説明

有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法

【課題】 様々な胴部形状の有底容器を高速搬送するとともに、胴部形状が変わっても型替えが不要であり、さらに、缶胴張り出し成形の自由度を向上させる。
【解決手段】 互いに反対方向に回転する投入ターレット12と製造ターレット13の間で、缶9を受け渡す有底容器の搬送方法であって、この際、缶9のフランジ部94を保持する真空吸着手段24が、缶9のフランジ部94と当接するフランジパッド241を備えており、この真空吸着手段24が、フランジパッド241を介して缶9内部の空気を吸引する方法としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法に関し、特に、金属缶やプラスチックボトルなどの比較的軽量な空の有底容器であって、かつ、胴部形状が単純な円筒形状でないバルジ缶やエンボス缶などの異形容器を、搬送手段間(たとえば、コンベア,ターレット,ホイール等の搬送手段間)で受け渡しする、有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、金属缶やプラスチックボトルなどの容器は、製造工程や充填・密封工程において、様々な方法で搬送されている。
その一つの搬送方法として、空状態の有底容器は、ターレット間で受け渡しされながら搬送されている。たとえば、飲料缶は、ネッキング,フランジングなどの成形工程、塗装,印刷,ラベリングなどの加工工程、各種の検査工程、充填工程などにおいて、各装置に供給・排出する際に、ターレット間で受け渡しされながら搬送される。
【0003】
上記ターレットを用いた搬送に関する技術として、周縁部に円筒缶を保持するポケットが等ピッチで形成され垂直面内を回転するターレット,缶を倒位状態で移送してターレットに供給する缶供給路,及び,缶の両端部に接触して、缶供給路からターレットのポケットに缶を案内するサイドガイドからなる倒位缶供給装置の技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、ボトル型缶の印刷・塗装工程においては、印刷・塗装装置に設けられたマンドレルに、バキューム及び加圧空気噴出機構を設けて、ボトル型缶の供給・排出(搬送)が行なわれてきた(特許文献2の図4参照)。
この供給方法は、図10(a)に示すように、ターレットのポケット(図示せず)に収容されたボトル型缶900を、ガイド963によってマンドレル961に接近させ、続いて、押圧具(図示せず)により一缶ずつマンドレル961側に間欠的に押圧して、マンドレル961に冠着させる。次に、マンドレル961の中心軸の孔961aを真空源に連通させ、缶900をマンドレル961に吸引し完全に冠着させる。
【0005】
また、排出方法は、図10(b)に示すように、マンドレル961に冠着された状態で印刷・塗装が施されたボトル型缶900に、ボトル型缶900の肩部形状に合致した形状のバキュームパッド962を接近させ、続いて、マンドレル961の中心軸の孔961aから加圧空気を噴出させ、ボトル型缶900をマンドレル961からバキュームパッド962側に移動させる。また、この移動と同時に、バキュームパッド962でボトル型缶900を吸引することにより、ボトル型缶900をバキュームパッド962により吸着させてマンドレル961から取り外している。
【0006】
ところで、缶容器においては、胴部形状を単純な円筒形から様々な形状に張り出し成形して、意匠性を高める差別化が行なわれてきた。
特に、プラスチックボトルを成形するように、高圧エアーを用いて金属缶をブロー成形する、バルジ缶,バルジ缶の製造方法及びバルジ缶の製造装置の技術が提案され、一部実施もされ注目されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平04−173619号公報
【特許文献2】特開2002−102969号公報
【特許文献3】PCT/JP2004/008050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ブロー成形により張り出し成形した異形缶は、胴部の形状が単純な円筒形ではなく、缶のデザインによって様々な形状となる。このような異形缶の搬送において、ターレット間での受渡しを従来の搬送方法、たとえば、缶胴側壁部にターレットのポケットやグリッパなどが接触する方法で行なおうとすると、異形缶の形状デザインごとに、その形状に合わせたポケット,グリッパ,ガイド等を用意する必要があり、異なる缶型への型替えが煩雑になるという問題があった。
また、異形缶の形状によっては、胴部に十分な吸着面積が確保できないため、搬送の安定性が低下する場合も想定される。さらに、搬送の安定性を確保しようとすると、胴部形状の設計自由度が制限されるといった問題があった。
【0008】
また、上述したマンドレル961を用いた搬送方法は、ボトル型缶900の形状デザイン(たとえば、缶の直径や高さ寸法などを含む。)ごとに、マンドレル961を用意する必要があり、異なるマンドレル961への切替えが煩雑になるという問題があった。
さらに、マンドレル961を装入するための高さ方向への移動が必要であり、装置の小型化が図れないといった問題があった。
【0009】
また、飲料用ADI缶(Aluminum Drawn&Ironing缶)のような容器に、上述した金属缶のブロー成形を施して搬送する場合、缶強度が比較的低いので、缶を変形させずに、かつ、高速で受渡しすることが困難であるといった問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するために提案されたものであり、様々な胴部形状の有底容器を高速搬送するとともに、胴部形状が様々に変わっても型替えが不要であり、さらに、缶胴張り出し成形の自由度を向上させることができる有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の有底容器の搬送装置は、第一の搬送手段と第二の搬送手段を有し、前記第一の搬送手段と第二の搬送手段の間で、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された有底容器を受け渡す有底容器の搬送装置であって、前記第一の搬送手段に配設され、前記有底容器の上部又は下部のいずれか一方を保持する複数の第一の容器保持手段と、前記第二の搬送手段に配設され、前記有底容器の上部又は下部のいずれか他方を保持する複数の第二の容器保持手段とを備え、前記有底容器の開口された上部又は下部を保持する前記第一又は第二の容器保持手段が、前記有底容器の開口された部分と当接するパッドと、このパッドを介して前記有底容器内の空気を吸引する真空吸着手段を有する構成としてある。
【0012】
このようにすると、有底容器の胴部と接触するポケット,グリッパ,ガイド等が不要となり、様々な胴部形状の容器に容易に対応することができる。すなわち、容器の胴部形状の変更にともなうポケット,グリッパ,ガイド等の切替を行なわなくてもすみ、生産性を向上させることができる。
また、従来例のボトル型缶の搬送方法と比べると、マンドレルが不要となり、搬送装置の構造を単純化することができる。さらに、マンドレルを容器内に装入するための、容器高さ方向への容器の移動が不要となり、搬送装置の小型化を図ることができるとともに、搬送速度を高速化することができる。
【0013】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記有底容器が、上部にネックイン・フランジ成形された、フランジ部を有する容器であり、前記パッドが、前記フランジ部と当接する構成としてある。
このように、フランジ部で真空吸着することにより、有底容器を確実に吸着することができる。特に、ネックイン成形された容器は、マンドレルを用いた搬送が難しいので、本発明を効果的に適用することができる。
なお、有底容器の閉止された上部又は下部をも真空吸着手段によって吸着保持することにより、アルミニウム缶,プラスチック容器,紙カップなどの非磁性体からなる有底容器や、強度が比較的弱い容器をも搬送することができる。
【0014】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記有底容器が、胴部張出し加工又はブロー成形加工の施された金属容器である。
このようにすると、缶胴が張り出している場合であっても、缶胴の凹みや傷つきのおそれがなくなり、意匠性に優れた容器の高速で確実な生産・搬送が可能となる。
【0015】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記有底容器を受け渡す際、前記第一の容器保持手段と第二の容器保持手段を同一軌跡に沿って、かつ、同期した状態で移動させる移動機構を有する構成としてある。
このようにすると、両ターレットが(間歇回転ではなく)連続回転した状態で、有底容器を受け渡すことができ、搬送速度を高速化することができる。
【0016】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記有底容器を受け渡す際、前記第一又は第二の容器保持手段の少なくとも一方を、前記有底容器の高さ方向において、前記有底容器に対して接離する方向に移動させる高さ方向移動機構を有する構成としてある。
このようにすると、有底容器の受け渡しが安定し確実となり、搬送の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記高さ方向移動機構が、前記パッドを前記有底容器の高さ方向に移動自在に支持するスライド手段と、このスライド手段に移動自在に支持された前記パッドを、前記有底容器の高さ方向において、前記有底容器から離反する方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力に抗して、前記パッドを前記有底容器の高さ方向において前記有底容器に接近する方向に移動させるプッシュロッドとを備えた構成としてある。
このように、プッシュロッドを用いることにより、パッドを有底容器の高さ方向において有底容器に接近する方向に移動させることができ、構造を単純化することができる。
なお、有底容器の高さ方向において有底容器に接近する方向は、たとえば、パッドが有底容器の上部に位置する場合には、下方向であり、パッドが有底容器の下部に位置する場合には、上方向となる。
【0018】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記真空吸着手段の搬送バキューム圧を、前記有底容器にかかる最大慣性力に耐え、かつ、前記有底容器を保持できる圧力≧搬送バキューム圧≧容器の胴部パネリング強度に対応する圧力とした構成としてある。
このようにすると、有底容器が落下するといった不具合を防止でき、有底容器の凹み等の変形を防止し確実な搬送ができる。
【0019】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記搬送バキューム圧の圧力制御手段が、前記搬送バキューム圧が設定された圧力に到達すると、外気を前記有底容器内に導入するリリーフ弁と、前記リリーフ弁のリリーフ流量を制御する流量制御手段を備えた構成としてある。
このようにすると、搬送バキューム圧の立ち上がり時間が短縮化され、高速搬送を行なうことができる。
【0020】
また、本発明の有底容器の搬送装置は、前記第一又は第二の容器保持手段が、保持した前記有底容器の周方向に対する角度位置を検出するセンサと、このセンサからの検出信号にもとづいて、前記有底容器の周方向に対する角度位置を制御する位置決め用モータとを備えた構成としてある。
このようにすると、有底容器の周方向に対する角度位置を制御することができ、たとえば、缶胴の模様と張出し部を一致させることができる。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の有底容器の搬送方法は、第一の搬送手段と第二の搬送手段の間で、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された有底容器を受け渡す場合に、前記第一の搬送手段に配設された第一の容器保持手段が、前記有底容器の上部又は下部のいずれか一方を保持し、続いて、前記第二の搬送手段に配設された第二の容器保持手段が、前記有底容器の上部又は下部のいずれか他方を保持し、さらに、前記第一の容器保持手段が前記有底容器を開放することにより、前記有底容器を受け渡す有底容器の搬送方法であって、前記第一又は第二の容器保持手段が、前記有底容器の開口された部分と当接するパッドを介して、前記有底容器内の空気を吸引することによって、前記有底容器を保持する方法としてある。
このように、本発明は、有底容器の搬送方法としても有効であり、様々な胴部形状の有底容器を高速搬送するとともに、胴部形状が様々に変わっても型替えが不要であり、生産性を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の有底容器の搬送方法は、前記第一又は第二の容器保持手段が、前記有底容器内の空気を吸引する際、リリーフ弁が、前記有底容器の搬送バキューム圧に到達すると、外気を前記有底容器内に導入し、流量制御手段が、前記リリーフ弁のリリーフ流量を制御する方法としてある。
このようにすると、搬送バキューム圧の立ち上がり時間が短縮化され、高速搬送を行なうことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法によれば、様々な胴部形状の有底容器であっても、胴部形状の変更にともなうポケット,グリッパ,ガイド等の切替を行なわなくてもすみ、生産性を向上させることができる。また、缶胴パネリング強度などが弱い有底容器であっても、凹みや傷つきなどの損傷を発生させずに、高速搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[有底容器の搬送装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の全体的な構成を説明するための概略平面図を示している。
同図において、有底容器の搬送装置1(適宜、搬送装置1と略称する。)は、供給ターレット11,投入ターレット12,製造ターレット13,取出しターレット14,検査ターレット15,排出ターレット16及び搬出コンベア17を備えている。搬送装置1は、供給ターレット11,製造ターレット13及び検査ターレット15が時計回り方向に回転し、投入ターレット12,取出しターレット14及び排出ターレット16が反時計回り方向に回転し、上部が開口した缶9を、隣接するターレット間で受け渡しつつ順次搬送する。また、搬送装置1は、排出ターレット16から搬出コンベア17に缶9を搬送する。
なお、本実施形態では、上部が開口した缶9を搬送する構成としてあるが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、たとえば、下部が開口した缶9を搬送する構成としてもよい。
【0025】
<供給ターレット>
図2は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の供給ターレットを説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
同図において、供給ターレット11は、回転円板111と、ローラーガイド112と、真空吸着する保持手段としてのボトムパッド113およびパッド受け114と、上下動カム115とを備えている。
【0026】
回転円板111は、投入ターレット12と同期した回転速度で、時計回り方向に連続回転する。また、回転円板111は、周縁部に、10個のパッド受け114が等間隔で取り付けられている。
【0027】
ボトムパッド113は、プラスチックや金属などからなる円板であり、中央部に吸気孔113bが貫通してある。また、ボトムパッド113は、吸気孔113bに、下方からバキュームジョイント113aが取り付けられ、下面に、スライドピン114a及び圧縮ばね114cが取り付けられている。
このボトムパッド113は、環状突部92bがボトムパッド113との間に真空領域を形成することにより、缶9を吸着保持する。また、ボトムパッド113は、上面が平面としてあるので、缶9の直径やチャイム部92a及び中央ドーム部92cの形状などにかかわらず、缶9の下部を吸着保持する。
【0028】
パッド受け114は、中央部にバキュームジョイント113aを取り付けるための貫通孔114dが形成された水平板と、水平板の回転円板111側の端部に設けられた垂直板とからなっている。また、パッド受け114は、貫通孔114dの周囲の四箇所に等間隔で、ピン孔114eが穿設してあり、スライドピン114aがスライド自在に装入される。
【0029】
スライドピン114aは、上部に雄ねじが形成され、下部に雌ねじが切られており、ボトムパッド113に雄ねじが締め込まれることにより、ボトムパッド113に固定される。このスライドピン114aは、ボトムパッド113と水平板の間に、複数の圧縮ばね114cが挟まれた状態で、上記ピン孔114eに装入される。続いて、雌ねじにストッパボルト114bが締め込まれ、上方に付勢された状態で、パッド受け114に係止される。これにより、ボトムパッド113は、圧縮ばね114cによって上方に付勢されるので、ボトムパッド113が上方の缶9と当接する際、下方にスライドして、当接の衝撃を吸収するとともに、真空吸着するための吸着に必要な時間を確保している。
【0030】
ローラーガイド112は、回転円板111の側面に、上下方向に向けて取り付けられたレール部112aと、レール部112aに沿って直線的に往復移動する取付け部112bを備えている。この取付け部112bには、パッド受け114の垂直板がボトル(図示せず)等により固定されている。
【0031】
供給ターレット11は、缶9を投入ターレット12に渡す際、ボトムパッド113を缶9の高さ方向において缶9に対して接離する方向(接するときは上方向、離れるときは下方向)に移動させる、高さ方向移動機構を有している。この高さ方向移動機構は、上下動カム115からなっている。
上下動カム115は、外周面に従動部115bの装入される溝が形成され、投入ターレット12の基台(図示せず)に固定された環状部材115aと、一端がパッド受け114の下端部に固定され、他端に従動部115bが取り付けられたアーム115cとからなっている。これにより、供給ターレット11から投入ターレット12に缶9を渡す際、上下動カム115は、ボトムパッド113に吸着された缶9を上方に移動させる。このようにすると、缶9の受け渡しが安定し確実となり、搬送の信頼性を向上させる。
【0032】
<投入ターレット>
図3は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の投入ターレットを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を、(b)は平面図を示している。
同図において、投入ターレット12は、回転円板21と、軸受ブロック22と、ローラーガイド23と、真空吸着手段24と、直動カム25と、揺動カム26とを備えている。
【0033】
回転円板21は、製造ターレット13と同期した回転速度で、反時計回り方向に連続回転する。また、回転円板21は、周縁部に、12個の軸受ブロック22が等間隔で取り付けられている。
【0034】
軸受ブロック22は、対向して取り付けられる一対のボールベアリング221と、ボールベアリング221によって回転自在に軸支される揺動軸222とを備えている。揺動軸222は、上端部に、ローラーガイド23のレール部231がボルト(図示せず)等により固定されている。ローラーガイド23は、レール部231と、レール部231に沿って直線的に往復移動する取付け部232を備えており、取付け部232がレール部231に沿って直線的に往復移動する。
【0035】
投入ターレット12は、図4に示すように、缶9を製造ターレット13に渡す際、製造ターレット13のボトムパッド331の(上方から見た)軌跡に沿って、かつ、ボトムパッド331と同期した状態で、フランジパッド241を移動させる移動機構を有している。なお、図示してないが、投入ターレット12は、供給ターレット11から缶9を受け取る際、供給ターレット11のボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、かつ、ボトムパッド113と同期した状態で、フランジパッド241を移動させる。この移動機構は、揺動カム26による揺動機構と、直動カム25による直動機構とからなっている。このようにすると、同期区間内で缶9を受け渡しすることができ、缶9の移行時間を確保できる。したがって、両ターレット11,12(及び12,13)が(間歇回転ではなく)連続回転した状態で、缶9を受け渡すことができ、搬送速度を高速化する。
【0036】
揺動カム26は、上面に従動部263の装入される溝264が形成され、投入ターレット12の基台(図示せず)に固定された円板261と、一端が揺動軸222の下端部に固定され、他端に従動部263が取り付けられた、周方向に長い揺動アーム262とを備えている。これにより、揺動アーム262は、揺動軸222を回動中心として回動することができ、揺動アーム262が時計回り方向に回動すると、連結部材247が時計回り方向に回動し、また、揺動アーム262が反時計回り方向に回動すると、連結部材247が反時計回り方向に回動する。
【0037】
直動カム25は、下面に従動部253の装入される溝254が形成され、投入ターレット12の基台(図示せず)に固定された円板251と、下部が取付け部232および連結部材247に固定され、上部に従動部253が取り付けられた取付け部材252とを備えている。これにより、取付け部232は、レール部231に沿って直動することができ、従動部253が円板251の外周方向に移動すると、連結部材247が同じく外周方向に移動し、従動部253が円板251の中心方向に移動すると、連結部材247が同じく中心方向に移動する。
【0038】
真空吸着手段24は、フランジパッド241,スライドピン242,圧縮ばね243,押下板244,バキュームジョイント245,リリーフバルブ246及び連結部材247を備えている。
連結部材247は、一端が取付け部232に固定され、他端にフランジパッド241等が取り付けられる(ほぼ鉤状に形成された)板部材である。他端には、図示してないが、圧縮ばね243が上方から装入される装入穴,スライドピン242が貫通するピン孔,及び,押下板244の円筒部244aが貫通する貫通孔が形成してある。
【0039】
フランジパッド241は、プラスチックや金属などからなる円板であり、中央部に、バキュームジョイント245及びリリーフバルブ246と連通する吸気孔241bが形成してある。また、上面に、スライドピン242及び円筒部244aが連結してある。
このフランジパッド241は、上部にネックイン部93及びフランジ部94が形成された缶9のフランジ部94と当接し、缶9内部に真空領域を形成することにより、缶9を確実に吸着保持する。また、ネックイン成形された容器は、マンドレルを用いた搬送が難しいので、本発明を効果的に適用することができる。
【0040】
また、フランジパッド241は、下面が平面としてあるので、缶9の直径やネックイン部93及びフランジ部94の形状などにかかわらず、缶9の上部を吸着保持でき、フランジパッド241を切り替えることなく、缶9を吸着する。
なお、フランジパッド241の下面は、平面に限定されるものではなく、たとえば、フランジパッド241の下面に、フランジ部94やネックイン部93の形状に対応した、ほぼ円板状の凸部(図示せず)を形成してもよい。これにより、凸部が缶9の位置決め手段として機能し、ネックイン部93が凸部に嵌入することによって、缶9を位置精度よくフランジパッド241に吸着する。
【0041】
ここで、好ましくは、フランジパッド241の搬送バキューム圧を、缶9にかかる最大慣性力に耐え、かつ、缶9を保持できる圧力≧搬送バキューム圧≧缶9の胴部パネリング強度に対応する圧力するとよい。このようにすると、缶9が搬送中に落下するといった不具合を防止でき、缶9の凹み等の変形を防止する。
たとえば、現行の飲料用(ビール用など)ADI缶(厚さ約0.113mm)の場合、具体的には、−4kPa≧搬送バキューム圧≧−8kPaがよい。この理由は、搬送バキューム圧が−4kPaより高いと、缶9の保持力が低下し落下するからであり、また、−8kPaより低いと、レギュラーサイズのADIビール缶(350ml)が凹むおそれがあるからである。
また、より好ましくは、−5kPa≧搬送バキューム圧≧−7kPaがよい。この理由は、搬送バキューム圧が−5kPaより高いと、搬送速度を高速化すると、缶9の保持力が低下し落下するからであり、また、−7kPaより高いと、ロングサイズのADIビール缶(500ml)が凹むおそれがあるからである。
なお、ADI缶の厚さが変化したときは、上記搬送バキューム圧も変化する。また、缶9に作用する最大慣性力は、たとえば、図1の例では、製造ターレット13から取出しターレット14へ缶9を受け渡した直後の両ターレット13,14のパッド331,241の軌跡を同じにさせた区間から、取出しターレットの独自軌跡に戻る地点あたりで発生する。
【0042】
また、本実施形態では、フランジパッド241の吸気孔241bと連通するリリーフバルブ246が設けられている。このリリーフバルブ246は、搬送バキューム圧が設定された圧力に到達すると、外気を缶9内に導入し、搬送バキューム圧の圧力制御手段として機能する。また、リリーフバルブ246は、リリーフ流量を制御する(固定式の)流量制御手段として、オリフィス(図示せず)を備えている。このようにすると、搬送バキューム圧の立ち上がり時間が短縮化され、高速搬送を行なうことができる。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の投入ターレットの、搬送バキューム圧の立上がり曲線を示している。
同図において、バキュームジョイント245の元圧が−50kPaのとき、リリーフバルブ246を用いた場合、吸着開始から缶9内の圧力が、必要圧力−6kPaに到達するまで、約63msecかかる。これに対し、バキュームジョイント245に直列に接続した絞り弁を用いた場合、吸着開始から缶9内の圧力が、必要圧力−6kPaに到達するまで、約113msecかかる。このようにリリーフバルブ246を使用することにより、搬送バキューム圧を絞り弁(図示せず)で調整する場合と比べて、搬送バキューム圧の立上り時間が短縮化され、高速搬送を行なうことができる。すなわち、フランジパッド241は、吸引が開始されてから搬送バキューム圧が設定された圧力に到達するまで、バキュームジョイント245が−50kPaで吸引するので、勢いよく排気され立上りが速くなる。一方、リリーフバルブ246は、設定された圧力(たとえば、−5kPa)に到達すると、外気と連通し、オリフィスよって調整された空気量が吸気孔241bに供給され、缶9が変形しない搬送バキューム圧で吸着される。
【0044】
押下板244は、ほぼ矩形の平板であり、上面にプッシュロッド27が当接する円板状の凸部244dが形成され、下面に円筒部244aが突設してある。この押下板244は、一端にバキュームジョイント245が接続され、他端が吸気孔241bと連通した吸着孔244bが形成され、さらに、一端にリリーフバルブ246が接続され、他端が吸着孔244bと連通した供給孔244cが形成されている。また、押下板244は、スライドピン242及び円筒部244aを介してフランジパッド241と連結され、さらに、圧縮ばね243により、上方に付勢された状態で、連結部材247から上方に持ち上げられている。
【0045】
投入ターレット12は、高さ方向移動機構として、フランジパッド241を缶9の高さ方向(上下方向)に移動自在に支持するスライドピン242と、フランジパッド241を缶9の高さ方向において缶9から離反する方向(上方向)に付勢する圧縮ばね243を備えている。フランジパッド241は、製造ターレット13に設けられたプッシュロッド27によって押下されると、圧縮ばね243の付勢力に抗して、フランジパッド241を缶9の高さ方向において缶9に接近する方向(下方向)に移動する。
【0046】
<製造ターレット>
図6は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の製造ターレットを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は平面図を、(b)はA−A断面図を示している。
同図において、製造ターレット13は、回転円板31と、スライドブロック32と、真空吸着手段33と、スライドカム34と、回転方向位置決め手段35とを備えている。
なお、本実施形態の製造ターレット13は、各スライドブロック32に、ブロー成形するための金型(図示せず)を備えているが、搬送装置1構造を理解しやすいように、省略してある。この金型によって、缶9が、胴部張出し加工又はブロー成形加工を施され、缶胴が張り出している場合であっても、本発明の搬送装置・方法によれば、缶胴の凹みや傷つきのおそれがなくなり、意匠性に優れた缶の高速で確実な生産・搬送が可能となる。
【0047】
回転円板31は、ステッピングモータなどの速度制御可能な駆動手段の回転軸(図示せず)と連結されており、投入ターレット12と同期した回転速度で、時計回り方向に連続回転する。また、回転円板31は、周縁部に、20個のスライドブロック32が等間隔で取り付けられている。
【0048】
スライドブロック32は、回転円板31に固定される取付け部321と、真空吸着手段33がスライド自在に収まる収容部322と、スライドシャフト335aを取り付けるシャフト押え323を備えている。
【0049】
取付け部321は、製造ターレット13側端部に、軽量化のための凹部が形成されたほぼ直方体状としてあり、製造ターレット13の側面にボルト固定するためのボルト孔(図示せず)が穿設してある。また、収容部322は、取付け部321の外周側端面から水平方向に突設された、上方から見るとほぼU字状としてあり、中央の開口部に、対向する一対のスライドシャフト335aが設けられ、真空吸着手段33が製造ターレット13の半径方向にスライドする。シャフト押え323は、スライドシャフト335aの一端が装入される装入穴(図示せず)が形成された板部材であり、ボルト等によって収容部322の端面に固定される。
【0050】
真空吸着手段33は、ボトムパッド331,吸気軸332,ボールベアリング333,ベアリングブロック333a,受け台333b,ベース334,リニアベアリング335,歯車336及びステッピングモータ337を備えている。
【0051】
ボトムパッド331は、プラスチックや金属などの弾性体からなるほぼ円板状としてあり、上面中央部から下方に向かって真空引きする吸気孔が貫通してある。また、本実施形態のボトムパッド331は、上面に、缶9の底部に対応した形状が形成してある。すなわち、周縁部に円環状の溝が形成され、その内側に、(部分的な)球面状に膨らんだ凸部が形成されている。この溝に缶9の底部が嵌合することにより、製造ターレット13において、缶9にブロー形成する際、缶9のチャイム部92aや中央ドーム部92cが膨らむといった不具合を回避することができる。また、ボトムパッド331に対する缶9の位置が精度よく決められる。さらに、ボトムパッド331は、下面中央に、円筒状の嵌入部が突設され、吸気軸332の上部に嵌入される。
【0052】
吸気軸332は、金属製のほぼ管状としてあり、内部がボトムパッド331の吸気孔と連通する。また、上端部にボトムパッド331を支持するフランジ部と、嵌入部が収まる円筒部が形成してある。吸気軸332は、上部及び下部がボールベアリング333によって回転自在に軸支される。また、下部には、ステッピングモータ337の軸端に連結されたギア377aと噛み合う歯車336が取り付けられており、ステッピングモータ337によって、缶9の周方向の位置が制御される。さらに、最下端部は、ジョイントと介して、フレキシブル吸気管と連結してある。
【0053】
ベアリングブロック333aは、ほぼ円筒状としてあり、上部及び下部にボールベアリング333が取り付けられ、受け台333bに螺着される。
また、受け台333bは、ほぼ直方体状としてあり、ベアリングブロック333aが嵌入される孔が穿設してあり、ベース334に螺着される。
【0054】
ベース334は、中央部に、ベアリングブロック333aが嵌入される孔が穿設された、ほぼ直方体状としてあり、リニアベアリング335のスライドユニット335bに螺着される。また、ベース334は、回転円板31側の下部に、ステッピングモータ337が設けられ、製造ターレット13の外周側の端部が、スライドカム34のアーム343と連結してある。なお、ステッピングモータ337は、回転方向位置決め手段35の制御部(図示せず)からの制御信号により駆動される。
【0055】
スライドカム34は、上面に従動部342の装入される溝344が形成され、製造ターレット13の基台(図示せず)にボルト固定されたレール341と、一端がベース334の下端部に固定され、他端に従動部342が取り付けられた半径方向に長いアーム343とを備えている。これにより、回転円板31が回転すると、真空吸着手段33は、受渡し位置(検知位置)→製造位置→受渡し位置を1サイクルとする往復移動を繰り返す。すなわち、真空吸着手段33は、まず、受渡し位置で缶9を受け取り、続いて、そのままの受渡し位置(検知位置)にて、缶9の周方向に対する角度位置を検知し、次に、製造位置に移動して、缶9をブロー成形し、続いて、上記受渡し位置に移動して、缶9を取出しターレット14に送り出す。
なお、本実施形態では、缶9の受取り位置,検知位置,送出し位置を、同じ位置(受渡し位置)としてあるが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、缶9の受取り位置,検知位置,製造位置,送出し位置を、それぞれ異なる位置に設定してもよい。
【0056】
回転方向位置決め手段35は、二つの光センサ351,352と、コンピュータなどの情報処理装置を有する制御部(図示せず)を備えている。
光センサ351,352は、検知位置に位置する缶9の側面の印、たとえば、模様、色彩、文字、凹凸などの一部を検出するセンサである。また、光センサ351,352は、缶9の外周に沿って湾曲した(目盛り付き)固定部を有する支持部材353を介して、スライドブロック32に固定される。このようにすると、缶9の周方向に対する角度位置を制御することができる。
【0057】
<プッシュロッド>
製造ターレット13は、フランジパッド241を上下移動させる機構として、各真空吸着手段33の受渡し位置の上方に、プッシュロッド27を備えている。
図7は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の製造ターレットに設けられた、プッシュロッドを説明するための概略図であり、(a)は側面図を、(b)は要部の拡大図を示している。
同図において、プッシュロッド27は、支持部材271,ローラーガイド272,押下棒273及び当接部274を備えている。
また、図示してないが、プッシュロッド27は、製造ターレット13の外周に設けられたカム機構を利用して、投入ターレット12と同期した状態で押下棒273を上下方向に移動させ、フランジパッド241を上下移動させる。なお、上記カム機構の代わりに、押下棒273と連結された電磁ソレノイド,リニアモータ,エアシリンダ等の駆動源を用いて、押下棒273を上下方向に移動させてもよい。
【0058】
支持部材271は、図示してないが、製造ターレット13のスライドブロック32又は回転円板31の一部と連結されており、ローラーガイド272のレール部が取り付けられる。また、ローラーガイド272は、取付け部に押下棒273が固定され、押下棒273を滑らかに上下移動させる。さらに、押下棒273の下端に、当接部274が設けられている。
なお、本実施形態のプッシュロッド27は、スライドシャフト335aに沿って往復移動する真空吸着手段33から独立した状態で設けられている。すなわち、プッシュロッド27を真空吸着手段33に設けると、真空吸着手段33の全体的な構造が、大掛かり、かつ、重すぎる構造となってしまうので、これを回避することにより、高速化や動作の信頼性を向上させることができる。
【0059】
当接部274は、円筒部材274a,ボルト274b,ボールベアリング274c,フランジ部材274d,圧縮ばね274e,スライドピン274f,ストッパボルト274g,及び,円環状の当接板274hとからなっている。
フランジ部材274dは、中央部に、ボールベアリング274cが嵌入される孔が形成され、周縁部に、スライドピン274fが貫通する貫通孔が等間隔で四つ穿設してある。まず、ボールベアリング274cが上記孔に組み込まれる。
【0060】
スライドピン274fは、下部に雄ねじが形成され、上部に雌ねじが形成されており、当接板274hに雌ねじが締め込まれる。当接板274hに締め込まれたスライドピン274fは、フランジ部材274dと当接板274hの間に、複数の圧縮ばね274eが挟まれた状態で、上記貫通孔に装入され、続いて、ストッパボルト274gが締め込まれる。次に、フランジ部材274dに組み込まれたボールベアリング274cに円筒部材274aが装入され、続いて、この円筒部材274aが、押下棒273の下面にボルト274bによって螺着される。これにより、当接板274hが、圧縮ばね274eのばね力によって下方に付勢されているので、押下板244と当接した際の衝撃を吸収する。また、当接板274hが押下板244と接触している際、押下板244が回転しても、当接板274hが押下板244とともに回転し、当接板274hと押下板244が擦れるといった不具合を防止する。
【0061】
このように、プッシュロッド27を設けることにより、真空吸着手段24を、下方に移動させることができ、構造を単純化することができる。なお、本実施形態では、製造ターレット13がブロー成形を行なうために、真空吸着手段33が水平方向にスライドする構成としてあり、さらに、ブロー成形する金型(図示せず)等が設けられている。このような場合、真空吸着手段33にカム機構を設けて、真空吸着手段33を昇降させるとすると、構造が大掛かりになるといった不具合があるが、プッシュロッド27を設けることにより、この不具合を回避することができる。
【0062】
<取出しターレット>
取出しターレット14は、投入ターレット12とほぼ同様な構造としてあり、投入ターレット12と比べると、投入ターレット12が、ブロー成形前の缶9を供給ターレット11から受け取り、製造ターレット13に渡しているのに対して、取出しターレット14は、ブロー成形された缶9を製造ターレット13から受け取り、検査ターレット15に渡している点が相違する。したがって、詳細な説明は省略する。
【0063】
<検査ターレット>
検査ターレット15は、供給ターレット11とほぼ同様な構造としてあり、供給ターレット11と比べて、缶9の割れなどの損傷を検査する検査装置51を設けた点が相違する。
なお、供給ターレット11との相違点は、供給ターレット11が、ブロー成形前の缶9を供給コンベア111から受け取り、投入ターレット12に渡しているのに対して、検査ターレット15は、ブロー成形された缶9を取出しターレット14から受け取り、缶9の検査を行い、その後、排出ターレット16に渡している点が相違する。
【0064】
<排出ターレット>
排出ターレット16は、投入ターレット12とほぼ同様な構造としてあり、投入ターレット12と比べると、投入ターレット12が、ブロー成形前の缶9を供給ターレット11から受け取り、製造ターレット13に渡しているのに対して、排出ターレット16は、ブロー成形後の検査の行なわれた缶9を検査ターレット15から受け取り、排出コンベア112に渡している点が相違する。したがって、詳細な説明は省略する。
【0065】
<搬出コンベア>
搬出コンベア17は、缶9の底部を真空吸着するパッド(図示せず)が設けられたコンベアとしてあり、排出ターレット16から缶9を受け取り搬送する。
【0066】
次に、上記構成の搬送装置1の動作について、図面を参照して説明する。
<供給ターレットから投入ターレットへの搬送>
図8は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の、供給ターレットから投入ターレットへの移送動作を説明するための概略図であり、(a)はボトムパッドが上昇する前の側面図を、(b)は缶がフランジパッドと接触したときの側面図を、(c)は投入ターレットの真空吸着手段が吸引中の側面図を、(d)はボトムパッドが缶から離れる直前の側面図を、(e)はボトムパッドが降下し終わった状態の側面図を示している。
【0067】
搬送装置1は、同図(a)に示すように、供給ターレット11のボトムパッド113が、供給コンベア10から供給された缶9を、缶9の底部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。
なお、ボトムパッド113は、ボトムパッド基準高さを移動しており、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。
【0068】
次に、搬送装置1は、同図(b)に示すように、ボトムパッド113が上下動カム115によって上昇し、缶9のフランジ部がフランジパッド241と接触する。このとき、ボトムパッド113は、缶9の底部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド241が、缶9のフランジ部94と当接し、缶9の真空吸着を開始する。
【0069】
次に、搬送装置1は、同図(c)に示すように、パッド受け114が上下動カム115によってさらに上昇し、缶9のフランジ部がフランジパッド241に押し付けられる。このとき、フランジパッド241は、缶9のフランジ部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド113が、缶9の下部の真空破壊を開始する。
【0070】
次に、搬送装置1は、同図(d)に示すように、パッド受け114が上下動カム115によって降下し、缶9の下部からボトムパッド113が離れる直前の状態となる。このとき、フランジパッド241は、缶9のフランジ部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド113は、缶9の下部の真空破壊を完了している。
【0071】
次に、搬送装置1は、同図(e)に示すように、投入ターレット12のフランジパッド241が、供給ターレット11から供給された缶9を、缶9のフランジ部94を真空吸着により保持した状態で、反時計回り方向に搬送する。
なお、ボトムパッド113は、ボトムパッド基準高さを移動しており、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、移動してきたが、ここから先は、独自の軌跡(投入ターレット12の軌跡)に沿って移動する。
【0072】
<投入ターレットから製造ターレットへの搬送>
図9は、本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の、投入ターレットから製造ターレットへの移送動作を説明するための概略図であり、(a)はプッシュロッドが真空吸着手段と接触したときの側面図を、(b)は缶がボトムパッドと接触したときの側面図を、(c)は製造ターレットの真空吸着手段が吸引中の側面図を、(d)はフランジパッドが缶から離れる直前の側面図を、(e)はプッシュロッドが真空吸着手段から離れる直前の側面図を示している。
【0073】
搬送装置1は、同図(a)に示すように、投入ターレット12のフランジパッド241が、缶9のフランジ部94と当接し、供給ターレット11から供給された缶9を真空吸着により保持した状態で、反時計回り方向に搬送する。また、プッシュロッド27の当接部274が降下し、当接部274が押下板244と接触している。
なお、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動しており、製造ターレット13のボトムパッド331は、ボトムパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド331の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。
【0074】
次に、搬送装置1は、同図(b)に示すように、当接部274が押下板244を押下し、フランジパッド241が降下し、缶9の下部がボトムパッド331と接触する。このとき、フランジパッド241は、缶9のフランジ部94を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド331が、缶9の下部の真空吸着を開始する。
【0075】
次に、搬送装置1は、同図(c)に示すように、フランジ部材274dがさらに降下し、缶9の底部がボトムパッド331に押し付けられる。このとき、ボトムパッド331は、缶9の下部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド241が、缶9内部の真空破壊を開始する。
【0076】
次に、搬送装置1は、同図(d)に示すように、フランジ部材274dが上昇し、フランジパッド241から缶9のフランジ部94が離れる直前の状態となる。このとき、ボトムパッド331は、缶9の下部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド241は、缶9内部の真空破壊を完了している。
【0077】
次に、搬送装置1は、同図(e)に示すように、製造ターレット13のボトムパッド331が、投入ターレット12から供給された缶9を、缶9の下部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。
なお、ボトムパッド331は、ボトムパッド基準高さを移動しており、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、移動してきたが、ここから先は、独自の軌跡(製造ターレット13の軌跡)に沿って移動する。
【0078】
<製造ターレットから取出しターレットへの搬送>
次に、製造ターレット13から取出しターレット14への搬送について、図9を参照して説明する。
搬送装置1は、同図(e)に示すように、製造ターレット13のボトムパッド331が、投入ターレット12から供給された缶9を、缶9の底部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。また、プッシュロッド27の当接部274が降下し、当接部274が(取出しターレット14の)押下板244と接触している。
なお、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動しており、製造ターレット13のボトムパッド331は、ボトムパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド331の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。
【0079】
次に、搬送装置1は、同図(d)に示すように、当接部274が押下板244を押下し、フランジパッド241が降下し、缶9の下部がボトムパッド331と接触する。このとき、ボトムパッド331が、缶9の下部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド241が、缶9内部の真空吸着を開始する。
【0080】
次に、搬送装置1は、同図(c)に示すように、フランジ部材274dがさらに降下し、缶9の底部がボトムパッド331に押し付けられる。このとき、フランジパッド241は、缶9内部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド331が、缶9の下部の真空破壊を開始する。
【0081】
次に、搬送装置1は、同図(b)に示すように、フランジ部材274dが上昇し、ボトムパッド331から缶9の下部が離れる直前の状態となる。このとき、フランジパッド241は、缶9内部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド331は、缶9の下部の真空破壊を完了している。
【0082】
次に、搬送装置1は、同図(a)に示すように、取出しターレット14のフランジパッド241が、製造ターレット13から供給された缶9を、缶9内部の真空吸着により保持した状態で、反時計回り方向に搬送する。
なお、ボトムパッド331は、ボトムパッド基準高さを移動しており、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、移動してきたが、ここから先は、独自の軌跡(取出しターレット14の軌跡)に沿って移動する。
【0083】
<取出しターレットから検査ターレットへの搬送>
次に、取出しターレット14から検査ターレット15への搬送について、図8を参照して説明する。
搬送装置1は、同図(e)に示すように、取出しターレット14のフランジパッド241が、製造ターレット13から供給された缶9を、缶9のフランジ部を真空吸着により保持した状態で、反時計回り方向に搬送する。
なお、検査ターレット15のボトムパッド113は、ボトムパッド基準高さを移動しており、取出しターレット14のフランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、移動している。
【0084】
次に、搬送装置1は、同図(d)に示すように、ボトムパッド113が上下動カム115によって上昇し、缶9の底部がボトムパッド113と接触する。このとき、フランジパッド241は、缶9内部を真空吸着しており、かつ、ボトムパッド113が、缶9の下部の真空吸着を開始する。
【0085】
次に、搬送装置1は、同図(c)に示すように、パッド受け114が上下動カム115によってさらに上昇し、缶9の下部がボトムパッド113に押し付けられる。このとき、ボトムパッド113は、缶9の下部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド241が、缶9内部の真空破壊を開始する。
【0086】
次に、搬送装置1は、同図(b)に示すように、パッド受け114が上下動カム115によって降下し、缶9のフランジ部94からフランジパッド241が離れる直前の状態となる。このとき、ボトムパッド113は、缶9の下部を真空吸着しており、かつ、フランジパッド241は、缶9内部の真空破壊を完了している。
【0087】
次に、搬送装置1は、同図(a)に示すように、検査ターレット15のボトムパッド113が、取出しターレット14から供給された缶9を、缶9の下部を真空吸着により保持した状態で、時計回り方向に搬送する。
なお、ボトムパッド113は、ボトムパッド基準高さを移動しており、フランジパッド241は、フランジパッド基準高さを移動している。また、フランジパッド241は、上述した揺動カム26による揺動機構と直動カム25による直動機構によって、ボトムパッド113の(上方から見た)軌跡に沿って、移動してきたが、ここから先は、独自の軌跡(検査ターレット15の軌跡)に沿って移動する。
なお、検査ターレット15から排出ターレット16への移送は、上述した供給ターレット11から投入ターレット12への移送と同様に行なわれる。また、排出ターレット16から搬出コンベア17への移送は、上述した取出しターレット14から検査ターレット15への移送とほぼ同様に行なわれる。
【0088】
このように、本実施形態の搬送装置1は、様々な胴部形状の缶9であっても、胴部形状の変更にともなうポケット,グリッパ,ガイド等の切替を行なわなくてもすみ、生産性を向上させることができる。また、缶胴パネリング強度などが弱い有底容器であっても、凹みや傷つきなどの損傷を発生させずに、高速搬送することができる。
【0089】
[有底容器の搬送方法]
本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送方法は、投入ターレット12と製造ターレット13の間で、投入ターレット12に配設された真空吸着手段24が、上部が開口した缶9のフランジ部94を介して、缶9内部を真空吸着し保持する。続いて、製造ターレット13に配設された真空吸着手段33が、缶9の下部を吸着保持し、さらに、投入ターレット12の真空吸着手段24が缶9を開放することにより、缶9を受け渡す有底容器の搬送方法である。また、真空吸着手段24が、缶9の開口されたフランジ部94と当接するフランジパッド241を介して、缶9内の空気を吸引することによって、缶9を保持する方法としてある。
このように、本発明は、有底容器(本実施形態では、缶9)の搬送方法としても有効であり、様々な胴部形状の缶9を高速搬送するとともに、胴部形状が様々に変わっても型替えが不要であり、生産性を向上させることができる。
【0090】
また、好ましくは、真空吸着手段24は、缶9内の空気を吸引する際、リリーフバルブ246が缶9の搬送バキューム圧に到達すると、外気を缶9内に導入し、リリーフバルブ246に設けられたオリフィスがリリーフバルブ246のリリーフ流量を制御する方法とするとよい。このようにすると、搬送バキューム圧の立ち上がり時間が短縮化され、高速搬送を行なうことができる。
【0091】
なお、本明細書では、有底容器の搬送装置について詳細に説明したが、有底容器の搬送装置における様々な実施形態、たとえば、有底容器が、上部にフランジ部を有する、ネックイン・フランジ成形された容器であり、パッドが、フランジ部と当接すること(請求項2),有底容器が、胴部張出し加工又はブロー成形加工の施された金属容器であること(請求項3),移動機構を有すること(請求項4),高さ方向移動機構を有すること(請求項5),プッシュロッドを備えたこ(請求項6),搬送バキューム圧を、有底容器にかかる最大慣性力に耐え、かつ、有底容器を保持できる圧力≧搬送バキューム圧≧容器の胴部パネリング強度に対応する圧力としたこと(請求項7),及び,有底容器の回転方向に対する位置を制御する位置決め用モータとを備えたこと(請求項9)は、有底容器の搬送方法にも適用でき、同様の効果を発揮することができる。
【0092】
以上、本発明の有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、製造ターレット13は、投入ターレット12によって搬送されてきた缶9を受け取り、缶9をブロー成形する構成としてあるが、これに限定されるものではない。すなわち、製造ターレット13が行なう作業は、たとえば、塗装、乾燥、印刷など様々な作業を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上説明したように、本発明の有底容器の搬送装置及び有底容器の搬送方法は、胴部に様々な形状が成形された異形容器(金属缶,プラスチックボトル,カップなどの様々な容器)に対して、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の全体的な構成を説明するための概略平面図を示している。
【図2】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の供給ターレットを説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
【図3】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の投入ターレットを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を、(b)は平面図を示している。
【図4】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の投入ターレットの、移動機構を説明するための要部の概略平面図を示している。
【図5】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の投入ターレットの、搬送バキューム圧の立上がり曲線を示している。
【図6】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の製造ターレットを説明するための要部の概略拡大図であり、(a)は平面図を、(b)はA−A断面図を示している。
【図7】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の製造ターレットに設けられた、プッシュロッドを説明するための概略図であり、(a)は側面図を、(b)は要部の拡大図を示している。
【図8】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の、供給ターレットから投入ターレットへの移送動作を説明するための概略図であり、(a)はボトムパッドが上昇する前の側面図を、(b)は缶がフランジパッドと接触したときの側面図を、(c)は投入ターレットの真空吸着手段が吸引中の側面図を、(d)はボトムパッドが缶から離れる直前の側面図を、(e)はボトムパッドが降下し終わった状態の側面図を示している。
【図9】本発明の一実施形態に係る有底容器の搬送装置の、投入ターレットから製造ターレットへの移送動作を説明するための概略図であり、(a)はプッシュロッドが真空吸着手段と接触したときの側面図を、(b)は缶がボトムパッドと接触したときの側面図を、(c)は製造ターレットの真空吸着手段が吸引中の側面図を、(d)はフランジパッドが缶から離れる直前の側面図を、(e)はプッシュロッドが真空吸着手段から離れる直前の側面図を示している。
【図10】従来例にかかるボトル型缶の搬送方法を説明する概略図であり、(a)は供給方法を説明する側面図を、(b)は排出方法を説明する側面図を示している。
【符号の説明】
【0095】
1 搬送装置
9 缶
10 供給コンベア
11 供給ターレット
12 投入ターレット
13 製造ターレット
14 取出しターレット
15 検査ターレット
16 排出ターレット
17 搬出コンベア
21 回転円板
22 軸受ブロック
23 ローラーガイド
24 真空吸着手段
25 直動カム
26 揺動カム
27 プッシュロッド
31 回転円板
32 スライドブロック
33 真空吸着手段
34 スライドカム
35 回転方向位置決め手段
51 検査装置
92a チャイム部
92b 環状突部
92c 中央ドーム部
93 ネックイン部
94 フランジ部
111 回転円板
112 ローラーガイド
112a レール部
112b 取付け部
113 ボトムパッド
113a バキュームジョイント
113b 吸気孔
114 パッド受け
114a スライドピン
114b ストッパボルト
114c 圧縮ばね
114d 貫通孔
114e ピン孔
115 上下動カム
115a 環状部材
115b 従動部
115c アーム
221 ボールベアリング
222 揺動軸
231 レール部
232 取付け部
241 フランジパッド
241b 吸気孔
242 スライドピン
243 圧縮ばね
244 押下板
244a 円筒部
244b 吸着孔
244c 供給孔
244d 凸部
245 バキュームジョイント
246 リリーフバルブ
251 円板
252 取付け部材
253 従動部
254 溝
261 円板
262 揺動アーム
263 従動部
264 溝
247 連結部材
271 支持部材
272 ローラーガイド
273 押下棒
274 当接部
274a 円筒部材
274b ボルト
274c ボールベアリング
274d フランジ部材
274e 圧縮ばね
274f スライドピン
274g ストッパボルト
274h 当接板
321 取付け部
322 収容部
323 シャフト押え
331 ボトムパッド
332 吸気軸
333 ボールベアリング
333a ベアリングブロック
333b 受け台
334 ベース
335 リニアベアリング
335a スライドシャフト
335b スライドユニット
336 歯車
337 ステッピングモータ
337a ギア
341 レール
342 従動部
343 アーム
344 溝
351,352 光センサ
363 支持部材
900 ボトル型缶
961 マンドレル
961a 孔
962 バキュームパッド
963 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の搬送手段と第二の搬送手段を有し、前記第一の搬送手段と第二の搬送手段の間で、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された有底容器を受け渡す有底容器の搬送装置であって、
前記第一の搬送手段に配設され、前記有底容器の上部又は下部のいずれか一方を保持する複数の第一の容器保持手段と、
前記第二の搬送手段に配設され、前記有底容器の上部又は下部のいずれか他方を保持する複数の第二の容器保持手段と
を備え、
前記有底容器の開口された上部又は下部を保持する前記第一又は第二の容器保持手段が、前記有底容器の開口された部分と当接するパッドと、このパッドを介して前記有底容器内の空気を吸引する真空吸着手段を有することを特徴とする有底容器の搬送装置。
【請求項2】
前記有底容器が、上部にネックイン・フランジ成形された、フランジ部を有する容器であり、前記パッドが、前記フランジ部と当接することを特徴とする請求項1記載の有底容器の搬送装置。
【請求項3】
前記有底容器が、胴部張出し加工又はブロー成形加工の施された金属容器であることを特徴とする請求項1又は2記載の有底容器の搬送装置。
【請求項4】
前記有底容器を受け渡す際、前記第一の容器保持手段と第二の容器保持手段を同一軌跡に沿って、かつ、同期した状態で移動させる移動機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有底容器の搬送装置。
【請求項5】
前記有底容器を受け渡す際、前記第一又は第二の容器保持手段の少なくとも一方を、前記有底容器の高さ方向において、前記有底容器に対して接離する方向に移動させる高さ方向移動機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有底容器の搬送装置。
【請求項6】
前記高さ方向移動機構が、前記パッドを前記有底容器の高さ方向に移動自在に支持するスライド手段と、このスライド手段に移動自在に支持された前記パッドを、前記有底容器の高さ方向において、前記有底容器から離反する方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段の付勢力に抗して、前記パッドを前記有底容器の高さ方向において前記有底容器に接近する方向に移動させるプッシュロッドとを備えたことを特徴とする請求項5記載の有底容器の搬送装置。
【請求項7】
前記真空吸着手段の搬送バキューム圧を、前記有底容器にかかる最大慣性力に耐え、かつ、前記有底容器を保持できる圧力≧搬送バキューム圧≧容器の胴部パネリング強度に対応する圧力としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有底容器の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送バキューム圧の圧力制御手段が、前記搬送バキューム圧が設定された圧力に到達すると、外気を前記有底容器内に導入するリリーフ弁と、前記リリーフ弁のリリーフ流量を制御する流量制御手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の有底容器の搬送装置。
【請求項9】
前記第一又は第二の容器保持手段が、保持した前記有底容器の周方向に対する角度位置を検出するセンサと、このセンサからの検出信号にもとづいて、前記有底容器の周方向に対する角度位置を制御する位置決め用モータとを備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有底容器の搬送装置。
【請求項10】
第一の搬送手段と第二の搬送手段の間で、上部又は下部の一方が開口され他方が閉止された有底容器を受け渡す場合に、前記第一の搬送手段に配設された第一の容器保持手段が、前記有底容器の上部又は下部のいずれか一方を保持し、続いて、前記第二の搬送手段に配設された第二の容器保持手段が、前記有底容器の上部又は下部のいずれか他方を保持し、さらに、前記第一の容器保持手段が前記有底容器を開放することにより、前記有底容器を受け渡す有底容器の搬送方法であって、
前記第一又は第二の容器保持手段が、前記有底容器の開口された部分と当接するパッドを介して、前記有底容器内の空気を吸引することによって、前記有底容器を保持する
ことを特徴とする有底容器の搬送方法。
【請求項11】
前記第一又は第二の容器保持手段が、前記有底容器内の空気を吸引する際、リリーフ弁が、前記有底容器の搬送バキューム圧に到達すると、外気を前記有底容器内に導入し、流量制御手段が、前記リリーフ弁のリリーフ流量を制御する
ことを特徴とする請求項10記載の有底容器の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−70049(P2007−70049A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258895(P2005−258895)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】