有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置
【課題】脱水汚泥全体にせん断力を効率的に付与し、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに、脱水汚泥の圧送時における配管輸送の圧力損失を低減することができる有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置を提供する。
【解決手段】脱水汚泥を搬送工程に移行する前に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより、前記脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送する。
【解決手段】脱水汚泥を搬送工程に移行する前に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより、前記脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置に係り、特に、活性汚泥処理等の生物処理後の汚泥(余剰汚泥)を脱水させ、多数の細胞群の凝集体(フロック)よりなる有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場で発生する下水汚泥は、下水中に含まれる有機物が活性汚泥処理され、微生物の形で固定された後、この微生物やその死骸、排泄物、その他の微細な懸濁粒子が、無機凝集剤や高分子凝集剤等の所要の凝集剤により凝集、沈降させられたものである。したがって、上記下水汚泥は有機物を多く含んでいることから、一般的には、重力分離や浮上分離などを用いて濃縮した後、真空脱水機やベルトプレス等の加圧式の脱水装置、あるいは、遠心分離機等の脱水装置を用いて含水率を60〜90%程度まで低下させてケーキ状の脱水汚泥(脱水ケーキ)とした後、焼却炉に送って焼却処理されることが多い。
【0003】
このように、焼却処理を行うべく脱水汚泥を焼却炉へ送る場合には、脱水装置から回収される上記脱水汚泥が高い粘性を有することから、圧送ポンプを用いて脱水汚泥輸送管内を通して圧送するようにしている。
この脱水汚泥の圧送に用いられるポンプとしては、例えば、往復型ピストン式の圧送ポンプ(以下、ピストンポンプという)が用いられている。ピストンポンプは、ピストンの吸入工程で搬送物をシリンダーに吸入し、吐出工程で輸送管内に圧入する構成であり、吐出圧力が高く、長距離輸送が可能であるので多く利用されている。
【0004】
図15はピストンポンプが適用される例であり、図に示すように、脱水機01(上記した脱水装置等)で脱水された汚泥は、ピストンポンプ02へ供給され、ピストンポンプ02を駆動することにより、脱水汚泥輸送管内を通して圧送される(図15(B))。
また図15(A)は、脱水機01とピストンポンプ02のラインに、ベルトコンベアのようなコンベア06を介して構成された例である。このような構成で脱水汚泥をピストンポンプとで輸送する方法は従来周知である。
【0005】
ところで、上記した脱水汚泥は、含水率が変動すると粘性が変化する。
このため、含水率が低くなるほど、上記の吸入行程での搬送物の吸込み効率の低下や、圧送時における圧力損失の上昇による所要動力の増大が懸念される。
さらには、脱水汚泥は発生場所、脱水工程等の相違により、同じ含水率であっても輸送管での配管摩擦抵抗や流動性の物性値が異なることが多いので、これに対処しなければならないという問題がある。
【0006】
そこで、上記したような、吸入行程での搬送物の吸い込み効率の低下や圧送時における圧力損失の上昇を小さくするためには、汚泥輸送管路中における脱水汚泥の配管摩擦抵抗や流動抵抗を低減させればよい。この脱水汚泥の配管摩擦抵抗や流動抵抗を低減させる発明としては、例えば、図16のような圧送ポンプに供給する前にせん断羽根により流動化あるいは液状化処理して供給することが提案されている(特許文献1)。
【0007】
図16に示すように、ケーキ貯留ホッパ011は、ホッパ012と、ホッパ012の上に設けられた脱水ケーキ(脱水汚泥)投入口013と、脱水汚泥を粗粉砕する粉砕羽根としてスクレーパ015と、せん断羽根として複数枚の羽根からなるチョッパ010とからなり、ケーキ貯留ホッパ011で一時的に貯留されて流動化あるいは液状化された脱水汚泥は、往復型容積ポンプ02に吸い込まれ、輸送パイプ025中に吐き出される。これにより、脱水汚泥は輸送パイプ025中から順次圧送される。
すなわち、圧送ポンプ02に供給する前に、脱水汚泥にせん断羽根であるチョッパ010によりせん断力をかけて脱水汚泥を流動化あるいは液状化処理して配管摩擦抵抗や流動抵抗を低減させ、圧送ポンプ02の吸い込み効率を向上させるとともに脱水汚泥の圧送時における圧力損失を低減している。
【0008】
【特許文献1】特開2007−820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、圧送ポンプを用いて有機性脱水汚泥を搬送する場合の問題点として、脱水汚泥の高粘性による吸入行程での搬送物の吸い込み効率の低下と脱水汚泥圧送時の圧力損失の上昇が挙げられる。この対策として、特許文献1では、圧送ポンプに供給する前にせん断羽根により流動化あるいは液状化処理している。このように特許文献1に開示された発明は、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに脱水汚泥圧送時の圧力損失の上昇を低減する発明として有効であると考えられるが、高粘度の脱水汚泥の全体にせん断力を付与するためには高速でせん断羽根を回転させる必要があり、それに伴う撹拌動力が大きくなる。よって、脱水汚泥の全体にせん断力を付与するより効果的な方法が求められている。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、脱水汚泥全体にせん断力を効率的に付与し、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに、脱水汚泥の圧送時における配管輸送の圧力損失を低減することができる有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥の搬送方法において、前記脱水汚泥を搬送工程に移行する前に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより、前記脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送することを特徴とする。ここで、搬送行程とは、脱水汚泥をピストンポンプ等の圧送ポンプで搬送する行程である。
このように、脱水汚泥を搬送行程に移行する前にせん断力を付与することにより、脱水汚泥中の水分が染み出し、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減される。このため、ピストンポンプ等の圧送ポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失を低減することができる。また、脱水汚泥全体にせん断力を低動力で効率よく付与することができるので、撹拌動力を小さくすることができ、脱水汚泥の配管輸送の省エネ化が図れる。
【0011】
また、前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする。この多数の細胞群の凝集体(フロック)である脱水汚泥中に含まれる水分を、せん断力付与により表面へ染み出させる。これにより、表面に染み出た水分が潤滑剤的な作用を促進し、脱水汚泥の配管摩擦抵抗が低減される。さらに、脱水汚泥の粘性も低下するため、流動抵抗も低減される。高度なせん断力を付与すれば細胞膜まで部分的に破壊し、細胞内の水分の染み出し促進による更なる圧力損失低減も期待できる。
【0012】
また、前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする。
このように、脱水機出口若しくは前記搬送工程に移行する前のベルトコンベア出口側、つまり脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前にローラーを用いてせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。
【0013】
さらに、前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行われることを特徴とする。
このように、脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、混練機等でせん断力を付与することにより、上記したローラーによるせん断力付与と同様に、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。なお、混練機として、ニーダー 、ロールミル、押出機、インクロール、及びバンバリーミキサー等が好適に用いられる。
【0014】
また、前記脱水汚泥は、前記ローラー対間の転動によりせん断力を付与された後に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、若しくは混練機の少なくとも1つによりせん断力を付与されることを特徴とする。
このように、脱水汚泥にローラーで予備的にせん断力を付与することにより、例えば、一軸ねじポンプ単体でのせん断力付与が困難なほど含水率が低い汚泥であっても、効率的にせん断力を付与することができる。
【0015】
これらを好適に実施する装置の発明として、脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥を、ピストンポンプを含む圧密搬送体を介在させて搬送する有機性脱水汚泥の搬送装置において、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側と、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体間に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより該脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送する抵抗低減手段を介在させたことを特徴とする。
また、前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする。
【0016】
また、前記抵抗低減手段が、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする。
さらに、前記抵抗低減手段が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行なわれることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、前記抵抗低減手段が、前記せん断力を付与するローラー、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが直列に設けられて形成されることを特徴とする。
また、上述した二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体へ有機性脱水汚泥を供給する装置であることを特徴とする。これにより、脱水汚泥にせん断力を付与するとともに、脱水機とピストンポンプを含む圧密搬送体を中継する装置として設けられる。
なお、以上述べたせん断力を付与する各装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
これにより、上記した方法発明と同様に、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減するという効果を得ることができる。
【0018】
また、前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることが好ましい。
これは、含水率が65%未満であると、脱水汚泥の濃度が高いため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊されても、フロックに捕捉されていた水分が少なく表面に染み出す汚泥細胞間水がほとんど含有されていないことから、せん断力を付与する抵抗低減手段を円滑に作動させることが困難となり、一方、含水率が82%より高いと、脱水汚泥はある程度の流動性を既に有しているため本実施例の効果が顕著に現れないため、搬送対象である脱水汚泥の含水率を65〜82%とすることにより、抵抗低減手段を安定して運転可能で且つ該抵抗低減手段にてせん断力が付与されることにより脱水汚泥の搬送効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0019】
また、前記ピストンポンプの入口側に、前記脱水汚泥を受け入れるホッパが設けられており、
前記ホッパと前記ピストンポンプの間に、前記脱水汚泥を前記ホッパから前記ピストンポンプに押し込むとともに前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する前記抵抗低減手段を介在させ、前記ピストンポンプと前記抵抗低減手段とを一体化したことを特徴とする。
このように、ホッパとピストンポンプの間に抵抗低減手段を介在させ、該抵抗低減手段にて脱水汚泥にせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、抵抗低減手段とピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。
【0020】
また、前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に連結された前記抵抗低減手段が一軸ねじポンプであり、
前記一軸ねじポンプの汚泥搬送空間の圧力を検出する圧力検出手段と、前記汚泥搬送空間に連通するバイパス配管と、該バイパス配管に設けられ、通常運転時は閉の状態である開閉弁とを備え、
前記開閉弁は、前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定の圧力以上となった時、開に制御され、前記汚泥搬送空間の脱水汚泥の一部を前記バイパス配管から逃がすようにしたことを特徴とする。
【0021】
このように、ホッパとピストンポンプの間に一軸ねじポンプを介在させ、該一軸ねじポンプにて脱水汚泥にせん断力を付与することにより、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、一軸ねじポンプとピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらに一軸ねじポンプを採用することにより、低動力で大きなせん断作用を与えることが可能である。さらにまた、汚泥搬送空間の圧力が所定の圧力以上となった時に、バイパス配管に高圧の脱水汚泥の一部を逃がすことにより、汚泥搬送空間内の過度の圧力上昇を回避し、一軸ねじポンプのステータの寿命延長を図ることが可能となる。
【0022】
さらに、前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に前記抵抗低減手段が連結されるようにし、
前記抵抗低減手段を二軸ニーダとしたことを特徴とする。
このように、ホッパとピストンポンプの間に二軸ニーダを介在させ、該二軸ニーダのケーシングとブレード間のクリアランスにより脱水汚泥にせん断力を付与することにより、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、二軸ニーダとピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のスクリューフィーダの一部を二軸ロータに置き換えた構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0023】
また、前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする。
このように、リボン式スクリュー(パドル)若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリュー(パドル)を用いることにより、従来のスクリューフィーダに比べてせん断作用を向上させることが可能となる。
【0024】
また、前記抵抗低減手段が前記ホッパの下部に設けられたスクリューフィーダであり、
前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする。
このように、ホッパとピストンポンプの間に介在されるスクリューフィーダとして、リボン式スクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューを用いることにより、従来のスクリューフィーダに比べてせん断作用を向上させることが可能で、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。さらに、装置構成を簡素化できる。
【0025】
また、前記抵抗低減手段が、前記ホッパの下部に設けられた二軸ニーダであることを特徴とする。
このように、ホッパ下部に二軸ニーダを設け、該二軸ニーダで脱水汚泥にせん断力を付与することにより、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、ホッパ下部に二軸ニーダを設けて、脱水汚泥にせん断力を付与する二軸ニーダとピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらに、装置構成を簡素化できる。
さらにまた、前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
以上記載のごとく本発明によれば、脱水汚泥を搬送行程に移行する前にせん断力を付与することにより、脱水汚泥中の水分が染み出し、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減される。このため、ピストンポンプ等の圧送ポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失を低減することができる。また、脱水汚泥全体にせん断力を低動力で効率よく付与することができるので、撹拌動力を小さくすることができ、脱水汚泥の配管輸送の省エネ化が図れる。
また、脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前にローラーを用いてせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上する。さらに、脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、混練機等でせん断力を付与することにより、ローラーによるせん断力付与と同様に、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。さらに、上記のせん断力を付与する装置は、後付けが可能であり、メンテナンスも容易である。
また、脱水汚泥にローラーで予備的にせん断力を付与することにより、せん断力を付与する装置単体での搬送が困難な低含水率の脱水汚泥の場合であっても、効率的にせん断力を付与することができる。
また、ホッパとピストンポンプの間に抵抗低減手段を介在させ、該抵抗低減手段により脱水汚泥にせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、抵抗低減手段とピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0028】
図1は実施例1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図2は実施例2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図3は実施例3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図4は実施例4に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図5は実施例5に係る有機性脱水汚泥の搬送装置系統図、図6は実施例6に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図7は実施例7に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図8は実施例8−1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図9は実施例8−2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図10は実施例8−3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図11は実施例8に用いられるスクリューフィーダを示す図、図12は実施例9に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図13はピストンポンプの断面図、図14は本発明に係る脱水汚泥のオリフィス流出圧を示す実験データ及びその実験装置図である。
なお本実施例では、有機性脱水汚泥として、生産過程で生じた動植物の残滓や老廃物、家畜排泄物などから生じる汚泥、例えば下水汚泥、浄化槽汚泥を脱水させた汚泥を用いている。ただし、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の実施例1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図1において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、3は一軸ねじポンプである。ここで用いる脱水機1は、真空脱水機やベルトプレス等の加圧式の脱水装置、あるいは遠心分離機等の脱水装置を用いており、汚泥の含水率を60〜90%程度まで低下させる。
また、図示しないが、ピストンポンプ2に組み合わせて脱水汚泥を供給する装置として、ピストンポンプ2の軸方向に対して垂設されたホッパ(例えば円錐状、角錐状等)、若しくはピストンポンプ2の軸方向に対して並設されたスクリューフィーダや搬送のためのスクリューコンベア等を用いている。
【0030】
また、ピストンポンプ2は往復型ピストン式の圧送ポンプであり、図13に示すように、後部に水室11が形成された搬送シリンダー12を有しており、搬送シリンダー12の前部に設けられた2つのシリンダー本体13,14内を摺動する第1、第2の搬送ピストン15,16が第1、第2の油圧シリンダー17,18の油圧ピストン19,20に連結ロッド21,22を介して連結されており、交互に進退可能に構成されている。
第1、第2の搬送ピストン15,16の前方にはそれぞれ油圧シリンダーによって駆動される吸い込みバルブ23,24及び吐出バルブ25,26が設けられており、ピストンポンプ2に供給される脱水汚泥を第1、第2の搬送ピストン15,16によって交互に連続的に吸い込み、吐き出すことができる。このように、高出力の第1、第2の油圧シリンダー17,18によって高粘度の脱水汚泥であっても搬送することができる。
【0031】
しかし、図13の破線Cで囲まれた吸い込み部は流路が狭いため、ピストンポンプ2に供給される脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が大きい場合、吸い込みバルブ23,24に備えられたバルブ本体を支持するロッド(図示しない)に吸い込み若しくは吐出される脱水汚泥が接触して抵抗が増大し、吸い込み効率が低下してしまう。
よって、ピストンポンプ2の前段で脱水汚泥にせん断力を全体的に付与して脱水汚泥中の水分の染み出しを促進させ、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減させる。図17に、そのメカニズムを示す。脱水汚泥は凝集剤等により凝集して汚泥フロック100として存在し、該汚泥の細胞101と細胞101の間は水分(細胞間水)102で満たされている。この汚泥フロック100からなる脱水汚泥にせん断力、圧縮力を付与すると、汚泥フロックが破壊され、細胞101間から細胞間水が表面に染み出す。図中、103は破壊された汚泥フロック、102’は染み出した細胞間水である。この染み出した細胞間水102’が潤滑剤的な作用を促進して汚泥の粘性が低減され、延いては脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減させるものである。
【0032】
ここで、図14を用いて本発明における脱水汚泥のせん断力付与による効果を説明する。図14本発明に係る脱水汚泥のオリフィス流出圧を示す実験データ及びその実験装置図である。図14(A)に示す実験装置図を用いて、本発明における脱水汚泥を供試汚泥63とし、供試汚泥63に荷重をかけてオリフィス64から流出するときのオリフィス流出圧を測定した。なお、65は荷台である。
図14(B)の実験データに示すように、脱水機出口から排出された脱水汚泥(ブランク)に比べて、せん断及び圧縮した脱水汚泥のほうがよりオリフィス流出圧が少ないことがわかる。このことからも、脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与することにより、脱水汚泥の抵抗粘性が低下し、流動抵抗が低減されることがわかる。
【0033】
かかる実施例1において、下水処理場で発生する下水汚泥等の汚泥は、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、一軸ねじポンプ3へ供給される。一軸ねじポンプ3へ供給された脱水汚泥は、一軸ねじポンプのケーシングとローター(ねじ)のクリアランスによりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
また、一軸ねじポンプ3は脱水機1とピストンポンプ2の中継ポンプとしても好適に用いられる。
【実施例2】
【0034】
図2は本発明の実施例2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図2において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、4は混練機であり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いる混練機4は、脱水汚泥を混練して捩りせん断力を付与するニーダーであり、加圧式ニーダーがより好ましい。
【0035】
かかる実施例2において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、混練機4へ供給される。混練機4へ供給された脱水汚泥は、混練機4内の混練翼(ブレード)で混練・撹拌されて捩りせん断力が付与される。これにより、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【実施例3】
【0036】
図3は本発明の実施例3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図3において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラーであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は脱水汚泥にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい。また、ローラー対間は脱水汚泥を圧密する微少空隙を有していればよい。ローラーを多段に設けた場合は、例えば下流のローラーになるにつれてせん断荷重が増大するように、ローラー間を徐々に狭くなるように設けてもよい。なお、ローラー間は、脱水汚泥中のフロックを破壊する程度の適度なせん断力を付与するように設けることにより、低動力化が可能である。
【0037】
かかる実施例3において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、ローラー5へ供給される。ローラー5へ供給された脱水汚泥はせん断力が付与されるため、これにより、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
なお、ローラー5は、混練機と違って汚泥に髪の毛等の絡まりやすい物体が存在していても問題なく稼働することができる。
【実施例4】
【0038】
図4は本発明の実施例4に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図4において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラー、6は脱水機1から排出された脱水汚泥を搬送するコンベアであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は、実施例3と同様に脱水汚泥に適度にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい
【0039】
かかる実施例4において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、コンベア6を介してローラー5へ供給される。ローラー5へ供給された脱水汚泥はせん断力が付与されるため、これにより、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【実施例5】
【0040】
図5は本発明の実施例5に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図5において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、7は脱水機1から排出された脱水汚泥を搬送するスクリューコンベアであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0041】
かかる実施例5において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、スクリューコンベア7へ供給される。スクリューコンベア7は、そのピッチ間が下流側へいくに従って幅狭に設けられており、脱水機1から排出された脱水汚泥にせん断力を付与しながらピストンポンプ2まで搬送する。なお、スクリューコンベア7は二軸でも一軸でも好適に用いられる。また、リボンスクリューも同様に用いることができる。
脱水汚泥は、スクリューコンベア7でせん断力が付与されて脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【実施例6】
【0042】
図6は本発明の実施例5に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図6において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラー、7は脱水機1から排出された脱水汚泥を搬送するスクリューコンベアであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は、実施例3と同様に脱水汚泥に適度にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい。
【0043】
かかる実施例6において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、スクリューコンベア7を介してローラー5へ供給される。ここで用いられるスクリューコンベア7は、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減されるよう工夫して構成されたコンベアであり、例えばピッチ間が下流側へいくに従って幅狭に設けられ、脱水機1から排出された脱水汚泥にせん断力を付与しながらローラー5まで搬送する。なお、ここで用いられるスクリューコンベア7は二軸でも一軸でもよいし、リボンスクリューでも好適に用いられる。
スクリューコンベア7とローラー5でせん断力を付与された脱水汚泥は、その脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
なお、ここではスクリューコンベア7の後段にローラー5を設けて構成しているが、ローラー5の後段にスクリューコンベア7を設けてもよく同様の効果を得ることができる。
【実施例7】
【0044】
図7は本発明の実施例7に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図7において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラー、3は一軸ねじポンプであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は、実施例3と同様に脱水汚泥に適度にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい。
【0045】
かかる実施例7において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ローラー5と一軸ねじポンプ3を介してピストンポンプ2へ供給される。ローラー5では、一軸ねじポンプ3へ供給する前に脱水汚泥に対して予備せん断力を付与している。これにより、一軸ねじポンプ3単体で搬送が困難な低含水率で高粘度の脱水汚泥の場合であっても、効率的にせん断力を付与することができる。
【0046】
以上のことから、脱水機1から排出された脱水汚泥を、ピストンポンプ2を用いて搬送する際、圧密状態下で脱水汚泥全体にせん断力を付与するものとして一軸ねじポンプ、混練機、ローラー、コンベア、一軸スクリューコンベア、二軸スクリューコンベアを実施例1〜実施例7に示すように用いているが、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減し、ピストンポンプの吸い込み効率を向上させ、また配管輸送における圧力損失を低減するためであれば、上述した実施形態に関わらず単独若しくは複数組み合わせて用いてもよい。
【実施例8】
【0047】
図8〜図11は、本発明の実施例8に係る有機性脱水汚泥搬送装置の図を示す。実施例8は、脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する抵抗低減手段と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成を示し、従来のオーガタイプのホッパを有する装置に適用したものである。
【0048】
(実施例8−1)
図8は実施例8−1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
図8に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ31を備え、該ホッパ31の下部にスクリューフィーダ33が設けられている。スクリューフィーダ33の終端には一軸ねじポンプ40が連結され、該一軸ねじポンプ40の終端にはピストンポンプ2が連結される。
前記ホッパ31には、必要に応じて撹拌機32が設けられる。
前記スクリューフィーダ33は、モータ35により回転駆動される回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー(パドル)33とから構成される。
前記一軸ねじポンプ40は、実施例1に記載した装置と同様の構成を備える(図8参照)。
【0049】
また、一軸ねじポンプ40の汚泥搬送空間41に連通するバイパス配管42を備え、該バイパス配管42上には、汚泥搬送空間41の圧力を検出する圧力検出計44が設けられている。該圧力検出計44より下流側のバイパス配管42には、該バイパス配管42の開放状態又は密閉状態を形成する開閉弁43が設けられている。該開閉弁43は油圧ユニット50に接続され、該油圧ユニット50により駆動するようになっている。開閉弁43の開閉制御は、圧力検出計44に電気的に接続された電磁弁51により行われる。通常運転時には開閉弁43は閉の状態に維持され、圧力検出計44により検出された汚泥搬送空間41の圧力が、予め設定された所定の圧力以上となった時に、開閉弁43を開に制御する。
【0050】
かかる実施例8−1において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ31内に投入され、スクリューフィーダ33により一軸ねじポンプ40に送られる。該一軸ねじポンプ40へ供給された脱水汚泥は、一軸ねじポンプのケーシングとローターのクリアランスによりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【0051】
また、ピストンポンプ2の切替時に、該ピストンポンプ2の吸い込みバルブ23、24(図13参照)が一瞬全閉となることで、一軸ねじポンプ40のステータへ過度の圧力がかかる。これを解消するために、圧力検出計44で汚泥搬送空間41の圧力を常時検出しておき、該検出した圧力が所定の圧力以上となった時に、開閉弁43を開に制御し、バイパス配管42に高圧の脱水汚泥の一部を逃がすようにする。これにより、汚泥搬送空間41内の過度の圧力上昇を回避し、ステータの寿命延長を図ることが可能となる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与する一軸ねじポンプ40と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。また、一軸ねじポンプ40を採用することにより、低動力で大きなせん断作用を与えることが可能である。
【0052】
(実施例8−2)
図9は実施例8−2に係る有機性脱水汚泥搬送装置を示す図で、(a)は装置構成図、(b)は二軸ニーダの平面図、(c)は(b)の断面図である。
図9(a)に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ31を備え、該ホッパ31の下部にスクリューフィーダ33が設けられている。スクリューフィーダ33の終端には二軸ニーダ45が連結され、該二軸ニーダ45の終端にはピストンポンプ2が連結される。
前記スクリューフィーダ33は、モータ35により回転駆動される回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー33とから構成される。
【0053】
前記二軸ニーダ45は、図9(b)、(c)に示すように、並行に配置された2本の回転軸34、34を有し、該回転軸には、軸方向に所定ピッチで複数のブレード46が取り付けられている。該ブレード46は、同軸の隣接するブレード46と軸周方向角度を異ならせて取り付けられる。また、異軸の隣接するブレード46とも軸周方向角度を異ならせて取り付けられている。そして、2本の回転軸34、34が、モータ35により同期して回転駆動することによりブレード46が回転し、脱水汚泥を所定方向に搬送するようになっている。
【0054】
かかる実施例8−2において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ31内に投入され、スクリューフィーダ33により二軸ニーダ45に送られる。該二軸ニーダ45へ供給された脱水汚泥は、二軸ニーダ45のケーシングとブレード46間のクリアランスによりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与する二軸ニーダ45と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のスクリューフィーダ33の一部を二軸ロータ45に置き換えた構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0055】
(実施例8−3)
図10は実施例8−3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図で、図11は実施例8に用いられるスクリューフィーダを示し、(A)は本実施例のリボン式スクリューの側面図と断面図、(B)は本実施例の切欠部を有するスクリューの側面図と断面図、(C)は従来例のスクリューの側面図と断面図である。
図10に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ31を備え、該ホッパ31の下部にスクリューフィーダ33が設けられている。スクリューフィーダ33の終端にはピストンポンプ2が連結される。
【0056】
前記スクリューフィーダ33は、モータ35により回転駆動される回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー33とから構成される。該スクリューフィーダ33には、リボン式スクリュー若しくは切欠部を有するスクリューが用いられる。
図11(A)に示すスクリューフィーダ33は、回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたリボン式スクリュー36Aとを備えた構成を有する。リボン式スクリュー36Aを用いることにより、回転軸34付近に開口部を有しているため、スクリュー36Aにより直接押送される外側の脱水汚泥と、その脱水汚泥により引きずられて搬送される内側の脱水汚泥との間でせん断力が与えられるため、従来のスクリューフィーダに比べてせん断作用を向上させることが可能となる。尚、本実施例は、同図に示したリボン式スクリューの形状に限定されるものではなく、2重巻き、3重巻き等の他の形状を用いることも可能である。
【0057】
また、リボン式スクリュー36Aの開口部の大きさは、断面率0.1〜0.3(汚泥搬送空間の断面積/スクリューの断面積)となるように形成することが好適である。断面率を上記範囲内とすることで、たたみ返しとすべり運動の繰り返しにより、スクリュー軸方向の混合、せん断を促進することができる。
【0058】
図11(B)に示すスクリューフィーダ33は、回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー36Bとを備えており、該スクリュー36Bには、その外周縁に所定ピッチで複数の切欠部37が設けられている。切欠部37を有するスクリュー36Bを用いることにより、せん断付与部が多くなり、脱水汚泥に与えるせん断作用を向上させることが可能となる。
ここで、比較例として、図11(C)に従来のスクリューフィーダの図を示す。従来のスクリューフィーダ33は、回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー36Cとを備えており、該スクリュー36Cには、回転軸34付近に開口部を有しておらず、またその外周縁は滑らかな螺旋状となっているため、汚泥の搬送には効率的であるが、脱水汚泥に付与できるせん断力は大きくはない。
【0059】
かかる実施例8−3において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ31内に投入され、スクリューフィーダ33に送られる。スクリューフィーダ33に供給された脱水汚泥は、リボン式スクリュー36A若しくは切欠部37を有するスクリュー36Bにより大きなせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与するスクリューフィーダ33と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のスクリューフィーダ33の形状を、リボン式スクリュー36A若しくは切欠部37を有するスクリュー36Bとした構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0060】
また、本実施例において、スクリューフィーダ33を二軸又は複軸とし、隣接するスクリューが、等速で互いに逆方向に回転するように構成することが好ましく、これにより脱水汚泥により大きなせん断作用を与えることが可能である。二軸又は複軸のスクリューフィーダ33とした場合、スクリューの取り付け角度を調整したり、スクリューの一部を汚泥搬送方向と逆送り方向にすることによって、ケーシング内の汚泥保有量、滞留時間を調整する。
【0061】
また、図11に示したスクリューフィーダ33は、上記した実施例8−1、実施例8−2にも適用することが可能である。このように、実施例8−1又は実施例8−2と、実施例8−3に示したリボン式スクリュー36A若しくは切欠部37を有するスクリュー36Bとを組み合わせた構成とすることにより、より大きなせん断力を付与することができ、ピストンポンプ2での搬送効率を大幅に向上させることが可能となる。
【実施例9】
【0062】
図12は、本発明の実施例9に係る有機性脱水汚泥搬送装置の図を示す。実施例9は、脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する抵抗低減手段と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成を示し、従来のコニカルタイプのホッパを有する装置に適用したものである。
図8に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ61を備え、該ホッパ61の下部に二軸ニーダ70が設けられている。二軸ニーダ70の下部には、バルブ66を介してピストンポンプ2が連結される。
【0063】
前記ホッパ61は、下方に縮径した漏斗状に形成され、その下端に二軸ニーダ70が設けられている。該ホッパ61の上部には、モータ63により回転駆動される回転軸62が鉛直方向に配設され、該回転軸62に撹拌翼64が複数取り付けられている。また、該回転軸62には、撹拌翼64より下方にリボンスクリュー65が取り付けられている。尚、この撹拌翼64、リボンスクリュー65については一例であり、ホッパ61内の脱水汚泥を撹拌する手段であればこれに限定されるものではない。
【0064】
前記二軸ニーダ70は、上記した実施例8−2(図9参照)に示す装置と同様の構成を備える。即ち、並行に配置された2本の回転軸71、71を有し、該回転軸には、軸方向に所定ピッチで複数のブレード73が取り付けられている。該ブレード46は、同軸の隣接するブレード73と軸周方向角度を異ならせて取り付けられる。また、異軸の隣接するブレード73とも軸周方向角度を異ならせて取り付けられている。異軸のブレード73同士は、その回転軌跡が重なり合うオーバーラップ形と、重なり合わないタンゼンシャル形とがあるが、いずれを用いてもよい。
そして、2本の回転軸71、71が、モータ72にて同期して回転駆動することによりブレード73が回転し、脱水汚泥を所定方向に搬送するようになっている。このとき、異軸の隣接するブレード73の回転速度に差をつけてもよく、これによりせん断作用を向上させることができる。
【0065】
かかる実施例9において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ61内に投入され、撹拌手段により撹拌される。ホッパ61内で重力沈降した脱水汚泥は下部の二軸ニーダ70によりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与する二軸ニーダ70と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のホッパ61の下部に二軸ニーダ70を取り付けた構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0066】
また、上記した実施例1〜実施例9において、有機性脱水汚泥搬送装置にて搬送する脱水汚泥は、含水率が65〜82%の脱水汚泥であることが好ましい。これは、含水率が65%未満であると、脱水汚泥の濃度が高すぎて、せん断力を付与する抵抗低減手段を円滑に作動させることが困難となり、一方、含水率が82%より高いと、脱水汚泥はある程度の流動性を既に有しているため本実施例の効果が顕著に現れないため、搬送対象である脱水汚泥の含水率を65〜82%とすることにより、抵抗低減手段を安定して運転可能で且つ該抵抗低減手段にてせん断力が付与されることにより脱水汚泥の搬送効率を大幅に向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、脱水汚泥全体にせん断力を効率的に付与し、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに、脱水汚泥の圧送時における圧力損失を低減するので、有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置への適用に際して有益である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図2】実施例2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図3】実施例3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図4】実施例4に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図5】実施例5に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図6】実施例6に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図7】実施例7に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図8】実施例8−1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
【図9】実施例8−2に係る有機性脱水汚泥搬送装置を示す図で、(a)は装置構成図、(b)は二軸ニーダの平面図、(c)は(b)の断面図である。
【図10】実施例8−3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
【図11】実施例8に用いられるスクリューフィーダを示し、(A)は本実施例のリボン式スクリューの側面図と断面図、(B)は本実施例の切欠部を有するスクリューの側面図と断面図、(C)は従来例のスクリューの側面図と断面図である。
【図12】実施例9に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
【図13】本発明に係るピストンポンプの断面図である。
【図14】本発明に係る脱水汚泥のオリフィス流出圧を示す実験データ及びその実験装置図である。
【図15】従来の有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図16】従来の有機性脱水汚泥搬送装置を模式的に示す図である。
【図17】脱水汚泥のせん断による粘性低減メカニズムを示す模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1 脱水機
2 ピストンポンプ
3 一軸ねじポンプ
4 混練機
5 ローラー
7 スクリューコンベア
31、61 ホッパ
33 スクリューフィーダ
34 回転軸
36 スクリュー
42 バイパス配管
43 開閉弁
44 圧力検出計
40 一軸ねじポンプ
45、70 二軸ニーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置に係り、特に、活性汚泥処理等の生物処理後の汚泥(余剰汚泥)を脱水させ、多数の細胞群の凝集体(フロック)よりなる有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場で発生する下水汚泥は、下水中に含まれる有機物が活性汚泥処理され、微生物の形で固定された後、この微生物やその死骸、排泄物、その他の微細な懸濁粒子が、無機凝集剤や高分子凝集剤等の所要の凝集剤により凝集、沈降させられたものである。したがって、上記下水汚泥は有機物を多く含んでいることから、一般的には、重力分離や浮上分離などを用いて濃縮した後、真空脱水機やベルトプレス等の加圧式の脱水装置、あるいは、遠心分離機等の脱水装置を用いて含水率を60〜90%程度まで低下させてケーキ状の脱水汚泥(脱水ケーキ)とした後、焼却炉に送って焼却処理されることが多い。
【0003】
このように、焼却処理を行うべく脱水汚泥を焼却炉へ送る場合には、脱水装置から回収される上記脱水汚泥が高い粘性を有することから、圧送ポンプを用いて脱水汚泥輸送管内を通して圧送するようにしている。
この脱水汚泥の圧送に用いられるポンプとしては、例えば、往復型ピストン式の圧送ポンプ(以下、ピストンポンプという)が用いられている。ピストンポンプは、ピストンの吸入工程で搬送物をシリンダーに吸入し、吐出工程で輸送管内に圧入する構成であり、吐出圧力が高く、長距離輸送が可能であるので多く利用されている。
【0004】
図15はピストンポンプが適用される例であり、図に示すように、脱水機01(上記した脱水装置等)で脱水された汚泥は、ピストンポンプ02へ供給され、ピストンポンプ02を駆動することにより、脱水汚泥輸送管内を通して圧送される(図15(B))。
また図15(A)は、脱水機01とピストンポンプ02のラインに、ベルトコンベアのようなコンベア06を介して構成された例である。このような構成で脱水汚泥をピストンポンプとで輸送する方法は従来周知である。
【0005】
ところで、上記した脱水汚泥は、含水率が変動すると粘性が変化する。
このため、含水率が低くなるほど、上記の吸入行程での搬送物の吸込み効率の低下や、圧送時における圧力損失の上昇による所要動力の増大が懸念される。
さらには、脱水汚泥は発生場所、脱水工程等の相違により、同じ含水率であっても輸送管での配管摩擦抵抗や流動性の物性値が異なることが多いので、これに対処しなければならないという問題がある。
【0006】
そこで、上記したような、吸入行程での搬送物の吸い込み効率の低下や圧送時における圧力損失の上昇を小さくするためには、汚泥輸送管路中における脱水汚泥の配管摩擦抵抗や流動抵抗を低減させればよい。この脱水汚泥の配管摩擦抵抗や流動抵抗を低減させる発明としては、例えば、図16のような圧送ポンプに供給する前にせん断羽根により流動化あるいは液状化処理して供給することが提案されている(特許文献1)。
【0007】
図16に示すように、ケーキ貯留ホッパ011は、ホッパ012と、ホッパ012の上に設けられた脱水ケーキ(脱水汚泥)投入口013と、脱水汚泥を粗粉砕する粉砕羽根としてスクレーパ015と、せん断羽根として複数枚の羽根からなるチョッパ010とからなり、ケーキ貯留ホッパ011で一時的に貯留されて流動化あるいは液状化された脱水汚泥は、往復型容積ポンプ02に吸い込まれ、輸送パイプ025中に吐き出される。これにより、脱水汚泥は輸送パイプ025中から順次圧送される。
すなわち、圧送ポンプ02に供給する前に、脱水汚泥にせん断羽根であるチョッパ010によりせん断力をかけて脱水汚泥を流動化あるいは液状化処理して配管摩擦抵抗や流動抵抗を低減させ、圧送ポンプ02の吸い込み効率を向上させるとともに脱水汚泥の圧送時における圧力損失を低減している。
【0008】
【特許文献1】特開2007−820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、圧送ポンプを用いて有機性脱水汚泥を搬送する場合の問題点として、脱水汚泥の高粘性による吸入行程での搬送物の吸い込み効率の低下と脱水汚泥圧送時の圧力損失の上昇が挙げられる。この対策として、特許文献1では、圧送ポンプに供給する前にせん断羽根により流動化あるいは液状化処理している。このように特許文献1に開示された発明は、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに脱水汚泥圧送時の圧力損失の上昇を低減する発明として有効であると考えられるが、高粘度の脱水汚泥の全体にせん断力を付与するためには高速でせん断羽根を回転させる必要があり、それに伴う撹拌動力が大きくなる。よって、脱水汚泥の全体にせん断力を付与するより効果的な方法が求められている。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、脱水汚泥全体にせん断力を効率的に付与し、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに、脱水汚泥の圧送時における配管輸送の圧力損失を低減することができる有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥の搬送方法において、前記脱水汚泥を搬送工程に移行する前に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより、前記脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送することを特徴とする。ここで、搬送行程とは、脱水汚泥をピストンポンプ等の圧送ポンプで搬送する行程である。
このように、脱水汚泥を搬送行程に移行する前にせん断力を付与することにより、脱水汚泥中の水分が染み出し、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減される。このため、ピストンポンプ等の圧送ポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失を低減することができる。また、脱水汚泥全体にせん断力を低動力で効率よく付与することができるので、撹拌動力を小さくすることができ、脱水汚泥の配管輸送の省エネ化が図れる。
【0011】
また、前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする。この多数の細胞群の凝集体(フロック)である脱水汚泥中に含まれる水分を、せん断力付与により表面へ染み出させる。これにより、表面に染み出た水分が潤滑剤的な作用を促進し、脱水汚泥の配管摩擦抵抗が低減される。さらに、脱水汚泥の粘性も低下するため、流動抵抗も低減される。高度なせん断力を付与すれば細胞膜まで部分的に破壊し、細胞内の水分の染み出し促進による更なる圧力損失低減も期待できる。
【0012】
また、前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする。
このように、脱水機出口若しくは前記搬送工程に移行する前のベルトコンベア出口側、つまり脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前にローラーを用いてせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。
【0013】
さらに、前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行われることを特徴とする。
このように、脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、混練機等でせん断力を付与することにより、上記したローラーによるせん断力付与と同様に、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。なお、混練機として、ニーダー 、ロールミル、押出機、インクロール、及びバンバリーミキサー等が好適に用いられる。
【0014】
また、前記脱水汚泥は、前記ローラー対間の転動によりせん断力を付与された後に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、若しくは混練機の少なくとも1つによりせん断力を付与されることを特徴とする。
このように、脱水汚泥にローラーで予備的にせん断力を付与することにより、例えば、一軸ねじポンプ単体でのせん断力付与が困難なほど含水率が低い汚泥であっても、効率的にせん断力を付与することができる。
【0015】
これらを好適に実施する装置の発明として、脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥を、ピストンポンプを含む圧密搬送体を介在させて搬送する有機性脱水汚泥の搬送装置において、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側と、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体間に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより該脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送する抵抗低減手段を介在させたことを特徴とする。
また、前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする。
【0016】
また、前記抵抗低減手段が、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする。
さらに、前記抵抗低減手段が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行なわれることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、前記抵抗低減手段が、前記せん断力を付与するローラー、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが直列に設けられて形成されることを特徴とする。
また、上述した二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体へ有機性脱水汚泥を供給する装置であることを特徴とする。これにより、脱水汚泥にせん断力を付与するとともに、脱水機とピストンポンプを含む圧密搬送体を中継する装置として設けられる。
なお、以上述べたせん断力を付与する各装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
これにより、上記した方法発明と同様に、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減するという効果を得ることができる。
【0018】
また、前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることが好ましい。
これは、含水率が65%未満であると、脱水汚泥の濃度が高いため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊されても、フロックに捕捉されていた水分が少なく表面に染み出す汚泥細胞間水がほとんど含有されていないことから、せん断力を付与する抵抗低減手段を円滑に作動させることが困難となり、一方、含水率が82%より高いと、脱水汚泥はある程度の流動性を既に有しているため本実施例の効果が顕著に現れないため、搬送対象である脱水汚泥の含水率を65〜82%とすることにより、抵抗低減手段を安定して運転可能で且つ該抵抗低減手段にてせん断力が付与されることにより脱水汚泥の搬送効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0019】
また、前記ピストンポンプの入口側に、前記脱水汚泥を受け入れるホッパが設けられており、
前記ホッパと前記ピストンポンプの間に、前記脱水汚泥を前記ホッパから前記ピストンポンプに押し込むとともに前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する前記抵抗低減手段を介在させ、前記ピストンポンプと前記抵抗低減手段とを一体化したことを特徴とする。
このように、ホッパとピストンポンプの間に抵抗低減手段を介在させ、該抵抗低減手段にて脱水汚泥にせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、抵抗低減手段とピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。
【0020】
また、前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に連結された前記抵抗低減手段が一軸ねじポンプであり、
前記一軸ねじポンプの汚泥搬送空間の圧力を検出する圧力検出手段と、前記汚泥搬送空間に連通するバイパス配管と、該バイパス配管に設けられ、通常運転時は閉の状態である開閉弁とを備え、
前記開閉弁は、前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定の圧力以上となった時、開に制御され、前記汚泥搬送空間の脱水汚泥の一部を前記バイパス配管から逃がすようにしたことを特徴とする。
【0021】
このように、ホッパとピストンポンプの間に一軸ねじポンプを介在させ、該一軸ねじポンプにて脱水汚泥にせん断力を付与することにより、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、一軸ねじポンプとピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらに一軸ねじポンプを採用することにより、低動力で大きなせん断作用を与えることが可能である。さらにまた、汚泥搬送空間の圧力が所定の圧力以上となった時に、バイパス配管に高圧の脱水汚泥の一部を逃がすことにより、汚泥搬送空間内の過度の圧力上昇を回避し、一軸ねじポンプのステータの寿命延長を図ることが可能となる。
【0022】
さらに、前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に前記抵抗低減手段が連結されるようにし、
前記抵抗低減手段を二軸ニーダとしたことを特徴とする。
このように、ホッパとピストンポンプの間に二軸ニーダを介在させ、該二軸ニーダのケーシングとブレード間のクリアランスにより脱水汚泥にせん断力を付与することにより、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、二軸ニーダとピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のスクリューフィーダの一部を二軸ロータに置き換えた構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0023】
また、前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする。
このように、リボン式スクリュー(パドル)若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリュー(パドル)を用いることにより、従来のスクリューフィーダに比べてせん断作用を向上させることが可能となる。
【0024】
また、前記抵抗低減手段が前記ホッパの下部に設けられたスクリューフィーダであり、
前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする。
このように、ホッパとピストンポンプの間に介在されるスクリューフィーダとして、リボン式スクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューを用いることにより、従来のスクリューフィーダに比べてせん断作用を向上させることが可能で、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。さらに、装置構成を簡素化できる。
【0025】
また、前記抵抗低減手段が、前記ホッパの下部に設けられた二軸ニーダであることを特徴とする。
このように、ホッパ下部に二軸ニーダを設け、該二軸ニーダで脱水汚泥にせん断力を付与することにより、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、ホッパ下部に二軸ニーダを設けて、脱水汚泥にせん断力を付与する二軸ニーダとピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらに、装置構成を簡素化できる。
さらにまた、前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
以上記載のごとく本発明によれば、脱水汚泥を搬送行程に移行する前にせん断力を付与することにより、脱水汚泥中の水分が染み出し、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減される。このため、ピストンポンプ等の圧送ポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失を低減することができる。また、脱水汚泥全体にせん断力を低動力で効率よく付与することができるので、撹拌動力を小さくすることができ、脱水汚泥の配管輸送の省エネ化が図れる。
また、脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前にローラーを用いてせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上する。さらに、脱水汚泥をピストンポンプへ供給する前に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、混練機等でせん断力を付与することにより、ローラーによるせん断力付与と同様に、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。さらに、上記のせん断力を付与する装置は、後付けが可能であり、メンテナンスも容易である。
また、脱水汚泥にローラーで予備的にせん断力を付与することにより、せん断力を付与する装置単体での搬送が困難な低含水率の脱水汚泥の場合であっても、効率的にせん断力を付与することができる。
また、ホッパとピストンポンプの間に抵抗低減手段を介在させ、該抵抗低減手段により脱水汚泥にせん断力を付与することにより、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減し、ピストンポンプの吸い込み効率が向上するとともに、配管内の圧力損失が低減する。また、抵抗低減手段とピストンポンプとを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0028】
図1は実施例1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図2は実施例2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図3は実施例3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図4は実施例4に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図5は実施例5に係る有機性脱水汚泥の搬送装置系統図、図6は実施例6に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図7は実施例7に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図、図8は実施例8−1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図9は実施例8−2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図10は実施例8−3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図11は実施例8に用いられるスクリューフィーダを示す図、図12は実施例9に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図、図13はピストンポンプの断面図、図14は本発明に係る脱水汚泥のオリフィス流出圧を示す実験データ及びその実験装置図である。
なお本実施例では、有機性脱水汚泥として、生産過程で生じた動植物の残滓や老廃物、家畜排泄物などから生じる汚泥、例えば下水汚泥、浄化槽汚泥を脱水させた汚泥を用いている。ただし、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の実施例1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図1において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、3は一軸ねじポンプである。ここで用いる脱水機1は、真空脱水機やベルトプレス等の加圧式の脱水装置、あるいは遠心分離機等の脱水装置を用いており、汚泥の含水率を60〜90%程度まで低下させる。
また、図示しないが、ピストンポンプ2に組み合わせて脱水汚泥を供給する装置として、ピストンポンプ2の軸方向に対して垂設されたホッパ(例えば円錐状、角錐状等)、若しくはピストンポンプ2の軸方向に対して並設されたスクリューフィーダや搬送のためのスクリューコンベア等を用いている。
【0030】
また、ピストンポンプ2は往復型ピストン式の圧送ポンプであり、図13に示すように、後部に水室11が形成された搬送シリンダー12を有しており、搬送シリンダー12の前部に設けられた2つのシリンダー本体13,14内を摺動する第1、第2の搬送ピストン15,16が第1、第2の油圧シリンダー17,18の油圧ピストン19,20に連結ロッド21,22を介して連結されており、交互に進退可能に構成されている。
第1、第2の搬送ピストン15,16の前方にはそれぞれ油圧シリンダーによって駆動される吸い込みバルブ23,24及び吐出バルブ25,26が設けられており、ピストンポンプ2に供給される脱水汚泥を第1、第2の搬送ピストン15,16によって交互に連続的に吸い込み、吐き出すことができる。このように、高出力の第1、第2の油圧シリンダー17,18によって高粘度の脱水汚泥であっても搬送することができる。
【0031】
しかし、図13の破線Cで囲まれた吸い込み部は流路が狭いため、ピストンポンプ2に供給される脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が大きい場合、吸い込みバルブ23,24に備えられたバルブ本体を支持するロッド(図示しない)に吸い込み若しくは吐出される脱水汚泥が接触して抵抗が増大し、吸い込み効率が低下してしまう。
よって、ピストンポンプ2の前段で脱水汚泥にせん断力を全体的に付与して脱水汚泥中の水分の染み出しを促進させ、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減させる。図17に、そのメカニズムを示す。脱水汚泥は凝集剤等により凝集して汚泥フロック100として存在し、該汚泥の細胞101と細胞101の間は水分(細胞間水)102で満たされている。この汚泥フロック100からなる脱水汚泥にせん断力、圧縮力を付与すると、汚泥フロックが破壊され、細胞101間から細胞間水が表面に染み出す。図中、103は破壊された汚泥フロック、102’は染み出した細胞間水である。この染み出した細胞間水102’が潤滑剤的な作用を促進して汚泥の粘性が低減され、延いては脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減させるものである。
【0032】
ここで、図14を用いて本発明における脱水汚泥のせん断力付与による効果を説明する。図14本発明に係る脱水汚泥のオリフィス流出圧を示す実験データ及びその実験装置図である。図14(A)に示す実験装置図を用いて、本発明における脱水汚泥を供試汚泥63とし、供試汚泥63に荷重をかけてオリフィス64から流出するときのオリフィス流出圧を測定した。なお、65は荷台である。
図14(B)の実験データに示すように、脱水機出口から排出された脱水汚泥(ブランク)に比べて、せん断及び圧縮した脱水汚泥のほうがよりオリフィス流出圧が少ないことがわかる。このことからも、脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与することにより、脱水汚泥の抵抗粘性が低下し、流動抵抗が低減されることがわかる。
【0033】
かかる実施例1において、下水処理場で発生する下水汚泥等の汚泥は、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、一軸ねじポンプ3へ供給される。一軸ねじポンプ3へ供給された脱水汚泥は、一軸ねじポンプのケーシングとローター(ねじ)のクリアランスによりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
また、一軸ねじポンプ3は脱水機1とピストンポンプ2の中継ポンプとしても好適に用いられる。
【実施例2】
【0034】
図2は本発明の実施例2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図2において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、4は混練機であり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いる混練機4は、脱水汚泥を混練して捩りせん断力を付与するニーダーであり、加圧式ニーダーがより好ましい。
【0035】
かかる実施例2において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、混練機4へ供給される。混練機4へ供給された脱水汚泥は、混練機4内の混練翼(ブレード)で混練・撹拌されて捩りせん断力が付与される。これにより、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【実施例3】
【0036】
図3は本発明の実施例3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図3において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラーであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は脱水汚泥にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい。また、ローラー対間は脱水汚泥を圧密する微少空隙を有していればよい。ローラーを多段に設けた場合は、例えば下流のローラーになるにつれてせん断荷重が増大するように、ローラー間を徐々に狭くなるように設けてもよい。なお、ローラー間は、脱水汚泥中のフロックを破壊する程度の適度なせん断力を付与するように設けることにより、低動力化が可能である。
【0037】
かかる実施例3において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、ローラー5へ供給される。ローラー5へ供給された脱水汚泥はせん断力が付与されるため、これにより、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
なお、ローラー5は、混練機と違って汚泥に髪の毛等の絡まりやすい物体が存在していても問題なく稼働することができる。
【実施例4】
【0038】
図4は本発明の実施例4に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図4において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラー、6は脱水機1から排出された脱水汚泥を搬送するコンベアであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は、実施例3と同様に脱水汚泥に適度にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい
【0039】
かかる実施例4において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、コンベア6を介してローラー5へ供給される。ローラー5へ供給された脱水汚泥はせん断力が付与されるため、これにより、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【実施例5】
【0040】
図5は本発明の実施例5に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図5において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、7は脱水機1から排出された脱水汚泥を搬送するスクリューコンベアであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0041】
かかる実施例5において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、スクリューコンベア7へ供給される。スクリューコンベア7は、そのピッチ間が下流側へいくに従って幅狭に設けられており、脱水機1から排出された脱水汚泥にせん断力を付与しながらピストンポンプ2まで搬送する。なお、スクリューコンベア7は二軸でも一軸でも好適に用いられる。また、リボンスクリューも同様に用いることができる。
脱水汚泥は、スクリューコンベア7でせん断力が付与されて脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【実施例6】
【0042】
図6は本発明の実施例5に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図6において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラー、7は脱水機1から排出された脱水汚泥を搬送するスクリューコンベアであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は、実施例3と同様に脱水汚泥に適度にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい。
【0043】
かかる実施例6において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ピストンポンプ2へ供給される前に、スクリューコンベア7を介してローラー5へ供給される。ここで用いられるスクリューコンベア7は、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減されるよう工夫して構成されたコンベアであり、例えばピッチ間が下流側へいくに従って幅狭に設けられ、脱水機1から排出された脱水汚泥にせん断力を付与しながらローラー5まで搬送する。なお、ここで用いられるスクリューコンベア7は二軸でも一軸でもよいし、リボンスクリューでも好適に用いられる。
スクリューコンベア7とローラー5でせん断力を付与された脱水汚泥は、その脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
なお、ここではスクリューコンベア7の後段にローラー5を設けて構成しているが、ローラー5の後段にスクリューコンベア7を設けてもよく同様の効果を得ることができる。
【実施例7】
【0044】
図7は本発明の実施例7に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
図7において、1は汚泥を脱水させる脱水機、2はピストンポンプ、5はローラー、3は一軸ねじポンプであり、その他の構成は図1に示す実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
ここで用いるローラー5は、実施例3と同様に脱水汚泥に適度にせん断力を付与するものであれば1段でも多段でもよい。
【0045】
かかる実施例7において、汚泥は脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水され、ローラー5と一軸ねじポンプ3を介してピストンポンプ2へ供給される。ローラー5では、一軸ねじポンプ3へ供給する前に脱水汚泥に対して予備せん断力を付与している。これにより、一軸ねじポンプ3単体で搬送が困難な低含水率で高粘度の脱水汚泥の場合であっても、効率的にせん断力を付与することができる。
【0046】
以上のことから、脱水機1から排出された脱水汚泥を、ピストンポンプ2を用いて搬送する際、圧密状態下で脱水汚泥全体にせん断力を付与するものとして一軸ねじポンプ、混練機、ローラー、コンベア、一軸スクリューコンベア、二軸スクリューコンベアを実施例1〜実施例7に示すように用いているが、脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減し、ピストンポンプの吸い込み効率を向上させ、また配管輸送における圧力損失を低減するためであれば、上述した実施形態に関わらず単独若しくは複数組み合わせて用いてもよい。
【実施例8】
【0047】
図8〜図11は、本発明の実施例8に係る有機性脱水汚泥搬送装置の図を示す。実施例8は、脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する抵抗低減手段と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成を示し、従来のオーガタイプのホッパを有する装置に適用したものである。
【0048】
(実施例8−1)
図8は実施例8−1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
図8に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ31を備え、該ホッパ31の下部にスクリューフィーダ33が設けられている。スクリューフィーダ33の終端には一軸ねじポンプ40が連結され、該一軸ねじポンプ40の終端にはピストンポンプ2が連結される。
前記ホッパ31には、必要に応じて撹拌機32が設けられる。
前記スクリューフィーダ33は、モータ35により回転駆動される回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー(パドル)33とから構成される。
前記一軸ねじポンプ40は、実施例1に記載した装置と同様の構成を備える(図8参照)。
【0049】
また、一軸ねじポンプ40の汚泥搬送空間41に連通するバイパス配管42を備え、該バイパス配管42上には、汚泥搬送空間41の圧力を検出する圧力検出計44が設けられている。該圧力検出計44より下流側のバイパス配管42には、該バイパス配管42の開放状態又は密閉状態を形成する開閉弁43が設けられている。該開閉弁43は油圧ユニット50に接続され、該油圧ユニット50により駆動するようになっている。開閉弁43の開閉制御は、圧力検出計44に電気的に接続された電磁弁51により行われる。通常運転時には開閉弁43は閉の状態に維持され、圧力検出計44により検出された汚泥搬送空間41の圧力が、予め設定された所定の圧力以上となった時に、開閉弁43を開に制御する。
【0050】
かかる実施例8−1において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ31内に投入され、スクリューフィーダ33により一軸ねじポンプ40に送られる。該一軸ねじポンプ40へ供給された脱水汚泥は、一軸ねじポンプのケーシングとローターのクリアランスによりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
【0051】
また、ピストンポンプ2の切替時に、該ピストンポンプ2の吸い込みバルブ23、24(図13参照)が一瞬全閉となることで、一軸ねじポンプ40のステータへ過度の圧力がかかる。これを解消するために、圧力検出計44で汚泥搬送空間41の圧力を常時検出しておき、該検出した圧力が所定の圧力以上となった時に、開閉弁43を開に制御し、バイパス配管42に高圧の脱水汚泥の一部を逃がすようにする。これにより、汚泥搬送空間41内の過度の圧力上昇を回避し、ステータの寿命延長を図ることが可能となる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与する一軸ねじポンプ40と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。また、一軸ねじポンプ40を採用することにより、低動力で大きなせん断作用を与えることが可能である。
【0052】
(実施例8−2)
図9は実施例8−2に係る有機性脱水汚泥搬送装置を示す図で、(a)は装置構成図、(b)は二軸ニーダの平面図、(c)は(b)の断面図である。
図9(a)に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ31を備え、該ホッパ31の下部にスクリューフィーダ33が設けられている。スクリューフィーダ33の終端には二軸ニーダ45が連結され、該二軸ニーダ45の終端にはピストンポンプ2が連結される。
前記スクリューフィーダ33は、モータ35により回転駆動される回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー33とから構成される。
【0053】
前記二軸ニーダ45は、図9(b)、(c)に示すように、並行に配置された2本の回転軸34、34を有し、該回転軸には、軸方向に所定ピッチで複数のブレード46が取り付けられている。該ブレード46は、同軸の隣接するブレード46と軸周方向角度を異ならせて取り付けられる。また、異軸の隣接するブレード46とも軸周方向角度を異ならせて取り付けられている。そして、2本の回転軸34、34が、モータ35により同期して回転駆動することによりブレード46が回転し、脱水汚泥を所定方向に搬送するようになっている。
【0054】
かかる実施例8−2において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ31内に投入され、スクリューフィーダ33により二軸ニーダ45に送られる。該二軸ニーダ45へ供給された脱水汚泥は、二軸ニーダ45のケーシングとブレード46間のクリアランスによりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与する二軸ニーダ45と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のスクリューフィーダ33の一部を二軸ロータ45に置き換えた構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0055】
(実施例8−3)
図10は実施例8−3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図で、図11は実施例8に用いられるスクリューフィーダを示し、(A)は本実施例のリボン式スクリューの側面図と断面図、(B)は本実施例の切欠部を有するスクリューの側面図と断面図、(C)は従来例のスクリューの側面図と断面図である。
図10に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ31を備え、該ホッパ31の下部にスクリューフィーダ33が設けられている。スクリューフィーダ33の終端にはピストンポンプ2が連結される。
【0056】
前記スクリューフィーダ33は、モータ35により回転駆動される回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー33とから構成される。該スクリューフィーダ33には、リボン式スクリュー若しくは切欠部を有するスクリューが用いられる。
図11(A)に示すスクリューフィーダ33は、回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたリボン式スクリュー36Aとを備えた構成を有する。リボン式スクリュー36Aを用いることにより、回転軸34付近に開口部を有しているため、スクリュー36Aにより直接押送される外側の脱水汚泥と、その脱水汚泥により引きずられて搬送される内側の脱水汚泥との間でせん断力が与えられるため、従来のスクリューフィーダに比べてせん断作用を向上させることが可能となる。尚、本実施例は、同図に示したリボン式スクリューの形状に限定されるものではなく、2重巻き、3重巻き等の他の形状を用いることも可能である。
【0057】
また、リボン式スクリュー36Aの開口部の大きさは、断面率0.1〜0.3(汚泥搬送空間の断面積/スクリューの断面積)となるように形成することが好適である。断面率を上記範囲内とすることで、たたみ返しとすべり運動の繰り返しにより、スクリュー軸方向の混合、せん断を促進することができる。
【0058】
図11(B)に示すスクリューフィーダ33は、回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー36Bとを備えており、該スクリュー36Bには、その外周縁に所定ピッチで複数の切欠部37が設けられている。切欠部37を有するスクリュー36Bを用いることにより、せん断付与部が多くなり、脱水汚泥に与えるせん断作用を向上させることが可能となる。
ここで、比較例として、図11(C)に従来のスクリューフィーダの図を示す。従来のスクリューフィーダ33は、回転軸34と、該回転軸34に取り付けられたスクリュー36Cとを備えており、該スクリュー36Cには、回転軸34付近に開口部を有しておらず、またその外周縁は滑らかな螺旋状となっているため、汚泥の搬送には効率的であるが、脱水汚泥に付与できるせん断力は大きくはない。
【0059】
かかる実施例8−3において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ31内に投入され、スクリューフィーダ33に送られる。スクリューフィーダ33に供給された脱水汚泥は、リボン式スクリュー36A若しくは切欠部37を有するスクリュー36Bにより大きなせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与するスクリューフィーダ33と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のスクリューフィーダ33の形状を、リボン式スクリュー36A若しくは切欠部37を有するスクリュー36Bとした構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0060】
また、本実施例において、スクリューフィーダ33を二軸又は複軸とし、隣接するスクリューが、等速で互いに逆方向に回転するように構成することが好ましく、これにより脱水汚泥により大きなせん断作用を与えることが可能である。二軸又は複軸のスクリューフィーダ33とした場合、スクリューの取り付け角度を調整したり、スクリューの一部を汚泥搬送方向と逆送り方向にすることによって、ケーシング内の汚泥保有量、滞留時間を調整する。
【0061】
また、図11に示したスクリューフィーダ33は、上記した実施例8−1、実施例8−2にも適用することが可能である。このように、実施例8−1又は実施例8−2と、実施例8−3に示したリボン式スクリュー36A若しくは切欠部37を有するスクリュー36Bとを組み合わせた構成とすることにより、より大きなせん断力を付与することができ、ピストンポンプ2での搬送効率を大幅に向上させることが可能となる。
【実施例9】
【0062】
図12は、本発明の実施例9に係る有機性脱水汚泥搬送装置の図を示す。実施例9は、脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する抵抗低減手段と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成を示し、従来のコニカルタイプのホッパを有する装置に適用したものである。
図8に示す装置は、脱水機1(図1参照)からの脱水汚泥を受け入れるホッパ61を備え、該ホッパ61の下部に二軸ニーダ70が設けられている。二軸ニーダ70の下部には、バルブ66を介してピストンポンプ2が連結される。
【0063】
前記ホッパ61は、下方に縮径した漏斗状に形成され、その下端に二軸ニーダ70が設けられている。該ホッパ61の上部には、モータ63により回転駆動される回転軸62が鉛直方向に配設され、該回転軸62に撹拌翼64が複数取り付けられている。また、該回転軸62には、撹拌翼64より下方にリボンスクリュー65が取り付けられている。尚、この撹拌翼64、リボンスクリュー65については一例であり、ホッパ61内の脱水汚泥を撹拌する手段であればこれに限定されるものではない。
【0064】
前記二軸ニーダ70は、上記した実施例8−2(図9参照)に示す装置と同様の構成を備える。即ち、並行に配置された2本の回転軸71、71を有し、該回転軸には、軸方向に所定ピッチで複数のブレード73が取り付けられている。該ブレード46は、同軸の隣接するブレード73と軸周方向角度を異ならせて取り付けられる。また、異軸の隣接するブレード73とも軸周方向角度を異ならせて取り付けられている。異軸のブレード73同士は、その回転軌跡が重なり合うオーバーラップ形と、重なり合わないタンゼンシャル形とがあるが、いずれを用いてもよい。
そして、2本の回転軸71、71が、モータ72にて同期して回転駆動することによりブレード73が回転し、脱水汚泥を所定方向に搬送するようになっている。このとき、異軸の隣接するブレード73の回転速度に差をつけてもよく、これによりせん断作用を向上させることができる。
【0065】
かかる実施例9において、脱水機1で含水率60〜90%程度まで脱水された脱水汚泥は、ホッパ61内に投入され、撹拌手段により撹拌される。ホッパ61内で重力沈降した脱水汚泥は下部の二軸ニーダ70によりせん断力が付与されるため、脱水汚泥中のフロックが部分的に破壊され、フロックに捕捉されていた水分が表面に染み出す。これにより、ピストンポンプ2での脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗が低減され、吸い込み効率が向上し、また配管輸送における圧力損失を低減することができる。
さらに、本実施例によれば、脱水汚泥に圧密状態におけるせん断力を付与する二軸ニーダ70と、該脱水汚泥を圧縮搬送するピストンポンプ2とを一体化した構成としているため、省スペース化が可能となる。さらにまた、従来のホッパ61の下部に二軸ニーダ70を取り付けた構成としているため、装置構成を簡素化できる。
【0066】
また、上記した実施例1〜実施例9において、有機性脱水汚泥搬送装置にて搬送する脱水汚泥は、含水率が65〜82%の脱水汚泥であることが好ましい。これは、含水率が65%未満であると、脱水汚泥の濃度が高すぎて、せん断力を付与する抵抗低減手段を円滑に作動させることが困難となり、一方、含水率が82%より高いと、脱水汚泥はある程度の流動性を既に有しているため本実施例の効果が顕著に現れないため、搬送対象である脱水汚泥の含水率を65〜82%とすることにより、抵抗低減手段を安定して運転可能で且つ該抵抗低減手段にてせん断力が付与されることにより脱水汚泥の搬送効率を大幅に向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、脱水汚泥全体にせん断力を効率的に付与し、圧送ポンプの吸い込み効率を向上させるとともに、脱水汚泥の圧送時における圧力損失を低減するので、有機性脱水汚泥の搬送方法とその装置への適用に際して有益である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図2】実施例2に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図3】実施例3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図4】実施例4に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図5】実施例5に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図6】実施例6に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図7】実施例7に係る有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図8】実施例8−1に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
【図9】実施例8−2に係る有機性脱水汚泥搬送装置を示す図で、(a)は装置構成図、(b)は二軸ニーダの平面図、(c)は(b)の断面図である。
【図10】実施例8−3に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
【図11】実施例8に用いられるスクリューフィーダを示し、(A)は本実施例のリボン式スクリューの側面図と断面図、(B)は本実施例の切欠部を有するスクリューの側面図と断面図、(C)は従来例のスクリューの側面図と断面図である。
【図12】実施例9に係る有機性脱水汚泥搬送装置の構成図である。
【図13】本発明に係るピストンポンプの断面図である。
【図14】本発明に係る脱水汚泥のオリフィス流出圧を示す実験データ及びその実験装置図である。
【図15】従来の有機性脱水汚泥搬送装置の系統図である。
【図16】従来の有機性脱水汚泥搬送装置を模式的に示す図である。
【図17】脱水汚泥のせん断による粘性低減メカニズムを示す模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1 脱水機
2 ピストンポンプ
3 一軸ねじポンプ
4 混練機
5 ローラー
7 スクリューコンベア
31、61 ホッパ
33 スクリューフィーダ
34 回転軸
36 スクリュー
42 バイパス配管
43 開閉弁
44 圧力検出計
40 一軸ねじポンプ
45、70 二軸ニーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥の搬送方法において、
前記脱水汚泥を搬送工程に移行する前に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより、前記脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送することを特徴とする有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項2】
前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする請求項1記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項3】
前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする請求項1記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項4】
前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行われることを特徴とする請求項1記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項5】
前記脱水汚泥は、前記ローラー対間の転動によりせん断力を付与された後に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、若しくは混練機の少なくとも1つによりせん断力を付与されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項6】
前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項7】
脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥を、ピストンポンプを含む圧密搬送体を介在させて搬送する有機性脱水汚泥の搬送装置において、
前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側と、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体間に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより該脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送する抵抗低減手段を介在させたことを特徴とする有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項8】
前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項9】
前記抵抗低減手段が、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項10】
前記抵抗低減手段が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行なわれることを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項11】
前記抵抗低減手段が、前記せん断力を付与するローラー、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが直列に設けられて形成されることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項12】
請求項10若しくは請求項11記載の二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体へ有機性脱水汚泥を供給する装置であることを特徴とする有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項13】
前記ピストンポンプの入口側に、前記脱水汚泥を受け入れるホッパが設けられており、
前記ホッパと前記ピストンポンプの間に、前記脱水汚泥を前記ホッパから前記ピストンポンプに押し込むとともに前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する前記抵抗低減手段を介在させ、前記ピストンポンプと前記抵抗低減手段とを一体化したことを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項14】
前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に連結された前記抵抗低減手段が一軸ねじポンプであり、
前記一軸ねじポンプの汚泥搬送空間の圧力を検出する圧力検出手段と、前記汚泥搬送空間に連通するバイパス配管と、該バイパス配管に設けられ、通常運転時は閉の状態である開閉弁とを備え、
前記開閉弁は、前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定の圧力以上となった時、開に制御され、前記汚泥搬送空間の脱水汚泥の一部を前記バイパス配管から逃がすようにしたことを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項15】
前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に前記抵抗低減手段が連結されるようにし、
前記抵抗低減手段を二軸ニーダとしたことを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項16】
前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする請求項14若しくは15記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項17】
前記抵抗低減手段が前記ホッパの下部に設けられたスクリューフィーダであり、
前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項18】
前記抵抗低減手段が、前記ホッパの下部に設けられた二軸ニーダであることを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項19】
前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることを特徴とする請求項7乃至18の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項1】
脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥の搬送方法において、
前記脱水汚泥を搬送工程に移行する前に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより、前記脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送することを特徴とする有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項2】
前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする請求項1記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項3】
前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする請求項1記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項4】
前記脱水汚泥へのせん断力の付与が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行われることを特徴とする請求項1記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項5】
前記脱水汚泥は、前記ローラー対間の転動によりせん断力を付与された後に、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ、若しくは混練機の少なくとも1つによりせん断力を付与されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項6】
前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送方法。
【請求項7】
脱水機で含水率60〜90%に脱水された有機性脱水汚泥を、ピストンポンプを含む圧密搬送体を介在させて搬送する有機性脱水汚泥の搬送装置において、
前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側と、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体間に、前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与し前記脱水汚泥中の水分の染み出しを促進することにより該脱水汚泥の配管摩擦抵抗及び流動抵抗を低減した状態で圧縮搬送する抵抗低減手段を介在させたことを特徴とする有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項8】
前記有機性脱水汚泥が、生物処理後の多数の細胞群の凝集体であることを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項9】
前記抵抗低減手段が、ローラー対間に汚泥が圧密される微少空隙を有するローラー対間の転動により行われることを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項10】
前記抵抗低減手段が、前記脱水機出口若しくはベルトコンベアの出口側に設けられ、二軸スクリューのスクリュー対間の転動、一軸スクリューの転動、リボンスクリューの転動、一軸ねじポンプのローターの転動、若しくは混練機の混練運動により行なわれることを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項11】
前記抵抗低減手段が、前記せん断力を付与するローラー、二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが直列に設けられて形成されることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項12】
請求項10若しくは請求項11記載の二軸スクリュー、一軸スクリュー、リボンスクリュー、一軸ねじポンプ若しくは混練機の少なくとも1つが、前記ピストンポンプを含む圧密搬送体へ有機性脱水汚泥を供給する装置であることを特徴とする有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項13】
前記ピストンポンプの入口側に、前記脱水汚泥を受け入れるホッパが設けられており、
前記ホッパと前記ピストンポンプの間に、前記脱水汚泥を前記ホッパから前記ピストンポンプに押し込むとともに前記脱水汚泥に圧密状態下におけるせん断力を付与する前記抵抗低減手段を介在させ、前記ピストンポンプと前記抵抗低減手段とを一体化したことを特徴とする請求項7記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項14】
前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に連結された前記抵抗低減手段が一軸ねじポンプであり、
前記一軸ねじポンプの汚泥搬送空間の圧力を検出する圧力検出手段と、前記汚泥搬送空間に連通するバイパス配管と、該バイパス配管に設けられ、通常運転時は閉の状態である開閉弁とを備え、
前記開閉弁は、前記圧力検出手段にて検出された圧力が所定の圧力以上となった時、開に制御され、前記汚泥搬送空間の脱水汚泥の一部を前記バイパス配管から逃がすようにしたことを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項15】
前記ホッパの下部にスクリューフィーダが配設され、該スクリューフィーダの終端に前記抵抗低減手段が連結されるようにし、
前記抵抗低減手段を二軸ニーダとしたことを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項16】
前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする請求項14若しくは15記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項17】
前記抵抗低減手段が前記ホッパの下部に設けられたスクリューフィーダであり、
前記スクリューフィーダは、回転駆動される回転軸と、該回転軸に取り付けられたリボン式のスクリュー若しくは外周縁に複数の切欠部を有するスクリューと、を備えることを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項18】
前記抵抗低減手段が、前記ホッパの下部に設けられた二軸ニーダであることを特徴とする請求項13記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【請求項19】
前記脱水汚泥の含水率が、65〜82%であることを特徴とする請求項7乃至18の何れかに記載の有機性脱水汚泥の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−297703(P2009−297703A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225233(P2008−225233)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
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