説明

服飾用留め飾り

【課題】お気に入りの装飾を異なる衣服のポケット部などに用いたり、同じ衣服に異なる装飾を施したりすることを可能とした服飾用留め飾りを提供する。
【解決手段】可撓性を有するシート状の飾り片2と、飾り片2の全体が衣服上に露出した状態で飾り片2をジーンズのポケット部に取り外し可能に留め固定するための留め金具3とから成る。飾り片2は、表裏一体化された表地21と裏地22とから成る。留め金具3は、逆U字状をなす基板部30とフック部31とを有し、基板部30は表地21の本体部21Aと裏地22との間に挿入されて裏地22に固定され、フック部31は裏地22の表面より裏地22上に下向きに突出させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣服の適所に装着して衣服を装飾するための服飾用留め飾りに関し、特にこの発明は、ジーンズなどのズボンのポケット部を装飾するのに好適な服飾用留め飾りに関する。
【背景技術】
【0002】
特に近年、ジーンズが広く着用されるようになり、後部ポケット部の表面に刺繍糸、飾り玉、鋲などを用いた装飾が施されているものがある。また、先般、ジーンズの後部ポケット部を装飾するのに、絵画や花柄などの図柄や模様がプリントされたポケット片を後部ポケット部上に逢着することも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−173128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した装飾はジーンズ毎に施され、着用者がお気に入りの装飾を他のジーンズに用いることはできない。また、そのような固定的な装飾の場合、着用しようとする上着にフィットしないことがあり、上着を選択するのに制約を受けるという問題もある。
【0005】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、お気に入りの装飾を異なる衣服のポケット部などに用いたり、同じ衣服に異なる装飾を施したりすることを可能とした服飾用留め飾りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による服飾用留め飾りは、衣服の適所に装着して衣服を装飾するためのものであり、可撓性を有するシート状の飾り片と、飾り片の全体を衣服上に露出させた状態で飾り片を衣服に取り外し可能に留め固定するための留め金具とから成る。前記飾り片は、表裏一体化された表地と裏地とから成る。前記留め金具は、逆U字状をなす基板部とフック部とを有し、基板部は表地の本体部と裏地との間に挿入されて裏地に固定され、フック部は裏地の表面より裏地上に下向きに突出させている。
【0007】
上記した構成の服飾用留め飾りにより例えばジーンズの後部ポケット部を装飾する場合、飾り片の表地を外側に向け、留め金具のフック部を後部ポケットの開口縁へ引っ掛けて服飾用留め飾りを留め固定する。留め金具は飾り片の裏側に隠れて外部から見えず、飾り片は後部ポケット部の開口縁上を覆いかつ後部ポケット上に全体が露出するので、飾り片の形態や飾り片の表地に施された装飾により後部ポケット部が装飾される。
【0008】
この発明による服飾用留め飾りは、ジーンズの後部ポケット部上を装飾するのに好適であるが、その他のズボンのポケット部、さらには、上着のポケット部上の装飾にも用いることができる。さらに、ポケット部に限らず、留め固定が可能な場所であれば、衣服の任意の部位に装着することが可能である。
【0009】
この発明の上記した構成において、飾り片を構成する表地および裏地として、皮、合成樹脂シート、布など、種々のものを用いることができる。飾り片は、その形態と表地に施される図柄、模様などによって種々の装飾が付与されるもので、表地の図柄や模様は、刺繍糸、飾り玉、鋲などの種々の装飾部品を用いて形成することができる他、印刷したり、表地の表面を起毛したりして形成してもよい。
【0010】
この発明の好ましい実施態様においては、前記飾り片は、ズボンの後部ポケットの開口幅より大きな幅に形成されている。この実施態様によると、ジーンズのようなズボンの後部ポケット部を装飾する場合、飾り片によって後部ポケット部の開口部分は全体が覆われて外から見えなくなり、見栄えが向上する。
【0011】
この発明の上記した構成において、留め金具は飾り片の幅中央部に1個だけ設けてもよいが、望ましくは、飾り片の左右対称位置にそれぞれ設ける。この実施態様によると、服飾用留め飾りを安定して留め固定でき、服飾用留め飾りが傾くなどのおそれがない。
【0012】
この発明の好ましい実施態様においては、前記留め金具は、フック部の内側に裏地に向けてバネ圧を作用させる板バネ製の押さえ板が設けられている。この実施態様によると、押さえ板のバネ圧によりしっかり留め固定されるので、服飾用留め飾りの脱落を防止できる。
【0013】
この発明のさらに好ましい実施態様においては、飾り片の上端部に衣服の適所に係留するための脱落防止用のひも状体が取り付けられている。この実施態様によると、たとえ留め金具が外れて衣服の装着部位より脱落しても、ひも状体によって係留されているので、服飾用留め飾りを紛失することがない。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、ポケット部などの衣服の適所に留め固定するだけで、飾り片の全体が衣服上に露出し、装着部位を容易に装飾できる。また、服飾用留め飾りは衣服に着脱可能であるから、着用者はお気に入りの装飾を異なる衣服に用いることができる。さらに、服飾用留め飾りを複数種用意し、いずれかを選択して用いることで、同じ衣服に異なる装飾を施すことができる。また、衣服上に留め固定したとき、留め金具は飾り片の裏側に隠れるので、外部から見えず、見栄えを低下させない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施例である服飾用留め飾りをポケット部に装着した状態を示す説明図である。
【図2】この発明の一実施例である服飾用留め飾りの正面図である。
【図3】図2の実施例の背面図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図6】留め金具の正面図および側面図である。
【図7】この発明の他の実施例である服飾用留め飾りの背面図である。
【図8】図7のC−C線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、この発明の一実施例である服飾用留め飾り1をジーンズ10の一方の後部ポケット部11上に装着した状態を示している。後部ポケット部11は上面が開口し、開口部11aにフラップは設けられていない。なお、図示例の留め飾り1は、ジーンズ10の後部ポケット部11以外の箇所、例えば、ベルト12の適所に装着することも可能である。
【0017】
図示例の留め飾り1は、図2〜図4に示すように、可撓性を有するシート状の飾り片2と、飾り片2の全体を後部ポケット11上に露出させた状態で飾り片2を後部ポケット部11の開口縁11aに取り外し可能に留め固定するための留め金具3とから成る。飾り片2の上端部の両端には脱落防止用のひも状体4を取り付けるための取付孔20,20が鳩目によって形成されている。
【0018】
この実施例では、ひも状体4として金属製の鎖40の一端に飾り片2のいずれかの取付孔20に係脱可能な連結金具41を、他端にジーンズ10のベルト通し13などに係脱可能な連結金具42を、それぞれ取り付けたものを用いている。いずれの連結金具41,42も、C字状の鈎状片の開放部分に開閉可能なシャッタ部材を配備した取り外し可能な構造のものであるが、一方の連結金具41は取付孔20から取り外せないリング形状のものであってもよい。また、ひも状体4は、容易に寸断しなければ、金属製の鎖40に代えて、種々の材質や形態のものを用いることができる。
【0019】
飾り片2は、同じ形状および同じ材質の表地21と裏地22とを貼り合わせて表裏一体化したものである。この実施例では表地21および裏地22として合成皮革が用いてあるが、柔軟で可撓性のある材質であれば、布その他の材料で構成してもよい。また、表地21と裏地22とは必ずしも同じ材質のものを用いる必要はない。
【0020】
この実施例の飾り片2は、ほぼ同一幅の上半分に対して下半分が下方に向けて幅が狭くなる形態のものであり、飾り片2の上半分の幅はジーンズ10の後部ポケット11の開口幅より大きな幅に形成されている。表地21の同一幅の上半分は留め金具3の取付位置となる本体部21Aを、また、下方に向けて幅が狭くなっている下半分は本体部21Aの下方へ垂れ下がり状態となる延出部21Bを、それぞれ構成している。本体部21Aと延出部21Bとは連続するものであるが、別個のシート部材を繋ぎ合わせて構成してもよい。表地21の本体部21Aの表面には、色ガラス製の飾り玉23と複数個の鋲24とによる装飾が施されている。
【0021】
裏地22は表地21と同一形状であるから、表地21の本体部21Aおよび延出部21Bと完全で重なり、外周縁に沿って表地21と接着剤により一体接合されている。裏地22は、表地21の少なくとも本体部21Aと重なる部分を有していればよく、後述する図7,8の実施例のように、表地21と裏地22とは必ずしも同一形状である必要はない。
【0022】
前記の各留め金具3は、飾り片2の左右対称位置にそれぞれ設けられており、図5および図6に示すように、側面視(図6(2)参照)で逆U字状をなしており、縦に長い矩形状の基板部30と、幅中央部に貫通溝32を有するフック部31とから成る。基板部30の四隅位置にはリベット5を通す止め孔33が開設されている。飾り片2の裏地22の上端縁の下方の左右対称位置にはそれぞれ水平な切り溝25,25が形成され、各切り溝25より表地21の本体部21Aと裏地22との間の隙間26に各留め金具3の基板部30が差し込まれるともに、基板部30の四隅の止め孔33と裏地22の対応箇所に開設された貫通孔(図示せず)にリベット5を通して基板部30を裏地22に固定している。フック部31は切り溝25から裏地22上に下向きに突出する。
【0023】
各留め金具3のフック部31の内側には飾り片2の裏地22に向けてバネ圧を作用させる板バネ製の押さえ板34が設けられている。この押さえ板34は全体が湾曲し、基板部30に向けて丸く突き出ている。押さえ板34の下端はフック部31に固着され、上端はバネ変形に伴ってフック部31の内面に沿って摺動する。
【0024】
上記した実施例は、飾り片2の表地21と裏地22とが同一形状であり、裏地22が表地21の本体部21Aおよび延出部21Bと完全で重なっているが、図7および図8に示す第2の実施例は、飾り片2の表地21と裏地22とは同一形状でなく、裏地22は表地21の本体部21Aと重なる部分22Aと表地21の延出部21Bの領域内に小さく突出する部分22Bとで構成されている。
【0025】
上記した構成の服飾用留め飾り1によりジーンズ10の後部ポケット部11を装飾する場合、飾り片2の表地21を外側に向け、左右の留め金具3,3のフック部31を後部ポケット11の開口縁11aへそれぞれ引っ掛けて後部ポケット部11内へ差し込むことにより服飾用留め飾り1を留め固定する。この場合、後部ポケット部11を構成する生地は飾り片2と留め金具3のフック部31の押さえ板34との間で押さえ板34のバネ圧を受けてしっかり挟持される。
【0026】
各留め金具3は飾り片2の裏側に隠れて外部から見えず、飾り片2は後部ポケット部11の開口縁11a上を覆いかつ後部ポケット11上に全体が露出するので、飾り片2の形態や飾り片2の表地21に施された装飾により後部ポケット部11が装飾される。この装着状態では、表地21の本体部21Aに当たる部分が後部ポケット部11上に安定状態で保持され、これに対して、延出部21Bは垂れ下がり状態であって容易に変形するので、延出部21Bが着用者に違和感を感じさせたり、起居に支障を生じさせることがない。
【符号の説明】
【0027】
1 服飾用留め飾り
2 飾り片
3 留め金具
10 ジーンズ
11 ポケット部
21 表地
22 裏地
30 基板部
31 フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服の適所に装着して衣服を装飾するための服飾用留め飾りであって、可撓性を有するシート状の飾り片と、飾り片の全体を衣服上に露出させた状態で飾り片を衣服に取り外し可能に留め固定するための留め金具とから成り、前記飾り片は、表裏一体化された表地と裏地とから成り、前記留め金具は、逆U字状をなす基板部とフック部とを有し、基板部は表地の本体部と裏地との間に挿入されて裏地に固定され、フック部は裏地の表面より裏地上に下向きに突出させて成る服飾用留め飾り。
【請求項2】
前記飾り片は、ズボンの後部ポケットの開口幅より大きな幅に形成されている請求項1に記載された服飾用留め飾り。
【請求項3】
前記留め金具は、飾り片の左右対称位置にそれぞれ設けられている請求項1に記載された服飾用留め飾り。
【請求項4】
前記留め金具は、フック部の内側に裏地に向けてバネ圧を作用させる板バネ製の押さえ板が設けられている請求項1または3に記載された服飾用留め飾り。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された服飾用留め飾りであって、飾り片の上端部に衣服の適所に係留するための脱落防止用のひも状体が取り付けられている服飾用留め飾り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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