説明

末端にヘテロ芳香族置換基を有する光学活性モノアミノトリエステル誘導体の製造法

【課題】 医薬品分野等で重要な中間体である末端にヘテロ芳香族基を有する光学活性モノアミノトリエステル誘導体、及び光学活性α−アミノ酸誘導体を工業的に有利な方法で製造する。
【解決手段】 末端に脱離基を有する光学活性アミノ酸誘導体とヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステル誘導体のカップリング反応で末端にヘテロ芳香族基を有する光学活性モノアミノトリエステル誘導体を製造する方法を提供する。また、さらに、モノアミノトリエステル誘導体のエステル基の加水分解、脱炭酸を行い、光学純度をほとんど低下させることなく末端にヘテロ芳香族基を有する光学活性α−アミノ酸誘導体を製造する新規な方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野をはじめ多方面において製造上の重要な中間体化合物である光学活性モノアミノトリエステル誘導体及びその製造法に関する。さらに、モノアミノトリエステル誘導体を利用した医薬中間体として重要な化合物α-アミノ酸の新規製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明により製造可能な、光学活性モノアミノトリエステル誘導体は、医薬中間体として有用な、末端にヘテロ芳香族置換基を有する光学活性α−アミノ酸に変換することができる。末端にヘテロ芳香族置換基を有する光学活性α-アミノ酸は、例えば血液抗凝固薬(Thrombin Inhibitor)の中間体となることが知られている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)など、医薬分野において極めて重要な中間体である。
【0003】
従来、本発明に記載した末端にヘテロ芳香族置換基を有する光学活性α-アミノ酸の製造法としては、1)プロパルギルハライドとアミノマロン酸ジエステルから数工程かけて合成される光学活性プロパルギルグリシン誘導体と、ハロゲン化ヘテロ芳香族化合物をパラジウム/銅触媒存在下で反応(薗頭カップリング反応)させた後、3重結合を水素化する方法(特許文献2、非特許文献1)、2)L−アスパラギン酸から誘導されるβ−ホルミル−α−アミノ酸誘導体と、ヘテロ芳香環を有するホスホニウム塩とのWittig反応を行った後、2重結合を還元する方法(非特許文献1)、3)末端にハロゲン基をもつα−アミノ酸誘導とヘテロ芳香族を有する有機銅試薬との反応による方法(非特許文献2)、4)ヘテロ芳香族化合物の一種であるプリン誘導体と末端にハロゲン基をもつα−アミノ酸誘導体の反応(非特許文献3)が知られている。
【0004】
さらには、末端にハロゲン基をもつα−アミノ酸誘導体へのアルキル基導入法として、5)有機銅試薬を用いた方法(非特許文献4)、6)活性メチレン化合物を炭素求核剤に用いる方法(非特許文献5)が知られている。
【0005】
また、ヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステル類の製造法としては、例えば2−クロロ−5−ニトロピリジンとマロン酸ジエチルをトルエン中、塩基に水素化ナトリウムを使用する方法が知られている(非特許文献6)。
【0006】
さらには、ヘテロ芳香族化合物へアルキル置換基を導入する方法として、2−クロロ−3−ニトロ−5−ブロモピリジンと2−(2−シアノエチル)マロン酸ジエチルを水素化ナトリウム存在下で反応させた後、2つのエステル基を加水分解後、酸処理して脱炭酸反応を行う方法が知られている(特許文献3)。
【特許文献1】WO9822443
【特許文献2】WO0170736
【特許文献3】EP0122109
【非特許文献1】Bioorganic&Medicinal Chemistry 12、1713、2004
【非特許文献2】Bulletin de la Societe Chimique de France 554−558,1989
【非特許文献3】Tetrahedron 25、5971、1969
【非特許文献4】Tetrahedron 41、1883、1985
【非特許文献5】Tetrahedron Letters 28、6053、1987
【非特許文献6】Synthetic Communications 20、2971、1990
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、末端にヘテロ芳香族置換基を有するα−アミノ酸の製造法のうち、1)は、高価なパラジウム触媒を使用しなければならない点や、原料となる光学活性プロパルギルグリシン誘導体を爆発性があるプロパルギルハライドから合成しなければならない、2)はL−アスパラギン酸からβ−ホルミル−α−アミノ酸を合成する際に、高価な還元剤を使用する点、Wittig反応の際に、高価なn−BuLiを塩基として用い、かつ−70℃と極低温条件下で実施しなければならない、3)に関しては、環境に好ましくない銅化合物を当量以上使用しなければならない、−40℃以下の極低温条件下で実施しなければならない、など工業的規模での実施には多くの課題がある。4)は、プリン骨格のN上にα−アミノ酸骨格を導入する限定的な方法であり、かつ使用されるα−アミノ酸誘導体はラセミ体である。
【0008】
末端にハロゲン基をもつα−アミノ酸誘導体への有機銅試薬を用いたアルキル基導入法5)は、環境に好ましくない銅化合物を当量以上使用する必要があり、6)に関しては使用されるα−アミノ酸誘導体はラセミ体に限定されている。
【0009】
また、上記ヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステルの製造法は、発火性がある水素化ナトリウムを必要とし、かつ反応中に水素が発生するなど、工業的規模での製造には安全上問題がある。
【0010】
また、ヘテロ芳香族化合物へアルキル置換基を導入する公知方法は、非キラルな置換基の導入法に限られており、光学活性置換基の導入は、光学純度の低下の問題など、解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、医薬品分野等で重要な中間体である末端にヘテロ芳香族基を有する光学活性α-アミノ酸誘導体の製造に関して、上に述べた従来法の諸問題を鑑み、工業的に取扱いが容易で、かつ安価に入手可能な原料、試剤のみを用いて大規模でも安全に操作することが可能な方法を鋭意検討した結果、末端にハロゲン等脱離基を有する光学活性アミノ酸誘導体とヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステル誘導体のカップリング反応により、モノアミノトリエステル誘導体を製造し、得られたモノアミノトリエステル誘導体のエステル基の加水分解、脱炭酸という、極めて容易な方法で、光学純度をほとんど低下させることなく末端にヘテロ芳香族基を有する光学活性α-アミノ酸誘導体を製造する新規な方法を開発するに至った。例えば、本発明により製造可能な(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸のニトロ基を還元すれば、血液抗凝固薬中間体を製造できる。
【0012】
さらに、本発明において重要な中間体であるヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステル類の製造法として従来法よりも安全な無機塩基を使用する新規な方法を開発した。
【0013】
すなわち、本発明は、一般式(1);
【0014】
【化10】

(式中、Aは置換基を有していてもよい1〜3環式へテロ芳香族を表わす。R1は炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)で表わされる化合物を、一般式(2);
【0015】
【化11】

(式中、X1はハロゲン原子、スルホニルオキシ基、ホスホリルオキシ基を表わす。Protは炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、または、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアシル基を表わす。R2は水素または炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。nは1〜5の整数を表わす。*は不斉炭素を表わす。)
で表わされる化合物と塩基存在下で反応させることを特徴とする一般式(3);
【0016】
【化12】

(式中、A、R1、R2、Prot、n、*は前記に同じ。)で表わされるモノアミノトリエステル誘導体の製造法である。
【0017】
また、本発明は、一般式(6);
AX2 (6)
(式中、Aは前記に同じ。X2はハロゲン原子を表わす。)で表わされる化合物と、一般式(7);
CH2(COOR12 (7)
(式中、R1は前記に同じ。)で表わされる化合物を、無機塩基存在下で反応させることを特徴とする、前記式(1)で表わされるジエステル誘導体の製造法である。
【0018】
また、本発明は、前記式(3)で表わされるモノアミノトリエステル誘導体を、加水分解することにより、一般式(4);
【0019】
【化13】

(式中、A、Prot、n、*は前記に同じ。)で表わされるモノアミノトリカルボン酸誘導体に導き、次に、酸処理することによる一般式(5);
【0020】
【化14】

(式中、A、Prot、n、*は前記に同じ。)で表わされるアミノ酸誘導体の製造法である。
【0021】
また、本発明は、一般式(8);
【0022】
【化15】

(式中、A、R1、Prot、R2、*は前記に同じ。)で表わされる光学活性モノアミノトリエステル誘導体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、重要な中間体化合物である光学活性モノアミノトリエステル誘導体、さらには医薬分野をはじめ多方面において製造上重要な中間体α-アミノ酸を簡便な方法で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明を詳述する。
【0025】
まず、下記一般式(1);
【0026】
【化16】

で表わされるヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステル誘導体と、下記一般式(2);
【0027】
【化17】

で表わされるα−アミノ酸誘導体を塩基存在下で反応させることにより、下記一般式(3);
【0028】
【化18】

で表わされるモノアミノトリエステル誘導体を製造する工程について述べる。
【0029】
本工程で使用されるヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステルは、公知技術として知られている方法(たとえば、Synthetic Communications 20、2971、1990)で合成することもできるし、後で述べるように本発明による方法でも合成可能である。
【0030】
式(1)中、Aは置換基を有していてもよい1〜3環式へテロ芳香族を表わし、環を形成するヘテロ原子の種類および数は1つ以上であればよく、また、環の大きさ、つまり、環を形成する全原子数は、特に制限されるものではない。具体的には例えば、3−ニトロ−2−ピリジル基、4−ニトロ−2−ピリジル基、5−ニトロ−2−ピリジル基、2−ニトロ−3−ピリジル基、4−ニトロ−3−ピリジル基、5−ニトロ−3−ピリジル基、3−シアノ−2−ピリジル基、4−シアノ−2−ピリジル基、5−シアノ−2−ピリジル基、2−シアノ−3−ピリジル基、4−シアノ−3−ピリジル基、5−シアノ−3−ピリジル基、4−メチル−3−ニトロ−2−ピリジル基、3−メチル−4−ニトロ−2−ピリジル基、3−メチル−5−ニトロ−2−ピリジル基、4−メチル−2−ニトロ−3−ピリジル基、2−メチル−4−ニトロ−3−ピリジル基、2−メチル−5−ニトロ−3−ピリジル基、3−メチル−2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、2−メチル−3−ピリジル基、4−メチル−3−ピリジル基、5−メチル−3−ピリジル基、4−メチル−3−シアノ−2−ピリジル基、3−メチル−4−シアノ−2−ピリジル基、3−メチル−5−シアノ−2−ピリジル基、4−メチル−2−シアノ−3−ピリジル基、2−メチル−4−シアノ−3−ピリジル基、2−メチル−5−シアノ−3−ピリジル基、4−メトキシ−3−ニトロ−2−ピリジル基、3−メトキシ−4−ニトロ−2−ピリジル基、3−メトキシ−5−ニトロ−2−ピリジル基、4−メトキシ−2−ニトロ−3−ピリジル基、2−メトキシ−4−ニトロ−3−ピリジル基、2−メトキシ−5−ニトロ−3−ピリジル基、3−ニトロ−2−ピロイル基、4−ニトロ−2−ピロイル基、5−ニトロ−2−ピロイル基、3−メチル−5−ニトロ−4−ピロイル基、4−メチル−3−ニトロ−2−ピロイル基、3−メチル−4−ニトロ−2−ピロイル基、3−メチル−5−ニトロ−2−ピロイル基、4−メチル−2−ニトロ−3−ピロイル基、2−メチル−4−ニトロ−3−ピロイル基、2−メチル−5−ニトロ−3−ピロイル基、3−メチル−2−ピロイル基、4−メチル−2−ピロイル基、5−メチル−2−ピロイル基、4−ニトロ−2−イミダゾイル基、5−ニトロ−2−イミダゾイル基、2−ニトロ−4−イミダゾイル基、2−ニトロ−5−イミダゾイル基、4−ニトロ−5−イミダゾイル基、5−ニトロ−4−イミダゾイル基、5−メチル−4−ニトロ−2−イミダゾイル基、4−メチル−5−ニトロ−2−イミダゾイル基、5−メチル−2−ニトロ−4−イミダゾイル基、4−メチル−2−ニトロ−5−イミダゾイル基、2−メチル−4−ニトロ−5−イミダゾイル基、2−メチル−5−ニトロ−4−イミダゾイル基、4−メチル−2−イミダゾイル基、5−メチル−2−イミダゾイル基、2−メチル−4−イミダゾイル基、2−メチル−5−イミダゾイル基、4−メチル−5−イミダゾイル基、5−メチル−4−イミダゾイル基、4−フルオロ−2−イミダゾイル基、5−フルオロ−2−イミダゾイル基、2−フルオロ−4−イミダゾイル基、2−フルオロ−5−イミダゾイル基、4−フルオロ−5−イミダゾイル基、5−フルオロ−4−イミダゾイル基、1−メチル−4−ニトロ−3−ピラゾイル基、1−メチル−5−ニトロ−3−ピラゾイル基、1−メチル−3−ニトロ−4−ピラゾイル基、1−メチル−3−ニトロ−5−ピラゾイル基、1、5−ジメチル−4−ニトロ−3−ピラゾイル基、1、4−ジメチル−5−ニトロ−3−ピラゾイル基、1、5−ジメチル−3−ニトロ−4−ピラゾイル基、1、4−ジメチル−3−ニトロ−5−ピラゾイル基、5−ニトロ−2−フリル基、4−メチル−2−ニトロ−3−フリル基、2−メチル−4−ニトロ−3−フリル基、3−メチル−5−ニトロ−3−フリル基、4−メチル−3−ニトロ−2−フリル基、3−メチル−4−ニトロ−2−フリル基、3−メチル−5−ニトロ−2−フリル基、4−メチル−2−ニトロ−3−フリル基、2−メチル−4−ニトロ−3−フリル基、2−メチル−5−ニトロ−3−フリル基、3−メチル−2−フリル基、4−メチル−2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、5−ニトロ−2−チエニル基、4−メチル−2−ニトロ−3−チエニル基、2−メチル−4−ニトロ−3−チエニル基、3−メチル−5−ニトロ−3−チエニル基、4−メチル−3−ニトロ−2−チエニル基、3−メチル−4−ニトロ−2−チエニル基、3−メチル−5−ニトロ−2−チエニル基、4−メチル−2−ニトロ−3−チエニル基、2−メチル−4−ニトロ−3−チエニル基、2−メチル−5−ニトロ−3−チエニル基、3−メチル−2−チエニル基、4−メチル−2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、3−ニトロ−2−ピラジニル基、5−ニトロ−2−ピラジニル基、6−ニトロ−2−ピラジニル基、2−ニトロ−3−ピラジニル基、5−メチル−3−ニトロ−2−ピラジニル基、3−メチル−5−ニトロ−2−ピラジニル基、3−メチル−6−ニトロ−2−ピラジニル基、5−メチル−2−ニトロ−3−ピラジニル基、3−メチル−2−ピラジニル基、5−メチル−2−ピラジニル基、6−メチル−2−ピラジニル基、4−ニトロ−2−ピリミジニル基、5−ニトロ−2−ピリミジニル基、6−ニトロ−2−ピリミジニル基、2−ニトロ−4−ピリミジニル基、2−ニトロ−5−ピリミジニル基、4−ニトロ−5−ピリミジニル基、4−ニトロ−6−ピリミジニル基、5−ニトロ−4−ピリミジニル基、5−メチル−4−ニトロ−2−ピリミジニル基、4−メチル−5−ニトロ−2−ピリミジニル基、4−メチル−6−ニトロ−2−ピリミジニル基、5−メチル−2−ニトロ−4−ピリミジニル基、4−メチル−2−ニトロ−5−ピリミジニル基、5−メチル−2−ニトロ−6−ピリミジニル基、2−メチル−4−ニトロ−5−ピリミジニル基、2−メチル−4−ニトロ−6−ピリミジニル基、2−メチル−5−ニトロ−4−ピリミジニル基、2−メチル−5−ニトロ−6−ピリミジニル基、4−ニトロ−2−ピリミジニル基、5−ニトロ−2−ピリミジニル基、6−メチル−2−ピリミジニル基、2−メチル−4−ピリミジニル基、2−メチル−5−ピリミジニル基、4−メチル−5−ピリミジニル基、4−メチル−6−ピリミジニル基、5−メチル−4−ピリミジニル基、4−ニトロ−3−ピリダジニル基、5−ニトロ−3−ピリダジニル基、6−ニトロ−3−ピリダジニル基、3−ニトロ−4−ピリダジニル基、3−ニトロ−5−ピリダジニル基、5−ニトロ−4−ピリダジニル基、4−メチル−3−ピリダジニル基、5−メチル−3−ピリダジニル基、6−メチル−3−ピリダジニル基、3−メチル−4−ピリダジニル基、3−メチル−5−ピリダジニル基、5−メチル−4−ピリダジニル基、3−ニトロ−2−キノリル基、4−ニトロ−2−キノリル基、5−ニトロ−2−キノリル基、6−ニトロ−2−キノリル基、7−ニトロ−2−キノリル基、8−ニトロ−2−キノリル基、2−ニトロ−3−キノリル基、4−ニトロ−3−キノリル基、5−ニトロ−3−キノリル基、6−ニトロ−3−キノリル基、7−ニトロ−3−キノリル基、8−ニトロ−3−キノリル基、2−ニトロ−4−キノリル基、3−ニトロ−4−キノリル基、5−ニトロ−4−キノリル基、6−ニトロ−4−キノリル基、7−ニトロ−4−キノリル基、8−ニトロ−4−キノリル基、3−メチル−2−キノリル基、4−メチル−2−キノリル基、5−メチル−2−キノリル基、6−メチル−2−キノリル基、7−メチル−2−キノリル基、8−メチル−2−キノリル基、2−メチル−3−キノリル基、4−メチル−3−キノリル基、5−メチル−3−キノリル基、6−メチル−3−キノリル基、7−メチル−3−キノリル基、8−メチル−3−キノリル基、2−メチル−4−キノリル基、3−メチル−4−キノリル基、5−メチル−4−キノリル基、6−メチル−4−キノリル基、7−メチル−4−キノリル基、8−メチル−4−キノリル基などであるが、好ましくは、少なくとも1つのニトロ基を有するヘテロ芳香族であり、具体的には3−ニトロ−2−ピリジル基、4−ニトロ−2−ピリジル基、5−ニトロ−2−ピリジル基、2−ニトロ−3−ピリジル基、4−ニトロ−3−ピリジル基、5−ニトロ−3−ピリジル基であり、更に好ましくは5−ニトロ−2−ピリジル基である。
【0031】
1はアルキル基、アラルキル基、アリール基を表わす。各々について詳細に説明する。以下、本明細書中に示す炭素数については、置換基の炭素数は含まない値である。
【0032】
アルキル基としては、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のものを示し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。アラルキル基としては、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のものを示し、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、2−メトキシベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−(4−メチルフェニル)エチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基等を挙げることができる。アリール基としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のものを示し、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−フェニルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基などを挙げることができる。好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0033】
次に、式(2)に関してであるが、これは公知技術として知られている方法(たとえば、J.Org.Chem.68、50、2003、Tetrahedron41、1833、1985、Tetrahedron Letters 44、5251、2003、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 14、2427、2004 など)で合成することができる。
【0034】
式(2)中、X1はハロゲン原子、スルホニルオキシ基、ホスホリルオキシ基を表わし、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。スルホニルオキシ基としては、たとえばメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、m−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、フルオロスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などを表わす。ホスホリルオキシ基としては例えば、メチルホスホリルオキシ基、エチルホスホリルオキシ基、フェニルホスホリルオキシ基などを表わす。好ましくはハロゲン原子、スルホニルオキシ基であり、さらに好ましくはハロゲン原子としては臭素原子、ヨウ素原子スルホニルオキシ基としてはメタンスルホニルオキシ基である。
【0035】
式中、Protは炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、または、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアシル基を表わす。アルキルオキシカルボニル基としては、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基オキシカルボニル基があげられ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基などを挙げることができる。アラルキルオキシカルボニル基としては炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基オキシカルボニル基があげられ、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、1−フェニルエチルオキシカルボニル基、2−フェニルエチルオキシカルボニル基、4−メチルベンジルオキシカルボニル基、3−メチルベンジルオキシカルボニル基、2−メチルベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、3−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2−メトキシベンジルオキシカルボニル基、4−クロロベンジルオキシカルボニル基、3−クロロベンジルオキシカルボニル基、2−クロロベンジルオキシカルボニル基、4−シアノベンジルオキシカルボニル基、3−シアノベンジルオキシカルボニル基、2−シアノベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメチルベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジメチルベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、1−フェニルプロピルオキシカルボニル基、2−フェニルプロピルオキシカルボニル基、3−フェニルプロピルオキシカルボニル基などを挙げることができる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素数6〜20の無置換もしくは置換のアリール基オキシカルボニル基を示し、例えば、フェニルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルフェニルオキシカルボニル基、3−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基、3−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、4−ニトロフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、2−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、4−ブロモフェニルオキシカルボニル基、3−ブロモフェニルオキシカルボニル基、2−ブロモフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、2−シアノフェニルオキシカルボニル基、などを挙げることができる。アシル基としては、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のものを示し、たとえば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、ピバロイル基、ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ベンゾイル基、4−メチルフェニルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基などを挙げることができる。
【0036】
これらのうち、Protとして好ましいのはアルキルオキシカルボニル基およびアラルキルオキシカルボニル基であり、特に好ましいのはアルキルオキシカルボニル基としてはtert−ブチルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基としてはベンジルオキシカルボニル基である。
【0037】
また、式中R2は水素、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。アルキル基としては、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のものを示し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。アラルキル基としては、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のものを示し、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、2−メトキシベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−(4−メチルフェニル)エチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基等を挙げることができる。アリール基としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のものを示し、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−フェニルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基などを挙げることができる。
【0038】
これらのうち、R2として好ましいのはアルキル基およびアラルキル基であり、特に好ましいのはアルキル基としてはメチル基、エチル基、アラルキル基としてはベンジル基である。
【0039】
nは1〜5の整数を表わす。好ましくは2である。
【0040】
*で表わされる不斉炭素はS体の絶対配置を有するものであってもよいし、R体の絶対配置を有するものであってもよい。
【0041】
式(2)で表わされる化合物の使用量は式(1)に対し、任意のモル当量で構わないが、好ましくは0.5〜3.0モル当量、さらに好ましくは0.8〜1.2当量である。
【0042】
使用される塩基としては、特に限定されず、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドのような有機塩基や、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの無機塩基を挙げることが出来るが、通常無機塩基の方が、生成する(3)の光学純度低下を効果的に抑制することが出来る点で好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムがとりわけ好ましい。
【0043】
塩基の使用量は、ヘテロ芳香族置換マロン酸ジエステル誘導体(1)に対して1.0〜5.0モル当量であり、好ましくは1.0〜3.0モル当量である。
【0044】
本工程において用いられる反応溶媒は、特に限定されないが、非プロトン性溶媒の使用が好ましい。非プロトン性溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、メチルtert―ブチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒等、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒を挙げることができるが、好ましくはアセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)である。なお、これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
反応温度は、通常、20℃〜120℃の範囲であり、使用する塩基、溶媒の種類により好ましい反応温度は異なるが、50℃〜100℃が好ましい。
【0046】
本工程で反応を行った後、生成物(3)は酢酸エチル、エ―テル、ヘキサン、トルエンなどの有機溶媒から抽出することにより得ることができる。
【0047】
また、必要に応じてクロマトグラフィー、結晶化、蒸留などの操作により精製単離することができる。また、精製することなく、次工程に供してもよい。
【0048】
次に、式(3)で表わされるモノアミノトリエステル誘導体を加水分解して式(5);
【0049】
【化19】

で表されるアミノ酸誘導体(5)を製造する工程について述べる。式(3)、(5)においてA、R1,R2,Prot、n、*は前記に同じである。
【0050】
エステル基の加水分解は、通常エステルを加水分解する条件で行えばよく、アルカリ加水分解、または酸加水分解を実施すればよいが、特に好ましくはアルカリ加水分解である。使用される塩基としては、特に限定されないが、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムが挙げられるが、特に好ましくは金属水酸化物であり、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0051】
使用される塩基の量は、化合物(3)に対し、1.0〜16.0モル当量であり、好ましくは3.0〜9.0モル当量である。
【0052】
反応溶媒としては特に限定されず、水、あるいは水と有機溶媒の混合溶媒中で実施される。有機溶媒としては例えばベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン、DMSO、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ルが挙げられるが、特に好ましいのは水/メタノール、水/エタノール溶媒である。
【0053】
反応温度は通常、−20℃〜60℃の範囲であり、使用する塩基、溶媒の種類により好ましい反応温度は異なるが、0℃〜40℃が好ましい。
【0054】
かくして得られる式(4);
【0055】
【化20】

で表されるモノアミノトリカルボン酸(4)は特に単離することなく、加水分解反応溶液に酸を添加し、反応溶液を酸性にすることによりα−アミノ酸誘導体(5)に変換される。式(4)においてA,Prot、n、*は前記に同じである。使用される酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等をあげることができ、特に好ましくは塩酸である。
【0056】
酸で調整される好ましい反応溶液の液性、すなわちpHは7.0未満であれば特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0、特に好ましくは1.5〜4.0である。
【0057】
反応温度は通常−20℃〜80℃の範囲であり、好ましくは0℃〜50℃である。
【0058】
生成物(5)は酢酸エチル、エーテル、トルエン、ヘキサンなどの有機溶媒から抽出することにより得ることができ、必要に応じてクロマトグラフィー、結晶化、蒸留などの操作により精製単離することができる。
【0059】
また、化合物(1)と化合物(2)の反応により化合物(3)を製造する工程と化合物(3)から化合物(4)を経て化合物(5)を製造する工程は、上述のようにそれぞれ独立に行うことができるが、必要に応じて連続的に実施することもできる。すなわち、式(1)で表わされる化合物と式(2)で表わされる化合物から式(3)で表わされる化合物に導いた後、反応溶液中に上述のように、酸または塩基を添加して、エステル基の加水分解を行い、続いて酸処理を施せばよい。ここで、連続的に実施する場合の化合物(3)から化合物(4)を経て化合物(5)へ導く工程に関する実施形態は上述のとおりである。
【0060】
かくして得られた末端にヘテロ芳香族置換基を有する光学活性α−アミノ酸は医薬品分野等で重要な中間体となる。なかでも、化合物(5)においてAが少なくとも1つのニトロ基を有するヘテロ芳香族である場合、ニトロ基を還元し、汎用な医薬中間体である一般式(9);
【0061】
【化21】

で表される化合物を得ることができる。式(9)においてBは、少なくとも1つのアミノ基を有し、他の置換基を有していてもよい1〜3環式ヘテロ芳香族であり、環を形成するヘテロ原子の種類および数は1つ以上であればよく、また、環の大きさ、つまり、環を形成する全原子数は、特に制限されるものではない。具体的には例えば、3−アミノ−2−ピリジル基、4−アミノ−2−ピリジル基、5−アミノ−2−ピリジル基、2−アミノ−3−ピリジル基、4−アミノ−3−ピリジル基、5−アミノ−3−ピリジル基、3−アミノ−4−メチル−2−ピリジル基、4−アミノ−3−メチル−2−ピリジル基、5−アミノ−3−メチル−2−ピリジル基、2−アミノ−4−メチル−3−ピリジル基、4−アミノ−2−メチル−3−ピリジル基、5−アミノ−2−メチル−3−ピリジル基、3−アミノ−4−メトキシ−2−ピリジル基、4−アミノ−3−メトキシ−2−ピリジル基、5−アミノ−3−メトキシ−2−ピリジル基、2−アミノ−4−メトキシ−3−ピリジル基、4−アミノ−2−メトキシ−3−ピリジル基、5−アミノ−2−メトキシ−3−ピリジル基、3−アミノ−2−ピロイル基、4−アミノ−2−ピロイル基、5−アミノ−2−ピロイル基、5−アミノ−3−メチル−4−ピロイル基、3−アミノ−4−メチル−2−ピロイル基、4−アミノ−3−メチル−2−ピロイル基、5−アミノ−3−メチル−2−ピロイル基、2−アミノ−4−メチル−3−ピロイル基、4−アミノ−2−メチル−3−ピロイル基、5−アミノ−2−メチル−3−ピロイル基、4−アミノ−2−イミダゾイル基、5−アミノ−2−イミダゾイル基、2−アミノ−4−イミダゾイル基、2−アミノ−5−イミダゾイル基、4−アミノ−5−イミダゾイル基、5−アミノ−4−イミダゾイル基、4−アミノ−5−メチル−2−イミダゾイル基、5−アミノ−4−メチル−2−イミダゾイル基、2−アミノ−5−メチル−4−イミダゾイル基、2−アミノ−4−メチル−5−イミダゾイル基、4−アミノ−2−メチル−5−イミダゾイル基、5−アミノ−2−メチル−4−イミダゾイル基、4−アミノ−1−メチル−3−ピラゾイル基、5−アミノ−1−メチル−3−ピラゾイル基、3−アミノ−1−メチル−4−ピラゾイル基、3−アミノ−1−メチル−5−ピラゾイル基、4−アミノ−1、5−ジメチル−3−ピラゾイル基、5−アミノ−1、4−ジメチル−3−ピラゾイル基、3−アミノ−1、5−ジメチル−4−ピラゾイル基、3−アミノ−1、4−ジメチル−5−ピラゾイル基、5−アミノ−2−フリル基、2−アミノ−4−メチル−3−フリル基、4−アミノ−2−メチル−3−フリル基、5−アミノ−3−メチル−3−フリル基、3−アミノ−4−メチル−2−フリル基、4−アミノ−3−メチル−2−フリル基、5−アミノ−3−メチル−2−フリル基、2−アミノ−4−メチル−3−フリル基、4−アミノ−2−メチル−3−フリル基、5−アミノ−2−メチル−3−フリル基、5−アミノ−2−チエニル基、2−アミノ−4−メチル−3−チエニル基、4−アミノ−2−メチル−3−チエニル基、5−アミノ−3−メチル−3−チエニル基、3−アミノ−4−メチル−2−チエニル基、4−アミノ−3−メチル−2−チエニル基、5−アミノ−3−メチル−2−チエニル基、2−アミノ−4−メチル−3−チエニル基、4−アミノ−2−メチル−3−チエニル基、5−アミノ−2−メチル−3−チエニル基、3−アミノ−2−ピラジニル基、5−アミノ−2−ピラジニル基、6−アミノ−2−ピラジニル基、2−アミノ−3−ピラジニル基、3−アミノ−5−メチル−2−ピラジニル基、5−アミノ−3−メチル−2−ピラジニル基、6−アミノ−3−メチル−2−ピラジニル基、2−アミノ−5−メチル−3−ピラジニル基、4−アミノ−2−ピリミジニル基、5−アミノ−2−ピリミジニル基、6−アミノ−2−ピリミジニル基、2−アミノ−4−ピリミジニル基、2−アミノ−5−ピリミジニル基、4−アミノ−5−ピリミジニル基、4−アミノ−6−ピリミジニル基、5−アミノ−4−ピリミジニル基、4−アミノ−5−メチル−2−ピリミジニル基、5−アミノ−4−メチル−2−ピリミジニル基、6−アミノ−4−メチル−2−ピリミジニル基、2−アミノ−5−メチル−4−ピリミジニル基、2−アミノ−4−メチル−5−ピリミジニル基、2−アミノ−5−メチル−6−ピリミジニル基、4−アミノ−2−メチル−5−ピリミジニル基、4−アミノ−2−メチル−6−ピリミジニル基、5−アミノ−2−メチル−4−ピリミジニル基、5−アミノ−2−メチル−6−ピリミジニル基、4−アミノ−2−ピリミジニル基、5−アミノ−2−ピリミジニル基、4−アミノ−3−ピリダジニル基、5−アミノ−3−ピリダジニル基、6−アミノ−3−ピリダジニル基、3−アミノ−4−ピリダジニル基、3−アミノ−5−ピリダジニル基、5−アミノ−4−ピリダジニル基、3−アミノ−2−キノリル基、4−アミノ−2−キノリル基、5−アミノ−2−キノリル基、6−アミノ−2−キノリル基、7−アミノ−2−キノリル基、8−アミノ−2−キノリル基、2−アミノ−3−キノリル基、4−アミノ−3−キノリル基、5−アミノ−3−キノリル基、6−アミノ−3−キノリル基、7−アミノ−3−キノリル基、8−アミノ−3−キノリル基、2−アミノ−4−キノリル基、3−アミノ−4−キノリル基、5−アミノ−4−キノリル基、6−アミノ−4−キノリル基、7−アミノ−4−キノリル基、8−アミノ−4−キノリル基などであるが、好ましくは3−アミノ−2−ピリジル基、4−アミノ−2−ピリジル基、5−アミノ−2−ピリジル基、2−アミノ−3−ピリジル基、4−アミノ−3−ピリジル基、5−アミノ−3−ピリジル基であり、更に好ましくは5−アミノ−2−ピリジル基である。
【0062】
Prot、n,*は前記に同じである。
【0063】
ニトロ基の還元法としては、公知技術(たとえば、ハンドブック オブ へテロジニアス キャタリティック ハイドロジェネーション フォー オーガニック シンセシス)により容易にアミノ基に変換可能であり、例えば、ラネーニッケル、酸化白金、Ptカーボン、Pdカーボン、Ruカーボン、Pd−BaSO4、Pd−CaCO3、Rh−Al23、Osカーボン、PtS2カーボン触媒存在下で、水素源として水素分子を用いた接触水素化や、ギ酸、ギ酸アンモニウム、テトラヒドロナフタレン、シクロヘキサジエンを水素源とする水素移動型還元や、スズや亜鉛等を用いた還元が挙げられる。
【0064】
次に、式(6);
AX2 (6)
で表わされるヘテロ芳香族ハロゲン化物と、式(7);
CH2(COOR12 (7)
で表わされるマロン酸ジエステル誘導体を無機塩基の存在下、反応させる方法について述べる。
【0065】
式(6)、(7)中、A、R1は前記に同じである。X2はハロゲン原子を表わし、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であるが、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、特に好ましくは塩素原子、臭素原子である。
【0066】
式中R1は前記に同じである。
【0067】
マロン酸ジエステル誘導体(7)の使用量としては、化合物(6)に対し、通常0.5〜4.0モル当量であり、特に好ましいのは1.0〜3.0モル当量である。
【0068】
使用される無機塩基としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどを挙げることができ、好ましくは炭酸塩であり、さらに好ましくは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムであり、さらに好ましくは炭酸カリウムである。
【0069】
使用される上記塩基の量は、化合物(6)に対し、通常0.5〜10.0モル当量であり、好ましくは1.0〜5.0モル当量である。
【0070】
反応温度は、通常0℃〜120℃の範囲で、後述する溶媒の種類により好ましい反応温度は異なるが、20℃〜100℃が好ましい。
【0071】
本工程において用いられる反応溶媒は、特に限定されないが、非プロトン性溶媒の使用が好ましい。非プロトン性溶媒としては。たとえば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、メチルtert―ブチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プリピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、アセトン、2−ブタノンなどのケトン系溶媒等を挙げることができるが、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)、アセとニトリルである。なお、これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0072】
本工程で反応を行った後、生成物(1)は酢酸エチル、エ―テル、ヘキサン、トルエンなどの有機溶媒から抽出することにより得ることができる。
【0073】
また、必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶化、蒸留などの操作により精製単離することができる。また、精製することなく、次工程に供してもよい。
【0074】
再結晶化に用いる溶媒としては化合物により異なるため特に制限はなく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、ジメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アセトン、DMF、DMSO、NMP、およびこれら2種以上の混合溶媒などを挙げることができる。
【0075】
また、化合物(6)と化合物(7)の反応により化合物(1)を製造する工程と化合物(1)と化合物(2)の反応により化合物(3)を製造する工程は、上述のようにそれぞれ独立に行うことができるが、必要に応じて連続的に実施することもできる。すなわち、式(6)で表わされる化合物と式(7)で表わされる化合物から式(1)で表わされる化合物に導いた後、反応溶液中に上述のように、化合物(2)を加え、さらに反応を続ければよい。ここで、連続的に実施する場合の化合物(1)と化合物(2)を反応させて化合物(3)を製造する工程に関する実施形態は上述のとおりである。
【0076】
次に、下記式(8);
【0077】
【化22】

で表わされる光学活性モノアミノトリエステル誘導体について述べる。式中、Aは前記に同じであり、好ましくは3−ニトロ−2−ピリジル基、4−ニトロ−2−ピリジル基、5−ニトロ−2−ピリジル基、2−ニトロ−3−ピリジル基、4−ニトロ−3−ピリジル基、5−ニトロ−3−ピリジル基であり、更に好ましくは5−ニトロ−2−ピリジル基である。
【0078】
式中R1は前記に同じである。式中R2は前記に同じである。Protは前記に同じであり、好ましいのはアルキルオキシカルボニル基およびアラルキルオキシカルボニル基であり、特に好ましいのはアルキルオキシカルボニル基としてはtert−ブチルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基としてはベンジルオキシカルボニル基である。
【0079】
*で表わされる不斉炭素はS体の絶対配置を有するものであってもよいし、R体の絶対配置を有するものであってもよい。式(8)で表される化合物は本発明者らによって医薬中間体として有用性が見出された新規化合物である。特に*がS体の絶対配置を有する化合物(8)は本発明者らによって血液抗凝固薬中間体としての用途が見出された有用な新規化合物である。
【実施例】
【0080】
以下に例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル
窒素雰囲気下、マロン酸ジメチル7.93g(60mmol)、2−クロロ−5−ニトロピリジン7.93g(50mmol)、炭酸カリウム13.82g(100mmol)、アセトニトリル80mlからなる混合物を80℃で27時間反応させた。反応終了後、トルエン80ml、水80mlを加え、濃塩酸で水相をpH=8.1に調整し、生成物をトルエン抽出した。有機相を水40mlで洗浄後、減圧濃縮した。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間6.5分)にて定量分析を行い、表題化合物を6.88g(収率54%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ3.82(s,6H),5.11(s,1H),7.76(d,1H, J=8.5Hz),8.51−8.56(m,1H),9.38(d,1H, J=2.7Hz)。
【0082】
(実施例2)(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル
窒素雰囲気下、マロン酸ジメチル7.93g(60mmol)、2−クロロ−5−ニトロピリジン7.93g(50mmol)、炭酸カリウム13.82g(100mmol)、DMF80mlからなる混合物を65℃で24時間反応させた。反応終了後、トルエン80ml、水80mlを加え、濃塩酸で水相をpH=8.2に調整し、生成物をトルエン抽出した。有機相を水40mlで洗浄後、減圧濃縮した。HPLC(分析条件は実施例1に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を9.78g(収率77%)得た。
【0083】
(実施例3)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸ナトリウム0.233g(2.2mmol)、DMF3ml混合物を60℃で22時間反応させた。反応終了後、水3mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間18.9分)にて定量分析を行い、表題化合物を0.299g(収率64%)得た。光学純度99.6%ee(HPLC;カラム:キラルパックAD−H ダイセル社、移動相:n−ヘキサン/イソプロパノ−ル=7:3、流速:0.7mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間(S)23.6分、(R)22.0分)1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.44(s,9H),1.72−1.76(m,2H),2.45−2.49(m,2H),3.72(S,3H),3.78(s,6H),4.22−4.28(m,1H),5.22(brs,1H),7.85−7.97(m, 1H),8.46−8.49(m, 1H),9.34−9.35(m、1H)。
(実施例4)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.304g(2.2mmol)、DMF3ml混合物を50℃で30時間反応させた。反応終了後、水3mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.310g(収率66%)得た。光学純度100%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例5)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸水素カリウム0.100g(1.0mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム0.033g(0.1mmol)、トルエン2ml、水2mlからなる混合物を60℃で41時間反応させた。反応終了後、トルエン相を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.244g(収率52%)得た。
(実施例6)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル3.95g(15.2mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル4.84g(15.2mmol)、水素化ナトリウム(60%)0.67g(16.7mmol)、DMF50mlからなる混合物を80℃で13時間反応させた。反応終了後、飽和食塩水50mlを加え、反応を停止し、生成物を酢酸エチル抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を6.34g得た。HPLC(測定条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を4.21g(収率59%)得た。光学純度77.4%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例7)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−メタンスルホニルオキシブタン酸メチル0.311g(1.0mmol)、水素化ナトリウム(60%)0.04g(1.0mmol)、NaI0.15g(1.0mmol)、DMF4mlからなる混合物を60℃で20時間反応させた。反応終了後、トルエン相を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.19g(収率42%)得た。光学純度99.1%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例8)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.304g(2.2mmol)、アセトニトリル3ml混合物を60℃で22時間反応させた。反応終了後、水3mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.238g(収率51%)得た。光学純度99.3%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例9)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
2−クロロ−5−ニトロピリジン0.159g(1.0mmol)、マロン酸ジメチル0.158g(1.2mmol)、炭酸カリウム0.414g(3.0mmol)、DMF5mlからなる混合物を80℃で19時間反応させた。反応液を60℃に冷却し、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル0.412g(1.2mmol)を加え、60℃で10時間反応させた。反応終了後、水5mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.240g(収率51%)得た。
(実施例10)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.276g(2.0mmol)、DMF3ml混合物を80℃で24時間反応させた。反応終了後、水3mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.094g(収率20%)得た。光学純度97.2%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例11)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.276g(2.0mmol)、NaI0.15g(1.0mmol)、DMF3ml混合物を50℃で24時間反応させた。反応終了後、水3mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析法は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.151g(収率32%)得た。光学純度99.4%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例12)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.276g(2.0mmol)、NaI0.30g(2.0mmol)、アセトン10ml混合物を50℃で24時間反応させた。反応終了後、水5mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.202g(収率43%)得た。光学純度99.6%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例13)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.276g(2.0mmol)、NaI0.15g(1.0mmol)、アセトニトリル5ml混合物を80℃で24時間反応させた。反応終了後、水5mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.277g(収率59%)得た。光学純度98.6%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例14)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.276g(2.0mmol)、NaI0.045g(0.3mmol)、アセトニトリル5ml混合物を80℃で24時間反応させた。反応終了後、水5mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.324g(収率69%)得た。光学純度99.2%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例15)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸セシウム0.652g(2.0mmol)、NaI0.150g(1.0mmol)、アセトニトリル5ml混合物を80℃で24時間反応させた。反応終了後、水5mlを加え、反応を停止、生成物を酢酸エチル抽出(10ml)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(分析条件は実施例3に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.305g(収率65%)得た。光学純度97.1%ee(測定法は実施例3に同じ)
(実施例16)2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル1.27g(5.0mmol)、2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル1.89g(5.0mmol)、水素化ナトリウム(60%)0.22g(5.5mmol)、DMF25mlからなる混合物を60℃で27時間反応させた。反応終了後、飽和食塩水50mlを加え、反応を停止し、生成物を酢酸エチル抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を3.00g得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間20.0分)にて定量分析を行い、表題化合物を1.57g(収率62%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.55−1.58(m,1H),1.77−1.79(m,1H),2.45−2.49(m,2H),3.73(S,3H),3.76(s,3H),3.77(s,3H),4.33−4.34(m,1H),5.11(s,2H),5.49−5.55(brs,1H),7.82(d,1H,J=8.5Hz),8.46(dd, 1H、J=2.7Hz,8.5Hz),9.33(d、1H,J=2.7Hz)。
(実施例17)(S)−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸ベンジル
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル2.09g(8.2mmol)、2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸ベンジル3.72g(8.2mmol)、水素化ナトリウム(60%)0.328g(8.2mmol)、DMF50mlからなる混合物を60℃で16時間反応させた。反応終了後、飽和食塩水50mlを加え、反応を停止し、生成物を酢酸エチル抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、油状物を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間28.3分)にて定量分析を行い、表題化合物を3.14g(収率66%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.64−1.79(m,2H),2.37−2.49(m,2H),3.74(S,3H),3.76(s,3H),4.37−4.38(m,1H),5.11−5.20(m,2H),5.55(brs,1H),7.33−7.36(m、10H)、7.76(d,1H,J=8.5Hz),8.41(dd, 1H、J=2.7Hz,8.5Hz),9.25(d、1H,J=2.7Hz)。
(実施例18)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸メチル1.18g(2.75mmol)のメタノール20ml溶液を氷冷し、1M水酸化ナトリウム水溶液13.8mlを添加した。滴下終了後、室温まで昇温し、12時間反応させた。次に、濃塩酸を加え、反応溶液をpH=3.0にし、3時間攪拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液でpH=12に調整し、酢酸エチル30mlを加えて、水相を分離した。水相に濃塩酸を加え、pH=4.0に再調整し、酢酸エチル50mlを加え、生成物を抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物を0.80g(収率86%)得た。光学純度99.2%ee(HPLC;カラム:キラルパックAD−H ダイセル社、移動相:n−ヘキサン/イソプロパノ−ル=7:3、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間(S)17.8分、(R)9.4分)1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.45(s、9H)、1.80−2.10(m,4H),2.99(t,2H,J=7.3Hz),4.37−4.38(m,1H),5.24−5.26(brs,1H),7.40(d,1H,J=8.5Hz),8.44(dd, 1H、J=2.7Hz,8.5Hz),9.40(d,1H,J=2.7Hz)。
(実施例19)(S)−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸
(S)−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−5,5−ビス(メトキシカルボニル)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸ベンジル0.25g(0.43mmol)のメタノール8ml溶液を氷冷し、1M水酸化ナトリウム水溶液4.0mlを添加した。滴下終了後、室温まで昇温し、12時間反応させた。次に、濃塩酸を加え、反応溶液をpH=3.0にし、12時間攪拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液でpH=12に調整し、酢酸エチル10mlを加えて、水相を分離した。水相に濃塩酸を加え、pH=4.0に再調整し、酢酸エチル50mlを加え、生成物を抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物を0.88g(収率68%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.84−2.02(m,4H)、2.97(t,2H,J=7.3Hz),4.45−4.48(m,1H),5.11(s,2H),5.52−5.54(brs,1H),7.32−7.38(m,6H),8.44(dd, 1H,J=2.7Hz,8.5Hz),9.37(d、1H,J=2.4Hz)。
(実施例20)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸
(5−ニトロ−2−ピリジル)マロン酸ジメチル0.254g(1.0mmol)、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ブロモブタン酸メチル0.343g(1.0mmol)、炭酸カリウム0.276g(2.0mmol)、NaI0.045g(0.3mmol)、アセトニトリル5ml混合物を80℃で18時間反応させた。反応終了後、30wt%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH=15に調整し、室温で5時間反応させた。次に、濃塩酸を添加し、pH=3.0とし、室温で2時間攪拌した。酢酸エチル30mlを加えて、生成物を抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、HPLC(分析条件は実施例18に同じ)にて定量分析を行い表題化合物を0.235g(収率50%)得た。光学純度99.0%ee(測定法は実施例17に同じ)
(実施例21)(S)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸0.20g(0.59mmol)、酸化白金0.02g、メタノール5ml溶液を水素1気圧下、室温で7時間反応させた。反応後、酸化白金をろ過により除去、母液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/3、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間3.8分)にて定量分析を行い、表題化合物を0.173g(収率95%)得た。1H−NMR(400MHz,D2O)δ1.25(s,9H)、1.40−1.69(m,4H)、2.73(t,2H,J=6.8Hz),3.64−3.87(m,1H),7.39−7.41(m,1H),7.54−7.57(m, 1H),7.75−7.76(m,1H)。
(実施例22)(S)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸0.20g(0.59mmol)、Pd(5%)カーボン0.052g、メタノール5ml溶液を水素1気圧下、70℃で8時間反応させた。反応後、Pdカーボンをろ過により除去、母液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。HPLC(分析条件は実施例21に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.177g(収率97%)得た。
(実施例23)(S)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸7.16g(21.0mmol)、Pd(5%)カーボン1.43g、イソプロパノ−ル70ml溶液を水素1気圧下、室温で20時間反応させた。反応後、Pdカーボンをろ過により除去、母液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。HPLC(分析条件は実施例21に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を6.44g(収率99%)得た。
(実施例24)(S)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸0.20g(0.59mmol)、Pt(2%)カーボン0.052g、メタノール5ml溶液を水素1気圧下、室温で8時間反応させた。反応後、Ptカーボンをろ過により除去、母液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。HPLC(分析条件は実施例21に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.166g(収率91%)得た。
(実施例25)(S)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸0.44g(1.3mmol)、Pd(5%)カーボン0.088g、THF4ml溶液を水素1気圧下、60℃で24時間反応させた。反応後、Pdカーボンをろ過により除去、母液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。HPLC(分析条件は実施例21に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.378g(収率94%)得た。
(実施例26)(S)−5−(5−アミノ−2−ピリジル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−2−ピリジル)ペンタン酸0.44g(1.3mmol)、Pd(5%)カーボン0.088g、イソプロパノ−ル4ml溶液を水素1気圧下、60℃で24時間反応させた。反応後、Pdカーボンをろ過により除去、母液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。HPLC(分析条件は実施例21に同じ)にて定量分析を行い、表題化合物を0.379g(収率94%)得た。
(合成例1)2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨード−ブタン酸メチル
DL−ホモセリン9.0g(75.6mmol)、トリエチルアミン11.46g(113.4mmol)、DMF90mlからなる混合物中に、窒素雰囲気下、室温で、Boc2O18.15g(83.4mmol)を添加し、さらに20時間反応させた。次に、炭酸水素カリウム15.12g(151.1mmol)、ヨウ化メチル21.33g(151.1mmol)を加え、さらに11時間反応させた。反応混合物中に飽和食塩水75mlを加え、反応を停止し、酢酸エチル抽出(75ml×3)した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を19.71g得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間9.3分)にて定量分析を行い、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヒドロキシブタン酸メチルを13.02g得た(74%)。
【0084】
2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヒドロキシブタン酸メチル10.0g(42.9mmol)のトルエン100ml溶液に、10℃でイミダゾール3.21g(47.2mmol)、トリフェニルホスフィン12.37g( 47.2mmol)、ヨウ素13.1g(51.4mmol)を順次添加した。添加終了後、室温で4時間攪拌を行った後、不溶物をろ過、残渣をトルエン50mlにて洗浄した。ろ液を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄後、濃縮を行い無色液体を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間14.1分)にて定量分析を行い、表題化合物を14.0g(収率95%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.45(s,9H),2.15−2.21(m,1H),2.41−2.44(m,1H),3.18(t,2H,J=7.8Hz),3.77(s,3H),4.34−4.36(m,1H),5.02−5.10(brs,1H)。
(合成例2)(S)−4−ブロモ−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノブタン酸メチル
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヒドロキシブタン酸メチル10.0g(42.9mmol)の塩化メチレン100ml溶液に、25℃でトリフェニルホスフィン13.5g(51.5mmol)、四臭化炭素21.4g(64.4mmol)を順次添加した。添加終了後、室温で15分攪拌を行ったのち、飽和重曹水溶液50mlを加え、反応を停止した。塩化メチレン相を分離し、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlにて洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間11.0分)にて定量分析を行い、表題化合物を10.8g(収率85%)得た。光学純度99.8%ee(HPLC;カラム:キラルパックAD−H ダイセル社、移動相:n−ヘキサン/イソプロパノ−ル=95/5、流速:0.7mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間(S)22.0分、(R)20.7分)1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.48(s,9H),2.18−2,23(m,1H),2.36−2.45(m,1H),3.43(t,2H,J=7.0Hz),3.77(s,3H),4.41−4.15(m,1H),5.03−5.11(brs,1H)。
(合成例3)(S)−4−ブロモ−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノブタン酸メチル
L−ホモセリン3.0g(25.2mmol)、HBr酢酸溶液(33wt%)30mlからなる混合物を85℃で18時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮し、残渣にトルエン30mlを加え、氷冷下30分間攪拌した。析出した固体をろ取し、(S)−1−アミノ−4−ブロモブタン酸臭化水素酸塩を6.39g(収率97%)得た。
【0085】
(S)−1−アミノ−4−ブロモブタン酸臭化水素酸塩を6.00g(22.8mmol)、メタノール50ml溶液に室温で塩化チオニル2.72g(22.8mmol)を滴下し、滴下終了後室温で18時間反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮した。得られた粘ちょうな油状物にトルエン40mlとBoc2O5.48g(25.1mmol)を加え、0℃に冷却し、ここに16wt%NaHCO3水溶液48mlを滴下した。滴下終了後、さらに0℃で18時間攪拌した。トルエン相を分離し、水相にトルエン20mlを加えて、生成物をトルエン抽出した。トルエン相を合わせ、減圧濃縮することにより無色固体を得た。HPLCにて定量分析を行い、表題化合物を5.49g(収率82%)得た。光学純度99.2%ee(分析法および条件は合成例2に同じ)
(合成例4)(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−メタンスルホニルオキシブタン酸メチル
(S)−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヒドロキシブタン酸メチル5.0g(21.4mmol))のトルエン50ml溶液に、氷冷下トリエチルアミン2.60g(25.7mmol)、塩化メタンスルホニル2.48g(21.7mmol)を順次添加した。添加終了後、室温で2時間攪拌を行ったのち、水20mlを加え、反応を停止した。トルエン相を分離したのち、減圧濃縮し、無色油状物を7.30g得た。これをシリカゲルカラムにて単離精製し、表題化合物を6.00g(収率92%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ1.49(s,9H),2.15−2.18(m,1H),2.62−2.68(m,1H),3.07(s,3H),3.82(s,3H),4.34−4.35(m,1H),5.25(brs,1H)。
(合成例5)(S)−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸メチル
(S)−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ヒドロキシブタン酸メチル11.5g(50.7mmol)のトルエン100ml溶液に、25℃でイミダゾール7.31g(107.5mmol)、トリフェニルホスフィン28.2g(107.5mmol)、ヨウ素21.8g(86.0mmol)を順次添加した。添加終了後、室温で15分攪拌を行ったのち、飽和重曹水溶液50mlを加え、反応を停止した。トルエン相を分離し、有機相を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlにて洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間15.4分)にて定量分析を行い、表題化合物を15.0g(収率88%)得た。光学純度100%ee(HPLC;カラム:キラルパックAD−H ダイセル社、移動相:n−ヘキサン/イソプロパノ−ル=19/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間(S)33.1分、(R)30.3分)1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ2.17−2.23(m,1H),2.24−2,46(m,1H),3.17(t,2H,J=7.3Hz),3.77(S,3H),4.43−4.44(m,1H),5.12(s,2H),5.31(brs,1H),7.32−7.37(m,5H)。
(合成例6)4−ブロモ−2−ベンジルオキシカルボニルアミノブタン酸メチル
2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ヒドロキシブタン酸メチルエステル5.0g(22.0mmol)の塩化メチレン50ml溶液に、25℃でトリフェニルホスフィン5.91g(22.6mmol)、四臭化炭素9.36g(28.2mmol)を順次添加した。添加終了後、室温で15分攪拌を行ったのち、飽和重曹水溶液50mlを加え、反応を停止した。トルエン相を分離し、有機相を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlにて洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を得た。HPLC(カラム:CAPCELL PAK C18 TYPE MG 資生堂、移動相:アセトニトリル/20mMリン酸(ナトリウム)緩衝液(pH=2.5)=1/1、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間13.1分)にて定量分析を行い、表題化合物を5.52g(収率78%)得た。光学純度99.1%ee(HPLC;カラム:キラルパックAD−H ダイセル社、移動相:n−ヘキサン/イソプロパノ−ル=95/5、流速:1.0mL/min.、カラム温度:30℃、検出器:UV210nm,保持時間(S)32.9分、(R)30.6分)1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ2.22−2,27(m,1H),2.44−2.46(m,1H),3.42(t,2H,J=7.0Hz),3.77(s,3H),4.51−4.52(m,1H),5.11(s,2H), 5.36(brs,1H)。
(合成例7)2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−ヨードブタン酸ベンジル
DL−N−ベンジルオキシカルボニルホモセリン7.91g(33.5mmol)のエタノール30ml溶液中に、25℃で3M水酸化ナトリウム水溶液11mlを加え、30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣にエタノール30mlを加え、再度減圧濃縮を行った。残渣に臭化ベンジル7.0g(41mmol)、DMF54mlを加え、室温で3日間攪拌した。飽和食塩水30mlを加え、生成物を酢酸エチル(80ml)抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物9.65gを得た。
【0086】
次に、上記粗生成物をトルエン50mlに溶解し、ここにイミダゾール5.71g(83.8mmol)、トリフェニルホスフィン22.0g(83.8mmol)、ヨウ素17.0g(67mmol)を順次添加した。室温で15分攪拌後、飽和重曹水溶液50mlを加え、反応を停止した。有機相を分離後、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlにて洗浄した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、無色油状物を得た。シリカゲルカラムにて単離精製し、表題化合物を3.72g(収率25%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ2.21−2,23(m,1H),2.35−2.45(m,1H),3.09−3.12(m,2H),4.46−4.47(m,1H),5.11(s,2H)、5.18(s,2H),5.32(brs,1H),7.25−7.74(m,10H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1);
【化1】

(式中、Aは置換基を有していてもよい1〜3環式へテロ芳香族を表わす。R1は炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)で表わされる化合物を、
一般式(2);
【化2】

(式中、X1はハロゲン原子、スルホニルオキシ基、ホスホリルオキシ基を表わす。Protは炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、または、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアシル基を表わす。R2は水素または炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。nは1〜5の整数を表わす。*は不斉炭素を表わす。)で表わされる化合物と塩基存在下で反応させることを特徴とする一般式(3);
【化3】

(式中、A、R1、R2、Prot、n、*は前記に同じ。)で表わされるモノアミノトリエステル誘導体の製造法。
【請求項2】
Aが少なくとも1つのニトロ基を有するヘテロ芳香族である請求項1に記載の製造法。
【請求項3】
Aが5−ニトロ−2−ピリジル基である請求項1または2に記載の製造法。
【請求項4】
1がハロゲン原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項5】
nが2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項6】
一般式(6);
AX2 (6)
(式中、Aは置換基を有していてもよい1〜3環式へテロ芳香族を表わす。X2はハロゲン原子を表わす。)で表わされる化合物と、一般式(7);
CH2(COOR12 (7)
(式中、R1は炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)で表わされる化合物を、無機塩基存在下で反応させることを特徴とする、下記一般式(1);
【化4】

(式中、A、R1は前記に同じ。)で表わされるジエステル誘導体の製造法。
【請求項7】
無機塩基が炭酸塩である請求項6に記載の製造法。
【請求項8】
炭酸塩が炭酸カリウムである請求項7に記載の製造法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法で得られた前記式(1)で表わされるジエステル誘導体を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項10】
一般式(3);
【化5】

(式中、Aは置換基を有していてもよい1〜3環式へテロ芳香族を表わす。R1は炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Protは炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、または、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアシル基を表わす。R2は水素または炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。nは1〜5の整数を表わす。*は不斉炭素を表わす。)で表わされるモノアミノトリエステル誘導体を、加水分解することにより、一般式(4);
【化6】

(式中、A、Prot、n、*は前記に同じ。)で表わされるモノアミノトリカルボン酸誘導体に導き、次に、酸処理することによる一般式(5);
【化7】

(式中、A、Prot、n、*は前記に同じ。)で表わされるアミノ酸誘導体の製造法。
【請求項11】
Aが少なくとも1つのニトロ基を有するヘテロ芳香族である請求項10に記載の製造法。
【請求項12】
Aが5−ニトロ−2−ピリジル基である請求項10または11に記載の製造法。
【請求項13】
nが2である請求項10〜12のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項14】
請求項11または12に記載の方法で得られた前記式(5)で表される化合物を還元することを特徴とする一般式(9);
【化8】

(式中、Bは少なくとも1つのアミノ基を有する置換基を有していてもよいヘテロ芳香族を表す。Prot、n,*は前記に同じ。)で表される化合物の製造法。
【請求項15】
請求項1〜5、9のいずれか1項に記載の方法で得られた前記式(3)で表されるモノアミノトリエステル誘導体を用いることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項16】
一般式(8);
【化9】

(式中、Aは置換基を有していてもよい1〜3環式へテロ芳香族を表わす。R1は炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。Protは炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキルオキシカルボニル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、または、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアシル基を表わす。R2は水素または炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数7〜20の置換もしくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基を表わす。*は不斉炭素を表わす。)で表わされる光学活性モノアミノトリエステル誘導体。
【請求項17】
Aが5−ニトロ−2−ピリジル基である請求項16に記載の光学活性モノアミノトリエステル誘導体。

【公開番号】特開2007−8827(P2007−8827A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188482(P2005−188482)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】