説明

有機電界発光素子

【課題】発光材料として有用な白金錯体化合物を用いた、高効率及び高耐久性な有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】一対の電極間に、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を有機層に含有することを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(I)
【化1】


(一般式(I)中、Z1、Z2は、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表す。Qは1個又は2個の窒素原子を有する芳香族5員環を表す。L1、L2は単結合又は二価の連結基を表す。nは0又は1を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料として有用な白金錯体化合物を用いた有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。発光材料としてはイリジウム錯体などが知られているが(例えば特許文献1及び特許文献2参照)、高効率と高耐久性を両立する素子の開発には至っておらず両者を両立しうる有機電界発光素子の開発が望まれている。
【特許文献1】米国特許第6303238号明細書
【特許文献2】国際公開第00/57676号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、発光材料として好適な白金錯体化合物を用いた、発光効率が高く、かつ耐久性が高い有機電界発光素子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、特定の構造を有する四座配位子の白金錯体を、少なくとも一層の有機層に含有する有機電界発光素子が、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は下記の手段により達成された。
【0006】
(1)一対の電極間に、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を有機層に含有することを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(I)
【化10】

【0007】
(一般式(I)中、Z1、Z2は、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表す。Qは1個又は2個の窒素原子を有する含窒素芳香族5員環を表す。L1、L2は、単結合又は二価の連結基を表す。nは0又は1を表す。)
(2)前記一般式(I)が下記一般式(II)で表されることを特徴とする1に記載の有機電界発光素子。
一般式(II)
【0008】
【化11】

【0009】
(一般式(II)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R21及びR22は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
(3)前記一般式(I)が下記一般式(III)で表されることを特徴とする1に記載の有機電界発光素子。
一般式(III)
【0010】
【化12】

【0011】
(一般式(III)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R31、R32、及びR33は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
(4)前記一般式(I)が下記一般式(IV)で表されることを特徴とする1に記載の有機電界発光素子。
一般式(IV)
【0012】
【化13】

【0013】
(一般式(IV)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R41及びR42は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
(5)前記一般式(II)が下記一般式(IIA)で表されることを特徴とする2に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIA)
【0014】
【化14】

【0015】
(一般式(IIA)中、L1は単結合又は二価の連結基を表す。R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
(6)前記一般式(IIA)が下記一般式(IIB)で表されることを特徴とする5に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIB)
【0016】
【化15】

【0017】
(一般式(IIB)中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R61及びR62は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
(7)前記一般式(IIB)が下記一般式(IIC)で表されることを特徴とする6に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIC)
【0018】
【化16】

【0019】
(一般式(IIC)中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は水素原子又は置換基を表す。)
(8)前記一般式(IIC)が下記一般式(IID)で表されることを特徴とする7に記載の有機電界発光素子。
一般式(IID)
【0020】
【化17】

【0021】
(一般式(IID)中、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は水素原子又は置換基を表す。R21は置換基を表す。)
(9)前記一般式(I)が下記一般式(V)で表されることを特徴とする(1)に記載の有機電界発光素子。
一般式(V)
【0022】
【化18】

【0023】
(一般式(V)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R61及びR62は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
(10)前記置換基が下記の群から選ばれる置換基であることを特徴とする2〜9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
(群:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のスルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、環員数5〜7のヘテロ環基)
【発明の効果】
【0024】
本発明の一般式(I)乃至一般式(V)、及び(IIA)乃至(IID)で表される錯体を有機層に含有することにより、高い発光効率(例えば、外部量子効率)を有し、かつ耐久性に優れる有機電界発光素子が提供できる。特に、ある特定の構造を有する化合物(錯体)を使うことにより、青色領域において高い外部量子効率で発光し、かつ耐久性に優れる素子が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本明細書において置換基群Aとは以下のように定義される。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
【0026】
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、
【0027】
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、
【0028】
スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0029】
前記置換基群A、又は以下に述べる一般式(I)〜(V)、一般式(IIA)〜(IID)中における以下の基(R21、R22、R31、R32、R33、R41、R42、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R61及びR62)は、下記の群から選ばれる置換基群:(群:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のスルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、環員数5〜7のヘテロ環基)であることがより好ましく、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、環員数5〜7のヘテロ環基であることが、より好ましい。
【0030】
以下、本発明の有機電界発光素子(本明細書において「本発明の素子」と同義で用いる)について詳細に説明する。
本発明の素子は一対の電極間に、少なくとも一層の有機層を有する。本発明の素子は基板上に一対の電極(陰極と陽極)を有し、両電極の間に有機層を有する。素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
【0031】
また、本発明の素子は、有機層に、一般式(I)〜(V)、一般式(IIA)〜(IID)で表される四座配位子の白金錯体(本明細書において「本発明の錯体」と同義で用いる。)を含有することを特徴とする。
有機層の機能は、特に限定されないが、少なくとも発光層を含み、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック層、保護層等を含んでいてもよい。またこれらの各層は、それぞれ他の機能を兼備していても良い。
【0032】
本発明における有機層の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
【0033】
本発明の錯体は、有機層が複数の層からなる場合、いずれの層にも含有することができる。本発明の錯体は、発光層に含有されることが好ましく、発光材料として発光層に含有されることがさらに好ましく、少なくとも一種のホスト材料と共に発光層に含有されることが特に好ましい。
【0034】
本発明の錯体の含有量は、発光層に発光材料として含有される場合、該層の総質量に対して、0.1質量%以上40質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上30質量%以下の範囲がより好ましく、0.3質量%以上20質量%以下の範囲がさらに好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がさらにより好ましく、0.5質量%以上15質量%以下の範囲が最も好ましい。
【0035】
ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。本明細書において「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下であることをいう。
【0036】
発光層中のホスト材料の濃度は、特に限定されないが、発光層中において主成分(含有量が一番多い成分)であることが好ましく、50質量%以上99.9質量%以下がより好ましく、70質量%以上99.8質量%以下がさらに好ましく、80質量%以上99.7質量%以下が特に好ましく、90質量%以上99.5質量%以下が最も好ましい。
【0037】
前記ホスト材料のガラス転移点は、100℃以上500℃以下であることが好ましく、110℃以上300℃以であることがより好ましく、120℃以上250℃以下であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明における発光層に含まれるホスト材料の膜状態での蛍光波長は、400nm以上650nm以下の範囲であることが好ましく、420nm以上600nm以下の範囲であることがより好ましく、440nm以上550nm以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0039】
本発明に用いるホスト材料としては、特開2002−100476公報の段落0113〜0161に記載の化合物及び特開2004−214179公報の段落0087〜0098に記載の化合物を好適に用いることができるが、これらに限定されることはない。
【0040】
以下、一般式(I)で表される四座配位子の白金錯体について説明する。
一般式(I)中、Z1、Z2は、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表す。Qは1個又は2個の窒素原子を含有する含窒素芳香族5員環を表す。L1、L2は、単結合又は二価の連結基を表す。nは0又は1を表す。
【0041】
前記Z1、Z2は、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表す。Z1、Z2としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジンが挙げられ、好ましくはピリジン、ピラジン、ピリミジンであり、より好ましくはピリジン、ピラジンであり、特に好ましくはピリジンである。Z1とZ2は互いに等しくても異なっていても良い。Z1、Z2は可能であれば置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。
【0042】
前記Z1、Z2が有してもよい置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基である。
【0043】
Z1、Z2は、可能であれば他の環と縮合環を形成しても良い。縮環する環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環等が挙げられる。
【0044】
Z1、Z2として好ましくは、置換及び無置換のピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環であり、より好ましくは無置換のピリジン環、ピラジン環であり、さらに好ましくは無置換のピリジン環である。
【0045】
Qは窒素原子を1個又は2個含有する含窒素芳香族5員環を表す。すなわちQはZ1―N―C―Pt(又はZ2―N―C―Pt)で表される炭素原子及び窒素原子とともに窒素原子を1個又は2個有する含窒素芳香族5員環を形成する基を表す。
Qは可能であれば、置換基を有していてもよく、置換基としては置換基群Aと同義である。Qの置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、トリフルオロメチル基、t-ブチル基、シアノ基である。
Qとしては、置換及び無置換の、ピロール、ピラゾール、イミダゾールが挙げられ、好ましくは置換及び無置換の、ピロール、ピラゾールであり、より好ましくは置換及び無置換のピラゾールであり、さらに好ましくは3位に置換基を有するピラゾールであり、さらに好ましくは、3位にアルキル基、シアノ基を有するピラゾールであり、特に好ましくは、3位にトリフルオロメチル基、t−ブチル基、シアノ基を有するピラゾールである。
【0046】
Qは可能であれば他の環と縮合環を形成しても良い。縮環する環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環等が挙げられる。
【0047】
L1及びL2は単結合又は二価の連結基を表し、nは0又は1を表す。nは0が好ましい。すなわち、n=0の場合は、二つのQ同士が連結して環を形成することはないことを表す。二価の連結基としては特に限定されないが、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含んでなる連結基が好ましい。下記に二価の連結基の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
【0048】
【化19】

【0049】
【化20】

【0050】
上記Roは前記置換基群Aから選ばれる置換基を表す。Roとして好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。mは1〜5の整数を表す。mは好ましくは2〜5であり、より好ましくは2〜3である。
これらの連結基は可能であればさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、Z1、Z2の置換基として挙げたものが適用できる。
【0051】
L1として好ましくはジアルキルメチレン基、ジアリールメチレン基、ジヘテロアリールメチレン基であり、より好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基であり、さらに好ましくはジメチルメチレン基である。
2として好ましくはテトラアルキルエチレン基、テトラアリールエチレン基、テトラヘテロアリールエチレン基であり、より好ましくはテトラアルキルエチレン基であり、さらに好ましくはテトラメチルエチレン基である。
【0052】
一般式(I)で表される錯体のうち、好ましい形態の一つは一般式(II)で表される錯体である。一般式(II)中のZ1、Z2は、一般式(I)におけるそれらと同義であり、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表し、また好ましい範囲も同様である。L1は単結合又は二価の連結基を表す。L1は一般式(I)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R21及びR22は各々独立に水素原子又は置換基を表し、該置換基は置換基群Aと同義である。同一のピラゾール環に置換したR21及びR22同士が連結して縮合環を形成しても良い。R22が、別のピラゾールに置換したR22と互いに連結して環を形成しても良い。
【0053】
21として好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シアノ基であり、より好ましくは、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シアノ基であり、さらに好ましくは、トリフルオロメチル基、t-ブチル基、シアノ基である。
【0054】
22として好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基、シアノ基、又はR22同士が連結して置換又は無置換のメチレンあるいはエチレンを形成する基であり、より好ましくは、水素原子、シアノ基、R22同士が連結して置換又は無置換のエチレンを形成する基であり、さらに好ましくは、水素原子、R22同士が連結してテトラメチルエチレンを形成する基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0055】
一般式(I)で表される錯体のうち、別の好ましい形態の一つは一般式(III)で表される錯体である。一般式(III)中のZ1、Z2は、一般式(I)におけるそれらと同義であり、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表し、また好ましい範囲も同様である。L1は単結合又は二価の連結基を表す。L1は一般式(I)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R31、R32、及びR33は各々独立に水素原子又は置換基を表し、該置換基としては置換基群Aと同義である。R31及びR32、R32及びR33、並びにR33及び別のピロール環に置換したR33は互いに連結して縮合環を形成しても良い。
【0056】
31及びR32、並びにR32及びR33が連結して形成される縮合環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環である。これらの環はさらに他の環が縮合していてもよい。
【0057】
31として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、R32と共に縮合環を形成する基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、R32と共に縮合環を形成する基であり、さらに好ましくは、メチル基、t-ブチル基、R32と共に縮合環を形成する基である。
【0058】
32として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、R31と共に縮合環を形成する基、R33と共に縮合環を形成する基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、R31と共に縮合環を形成する基、R33と共に縮合環を形成する基であり、さらに好ましくは、t−ブチル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、R31と共に縮合環を形成する基である。
【0059】
33として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、R32と共に縮合環を形成する基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、R32と共に縮合環を形成する基であり、さらに好ましくは水素原子、R32と共に縮合環を形成する基である。
【0060】
一般式(I)で表される錯体のうち、別の好ましい形態の一つは一般式(IV)で表される錯体である。一般式(IV)について説明する。一般式(IV)中のZ1、Z2は、一般式(I)におけるそれらと同義であり、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表し、また好ましい範囲も同様である。L1は単結合又は二価の連結基を表す。L1は一般式(I)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R41、R42は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、該置換基としては、置換基群Aから選ばれる置換基が適用できる。R41及びR42は互いに連結して縮合環を形成しても良い。R41及びR42が連結して形成される縮合環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環である。これらの環はさらに他の環が縮合していてもよい。
【0061】
41として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、R42と共に縮合環を形成する基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、R42と共に縮合環を形成する基であり、さらに好ましくは、メチル基、シアノ基、R42と共に縮合環を形成する基である。
【0062】
42として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、R41と共に縮合環を形成する基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、R41と共に縮合環を形成する基であり、さらに好ましくは、メチル基、シアノ基、R41と共に縮合環を形成する基である。
【0063】
一般式(I)で表される錯体のうち、別の好ましい形態の一つは一般式(V)で表される錯体である。一般式(V)について説明する。一般式(V)中のZ1、Z2は、一般式(I)におけるそれらと同義であり、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表し、また好ましい範囲も同様である。L1は単結合又は二価の連結基を表す。L1は一般式(I)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R61、R62は、各々独立に水素原子又は置換基を表し、該置換基としては、置換基群Aから選ばれる置換基が適用できる。
【0064】
61として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基であり、さらに好ましくはシアノ基である。
【0065】
62として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフルオロメチル基であり、さらに好ましくは、メチル基、シアノ基である。
【0066】
一般式(II)で表される錯体は、より好ましくは一般式(IIA)で表される錯体である。一般式(IIA)について説明する。一般式(IIA)中、L1は単結合又は二価の連結基を表す。L1は一般式(I)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は水素原子又は置換基を表す。R21、R22は、一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R51〜R56は水素原子又は置換基を表す。R51〜R56で表される置換基としては、置換基群Aと同義である。R51〜R56は可能であれば互いに結合して環を形成していても良い。
【0067】
前記R51及びR54として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基、ピリジル基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子である。
【0068】
前記R53及びR56として好ましくは、前記R51及びR54の好ましい範囲と同義である。
【0069】
前記R52及びR55として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メトキシ基、カルバゾリル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0070】
一般式(IIA)で表される錯体は、さらに好ましくは一般式(IIB)で表される錯体である。一般式(IIB)について説明する。一般式(IIB)中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R61及びR62は、水素原子又は置換基を表す。R21、R22は一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R51〜R56は、一般式(IIA)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R61及びR62は水素原子又は置換基を表す。R61及びR62で表される置換基としては、置換基群Aと同義である。R61及びR62として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基、ピリジル基であり、さらに好ましくは、メチル基、フェニル基、ピリジル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
【0071】
一般式(IIB)で表される錯体は、さらに好ましくは一般式(IIC)で表される錯体である。一般式(IIC)について説明する。一般式(IIC)中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は、水素原子又は置換基を表す。R21、R22は、一般式(II)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R51〜R56は一般式(IIA)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0072】
一般式(IIC)で表される錯体は、さらに好ましくは一般式(IID)で表される錯体である。一般式(IID)について説明する。一般式(IID)中、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は、水素原子又は置換基を表す。R21は置換基を表す。R51〜R56は一般式(IIA)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R21で表される置換基としては置換基群Aと同義である。R21として好ましくは、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、スルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ペルフルオロアリール基、スルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、メチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基、メシル基、トシル基、フッ素原子、シアノ基、ピリジル基であり、さらに好ましくはメチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基であり、特に好ましくは、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、シアノ基である。
【0073】
一般式(IID)において、R51、R53、R54、及びR56は、共に水素原子を表すのが好ましい。
【0074】
以下に、本発明における一般式(I)で表される錯体の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない(なお、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、tBuはターシャリーブチル基を表す。結合線の先に何も書いていない場合は、その先がメチル基であることを表し、またジグザグ線の頂点に何も書いていない場合は、無置換のメチレン基であることを表す)。
【0075】
【化21】

【0076】
【化22】

【0077】
【化23】

【0078】
【化24】

【0079】
【化25】

【0080】
【化26】

【0081】
【化27】

【0082】
【化28】

【0083】
【化29】

【0084】
【化30】

【0085】
【化31】

【0086】
【化32】

【0087】
【化33】

【0088】
【化34】

【0089】
【化35】

【0090】
【化36】

【0091】
【化37】

【0092】
【化38】

【0093】
【化39】

【0094】
【化40】

【0095】
【化41】

【0096】
【化42】

【0097】
【化43】


【0098】
【化44】

【0099】
本発明の錯体は、例えば以下に示す工程により製造することができる。一般式(IIC)で表される化合物の製造方法を具体的に記す。
【0100】
【化45】

【0101】
上記式中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。本発明の錯体はJournal of Organic Chemistry 53, 786, (1988) 、G. R. Newkome et al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法およびその組み合わせにより得ることができる化合物(A)を出発物質とし、化合物(A)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液に対し、0℃〜室温でリチウムジイソプロピルアミド、カリウムt−ブトキシド、水素化ナトリウムなどの塩基を1〜1.2当量加え、0℃〜室温下30分程度反応させ、これに対して1.5〜4当量のヨウ化メチルを加え、室温下30分程度反応させてモノメチル化した後、再び同様の条件で、前記の塩基を1〜1.2当量と過剰のヨウ化メチルを反応させて、ジメチル置換体(B)を収率70〜99%で得ることができる。
【0102】
(B)から(C)を得る工程は、Chemische Berichte 113, 2749 (1980)、H. Lexy et al.)の、2752頁、26行〜35行に記載の方法を踏襲することにより、合成することができる。
【0103】
(C)から本発明の化合物(D)を得る工程は、化合物(C)と、1〜1.5当量の塩化第一白金をベンゾニトリルに溶解させ、130℃〜加熱還流温度(ベンゾニトリルの沸点:191℃)に加熱し、30分〜4時間攪拌することにより合成することができる。化合物(D)はクロロホルム、酢酸エチルを用いた再結晶や、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、昇華精製などにより精製することができる。
【0104】
また、一般式(IIA)に含まれる本発明の化合物(H)は以下の製造方法にて合成可能である。
【0105】
【化46】

【0106】
上記式中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55、R56は、水素原子または置換基を表す。Roは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。
【0107】
(E)から(F)を得る工程は、Journal of Organic Chemistry,56,12, 4072-4074 (1980)に記載の方法等を利用することにより、合成することができる。
【0108】
(F)から(G)を得る工程は、Angew. Chem.Int.Ed,42,2051-2053(2003)に記載の方法等を利用することにより、合成することができる。
【0109】
(G)から本発明の化合物(H)を得る工程は、化合物(G)と、1〜1.5当量の塩化第一白金をベンゾニトリルに溶解させ、130℃〜加熱還流温度(ベンゾニトリルの沸点:191℃)に加熱し、30分〜24時間攪拌することにより合成することができる。化合物(H)はクロロホルム、酢酸エチルを用いた再結晶や、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、昇華精製などにより精製することができる。
【0110】
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、または該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W. Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
【0111】
本発明の素子を構成する各要素について詳細に説明する。
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0112】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0113】
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0114】
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0115】
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0116】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
【0117】
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
【0118】
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0119】
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0120】
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
【0121】
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
【0122】
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
【0123】
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0124】
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0125】
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0126】
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
【0127】
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0128】
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0129】
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0130】
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0131】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。本発明の素子は、少なくとも一層の有機層を有しており、少なくとも発光層を含む。発光層以外の他の有機層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
【0132】
−有機層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0133】
−発光層−
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。発光層としては、発光材料として本発明の錯体を用いたものが好ましく、少なくとも一種のホスト材料と本発明の錯体により構成されていることがより好ましい。
また、発光層は一層であっても二層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
【0134】
本発明に使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の錯体やピロメテン誘導体の錯体に代表される各種錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
【0135】
また、本発明に使用できる燐光発光材料は、本発明の錯体の他に、例えば、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
【0136】
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
【0137】
燐光発光材料は、発光層中に、0.1〜40質量%含有されることが好ましく、0.5〜20質量%含有されることがより好ましい。
【0138】
また、本発明における発光層に含有されるホスト材料としては、前述に挙げたものの他に、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
【0139】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0140】
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン等を含有する層であることが好ましい。
【0141】
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0142】
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする錯体に代表される各種錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
【0143】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々50nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0144】
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0145】
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0146】
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
【0147】
<封止>
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。封止容器と素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0148】
本発明の素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
【0149】
本発明の素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0150】
本発明の素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
【0151】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0152】
<例示化合物2の合成>
【0153】
【化47】

【0154】
化合物B1の合成
窒素気流下、化合物A1(18.6g)をN,N−ジメチルホルムアミド90mLに溶解させ、0℃まで冷却し、カリウムt−ブトキシド(6.8g、1.05当量)を加え、室温まで昇温して30分攪拌した。再び0℃まで冷却し、ヨウ化メチル(7.2mL、1.82当量)を加え、室温まで昇温して30分攪拌してモノメチル化を行った。この操作を再度繰り返し、ジメチル化を行った。酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを留去した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製することにより化合物B1を無色結晶として18.6g(収率92.1%)得た。
【0155】
化合物C1の合成
窒素気流下、化合物B1(3g、8.43mmol)、3−トリフルオロメチルピラゾール(3.44g、25.28mmol)、炭酸カリウム(7g、50.58mmol)、ヨウ化銅(322mg、1.69mmol)をニトロベンゼン50mLに懸濁させ、攪拌しながら湯浴の温度を200℃まで昇温した。加熱下に2時間攪拌し、その後室温まで冷却した。不溶部をセライト濾過により除き、濾液の溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製することにより化合物C1を無色液体として2.57g(収率65.4%)得た。
【0156】
例示化合物2の合成
窒素気流下、化合物C1(2.57g、5.51mmol)および塩化第一白金(1.46g、5.51mmol)をベンゾニトリル20mLに懸濁させた。攪拌下湯浴の温度を200℃まで上げると、橙色の溶液になった。3時間加熱攪拌し、その後室温まで冷却すると、黄色の沈殿が得られた。得られた沈殿を濾取し、少量のエタノールで洗浄し、粗体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製することにより、例示化合物2を淡黄色結晶として1.5g(収率41.3%)得た。燐光λmax=452nm(ジクロロメタン溶液)。
1H NMR(CDCl3)300MHz:δ 2.03(s,6H)、6.69 (s,2H)、7.54(d ,2H)、7.88 (d,2H)、8.06(t,2H)
【0157】
<例示化合物252の合成>
【0158】
【化48】

【0159】
化合物(F1)の合成
窒素気流下、2,6ージブロモピリジン(28.42g、120mmol)、3ートリフルオロメチルピラゾール(4.08g、30mmol)、酸化第一銅(0.21g、1.5mmol)、サリチルアルドキシム(0.82g、6mmol)、炭酸セシウム(19.55g、60mmol)をアセトニトリル30mlに懸濁させ、撹拌しながら5.5時間還流させた。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製することにより、化合物(F1)を結晶として5.2g(収率59%)得た。
1H NMR(CDCl3)300MHz:δ 6.72(d,J=2.7Hz,1H)、7.45 (d,J=7.8Hz,1H)、7.71(t,J= 8.0Hz,1H)、7.99 (d,J=8.1Hz,1H)、8.59−8.69(m,1H)
【0160】
化合物(G1)の合成
窒素気流下、πーアリルパラジウムクロリドダイマー(ジ-μ-クロロビス(η-アリル)パラジウム(II))(2.78mg、7.6×10ー3mmol)、トリーtーブチルホスフィンの10重量%ヘキサン溶液(トリーtーブチルホスフィンの量として3.0mg、0.15×10ー3mmol)、キシレン6mlを室温で撹拌した。tーブトキシナトリウム(0.19g、2.0mmol)、2,5ージイソプロピルアニリン(0.17g、1.0mmol)、化合物(F1)(0.6g、2.0mmol)を加え、撹拌しながら16.5時間還流した。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮して、化合物(G1)の粗体0.43gを得た。
【0161】
例示化合物252の合成
窒素気流下、化合物(G1)の粗体(0.43g)、塩化第一白金(0.25g、0.93mmol)、ベンゾニトリル5mlを120℃から徐々に180℃まで昇温しながら17時間撹拌した。放冷後、ベンゾニトリルを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘキサン=1:1)にて精製し、例示化合物252を10mg(収率5%)得た。燐光λmax=444nm(ジクロロメタン溶液)。
1H NMR(CDCl3)300MHz:δ 1.01(d,12H)、2.65(sep,2H)、6.34 (d,J=9.3Hz,2H)、6.76 (s,2H)、7.53(d,J=7.5Hz,2H)、7.68−7.74 (m,3H)、7.86−7.92(m,2H)
【0162】
<例示化合物251の合成>
【0163】
【化49】

【0164】
化合物(G2)の合成
窒素気流下、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(0.16g、0.28mmol)、2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(0.17g、0.28mmol)、トルエン30mlを室温で撹拌した。tーブトキシナトリウム(2.01g、21mmol)、2,5−ジエチルアニリン(1.05g、7mmol)、化合物(F1)(4.23g、14.5mmol)を加え、撹拌しながら8時間還流した。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮して、化合物(G2)の粗体1.01gを得た。
【0165】
例示化合物251の合成
窒素気流下、化合物(G2)の粗体(1.01g)、塩化第一白金(0.64g、2.4mmol)、ベンゾニトリル25mlを120℃から徐々に180℃まで昇温しながら8時間撹拌した。放冷後、ベンゾニトリルを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘキサン=1:1)にて精製し、例示化合物251を0.21g(収率28%)得た。燐光λmax=444nm(ジクロロメタン溶液)。
1H NMR(CDCl3)300MHz:δ 1.05(t,6H)、2.34(m,4H)、6.32 (d,2H)、6.75 (s,2H)、7.51(d, 2H)、7.65(t,1H)、7.70 (d,2H)、7.88(d,2H)
【0166】
<例示化合物254の合成>
【0167】
【化50】

【0168】
化合物(G3)の合成
窒素気流下、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(85mg、0.15mmol)、2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(92mg、0.15mmol)、トルエン15mlを室温で撹拌した。tーブトキシナトリウム(1.42g、15mmol)、2,5−ジクロロアニリン(0.6g、3.7mmol)、化合物(F1)(3.25g、11.1mmol)を加え、撹拌しながら24時間還流した。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製することにより、化合物(G3)を結晶として1.13g(収率52%)得た。
1H NMR(CDCl3)300MHz:δ 6.60 (s,2H)、7.13(d, 2H)、7.40(t, 1H)、7.52(d,2H)、7.68 (d,2H)、7.79(t,2H)、8.11(s,2H)
【0169】
例示化合物254の合成
窒素気流下、化合物(G3)(0.68g、1.1mmol)、塩化第一白金(0.29g、1.1mmol)、ベンゾニトリル30mlを120℃から徐々に180℃まで昇温しながら8時間撹拌した。放冷後、ベンゾニトリルを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)にて精製し、例示化合物254を0.15g(収率16%)得た。
1H NMR(CDCl3)300MHz:δ 6.27 (d,2H)、6.62(s, 2H)、7.65-7.78(m, 5H)、7.92(t, 2H)、
m/z=778(M+H)
【0170】
<有機電界発光素子>
1.有機電界発光素子の作製
(1)本発明の有機電界発光素子(TC−21)の作製
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層(有機化合物層)を順次蒸着した。
本発明の実施例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
【0171】
(第1正孔輸送層)
銅フタロシアニン:膜厚10nm
(第2正孔輸送層)
NPD:膜厚40nm
(発光層)
MCP=92質量%、例示化合物2=8質量%の混合層:膜厚30nm
(第1電子輸送層)
1,3,5−TTB:膜厚10nm
(第2電子輸送層)
1,3,5−TPB:膜厚10nm
(第3電子輸送層)
Alq:膜厚10nm
【0172】
【化51】

【0173】
最後にフッ化リチウム0.1nmおよび金属アルミニウムをこの順に100nm蒸着し陰極とした。これを大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、本発明の有機電界発光素子(TC−21)を得た。
【0174】
(2)比較例の有機電界発光素子(TC−22)の作製
発光材料を本発明にかかる例示化合物2からFirpicに変更する以外は、(TC−21)と同様の方法で比較例の有機電界発光素子(TC−22)を作製した。
【0175】
2.有機電界発光素子の評価
上記で得られた有機電界発光素子(TC−21〜22)を以下の方法により評価した。
(1)発光スペクトルおよび外部量子効率の測定
有機電界発光素子(TC−21〜22)に、11Vの電圧を印加したところ、いずれも燐光発光材料に由来する青色に発光した。これらを(株)島津製作所製の発光スペクトル測定システム(ELS1500)にセットし、輝度が100 cd/m2時の発光スペクトルを測定し、発光のピーク波長を求めた。また、200cd/m2発光時の発光スペクトルと電流値から、外部量子効率を求めた。
【0176】
(2)駆動耐久性の評価
得られた有機電界発光素子(TC−21〜22)を、東京システム開発(株)製のOLEDテストシステムST−D型にセットし、定電流モードにて正方向定電流0.4mAの条件で駆動し、輝度半減時間(輝度が初期輝度の50%に低下するまでの時間)t0.5を求めた。結果を表1に示す。
【0177】
【表1】

【0178】
本発明の他の化合物(錯体)を用いても、上記同様、高効率かつ高耐久性の有機電界発光素子が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に、少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を有機層に含有することを特徴とする有機電界発光素子。
一般式(I)
【化1】


(一般式(I)中、Z1、Z2は、窒素原子で白金に配位する含窒素芳香族6員環を表す。Qは1個又は2個の窒素原子を有する含窒素芳香族5員環を表す。L1、L2は、単結合又は二価の連結基を表す。nは0又は1を表す。)
【請求項2】
前記一般式(I)が下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
一般式(II)
【化2】


(一般式(II)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R21及びR22は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
【請求項3】
前記一般式(I)が下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
一般式(III)
【化3】


(一般式(III)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R31、R32、及びR33は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
【請求項4】
前記一般式(I)が下記一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
一般式(IV)
【化4】


(一般式(IV)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R41及びR42は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
【請求項5】
前記一般式(II)が下記一般式(IIA)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIA)
【化5】


(一般式(IIA)中、L1は単結合又は二価の連結基を表す。R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
【請求項6】
前記一般式(IIA)が下記一般式(IIB)で表されることを特徴とする請求項5に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIB)
【化6】


(一般式(IIB)中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R61及びR62は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
【請求項7】
前記一般式(IIB)が下記一般式(IIC)で表されることを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
一般式(IIC)
【化7】


(一般式(IIC)中、R21、R22、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は水素原子又は置換基を表す。)
【請求項8】
前記一般式(IIC)が下記一般式(IID)で表されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光素子。
一般式(IID)
【化8】


(一般式(IID)中、R51、R52、R53、R54、R55及びR56は水素原子又は置換基を表す。R21は置換基を表す。)
【請求項9】
前記一般式(I)が下記一般式(V)で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
一般式(V)
【化9】


(一般式(V)中、Z1、Z2、L1は、一般式(I)と同義である。R61及びR62は各々独立に水素原子又は置換基を表す。)
【請求項10】
前記置換基が下記の群から選ばれる置換基であることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
(群:炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のスルホニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、環員数5〜7のヘテロ環基)

【公開番号】特開2007−19462(P2007−19462A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72968(P2006−72968)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】