説明

有頭部品供給装置

【課題】シュートレールから分離装置へ有頭部品を一つずつ正確に分離供給することができる有頭部品供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上部に有頭部品の頭部を支持し脚部を収容するレール102aを斜めに備えたシュータ102と、上部に前記有頭部品を一つ収容する受け部103aを備えたキャッチャ103と、を備え、前記キャッチャ103は、上下移動が可能であって下止点において前記受け部103aが前記レール102aの下端近傍に位置する、ことを特徴とする。また、前記受け部103aは、周縁に傾斜を設けた、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ、釘、ボルト等の有頭部品を供給する有頭部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の有頭部品供給装置は、多数の有頭部品を貯留することができるホッパと、ホッパ内を上下移動して有頭部品をすくい上げるすくい板と、すくい板から有頭部品の供給を受けてこれを滑動移動させるシュートレールと、から構成されるものが多い。このような有頭部品供給装置に関する先行技術文献としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等、多数開示されている。
【0003】
このような有頭部品供給装置においては、シュートレール下端において有頭部品を一つずつ分離供給する分離装置が必要になる。特許文献5に記載のねじ供給装置は、分離装置のねじ受け部にねじの有無を検出する検出器を備える。また、特許文献6に記載のねじ自動供給装置は、傾斜シュータの下端にあって回転又は摺動することによってねじを一つずつ分離するねじ保持部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−67797号公報
【特許文献2】特開2003−192119号公報
【特許文献3】特開平8−151119号公報
【特許文献4】実開平4−79816号公報
【特許文献5】実開昭62−25166号公報
【特許文献6】実開昭63−154124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近時、有頭部品の小型化に伴ってシュートレールから分離装置への有頭部品の供給に支障を生じる場合がある。すなわち、有頭部品の小型化に伴って有頭部品の頭部が薄くなるので、シュートレール下端において有頭部品の頭部同士が重なってしまい有頭部品を一つずつ正確に分離することが困難になるという課題がある。
【0006】
特許文献6に記載のねじ自動供給装置は、ねじ保持部が回転又は摺動することによってねじを一つずつ分離するねじ保持部を備えるが、ねじ保持部は水平方向に回転又は摺動するので、頭部同士が重なったねじを一つずつ正確に分離することは困難である。すなわち、ねじ保持部に正しく収容されたねじの頭部に後続のねじの頭部が重なった場合、後続のねじの脚部は傾斜シュータとねじ保持部の境界に位置することになり、ねじ保持部が回転又は摺動できないときがある。
【0007】
また、特許文献5に記載のねじ供給装置は、分離装置のねじ受け部にねじの有無を検出する検出器を備えるが、シュートレール下端において有頭部品を一つずつ正確に分離する技術については記載していない。
【0008】
本発明は、前記課題を解決し、シュートレールから分離装置へ有頭部品を一つずつ正確に分離供給することができる有頭部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の有頭部品供給装置は、上部に有頭部品の頭部を支持し脚部を収容するレールを斜めに備えたシュータと、上部に前記有頭部品を一つ収容する受け部を備えたキャッチャと、を備え、前記キャッチャは、上下移動が可能であって下止点において前記受け部が前記レールの下端近傍に位置する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の有頭部品供給装置の前記受け部は、周縁に傾斜を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、キャッチャが上下移動するのでシュータからキャッチャへ有頭部品を一つずつ正確に分離供給することができる。
【0012】
また、受け部の周縁に傾斜を設けたので、キャッチャが上向きに移動するときに、受け部に正しく収容された有頭部品以外の有頭部品であってシュータとキャッチャの境界近傍に位置する有頭部品を滑落排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置の動作を説明する側面図
【図3】本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置の動作を説明する斜視図
【図4】本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置のすくい板とキャッチャの関係を示す詳細図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
(1.構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置の構成を示す図である。図1(a)は側面透視図であり、図1(b)は上面図である。
【0015】
有頭部品供給装置100の上部には、ねじ、釘、ボルト等の有頭部品を多数貯留するホッパ101が備えられている。ホッパ101の底部には、すくい板102とキャッチャ103が隣接して配されている。
【0016】
すくい板102の上部には、キャッチャ103が存在する方向に向けて傾斜が設けられている。また、すくい板102の上部には、有頭部品の頭部を支持し脚部を収容するレール102aが形成されている。すくい板102は、駆動機構104によってホッパ101内を上下移動することができる。
【0017】
キャッチャ103の上部には、有頭部品の頭部を支持し脚部を収容する受け部103aが設けられている。受け部103aは、有頭部品を一つ収容する。受け部103aには、すくい板102のレール102aが存在する向きに開口部103bが形成されている。受け部103aの周縁には傾斜103cが設けられている。キャッチャ103は、駆動機構105とアーム106によってすくい板101とは独立にホッパ101内を上下移動することができる。
(2.動作)
図2、図3は、本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置の動作を説明する図である。図2は側面透視図であり、図3は斜視図である。図2、図3において、(a)から(f)は時系列に並んでおり、(f)と(a)は同じ状態である。また、図2(a)から(f)は、図3(a)から(f)にそれぞれ対応している。
【0018】
図2(a)、図3(a)は、すくい板102とキャッチャ103がともに下止点にある状態を示している。すくい板102の大部分は、ホッパ101の底部よりも低い位置にある。また、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部は、キャッチャ103の受け部103aよりも低い位置にある。図3(a)においては、ホッパ101内の多数の有頭部品、本実施の形態においてはねじ、に隠れてすくい板102を視認することはできない。
【0019】
図2(b)、図3(b)は、すくい板102のみが上止点にある状態を示している。キャッチャ103の位置は、図2(a)、図3(a)と同じである。すくい板102が下止点から上止点へ移動することによって、複数のねじがすくい板102のレール102aに遊嵌される。すくい板102のレール102aはキャッチャ103が存在する方向に向けて傾斜が設けられているので、すくい板102のレール102aに遊嵌された複数のねじは、この傾斜と後続のねじの自重によって、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部に滑動移動して整列する。
【0020】
すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部は、キャッチャ103の受け部103aと略同じ位置にある。したがって、すくい板102のレール102aの最もキャッチャ103側に整列したねじは、キャッチャ103の受け部103aに設けられた開口部103bを通過してキャッチャ103の受け部103aに遊嵌される。
【0021】
図2(c)、図3(c)は、すくい板102とキャッチャ103がともに上止点にある状態を示している。すくい板102の位置は、図2(b)、図3(b)と同じである。キャッチャ102の受け部102aは、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部よりも高い位置にある。キャッチャ103の受け部103aの周縁には傾斜103cが設けられているので、キャッチャ103の受け部103aは、一本のねじを遊嵌した状態で他のねじから分離することができる。
【0022】
また、図2(b)、図3(b)あるいは図2(c)、図3(c)には明示していないが、受け部103aに正しく収容されたねじ以外のねじであって、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部と受け部103aの境界近傍に位置するねじがあったとしても滑落排除される。
【0023】
すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部はキャッチャ103の側壁に隣接しているので、すくい板102のレール102a上に整列した後続のねじが落下することはない。
【0024】
図2(d)、図3(d)は、図示しない産業用ロボット等のアームに固定されたドライバ201が下降した状態を示している。すくい板102とキャッチャ103は、ともに上止点にある。すなわち、すくい板102とキャッチャ103の位置は、図2(c)、図3(c)と同じである。ドライバ201のビット201a先端がねじの頭部に当接している。
【0025】
図2(e)、図3(e)は、図示しない産業用ロボット等のアームに固定されたドライバ201がキャッチャ103の受け部103aに遊嵌されたねじを着磁したビット201a先端に吸着して上昇した状態を示している。すくい板102とキャッチャ103は、ともに上止点にある。すなわち、すくい板102とキャッチャ103の位置は、図2(c)、図3(c)又は図2(d)、図3(d)と同じである。ドライバ201は、この後、水平移動して有頭部品供給装置100の上部から退避し、被作業物の上部に至ると下降してねじを締結する。
【0026】
図2(f)、図3(f)は、再び、すくい板102とキャッチャ103がともに下止点にある状態を示している。すなわち、すくい板102とキャッチャ103の位置は、図2(a)、図3(a)と同じである。図2(e)、図3(e)に示す状態から図2(f)、図3(f)に示す状態への遷移においては、まず、すくい板102を上止点から下止点へ移動させ、これを追う様にしてキャッチャ103を上止点から下止点へ移動させる。
【0027】
この反対に、先に、キャッチャ103を上止点から下止点へ移動させると、キャッチャ103が下止点に到達したときに、すくい板102のレール102aの最もキャッチャ103側に整列したねじが空になったキャッチャ103の受け部103aに遊嵌される。この状態からすくい板102が下止点へ移動し、すくい板102のレール102aに複数のねじを整列させたまま再び上止点へ移動すると、既にねじを遊嵌しているキャッチャ103の受け部103aにさらにすくい板102のレール102aの最もキャッチャ103側に整列したねじを遊嵌させようとする力が働くので、ねじの頭部が重なる等して好ましくない。
【0028】
以上で、有頭部品供給装置100が一つのねじをドライバ201に供給する動作が完了する。なお、すくい板102のレール102aとキャッチャ103の受け部103aを交換することによって、様々なねじ、釘、ボルト等に本発明の有頭部品供給装置100を対応させることができる。
【0029】
本発明の有頭部品供給装置によれば、従来の有頭部品供給装置のようにすくい板を円弧状に回転移動させることがないので、有頭部品を略水平方向に滑動移動させるシュートレールとその振動機構も不要になる。したがって、小型でかつ安価な有頭部品供給装置を提供することができる。また、常時、振動機構を動作させる必要がないので、有頭部品供給装置の消費電力を低減することができる。さらに、本発明の有頭部品供給装置の駆動機構は、すくい板とキャッチャを上下移動させるだけであって、回転移動や振動を伴わないから、故障が少なく信頼性が高い。
【0030】
また、本発明の有頭部品供給装置によれば、キャッチャが上下移動するのですくい板のレールからキャッチャへ有頭部品を一つずつ正確に分離供給することができる。さらに、受け部の周縁に傾斜を設けたので、キャッチャが上向きに移動するときに、受け部に正しく収容された有頭部品以外の有頭部品であってすくい板のレールとキャッチャの境界近傍に位置する有頭部品を滑落排除することができる。
(3.すくい板とキャッチャの詳細)
図1、図2においては、図が煩雑になるのを避けるため、すくい板102とキャッチャ103の関係を詳細に描いていない。ここでその詳細について説明するので、図1、図2については上記の通りである旨、了解いただきたい。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置のすくい板とキャッチャの関係を示す詳細図である。図4(a)、図4(b)は、すくい板102とキャッチャ103の関係を示す側面透視図である。図4(a)は、すくい板102が下止点にある状態を示しており、図4(b)は、すくい板102が上止点にある状態を示している。図4(c)は、すくい板102とキャッチャ103の関係を示す斜視図である。図4(c)は、すくい板102が上止点と下止点の中間にある状態を示している。図4(a)〜図4(c)において、キャッチャ103は下止点にある。
【0032】
図4(a)から図4(c)に示す通り、キャッチャ103には、すくい板102と対向する部分に切欠き103dが設けられている。すくい板102の一部は、キャッチャ103の切欠き103dに、上下方向に摺動可能に勘合されている。
【0033】
図4(d)〜図4(f)は、すくい板102の方向からキャッチャ103を見た図である。図4(d)において、すくい板102は下止点にあり、図4(e)において、すくい板102は上止点と下止点の中間にあり、図4(f)において、すくい板102は上止点にある。図4(d)〜図4(f)において、キャッチャ103は下止点にある。
【0034】
すくい板102とキャッチャ103の関係を図4に示すように構成することで、以下の効果が得られる。
(1)すくい板102が上止点にある状態において、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部とキャッチャ103の開口部103bが略密接するので、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部からキャッチャ103の開口部103bへのねじの移動が円滑であるとともに、すくい板102とキャッチャ103の間にねじを噛み込むことがない。
(2)すくい板102とキャッチャ103の位置関係がキャッチャ103の切欠き103dによって規制されるので、すくい板102とキャッチャ103の間にガタが発生することがない。これによって、キャッチャ103の開口部103bは、常にすくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部に正しく対向するので、すくい板102のレール102aのキャッチャ103側端部からキャッチャ103の開口部103bへのねじの移動が円滑である。また、上記(1)と同様に、すくい板102とキャッチャ103の間にねじを噛み込むことがない。
【0035】
本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置100のように、略円柱形状のキャッチャ103を採用する場合は、キャッチャ103の上下移動に伴って意図せず発生してしまうことがあるキャッチャ103の回転をキャッチャ103の切欠き103dが規制するので、特に有効である。
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態に係る有頭部品供給装置100においては、キャッチャ103を上下移動させる駆動機構105をホッパ101に隣接して配した。しかし、キャッチャ103を上下移動させる駆動機構105は、すくい板102を上下移動させる駆動機構104に隣接して配してもよい。このようにすれば、有頭部品供給装置の幅をさらに小さくすることができる。
(特許請求の範囲の記載との対応)
すくい板101は、本発明のシュータの一例である。シュータは、実施の形態に記載したようにシュータそのものが移動するものであってもよいし、固定されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、小型かつ安価な有頭部品供給装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 有頭部品供給装置
101 ホッパ
102 すくい板
102a レール
103 キャッチャ
103a 受け部
103b 開口部
103c 傾斜
103d 切欠き
104 駆動機構
105 駆動機構
201 ドライバ
201a ビット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に有頭部品の頭部を支持し脚部を収容するレールを斜めに備えたシュータと、
上部に前記有頭部品を一つ収容する受け部を備えたキャッチャと、
を備え、
前記キャッチャは、
上下移動が可能であって下止点において前記受け部が前記レールの下端近傍に位置する、ことを特徴とする有頭部品供給装置。
【請求項2】
前記受け部は、
周縁に傾斜を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載の有頭部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−144032(P2011−144032A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7710(P2010−7710)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】