説明

木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造

【課題】木製キッチンカウンターに形成された加熱調理機器取付け用の開口の周縁表面にも耐熱性を付与し、しかも、加熱調理機器取付け用の開口の周縁に表面から木口にかけて簡便に耐熱性を付与する。
【解決手段】木製キチンカウンター1に形成された略矩形形状を有する加熱調理機器取付け用の開口2の周縁に、表面から木口を覆う金具3、4が配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、木製のキッチンカウンターにガスコンロや電磁調理機器などの加熱調理機器を取り付けるための取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理機器が発生する熱によって、樹脂製、木製などのキッチンカウンターに形成された加熱調理機器取付け用の開口の周縁に、割れや変形などが生ずるのを抑制するために、開口周縁に断熱性を有するスペーサー部材を配設することを本出願人は先に提案している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−291548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スペーサー部材は、開口に突出させた、キッチンカウンターを裏面より支持する裏桟材の上に載置されて固定されるため、開口の木口に耐熱性を付与することができる一方で、加熱調理機器のトッププレートは開口周縁のキッチンカウンターの表面に載置されるので、耐熱性が必ずしも十分であるとはいいがたい。特に、キッチンカウンターが木製の場合、加熱調理機器のトッププレートが載置される開口周縁の表面にも耐熱性を付与することは、防火という観点から非常に重要である。そして、木製キッチンカウンターに形成された加熱調理機器取付け用の開口の周縁に表面から木口にかけて簡便に耐熱性を付与することが望まれる。
【0004】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、木製キッチンカウンターに形成された加熱調理機器取付け用の開口の周縁表面にも耐熱性を付与することができ、しかも、加熱調理機器取付け用の開口の周縁に表面から木口にかけて簡便に耐熱性を付与することができる木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上記の課題を解決するために、第1に、木製キチンカウンターに形成された略矩形形状を有する加熱調理機器取付け用の開口の周縁に、表面から木口を覆う金具が配設されることを特徴としている。
【0006】
本願発明は、第2に、加熱調理機器取付け用の開口の少なくとも前後縁に配設される金具は、木製キッチンカウンターの裏面をも覆うことを特徴としている。
【0007】
本願発明は、第3に、金具は、加熱調理機器取付け用の開口の前後左右の縁に対応した4つの分割金具からなり、隣り合って配置される分割金具の間に対応する加熱調理機器取付け用の開口の四隅にアルミニウム製テープが配設されることを特徴としている。
【0008】
本願発明は、第4に、金具はステンレス製であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本願の第1の発明によれば、金具は、木製キチンカウンターに形成された略矩形形状を有する加熱調理機器取付け用の開口の周縁を表面から木口を覆うため、加熱調理機器取付け用の開口の周縁において木口ばかりでなく表面にも耐熱性を付与することができ、また、放熱効果もあるので、加熱調理機器のトッププレートが載置されても、木製キッチンカウンターには伝熱しにくく、木製キッチンカウンターの温度上昇を抑えることができる。
【0010】
本願の第2の発明によれば、加熱調理機器取付け用の開口の少なくとも前後縁に配設される金具は、木製キッチンカウンターの裏面をも覆うため、加熱機調理器取付け用開口の前縁側では、加熱調理機器の直下に配設されるオーブンのグリルが万一閉め忘れられても、熱が木製キッチンカウンターの裏面に伝わるのを防止することができ、また、加熱調理機器取付け用の開口の後縁側では、加熱調理機器の排気口を通じて放出される熱が木製キッチンカウンターの裏面に伝わるのを防止することができる。木製キッチンカウンターの耐熱性が一層向上する。
【0011】
本願の第3の発明によれば、金具は、加熱調理機器取付け用の開口の前後左右の縁に対応した4つの分割金具からなるため、加熱調理機器取付け用の開口周縁への金具の配設が簡便となる。隣り合って配置される分割金具の間に対応する加熱調理機器取付け用の開口の四隅にはアルミニウム製テープが配設されるため、分割金具を用いても開口の全周縁に耐熱性および放熱性を付与することができる。
【0012】
本願の第4の発明によれば、ステンレスは、木製キッチンカウンターに熱を伝えにくいが、木製キッチンカウンターの外に放熱することのできる耐熱性と放熱性が適度にバランスの取れた熱伝導性を有するため、木製キッチンカウンターの温度上昇をより低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本願発明の木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造の一実施形態を示した要部斜視図である。
【0014】
木製キッチンカウンター1に、略矩形形状を有する加熱調理機器取付け用の開口2が形成されている。開口2に取付け可能な加熱調理機器は、ガスコンロが一般に例示されるが、木製キッチンカウンター1であることから、防火性をより高めるためには、火力を用いない電磁調理器が好適である。
【0015】
開口2の略周縁に表面から木口を覆う金具が配設されている。金具は、前後左右の縁に対応させて4つに分割されており、開口2の前後縁、左右縁に、それぞれ、一対とした分割金具3、4が装着されている。分割金具3、4は、図2(a)(b)にそれぞれ示される。
【0016】
開口2の前後縁に装着される分割金具3は、図2(a)に示したように、開口2の前後縁において木製キッチンカウンター1の表面に被着される細長長方形状の上片31と、上片31の長手方向の一端縁から垂下し、開口2の木口に被着される縦片32と、縦片32の下端縁から上片31と平行に延設され、開口2の前後縁において木製キッチンカウンター1の裏面に被着される下片33とを備えた、断面略コ字型形状の金具である。
【0017】
一方、開口2の左右縁に装着される分割金具4は、図2(b)に示したように、開口2の左右縁において木製キッチンカウンター1の表面に被着される細長長方形形状の上片41と、上片41の長手方向の一端縁から垂下し、開口2の木口に被着される縦片42とを備えた、断面略L字型の金具である。
【0018】
これらの分割金具3、4は、それぞれ、開口2の縁に図3(a)(b)に示したように装着されている。図3(a)(b)は、それぞれ、図1図中のA−A断面図、B−B断面図である。
【0019】
図3(a)に示したように、分割金具3は、上片31が、開口2の前後縁において木製キッチンカウンター1の表面に当接配置され、縦片32が木口に接触し、木製キッチンカウンター1の裏面に回り込み、下片33が、木製キッチンカウンター1の裏面に接触して木製キッチンカウンター1の開口2の前後縁に固定される。固定には接着剤とビスを用いることができる。上片31および縦片32は、分割金具3において露出する部分であるので、接着剤による固定が好ましく、下片33は露出しないので、より強固に固定するために、接着剤に併せてビスを下面から木製キッチンカウンター1に向けてねじ込むことができる。接着剤には、たとえばシリコン系などの各種接着剤が例示される。
【0020】
図3(b)に示したように、分割金具4は、上片41が、開口2の前後縁において木製キッチンカウンター1の表面に当接配置され、縦片42が木口に接触して木製キッチンカウンター1の開口2の前後縁に固定される。分割金具4において上片41および縦片42はともに露出する部分であるので、固定には接着剤を用いるのが好ましい。接着剤には、たとえばシリコン系などの各種接着剤が例示される。
【0021】
このように、図1に示した木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造では、木製キッチンカウンター1に形成された略矩形形状を有する加熱調理機器取付け用の開口2の周縁に、木口ばかりでなく表面をも覆う金具が配設されるため、開口2の周縁において木口とともに表面にも耐熱性を付与することができ、また、放熱効果もあるので、加熱調理機器のトッププレートが載置されても、木製キッチンカウンター1には伝熱しにくく、木製キッチンカウンター1の温度上昇を抑えることができる。
【0022】
また、開口2の前後縁に装着される分割金具3は、下片33によって木製キッチンカウンター1の裏面をも覆うため、開口2の前縁側では、加熱調理機器の直下に配設されるオーブンのグリルが万一閉め忘れられても、熱が木製キッチンカウンター1の裏面に伝わるのを防止することができる。また、開口2の後縁側では、加熱調理機器の排気口を通じて放出される熱が木製キッチンカウンター1の裏面に伝わるのを防止することができる。木製キッチンカウンター1の耐熱性が一層向上する。
【0023】
このような木製キッチンカウンター1の裏面を覆う下片33は、加熱調理機器から木製キッチンカウンター1への伝熱をより効果的に防止するために、図2(a)および図3(a)に示したように、上片31より幅広で横長の形状とすることができる。また、下片33と同様な片は、分割金具4にも設けることができる。一般には、木製キッチンカウンター1が上置き固定されるキャビネットでは、ユニット側板が開口2の左右縁の近傍下部に配置されるので、開口2の左右縁において木製キッチンカウンター1の裏面に伝わる熱は小さく、分割金具4では省略してもかまわない。
【0024】
また、図1に示した木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造では、金具が、開口2の前後縁、左右縁に対応して4つに分割された分割金具3、4からなるため、開口2の周縁への金具の配設が簡便となっている。
【0025】
なお、この場合、隣り合って配置される分割金具3、4の間に対応する開口2の四隅には、図1に示したように、アルミニウム製テープ5を配設し、開口2の全周縁に耐熱性および放熱性を付与するようにする。アルミニウム製テープ5の配設は貼付により行うことができる。このように、開口2の四隅には、金具でなく、アルミニウム製テープ5を使用することができるため、耐熱性および放熱性の付与を安価に実現することができる。
【0026】
そして、分割金具3、4などからなる金具は、たとえばステンレス製とすることができる。ステンレスは、木製キッチンカウンター1に熱を伝えにくいが、木製キッチンカウンター1の外に放熱することのできる耐熱性と放熱性が適度にバランスの取れた熱伝導性を有する。このため、木製キッチンカウンター1の温度上昇をより低く抑えることができる。金具をアルミニウム製とする場合には、放熱性に優れるが、熱が木製キッチンカウンター1に伝わり過ぎてしまい、木製キッチンカウンター1の温度上昇が大きくなり、木製キッチンカウンター1が焦げてしまう。また、金具の開口2の周縁表面を覆う部分、具体的には、分割金具3においては上片31、分割金具4においては上片41、の表面はエンボス加工されていることが好ましい。エンボス加工によって形成される小突起により、載置される加熱調理機器のトッププレートのずれが摩擦によって防止されるとともに、金具とトッププレートとの間に微小な放熱空間が形成されるため、木製キッチンカウンター1の温度上昇の軽減に有効となる。
【0027】
木製キッチンカウンター1には、図3(a)(b)に示したように、合板11の表裏面に化粧用の突板12が貼着され、木口に無垢材13が貼着されたものが例示される。
【0028】
このような木製キッチンカウンター1に対して、開口2の周縁に図1に示した分割金具3、4(ステンレス製)およびアルミニウム製テープ5を配設し、加熱調理機器およびオーブンを使用した時の温度上昇を測定したところ、ガスコンロおよびオーブンレンジの使用でΔ8℃、電磁調理器および電子オーブンの使用でΔ5℃という温度上昇の軽減が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明の木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造の一実施形態を示した要部斜視図である。
【図2】(a)(b)は、それぞれ、図1に示した分割金具の斜視図である。
【図3】(a)(b)は、それぞれ、図1図中のA−A断面図、B−B断面図である。
【0030】
1 木製キッチンカウンター
11 合板
12 突板
13 無垢材
2 開口
3 分割金具
31 上片
32 縦片
33 下片
4 分割金具
41 上片
42 縦片
5 アルミニウム製テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製キチンカウンターに形成された略矩形形状を有する加熱調理機器取付け用の開口の周縁に、表面から木口を覆う金具が配設されることを特徴とする木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造。
【請求項2】
加熱調理機器取付け用の開口の少なくとも前後縁に配設される金具は、木製キッチンカウンターの裏面をも覆う請求項1記載の木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造。
【請求項3】
金具は、加熱調理機器取付け用の開口の前後左右の縁に対応した4つの分割金具からなり、隣り合って配置される分割金具の間に対応する加熱調理機器取付け用の開口の四隅にアルミニウム製テープが配設される請求項1または2記載の木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造。
【請求項4】
金具はステンレス製である請求項1ないし3いずれか1項に記載の木製キッチンカウンターへの加熱調理機器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−289380(P2007−289380A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120198(P2006−120198)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】