説明

有機半導体膜の電界処理方法、及び有機半導体デバイスの製造方法、並びに薄膜センサー

【課題】 電気的特性の向上を図ることができる有機半導体膜の電界処理方法、及び有機半導体デバイスの製造方法、並びに薄膜センサーを提供する。
【解決手段】 第1電極10上に有機半導体膜20を形成し、この有機半導体膜20に第2電極30を形成した後、第1電極10及び第2電極30に電圧を印加して有機半導体膜20に電界を与えることにより、有機半導体膜20の周縁部に向かって有機半導体膜20中のイオン化した混入物を移動させるようにし、有機半導体膜20の電気的特性の向上を図るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体膜の電界処理方法、及び有機半導体デバイスの製造方法、並びに薄膜センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体膜を用いた有機半導体デバイスとしては、例えば、ガスセンサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。この公報に開示されたガスセンサーは、光導電性有機半導体層を2枚の金属電極で挟んだサンドイッチ型セルを用いており、雰囲気ガスを検知することが可能となる。
【0003】
ところで、有機半導体デバイスにおいては、製造の過程で、有機半導体膜中に、例えば、酸素や水分、また金属イオン等が混入し、これら混入物が原因となって、膜自体にトラップ準位を引き起こし、膜の抵抗が不安定となり、デバイス特性の不安定化を引き起こしてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2002−71638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した状況に鑑み、電気的特性の向上を図ることができる有機半導体膜の電界処理方法、及び有機半導体デバイスの製造方法、並びに薄膜センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1の態様は、有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜の周縁部に向かって前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0006】
かかる本発明の第1の態様では、有機半導体膜中のイオン化した混入物が有機半導体膜の周縁部に向かって移動するので、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体膜の電気的特性が向上する。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1電極上に有機半導体膜を形成すると共に前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0008】
かかる本発明の第2の態様では、有機半導体膜中のイオン化した混入物が有機半導体膜と第1電極又は第2電極との界面側に向かって移動するので、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体膜の電気的特性が向上する。
【0009】
本発明の第3の態様は、前記第1電極を無機酸化物により形成すると共に前記第2電極を金属材料により形成し、且つ前記第1電極を負極とし前記第2電極を正極として、前記第1電極に対して前記第2電極に正電位を印加することにより、前記有機半導体膜と前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする第2の態様記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0010】
かかる本発明の第3の態様では、負極とした第1電極に対して第2電極に正電位を印加して電界を与えることにより、有機半導体膜中のイオン化した混入物、特に第1電極と有機半導体膜との界面に存在するマイナスイオン成分が有機半導体膜と第2電極との界面側に向かって移動するので、その結果、有機半導体膜の電気的特性が向上する。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記第1電極として、アナタース型結晶構造を有する無機酸化物膜を形成することを特徴とする第2又は3の態様記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0012】
かかる本発明の第4の態様では、無機酸化物膜である第1電極と有機半導体膜との界面にトラップ準位を引き起こす要因となる混入物が存在しないので、有機半導体デバイスに適用した場合に、大気曝露に対する安定性を確保しつつ、優れた電気的特性を発揮する。
【0013】
本発明の第5の態様は、前記第1電極として、アナタース型結晶構造を持った酸化チタンを含有する無機酸化物膜を形成することを特徴とする第2又は3の態様記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0014】
かかる本発明の第6の態様では、アナタース型結晶構造を持った酸化チタンを含有する無機酸化物膜である第1電極と有機半導体膜との界面にトラップ準位を引き起こす要因となる混入物が存在しないので、有機半導体デバイスに適用した場合に、大気曝露に対する安定性を十分に確保しつつ、優れた電気的特性を発揮する。
【0015】
本発明の第6の態様は、フィルム状又は板状の基材を加熱状態とすると共に加熱状態の前記基板に対して有機チタン化合物を含むガスを吹き付けることにより前記無機酸化膜を形成することを特徴とする第5の態様記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0016】
かかる本発明の第6の態様では、比較的フレキシブルな基材に対してでも均一で結晶性の良い無機酸化物膜からなる第1電極を確実に形成することができる。
【0017】
本発明の第7の態様は、前記有機チタン化合物をチタンイソプロポオキシドとすることを特徴とする第6の態様記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0018】
かかる本発明の第7の態様では、比較的フレキシブルな基材に対してでも均一で結晶性の良い無機酸化物膜からなる第1電極を確実に形成することができる。
【0019】
本発明の第8の態様は、前記第2電極に金あるいは銀を含有することを特徴とする第2〜7の何れか1つの態様に記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0020】
かかる本発明の第8の態様では、有機半導体膜との仕事関数が近く、接触抵抗が小さくなり、電界処理をより効果的に施すことができる。
【0021】
本発明の第9の態様は、前記有機半導体膜が、チオフェンのオリゴマー又はポリマーを含むチオフェン含有膜であることを特徴とする第1〜8の何れか1つの態様に記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0022】
かかる本発明の第9の態様では、チオフェン含有膜である有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められる。
【0023】
本発明の第10の態様は、前記有機半導体膜が、真空蒸着法あるいは塗布法、回転塗布法により形成した膜であることを特徴とする第1〜9の何れか1つの態様に記載の有機半導体膜の電界処理方法にある。
【0024】
かかる本発明の第10の態様では、真空蒸着法等により成膜された有機半導体膜に対して電界処理を施すことで、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められる。
【0025】
本発明の第11の態様は、フィルム状又は板状の基材上に第1電極を形成し、前記第1電極上に有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0026】
かかる本発明の第11の態様では、有機半導体膜中のイオン化した混入物が有機半導体膜の周縁部に向かって移動するので、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体デバイスの電気的特性が向上する。
【0027】
本発明の第12の態様は、前前記第1電極を無機酸化物により形成すると共に前記第2電極を金属材料により形成し、且つ前記第1電極を負極とし前記第2電極を正極として、前記第1電極に対して前記第2電極に正電位を印加することにより、前記有機半導体膜と前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする第11の態様記載の有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0028】
かかる本発明の第12の態様では、負極とした第1電極に対して第2電極に正電位を印加して電界を与えることにより、有機半導体膜中のイオン化した混入物、特に第1電極と有機半導体膜との界面に存在するマイナスイオン成分が有機半導体膜と第2電極との界面側に向かって移動するので、その結果、有機半導体デバイスの電気的特性が向上する。
【0029】
本発明の第13の態様は、フィルム状又は板状の導電性基材上に第1電極を形成し、前記第1電極上に有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記導電性基材又は前記第1電極と前記第2電極とに電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0030】
かかる本発明の第13の態様では、有機半導体膜中のイオン化した混入物が有機半導体膜と第1電極又は第2電極の界面側に向かって移動するので、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体デバイスの電気的特性が向上する。
【0031】
本発明の第14の態様は、前記第1電極を無機酸化物により形成すると共に前記第2電極を金属材料により形成し、且つ前記導電性基材及び前記第1電極を負極とし前記第2電極を正極として、前記導電性基材又は前記第1電極に対して前記第2電極に正電位を印加することにより、前記有機半導体膜と前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする第13の態様記載の有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0032】
かかる本発明の第14の態様では、導電性基材及び第1電極を負極として用い、導電性基材又は第1電極に対して第2電極に正電位を印加することにより、有機半導体膜中のイオン化した混入物、特に第1電極と有機半導体膜との界面に存在するマイナスイオン成分が有機半導体膜と第2電極との界面側に向かって移動するので、その結果、有機半導体デバイスの電気的特性が向上する。
【0033】
本発明の第15の態様は、フィルム状又は板状の透明導電性基材上に透明性を有する第1電極を形成し、前記第1電極上に有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記透明導電性基材又は前記第1電極と前記第2電極とに電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0034】
かかる本発明の第15の態様では、有機半導体膜中のイオン化した混入物が有機半導体膜と第1電極又は第2電極の界面側に向かって移動するので、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体デバイスの電気的特性が向上する。
【0035】
本発明の第16の態様は、フィルム状又は板状の基材を加熱状態とすると共に加熱状態の前記基板に対して有機チタン化合物を含むガスを吹き付けることにより前記第1電極を形成することを特徴とする第11〜15の何れか1つの態様に記載の有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0036】
かかる本発明の第16の態様では、基材に対して均一で結晶性の良い無機酸化物膜を形成することができる。また、この方法により得られた無機酸化物膜は、n型半導体膜として機能させることができる。
【0037】
本発明の第17の態様は、前記有機チタン化合物をチタンイソプロポオキシドとすることを特徴とする第16の態様記載の有機半導体デバイスの製造方法にある。
【0038】
かかる本発明の第17の態様では、基材に対して均一で結晶性の良い無機酸化物膜を形成することができる。また、この方法により得られた無機酸化物膜は、n型半導体膜として機能させることができる。
【0039】
本発明の第18の態様は、無機酸化物からなり且つ透明性を有する第1電極と、前記第1電極上に設けられると共に電界処理が施された有機半導体膜と、前記有機半導体膜上に設けられる第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に接続されて前記第1電極及び前記第2電極の間に流れる電流に基づいて前記第1電極側から入射する光を検知する検知手段とを備えたことを特徴とする薄膜センサーにある。
【0040】
かかる本発明の第18の態様では、所望の電界処理によって有機半導体膜の電気的特性が飛躍的に向上しているので、良好なダイオードの整流特性や光感応性を有し、且つ高い信頼性を有する薄膜センサーを実現することができる。
【0041】
本発明の第19の態様は、前記第1電極は、アナタース型結晶構造を有する無機酸化物膜からなることを特徴とする第18の態様記載の薄膜センサーにある。
【0042】
かかる本発明の第19の態様では、アナタース型結晶構造により第1電極を構成することで、薄膜センサーの消費電力を小さくすることができ、S/N比が劣化することを有効に防止することができる。

【0043】
本発明の第20の態様は、前記第1電極は、アナタース型結晶構造を持った酸化チタンを含有する無機酸化物膜からなることを特徴とする第18の態様記載の薄膜センサーにある。
【0044】
かかる本発明の第20の態様では、アナタース型結晶構造により第1電極を構成することで、酸化チタンの禁制帯中に再結合順位が形成されることが防止され、その結果、薄膜センサーの消費電力を小さくすることができ、S/N比が劣化することを有効に防止することができる。
【0045】
本発明の第21の態様は、前記有機半導体膜は、チオフェンのオリゴマー又はポリマーを含むチオフェン含有膜からなることを特徴とする第18〜20の何れか1つの態様に記載の薄膜センサーにある。
【0046】
かかる本発明の第21の態様では、良好なダイオードの整流特性や光感応性が得られる。
【0047】
本発明の第22の態様は、前記第2電極は、金あるいは銀を含有することを特徴とする第18〜21の何れか1つの態様に記載の薄膜センサーにある。
【0048】
かかる本発明の第22の態様では、有機半導体膜との仕事関数が近く、接触抵抗が小さくなり、S/N比を向上させることができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、有機半導体膜に所望の電界を与え、有機半導体膜中のイオン化した混入物を有機半導体膜の周縁部に向かって移動させるようにしたので、有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体膜の電気的特性を向上させることができるという効果を奏する。
【0050】
また、このようにして所望の電界処理が施された有機半導体膜を用いて製作される有機半導体デバイスは、優れたデバイス特性、特に優れた電気的特性が得られ、またこのような有機半導体デバイスを応用して製造される薄膜センサーにおいては、良好なダイオードの整流特性や光感応性を実現することができ、高い信頼性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明は、成膜後の有機半導体膜に対して、有機半導体膜中からその周縁部に向かって有機半導体膜中に存在するイオン化した混入物を移動させるよう所望の電界処理を行う点に特徴がある。
【0052】
ここで、成膜後の有機半導体膜には、例えば、酸素や水分、また金属イオン等が混入している場合がある。そして、このようなイオン化した混入物を含む有機半導体膜を用いて有機半導体デバイスを作製した場合には、膜自体にトラップ準位を引き起こし、膜の抵抗が不安定となり、その結果、所望のデバイス特性が得られず、またデバイス特性が不安定となってしまうという問題を生じる。
【0053】
そこで、本発明者は、成膜後の有機半導体膜に対し、所望の電界処理を行うことで、上記の問題を解決した。ここでいう「所望の電界処理」とは、成膜後の有機半導体膜中に存在するイオン化した混入物を有機半導体膜の周縁部に向かって移動させるように有機半導体膜に対して電位勾配を与える処理のことをいう。なお、この有機半導体膜に対する電界処理としては、有機半導体膜自体に絶縁破壊が生じない程度の電位を印加するのが好ましい。
【0054】
また、本発明に係る有機半導体膜の電界処理は、有機半導体膜中での混入物に起因した電気的な悪影響を解消することができるため、例えば、有機半導体膜の形成方法(有機半導体膜形成後の後処理を含む)や有機半導体デバイスの製造方法等において好適に用いることができ、これにより、電気的特性の向上を図ることができ、また電気的特性の安定性を確保することができる。
【0055】
ここで、図1を参照して、本発明の電界処理について説明する。図1(a)に示すように、第1電極10上に有機半導体膜20を形成し、その有機半導体膜20上に第2電極30を形成した後、第1電極10及び第2電極30に電圧を印加して有機半導体膜20に電界を与えることにより、有機半導体膜20と第1電極10又は第2電極30との界面側に向かって有機半導体膜20中のイオン化した混入物を移動させることが可能となる。
【0056】
なお、ここでいう「有機半導体膜中のイオン化した混入物」には、有機半導体膜の内部に存在する混入物の他、有機半導体膜と第1電極又は第2電極との界面に存在する混入物が含まれる。
【0057】
ここで、電界処理を施す対象となる有機半導体膜としては、特に限定されないが、例えば、チオフェンのオリゴマー又はポリマー、あるいは、各種金属錯体の他、CuPc(銅フタロシアニン)、ALQ3(8−トリス−ヒドロキシキノリン−アルミニウム)、C60(フラーレン)、CNT(カーボンナノチューブ)等を含有する膜が挙げられる。なお、これらの有機半導体膜は、使用する有機半導体デバイスに応じて適宜選択すればよく、必要に応じて、ここで例示したもの以外を用いてもよい。
【0058】
また、本発明では、図1(b)に示すように、無機酸化物により第1電極10Aを形成すると共に金属材料により第2電極30Aを形成し、且つ第1電極10Aを負極とし前記第2電極30Aを正極として、第1電極10Aに対して第2電極30Aに正電位を印加するようにしてもよい。
【0059】
これにより、有機半導体膜20と第2電極30Aとの界面側に向かって有機半導体膜20中の混入物、特に第1電極10Aと有機半導体膜20との界面に存在するマイナスイオン成分(例えば、酸素イオン等)が有機半導体膜20と第2電極30Aとの界面側に向かって移動するので、その結果、有機半導体膜20の電気的特性を向上させることができる。
【0060】
また、このように第1電極10Aを無機酸化物により形成することで、金属膜を採用している場合と比べて、電極としての安定性を確保することができる。金属膜の場合には、有機半導体膜中へ金属成分が溶出することがあるが、無機酸化物膜は、金属膜と比べて化学的に安定だからである。
【0061】
なお、このような無機酸化物としては、特に限定されないが、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、SnO、TiO、P等が挙げられ、これらを単体で用いてもよいし混合して用いてもよい。また、P等で第1電極を形成した場合には、有機半導体膜中からの金属成分のトラップ効果が期待できる。この無機酸化物により形成される第1電極10Aは、単層構造としてもよいし、多層構造としてもよい。
【0062】
以上説明したように、本発明では、有機半導体膜に対して所望の電界処理を施すことにより、有機半導体膜中に存在する混入物が、有機半導体膜と第1電極又は第2電極との界面近傍(界面又はその近傍)に移動し、これによって有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、有機半導体膜自体の電気的特性を向上させることができる。
【0063】
そして、本発明の電界処理を施した有機半導体膜を用いて有機半導体デバイスを製作することにより、有機半導体膜自体がトラップ準位を引き起こすことなく、有機半導体膜の抵抗が比較的安定となることから、デバイス特性が安定化する。
【0064】
なお、本発明では、有機半導体膜へ電界を与える手段は特に限定されず、電圧を印加可能な電極間に有機半導体膜を配置し、それぞれが電気的に接続され、有機半導体膜に対して所望の電界処理を行うことができればよい。
【0065】
また、電圧の印加条件は、有機半導体膜を形成する材料や膜質、膜厚等に応じて、また絶縁破壊が生じないように最適な条件に適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、一定電圧を一定時間連続的に印加してもよいし、一定電圧をパルス的に印加してもよいし、電圧値を可変してもよい。
【0066】
また、電界処理を行う際には、電界処理を行いたい有機半導体膜の部分を電極間で完全に挟み込んだ状態、例えば、有機半導体膜の表面及び裏面のそれぞれに電極を全面に形成した状態とするのが好ましい。これにより、有機半導体膜の全体に対して電界処理を有効に施すことができ、有機半導体膜に含まれるイオン化した混入物を有機半導体膜と電極との界面に効率よく略均一に移動させることが可能となり、有機半導体膜の電気的特性をより安定化することができる。なお、このようにして電界処理が施された後は、電極をそのままデバイスの電極として用いてもよいし、デバイス構造に応じて電極を所望の形状にパターニングするようにしてもよい。
【0067】
さらに、電界処理を施す有機半導体膜は、単層構造の膜であってもよいし、多層構造の膜であってもよい。多層構造の有機半導体膜は、例えば、有機ELや有機トランジスタ等のデバイスとして使用することが可能である。すなわち、本発明に係る所望の電界処理は、例えば、有機ELや有機トランジスタ等のデバイスに用いられる多層構造の有機半導体膜においても有効である。
【0068】
以上、本発明の電界処理方法を説明したが、このような本発明の電界処理によれば、イオン化した混入物が実質的に膜中に存在していない有機半導体膜となるため、このような有機半導体膜を用いて製作される有機半導体デバイスは、優れたデバイス特性を発揮する。
【0069】
ここで、有機半導体デバイスとしては、例えば、p型半導体とn型半導体とを接合させて作製されるダイオードがあるが、n型半導体は、一般的に、大気曝露で材料に酸化反応が起こり易く、ダイオード特性が著しく損なわれることがある。
【0070】
このような問題を解決するために、ダイオード構造を真空になるようガラスで封止したり、酸化防止層を接着したりすることも考えられるが、このような試みはコスト高につながり、有機光薄膜センサーあるいは画像センシングデバイスとしての実用化を阻む要因となる。
【0071】
本発明者は、鋭意研究を進めた結果、p型半導体に接合するn型半導体を無機半導体、例えば、酸化チタン薄膜あるいはそれを含有する無機酸化物膜により形成することで、大気曝露に対する安定性を確保することができることを発見した。
【0072】
また、本発明者は鋭意研究を進めた結果、良好なダイオードの整流特性や光感応性を得るためには、n型半導体としては酸化チタン薄膜あるいはそれを含有する無機酸化物膜とするのが好ましく、p型有機半導体としてはチオフェンのオリゴマー、あるいはポリマーを含有するチオフェン含有膜とすることが好ましいことが分かった。
【0073】
なお、このようなチオフェンを含有するp型有機半導体膜は、例えば、真空蒸着法あるいは塗布法、回転塗布法をもちいて形成することが可能である。これらの方法で作製したp型有機半導体膜は、何れも光感応機能を確認することができている。
【0074】
ここで、このような有機半導体デバイスは、上述したように、良好なダイオードの整流特性や光感応性が得られることから、例えば、画像センサー、光センサー等の光薄膜センサーとして好適に用いることができる。また、有機半導体膜は、フレキシブルな基材の上に形成することが可能であることから、柔軟で大気放置にも安定なフレキシブル光薄膜センサーを実現するが可能となる。
【0075】
また、本発明の有機半導体デバイスを用いた光薄膜センサーにおいては、第1電極は、アナタース型結晶構造を有する無機酸化物膜からなることが好ましい。アナタース型結晶構造により第1電極を構成することで、薄膜センサーの消費電力を小さくすることができ、S/N比が劣化することを有効に防止することができる。
【0076】
さらに、本発明では、上述したように大気曝露に対する安定性を確保するため無機酸化物膜としては酸化チタン薄膜、あるいは酸化チタンを含有する無機酸化物膜とするのが好ましく、このように酸化チタンを用いた場合においても、同様に、アナタース型結晶構造とするのが好ましい。
【0077】
なお、無機酸化物膜としては、アナタース型結晶の比率を高めた方が好ましく、より好ましくは膜全体がアナタース結晶で構成されているのがよい。薄膜センサーとしての性能を向上させることができるからである。これは、アナタース型結晶以外で他のルチル結晶質やアモルファスが存在すると、酸化チタンの禁制帯中に再結合準位が形成され、ダイオードとして形成された場合、リーク電流となり、光薄膜センサーとして使用した際に消費電力が大きくなり、S/N比が劣化する好ましくないからである。
【0078】
このような酸化チタンを含む無機酸化物膜は、有機チタン化合物、例えばチタンイソプロポオキシドを含むガスを、約250℃〜約550℃の温度範囲で加熱した基材に吹き付けて膜形成することが可能である。なお、温度範囲は、例えば、基材の材質や、吹き付ける成膜原料、ガス等の諸条件に応じて、適宜調整すればよい。このような方法を用いることで、フレキシブルな基材にも均一で結晶性の良い無機酸化物膜を形成することが可能である。すなわち、フレキシブル光薄膜センサーを実現することが可能である。なお、基材への吹き付け用ガスとしては、例えば、不活性ガスを用いることも可能である。
【0079】
このようにして製造された本発明の有機半導体デバイスは、無機酸化物膜(無機半導体)をn型半導体として機能させ、さらに有機半導体膜をp型半導体として機能させることが可能であり、これらを接合したときに無機半導体とp型有機半導体とはそれぞれ、カソードとアノードとして機能する。
【0080】
そして、このような有機半導体デバイスにおいては、無機酸化物膜に対して正電位をかけると、有機半導体膜には順電流が流れて、ダイオードの順バイアス状態として機能させることが可能である。無機酸化物膜に電気接触をもたらすため、フィルム状又は板状の導電性基材を無機酸化物膜に接触させて、それを負極として活用し、有機半導体膜に通電させるために、有機半導体膜に金属薄膜を接触させて、それを正極とする。
【0081】
ここで、金属薄膜には金あるいは銀を用いることが望ましい。これら金属は、上記有機半導体と仕事関数が近く、接触抵抗が小さくなり、本発明を薄膜センサーに適用した場合にS/N比を向上させるのに有効だからである。また、これら有機半導体との仕事関数が近い材料により金属薄膜を形成することで、電界処理をより効果的に施すことができる。
【0082】
一方、本発明では、正極を形成する材料として、例えば、LiF、CaF、ITO(酸化インジウムスズ)等とすることが可能である。これらの材料を用いることで、電界処理により移動した混入物のトラップ効果が得られ、有機半導体膜の有効成分の純度維持に効果的だからである。
【0083】
以上のようなn型半導体とp型半導体とで構成される有機半導体デバイスにおいても、本発明の電界処理により有機半導体膜の有効成分の純度が実質的に高められ、その結果、デバイス特性を向上させることが可能である。
【0084】
例えば、フィルムあるいは板状の導電性基材の上に、酸化チタンを含む無機酸化物膜を形成し、その上にチオフェンのオリゴマーあるいはポリマーなどの有機半導体膜を形成し、その上に金などの金属薄膜を接触させた積層構造を製作した後、無機酸化物膜あるいは導電性基材を負極とし、金属薄膜を正極とし、負極に対して正極に正電位を印加し、有機半導体膜に所望の電界を与えることにより、有機半導体中のイオン化した混入物が、無機酸化物界面から吐き出されつつ金属薄膜側に向かって移動する。
【0085】
これにより、無機酸化物膜である第1電極と有機半導体膜との界面にトラップ準位を引き起こす要因となる混入物(例えば、酸素イオン等)が存在しないので、このような有機半導体膜を有機半導体デバイスに適用した場合においては、大気曝露に対する安定性を確保しつつ、優れた電気的特性を発揮する。したがって、このような有機半導体デバイスを用いて薄膜センサーを製作することにより、優れた電気的特性を発揮し、また良好なダイオードの整流特性や光感応性を有し、高い信頼性を発揮する薄膜センサーを実現することができる。
【0086】
ここで、n型半導体として酸化チタン薄膜を用いた場合には、負極とした無機酸化物膜に対して金属薄膜に正電位を加えることにより、有機半導体中のイオン化した混入物が、電界により移動し、有機半導体膜と無機酸化物(酸化チタン薄膜)との界面から金属薄膜側に吐き出されることで、有機半導体膜の電気的特性を向上させることができる。電界処理としては、好ましくは1〜5V程度の電位を加えて10分程度放置することが効果的である。なお、1Vを下回る電位では処理効果が小さく、また5V以上の電位をかけると有機半導体自体が絶縁破壊してしまう事例がみられ、かえって損傷という好ましくない状況になってしまうことがわかった。
【0087】
なお、上述したような有機半導体デバイス、薄膜センサーにおいて、基材としては、例えば、ガラス基板等を用いることが可能であり、また、フレキシブル基材を用いることで、フレキシブル薄膜センサーを実現することができる。
【0088】
さらに、本発明の薄膜センサーは、図2に示すように、透明基材100上に透明導電性膜からなる第1電極110を設け、第1電極110上に有機半導体膜120、第2電極130を積層して有機半導体デバイスとし、これに第1電極110と第2電極130との間に流れる電流値を検出する検出器(検出手段)140を接続することで得ることが可能である。検出器140は、有機半導体デバイスに流れる電流をモニターするための電流計により構成される。このような薄膜センサーは、検出器140により正極あるいは負極に流れる電流を検知することで、有機半導体デバイスに入射する光を検知することが可能となる。なお、図2で示した薄膜センサーにおいては、透明基材100を用いて説明したが、勿論これに限定されず、透明基材100の代わりに、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、SnO等からなる透明導電性基材を用いてもよい。
【0089】
また、このような薄膜センサーは、金属薄膜、有機半導体膜をガラスやシリコーンで封止することにより、大気との接触を有効に防止し、性能の安定化により効果的である。
【0090】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0091】
図3に示されるような薄膜センサーを形成した。ガラス基板上にSnO膜を厚み0.2μmでCVD法により形成して、この膜を負極とした。この膜上に酸化チタンを形成するが、次の手順でおこなった。チタンテトラプロポオキシド(Ti「OC)を毎分1Lの窒素ガスでバブリングし、そのガスを該SnO膜付きガラス基板にふきつけて、そのガラス基板をあらかじめ350から400℃で加熱しておくことで、SnO膜上に酸化チタン薄膜を形成する。吹き付ける時間は1〜5分程度である。この膜は、アナタース多結晶100%で構成されている。この膜上に真空蒸着法で6T膜を厚み350nmで形成した。この6T膜は、これ以外にも、同じチオフェン系の膜でポリマーであるP3HT(Poly−3−hexylthiophene)でも、後に述べる光センシング機能が得られる。6T膜は、真空蒸着法以外に、はけによる塗布法や回転塗布法で形成しても同様の機能が得られる。この上に、金薄膜を真空蒸着法で200nmの厚みで形成した。また、SnO膜にAl膜を接触させて、これを負極とした。金薄膜を正極とした。
【0092】
この薄膜センサーの特性を安定させるために、負極に対して正極に正電位を加えて一定時間を放置する。本実施例では、有機半導体膜にP3HT膜を用いたときの事例を示す。ここでは、負極を0Vとし正極に3Vの電位を加え10分間放置した。
【0093】
ここで、処置する前と処置した後の同薄膜のV−I特性を図4に示す。なお、ここでの電界強度は、膜厚約500nmの有機半導体膜に3Vの電位を印加した条件において6×10V/cmであった。処置前では電流は順バイアス3Vのときに2.4×10−9A/cm以下しか流れず、全く整流特性がえられていないが、処置後では最大5×10−7A/cm近く流れ、明瞭な整流特性が得られている。すなわち、この電界処理は、本発明の薄膜センサーをダイオードとして機能させるのに必要な手順であることがわかる。
【0094】
この薄膜センサーに3200Kのフィラメント温度を持つランプで強度50μWの光をあてたところ、当てる前と当てた後のV−I特性に変化が生じる。図5に有機半導体膜に6T膜を用いた時のV−I特性を示す。ここでは、負極の電位を0Vに固定して、正極の電位を様々な値にしたときの正極に流れる電流を、光有りと無しの場合に分けて測定した。順バイアスで電圧を高めれば高めるほど、光有りのときの電流が増強していることがわかる。順バイアス時の電流増強は、有機半導体膜に白色光が入射し、内部にキャリアが発生し、導電率変調を起こしたためと考えられる。
【0095】
このグラフの縦軸を拡大して表示した図を図6にも示す。0V時や負の電圧である逆バイアス時にも光照射に応じて、電流が変化する様子がわかる。この場合は、酸化チタンと有機半導体膜界面に発生している空乏層で光照射によりキャリアが発生し、電流が発生したためと考えられる。
【0096】
以上示すように、本実施例において、光照射の有無で電極に流れる電流の大きさが変わり、これを検知することで光の検出に使えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の有機半導体膜への電界処理方法の概略を示す断面図である。
【図2】本発明に係る薄膜センサーを示す概略図である。
【図3】本発明の実施例として作製された薄膜センサーを示す概略図である。
【図4】本発明の実施例における順バイアス印加による特性改善効果を示す図である。
【図5】本発明の実施例における光照射有りと無しにおけるダイオード電流の変化を示す図である。
【図6】本発明の実施例における光照射有りと無しにおけるダイオード電流の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
10、10A、110 第1電極
20、120 有機半導体膜
20、20A、120 第2電極
100 透明基材
140 検出器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜の周縁部に向かって前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項2】
第1電極上に有機半導体膜を形成すると共に前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項3】
前記第1電極を無機酸化物により形成すると共に前記第2電極を金属材料により形成し、且つ前記第1電極を負極とし前記第2電極を正極として、前記第1電極に対して前記第2電極に正電位を印加することにより、前記有機半導体膜と前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする請求項2記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項4】
前記第1電極として、アナタース型結晶構造を有する無機酸化物膜を形成することを特徴とする請求項2又は3記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項5】
前記第1電極として、アナタース型結晶構造を持った酸化チタンを含有する無機酸化物膜を形成することを特徴とする請求項2又は3記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項6】
フィルム状又は板状の基材を加熱状態とすると共に加熱状態の前記基板に対して有機チタン化合物を含むガスを吹き付けることにより前記無機酸化膜を形成することを特徴とする請求項5記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項7】
前記有機チタン化合物をチタンイソプロポオキシドとすることを特徴とする請求項6記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項8】
前記第2電極に金あるいは銀を含有することを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項9】
前記有機半導体膜が、チオフェンのオリゴマー又はポリマーを含むチオフェン含有膜であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項10】
前記有機半導体膜が、真空蒸着法あるいは塗布法、回転塗布法により形成した膜であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の有機半導体膜の電界処理方法。
【請求項11】
フィルム状又は板状の基材上に第1電極を形成し、前記第1電極上に有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記第1電極を無機酸化物により形成すると共に前記第2電極を金属材料により形成し、且つ前記第1電極を負極とし前記第2電極を正極として、前記第1電極に対して前記第2電極に正電位を印加することにより、前記有機半導体膜と前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする請求項11記載の有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項13】
フィルム状又は板状の導電性基材上に第1電極を形成し、前記第1電極上に有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記導電性基材又は前記第1電極と前記第2電極とに電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記第1電極を無機酸化物により形成すると共に前記第2電極を金属材料により形成し、且つ前記導電性基材及び前記第1電極を負極とし前記第2電極を正極として、前記導電性基材又は前記第1電極に対して前記第2電極に正電位を印加することにより、前記有機半導体膜と前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中の混入物を移動させることを特徴とする請求項13記載の有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項15】
フィルム状又は板状の透明導電性基材上に透明性を有する第1電極を形成し、前記第1電極上に有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜上に第2電極を形成した後、前記透明導電性基材又は前記第1電極と前記第2電極とに電圧を印加して前記有機半導体膜に電界を与えることにより、前記有機半導体膜と前記第1電極又は前記第2電極との界面側に向かって前記有機半導体膜中のイオン化した混入物を移動させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項16】
フィルム状又は板状の基材を加熱状態とすると共に加熱状態の前記基板に対して有機チタン化合物を含むガスを吹き付けることにより前記第1電極を形成することを特徴とする請求項11〜15の何れか1項に記載の有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項17】
前記有機チタン化合物をチタンイソプロポオキシドとすることを特徴とする請求項16記載の有機半導体デバイスの製造方法。
【請求項18】
無機酸化物からなり且つ透明性を有する第1電極と、前記第1電極上に設けられると共に電界処理が施された有機半導体膜と、前記有機半導体膜上に設けられる第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に接続されて前記第1電極及び前記第2電極の間に流れる電流に基づいて前記第1電極側から入射する光を検知する検知手段とを備えたことを特徴とする薄膜センサー。
【請求項19】
前記第1電極は、アナタース型結晶構造を有する無機酸化物膜からなることを特徴とする請求項18記載の薄膜センサー。
【請求項20】
前記第1電極は、アナタース型結晶構造を持った酸化チタンを含有する無機酸化物膜からなることを特徴とする請求項18記載の薄膜センサー。
【請求項21】
前記有機半導体膜は、チオフェンのオリゴマー又はポリマーを含むチオフェン含有膜からなることを特徴とする請求項18〜20の何れか1項に記載の薄膜センサー。
【請求項22】
前記第2電極は、金あるいは銀を含有することを特徴とする請求項18〜21の何れか1項に記載の薄膜センサー。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate