説明

木材加圧加工機

【課題】 圧縮ローラと木材との間に滑りが生じ難い木材加圧加工機の提供。
【解決手段】 回転自在に軸支され、木材2の径方向に圧縮力を作用させて、前記木材を圧縮木材に圧縮加工する圧縮ローラ8a等、を有する木材圧縮装置3と、該木材圧縮装置3に木材2を送り込む木材送り込み装置7とを具備することを特徴とする。なお、木材送り込み装置7は、木材2を支持する支持台4と、該支持台4に支持された木材2の端部に当接する当接部材13a,13bを備え、送りネジ機構6a,6bによって木材2の軸方向に移動駆動される木材移送体5a,5bとを有することを特徴とするものであっても構わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材加圧加工機に関するものであり、詳しくは、木材の径方向に圧縮力を作用させて、木材を圧縮木材に圧縮加工する木材加圧加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築資材等に使用される木材には、その木材の品質を保持するために、防腐剤又は難燃化剤等の処理液を浸透させる木材処理が行われている。
【0003】
そして、木材にこの処理液を良好に浸透させるために、木材を圧縮して圧縮木材とした上で処理液に浸漬する方法も一般的に採用されている。この場合、処理液に浸漬された圧縮木材は、圧縮状態から復元する際に処理液を吸収する。その結果、圧縮木材に処理液を良好に吸収させることができる。
【0004】
そして、木材を圧縮木材に圧縮加工するために、駆動部が供給する駆動力によって回転し、木材を中心方向に圧縮する圧縮ローラを具備する木材加圧加工機が一般的に使用されている。
【0005】
この木材加圧加工機を使用した場合、木材は、回転する圧縮ローラによって一方向に送られながら圧縮されることによって圧縮木材に圧縮加工される。
【0006】
【特許文献1】特開2001−239508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の木材加圧加工機では、圧縮ローラの回転速度が大きい場合や、圧縮ローラの木材との接触面が滑り易い場合等には、木材が圧縮ローラの回転に追従できない場合があった。この場合、圧縮ローラの外周面と木材の表面との間で滑りが生じるため、木材の表面に傷や圧縮ムラ等が生じ、圧縮木材の品質が低下するおそれがあった。
【0008】
また、上述の木材加圧加工機が、複数の圧縮ローラを具備するものであると、これら複数の圧縮ローラの回転の周速度にずれが生じる場合があった。
【0009】
そしてこの場合、圧縮ローラの回転によって移動させる木材を、円滑に通過させることが困難となり、木材の表面と回転する圧縮ローラとの間で滑りが生じ易くなる。その結果、木材の表面に傷や圧縮ムラ等が生じて、圧縮木材の品質が低下するおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、上記実情に鑑みて、圧縮ローラと木材との間に滑りが生じ難い木材加圧加工機の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために本発明の採った手段は、
「回転自在に軸支され、木材の径方向に圧縮力を作用させて、前記木材を圧縮木材に圧縮加工する圧縮ローラを有する木材圧縮装置と、
該木材圧縮装置に木材を送り込む木材送り込み装置と
を具備することを特徴とする木材加圧加工機」
である。
【0012】
ここで、木材圧縮装置としては、例えば、木材を上下方向から中心方向に圧縮する一対の圧縮ローラと、左右方向から中心方向に圧縮する他の一対の圧縮ローラとが交互に回転自在に配列された装置を例示することができる。
【0013】
上記構成の木材加圧加工機では、木材は、木材送り込み装置によって木材圧縮装置に送られる。この木材圧縮装置が有する圧縮ローラは、回転自在に軸支されているものであるため、木材圧縮装置に送られる木材との接触によって回転する。これにより、圧縮ローラの周速度と木材が移動する速度とを略同一にすることが可能となる。したがって、上記構成の木材加圧加工機によれば、圧縮ローラと木材との間に滑りが生じ難い木材加圧加工機とすることができる。
【0014】
また、上記構成の木材加圧加工機では、木材圧縮装置の圧縮ローラは回転自在に軸支されているものであるため、駆動力を供給する駆動部等が不要となる。したがって、上記構成の木材加圧加工機によれば、木材圧縮装置の構造の簡略化を図ることができる。
【0015】
また、上述の木材加圧加工機において、
「前記木材送り込み装置は、
木材を支持する支持台と、
該支持台に支持された前記木材の端部に当接する当接部材を有し、送りネジ機構によって前記木材の軸方向に移動駆動される木材移送体と
を具備することを特徴とする木材加圧加工機」
とすることもできる。
【0016】
上記構成の木材加圧加工機では、木材送り込み装置は、木材の端部に当接した木材移送体を木材の軸方向に移動駆動させることによって、木材を軸方向に押し動かす。これにより、木材は木材圧縮装置に送り込まれる。
【0017】
そして、上記構成の木材加圧加工機では、木材移送体を移動駆動させるものとして送りネジ機構を採用している。ここで、送りネジ機構とは、ネジ軸と、係るネジ軸に貫通して螺合されると共に木材移送体に対して取り付けられた螺合部材と、を含んで構成されるものである。そして、このネジ軸を周方向に回転させることによって螺合部材に推進力を与え、ネジ軸と螺合部材とをネジ軸に沿って相対移動させることが可能になるものである。
【0018】
これにより、木材移送体を、木材圧縮装置に対して前進させて木材を送り込み、その後に、木材圧縮装置に対して後退させて新たな木材の端部に当接可能な状態にすることが可能となる。したがって、上記構成の木材加圧加工機によれば、木材送り込み装置は、連続して木材を木材圧縮装置に送り込むことができる。
【0019】
また、上記構成の木材加圧加工機では、木材送り込み装置においては、木材移送体を移動駆動させるものとして送りネジ機構を採用することによって、木材移送体を移動駆動させるために要する動力を軽減することが可能となる。したがって、上記構成の木材加圧加工機によれば、必要とする動力を軽減させた木材加圧加工機とすることができる。
【0020】
また、上述の木材加圧加工機において、
「前記木材移送体は、
前記当接部材を、前記木材に当接する当接位置と前記木材に当接しない非当接位置との間で変位させる変位機構をさらに具備し、
前記変位機構は、
前記当接部材を、前記木材移送体が前記木材加圧加工機に接近移動するときには前記当接位置に位置させ、前記木材移送体が前記木材加圧加工機から離間移動するときには前記非当接位置に位置させる
ことを特徴とする木材加圧加工機」
とすることもできる。
【0021】
上述のとおり、木材移送体を移動駆動させるものとして送りネジ機構を採用した場合には、木材送り込み装置は、木材移送体を進退させることによって、連続して木材を木材圧縮装置に送り込むことができる。この場合、木材を木材圧縮装置へ送り込んだ後に新たな木材を支持台に支持させる作業は、この新たな木材と木材移送との衝突を回避するために、木材を木材圧縮装置へ送り込んだ木材移送体を、新たな木材の端部に当接可能な状態まで後退させる作業が完了した後に行う必要がある。
【0022】
上記構成の木材加圧加工機では、木材移送体は、木材圧縮装置に対して前進させる際には、当接部材を当接位置に位置させた状態となる。これにより、支持台に支持される木材が木材圧縮装置に送り込まれる。そして、木材移送体は、木材圧縮装置に対して後退させる際には、当接部材を非当接位置に位置させた状態となる。これにより、木材移送体は、支持台に支持される木材に接触することがなくなる。
【0023】
その結果、一の木材を木材圧縮装置へ送り込んだ後、支持台に新たな木材を支持させる作業と、木材を木材圧縮装置へ送り込んだ木材移送体を後退させる作業とを同時に行い、全体の作業時間の短縮を図ることが可能となる。したがって、上記構成の木材加圧加工機によれば、木材を木材圧縮装置へ送り込む作業を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
上述の通り、本発明の木材加圧加工機によれば、圧縮ローラと木材との間に滑りが生じ難い木材加圧加工機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態である木材加圧加工機について、図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態では、図1乃至図4における紙面右方側を木材の送り方向とし、丸太状の木材2を対向するローラによって圧縮する木材加圧加工機1について説明する。
【0026】
主に図1に示すように、本実施形態の木材加圧加工機1は、木材を圧縮木材に圧縮加工するためのものであって、木材2を圧縮木材に圧縮加工する圧縮ローラ8a等を有する木材圧縮装置3と、木材2を木材圧縮装置3に送り込む木材送り込み装置7とから構成されている。
【0027】
次に、木材圧縮装置3について詳しく説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、木材圧縮装置3は、上下に対向して配設され、夫々が回転自在に軸支された一対の第一圧縮ローラ8a,8b、及び、左右に対向して配設され、夫々が回転自在に軸支された一対の第二圧縮ローラ9a,9bが木材2の送り方向(矢印A)に沿って交互に連続して複数段並設された加圧部10と、加圧部10を被覆するカバー11とから主に構成されている。
【0029】
さらに詳しく説明すると、図2(a)に示すように、第一圧縮ローラ8a,8bは、開き角度Dが135°に設定されたV字状の溝部30が外周面に凹設されている。また、図2(b)に示すように、第一圧縮ローラ8a,8bと同様に、第二圧縮ローラ9a,9bにも、開き角度Dが135°に設定されたV字状の溝部40が外周面に凹設されている。
【0030】
次に、木材送り込み装置7について詳しく説明する。図3乃至図5に示すように、木材送り込み装置7は、木材2を支持するための支持台4、支持台4に支持される木材2を軸方向に移動させるための一対の木材移送体5a,5b、及び、一対の木材移送体5a,5bを木材2の軸方向に移動駆動させる一対の送りネジ機構6a,6b、を有している。
【0031】
木材送り込み装置7の支持台4について、さらに詳しく説明する。
【0032】
図3に示すように、支持台4は、木材圧縮装置3に送り込まれる木材2を加圧部10の手前で支持するものであり、木材2を下方から支持する複数の支持柱12を含んで構成されるものである。
【0033】
次に、木材送り込み装置7の木材移送体5aについてさらに詳しく説明する。なお、木材移送体5bについては、木材移送体5aと同一の構成をなすものであるため、説明を省略する。
【0034】
図3乃至図5に示すように、木材移送体5aは、木材2に当接可能な当接部材13aと、木材2の側方に配置され、当接部材13aを支持する基部材14と、基部材14を木材2の軸方向に沿って摺動自在に支持するスライド手段15と、当接部材13aを基部材14に対して変位させる変位機構16とを含んで構成されるものである。
【0035】
図5に示すように、当接部材13aは、略棒状に形成されており、側面に二本のスライド軸17が突設されている。そして、基部材14は、当接部材13aのスライド軸17が挿通され、このスライド軸17をスライド自在に軸支する軸受け(図示しない)が形成されている。また、図3に示すように、スライド手段15は、木材送り込み装置7の設置台Fから立設された一対の支持柱18によって支持され、水平方向に配設されたレール19と、基部材14の下面に取り付けられると共に該レール19に取り付けられたスライド部材20とを有している。この基台20には、レール19に沿って回動可能なローラ21が取り付けられている。これにより、基台20はレール19に沿って水平方向に安定して移動することが可能となる。
【0036】
そして、変位機構16は、一端が当接部材13aの側面に取り付けられた軸22と、軸22の他端側に取り付けられ、軸22を軸方向に移動させる流体圧シリンダ23と、流体圧シリンダ23の作動方向を決定して駆動する流体圧回路(図示しない)とを有している。この流体圧シリンダ23を押し方向に作動させた場合には、当接部材13aは軸22を介して基部材14から離れる方向に押圧され、木材2に当接可能な当接位置に変位する。一方、流体圧シリンダ23を引き方向に作動させた場合には、当接部材13aは軸22を介して基部材14に近づく方向に引張され、木材2に当接しない非当接位置に変位する。
【0037】
次に、木材送り込み装置7の送りネジ機構6aについてさらに詳しく説明する。
【0038】
図3及び図4に示すように、送りネジ機構6aは、木材移送体5aの基台20に取り付けられた螺合部材24aと、レール19の下方に取り付けられ、螺合部材24aに貫通して螺合されたネジ軸25aと、ネジ軸25aに連結され、ネジ軸25aを回転させるための駆動源となる駆動部26とを有している。
【0039】
この送りネジ機構6aは、駆動部26を駆動させるとネジ軸25aが回転を開始する。そして、ネジ軸25aの回転運動は、ネジ軸25aに螺合する螺合部材24aの直線運動に変換される。これにより、螺合部材24aをネジ軸25aの軸方向に沿って進退させることが可能になる。したがって、木材移送体5aを軸方向に沿って進退させることができる。
【0040】
なお、送りネジ機構6bは、上述の送りネジ機構6aと共通の駆動部26を使用しており、その他の構成に関しては、送りネジ機構6aと同一の構成をなすものであるため、説明を省略する。
【0041】
次に、送りネジ機構6a,6bに駆動力を供給する駆動部26について、さらに詳しく説明する。
【0042】
図3及び図4に示すように、駆動部26は、モータ27と、モータ27の回転力を出力するモータ側スプロケット28と、ネジ軸25a,25bの夫々に固定されるネジ軸側スプロケット29a,29bと、このモータ側スプロケット28及びネジ軸側スプロケット29a,29bを連結するチェーン(図示しない)と、ネジ軸25a及びネジ軸側スプロケット29a間又はネジ軸25b及びネジ軸側スプロケット29b間のいずれか一方に介在される逆転ギア(図示しない)とを有している。
【0043】
上述のように、駆動部26は、ネジ軸25a及びネジ軸側スプロケット29a間又はネジ軸25b及びネジ軸側スプロケット29b間のいずれか一方にのみ逆転ギアが介在されている。これにより、ネジ軸25aとネジ軸25bとは、常に逆方向に回転する。その結果、木材移送体5bは、木材移送体5aと相反する方向に移動することとなる。
【0044】
なお、木材送り込み装置7は、予め設定される設定条件に基づいて、駆動部26のモータ27及び変位機構16の流体圧回路を制御する制御手段が設けられている。具体的には、制御手段は、リミットスイッチ(図示しない)等、木材移送体5a,5bの移動位置を検出する検出器からの信号に基づいてモータ27及び流体圧回路を制御する制御部(図示しない)を有している。また、ネジ軸側スプロケット29a,29bには、モータ27の回転を伝達あるいは遮断することが可能なクラッチが設けられている。この制御手段及びクラッチによって、木材移送体5a,5bは夫々が設定条件に基づいて独立して移動駆動される。
【0045】
なお、本実施形態においては、予め制御手段に設定をすることによって、木材移送体5a,5bは、支持台4を挟んで木材圧縮装置3とは反対の側(以下、送り開始位置とする)と、木材移送体5aが支持台4に対して木材圧縮装置3と同じ側(以下、送り完了位置とする)との間で移動し、さらに、送り開始位置に移動した際には流体圧シリンダ23を押し方向に作動させ、送り完了位置に移動した際には流体圧シリンダ23を引き方向に作動させるものとする。
【0046】
次に、図1及び図2に基づいて、木材2が送り込まれる場合の木材圧縮装置3の第一圧縮ローラ8a,8b、及び第二圧縮ローラ9a,9bの動作について詳しく説明する。
【0047】
まず、木材圧縮装置3の使用前に、圧縮木材として所望する外形寸法に圧縮加工するように、第一圧縮ローラ8a,8b間、及び第二圧縮ローラ9a,9b間の間隔を所定間隔に設定しておく。具体的には、木材加圧装置3には、第一圧縮ローラ8a,8b間の間隔を変更することができる第一ハンドル50と、第二圧縮ローラ9a,9b間の間隔を変更することができる第二ハンドル60とがカバー11の外側面に設けられており、係る第一ハンドル50及び第二ハンドル60を回転させることによって第一圧縮ローラ8a,8b間、及び第二圧縮ローラ9a,9b間の間隔を変更する。
【0048】
なお、設定する間隔の寸法としては、加圧部10内に木材2を容易に受け入れることができるようにするために、左端に設置される一対の第一圧縮ローラ8a,8b間の間隔は、木材2の直径と略同等の間隔に設定することが好適である。そして、木材2の破損を抑制するためには、以降の第二圧縮ローラ9a,9b間の間隔等を木材2の進行方向に向かって徐々に狭め、右端に設置される第一圧縮ローラ8a,8b間の間隔、及び第二圧縮ローラ9a,9b間の間隔を圧縮木材として所望する外形寸法に設定することが好適である。
【0049】
左方側から外力によって送り込まれる木材2は、加圧部10内の左端に設置される第一圧縮ローラ8a,8b間を進行方向に移動する。このとき、第一圧縮ローラ8a,8bは、木材2との接触によって回転を開始する。そして、一対の第一圧縮ローラ8a,8b間を通過した木材2は、第二圧縮ローラ9a,9b間を移動する。すると、第一圧縮ローラ8a,8bと同様に、第二圧縮ローラ9a,9bも木材2の移動に合わせて回転を開始する。以降、並設された第一圧縮ローラ8a,8b及び、第二圧縮ローラ9a,9bは、進行方向に移動する木材2との接触によって回転する。以上によって、木材圧縮装置3の第一圧縮ローラ8a,8b、及び第二圧縮ローラ9a,9bは、回転動作を行う。
【0050】
なお、上述のように、本実施形態における木材圧縮装置3が具備する圧縮ローラ8a等は、夫々の外周面にV字状の溝部30,40が凹設されている。このため、木材2の上面及び下面は、第一圧縮ローラ8a,8bの外周面に圧縮されることによって、135°の角部を有する面に圧縮加工される(図2(a)参照)。さらに、木材2の図2における左面及び右面は、第二圧縮ローラ9a,9bの外周面に圧縮されることによって、135°の角部を有する面に圧縮加工される(図2(b)参照)。これにより、木材2は、断面形状が八角形の圧縮木材に圧縮加工される。
【0051】
次に、木材送り込み装置7の動作について、図3及び図5に基づいて説明する。なお、上述のように、予め制御手段には設定が行われているものとする。
【0052】
まず、木材移送体5aを、ネジ軸25aにおける送り開始位置に、木材移送体5bを、ネジ軸25bにおける送り完了位置に位置させておく(図5(a)参照)。次に、モータ27は、制御手段の設定に基づいて、一方向に所定回数の回転を開始する。この回転によって、木材移送体5aは、送り完了位置まで移動し、同時に、木材移送体5bは、送り開始位置まで移動する(図5(b)矢印参照)。このとき、木材移送体5aの当接部材13aは当接位置に位置し、木材移送体5bの当接部材13b(図5参照)は非当接位置に位置している。
【0053】
送り完了位置に移動した木材移送体5aは、制御部の設置に基づいて移動を停止すると共に当接部材13aを非当接位置に変位させる。また、送り開始位置に移動した木材移送体5bは、制御部の設置に基づいて移動を停止すると共に当接部材13bを当接位置に変位させる。
【0054】
そして、木材移送体5a,5bの夫々が送り完了位置又は送り開始位置まで移動すると、モータ27は、制御手段の設定に基づいて回転方向を切替え、逆方向に回転を開始する。これにより、木材移送体5aは、当接部材13a非当接位置に変位させた状態で、送り開始位置まで移動し、同時に、木材移送体5bは、当接部材13b当接位置に変位させた状態で、送り完了位置まで移動する。以降、木材移送体5a,5bは、上述の一連の動作を繰り返す。
【0055】
次に、本実施形態の木材加圧加工機1全体の動作について説明する。
【0056】
まず、図3及び図5(a)に示すように、木材送り込み装置7の支持台4に木材2を支持させる。なお、支持台4に木材を設置する方法としては、作業者が手作業で設置するものであっても、別途装置を使用して設置するものであっても構わない。
【0057】
そして、木材送り込み装置7は、制御部の設定に基づいて上述した動作を開始し(図5(b)参照)、木材2は、当接部材13aを当接位置に位置させた状態の木材移送体5aによって押し動かされ、木材圧縮装置3に送り込まれる。
【0058】
木材圧縮装置3の第一圧縮ローラ8a,8b及び第二圧縮ローラ9a,9bは、木材2が送り込まれると、上述した動作を開始する。これにより、木材2は、回転する第一圧縮ローラ8a,8b間、及び第二圧縮ローラ9a,9b間を、各圧縮ローラの圧縮面に圧縮されながら進行方向に移動する。
【0059】
そして、送り完了位置まで移動した木材移送体5a、及び、送り開始位置まで移動した木材移送体5bは移動を停止する。このとき、木材移送体5aの移動に伴って移動していた木材2は、加圧部10内にて移動を停止する。
【0060】
さらに、移動を停止した木材移送体5aの当接部材13aは非当接位置に変位し、移動を停止した木材移送体5bの当接部材13bは非当接位置に変位する。同時に、支持台4には、新たな木材が設置される。
【0061】
そして、木材移送体5a及び木材移送体5bは逆方向に移動を再開し、支持台4に支持される新たな木材は、当接部材13bを当接位置に位置させた状態の木材移送体5bによって押し動かされ、木材圧縮装置3に送り込まれる。
【0062】
木材圧縮装置3に送り込まれた新たな木材は、加圧部10内にて移動を停止している木材2を進行方向に押し動かしながら移動する。これによって、木材2は加圧部10の外部に押し出される。そして、新たな木材は木材2の場合と同様に第一圧縮ローラ8a,8b及び第二圧縮ローラ9a,9bによって圧縮される。
【0063】
上記の一連の動作により木材2は圧縮木材に圧縮加工される。そして、本実施形態の木材加圧加工機1は、この一連の動作が繰り返すことによって、木材の圧縮加工を連続して行うことができる。
【0064】
ところで、本実施形態の木材加圧加工機1の場合、使用を終了するときには、最後に木材圧縮装置3に送り込まれた木材は、加圧部10内に留まることとなる。そこで、この加圧部10内に留まることとなる木材の替わりに、代替材を使用しても構わない。なお、この代替材は、木材加圧加工機1を再度使用する際に、最初に木材圧縮装置3に送り込まれた木材によって加圧部10の外方に押し出される。
【0065】
このように、本実施形態の木材加圧加工機1によると、木材は、夫々が回転自在に軸支された第一圧縮ローラ8a,8b及び第二圧縮ローラ9a,9bを具備する木材圧縮装置3によって圧縮木材に圧縮加工される。このため、このため、各圧縮ローラは、木材送り込み装置7によって送り込まれる木材2との接触によって回転することとなる。その結果、圧縮ローラの周速度と木材2が移動する速度とを略同一にすることが可能となる。したがって、圧縮ローラ8a等と木材2との間に滑りが生じ難い木材加圧加工機1とすることができる。
【0066】
特に、上述したように、従来の木材加圧加工機が回転駆動される複数の圧縮ローラを具備するものである場合、これら複数の圧縮ローラの回転の周速度にずれが発生することによっても、木材の表面と回転する圧縮ローラとの間で滑りが生じることがあった。これに対して、本実施形態の木材加圧加工機1では、複数の圧縮ローラを具備しながらも、ローラ自体が回転駆動されないため、圧縮ローラ8a等と木材2との間に滑りが生じ難い木材加圧加工機1とすることができる。
【0067】
また、木材送り込み装置7において、木材移送体5a,5bを移動駆動させるものとして送りネジ機構6a,6bを採用している。そして、木材圧縮装置3は動力を要しない構成となっている。これにより、木材移送体を移動駆動させるために要する動力を軽減することが可能となり、必要とする動力を軽減させた木材加圧加工機1とすることができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、二体の木材移送体5a,5bを使用しており、木材移送体5a,5bが交互に木材を木材圧縮装置3に送り込んでいる。これにより、一方の木材移送体が送り完了位置から送り開始位置に移動する時間を、他方の木材移送体が木材を送り込む時間に使用することが可能となり、効率よく木材の圧縮加工を行うことができる。
【0069】
さらに、この木材移送体5a,5bは、送り完了位置から送り開始位置に移動する際には、夫々が有する変位機構16によって当接部材13a,13bを非当接位置に位置させている。これにより、木材移送体は、木材の移動を妨害することなく送り完了位置から送り開始位置に移動することができる。
【0070】
以上、本発明において好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、改良及び設計の変更が可能である。
【0071】
すなわち、本実施形態の木材加圧加工機1の木材送り込み装置7において、木材移送体を二体有するものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、一体を移動駆動させるものであっても構わない。
【0072】
また、本実施形態の木材加圧加工機1の駆動部26において、木材移送体5a,5bを逆方向に移動駆動させるために、ネジ軸25a及びネジ軸側スプロケット29a間又はネジ軸25b及びネジ軸側スプロケット29b間のいずれか一方に逆転ギアを介在させて、ネジ軸25aとネジ軸25bとを逆回転させるものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、チェーンによって連結されるモータ側スプロケット28とネジ軸側スプロケット29a,29bにおいて、ネジ軸側スプロケット29a,29bの夫々を、チェーンを挟んで相対するように位置させること等、チェーンの連結状態を変更することによってネジ軸25a,25bを逆回転させるものであっても構わない。また、木材移送体5bが有するネジ軸として、送りネジ機構6aが有するネジ軸25aの逆ネジに形成されたものを用いることによって、木材移送体5a,5bを逆方向に移動駆動させるものであっても構わない。
【0073】
また、本実施形態の木材加圧加工機1の木材圧縮装置3において、圧縮ローラを複数個具備するものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮木材として所望する圧縮率が低いものである場合や、圧縮する木材の長さ寸法が短尺である場合等には、木材圧縮装置3が具備する圧縮ローラの数としては、少なくとも一つ具備するものであれば構わない。
【0074】
また、本実施形態の木材加圧加工機1の木材送り込み装置7として、当接部材13a,13bを有する二体の木材移送体5a,5bを具備するものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図6及び図7に示すような木材送り込み装置7を使用するものであっても構わない。
【0075】
この木材送り込み装置7を使用した場合の動作について説明する。
【0076】
まず、第一移送体51aは、棒状体52の木材2側の端部付近を把持した状態(図7(a)参照)で送り開始位置から送り完了位置まで移動した後に、係る把持状体を解除する(図7(b)参照)。これにより、棒状体52は、端部に当接する木材2を木材圧縮装置3に向かって押し動かす。その結果、木材2は、木材圧縮装置3に送込まれ、本実施形態の木材2と同様に、回転する第一圧縮ローラ8a,8b及び第二圧縮ローラ9a,9bによって圧縮される。
【0077】
そして、第二移送体51bは、第一移送体51aと共に移動した棒状体52の第一移送体51aが把持した端部付近とは反対側の端部付近を把持した状態(図7(b)参照)で送り開始位置から送り完了位置まで移動する(図7(c)参照)。これにより、棒状体52は、木材圧縮装置3に送り込まれ、加圧部10内にて留まっていた木材2を加圧部10の外部に押し出す。以上の動作によって、木材2は圧縮木材に圧縮加工される。
【0078】
この場合の木材送り込み装置7によると、木材2を木材圧縮装置3に送り込み、さらに、この木材圧縮装置3の加圧部10から外方に押し出す。これにより、木材加圧加工機1の使用終了時に、木材圧縮装置3内に木材が留まることがなくなる。従って、無駄になる木材が発生することのない、効率の良い木材加圧加工機1とすることができる。
【0079】
なお、この場合にも、ネジ軸25a,25bの夫々に、モータの回転を伝達あるいは遮断することが可能なクラッチを設けることによって、共通のモータ27を利用してネジ軸25a,25bを回転させる本実施形態における送りネジ機構6a,6bを採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る木材加圧加工機の構成を示す側面図である。
【図2】(a)は、一対の第一ローラの正面図であり、(b)は、一対の第二ローラの正面図である。
【図3】木材送り込み装置の構成を示す側面図である。
【図4】木材送り込み装置の構成を示す図3におけるB−B断面図である。
【図5】(a)は、木材が支持台に支持されている状態の平面図であり、(b)は、木材を木材移送体が押し動かす状態の平面図である。
【図6】木材送り込み装置の別例の構成を示す側面図である。
【図7】(a)は、木材が支持台に支持されている状態の平面図であり、(b)は、第一移送体が送り完了位置に移動した状態の平面図であり、(c)は、第二移送体が送り完了位置に移動した状態の平面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 木材加圧加工機
2 木材
3 木材圧縮装置
4 支持台
5a,5b 木材移送体
6a,6b 送りネジ機構
7 木材送り込み装置
8a,8b 第一圧縮ローラ
9a,9b 第二圧縮ローラ
13 当接部材
14 基部材
15 スライド手段
16 変位機構
17 スライド軸
19 レール
20 スライド部材
21 ローラ
23 流体圧シリンダ
24a 螺合部材
25a,25b ネジ軸
26 駆動部
27 モータ
51a 第一移送体
51b 第二移送体
52 棒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に軸支され、木材の径方向に圧縮力を作用させて、前記木材を圧縮木材に圧縮加工する圧縮ローラ、を有する木材圧縮装置と、
該木材圧縮装置に木材を送り込む木材送り込み装置と
を具備することを特徴とする木材加圧加工機。
【請求項2】
前記木材送り込み装置は、
木材を支持する支持台と、
該支持台に支持された前記木材の端部に当接する当接部材を備え、送りネジ機構によって前記木材の軸方向に移動駆動される木材移送体と
を有することを特徴とする請求項1に記載の木材加圧加工機。
【請求項3】
前記木材移送体は、
前記当接部材を、前記木材に当接する当接位置と、前記木材に当接しない非当接位置との間で変位させる変位機構をさらに具備し、
前記変位機構は、
前記当接部材を、前記木材移送体が前記木材加圧加工機に接近移動するときには前記当接位置に位置させ、前記木材移送体が前記木材加圧加工機から離間移動するときには前記非当接位置に位置させる
ことを特徴とする請求項2に記載の木材加圧加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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