説明

木質燃料燃焼装置

【課題】ペレット状の木質燃料Pを燃焼させる燃焼装置であって、横臥姿勢で回動自在に配置される筒状のバーナ本体7と、バーナ本体内に木質燃料を供給する燃料供給手段3とを備えるものにおいて、消火時に燃料供給手段で木質燃料が発火することを防止する。
【解決手段】燃料供給手段3は、木質燃料Pを貯留する燃料タンク31と、木質燃料を落下させる供給パイプ32と、燃料タンク31の下端から供給パイプ32の上端に木質燃料を搬送する第1搬送手段33と、供給パイプ32の下端からバーナ本体7内に木質燃料を搬送する第2搬送手段34とで構成される。消火指令が出された時に、第1搬送手段33を停止させた状態で第2搬送手段34を作動させて、供給パイプ32内に残留する木質燃料をバーナ本体7内に送り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質ペレット等のペレット状の木質燃料を燃焼させる木質燃料燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、横臥姿勢で回動自在に配置される筒状のバーナ本体と、バーナ本体の長手方向を前後方向として、バーナ本体内に前方からペレット状の木質燃料を供給する燃料供給手段と、バーナ本体内に空気を供給する給気手段と、バーナ本体の後端に連通する燃焼室とを備えるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、バーナ本体の回動により木質燃料がバーナ本体内で転がるため、木質燃料の全表面に空気が触れて、燃焼が促進される。また、バーナ本体内に燃焼室に向う気流を生じ、この気流とバーナ本体の回動とにより燃焼灰が徐々にバーナ本体の後方に運ばれて、最終的にバーナ本体の後端から燃焼室内に落下すると共に、木質燃料自体も燃焼が進むにつれてバーナ本体の後方に運ばれる。従って、バーナ本体内での木質燃料の連続燃焼が可能になる。
【0004】
ここで、上記従来例のものにおいて、燃料供給手段は、バーナ本体よりも上方に配置される、木質燃料を貯留する燃料タンクと、木質燃料を落下させる供給パイプと、燃料タンクの下端から供給パイプの上端に木質燃料を搬送する搬送手段とで構成されている。供給パイプの下端はバーナ本体の前端部に挿入され、また、供給パイプの下端開口を覆う開閉自在な燃料フラップが設けられている。そして、供給パイプ内を落下した木質燃料が燃料フラップを押し開けてバーナ本体内に進入するようにしている。
【0005】
燃料フラップは、バーナ本体内の熱気が供給パイプ内に逆流することを防止するために設けられているが、搬送手段による供給パイプへの燃料搬送を停止して消火する際、それまでに供給パイプ内に落下した木質燃料が燃料フラップに邪魔されて供給パイプ内に残ってしまうことがある。そして、消火時に、バーナ本体からの伝熱で供給パイプ内の残留燃料が加熱されて発火し、燃料タンクに引火する恐れがある。
【特許文献1】特開2007−147104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、上記従来例の木質燃料燃焼装置を改良して、消火時に燃料供給手段で木質燃料が発火することを防止できるようにした木質燃料燃焼装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ペレット状の木質燃料を燃焼させる燃焼装置であって、横臥姿勢で回動自在に配置される筒状のバーナ本体と、バーナ本体の長手方向を前後方向として、バーナ本体内に前方から木質燃料を供給する燃料供給手段と、バーナ本体内に空気を供給する給気手段と、バーナ本体の後端に連通する燃焼室とを備えるものにおいて、上記目的を達成するために、燃料供給手段は、バーナ本体よりも上方に配置される、木質燃料を貯留する燃料タンクと、木質燃料を落下させる供給パイプと、燃料タンクの下端から供給パイプの上端に木質燃料を搬送する第1搬送手段と、バーナ本体より前方に位置する供給パイプの下端からバーナ本体内に木質燃料を搬送する第2搬送手段とで構成され、消火指令が出された時に、第1搬送手段を停止させた状態で第2搬送手段を作動させて、供給パイプ内に残留する木質燃料をバーナ本体内に送り出す制御手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、消火指令が出された時点で供給パイプに残留する木質燃料は第2搬送手段により全てバーナ本体内に送り出される。従って、消火時には供給パイプ及び第2搬送手段に木質燃料が残留せず、燃料供給手段での木質燃料の発火が防止される。
【0009】
また、本発明においては、バーナ本体内に、第2搬送手段により搬送された木質燃料を投入するバーナ本体の前端の燃料投入口に対向させて、遮熱板が設けられていることが望ましい。これによれば、バーナ本体内の燃焼熱が第2搬送手段に及ぶことを遮熱板で防止して、第2搬送手段で木質燃料が発火することを防止できる。
【0010】
更に、本発明においては、供給パイプの前記第1搬送手段に対する接続口に、第1搬送手段による木質燃料の搬送で押し開かれる常閉の防火ダンパが設けられることが望ましい。これによれば、仮に第2搬送手段で木質燃料が発火して供給パイプへの逆火を生じても、火炎は防火ダンパで遮られて第1搬送手段にまでは到達しない。従って、燃料タンクへの引火が確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、1は、暖房装置や融雪装置等の温水負荷Lに温水を供給する本発明の実施形態の木質燃料燃焼装置であるボイラを示している。このボイラ1は、図2、図3に示す如く、燃焼手段2と、燃焼手段2にペレット状の木質燃料たる木質ペレットPを供給する燃料供給手段3と、燃焼手段2に燃焼用の空気を供給する給気手段4と、燃焼手段2から排出される燃焼排ガスの熱で水を加熱する熱交換手段5と、燃焼排ガスを外部に排出する排気手段6とを備えている。
【0012】
燃焼手段2は、横臥姿勢で回動自在に配置される筒状のバーナ本体7と、バーナ本体7の長手方向を前後方向として、バーナ本体7の後端(図2の左端)に連通し、バーナ本体7内での木質ペレットPの燃焼で発生した可燃性ガスを燃焼させる燃焼室8とを備えている。
【0013】
図4を参照して、バーナ本体7には、該バーナ本体7を囲うバーナ外筒71が固定されている。バーナ本体7の前端は前蓋部7aで閉塞され、バーナ外筒71の前端もバーナ本体7の前蓋部7aの前方位置で前蓋部71aにより閉塞され、両前蓋部7a,71aを連結ピン72により連結することでバーナ本体7にバーナ外筒71が固定される。バーナ外筒71はバーナ本体7より大径であり、バーナ本体7とバーナ外筒71との間に隙間73が確保される。
【0014】
バーナ外筒71は、内径がバーナ外筒71より大径の筒状の支持ケース9に挿通されている。支持ケース9は、その後端部において固定板91を介して燃焼室8の前面に固定される。そして、支持ケース9の前後においてバーナ本体7がバーナ外筒71を介して回動自在に支持されるようにしている。
【0015】
具体的には、支持ケース9の前端に、給気手段4の構成要素である給気ファン41を接続する皿状の給気ダクト42を固定すると共に、バーナ外筒71の前端部外周に環状板74aを取り付けて、環状板74aに、図5に示す如く、給気ダクト42の円筒状周壁部の内周面に転動自在に当接する複数のローラ74を軸着している。また、支持ケース9の後端の固定板91に環状板75aを取り付けて、環状板75aに、図6に示す如く、バーナ外筒71の円筒状の周壁部の外周面に転動自在に当接する複数のローラ75を軸着している。かくして、バーナ外筒71が、その前部と後部とにおいて支持ケース9に夫々ローラ74、75を介して回動自在に支持される。尚、バーナ外筒71の後部を支持するローラ75は、バーナ外筒71の下半部側に複数配置され、上半部側には最上部に1個のみが配置されている。これは、バーナ外筒71の後部が熱膨張しても、これを円滑に回動できるようにするためである。
【0016】
ここで、バーナ本体7は、後方に向かって拡径するテーパーの付いた筒状に形成されている。そのため、バーナ本体7をその軸線が水平になるように配置しても、バーナ本体7の下側の母線は後下がりに傾斜し、バーナ本体7内の燃焼灰が後方に運ばれて、燃焼室8に排出され易くなる。従って、燃焼灰の排出のために、バーナ本体7及びバーナ外筒71を後下がりの傾斜姿勢にする必要がない。そして、バーナ本体7及びバーナ外筒71を傾斜姿勢で支持する場合と異なり、バーナ支持手段たるローラ74,75にバーナ本体7及びバーナ外筒71の自重によるスラスト力は作用せず、スラスト力によりローラ74,75の耐久性に悪影響が及ぶことを防止でき、また、バーナの回転軸が傾斜方向にずれて悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0017】
バーナ外筒71の前蓋部71aには、給気ダクト42の前面中心部を貫通して前方に突出する中空の筒軸76が固定されている。また、給気ダクト42の前下方にはバーナ本体7用の駆動源たる回動モータ77が配置されており、回動モータ77の出力軸上の駆動スプロケット77aにチェーン77bを介して連結される従動スプロケット77cを筒軸76の前端に固定している。かくして、回動モータ77によりバーナ外筒71と一体にバーナ本体7が回動される。尚、給気ダクト42の筒軸76の貫通箇所には、筒軸76を前後方向に動かないように軸支するベアリング76aが装着されている。
【0018】
図3を参照して、給気ダクト42の前面には、周方向に離隔させて一対のマイクロスイッチ78,78が取り付けられている。そして、筒軸76にスイッチアーム78aを固定し、スイッチアーム78aが各マイクロスイッチ78に当接する度に回動モータ77の回転方向を反転させるようにしている。かくして、バーナ本体7は、スイッチアーム78aが一方のマイクロスイッチ78に当接する回転位置と、スイッチアーム78aが他方のマイクロスイッチ78に当接する回転位置との間で正逆に反復回動される。
【0019】
バーナ外筒71の前蓋部71aには、図4、図5に示す如く多数の空気孔43が形成されている。また、バーナ本体7の前蓋部7aにも、図4、図6に示す如く多数の空気孔44が形成されており、更に、バーナ本体7の周壁部にも多数の空気孔45が形成されている。そして、給気ファン41から給気ダクト42内に送風される空気が、バーナ外筒71の前蓋部71aの空気孔43を通過して、バーナ本体7の前蓋部7aの空気孔44からバーナ本体7内に流入すると共に、バーナ本体7とバーナ外筒71との間の隙間73を経由してバーナ本体7の周壁部の空気孔45からバーナ本体7に流入するようにしている。また、バーナ本体7とバーナ外筒71との間の隙間73の後端は燃焼室8に連通している。そのため、隙間73に流入した空気の一部が燃焼室8に燃焼用二次空気として供給される。
【0020】
燃料供給手段3は、バーナ本体7よりも上方に配置される、木質ペレットPを貯留する燃料タンク31と、木質ペレットPを落下させる供給パイプ32と、燃料タンク31の下端から供給パイプ32の上端に木質燃料を搬送する第1搬送手段たる、第1搬送モータ33aで駆動される第1搬送スクリュー33と、バーナ本体7より前方に位置する供給パイプ32の下端からバーナ本体7内に木質ペレットPを搬送する第2搬送手段たる、第2搬送モータ34aで駆動される第2搬送スクリュー34とを備えている。燃料タンク31には、図1に示す外部タンクTから木質ペレットPが投入パイプ31aを介して随時投入される。
【0021】
第2搬送スクリュー34は、前記筒軸76に挿通されている。そして、バーナ本体7の前蓋部7aの中心部に燃料投入口35を開設して、この燃料投入口35に第2搬送スクリュー34の後端を臨ませている。バーナ本体7内には、燃料投入口35に対向させて、バーナ本体7からの輻射熱が第2搬送スクリュー34に及ぶことを防止する遮熱板36が設けられている。
【0022】
また、供給パイプ32の第1搬送スクリュー33に対する接続口には、防火ダンパ37が設けられている。防火ダンパ37は、上端の軸37aで開閉自在に支持されており、常時は図外のバネの力により密閉され、第1搬送スクリュー33により木質ペレットPを供給パイプ32に向けて搬送したときに図外のソレノイドにより開かれる。更に、供給パイプ32の上端部には、第2搬送スクリュー34で木質ペレットPが発火して供給パイプ32への逆火を生じたときにこれを検出する逆火検出手段たる温度センサ38が設けられている。
【0023】
給気ダクト42には、点火器10が付設されている。点火器10は、給気ダクト42の前面下部に設けた、給気ファン41からの空気の一部を導く筒体101と、筒体101に遊挿した点火ヒータ102とで構成されている。点火ヒータ102は、バーナ本体7の前蓋部7aの下部に開設した点火孔103に臨んでいる。そして、筒体101に供給される空気が点火ヒータ102で加熱されて、高温の熱風となって点火孔103からバーナ本体7内に流入し、燃料投入口35からバーナ本体7内に投入された木質ペレットPが熱風及び点火ヒータ102からの輻射熱で加熱されて着火する。尚、バーナ外筒71の前蓋部71aには、図5に示す如く、点火ヒータ102に対する円弧状の逃げ孔104が形成されている。
【0024】
支持ケース9の周壁部は、内筒92と外筒93との内外2重筒構造に構成されている。そして、外筒93に入水口94aと出水口94bとを設け、内筒92と外筒93との間の空間でウォータジャケット94を構成している。
【0025】
熱交換手段5は、燃焼室8上に配置した一次熱交換器51と、一次熱交換器51で加熱された水を流す液々熱交換器から成る2次熱交換器52とを備えている。一次熱交換器51は、燃焼室8からの燃焼排ガスを流す複数の熱交換パイプ51aを内蔵しており、一次熱交換器51内に流れる水が熱交換パイプ51aを介して燃焼排ガスの熱により加熱される。そして、一次熱交換器51で加熱された温水を一次循環ポンプ53と二次熱交換器52とウォータジャケット94とを介して一次熱交換器51に戻すようにしている。二次熱交換器52には、ここで加熱された温水を温水負荷Lに送る二次側往き管52aと、温水負荷Lから二次循環ポンプ54(図1参照)を介して温水を戻す二次側戻り配管52bとが接続される。
【0026】
熱交換パイプ51aには、スクリュー状のバッフル部材51bが内挿されている。そして、燃焼排ガス中に含まれる灰がバッフル部材51bにより捕集されて、燃焼室8に落下するようにしている。燃焼室8の底部には、排出モータ81aで駆動される排出スクリュー81が配置されている。そして、燃焼室8の底部に落下した灰が排出スクリュー81により外部に排出されるようにしている。
【0027】
排気手段6は、一次熱交換器51上に配置される、熱交換パイプ51aを通過した燃焼排ガスが流入する排気ダクト61と、排気ダクト61からの排気を行う排気ファン62とを備えている。
【0028】
ボイラ1は、第1と第2の搬送モータ33a,34a、給気ファン41、循環ポンプ53,54、排気ファン62、回動モータ77、排出モータ81a及び点火ヒータ102を制御する制御手段たるコントローラ11を備え、このコントローラ11にリモコン12が接続されている(図1参照)。以下、コントローラ11による制御について図7を参照して説明する。
【0029】
リモコン12の運転スイッチのON操作で点火指令が出されると、コントローラ11は、先ず、一次循環ポンプ53を作動させて、一次熱交換器51と二次熱交換器52とウォータジャケット94に水を循環させる(S1)。また、二次循環ポンプ54の作動で二次熱交換器52と温水負荷Lとの間の温水循環を開始する。次に、給気ファン41と排気ファン62とを低速で回転させて、所定時間(例えば、10秒)のプリパージ運転を行う(S2)。尚、給気ファン41及び排気ファン62の回転速度は低、中、高の3段階に切換自在であるが、何れの速度でも給気ファン41の給気量より排気ファン62の排気量の方が多くなるようにしている。そのため、バーナ本体7内に燃焼室8に向けて後方に流れる気流を生じ、バーナ本体7から燃料供給手段4に熱気が逆流することはない。
【0030】
プリパージ処理が完了すると、コントローラ11は、点火ヒータ102に通電すると共に、第1と第2の両搬送モータ33a,34aを低速で所定時間(例えば、180秒)作動させる点火処理を行う(S3)。これによれば、木質ペレットPが第1搬送スクリュー33により供給パイプ32に搬送され、該パイプ32を落下した後第2搬送スクリュー34により搬送されて、燃料投入口35からバーナ本体7内に木質ペレットPが投入される。そして、バーナ本体P内に投入された木質ペレットPが点火ヒータ102から点火孔103を介して吹き付けられる熱風と点火ヒータ102の輻射熱とにより加熱されて着火する。
【0031】
次に、給気ファン41及び排気ファン62を中速で回転させると共に、第1と第2の両搬送モータ33a,34aの低速での作動を再開させる予備燃焼運転を行う(S4)。これにより、バーナ本体7内で着火した木質ペレットPに新たな木質ペレットPを供給し、徐々に燃焼を拡大させる。
【0032】
その後、予備燃焼運転が完了すると、強制燃焼運転に移行する(S5)。次に、図示省略した排気温センサ等の燃焼検知手段により木質ペレットPの燃焼が検知されたか否かを判別し(S6)、強制燃焼運転の開始から所定の待ち時間(例えば、480秒)が経過しても燃焼が検知されないときは(S7)、後述する強制ポスト運転に移行する。
【0033】
強制燃焼運転では、点火ヒータ102への通電を停止し、給気ファン41及び排気ファン62を中速で回転させたまま、第1と第2の両搬送モータ33a,34aを中速で作動させると共に、回動モータ77によりバーナ本体7を低速で反復回動させる。これにより、バーナ本体7内に供給された木質ペレットPが動き、バーナ本体7内での燃焼面積が広げられて、安定した燃焼が行われるようになる。
【0034】
強制燃焼運転が完了すると、本燃焼運転に移行する(S8)。本燃焼運転では、温水負荷Lに循環される温水温度とリモコン12で設定される設定温度との温度偏差に応じて、給気ファン41、排気ファン62、第1と第2の両搬送モータ33a,34a及び回動モータ77の速度を可変する。例えば、温度偏差が小さいときは、給気ファン41、排気ファン62、第1と第2の両搬送モータ33a,34a及び回動モータ77の速度を低速にし、温度偏差が大きいときはこれらの速度を高速にする。
【0035】
本燃焼運転時は、バーナ本体7の回動で木質ペレットPがバーナ本体7の内周面を転がり、木質ペレットPの全表面に空気が触れて、燃焼が促進される。尚、バーナ本体7の前部では、木質ペレットPが所謂おきび状態で燃焼し、この燃焼で発生する可燃性ガスは燃焼室8で完全燃焼する。また、バーナ本体7内に燃焼室8に向う気流を生じ、この気流とバーナ本体7の回動とバーナ本体7の下側の母線の後ろ下がりの傾斜とにより燃焼灰が徐々にバーナ本体7の後方に運ばれて、最終的にバーナ本体7の後端から燃焼室8内に落下する。更に、木質ペレットP自体も燃焼が進むにつれてバーナ本体7の後方に運ばれる。従って、木質ペレットPをバーナ本体7に供給しつつ連続して燃焼させることができる。
【0036】
ここで、バーナ本体7内の燃焼による輻射熱が燃料投入口35を介して第2搬送スクリュー34に及ぶと、燃焼中に第2搬送スクリュー34で木質ペレットPが発火する虞がある。然し、本実施形態では、バーナ本体7内に燃料投入口35に対向する遮熱板36が設けられているため、第2搬送スクリュー34に輻射熱は及ばず、第2搬送スクリュー34での木質ペレットPの発火が有効に防止される。
【0037】
また、図7には示していないが、第2搬送スクリュー34での木質ペレットPの発火による逆火を生じて、これを逆火検出用の温度センサ38が検出したときには、第1搬送スクリュー33を停止する制御を行う。これによれば、供給パイプ32の第1搬送スクリュー33に対する接続口に設けた防火ダンパ37が閉じられ、火炎は防火ダンパ37で遮られて第1搬送スクリュー33にまでは到達しない。従って、燃料タンク31への引火が確実に防止される。
【0038】
ここで、バーナ本体7は、燃焼時にかなりの高温になり、熱変形を生ずる。一方、バーナ外筒71は、バーナ本体7との間の隙間73に流れる空気により空冷される。従って、バーナ本体7の熱変形を生じても、バーナ外筒71の熱変形による軸ずれは生じない。そして、バーナ本体7はバーナ外筒71を介してローラ74,75に支持されるため、バーナ本体7をその熱変形の影響を受けることなく円滑に回動できるようになる。更に、バーナ外筒71をその前部と後部の何れにおいてもローラ74,75で支持するため、摩擦を生じず、回動モータ77の負荷が軽減される。また、燃焼室8に挿入されるバーナ本体7とバーナ外筒71の後端部が両者間の隙間73を介して燃焼室8に流れる空気により空冷され、バーナ本体7とバーナ外筒71の後端部の過熱による熱変形が効果的に防止される。
【0039】
リモコン12の運転スイッチのOFF操作で消火指令が出されたときは(S9)、所定時間(例えば、300秒)の強制ポスト運転を行う(S10)。強制ポスト運転では、第1搬送モータ33aを停止し、給気ファン41、排気ファン62、回動モータ77及び第2搬送モータ34aを高速で作動させる。これによれば、第1搬送スクリュー33による供給パイプ32への木質ペレットPの供給が停止され、供給パイプ32及び第2搬送スクリュー34に残留する木質ペレットPが全て第2搬送スクリュー34によりバーナ本体7に送り出されて、バーナ本体7内で燃焼する。従って、消火時には供給パイプ32及び第2搬送スクリュー34に木質ペレットPが残留せず、燃料供給手段3での木質ペレットPの発火が防止される。
【0040】
強制ポスト運転が完了すると、次に、所定時間(例えば、300秒)のポストパージ運転を行う(S11)。ポストパージ運転では、第2搬送モータ34aを停止し、給気ファン41、排気ファン62、回動モータ77を低速で作動させる。これにより、強制ポスト運転での木質ペレットPの燃焼で生じた灰が燃焼室8に送られる。ポストパージ運転が完了すると、一次循環ポンプ53、二次循環ポンプ54、給気ファン41、排気ファン62、回動モータ77を停止する運転終了処理が行われる(S12)。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、バーナ本体7を所定角度範囲で正逆に反復回動させるようにしたが、バーナ外筒7を正逆一方向に連続的に回動させるようにしてもよい。また、上記実施形態は、ボイラに本発明を適用したものであるが、ペレット状の木質燃料を燃焼させるボイラ以外の燃焼装置にも同様に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の燃焼装置であるボイラの全体構成を示す説明図。
【図2】実施形態のボイラの内部を示す正面図。
【図3】図2の右方から見た要部の側面図。
【図4】図3のIV−IV線切断面図。
【図5】図4のV−V線切断面図。
【図6】図4のVI−VI線切断面図。
【図7】実施形態のボイラの燃焼制御の内容を示すフロー図。
【符号の説明】
【0043】
P…木質ペレット(木質燃料)、1…ボイラ(木質燃料燃焼装置)、3…燃料供給手段、31…燃料タンク、32…供給パイプ、33…第1搬送スクリュー(第1搬送手段)、34…第2搬送スクリュー(第2搬送手段)、35…燃料投入口、36…遮熱板、37…防火ダンパ、4…給気手段、7…バーナ本体、8…燃焼室、11…コントローラ(制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット状の木質燃料を燃焼させる燃焼装置であって、横臥姿勢で回動自在に配置される筒状のバーナ本体と、バーナ本体の長手方向を前後方向として、バーナ本体内に前方から木質燃料を供給する燃料供給手段と、バーナ本体内に空気を供給する給気手段と、バーナ本体の後端に連通する燃焼室とを備えるものにおいて、
燃料供給手段は、バーナ本体よりも上方に配置される、木質燃料を貯留する燃料タンクと、木質燃料を落下させる供給パイプと、燃料タンクの下端から供給パイプの上端に木質燃料を搬送する第1搬送手段と、バーナ本体より前方に位置する供給パイプの下端からバーナ本体内に木質燃料を搬送する第2搬送手段とで構成され、
消火指令が出された時に、第1搬送手段を停止させた状態で第2搬送手段を作動させて、供給パイプ内に残留する木質燃料をバーナ本体内に送り出す制御手段を備えることを特徴とする木質燃料燃焼装置。
【請求項2】
前記バーナ本体内に、前記第2搬送手段により搬送された木質燃料を投入するバーナ本体の前端の燃料投入口に対向させて、遮熱板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の木質燃料燃焼装置。
【請求項3】
前記供給パイプの前記第1搬送手段に対する接続口に、第1搬送手段による木質燃料の搬送で押し開かれる常閉の防火ダンパが設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の木質燃料燃焼装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate