説明

有害生物防除剤

【課題】
優れた有害生物防除活性を有する新しい有害生物防除剤を提供すること。
【解決手段】
式(1)


(式中、R1はメチル基又はメトキシメチル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と、式(2)


で示されるオキサゾリン化合物とを有効成分として含有する有害生物防除剤、及び式(1)で示されるエステル化合物と、式(2)で示されるオキサゾリン化合物との有効量を、有害生物又は有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除剤、及び有害生物の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)

(式中、R1はメチル基又はメトキシメチル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物が有害生物防除剤の有効成分として知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、式(2)

で示されるオキサゾリン化合物(一般名:エトキサゾール、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール)が殺虫・殺ダニ剤の有効成分として知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−63329号公報
【特許文献2】特開2001−11022号公報
【特許文献3】国際特許公開第93/22297号パンフレット
【特許文献4】特開2001−206807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの化合物の有害生物防除活性は、必ずしも十分ではない場合があることから、より優れた有害生物防除剤の開発が望まれている。
本発明は、優れた有害生物防除活性を有する新しい有害生物防除剤を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、かかる状況下に鋭意検討した結果、式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物とを有効成分として含有する有害生物防除剤が、各々の化合物を単独で用いた場合には防除効力が不十分な害虫種をも効果的に防除でき、しかも相乗的な協力作用を発揮することにより、各々の化合物の処理薬量を低減できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は以下のものである。
1.式(1)

(式中、R1はメチル基又はメトキシメチル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と、式(2)

で示されるオキサゾリン化合物とを有効成分として含有する有害生物防除剤。
2.式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との重量比が30:1〜1:30の範囲内である、1.記載の有害生物防除剤。
3.式(1)で示されるエステル化合物と、式(2)で示されるオキサゾリン化合物との有効量を、有害生物又は有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
4.式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との重量比が30:1〜1:30の範囲内である、3.記載の有害生物の防除方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有害生物防除剤は、有害生物に対して優れた防除効力を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の有害生物防除剤は、式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物とを有効成分として含有する。
【0009】
式(1)で示されるエステル化合物は、例えば特開2000−63329号公報(前記特許文献1)又は特開2001−11022号公報(前記特許文献2)に記載された化合物であり、該公報に記載された方法で製造することができる。
式(1)で示されるエステル化合物には不斉炭素に基づく異性体が存在し、また炭素−炭素二重結合に基づく異性体が存在する場合があるが、本発明には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
【0010】
式(1)で示される化合物としては、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが挙げられる。
【0011】
式(2)で示されるオキサゾリン化合物は例えば国際特許公開第93/22297号パンフレット(前記特許文献3)に記載された化合物であり、該特許文献に記載された方法で製造することができる。
【0012】
本発明の有害生物防除剤が効力を有する有害生物としては、例えば有害昆虫、有害ダニ類等の有害節足動物、及び有害線虫が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
【0013】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
鱗翅目害虫:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫(Agrotisspp.)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp.)ヘリオティス属害虫(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
双翅目害虫:アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、ヒメイエバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類等
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
網翅目害虫:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
膜翅目害虫:アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等
直翅目害虫:ケラ、バッタ等
隠翅目害虫:ヒトノミ、ネコノミ等
シラミ目害虫:ヒトジラミ、ケジラミ、ウシジラミ等
等翅目害虫:ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
ダニ目害虫:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ミツバチヘギイタダニ等のトゲダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ、オウシマダニ等のマダニ類、ワクモ等のワクモ類、トリサシダニ等のサシダニ類。
【0014】
本発明の有害生物防除剤において、式(1)で示されるエステル化合物と、式(2)で示されるオキサゾリン化合物との混合割合は、重量比で通常30:1〜1:30、好ましくは30:1〜1:10、さらに好ましくは10:1〜1:10である。
【0015】
本発明の有害生物防除剤は、式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との混合物そのものでもよく、さらに固体担体、液体担体、ガス状担体及び/又は餌(毒餌基材)等と混合し、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒剤、粉剤、エアゾール、加熱蒸散剤(線香等)、煙霧剤、燻煙剤、毒餌、マイクロカプセル剤、ULV剤、スポットオン製剤、ポアオン製剤、シャンプー製剤、シート製剤、樹脂製剤等に製剤化されているものでもよい。
【0016】
これらの製剤には式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物とが合計量にして、通常0.01〜90重量%含有される。
【0017】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物等があげられる。
液体担体としては、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド及び植物油(大豆油、綿実油等)があげられる。
ガス状担体(噴射剤)としては、例えばフルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル及び炭酸ガスがあげられる。
【0018】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類並びに糖アルコール誘導体があげられる。
【0019】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステル等があげられる。
【0020】
毒餌の基材としては、たとえば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイルなどの害虫誘引性香料等があげられる。
樹脂製剤の基材としては、例えば塩化ビニル系重合体、ポリウレタン等を挙げることができ、これらの基材には必要によりフタル酸エステル類(フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸エステル類、ステアリン酸等の可塑剤が添加されていてもよい。樹脂製剤は該基材中に式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物とを通常の混練装置を用いて混練した後、射出成型、押出成型、プレス成型等により成型することにより得られ、必要により更に成型、裁断等の工程を経て、板状、フィルム状、テープ状、網状、ひも状等の樹脂製剤に加工される。これらの樹脂製剤は、例えば動物用首輪、動物用イヤータッグ、シート製剤、誘引ひも、園芸用支柱として加工される。
【0021】
また、本発明の有害生物防除剤は、その製剤形態によっては式(1)で示されるエステル化合物を製剤化したものと式(2)で示されるオキサゾリン化合物を製剤化したものとを混合することにより調製することもでき、施用時に混合することもできる。
【0022】
本発明の有害生物防除方法は、通常、本発明の有害生物防除剤を有害生物に直接及び/又は有害生物の生息場所に施用することにより行われるが、式(1)で示されるエステル化合物又はその製剤と、式(2)で示されるオキサゾリン化合物又はその製剤とを予め混合することなく、同時期に施用することも可能である。
その場合、式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との使用割合は、重量比で通常30:1〜1:30の、好ましくは30:1〜1:10で、さらに好ましくは10:1〜1:10ある。
【0023】
本発明の有害生物防除剤を農林害虫の防除に用いる場合は、その施用量は式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との合計量として通常1〜10000g/ha、好ましくは10〜500g/haである。乳剤、水和剤、フロアブル剤、マイクロカプセル製剤等は通常有効成分濃度が1〜1000ppmとなるように水で希釈して散布することにより施用し、粉剤、粒剤等は通常そのまま使用する。これらの製剤を土壌に処理することにより土壌に棲息する有害生物を防除することもでき、またこれらの製剤を植物を植え付ける前の苗床に処理したり、植付時に植穴や株元に処理することもできる。さらに、本発明の有害生物防除剤のシート製剤を植物に巻き付けたり、植物の近傍に設置したり、株元の土壌表面に敷くなどの方法でも施用することができる。
【0024】
本発明の有害生物防除剤を防疫用として用いる場合は、その施用量は空間に適用するときは式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との合計量として通常0.001〜100mg/m3であり、平面に適用するときは0.01〜1000mg/m2である。乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常有効成分濃度が0.01〜10000ppmとなるように水で希釈して散布することにより施用し、油剤、エアゾール、燻煙剤、毒餌等は通常そのまま施用する。
【0025】
本発明の有害生物防除剤をウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ用の家畜、イヌ、ネコ、ラット、マウス等の小動物の外部寄生虫防除に用いる場合は、獣医学的に公知の方法で動物に使用することができる。具体的な使用方法としては、全身抑制(systemic control)を目的にする場合には、例えば錠剤、飼料混入、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内等)により投与され、非全身的抑制(non-systemic control)を目的とする場合には、例えば油剤若しくは水性液剤を噴霧する、ポアオン(pour-on)処理若しくはスポットオン(spot-on)処理を行う、シャンプー製剤で動物を洗う又は樹脂製剤を首輪や耳札にして動物に付ける等の方法により用いられる。動物体に投与する場合の本発明の有害生物防除剤の量は、通常動物の体重1kgに対して、式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との合計量で通常0.1〜1000mgの範囲である。
【0026】
本発明の有害生物防除剤は、他の殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良材、動物用飼料等と共に用いることもできる。
【実施例】
【0027】
以下、製剤例、試験例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
【0028】
製剤例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2.5重量部、式(2)で示されるオキサゾリン化合物2.5重量部、ソルポールSM200(東邦化学製界面活性剤)10重量部およびキシレン85重量部を混合して乳剤を得る。
【0029】
製剤例2
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2.5重量部、式(2)で示されるオキサゾリン化合物2.5重量部、オレイン酸メチル25重量部および流動パラフィン70重量部を混合し、ポアオン製剤を得る。
【0030】
製剤例3
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート3重量部、式(2)で示されるオキサゾリン化合物1.5重量部、合成含水酸化珪素微粉末1重量部、ドリレスB(三共社製)1重量部、クレー7重量部を乳鉢でよく混合した後にジュースミキサーで撹拌混合する。得られた混合物にカットクレー86.5重量部を加えて、充分撹拌混合し、粉剤を得る。
【0031】
製剤例4
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及び式(2)で示されるオキサゾリン化合物をそれぞれ1w/v%含有するアセトン溶液12.5mlをクラフト紙1m2に均一に塗布し、乾燥させて、シート製剤を得る。
【0032】
製剤例5
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート又は2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5.0g、式(2)で示されるオキサゾリン化合物2.5g、ソルポール3005X(東邦化学製界面活性剤)10g、N,N−ジメチルホルムアミド40g及びキシレン42.5gを混合して乳剤を得る。
【0033】
参考製剤例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5.0g、ソルポール3005X(東邦化学製界面活性剤)10g、N,N−ジメチルホルムアミド40g及びキシレン45gを混合して比較乳剤Aを得た。
【0034】
参考製剤例2
式(2)で示されるオキサゾリン化合物2.5g、ソルポール3005X(東邦化学製界面活性剤)10g、N,N−ジメチルホルムアミド40g及びキシレン47.5gを混合して比較乳剤Bを得た。
【0035】
試験例1
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z−1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートと式(2)で示されるオキサゾリン化合物とをそれぞれ0.04/0.04w/v%含有したアセトン溶液0.25mlを、直径35mmの円形に裁断したウールモスリン布に均一に塗布し、乾燥させた(ウールモスリン布1m2に対して各化合物100mg処理に相当)。このウールモスリン布をシャーレ(直径35mm、高さ10mm)に敷き、このシャーレの中にコイガ5〜6週齢幼虫10頭を入れて蓋をして、温度25℃、湿度60%の条件下で7日間放置した。その後、供試した虫の生死を観察したところ、供試した虫の死虫率は100%であった。(2反復)
【0036】
試験例2
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z−1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートと式(2)で示されるオキサゾリン化合物とをそれぞれ0.04/0.04w/v%含有したアセトン溶液0.25mlを、直径35mmの円形に裁断したウールモスリン布に均一に塗布し、乾燥させた(ウールモスリン布1m2に対して各化合物100mg処理に相当)。このウールモスリン布をシャーレ(直径35mm、高さ10mm)に敷き、このシャーレの中にコイガ5〜6週齢幼虫10頭を入れて蓋をして、温度25℃、湿度60%の条件下で7日間放置した。その後、供試した虫の生死を観察したところ、供試した虫の死虫率は100%であった。(2反復)
【0037】
試験例3
製剤例5で得られた2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート及び式(2)で示されるオキサゾリン化合物を各々5wt%及び2.5wt%含有する乳剤を、水で200倍に希釈し試験薬液Aとした。また、比較乳剤A及び比較乳剤Bを、それぞれ水で200倍に希釈し比較薬液A及び比較薬液Bとした。
約36m2の鶏舎内に2段式鶏飼育ケージ積載用ラックを設置し、該鶏飼育ケージ積載用ラックの上段と下段とにそれぞれ鶏1羽を入れた鶏飼育ケージを18個ずつ設置した(上段18羽、下段18羽、計36羽)。該鶏飼育ケージ内の鶏36羽を、鶏の通常の飼育条件で飼育した。該鶏舎内にワクモを約1000匹放ち、該鶏飼育ケージ積載用ラックの上段とその上に設置された鶏飼育ケージとの間に、ワクモ捕獲器(厚み3mm、15cm四方の正方形の合板の対向する2辺の両端にホチキスの針を打ち込み、該ホチキスの針を打ち込んだ合板と、他の厚さ3mm、15cm四方の正方形の合板とをホチキスの針のクリンチ部が挟まるように積層し、対向する2辺をガムテープで係止した物であり、2枚の合板が2mmの空間を隔てて平行に配置されている物)16個を挿入し、ワクモ放飼14日後に該ワクモ捕獲器内のワクモの寄生状況を観察し、後述のワクモ寄生スコア基準に従い、全てのワクモ捕獲器においてワクモ寄生スコアが4であることを確認した。その後、試験薬液A、比較薬液A及び比較薬液Bを各試験区に、それぞれ1m2当り100mlの割合で散布した。散布14日後に各々のワクモ捕獲器を開けてワクモ寄生数を観察し、各試験区でのワクモ寄生スコアの平均を求めた。尚、無処理区として、水を1m2当り100mlの割合で散布し、試験区と同様にワクモ寄生数を調査した。試験結果を〔表1〕に示す。
ワクモ寄生スコアは以下に示す基準とした。
0:生存しているワクモ(幼虫、若虫及び成虫の合計)が0匹
1:生存しているワクモ(幼虫、若虫及び成虫の合計)が1〜10匹
2:生存しているワクモ(幼虫、若虫及び成虫の合計)が11〜50匹
3:生存しているワクモ(幼虫、若虫及び成虫の合計)が51〜100匹
4:生存しているワクモ(幼虫、若虫及び成虫の合計)が101匹以上
【0038】
【表1】


なお、防除率及び理論防除率は各々、次式により求めた。
防除率(%) = {(C−T)/C}×100
C:無処理区での平均ワクモ寄生スコア
T:各試験区での平均ワクモ寄生スコア
理論防除率(%) = P+{(100−P)×Q/100}
P:比較薬液Aにおける防除率(%)
Q:比較薬液Bにおける防除率(%)
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の有害生物防除剤は有害生物に対して優れた効力を有することから、有害生物防除に有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、R1はメチル基又はメトキシメチル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と、式(2)

で示されるオキサゾリン化合物とを有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項2】
式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との重量比が30:1〜1:30の割合である、請求項1記載の有害生物防除剤。
【請求項3】
式(1)

(式中、R1はメチル基又はメトキシメチル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と、式(2)

で示されるオキサゾリン化合物との有効量を、有害生物又は有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
【請求項4】
式(1)で示されるエステル化合物と式(2)で示されるオキサゾリン化合物との重量比が30:1〜1:30の割合である、請求項3記載の有害生物の防除方法。




【公開番号】特開2006−76993(P2006−76993A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134878(P2005−134878)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000234890)協友アグリ株式会社 (19)
【出願人】(591057511)ヤシマ産業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】