説明

木造建築物開口部における耐震用フレーム

【課題】木造建築物の耐震性を有する開口部やラーメン構造体を構成できる木質耐震フレームを容易に製造、運搬、設置でき、かつ低コストにて提供する。
【解決手段】枠組壁工法又は在来軸組工法の木造建築物の開口部に対し、組立てられた形態で取り付けられる木質の耐震用門型フレーム(10,20,201)であって、柱枠(12)と、非分割の梁枠(11)又は分割された梁枠片から形成された梁枠(21)とを有し、柱枠と梁枠とは、繊維シートと金具により剛接合され、繊維シートとして、柱枠(12)及び梁枠(11,21)を跨いで水平方向に貼着された第1の繊維シート(14)と、第1の繊維シート(14)に重なるように柱枠(12)及び梁枠(11,21)を跨いで水平方向に対してそれぞれ斜め45度と−45度で傾斜して貼着された第2の繊維シート(14b,14c)とを少なくとも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠組壁工法及び軸組工法による木造建築物の開口部に耐震性を付与する木質フレーム構造に関する。本発明の木質フレーム構造は、基本的に、門型または箱型の形状をもつフレームであって接合部等に繊維シートを貼着して補強を施したものである。これにより、既存及び新築の木造建築物における耐力壁のアンバランスを解消し、建物全体の耐震性向上を図る。加えて、必要最低限の壁倍率・床倍率で安全な建物を実現可能とする。
【背景技術】
【0002】
阪神・淡路大震災での犠牲者の約90%が家屋の倒壊による圧死と言われている。その多くは、建物の非力な大開口部による左右・前後の耐力上のアンバランスに起因する建物の「ねじれ」が大きな原因とされている。地震発生により、大開口部を有する建築物の重芯と剛芯のずれによる「ねじれ」が生じ、建築部材同士の接合部が破損することにより倒壊が起きている。特に、既存建築物の耐震性能の早期改善が大きな社会的な問題となっている。
【0003】
このため、大震災以降、建築基準法の改正で、木構造における主要建築部材同士を耐震用の引張金物(ホールダウン金物)を用いて接合することが規定された。さらに、耐力壁のバランスを取ることが基準化され、床・屋根の水平面剛性(床倍率)も高められた。
【0004】
この結果、改正建築基準法の下では、狭小地での間口の狭い木造三階建てにおいて一階店舗や車庫組み込み住宅を建築できないケースが多く見られるようになった。また、耐力壁のバランスや床剛性を考慮すると、大スパンで大開口を有する部屋や、吹き抜けを設けた大空間を設計する上でも大きな制約となる。
【0005】
そこで、木質門型フレームを開口部に組み込むことにより壁や筋交いと同等の耐力を実現する技術が知られている。この技術は、既存及び新築の木造建築物のいずれにも適用可能で、特に新築の場合に適用しやすい。開口部に組み込むこのような木質門型フレームは、容易に製作・運搬・設置できるように分割構造とすることが好ましい。しかしながら、分割構造を有する高性能の耐震用門型フレームに関する技術は少ない。(例えば下記特許文献参照)
特許文献1の耐震用木質フレームは、当初からL字状に作製された部材を接合して門型または箱型の形状としたものである。特許文献2の耐震用木質フレームは、2本の角材を接合してL字状部材を形成し、次に複数のL字状部材を接合して門型または箱型の形状としたものである。特許文献2では、L字状部材自体の接合部及びL字状部材同士の接合部において、部材同士を引き寄せる力を発揮する接合金具を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2946299号公報
【特許文献2】特開2004−285817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、木造建築物の開口部、特に大開口部に対して耐震のために取り付けるフレームにおいては、その形状が門型であれ他の形状であれ、容易に製作・運搬・設置できる製品の開発が必要不可欠とされている。このようなフレームは、分割構造が好ましいとされているが、現状の技術では以下のような問題点がある。
【0008】
・門型フレームを用いる場合、建築物の大きな窓または店舗の出入り口や車庫等の大開口部に設置されるため、大きく、重くかつ長いものとなる。従って、加工や組立に多くの時間と労力を要している。また、搬入や設置に大型車両やクレーン車が必要となり、余分な費用がかかる。製造工場においても製作や組立のためのスペースや保管場所の確保に問題を有している。
・簡易的な接合金具を用いてL字状の角部をラーメン構造とするための補強する手立てが不足している。例えば、特許文献2では角部の接合のために引き寄せ力を発揮する接合金具を用い、さらにその周囲にアラミド繊維シートを接着して補強している。しかしながら、特に大開口部に適用される場合には強度が不足する場合がある。
【0009】
以上のことから、本発明は下記の事項を目的とする。
(1)分割された各部材片を接合して組み立てる木質の門型または箱型のフレームであって、接合部であるL字状の角部を確実な剛接合(ラーメン構造)とする。
(2)門型フレームの梁枠を可能な限り分割することにより、1個の部材片の大きさを小さく軽量化する。この場合、鉛直荷重による大きなモーメントを生じない箇所で分割し、分割された部材片同士を接合する。
(3)門型フレームの梁枠を分割した場合にも、鉛直荷重Pに対する構造躯体としての強度を確保する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成すべく、本発明は以下の構成を提供する。括弧内の数字は、後述する実施例を示す図面中の符号であり、参考のために付する。
【0011】
本発明による、耐震用門型フレームは、枠組壁工法又は在来軸組工法による木造建築物の開口部に対し、組立てられた形態で取り付けられる木質の耐震用門型フレーム(10,20,201)であって、並立する左右一対の柱枠(12)と、前記柱枠(12)の各々の上端間に横架された、非分割の梁枠(11)又は2つ又は3つに分割された梁枠片から形成された梁枠(21)とを有し、前記柱枠と前記梁枠とは、接着剤で貼着された高引張強度をもつ繊維シートと金具により剛接合され、かつ、前記繊維シートとして、前記柱枠(12)及び前記梁枠(11,21)を跨いで水平方向に巻き付けられて貼着された第1の繊維シート(14)と、前記第1の繊維シート(14)に重なるように前記柱枠(12)及び前記梁枠(11,21)を跨いで水平方向に対してそれぞれ斜め45度と−45度で傾斜して巻き付けられて貼着された第2の繊維シート(14b,14c)とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0012】
本発明による、耐震用箱型フレームは、枠組壁工法又は在来軸組工法による木造建築物の開口部に対し、組立てられた形態で取り付けられる木質の耐震用箱型フレーム(30)であって、箱型を形成するべく接合された4個のL字状枠(31,32,33,34)を有し、前記L字状枠の各々が横枠片(33a)と縦枠片(33b)とを直角に接合して形成されており、該縦枠片(33b)と該横枠片(33a)とは、接着剤で貼着された高引張強度をもつ繊維シートと金具(38,39)により剛接合され、かつ、前記繊維シートとして、前記縦枠片(33b)及び前記横枠片(33a)を跨いで水平方向に巻き付けられて貼着された第1の繊維シート(14)と、前記第1の繊維シート(14)に重なるように前記縦枠片(33b)と前記横枠片(33a)を跨いで水平方向に対してそれぞれ斜め45度と−45度で傾斜して巻き付けられて貼着された第2の繊維シート(14b,14c)とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0013】
上記の耐震用門型フレームまたは耐震用箱型フレームにおいて、前記繊維シートは、長手方向に対する縦糸方向及び横糸方向の傾斜角度が30〜60度である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、門型または箱型のフレームを形成する各部材片同士をL字状に接合する角部において、簡易的な接合金具と、接着剤で貼着される高引張強度をもつ繊維シートとを用いている。繊維シートが、長手方向と平行な一方向のみの繊維方向をもつシート、または長手方向と平行及び垂直な二方向の繊維方向をもつシートの場合、複数枚の繊維シートを重ね貼りすることにより異なる応力方向に対応できる。また、長手方向に対して異なる2つの方向に傾斜した二方向の繊維方向をもつシートの場合は、1枚のシートで2つの傾斜した応力方向に対応できるので重ね貼りを行う施工の手間を軽減することができる。これにより、角部の十分な剛接合が確保される。
【0015】
また、門型または箱型のフレームにおける角部を剛接合とすることにより、水平に配置される梁枠に対する水平荷重によるモーメントMが中点においてゼロとなる。従って、梁枠の中央部分に接合部を設けてもモーメントが発生しない。この結果、梁枠の中央部分を分割することができる。加えて、分割された梁枠片同士を簡易的な金具でピン接合することが可能となる。
【0016】
さらに、門型フレームにおいて梁枠のスパンの1/4以内であればに対する大きなモーメントが生じない。従って、この部分での分割も可能である。
【0017】
梁枠を1箇所または2箇所で分割することにより、2個または3個の梁枠片とした。その結果梁枠を構成するこれら複数の梁枠片の各々を小さく軽量化することができる。
【0018】
梁枠下面にスパンと同じ長さの繊維シートを接着剤で接着することにより、鉛直荷重による曲げに対する補強が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の木質の耐震用フレームを枠組壁工法による木造建築物へ組み込む状況を模式的かつ概略的に示す図である。
【図2】門型フレームの一実施例を示す斜視図である。
【図3A】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3B】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3C】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3D】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3E】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3F】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3G】柱枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3H】梁枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3I】梁枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3J】梁枠勝ちの場合の柱枠と梁枠との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図3K】梁枠勝ちの場合の柱枠12と梁枠11との接合部における接合金具の一実施例を示す部分拡大斜視図である。
【図4A】図2に示した門型フレームにおける梁枠と柱枠との接合部である角部に対して貼着される繊維シートの適用例を示す図である。
【図4B】図2に示した門型フレームにおける梁枠と柱枠との接合部である角部に対して貼着される繊維シートの適用例を示す図である。
【図4C】図2に示した門型フレームにおける梁枠と柱枠との接合部である角部に対して貼着される繊維シートの適用例を示す図である。
【図4D】図2に示した門型フレームにおける梁枠と柱枠との接合部である角部に対して貼着される繊維シートの適用例を示す図である。
【図5A】本発明における好適な繊維シートの実施例を示す図である。
【図5B】本発明における好適な繊維シートの実施例を示す図である。
【図6A】図2の門型フレームの柱枠の各々の下端に取り付けた柱脚金物の実施例を示す図である。
【図6B】図2の門型フレームの柱枠の各々の下端に取り付けた柱脚金物の実施例を示す図である。
【図6C】図2の門型フレームの柱枠の各々の下端に取り付けた柱脚金物の実施例を示す図である。
【図7】枠組壁工法による木造建築物の壁開口部の内側に取り付けられる門型フレームの一実施例を示す斜視図である。
【図8A】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8B】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8C】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8D】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8E】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8F】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8G】図7の門型フレームの中央接合部の実施例を示す図である。
【図8H】3分割タイプの門型フレームにおける接合部の実施例を示す図である。
【図8I】3分割タイプの門型フレームにおける接合部の実施例を示す図である。
【図8J】3分割タイプの門型フレームにおける接合部の実施例を示す図である。
【図9A】3分割タイプの門型フレームの接合部における繊維シート及び接着剤による補強の実施例を示す図である。
【図9B】3分割タイプの門型フレーム201の接合部における繊維シート及び接着剤による補強の実施例を示す図である。
【図9C】3分割タイプの門型フレーム201の接合部における繊維シート及び接着剤による補強の実施例を示す図である。
【図9D】3分割タイプの門型フレーム201の接合部における繊維シート及び接着剤による補強の実施例を示す図である。
【図10】枠組壁工法による木造建築物の壁開口部51aの内側に取り付けられる箱型フレーム30の一実施例を示す斜視図である。
【図11A】箱型フレーム30の右上に位置するL字状枠33の接合部すなわち角部の実施例を示した図である。
【図11B】箱型フレーム30の右上に位置するL字状枠33の接合部すなわち角部の実施例を示した図である。
【図11C】箱型フレーム30の右上に位置するL字状枠33の接合部すなわち角部の実施例を示した図である。
【図12A】互いに隣接するL字状枠同士を接合する接合部の実施例を示す図である。
【図12B】互いに隣接するL字状枠同士を接合する接合部の実施例を示す図である。
【図12C】互いに隣接するL字状枠同士を接合する接合部の実施例を示す図である。
【図13A】箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物のコーナー近傍の開口部51aに取り付けた実施例を示す図である。
【図13B】箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物のコーナー近傍の開口部51aに取り付けた実施例を示す図である。
【図14A】箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物の屋根52における開口部52aに取り付けた実施例を示す図である。
【図14B】箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物の屋根52における開口部52aに取り付けた実施例を示す図である。
【図15A】箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物の床53における開口部53aに取り付けた実施例を示す図である。
【図15B】箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物の床53における開口部53aに取り付けた実施例を示す図である。
【図16A】在来軸組工法による木造建築物の壁開口部70aの内側に取り付けられる門型フレーム20の一実施例を示す斜視図である。
【図16B】在来軸組工法による木造建築物の壁開口部70aの内側に取り付けられる門型フレーム20の一実施例を示す斜視図である。
【図17A】門型フレームにおける繊維シート及び接着剤による補強手段の一例を示している。
【図17B】門型フレームにおける繊維シート及び接着剤による補強手段の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について図を参照して説明する。ただし、本発明は各実施例に限定されるものではなく、例えばこれらの実施例の構成要素同士を用途によって適宜組み合わせることができる。
(1)枠組壁工法による木造建築物への適用の概要
図1は、本発明木質の耐震用フレームを、枠組壁工法による木造建築物へ組み込む状況を模式的かつ概略的に示す図である。尚、木質パネル工法による木造建築物へ組み込む場合も同様である。図1を用いて枠組壁工法(ツーバイフォー工法)による木造建築物50の施工工程の一部を概略説明する。先ず、基礎54(立ち上がり部分)の上に土台55を敷き床(図示せず)を構築した後、スタッドを立設してその外側に合板を張ることにより壁51を構築する(フレーミング)。1階及び2階のフレーミングを完了した後、棟木から軒にかけてタルキを設置して同様に合板を張ることにより屋根52のフレーミングを完了する。
【0021】
図1の木造建築物50は、例えば、壁51に設けた壁開口部51a、屋根52に設けた屋根開口部52a等を有する。壁開口部51aが窓の場合、例えば、左右にそれぞれ設置される従スタッド材(数枚合わせたもの)と、上下にそれぞれ設置される床根太やマグサまたは頭つなぎとにより四方を囲まれている。壁開口部51aが玄関または車庫等の場合、左右にそれぞれ設置される従スタッド材(数枚合わせたもの)と、上側に設置される床根太やマグサ、頭つなぎにより三方を囲まれている。屋根開口部52aは、壁開口部51aの窓と同様である。
【0022】
本発明による木質の耐震用フレームには、形状から区別される2種類があり、1つは門型フレーム10であり、もう1つは箱型フレーム30である。これらは、適用箇所によって使い分けられる。一般的に、壁開口部51aが玄関や車庫等の大開口部である場合は、門型フレーム10が組み込まれ、壁開口部51aが窓の場合は、箱型フレーム30が組み込まれる。また、屋根開口部52aには、箱型フレーム30が組み込まれる。
【0023】
図1に示す門型フレーム10及び箱型フレーム30は、木造建築物50の構造躯体の開口部に取り付けるタイプである。本発明による耐震用フレームの適用方法では、予め門型または箱型に組み立てておき、組み立てた状態のものを開口部に対して取り付ける。
【0024】
(2)枠組壁工法に適用される門型フレーム(梁枠非分割タイプ)
図2は、枠組壁工法による木造建築物の壁開口部51aの内側に取り付けられる門型フレーム10の一実施例を示す斜視図である。図2に示す壁開口部51aは、例えば、1階の玄関または車庫等である。建築物における1階の壁開口部51aと2階以上の階の壁開口部とでは、四方の囲みを形成する開口部枠材51bの種類が異なる。例えば、1階では壁開口部51aの下辺が基礎54または土台55であるが、2階以上では床根太合わせ梁、床梁等の横架材である。門型フレーム10は、いずれの階の壁開口部にも取り付けることができ、その取り付け方法も同じである。
【0025】
尚、以下の説明において、門型フレーム10について「右側」及び「左側」と表現する場合には、図1に示す矢印Aの方向からみたときの「向かって右側」及び「向かって左側」をそれぞれ意味する。また、取り付けられたときの屋外側を「前側」とし、屋内側を「後側」とする。これは、門型フレーム10以外の後述する他の実施例でも同様とする。加えて、本発明における耐震用フレームはいずれも左右対称の形状であるので、「右側」の構成または「左側」の構成のいずれか一方についての説明は、他方についても該当するものである。
【0026】
図2に示す門型フレーム10は、図示のように予め組立てられた形態で壁開口部51aに嵌め込まれ、固定される。門型フレーム10は、並立する左右一対の柱枠12と、これらの柱枠の各々の下端に取り付けた柱脚金物13と、2本の柱枠12の各々の上端間に横架された梁枠11と、2本の柱枠12の各上端12aと梁枠11とを接合する接合金具15a、15bと、柱枠12と梁枠11との接合部である角部に対して貼着された高引張強度をもつ繊維シート14とを有する。この繊維シートについては、後述する図4A〜図5Bにおいて詳細に説明する。
【0027】
柱枠12の上端12aには、角部ボルト孔12bが穿設されている。この角部ボルト孔12bと連続するように、梁枠11の端面にもボルト孔(図示せず)が穿設されている。さらに、梁枠11には、前後方向に貫通する角部ボルト孔11aも穿設されている。角部ボルト孔11aには引張金具15bが埋め込まれる。引張ボルト15aは、角部ボルト孔12b及び梁枠11のボルト孔(図示せず)を通り引張金具15bの螺子孔に螺合する。
【0028】
柱脚金物13は、箱部13aとその上面に立設された縦板部13bとを有する。縦板部13bは、柱枠12の下部スリット12iに挿入され、脚部ピン孔12dを通るドリフトピン15dにより固定される。箱部13aの底面にはボルト孔13cが穿設されている。一方、基礎54のコンクリート面上には予めアンカーボルト15eが埋設されている。アンカーボルト15eをボルト孔13cに通して固定する。2階以上の場合は、アンカーボルト15eと同様の固定ボルトが床梁等の上に設置される。
【0029】
また、柱枠12にも所定間隔で取付用のボルト孔12cが穿設されている。このボルト孔12cにラグスクリューボルト等のボルト15eを通し、開口部枠材51bに固定する。
【0030】
門型フレーム10の柱枠12の上端12aと梁枠11とは種々の接合金具を用いて接合される。この接合部は、L字状の角部を形成する。接合金具により、柱枠12と梁枠11とを互いに引き寄せる力が生じる。
【0031】
図3A〜図3Gは、柱枠勝ちの場合の柱枠12と梁枠11との接合部における接合金具の種々の実施例を示す部分拡大斜視図である。
【0032】
図3Aでは、梁枠11の右端近傍に丸鋼メネジ加工した引張金具15bが上下段に埋め込まれている。一方、引張ボルト15aが柱枠12の外側面から略水平に貫入し、この引張金具15bと螺合する。
【0033】
図3Bでは、梁枠11の右端近傍に上下段に埋め込まれた引張金具15bの各々が、複数本の引張ボルト15aを受ける。従って、引張金具15bは複数箇所でメネジ加工されている。
【0034】
図3C及び図3Dでは、引張金具15bが梁枠11の上面より垂直に埋め込まれている。一方、柱枠12の外側面から貫入された引張ボルト15aが引張金具15bと螺合する。
【0035】
尚、梁枠11として構造用集成材を用いた場合、ラミナの積層方向に直交して引張金具15bを埋設することにより、引張力に対する耐力が向上させる。
【0036】
図3Eでは、梁枠11の右端近傍に引張金具15bを上下段に埋め込む。そして、柱枠12の外側面からそれぞれ斜めに貫入した2本の引張ボルト15aが各引張金具15bと螺合する。2本の引張ボルト15aは正面からみると互いに交差している。この実施例では、下から上へ及び上から下へと引き寄せる力が生じるのでさらに効果的となる。
【0037】
図3Fでは、略正面L字状の鋼鈑のプレート金具15fを、梁枠11及び柱枠12に対してそれぞれプレカットした角部スリット11b、12eに挿入する。プレート金具15fには複数のピン孔15f1が穿設されている。これらのピン孔15f1の位置は、梁枠11及び柱枠12にそれぞれ穿設した複数のピン孔11f、12fと対応する。プレート金具15fを挿入した後、ピン孔11f、12fにドリフトピン15gを打設する。これにより、梁枠11と柱枠12とは確実に接合される。
【0038】
図3Gでは、梁枠11を引き寄せ接合するために接合金具15hを用いる。接合金具15hは略四角形のプレートを具備し、その左辺は垂直ではなく傾斜している。垂直な右辺及び水平な下辺に対してL字状鋼鈑のフランジ15h2が溶接される。傾斜した左辺にはウッドタッチパイプ15h3が溶接される。ウッドタッチパイプ15h3の傾斜は、上方から下方へ向かうにつれて柱枠12の方へ近づく方向である。フランジ15h2は、引張ボルト15aにより柱枠12に固定される。一方、梁枠11には、接合金具15hと嵌合するように角部スリット11b及びパイプ孔11cがプレカットされる。さらに梁枠11には、引張ボルト15aの締め付けナット等の突出部分を収容するための切り欠き部11dを設けている。切り欠き部11dには、フランジ15h2も収容される。
【0039】
柱枠12上端に接合金具15hを引張ボルト15aにて固定した後、プレカットした梁枠11を上から落とし込むと、傾斜して設けたウッドタッチパイプ15h3が梁枠11を柱枠12方向へ引き寄せる。その後、接合金具15hに設けた複数のピン孔15h1及びこれらに対応する梁枠11のピン孔11fにドリフトピン15gを打設する。接合金具15hを用いることにより、半剛接合が実現される。
【0040】
図3H〜図3Kは、梁枠勝ちの場合の柱枠12と梁枠11との接合部における接合金具の種々の実施例を示す部分斜視図である。梁枠勝ちの接合とした場合は、梁枠の梁成が大きくなっても開口部の高さを容易に確保することができる。
【0041】
図3Hでは、柱枠12の上端近傍において引張金具15bを前後方向に水平に埋め込む。一方、梁枠11上面より引張ボルト15aを貫入し、引張金具15bと螺合させる。図3Iでは、1つの引張金具15bが複数本の引張ボルト15aを受ける。図3H及び図3Iの実施例では、引張ボルト15aの長さを短くできるように、梁枠11の上面にボルト頭用の座掘11eを穿設している。引張ボルト15aを短くすることにより、接合部の曲げモーメントに対して安全を確保できる。接合後は、座堀11eに接着剤を充填して埋める。
【0042】
図3Jでは、縦長方形状の鋼鈑のプレート金具15fを梁枠11及び柱枠12のそれぞれの角部スリット11b、12eに挿入する。プレート金具15fには複数のピン孔15f1が穿設されている。これらのピン孔15f1に対応するように、梁枠11及び柱枠12にもそれぞれピン孔11f、12fが穿設されている。これらのピン孔にドリフトピン15gを打設することで、梁枠11と柱枠12とが確実に接合される。
【0043】
図3Kでは、柱枠12を引き寄せ接合するために接合金具15hを用いる。接合金具15hは略四角形のプレートを具備し、その下辺は水平ではなく傾斜している。水平な上辺及び垂直な左辺に対してL字状鋼鈑のフランジ15h2が溶接される。傾斜した下辺にはウッドタッチパイプ15h3が溶接される。ウッドタッチパイプ15h3の傾斜は、右から左へ向かうにつれて梁枠11の方へ近づく方向である。フランジ15h2は、引張ボルト15aにより梁枠11に固定される。一方、柱枠12には、接合金具15hと嵌合するように角部スリット12e及びパイプ孔12hがプレカットされる。さらに柱枠12には、引張ボルト15aの締め付けナット等の突出部分を収容するための切り欠き部12gを設けている。切り欠き部12gには、フランジ15h2も収容される。この場合も梁枠11上面にボルト頭の座堀11eを施し、引張ボルト15aを短くすることができる。これにより、接合部における曲げモーメントに対して安全となる。接合金具15hを用いることにより、半剛接合が実現される。
【0044】
図4A〜図4Dは、図2に示した門型フレームにおける梁枠11と柱枠12との接合部である角部に対して貼着される繊維シートの適用例を示す図である。角部における梁枠11及び柱枠12のそれぞれの表面に跨るように繊維シートを巻き付けて貼着する。繊維シートは接着剤により貼着される。上述の金具によるピン接合に加えて繊維シート及び接着剤による補強接合により、角部における剛接合を実現する。この結果、角部における引張・曲げ耐力が向上し、初期剛性を高めることができる。さらに、粘り強い耐力による信頼性を大幅に向上させる。
【0045】
繊維シートは、例えば、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維等の化学繊維及びこれらを組み合わせた繊維、及びこれらの繊維と金属系繊維との複合繊維である。繊維シートは、高引張強度を有するとともに靱性に優れた繊維をシート状に形成したものである。さらに、繊維方向に基づく繊維シートの種類として、長手方向と平行な一方向のみの繊維方向をもつシート、長手方向と平行及び垂直な二方向の繊維方向をもつシート(十字状に織ったシート)、または後述する図5Aに示すような長手方向に対して異なる2つの方向に傾斜した二方向の繊維方向をもつシートがある。
【0046】
図4Aでは、繊維シート14が、柱枠12の上端近傍側面及び梁枠11の前面と後面に適数枚巻き付けられている。さらに、貼着された繊維シート14の表面に対して接着剤を上塗りする。この場合、繊維シート14の裏面に接着剤を塗布して貼着しただけの構造と比較して、繊維シート14と接着剤の双方が接合主材となる。この結果、接合金物と同等の十分な接合耐力が得られる。これにより、門型フレーム10の角部における引張応力に対する強度のみでなくモーメント応力に対する曲げ強度が大幅に向上する。角部の構造的な一体化が確保され、靱性に優れた剛接合となる。
【0047】
図4Bでは、図4Aの繊維シート14に加え、その上に重なるようにかつ異なる方向に繊維シート14aが巻き付けられている。適数枚の繊維シート14aは繊維シート14の端部と直交するように梁枠11に巻き付けられている。繊維シート14aもまた接着剤にて接着補強される。これらにより、梁枠11と柱枠12のずれや脱落を完全に防止できる。特に、繊維シートの繊維方向が長手方向と平行な一方向のみの場合、または、長手方向と平行及び垂直な二方向の繊維方向をもつシートの場合には、重ね貼りすることにより異なる応力方向に対応することができる。
【0048】
図4Cでは、図4Aの繊維シート14に加え、その上に重なるように繊維シート14b及び14cが巻き付けられている。適数枚の繊維シート14bと14cは、それぞれ水平方向に対してそれぞれ斜め45度と−45度で傾斜して柱枠12の側面と梁枠11の前面を跨ぐように貼着されている。
【0049】
図4Dでは、図4Aの繊維シート14に加え、その上に重なるように図4Cの繊維シート14b及び14cが巻き付けられ、さらにその上に重なるように繊維シート14dが巻き付けられている。適数枚の繊維シート14dは、繊維シート14の端部と直交するように梁枠11に巻き付けられている。
【0050】
図4C及び図4Dの実施例のように、複数枚の繊維シートを互いに交差させて幾重にも重ねて貼着し、さらに接着剤を上塗りして補強することにより極めて強固な剛接合が実現される。
【0051】
上記のように、繊維シート14等を柱枠12及び梁枠11に貼着する場合、繊維シート14等と当たる柱枠12及び梁枠11の角の面取りを行うことが好適である。これは、繊維シート14等の破断を防止するためである。
【0052】
図5A及び図5Bは、本発明における好適な繊維シートの実施例を示す図である。図5Aのように柱枠12と梁枠11に巻き付けられる好適な繊維シート14は、シートの長手方向に対して縦糸と横糸が互いに異なる二方向に傾斜するように織られた織物である。このような長手方向から傾斜した二方向の繊維方向をもつ繊維シートを用いることにより、1枚のシートで2つの傾斜した応力方向に対応できるので図4B〜図4Dに示したような複数枚のシートの重ね貼りを軽減したり省いたりできる。
【0053】
図5Bは、図5Aの繊維シート14に関連する力または糸の方向等を模式的に示す図である。矢印s0は、梁枠11の一般的な亀裂方向を示す。これは、梁枠11の木材繊維方向であり略水平方向である。矢印s0は繊維シートの長手方向でもある。矢印s3は亀裂部分に生じる応力の大きさと方向を示す。矢印s1とs2は、繊維シート14の縦糸方向と横糸方向における応力s3の分力である。こうして縦糸と横糸が亀裂部分の応力に耐えることにより、亀裂の拡大を防止することができる。繊維シートの長手方向s0に対する縦糸方向及び横糸方向の傾斜角度αは、最も好適には45度であり、30〜60度の範囲でもよい。
【0054】
図6A〜図6Cは、図2の門型フレーム10の柱枠12の各々の下端に取り付けた柱脚金物の実施例を示す図である。これらの図面の各々は、点線円で囲んだ柱脚金物13の拡大図を含む。
【0055】
図6Aでは、柱脚金物13は、柱枠12の下端面に対応する大きさに構成された箱部13aと、その上面中央に左右方向に立設された縦板部13bとから構成されている。縦板部13bは、柱枠12の下端にプレカットされた下部スリット12iに挿入される。そして、ドリフトピン15dを脚部ピン孔12d及び縦板ピン孔13dに通すことにより、柱脚金物13が柱枠12に固定される。
【0056】
箱部13aの下面に穿設されたボルト孔13cに、基礎のアンカーボルトや床梁等に設置された固定用ボルトを通すことにより、柱脚金物13が基礎や床梁等に固定される。この場合、図示していないが、柱脚金物13の下面のボルト孔13cの周縁から下面の後縁までを切り欠いておくことにより、門型フレームを建築物の開口部に円滑に嵌め込むことができる。後述する他の柱脚金物の実施例についても同様である。
【0057】
図6Bの柱脚金物13は、図6Aの柱脚金物とほぼ同様の構成であるが、基礎や床梁等に固定する箇所を増設した増設脚部13eを具備する。ここでは、増設脚部は箱部13aの片側のみであるが、箱部の両側に設けてもよい。
【0058】
図6Cの柱脚金物13は、図6Aの柱脚金物とほぼ同様の構成であるが、縦板部13bの上辺の半分にウッドタッチパイプ13fを具備する。ウッドタッチパイプ13fに対応するように、柱枠12の下端の下部スリット12iに下部パイプ孔12jをプレカットしている。ウッドタッチパイプ13fは、やや傾斜している。従って、縦板部13bを下部スリット12iに挿入することにより、ウッドタッチパイプ13fが柱枠12と柱脚金物13とを引き寄せる効果を奏する。
【0059】
図2の門型フレームの基礎等への固定方法として、図示していないが、公知のホールダウン金物を柱枠12の下部の両側面を挟んで相対するように設け、ボルトで緊結する。これにより先に設置しているアンカーボルトや固定ボルトで引っ張り固定できる。
【0060】
(3)枠組壁工法に適用される門型フレーム(梁枠分割タイプ)の実施例
図7は、枠組壁工法による木造建築物の壁開口部51aの内側に取り付けられる門型フレーム20の一実施例を示す斜視図である。図7に示す壁開口部51aは、図2と同様である。
【0061】
前述の図2に示した門型フレーム10では梁枠11が分割されておらず一体的であったのに対し、図7に示す門型フレーム20では梁枠21が2つに分割された梁枠片21aと21bから形成されており、これらはプレート金具22aによりピン接合されている。梁枠21が2つに分割されている点以外は、図7の門型フレーム20は、図2の門型フレーム10と同じ構成を有する。
【0062】
従って、図7に示す門型フレーム20において、梁枠片21a左端と柱枠12上端との接合、並びに梁枠辺21b右端と柱枠12上端との接合については、前述の図3A〜図3Kに示した金具による接合の各実施例を同様に適用できる。加えて、前述の図4A〜図4D並びに図5A及び図5Bに示した繊維シートと接着剤による接合の各実施例を同様に適用できる。よって、図3A〜図5Bに関する前述の説明は、全て図7に示す門型フレーム20にも該当する。
【0063】
門型フレーム20の左右の角部を剛接合とすることにより、梁枠21に対する水平荷重に対してその中央のモーメントM=0となる。従って、この部分で梁枠21を分割して金具により接合してもモーメントが発生しない。この結果、梁枠片21aと21bを接合する金具を、簡易なピン接合とすることが可能となる。
【0064】
図8A〜図8Gは、梁枠片が2つに分割された2分割タイプの梁枠21を有する図7の門型フレーム20の中央接合部の実施例を示す図である。
図8Aでは、梁枠片21a、21bの各々の接合端面(木口)に垂直方向に設けたスリット21dに鋼鈑のプレート金具22aを挿入する。プレート金具22aには、複数のピン孔22a1が穿設されている。一方、これらのピン孔22a1に対応するように梁枠片21a、21bにもピン孔21cが穿設されている。ドリフトピン23aをピン孔21cに打設することで、梁枠片21aと21bは確実に接合される。
【0065】
図8Bでは、梁枠片21a、21bの各々の接合面に水平方向に設けたスリット21dに鋼鈑のプレート金具22bを挿入する。プレート金具22bには、ピン孔22b1、22b2と、ピン孔22b2と連続する切り欠き22b3とが設けられている。梁枠片21a、21bのピン孔21cにドリフトピン23aを打設することで梁枠片21aと21bは確実に接合される。
【0066】
図8Bにおいて、切り欠き22b3を形成する2つの縁のうち、中心線22b4に近い側の縁pは中心線22b4と平行であり、遠い側の縁qは挿入方向に向かって中心線22b4から遠ざかっている。ピン孔22b2に対応する梁枠片21a、21bのピン孔21cに対して、プレート金具22bの挿入前にドリフトピン23aを打ち込んでおく。次に、このプレート金具22bを挿入すると、くさび効果により梁枠片21aと21b同士を引き寄せる効果を生じる。これにより隙間のない接合部を実現する。
【0067】
図8Cでは、鋼鈑のプレート金具22cの左片と右辺にウッドタッチパイプ22c1を溶接している。ウッドタッチパイプ22c1は、前方から後方に向かって中心線22c2から遠ざかる方向に傾斜している。一方、梁枠片21a、21bには対応するようにスリット21dとウッドタッチパイプ用のパイプ孔21eが穿設されている。パイプ孔21eは中心線22c2に平行である。従って、プレート金具22cを挿入すると、くさび効果により梁枠片21aと21b同士を引き寄せる効果を生じる。これにより隙間のない接合部を実現する。
【0068】
図8Dでは、梁枠片21a、21bの接合面近傍にて引張金具23cを上下段に前後方向に埋め込む。そして、梁枠片21a、21bの上下面にそれぞれ鋼鈑のプレート金具22dを当て、引張ボルト23dで固定している。プレート金具22dには、ボルト孔22d1の他に補強のために長ビスで留め付けられるようにビス孔22d2も穿設されている。これにより、高引張耐力が得られる。
【0069】
図8Eでは、梁枠片21a、21bの接合面と直交するように引張金具23cを上下段に埋め込む。そして、梁枠片21a、21bの上下面にそれぞれ鋼鈑のプレート金具22dを当て、引張ボルト23dで固定している。プレート金具22dには、ボルト孔22d1の他に補強のために長ビスで留め付けられるようにビス孔22d2も穿設されている。これにより、高引張耐力が得られる。
【0070】
図8Fでは、鋼鈑のプレート金具22eの左片と右辺にウッドタッチパイプ22e1を溶接している。ウッドタッチパイプ22e1は、下方から上方に向かって中心線22e3から遠ざかる方向に傾斜している。一方、梁枠片21a、21bには対応するようにスリット21dとウッドタッチパイプ用のパイプ孔21eが穿設されている。パイプ孔21eは中心線22e3に平行である。従って、プレート金具22eを打ち込むと、くさび効果により梁枠片21aと21b同士を引き寄せる効果を生じる。これにより隙間のない接合部を実現する。さらにドリフトピン22aにより確実に固定する。
【0071】
図8Gの鋼鈑のプレート金具22fは、図8Fのプレート金具22eの下辺にフランジ22f5を溶接した形状である。さらに、図8Bのプレート金具22bに設けた切り欠き22b3と同様の切り欠き22f4を設けている。切り欠き22f4と連続するピン孔22f3に対応する梁枠片のピン孔21cには、予めドリフトピン22aが打ち込まれている。従って、プレート金具22fを打ち込むと、くさび効果により梁枠片21aと21b同士を引き寄せる効果を生じる。これにより隙間のない接合部を実現する。さらにドリフトピン22aにより確実に固定する。梁枠片21a、21bの下面には、フランジ22f5の厚み分の凹部が設けられている。
【0072】
図8H〜図8Jは梁枠片が3つ分割された3分割タイプの門型フレーム201における接合部の実施例を示す図である。
【0073】
梁枠21の端からの距離が、梁枠21の全長の約1/4以内(通常、800mm〜1000mm)の点においても、大きなモーメントが生じない。従って、この範囲内で梁枠21を分割して金具により接合することも可能である。梁枠21の両端からこの範囲内の所定の距離にある2点でそれぞれ分割すると、3つの梁枠片21a、21g、21bができる。以下、この3分割タイプにおける両側の各梁枠片21a、21bを「端部梁枠片」と称し、中央の梁枠片21gを「中央梁枠片」と称する場合がある。
【0074】
3分割タイプの門型フレーム201では、工場において柱枠12と端部梁枠片21aまたは21bのみを接合したもの、あるいは一体成形したものを生産し、在庫しておくことが好適である。こうすることにより、現場において中央梁枠片21gの長さ及び梁成、並びに繊維シートでの補強手段を適宜選択して開口部のスパンや使用目的に適合させることが可能となる。
【0075】
以下に示す3分割タイプの門型フレーム201では、梁枠21全体が水平な実施例のみを示す。しかしながら、別の実施例として、傾斜屋根の勾配に適合するように梁枠21が斜め勾配をもって横架するフォーヒンジ構成も可能である。例えば台形、マンサード形がある。
【0076】
図8Hでは、上述の図8Fで示したプレート金具22eを用いて梁枠片同士を引き寄せ接続している。
【0077】
図8Iでは、上述の図8Aに示したプレート金具22aを用いて梁枠片同士を接続している。さらに、図8Dに示したプレート金具22dで上面と下面を補強している。
【0078】
図8Jでは、上述の図8Gに示したプレート金具22fを用いて梁枠片同士を引き寄せ接続している。さらに、図8Dに示したプレート金具22dで上面を補強している。図8Jに示す中央梁枠片21hは、鉛直荷重Pも負担する。このため、中央梁枠片21hの断面性能を強化するために梁成を大きくしている。
【0079】
図9A〜図9Dは、図8H〜図8Jに示した3分割タイプの門型フレーム201の接合部における繊維シート及び接着剤による補強の実施例を示す図である。もちろん、図7に示した2分割タイプの門型フレーム20にも適用できる。尚、図7に示すように構造躯体の開口部内に嵌め込み取り付ける梁枠分割タイプの門型フレームの梁枠接合部については、通常は金具によるピン接合のみでも十分であり、必要に応じて繊維シートと接着剤による補強を行ってもよい。
【0080】
図9Aでは、梁枠片21aと21gとの接合部を跨いで前面と後面に適数枚の繊維シート24を接着剤により貼着する。さらに、繊維シート24と直交してその上に重なる繊維シート24aを、接合部の前面、下面及び後面に巻き付け貼着する。
【0081】
図9Bでは、梁枠片21aと21gとの接合部の全面に繊維シート24が巻き付けられている。
【0082】
図9Cでは、梁枠片21aと21gとの接合部を跨いで前面と後面に適数枚の繊維シート24を接着剤により貼着する。さらに、繊維シート24と直交してその上に重なる幅広の繊維シート24aを、接合部の全面に巻き付けるように貼着する。
【0083】
図9Dでは、図9Cに示した繊維シート24、24aに加え、繊維シート24bが、柱枠12の上端面の端から梁枠21上面の全長の約1/4の距離に相当する位置まで貼着されている。3分割タイプの接合部は、端部から梁枠全長の約1/4の距離までの範囲内に位置するので、繊維シート24bは接合部を必ず跨ぐ。これは、特に鉛直荷重を負担できるように梁成を大きくした場合の補強として有効である。
【0084】
以上の図9A〜図9Dに示す繊維シートの接着剤による貼着方法は、これらに限定されるものではなく、適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0085】
梁枠分割タイプの門型フレームの各柱枠下端に取り付けられる柱脚金物については、前述の梁枠非分割タイプにおいて説明したものと同様である。
【0086】
さらに図示していないが、梁枠分割タイプの門型フレームの素材として構造用単板積層材(LVL)を用いる場合、梁枠11と柱枠12の接合部を設けないでLVLで柱枠と梁枠を一体にL型成形したものを用いることが可能となる。しかし、LVLはラミナ(単板)の繊維方向が一定であるため、加力方向によって強度にバラツキが生じる。そこで、角部に対し図4A〜図4Dに示したような繊維シートと接着剤による接着補強を施せば、剛接合を実現することができる。その場合、図5A及び図5Bに示した繊維シートを用いればさらに好適である。
【0087】
ここで、梁枠分割タイプの門型フレーム20、201の組み立て方法の例を説明する。予め製造工場で、一方の柱枠と1つの梁枠片を剛接合した、門型フレーム用L字状部材を作製する。このL字状部材の作製方法として、柱枠と梁枠片のそれぞれの角材を金具を用いて接合し、その接合部を繊維シートと接着剤で補強して剛接合する方法と、柱枠と梁枠片を単板から一体成形し、その角部を繊維シートと接着剤で補強して剛接合する方法とがある。
【0088】
次に、施工現場において、左側のL字状部材と右側のL字状部材を互いに向き合わせて接合し、門型フレームを組み立てる。3分割タイプの門型フレームの場合は、このとき中央梁枠片を挿入して接合する。
【0089】
(4)枠組壁工法に適用される箱型フレームの実施例
図10は、枠組壁工法による木造建築物の壁開口部51aの内側に取り付けられる箱型フレーム30の一実施例を示す斜視図である。図10に示す壁開口部51aは、主として窓や出入口である。
【0090】
図10に示す箱型フレーム30は、図示のように予め組立てられた形態で壁開口部51aに嵌め込まれ、開口部枠材51bに対して固定される。箱型フレーム30は、箱型を形成するべく接合された4個のL字状枠31、32、33、34と、互いに隣接する前記L字状枠同士を接合する金具36a、36bとを有する。L字状枠31等の各々は、横枠片と縦枠片の端部同士を直角に接合して形成される。
【0091】
図11A〜図11Cは、箱型フレーム30の右上に位置するL字状枠33の接合部すなわち角部の実施例を示した図である。尚、他のL字状枠31、32及び34についても同様である。
【0092】
L字状枠33は、角材である横枠片33aと縦枠片33bとを金具により引き寄せ接合して形成される。さらに、金具により接合された接合部に対し、高引張強度をもつ繊維シートを接着剤で貼着することにより、剛接合とすることができる。接合部すなわち角部に対する繊維シートの適用方法は、前述の図4A〜図4Dに示した門型フレームの角部におけるそれと同様である。また前述の図5A及び図5Bに示した繊維シートを用いることが好適である。
【0093】
図11Aでは、横枠片33aの右端近傍に丸鋼メネジ加工した引張金具38が上下段に埋め込まれている。一方、引張ボルト39が縦枠片33bの外側面から略水平に貫入し、この引張金具38と螺合する。
【0094】
図11Bでは、引張金具38が横枠片33aの上面より垂直に埋め込まれている。一方、縦枠片33bの外側面から貫入された引張ボルト39が引張金具38と螺合する。
【0095】
尚、横枠片33aとして構造用集成材を用いた場合、ラミナの積層方向に直交して引張金具38を埋設することにより、引張力に対する耐力が向上させる。
【0096】
図11Cでは、横枠片33aの右端近傍に上下段に埋め込まれた引張金具38の各々が、複数本の引張ボルト39を受ける。従って、引張金具38は複数箇所でメネジ加工されている。
【0097】
図12A及び図12Bは、互いに隣接するL字状枠同士を接合する接合部の実施例を示す図である。箱型フレームは、互いに隣接するL字状枠の縦枠片の端面同士または横枠片の端面同士を引き寄せ接合して形成される。図12A及び図12Bは、図10におけるL字状枠33と34の接合部を示しているが、他の接合部についても同様であり、図12CはL字状枠31と33の接合部の実施例を示す図である。
【0098】
図12Aでは、鋼鈑のプレート金具36aの上片と下辺にウッドタッチパイプ36a2を溶接している。ウッドタッチパイプ36a2は、右から左に向かって中心線36a3から遠ざかる方向に傾斜している。一方、縦枠片33b、34bには、プレート金具36aに対応するようにスリット33e、34eとパイプ孔33f、34fがそれぞれ穿設されている。パイプ孔33f、34fは中心線236a3に平行である。
【0099】
図12Bに示すように、プレート金具36aを打ち込むと、くさび効果により縦枠片33bと34b同士を引き寄せる効果を生じる。これにより隙間のない接合部を実現する。さらにドリフトピン36bにより確実に固定する。
【0100】
図13A及び図13Bは、箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物のコーナー近傍の開口部51aに取り付けた実施例を示す図である。図13Aを参照する。枠組壁工法の施工工程において、基礎工事及び床工事の完了後に行う壁工事において、スタッド51cを壁となる位置に立設する。壁開口部51aの周囲には開口部枠材51bを設置する。その後、組み立てた状態の箱型フレーム30を開口部51aに嵌め込み開口部枠材51bに固定する。箱型フレーム30の取付後、図13Bに示すように、壁合板51dをスタッド上に張るフレーミング工事を行う。
【0101】
図14A及び図14Bは、箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物の屋根52における開口部52aに取り付けた実施例を示す図である。図14Aを参照する。例えば、1階及び2階のフレーミングの完了後、屋根工事において棟木から軒に延びるタルキ52cを設置する。屋根開口部52aの周囲には開口部枠材52bを設置する。その後、組み立てた状態の箱型フレーム30を屋根開口部52aに嵌め込み開口部枠材52bに固定する。箱型フレーム30の取付後、図14Bに示すように、屋根合板52dをタルキ上に張るフレーミング工事を行う。
【0102】
図15A及び図15Bは、箱型フレーム30を枠組壁工法による木造建築物の床53における開口部53aに取り付けた実施例を示す図である。図15Aを参照する。基礎工事の完了後、土台や頭つなぎの上に根太53cを設置する。床開口部53aの周囲には開口部枠材53bを設置する。その後、組み立てた状態の箱型フレーム30を床開口部53aに嵌め込み開口部枠材53bに固定する。箱型フレーム30の取付後、図15Bに示すように、床合板53dを根太上に張るフレーミング工事を行う。
【0103】
(5)在来軸組工法に適用される門型フレーム(取り付け型)の実施例
図16A及び図16Bは、在来軸組工法による木造建築物の壁開口部70aの内側に取り付けられる門型フレーム20の一実施例を示す斜視図である。門型フレーム20は、図7に示した梁分割タイプである。
【0104】
図16Aにおける壁開口部70aは、基礎74または土台75の上に立設された左右一対の柱材72と、左右の柱材72の上端間に横架された胴差・桁・まぐさ等の横架材71とにより形成される。取付方法は、図7の門型フレーム20を開口部枠材51bに取り付ける場合と同様である。
【0105】
図16Bにおける壁開口部70aは、床梁76等の上に立設された左右一対の柱材72と、左右の柱材72の上端間に横架された胴差・桁・まぐさ等の横架材71で形成される。取付方法は、図7の門型フレーム20を開口部枠材51bに取り付ける場合と同様である。
【0106】
図17Aは、門型フレームにおける繊維シート及び接着剤による補強手段の一例を示している。図示の例は、中央梁枠片21gに鉛直荷重Pがかかる3分割タイプの門型フレームについてのものである。中央梁枠片21gの曲げ耐力補強のために、引張強度の高い長尺繊維シート25を中央梁枠片21gの下面の全面に貼着する。これにより中央梁枠片21gの梁成を増さなくても鉛直荷重Pに対応できる。このように、施工現場での補強対応が可能となる。
【0107】
図17Bは、門型フレームにおける繊維シート及び接着剤による補強手段の別の例を示している。図示の例は、梁枠片21a(21b)に集中荷重Pがかかる2分割タイプの門型フレームについてのものである。梁枠21全体の曲げ耐力補強のために、長尺繊維シート26を梁枠片21a(21b)の下面に貼着する。さらに、長尺繊維シート27を柱枠12の上端面の端から梁枠21上面の全長の約1/4の距離に相当する位置まで貼着する。これにより中央梁枠片の梁成を増さなくても鉛直荷重Pに対応できる。このように、施工現場での補強対応が可能となる。
【0108】
尚、図17A及び図17Bに示した梁枠の下面及び/または上面を長尺繊維シートと接着剤で補強することは、分割しないタイプ及び2または3分割タイプのいずれの門型フレームにも有効に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
・本来耐震性が無いとされた開口部の耐震性能化が図れる。
・従来の開口部を除いた耐力壁配置手法での潜在的アンバランスによる建物の「ねじれ」を抑制できる。
・開口部の耐力壁化により全体のバランスが改善され、既存耐力壁の低倍率化が可能となり、既存耐力壁の取り付く柱の引き抜き力が軽減され、ホールダウン金物が軽微化できる。
・本発明の門型または箱型フレームを開口部に設け耐力壁化することにより、耐力壁が計画的に分散、配置できるので床の剛性度の低減が可能となる。
・車庫、店舗等の開口部や、アパート界壁や長スパンとなる部屋の耐震化・たわみ補強も可能となる。従って、阪神・淡路大震災で大きな問題となった開口部の破壊での建物の倒壊による居住者の圧死を防止できる。
・本発明の門型及び箱型フレームは木質で構成されているので、軽く、現場での納まり、変更が部材の交換や切断加工により即座に対応できる。
・既存建物の場合、居住したままで耐震改修工事が可能となる。
・本発明の門型及び箱型フレームは、構造躯体への取り付け方法が単純であるため、解体建物から容易に取り外して再利用ができる。
・梁枠分割タイプの門型フレームは、種々の開口幅にも適合できる。
・梁枠分割タイプの門型フレームは、合理的な生産や部品ストックが可能となり、量産化によるコストダウンが図れ、運搬・設置費用の軽減できる。
・梁枠分割タイプの門型フレームは、柱枠と梁枠の剛接合となる仕様を変えないで、種々の工法の構造躯体及びその使用目的に応じて、梁枠片同士の接合部における金具並びに繊維シート及び接着剤の手法を変更することができる。
・狭小地での大開口部を有した二階建て以上の建物の建築が可能となる。
・耐力壁のバランス改善や床剛性の低倍率化と、建物内部での大スパンで大開口を有する部屋や吹き抜けを設けた大空間に対して、本発明の門型または箱型フレームを用いることで設計の自由度が大幅に増す。
【符号の説明】
【0110】
10 門型フレーム(梁枠非分割タイプ)
11 梁枠
11a 角部ボルト孔
11b 角部スリット
11c パイプ孔
11d 切り欠き部
11e 座掘
11f ピン孔
12 柱枠
12a 柱枠上端
12b 角部ボルト孔
12c 柱枠ボルト孔
12d 脚部ピン孔
12e 角部スリット
12f 角部ピン孔
12g 切り欠き部
12h パイプ孔
12i 下部スリット
12j 下部パイプ孔
13 柱脚金物
13a 箱部
13b 縦板部
13c ボルト孔
13d 縦板ピン孔
13e 増設脚部
13f ウッドタッチパイプ
14 繊維シート
14a、14b、14c、14d 上重ね繊維シート
15a 引張ボルト
15b 引張金具
15c 取付用ボルト
15d ドリフトピン
15e アンカーボルト
15f プレート金具
15f1 ピン孔
15g ドリフトピン
15h 接合金具
15h1 ピン孔
15h2 フランジ
15h3 ウッドタッチパイプ
20 門型フレーム(梁枠2分割タイプ)
21a、21b 梁枠片
21c ピン孔
21d スリット
21e パイプ孔
22a プレート金具
22a1 ピン孔
22b プレート金具
22b1、22b2 ピン孔
22b3 切り欠き
22b4 中心線
22c プレート金具
22c1 ウッドタッチパイプ
22c2 中心線
22d プレート金具
22d1 ボルト孔
22d2 ビス孔
22e プレート金具
22e1 ウッドタッチパイプ
22e2 ピン孔
22e3 中心線
22f プレート金具
22f1 ウッドタッチパイプ
22f2、22f3 ピン孔
22f4 切り欠き
22f5 フランジ
22f6 中心線
23a ドリフトピン
23b 接合ボルト
24 繊維シート
24a、24b、24c 上重ね繊維シート
25、26、27 長尺繊維シート
30 箱型フレーム
31、32、33、34 L字状枠
33a 横枠片
33b 縦枠片
33e スリット
33f パイプ孔
34b 縦枠片
34e スリット
34f パイプ孔
36a プレート金具
36a1 ピン孔
36a2 ウッドタッチパイプ
36a3 中心線
36b ドリフトピン
38 引張金具
39 引張ボルト
50 枠組壁工法構造躯体
51 壁
51a 壁開口部
51b 開口部枠材
51c スタッド
51d 壁合板
52 屋根
52a 屋根開口部
52b 屋根開口部枠
52c 垂木
52d 屋根合板
53 床
53a 床開口部
53b 床開口部枠
53c 根太
53d 床合板
54 基礎
55 土台
70a 軸組工法開口部
71 横架材
72 柱材
74 基礎
75 土台
76 床梁
201 3分割タイプ門型フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組壁工法又は在来軸組工法による木造建築物の開口部に対し、組立てられた形態で取り付けられる木質の耐震用門型フレーム(10,20,201)であって、
並立する左右一対の柱枠(12)と、前記柱枠(12)の各々の上端間に横架された、非分割の梁枠(11)又は2つまたは3つに分割された梁枠片から形成された梁枠(21)とを有し、
前記柱枠と前記梁枠とは、接着剤で貼着された高引張強度をもつ繊維シートと金具により剛接合され、かつ、
前記繊維シートとして、前記柱枠(12)及び前記梁枠(11,21)を跨いで水平方向に巻き付けられて貼着された第1の繊維シート(14)と、前記第1の繊維シート(14)に重なるように前記柱枠(12)及び前記梁枠(11,21)を跨いで水平方向に対してそれぞれ斜め45度と−45度で傾斜して巻き付けられて貼着された第2の繊維シート(14b,14c)とを少なくとも含むことを特徴とする
耐震用門型フレーム。
【請求項2】
前記繊維シートは、長手方向に対する縦糸方向及び横糸方向の傾斜角度が30〜60度であることを特徴とする請求項1に記載の耐震用門型フレーム。
【請求項3】
枠組壁工法又は在来軸組工法による木造建築物の開口部に対し、組立てられた形態で取り付けられる木質の耐震用箱型フレーム(30)であって、
箱型を形成するべく接合された4個のL字状枠(31,32,33,34)を有し、
前記L字状枠の各々が横枠片(33a)と縦枠片(33b)とを直角に接合して形成されており、該縦枠片(33b)と該横枠片(33a)とは、接着剤で貼着された高引張強度をもつ繊維シートと金具(38,39)により剛接合され、かつ、
前記繊維シートとして、前記縦枠片(33b)及び前記横枠片(33a)を跨いで水平方向に巻き付けられて貼着された第1の繊維シート(14)と、前記第1の繊維シート(14)に重なるように前記縦枠片(33b)と前記横枠片(33a)を跨いで水平方向に対してそれぞれ斜め45度と−45度で傾斜して巻き付けられて貼着された第2の繊維シート(14b,14c)とを少なくとも含むことを特徴とする
耐震用箱型フレーム。
【請求項4】
前記繊維シートは、長手方向に対する縦糸方向及び横糸方向の傾斜角度が30〜60度であることを特徴とする請求項3に記載の耐震用箱型フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【公開番号】特開2011−236741(P2011−236741A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191612(P2011−191612)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【分割の表示】特願2005−128169(P2005−128169)の分割
【原出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(593053977)ジェイ建築システム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】