有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法
【課題】酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止され、耐衝撃性が強化された有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】第1基板と、第1基板上に配置されるディスプレイ部と、ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、第1基板と第2基板とを接合させるシーラントと、を備え、シーラントは、フィラーを含有し、第1基板及び第2基板から離隔されている第1シーラントと、第1基板及び第2基板とそれぞれ接触し、第1シーラントの少なくとも一部を覆う第2シーラントと、を備える有機発光ディスプレイ装置である。
【解決手段】第1基板と、第1基板上に配置されるディスプレイ部と、ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、第1基板と第2基板とを接合させるシーラントと、を備え、シーラントは、フィラーを含有し、第1基板及び第2基板から離隔されている第1シーラントと、第1基板及び第2基板とそれぞれ接触し、第1シーラントの少なくとも一部を覆う第2シーラントと、を備える有機発光ディスプレイ装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関し、特に酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止された有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ装置は、携帯が可能な薄型の平板ディスプレイ装置に代替される勢いである。平板ディスプレイ装置のうち、電界発光ディスプレイ装置は、自発光型ディスプレイ装置であって、視野角が広く、コントラストが優秀であるだけでなく、応答速度が速いという長所を有するので、次世代のディスプレイ装置として注目されている。また、発光層の形成物質が有機物から構成される有機発光ディスプレイ装置は、無機発光ディスプレイ装置に比べて輝度、駆動電圧及び応答速度特性に優れ、多色化が可能である。
【0003】
図1は、従来の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。図1を参照すれば、基板10上にディスプレイ部20が備えられ、このディスプレイ部20の上部に封止基板30が備えられる。そして、基板10及び封止基板30は、シーラント41で接合される。
【0004】
平板ディスプレイ装置に備えられる平板表示素子、特に有機発光素子は、電極として使われるITOからの酸素による発光層の劣化、発光層−界面間の反応による劣化など内的要因による劣化があると共に、外部の水分、酸素、紫外線及び素子の製作条件など外的要因により劣化が起こることがあるという短所を有する。特に、外部の酸素及び水分は、素子の寿命に致命的な影響を与えるので、有機発光素子のパッケージングが非常に重要である。
【0005】
しかし、図1に示したような従来の有機発光ディスプレイ装置の場合、基板10と封止基板30とを接合させるシーラント41を通じて、特にシーラント41と封止基板30との間の界面を通じて、外部の酸素または水分などの不純物が内部に浸透して、ディスプレイ部20を損傷させることがあるという問題点がある。また、シーラント41の部分が衝撃によって容易に破損されることがあるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2007−0112984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解決するためのものであって、酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止され、耐衝撃性が強化された有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としては、第1基板と、前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを接合させるシーラントと、を備え、前記シーラントは、フィラーを含有し、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている第1シーラントと、前記第1基板及び前記第2基板とそれぞれ接触し、前記第1シーラントの少なくとも一部を覆う第2シーラントと、を備える有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【0009】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第2シーラント内に収容される。
【0010】
本発明の一構成において、前記第2シーラントは、フィラーを含有しない。
【0011】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、V−TeまたはV−W系のガラスフリットを含有する。
【0012】
本発明の一構成において、前記第2シーラントは、V−P−B−Zn系のガラスフリットを含有する。
【0013】
本発明の一構成において、前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、実質的に同じ熱膨張率を有する。
【0014】
本発明の一構成において、前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、それぞれ(30〜90)*10−7/Kの熱膨張率を有する。
【0015】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が低い。
【0016】
ここで、第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が約30ないし50℃低い構成であってもよい。
【0017】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第2シーラントより流動性が小さい。
【0018】
本発明の一構成において、前記第2基板の前記シーラントと接触する領域には、所定の深さのトレンチが形成される。
【0019】
ここで、前記第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容される構成であってもよい。
【0020】
本発明の他の側面としては、第1基板と、前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、前記第1基板上に形成され、ガラスフリットを含有する一方の第2シーラントと、前記一方の第2シーラント上に形成され、ガラスフリット及びフィラーを含有する第1シーラントと、前記第1シーラント上に形成され、ガラスフリットを含有する他方の第2シーラントと、を備える有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【0021】
本発明の一構成において、前記ディスプレイ部が配置される前記第1基板の一面に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される。
【0022】
本発明のさらに他の側面としては、第1基板の一面にディスプレイ部を形成するステップと、第2基板の一面に一方の第2シーラントを形成するステップと、前記一方の第2シーラント上にフィラーを含有する第1シーラントを形成するステップと、前記第1シーラント上に他方の第2シーラントを形成するステップと、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントを介して、前記第1基板と前記第2基板とを接合するステップと、を含む有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【0023】
本発明の一構成において、前記一方の第2シーラント及び/または前記他方の第2シーラントは、フィラーを含有しない。
【0024】
本発明の一構成において、前記第2基板の一面に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、前記第2基板の一面にトレンチを形成するステップと、前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップと、を含む。
【0025】
ここで、前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、前記一方の第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容されるように、前記一方の第2シーラントを形成する構成であってもよい。
【0026】
本発明の一構成において、前記第1シーラント上に前記他方の第2シーラントを形成するステップは、前記他方の第2シーラントが前記第1シーラントの少なくとも一部を覆うように、前記他方の第2シーラントを形成する。
【0027】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている。
【0028】
本発明の一構成において、前記第2基板上に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法によれば、酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止され、耐衝撃性が強化される効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す平面図である。
【図3】図2の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【図6A】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6B】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6C】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6D】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6E】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図7】図2の有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。なお、各図に共通する部材には同一の符号を付す。
【0032】
図2は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す平面図であり、図3は、図2の有機発光ディスプレイ装置100を概略的に示す断面図である。参考までに、図2では、図3に示した第2基板120が除去された構造を示している。
【0033】
上記図面を参照すれば、第1基板110上に有機発光素子を備えたディスプレイ部200が備えられている。
【0034】
第1基板110は、SiO2を主成分とする透明なガラス材質で形成される。第1基板110は、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明なプラスチック材で形成してもよい。第1基板110を形成するプラスチック材は、絶縁性有機物であるが、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択される有機物でありうる。
【0035】
画像が第1基板110の方向に表示される背面発光型である場合に、第1基板110は、透明な材質で形成しなければならない。しかし、画像が第1基板110の逆方向に表示される前面発光型である場合に、第1基板110は、透明な材質で形成する必要はない。この場合、金属で第1基板110を形成できる。金属で第1基板110を形成する場合、第1基板110は、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、Invar合金、Inconel合金及びKovar合金からなる群から選択された一つ以上を含むが、これらに限定されるものではなく、炭素によっても形成可能である。第1基板110は、金属ホイルで形成できる。
【0036】
図示していないが、第1基板110の上面には、第1基板110の平滑性及び不純元素の浸透を遮断するために、バッファ層(図示せず)がさらに備えられてもよい。
【0037】
このように、ディスプレイ部200が備えられた第1基板110は、ディスプレイ部200の上部に配置される第2基板120と接合される。この第2基板120も、ガラス材の基板だけでなく、アクリルのような多様なプラスチック材の基板を使用することもでき、さらに金属板を使用することもできる。
【0038】
第1基板110及び第2基板120は、シーラント410により接合される。かかるシーラント410としては、主にガラスフリットが使われる。
【0039】
ここで、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置100は、フィラーを含有し、第1基板110及び第2基板120から一定間隔ほど離隔されている第1シーラント411と、第1シーラント411の少なくとも一部を覆うように形成され、好ましくはフィラーを含有しない第2シーラント412と、を備えるシーラント410を備えることを一つの特徴とする。
【0040】
一般的に、シーラントを形成するためには、まず、ガラスフリットペーストを作らなければならない。かかるガラスフリットペーストは、固形分であるガラスパウダーと、液状であるビークルとから構成される。ここで、ガラスパウダーは、通常4個以上の化合物組成を有するガラスを細かく粉状にしたものであって、焼成が終わった後のシーラントの厚さをtfritとすれば、その直径がtfritの20%以内となるようにドライミーリングを行う。通常tfritが3ないし30μmであるので、ガラスパウダーの平均粒径は、0.6ないし6μmとならなければならない。
【0041】
しかし、有機発光ディスプレイ装置100に使われる第1基板110及び第2基板120は、熱工程前/後のパターン精度の維持のために、低い熱膨張率(CTE)を有するガラスを使用するため、ガラスフリットペーストに使われるガラスパウダーもCTEを合わせるために、第1基板110及び第2基板120と最大限類似したCTEを有することが望ましい。
【0042】
しかし、シーラント410を局部的に溶融させて、第1基板110と第2基板120とを接合するためには、シーラント410が可能な限り低い温度で溶けなければならず、溶けた後には、よく流れて第1基板110及び第2基板120と強い機械的な結合を形成しなければならないが、このようなガラスは、物理的に高いCTEを有し、分子間の結合力も脆弱であり、非常に弱い耐衝撃性を有する。すなわち、小さい外力によってもクラックが発生しやすくなる。
【0043】
したがって、このような弱い耐衝撃性及び高いCTEを補償するために、ガラスフリットペーストを構成するとき、CTEが高いガラスパウダーにセラミックなどからなるフィラーを添加する。基本的にガラスパウダーのCTEより低いCTEを有する物質であれば、いかなる物質もフィラーとして使われるが、構造的な安定性及び低いCTEを実現するために、負のCTEを有する特殊なフィラーが合成されて使われる。このように、フィラーをガラスパウダーに添加することによって、機械的な強度(例えば、ヤング率、破壊靭性など)を向上させる。一方、このようにシーラントがフィラーを備える場合、機械的な強度が向上するが、落下衝撃時にフィラーに応力が集中して、かえって製品が破損される現象が発生することがある。
【0044】
しかし、このように、ガラスパウダーにフィラーを添加する場合、流動性が急激に低下するという問題点が発生する。詳細には、ガラスフリットペーストのガラス転移温度Tgは、第1基板110及び第2基板120のガラス転移温度Tgより低いため、第1基板110及び第2基板120とガラスフリットペーストとの間の界面で化学的な結合が行われず、界面でガラスフリットペースト分子が第1基板110及び第2基板120の分子を取りおさえる、いわゆる機械的な結合が起こる。かかる機械的な結合が円滑に行われるためには、高い流動性が要求されるが、ガラスパウダーにフィラーを添加する場合、流動性が急激に低下する。
【0045】
結果的に、弱い耐衝撃性及び高いCTEの補償、機械的な強度の向上のためには、ガラスフリットペーストにフィラーを添加することが望ましい一方、流動性を向上させるためには、ガラスフリットペーストにフィラーを添加しないことが望ましいという矛盾した状況が発生する。
【0046】
かかる問題点を解決するために、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置100は、シーラント410を垂直に複数層が積層された多層構造で形成することを一つの特徴とする。すなわち、シーラント410の中心部分、すなわち第1基板110及び第2基板120と接触しない部分には、フィラーを含有する第1シーラント411を配置して、弱い耐衝撃性及び高いCTEを補償すると共に、シーラント410の機械的な強度を向上させる。また、第1基板110及び第2基板120と接触する部分には、フィラーを含有しない第2シーラント412を配置して流動性を向上させることによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合を円滑に行う。
【0047】
ここで、フィラーを含有する第1シーラント411は、構造的な安定性及び低いCTEを実現するために、ガラスパウダーに負のCTEを有する特殊なフィラーを混合するが、一般的な場合よりフィラーの比率をさらに高めて(約50%まで)、機械的な強度をさらに補強できる。この場合、ガラスパウダー単独のCTEは、約(70〜200)*10−7/K以内でありうる。これに一定のフィラーを混ぜて、最終的に第1シーラント411は、CTEが約(30〜90)*10−7/Kの範囲内で可能な限り小さい値を有するように形成される。かかる第1シーラント411を構成する物質としては、V−TeまたはV−W系のガラスフリットを例示できる。
【0048】
一方、フィラーを含有しない第2シーラント412は、第1基板110及び第2基板120のCTE(約(35〜45)*10−7/K)とある程度類似したCTEを有する材料で形成される。すなわち、第2シーラント412は、CTEが約(30〜90)*10−7/Kの範囲内で可能な限り小さい値を有するように形成される。かかる物質は、前述したように、機械的な強度は弱いが、流動性に優れる。かかる第2シーラント412を構成する物質としては、V−P−B−Zn系のガラスフリットを例示できる。
【0049】
このように、第1シーラント411を形成する物質及び第2シーラント412を形成する物質は、実質的に類似したCTE(約50*10−7/K)を有するようにして、第1シーラント411と第2シーラント412とが結合したとき、その間に残留応力によるクラックを発生させないことが望ましい。
【0050】
以下では、第1シーラント411を形成する物質及び第2シーラント412を形成する物質の特性について比較する。
【0051】
まず、第1シーラント411を形成する物質は、第2シーラント412を形成する物質よりガラス転移温度Tg及び溶融点Tmが少しずつ、例えば、約30ないし50℃低くすることが望ましい。その理由は、次の通りである。最初、焼成時、第2シーラント412を形成する物質は、第1シーラント411を形成する物質より後に溶け、先に固まることが望ましい。このように、第2シーラント412を形成する物質が後に溶けることによって、第1シーラント411を形成する物質のバインダー及び溶媒残留物が気孔を形成して抜け出ることができ、この気孔を流動性の良い第2シーラント412が満たす。また、第2シーラント412を形成する物質が先に固まることによって、第1シーラント411を形成する物質に含まれているフィラーが第2シーラント412まで浸透して入れなくする。すなわち、第1基板110及び第2基板120にフィラーが接触することが防止される。
【0052】
また、第1シーラント411内には、フィラーが備えられているので、第2シーラント412が第1シーラント411より流動性が高くなる。したがって、第1基板110及び第2基板120と接する第2シーラント412は、屈曲のない滑らかな面を形成できる。
【0053】
また、第1シーラント411内には、フィラーが備えられているので、機械的な強度(例えば、ヤング率、破壊靭性など)は、第1シーラント411が第2シーラント412より高い。
【0054】
かかる本発明によって、互いに接する第1基板110及び第2基板120とシーラント410とが類似したCTEを有することによって、残留応力によるクラックの発生が防止される効果が得られる。また、第1基板110及び第2基板120と直接的に接触する第2シーラント412の流動性が向上することによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合が円滑に行われると共に、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との界面の平坦度及び均一度が向上する効果が得られる。また、フィラーが含有されることによって、機械的な剛性に優れた第1シーラント411がシーラント410の中央部に配置されることによって、外力による変形が防止される効果が得られる。さらに、フィラーが含有される第1シーラント411が第2シーラント412の内部に収容されることによって、フィラーが直接的に第1基板110及び第2基板120と接触せず、したがって、耐衝撃性が強化される効果が得られる。
【0055】
図4は、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【0056】
図4を参照すれば、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置101は、第1基板110、ディスプレイ部200、第2基板120及びシーラント420を備える。ここで、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置101は、前記第2基板120の前記シーラント420と接触する領域に所定の深さのトレンチ121が形成されるという点で、前述した実施形態と区別される。
【0057】
すなわち、シーラントの厚さが厚くなる場合に発生しうる差圧による光学干渉縞(ニュートン環)の形成を防止するために、本実施形態では、第2基板120に所定の深さのトレンチ121を形成することを一つの特徴とする。このように、第2基板120に所定の深さのトレンチ121を形成した後、トレンチ121上に第2シーラント422及び第1シーラント421を順次に形成することによって、第1基板110と第2基板120との間隔を狭めることによって、光学干渉縞(ニュートン環)の形成が防止される効果が得られる。
【0058】
図5は、本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【0059】
図5を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置102は、第1基板110、ディスプレイ部200、第2基板120及びシーラント430を備える。ここで、本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置102は、第2シーラント432が第1シーラント431の内部に収容されるものではなく、第1基板110上に第2シーラント432、第1シーラント431及び第2シーラント432が順次に積層されるという点で、前述した実施形態と区別される。かかる本実施形態によって、有機発光ディスプレイ装置102の製造が容易になる効果が得られる。
【0060】
以下では、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を説明する。
【0061】
図6Aないし図6Eは、図4に記載された本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示した概略的な断面図である。
【0062】
図6Aないし図6Eを参照すれば、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法は、第1基板の一面にディスプレイ部を形成するステップ、第2基板の一面にトレンチを形成するステップ、前記トレンチ上に一方の第2シーラントを形成するステップ、前記一方の第2シーラント上にフィラーを含有する第1シーラントを形成するステップ、前記第1シーラント上に他方の第2シーラントを形成するステップ、及び、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントを介して、前記第1基板と前記第2基板とを接合するステップを含む。
【0063】
まず、不図示であるが、第1基板110の一面にディスプレイ部200を形成する。ここで、第1基板110としては、ガラス材基板だけでなく、アクリルのような多様なプラスチック材基板を使用することもでき、さらに金属板を使用することもできる。この第1基板110には、必要に応じてバッファ層(図示せず)がさらに備えられてもよい。
【0064】
次いで、図6Aに示したように、第2基板120の一面にトレンチ121を形成する。詳細には、シーラントの厚さが厚くなる場合に発生しうる差圧による光学干渉縞(ニュートン環)の形成を防止するために、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法では、前記第2基板120の前記シーラント420と接触する領域に、所定の深さのトレンチ121を形成する。かかるトレンチ121により、第1基板110と第2基板120との間隔を狭めることによって、光学干渉縞(ニュートン環)の形成が防止される効果が得られる。
【0065】
次いで、図6Bに示したように、前記トレンチ121上に、一方の第2シーラント422aを形成する。すなわち、一方の第2シーラント422aの少なくとも一部分がトレンチ121内に収容される。かかる一方の第2シーラント422aには、前述したようにフィラーを含有しないシーラントを配置して流動性を向上させることによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合を円滑に行う。
【0066】
次いで、図6Cに示したように、一方の第2シーラント422a上にフィラーを含有する第1シーラント421を形成する。かかる第1シーラント421には、前述したようにフィラーを含有するシーラントを配置して、弱い耐衝撃性及び高いCTEを補償すると共に、シーラント410の機械的な強度を向上させる。
【0067】
次いで、図6Dに示したように、第1シーラント421上に、第1シーラント421を覆うように、他方の第2シーラント422bを形成する。このとき、他方の第2シーラント422bが第1シーラント421の少なくとも一部を覆うように、他方の第2シーラント422bを形成することが望ましい。かかる他方の第2シーラント422bとしては、前述したようにフィラーを含有しないシーラントを配置して流動性を向上させることによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合を円滑に行う。
【0068】
最後に、図6Eに示したように、前記シーラント410を介して第1基板110と第2基板120とを接合する。すなわち、レーザー照射器などを利用してシーラント410に局部的にレーザーを照射する方法などによって、シーラント410を硬化させることによって、第1基板110と第2基板120とを接合する。
【0069】
かかる本発明によって、互いに接する第1基板110及び第2基板120とシーラント410とが類似したCTEを有することによって、残留応力によるクラックの発生が防止される効果が得られる。また、第1基板110及び第2基板120と直接的に接触する第2シーラント422の流動性が向上することによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合が円滑に行われると共に、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との界面の平坦度及び均一度が向上する効果が得られる。また、フィラーが含有されることによって機械的な剛性に優れた第1シーラント421がシーラント410の中央部に配置されることによって、外力による変形が防止される効果が得られる。さらに、フィラーが含有される第1シーラント421が第2シーラント422の内部に収容されることによって、フィラーが直接的に第1基板110及び第2基板120と接触せず、したがって、耐衝撃性が強化される効果が得られる。
【0070】
図7は、図2の有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図であって、ディスプレイ部200の具体的な構成を例示的に示している。
【0071】
図7を参照すれば、第1基板110’上に複数個の薄膜トランジスタ220が備えられており、該薄膜トランジスタ220の上部には、有機発光素子230が備えられている。有機発光素子230は、薄膜トランジスタ220に電気的に連結された画素電極231と、第1基板110’の全面にわたって配置された対向電極235と、画素電極231と対向電極235との間に配置され、少なくとも発光層を備える中間層233と、を備える。
【0072】
第1基板110’上には、ゲート電極221、ソース電極及びドレイン電極223、半導体層227、ゲート絶縁膜213及び層間絶縁膜215を備えた薄膜トランジスタ220が備えられている。もちろん、薄膜トランジスタ220も図7に示した形態に限定されず、半導体層227が有機物で形成された有機薄膜トランジスタ、シリコンで形成されたシリコン薄膜トランジスタなど多様な薄膜トランジスタが利用される。該薄膜トランジスタ220と第1基板110’との間には、必要に応じて、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどで形成されたバッファ層211がさらに備えられてもよい。
【0073】
有機発光素子230は、互いに対向した画素電極231及び対向電極235と、それらの電極間に介在された有機物で形成された中間層233とを備える。該中間層233は、少なくとも発光層を備えるものであって、複数の層を備える。この層については後述する。
【0074】
画素電極231は、アノード電極の機能を行い、対向電極235は、カソード電極の機能を行う。もちろん、該画素電極231と対向電極235との極性は逆になってもよい。
【0075】
画素電極231は、透明電極または反射電極でありうる。透明電極であるときには、ITO(Indium Tin Oxide),IZO(Indium Zinc Oxide),ZnOまたはIn2O3で形成され、反射電極であるときには、Ag,Mg,Al,Pt,Pd,Au,Ni,Nd,Ir,Crまたはそれらの化合物などで形成された反射膜と、その上にITO,IZO,ZnOまたはIn2O3で形成された膜とを備える。
【0076】
対向電極235も、透明電極または反射電極でありうるが、透明電極であるときは、Li,Ca,LiF/Ca,LiF/Al,Al,Mgまたはそれらの化合物が画素電極231と対向電極235との間の中間層233に向かうように蒸着された膜、その上にITO,IZO,ZnOまたはIn2O3などの透明電極形成用物質で形成された補助電極やバス電極ラインを備える。そして、反射電極であるときには、Li,Ca,LiF/Ca,LiF/Al,Al,Mgまたはそれらの化合物を蒸着することによって備えられる。
【0077】
一方、画素定義膜(PDL)219が画素電極231のエッジを覆い、画素電極231の外側に厚さを有するように備えられる。該画素定義膜219は、発光領域を定義する役割以外に、画素電極231のエッジと対向電極235との間隔を広げて、画素電極231のエッジ部分で電界が集中する現象を防止することによって、画素電極231と対向電極235との短絡を防止する役割を行う。
【0078】
画素電極231と対向電極235との間には、少なくとも発光層を備える多様な中間層233が備えられる。該中間層233は、低分子有機物または高分子有機物で形成される。
【0079】
低分子有機物を使用する場合、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)、有機発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして多様に適用可能である。それらの低分子有機物は、マスクを利用した真空蒸着などの方法で形成される。
【0080】
高分子有機物の場合には、一般的にホール輸送層及び発光層で備えられた構造を有し、このとき、前記ホール輸送層としてPEDOTを使用し、発光層としてポリフェニレンビニレン(PPV)系及びポリフルオレン系など高分子有機物質を使用する。
【0081】
かかる有機発光素子230は、その下部の薄膜トランジスタ220に電気的に連結されるが、このとき、薄膜トランジスタ220を覆う平坦化膜217が備えられる場合、有機発光素子230は、平坦化膜217上に配置され、有機発光素子230の画素電極231は、平坦化膜217に備えられたコンタクトホールを通じて薄膜トランジスタ220に電気的に連結される。
【0082】
一方、基板上に形成された有機発光素子230は、第2基板120’により密封される。第2基板120’は、前述したようにガラスまたはプラスチック材などの多様な材料で形成される。
【0083】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により決まらねばならない。
【符号の説明】
【0084】
100 有機発光ディスプレイ装置
110,110’ 第1基板
120,120’ 第2基板
200 ディスプレイ部
410,420,430 シーラント
411,421,431 第1シーラント
412,422,432 第2シーラント
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関し、特に酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止された有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ装置は、携帯が可能な薄型の平板ディスプレイ装置に代替される勢いである。平板ディスプレイ装置のうち、電界発光ディスプレイ装置は、自発光型ディスプレイ装置であって、視野角が広く、コントラストが優秀であるだけでなく、応答速度が速いという長所を有するので、次世代のディスプレイ装置として注目されている。また、発光層の形成物質が有機物から構成される有機発光ディスプレイ装置は、無機発光ディスプレイ装置に比べて輝度、駆動電圧及び応答速度特性に優れ、多色化が可能である。
【0003】
図1は、従来の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。図1を参照すれば、基板10上にディスプレイ部20が備えられ、このディスプレイ部20の上部に封止基板30が備えられる。そして、基板10及び封止基板30は、シーラント41で接合される。
【0004】
平板ディスプレイ装置に備えられる平板表示素子、特に有機発光素子は、電極として使われるITOからの酸素による発光層の劣化、発光層−界面間の反応による劣化など内的要因による劣化があると共に、外部の水分、酸素、紫外線及び素子の製作条件など外的要因により劣化が起こることがあるという短所を有する。特に、外部の酸素及び水分は、素子の寿命に致命的な影響を与えるので、有機発光素子のパッケージングが非常に重要である。
【0005】
しかし、図1に示したような従来の有機発光ディスプレイ装置の場合、基板10と封止基板30とを接合させるシーラント41を通じて、特にシーラント41と封止基板30との間の界面を通じて、外部の酸素または水分などの不純物が内部に浸透して、ディスプレイ部20を損傷させることがあるという問題点がある。また、シーラント41の部分が衝撃によって容易に破損されることがあるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2007−0112984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解決するためのものであって、酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止され、耐衝撃性が強化された有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としては、第1基板と、前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを接合させるシーラントと、を備え、前記シーラントは、フィラーを含有し、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている第1シーラントと、前記第1基板及び前記第2基板とそれぞれ接触し、前記第1シーラントの少なくとも一部を覆う第2シーラントと、を備える有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【0009】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第2シーラント内に収容される。
【0010】
本発明の一構成において、前記第2シーラントは、フィラーを含有しない。
【0011】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、V−TeまたはV−W系のガラスフリットを含有する。
【0012】
本発明の一構成において、前記第2シーラントは、V−P−B−Zn系のガラスフリットを含有する。
【0013】
本発明の一構成において、前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、実質的に同じ熱膨張率を有する。
【0014】
本発明の一構成において、前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、それぞれ(30〜90)*10−7/Kの熱膨張率を有する。
【0015】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が低い。
【0016】
ここで、第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が約30ないし50℃低い構成であってもよい。
【0017】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第2シーラントより流動性が小さい。
【0018】
本発明の一構成において、前記第2基板の前記シーラントと接触する領域には、所定の深さのトレンチが形成される。
【0019】
ここで、前記第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容される構成であってもよい。
【0020】
本発明の他の側面としては、第1基板と、前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、前記第1基板上に形成され、ガラスフリットを含有する一方の第2シーラントと、前記一方の第2シーラント上に形成され、ガラスフリット及びフィラーを含有する第1シーラントと、前記第1シーラント上に形成され、ガラスフリットを含有する他方の第2シーラントと、を備える有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【0021】
本発明の一構成において、前記ディスプレイ部が配置される前記第1基板の一面に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される。
【0022】
本発明のさらに他の側面としては、第1基板の一面にディスプレイ部を形成するステップと、第2基板の一面に一方の第2シーラントを形成するステップと、前記一方の第2シーラント上にフィラーを含有する第1シーラントを形成するステップと、前記第1シーラント上に他方の第2シーラントを形成するステップと、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントを介して、前記第1基板と前記第2基板とを接合するステップと、を含む有機発光ディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【0023】
本発明の一構成において、前記一方の第2シーラント及び/または前記他方の第2シーラントは、フィラーを含有しない。
【0024】
本発明の一構成において、前記第2基板の一面に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、前記第2基板の一面にトレンチを形成するステップと、前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップと、を含む。
【0025】
ここで、前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、前記一方の第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容されるように、前記一方の第2シーラントを形成する構成であってもよい。
【0026】
本発明の一構成において、前記第1シーラント上に前記他方の第2シーラントを形成するステップは、前記他方の第2シーラントが前記第1シーラントの少なくとも一部を覆うように、前記他方の第2シーラントを形成する。
【0027】
本発明の一構成において、前記第1シーラントは、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている。
【0028】
本発明の一構成において、前記第2基板上に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法によれば、酸素または水分のような外部の不純物の浸透が防止され、耐衝撃性が強化される効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す平面図である。
【図3】図2の有機発光ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【図6A】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6B】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6C】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6D】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図6E】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示す概略的な断面図である。
【図7】図2の有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。なお、各図に共通する部材には同一の符号を付す。
【0032】
図2は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す平面図であり、図3は、図2の有機発光ディスプレイ装置100を概略的に示す断面図である。参考までに、図2では、図3に示した第2基板120が除去された構造を示している。
【0033】
上記図面を参照すれば、第1基板110上に有機発光素子を備えたディスプレイ部200が備えられている。
【0034】
第1基板110は、SiO2を主成分とする透明なガラス材質で形成される。第1基板110は、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明なプラスチック材で形成してもよい。第1基板110を形成するプラスチック材は、絶縁性有機物であるが、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択される有機物でありうる。
【0035】
画像が第1基板110の方向に表示される背面発光型である場合に、第1基板110は、透明な材質で形成しなければならない。しかし、画像が第1基板110の逆方向に表示される前面発光型である場合に、第1基板110は、透明な材質で形成する必要はない。この場合、金属で第1基板110を形成できる。金属で第1基板110を形成する場合、第1基板110は、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、Invar合金、Inconel合金及びKovar合金からなる群から選択された一つ以上を含むが、これらに限定されるものではなく、炭素によっても形成可能である。第1基板110は、金属ホイルで形成できる。
【0036】
図示していないが、第1基板110の上面には、第1基板110の平滑性及び不純元素の浸透を遮断するために、バッファ層(図示せず)がさらに備えられてもよい。
【0037】
このように、ディスプレイ部200が備えられた第1基板110は、ディスプレイ部200の上部に配置される第2基板120と接合される。この第2基板120も、ガラス材の基板だけでなく、アクリルのような多様なプラスチック材の基板を使用することもでき、さらに金属板を使用することもできる。
【0038】
第1基板110及び第2基板120は、シーラント410により接合される。かかるシーラント410としては、主にガラスフリットが使われる。
【0039】
ここで、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置100は、フィラーを含有し、第1基板110及び第2基板120から一定間隔ほど離隔されている第1シーラント411と、第1シーラント411の少なくとも一部を覆うように形成され、好ましくはフィラーを含有しない第2シーラント412と、を備えるシーラント410を備えることを一つの特徴とする。
【0040】
一般的に、シーラントを形成するためには、まず、ガラスフリットペーストを作らなければならない。かかるガラスフリットペーストは、固形分であるガラスパウダーと、液状であるビークルとから構成される。ここで、ガラスパウダーは、通常4個以上の化合物組成を有するガラスを細かく粉状にしたものであって、焼成が終わった後のシーラントの厚さをtfritとすれば、その直径がtfritの20%以内となるようにドライミーリングを行う。通常tfritが3ないし30μmであるので、ガラスパウダーの平均粒径は、0.6ないし6μmとならなければならない。
【0041】
しかし、有機発光ディスプレイ装置100に使われる第1基板110及び第2基板120は、熱工程前/後のパターン精度の維持のために、低い熱膨張率(CTE)を有するガラスを使用するため、ガラスフリットペーストに使われるガラスパウダーもCTEを合わせるために、第1基板110及び第2基板120と最大限類似したCTEを有することが望ましい。
【0042】
しかし、シーラント410を局部的に溶融させて、第1基板110と第2基板120とを接合するためには、シーラント410が可能な限り低い温度で溶けなければならず、溶けた後には、よく流れて第1基板110及び第2基板120と強い機械的な結合を形成しなければならないが、このようなガラスは、物理的に高いCTEを有し、分子間の結合力も脆弱であり、非常に弱い耐衝撃性を有する。すなわち、小さい外力によってもクラックが発生しやすくなる。
【0043】
したがって、このような弱い耐衝撃性及び高いCTEを補償するために、ガラスフリットペーストを構成するとき、CTEが高いガラスパウダーにセラミックなどからなるフィラーを添加する。基本的にガラスパウダーのCTEより低いCTEを有する物質であれば、いかなる物質もフィラーとして使われるが、構造的な安定性及び低いCTEを実現するために、負のCTEを有する特殊なフィラーが合成されて使われる。このように、フィラーをガラスパウダーに添加することによって、機械的な強度(例えば、ヤング率、破壊靭性など)を向上させる。一方、このようにシーラントがフィラーを備える場合、機械的な強度が向上するが、落下衝撃時にフィラーに応力が集中して、かえって製品が破損される現象が発生することがある。
【0044】
しかし、このように、ガラスパウダーにフィラーを添加する場合、流動性が急激に低下するという問題点が発生する。詳細には、ガラスフリットペーストのガラス転移温度Tgは、第1基板110及び第2基板120のガラス転移温度Tgより低いため、第1基板110及び第2基板120とガラスフリットペーストとの間の界面で化学的な結合が行われず、界面でガラスフリットペースト分子が第1基板110及び第2基板120の分子を取りおさえる、いわゆる機械的な結合が起こる。かかる機械的な結合が円滑に行われるためには、高い流動性が要求されるが、ガラスパウダーにフィラーを添加する場合、流動性が急激に低下する。
【0045】
結果的に、弱い耐衝撃性及び高いCTEの補償、機械的な強度の向上のためには、ガラスフリットペーストにフィラーを添加することが望ましい一方、流動性を向上させるためには、ガラスフリットペーストにフィラーを添加しないことが望ましいという矛盾した状況が発生する。
【0046】
かかる問題点を解決するために、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置100は、シーラント410を垂直に複数層が積層された多層構造で形成することを一つの特徴とする。すなわち、シーラント410の中心部分、すなわち第1基板110及び第2基板120と接触しない部分には、フィラーを含有する第1シーラント411を配置して、弱い耐衝撃性及び高いCTEを補償すると共に、シーラント410の機械的な強度を向上させる。また、第1基板110及び第2基板120と接触する部分には、フィラーを含有しない第2シーラント412を配置して流動性を向上させることによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合を円滑に行う。
【0047】
ここで、フィラーを含有する第1シーラント411は、構造的な安定性及び低いCTEを実現するために、ガラスパウダーに負のCTEを有する特殊なフィラーを混合するが、一般的な場合よりフィラーの比率をさらに高めて(約50%まで)、機械的な強度をさらに補強できる。この場合、ガラスパウダー単独のCTEは、約(70〜200)*10−7/K以内でありうる。これに一定のフィラーを混ぜて、最終的に第1シーラント411は、CTEが約(30〜90)*10−7/Kの範囲内で可能な限り小さい値を有するように形成される。かかる第1シーラント411を構成する物質としては、V−TeまたはV−W系のガラスフリットを例示できる。
【0048】
一方、フィラーを含有しない第2シーラント412は、第1基板110及び第2基板120のCTE(約(35〜45)*10−7/K)とある程度類似したCTEを有する材料で形成される。すなわち、第2シーラント412は、CTEが約(30〜90)*10−7/Kの範囲内で可能な限り小さい値を有するように形成される。かかる物質は、前述したように、機械的な強度は弱いが、流動性に優れる。かかる第2シーラント412を構成する物質としては、V−P−B−Zn系のガラスフリットを例示できる。
【0049】
このように、第1シーラント411を形成する物質及び第2シーラント412を形成する物質は、実質的に類似したCTE(約50*10−7/K)を有するようにして、第1シーラント411と第2シーラント412とが結合したとき、その間に残留応力によるクラックを発生させないことが望ましい。
【0050】
以下では、第1シーラント411を形成する物質及び第2シーラント412を形成する物質の特性について比較する。
【0051】
まず、第1シーラント411を形成する物質は、第2シーラント412を形成する物質よりガラス転移温度Tg及び溶融点Tmが少しずつ、例えば、約30ないし50℃低くすることが望ましい。その理由は、次の通りである。最初、焼成時、第2シーラント412を形成する物質は、第1シーラント411を形成する物質より後に溶け、先に固まることが望ましい。このように、第2シーラント412を形成する物質が後に溶けることによって、第1シーラント411を形成する物質のバインダー及び溶媒残留物が気孔を形成して抜け出ることができ、この気孔を流動性の良い第2シーラント412が満たす。また、第2シーラント412を形成する物質が先に固まることによって、第1シーラント411を形成する物質に含まれているフィラーが第2シーラント412まで浸透して入れなくする。すなわち、第1基板110及び第2基板120にフィラーが接触することが防止される。
【0052】
また、第1シーラント411内には、フィラーが備えられているので、第2シーラント412が第1シーラント411より流動性が高くなる。したがって、第1基板110及び第2基板120と接する第2シーラント412は、屈曲のない滑らかな面を形成できる。
【0053】
また、第1シーラント411内には、フィラーが備えられているので、機械的な強度(例えば、ヤング率、破壊靭性など)は、第1シーラント411が第2シーラント412より高い。
【0054】
かかる本発明によって、互いに接する第1基板110及び第2基板120とシーラント410とが類似したCTEを有することによって、残留応力によるクラックの発生が防止される効果が得られる。また、第1基板110及び第2基板120と直接的に接触する第2シーラント412の流動性が向上することによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合が円滑に行われると共に、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との界面の平坦度及び均一度が向上する効果が得られる。また、フィラーが含有されることによって、機械的な剛性に優れた第1シーラント411がシーラント410の中央部に配置されることによって、外力による変形が防止される効果が得られる。さらに、フィラーが含有される第1シーラント411が第2シーラント412の内部に収容されることによって、フィラーが直接的に第1基板110及び第2基板120と接触せず、したがって、耐衝撃性が強化される効果が得られる。
【0055】
図4は、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【0056】
図4を参照すれば、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置101は、第1基板110、ディスプレイ部200、第2基板120及びシーラント420を備える。ここで、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置101は、前記第2基板120の前記シーラント420と接触する領域に所定の深さのトレンチ121が形成されるという点で、前述した実施形態と区別される。
【0057】
すなわち、シーラントの厚さが厚くなる場合に発生しうる差圧による光学干渉縞(ニュートン環)の形成を防止するために、本実施形態では、第2基板120に所定の深さのトレンチ121を形成することを一つの特徴とする。このように、第2基板120に所定の深さのトレンチ121を形成した後、トレンチ121上に第2シーラント422及び第1シーラント421を順次に形成することによって、第1基板110と第2基板120との間隔を狭めることによって、光学干渉縞(ニュートン環)の形成が防止される効果が得られる。
【0058】
図5は、本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図である。
【0059】
図5を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置102は、第1基板110、ディスプレイ部200、第2基板120及びシーラント430を備える。ここで、本発明のさらに他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置102は、第2シーラント432が第1シーラント431の内部に収容されるものではなく、第1基板110上に第2シーラント432、第1シーラント431及び第2シーラント432が順次に積層されるという点で、前述した実施形態と区別される。かかる本実施形態によって、有機発光ディスプレイ装置102の製造が容易になる効果が得られる。
【0060】
以下では、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を説明する。
【0061】
図6Aないし図6Eは、図4に記載された本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法を順次に示した概略的な断面図である。
【0062】
図6Aないし図6Eを参照すれば、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法は、第1基板の一面にディスプレイ部を形成するステップ、第2基板の一面にトレンチを形成するステップ、前記トレンチ上に一方の第2シーラントを形成するステップ、前記一方の第2シーラント上にフィラーを含有する第1シーラントを形成するステップ、前記第1シーラント上に他方の第2シーラントを形成するステップ、及び、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントを介して、前記第1基板と前記第2基板とを接合するステップを含む。
【0063】
まず、不図示であるが、第1基板110の一面にディスプレイ部200を形成する。ここで、第1基板110としては、ガラス材基板だけでなく、アクリルのような多様なプラスチック材基板を使用することもでき、さらに金属板を使用することもできる。この第1基板110には、必要に応じてバッファ層(図示せず)がさらに備えられてもよい。
【0064】
次いで、図6Aに示したように、第2基板120の一面にトレンチ121を形成する。詳細には、シーラントの厚さが厚くなる場合に発生しうる差圧による光学干渉縞(ニュートン環)の形成を防止するために、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法では、前記第2基板120の前記シーラント420と接触する領域に、所定の深さのトレンチ121を形成する。かかるトレンチ121により、第1基板110と第2基板120との間隔を狭めることによって、光学干渉縞(ニュートン環)の形成が防止される効果が得られる。
【0065】
次いで、図6Bに示したように、前記トレンチ121上に、一方の第2シーラント422aを形成する。すなわち、一方の第2シーラント422aの少なくとも一部分がトレンチ121内に収容される。かかる一方の第2シーラント422aには、前述したようにフィラーを含有しないシーラントを配置して流動性を向上させることによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合を円滑に行う。
【0066】
次いで、図6Cに示したように、一方の第2シーラント422a上にフィラーを含有する第1シーラント421を形成する。かかる第1シーラント421には、前述したようにフィラーを含有するシーラントを配置して、弱い耐衝撃性及び高いCTEを補償すると共に、シーラント410の機械的な強度を向上させる。
【0067】
次いで、図6Dに示したように、第1シーラント421上に、第1シーラント421を覆うように、他方の第2シーラント422bを形成する。このとき、他方の第2シーラント422bが第1シーラント421の少なくとも一部を覆うように、他方の第2シーラント422bを形成することが望ましい。かかる他方の第2シーラント422bとしては、前述したようにフィラーを含有しないシーラントを配置して流動性を向上させることによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合を円滑に行う。
【0068】
最後に、図6Eに示したように、前記シーラント410を介して第1基板110と第2基板120とを接合する。すなわち、レーザー照射器などを利用してシーラント410に局部的にレーザーを照射する方法などによって、シーラント410を硬化させることによって、第1基板110と第2基板120とを接合する。
【0069】
かかる本発明によって、互いに接する第1基板110及び第2基板120とシーラント410とが類似したCTEを有することによって、残留応力によるクラックの発生が防止される効果が得られる。また、第1基板110及び第2基板120と直接的に接触する第2シーラント422の流動性が向上することによって、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との間の機械的な結合が円滑に行われると共に、第1基板110及び第2基板120とシーラント410との界面の平坦度及び均一度が向上する効果が得られる。また、フィラーが含有されることによって機械的な剛性に優れた第1シーラント421がシーラント410の中央部に配置されることによって、外力による変形が防止される効果が得られる。さらに、フィラーが含有される第1シーラント421が第2シーラント422の内部に収容されることによって、フィラーが直接的に第1基板110及び第2基板120と接触せず、したがって、耐衝撃性が強化される効果が得られる。
【0070】
図7は、図2の有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に示す断面図であって、ディスプレイ部200の具体的な構成を例示的に示している。
【0071】
図7を参照すれば、第1基板110’上に複数個の薄膜トランジスタ220が備えられており、該薄膜トランジスタ220の上部には、有機発光素子230が備えられている。有機発光素子230は、薄膜トランジスタ220に電気的に連結された画素電極231と、第1基板110’の全面にわたって配置された対向電極235と、画素電極231と対向電極235との間に配置され、少なくとも発光層を備える中間層233と、を備える。
【0072】
第1基板110’上には、ゲート電極221、ソース電極及びドレイン電極223、半導体層227、ゲート絶縁膜213及び層間絶縁膜215を備えた薄膜トランジスタ220が備えられている。もちろん、薄膜トランジスタ220も図7に示した形態に限定されず、半導体層227が有機物で形成された有機薄膜トランジスタ、シリコンで形成されたシリコン薄膜トランジスタなど多様な薄膜トランジスタが利用される。該薄膜トランジスタ220と第1基板110’との間には、必要に応じて、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどで形成されたバッファ層211がさらに備えられてもよい。
【0073】
有機発光素子230は、互いに対向した画素電極231及び対向電極235と、それらの電極間に介在された有機物で形成された中間層233とを備える。該中間層233は、少なくとも発光層を備えるものであって、複数の層を備える。この層については後述する。
【0074】
画素電極231は、アノード電極の機能を行い、対向電極235は、カソード電極の機能を行う。もちろん、該画素電極231と対向電極235との極性は逆になってもよい。
【0075】
画素電極231は、透明電極または反射電極でありうる。透明電極であるときには、ITO(Indium Tin Oxide),IZO(Indium Zinc Oxide),ZnOまたはIn2O3で形成され、反射電極であるときには、Ag,Mg,Al,Pt,Pd,Au,Ni,Nd,Ir,Crまたはそれらの化合物などで形成された反射膜と、その上にITO,IZO,ZnOまたはIn2O3で形成された膜とを備える。
【0076】
対向電極235も、透明電極または反射電極でありうるが、透明電極であるときは、Li,Ca,LiF/Ca,LiF/Al,Al,Mgまたはそれらの化合物が画素電極231と対向電極235との間の中間層233に向かうように蒸着された膜、その上にITO,IZO,ZnOまたはIn2O3などの透明電極形成用物質で形成された補助電極やバス電極ラインを備える。そして、反射電極であるときには、Li,Ca,LiF/Ca,LiF/Al,Al,Mgまたはそれらの化合物を蒸着することによって備えられる。
【0077】
一方、画素定義膜(PDL)219が画素電極231のエッジを覆い、画素電極231の外側に厚さを有するように備えられる。該画素定義膜219は、発光領域を定義する役割以外に、画素電極231のエッジと対向電極235との間隔を広げて、画素電極231のエッジ部分で電界が集中する現象を防止することによって、画素電極231と対向電極235との短絡を防止する役割を行う。
【0078】
画素電極231と対向電極235との間には、少なくとも発光層を備える多様な中間層233が備えられる。該中間層233は、低分子有機物または高分子有機物で形成される。
【0079】
低分子有機物を使用する場合、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)、有機発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして多様に適用可能である。それらの低分子有機物は、マスクを利用した真空蒸着などの方法で形成される。
【0080】
高分子有機物の場合には、一般的にホール輸送層及び発光層で備えられた構造を有し、このとき、前記ホール輸送層としてPEDOTを使用し、発光層としてポリフェニレンビニレン(PPV)系及びポリフルオレン系など高分子有機物質を使用する。
【0081】
かかる有機発光素子230は、その下部の薄膜トランジスタ220に電気的に連結されるが、このとき、薄膜トランジスタ220を覆う平坦化膜217が備えられる場合、有機発光素子230は、平坦化膜217上に配置され、有機発光素子230の画素電極231は、平坦化膜217に備えられたコンタクトホールを通じて薄膜トランジスタ220に電気的に連結される。
【0082】
一方、基板上に形成された有機発光素子230は、第2基板120’により密封される。第2基板120’は、前述したようにガラスまたはプラスチック材などの多様な材料で形成される。
【0083】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により決まらねばならない。
【符号の説明】
【0084】
100 有機発光ディスプレイ装置
110,110’ 第1基板
120,120’ 第2基板
200 ディスプレイ部
410,420,430 シーラント
411,421,431 第1シーラント
412,422,432 第2シーラント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを接合させるシーラントと、を備え、
前記シーラントは、フィラーを含有し、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている第1シーラントと、前記第1基板及び前記第2基板とそれぞれ接触し、前記第1シーラントの少なくとも一部を覆う第2シーラントと、を備える、有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1シーラントは、前記第2シーラント内に収容される、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第2シーラントは、フィラーを含有しない、請求項1または2に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1シーラントは、V−TeまたはV−W系のガラスフリットを含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2シーラントは、V−P−B−Zn系のガラスフリットを含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、実質的に同じ熱膨張率を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、それぞれ(30〜90)*10−7/Kの熱膨張率を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が低い、請求項1から7のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が約30ないし50℃低い、請求項1から8のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1シーラントは、前記第2シーラントより流動性が小さい、請求項1から9のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第2基板の前記シーラントと接触する領域には、所定の深さのトレンチが形成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容される、請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項13】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、
前記第1基板上に形成され、ガラスフリットを含有する一方の第2シーラントと、
前記一方の第2シーラント上に形成され、ガラスフリット及びフィラーを含有する第1シーラントと、
前記第1シーラント上に形成され、ガラスフリットを含有する他方の第2シーラントと、を備える、有機発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ディスプレイ部が配置される前記第1基板の一面に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される、請求項13に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項15】
第1基板の一面にディスプレイ部を形成するステップと、
第2基板の一面に一方の第2シーラントを形成するステップと、
前記一方の第2シーラント上にフィラーを含有する第1シーラントを形成するステップと、
前記第1シーラント上に他方の第2シーラントを形成するステップと、
前記一方の第2のシーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントを介して、前記第1基板と前記第2基板とを接合するステップと、を含む、有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記一方の第2シーラント及び/または前記他方の第2シーラントは、フィラーを含有しない、請求項15に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2基板の一面に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、
前記第2基板の一面にトレンチを形成するステップと、
前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップと、を含む、請求項15または16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、
前記一方の第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容されるように、前記一方の第2シーラントを形成する、請求項17に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1シーラント上に前記他方の第2シーラントを形成するステップは、
前記他方の第2シーラントが前記第1シーラントの少なくとも一部を覆うように、前記他方の第2シーラントを形成する、請求項15から18のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1シーラントは、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている、請求項15から19のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記第2基板上に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される、請求項15から20のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを接合させるシーラントと、を備え、
前記シーラントは、フィラーを含有し、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている第1シーラントと、前記第1基板及び前記第2基板とそれぞれ接触し、前記第1シーラントの少なくとも一部を覆う第2シーラントと、を備える、有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1シーラントは、前記第2シーラント内に収容される、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第2シーラントは、フィラーを含有しない、請求項1または2に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1シーラントは、V−TeまたはV−W系のガラスフリットを含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2シーラントは、V−P−B−Zn系のガラスフリットを含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、実質的に同じ熱膨張率を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1シーラント及び前記第2シーラントは、それぞれ(30〜90)*10−7/Kの熱膨張率を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が低い、請求項1から7のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1シーラントは、前記第2シーラントよりガラス転移温度及び溶融点が約30ないし50℃低い、請求項1から8のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1シーラントは、前記第2シーラントより流動性が小さい、請求項1から9のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第2基板の前記シーラントと接触する領域には、所定の深さのトレンチが形成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容される、請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項13】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されるディスプレイ部と、
前記ディスプレイ部の上部に配置される第2基板と、
前記第1基板上に形成され、ガラスフリットを含有する一方の第2シーラントと、
前記一方の第2シーラント上に形成され、ガラスフリット及びフィラーを含有する第1シーラントと、
前記第1シーラント上に形成され、ガラスフリットを含有する他方の第2シーラントと、を備える、有機発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ディスプレイ部が配置される前記第1基板の一面に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される、請求項13に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項15】
第1基板の一面にディスプレイ部を形成するステップと、
第2基板の一面に一方の第2シーラントを形成するステップと、
前記一方の第2シーラント上にフィラーを含有する第1シーラントを形成するステップと、
前記第1シーラント上に他方の第2シーラントを形成するステップと、
前記一方の第2のシーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントを介して、前記第1基板と前記第2基板とを接合するステップと、を含む、有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記一方の第2シーラント及び/または前記他方の第2シーラントは、フィラーを含有しない、請求項15に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2基板の一面に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、
前記第2基板の一面にトレンチを形成するステップと、
前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップと、を含む、請求項15または16に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記トレンチ上に前記一方の第2シーラントを形成するステップは、
前記一方の第2シーラントの少なくとも一部が前記トレンチ内に収容されるように、前記一方の第2シーラントを形成する、請求項17に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1シーラント上に前記他方の第2シーラントを形成するステップは、
前記他方の第2シーラントが前記第1シーラントの少なくとも一部を覆うように、前記他方の第2シーラントを形成する、請求項15から18のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1シーラントは、前記第1基板及び前記第2基板から離隔されている、請求項15から19のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記第2基板上に、前記一方の第2シーラント、前記第1シーラント及び前記他方の第2シーラントが順次に積層される、請求項15から20のいずれか1項に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【公開番号】特開2011−258555(P2011−258555A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119891(P2011−119891)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
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