机
【課題】堅牢で美観にも優れたビーム方式の机を提供する。
【解決手段】机は、天板1と左右の脚2と横長帯状のリアビーム6とを有する。リアビーム6は左右脚2の後部側面に連結ブロック61を介して固定されている。連結ブロック61は、内側(脚3とは反対側)から挿通してボルト62で後部脚支柱3に固定されている。リアビーム6は基板20と補強板21とから成る板金加工品であり、中空部を有する。リアビーム6の端部にはジョイント板66が溶接されており、ジョイント板66が連結ブロック61に平面視斜め姿勢のボルト67で固定されている。バックパネルを取り付ける場合は、パネル支柱70をボルト69でジョイント板66と連結ブロック61とに共締めする。
【解決手段】机は、天板1と左右の脚2と横長帯状のリアビーム6とを有する。リアビーム6は左右脚2の後部側面に連結ブロック61を介して固定されている。連結ブロック61は、内側(脚3とは反対側)から挿通してボルト62で後部脚支柱3に固定されている。リアビーム6は基板20と補強板21とから成る板金加工品であり、中空部を有する。リアビーム6の端部にはジョイント板66が溶接されており、ジョイント板66が連結ブロック61に平面視斜め姿勢のボルト67で固定されている。バックパネルを取り付ける場合は、パネル支柱70をボルト69でジョイント板66と連結ブロック61とに共締めする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、天板の後端部下方に左右横長のリアビームを有する机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
強度メンバーとしてビームを有する机は種々提案されている。例えば特許文献1,2には、左右長手のビームや前後長手のビームで机の枠組みを構成し、枠組みの上面に天板を固定することが開示されている。このうち特許文献2では、ビームの前面に係合溝(蟻溝)を形成しており、この係合溝に配線カバー支持部材を取り付けることが開示されている。
【0003】
他方、特許文献3には、側面視L形の脚を備えた机において、左右脚の背面にビームの左右端部を固定し、ビームに目隠しパネルを左右スライド自在に取り付けることが開示されている。また、特許文献4には、特許文献3と同様に側面視L形の脚を備えた机において、左右脚の背面にビームの左右端部を固定し、ビームの前面に形成した係合溝に配線用フックを吊り掛けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−291537号公報
【特許文献2】特開2004−167125号公報
【特許文献3】特開2006−180969号公報
【特許文献4】特開2006−180968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2〜4のようにビームに係合溝を設けると、配線用等の部材を取り付けできるため重宝である。しかし、特許文献3,4はビームの端面が脚の後ろに露出しているため、外観が良くないという問題がある。また、特許文献2のビームは脚の内側に配置されているが、脚に外側から挿通したボルトをビームにねじ込むものであるため、ボルトの頭が脚の左右外側に露出することになり、これも外観において問題があると言える。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、各請求項で特定されている。このうち請求項1の発明は、天板をその下方に配置した左右の脚に固定し、前記左右脚の後部間に左右横長のリアビームを配置してなる構成であって、前記リアビームはその全長にわたって延びる中空部を有している一方、前記脚の内側面には前記リアビームの中空部が嵌まる連結ブロックを突設しており、前記リアビームを前記連結ブロックにボルトで固定しており、更に、前記リアビームには、他の部材を係止できる係合溝が全長にわたって延びるように形成されている。
【0008】
請求項2の発明は請求項1を好適に具体化したもので、この発明では、前記リアビームは板金加工品であって、上下両端に折り返し部が前向き突設されている基板と、前記基板の前面に固定された補強板とを有しており、前記補強板に角形の前向き突部を設けることにより、前記中空部を形成すると共に、前記前向き突部と上下折り返し部との間にそれぞれ蟻溝形式の係合溝を形成している。
【0009】
請求項3の発明は請求項1又は2を具体化したものであり、前記連結ブロックの先端面は、手前が前記脚に近くて後ろが前記脚から遠ざかる傾斜端面になっている一方、前記リアビームは、前記連結ブロックの前面に重なる前部と前記連結ブロックの傾斜端面に重なる傾斜部とを有する平面視クランク状のジョイント板が固定されており、前記傾斜部を、平面視で当該傾斜部と直交した斜め方向に延びるボルトで前記連結ブロックに固定している。
固定している。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記連結ブロックに、前記リアビームの上に配置したバックパネルを支持するパネル支柱を締結するためのねじ穴が少なくとも手前に開口するように形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、リアビームは左右脚の内側に配置されていると共に、左右脚に設けた連結ブロックに固定されているため、リアビームの左右端面が外側に露出しないことはもとより、脚の外側にボルトの頭を露出させる必要もない。このため、リアビームに係合溝を設けて他の部材の支持機能を持たせた机でありながら、外観の悪化を防止できる。
【0012】
リアビームは押し出し加工品を採用することも可能であるが、請求項2のように折り返し部と中空部とが形成された板金加工品を採用すると、鋼板を素材として高い強度ものを比較的簡単に製造できる。(基板及び補強板ともさほど複雑な形状ではないので、金型を用いない曲げ加工機でも容易に製造可能であり、このため、注文を受けてから納品までの時間も短縮可能である。)。
【0013】
リアビームは連結ブロックにボルトで直接に締結することも可能であるが、請求項3のようにジョイント板を使用すると、ジョイント板に補強機能を持たせることができるため、強度面で優れている。また、ジョイント板はクランク状に曲がっているためねじりに強く、強度面で優れている。また、ジョイント板を締結するボルトは連結ブロックに対して斜め方向からねじ込まれているため、電動ドライバ等の動力工具を使用するにおいてこれがビームや脚に当たることもなく、従って、締結作業を迅速に行うことができる。
【0014】
請求項4の構成を採用すると、バックパネルを支持するパネル支柱を強固に保持することができる。すなわち、連結ブロックは、ブロック状の形態であることでそれ自体が変形することはなく、しかも、ボルトで脚にしっかり固定されているため、バックパネルに外力が掛かってもパネル支柱は直立状態にしっかりと保持されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る机の外観を示す図で、(A)は正面方向からの斜視図、(B)は分離斜視図である。
【図2】(A)は後ろから見た斜視図、(B)は後ろからの分離斜視図である。
【図3】(A)は机を内部から見た斜視図、(B)は側面図、(C)はケーブル受けを下方から見た斜視図である。
【図4】(A)は配線カバーを下向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図5】要部の一部破断分離斜視図である。
【図6】要部の分離斜視図である。
【図7】(A)は図5(A)の VIIA-VIIA視断面図、(B)は図5(A)の VIIB-VII B 視断面図である。
【図8】(A)(B)は脚とリアビームとの構成部材の分解斜視図、(C)は脚支柱の平面図である。
【図9】(A)(B)とも脚の構成部材の分離斜視図である。
【図10】(A)(B)とも脚とリアビームとの部分的な分解斜視図である。
【図11】(A)(B)(C)ともリアビームの連結構造を示す図である。
【図12】(A)は脚とリアビームとの関係を示す斜視図、(B)(C)はリアビームの分解斜視図である。
【図13】パネル支柱を取り付けた状態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、これは、机を普通の姿勢で使用する人の向きを基準にしている。従って、机の間口方向が左右方向であり、奥行き方向が前後方向である。前と後ろについては、使用者に近い側を前として、使用者から遠い背面の箇所を後ろとして使用している。
【0017】
(1).机の概略
図1〜3に示すように、机は平面視四角形(長方形)の天板1とこれを左右両側部において支持する左右の脚2とを有する。天板1は木質系であるが、スチール製のものを使用することも可能である。脚2は、棒状の前後脚支柱3,3′をその上端において水平状の上フレーム4で連結した門型になっており、上フレーム4に前後一対のスペーサ5をボルトで固定し、このスペーサ5に天板1をボルトで固定している。従って、天板1と上フレーム4との間にはケーブル類を挿通できる程度の間隔が空いている。
【0018】
スペーサ5の詳細は図3(C)で示している。スペーサ5は上フレーム4の上面と内側面とに重なるように正面視逆L形になっており、かつ、前後対称の形態になっている。そして、矢印5a,5bで示すように、上方と内側とから挿通したボルトで上フレーム4に固定されると共に、矢印5cで示すように、上フレーム4の内側に突出した部分に下方から挿通したボルトで天板1に固定されている。また、スペーサ5には、天板1に設けた穴に嵌まる上向き位置決め突起5dと、上フレーム4に設けた穴に嵌まる下向き位置決め突起5eとを設けている。このため、天板1と脚2とはスペーサ5を介して正確に位置決めされる。
【0019】
脚支柱3,3′及び上フレーム4は中空で概ね四角形になっており、両者に嵌入する側面視L形の連結ブラケットを介して一体に連結されている。また、左右脚2における後部脚支柱3の上部間にはリアビーム6が配置されており、リアビーム6と左右の後部脚支柱3とがボルトで固定されている。この場合、天板1の後端は脚2の後端(後部脚支柱3の後面)より若干手前に位置しており、かつ、リアビーム6は平面視で前後幅寸法の半分程度が天板1の後ろにはみ出ている。脚2及びリアビーム6の構造や両者の連結構造の詳細は後述する。
【0020】
天板1の後端部のうち左右中間部には、後ろ向きに開口した平面視四角形の切り開き部7を形成しており、この切り開き部7を配線通路と成している。そして、切り開き部7にはこれを塞ぐカバー8を装着している。カバー8は着脱自在である。天板1の後部は、 切り開き部7を形成したことで強度が弱くなるおそれがある。そこで、天板1のうち切り開き部7を挟んだ左右両側の部位は、リアビーム6に取り付けた天板支持ブラケット9で下方から支持されている。
【0021】
また、リアビーム6の下部には、ケーブル受け10とその上方に位置したコネクタサポート11とが取り付けられている。ケーブル受け10は、リアビーム6に左右スライド自在に取り付けられている。リアビーム6に複数のケーブル受け10を装着することも可能である。
【0022】
なお、カバー8は浅いトレー状に形成されている。切り開き部7の内周にはカバー受け13を固定しており、カバー受け13の左右側部には、カバー8の左右側部を支持する支持片14が形成されている。また、カバー受け13のうち手前に位置した基部には、ケーブルCを捌くための突起15を設けている。このため、カバー8を取り付けた状態で当該カバー8の手前には配線通路が空いている。
【0023】
カバー8の左右両側面には前後一対ずつの円形の係合凹部16が形成されている一方、カバー受け13の左右両側部には、前後対の係合凹部16が選択的に嵌まる係合凸部17が形成されている。係合凸部17に係合凹部16が選択的に嵌まることでカバー8の前後位置を2段階に変更できる。
【0024】
(2).配線受け部の説明
次に、リアビーム6、天板支持ブラケット9、ケーブル受け10,コネクタサポート11より成る配線受け部を、図5〜7も参照して説明する。図3(A)に示すように、リアビーム6は、後部脚支柱3の上端部でかつ略後半部に連結されている。そして、図5に明瞭に示すように、リアビーム6は、手前に突出した上下の折り返し部20a,20bを有するチャンネル状の基板20を備えており、基板20の前面に側面視凸形の補強板21を溶接で固着している。そして、リアビーム6は全体として上下に長い中空角形に近い形態になっているため、曲げや軸線回りのねじりに対して強い抵抗を発揮する。
【0025】
基板20の上下折り返し部20a,20bは袋状(中空状)に形成されており、その先端にはそれぞれ後ろ向きリップ20c,20dが形成されている。また、補強板21は前向き突部21aを有しており、そこで、リアビーム6の内部には、補強板21は前向き突部21aを挟んだ上下両側に、上係合溝22と下係合溝23とが形成されている。敢えて述べるまでもないが、後ろ向きリップ20c,20dは、上係合溝22,下係合溝23に嵌まった部材を前向き抜け不能に保持する機能を有する。
【0026】
図5,6に示すように、天板支持ブラケット9は、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる嵌合部9aと、天板1の下面にビス(ボルト)24で固定される受け部9bと、これらを繋ぐ傾斜状のアーム部9cとを有している。
【0027】
天板支持ブラケット9における嵌合部9aの背面は、側面視で後ろ向きに膨れた円弧状に形成されている。従って、天板支持ブラケット9をその前部が高くなるように側面視で傾けた姿勢にすることにより、嵌合部9aを手前側から上係合溝22に嵌め込むことができる。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aはアーム部9cの左右両側に突出した張り出し部9dを有する。従って、嵌合部9aとアーム部9c部とでT型の形態を成している。そして、嵌合部9aの張り出し部9dには、リアビーム6における基板20の上後ろ向きリップ20cに下方から嵌合する係合段部25が形成されており、このため、天板支持ブラケット9は下向き倒れ不能に保持されている。
【0028】
図6に明示するように、天板支持ブラケット9における係合段部25の左右中間部には位置決めリブ26を設けている一方、リアビーム6の上後ろ向きリップ20cには位置決めリブ26が嵌まる切欠き27を形成しており、このため、天板支持ブラケット9は左右動不能に保持されている。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aのうちアーム部9cの後ろに位置した部分は補強板21の前向き突部21aに上から重なっているが、アーム部9cから左右両側にはみ出た張り出し部9dの下面は、補強板21における前向き突部21aの上面との間に若干の隙間が空く段盗み部28になっている。
【0029】
コネクタサポート11は板金製品であり(樹脂製でもよい)、左右天板支持ブラケット9のアーム部9cの間に配置されている。コネクタサポート11は、コンセント29を固定できる本体部11aを有しており、本体部11aの上端に、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる左右一対の係合片11bを一体に形成している。係合片11bは、その後端に下向きのストッパー片11cを有する側面視下向き開口コの字形になっており、リアビーム6を構成する補強板21の前向き突部21aに、ストッパー片11cが嵌まるストッパー穴30を形成している。このため、コネクタサポート11は左右動不能に保持されている。
【0030】
そして、コネクタサポート11の係合片11bに、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの張り出し部9dが上から重なっている。すなわち、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの段盗み部28が、コネクタサポート11の係合片11bに上から重なっている。従って、図7(B)から容易に理解できるように、コネクタサポート11は上向きに起こし不能に保持されている。
【0031】
コネクタサポート11の本体部11aは、手前に行くに従って低くなるように傾斜している。また、コネクタサポート11の下端部には、コンセント(テーブルタップ)を取り付けるための長穴32が空いている。また、コネクタサポート11の下端は上向きに曲げている(上向き片を符号11dで示す。)。なお、コネクタサポート11には、電源用のコンセントに限らず、通信用コネクタやルータ、ハブなどの中継機など、各種のコネクタ類を固定できる。
【0032】
ケーブル受け10は上向きに開口したトレー状の形態を成しており、その後端には、リアビーム6の下係合溝23に嵌まる嵌合部10aを設けている。図3(B)及び図7(A)に示すように、嵌合部10aの下面には、リアビーム6の下後ろ向きリップ20dに後ろから引っ掛かる係合爪33を設けている。このため、ケーブル受け10はリアビーム6に抜け不能に保持される。なお、ケーブル受け10には、ケーブルの他にコネクタ等の各種の部材を載置できる。
【0033】
ケーブル受け10の係合爪33は、上下に撓み変形可能な後ろ向きの舌状片34の後端に設けており、ケーブル受け10をリアビーム6に向けて強く押し当てると、舌状片34が弾性変形することで、係合爪33が下折り返し片21dに係合する。舌状片34の付け根はリアビーム6の手前に位置しており、このため、舌状片34を指又はドライバ等で上向きに押し上げることで、係合爪33を下折り返し片21dから離脱させることができる。
【0034】
(3).脚及びリアビームの詳細
次に、図8以下の図面を参照して、脚2の構造とリアビーム6との関係を説明する。図8,9に示すように、脚2を構成する脚支柱3,3′と上フレーム4とは押し出し加工品であって概ね中空角形になっており、水平部41aと垂直部41bとを有するL形のジョイント金具41で互いに連結されている。脚支柱3,3′と上フレーム4との接合面42,43は側面視で斜めにカットされており、ジョイント金具41には、脚支柱3,3′と上フレーム4との接合面42,43の間に挟まるフランジ44を設けている。なお、ジョイント金具41はアルミ等のダイキャスト品を使用しているが、樹脂の成形品を使用することも可能である。
【0035】
脚支柱3,3′の内部は、中間仕切り45で外空間46と内空間47とに区分されており、中間仕切り45には、平面視で円形に近いセンター溝条48が形成されている。センター溝条48は内空間47に開口している。また、内空間47のうち中間仕切り45と反対側の部位には左右2本のエンド溝条49が形成されている。エンド溝条49も円形に近い形態であり、内空間47に開口している。
【0036】
他方、ジョイント金具41の垂直部4bは、脚支柱3,3′の外空間46に嵌まる外足部50と、脚支柱3,3′の内空間47に嵌まる内足部51とで構成されており、内足部51には、平面視でエンド溝条49と連通するエンドビス穴52が上下に開口するように空いており、図9(B)及び図10(B)に矢印53で示すように、エンドビス穴52に上から挿通したビスをエンド溝条49にねじ込んでいる。
【0037】
また、ジョイント金具41のコーナー部のうち外足部50と内足部51との間の部位には、脚支柱3,3′のセンター溝条48と連通するセンタービス穴54を上部に開口するように設けて、矢印55で示すように、センタービス穴54に上から挿通したビスをエンド溝条49にねじ込んでいる。なお、溝条48,49にねじ込まれるビスは、いずれも皿ビスを使用している(ソケットボルトも使用できる。)。
【0038】
他方、図8(C)に示すように、上フレーム4は内部に仕切りがない略角形になっており、従って、ジョイント金具41の水平部41aも単純な角柱状の形態である。そして、図9に矢印56で示すように、前後両端寄り部に設けた連結用ねじ穴57に、上フレーム4に下方から挿通したビスがねじ込まれている。また、ジョイント金具41の水平部41aには、スペーサ5を取り付けるビスがねじ込まれるスペーサ用ねじ穴58,59を設けている。従って、スペーサ5と上フレーム4とジョイント金具41とはビスで一体に共締めされている。このため強度に優れている。
【0039】
なお、スペーサ用ねじ穴58,59のうちビスが上からねじ込まれる上下貫通のねじ穴58は左右に一対ずつ形成されており、実際の締結に際しては左右いずれかの対のみが使用される。これは、スペーサ5の上部が内側に寄っていることを考慮して、1種類のジョイント金具41を左右いずれの脚支柱3,3′にも使用できるようにするためである。また、前後のジョイント金具41は同一のものが使用されており、また、前後の脚支柱3,3′も同一形状に製造されている。すなわち、本実施形態では、前後左右の脚支柱3,3′とジョイント金具41とはそれぞれ同一形状になっていると共に、スペーサ5も同一形状であり、このように部材を共通化することにより、部材管理の手間抑制やコスト低減を図っている。
【0040】
図10に示すように、後部脚支柱3の内側面のうちその上端部でかつ後部には、ビーム6を連結するための連結ブロック61を上下複数本(2本)のボルト62で固定している。ボルト62は後部脚支柱3の内側板を貫通しており、ジョイント金具41の垂直部41bを構成する外足部50には、ボルト62がねじ込まれるねじ穴63を左右に開口した状態に形成している。このように、連結ブロック61と後部脚支柱3とジョイント金具41とがボルト62で共締めされているため、脚2は堅牢な構造になっている。
【0041】
また、連結ブロック61には、後部脚支柱3に向いて突出した上下複数本(2本)の位置決めピン64を設けている一方、後部脚支柱3の内側板と連結ブロック61とには、位置決めピン64が嵌まる位置決め穴65を設けており、このため、連結ブロック61と後部脚支柱3とジョイント金具41とは正確に位置決めされる。(延いては、後部脚支柱3とリアビーム6とも正確に位置決めされる。)。
【0042】
連結ブロック61は、ビーム6における基板20と補強板21との間の中空部(正確には、補強板21の前向き突部21aと基板20とで囲われた角形空間)に嵌まるように、側面視で上下長手の直方体状に形成されている。そして、連結ブロック61の外端面を、平面視で後部脚支柱3から離れるに従って後ろに行く傾斜端面61aに形成している一方、リアビーム6を構成する基板20の端部前面には、連結ブロック61の前面と傾斜端面61aとに重なる平面視クランク状のジョイント板66を溶接で固着し、ジョイント板66をボルト(ねじ)67で連結ブロック61に締結している。
【0043】
正確に述べると、ジョイント板66は、連結ブロック61の前面に重なる前板部66aと、連結ブロック61の傾斜端面61aに重なる傾斜部66bと、リアビーム6の基板20に溶接される後ろ板とを有していて平面視クランク状の形態であり、傾斜部66bが連結ブロック61に上下2本のボルト67で締結されている。従って、傾斜部66bを締結するボルト67は、平面視でリアビーム6の長手方向に対して傾斜している(傾斜角度は45°程度に設定している。)。
【0044】
ジョイント板66は、リアビーム6における基板20の前面の上下全体に広がる幅寸法に設定されており、しかも、ジョイント板66は補強板21における前向き突部21aの端部にも溶接されている。従って、ジョイント板66は基板20と補強板21とで挟まれた状態になっている。このため、リアビーム6の端部がジョイント板66で補強されており、その結果、高い剛性を発揮する。特に、リアビーム6はその軸心回りにねじるような外力に対して高い抵抗を発揮する。
【0045】
図10(A)や図12(C)に示すように、ジョイント板66がリアビーム6の内部に入り込むことを許容するため、補強板21の端部と基板20の折り返し部20a,20bとは部分的に切欠かれている(この切欠きを符号68で示している。)。
【0046】
さて、例えば図13から容易に理解できるように、リアビーム6は前後幅寸法の半分程度が天板1の後ろにはみ出ており、そこで、リアビーム6でバックパネル(机上パネル)Pを支持することができる。机を背中合わせに配置する場合は、前後の天板1の間にバックパネルPが位置する。すなわち、1つのバックパネルPを前後の机で共用される。
【0047】
本実施形態では、バックパネルPは板金製のパネル支柱70を介してリアビーム6に取り付けられている。パネル支柱70は、リアビーム6の端部に手前から重なる下取り付け部70aと、バックパネルPの前後略中間部に下方から嵌入する上取り付け部70bと、両者を繋ぐ中継部70cとで側面視クランク状の形態を成しており、下取り付け部70aがボルト69で連結ブロック61に締結されている。従って、連結ブロック61には前後方向に開口したねじ穴69aを設けている(例えば、図10(A)参照)。
【0048】
正確に述べると、パネル支柱70の下取り付け部70aと、基板20の上下折り返し部20a,20bと、ジョイント板66と、連結ブロック61とがボルト69で締結されている。上取り付け部70bはバックパネルPを構成する縦枠に下方から嵌まっており、ビスで縦枠に抜け不能に締結されている。
【0049】
(4).まとめ
以上の構成において、リアビーム6は左右の後部脚支柱3の間に配置されているため、リアビーム6の左右端面が露出して外観を悪化させることはなく、また、連結ブロック61は後部脚支柱3に内側からねじ込んでボルト62で固定されていると共に、リアビーム6を連結ブロック61に固定するボルト67も机の内部側からねじ込まれており、それらのボルト62,67が後部脚支柱3の外側に露出することもない。
【0050】
また、リアビーム6は上下の折り返し部20a,20bと大きな中空部を有しているため、曲げ荷重に対して高い抵抗を発揮する。また、リアビーム6を構成する基板20と補強板21とは単純な断面形状であるため、鋼板を材料にして容易に製造できる。また、リアビーム6はジョイント板66を介して連結ブロック61に固定されるため、リアビーム6を直接に締結する場合に比べて強度を格段にアップできる。特に、本実施形態のようにジョイント板66を基板20と補強板21との間に挟んだ構成にすると、堅牢性が一層アップする。
【0051】
また、ジョイント板66を締結するためのボルト57は、斜め手前から連結ブロック61にねじ込むものであるため、動力ドライバを使用して簡単にねじ込み作業を行える。本実施形態の一つの特徴として、連結ブロック61を締結するためのボルト62の頭は連結ブロック61に設けたざぐり穴72(図10(A),図11(C)参照)に入り込んでおり、連結ブロック61の手前側には露出していない。従って、ジョイント板66を連結ブロック61に問題なく重ね合わせることができる。
【0052】
バックパネルPを使用しない場合、ジョイント板66の前部66aをボルト69で連結ブロック61に固定しておいて、バックパネルPを使用する場合は、いったんボルト69を取り外してからパネル支柱70を締結することも可能である。かくすると、リアビーム6の締結強度を一層向上できると共に、バックパネルPを後付けする場合に専用のボルトを用意しておく必要がない。
【0053】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えばリアビームや脚は様々の形態を採用できる。リアビームには、図示の部材とは別の部材を取り付けることも可能である。また、リアビームの係合溝は1条又は3条以上設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明は実際に机に具体化できる。従って、産業上、利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 天板
2 脚
3 後部脚支柱
6 リアビーム
7 切り開き部(配線通路)
9 天板支持ブラケット
20 リアビームの基板
21 リアビームの補強板
22 上部係合溝
23 下部係合溝
61 連結ブロック
61a傾斜先端面
66 ジョイント板
66a 前部
66b 傾斜部
67,69 ボルト
【技術分野】
【0001】
本願発明は、天板の後端部下方に左右横長のリアビームを有する机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
強度メンバーとしてビームを有する机は種々提案されている。例えば特許文献1,2には、左右長手のビームや前後長手のビームで机の枠組みを構成し、枠組みの上面に天板を固定することが開示されている。このうち特許文献2では、ビームの前面に係合溝(蟻溝)を形成しており、この係合溝に配線カバー支持部材を取り付けることが開示されている。
【0003】
他方、特許文献3には、側面視L形の脚を備えた机において、左右脚の背面にビームの左右端部を固定し、ビームに目隠しパネルを左右スライド自在に取り付けることが開示されている。また、特許文献4には、特許文献3と同様に側面視L形の脚を備えた机において、左右脚の背面にビームの左右端部を固定し、ビームの前面に形成した係合溝に配線用フックを吊り掛けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−291537号公報
【特許文献2】特開2004−167125号公報
【特許文献3】特開2006−180969号公報
【特許文献4】特開2006−180968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2〜4のようにビームに係合溝を設けると、配線用等の部材を取り付けできるため重宝である。しかし、特許文献3,4はビームの端面が脚の後ろに露出しているため、外観が良くないという問題がある。また、特許文献2のビームは脚の内側に配置されているが、脚に外側から挿通したボルトをビームにねじ込むものであるため、ボルトの頭が脚の左右外側に露出することになり、これも外観において問題があると言える。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、各請求項で特定されている。このうち請求項1の発明は、天板をその下方に配置した左右の脚に固定し、前記左右脚の後部間に左右横長のリアビームを配置してなる構成であって、前記リアビームはその全長にわたって延びる中空部を有している一方、前記脚の内側面には前記リアビームの中空部が嵌まる連結ブロックを突設しており、前記リアビームを前記連結ブロックにボルトで固定しており、更に、前記リアビームには、他の部材を係止できる係合溝が全長にわたって延びるように形成されている。
【0008】
請求項2の発明は請求項1を好適に具体化したもので、この発明では、前記リアビームは板金加工品であって、上下両端に折り返し部が前向き突設されている基板と、前記基板の前面に固定された補強板とを有しており、前記補強板に角形の前向き突部を設けることにより、前記中空部を形成すると共に、前記前向き突部と上下折り返し部との間にそれぞれ蟻溝形式の係合溝を形成している。
【0009】
請求項3の発明は請求項1又は2を具体化したものであり、前記連結ブロックの先端面は、手前が前記脚に近くて後ろが前記脚から遠ざかる傾斜端面になっている一方、前記リアビームは、前記連結ブロックの前面に重なる前部と前記連結ブロックの傾斜端面に重なる傾斜部とを有する平面視クランク状のジョイント板が固定されており、前記傾斜部を、平面視で当該傾斜部と直交した斜め方向に延びるボルトで前記連結ブロックに固定している。
固定している。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記連結ブロックに、前記リアビームの上に配置したバックパネルを支持するパネル支柱を締結するためのねじ穴が少なくとも手前に開口するように形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、リアビームは左右脚の内側に配置されていると共に、左右脚に設けた連結ブロックに固定されているため、リアビームの左右端面が外側に露出しないことはもとより、脚の外側にボルトの頭を露出させる必要もない。このため、リアビームに係合溝を設けて他の部材の支持機能を持たせた机でありながら、外観の悪化を防止できる。
【0012】
リアビームは押し出し加工品を採用することも可能であるが、請求項2のように折り返し部と中空部とが形成された板金加工品を採用すると、鋼板を素材として高い強度ものを比較的簡単に製造できる。(基板及び補強板ともさほど複雑な形状ではないので、金型を用いない曲げ加工機でも容易に製造可能であり、このため、注文を受けてから納品までの時間も短縮可能である。)。
【0013】
リアビームは連結ブロックにボルトで直接に締結することも可能であるが、請求項3のようにジョイント板を使用すると、ジョイント板に補強機能を持たせることができるため、強度面で優れている。また、ジョイント板はクランク状に曲がっているためねじりに強く、強度面で優れている。また、ジョイント板を締結するボルトは連結ブロックに対して斜め方向からねじ込まれているため、電動ドライバ等の動力工具を使用するにおいてこれがビームや脚に当たることもなく、従って、締結作業を迅速に行うことができる。
【0014】
請求項4の構成を採用すると、バックパネルを支持するパネル支柱を強固に保持することができる。すなわち、連結ブロックは、ブロック状の形態であることでそれ自体が変形することはなく、しかも、ボルトで脚にしっかり固定されているため、バックパネルに外力が掛かってもパネル支柱は直立状態にしっかりと保持されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る机の外観を示す図で、(A)は正面方向からの斜視図、(B)は分離斜視図である。
【図2】(A)は後ろから見た斜視図、(B)は後ろからの分離斜視図である。
【図3】(A)は机を内部から見た斜視図、(B)は側面図、(C)はケーブル受けを下方から見た斜視図である。
【図4】(A)は配線カバーを下向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図5】要部の一部破断分離斜視図である。
【図6】要部の分離斜視図である。
【図7】(A)は図5(A)の VIIA-VIIA視断面図、(B)は図5(A)の VIIB-VII B 視断面図である。
【図8】(A)(B)は脚とリアビームとの構成部材の分解斜視図、(C)は脚支柱の平面図である。
【図9】(A)(B)とも脚の構成部材の分離斜視図である。
【図10】(A)(B)とも脚とリアビームとの部分的な分解斜視図である。
【図11】(A)(B)(C)ともリアビームの連結構造を示す図である。
【図12】(A)は脚とリアビームとの関係を示す斜視図、(B)(C)はリアビームの分解斜視図である。
【図13】パネル支柱を取り付けた状態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、これは、机を普通の姿勢で使用する人の向きを基準にしている。従って、机の間口方向が左右方向であり、奥行き方向が前後方向である。前と後ろについては、使用者に近い側を前として、使用者から遠い背面の箇所を後ろとして使用している。
【0017】
(1).机の概略
図1〜3に示すように、机は平面視四角形(長方形)の天板1とこれを左右両側部において支持する左右の脚2とを有する。天板1は木質系であるが、スチール製のものを使用することも可能である。脚2は、棒状の前後脚支柱3,3′をその上端において水平状の上フレーム4で連結した門型になっており、上フレーム4に前後一対のスペーサ5をボルトで固定し、このスペーサ5に天板1をボルトで固定している。従って、天板1と上フレーム4との間にはケーブル類を挿通できる程度の間隔が空いている。
【0018】
スペーサ5の詳細は図3(C)で示している。スペーサ5は上フレーム4の上面と内側面とに重なるように正面視逆L形になっており、かつ、前後対称の形態になっている。そして、矢印5a,5bで示すように、上方と内側とから挿通したボルトで上フレーム4に固定されると共に、矢印5cで示すように、上フレーム4の内側に突出した部分に下方から挿通したボルトで天板1に固定されている。また、スペーサ5には、天板1に設けた穴に嵌まる上向き位置決め突起5dと、上フレーム4に設けた穴に嵌まる下向き位置決め突起5eとを設けている。このため、天板1と脚2とはスペーサ5を介して正確に位置決めされる。
【0019】
脚支柱3,3′及び上フレーム4は中空で概ね四角形になっており、両者に嵌入する側面視L形の連結ブラケットを介して一体に連結されている。また、左右脚2における後部脚支柱3の上部間にはリアビーム6が配置されており、リアビーム6と左右の後部脚支柱3とがボルトで固定されている。この場合、天板1の後端は脚2の後端(後部脚支柱3の後面)より若干手前に位置しており、かつ、リアビーム6は平面視で前後幅寸法の半分程度が天板1の後ろにはみ出ている。脚2及びリアビーム6の構造や両者の連結構造の詳細は後述する。
【0020】
天板1の後端部のうち左右中間部には、後ろ向きに開口した平面視四角形の切り開き部7を形成しており、この切り開き部7を配線通路と成している。そして、切り開き部7にはこれを塞ぐカバー8を装着している。カバー8は着脱自在である。天板1の後部は、 切り開き部7を形成したことで強度が弱くなるおそれがある。そこで、天板1のうち切り開き部7を挟んだ左右両側の部位は、リアビーム6に取り付けた天板支持ブラケット9で下方から支持されている。
【0021】
また、リアビーム6の下部には、ケーブル受け10とその上方に位置したコネクタサポート11とが取り付けられている。ケーブル受け10は、リアビーム6に左右スライド自在に取り付けられている。リアビーム6に複数のケーブル受け10を装着することも可能である。
【0022】
なお、カバー8は浅いトレー状に形成されている。切り開き部7の内周にはカバー受け13を固定しており、カバー受け13の左右側部には、カバー8の左右側部を支持する支持片14が形成されている。また、カバー受け13のうち手前に位置した基部には、ケーブルCを捌くための突起15を設けている。このため、カバー8を取り付けた状態で当該カバー8の手前には配線通路が空いている。
【0023】
カバー8の左右両側面には前後一対ずつの円形の係合凹部16が形成されている一方、カバー受け13の左右両側部には、前後対の係合凹部16が選択的に嵌まる係合凸部17が形成されている。係合凸部17に係合凹部16が選択的に嵌まることでカバー8の前後位置を2段階に変更できる。
【0024】
(2).配線受け部の説明
次に、リアビーム6、天板支持ブラケット9、ケーブル受け10,コネクタサポート11より成る配線受け部を、図5〜7も参照して説明する。図3(A)に示すように、リアビーム6は、後部脚支柱3の上端部でかつ略後半部に連結されている。そして、図5に明瞭に示すように、リアビーム6は、手前に突出した上下の折り返し部20a,20bを有するチャンネル状の基板20を備えており、基板20の前面に側面視凸形の補強板21を溶接で固着している。そして、リアビーム6は全体として上下に長い中空角形に近い形態になっているため、曲げや軸線回りのねじりに対して強い抵抗を発揮する。
【0025】
基板20の上下折り返し部20a,20bは袋状(中空状)に形成されており、その先端にはそれぞれ後ろ向きリップ20c,20dが形成されている。また、補強板21は前向き突部21aを有しており、そこで、リアビーム6の内部には、補強板21は前向き突部21aを挟んだ上下両側に、上係合溝22と下係合溝23とが形成されている。敢えて述べるまでもないが、後ろ向きリップ20c,20dは、上係合溝22,下係合溝23に嵌まった部材を前向き抜け不能に保持する機能を有する。
【0026】
図5,6に示すように、天板支持ブラケット9は、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる嵌合部9aと、天板1の下面にビス(ボルト)24で固定される受け部9bと、これらを繋ぐ傾斜状のアーム部9cとを有している。
【0027】
天板支持ブラケット9における嵌合部9aの背面は、側面視で後ろ向きに膨れた円弧状に形成されている。従って、天板支持ブラケット9をその前部が高くなるように側面視で傾けた姿勢にすることにより、嵌合部9aを手前側から上係合溝22に嵌め込むことができる。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aはアーム部9cの左右両側に突出した張り出し部9dを有する。従って、嵌合部9aとアーム部9c部とでT型の形態を成している。そして、嵌合部9aの張り出し部9dには、リアビーム6における基板20の上後ろ向きリップ20cに下方から嵌合する係合段部25が形成されており、このため、天板支持ブラケット9は下向き倒れ不能に保持されている。
【0028】
図6に明示するように、天板支持ブラケット9における係合段部25の左右中間部には位置決めリブ26を設けている一方、リアビーム6の上後ろ向きリップ20cには位置決めリブ26が嵌まる切欠き27を形成しており、このため、天板支持ブラケット9は左右動不能に保持されている。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aのうちアーム部9cの後ろに位置した部分は補強板21の前向き突部21aに上から重なっているが、アーム部9cから左右両側にはみ出た張り出し部9dの下面は、補強板21における前向き突部21aの上面との間に若干の隙間が空く段盗み部28になっている。
【0029】
コネクタサポート11は板金製品であり(樹脂製でもよい)、左右天板支持ブラケット9のアーム部9cの間に配置されている。コネクタサポート11は、コンセント29を固定できる本体部11aを有しており、本体部11aの上端に、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる左右一対の係合片11bを一体に形成している。係合片11bは、その後端に下向きのストッパー片11cを有する側面視下向き開口コの字形になっており、リアビーム6を構成する補強板21の前向き突部21aに、ストッパー片11cが嵌まるストッパー穴30を形成している。このため、コネクタサポート11は左右動不能に保持されている。
【0030】
そして、コネクタサポート11の係合片11bに、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの張り出し部9dが上から重なっている。すなわち、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの段盗み部28が、コネクタサポート11の係合片11bに上から重なっている。従って、図7(B)から容易に理解できるように、コネクタサポート11は上向きに起こし不能に保持されている。
【0031】
コネクタサポート11の本体部11aは、手前に行くに従って低くなるように傾斜している。また、コネクタサポート11の下端部には、コンセント(テーブルタップ)を取り付けるための長穴32が空いている。また、コネクタサポート11の下端は上向きに曲げている(上向き片を符号11dで示す。)。なお、コネクタサポート11には、電源用のコンセントに限らず、通信用コネクタやルータ、ハブなどの中継機など、各種のコネクタ類を固定できる。
【0032】
ケーブル受け10は上向きに開口したトレー状の形態を成しており、その後端には、リアビーム6の下係合溝23に嵌まる嵌合部10aを設けている。図3(B)及び図7(A)に示すように、嵌合部10aの下面には、リアビーム6の下後ろ向きリップ20dに後ろから引っ掛かる係合爪33を設けている。このため、ケーブル受け10はリアビーム6に抜け不能に保持される。なお、ケーブル受け10には、ケーブルの他にコネクタ等の各種の部材を載置できる。
【0033】
ケーブル受け10の係合爪33は、上下に撓み変形可能な後ろ向きの舌状片34の後端に設けており、ケーブル受け10をリアビーム6に向けて強く押し当てると、舌状片34が弾性変形することで、係合爪33が下折り返し片21dに係合する。舌状片34の付け根はリアビーム6の手前に位置しており、このため、舌状片34を指又はドライバ等で上向きに押し上げることで、係合爪33を下折り返し片21dから離脱させることができる。
【0034】
(3).脚及びリアビームの詳細
次に、図8以下の図面を参照して、脚2の構造とリアビーム6との関係を説明する。図8,9に示すように、脚2を構成する脚支柱3,3′と上フレーム4とは押し出し加工品であって概ね中空角形になっており、水平部41aと垂直部41bとを有するL形のジョイント金具41で互いに連結されている。脚支柱3,3′と上フレーム4との接合面42,43は側面視で斜めにカットされており、ジョイント金具41には、脚支柱3,3′と上フレーム4との接合面42,43の間に挟まるフランジ44を設けている。なお、ジョイント金具41はアルミ等のダイキャスト品を使用しているが、樹脂の成形品を使用することも可能である。
【0035】
脚支柱3,3′の内部は、中間仕切り45で外空間46と内空間47とに区分されており、中間仕切り45には、平面視で円形に近いセンター溝条48が形成されている。センター溝条48は内空間47に開口している。また、内空間47のうち中間仕切り45と反対側の部位には左右2本のエンド溝条49が形成されている。エンド溝条49も円形に近い形態であり、内空間47に開口している。
【0036】
他方、ジョイント金具41の垂直部4bは、脚支柱3,3′の外空間46に嵌まる外足部50と、脚支柱3,3′の内空間47に嵌まる内足部51とで構成されており、内足部51には、平面視でエンド溝条49と連通するエンドビス穴52が上下に開口するように空いており、図9(B)及び図10(B)に矢印53で示すように、エンドビス穴52に上から挿通したビスをエンド溝条49にねじ込んでいる。
【0037】
また、ジョイント金具41のコーナー部のうち外足部50と内足部51との間の部位には、脚支柱3,3′のセンター溝条48と連通するセンタービス穴54を上部に開口するように設けて、矢印55で示すように、センタービス穴54に上から挿通したビスをエンド溝条49にねじ込んでいる。なお、溝条48,49にねじ込まれるビスは、いずれも皿ビスを使用している(ソケットボルトも使用できる。)。
【0038】
他方、図8(C)に示すように、上フレーム4は内部に仕切りがない略角形になっており、従って、ジョイント金具41の水平部41aも単純な角柱状の形態である。そして、図9に矢印56で示すように、前後両端寄り部に設けた連結用ねじ穴57に、上フレーム4に下方から挿通したビスがねじ込まれている。また、ジョイント金具41の水平部41aには、スペーサ5を取り付けるビスがねじ込まれるスペーサ用ねじ穴58,59を設けている。従って、スペーサ5と上フレーム4とジョイント金具41とはビスで一体に共締めされている。このため強度に優れている。
【0039】
なお、スペーサ用ねじ穴58,59のうちビスが上からねじ込まれる上下貫通のねじ穴58は左右に一対ずつ形成されており、実際の締結に際しては左右いずれかの対のみが使用される。これは、スペーサ5の上部が内側に寄っていることを考慮して、1種類のジョイント金具41を左右いずれの脚支柱3,3′にも使用できるようにするためである。また、前後のジョイント金具41は同一のものが使用されており、また、前後の脚支柱3,3′も同一形状に製造されている。すなわち、本実施形態では、前後左右の脚支柱3,3′とジョイント金具41とはそれぞれ同一形状になっていると共に、スペーサ5も同一形状であり、このように部材を共通化することにより、部材管理の手間抑制やコスト低減を図っている。
【0040】
図10に示すように、後部脚支柱3の内側面のうちその上端部でかつ後部には、ビーム6を連結するための連結ブロック61を上下複数本(2本)のボルト62で固定している。ボルト62は後部脚支柱3の内側板を貫通しており、ジョイント金具41の垂直部41bを構成する外足部50には、ボルト62がねじ込まれるねじ穴63を左右に開口した状態に形成している。このように、連結ブロック61と後部脚支柱3とジョイント金具41とがボルト62で共締めされているため、脚2は堅牢な構造になっている。
【0041】
また、連結ブロック61には、後部脚支柱3に向いて突出した上下複数本(2本)の位置決めピン64を設けている一方、後部脚支柱3の内側板と連結ブロック61とには、位置決めピン64が嵌まる位置決め穴65を設けており、このため、連結ブロック61と後部脚支柱3とジョイント金具41とは正確に位置決めされる。(延いては、後部脚支柱3とリアビーム6とも正確に位置決めされる。)。
【0042】
連結ブロック61は、ビーム6における基板20と補強板21との間の中空部(正確には、補強板21の前向き突部21aと基板20とで囲われた角形空間)に嵌まるように、側面視で上下長手の直方体状に形成されている。そして、連結ブロック61の外端面を、平面視で後部脚支柱3から離れるに従って後ろに行く傾斜端面61aに形成している一方、リアビーム6を構成する基板20の端部前面には、連結ブロック61の前面と傾斜端面61aとに重なる平面視クランク状のジョイント板66を溶接で固着し、ジョイント板66をボルト(ねじ)67で連結ブロック61に締結している。
【0043】
正確に述べると、ジョイント板66は、連結ブロック61の前面に重なる前板部66aと、連結ブロック61の傾斜端面61aに重なる傾斜部66bと、リアビーム6の基板20に溶接される後ろ板とを有していて平面視クランク状の形態であり、傾斜部66bが連結ブロック61に上下2本のボルト67で締結されている。従って、傾斜部66bを締結するボルト67は、平面視でリアビーム6の長手方向に対して傾斜している(傾斜角度は45°程度に設定している。)。
【0044】
ジョイント板66は、リアビーム6における基板20の前面の上下全体に広がる幅寸法に設定されており、しかも、ジョイント板66は補強板21における前向き突部21aの端部にも溶接されている。従って、ジョイント板66は基板20と補強板21とで挟まれた状態になっている。このため、リアビーム6の端部がジョイント板66で補強されており、その結果、高い剛性を発揮する。特に、リアビーム6はその軸心回りにねじるような外力に対して高い抵抗を発揮する。
【0045】
図10(A)や図12(C)に示すように、ジョイント板66がリアビーム6の内部に入り込むことを許容するため、補強板21の端部と基板20の折り返し部20a,20bとは部分的に切欠かれている(この切欠きを符号68で示している。)。
【0046】
さて、例えば図13から容易に理解できるように、リアビーム6は前後幅寸法の半分程度が天板1の後ろにはみ出ており、そこで、リアビーム6でバックパネル(机上パネル)Pを支持することができる。机を背中合わせに配置する場合は、前後の天板1の間にバックパネルPが位置する。すなわち、1つのバックパネルPを前後の机で共用される。
【0047】
本実施形態では、バックパネルPは板金製のパネル支柱70を介してリアビーム6に取り付けられている。パネル支柱70は、リアビーム6の端部に手前から重なる下取り付け部70aと、バックパネルPの前後略中間部に下方から嵌入する上取り付け部70bと、両者を繋ぐ中継部70cとで側面視クランク状の形態を成しており、下取り付け部70aがボルト69で連結ブロック61に締結されている。従って、連結ブロック61には前後方向に開口したねじ穴69aを設けている(例えば、図10(A)参照)。
【0048】
正確に述べると、パネル支柱70の下取り付け部70aと、基板20の上下折り返し部20a,20bと、ジョイント板66と、連結ブロック61とがボルト69で締結されている。上取り付け部70bはバックパネルPを構成する縦枠に下方から嵌まっており、ビスで縦枠に抜け不能に締結されている。
【0049】
(4).まとめ
以上の構成において、リアビーム6は左右の後部脚支柱3の間に配置されているため、リアビーム6の左右端面が露出して外観を悪化させることはなく、また、連結ブロック61は後部脚支柱3に内側からねじ込んでボルト62で固定されていると共に、リアビーム6を連結ブロック61に固定するボルト67も机の内部側からねじ込まれており、それらのボルト62,67が後部脚支柱3の外側に露出することもない。
【0050】
また、リアビーム6は上下の折り返し部20a,20bと大きな中空部を有しているため、曲げ荷重に対して高い抵抗を発揮する。また、リアビーム6を構成する基板20と補強板21とは単純な断面形状であるため、鋼板を材料にして容易に製造できる。また、リアビーム6はジョイント板66を介して連結ブロック61に固定されるため、リアビーム6を直接に締結する場合に比べて強度を格段にアップできる。特に、本実施形態のようにジョイント板66を基板20と補強板21との間に挟んだ構成にすると、堅牢性が一層アップする。
【0051】
また、ジョイント板66を締結するためのボルト57は、斜め手前から連結ブロック61にねじ込むものであるため、動力ドライバを使用して簡単にねじ込み作業を行える。本実施形態の一つの特徴として、連結ブロック61を締結するためのボルト62の頭は連結ブロック61に設けたざぐり穴72(図10(A),図11(C)参照)に入り込んでおり、連結ブロック61の手前側には露出していない。従って、ジョイント板66を連結ブロック61に問題なく重ね合わせることができる。
【0052】
バックパネルPを使用しない場合、ジョイント板66の前部66aをボルト69で連結ブロック61に固定しておいて、バックパネルPを使用する場合は、いったんボルト69を取り外してからパネル支柱70を締結することも可能である。かくすると、リアビーム6の締結強度を一層向上できると共に、バックパネルPを後付けする場合に専用のボルトを用意しておく必要がない。
【0053】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えばリアビームや脚は様々の形態を採用できる。リアビームには、図示の部材とは別の部材を取り付けることも可能である。また、リアビームの係合溝は1条又は3条以上設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明は実際に机に具体化できる。従って、産業上、利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 天板
2 脚
3 後部脚支柱
6 リアビーム
7 切り開き部(配線通路)
9 天板支持ブラケット
20 リアビームの基板
21 リアビームの補強板
22 上部係合溝
23 下部係合溝
61 連結ブロック
61a傾斜先端面
66 ジョイント板
66a 前部
66b 傾斜部
67,69 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板をその下方に配置した左右の脚に固定し、前記左右脚の後部間に左右横長のリアビームを配置してなる構成であって、
前記リアビームはその全長にわたって延びる中空部を有している一方、前記脚の内側面には前記リアビームの中空部が嵌まる連結ブロックを突設しており、前記リアビームを前記連結ブロックにボルトで固定しており、更に、前記リアビームには、他の部材を係止できる係合溝が全長にわたって延びるように形成されている、
机。
【請求項2】
前記リアビームは板金加工品であって、上下両端に折り返し部が前向き突設されている基板と、前記基板の前面に固定された補強板とを有しており、前記補強板に角形の前向き突部を設けることにより、前記中空部を形成すると共に、前記前向き突部と上下折り返し部との間にそれぞれ蟻溝形式の係合溝を形成している、
請求項1に記載した机。
【請求項3】
前記連結ブロックの先端面は、手前が前記脚に近くて後ろが前記脚から遠ざかる傾斜端面になっている一方、前記リアビームは、前記連結ブロックの前面に重なる前部と前記連結ブロックの傾斜端面に重なる傾斜部とを有する平面視クランク状のジョイント板が固定されており、前記傾斜部を、平面視で当該傾斜部と直交した斜め方向に延びるボルトで前記連結ブロックに固定している、
請求項1又は2に記載した机。
【請求項4】
前記連結ブロックに、前記リアビームの上に配置したバックパネルを支持するパネル支柱を締結するためのねじ穴が少なくとも手前に開口するように形成されている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した机。
【請求項1】
天板をその下方に配置した左右の脚に固定し、前記左右脚の後部間に左右横長のリアビームを配置してなる構成であって、
前記リアビームはその全長にわたって延びる中空部を有している一方、前記脚の内側面には前記リアビームの中空部が嵌まる連結ブロックを突設しており、前記リアビームを前記連結ブロックにボルトで固定しており、更に、前記リアビームには、他の部材を係止できる係合溝が全長にわたって延びるように形成されている、
机。
【請求項2】
前記リアビームは板金加工品であって、上下両端に折り返し部が前向き突設されている基板と、前記基板の前面に固定された補強板とを有しており、前記補強板に角形の前向き突部を設けることにより、前記中空部を形成すると共に、前記前向き突部と上下折り返し部との間にそれぞれ蟻溝形式の係合溝を形成している、
請求項1に記載した机。
【請求項3】
前記連結ブロックの先端面は、手前が前記脚に近くて後ろが前記脚から遠ざかる傾斜端面になっている一方、前記リアビームは、前記連結ブロックの前面に重なる前部と前記連結ブロックの傾斜端面に重なる傾斜部とを有する平面視クランク状のジョイント板が固定されており、前記傾斜部を、平面視で当該傾斜部と直交した斜め方向に延びるボルトで前記連結ブロックに固定している、
請求項1又は2に記載した机。
【請求項4】
前記連結ブロックに、前記リアビームの上に配置したバックパネルを支持するパネル支柱を締結するためのねじ穴が少なくとも手前に開口するように形成されている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した机。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−94266(P2013−94266A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237601(P2011−237601)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
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