー選択シリンダ7a〜7dは硬い材料で形成された表面を有し、各選択シリンダはレリーフ領域を有し、それの形状は各カラーで印刷される表面の形状に対応している。この場合、選択シリンダのレリーフの硬い表面はコレクタシリンダの弾性表面と相互作用する。各シリンダの回転方向は、図に湾曲した矢印で示されている。ここで使用される「上流」及び「下流」の用語は、これらの矢印を参照している。
【0029】
拭き取り装置10が版シリンダ4の外周に設けられ、回転方向においてコレクタインキ付与シリンダ5の後に続く。このシリンダは凹版切欠きから離れた彫刻プレートの表面を清掃して、インキを切欠き内に押し込む。
【0030】
シート形状の紙が、シート供給装置1と、シートを圧シリンダ3に渡す移送シリンダ2とによって印刷機に供給される。このシリンダに保持された紙は、このシリンダとそれが印刷される版シリンダ4との間を通過する。そして、別の移送シリンダ11によって搬送装置12に運ばれる。
【0031】
レーザマーキングステーションは印刷機に組み込まれている。レーザマーキングステーションは、複数のレーザ源16と複数のマーキングヘッド15を含み、その数はシート或いはウエブの有価証券の列の数に等しい。この用途において、各レーザ源は赤外線を発射するYAG結晶型レーザであり、ダイオードポンプ及び空気冷却システムを含む。レーザパルスの時間長さは、Qスィッチ動作レーザ型の場合には100ナノ秒程度である。赤外線レーザの利点は、光が光ファイバ17を介して伝達されるので、レーザ源を各マーキングヘッドから離れて印刷機の外に設けることができ、図1に模式的に示されているように拭き取り装置10の下流側の版シリンダ4の前方に直接配置可能である。
【0032】
各マーキングヘッドのサブユニットは、二つの可動ミラーからなる二軸の検流計システムを含み、可動ミラーはコンピュータ18によって精密に制御され、レーザビームが超高速で有価証券のマーキングを可能にする。θレンズがレーザビームをマーキング領域に集光する。代表的なレーザスポットの直径は、200〜300μmの範囲にある。マーキングされるデータのタイプは、すべてのタイプのフォント、絵文字、2Dコード、飾り模様、ロゴ、ギロッシュパターン、或いは遠隔のデータベースからのデータを含む英数字文字である。マーキング速度はデータのタイプ及びマーキング作業同士の間のピッチに大きく依存する。
【0033】
図3は、印刷機の上及び脇に設けられる全ての構成部分の模式図を示す。エンコーダ19と光電池20が、印刷プレート6の動きをマーキング作業に同期させる。図3において、湾曲した印刷プレートは、9×5枚の有価証券用に矩形状に彫刻された状態で示されている。各マーキングヘッドのレンズと印刷プレートとの間の作業距離は、20cmの範囲内にある。マーキングヘッドのサブユニットのアレイはフレーム内に設置される。フレーム全体は保守の目的で容易に取外し可能である。更に、レーザの煙霧除去システム(図には示されていない)がマーキングヘッドの下に設置され、融蝕滴及び煙霧を排出する。適合するフィルタを含みた加圧ポンプが用いられて、回転するシリンダを煙霧と塵埃の粒子から自由にするように維持するのに必要な減圧を発生させる。このシステムは、汚染物質の作業空間への侵入を確実に防ぐ。
【0034】
図4は、非押印パターンとして現した本発明の識別マークを有する有価証券の凹版印刷部分の拡大図を示す。本発明による可変マークは、濡れたインキを蒸発等によって除去して凹版印刷プレートの実在する溝の選択された部分に重ねられる。
【0035】
融蝕工程は非常に迅速であり、融蝕と紙シートの接触の開始との間の時間も非常に短く、凹版インキはそれほど流動的ではなく、したがって、印刷プレートの照射領域を囲むインキは空の部分に自然には流入しない。それにも関わらず、凹版印刷工程時の圧力作用によって、幾らかのインキは側方に押されてマークを滲ませると信じることができた。しかし、レーザスポットがインキを付与された彫刻ラインを横切れば、その後、インキはすべての側からではなく、切欠きに沿った二つの反対側からのみ切欠きの空の部分に押し込まれることに気付くことは価値がある。これでさえ、切欠きに沿って浅い部分を設けることによって妨げられる。レーザスポットが彫刻されたインキ付与ラインの道筋に沿って設けられ、或いは彫刻された点を横断すれば、切欠きは完全に空になり、近隣の切欠きからのインキが空になった切欠きに流れ込むことはできない。こうして、この種の識別マークは良好に形成された外形線を示す。
【0036】
図2aと2bに示された好適実施形態によれば、識別マークを支持する印刷プレートの部分は、n列、p行に配列された矩形状のアレイなどの個別のセル21の領域によって彫刻されている。このような彫刻は公知の方法によって実現されるが、好ましくは、内容がここに参考として組み込まれる本出願人の同時係属出願WO03/103962に開示された方法によって行われる。こうして、n×pのセルの陣形は選ばれたセル22にインキを付与し、拭き取り、融蝕によって空にした後に得られるn×pのセルの陣形が構成される。この画像がこの方法によって得られる識別マークである。図2aと2bから判るように、インキを付与されていない背景に囲まれたインキ付きの符号と共に、インキ付きの背景上の非インク付き符号を印刷することが可能である。
【0037】
要約すれば、本発明は、凹版印刷方法で既に印刷されている有価証券上に印刷機の下流側のレーザマーキングステーションによって従来の識別マークを単に付加するのみでなく、真に変化可能な凹版印刷システムを初めて提供する。
【0038】
本発明は、凹版印刷に適用するものとして説明されたが、これは、勿論、レーザビームを濡れたインキを担持した印刷プレート或いは版シリンダの表面に照射することによって、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の他の印刷方法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シート供給凹版印刷機の概略的側断面図。
【図2a−2b】連続するセルの陣形を彫刻印刷プレートの領域の一部の拡大された模式図。
【図3】印刷機へのマーキングヘッドとレーザ源の組み込みを示す模式図。
【図4】識別マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の所定領域内に濡れたインキを担持した印刷プレート(6)又はシリンダ(4)がそのインキをシート或いはウエブに移転して、シート或いはウエブの対応する領域に印刷を行う印刷方法において、印刷プレート又はシリンダの濡れたインキを担持した領域がシート又はウエブに接触する直前に、印刷プレート又はシリンダのインキを担持した領域にレーザマーキング装置(15,16)のレーザビームを照射する工程を含み、識別マークを形成する道筋に沿って濡れたインキが蒸発するようにレーザ照射のパラメータが選択且つ設定され、それによって印刷されたシートやウエブが識別マークを形成する道筋に沿ったシート又はウエブの対応する領域内のインキを空にすることを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法による印刷方法であって、凹版印刷プレート(6)がインキによって被覆され、次いで凹版印刷プレートの表面が拭き取られてインキを凹印刷プレートの切欠き内に残し、凹版印刷プレートの所定領域が凹版パターンに従ってインキを付与される凹版印刷法によって印刷される有価証券上に識別マークを設ける印刷方法において、インキが付与された後であって且つ印刷プレートが印刷すべきシートに接触する前に、レーザインキ装置(15,16)のレーザビームが印刷プレートに照射され、レーザスポットが識別マークの道筋に沿って移動し、そして前記レーザビームのパラメータが、識別マークの道筋に沿った前記切欠き内に存在するインキを蒸発させるように選択且つ設定されることを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
前記インキが、少なくとも一つの固体成分、特に前記レーザマーキング装置によって照射されるビームを吸収する顔料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インキが、少なくとも一つの液体成分、特に前記レーザマーキング装置によって照射されるビームを吸収する溶剤を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
所定領域内の表面に濡れたインキを担持した印刷プレート(6)或いはシリンダ(4)が、前記インキをシート又はウエブ上に移転し、それによってシート又はウエブの対応領域に印刷を行う印刷機において、
印刷プレート又はシリンダ上にレーザビームを照射するレーザマーキング装置を含み、前記レーザマーキング装置の場所は、印刷プレート又はシリンダの前記所定領域がシート又はウエブに接触する前に、レーザビームが印刷プレート又はシリンダの前記領域を照射するように選択され、かつ
識別マークを形成する道筋に沿ってインキを蒸発させるように、レーザビームのパラメータを選択且つ設定する手段を含み、それによって印刷されたシート又はウエブが、前記道筋に沿ったシート又はウエブの対応する領域内のインキを空状態で維持することを特徴とする印刷機。
【請求項6】
請求項5に記載の構成による有価証券を印刷する凹版印刷機であって、少なくとも一つの彫刻印刷プレート(6)を有する版シリンダ(4)と、圧シリンダ(3)と、拭き取り装置(10)と、インキ付与システム(5a〜8d)とを含み、前記版シリンダに対面して、前記拭き取り装置の下流側で且つ前記版シリンダと前記圧シリンダとの間の接触ゾーンの上流側に配置された少なくとも一つのレーザマーキングヘッド(15)を有するレーザマーキング装置を含むことを特徴とする凹版印刷機。
【請求項7】
請求項6に記載の構成によるシート供給凹版印刷機。
【請求項8】
請求項6に記載の構成によるウエブ凹版印刷機。
【請求項9】
前記マーキング装置のレーザ(16)が、赤外線照射レーザから選択されている請求項6〜8のいずれか一項に記載の凹版印刷機。
【請求項10】
印刷プレート(6)が、連続的行と列に配列された複数の個別のセル(21)に彫刻された、前記レーザマーキング装置の前面を走行する領域を含む請求項6〜9のいずれか一項に記載の凹版印刷機。
【請求項11】
前記レーザマーキング装置が、レーザマーキングヘッド(15)からなるアレイを含み、前記ヘッドの数はシート又はウエブ上の印刷される有価証券の行の数に等しい請求項6〜10のいずれか一項に記載の凹版印刷機。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−530312(P2007−530312A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504236(P2007−504236)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000169
【国際公開番号】WO2005/090088
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502065583)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】