説明

有害化合物の無害化方法

【課題】 本発明は、砒素等を含む有害化合物を効率的に、系統的に無害化するのに有益な方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の有害化合物の無害化方法は、砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する有害化合物を無害化可能な植物プランクトンに取り込ませて、前記植物プランクトン内で前記有害化合物をアルキル化することにより無害化し、前記無害化物質を前記植物プランクトンの生体外へ排出させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害化合物の無害化方法に関し、特に植物プランクトンを利用した有害化合物の無害化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
砒素、アンチモン、セレン等の重金属は、半導体等の工業材料として広く用いられている物質であるが、生物に有毒な物質であることから、環境中に流出することにより生物に与えられる影響が懸念されている。
【0003】
従来、これらの重金属を除去する方法として、有毒な亜砒酸等の無機砒素を含む廃水にポリ塩化アルミニウム(PAC)等の凝集剤を添加し、該凝集剤と原水中の鉄分に砒素を凝集、吸着し、沈殿させた後、濾過により除去する方法や、活性アルミナ、セリウム系吸着剤により砒素化合物等を吸着させる方法等が一般に知られている。
【0004】
一方、自然界において、海藻等の海洋生物では、無機砒素が蓄積され、該無機砒素の一部が生理反応により、ジメチル化砒素などの有機砒素化合物へ転換されることが明らかとなっている(非特許文献1)。このように無機ヒ素を取り込み、蓄積する藻類としてクロレラ(Chlorella)等の幾つかの種の微細藻類が知られている(非特許文献2、3)。そして、これらの有機砒素化合物は、一般に、哺乳動物に対して無機砒素よりも低い毒性を示すことが知られている。Dunaliella salinaは、培地に添加するヒ素の種類で藻体への蓄積量が変わり、As(V)>As(III)>DMAの順にヒ素の蓄積量が多いことが知られている(非特許文献4)。
【0005】
また、ヒ素を回収し無毒化する方法としては、緑藻クラミドモナス・ラインハルディのヒ素耐性に関与するPTB1遺伝子を破壊する事で藻類のヒ素耐性を高め、環境中、排水中のヒ素を藻体内に蓄積させ、ジメチルヒ素として無毒化することが知られている(特許文献1)。この文献には、ヒ素の取込はリン酸の取込と同じ経路を通り、競合的に取込まれるため、リン酸濃度が低いほど、ヒ素の取込が増加し、逆にヒ素濃度が高いほど、リン酸の取込が減少することも記載されている。
【0006】
一方、微生物を用いて化学兵器や農薬などに含まれる有害な有機ヒ素を無機ヒ素に分解する方法が知られており(特許文献2)、そのほか、ヒ素等の重金属イオンを含む酸性水溶液中において、緑藻類酸性藻を培養することにより、酸性藻の生体内に重金属イオンをとりこませ、重金属イオンを除去する方法も知られている(特許文献3)。
【0007】
クロレラへのヒ素の取込と培地中のヒ素の残存量を調べた結果、クロレラに蓄積したヒ素は殆どが無機ヒ素でMMA、DMA、TMAが僅かに検出され、培地中には痕跡程度のDMAとTMAが検出されていることも知られている(非特許文献5及び6)。
【0008】
【非特許文献1】Kaiseet al.、 1998、 Organomet. Chem.、 12 137-143
【非特許文献2】Maeda et al., 1990, Appl. Organomet. Chem., 4, 251-254
【非特許文献3】Gossleret al., 1997, Appl. Organomet. Chem., 11, 57-66
【非特許文献4】Yamaokaet al., 1999, Appl. Organomet. Chem., 13, 89-94
【非特許文献5】Maedaet al., 1992, Appl. Organomet. Chem., 6, 399-405
【非特許文献6】Maedaet al., 1992, Appl. Organomet. Chem., 6, 407-413
【特許文献1】特開2003−265186号公報
【特許文献2】特開2005−229945号公報
【特許文献3】特開平8−206684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、濾過、吸着等を利用した上述の重金属を除去する方法では、依然として有害なままである無機砒素等の有害化合物を含んだ汚泥、及び当該有害化合物が吸着されている吸着剤を、当該有害化合物が外部に漏れないようにコンクリート等で密封するなどした上で保管するか又は埋め立てる必要があり、保管場所、埋め立て地用の広いスペースを要することから、大量処理が困難であるという問題があった。
【0010】
また、上記の海洋生物に無機砒素を取り込ませても、取り込まれた無機砒素の一部しか有機砒素化合物とならず、有害な無機砒素が依然として海洋生物体内に蓄積されているという問題がある。
【0011】
また、上記特許文献1には、砒素の取り込みについて詳細に記載されているものの、培養液など微生物の生体外へ無毒化されたヒ素を排出させる点について考慮されていない。上記特許文献2には、ジメチルアルシン酸などは無機ヒ素より毒性が低く、メチル化された有機ヒ素を無機ヒ素にすることは逆に毒性を高めるという問題がある。
【0012】
また、上記特許文献3及び非特許文献4には、無害化された物質を微生物の生体外へ排出させる点について記載がない。
【0013】
さらに、上記非特許文献5及び6においては、培地中のメチル化されたヒ素が極微量で検出されているが、工業的に無害化処理を達成し得るほどの量とは認められず、少しも無害化できていないケースもあり、無機砒素の無害化について有効なデータを示すものではない。
【0014】
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべく、砒素等を含む有害化合物を効率的に、系統的に無害化するのに有益な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明者らは、クロレラの培養と有害化合物の無害化との関係について鋭意検討した結果、本発明を見出すに至った。
【0016】
すなわち、本発明の有害化合物の無害化方法は、砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する有害化合物を無害化可能な植物プランクトンに取り込ませて、前記植物プランクトン内で前記有害化合物をアルキル化することにより無害化し、前記無害化物質を前記植物プランクトンの生体外へ排出させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記植物プランクトンの培養を、リン酸の存在下で行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記リン酸の濃度が、培養液中において、0.1〜5.0mg/Lであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記植物プランクトンの培養を、砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の金属を還元する還元剤の存在下で行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記還元剤が、SH基を有する物質であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、SH基を有する物質が、還元型グルタチオン(GSH)、システイン、S−アデノシルシステイン、スルフォラファン、チオグリコール酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記植物プランクトンの培養を、炭素源の存在下で行うことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記炭素源が、糖類又は有機酸であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記糖類が、グルコース、ガラクトース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトースからなる群から選択されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記有機酸が、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、ピルビン酸からなる群から選択されることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記植物プランクトンが、クロレラであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記有害化合物が、亜ヒ酸、五酸化砒素、三塩化砒素、五塩化砒素、硫化砒素化合物、シアノ砒素化合物、クロロ砒素化合物、及びその他の砒素無機塩類からなる群から選択されることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記アルキル化が、メチル化であることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記メチル化によって、有害化合物をジメチル化合物又はトリメチル化合物とする。
【0030】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記ジメチル化合物が、ジメチルアルソニルエタノール(DMAE)、ジメチルアルソニルアセテート(DMAA)、ジメチルアルシン酸、又はアルセノシュガーであることを特徴とする。
【0031】
また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記トリメチル化合物が、アルセノコリン、アルセノベタイン、トリメチルアルセノシュガー又はトリメチルアルシンオキシドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有害化合物の無害化方法は、有害化合物、特に、砒素、アンチモン、セレンなどを含有する有害化合物を、容易かつ簡便にアルキル化することにより、無害化を達成できるという有利な効果を奏する。また本発明の方法によれば、有害化合物を限りなく無害化することができるので、保管場所等の広いスペースを必要としないという有利な効果を奏する。また、本発明の方法によれば、植物プランクトンの細胞内に無機砒素等の有害化合物を蓄積させるのではなく、培養液中にアルキル化砒素等を排出し、環境中の有害化合物をより毒性の低い物質へ、より簡便に変換させることが可能であるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の有害化合物の無害化方法は、有害化合物を無害化可能な植物プランクトンに取り込ませて、前記植物プランクトン内で前記有害化合物をアルキル化することにより無害化し、前記無害化物質を前記植物プランクトンの生体外へ排出させる。これは、植物プランクトンの培養を続けることにより、前記植物プランクトンの体内へ取り込まれた有害化合物が、アルキル化、より好ましくは、メチル化されることによって、より毒性が低い無害化物質へ変換され、最終的に、当該無害化物質は、生体外へ排出させることができるので、無害化システムの工業的利用が可能である。生体からの煩雑な抽出操作も必要がなく、より簡便な方法である。
【0034】
ジメチル化されたヒ素を得る効率としては、クロレラ中に蓄積させる方法もあるが、メチル化を促進させると培地への排出効率が高まり、クロレラ藻体への蓄積量より、培地排出される量が多いため、培地に排出させて無機ヒ素を無毒化する本発明の方法によるものが効率的であると考えられる。
【0035】
ここで有害化合物としては、砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有するものを挙げることができる。また、本明細書において、有害化合物とは、環境中に流出し、生物に暴露された際に、何らかの悪影響を生物に与える虞がある化合物を意味する。
【0036】
前記有害化合物のうち砒素を含有する有害化合物としては、亜ヒ酸、五酸化砒素、三塩化砒素、五塩化砒素、硫化砒素化合物、シアノ砒素化合物、クロロ砒素化合物、及びその他の砒素無機塩類等が挙げられる。これらの砒素は、例えばLD50(mg/kg)(マウスにおける50%致死量)が20以下であり、一般に生物に対して有毒な値である。
【0037】
また、アンチモンを含有する有害化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等が挙げられる。
【0038】
さらに、セレンを含有する有害化合物としては、二酸化セレン、三酸化セレン等が挙げられる。
【0039】
また、本発明において、植物プランクトンとは、上記有害化合物を無害化することができれば特に限定されるものではなく、当該植物プランクトンとしては、クロレラなどの淡水性微細藻類、ナノクロロプシス、スピルリナ、ドナリエラ等の海洋性微細藻類、海草類および海苔などを挙げることができる。無機砒素を回収してメチル化するという効果を達成できる限り、他の植物プランクトンを使用することも可能である。下記の実施例において使用しているクロレラは一般に市販されており工業化に適しているので、本発明においてクロレラを使用することは特に好適な態様である。すなわち、クロレラは機能性食品や栽培漁業の稚魚の飼料として使用されており、大量培養技術が確立しており、工業的に無機ヒ素を無毒化することに適している。しかし、本発明で使用する植物性プランクトンは、溶液中に含まれる無機砒素を短時間で溶液から吸収する効果を有するものであれば、クロレラ以外のものであってもよい。
【0040】
本発明の好ましい実施態様において、植物プランクトンの培養を、リン酸の存在下で行う。これは、植物プランクトンの安定した生育において必須だからである。すなわち、リン酸は核酸、ATP、細胞膜などに必須であり、これを供給しつつ培養することにより、より砒素等の有害化合物の取り込み、及びアルキル化砒素などの無害物質の排出が効率的に行われるからである。
【0041】
リン酸の濃度については、植物プランクトンの種類、培養条件、有害化合物の種類等により特に限定されるものではないが、リン酸の濃度としては、クロレラへの無機砒素の取込効率を高めるという観点から、培養液中において、0.1〜5.0mg/Lとすることが好ましい。
【0042】
このようにリン酸の存在下としたのは、砒素等はリン酸と似た性質をもち、クロレラのリン酸取り込みと同じ経路で砒素の取り込みを行うため、培地中のリン酸濃度が砒素等の濃度と比較して低いと、砒素の取り込みが促進され、ひいては、有害化合物の無害化を効率的に行うことができる反面、リン酸が無添加では、クロレラの必須成分が供給されないため生育できないことも考えられるからである。
【0043】
一般に、クロレラ等の植物プランクトンは、取り込んだ砒素をメチル化するメチル化能を有するが、低リン酸濃度で無機砒素の取り込みを促進させると、無機砒素の毒性で生育が悪くなったり、死滅することが考えられる。しかし、植物プランクトンに応じた適当なリン酸の存在下で、培養を行うことにより、取り込まれた砒素をアルキル化し、植物プランクトンの生体外、例えば培地等へ排出することができ、植物プランクトン中の有害化合物の蓄積量も減少し、毒性も発現することがない。したがって、このような条件下では、有害化合物を取り込んだ植物プランクトンの安定した培養が可能であり、ひいては、有害化合物の無害化を工業的に達成することが可能となる。
【0044】
本発明においては、前記植物プランクトンの培養を、砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の金属を還元する還元剤の存在下で行うことも可能である。このような還元剤の存在により、アルキル化をさらに促進することができる。さらにまた、本発明者らの鋭意研究により、還元剤の存在下では、植物プランクトン内でアルキル化されて無害化された物質が、当該植物プランクトンの生体外への排出を促進することが見出されたことによるものである。無害化された物質が、植物プランクトン外へ排出されれば、植物プランクトンを抽出して無害化物質を得るよりも、作業が簡便であり、また、植物プランクトンの生育管理を行うことさえすれば、有害化合物の無害化の工業的なシステムを提供することができる。
【0045】
本発明において、前記還元剤としては、メチル化砒素などへの変換を促進できるという観点から、SH基を有する物質であることが好ましい。SH基を有する物質として、還元型グルタチオン(GSH)、システイン、S−アデノシルシステイン、スルフォラファン、チオグリコール酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
しかしながら、SH基を持たない酸化型グルタチオン(GSSG)であっても植物プランクトン中又は当該植物プランクトンを培養している培地中などで、還元型グルタチオンになるケースもあり、このようなことを考慮すると、SH基を持たない酸化型グルタチオンの存在下であっても、十分にメチル化砒素などへの変換を促進し得る。
したがって、本発明において、「還元剤の存在下」とは、還元剤そのものを培養液等へ添加する場合の他、植物プランクトン内や培養液内等で変化し還元剤として作用する物質を培養液へ添加する場合をも含む概念を意図する。
【0046】
さらに、本発明において、前記植物プランクトンの培養を、炭素源の存在下で行うことが好ましい。クロレラなどの植物プランクトンは取込んだ無機ヒ素をメチル化する能力を持っているが、メチル基のソースとして大気中の二酸化炭素を光合成により取込み、メチル化に利用している。しかし、光合成による二酸化炭素の利用のみではメチル化の効率が低く、藻体内に無機ヒ素が多く残留してしまう。そこで、メチル化に不足する炭素源を培養液に添加して培養することで効率よく炭素源を取込み、メチル化に利用できるようになることを本発明者らは見出したものである。さらに炭素源を添加して培養することで高密度に培養でき、単位培地あたりから得られる藻類の総量が増え、ヒ素の取込総量、メチル化量も大きく向上するという付随的な効果も相乗的に作用し、本発明の効率的無害化を達成している。
【0047】
すなわち、メチル化の促進には炭素源を培養液に添加して培養することでメチル化に必要な炭素源として効率よくメチル化に利用できるようになる。さらに炭素源を添加して培養することで高密度に培養でき、培地へのジメチル化ヒ素の排出量も増える。
これは、グルコース添加により植物プランクトン量が増える事により培地への無害化物質の排出量が増える要因の1つであると考えられるが、培地への排出(植物プランクトンの生体外)は、アルセノシュガーの1種であるUN8(以下の実施例を参照)が主であり、植物プランクトン内でUN8までメチル化させるのにグルコースが、メチル基の炭素の供給源として機能していると推測される。
以上のことから、植物プランクトンの生体外へアルキル化無害化物質が排出には、植物プランクトンの培養を継続させつづけることのほか、リン酸、GSHなども重要である。
しかしながら、アルセノシュガーの例をとると、アルセノシュガーの1種であるUN8は植物プランクトン内には少なく、大部分が植物プランクトン外(培地中)に存在することから、UN8を作る要因が培地への排出の要因になっていると推測される。
【0048】
本発明においては、炭素源の供給下での条件は、特に限定されることはなく、例えば、光合成は必ずしも必要ではなく、暗所でも明所でも実施することが可能である。暗所の培養では、事前に明所で培養し、対数期後期程度まで培養した後、炭素源とヒ素を添加し、暗所で培養しヒ素のメチル化を行うことも可能である。
【0049】
ここで、炭素源としては、特に限定されるものではないが、例えば、糖類又は有機酸などを挙げることできる。糖類の例としては、特に限定されるものではないが、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトース等を挙げることができる。有機酸の例としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、ピルビン酸等を挙げることができる。炭素源の量としても、特に限定されないが、より効率的に、有害化合物の無毒化を達成するという観点から、グルコースの場合、1〜100g/Lの濃度範囲、酢酸ナトリウムの場合、1〜100g/Lの濃度範囲が好ましい。
【0050】
また、本発明においては、アルキル化、好ましくは、メチル化によって、有害化合物をジメチル化合物又はトリメチル化合物とする。ジメチル化合物としては、ジメチルアルソニルエタノール(DMAE)、ジメチルアルソニルアセテート(DMAA)、ジメチルアルシン酸、又はアルセノシュガーなどを挙げることができる。また、トリメチル化合物としては、アルセノコリン、アルセノベタイン、トリメチルアルセノシュガー又はトリメチルアルシンオキシドなどを挙げることができる。これは、無機砒素に比較して、極めて毒性が低く、しかも自然界において比較的安定である。
【0051】
また、工業的な手法の一つとしてアルギン酸ビーズ等の中に固定化した植物プランクトンを用いて無機ヒ素を無毒化することができる。固定化する方法としては、担体結合法、架橋法、包括法などを挙げることができる。培地などへ物理的化学的吸着により吸着させて固定化した簡易な固定化方法を用いてもよい。
【0052】
固定化微生物を用いることで以下の利点がある。
1)微生物固定化ビーズと溶液の分離が容易になる、
2)微生物固定化ビーズは再利用が可能である、
3)処理するヒ素等の有害化化合物の量にあわせて、微生物固定化ビーズの投入量が自由に調整できる、などが考えられる。
【0053】
固定化剤としてはアルギン酸の他、ゼラチン、ポリアクリルアミド、寒天、アガロース、スターチ、デキストリン、カラギーナン、キトサン、ペクチン及びポリビニルアルコールなどが利用可能である。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例を説明するが、下記の実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1
グルタチオン(GSH)の有無とリン酸濃度の影響
(1)クロレラの培養
Bold's Basal (BB) Mediumで対数増殖期まで前培養したクロレラ(Chlorella vulgaris IAM C-629株)を改変した150mlのBold's Basal (BB) Mediumに1×105cells/mlとなるように植菌し、蛍光灯照射下(4000Lux、24hr照射)、温度25℃、168時間静置培養した。改変したBold's Basal (BB) Mediumは硝酸ナトリウムを2倍、グルコースを10mM、ヒ酸を1ppmとなるように添加し、リン酸水素二カリウムおよびリン酸二水素カリウムを4倍、1倍、1/4、1/16の濃度とすることで調整し、GSH(シグマ社製)1mMとGSH無添加で比較した。
【0055】
(2)ヒ素取込試験
培地に金属ヒ素として1ppmとなるように3価の無機ヒ素として亜ヒ酸、5価の無機ヒ素としてヒ酸を添加し、蛍光灯照射下(4000Lux、24hr照射)、温度25℃、静置培養することで、クロレラへのヒ素の取込試験を実施した。
【0056】
(3)培地中のリン酸、硝酸、グルコース濃度測定
培地中のリン酸、硝酸およびグルコースの濃度は遠心分離により培地上清を調整し、MERCK RQフレックスと比色試験紙リフレクトクアントにより定量した。各成分の測定下限はリン酸5mg/L PO43−(表中の表記はPO4)、硝酸5mg/L NO3−(表中の表記はNO3)、グルコース1mg/Lである。
【0057】
(4)ヒ素含有量測定
クロレラおよび培地中の無機ヒ素および有機ヒ素は、HPLC−ICP−MS(高速液体クロマトグラフ装置Agilent 1100を直接オンラインで接続した誘導結合プラズマイオン質量分析装置Agilent 7500ce)で、標準サンプルと、反応性生物の保持時間を比較することにより、定性、定量分析を行った。
【0058】
(5)ヒ素分析条件
有機ヒ素化合物の標準サンプルとして、MMA、DMA、TMAO、AB、ACは、トリケミカル研究所の試薬を、無機ヒ素の標準サンプルとしては、As(III)、As(V)の和光純薬特級試薬のナトリウム塩を用いた。各ヒ素化合物の100mg/100mLの標準溶液は、超純水(ミリポア社)で希釈して調整した。
〔略号〕
As(III):無機三価ヒ素
As(V):無機五価ヒ素
MMA:モノメチルアルソン酸
DMA:ジメチアルシン酸
TMAO:トリメチルアルシンオキシド
AB:アルセノベタイン(トリメチルアルソニウム酢酸)
【0059】
ICP−MS装置条件としては以下のようであった。
RF forward
power: 1.6kW
RF reflect
power: <1W
Carrier gas flow: Ar 0.75L/min
Sampling 8.5mm
Monitoring mass: m/z=75 and 35 internal
standard m/Z=71
Dwell time: 0.5 sec
0.01sec 0.1sec
Times of scan: 1 time
【0060】
HPLC条件
溶離液:5mM硝酸/6mM硝酸アンモニウム/1.5mMピリジンジカルボン酸
溶離液流速:0.4mL/分
注入量:20μL
カラム:陽イオン交換カラム Shodex RSpak NN-614(150mm×4.6mm i.d.)
カラム温度:40度
【0061】
(6)ヒ素取込みを行ったクロレラ試料の調整
クロレラを含む培養液を遠心分離し、湿重量約100mgとなるように調整したクロレラにメタノール:純水=1:1溶液500μLを添加し、ペレット状のクロレラを超音波分散した後、室温で12時間以上抽出処理を行った。HPLC−ICP−MSの測定には抽出液を超純水で希釈し、0.45μmのメンブランフィルターで粒子を除去し測定試料とした。
【0062】
(7)ヒ素を添加した培地試料の調整
クロレラを含む培養液を遠心分離し、培養液上清を分離した。HPLC−ICP−MSの測定には培地上清を超純水で希釈し、0.45μmのメンブランフィルターで粒子を除去し測定試料とした。
【0063】
(8)クロレラの生育結果
表1および図1にリン酸添加量とGSH添加有、無によるクロレラの生育結果を示す。
【表1】


無機ヒ素1ppm存在下では培地へのリン酸添加濃度が低いと生育が阻害され、生育量が低くなった。これに対し、GSHを添加することで、リン酸の初期添加量1/4までは生育が阻害されなかった。
【0064】
(9)クロレラ中の化学種別ヒ素量の測定結果
表2および図2にGSHを添加して培養したクロレラ中の化学種別ヒ素量の測定結果を示す。
【表2】

リン酸の添加濃度が1/4以下では培養終了時に培地中のリン酸が枯渇したことでクロレラのヒ素取り込み量が増加し、UN1、As(V)、MMA、UN2、As(III)、UN4、DMA、UN13、UN8、UN14の増加が顕著であった。一方、培地にリン酸が残存している条件ではヒ素の取り込み量は同等であった。
【0065】
表3および図3にGSHを無添加で培養したクロレラの測定結果を示す。
【表3】

ヒ素の毒性により生育が阻害された結果、リン酸初期添加濃度1/4では培養後のリン酸が残存した。クロレラ中の化学種別ヒ素量はGSH添加条件と同様の傾向が得られ、リン酸の添加濃度を1/4以下ではクロレラのヒ素取り込み量が増加し、UN1、As(V)、MMA、UN2、As(III)、UN4、DMA、UN13、UN8の増加が顕著であった。一方、培地にリン酸が残存している条件ではヒ素の取り込み量は同等であった。
【0066】
(10)培地中の化学種別ヒ素量の測定結果
表4および図4にGSHを添加して培養した培養後の培地成分の測定結果を示す。
【表4】

リン酸の添加濃度が低いほど、UN8の排出量が顕著に増加し、これに対応して培地中の無機ヒ素量が減少した。これはリン酸が培地中で枯渇する事で、クロレラへのヒ素の取込が増え、取込んだヒ素をUN8に変換し、培地中に排出したと考えられる。
【0067】
表5および図5にGSHを無添加で培養した培養後の培地成分の測定結果を示す。
【表5】

培地中のリン酸が培地中で枯渇した試料ではUN8の排出量が顕著に増加し、培地中の無機ヒ素量が減少した。しかし、GSHを添加した場合に比べ、UN8の培地への排出量は1/3程度であり、GSHがUN8への変換と排出を促進する結果となった。
【0068】
(11)培地中の未同定成分の確認
培養後の培地(実施例1の試料4)と等量の4N−NaOHを添加し、100℃で3時間加熱分解処理することで藻類が合成する糖鎖が結合したジメチル化ヒ素の糖鎖の切断を行った。糖鎖が切断されたジメチル化されたヒ素はDMAとして検出が可能となる。アルカリ加熱処理の結果、培地中に最も多く排出されるUN8が減少し、DMAが増加した。このことよりUN8は糖鎖が結合したジメチル化されたアルセノシュガーと推定された。
【0069】
(12)クロレラ中の未同定成分の確認
クロレラ(実施例3の試料23)約100mgに4N−NaOHを添加し、100℃で3時間加熱分解処理することで藻類が合成する糖鎖が結合したジメチル化ヒ素の糖鎖の切断を行い、メタノール抽出した成分と比較した。アルカリ処理によりUN1、UN2、UN8が減少し、MMA、DMAが増加しており、クロレラ中のヒ素はメチル化またはジメチル化された形態が多いと推定された。
【0070】
(13)クロレラおよび培地中のヒ素総量
表6及び図6にリン酸添加量とGSH添加有無によるクロレラおよび培地中のヒ素総量を無機ヒ素と無機ヒ素以外をメチル化ヒ素の総量として示す。
【表6】

クロレラ中のメチル化ヒ素は培地中のリン酸が枯渇した条件で増加した。また、表7は、クロレラ中成分のアルカリ処理による確認を示す。
【表7】

さらに、表8にリン酸添加量とGSH添加有無によるクロレラ及び培地中の砒素総量の結果を示す。
【表8】

表7及び図7から明らかなように、NaOH処理で糖鎖切断した結果、MMA、DMAが増加していることから、UN8は、何らかのメチル化砒素であり、UN8が生成していることによって、有害化合物が無害化されていることが確認できる。
培地中のメチル化ヒ素も培地中のリン酸が枯渇した条件で増加した。その際、メチル化ヒ素量はクロレラへ蓄積される量より、培地中へ排出される量の方が多く、その大部分がUN8であった。さらにGSHを添加することで培地へのメチル化ヒ素の排出が多くなった。メチル化ヒ素(UN8)を得るにはクロレラへの蓄積より、培地に排出させる方が効率が高いことが示された。
【0071】
実施例2
培地排出量の経時変化
(1)クロレラの培養
Bold's Basal (BB) Mediumで対数増殖期まで前培養したクロレラ(Chlorella vulgaris IAM C-629株)を改変した150mlのBold's Basal (BB) Mediumに1×105cells/mlとなるように植菌し、蛍光灯照射下(4000Lux、24hr照射)、温度25℃、で静置培養し、経時的にサンプリングを行った。改変したBold's Basal (BB) Mediumは硝酸ナトリウムを2倍、グルコースを10mM、ヒ酸を1ppmとなるように添加し、リン酸水素二カリウムおよびリン酸二水素カリウムを1/10の濃度とし、GSH1mMとGSH無添加で比較した。分析試料の調整および分析は前記と同様の方法で実施した。
【0072】
(2)クロレラの生育結果
表9および図8に初期リン酸添加濃度1/10の条件下でGSH添加有、無で培養したクロレラの生育の経時変化を示す。
【表9】

GSH1mMを添加した培養は無添加に比べ生育が良く、無機ヒ素の毒性の影響が少ない結果となった
【0073】
(3)培地中の化学種別ヒ素量の測定結果
表10および図9にGSHを添加して培養した培地成分の経時変化を示す。
【表10】

培養開始後120時間で培地中のリン酸が枯渇し、その後、経時的にUN8の培地への排出量が増加し、培養168時間では培地中の無機ヒ素の48%がUN8に変換され、240時間では55%がUN8に変換された。これに対応して培地中の無機ヒ素量が減少した。
【0074】
表11および図10にGSHを無添加で培養した培地成分の経時変化を示す。
【表11】

培養開始後120時間で培地中のリン酸が枯渇したが、UN8の培地への排出量は培養144時間以降で確認された。培養168時間では培地中の無機ヒ素の13%がUN8に変換された。これに対応して培地中の無機ヒ素量が減少した。GSH添加に比べ1/4ではあるがUN8を排出した。
【0075】
実施例3
グルタチオン濃度の影響
(1)クロレラの培養
Bold's Basal (BB) Mediumで対数増殖期まで前培養したクロレラ(Chlorella vulgaris IAM C-629株)を改変した150mlのBold's Basal (BB) Mediumに1×105cells/mlとなるように植菌し、蛍光灯照射下(4000Lux、24hr照射)、温度25℃、168時間静置培養した。改変したBold's Basal (BB) Mediumはリン酸水素二カリウムおよびリン酸二水素カリウムを1/10、硝酸ナトリウムを2倍、グルコースを10mM、ヒ酸を1ppmとなるように添加し、GSHを0、0.01、0.1、1mMの濃度とすることで調整した。分析試料の調整および分析は前記と同様の方法で実施した。
【0076】
(2)クロレラの生育結果
表12および図11にGSH添加濃度によるクロレラの生育結果を示す。
【表12】

リン酸初期添加濃度1/10の条件下では培養168時間で培地中のリン酸は全ての条件で枯渇した。生育量はGSHの添加量が高いほど増加し、無機ヒ素による生育阻害が抑制された。
【0077】
(3)クロレラ中の化学種別ヒ素量の測定結果
表13および図12にGSH濃度を変えて培養したクロレラ中の化学種別ヒ素量の測定結果を示す。
【表13】

GSHの添加濃度が高いほど、MMA、UN2、UN4、DMA、UN13、UN8、UN14が増加し、総ヒ素量も高くなった。
【0078】
(4)培地中の化学種別ヒ素量の測定結果
表14および図13にGSH濃度を変えて培養した培養後の培地成分の測定結果を示す。
【表14】

GSHの添加濃度が高いほど、UN8の排出量が顕著に増加し、培地中の無機ヒ素量が減少した。GSH濃度1mMでは培養168時間で培地中の無機ヒ素の50%がUN8に変換された。
【0079】
(5)クロレラおよび培地中のヒ素総量
表15にクロレラおよび培地中のヒ素総量を無機ヒ素と無機ヒ素以外をメチル化ヒ素の総量として示す。
【表15】

培養後のリン酸は全てのGSH濃度の条件で枯渇しており、クロレラ中へのメチル化ヒ素の蓄積と培地への排出が確認されたGSH無添加と0.01mM添加条件ではメチル化ヒ素のクロレラ中蓄積と培地排出に大きな差は無いが、GSH0.1mM以上の添加ではクロレラ中蓄積および培地への排出はGSH濃度の増加ともに増大した。その際、メチル化ヒ素量はクロレラへ蓄積される量より、培地中へ排出される量の方が多く、その大部分がUN8であった。メチル化ヒ素(UN8)を得るにはクロレラへの蓄積より、培地に排出させる方が効率が高いことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の方法は、砒素等を含む有害化合物の無毒化をより実用的に、工業的に提供することが可能である。砒素等を含む有害化合物は、アルキル化によって、より無害な化合物に変換され、当該無害化合物は、極めて安定でかつ安全であるので、広く産業廃棄物の処理等の分野、汚泥、土壌の環境保護の分野において極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、リン酸添加量とGSH添加有、無によるクロレラの生育結果を示す図である。
【図2】図2は、GSHを添加して培養したクロレラ中の化学種別ヒ素量の測定結果を示す図である。
【図3】図3は、GSHを無添加で培養したクロレラの測定結果を示す図である。
【図4】図4は、GSHを添加して培養した培養後の培地成分の測定結果を示す図である。
【図5】図5は、GSHを無添加で培養した培養後の培地成分の測定結果を示す図である。
【図6】図6は、リン酸添加量とGSH添加有無によるクロレラおよび培地中のヒ素総量を無機ヒ素と無機ヒ素以外をメチル化ヒ素の総量として示す図である。
【図7】図7は、クロレラ中成分のアルカリ処理による化学種別砒素量の結果を示す。
【図8】図8は、初期リン酸添加濃度1/10の条件下でGSH添加有、無で培養したクロレラの生育の経時変化を示す図である。
【図9】図9は、GSHを添加して培養した培地成分の経時変化を示す図である。
【図10】図10は、GSHを無添加で培養した培地成分の経時変化を示す図である。
【図11】図11は、GSH添加濃度によるクロレラの生育結果を示す図である。
【図12】図12は、GSH濃度を変えて培養したクロレラ中の化学種別ヒ素量の測定結果を示す図である。
【図13】図13は、GSH濃度を変えて培養した培養後の培地成分の測定結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する有害化合物を無害化可能な植物プランクトンに取り込ませて、前記植物プランクトン内で前記有害化合物をアルキル化することにより無害化し、前記無害化物質を前記植物プランクトンの生体外へ排出させることを特徴とする有害化合物の無害化方法。
【請求項2】
前記植物プランクトンの培養を、リン酸の存在下で行う請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記リン酸の濃度が、培養液中において、0.1〜5.0mg/Lである請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記植物プランクトンの培養を、砒素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の金属を還元する還元剤の存在下で行う請求項1〜3項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記還元剤が、SH基を有する物質である請求項4記載の方法。
【請求項6】
SH基を有する物質が、還元型グルタチオン(GSH)、システイン、S−アデノシルシステイン、スルフォラファン、チオグリコール酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記植物プランクトンの培養を、炭素源の存在下で行う請求項1〜6項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素源が、糖類又は有機酸である請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記糖類が、グルコース、ガラクトース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトースからなる群から選択される請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記有機酸が、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、ピルビン酸からなる群から選択される請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記植物プランクトンが、クロレラである請求項1〜7項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記有害化合物が、亜ヒ酸、五酸化砒素、三塩化砒素、五塩化砒素、硫化砒素化合物、シアノ砒素化合物、クロロ砒素化合物、及びその他の砒素無機塩類からなる群から選択される請求項1〜11項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキル化が、メチル化である請求項1〜12項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記メチル化によって、有害化合物をジメチル化合物又はトリメチル化合物とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ジメチル化合物が、ジメチルアルソニルエタノール(DMAE)、ジメチルアルソニルアセテート(DMAA)、ジメチルアルシン酸、又はアルセノシュガーである請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記トリメチル化合物が、アルセノコリン、アルセノベタイン、トリメチルアルセノシュガー又はトリメチルアルシンオキシドである請求項14記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−154029(P2009−154029A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100661(P2006−100661)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】