説明

板金加工システムにおける二酸化炭素排出量の算出方法

【課題】それぞれの板金工程での部品当りの二酸化炭素排出量を求め、一連の加工を行った場合の部品当りの二酸化炭素排出量を求めることが可能な板金加工システム及び二酸化炭素排出量の算出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】パンチング加工手段110と、レーザ加工手段120と、曲げ加工手段130と、溶接手段140と、これらの手段を制御する制御手段100とからなる板金加工システムであって、前記パンチング加工手段とレーザ加工手段は、加工する部品を搬入及び搬出するための周辺装置をそれぞれ有し、前記各手段及び前記周辺装置は、消費する電力量を計測するための電力計測手段を具備し、前記制御手段は、前記各電力計測手段が計測した消費電力量をもとに、総電力量及び二酸化炭素排出量を算出することを特徴とする板金加工システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金加工システムにおける二酸化炭素排出量の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から製品の製造工程における二酸化炭素排出量に対する関心が高まっている。京都議定書に見られるように、先進国には具体的な二酸化炭素等の温室効果ガスの削減目標値が定められており、その結果、企業に対して国は排出量を算定して報告することを義務づけている。
【0003】
板金加工に関しても例外ではなく、板金加工の依頼元から依頼先へ、発注部品を加工する過程で発生する二酸化炭素の量の提出を求めるという場合が増えている。このような時に、部品当りの二酸化炭素排出量が製造システム内で計測・表示されれば、便利である。また、それにより日常の加工作業において、どのような部品をどのように加工するとどれくらいの二酸化炭素が排出されるかを知ることができるようになり、二酸化炭素排出量削減の具体的な方法が経験的に得られるようになる。
【0004】
例えば、特許文献1には環境負荷集計システムの技術が開示されている。図5は、環境負荷集計システム1の概要を示した説明図である。
【0005】
環境負荷集計システム1は、演算手段や入力手段、表示手段、送受信手段(送信手段、及び受信手段を兼備したもので、以下同様)等を備えたサーバーコンピュータ2と、後述の如く各加工工程毎に環境負荷を算出可能な演算手段を有する各種加工機(たとえば、旋盤やマシニングセンタ等)3、3・・とをネットワーク接続したものである。そして、サーバーコンピュータ2では、各加工機3からリアルタイムで送信される環境負荷を集計する。
【0006】
この環境負荷集計システムにおいては、旋盤加工などの機械加工における部品当りの二酸化炭素排出量の計測表示技術等が公表されているが、旋盤加工などの単純機械加工の場合は、部品を素材の機械への装着から加工終了まで1つずつ加工するので部品ごとの計測が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−260439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、板金加工には、一般に抜き加工、曲げ加工、溶接加工などの複数の工程があり、板金加工の抜き加工では、一般にネスティングと呼ばれる工程によって、板状の素材に作成部品を歩留まり良く複数配置することで素材の使用効率を高めて複数種、複数個の部品を連続並行加工するため、素材加工終了と同時に複数種、複数個の部品が一斉に加工終了となる。
【0009】
図6に示すタレットパンチング加工機では、自動プログラミングによって各部品のCADデータを作成した後、金型自動割付により単品パーツ加工テーブルを生成する。加工する部品の作成個数を指定してネスティングを行い加工データ(シートデータ)を生成するため再度金型自動割付を実施すると、単品パーツ加工テーブルのパンチ数とネスティング加工データの金型ごとのパンチ数が異なり、或いは使用金型が異なる場合がある。また、作業工程の中で使用金型を手動で変更する場合もあり、サーバに記録されている単品パーツ加工テーブルから計算された加工データと現場で実施された加工データとの間に差が生じるという問題がある。
【0010】
また、レーザ加工においても単品パーツ加工テーブルにおける加工の際に用いる加工情報には加工経路長、加工時間があり、単品ごとの使用電力量を算出するのにどちらを使用するかによる差異も問題となる。そのため機械加工のように部品を1個ずつ加工する工程と異なり部品当りの二酸化炭素排出量の計測はそれほど容易ではない。
【0011】
また、部品と部品との切断境界部を金型幅で共有する桟幅共有ネスティングの場合、1個の金型で部品の外周を切断することが、別の部品の外周の一部を切断することになり、夫々の切断工程がどの部品の生成のために行われたのか明確に決めることができないという問題がある。
【0012】
例えば単純な例で説明する。図7は、示すネスティングによる部品配置図である。図7(a)は桟幅有りのネスティングで、図7(b)は桟幅共有のネスティングを示している。ネスティングによりシート材上の部品の配置が、図7(a)の配置の加工では、部品a、部品b、部品cの外周切断では、部品ごとの加工のため1つ1つのパンチングがどの部品を作り出すための動作であるか明確に分かる。しかし、図7(b)の配置の加工では、部品aと部品b、部品aと部品cとの切断部の桟幅が加工する金型幅のため、1つのパンチングが両側の部品の生成に寄与することになる。
【0013】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、夫々の板金加工工程での使用装置ごとの使用電力量を算出し、二酸化炭素排出量に換算して比例配分することで部品当りの二酸化炭素排出量を求め、一連の加工を行った場合の部品当りの二酸化炭素排出量を求めることが可能な板金加工システムにおける二酸化炭素排出量の算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の目的を達成するため、以下(1)〜(3)の構成を備えるものである。
【0015】
(1)パンチング加工手段と、レーザ加工手段と、曲げ加工手段と、溶接手段と、これらの手段を制御する制御手段とからなる板金加工システムであって、前記パンチング加工手段とレーザ加工手段は、加工する部品を搬入及び搬出するための周辺装置をそれぞれ有し、前記各手段及び前記周辺装置は、消費する電力量を計測するための電力計測手段を具備し、前記制御手段は、前記各電力計測手段が計測した消費電力量をもとに、総電力量及び二酸化炭素排出量を算出することを特徴とする板金加工システム。
【0016】
(2)前記制御手段は、前記パンチング加工手段の使用した金型ごとの使用電力量、及びパンチング加工した部品の数量、及び使用した金型毎のパンチ数をもとに、パンチング加工された部品1個当たりの消費電力量を算出し、前記レーザ加工手段の使用電力量、レーザ加工した部品の数量、各部品毎のレーザ加工時間をもとに、レーザ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出し、前記曲げ加工手段の使用電力量と、曲げ加工した部品の数量をもとに、曲げ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出し、前記溶接手段の使用電力量と、溶接した部品の数量をもとに、溶接された部品1個当たりの消費電力量を算出し、前記周辺装置の使用電力量と、該周辺装置により搬入及び搬出された部品の数量及び質量から、該部品1個当たりの消費電力量を算出し、前記すべての消費電力量を合計したのち、該合計値に所定の係数を乗算することにより部品1個あたりの二酸化炭素排出量を計算することを特徴とする前記(1)記載の板金加工システム。
【0017】
(3)パンチング加工手段の使用した金型ごとの使用電力量、及びパンチング加工した部品の数量、及び使用した金型毎のパンチ数をもとに、パンチング加工された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、レーザ加工手段の使用電力量、レーザ加工した部品の数量、各部品毎のレーザ加工時間をもとに、レーザ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、曲げ加工手段の使用電力量と、曲げ加工した部品の数量をもとに、曲げ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、溶接手段の使用電力量と、溶接した部品の数量をもとに、溶接された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、部品を搬入及び搬出する周辺装置の使用電力量と、該周辺装置により搬入及び搬出された部品の数量及び質量から、該部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、前記すべての消費電力量を合計したのち、該合計値に所定の係数を乗算することにより部品1個あたりの二酸化炭素排出量を計算することを特徴とする二酸化炭素排出量の算出方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記構成を有することで、一連の板金加工工程での使用電力量を算出し、二酸化炭素排出量に換算して比例配分することで部品当りの二酸化炭素排出量を簡便に求められる板金加工システムにおける二酸化炭素排出量の算出方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の加工システムの全体構成を示す図
【図2】実施例の板金加工における部品構成を示す図
【図3】実施例の二酸化炭素排出量を求める過程を示すフローチャート
【図4】実施例における各部品の使用電力量を、各工程毎に示した図
【図5】従来の環境負荷集計システムを示す図
【図6】タレットパンチング加工用自動プログラミングの板金加工の工程を示した図
【図7】ネスティングによる部品配置図、(a)桟幅有りの配置図、(b)桟幅共有の配置図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
本実施例の加工システムの全体構成を図1に示す。この図において、パンチング加工機110、周辺装置112、レーザ加工機120、周辺装置122、プレスブレーキ130、曲げロボット135及び溶接ロボット141については以下の表1のような構成になっている。
【0023】
【表1】

【0024】
図1に示す全体構成は、本実施例の加工システムの全ての工程制御や加工に必要なデータを統括するプログラム室に設置されたサーバ100と、サーバ100とネットワークで接続された工場内に設置された加工装置(パンチング加工機110と周辺装置112、レーザ加工機120と周辺装置122、プレスブレーキ130と曲げロボット135、溶接ロボット141と溶接機140等)から構成されている。プログラム室のサーバ100には、複数のPC装置が接続され、CAD/CAMデータを作成する自動プログラミング装置である工程管理用PC101として機能している。自動プログラミング装置である工程管理用PC101は、各部品単位のパンチング加工、レーザ加工、曲げ加工及溶接加工などの工程制御を行うNCデータ及び制御データ、更に複数種、複数個の部品のネスティングデータ及びそのパンチング加工、レーザ加工のためのNCデータ及び制御データを自動プログラミングソフトウェアにより作成してサーバ100に格納する。
【0025】
また、工場内の各加工装置本体の機械及び周辺装置の使用電力量は、各加工装置に取り付けられている電力計により計測されセルコントローラあるいはセル内の主たるNC(図1の溶接セルにおける溶接ロボット141のNCがその例)から、ネットワークを介してプログラム室のサーバ100に送られる。サーバ100では、各加工装置から送られてきた部品製作に要した使用電力量より二酸化炭素排出量の算出方法により排出量計算の後に、個々の部品毎の二酸化炭素排出量等をサーバ100に接続された二酸化炭素排出量監視用PC102の画面に表示する。或いは、二酸化炭素排出量監視用PC102に接続された大型ディスプレイ103の画面に部品毎の二酸化炭素排出量を表示することもできる。尚、図中では工程管理用PCと二酸化炭素排出量監視PCとを説明のため別々のPC装置として表示してあるが、1台のPC装置で両機能を具備することも可能である。
【0026】
次に、本実施例の板金加工における部品構成を図2に示す。図2は夫々の部品を作成するために必要な加工工程を示している。ここで、部品は全て同じ材質、板厚とする。今の場合、部品AをN個、部品BをN、部品CをN個作製するものとする。また、N=N=Nとする。さらに、部品DをN個、部品EをN個、部品Fを部品N個加工するものとする。
【0027】
各部品を1個製作する時の二酸化炭素排出量を求める例を以下に説明する。プログラム室の工程管理用PC101の自動プログラミングソフトウェアにより作成された各本体機械(パンチング加工機110、レーザ加工機120、プレスブレーキ130、溶接機140等)のためのNCデータや部品に関するデータはサーバ100に保存されている。本体機械用のNCデータ及び周辺装置用の制御データは、サーバ100からネットワークを介してセルコントローラ経由で本体機械及び周辺装置に転送される。
【0028】
また、各本体機械及び周辺装置での使用電力量はセルコントローラあるいはセル内の主たるNC(図1の溶接セルにおける溶接ロボット141のNCがその例)からネットワークを介してサーバ100に送られ、サーバ100の二酸化炭素排出量の算出方法によって使用電力量から排出量計算の後、部品毎の二酸化炭素排出量等はサーバの二酸化炭素排出量監視用PC102の画面に表示、或いは大型ディスプレイ103の画面に表示される。
【0029】
図3は、本実施例における二酸化炭素排出量の算出方法に基づいて各装置の使用電力量から二酸化炭素排出量を求めて各部品に比例配分し、部品の二酸化炭素排出量を求める過程のフローチャートを示す。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0030】
(1)パンチング加工の使用電力量(S101)
パンチング加工を行うのは、図2に示す加工工程より部品B、D、Eである。これらの部品については、パンチング加工機110で単品加工する場合のNCデータが用意されている。
【0031】
部品Bの使用金型は金型a,b、部品Dの使用金型は金型a,c、部品Eの使用金型は金型a,b,cが使用される。
【0032】
部品Bを単品加工する場合、金型aによるパンチ数をPBa、金型bによるパンチ数をPBbとする。
【0033】
部品Dを単品加工する場合、金型aによるパンチ数をPDa、金型cによるパンチ数をPDcとする。
【0034】
部品Eを単品加工する場合、金型aによるパンチ数をPEa、金型bによるパンチ数をPEb、金型cによるパンチ数をPEcとする。
【0035】
この各部品製作に必要な金型毎のパンチ数を、以下の表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
また、必要な部品数量は、上記したように部品BがN個、部品DがN個、部品EがN個である。
【0038】
これらの部品が1枚の板状のシート材にネスティングされてパンチング加工される。しかし、CADデータに基づくネスティング処理では、部品ごとのパンチ数は単品加工の場合と必ずしも同じにはならない。ネスティングによって部品を歩留まり良く必要数配置した後に、金型割付をやり直すためである。図7の説明で上述したように、部品と部品との切断境界部を金型幅で共有する桟幅共有ネスティングでは、各部品の境界を1度又は一連の抜き加工で処理する場合があり、境界を接する部品加工の工数をどの部品に換算するか、使用電力量算出の判別が難しいことが板金加工特有の複雑さを内包している。
【0039】
必要な部品数量をネスティングしたシート材を加工した時の金型ごとの使用電力量Qを以下の表3に示す。なお、この使用電力量には、金型交換に要した電力量も含まれる。
【0040】
【表3】

【0041】
部品Bを1個パンチング加工したときの金型aによる加工に対する使用電力量RNBaを単品加工の場合のパンチ数の比率に従って求めると、
NBa=QNa×PBa/(PBa×N+PDa×N+PEa×N
となる。
【0042】
同様に、部品Bを1個パンチング加工したときの金型bによる加工に対する使用電力量RNBbを求めると、
NBb=QNb×PBb/(PBb×N+PEb×N
これらより、部品Bを1個パンチング加工したときの使用電力量RNBは、
NB=RNBa+RNBb
となる。
【0043】
同様に、部品Dについては、
NDa=QNa×PDa/(PBa×N+PDa×N+PEa×N
NDc=QNc×PDc/(PDc×N+PEc×N
ND=RNDa+RNDc
となる。
【0044】
同様に、部品Eについては、
NEa=QNa×PEa/(PBa×N+PDa×N+PEa×N
NEc=QNb×PEb/(PBb×N+PEb×N
NEc=QNc×PEc/(PDc×N+PEc×N
NE=RNEa+RNEb+RNEc
となる。
【0045】
(2)パンチング加工機110の周辺装置112の使用電力量(S102)
部品B,D,Eの1個当たりの質量をそれぞれW,W,Wとする。
【0046】
また、部品BをN個、部品DをN個、部品EをN個だけネスティングした1枚のシート材をパンチング加工機110の周辺装置112でパンチング加工機110に搬入、パンチング加工機110から搬出するのに要した使用電力量QPNとする。これらをまとめると次の表4のようになる。
【0047】
【表4】

【0048】
周辺装置112でバラシを行う場合は、QPNにはバラシ処理の使用電力量も含まれる。
【0049】
これにより、部品Bの1個当たりに要した使用電力量RPNBは、
PNB=QPN×W/(W×N+W×N+W×N
同様に、部品D,Eの1個当たりに要した使用電力量RPND,RPNEは、
PND=QPN×W/(W×N+W×N+W×N
PNE=QPN×W/(W×N+W×N+W×N
となる。
【0050】
(3)レーザ加工の使用電力量(S103)
レーザ加工を行うのは、部品C,Fである。
【0051】
部品C,Fについてはレーザで単品加工する場合のNCデータが用意され、それに従ってシミュレーションが行われて予測加工時間が算出される。レーザ加工の部品加工情報としては加工経路長、加工時間があるが、シート加工時の総使用電力が分って、各部品に比例配分する場合、加工経路長を使うよりも加工時間を使う方が各部品に比例配分する際の誤差が少ないため、本実施例では加工時間を使用する。それぞれの予測加工時間を、以下の表5のようにTLC,TLFとする。
【0052】
【表5】

【0053】
必要な部品数量は、上記したように部品CがN個、部品FがN個である。
これらが1枚のシート材にネスティングされてレーザ加工されるものとする。そして、このシート材をレーザ加工したときの使用電力量を以下の表6のようにQとする。
【0054】
【表6】

【0055】
これらより、部品Cを1個レーザ加工したときの使用電力量RLCは、
LC=Q×TLC/(TLC×N+TLF×N
同様に、部品Fを1個レーザ加工したときの使用電力量RLFは、
LF=Q×TFC/(TLC×N+TLF×N
となる。
【0056】
(4)レーザ加工機120の周辺装置122の使用電力量(S104)
部品C,Fの1個当たりの質量をそれぞれW,Wとする。
また、部品CをN個、部品FをN個だけネスティングした1枚のシート材をレーザ加工機120の周辺装置122でレーザ加工機120に搬入し、レーザ加工機120から搬出するのに要した使用電力量を以下の表7のようにQPLとする。
【0057】
【表7】

【0058】
これらより、部品Cの1個当たりに要した使用電力量RPLCは、
PLC=QPL×W/(W×N+W×N
同様に、部品Fの1個当たりに要した使用電力量RPLFは、
PLF=QPL×W/(W×N+W×N
となる。
【0059】
(5)曲げ加工の使用電力量(S105)
曲げ加工に関しては、部品ごとに使用電力量を求めることが出来る。即ち、部品BをN個曲げるのに要したプレスブレーキ130の使用電力量をQBBとすると、1個当たりの使用電力量RBBは、
BB=QBB/N
となる。
【0060】
同様に、部品BをN個曲げるのに要した曲げロボット135の使用電力量をQRBBとすると、1個当たりの使用電力量RRBBは、
RBB=QRBB/N
となる。
【0061】
同様に、部品CをN個曲げるのに要したプレスブレーキ130及び曲げロボット135の使用電力量をそれぞれQBC、QRBCとすると、プレスブレーキ130及び曲げロボット135の部品Cの1個当たり使用電力量それぞれRBC、RRBCは、
BC=QBC/N
RBC=QRBC/N
となる。
【0062】
(6)溶接加工の使用電力量(S106)
溶接加工に関しても、部品ごとに使用電力量を求めることができる。すなわち、部品BとCを溶接して部品Aとするのであるが、部品AをN個溶接するのに要した溶接ロボット141と溶接機140の使用電力量をQWAとすると、1個当たりの使用電力量RWAは、
WA=QWA/N
となる。
【0063】
以上の使用電力量を、各部品について各加工毎にまとめたものを図4に示す。
【0064】
(7)二酸化炭素排出量の計算(S107、S108)
以上の結果から、抜き加工から溶接加工までを通して例えば部品Aを1個加工するのに要した使用電力量Rは、
=RNB+RPNB+RLC+RPLC+RBB+RRBB+RBC+RRBC+RWA
となる。
【0065】
ここで、電力量から二酸化炭素排出量を求める変換係数をαとしたとき、部品Aを1個加工する上で排出された二酸化炭素の量Sは、
=α×R
となる。
【0066】
上記したように、本実施例の板金加工システム及び二酸化炭素排出量の算出方法によれば、パンチング加工、レーザ加工等の種々の工程からなる板金加工における部品1個当たりの二酸化炭素の排出量を簡便に算出することが可能となる。図1に示す溶接装置140ではセルコントローラを設けず、溶接ロボット141の制御部(NC)がセルコントローラを兼ねる構成とする。また、パンチング工程、レーザ工程でも同様にセルコントローラを省略することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 環境負荷集計システム
2 サーバーコンピュータ
3 各種加工機
10 シート材
100 サーバ
101 工程管理用PC
102 二酸化炭素排出量監視用PC
103 大型ディスプレイ
110 パンチング加工機
111 セルコントローラ
112 周辺装置
113 電力計
114 電力計
120 レーザ加工機
121 セルコントローラ
122 周辺装置
123 電力計
124 電力計
130 プレスブレーキ
131 セルコントローラ
132 電力計
135 曲げロボット
136 電力計
140 溶接機
141 溶接ロボット
142 電力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチング加工手段と、レーザ加工手段と、曲げ加工手段と、溶接手段と、これらの手段を制御する制御手段とからなる板金加工システムであって、
前記パンチング加工手段とレーザ加工手段は、加工する部品を搬入及び搬出するための周辺装置をそれぞれ有し、
前記各手段及び前記周辺装置は、消費する電力量を計測するための電力計測手段を具備し、
前記制御手段は、前記各電力計測手段が計測した消費電力量をもとに、総電力量及び二酸化炭素排出量を算出することを特徴とする板金加工システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記パンチング加工手段の使用した金型ごとの使用電力量、及びパンチング加工した部品の数量、及び使用した金型毎のパンチ数をもとに、パンチング加工された部品1個当たりの消費電力量を算出し、
前記レーザ加工手段の使用電力量、レーザ加工した部品の数量、各部品毎のレーザ加工時間をもとに、レーザ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出し、
前記曲げ加工手段の使用電力量と、曲げ加工した部品の数量をもとに、曲げ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出し、
前記溶接手段の使用電力量と、溶接した部品の数量をもとに、溶接された部品1個当たりの消費電力量を算出し、
前記周辺装置の使用電力量と、該周辺装置により搬入及び搬出された部品の数量及び質量から、該部品1個当たりの消費電力量を算出し、
前記すべての消費電力量を合計したのち、該合計値に所定の係数を乗算することにより部品1個あたりの二酸化炭素排出量を計算することを特徴とする請求項1記載の板金加工システム。
【請求項3】
パンチング加工手段の使用した金型ごとの使用電力量、及びパンチング加工した部品の数量、及び使用した金型毎のパンチ数をもとに、パンチング加工された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、
レーザ加工手段の使用電力量、レーザ加工した部品の数量、各部品毎のレーザ加工時間をもとに、レーザ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、
曲げ加工手段の使用電力量と、曲げ加工した部品の数量をもとに、曲げ加工された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、
溶接手段の使用電力量と、溶接した部品の数量をもとに、溶接された部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、
部品を搬入及び搬出する周辺装置の使用電力量と、該周辺装置により搬入及び搬出された部品の数量及び質量から、該部品1個当たりの消費電力量を算出するステップと、
前記すべての消費電力量を合計したのち、該合計値に所定の係数を乗算することにより部品1個あたりの二酸化炭素排出量を計算することを特徴とする二酸化炭素排出量の算出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate