説明

【課題】人間工学的な考察の上にたち血行促進に寄与する枕を提供する。
【解決手段】枕本体1と、枕カバーとを具える枕で、枕本体1は、傾斜面15と、傾斜面の上辺から一体的に形成された平面16と、平面の後辺から一体的に形成された曲面17とを含む上面14を有するものである。枕本体の硬度は、ショア硬さで、60度〜80度の範囲とされ、傾斜面15の角度は、12度〜16度の範囲とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕に関する。さらに詳しくは、睡眠時における血行促進が図られる枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、睡眠時等における血行促進を図ることを目的として種々の枕が提案されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、後頭部の頸椎から首筋部分を適度にマッサージして刺激することにより、血行をよくし、首や肩の凝りを緩和することを目的として、頭部を載置し、左右にローリング運動させたときに、後頭部の頸椎部分を適度に押圧刺激することができる硬さを有する枕体と、該枕体を左右にシーソー運動させるための駆動手段が設けられてなる健康枕が提案されている。
【0004】
しかしながら、前記提案に係る健康枕は構造が複雑であるため、コスト高になるという問題がある。
【0005】
また、前記提案に係る健康枕は人間工学的な考察が充分になされていないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−27817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、人間工学的な考察の上にたち血行促進に寄与する枕を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の枕は、枕本体と、枕カバーとを具える枕であって、前記枕本体は、傾斜面と、該傾斜面の上辺から一体的に形成された平面と、該平面の後辺から一体的に形成された曲面とを含む上面を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の枕においては、枕本体の硬度が、ショア硬さで、60度〜80度の範囲とされてなるのが好ましい。
【0010】
また、本発明の枕においては、枕本体の最大厚みが、6cm〜8cmの範囲とされてなるのが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の枕においては、枕本体の幅が、20cm〜30cmの範囲とされてなるのが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の枕においては、枕本体の前面の高さが、3cm〜5cmの範囲とされてなるのが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の枕においては、傾斜面の角度が、12度〜16度の範囲とされてなるのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の枕においては、枕カバーの底面に滑り防止材が取付けられてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、睡眠時における頸部および肩部への負担が軽減されるので、頭部への血行促進が図られるという優れた効果が得られる。また、睡眠時における頸部および肩部への負担が軽減されるので、肩こりが防止されるとともに首筋の疲労を治癒するという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る枕の概略図である。
【図2】同実施形態に係る枕本体の平面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】同側面図である。
【図5】同実施形態の枕本体の傾斜面の変形例の概略図である。
【図6】同上面の曲面の変形例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0018】
本発明の一実施形態に係る枕Pは、図1に示すように、枕本体1と、枕カバー2とを主要構成要素として備えてなるものとされる。なお、図示例においては、作図の便宜上、枕本体1と枕カバー2とは離間して描かれているが、枕本体1と枕カバー2とは、密着状態とされている。
【0019】
図2〜4に、枕本体1を三面図で示す。
【0020】
枕本体1は、図2〜4に示すように、角が丸みを帯びた直方体状とされている。
【0021】
枕本体1は、適度な硬さを有する合成樹脂からなるブロック体とされる。合成樹脂としては、例えば成型が容易な点からウレタン樹脂が用いられ、その硬度はショア硬さで60〜80度の範囲とされる。
【0022】
枕本体1の硬さを前記の如く規制するのは、本発明者の観察によれば、硬度が60度未満では、頭部を枕Pに載置した場合における枕Pからの脳への刺激が弱すぎて、動物本来が持つ自然治癒力を発揮させることができないことが判明したことによる。一方、硬度が80度を超えると、頭部を枕Pに載置した場合における枕Pから脳への刺激が強すぎて、睡眠を妨げることが判明したことによる。
【0023】
また、ブロック体のサイズは、幅が20〜30cmの範囲とされ、長さが30cm以上、好ましくは30〜120cmの範囲とされ、最大厚みが6cm〜8cmの範囲とされる。
【0024】
ブロック体の幅および長さを前記の如く規制するのは、成人の頭部でも載置できるようにするためである。また、最大厚みを前記の如く規制するのは、肩部の敷き布団との余分な接触を避け、敷き布団からの反力を低減するためである。
【0025】
次に、枕本体1の形態について詳述する。なお、以下の説明においては、頸部側を前面といい、頭部側を後面ということにする。
【0026】
底面11は、角が丸められた長方形とされている。角部の半径は、5mm程度とされている。
【0027】
前面12は、底面11の前辺の直線部から起立状に一体的に形成されている。この起立高さは、3cm〜5cmの範囲とされている。起立高さをこの範囲とするのは、首筋に摩擦を生じさせることなく、首筋を動かすことができるようにするためである。
【0028】
後面13は、底面11の後辺の直線部から起立状に一体的に形成されている。後面13の起立高さは、図示例においては、前面12の起立高さより若干低くされている。
【0029】
上面14は、前面12の上辺から一定の登り勾配で一体的に形成された傾斜面15と、傾斜面15上辺から一体的に形成された平面16と、平面16の後辺から一体的に形成され後面13の上辺と接合される曲面17とを含むものとされる。
【0030】
この傾斜面15により、枕Pに接触する頭の面積が少なくなって首が動きやすくなるという効果が得られる。
【0031】
ここで、底面11に対する傾斜面15の投影幅は、30%〜35%の範囲とされ、傾斜面15の傾斜角は、12度〜16度の範囲とされている。これは、平面16の高さを前記厚みの範囲内とするためである。
【0032】
また、平面16の底面11に対する投影幅は、35%〜30%の範囲とされている。これは、枕Pに接触する頭の面積を少なくして頭を動きやすくするためである。
【0033】
側面18は、底面11の側辺の直線部から上面14の側辺と接合するよう曲面状に一体形成されている。
【0034】
底面11の丸みを帯びた角部に位置するコーナ面19は、上面14の側辺および側面18の側辺と接合するよう曲面状に一体形成されている。これにより、睡眠中に頭の位置がずれ、頭が枕Pの端にきても不快な感じが生ずることはない。
【0035】
枕カバー2は、従来と同様に枕本体2を包む布製の袋状のものとされている。
【0036】
その底面には、枕Pの滑りを防止する滑り防止材21が取付けられている。
【0037】
滑り防止材21は、例えば係止突起を有する面テープとされる。また、この取付は、例えば、縫付けや接着剤による貼付によりなされる。
【0038】
このように、本実施形態の枕Pは、前記の如く人間工学的な考察の上にたって構成されているので、睡眠時における頸部および肩部への負担が軽減され頭部への血行促進が図られる。また、睡眠時における頸部および肩部への負担が軽減されるので、肩こりが防止される。
【0039】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるもののではなく、種々改変が可能である。
【0040】
例えば、図示例では、傾斜面15と前面12および平面16との接合部は角に形成されているが、図5に示すように、適度の曲率で接合するようにされてもよい。
【0041】
また、図示例では、後面13は起立面とされているが、図6に示すように、上面14の曲面17を延長して底面11の後辺と接合するようにされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、寝具産業に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 枕本体
2 枕カバー
11 底面
12 前面
13 後面
14 上面
15 傾斜面
16 平面
17 曲面
18 側面
19 コーナ面
21 滑り防止材
P 枕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕本体と、枕カバーとを具える枕であって、
前記枕本体は、傾斜面と、該傾斜面の上辺から一体的に形成された平面と、該平面の後辺から一体的に形成された曲面とを含む上面を有することを特徴とする枕。
【請求項2】
枕本体の硬度が、ショア硬さで60度〜80度の範囲とされてなることを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項3】
枕本体の最大厚みが、6cm〜8cmの範囲とされてなることを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項4】
枕本体の幅が、20cm〜30cmの範囲とされてなることを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項5】
枕本体の前面の高さが、3cm〜5cmの範囲とされてなることを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項6】
傾斜面の角度が、12度〜16度の範囲とされてなることを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項7】
枕カバーの底面に滑り防止材が取付けられてなることを特徴とする請求項1記載の枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−162251(P2010−162251A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8325(P2009−8325)
【出願日】平成21年1月18日(2009.1.18)
【出願人】(508086656)
【Fターム(参考)】