説明

有害生物防除用組成物及び有害生物の防除方法

【課題】有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除用組成物、及び有害生物の防除方法を提供する。
【解決手段】クロチアニジンとメトコナゾールとを有効成分として含有する有害生物防除用組成物、クロチアニジンとメトコナゾールとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用する有害生物防除方法、等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除用組成物及び有害生物の防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有害生物防除用組成物剤の有効成分として、殺虫活性を有するクロチアニジン、殺菌活性を有するメトコナゾールが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】The Pesticide Manual - 14th edition(BCPC刊)ISBN 1901396142(209ページ、689ページ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、有害生物に対する優れた防除効力を有する有害生物防除用組成物、及び有害生物の防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討した結果、クロチアニジンと、メトコナゾールとを併用することにより、有害生物に対する防除効力が向上することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は次の通りの構成をとるものである。
〔1〕クロチアニジンとメトコナゾールとを有効成分として含有する有害生物防除用組成物;
〔2〕クロチアニジンとメトコナゾールとの重量比が、0.0125:1〜500:1の範囲である前項〔1〕に記載の有害生物防除用組成物;
〔3〕クロチアニジンとメトコナゾールとを、有効成分として含有する種子処理剤;
〔4〕クロチアニジンとメトコナゾールとの有効量が処理されてなる植物種子;
〔5〕クロチアニジンとメトコナゾールとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用する有害生物防除方法;
〔7〕有害生物を防除するための、クロチアニジンとメトコナゾールとの組み合わせの使用;
等。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る組成物は、優れた有害生物防除効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る有害生物防除用組成物として使用されるクロチアニジンとメトコナゾールはいずれも公知の化合物であり、例えば「THE PESTICIDE MANUAL − 14th EDITION(BCPC刊)ISBN 1901396142」の209ぺージ、689ページ等に記載されている。これらの化合物は市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。
【0008】
本発明に係る有害生物防除用組成物において、クロチアニジンとメトコナゾールの重量比は、通常0.0125:1〜500:1、好ましくは0.025:1〜200:1の範囲である。また、散布剤として使用する場合には、0.025:1〜40:1の範囲が、種子処理剤として使用する場合には、1:1〜200:1の範囲がより好ましい。
【0009】
本発明に係る有害生物防除用組成物は、クロチアニジンとメトコナゾールとを単に混合したものでもよいが、通常、クロチアニジン、メトコナゾール、及び不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されたものであってもよい。また、前記有害生物防除用組成物は、そのまま又はその他の不活性成分を添加して本発明種子処理剤として使用することができる。
本発明に係る有害生物防除用組成物において、クロチアニジンとメトコナゾールとの合計量は通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%の範囲、さらに好ましくは1〜80重量%の範囲である。
【0010】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルモアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマ−、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0011】
本発明に係る有害生物防除用組成物は下記の作物に対して摂食、吸汁等の加害を行う有害生物(例えば、有害昆虫及び有害ダニ等の有害節足動物)による加害から植物を保護することができる。本発明に係る有害生物防除用組成物が防除効力を有する有害生物としては例えば次のものが挙げられる。
【0012】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricidus)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)、ターニッシュッドプラントバグ(Lyus lineolaris)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、 シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等;
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、サンカメイガ(Tryporyza incertulas)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilaris)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Pediasia teterrellus)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、タマナギンウワバ(Plusia nigrisigna)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、アズキサヤムシガ(Matsumuraeses azukivora)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnanima)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)のホソガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等;
アザミウマ目害虫:ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips parmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、タバコアザミウマの(Frankliniella fusca)等のアザミウマ類等;
双翅目害虫:イエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex popiens pallens)、ウシアブ(Tabanus trigonus)、タマネギバエ(Hylemya antiqua)、タネバエ(Hylemya platura)、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola)、イネキモグリバエ(Chlorops oryzae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)等;
甲虫目害虫:ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワームの仲間(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシの仲間(Agriotes spp.)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ゴマダラカミキリ(Anoplophora malasiaca)、マツノキクイムシ(Tomicus piniperda)等;
直翅目害虫:トノサマバッタ(Locusta migratoria)、ケラ(Gryllotalpa africana)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ハネナガイナゴ(Oxya japonica)等;
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)等;
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等;
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、オリゴニカス属等のハダニ類、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)等のコナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus)等のヒョウヒダニ類、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)等のツメダニ類等;
線虫類:イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴメセンチュウ(Nothotylenchus acris)等。
【0013】
前記有害生物の中でも、好ましい例として、アブラムシ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類、ハリガネムシ、コロラドハムシ、マメコガネ、ドウガネブイブイ、ワタミゾウムシ、イネミズゾウムシ、タバコアザミウマ、コーンルートワームの仲間、コナガ、アオムシ、マメシンクイガ等を挙げることができる。
【0014】
本発明に係る有害生物防除用組成物は、さらに以下の植物病害等にも有効である。
イネの病害:いもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)。
コムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenacerum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P. graminis、P. recondita)、紅色雪腐病(Micronectriella nivale)、雪腐小粒菌核病(Typhula sp.)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Mycosphaerella graminicola)、ふ枯病(Stagonospora nodorum)、黄斑病(Pyrenophora tritici−repentis)。
オオムギの病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenacerum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
トウモロコシの病害:黒穂病(Ustilago maydis)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、ひょう紋病(Gloeocercospora sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、グレイリーフスポット病(Cercospora zeae−maydis)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
【0015】
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum)、フィトフトラ病(Phytophthora parasitica,Phytophthora citrophthora)。
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophtora cactorum)、褐斑病(Diplocarpon mali)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)。
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、疫病(Phytophtora cactorum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)。
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)。
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae)。
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans)。
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)。
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica)。
ネギの病害:さび病(Puccinia allii)、べと病(Peronospora destructor)。
【0016】
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、茎疫病(Phytophthora sojae)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
インゲンの病害:炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)。
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii)。
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi)、根腐病(Fusarium solani f. sp. pisi)。
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病(Phytophthora erythroseptica)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f. sp. subterranea)。
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli)、炭そ病(Glomerella cingulata)。
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)。
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae)。
ナタネの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
ワタの病害;リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)。
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)。
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、べと病(Peronospora sparsa)。
キク及びキク科野菜の病害:べと病(Bremia lactucae)、褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana)。
種々の植物の病害:ピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum,Pythium graminicola, Pythium irregulare, Pythium ultimum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)。
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola)。
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani)。
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)。
ヒマワリの病害:べと病(Plasmopara halstedii)。
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属、及びDiplodia属菌等によって引き起こされる、各種植物の種子病害または生育初期の病害。
Polymixa属またはOlpidium属等によって媒介される各種植物のウイルス病。
【0017】
クロチアニジンとメトコナゾールとを、有害生物、または有害生物の生息する場所もしくは生息する可能性のある場所(植物、土壌等)に施用することにより、有害生物を防除することができる。
クロチアニジンとメトコナゾールとの有効量を、植物、または植物を栽培する土壌に施用することにより、有害生物を防除することができる。施用対象となる植物とは、植物の茎葉、植物の種子、植物の球根等が挙げられる。なお、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根および担根体を意味する。
有害生物、植物、植物を栽培する土壌等に施用する場合は、クロチアニジン及びメトコナゾールは同時期に別々に施用してもよいが、通常は施用時の簡便性の観点から、本発明の有害生物防除用組成物として施用される。
本発明の防除方法としては具体的には、茎葉散布などの植物の茎葉への処理、土壌処理などの植物の栽培地への処理、種子消毒・種子コートなどの種子への処理、種芋等の球根への処理等が挙げられる。
本発明の防除方法における植物の茎葉への処理としては、具体的には、例えば、茎葉散布、樹幹散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。
本発明の防除方法における土壌処理方法としては、例えば、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注(薬液潅水、土壌注入、薬液ドリップ)が挙げられ、処理する場所としては例えば、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ、苗床等が挙げられ、処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、及び定植後の生育期等が挙げられる。また、上記土壌処理において、有効成分を植物に同時に処理してもよく、有効成分を含有するペースト肥料等の固形肥料を土壌へ施用してもよい。また、潅水液に混合してもよく、例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液へ混入等が挙げられる。また、あらかじめ潅水液と有効成分を混合し、例えば、上記潅水方法やそれ以外の散水、湛水等のしかるべき潅水方法を用いて処理することができる。
本発明の防除方法における種子への処理としては、例えば、有害生物から保護しようとする植物の種子、球根等に本発明の有害生物防除用組成物を処理する方法であって、具体的には、例えば、本発明の有害生物防除用組成物の懸濁液を霧状にして種子表面もしくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明の有害生物防除用組成物の水和剤、乳剤又はフロアブル剤等に少量の水を加えるか又はそのままで種子もしくは球根に塗付する塗沫処理、本発明の有害生物防除用組成物の溶液に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
【0018】
クロチアニジンとメトコナゾールとを、植物または植物を栽培する土壌に処理する場合、その処理量は、処理する植物の種類、防除対象である有害生物の種類や発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、10000m2あたりクロチアニジンとメトコナゾールとの合計量(以下、本有効成分量と記す。)として通常1〜5000g、好ましくは2〜400gである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本有効成分量の濃度は通常0.0001〜3重量%、好ましくは0.0005〜1重量%の範囲である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
種子への処理においては、種子1kgに対して本有効成分量は通常0.001〜20g、好ましくは0.01〜5gの範囲で施用される。
【0019】
本発明の防除方法は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用にて使用することができる。
また、本発明は、以下に挙げられる「植物」等を栽培する農耕地等において、該植物等に対して薬害を与えることなく、当該農耕地の有害生物を防除するために使用することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0020】
上記「植物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、グリホサート等のEPSP合成酵素阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、セトキシジム等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、フルミオキサジン等のPPO阻害剤、ブロモキシニル、ジカンバ、2,4−D等の除草剤に対する耐性を古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
古典的な育種法により耐性を付与された「植物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草剤に耐性のナタネ、コムギ、ヒマワリ、イネがありClearfield(登録商標)の商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によるチフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤に耐性のダイズがあり、STSダイズの商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によりトリオンオキシム系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤などのアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物の例としてSRコーン等がある。アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物はプロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)87巻、7175〜7179頁(1990年)等に記載されている。またアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼがウィード・サイエンス(Weed Science)53巻、728〜746頁(2005年)等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するかもしくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入する事により、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T. 1999. Repairing the Genome’s Spelling Mistakes. Science 285: 316−318.)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
【0021】
遺伝子組換え技術により耐性を付与された植物の例として、グリホサート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ品種があり、ラウンドアップアップレディ(RoundupReady(登録商標))、AgrisureGT等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ品種があり、リバティーリンク(LibertyLink(登録商標))等の商品名ですでに販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるブロモキシニル耐性のワタはBXNの商品名で既に販売されている。
【0022】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成する事が可能となった植物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
またこの様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9C、Cry34AbまたはCry35Ab等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が置換されている。
これら毒素の例およびこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP−A−0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP−A−0 427 529、EP−A−451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、半翅目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫、線虫類への耐性を植物へ付与する。
【0023】
また、1つもしくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与するためにホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0024】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0 392 225、WO 95/33818、EP−A−0 353 191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
【0025】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質を付与した植物も含まれる。例として、VISTIVE(登録商標)(リノレン含量を低減させた低リノレン大豆)あるいは、high−lysine(high−oil) corn(リジンまたはオイル含有量を増量したコーン)等が挙げられる。
【0026】
さらに、上記の古典的な除草剤形質あるいは除草剤耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【0027】
散布処理の場合、上記のうち、特にコムギ、オオムギ、トウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ、ブドウ、シバ、またはリンゴに発生する有害生物に対して高い防除効果が期待される。これらの植物に発生する有害生物のうち、特に高い効力が期待されるものとしては、コムギの葉枯病(Mycosphaerella graminicola)、黄斑病(Pyrenophora tritici−repentis)、紅色雪腐病菌(Mycrodochium nivale)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、オオムギの網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)雲形病(Rhynchosporium secalis)、トウモロコシのごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、グレイリーフスポット病(Cercospora zeae−maydis)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、褐紋病(Septoria glycines)、ワタのリゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、ナタネのリゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、ブドウの灰色かび病(Botrytis cinerea)、シバのダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病(Rhizoctonia solani)、リンゴの黒星病(Venturia inaequalis)等が挙げられる。
種子処理の場合、上記のうち、特にコーン、ソルガム、イネ、ナタネ、ダイズ、ポテト、シュガービート、ワタに発生する有害生物に対して高い防除効果が期待される。これらの植物に発生する有害生物のうち、特に高い効力が期待されるものとしては、リゾクトニア菌による苗立枯れ病、ピシウム菌による病害、フザリウム属菌による病害等が挙げられる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を製剤例、種子処理例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。
【0029】
製剤例1
クロチアニジンを1.25部、メトコナゾールを2.5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部、及びキシレン76.25部をよく混合することにより各乳剤を得る。
【0030】
製剤例2
クロチアニジンを20部、メトコナゾールを5部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部、及びポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液45部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し各フロアブル製剤を得る。
【0031】
製剤例3
クロチアニジンを5部、メトコナゾールを40部、プロピレングリコールを5部(ナカライテスク製)、Soprophor FLKを5部(ローディア日華製)、アンチフォームCエマルションを0.2部(ダウコーニング社製)、プロキセルGXLを0.3部(アーチケミカル製)、及びイオン交換水を49.5部の割合で混合し、原体スラリーを調製する。該スラリー100部に150部のガラスビーズ(Φ=1mm)を投入し、冷却水で冷却しながら、2時間粉砕する。粉砕後、ガラスビーズをろ過により除き、各フロアブル製剤を得る。
【0032】
製剤例4
クロチアニジンを1部、メトコナゾールを4部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部、及びカオリンクレー62部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより各粒剤を得る。
【0033】
製剤例5
クロチアニジンを1部、メトコナゾールを2部、カオリンクレー85部、及びタルク10部をよく粉砕混合することにより各粉剤を得る。
【0034】
製剤例6
クロチアニジンを10部、メトコナゾールを2.5部、ソルビタントリオレエート1.5部、及びポリビニルアルコール2部を含む水溶液30部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液47.5部を加え、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、各フロアブル製剤を得る。
【0035】
製剤例7
クロチアニジンを40部、メトコナゾールを1部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、及び合成含水酸化珪素54部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0036】
製剤例8
クロチアニジンを20部、メトコナゾールを0.1部、アセトンを79.9部の割合で混合し、種子処理用簡易乳剤を得る。
【0037】
製剤例9
クロチアニジンを20部、メトコナゾールを2部、アセトンを78部の割合で混合し、種子処理用簡易乳剤を得る。
【0038】
製剤例10
クロチアニジンを5部、メトコナゾールを5部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部および水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより各フロアブル製剤を得る。
【0039】
種子処理例1
製剤例1に準じて作製した乳剤を、ソルガム乾燥種子100kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて500ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0040】
種子処理例2
製剤例1に準じて作製したフロアブル製剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて40ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0041】
種子処理例3
製剤例2に準じて作製した粉剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、50g粉衣処理することにより、処理種子を得る。
【0042】
種子処理例4
製剤例3に準じて作製したフロアブル製剤を、ダイズ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0043】
種子処理例5
製剤例5に準じて作製した粉剤を、ワタ乾燥種子10kgに対し、40g粉衣処理することにより、処理種子を得る。
【0044】
種子処理例6
製剤例8に準じて作成した簡易乳剤を、キュウリ種子5gに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用い1ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
【0045】
試験例1
処理種子例6に従い、クロチアニジンとメトコナゾールを含む混合アセトン溶液を調製した。この混合液を回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いてキュウリ(相模半白)種子に塗沫処理し処理種子を得た。処理種子は一晩静置したのちプラスチックポットに詰めた土壌上に播種し、フスマ培地で培養したキュウリ苗立枯病菌(Rhizoctonia solani)を混和した土壌で覆土した。潅水を行いながら温室にて栽培を行い、播種7日後に不出芽種子数を調査し、式1を用い発病度を算出した。その発病度をもとに、式2を用い防除価を算出した。
また、比較のためにクロチアニジン及びメトコナゾールのそれぞれを所定濃度としたアセトン溶液をそれぞれ調製し同様の試験を行った。その結果を表2に示す。
【0046】
「式1」;発病度=(不発芽種子数)×100/(総播種数)
【0047】
「式2」;防除価=100×(A−B)/A
A:薬剤無処理区の植物の発病度
B:処理区の発病度
【0048】
一般に、与えられた2種類の有効成分化合物を混合して処理した際に期待される防除効果、いわゆる防除価期待値は下記の式3のコルビーの計算式により求められる。
「式3」;E=X+Y−(X×Y)/100
X:有効成分化合物AをMg/100kg-種子で処理した時の防除価
Y:有効成分化合物BをNg/100kg-種子で処理した時の防除価
E:有効成分化合物AをMg/100kg-種子で、有効成分化合物BをNg/100kg-種子で混和して処理した時に期待される防除価(防除価期待値)
「相乗効果」=(実際の防除価)×100/(防除価期待値)
【0049】
【表1】

【0050】
試験例2
製剤例1の記載の製剤を用いて、クロチアニジンとメトコナゾールを含む混合アセトン溶液を調製し、当該アセトン溶液を回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いてトウモロコシ種子に塗沫処理し処理種子を得る。当該処理種子を一晩静置したのち、プラスチックポットに詰めた土壌上に播種し、フスマ培地で別途培養した苗立枯病菌(Rhizoctonia solani)を混和した土壌で覆土する。潅水を行いながら温室にて栽培を行い、播種10日後に不出芽種子数を調査し、前記「式1」を用い発病度を算出し、さらに前記「式2」を用い防除価を算出する。本発明の種子処理方法によれば優れた防除効果が得られる。
【0051】
試験例3
ポリエチレンカップにダイズを植え、第1本葉が展開するまで生育させ、そこにジャガイモヒゲナガアブラムシ約20頭を寄生させる。トルクロホスメチルの水和剤とクロチアニジンの水和剤とをそれぞれ水で希釈した後タンクミックスし、所定濃度のトルクロホスメチルおよびクロチアニジンを含むタンクミックス液、またはトルクロホスメチルおよびクロチアニジンを含むタンクミックス液を調製する。1日後、そのダイズに上記の散布液を20ml/カップの割合で散布する。散布6日後にジャガイモヒゲナガアブラムシの数を調査し、次の式により防除価を求める。
防除価={1−(Cb×Tai)/(Cai×Tb)}×100
なお、式中の文字は以下の意味を表す。
Cb:無処理区の処理前の虫数
Cai:無処理区の観察時の虫数
Tb:処理区の処理前の虫数
Tai:処理区の観察時の虫数
【0052】
試験例4
製剤例9に準じて作成した乳剤を、15ml遠沈管内でトウモロコシ(パイオニア)種子1粒に対し5μl塗沫処理し、1/10000aワグネルポットに播種した。通常温室内で12日間生育させ、ムギクビレアブラムシ5頭を放虫した。放虫7日後にムギクビレアブラムシの数を調査した。
その結果、本発明に係る組成物を施用した試験区の虫数は抑えられ、良好な有害生物防除効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、高い活性を有する有害生物防除用組成物、及び有害生物を効果的に防除し得る方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロチアニジンとメトコナゾールを有効成分として含有する有害生物防除用組成物。
【請求項2】
クロチアニジンとメトコナゾールとの重量比が、0.0125:1〜500:1の範囲である請求項1に記載の有害生物防除用組成物。
【請求項3】
クロチアニジンとメトコナゾールとを有効成分として含有する種子処理剤。
【請求項4】
クロチアニジンとメトコナゾールとの有効量が処理されてなる植物種子。
【請求項5】
クロチアニジンとメトコナゾールとの有効量を、植物または植物を栽培する土壌に施用する有害生物防除方法。
【請求項6】
有害生物を防除するための、クロチアニジンとメトコナゾールとの組み合わせの使用。

【公開番号】特開2010−126437(P2010−126437A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299269(P2008−299269)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】