説明

有機電界発光素子

【課題】発光効率が良好な発光素子を提供すること。
【解決する手段】一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有する有機電界発光素子において、特定の配位子を少なくとも1個有する有機金属錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(有機EL素子)は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。この有機電界発光素子の重要な特性値として、外部量子効率がある。外部量子効率は 外部量子効率φ=素子から放出されたフォトン数/素子に注入された電子数 で算出され、この値が大きいほど消費電力の点で有利な素子と言える。
【0003】
有機電界発光素子の外部量子効率は 外部量子効率φ=内部量子効率×光取り出し効率 で決まる。有機化合物からの蛍光発光を利用する有機EL素子においては、内部量子効率の限界値が25%であり、光取り出し効率が約20%であることから、外部量子効率の限界値は約5%とされている。
【0004】
有機電界発光素子の内部量子効率を向上させて、素子の外部量子効率を向上する方法として、イリジウム錯体から成る三重項発光材料(燐光発光材料)を用いる素子が報告されている。例えば、オルトメタル化イリジウム錯体(Ir(ppy)3:Tris-ortho-metalated complex of Iridium(III) with 2-phenylpyridine)のフッ素置換体からの発光を利用した青緑色発光素子が報告されている。(非特許文献1参照)。該素子はさらに耐久性、効率の点で改良が求められていた。
【0005】
白金錯体から成る三重項発光材料(燐光発光材料)を用いる素子が報告されている(特許文献1、特許文献2)。この素子は従来の蛍光発光を利用した素子(一重項発光素子)に比べて外部量子効率を向上させることが可能であるが、さらに耐久性、効率の点で改良が望まれていた。
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 125 (24), 7377 (2003)
【特許文献1】国際公開特許第04/039781号明細書
【特許文献2】国際公開特許第04/039914号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、駆動耐久性に優れ、発光効率が良好な有機電界発光素子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は下記手段によって達成された。
(1)一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有する有機電界発光素子において、一般式(1)で表される配位子を少なくとも1個有する有機金属錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【0008】
【化3】

【0009】
11は、Q11〜Q13と結合する、原子または原子団を表し、Q11〜Q13は金属イオンに結合または配位する原子群を表す。
(2)前記一般式(1)で表される配位子において、X11は、Q11〜Q13と結合する1個の原子を含む原子団、または、Q11〜Q13と結合する3価の原子であることを特徴とする上記(1)に記載の有機電界発光素子。
(3)前記有機金属錯体が一般式(2)または一般式(3)で表されることを特徴とする上記(2)に記載の有機電界発光素子。
【0010】
【化4】

【0011】
11は、Q11〜Q13またはQ17〜Q19と結合する1個の原子を含む原子団、または、Q11〜Q13またはQ17〜Q19と結合する3価の原子を表し、X12は、Q14〜Q16と結合する1個の原子を含む原子団、またはQ14〜Q16と結合する3価の原子を表し、Q11〜Q19は、金属イオンM1またはM2に、結合または配位する原子群を表し、M1はイリジウムイオン、M2は白金イオンを表す。
(4)前記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)において、Q11〜Q19で表される原子群が、芳香族基、または、窒素、硫黄および酸素から選ばれる原子を少なくとも1個含む5または6員の複素環基であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(5)発光層に、燐光発光材料を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(6)前記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)において、X11が、Q11〜Q13と結合する1個の原子を含む原子団を表すとき、該1個の原子は、炭素原子、窒素原子またはりん原子であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有機電界発光素子は、短波長発光、高耐久発光が可能で有る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有する有機電界発光素子において、前記一般式(1)で表される配位子を少なくとも1個有する有機金属錯体(以下、「本発明の有機金属錯体」とも称する)を含むことを特徴とする有機電界発光素子に関する。
本発明では、該一般式(1)で表される配位子を少なくとも1個有する有機金属錯体の中でも、6座配位のイリジウムまたは白金錯体が特に好ましい。
【0014】
本発明にかかるイリジウム錯体としては、3価のイリジウムが用いられ3座配位子を2個有することにより6座配位錯体となる場合が好ましい例である。
【0015】
本発明にかかる白金錯体としては、4価の白金で2個の3座配位子により6座配位錯体となる場合が好ましい例である。
【0016】
これらの錯体では金属は(古典的な表現では)d2sp3型の混成軌道をとり金属周囲の結合は8面体構造をとれるので極めて安定な錯体となる。故に高耐久発光が可能となる。
【0017】
一般式(1)について説明する。X11は、Q11〜Q13と結合する、原子または原子団を表す。
11が原子を表すとき窒素原子またはりん原子が挙げられる。この中で好ましくは窒素原子である。X11が原子団を表すとき、X11はQ11〜Q13と結合する1個の原子を含む原子団であることが好ましく、≡C−R1または≡P=Oが特に好ましい例である。ここで≡はQ11〜Q13と結合する結合手を意味する。R1は特に限定されないが、アルキル基(メチル基、ジメチルメチル基など)、アルケニル基(ビニル基、メチルビニル基など)、アルキニル基(エチニル基など)、アリール基(フェニル基、1−カルバゾリルフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)、アルコキシ基(メトキシ基など)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基など)、アリールチオ基(フェニルチオ基など)、窒素、硫黄または酸素原子を少なくとも1個有する5員または6員の複素環基(ピラゾリル基、トリアゾリル基)が挙げられ、また、これらを組み合わせた基(例えばメトキシメチル基など)であってもよい。上記の中でも、より好ましくはアルキル基、アリール基である。これらの基は炭素数1〜22であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜16である。
11〜Q13は金属イオンに結合または配位する原子群を表し、芳香族基(炭素数6〜10の芳香族基が好ましく、フェニレン基、ナフチレン基など)、または、窒素、硫黄および酸素から選ばれる原子を少なくとも1個含む5または6員複素環基(ピリジル、ピラゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、チオフェニル基、フリル基、キノリル基など)が挙げられる。上記の中でも、芳香族基、ピリジル基、ピラゾリル基がより好ましい。
【0018】
一般式(2)および(3)について説明する。X11およびQ11〜Q13、は、一般式(1)において説明した意味と同義である。X12はX11と、Q14〜Q16およびQ17〜Q19はQ11〜Q13と、各々同義である。
一般式(2)および(3)で表される化合物は各々中性分子が好ましい例である。すなわち一般式(2)ではM1は3価イリジウム金属が好ましい例であり、例えば、Q12、Q14およびQ16は形式電荷として1価アニオンの原子群であり、Q11、Q13およびQ15は形式電荷を持たない原子群である場合が好ましい例である。
一般式(3)ではM2は4価白金金属が好ましい例であり、例えば、Q14、Q16 、Q17およびQ18は形式電荷として1価アニオンの原子群であり、Q15、およびQ19は形式電荷を持たない原子群である場合が好ましい例である。
11〜Q19の例として、2価の芳香族基、複素環基が好ましい例である。これらは前記一般式(1)においてQ11〜Q13の説明と価数が異なるだけで同じ意味である。
【0019】
11、X12、11〜Q19において、芳香族基、複素環基が置換基を有するとき、置換基の例としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、
【0020】
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、
【0021】
アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0022】
次に本発明の有機金属錯体の化合物例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
本発明の有機金属錯体は、例えば、配位子と金属源(塩化イリジウム、塩化白金、塩化白金酸カリウム、臭化白金、白金アセチルアセトン錯体など)を溶媒(アセトニトリル、ベンゾニトリル、酢酸、エタノール、メトキシエタノール、グリセロール、水、及び、これらの混合溶媒など)の存在下、もしくは、非存在下混合し、合成することができる。反応を活性化させる添加剤(トリフルオロメタンスルホン酸銀など)を添加させても良いし、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)の存在下で反応させても良い。
【0028】
反応温度は特に限定されないが、−30℃〜400℃が好ましく、0℃〜350℃がより好ましく、25℃〜300℃がさらに好ましい。
【0029】
本発明の有機金属錯体は低分子化合物であっもて良く、また、オリゴマー化合物、白金錯体を主鎖または側鎖に有するポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)であっても良い。本発明の有機金属錯体は低分子化合物が好ましい。
【0030】
本発明の有機電界発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物膜(有機化合物層)を形成した素子であり、有機化合物層としては発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。尚、ここでいう有機化合物とは、有機金属錯体を含む意味である。
本発明の有機電界発光素子は、ホール輸送層、発光層、電子輸送層の少なくとも3層を有する素子であることが好ましい。発光層はホスト材料と燐光発光材料の少なくとも2種を含むことが好ましい。
【0031】
本発明の有機金属錯体、特に上記に示したイリジウム錯体および白金錯体は、上記に記載の各層において用いることが可能であり、燐光発光材料として使用されることが好ましいが、これに限定されない。例えば発光層に用いられる電荷輸送材料またはホスト材料としても用いることが出来る。
【0032】
本発明にかかる白金錯体は、電荷輸送材料またはホスト材料として用いる場合が好ましい。ホスト材料として用いる場合は、ドーパント(発光材料)ととしては、青発光の燐光発光材料を用いる場合が特に好ましい。
【0033】
燐光発光材料の燐光量子収率は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0034】
燐光発光材料の燐光量子収率は、例えば、有機溶媒(例えばトルエン、ジクロロエタンなど)に溶解した燐光発光材料(例えば1×10-3 mol/l の濃度)を凍結脱気し、室温で光照射した時の発光量を、絶対蛍光量子収率の分かっている材料(例えばフルオレセイン、アントラセン、ローダミンなど)と比較して、測定することが出来る。
【0035】
燐光発光材料の燐光寿命は、10μs以下であることが好ましく、5μs以下であることがより好ましく、3μs以下であることがさらに好ましい。
【0036】
燐光発光材料の燐光寿命は、例えば、有機溶媒(例えばトルエン、ジクロロエタンなど)に溶解した燐光発光材料(例えば1×10-3 mol/l の濃度)を凍結脱気し、室温で光照射した時の発光寿命を測定することにより、求める事ができる。
【0037】
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、13%以上がさらに好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、もしくは、20℃で素子を駆動した時の100〜300cd/m2付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0038】
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率としては、30%以上が好ましく、50%以上がさらに好ましく、70%以上がさらに好ましい。素子の内部量子効率は 内部量子効率=外部量子効率/光取り出し効率 で算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機化合物層(有機層ともいう)の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能で有る。
【0039】
本発明の発光層に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルは、5.8eV以上、6.3eV以下であることが好ましく、5.95eV以上、6.25eV以下であることがより好ましく、6.0eV以上6.2eV以下であることがさらに好ましい。
【0040】
発光層中のホスト材料の電子移動度は 1×10-6 Vs/cm 以上、1×10-1Vs/cm以下であることが好ましく、5×10-6 Vs/cm 以上1×10-2Vs/cm以下であることがより好ましく、1×10-5 Vs/cm 以上1×10-2Vs/cm以下であることがさらに好ましく、5×10-5 Vs/cm 以上1×10-2Vs/cm以下であることが特に好ましい。
【0041】
発光層中のホスト材料のホール移動度は 1×10-6 Vs/cm 以上、1×10-1Vs/cm以下であることが好ましく、5×10-6 Vs/cm 以上1×10-2Vs/cm以下であることがより好ましく、1×10-5 Vs/cm 以上1×10-2Vs/cm以下であることがさらに好ましく、5×10-5 Vs/cm 以上1×10-2Vs/cm以下であることが特に好ましい。
【0042】
本発明の発光層に含まれるホスト材料、電子輸送層、及び、ホール輸送材料のガラス転移点は90℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上380℃以下であることがより好ましく、120℃以上370℃以下であることがさらに好ましく、140℃以上360℃以下であることが特に好ましい。
【0043】
本発明の有機電界発光素子は青色色純度の観点から、青発光の極大波長は好ましくは390nm以上、495nm以下であり、より好ましくは400nm以上、490nm以下である。緑発光の極大波長は好ましくは、500nm以上、590nm以下である。また、本発明の発光素子は600nm以上にも発光極大波長を有しても良く、白色発光素子であっても良い。
【0044】
有機電界発光素子は本発明の青発光材料を用いるとき青色色純度の観点から、発光のCIE色度値のx値は、好ましくは0.22以下であり、より好ましくは0.20以下である。
【0045】
本発明の有機電界発光素子は青色色純度の観点から、発光のCIE色度値のy値は、好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.20以下であり、さらに好ましくは0.15以下である。
【0046】
本発明の有機電界発光素子は青色色純度の観点から、発光スペクトルの半値幅は100nm以下が好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好ましく、70nm以下が特に好ましい。
【0047】
発光層中のホスト材料のT1レベル(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、60 Kcal/mol 以上(251.4 KJ/mol以上)、90 Kcal/mol 以下(377.1 KJ/mol以下) が好ましく、62 Kcal/mol 以上(259.78 KJ/mol 以上)、85 Kcal/mol 以下(356.15 KJ/mol 以下)がより好ましく、65 Kcal/mol 以上(272.35 KJ/mol以上)、80 Kcal/mol 以下(335.2 KJ/mol 以下)がさらに好ましい。
【0048】
発光層に隣接する層(ホール輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、励起子ブロック層など)のT1レベル(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、60 Kcal/mol 以上(251.4 KJ/mol以上)、90 Kcal/mol 以下(377.1 KJ/mol以下) が好ましく、62 Kcal/mol 以上(259.78 KJ/mol 以上)、85 Kcal/mol 以下(356.15 KJ/mol 以下)がより好ましく、65 Kcal/mol 以上(272.35 KJ/mol以上)、80 Kcal/mol 以下(335.2 KJ/mol 以下)がさらに好ましい。
【0049】
本発明の有機電界発光素子は、システム、駆動方法、利用形態など特に問わない。代表的な有機電界発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を挙げることができる。
【0050】
本発明の有機電界発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0051】
本発明の有機電界発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆる、トップエミッション方式(特開2003−208109,2003−248441,2003−257651,2003−282261などに記載)であっても良い。
【0052】
本発明の有機電界発光素子で用いられる基材は、特に限定されないが、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子量材料であっても良い。
【0053】
本発明の有機電界発光素子は、青色蛍光発光化合物を含有しても良いし、また、青色蛍光化合物を含有する青色発光素子と本発明の発光素子を同時に用いて、マルチカラー発光デバイス、フルカラー発光デバイスを作製しても良い。
【0054】
本発明の有機電界発光素子の発光層は積層構造を少なくとも一つ有していても良い。積層数は2層以上50層以下が好ましく、4層以上30層以下がより好ましく、6層以上20層以下がさらに好ましい。
【0055】
積層を構成する各層の膜厚は特に限定されないが、0.2nm以上、20nm以下が好ましく、0.4nm以上、15nm以下がより好ましく、0.5nm以上10nm以下がさらに好ましく、1nm以上5nm以下が特に好ましい
【0056】
本発明の有機電界発光素子の発光層は複数のドメイン構造を有していても良い。発光層中に他のドメイン構造を有していても良い。例えば、発光層が、ホスト材料A及び蛍光材料Bの混合物からなる約1nm3の領域と、ホスト材料C及び蛍光材料Dの混合物からなる約1nm3の領域で構成されていても良い。各ドメインの径は、0.2nm以上10nm以下が好ましく、0.3nm以上5nm以下がより好ましく、0.5nm以上3nm以下がさらに好ましく、0.7nm以上2nm以下が特に好ましい。
【0057】
本発明の有機金属錯体を含有する発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、転写法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法、転写法が好ましい。
【0058】
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
【0059】
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。
陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。
陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
【0060】
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)及びそのフッ化物または酸化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物または酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。例えば、アルミニウム/フッ化リチウム、アルミニウム/酸化リチウム の積層構造が好ましい。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法、転写法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0061】
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよく、本発明の有機金属錯体のほか、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノールの金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、イリジウムトリスフェニルピリジン錯体、及び、白金ポルフィリン錯体に代表される遷移金属錯体、及び、それらの誘導体等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、LB法、転写法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
【0062】
発光層は単一化合物で形成されても良いし、複数の化合物で形成されても良い。また、発光層は一つであっても複数であっても良く、それぞれの層が異なる発光色で発光して、例えば、白色を発光しても良い。単一の発光層から白色を発光しても良い。発光層が複数の場合は、それぞれの発光層は単一材料で形成されていても良いし、複数の化合物で形成されていても良い。
【0063】
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、本発明の有機金属錯体、及び、それらの誘導体等が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記正孔注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0064】
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン、及び、それらの誘導体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0065】
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、SiNx、SiOxy などの窒化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
【0066】
本発明の有機電界発光素子の用途は特に限定されないが、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等の分野に好適に使用できる。
【実施例】
【0067】
以下に本発明の具体的実施例を述べるが、本発明の実施の態様はこれらに限定されない。
【0068】
[比較例1]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、イリジウム錯体AとCBPを6:94の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqを6nm蒸着し、この上に、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体)を20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、赤色発光が得られた。
【0069】
[比較例2]
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、銅フタロシアニンを5nm蒸着し、この上に、NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を40nm蒸着した。この上に、白金錯体BとCBPを6:94の比率(質量比)で30nm蒸着し、この上に、BAlqを6nm蒸着し、この上に、Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体)を20nm蒸着した。この上に、フッ化リチウムを3nm蒸着した後、アルミニウム60nmを蒸着し、素子を作製した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、緑色発光が得られた。
【0070】
【化9】

【0071】
[実施例1]
比較例1の発光素子の錯体Aの代わりに、本発明の化合物(1−1)を用い、比較例1と同様に素子作製評価した。直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、青色発光が得られ、素子の駆動耐久性は、比較例1の素子の約2倍であった。
【0072】
[実施例2]
比較例2の発光素子の錯体Bの代わりに、本発明の化合物(1−12)を用い、比較例1と同様に素子作製評価した。直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、青緑色の発光が得られ、素子の駆動耐久性は、比較例2の素子の約2倍であった。
【0073】
[実施例3]
比較例1の発光素子のCBPの代わりに、本発明の化合物(1−21)を用い、比較例1と同様に素子作製評価した。直流定電圧をEL素子に印加して発光させた結果、青緑色の発光が得られ、素子の駆動耐久性は、比較例1の素子の約2倍であった。
【0074】
他の本発明の錯体を用いた素子でも同様な効果を得ることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有する有機電界発光素子において、一般式(1)で表される配位子を少なくとも1個有する有機金属錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】

11は、Q11〜Q13と結合する、原子または原子団を表し、Q11〜Q13は金属イオンに結合または配位する原子群を表す。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される配位子において、X11は、Q11〜Q13と結合する1個の原子を含む原子団、または、Q11〜Q13と結合する3価の原子であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記有機金属錯体が一般式(2)または一般式(3)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
【化2】

11は、Q11〜Q13またはQ17〜Q19と結合する1個の原子を含む原子団、または、Q11〜Q13またはQ17〜Q19と結合する3価の原子を表し、X12は、Q14〜Q16と結合する1個の原子を含む原子団、またはQ14〜Q16と結合する3価の原子を表し、Q11〜Q19は、金属イオンM1またはM2に、結合または配位する原子群を表し、M1はイリジウムイオン、M2は白金イオンを表す。
【請求項4】
前記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)において、Q11〜Q19で表される原子群が、芳香族基、または、窒素、硫黄および酸素から選ばれる原子を少なくとも1個含む5または6員の複素環基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
発光層に、燐光発光材料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)において、X11が、Q11〜Q13と結合する1個の原子を含む原子団を表すとき、該1個の原子は、炭素原子、窒素原子またはりん原子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子。