説明

【課題】 仰臥位のみならず横臥位においても首部乃至頭頂部の支持を安定させて快適な睡眠を得る。
【解決手段】 首側を支持する首側部1と頭頂側を支持する頭頂側部10とを帯状の連結部材20で連結し、首側部1及び頭頂側部10を、縦幅A方向断面が縦幅A方向の中心線2、11に対して上下対称の略楕円状に形成し、夫々横幅B方向に中央エリア1a、10a及び中央エリア1a、10aの左右に連続する一対の側部エリア1b、10bに分け、各エリアの厚さを、中央エリア1aの厚さH1、側部エリア1bの厚さH2、側部エリア10bの厚さH3、中央エリア10aの厚さH4として、H1>H2>H3>H4となるように形成し、横幅B方向に延びる上下の尾根線3、12間の厚さを略同じに形成し、中央エリア1aの頭頂側部10側に頭頂側部10側に突出する凸部4を形成するとともに、中央エリア10aの首側部1側に凸部4が入り込む凹所13を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕に関し、特に、首側を支持する首側部と頭頂側を支持する頭頂側部とを備えた枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の枕としては、例えば、特許文献1(実登第3119581号公報)に掲載されたものが知られている。図8に示すように、この枕Maは、首側を支持する首側部100と頭頂側を支持する頭頂側部101とを連結するとともに、縦幅Yaよりも横幅Xaを長く形成している。首側部100及び頭頂側部101は、夫々、首部乃至頭頂部が載置される上面102と、接地面に接地される下面103とを有している。また、上面102は、縦幅Ya方向断面が円弧状に形成され、下面103は、縦幅Ya方向断面が接地面に水平な直線状に形成されている。この枕Maは、首側部100及び頭頂側部101が、夫々、横幅Xa方向に延びる上面102の尾根線104と、尾根線104の垂線が下面に交わる下線との距離L1,L2が、横幅Xa方向に略同じに形成されている。更に、この枕Maには、首側部100と頭頂側部101との連結部分であって、横幅Xa方向の中央部に、頭部の一部が入り込む頭部受け凹部105が形成されている。
【0003】
このように形成される枕Maを使用すると、首部は首側部100の上面102に支持され、頭頂部は頭頂側部101の上面102に支持されるようになる。特に、枕Maの横幅Xa方向の中央部に頭部を載置して仰臥位で睡眠する場合、後頭部の一部が頭部受け凹部105に入り込むようになるので、首部乃至頭頂部が適正に支持され、そのため、首部に掛かる負担が軽減されて、頚椎への負担が軽減され、快適な睡眠を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】実登第3119581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の枕Maにおいては、仰臥位時に後頭部が頭部受け凹部105に入り込んで支持されていることから、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位を移行し難くかった。また、体位が仰臥位から横臥位に移行した場合、横臥位に移行すると枕Maの上面102に接する頭部の部位が後頭部から側頭部に変わるが、横幅Xa方向に延びる上面102の尾根線104と尾根線104の垂線が下面に交わる下線との距離L1、L2が、横幅Xa方向に略同じに形成されているので、横臥位においても首側部100及び頭頂側部101の厚さや形状が仰臥位と同様となり、それだけ、横臥位時の首部乃至頭頂部の支持安定性が十分でなく、快適な睡眠を得られないという問題があった。また、体位が仰臥位から横臥位に移行した場合、仰臥位のときの上面102に接する首部乃至頭頂部の形状は凹凸が大きいが、横臥位のときの上面102に接する首部乃至頭頂部の形状は略平坦になり、上面102に接する首部乃至頭頂部の形状が変化するが、この場合、下面103の縦幅Ya方向断面が接地面に水平な直線状に形成されているので、上面102に接する首部乃至頭頂部の形状の変化に対応して首側部100及び頭頂側部101が追従して支持することができず、この点でも、横臥位時の首部乃至頭頂部の支持安定性が十分でなく、快適な睡眠を得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、仰臥位のみならず横臥位においても首部乃至頭頂部の支持を安定させて快適な睡眠を得ることのできる枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明の枕は、首側を支持する首側部と頭頂側を支持する頭頂側部とを連結するとともに、縦幅よりも横幅を長く形成した枕において、上記首側部及び上記頭頂側部を、縦幅方向断面が縦幅方向の中心線に対して上下対称の略楕円状に形成するとともに、夫々横幅方向に中央エリア及び該中央エリアの左右に連続する一対の側部エリアに分け、各エリアにおいて横幅方向に延びる上下の尾根線間の厚さを略同じに形成し、上記首側部の中央エリアの上記頭頂側部側に該頭頂側部側に突出する凸部を形成するとともに、上記頭頂側部の中央エリアの上記首側部側に上記凸部が入り込む凹所を形成し、上記首側部の中心線を通る上記頭頂側部側の横幅方向の首側部端縁と、上記頭頂側部の中心線を通る上記首側部側の横幅方向の頭頂側部端縁とを帯状の連結部材で連結し、上記首側部の中央エリアの厚さをH1とし、上記首側部の側部エリアの厚さをH2とし、上記頭頂側部の側部エリアの厚さをH3とし、上記頭頂側部の中央エリアの厚さをH4としたとき、H1>H2>H3>H4となるように各エリアを形成した構成としている。
【0008】
これにより、本発明の枕を接地面に接地させると、首側部及び頭頂側部の各エリアの下側の尾根線が接地面に接地するようになり、連結部材は接地面に接地しない。即ち、接地面側の下面には、各エリアの下側の尾根線から連結部材に至る弧面及び連結部材と接地面とで囲繞された下面空間が形成される。この状態で、使用者は、首部乃至頭頂部を下面とは反対側の上面に載置して睡眠する。
【0009】
仰臥位のときは、首側部及び頭頂側部の中央エリアに首部乃至頭頂部を載置する。これによって、首部は首側部の上面に支持され、頭頂部は頭頂側部の上面に支持されるようになる。首側部の中央エリアは縦幅方向断面が略楕円状に形成されているとともに、凸部が形成されており、首側部の中央エリアの厚さH1が最も厚く、頭頂側部の中央エリアの厚さH4が最も薄く形成されていることから、後頭部が凸部に載置されて、使用者は顎を突き出す姿勢で仰臥するようになるので、気道が広げられ、睡眠中の呼吸が容易に行える。また、首部乃至頭頂部に上面がフィットするので、首部乃至頭頂部の支持が安定し、そのため、恰も膝枕をしているかのような使用感を得ることができ、快適な睡眠を得ることができる。
【0010】
また、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行すると、上面に載置される頭部の部位が後頭部から側頭部に変わる。即ち、仰臥位のときの上面に接する首部乃至頭頂部の形状は凹凸が大きいが、横臥位のときの上面に接する首部乃至頭頂部の形状は略平坦になり、上面に接する首部乃至頭頂部の形状が変化する。この横臥位では、首側部及び頭頂側部の左右のどちらかの側部エリアに首部乃至頭頂部が載置されるようになる。このとき、首部乃至頭頂部が載置された側の首側部及び頭頂側部の側部エリアは、頭部の重さにより、その上側の尾根線から連結部材に至る弧面が押圧され、連結部材が接地面側に移動して、下面空間が押し潰される。詳しくは、首側部端縁及び頭頂側部端縁が連結部材とともに接地面側に移動し、これに伴って中心線が接地面に対して傾斜するようになるので、首側部及び頭頂側部は、連結部材を支点としてローリングするようになる。即ち、横臥位になったとき等、上面に接する首部乃至頭頂部の形状が変化しても、これに対応して首側部及び頭頂側部が自動的に追従して支持するようになるので、首部乃至頭頂部に上面が確実にフィットし、そのため、首部乃至頭頂部の支持が安定して、恰も膝枕をしているかのような使用感を得ることができ、快適な睡眠を得ることができる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記首側部の中央エリアの厚さH1を50mm〜110mmとし、上記首側部の側部エリアの厚さH2を40mm〜100mmとし、上記頭頂側部の側部エリアの厚さH3を35mm〜65mmとし、上記頭頂側部の中央エリアの厚さH4を30mm〜50mmとした構成としている。使用者によって体格や頭部の大きさが異なるが、各エリアの厚さを上記の範囲内とすることにより、汎用性が向上する。また、各エリアの厚さを上記の範囲内とすることにより、仰臥位及び横臥位において、より一層首部乃至頭頂部の支持を安定させることができるとともに、より一層快適な睡眠を得ることができる。更に、首側部の中央エリアの厚さH1と首側部の側部エリアの厚さH2とを上記の対応関係とすることで、仰臥位から横臥位への体位の移行をスムーズに行なうことができるので、例えば、睡眠中に仰臥位から横臥位に体位が移行しても違和感を覚えて目覚めること等がなく、そのため、より一層快適な睡眠を得ることができる。
【0012】
また、必要に応じ、上記首側部の中央エリアの縦幅方向の最大長さA1を120mm〜248mmとし、上記首側部の側部エリアの縦幅方向の最大長さA2を150mm〜186mmとし、上記頭頂側部の側部エリアの縦幅方向の最大長さA3を100mm〜124mmとし、上記頭頂側部の中央エリアの縦幅方向の最小長さA4を50mm〜62mmとした構成としている。使用者によって体格や頭部の大きさが異なるが、各エリアの縦幅方向の最大長さを上記の範囲内とすることにより、汎用性が向上する。また、各エリアの縦幅方向の長さを上記の範囲内とすることにより、仰臥位及び横臥位において、より一層首部乃至頭頂部の支持を安定させることができるとともに、より一層快適な睡眠を得ることができる。更に、首側部及び頭頂側部の側部エリアの縦幅方向の最大長さA2,A3を上記の範囲内とすることで、横臥位になったとき、頭部が、上側の尾根線から連結部材に至る弧面をより確実に押圧するようになり、これによって、首側部及び頭頂側部がより確実にローリングするようになるので、首側部及び頭頂側部が首部乃至頭頂部を自動的に追従して支持するようになり、そのため、より一層首部乃至頭頂部の支持が安定して、より一層快適な睡眠を得ることができる。
【0013】
更に、必要に応じ、上記首側部及び頭頂側部の横幅Bを500mm〜600mmに形成し、上記首側部の中央エリアの横幅方向の長さをB1とし、上記首側部の側部エリアの横幅方向の長さをB2とし、上記頭頂側部の側部エリアの横幅方向の長さをB3とし、上記頭頂側部の中央エリアの横幅方向の長さをB4としたとき、B1=B2=B3=B4=(1/3)・Bとなるように各エリアを形成した構成としている。使用者によって体格や頭部の大きさが異なるが、各エリアの横幅方向の長さを上記の範囲内とすることにより、汎用性が向上する。また、各エリアの横幅方向の長さを上記の範囲内とすることにより、仰臥位及び横臥位において、より一層首部乃至頭頂部の支持を安定させることができるとともに、より一層快適な睡眠を得ることができる。更に、首側部及び頭頂側部の中央エリアの横幅方向の長さB1,B4を上記の範囲内とすることで、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行する際、首部乃至頭頂部が、どちらかの首側部及び頭頂側部の側部エリアにより確実に載置されるようになり、そのため、横臥位時においても、側部エリアで確実に首部乃至頭頂部を支持することができる。更にまた、首側部及び頭頂側部の側部エリアの横幅方向の長さB2,B3を上記の範囲内とすることで、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行する際、首部乃至頭頂部が、各側部エリアからはみ出ることがなく、そのため、側部エリアで確実に首部乃至頭頂部を支持することができる。
【0014】
更にまた、必要に応じ、上記首側部に、トルマリンを収納した構成としている。トルマリンは遠赤外線を放出するため、枕に使用すると頭部に対する温度をさほど高くすることなく人体へ熱を浸透させることができ、暖による快適性を得ることを可能にすることができる。そのため、人体の血行を良くしたり、筋肉の疲れやこりをとったりする等の温熱効果により、健康の向上に供することができるようになる。また、トルマリンは、外力を加えると、その周囲にマイナスイオンを発生させることから、トルマリンを枕に収納すると、使用時に頭部の重さによってトルマリンに外力が掛かかるので、必然的にマイナスイオンが発生するようになる。マイナスイオンは、森林の中や海岸等に多く存在しており、身体や精神に好影響を与えることが一般に知られている。そのため、本発明の枕を使用すると、森林浴をしているような爽やかさを満喫でき、気分が爽快になり、寝心地が向上させられ、快適な睡眠を得ることができるようになる。その結果、身体や精神に極めて良く、健康回復やストレス解消など精神の健全化に極めて有効になる。更に、トルマリンは、マイナスイオンの生成能力が高く、マイナスイオンを効率良く生成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の枕によれば、使用者が仰臥位の状態で睡眠するときは、首側部及び頭頂側部の中央エリアに首部乃至頭頂部を載置する。これによって、首部は首側部の上面に支持され、頭頂部は頭頂側部の上面に支持されるようになる。首側部の中央エリアは縦幅方向断面が略楕円状に形成されているとともに、凸部が形成されており、首側部の中央エリアの厚さH1が最も厚く、頭頂側部の中央エリアの厚さH4が最も薄く形成されていることから、仰臥位時においては、後頭部が凸部に載置されて、使用者は顎を突き出す姿勢で仰臥するようになるので、気道が広げられ、睡眠中の呼吸が容易に行える。また、首部乃至頭頂部に上面がフィットするので、首部乃至頭頂部の支持が安定し、そのため、恰も膝枕をしているかのような使用感を得ることができ、快適な睡眠を得ることができる。
【0016】
また、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行すると、上面に載置される頭部の部位が後頭部から側頭部に変わる。即ち、仰臥位のときの上面に接する首部乃至頭頂部の形状は凹凸が大きいが、横臥位のときの上面に接する首部乃至頭頂部の形状は略平坦になり、上面に接する首部乃至頭頂部の形状が変化する。この横臥位では、首側部及び頭頂側部の左右のどちらかの側部エリアに首部乃至頭頂部が載置されるようになる。このとき、首部乃至頭頂部が載置された側の首側部及び頭頂側部の側部エリアは、頭部の重さにより、その上側の尾根線から連結部材に至る弧面が押圧され、連結部材が接地面側に移動し、この連結部材の移動とともに首側部端縁及び頭頂側部端縁が接地面側に移動し、これに伴って中心線が接地面に対して傾斜するようになるので、首側部及び頭頂側部は、連結部材を支点としてローリングするようになる。即ち、横臥位になったとき等、上面に接する首部乃至頭頂部の形状が変化しても、これに対応して首側部及び頭頂側部が自動的に追従して支持するようになるので、首部乃至頭頂部に上面が確実にフィットし、そのため、首部乃至頭頂部の支持が安定して、恰も膝枕をしているかのような使用感を得ることができ、快適な睡眠を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る枕を説明する。
図1乃至図7には、本発明の実施の形態に係る枕Mを示している。本枕Mは、首側を支持する首側部1と頭頂側を支持する頭頂側部10とを連結するとともに、縦幅Aよりも横幅Bを長く形成している。本枕Mは、その縦幅Aが250mm〜310mmに形成されている。望ましくは260mm〜300mmに形成し、より望ましくは270mm〜290mmに形成する。実施の形態では、A=280mmに形成している。また、本枕Mは、その横幅Bが、500mm〜600mmに形成されている。望ましくは520mm〜580mmに形成し、より望ましくは540mm〜560mmに形成する。実施の形態では、B=550mmに形成している。更に、首側部1及び頭頂側部10は、実施の形態では、綿が60%、ポリエステルが40%の割合で混合された混綿を用いて構成されている。尚、綿とポリエステルとの混合割合は、上記に限定されるものではない。
【0018】
首側部1は、縦幅A方向断面が縦幅A方向の中心線2に対して上下対称の略楕円状に形成され、横幅B方向に中央エリア1a及びこの中央エリア1aの左右に連続する一対の側部エリア1bに分け、各エリア1a、1bにおいて横幅B方向に延びる上下の尾根線3間の厚さが略同じに形成されている。この首側部1には、その中央エリア1aの頭頂側部10側に、頭頂側部10側に突出する凸部4が形成されている。
【0019】
この首側部1の中央エリア1aは、その厚さH1が50mm〜110mmに形成されている。望ましくは60mm〜80mmに形成し、より望ましくは65mm〜75mmに形成する。実施の形態では、H1=70mmに形成している。また、この首側部1の中央エリア1aは、その縦幅方向の最大長さA1が120mm〜248mmに形成されている。望ましくは208mm〜240mmに形成し、より望ましくは216mm〜232mmに形成する。実施の形態では、A1=224mmに形成している。更に、この首側部1の中央エリア1aは、その横幅方向の長さB1が(1/3)・Bに形成されている。
また、首側部1の一対の側部エリア1bは、その厚さH2が40mm〜100mmに形成されている。望ましくは50mm〜70mmに形成し、より望ましくは55mm〜65mmに形成する。実施の形態では、H2=60mmに形成している。更に、この首側部1の一対の側部エリア1bは、その縦幅方向の最大長さA2が150mm〜186mmに形成されている。望ましくは156mm〜180mmに形成し、より望ましくは162mm〜174mmに形成する。実施の形態では、A2=168mmに形成している。更にまた、この首側部1の一対の側部エリア1bは、その横幅方向の長さB2が(1/3)・Bに形成されている。
【0020】
また、図2及び図3に示すように、この首側部1には、トルマリンが収納されている。具体的には、首側部1には、矩形のシート状で網状に形成され、トルマリンが塗布されてマイナスイオンを発生する樹脂性の可撓性部材8が内装されている。この可撓性部材8は、マイナスイオン発生物質のトルマリン粉末を溶解した溶液を塗布し、その後、乾燥させて形成されている。溶液は、樹脂製塗料を主体としている。トルマリンは所謂電気石とも言われ、固体誘電体として天然に産する鉱石である。このトルマリンの粉末を配合した樹脂製塗料は、可撓性部材8の表面に例えば10〜1000μmの膜厚で塗布される。トルマリンの粉末の粒径は、0.5μm〜60μm、望ましくは、1.2μm〜20μmである。この範囲でマイナスイオンの生成を効率よく行なわせることができる。樹脂製塗料としては、例えば、フェノール樹脂塗料,フタル酸樹脂塗料,ビニル樹脂塗料,ポリウレタン樹脂塗料,シリコーン樹脂塗料,エポキシ樹脂塗料等適宜のものを用いてよい。
また、この可撓性部材8は、矩形帯状に形成され、短手方向の長さが80mm〜120mm、長手方向の長さが220mm〜280mmに形成されている。実施の形態では、短手方向の長さが100mm、長手方向の長さが250mmに形成されている。可撓性部材8は、可撓性部材8の長手方向が、首側部1の横幅B方向に沿うように、首側部1の少なくとも中央エリア1aの一方面側に収納されている。更に、このトルマリンが塗布された可撓性部材8からは遠赤外線が放出される。更にまた、トルマリンは、外力を加えると、その周囲にマイナスイオンを発生させることから、トルマリンが塗布された可撓性部材8に外力を加えるとマイナスイオンが発生するようになる。このときの可撓性部材8から発生するマイナスイオンの発生量が100〜1200(個/cm3)になるように、可撓性部材8にトルマリンを塗布する。実施の形態では、マイナスイオンの発生量が800(個/cm3)±20%になるように、可撓性部材8にトルマリンを塗布している。
【0021】
頭頂側部10は、縦幅A方向断面が縦幅A方向の中心線11に対して上下対称の略楕円状に形成され、横幅B方向に中央エリア10a及びこの中央エリア10aの左右に連続する一対の側部エリア10bに分け、各エリア10a、10bにおいて横幅B方向に延びる上下の尾根線12間の厚さが略同じに形成されている。この頭頂側部10には、その中央エリア10aの首側部1側に、首側部1の凸部4が入り込む凹所13が形成されている。
【0022】
この頭頂側部10の一対の側部エリア10bは、その厚さH3が35mm〜65mmに形成されている。望ましくは40mm〜60mmに形成し、より望ましくは45mm〜55mmに形成する。実施の形態では、H3=50mmに形成している。また、この頭頂側部10の一対の側部エリア10bは、その縦幅方向の最大長さA3が100mm〜124mmに形成されている。望ましくは104mm〜120mmに形成し、より望ましくは108mm〜116mmに形成する。実施の形態では、A3=112mmに形成している。更に、この頭頂側部10の一対の側部エリア10bは、その横幅方向の長さB3が(1/3)・Bに形成されている。
また、頭頂側部10の中央エリア10aは、その厚さH4が30mm〜50mmに形成されている。望ましくは35mm〜45mmに形成し、より望ましくは38mm〜42mmに形成する。実施の形態では、H4=40mmに形成している。更に、この頭頂側部10の中央エリア10aは、その縦幅方向の最小長さA4が50mm〜62mmに形成されている。望ましくは52mm〜60mmに形成し、より望ましくは54mm〜58mmに形成する。実施の形態では、A4=56mmに形成している。更にまた、この頭頂側部10の中央エリア10aは、その横幅方向の長さB4が(1/3)・Bに形成されている。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係る枕Mは、首側部1及び頭頂側部10の各エリア1a、1b、10a、10bの厚さH1〜H4が、H1>H2>H3>H4となるように形成されている。更に、首側部1及び頭頂側部10の各エリア1a、1b、10a、10bの横幅方向の長さB1〜B4が、B1=B2=B3=B4=(1/3)・Bとなるように形成されている。
【0024】
連結部材20は、帯状に形成され、首側部1の中心線2を通る頭頂側部10側の横幅B方向の首側部端縁5と、頭頂側部10の中心線11を通る首側部1側の横幅B方向の頭頂側部端縁14とを連結している。
【0025】
従って、この実施の形態に係る枕Mを使用すると以下のように作用する。
先ず、本発明の枕Mを接地面に接地させる。このとき、トルマリンが塗布された可撓性部材8が収納されていない側の面を接地面に接地させる。接地させると、首側部1及び頭頂側部10の各エリア1a、1b、10a、10bの下側の尾根線3、12が接地面に接地するようになり、連結部材20は接地面に接地しない。即ち、接地面側の下面7、16には、各エリア1a、1b、10a、10bの下側の尾根線3、12から連結部材20に至る弧面及び連結部材20と接地面とで囲繞された下面空間30が形成される。この状態で、使用者は、首部乃至頭頂部を下面7、16とは反対側の上面6、15に載置して睡眠する。
【0026】
仰臥位のときは、図6に示すように、首側部1及び頭頂側部10の中央エリア1a、10aに首部乃至頭頂部を載置する。これによって、首部は首側部1の上面6に支持され、頭頂部は頭頂側部10の上面15に支持されるようになる。首側部1の中央エリア1aは縦幅A方向断面が略楕円状に形成されているとともに、凸部4が形成されており、首側部1の中央エリア1aの厚さH1が最も厚く、頭頂側部10の中央エリア10aの厚さH4が最も薄く形成されていることから、後頭部が凸部4に載置されて、使用者は顎を突き出す姿勢で仰臥するようになるので、気道が広げられ、睡眠中の呼吸が容易に行える。また、首部乃至頭頂部に上面6、15がフィットするので、首部乃至頭頂部の支持が安定し、そのため、恰も膝枕をしているかのような使用感を得ることができ、快適な睡眠を得ることができる。
【0027】
また、使用者によって体格や頭部の大きさが異なるが、首側部1の中央エリア1aの厚さH1、縦幅方向の最大長さA1、横幅方向の長さB1を上記の範囲内で形成し、頭頂側部10の中央エリア10aの厚さH4、縦幅方向の最小長さA4、横幅方向の長さB4を上記の範囲内で形成しているので、仰臥位時に、より一層首部乃至頭頂部の支持を安定させて、より一層快適な睡眠を得ることができるとともに、後頭部が確実に凸部4に載置されて、使用者が顎を突き出す姿勢で仰臥するようになるので、汎用性が向上する。
【0028】
そして、睡眠中に、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行すると、図7に示すように、上面6、15に載置される頭部の部位が後頭部から側頭部に変わる。即ち、仰臥位のときの上面6、15に接する首部乃至頭頂部の形状は凹凸が大きいが、横臥位のときの上面6、15に接する首部乃至頭頂部の形状は略平坦になり、上面6、15に接する首部乃至頭頂部の形状が変化する。この横臥位では、首側部1及び頭頂側部10の左右のどちらかの側部エリア1b、10bに首部乃至頭頂部が載置されるようになる。このとき、首側部1及び頭頂側部10の中央エリア1a、10aの横幅方向の長さB1,B4を上記の範囲内で形成しているので、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行する際、首部乃至頭頂部が、どちらかの首側部1及び頭頂側部10の側部エリア1b、10bにより確実に載置されるようになり、そのため、横臥位時においても、側部エリア1b、10bで確実に首部乃至頭頂部を支持することができる。横臥位になったとき、首部乃至頭頂部が載置された側の首側部1及び頭頂側部10の側部エリア1b、10bは、頭部の重さにより、その上側の尾根線3、12から連結部材20に至る弧面が押圧され、連結部材20が接地面側に移動して、下面空間30が押し潰される。詳しくは、首側部端縁5及び頭頂側部端縁14が連結部材20とともに接地面側に移動し、これに伴って中心線2、11が接地面に対して傾斜するようになるので、首側部1及び頭頂側部10の側部エリア1b、10bは、連結部材20を支点としてローリングするようになる。また、この側部エリア1b、10bのローリングに伴って、首側部1及び頭頂側部10の中央エリア1a、10aも連結部材20を支点としてローリングするようになる。即ち、横臥位になったとき等、上面6、15に接する首部乃至頭頂部の形状が変化しても、これに対応して首側部1及び頭頂側部10が自動的に追従して支持するようになるので、首部乃至頭頂部に上面6、15が確実にフィットし、そのため、首部乃至頭頂部の支持が安定して、恰も膝枕をしているかのような使用感を得ることができ、快適な睡眠を得ることができる。
【0029】
また、使用者によって体格や頭部の大きさが異なるが、首側部1の側部エリア1bの厚さH2、縦幅方向の最大長さA2、横幅方向の長さB2を上記の範囲内で形成し、頭頂側部10の側部エリアの厚さH3、縦幅方向の最大長さA3、横幅方向の長さB3を上記の範囲内で形成しているので、横臥位時に、首部乃至頭頂部が、上側の尾根線3、12から連結部材20に至る弧面をより確実に押圧するようになり、これによって、首側部1及び頭頂側部10がより確実にローリングするようになるので、首側部1及び頭頂側部10が首部乃至頭頂部を自動的に追従して支持するようになり、そのため、より一層首部乃至頭頂部の支持を安定させて、より一層快適な睡眠を得ることができるとともに、汎用性が向上する。
【0030】
更に、首側部1及び頭頂側部10の側部エリア1b、10bの横幅方向の長さB2、B3を上記の範囲内で形成しているので、仰臥位から寝返りを打って横臥位に体位が移行する際、首部乃至頭頂部が、側部エリア1b、10bからはみ出ることがなく、そのため、側部エリア1b、10bで確実に首部乃至頭頂部を支持することができる。更にまた、首側部1の中央エリア1aの厚さH1と首側部1の側部エリア1bの厚さH2とを上記の対応関係とすることで、仰臥位から横臥位への体位の移行をスムーズに行なうことができるので、例えば、睡眠中に仰臥位から横臥位に体位が移行しても違和感を覚えて目覚めること等がなく、そのため、より一層快適な睡眠を得ることができる。
【0031】
また、仰臥位時及び横臥位時において、首部乃至頭頂部を上面6、15に載置した際、首側部1の上面6側には、トルマリンが塗布された可撓性部材8が収納されているので、首部乃至頭頂部の重さによって、トルマリンに外力が掛かり、マイナスイオンが発生するようになる。マイナスイオンは、森林の中や海岸等に多く存在しており、身体や精神に好影響を与えることが一般に知られている。そのため、本発明の枕Mを使用すると、森林浴をしているような爽やかさを満喫でき、気分が爽快になり、寝心地が向上させられ、快適な睡眠を得ることができるようになる。その結果、身体や精神に極めて良く、健康回復やストレス解消など精神の健全化に極めて有効になる。更に、トルマリンは、マイナスイオンの生成能力が高く、マイナスイオンを効率良く生成することができる。更にまた、トルマリンは遠赤外線を放出するため、枕Mに使用すると頭部に対する温度をさほど高くすることなく人体へ熱を浸透させることができ、暖による快適性を得ることを可能にすることができる。そのため、人体の血行を良くしたり、筋肉の疲れやこりをとったりする等の温熱効果により、健康の向上に供することができるようになる。
【0032】
尚、上記実施の形態において、首側部1及び頭頂側部10を、綿とポリエステルとの混綿で構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、適度な弾性を有する素材であれば良く、適宜変更して差支えない。例えば、綿、ポリエステルの他に、絹、ウール等の素材を用いることが可能であり、これらの素材単体であっても良く、また、これらを混合させたものであっても良い。
また、上記実施の形態において、可撓性部材8を矩形帯状に形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、どのような形状でも良く、適宜変更して差支えない。
更に、上記実施の形態において、可撓性部材8を上記の大きさに形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、首側部1に収納される大きさであれば良く、適宜変更して差支えない。
更にまた、上記実施の形態において、トルマリンを粉末状にし、これを溶解した溶液を可撓性部材8に塗布し、その後、乾燥させたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、首側部1にトルマリンが収納されれば良く、適宜変更して差支えない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る枕を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る枕を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る枕を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る枕を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る枕を示す底面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る枕を仰臥位で使用した状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る枕を横臥位で使用した状態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図8】従来の枕の一例を示し、(A)は斜視図、(B)は側面断面図である。
【符号の説明】
【0034】
M 枕
A 縦幅
B 横幅
1 首側部
1a 中央エリア
1b 側部エリア
2 中心線
3 尾根線
4 凸部
5 首側部端縁
6 上面
7 下面
8 可撓性部材
10 頭頂側部
10a 中央エリア
10b 側部エリア
11 中心線
12 尾根線
13 凹所
14 頭頂側部端縁
15 上面
16 下面
20 連結部材
30 下面空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首側を支持する首側部と頭頂側を支持する頭頂側部とを連結するとともに、縦幅よりも横幅を長く形成した枕において、
上記首側部及び上記頭頂側部を、縦幅方向断面が縦幅方向の中心線に対して上下対称の略楕円状に形成するとともに、夫々横幅方向に中央エリア及び該中央エリアの左右に連続する一対の側部エリアに分け、各エリアにおいて横幅方向に延びる上下の尾根線間の厚さを略同じに形成し、
上記首側部の中央エリアの上記頭頂側部側に該頭頂側部側に突出する凸部を形成するとともに、上記頭頂側部の中央エリアの上記首側部側に上記凸部が入り込む凹所を形成し、 上記首側部の中心線を通る上記頭頂側部側の横幅方向の首側部端縁と、上記頭頂側部の中心線を通る上記首側部側の横幅方向の頭頂側部端縁とを帯状の連結部材で連結し、
上記首側部の中央エリアの厚さをH1とし、上記首側部の側部エリアの厚さをH2とし、上記頭頂側部の側部エリアの厚さをH3とし、上記頭頂側部の中央エリアの厚さをH4としたとき、H1>H2>H3>H4となるように各エリアを形成したことを特徴とする枕。
【請求項2】
上記首側部の中央エリアの厚さH1を50mm〜110mmとし、上記首側部の側部エリアの厚さH2を40mm〜100mmとし、上記頭頂側部の側部エリアの厚さH3を35mm〜65mmとし、上記頭頂側部の中央エリアの厚さH4を30mm〜50mmとしたことを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項3】
上記首側部の中央エリアの縦幅方向の最大長さA1を120mm〜248mmとし、上記首側部の側部エリアの縦幅方向の最大長さA2を150mm〜186mmとし、上記頭頂側部の側部エリアの縦幅方向の最大長さA3を100mm〜124mmとし、上記頭頂側部の中央エリアの縦幅方向の最小長さA4を50mm〜62mmとしたことを特徴とする請求項1または2記載の枕。
【請求項4】
上記首側部及び頭頂側部の横幅Bを500mm〜600mmに形成し、上記首側部の中央エリアの横幅方向の長さをB1とし、上記首側部の側部エリアの横幅方向の長さをB2とし、上記頭頂側部の側部エリアの横幅方向の長さをB3とし、上記頭頂側部の中央エリアの横幅方向の長さをB4としたとき、B1=B2=B3=B4=(1/3)・Bとなるように各エリアを形成したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の枕。
【請求項5】
上記首側部に、トルマリンを収納したことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−63704(P2010−63704A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233671(P2008−233671)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(591163672)
【Fターム(参考)】