説明

板状ナノ粒子の調製方法および得られるナノ粒子

【課題】本発明は、膨張剤を用いる層状物質の処理による板状ナノ粒子の調製方法、また、グラフト変性板状ナノ粒子の調製方法に関する。
【解決手段】本発明は、
a)層状物質をポリオールから選ばれる膨張剤と混合する工程、
b)膨張した層状物質をグラフト剤と、水および酸の存在下で反応させる工程であって、該グラフト剤は一般式RXY4−aに相当し、
ここで、Rは水素原子もしくは1〜40の炭素原子を含む炭化水素を主成分とする基であり、R基は同じでも、異なっていてもよく、Xはケイ素、ジルコニアもしくはチタン原子を表し、Yは1〜12の炭素原子を含むアルコキシ基もしくはハロゲンを表し、またaは1、2もしくは3である工程、および
c)板状ナノ粒子を回収する工程、
からなる上記の工程を含むことを特徴とする板状ナノ粒子を調製する方法に関する。
得られる該ナノ粒子は、特にはポリマーの補強用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ナノ粒子の調製方法およびその結果として得られる板状ナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類のポリマーの補強用に、無機粒子が広く用いられている。
それらの粒子は、プレートレット(plaquettes)の形態のものが特に追求されている、何故ならば、プレートレットの粒子は補強されるポリマー中で所定の方向に配向することができ、そしてそれ故に、ポリマーにバリア性、特に水および気体に対するバリア性を与えるためである。これらの粒子の特有の形状および互いに概ね平行であるそれらの配置が、ポリマーマトリックスを通した水および気体の移動をより困難にし、そしてそれらの拡散を遅くする。
【0003】
プレートレット形態の粒子は通常は層状物質から得られ、ほとんどの場合は、粘土などの天然の層状物質から得られる。通常は、所望の寸法および粒子径分布を有する粒子を得るために、層状物質は、1つまたはそれ以上の機械的処理、例えば研削または転削、および/または化学処理、例えばイオン交換に付される。得られた粒子は、次いでそれらに特有の性能を与えるように、例えばポリマーを通した水および気体の拡散を更に低減するために、それらの表面を疎水性にするように変性することができる。
【0004】
例えば、欧州特許出願公開第927748号明細書には、疎水性の粘土粒子の調製が記載されており、それは粘土の水性懸濁液を、ケイ素を組み込まれた有機化合物、例えば有機シランまたは有機シロキサンに、酸および水混和性の溶剤の存在下で接触させること、そして粒子の分離をもたらすように水非混和性の溶剤を添加することからなっている。
【0005】
最近では、小さい径の粒子により大きな関心が示されてきており、それは典型的にはその最も小さい寸法において、100nm未満のものであり、それは「ナノ粒子」と呼ばれる。
【0006】
上記と同様に、プレートレットの形態のナノ粒子が、それらをポリマー中に組み込んだときに、水および気体に対するバリア効果を与えるために適切である。しかしながら、ナノ粒子がプレートレットの凝集体ではなく、個別のプレートレットの形態である時に、この効果がより大きいことが観察されている。
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第927748号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの主題は、薄層の間に、それらを分離させるために挿入することができる膨張剤を用いる層状物質の処理による板状ナノ粒子の調製方法に関する。
本発明の他の主題は、グラフト変性板状ナノ粒子の調製方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による方法は、
a)層状物質をポリオールから選ばれる膨張剤と混合する工程、
b)膨張した層状物質をグラフト剤と、水および酸の存在下で反応させる工程であって、ここで該グラフト剤は下記の一般式に相当し、
XY4−a
ここで、Rは水素原子もしくは1〜40の炭素原子を含む炭化水素系基であり、R基は同じでも、異なっていてもよく、Xはケイ素、ジルコニアもしくはチタン原子を表し、Yは1〜12の炭素原子を含むアルコキシ基もしくはハロゲンを表し、またaは1、2もしくは3である工程、および
c)板状ナノ粒子を回収する工程、
からなる上記の工程を含むことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
用語「層状物質」は、数ナノメータの厚さを有する複数の概ね平行の薄層からなる無機物質を意味すると理解される。通常、このような物質の薄層は、全体にまたは部分的にのみ、薄層の表面に存在する遊離の水酸基と薄層間の空間に含まれる水および/またはカチオンとの間の水素もしくはイオン型の相互作用によって互いに結合されている。層状物質は、天然の物質でもよく、または化学合成によって得られたものでもよい。
【0011】
本発明は、特には粘土およびベーマイトの群に属する層状物質に関する。
【0012】
用語「粘土」は、当業者によって通常受け入れられている定義通りに解釈され、すなわち、一般式Al・SiO・xHO(ここでxは水和度である)の水和したアルミノケイ酸塩と定義される。
【0013】
例として、雲母型のフィロケイ酸塩鉱物を挙げることができ、例えばスメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデライト、ヴォルコンスキー石、サポナイト、ソーコナイト、マガディアイト、バーミキュライト、雲母、ケニヤイトおよび合成ヘクトライトが挙げられる。
【0014】
好ましくは、粘土は、2:1型のフィロケイ酸塩、有利にはスメクタイトから選ばれる。特に好ましい粘土はモンモリロナイトである。
【0015】
多くの製造業者がこのような粘土を粉末の形態で供給しており、その粒子は、トランプの一組の様に相互に積み重なったプレートレットでなっている。必要であれば、この粒子はその大きさを小さくするために、および/または所望の粒径分布を得るために、例えば高速で運転される混合機中での機械的処理によって、処理することができる。
【0016】
粘土は、例えば750℃以上の温度での、か焼工程を経た粘土でもよい。
【0017】
粘土は、更に変性された粘土でもよく、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩またはイミダゾリニウム塩の溶液、好ましくは1つまたはそれ以上のアルキル基を組み込んだもの、そしてより好ましはこれらの塩のモノアルキル誘導体、の存在下での陽イオン交換によって変性されたものである。
これらの変性された粘土は良く知られており、また商業的に入手可能である。
【0018】
層状物質は、更に水酸化アルミナから作られたベーマイトであってもよく、より好ましくはプレートレットの形態である水酸化アルミニウムから水熱反応によって得られた合成ベーマイトである。粉末化されたベーマイトが商業的に入手可能である。必要であれば、その大きさを小さくするために、および/または所望の粒径分布を得るために、粘土について上記したような機械的処理を加えてもよい。
【0019】
工程a)において、層状物質は膨張剤と混合され、膨張剤は薄層の間に挿入され、そしてそれらの間の距離を増大させ、そのことが薄層が個別のプレートレットへと分離するのを促進する。
【0020】
本発明による膨張剤は、ポリオール、好ましくはジオールから選ばれ、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。有利には、ポリエチレングリコールは分子量が1200以下であり、またより好ましくは600以下である。
【0021】
混合物中の層状物質の量は、大幅に変わってもよく、10%〜70%、好ましくは20%〜50%である。
【0022】
必要であれば、混合物は薄層をプレートレットへと分離するのを助ける操作を受けてもよく、例えば、粒子が高速で、もしくは超音波作用によって、剪断を受けることを可能にさせる装置中で、機械的な処理を受けてもよい。
【0023】
混合は、層状物質を、撹拌しながら、ポリオールへ加えることによって行われ、そしてこの混合は約20℃〜25℃の室温で維持され、ポリオールが薄層間に侵入し、そして層状物質の遊離の水酸基と相互作用するのに十分な時間、維持される。通常は、10分間以上程度の接触時間が必要であり、好ましくは2時間以上、そしてより好ましくは6時間以上である。
【0024】
混合物は、更に、層状物質が分散するのを助ける薬剤を含んでもよく、例えばポリアルコキシ化化合物、例えばエトキシ化/プロポキシ化アルキルフェノール、エトキシ化/プロポキシ化ビスフェノールもしくはエトキシ化/プロポキシ化脂肪族アルコールが挙げられ、エチレンオキサイド単位の数は、1〜50、好ましくは1〜40の範囲で変わり、そしてプロピレンオキサイド単位の数は、0〜40、好ましくは0〜15の範囲で変わる。
【0025】
工程b)において、膨張した層状物質は、水および酸の存在下でグラフト剤と反応する。
【0026】
用語「グラフト剤」は、ここでは層状物質の水酸基と共有結合を形成することができる化合物を意味すると理解され、そしてグラフトは層状物質の表面に特有の性能を与える、特に表面に疎水性もしくは親水性の性質を与えるために、層状物質の表面を変性することを可能にする。
【0027】
通常は、膨張した層状物質の懸濁液を得るために水が最初に加えられ、次いでグラフト剤と酸が加えられる。
【0028】
加えられる水の量は、混合物の5質量%〜90質量%の範囲で変えられ、好ましくは10質量%〜70質量%である。
【0029】
前記のように、グラフト剤は次の式の化合物である。
XY4−a
ここで、Rは水素原子もしくは1〜40の炭素原子を含む炭化水素系基であり、この基は飽和もしくは不飽和の、線状の、分岐したまたは環状の基であってよく、1つまたはそれ以上のOもしくはNのヘテロ原子を含んでいてもよく、または1つまたはそれ以上のアミノ基、カルボン酸基、エポキシ基もしくはアミド基で置換されていてもよく、そしてR基は同じでも、異なっていてもよく、XはSi、ZrもしくはTiを表し、Yは1〜12の炭素原子を含むアルコキシ基もしくはハロゲン、好ましくはClを表し、またaは1、2もしくは3である。
【0030】
好ましくは、グラフト剤は有機シランであり、有利には2つまたは3つのアルコキシ基を有する有機シランである。
【0031】
例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ターシャリ−ブチルカルバモイルプロピルトリメトキシシランおよびγ−(ポリアルキレンオキサイド)プロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0032】
好ましくは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが選ばれる。
【0033】
グラフト剤は、出発原料の層状物質の15質量%〜75質量%に相当する量、好ましくは30質量%〜70質量%が加えられる。
【0034】
工程b)において、グラフト剤と層状物質の水酸基の間の反応の触媒として、酸が加えられる。
【0035】
無機でも有機でも、いずれの型の酸も用いることができる。好ましくは、酢酸が用いられる。クロロシランが用いられる場合には、クロロシランの加水分解によって、または層状物質の表面に存在する水酸基とクロロシランとの反応によって、酸をその場で発生させることができる。
【0036】
好ましくは、酸の量は、層状物質の懸濁液のpHが1〜6の範囲、好ましくは3〜5の範囲、そしてより好ましくは約4であることを可能にするものでなければならない。
【0037】
工程b)の反応は、約20℃〜25℃の室温で行うことができるが、しかしながら反応時間は温度がより高い場合に大幅に短縮される。原則として、工程b)の構成物質は室温で混合され、次いでそれが90℃を超えない温度にまで加熱される。
【0038】
懸濁液の中に、工程a)で前述したように層状物質の分散を助ける薬剤、および/またはpHを調整するための塩基、例えば水酸化アンモニウムを導入することができる。
【0039】
工程c)において、板状ナノ粒子が、いずれかの知られた方法、例えばろ過、または遠心分離、水非混和性の溶剤の添加による相分離、または水および場合によっては工程b)でのグラフト剤のアルコキシ基の加水分解の結果であるアルコールの蒸発、によって回収される。
【0040】
このようにして得られた板状ナノ粒子は、グラフト剤の残基によって表面変性されている。これらの板状ナノ粒子は、6%超の、好ましくは12%超の、そしてより好ましくは16%超の強熱減量を有している。
【0041】
これらの粒子は、薄層の分離に寄与する更なる処理に付すことができ、そしてその結果、厚さの薄いナノ粒子の最終的な比率を増大させることができる。
【0042】
例えば、適切な媒体中に懸濁しているナノ粒子を、強力な剪断を可能にする処理、例えばウルトラチュラックス(Ultraturax)(登録商標)装置を用いた方法による処理、または超音波による処理、に付させることができる。この処理は、好ましくは、先に明示したように懸濁液にナノ粒子の分散を助ける薬剤、および/または粘度調整剤、例えばポリビリルアセテート、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロースもしくはポリエチレングリコールを加えることによって行われる。
【0043】
他の可能な処理は、ナノ粒子を熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー、例えばエポキシ樹脂と、押出機(extrudeuse)中でそして押出し物を水中で乳化して、混合することからなる。
【0044】
板状ナノ粒子は、特にポリマー材料を補強するのに用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下の例は本発明を説明するものであるが、しかしながら本発明を限定するものではない。
実施例1
冷水循環凝縮器を上部に備え、そして温度計を備えた三口の丸底フラスコ中へ、45gの粘土(デライト(Dellite)(登録商標)67G、ラビオサシミカミネラリア(Laviosa Chimica Mineraria))および300gのポリエチレングリコール(平均分子量が300)を導入した。
【0046】
粘土は、四級アンモニウム塩での陽イオン交換によって処理した天然のモンモリロナイトであった。
数分後に、混合物中に、撹拌しながら、100gの水および90gの酢酸(水中に90%)を加えた。
この混合物を、十分な撹拌下に50℃に加熱し、粘土の良好な分散液を得た。
【0047】
次に、50gのN−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト(Silquest)(登録商標)A1128、ジーイーシリコーンズ(GE Silicones)を添加した。懸濁液のpHは5であった。
この懸濁液を、還流下に4時間加熱し、次いで室温まで冷却し、そしてろ過した。
回収した粘度を水で洗浄し、105℃で1時間乾燥し、粉砕して、そして同じ条件下で再度乾燥した。
この粘土は、ナノ粒子を20質量%超含有しており、また17.4%の強熱減量を有していた。
【0048】
実施例2
粘度を、変性されていない天然のモンモリロナイト(デライト(Dellite)(登録商標)HPS、ラビオサシミカミネラリア(Laviosa Chimica Mineraria))とし、また膨張剤をエチレングリコールとした以外は実施例1の条件に従った。
更に、還流下での加熱の工程の後に、ろ過によって回収した粘土を、500mLの6g/L炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、そして1リットルの蒸留水で洗浄した。
製造された粘土は20質量%超のナノ粒子を含み、そして14.9%の強熱減量を有していた。
【0049】
実施例3
実施例1の装置中に、165gのN−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト(Silquest)(登録商標)A1128、ジーイーシリコーンズ(GE Silicones)、50gの蒸留水、50gの酢酸および100gのプロパン−2−オールを導入した。この混合物を60℃に30分間加熱し、シランを加水分解した。
【0050】
500gのエチレングリコールを入れた容器中に、激しく撹拌しながら、180gの粘土(デライト(Dellite)(登録商標)67G、ラビオサシミカミネラリア(Laviosa Chimica Mineraria))を注ぎいれた。得られた混合物を、9000rpmでウルトラチュラックス(Ultraturax)(登録商標)処理に10分間付し、次いでこの混合物を前述の装置中へ導入した。
この反応混合物を、還流下に5時間加熱し、次いで室温まで冷却し、そしてろ過した。
回収した粘土は、実施例1の条件下で処理した。これは26.7%の強熱減量を有していた。
【0051】
実施例4
四級アンモニウム化合物によって変性した粘土(ナノフィル(Nanofil)(登録商標)5、スードケミー(Sud-Chemie AG))16.5g、10gの2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、20gのポリビニルアルコール(加水分解度が88%、分子量が22000)および300gの蒸留水を容器中に導入した。この混合物を、分散液を得るために、強力な撹拌下に30分間以上維持した。
この分散液を、ウルトラチュラックス(Ultraturax)(登録商標)によって、6000rpmで、5分間処理し、30分間静置し、そして再度ウルトラチュラックス(Ultraturax)で、9000rpmで、1分間処理した。
【0052】
この分散液と200gの水を実施例1の装置に導入し、続いて50gの酢酸(水中に90%)を加えた。この混合物を十分な撹拌下に50℃に加熱して良好な分散液を得、次いで50gのγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シルクエスト(Silquest)(登録商標)A1100、ジーイーシリコーンズ(GE Silicones))をゆっくりと加えた。この懸濁液のpHは5.2であった。
この懸濁液を、還流下に4時間加熱し、次いで室温まで冷却し、そしてろ過した。
回収した粘土は、実施例1の条件下で処理した。これは24.4%の強熱減量を有していた。
【0053】
実施例5
実施例1の装置中に、四級アンモニウム化合物で変性した粘土50g(ナノフィル(Nanofil)(登録商標)5、スードケミー(Sud-Chemie AG))、200gのポリエチレングリコール(平均分子量が300)および10gのポリビニルアルコール(加水分解度が88%、分子量が22000)を導入した。
数分後、この混合物に、撹拌下で、250gの水と90gの酢酸(水中に90%)を加えた。
【0054】
この混合物を、十分な撹拌下で、50℃に加熱し、粘土の良好な分散液を得た。この分散液を、ウルトラチュラックス(Ultraturax)(登録商標)で、6000rpmで、5分間処理し、30分間静置し、そして再度ウルトラチュラックス(Ultraturax)で、9000rpmで、1分間処理した。
【0055】
次いで、得られた分散液に、30gのγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト(Silquest)(登録商標)A−174、ジーイーシリコーンズ(GE Silicones)、15gのN−(ポリエチレンオキシエチレン)−N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト(Silquest)(登録商標)A−1126、ジーイーシリコーンズ(GE Silicones)および10gのシリル化ポリアザミド(シルクエスト(Silquest)(登録商標)A−1387、ジーイーシリコーンズ(GE Silicones)をゆっくりと加えた。この懸濁液のpHは4.6であった。
【0056】
この懸濁液を、還流下で5時間加熱し、室温に冷却し、そしてろ過した。
回収した粘度を、実施例1の条件下で処理した。これは35.9%の強熱減量を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ナノ粒子を調製する方法であって、
a)層状物質をポリオールから選ばれる膨張剤と混合する工程、
b)膨張した層状物質をグラフト剤と、水および酸の存在下で反応させる工程であって、ここで該グラフト剤は下記の一般式に相当し、
XY4−a
ここで、Rは水素原子もしくは1〜40の炭素原子を含む炭化水素系基であり、R基は同じでも、異なっていてもよく、Xはケイ素、ジルコニアもしくはチタン原子を表し、Yは1〜12の炭素原子を含むアルコキシ基もしくはハロゲンを表し、またaは1、2もしくは3である工程、および
c)板状ナノ粒子を回収する工程、
からなる上記の工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
膨張剤がジオールであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ジオールが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールまたはポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
工程a)において、層状物質の量が混合物の10質量%〜70質量%であり、好ましくは20質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程a)において、混合が約20℃〜25℃の温度で行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
R基が、飽和もしくは不飽和の、線状の、分岐したもしくは環状の基であり、1つまたはそれ以上のOもしくはNのヘテロ原子を含んでいてもよく、または1つまたはそれ以上のアミノ基、カルボン酸基、エポキシ基もしくはアミド基で置換されていてもよいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
グラフト剤が有機シランであり、好ましくは2つまたは3つのアルコキシ基を有していることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
グラフト剤が、出発原料の層状物質の15質量%〜75質量%、好ましくは30質量%〜70質量%に相当する量加えられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程b)の混合物のpHが、1〜6の範囲、好ましくは3〜5の範囲、そして有利には約4であるのに十分な量の酸が加えられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
工程b)の配合物が、約20℃〜25℃の温度で混合され、次いで90℃を超えない温度まで加熱されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
層状物質が粘土またはベーマイトであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項記載の方法によって得られる板状ナノ粒子であって、6%超の、好ましくは12%超の、そしてより好ましくは16%超の強熱減量を有する板状ナノ粒子。

【公表番号】特表2009−520671(P2009−520671A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546550(P2008−546550)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051373
【国際公開番号】WO2007/074280
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507392897)
【Fターム(参考)】