説明

有機顔料微粒子の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液

【課題】粒径が極めて小さく、粒径分布ピークがシャープで、単分散性及び溶媒分散安定性が高く、濃縮されても再希釈したときに良好な分散安定性が維持される有機顔料微粒子を効率的に得ることができる製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液を提供する。さらに、特に有機溶媒中に安定に分散させることができ、工業的な規模での大量生産にも好適に対応しうる有機顔料微粒子の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液を提供する。
【解決手段】有機顔料可溶体の溶液を流通式反応装置中に導入し、その流通過程で、該有機顔料可溶体を重合性化合物の存在下で有機顔料に変換することを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機顔料微粒子の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷技術は1960年代から実用化を目指した本格的な研究が開始され、パーソナルユースのコンピュータ、ネットワーク等のデジタル情報技術の進歩とともに経済性の高い印刷技術として1980〜1990年代に急速に発展した。その後、画像を形成するインクに用いる染料および顔料色材とそれらのインク調合技術、インク吐出技術、記録媒体への浸透・乾燥技術等の画質向上技術が進歩し、最近ではその画質と耐久性は銀塩写真の画質に接近または凌駕したとするインクジェットプリンターが開発されてきている。
【0003】
これに対し、インクジェット用インクについても、上記インクジェットプリンターのインク吐出方式(ピエゾ方式やバブルジェット(登録商標)方式等)、ノズル特性等に合わせて、組成、分散媒、粘度、表面張力、比重などの物性を細かく調節したものが望まれている。特に近年の高性能プリンターにおいては、インクとのマッチングが良くないと印刷に支障が生じることがある。コンピュータ出力用インクジェットプリンターで一般的に使用されるインクは水溶性染料を水系溶媒に溶解した水性染料インクであるが、この水性染料インクで印刷された画像は、耐光性、耐酸化性、耐水性が低い。それらを改良するためにカーボンブラックや有機顔料の使用が検討され、顔料粒子を水に分散した水性顔料インクが用いられるようになった。水性顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に較べて耐光性、耐水性に優れるという特筆すべき利点を有する。
【0004】
ところで、水性インクの場合、記録媒体が液吸収性のある紙では有効であるが、プラスチック、金属、セラミックスなどの媒体に印刷することはできない。そこで一般印刷と同様の有機溶媒をベースとする溶剤・油性インク、常温では固体であるが加熱溶融状態で吐出するソリッド(固体、相変化ともいう)インク、更には紫外線、電子線などの電磁波照射で媒体表面に着弾すると同時に硬化させるUV硬化(紫外線、電子線、放射線などの電磁波を用いる硬化全般を含む)型インクなどが開発されてきた。
【0005】
これらのうちUV硬化型インクジェット用インクには色材として顔料が使用されている。そして有機溶媒(溶剤)としては光重合性のモノマー・オリゴマーを用いるので、色材となる顔料を上記有機溶媒に安定かつ均一に分散させなければならない。その分散液は一般にブレークダウン法で作製され、例えば顔料と分散剤およびモノマーの混合物を低温でビーズミルにて分散するのが一般的である。しかし、この方法で、顔料粒子のサイズを100nm以下にすることは容易でなく、画像形成に好ましい50nm以下で均一性のよいものにすることは難しい。ましてや、それを工業的規模で実現することは実際的ではない。
【0006】
さらにデジタルカメラのCCDセンサーや液晶ディスプレイについていうと、そこに組み込まれるカラーフィルターには有機溶媒に分散可能な有機顔料微粒子が用いられている。そして、これらのデバイスの画質向上のためにカラーフィルターの薄層化が望まれ、その厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存する。そのため、例えば50nm以下の、有機溶媒中で安定な顔料微粒子を大量に製造しうる方法の開発が望まれている。
【0007】
上述の要望に対応する方法の一つとして、最近有機顔料可溶体の有機溶媒溶液を流通式反応装置に導入し、流通過程で有機顔料可溶体を有機顔料に変換する方法が開示された(特許文献1)。具体的には流通式反応装置としてマイクロリアクターを用い、分散剤の存在下に熱分解する方法であり、ナノメートルサイズの顔料微粒子分散液を製造する方法である。
【0008】
重合性モノマーを用いて顔料配合物を製造する方法として、顔料とモノマーを混合し押出機中で温度を上昇させる製造方法が開示されている(特許文献2)。しかしながらこの方法で製造される顔料配合物は着色されたポリマーであり、着色に用いられている顔料は必ずしもナノメートルサイズでではない。
【0009】
可溶性色剤前駆体をカチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物に溶解して透明着色樹脂形成用組成物を調製する方法が開示されている(特許文献3)。この方法は塗布膜を重合させて着色画像を作製するものであり、顔料微粒子を作製する方法ではない。また、この方法は、可溶性色剤前駆体の一部が離脱して揮発するためポリマー膜厚の不均一な減少をもたらし、寸度精度、特に塗膜の平滑性を満足することは難しい。
【0010】
固体蛍光組成物の製造方法において、マトリックスとしてのポリマーもしくはポリマー前駆体と顔料前駆体を溶媒中で混合し、次いで系内(in situ(インサイチュー))で顔料前駆体から顔料を生成して固溶体を形成する方法が開示されている(特許文献4)。詳しくは、顔料を薄膜中での発光物質として使用するための蛍光発光剤前駆体の調製方法であり、有機EL素子用材料とされるものである。顔料を着色剤として用いることについては何ら述べていない。
【0011】
そのほか有機顔料の微粒子に重合性化合物を重合固定化する方法が開示されている(特許文献5参照)。ここで開示されている方法は、有機顔料を溶解した溶液からpHの変化によりその顔料を析出させるものでる。
【特許文献1】特開2007−284665号公報
【特許文献2】特開2001−323178号公報
【特許文献3】特開2001−323178号公報
【特許文献4】特表2001−509830号公報
【特許文献5】特開2007−39643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように有機溶媒中で安定な顔料微粒子を大量に製造しうる方法として特許文献1に記載の技術が提案されているが、本発明者らの確認によると、この方法は希薄状態で安定な有機溶媒分散液を得るには有用な方法であるが、一度高濃度にした分散液においては分散安定性が未だ不十分であることが分かった(後述の比較例2参照)。このことに鑑み、本発明は、粒径が極めて小さく、粒径分布ピークがシャープで、単分散性及び溶媒分散安定性が高く、濃縮されても再希釈したときに良好な分散安定性が維持される有機顔料微粒子を効率的に得ることができる製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液の提供を目的とする。さらに、特に有機溶媒中に安定に分散させることができ、工業的な規模での大量生産にも好適に対応しうる有機顔料微粒子の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液の製造方法、それにより得られる有機顔料微粒子の分散液の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、以下の手段により達成された。
(1)有機顔料可溶体の溶液を流通式反応装置中に導入し、その流通過程で、該有機顔料可溶体を重合性化合物の存在下で有機顔料に変換することを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
(2)前記有機顔料可溶体を加熱反応により有機顔料に変換することを特徴とする(1)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(3)前記有機顔料可溶体の変換と同時に前記重合性化合物を重合させることを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(4)前記有機顔料可溶体の有機顔料への変換反応を、有機溶剤中150℃以上500℃以下に加熱して行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(5)前記重合性化合物がラジカル重合性化合物であることを特徴とする(1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(6)前記重合性化合物が液体であり、前記有機顔料可溶体を溶解する溶媒の50〜100質量%を構成することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(7)前記有機顔料可溶体を有機顔料に変換する際に生成する副生物を前記重合性化合物の重合開始剤として作用させる(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(8)前記流通式反応装置が等価直径1mm以下の流路を有する装置であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(9)前記流通式反応装置がマイクロリアクターであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法で製造された有機顔料微粒子の分散液。
(11)前記分散液が有機顔料濃度5%以上あり又は該分散液を一度有機顔料濃度5質量%以上に濃縮し、これを有機溶媒により1質量%にまで希釈したときの前記有機顔料微粒子の体積平均径(MV)が3〜100nmであることを特徴とする(10)に記載の有機顔料微粒子の分散液。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法よれば、粒径が小さく安定な溶媒分散性、特に有機溶媒に対する良好な分散安定性を示し、濃縮して再希釈し必要により溶媒を切り替えたときにもその良好な分散安定性が維持される有機顔料微粒子を効率的に製造することができる。また本発明の製造方法によれば、流通式反応装置中で熱分解反応等により有機顔料可溶体を有機顔料に変換するときの反応時間・反応温度を精密に制御して有機顔料微粒子を製造することができる。さらにマイクロリアクター等の流通式反応装置をナンバリングアップ(並列化)することにより、上記の優れた微粒子特性を失うことなく、再現性よく、粒径が小さくかつ粒径分布幅の狭い有機顔料微粒子およびその有機溶媒分散液を大量に製造することができる。さらにまた本発明の製造方法により得られる有機顔料微粒子の分散液は、UV硬化型インクジェットインク、CCDセンサー用カラーフィルター、高輝性塗料、およびコーティング材料等の着色剤として有用であり、それらの性能を向上させることができるという優れた作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に関して詳しく説明する。
本発明において用いられる有機顔料可溶体とは、「溶媒(好ましくは有機溶媒)に溶解しうる化合物であり、かつ、熱等のエネルギーを付加することにより有機顔料に変換し得る化合物」と定義される。有機顔料可溶体の溶媒に対する溶解度は特に限定されず、溶媒の種類にもよるが、例えば溶解度が0.5〜50質量%のものであることが好ましく、1〜20質量%のものであることがより好ましい。なお、ここでの溶解度とは反応させるときの温度を考慮した任意の温度の溶解度であればよく、また酸やアルカリなどの溶解促進剤を添加したときの溶解度であってもよい。有機顔料可溶体としては、顔料を構成する母体骨格に溶媒可溶性を促進させる保護基が導入された化合物が挙げられ、導入された保護基は、化学的処理、光分解的処理、熱処理などにより容易に脱離され、その結果、母体骨格が現れて顔料化が起こり、本来の顔料の色が発色する。このような有機顔料可溶体はラテントピグメントとも呼ばれ、それらについては、Nature 388巻、131頁(1997)に記載されている。更に、例えば、特開平9−3362号公報、国際公開番号第98/32802号公報、国際公開番号第98/45757号公報、国際公開番号第98/58027号公報、国際公開番号第99/01511号公報、特開平11−92695号公報、特開平11−310726号公報に、様々な色、構造を有する顔料前駆体が挙げられている。
【0016】
本発明に用いられる好ましい有機顔料可溶体は下記一般式(I)で表される。
【0017】
【化1】

(式中、Aは有機顔料残基であり、Rは脂肪族基を表す。Xは1〜8の整数を表す。)
【0018】
式中のAおよびRについて以下詳しく説明する。
まずRについて説明する。Rは脂肪族基を表すが、好ましくは炭素原子数1〜24の脂肪族基を表す。脂肪族基は、例えば、置換もしくは無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、またはシクロアルケニル基である。Rについて好ましいものを更に詳しく述べれば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルもしくはt−アミルなどのアルキル基、アリル、1−ブテン−3−イル、もしくは3−メチル−1−ブテン−3−イルなどのアルケニル基、プロパギル、1−ブチン−3−イル、もしくは3−メチル−1−ブチン−3−イルなどのアルキニル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、もしくは1−メチル−1−シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、1−シクロアルケン−3−イル、もしくは3−メチル−1シクロへキセン−3−イルなどのシクロアルケニル基である。これらの基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、もしくは臭素原子)、アルキル基(メチル、エチル、イソプロピルもしくはt−ブチル基など)、アリール基(フェニル、1−もしくは2−ナフチル基など)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、もしくはイソプロポキシ基など)、アリ−ルオキシ基(フェノキシ、もしくはナフトキシ基など)、アリールアミノ基(アニリノ、もしくはジフェニルアミノ基など)、アルキルアミノ基(メチルアミノ、もしくはジメチルアミノ基など)、シアノ基、またはニトロ基などが挙げられる。これらの置換基が更に前記置換基を有していてもよい。
【0019】
なかでもRとして好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、その好ましい置換基としては、アルキル基またはアルキニル基である。
【0020】
Xは1〜8の整数を表すが、好ましくは1〜4の整数を表す。
【0021】
次にAについて説明する。Aは有機顔料残基であるが、詳しくは、ジケトピロロピロール化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、キナクリドンキノン化合物顔料、アントラキノン化合物顔料、アントアントロン化合物顔料、ペリレン化合物顔料、ペリノン化合物顔料、インジゴ化合物顔料、チオインジゴ化合物顔料、ベンズイミダゾロン化合物顔料、キノフタロン化合物顔料、インダントロン化合物顔料、イソインドリノン化合物顔料、イソインドリン化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、トリアリールカルボニウム化合物顔料、アミノアントラキノン化合物顔料、ピラントロン化合物顔料、イソビオラントロン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、ジスアゾ縮合化合物顔料、ジスアゾ化合物顔料、またはアゾ化合物顔料の残基が挙げられる。
【0022】
有機顔料残基Aとして好ましくは、ジケトピロロピロール化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、アントラキノン化合物顔料、ペリレン化合物顔料、インジゴ化合物顔料、キノフタロン化合物顔料、インダントロン化合物顔料、イソインドリノン化合物顔料、イソインドリン化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、またはアゾ系列の有機顔料(ジスアゾ縮合化合物顔料、ジスアゾ化合物顔料もしくはアゾ化合物顔料)などの残基である。
【0023】
一般式(I)で表される化合物は、なかでも下記一般式(I−1)で表される化合物が好ましい。式中Eは、水素または−C(=O)−O−R基を表し、そして少なくとも1つのEは−C(=O)−O−R基を表す。なお、後述する一般式(I−2)〜(I−24)においてEが1つのときはそのEは−C(=O)−O−R基を表し、Eが2つ以上あるときはそれらの少なくとも1つのEは−C(=O)−O−R基を表す。
【0024】
Aがジケトピロロピロール化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−1)で表される化合物である。
【0025】
【化2】

【0026】
式中、GおよびLは、それぞれ独立して、下記式のいずれかの基である。このときGとLとは同じであっても異なってもいてもよい。
【0027】
【化3】

【0028】
式中、R61およびR62は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、炭素原子数1〜18のアルキルメルカプト基、炭素原子数1〜18のアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、トリフルオロメチル基、炭素原子数5〜6のシクロアルキル基、−CH=NR (Rは炭素原子数1〜24のアルキル基)、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、ピペラジニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、ベンゾキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、モルホリニル基、ピペリジニル基、またはピロロジニル基であり、Tは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH=N−、−N=N−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、または−NR67−であり、R63およびR64は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、またはシアノ基であり、R65およびR66は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、そして、R67は、水素または炭素原子数1〜6のアルキル基である。
【0029】
Aがキナクリドン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは下記一般式(I−2)で表される化合物である。
【0030】
【化4】

【0031】
式中、R11およびR12は、互いに独立して、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはフェニル基を表す。好ましくは、水素、塩素、またはメチル基である。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0032】
Aがアントラキノン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−3)、(I−4)または(I−5)で表される化合物である。
【0033】
【化5】

【0034】
式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、または炭素原子数6〜12のアリール基であり、このアリール基は、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、ニトロ基、アセチル、−SONH−基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基、または−SONHで置換されていてもよい。また、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、ニトロ基、シアノ基、−CONH、−SONH−基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基、−SONH、−SOH、−SONa、または炭素原子数6〜12のアリール基であり、このアリール基は、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、ニトロ基、アセチル、−SONH−基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基、または−SONHで置換されていてもよい。R17は、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ、または炭素原子数1〜6のアルコキシル基である。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0035】
Aがペリレン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−6)または(I−7)で表される化合物である。
【0036】
【化6】

【0037】
式中、R19は、水素、炭素原子数1〜6のアルキル基、非置換、ハロゲン、もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基、ベンジル基、またはフェネチル基を表す。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0038】
Aがインジゴ化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−8)で表される化合物である。
【0039】
【化7】

【0040】
式中、R20は、水素、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、またはハロゲンを表す。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0041】
Aがキノフタロン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−9)で表される化合物である。
【0042】
【化8】

【0043】
式中、R21は、水素またはO−Eであり、R22〜R25は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、−COO−基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基または−CONH−基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基である。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0044】
Aがインダントロン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−10)で表される化合物である。
【0045】
【化9】

【0046】
式中、R26は水素又はハロゲンである。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0047】
Aがイソインドリノン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−11)でまたは(I−12)で表される化合物である。
【0048】
【化10】

【0049】
式中、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0050】
Aがイソインドリン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−13)、(I−14)、または(I―15)で表される化合物である。
【0051】
【化11】

【0052】
式中、R33は、下記式(A)で表される基である。R34は、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、ベンジル基、または下記式(B)で表される基である。R35は、水素、E、またはR33である。R36、R37、R38、およびR39は、それぞれ互いに独立して、水素、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン、またはトリフルオロメチル基である。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
Aがジオキサジン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I―16)または(I−17)で表される化合物である。
【0056】
【化14】

【0057】
式中、R41は、水素、ハロゲン、または炭素原子数1〜24のアルキル基を表す。R42およびR43は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
【0058】
Aがフタロシアニン化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−18)で表される化合物である。
【0059】
【化15】

【0060】
式中、Mは、Hまたは、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Sn(II)、Co(II)、またはPb(II)であり、好ましくは、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、またはPd(II)からなる群から選択される二価の金属、または、V(O)、Mn(O)またはTi(O)からなる群から選択される二価の酸化金属である。Tは、−CHR52−、−CO−、または−SO−である。R51は、水素、炭素原子数1〜6のアルキル基、−N(E)R52、−N(E)、−NHCOR53、−COR53、または下記式(C)の基である。R52は、水素、または炭素原子数1〜6のアルキル基である。R53は、炭素原子数1〜6のアルキル基である。そして、R54は、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数1〜6のアルコキシル基である。zは、0または1である。そして、yは、1〜8の整数である。式中Eは一般式(I−1)と同じである。
【0061】
【化16】

【0062】
Aがアゾ系列化合物顔料残基の場合の一般式(I)で表される有機顔料可溶体は、好ましくは一般式(I−19)〜(I−24)が挙げられる。
【0063】
【化17】

【0064】
式中、R71〜R75は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、ニトロ基、アセチル、またはSONH−基を有する炭素原子数1〜6のアルキル基である。そして、R76は、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜6のアルキル基、または炭素原子数1〜6のアルコキシル基である。
【0065】
一般式(I)で表される化合物として一般式(I−1)〜(I−24)で表される化合物の中では、一般式I−1、I−2、I−6、I−10、I−15、I−16、I−18、I−21で表される化合物が好ましく、I−1、I−2、I−15、I−16で表される化合物がより好ましい。
【0066】
これらのラテントピグメントは単独で用いてもよく、2種類以上組合せて用いてもよい。
【0067】
以下に特に好ましい有機顔料可溶体の例を示すが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお式中、Etはエチル基、Buはブチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
【0068】
【化18】

【0069】
【化19】

【0070】
【化20】

【0071】
【化21】

【0072】
【化22】

【0073】
【化23】

【0074】
【化24】

【0075】
上記の例示化合物は通常の方法で合成することができ、例えば特開平8−6242号、特開2005−55495号に記載の方法に従って合成することができる。
【0076】
次に本発明に用いられる、重合性化合物について説明する。本発明に用いられる重合性化合物は顔料前駆体を顔料に変換するために用いる溶媒に相溶し、その溶媒中で重合可能な化合物であることが好ましい。重合の形式は、ラジカル重合、イオン重合に大別され、それぞれに好ましい重合性化合物があるが、本発明においてはラジカル重合する重合性化合物が好ましい。
【0077】
ラジカル重合する重合性化合物として、有機顔料と共に分散可能なものである、エチレン性不飽和単量体が好ましい。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ジエチレングリコールメタクリル酸メチル、エチレングリコールジメタクリル酸エチル、テトラエチレングリコールジメタクリル酸メチル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等、およびその誘導体)、ビニル芳香族単量体(例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、p−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−デシルスチレン、p−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等、およびその誘導体)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等、およびその誘導体)、N−ビニルアミド類(例えばN−ビニルピロリドン)、(メタ)アクリル酸アミド類、アルキル置換(メタ)アクリルアミド類、メタクリルアミド類、N−置換マレイミド類、ビニルエーテル類(ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ジビニルエーテル等、およびその誘導体)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等、およびその誘導体)フタル酸ジアリル、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトン、塩化ビニリデン、等が使用できる。本発明において、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル芳香族単量体であり、特に好ましくはビニル芳香族単量体である。
【0078】
本発明において、重合性化合物を単独で用いても、何種類かを混合して用いてもよい。あるいは、有機顔料可溶体との関係で用いる重合性化合物の種類を定めてもよく、例えば有機顔料可溶体が有機顔料に変換されるときに副生物として生成する化合物もしくはイオンが重合開始剤として機能する重合性化合物を用いることが好ましい。例えば、上記副生物がラジカル重合開始剤として機能するものであれば、ラジカル重合性化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
【0079】
本発明の顔料微粒子分散液を調製するに当り、前記重合性化合物以外の共重合する化合物を共存させて共重合させてもよい。共重合性化合物は、微粒子析出や分散液の安定化を妨げなければ特に限定されない。
【0080】
本発明の製造方法においては、有機顔料可溶体の溶液を流通式反応装置中に導入し、重合性化合物の存在下で有機顔料可溶体を顔料に変換するが、このとき重合性化合物を有機顔料可溶体溶液中に含有させておくことが好ましい。そのようにすることで顔料可溶体が熱分解等して有機顔料に変換されると同時に、その近傍に存在する重合性化合物を重合させ、一層効果的に顔料微粒子を安定化することができる。なお、本発明において変換と「同時に」重合させるとは、有機顔料可溶体の有機顔料への変換反応が進行しているときに重合性化合物の重合反応を進行させることをいうが、これに限らず、上記変換反応の進行と作用しうる程度の前後において上記重合反応を進行させることを含む意味に用いる。
【0081】
本発明において、上述のように有機顔料可溶体が熱分解等して生成する有機顔料以外の副生物を重合開始剤として(好ましくはラジカル重合開始剤として)機能させることが可能であり、そのため重合開始剤を特に添加しなくても、流通過程で重合性化合物の重合反応を進行させることができる。すなわち、有機顔料可溶体から有機顔料への変換反応と重合性化合物の重合反応とを相互に作用させて、溶液を短時間で流通させて行う本発明の製造方法における特有の反応条件であっても、迅速かつ確実に両者の反応を進行させることができ、重合性化合物の重合物を所望の程度にむらなく有する良好な有機顔料微粒子を調製することができる。ただし本発明の製造方法において重合速度を制御するためにラジカル重合開始剤を添加してもよい。ラジカル重合開始剤としては、顔料前駆体溶液に溶けるものなら何でも使用可能であり、一般に過酸化物、アゾ系化合物等を使用することができる。具体的には、t−ブチルハイドロパーオキシド、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリルや、和光純薬工業(株)社のホームページ(www.wako−chem.co.jp)にある油溶性アゾ重合開始剤、高分子アゾ重合開始剤が使用可能である。重合開始剤の使用する場合、添加量は特に限定されないが、全モノマー成分に対して0.1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
【0082】
本発明の製造方法においては、上記重合性化合物と共重合させるか否かにかかわらず、種々の無機または有機の機能性添加剤を共存させてもよい。機能性添加剤を含有させる時期は特に限定されない。機能性添加剤は、微粒子析出や分散液の安定化を妨げなければ特に限定されないが、例えば、金属封鎖剤、殺菌剤、防カビ剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、水溶性樹脂、pH調整剤、尿素などが挙げられる。
【0083】
本発明の製造方法により得られる顔料微粒子の分散液において堅牢性等を上げる目的で、紫外線吸収剤や酸化防止剤、香料、防カビ剤、表面張力調整剤、水溶性樹脂、殺菌剤、pH調整剤、尿素などの添加剤を併用してもよい。これらはその添加時期や方法は特に限定されない。
【0084】
本発明の製造方法において、重合性化合物の重合の程度(重合性化合物の重合物の分子量)を調整するために、各種の連鎖移動剤(例えば、カテコール類、アルコール類、チオール類、メルカプタン類)を用いてもよい。
【0085】
本発明の製造方法において、重合性化合物(好ましくはラジカル重合性化合物)の含有量は、有機顔料可溶体の流通過程で熱分解により顔料微粒子が生成すると同時に重合し、重合生成物が均一分散性および保存安定性をより一層向上させる量であることが好ましい。重合反応を短時間で起こさせるために、重合性化合物の含有量は顔料可溶体に対して過剰であることが好ましい。反応がバッチ方式(反応釜方式)で行われる場合には適さない多量の含有量であっても、本発明の製造方法においては、流通過程、取り分けマイクロリアクター中で反応が行われるため対応することができる。含有された重合性化合物は全て重合する必要はなく、上述した顔料可溶体の変換反応との相互作用もあり顔料近辺に存在する重合性化合物が優先的に重合し、安定な粒子を形成することができる。重合性化合物の含有量を詳しく述べれば、顔料100質量部に対して50〜50,000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000質量部の範囲であり、特に好ましくは5,000〜10,000質量部の範囲である。
【0086】
本発明の製造方法に用いられる重合性化合物は液体であることが好ましい(詳しくは、有機顔料可溶体を流通式反応装置に導入するときの温度において液体であることが好ましく、具体的には50℃以下において液体であることが好ましい。)。この重合性化合物は有機顔料可溶体を溶解するのに用いる具体的に後述する溶媒と相溶し、有機顔料可溶体を溶解する溶媒の一部を構成することが好ましく、重合性化合物が前記溶媒中に占める質量比が20%以上であることが好ましく、特に好ましくは50〜100%である。100%とはすなわち重合性化合物のみにより溶媒を構成するということであり、本発明の製造方法においては有機顔料可溶体が重合性化合物に十分溶ける場合には他の溶媒と混合せずに、重合性化合物のみからなる媒体に有機顔料可溶体を溶解して用いることが好ましい。このように重合性化合物の溶媒中の含有率を高めることにより、熱分解した直後はラジカル性物質が存在すると思われる顔料核近辺でより効率よくラジカル重合を起こさせることができるようになり、その結果、粒径が制御された分散安定性の良い微粒子分散物を得ることができる。
【0087】
本発明の製造方法においては、有機顔料前駆体溶液を流通過程で有機顔料に変換する。このように流通過程で変換反応を行うことにより、顔料微粒子の生成を反応釜中で行うバッチ法に比べて均一な条件下で行うことができる。なかでも層流または層流と乱流の間に位置する過渡状態下で行うことが好ましい。層流および乱流とは以下のように説明される。管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ、水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。その間を過渡状態の流れという。
【0088】
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるか否かによって決まる。レイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υ>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υ>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
【0089】
流れが変化する臨界値のレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶ。臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。(荻野文丸総編集、「化学工学ハンドブック」、p37、2004年、朝倉書店)
Re<2300 層流
Re>4000 乱流
4000≧Re≧2300 過渡状態(遷移領域)
【0090】
過渡状態の流れとして、例えば層流渦の領域から乱流領域までを含む流れであるカルマン渦やテーラー渦等がある。(「化学工学便覧改訂六版,化学工学会編,丸善株式会社」、「理化学辞典第5版,岩波書店」、「M.Engler et al.,“Effective Mixing by the Use of Convective Micro Mixers”,Conference Proceedings,2005 Spring National Meeting,AIChE,128d」、特開2006−342304号公報)
【0091】
層流又は過渡状態(Re<4000)の流通過程で粒子形成(核生成から核成長を)を行い、粒子の成長速度を安定化することにより、粒子サイズが小さく、かつその分布が狭い、濁りが少ない透明性の高い顔料微粒子分散液を効率良く調製することができる。このような条件下の流通過程で形成した顔料微粒子は、粒子サイズ、その分布、分散安定性に優れ、しかも生産効率が高い点で特に好ましい。とりわけ、濁りが少ないことは粒径分布の幅が狭い(単分散度性に優れる)顔料微粒子であることと関係するので重要である。
【0092】
次に本発明の製造方法において用いられる流通式反応装置について説明する。流通式反応装置は、等価直径10mm以下の流路(チャンネル)を有する装置が好ましく、さらに好ましくは等価直径1mm以下の流路を有する装置である。まず、等価直径について以下に説明する。
等価直径(equivalent diameter)は相当(直)径とも呼ばれ、本発明では、機械工学の分野で通常用いられる意味で用いられる。すなわち、任意断面形状の配管(本発明の製造方法では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a/4a=a、一辺aの正三角形管ではdeq=a/√3となる。さらに、流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
【0093】
流路の等価直径が小さくなるにつれ、単位体積あたりの表面積(比表面積)は大きくなるが、流路が好ましいサイズである1mm以下のマイクロスケールになると比表面積は格段に大きくなり、流路の器壁を通じた熱伝達効率は非常に高くなる。流路を流れる流体中の熱伝達時間(t)は、t=deq/α(α:液の熱拡散率)で表されるので、等価直径が小さくなるほど熱伝達時間は短くなる。すなわち、等価直径が1/10になれば熱伝達時間は1/100になることになり、等価直径がマイクロスケールである場合、熱伝達速度は極めて速い。このような反応場を一般にマイクロ反応場と呼ぶ。
【0094】
本発明の製造方法において、好ましいマイクロ反応場を提供する反応装置は、一般に「マイクロリアクター」と総称され、最近大きな発展を遂げている。代表的マイクロリアクターには、その断面を円形に換算した場合の等価直径が数μm〜数百μm程度の複数本のマイクロ流路(上記の反応装置)、及びこれらのマイクロ流路と繋がる混合空間が設けられており、このマイクロリアクターでは、複数本のマイクロ流路を通して複数の溶液をそれぞれ混合空間へ導入することで、複数の溶液を混合し、又は混合と共に化学反応を生じさせることができる。
【0095】
次に、上記のようなマイクロリアクターによる反応がタンク等を用いたバッチ方式と異なる点を説明する。すなわち、液相間の化学反応では、一般に反応液の界面において分子同士が出会うことによって反応が起こるので、微小空間(マイクロ流路)内で反応を行うと相対的に界面の面積が大きくなり、反応効率は著しく増大する。また前記のように分子の拡散そのものも拡散時間は距離の二乗に比例する。このことは、スケールを小さくするに従って、反応液を能動的に混合しなくても、流通域で分子の拡散によって混合が進み、反応が起こり易くなることを意味している。また、微小空間においては、スケールが小さいために層流支配の流れとなり、溶液同士が層流状態となって互いに拡散し、混合されて行く。
【0096】
上記のような特徴を有するマイクロリアクーを用いれば、反応の場として大容積のタンク等を用いた従来のバッチ方式と比較し、溶液同士の反応時間及び温度の精密な制御が可能になる。またバッチ方式の場合には、特に、反応速度が速い溶液間では混合初期の反応接触面で反応が進行し、さらに溶液間の反応により生成された一次生成物が容器内で引き続き反応を受けてしまうことから、生成物が不均一になったり、混合容器内で凝集や析出が生じてしまうおそれがある。これに対して、マイクロリアクターによれば、溶液が混合容器内に殆ど滞留することなく連続的に流通するので、溶液間の反応により生成された一次生成物が混合容器内に滞留する間に引き続き反応を受けてしまうことを抑止でき、従来では取り出すことが困難であった純粋な一次生成物を取り出すことも可能になる。
【0097】
また、実験的な製造設備により製造された少量の化学物質を大規模の製造設備により多量に製造(スケールアップ)する際には、従来、実験的な製造設備に対し、バッチ方式による大規模の製造設備での再現性を得るために多大の労力及び時間を要していたが、必要となる製造量に応じてマイクロリアクーを用いた製造ラインを並列化することにより、このような再現性を得るための労力及び時間を大幅に減少できる可能性がある。
【0098】
本発明の製造方法に好適に用いられる流路の作製方法を以下に説明する。流路の等価直径が1mm以上のサイズの場合は従来の機械加工技術を用いることで比較的容易に作成可能であるが、サイズが1mm以下のマイクロサイズ、特に500μm以下になると格段に作製が難しくなる。マイクロサイズの流路(マイクロ流路)は固体基板上に微細加工技術を用いて作成される場合が多い。基板材料としては腐食しにくい安定な材料であれば何でもよい。例えば、金属(例えば、ステンレス、ハステロイ(ニッケル−鉄系合金)、ニッケル、アルミニウム、銀、金、白金、タンタルまたはチタン)、ガラス、プラスチック、シリコーン、テフロン(登録商標)またはセラミックスなどである。
【0099】
マイクロ流路を作製するための微細加工技術として代表的なものを挙げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA(Roentgen−Lithographie Galvanik Abformung)技術、EPON SU−8(商品名)を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM(Micro Electro Discharge Machining))、Deep RIE(Reactive Ion Etching)によるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザー加工法、イオンビーム加工法、およびダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、および機械的マイクロ切削加工法である。また、近年では、エンジニアリングプラスチックへの微細射出成型技術の適用が検討されている。
【0100】
マイクロ流路を作成する際、よく接合技術が用いられる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法は、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法である。さらに、組立に際しては高温加熱による材料の変質や大変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましいが、そのような技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、フッ化水素水溶液を用いた接合、金−ケイ素共晶接合、ボイドフリー接着などがある。
【0101】
本発明の製造方法に用いられる装置における流路の等価直径は、好ましくは10mm以下であり、1mm以下であることがより好ましく、10μm〜1mmであることがさらに好ましく、20〜500μmであることが特に好ましい。また流路の長さは特に限定されないが、1mm以上10m以下であることが好ましく、5mm以上10m以下であることがより好ましく、10mm以上5m以下であることが特に好ましい。
【0102】
本発明の製造方法においては、有機顔料の微粒子をその分散液中に生成させることが好ましく、流路中に流通させながら連続フロー法で行うことが好ましい。流通式反応装置において流路の数は、1つでも構わないが、必要に応じて流路を複数並列化し(ナンバーリングアップ)、その処理量を増大させることができる。並列本数は、製造する有機顔料微粒子の種類、目的とする生産量などによるが、5〜1000本が好ましく、10〜100本がより好ましい。流路は、固体基板上に微細加工技術を用いて作成されたものに限らず、例えば、入手可能な数μm〜数百μmの内径を有する各種ヒューズドシリカキャピラリーチューブでもよい。高速液体クロマトグラフ用、ガスクロマトグラフ用部品として市販されている数μm〜数百μmの内径を有する各種シリコンチューブ、フッ素樹脂製管、ステンレス管、PEEK管(ポリエーテルエーテルケトン管)も同様に利用可能である。
これまでにマイクロリアクターに関しては、反応の効率向上などを目指したデバイスに関する報告がなされている。例えば、特開2003−210960号、特開2003−210963号、特開2003−210959号の各公報にはマイクロミキサーに関して記載されており、これらのマイクロデバイスを利用することもできる。
【0103】
本発明の製造方法において、上記流路は目的に応じて表面処理してもよい。特に水溶液を操作する場合、ガラスやシリコンへの試料の吸着が問題になることがあるので表面処理は重要である。マイクロサイズの流路内における流体制御では、複雑な製作プロセスを要する可動部品を組み込むことなくこれを実現することが望ましい。例えば、流路内に表面処理により親水性と疎水性の領域を作製し、その境界に働く表面張力差を利用して流体を操作することが可能である。ガラスやシリコンの表面処理する方法として多用されるのはシランカップリング剤を用いた疎水または親水表面処理である。
【0104】
流路中へ試薬やサンプルなどを導入して混合するためには、流体制御機能が必要である。特に、マイクロ流路内における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類すると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。
【0105】
これらの方式を以下に詳しく説明する。流体を扱う形態として、最も広く用いられるのが連続流動方式である。連続流動式の流体制御では、マイクロ流路内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポンプなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般的である。この方法は、デッドボリュームが大きいことなどが難点であるが比較的簡単なセットアップで制御システムを実現できることが大きな利点である。
【0106】
連続流動方式とは異なる方式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式では、リアクター内部やリアクターに至る流路内で、空気で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるいは液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすようなベント構造、および分岐した流路内の圧力を他の部分と独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバルブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。このように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造がやや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いくつかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、システム構成の自由度は大きくなる。
【0107】
流体制御を行うための駆動方式として、流路(チャンネル)両端に高電圧をかけて電気浸透流を発生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法と、外部に圧力源を用意して流体に圧力をかけて移動させる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知られており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適している。電気的駆動方式行う場合には、流路内が流体で満たされている必要があるため、連続流動方式の形態をとらざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわらず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系のデッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。
本発明の製造方法における流体制御方法として用いられる方法はその目的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
【0108】
本発明の製造方法においては、流通式反応装置中で有機溶媒に溶解しうる有機顔料可溶体に必要に応じて外部エネルギーを加えることにより、フラスコ中で粒子形成したのでは得られない程に、粒径が揃った有機顔料微粒子を得られる。さらに、この流通式反応装置をナンバリングアップ(並列化)すれば、有機顔料微粒子およびその有機溶媒分散液を再現性よく大量に生産することができる。
【0109】
本発明の製造方法の好ましい態様は、有機溶媒に溶解した有機顔料可溶体の溶液を、フロー(flow)条件下、外部エネルギー付加反応により有機顔料微粒子として生成させることであるが、外部付加エネルギーとしては熱(マイクロ波を含む)、光(特に紫外線)、または超音波などのエネルギーが挙げられ、特に熱エネルギーによって高温に加熱することが好ましい。高温に加熱する態様としては、反応流路を持つ装置全体を温度制御された容器中に入れることにより加熱する態様としてもよいし、金属抵抗線やポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作りこんで加熱する態様としてもよい。また、ペルチェ素子を流路に接触させることによって外部から加熱、冷却を行ってもよい。さらにマイクロ波発生装置の中に反応流路を設置し、その特異な迅速内部均一加熱効果やローカルスーパーヒーティング効果を用いて加熱してもよい。その他、流通過程で瞬間的に高温加熱可能な態様を好ましく採用可能である。どの態様によるかは用途や流路本体の材料などに合わせて適宜選択すればよい。好ましい加熱態様としては、ヒーター構造を用いた態様もしくはマイクロ波発生装置を用いた態様であるが、特に好ましくはヒーター構造を用いた態様である。温度のセンシングは、金属抵抗線を使用する場合はヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行うのが好ましく、ポリシリコンを使用する場合は熱電対を用いて検出を行うのが好ましい。
【0110】
図1は本発明の製造方法に用いられる好ましい反応装置の実施形態として、流路の一部を高温に加熱し、その後冷却する手段を備えた装置を概略的に示す平面図である。図2は図1のI−I線断面を示す断面図である。尚、本発明がこれらに限定されないことはいうまでもない。本実施形態の装置においては、流路が1つのみの形態を示したが、前述のとおり流路を複数設けてもよい。
本実施形態の装置10は加熱用ヒーター14と冷却用ペルチェ素子15とを有する。同装置10は導入口11、排出口12、流路13を有し、流路13の長さ方向に直交する断面の形状は必要に応じて微細加工しうるが、台形または矩形に近い形であることが好ましい。流路幅Wおよび流路深さHをマイクロメートルサイズにすれば、熱交換速度が極めて速くなるため、瞬時に加熱および冷却を行うことができる。
【0111】
本実施形態の反応装置10では、導入口11から有機顔料可溶体と重合性化合物とを含有する溶液を導入し、ヒーター14を内蔵した流路長aで示される範囲を流通する過程で上記有機顔料可溶体を有機顔料に変換し、これと同時に上記重合性化合物を重合する。次に、流路長bで示される範囲の流路を経て、ペルチェ素子15の冷却素子を内蔵した流路長cで示される範囲を流通する過程で冷却されて顔料粒子の核が生長し、流路を流れて排出口12から有機顔料の微粒子を含有する分散液として排出され捕集される。
【0112】
有機顔料可溶体を有機顔料に変換するときの変換反応温度は150〜500℃とすることが好ましく、200〜500℃とすることがより好ましく、200〜400℃とすることが特に好ましい。よって流路13内の温度は顔料前駆体の種類により適宜この範囲に調整される。顔料可溶体を溶解する溶媒の沸点以上の場合は、導入口11に逆止弁、排出口12に圧力調整弁(バルブ)を取り付けて流路内で有機溶媒が沸騰しないように高圧に保つことが好ましい。その圧力は特に限定されないが、0.1〜50MPaが好ましく、0.2〜10MPaが特に好ましい。有機顔料可溶体の溶液を反応装置に導入するときの温度は特に限定されないが20〜150℃であることが実際的である。
【0113】
流路13内を流れる流体の速度(流速)は、0.1mL〜300L/hrとすることが好ましく、0.2mL〜30L/hrとすることがより好ましく、0.5mL〜15L/hrとすることが更に好ましく、1.0mL〜6L/hrとすることが特に好ましい。
【0114】
本発明の製造方法に用いられる有機顔料可溶体を溶解する溶媒は、例えば、アルコール化合物溶媒(メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、もしくは2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどのフッ素化合物アルコール)、エーテル化合物溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等など)、エステル化合物溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、イソ酪酸ブチル、プロピレングリコール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート、もしくはジエチレングリコール モノブチルエーテル アセテートなど)、アミド化合物溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、もしくは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど)、スルホキシド化合物溶媒(ジメチルスルホキシド、もしくはスルホランなど)、ハロゲン化合物溶媒(クロロホルム、もしくはジクロロメタンなど)、またはケトン化合物溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、もしくはシクロキサノン等)、炭化水素化合物溶媒(n−へキサン、トルエン、エチルベンゼンなど)、ニトリル化合物溶媒(アセトニトリル、もしくはイソブチロニトリルなど)の有機溶媒が挙げられる。好ましくはエーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、炭化水素化合物溶媒、またはニトリル化合物溶媒であり、濃縮等の後処理の容易さと加熱時の流通式反応容器内の内圧上昇の観点から、特に好ましくはこれらの中から選択された100℃〜150℃の沸点の溶媒である。尚、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、前記のように液体の重合性化合物と上記の有機溶媒とを相溶した混合溶媒を有機顔料可溶体を溶解する媒体として用いてもよい。これらの溶媒は必ずしも無水である必要は無く、有機顔料可溶体が析出せず有機溶媒が相分離しない程度の水を含有していてもよい。
使用する溶媒の量(重合性化合物と混合するときにはその混合溶媒の総量)は、有機顔料可溶体を均一に溶解可能な量であれば、特に限定されないが、有機顔料可溶体に対して質量比で10〜500倍量であることが好ましく、20〜100倍量であることがより好ましい。
【0115】
本発明の製造方法においては、重合性化合物の重合物が顔料微粒子の分散安定剤として働くので特に分散安定剤を用いる必要はない場合が多いが、分散安定剤を共存させる方が効果的な場合もあるので共存させてもよい。共存させることが可能な分散剤としては界面活性剤もしくは有機顔料性の分散剤、または高分子分散剤がある。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。
【0116】
界面活性剤は、本発明に用いられる溶媒に溶解できるものならアニオン性、カチオン性、またはノニオン性界面活性剤の何れも使用可能だが、溶解度の関係でノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0117】
有機顔料性の分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
【0118】
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0119】
分散剤の量は、有機顔料微粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機顔料100質量部に対して0.1〜250質量部の範囲とすることが好ましく、1〜100質量部の範囲とすることがより好ましい。
【0120】
顔料微粒子分散液に含まれる有機顔料微粒子の粒径の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、面積平均、重量平均、個数平均(MN)、体積平均(MV)など)がある。本発明では体積平均径(MV)にて粒径を表すこととする。
【0121】
本発明においては、分散液中の有機顔料微粒子の平均粒径について、濃縮前の分散液における粒径(濃縮前粒径)と濃縮され再希釈された分散液における粒径(濃縮後粒径)とで区別していうことがある。濃縮前粒径については、通常分散液が5質量%未満の濃縮前の分散液そのものについて測定する。一方、濃縮後粒径については、有機顔料濃度5質量%以上の分散液又はその濃度に濃縮した濃縮液を有機溶媒により1.0質量%まで希釈したものについて行うものとする。粒径測定において希釈に用いる上記有機溶媒は特に断らない限りプロピレングリコール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート(以下PGMEAということがある。)(bp=146℃)である。ただし、このことにより本発明の製造方法により得られる分散液を希釈する溶媒が上記有機溶媒に限定されるものではない。粒径測定は特に断らないかぎり日機装(株)社製マイクロトラックUPA150(商品名)により動的光散乱法にて行う。通常濃縮された有機顔料分散液において顔料微粒の微細な粒径を維持することは難しく、このことは再希釈したときにも同様である。本発明における有機顔料微粒子の粒径は、上記のとおりにして濃縮後1.0質量%に調整して測定した濃縮後粒径において1〜120nmであることが好ましく、3〜100nmであることがより好ましく、5〜70nmであることが特に好ましい。
【0122】
微粒子の粒径が揃っていること、すなわち単分散微粒子系は、含まれる粒子の大きさが揃っているだけではなく、粒子内の化学組成や結晶構造にも粒子間の変動がないことを意味し、粒子の性能を決める重要な要素である。特に粒子径がナノメートルの超微粒子においてはその粒子の特性を支配する因子として重視される。本発明の製造方法によれば、粒径の小さい微粒子とするだけではなく、その大きさをコントロールし、そのサイズを揃えることもできる。サイズが揃っていることを表す指標として種々の方法があるが、本発明においては体積平均径MVを個数平均径MNで除した値(MV/MN)を単分散性(粒子径分布幅が狭い意味)の指標として使用する。この値が1に近いほど単分散性に優れている粒子ということになる。本発明おいて有機顔料微粒子の単分散性は特に断らない限り上記のとおりに濃縮後1質量%に調整して粒径測定をした濃縮後粒径より求めた値をいい、本発明においては1.20〜1.80であることが好ましく、1.20〜1.60であることがより好ましく、1.20〜1.40であることが特に好ましい。
【0123】
本発明により得られる有機顔料微粒子分散液の特徴は、濃縮後も粒径・粒径分布変動が小さく、また分散安定性も大きく変化しない。このような分散液はそれを用いてUV用インクジェットインクや塗料を調製する際に極めて有利であり、溶媒の切替等も幅広く可能になる。このような性質は分散液として極めて優れた性質である。この性質は、顔料微粒子をポリマー膜によってしっかり包み込み、微粒子間の凝集を抑制できていることに由来するものと考えている。
【0124】
本発明の製造方法によれば、流路を用いるフロー反応により、反応時間を制御し、さらに狭い空間での反応温度制御の精密さを利用して良好な有機顔料微粒子を製造することができる。また従来のバッチ法(フラスコ中での反応等)に比べ粒径が小さくかつ揃った有機微粒子を製造できる。さらに、従来とは異なり流路のナンバリングアップ(並列化)により上記の優れた微粒子特性を失うことなく再現性よくスケールアップして製造できることから、製品化にかかる検討時間を大幅に短縮することができる。
【実施例】
【0125】
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に示す粒径分布は日機装(株)社製のマイクロトラックUPA150(商品名)で測定した。
【0126】
(実施例1)
PR254の有機顔料可溶体である例示化合物(12)1.0gをプロピレングリコール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート(以下PGMEAと略す)19g、イソ酪酸イソブチル10g(bp=147℃)、エチルベンゼン10g(bp=136℃)、スチレン(重合性化合物)(bp=145℃)60gの混合溶媒に50℃程度に加熱して攪拌しながら溶解し、室温(約25℃)にもどし、1.0質量%溶液を調整した。これを0.45μmのミクロフィルター(富士フイルム社製)を通すことでごみ等の不純物を除きIA液とした。図1に示した加熱・冷却可能な反応装置として、流路幅(W)と深さ(H)とを300μm、流路長aを2cm、流路長bを5cm、流路長cを5cmとした流路13(等価直径500μm)を形成したセラミックス製装置本体10を準備し、テフロン(登録商標)チューブ2本を逆止弁付きコネクタを用いて導入口11に接続し、その先にそれぞれIA液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口12に圧力調節弁を有するコネクタを接続し、それを介してテフロン(登録商標)チューブを接続した。装置本体10の大きさは20cm×6cm×10mmとした。2cm×1cm×1mmのヒーター14はグリーンステートのセラミックを焼結してリアクターを作製する際に一体化して組み込み、反応装置外の電源まで配線された。冷却装置のペルチェ素子部分15は、5cm×1cm×5mmのリアクター空隙にはめ込まれた。約100℃で導入された流路13を流れるIA液を、300℃に昇温したヒーター14により加熱し、次いで25℃に設定したペルチェ素子15により冷却した。温度調節はセンサーを用いて行った。流路内圧は圧力調節弁にて2MPa以上とした。
【0127】
上記の条件でIA液を20μL/minの流速で導入口11より注入したところ、排出口12からPR254微粒子を含有するPGMEA溶液分散液が得られた。注入を1時間継続して、分散液をチューブの先端より捕集した。得られた分散液(顔料濃度約0.6質量%)中の微粒子の平均粒径を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、MV(体積平均径)は41nmであった。また単分散性の指標であるMV(体積平均径)/MN(個数平均径)値は1.52であった。
【0128】
また、得られた分散液を、セラミック製限外濾過膜を用いてPGMEA洗浄することにより未反応の重合性化合物または低分子量の重合物を除き、その後膜濃縮を行うことで7質量%の分散液を調製した。得られた分散液をPGMEAで1質量%に希釈し、粒径を測定したところMVは46nm、MV/MNは1.55であった。それを室温(約20〜25℃)下1ヶ月放置してもMVおよびMV/MN値に大きな変動は見られなかった。
【0129】
(実施例2)
実施例1で用いたマイクロ流路(チャンネル)リアクターを10本並べ、2つのシリンジの先に10個に分流できるマニホールドをつけ、各流路の導入口に送液した。IA液を200μL/minの送液速度にて送り出す排出口14に付けたチューブの先端より、1時間継続してまとめて捕集した。これにより単位時間あたりの生産量は10倍になった。得られた分散液の粒径(MV)は40nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.53であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はほとんどなかった。濃縮後も大きな変化は見られず、安定性も同様の結果であった。
【0130】
(比較例1)
実施例1と同様にして調製したIA液10gをオートクレーブ装置に入れ、攪拌しながら300℃に加熱した。1時間後室温に戻し、これの粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、粒径(MV)は250nmであった。また単分散性の指標であるMV/MN値は3.5であった。流通式反応装置で反応した場合に比べ、粒径は大きく、粒径分布も広いものであった。
IA液100g(スケールを10倍)を用いて反応を行ったところ、粒径(MV)は300nmで、MV/MN値は5.0であった。粒径、粒径分布のいずれも大きく変動した。この結果により、従来のバッチ法では微粒子の粒径も大きく単分散性にも劣り、さらにスケールアップしたときに微粒子特性が大幅に変動してしまうことがわかる。
【0131】
(実施例3)
実施例1の例示化合物(12)を同量のPR122の有機顔料可溶体である例示化合物(13)に置き換える以外は全く同様にして顔料微粒子を作製した。単一の流路を用いて得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、粒径(Mv)は35nmであった。また単分散性の指標であるMv/Mn値は1.55であった。また、得られた分散液を、セラミック製限外濾過膜を用いてPGMEA洗浄することにより未反応の重合性化合物または低分子量の重合物を除き、その後膜濃縮を行うことで10質量%の分散液を調製した。得られた分散液をPGMEAで1質量%に希釈し、粒径を測定したところMvは37nm、MV/MNは1.53であった。それを室温(約20〜25℃)下1ヶ月放置してもMVおよびMV/MN値に大きな変動は見られなかった。
さらに上記例示化合物(13)を用いた以外実施例2と同様にして、10本並べたリアクターで得られた微粒子の粒径(Mv)は36nmであり、Mv/Mn値は1.54であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はやはりほとんどなかった。
【0132】
(実施例4)
IA液に用いたスチレンの量を60gから20gに減らし、PGMEAを59gに増やして1.0質量%溶液を調製した以外、実施例1と同様にして、有機顔料微粒子の分散液を調製した。得られた分散液を実施例1と同様にして7質量%まで濃縮し、その後PGMEAにより1質量%まで希釈したものの、平均粒径を測定したところ、MVは75nm、MV/MNは1.8であった。
それを室温(約20〜25℃)下1ヶ月静置したところMVは90nm、MV/MNは2.0であった。このように有機顔料可溶体を有機顔料に変換する際に共存させる重合性化合物の量を減らすことで若干粒径・粒径分布および分散安定性が悪化することが分かる。
【0133】
(比較例2)
重合性化合物を用いず、特開2007−284665号記載の実施例1にて用いられている変性ポリウレタン系ポリマー分散剤であるEFKA46(商品名、EFKA社製)を用いて実験を行った。すなわち、前記実施例1のプロピレングリコール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート(以下PGMEAと略す)20g、イソ酪酸イソブチル10g、エチルベンゼン10g、スチレン(重合性化合物)60gの混合溶媒を、プロピレングリコール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート78g、イソ酪酸イソブチル10g、エチルベンゼン10gからなる混合溶媒に変え、それにEFKA46を2.0g加える以外は全く同様にして分散液を調製した。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、MV(体積平均径)は55nmであった。また単分散性の指標であるMV(体積平均径)/MN(個数平均径)値は1.70であった。この分散液を室温(約20〜25℃)下1ヶ月放置してもMV、MV/MN値に大きな変動はなかった。
【0134】
次に得られた分散液を、セラミック製限外濾過膜を用いてPGMEA洗浄することにより未反応の重合性化合物または低分子量の重合物を除き、その後膜濃縮を行うことで7質量%の分散液を調製した。得られた分散液をPGMEAで1質量%に希釈し、粒径を測定したところMVは85nm、MV/MN値は2.20であった。それらを室温下1ヶ月放置すると、MVは105nm、MV/MN値は2.50となり大きな変動が見られた。得られた分散液は希薄濃度では安定なものであったが、一旦濃縮するとその安定性は著しく低下した。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の製造方法に用いられる流通式反応装置の好ましい実施形態を模式的に示す平面図である。
【図2】図1の流通式反応装置のI−I線断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0136】
10 反応装置本体
11 導入口
12 排出口
13 流路
14 ヒーター
15 ペルチェ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料可溶体の溶液を流通式反応装置中に導入し、その流通過程で、該有機顔料可溶体を重合性化合物の存在下で有機顔料に変換することを特徴とする有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記有機顔料可溶体を加熱反応により有機顔料に変換することを特徴とする請求項1に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記有機顔料可溶体の変換と同時に前記重合性化合物を重合させることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記有機顔料可溶体の有機顔料への変換反応を、有機溶剤中150℃以上500℃以下に加熱して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記重合性化合物がラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記重合性化合物が液体であり、前記有機顔料可溶体を溶解する溶媒の50〜100質量%を構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記有機顔料可溶体を有機顔料に変換する際に生成する副生物を前記重合性化合物の重合開始剤として作用させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記流通式反応装置が等価直径1mm以下の流路を有する装置であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記流通式反応装置がマイクロリアクターであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で製造された有機顔料微粒子の分散液。
【請求項11】
前記分散液が有機顔料濃度が5%以上であるか、又は該分散液を一度有機顔料濃度5質量%以上に濃縮し、これを有機溶媒により1質量%にまで希釈したときの前記有機顔料微粒子の体積平均径(MV)が3〜100nmであることを特徴とする請求項10に記載の有機顔料微粒子の分散液。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−203286(P2009−203286A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45053(P2008−45053)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】