説明

有機酸含有水酸化アルミニウムスラリーから生じさせた水酸化アルミニウム粒子

本発明は、有機酸含有水酸化アルミニウムスラリーから水酸化アルミニウムである難燃剤を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水酸化アルミニウムである難燃剤を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は、有機酸含有水酸化アルミニウムスラリーから水酸化アルミニウムである難燃剤を生じさせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化アルミニウムは多様な代替名、例えば水化アルミニウム、三水化アルミニウムなどの名称を有するが、通常はATHと呼ばれる。ATH粒子はいろいろな材料、例えばプラスチック、ゴム、熱硬化性樹脂、紙などに入れる充填材として用いられる。そのような製品は多様な商業的用途、例えばワイヤーおよびケーブル用コンパウンド、コンベアベルト、熱可塑性プラスチック成形品、壁被覆材、床材などで用いられる。ATHは典型的にそのような材料の難燃性を向上させる目的で用いられ、それはまた煙抑制剤としても働く。
【0003】
ATHの合成方法は当技術分野で良く知られている。しかしながら、注文によるATHグレードの需要が増えており、現在の方法はそのようなグレードを製造する能力を持たない。このように、優れたATH製造方法の要求が増している。
【0004】
発明の要約
選択した合成材料(樹脂)の中でより良好な湿潤性を示すATHを用いるとより高いコンパウンド産出量を達成することができる。そのような合成樹脂中で示す湿潤性が劣るATHを用いるとコンパウンド化中にコンパウンド化用装置のモーターから引き出される動力が変動する度合がより大きくなることで、最良でもコンパウンドの品質が若干劣り、産出量が低くなりかつ経時的にコンパウンド化用機械のエンジンが損傷を受ける危険性がかなり高くなり得る。
【0005】
本発明者らは、有機酸を濾過ケーキにか或は後で乾燥させるスラリーに添加すると合成樹脂中で向上した湿潤性を示すATH生成物がもたらされることを見いだした。理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明者らは、そのように向上した湿潤性は本明細書に記述する方法で製造したATH粒子が示す形態が向上していることに起因すると考えている。
【0006】
このように、本発明は、1つの態様において、向上した湿潤性を示すATHの製造を可能にする方法に関する。この態様における本発明は、
ATH含有量が濾過ケーキの総重量を基準にして約1から約80重量%の範囲内の濾過ケーキに1種以上の有機酸を前記濾過ケーキ中のATHの総重量を基準にして約0.1から約10重量%の範囲内の量で添加しかつ場合によりi)1種以上の分散剤、ii)水またはi)とii)の組み合わせを添加することで酸含有ATHスラリーを生じさせ、そして前記酸含有ATHスラリーを乾燥させることでATH生成物粒子を生じさせる、
ことを含んで成る。
【0007】
発明の詳細な説明
上述したように、本発明者らは、予想外に、本発明の方法を用いると現在入手可能なATH粒子に比べて向上した湿潤性を示すATH粒子を製造することができることを見いだした。本発明の実施では、1種以上の有機酸または1種以上の酸と1種以上の分散剤をATH含有濾過ケーキに添加した後、その酸含有ATHスラリーを乾燥させる。
【0008】
濾過ケーキ
前記1種以上の有機酸または1種以上の酸と1種以上の分散剤を添加する濾過ケーキに存在させるATH粒子の量は、ATH粒子を生じさせる目的で用いられるいずれかの方法で得られる量であってもよい。好適には、そのような濾過ケーキを沈澱そして濾過を行うことでATH粒子を製造することを伴う方法で得る。典型的な態様では、粗水酸化アルミニウムを苛性ソーダに溶解させてアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせ、それを冷却そして濾過することでこの典型的な態様で用いるに有用なアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせることを包含する方法を用いることで、そのような濾過ケーキを得る。そのようにして生じさせるアルミン酸ナトリウム溶液のNaOとAlのモル比が典型的には約1.4:1から約1.55:1の範囲内になるようにする。ATH粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液から沈澱させる目的でATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液にATH種晶粒子がアルミン酸ナトリウム溶液1リットル当たり約1gからATH種晶粒子がアルミン酸ナトリウム溶液1リットル当たり約3gの範囲内の量になるように添加することで処理混合物を生じさせる。そのATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液に添加する時期は、前記アルミン酸ナトリウム溶液の溶液温度が約45から約80℃の時である。そのATH種晶粒子を添加した後の処理混合物を約100時間撹拌するか或は別法としてNaOとAlのモル比が約2.2:1から約3.5:1の範囲内になるまで撹拌することでATH懸濁液を生じさせる。その得るATH懸濁液のATH含有量が典型的にはその懸濁液を基準にして約80から約160g/lになるようにする。しかしながら、そのATH濃度を上述した範囲内で変えることも可能である。次に、その得たATH懸濁液を濾過した後、洗浄して不純物をそれから除去することで濾過ケーキを生じさせる。1つの態様では、前記1種以上の有機酸または1種以上の酸と1種以上の分散剤を前記濾過ケーキに添加することでスラリーを得る。このような態様では、そのようなスラリーのATH含有量を一般にスラリーの総重量を基準にして約1から約80重量%の範囲内、好適には約20から約65重量%の範囲内、より好適には約30から約60重量%の範囲内、最も好適には約35から約50重量%の範囲内にする(全部同じ基準)。本発明の別の態様では、前記濾過ケーキを水で再びスラリー状にすることで、前記1種以上の有機酸を添加するスラリーを生じさせる。そのような態様では、そのスラリーのATH含有量を一般にスラリーの総重量を基準にして約1から約40重量%の範囲内、好適には約5から約40重量%の範囲内、より好適には約10から約35重量%の範囲内、最も好適には約20から約30重量%の範囲内にする(全部同じ基準)。
【0009】
しかしながら、いくつかの態様では、分散剤を前記濾過ケーキに添加することで、前記1種以上の酸を添加するスラリーを生じさせる。分散剤の非限定例には、ポリアクリレート、有機酸、ナフタレンスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、脂肪−アルコール−ポリグリコール−エーテル、ポリプロピレン−エチレンオキサイド、ポリグリコール−エステル、ポリアミン−エチレンオキサイド、ホスフェート、ポリビニルアルコールが含まれる。前記スラリーに分散剤を含有させる場合、そのような分散剤の効果が理由で前記スラリーのATH含有量をスラリーの総重量を基準にして約80重量%に及ぶ量にしてもよい。従って、このような態様では、前記スラリーのATH含有量をスラリーの総重量を基準にして典型的に1から約80重量%の範囲内、好適には、前記スラリーのATH含有量をスラリーの総重量を基準にして約40から約75重量%の範囲内、より好適には、約45から約70重量%の範囲内、最も好適には約50から約65重量%の範囲内にする。
【0010】
前記濾過ケーキを再びスラリー状にする前に、それを行う時に水、酸、分散剤またはこれらの任意組み合わせを用いるかに拘わらず、その濾過ケーキを再びスラリー状にする前にそれを水、好適には脱塩水で1回またはいくつかの態様では2回以上洗浄しておいてもよく、ある態様では洗浄しておくことを注目すべきである。
【0011】
前記濾過ケーキおよび後で生じさせるスラリーに入っているATH粒子は一般にBETが約0.5から8m/gの範囲内であることを特徴とする。好適な態様における前記濾過ケーキおよび後で生じさせるスラリーに入っているATH粒子が示すBETは約1.5から約5m/gの範囲内、より好適には約2.0から約3.5m/gの範囲内である。
【0012】
前記濾過ケーキおよび後で生じさせるスラリーに入っているATH粒子は、更に、d50が約1.0から約6.0μmの範囲内であることでも特徴付け可能である。好適な態様における前記濾過ケーキおよび後で生じさせるスラリーに入っているATH粒子が示すd50は約1.5から約3.5μmの範囲内、より好適には約2.0から約3.0μmの範囲内である。
【0013】
有機酸の添加
本発明者らは、予想外に、1種以上の有機酸をATH含有濾過ケーキまたは乾燥前のスラリーに前記スラリーもしくは濾過ケーキ中のATHの総重量を基準にして約0.1から約10重量%の範囲内の量で添加すると孔を以下に考察する孔半径中央値で測定して平均で孔がより小さくそして/または総比細孔容積(これもまた以下に記述する如くである)がより小さいATH生成物粒子を製造することができることを見いだした。いくつかの態様において、上述したATH含有濾過ケーキもしくはスラリーに添加する1種以上の有機酸の量は約0.5から約10重量%の範囲内、いくつかの態様では約1から約8重量%の範囲内、いくつかの態様では約1から約6重量%の範囲内(全部当該濾過ケーキもしくはスラリーに入っているATH粒子の総重量を基準)である。いくつかの態様において、使用する1種以上の有機酸の量は同じ基準で約0.5から約3重量%の範囲内であり、更に他の態様において、使用する1種以上の有機酸の量は同じ基準で約3から約6重量%の範囲内である。いくつかの態様では、1種類のみの有機酸を用い、他の態様では、2種以上の有機酸を用いる。
【0014】
前記1種以上の有機酸を前記濾過ケーキもしくはスラリーに添加する時期は乾燥前の如何なる時点であってもよい。いくつかの態様では、前記1種以上の有機酸を機械的撹拌下で添加する。
【0015】
適切な有機酸の非限定例には蟻酸、酢酸、クエン酸などが含まれる。いくつかの態様で用いる有機酸は酢酸である。
【0016】
乾燥
前記1種以上の有機酸を添加した後、その有機酸含有ATHスラリーを乾燥させることで以下に記述する如きATH生成物粒子を生じさせる。その有機酸含有ATHスラリーの乾燥で用いる技術はATHスラリーからATH粒子を生じさせるに有効であることが知られている適切な如何なる技術であってもよい。適切な乾燥技術の非限定例には、ベルトフィルター乾燥、噴霧乾燥、粉砕乾燥などが含まれる。いくつかの態様では、前記有機酸含有ATHスラリーを噴霧乾燥で乾燥させ、他の態様ではベルト乾燥で乾燥させ、更に他の態様では粉砕乾燥で乾燥させる。
【0017】
噴霧乾燥は、水酸化アルミニウムの製造で通常用いられる技術である。この技術は、一般に、ATH供給材料(ここでは有機酸含有ATHスラリー)をノズルおよび/または回転式噴霧装置を用いて噴霧することを伴う。次に、その噴霧された供給材料を熱気体、典型的に熱風と接触させた後、噴霧乾燥を受けたATHを前記熱気体流れから回収する。その噴霧された供給材料の接触は向流または並流様式のいずれかで実施可能であり、そして気体の温度、噴霧、接触および気体および/または噴霧された供給材料の流量を制御することで所望の生成物特性を有するATH粒子を生じさせることができる。
【0018】
そのATH生成物粒子の回収を濾過の如き回収技術を用いて達成してもよいか、或はその「噴霧乾燥」粒子を単に噴霧乾燥機内で落下させて集めた後にそれを取り出してもよいが、適切な如何なる回収技術も使用可能である。好適な態様では、そのATHを沈降させることでそれを噴霧乾燥機から回収しそしてそれをスクリューコンベアで前記噴霧乾燥機から回収した後に圧縮空気でパイプに通してサイロに送る。
【0019】
そのような噴霧乾燥の条件は通常の条件であり、以下に記述する所望のATH粒子生成物品質を認識した当技術分野の通常の技術者はそのような条件を容易に選択するであろう。そのような条件には、一般に、流入空気温度を典型的に250から550℃の範囲にしそして流出空気温度が典型的に105から150℃の範囲になるようにすることが含まれる。
【0020】
「粉砕乾燥を実施する」および「粉砕乾燥を受けさせる」を本明細書で用いる場合、これは有機酸含有スラリーに熱風乱流下の乾燥を粉砕乾燥装置内で受けさせることを意味する。そのような粉砕乾燥装置には、固形軸にしっかりと取り付けられていてそれの回りを高い円周速度で回転するローターが備わっている。その回転運動と高い空気処理量が協力して貫流熱風を極めて速い空気渦に変化させ、それが有機酸含有スラリーを取り上げ、それを加速させそして前記有機酸含有スラリーを分配かつ乾燥させる。そのATH粒子の乾燥が完了した後、それを乱流によって粉砕装置から出させて移送し、そして通常の濾過装置を用いてそれを熱風と蒸気から分離する。本発明の別の態様では、そのATH粒子の乾燥が完了した後、それを前記粉砕装置と一体式の風力選別機を通る空気乱流によって移送した後、その空気乱流によって前記粉砕装置から出させて移送し、そして通常の濾過装置を用いてそれを熱風と蒸気から分離する。
【0021】
前記有機酸含有スラリーの乾燥で用いる熱風の処理量を典型的には約3,000Bm/時以上、好適には約5,000Bm/時以上、より好適には約3,000Bm/時から約40,000Bm/時、最も好適には約5,000Bm/時から約30,000Bm/時にする。
【0022】
そのような高い処理量を達成する目的で、前記粉砕乾燥装置のローターの円周速度を典型的には約40m/秒以上、好適には約60m/秒以上、より好適には70m/秒以上、最も好適には約70m/秒から約140m/秒の範囲内にする。そのように高いモーター回転速度と高い熱風処理量の結果としてレイノルズ数が約3,000以上の熱風流がもたらされる。
【0023】
前記スラリーもしくは濾過ケーキの粉砕乾燥で用いる熱風流の温度を一般に約150℃以上、好適には約270℃以上にする。より好適な態様では、その熱風流の温度を約150℃から約550℃の範囲内、最も好適には約270℃から約500℃の範囲内にする。
【0024】
形態が向上したATH
一般に、本発明の方法を用いて多種多様な特性を有するATH生成物粒子を生じさせることができる。本方法を用いて一般にISO 787−5:1980で測定して約1から約35%の範囲内の油吸収率、DIN−66132で測定して約1から15m/gの範囲内のBET比表面積および約0.5から2.5μmの範囲内のd50を示すATH生成物粒子を製造することができる。
【0025】
しかしながら、本発明の方法は、特に、現在入手可能なATHに比べて形態が向上したATH生成物粒子の製造に良好に適する。理論で範囲を限定することを望むものでないが、本発明者らは、そのような向上した形態は本ATH生成物粒子が示す総比細孔容積およ
び/または孔半径中央値(「r50」)に起因し得ると考えている。本発明者らは、ATH生成物の凝集物が構造化している度合が高ければ高いほど含有する孔の数が多くかつ大きさが大きいことからある重合体分子では湿り難いと思われることでBuss Koニーダーの如きニーダーまたは二軸押出し加工機またはそのような目的で用いられる当技術分野で公知の他の機械を用いてそれをコンパウンド化している時に困難さ(モーターから取り出される動力が変動する度合が高い)がもたらされると考えている。従って、本発明者らは、本発明の方法を用いると孔径中央値がより小さくそして/または総細孔容積がより小さいことを特徴とするATH生成物粒子がもたらされることを見いだし、そのような特徴と重合体材料による湿りの向上が相互に関係していることで向上したコンパウンド化機能がもたらされる、即ちATH充填材含有難燃性樹脂をコンパウンド化する時に用いられるコンパウンド化用機械のエンジン(モーター)から取り出される動力が変動する度合が低くなる。
【0026】
本ATH生成物粒子が示すr50および約1000バールの時の比細孔容積(「Vmax」)を水銀ポロシメータを用いて引き出すことができる。水銀ポロシメータの理論は、非反応性で非湿潤性の液体はこれが孔の中に入り込むに充分な圧力をかけるまではそれの中に入り込まないと言った物理的原理が基になっている。このように、孔径は液体が孔の中に入り込むに要する圧力が高ければ高いほど小さい。本ATH生成物粒子の孔径がより小さいことおよび/または総比細孔容積がより小さいこととそれの湿潤性が良好なことが相互に関係していることを見いだした。本ATH生成物粒子の孔径の計算はCarlo Erba Strumentazione(イタリア)のPorosimeter 2000を用いた水銀ポロシメータを用いて引き出したデータを用いることで実施可能である。Porosimeter 2000のマニュアルに従い、測定圧pから孔半径rを計算する目的で下記の式を用いる:r=−2γcos(θ)/p[ここで、θは湿り角であり、そしてγは表面張力である]。本明細書で行う測定ではθとして141.3゜の値を用いそしてγを480dyn/cmに設定した。
【0027】
この測定の再現性を向上させる目的で、本ATH生成物粒子の孔径の計算をPorosimeter 2000マニュアルに記述されている如き2回目のATH侵入試験実験を用いて実施した。本発明者らは本ATH生成物粒子のサンプルを押出し加工した後、即ち圧力が周囲の圧力に放出された後に体積Vを有する水銀がある量で前記サンプル中に残存したままであることを観察したことから2回目の試験実験を用いた。従って、以下に説明するようにして、前記データからr50を引き出すことができる。
【0028】
1番目の試験実験では、ATH生成物粒子のサンプルの調製をPorosimeter
2000のマニュアルに記述されているようにして実施し、そして細孔容積を1000バールの最大圧力を用いてかけた侵入圧pの関数として測定した。この1番目の試験実験が完了した時点で圧力を放出させることで周囲の圧力に到達させた。2番目の侵入試験実験(Porosimeter 2000のマニュアルに従う)では1番目の試験実験で得た厳正に同じATH生成物粒子サンプルを用いて実験を実施し、この2番目の試験実験の比細孔容積V(p)の測定では、体積Vを新しい出発体積として採用した後、それを2番目の試験実験でゼロに設定する。
【0029】
2番目の侵入試験実験では、サンプルが示す比細孔容積V(p)の測定を再び1000バールの最大圧力を用いてかける侵入圧の関数として実施した。約1000バール、即ちこの測定で用いた最大圧力の時の細孔容積を本明細書ではVmaxと呼ぶ。
【0030】
この2番目のATH生成物粒子侵入試験実験を基に孔半径rの計算をPorosimeter 2000を用いて式:r=−2γcos(θ)/p[ここで、θは湿り角であり、γは表面張力であり、そしてpは侵入圧である]に従って実施した。本明細書で行った
r測定の全部に関して、θとして141.3゜の値を用いそしてγを480dyn/cmに設定した。必要ならば、比細孔容積を孔半径rと対比させてプロットすることで、得た結果をグラフで表示することも可能である。定義として、相対的比細孔容積が50%の所の孔半径を本明細書では孔半径中央値r50と呼ぶ。
【0031】
50およびVmaxのグラフ表示に関しては米国仮特許出願60/818,632、60/818,633、60/818,670、60/815,515および60/818,426(これらは全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
【0032】
本発明に従って製造したATH生成物粒子のサンプルを用いて上述した手順を繰り返した結果、本発明で製造したATH生成物粒子が示すr50、即ち相対的比細孔容積が50%の所の孔半径は約0.09から約0.33μmの範囲内であることを見いだした。本発明の好適な態様では、本発明で製造したATH生成物粒子が示すr50は約0.20から約0.33μmの範囲内、より好適には約0.2から約0.3μmの範囲内である。他の好適な態様におけるr50は約0.185から約0.325μmの範囲内、より好適には約0.185から約0.25μmの範囲内である。更に他の好適な態様におけるr50は約0.09から約0.21μmの範囲内、より好適には約0.09から約0.165μmの範囲内である。
【0033】
本発明で製造したATH生成物粒子は、また、Vmax、即ち約1000バールの時の最大比細孔容積が約300から約700mm/gの範囲内であることでも特徴付け可能である。本発明の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すVmaxは約390から約480mm/gの範囲内、より好適には約410から約450mm/gの範囲内である。他の好適な態様におけるVmaxは約400から約600mm/gの範囲内、より好適には約450から約550mm/gの範囲内である。更に他の好適な態様におけるVmaxは約300から約700mm/gの範囲内、より好適には約350から約550mm/gの範囲内である。
【0034】
本発明で製造したATH生成物粒子は、また、ISO 787−5:1980で測定した時の油吸収率が約1から約35%の範囲内であることでも特徴付け可能である。いくつかの好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子は油吸収率が約23から約30%の範囲内、より好適には約25%から約28%の範囲内であることを特徴とする。他の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子は油吸収率が約25%から約32%の範囲内、より好適には約26%から約30%の範囲内であることを特徴とする。更に他の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子は油吸収率が約25から約35%の範囲内、より好適には約27%から約32%の範囲内であることを特徴とする。他の態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示す油吸収率は約19%から約23%の範囲内、更に他の態様では、本発明で製造したATH生成物粒子が示す油吸収率は約21%から約25%の範囲内である。
【0035】
本発明で製造したATH生成物粒子は、また、DIN−66132で測定した時のBET比表面積が約1から15m/gの範囲内であることでも特徴付け可能である。好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すBET比表面積は約3から約6m/gの範囲内、より好適には約3.5から約5.5m/gの範囲内である。他の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すBET比表面積は約6から約9m/gの範囲内、より好適には約6.5から約8.5m/gの範囲内である。更に他の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すBET比表面積は約9から約15m/gの範囲内、より好適には約10.5から約12.5m/gの範囲内である。
【0036】
本発明で製造したATH生成物粒子は、また、d50が約0.5から2.5μmの範囲内であることでも特徴付け可能である。好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すd50は約1.5から約2.5μmの範囲内、より好適には約1.8から約2.2μmの範囲内である。他の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すd50は約1.3から約2.0μmの範囲内、より好適には約1.4から約1.8μmの範囲内である。更に他の好適な態様において、本発明で製造したATH生成物粒子が示すd50は約0.9から約1.8μmの範囲内、より好適には約1.1から約1.5μmの範囲内である。
【0037】
本明細書に開示する粒子直径測定値、即ちd50は全部QuantachromeのCilas 1064 Lレーザー分光計を用いたレーザー回折で測定した値であることを注目すべきである。d50を測定する目的で本明細書で用いる手順は一般に最初に適切な水−分散剤溶液(調製に関しては以下を参照)を前記装置のサンプル調製用容器に導入することを通して実施可能である。次に、「Particle Expert」と呼ぶ標準的測定を選択し、また測定モデル「Range 1」も選択し、そして次に、予測粒径分布に当てはまる装置内部パラメーターを選択する。測定中のサンプルに典型的には超音波を分散中および測定中に約60秒間当てることを注目すべきである。背景値の測定を実施した後、分析すべきサンプルを約75から約100mgの量でサンプル用容器に水/分散剤溶液と一緒に入れそして測定を開始する。前記水/分散剤溶液の調製は最初にKMF Laborchemieから入手可能なCalgon(500g)とBASFから入手可能なCAL Polysalt(3リットル)を用いて濃縮液を生じさせることを通して実施可能である。その溶液に脱イオン水を入れることで10リットルにする。この元々の10リットルから100mlを取り出した後、更に脱イオン水で希釈して10リットルにした後、この最終的な溶液を上述した水−分散剤溶液として用いる。
【0038】
難燃剤としての使用
本発明に従って製造したATH生成物粒子はいろいろな合成樹脂に入れる難燃剤として使用可能である。本ATH生成物粒子を用いることができる熱可塑性樹脂の非限定例には、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、CからCオレフィン(α−オレフィン)の重合体および共重合体、例えばポリブテン、ポリ(4−メチルペンテン−1)など、そのようなオレフィンとジエンの共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルのグラフト共重合体樹脂、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−プロピレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂などが含まれる。適切な合成樹脂のさらなる例には、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂および尿素樹脂が含まれ、そしてまた天然または合成のゴム、例えばEPDM、ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR、NIR、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、NBRおよびクロロスルホン化ポリエチレンなども含まれる。更に重合体懸濁液(ラテックス)も含まれる。
【0039】
そのような合成樹脂は好適にはポリエチレンが基になった樹脂、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル樹脂)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル樹脂)、EMA(エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂)、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体樹脂)および超高分子量のポリエチレンなど、およびCからCオレフィン(α−オレフィン)の重合体および共重合体、例えばポリブテンおよびポリ(4−メチルペンテン−1)など、ポリ塩化ビニルおよびゴムである。より好適な態様における合成樹脂はポリエチレ
ンが基になった樹脂である。
【0040】
本発明者らは、本発明に従って製造したATH粒子を合成樹脂に入れる難燃剤として用いるとそのATH含有合成樹脂が達成するコンパウンド化性能がより良好になり得ることを見いだした。充填材含有量が高い難燃性コンパウンドおよびATH含有合成樹脂から押出し加工もしくは成形された最終的製品を製造するコンパウンド業者、製造業者などはコンパウンド化性能がより良好になることを非常に望んでいる。充填材含有量が高いは、以下に考察するように、それらがATHを難燃量で含有することを意味する。
【0041】
コンパウンド化性能がより良好は、本発明に従うATH生成物粒子を含有させた合成樹脂を混合する時に必要なBuss Koニーダーまたは二軸押出し加工機などの如きコンパウンド化用機械のエネルギーレベルの大きさが変動する度合が通常のATH生成物粒子を含有させた合成樹脂をコンパウンド化用機械で混合する時のそれよりも小さいことを意味する。エネルギーレベルが変動する度合が小さければ小さいほど混合もしくは押出し加工すべきATH含有合成樹脂の生産量をより高くすることが可能になりそして/または材料がより均一(均質)になる。
【0042】
このように、1つの態様において、本発明は、上述した合成樹脂から選択した少なくとも1種の合成樹脂、いくつか態様では1種類のみの合成樹脂を含有しかつ本発明に従って製造したATH生成物粒子を難燃量で含有して成る難燃性重合体配合物および前記難燃性重合体配合物から製造した押出し加工および/または成形品に関する。
【0043】
本発明に従って製造したATH生成物粒子の難燃量は、一般に、難燃性重合体配合物の重量を基準にして約5重量%から約90重量%、より好適には同じ基準で約20重量%から約70重量%の範囲内の量を意味する。最も好適な態様における難燃量は同じ基準でATH粒子が約30重量%から約65重量%の量である。
【0044】
本発明の難燃性重合体配合物にまた当技術分野で通常用いられる他の添加剤を含有させることも可能である。本発明の難燃性重合体配合物で用いるに適した他の添加剤の非限定例には、押出し加工助剤、例えばポリエチレンワックス、Siが基になった押出し加工助剤、脂肪酸など、カップリング剤、例えばアミノ−、ビニル−もしくはアルキルシランまたはマレイン酸グラフト化重合体など、ステアリン酸ナトリウムまたはステアリン酸カルシウム、有機過酸化物、染料、顔料、充填材、発泡剤、消臭剤、熱安定剤、抗酸化剤、帯電防止剤、補強剤、金属捕捉剤もしくは不活性化剤、衝撃改良剤、加工助剤、離型助剤、滑剤、抗ブロッキング剤、他の難燃剤、紫外線安定剤、可塑剤、流動助剤などが含まれる。必要ならば、また、核形成剤、例えばケイ酸カルシウムまたはインジゴなどを本難燃性重合体配合物に含有させることも可能である。そのような他の任意の添加剤の比率は通常の比率であり、所定状況の必要性に適するように変えることができる。
【0045】
本難燃性重合体配合物に含める成分を混合および添加する方法は本発明にとって決定的ではなく、選択する方法が当該成分の実質的に均一な混合を伴う限り当技術分野で公知の如何なる方法であってもよい。例えば、この上に示した成分および任意の添加剤を用いる場合にはそれの各々をBuss Koニーダー、内部ミキサー、Farrel連続ミキサーまたは二軸押出し加工機を用いてか或はある場合にはまた単軸押出し加工機または二本ロールミルを用いて混合してもよい。次に、その難燃性重合体配合物の成形を後の工程段階で実施してもよい(それが必要な場合には)。いくつかの態様では、その成分を徹底的に混合して難燃性重合体配合物を生じさせかつまたその難燃性重合体配合物から製品を成形する装置を用いることも可能である。その上、その難燃性重合体配合物の成形品に引き伸ばし加工、エンボス加工、コーティング、印刷、メッキ、穴開けまたは切断などの用途に適した加工を受けさせた後にそれを用いることも可能である。また、その成形した製品
を本発明の難燃性重合体配合物以外の材料、例えば石膏ボード、木、ベニヤ板、金属材料または石などに固着させることも可能である。しかしながら、また、その混練りした混合物にインフレーション成形、射出成形、押出し加工成形、ブロー成形、プレス成形、回転成形またはカレンダー成形を受けさせることも可能である。
【0046】
押出し加工品の場合、上述した合成樹脂混合物を用いた時に有効であることが知られている如何なる押出し加工技術も使用可能である。1つの典型的な技術では、合成樹脂、水酸化アルミニウム粒子および任意の成分(選択する場合)をコンパウンド化用機械でコンパウンド化することで上述した如き難燃性樹脂配合物を生じさせる。次に、その難燃性樹脂配合物を押出し加工機内で加熱して溶融状態にした後、その溶融状態の難燃性樹脂配合物を選択したダイスに通して押出すことで押出し加工品を生じさせるか或はそれで例えば金属ワイヤーまたはデータ伝送で用いられるガラス繊維などを被覆する。
【0047】
この上で行った説明は本発明のいくつかの態様に向けたものである。当技術分野の技術者は、本発明の精神を実施するに適していて等しく有効な他の手段を考案することができるであろうことを認識するであろう。また、本発明の好適な態様は本明細書で考察するあらゆる範囲がより少ないいずれかの量からより多いいずれかの量の範囲を包含することを意図することも注目すべきである。例えば、本ATHの難燃量にはまた約70から約90重量%、20から約65重量%の範囲などの量も含まれ得る。
【0048】
以下の実施例に本発明を例示するが、決して限定することを意味するものでない。
【実施例】
【0049】
以下に示す実施例に記述するr50およびVmaxを上述した如きPorosimeter 2000を用いた水銀ポロシメータを用いて引き出した。特に明記しない限り、d50、BET、油吸収率などの測定を全部上述した技術に従って実施した。また、本実施例で用いる如き用語「本発明の水酸化アルミニウムグレード」および「本発明の充填材」は本発明に従って製造したATHを指すことを意味し、そして「比較水酸化アルミニウムグレード」は本発明に従って製造したものでない市販のATHを指すことを意味する。
【0050】
実施例1(比較)
ATH固体含有量が56重量%の濾過ケーキの調製を沈澱そして濾過で実施した。この濾過ケーキに入っているATH粒子が示した粒径中央値d50は1.87μmで比BET表面積は3.4m/gであった。この濾過ケーキに水を固体含有量が33重量%のスラリーを得るに充分な量で加えた。Niro社のパイロット噴霧乾燥機であるタイプ「Minor Production」を用いて前記スラリーの噴霧乾燥を実施した。この噴霧乾燥機の処理量を約12kg/時の固体にし、流入空気温度を約400℃にしそして流出空気温度が約130℃になるようにした。その乾燥させた水酸化アルミニウム粒子が示す孔径中央値(「r50」)および最大比細孔容積(「Vmax」)を水銀ポロシメータから引き出し、それらを以下の表1に報告する。
【0051】
実施例2(本発明に従う)
ATH固体含有量が56重量%の濾過ケーキの調製を沈澱そして濾過で実施した。この濾過ケーキに入っているATH粒子が示した粒径中央値d50は1.87μmで比BET表面積は3.4m/gであった。この濾過ケーキに水を固体含有量が33重量%のスラリーを得るに充分な量で加えた。このスラリーに酢酸を前記スラリーに入っているATHの総重量を基準にして0.5重量%の量で加えた。このスラリーを室温で20分間撹拌することで均一な液体を得た。Niro社のパイロット噴霧乾燥機であるタイプ「Minor Production」を用いて前記スラリーの噴霧乾燥を実施した。この噴霧乾燥機の処理量を約12kg/時の固体にし、流入空気温度を約400℃にしそして流出空気
温度が約130℃になるようにした。その乾燥させた水酸化アルミニウム粉末が示す孔径中央値r50および最大比細孔容積Vmaxを水銀ポロシメータから引き出した。表1に見られるように、この実施例で製造したATH粒子が示したr50およびVmaxは両方とも実施例1で製造したATH粒子が示したr50およびVmaxよりも低かった。
【0052】
実施例3(本発明に従う)
ATH固体含有量が56重量%の濾過ケーキの調製を沈澱そして濾過で実施した。この濾過ケーキに入っているATH粒子が示した粒径中央値d50は1.87μmで比BET表面積は3.4m/gであった。この濾過ケーキに水を固体含有量が33重量%のスラリーを得るに充分な量で加えた。このスラリーに酢酸を前記スラリーに入っているATHの総重量を基準にして1.5重量%の量で加えた。このスラリーを室温で20分間撹拌することで均一な液体を得た。Niro社のパイロット噴霧乾燥機であるタイプ「Minor Production」を用いて前記スラリーの噴霧乾燥を実施した。この噴霧乾燥機の処理量を約12kg/時の固体にし、流入空気温度を約400℃にしそして流出空気温度が約130℃になるようにした。その乾燥させた水酸化アルミニウム粉末が示す孔径中央値r50および最大比細孔容積Vmaxを水銀ポロシメータから引き出した。表1に見られるように、この実施例で製造したATH粒子が示したr50およびVmaxは両方とも実施例1で製造したATH粒子が示したr50およびVmaxよりも低かった。
【0053】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明に従って製造したATHが示した累積細孔容積を孔径の関数として標準グレードと比較して示すグラフである。
【図2】図2は、本発明に従って製造したATHが示した細孔容積を標準グレードと比較して示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ATH粒子含有量が濾過ケーキの総重量を基準にして約1から約80重量%の範囲内の濾過ケーキに1種以上の有機酸を前記濾過ケーキ中のATH粒子の総重量を基準にして約0.1から約10重量%の範囲内の量で添加しかつ場合によりi)1種以上の分散剤、ii)水またはi)とii)の組み合わせを添加することで酸含有ATHスラリーを生じさせ、そして
b)前記酸含有ATHスラリーを乾燥させることでATH生成物粒子を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記ATH生成物粒子がISO 787−5:1980で測定して約1から約35%の範囲内の油吸収率、DIN−66132で測定して約1から15m/gの範囲内のBET比表面積および約0.5から2.5μmの範囲内のd50を示す請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ATH生成物粒子が約300から約700mm/gの範囲内のVmaxおよび/または約0.09から約0.33μmの範囲内のr50を示す請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記湿った状態の濾過ケーキが水酸化アルミニウムを苛性ソーダに溶解させてアルミン酸ナトリウム溶液を生じさせ、前記アルミン酸ナトリウム溶液を濾過して不純物を除去し、前記アルミン酸ナトリウム溶液を冷却そして希釈して適切な温度および濃度にし、ATH種晶粒子を前記アルミン酸ナトリウム溶液に添加し、ATH粒子を前記溶液から沈澱させることでATHを懸濁液を基準にして約80から約160g/lの範囲内で含有するATH懸濁液を生じさせ、前記ATH懸濁液を濾過することで濾過ケーキを生じさせ、場合により前記濾過ケーキを水で1回以上洗浄してもよいことを含んで成る方法で得たものである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記濾過ケーキ中のATH粒子が示すBETがa)約1.0から約4.0m/gの範囲内であるか或はb)約4.0から約8.0m/gの範囲内であるか或はc)約8.0から約14m/gの範囲内である請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記濾過ケーキ中のATH粒子が示すd50が約1.5から約3.5μmの範囲内である請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記濾過ケーキがi)ATH粒子を約25から約70重量%の範囲内、ii)ATH粒子を約55から約65重量%の範囲内、iii)ATH粒子を約40から約60重量%の範囲内、iv)ATH粒子を約45から約55重量%の範囲内、v)ATH粒子を約25から約50重量%の範囲内、またはvi)ATH粒子を約30から約45重量%の範囲内の量で含有しかつあらゆる重量%が前記濾過ケーキの総重量を基準にした重量%である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ATH生成物粒子が
a)約3から約6m/gの範囲内のBET、約1.5から約2.5μmの範囲内のd50、約23から約30%の範囲内の油吸収率、約0.2から約0.33μmの範囲内のr50、および約390から約480mm/gの範囲内のVmaxを示すか、或は
b)約6から約9m/gの範囲内のBET、約1.3から約2.0μmの範囲内のd50、約25から約40%の範囲内の油吸収率、約0.185から約0.325μmの範囲内のr50、および約400から約600mm/gの範囲内のVmaxを示すか、或はc)約9から約15m/gの範囲内のBETおよび約0.9から約1.8μmの範囲内のd50、約25から約50%の範囲内の油吸収率、約0.09から約0.21μmの範囲内のr50、および約300から約700mm/gの範囲内のVmaxを示す、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上の有機酸を機械的撹拌下で添加する請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記1種以上の有機酸を蟻酸、酢酸、クエン酸などから選択する請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記有機酸含有スラリーの乾燥を濾過乾燥、噴霧乾燥、粉砕乾燥などを用いて達成する請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上の有機酸が酢酸である請求項1記載の方法。
【請求項13】
i)有機酸、ii)有機酸と分散剤、iii)有機酸と水またはiv)有機酸と水と分散剤を用いて前記酸含有ATHスラリーを生じさせる請求項1記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の合成樹脂を含有しかつ請求項1に従って製造した粉砕乾燥ATH粒子を難燃性重合体配合物の重量を基準にして約5重量%から約90重量%の範囲内の量で含有して成る難燃性重合体配合物。
【請求項15】
少なくとも1種の合成樹脂を含有しかつ請求項8に従って製造した粉砕乾燥ATH粒子を難燃性重合体配合物の重量を基準にして約5重量%から約90重量%の範囲内の量で含有して成る難燃性重合体配合物。
【請求項16】
請求項14記載の難燃性重合体配合物から作られた成形もしくは押出し加工品。
【請求項17】
請求項15記載の難燃性重合体配合物から作られた成形もしくは押出し加工品。
【請求項18】
1種以上の酸とATH粒子を含有するATHスラリーを乾燥させることでATH生成物粒子を生じさせることを含んで成る方法。
【請求項19】
前記スラリーがATH粒子を前記スラリーの総重量を基準にして約1から約80重量%の範囲内の量で含有している請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記スラリーがATH粒子を前記スラリーの総重量を基準にして約1から約40重量%の範囲内の量で含有している請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記スラリーがATH粒子含有量が濾過ケーキの総重量を基準にして約1から約80重量%の範囲内の濾過ケーキに1種以上の有機酸を前記濾過ケーキ中のATH粒子の総重量を基準にして約0.1から約10重量%の範囲内の量で添加しかつ場合によりi)1種以上の分散剤、ii)水またはi)とii)の組み合わせを添加することで酸含有ATHスラリーを生じさせることで得たものである請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記1種以上の酸が1種以上の有機酸である請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記1種以上の有機酸を蟻酸、酢酸、クエン酸などから選択する請求項22記載の方法。
【請求項24】
i)有機酸、ii)有機酸と分散剤、iii)有機酸と水またはiv)有機酸と水と分散剤を用いて前記酸含有ATHスラリーを生じさせる請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−507548(P2010−507548A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515999(P2009−515999)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004572
【国際公開番号】WO2008/125909
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508340857)マルテインスベルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (8)
【Fターム(参考)】