説明

【課題】様々な使用状況下において快適な安息感あるいは安眠感が得られる健康指向に優れた枕を提供する。
【解決手段】枕1を、袋2内に、木材玉3,3,・・と弾性ピース4,4,・・を充填して構成する。係る構成によれば、該枕1に頭部を預けることで、上記木材玉3,3,・・によって、これに接した部分に押圧刺激が加えられ、心地よい押圧感が得られるとともに、体内の血行が促進され疲労回復が図られる。しかも、この場合、上記多数の弾性ピース4,4,・・が弾性変形作用をもつことから、頭部の重みを受けてこれが適度に弾性変形することで、上記木材玉3,3,・・による頭部に対する押圧作用が適度に緩和され、長時間の継続使用においても頭部に疼痛感を与えない快適な押圧刺激を伴う使用感が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、適度の押圧刺激と芳香刺激によって安息感あるいは安眠感を得ることのできるようにした枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の枕は、休息あるいは睡眠状態において、頭部を弾性的にサポートすることで特に頚部にかかる負担を軽減し、心地よい休息感あるいは安眠感を確保する等の観点から、枕の内部充填材として、適度の柔軟性と復元性を備えた素材、例えば、綿とかスポンジ等が用いられるのが通例であった。
【0003】
ところが、近年の健康意識の高まりを背景に、枕においても、従来とは性状、特性の異なるものが多数提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0004】
特許文献1に示されるものは、木炭屑を入れた木炭屑用扁平袋と、桐チップを入れた桐チップ扁平袋を上下二段に積層固定して構成され、木炭屑による効果(例えば吸湿・排湿効果等)と桐チップによる効果(例えば、防虫効果)を得ることを目的とするものである。
【0005】
特許文献2に示されるものは、木炭を詰めた内袋の表裏両面側に、綿を充填した外袋を積層して構成され、上記内袋に詰められた木炭の保温性、透湿性等を利用するものである。
【0006】
特許文献3に示されるものは、横方向に連接した三個の袋のうち、第1の袋には鉋屑等を充填し、第2及び第3の内には木製の小躯体を充填して構成され、鉋屑等によって柔軟性とクッション性を確保しつつ、木製の小躯体の表面が擦れ合う際に発生する小躯体の有効成分や芳香による癒し効果を得るようにしたものである。
【0007】
ところで、人の体は、マッサージとか指圧等の押圧刺激によって血行が促進され疲労回復が図れること、及び芳香刺激によって癒し効果が得られることは周知の事実である。
【0008】
しかるに、上述のように従来の枕は、芳香刺激作用とか吸湿・保温作用を得るための構成のみに重点を置いたものであって、押圧刺激とか、押圧刺激と芳香刺激の双方を得るための構成については何等の提案もされていなかった。
【0009】
このような事情から、特許文献4に示されるように、充填材として、木材又は樹脂材で回転体状に形成された多数のチップを、弾性をもつ糸材で順次連結したものを用い、これを袋内に充填して枕を構成したものが提案されている。
【0010】
この枕では、使用者の状況に応じた枕形状の多様化に対処することを主たる効果として挙げているが、さらに付随的効果として、チップによる押圧刺激が得られ、またチップを檜等の芳香性木材で形成した場合には芳香刺激による癒し効果も期待でき、枕の使用者の快適性の向上という点において、従来の枕よりも進化した枕といえる。
【0011】
【特許文献1】 特開平8−214997号公報
【特許文献2】 特開平10−309225号公報
【特許文献3】 特開平11−290183号公報
【特許文献4】 特開2008−49144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献4に示される枕のように、回転体状に形成された多数のチップのみを充填して構成されたものにあっては、枕に頭部を乗せた場合、各チップ相互間の滑りによってある程度は頭部形状に沿って変形するものの、該チップ自体は弾性を殆ど持たないことから、場合によってはチップ側からの反力によって頭部表面が過度に押圧され、長時間の使用には苦痛を伴うということも考えられる。
【0013】
また、一旦、枕形状が使用者の頭部形状に沿って変形すると、その後、例え枕から頭部を離しても、枕形状はそのまま保持され、当初形状に復帰するということは望めない。従って、例えば、仰臥姿勢で枕を使用していた状態から、横臥姿勢に姿勢変更し、それに伴って枕に当たる頭部の部位が変化しても(即ち、後頭部が枕に当っていた状態から、側頭部が枕に当たる状態となっても)、枕形体は後頭部の形状のまま保持されるため、再度、側頭部を枕に乗せて、側頭部の形状に対応するように枕形状を変化させることが必要となり、特に頻繁に寝返りを打つような場合には、その度に枕形状に違和感をもつこととなり、枕の快適な使用感という点において問題がある。
【0014】
さらに、仰臥姿勢で枕を使用して休息等をとる場合は、後頭部が枕に当ることから問題ないが、例えば、横臥姿勢で枕を使用して休息等をとる場合は、側頭部にある耳部分が頭部も重さによって枕表面に押し付けられることから、耳部分に疼痛感が生じ、枕使用による快適感が阻害されるという問題もある。
【0015】
そこで本願発明は、様々な使用状況下において快適な安息感あるいは安眠感が得られる健康指向に優れた枕を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明では、上記課題を解決するために以下のような構成を採用している。
【0017】
本願の第1の発明に係る枕は、袋2内に、木材玉3,3,・・と弾性ピース4,4,・・を充填して構成されたことを特徴としている。
【0018】
本願の第2の発明は、上記第1の発明に係る枕において、上記袋2を複数の袋部2A,2Bを連設した構成とし、該複数の袋部2A,2Bのそれぞれによって複数の枕部1A,1Bを形成したことを特徴としている。
【0019】
本願の第3の発明は、上記第2の発明に係る枕において、上記複数の枕部1A,1B相互間にこれらの表面側から裏面側へ切れ込む隙間空間6を形成したことを特徴としている。
【0020】
本願の第4の発明は、上記第2又は第3の発明に係る枕において、上記複数の枕部1A,1B相互間でその平面視における短辺方向寸法を異ならせたことを特徴としている。
【0021】
本願の第5の発明は、上記第1、第2、第3又は第4の発明に係る枕において、上記袋2、又は上記各袋部2A,2Bを開閉自在とするとともに、上記袋2内に、又は上記各袋部2A,2B内に、空室33を形成する区画材32を設け、該空室33に、内袋31内に上記木材玉3,3,・・を充填してなる木材玉パッケーッジ30を着脱自在に装着可能としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0023】
(a)本願の第1の発明によれば、袋2内に、木材玉3,3,・・と弾性ピース4,4,・・を充填して枕1を構成しているので、該枕1に頭部を預けることで、上記木材玉3,3,・・によって、これに接した部分に押圧刺激が加えられ、心地よい押圧刺激によって、体内の血行が促進され疲労の回復が図られる。
【0024】
この場合、上記木材玉3,3,・・と共に上記袋2内に充填された上記多数の弾性ピース4,4,・・が弾性変形作用をもつことから、頭部等の重みを受けてこれが適度に弾性変形し、これによって、上記木材玉3,3,・・による頭部等に対する押圧作用が適度に緩和される。この結果、例え枕1を長時間使用しても頭部等に疼痛感を与えない、快適な押圧刺激を受けることができ、疲労回復効果がさらに促進される。
【0025】
また、上記弾性ピース4,4,・・は弾性復元作用をもつことから、枕1に対する押圧力が一時的に軽減あるいは解除され、再度押圧力が掛かるような場合、例えば、寝返りを打ったことで枕1に当接する頭部側の部位が、後頭部と側頭部の間で変化したような場合、枕1は押圧力の軽減あるいは解除とともに即座に所期形状への復帰作用を受けるとともに、新たな当接部位からの押圧力を受けてこの当接部位の形状に沿うように素早く変形してこれを的確にサポートする、即ち、枕1の形状が、該枕1に当接する頭部の部位の変化に追従して変化するものであり、これによってサポート作用の中断の無い快適な使用感が得られ、延いては、枕1の使用による安息感あるいは安眠感がより一層促進される。
【0026】
さらに、上記木材玉3,3,・・が芳香性の木材で形成された場合には、上記枕1を使用する人は、該木材玉3,3,・・から放散される芳香あるいは有効成分(例えば、マイナスイオン)によって適度の芳香刺激が与えられ、精神的な安定が促進される等の癒し効果を享受することができる。
【0027】
(b)本願の第2の発明に係る枕によれば、上記(a)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記袋2を複数の袋部2A,2Bを連設した構成とし、該複数の袋部2A,2Bのそれぞれによって複数の枕部1A,1Bが形成しているので、上記各袋部2A,2Bへの木材玉3と弾性ピース4の充填量を調整して上記各枕部1A,1Bの双方又は相互間の高さ調整を行なうこと、及び上記各袋部2A,2Bへの木材玉3と弾性ピース4の充填比率を調整して上記各枕部1A,1B双方又は相互間の硬さ調整を行なうこと、が共に容易であり、特に上記各袋部2A,2Bを開閉自在とした場合には、枕1の使用者は上記木材玉3と弾性ピース4の充填量を調整、あるいは木材玉3と弾性ピース4の充填比率を調整することで、枕高さ及び枕硬さを自己の好みに合わせることができるなど、枕使用者の好みの多様化に容易且つ的確に応えることができ、延いては、枕1の商品価値の向上を図ることができる。
【0028】
(c)本願の第3の発明に係る枕によれば、上記(b)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記複数の枕部1A,1B相互間にこれらの表面側から裏面側へ切れ込む隙間空間6を形成しているので、例えば、顔を横に向けた横臥姿勢で枕1を使用する場合には、上記隙間空間6に耳が対応するようにして使用することで、頭部の重さによる耳への圧迫感が可及的に軽減され、横臥姿勢での使用感が格段に向上し、使用者に快適な安息感あるいは安眠感を与えることができる。
【0029】
さらに、例えば、眼鏡を掛けた人がそのまま横臥姿勢で枕1を使用するような場合には、該眼鏡の位置を上記枕1の隙間空間6に合わせることで、また、耳たぶ部分に耳飾を装着した人が横臥姿勢で枕1を使用するような場合には、該耳飾の位置を上記枕1の隙間空間6に合わせることで、共に、眼鏡の側部及び耳飾に対する圧迫が上記隙間空間6の存在によって可及的に低減され、これによって横臥姿勢で枕1を使用する場合における制約が少なくなり、その使用上の利便性が向上する。
【0030】
(d)本願の第4の発明に係る枕によれば、上記(b)又は(c)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記複数の枕部1A,1B相互間でその平面視における短辺方向寸法を異ならせているので、例えば、使用者が、頚部を確実にサポートしたいと思う場合には、短辺方向寸法の小さい枕部1A又は1Bを頚部に合わせるようにして使用し、また、上肩部から頚部に掛けての範囲を確実にサポートしたいと思う場合には、短辺方向寸法の大きい枕部1B又は1Aを上肩部から頚部に掛けての範囲に合わせるようにして使用するなど、必要に応じて上記枕1を平面上において180°反転させて使用することで、該枕1を使用者の好みによって使い分けることができ、その使用上の利便性が向上する。
【0031】
また、上述のように、使用者が眼鏡を装着し、あるいは耳飾を装着している場合には、頭部における眼鏡の装着位置は耳飾の装着位置よりも頭頂部寄りとなり、これら両者間に位置的なズレがあるため、このズレに合わせるように、使用者が眼鏡を装着している場合には枕1の短辺方向寸法の小さい枕部1A又は1Bが頭頂部寄りに位置するように、使用者が耳飾を装着している場合には短辺方向寸法の大きい枕部1B又は1Aが頭頂部寄りに位置するように、上記枕1を平面上において180°反転させて使用することで、使用者の状況に対応した枕1の使用が可能となり、その使用上の利便性が向上する。
【0032】
(e)本願の第5の発明に係る枕によれば、上記(a)、(b)、(c)又は(d)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記袋2、又は上記各袋部2A,2Bを開閉自在とするとともに、上記袋2内に、又は上記各袋部2A,2B内に、空室33を形成する区画材32を設け、該空室33に、内袋31内に上記木材玉3,3,・・を充填してなる木材玉パッケーッジ30を着脱自在に装着可能としているので、枕1の長期の使用によって上記木材玉パッケーッジ30内の木材玉3,3,・・からの芳香の放散能力が低下したような場合には、該木材玉パッケーッジ30を上記空室33から取り出して、これを新しい木材玉パッケーッジ30に交換することで木材玉3,3,・・からの芳香の放散能力が回復され、その結果、長期間に亘って木材玉3,3,・・から放散される芳香による癒し効果を享受できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
A:第1の実施形態
図1及び図2には、本願発明の第1の実施形態に係る枕1を示している。この枕1は、枕1内に、多数の木材玉3,3,・・と多数の弾性ピース4,4,・・を混合状態で充填して構成されるものであって、特にこの実施形態では隣接配置された二つの枕部1A、1Bを備えた構成とされている。
【0034】
即ち、上記袋2は、例えば、布目の粗いメッシュ布で構成される内側材と布目の密な不織布等の布材で構成される外側材からなる積層構造の二重布材を長矩形の平面形体をもつ袋状に縫製するとともに、その短辺寸法を略「2:1」の比率で区画する位置においてその表面側と裏面側を長辺方向に向けて縫合し、その縫合部5の一方側を第1袋部2A、他方側を第2袋部2Bとしている。そして、これら第1袋部2Aと第2袋部2Bの一方の端縁2Aa,2Baをそれぞれ止着材7、8によって開閉可能に閉塞する一方、他方の端縁2Ab,2Bbはこれを縫合により閉塞している。
【0035】
このような二分構成の袋2の各袋部2A,2Bに、次述の木材玉3及び弾性ピース4を充填することで、上記第1袋部2Aに対応する部分を第1枕部1Aとし、上記第2袋部2Bに対応する部分を第2枕部1Bとした二分構成の上記枕1が得られるものである。この場合、上記枕1においては、上記第1袋部2Aと第2袋部2Bの膨らみによって、これら両者の縫合部5部分に、該縫合部5に沿って枕1の幅方向へ延出する断面略楔状に切れ込む隙間空間6が、該枕1の表面側と裏面側にそれぞれ形成される。なお、これら表裏両側に形成される隙間空間各6,6は、図1に示すように、常時一定形状に保持されるものではなく、図4、図5に示すように、上記各枕部1A,1Bの変形に伴って変形し、通常は、上記枕1の下面側は床面10に接して略平面状とされることから、表面側の隙間空間6が大きく、裏面側の隙間空間6は小さくなる。係る現象は、上記隙間空間6を眼鏡28とは耳飾27の進入許容部位として利用する場合に好都合である。
【0036】
また、上記袋2の第1袋部2Aと第2袋部2Bの比率、即ち、上記第1枕部1Aと第2枕部1Bの比率は、上記のような「2:1」の比率に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定できるものである。また、上記袋2を第1袋部2Aと第2袋部2Bからなる二分構成としているが、これに限定されるものではなく、複数構成であれば良く、必要に応じて変更設定できるものである。さらに、ここでは、上記第1袋部2Aと第2袋部2Bの一方の端縁2Aa,2Baのみを止着材7,8によって開閉可能としているが、これに限定されるものではなく、該一方の端縁2Aa,2Baに加えて、他方の端縁2Ab,2Bbをも止着材によって開閉可能に構成することもできる。
【0037】
上記木材玉3は、図3(イ)に示すように、適宜の木材、望ましくは檜材を用いて略球状に形成されたものであって、その径寸法は8mm〜15mm、望ましくは10mm程度に設定される。又、この木材玉3は、望ましくは完全球体に近い形状とされるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、少なくとも角の無い略球状形体であればよい。
【0038】
上記弾性ピース4は、図3(ロ)に示すように、例えば、外径5mm〜10mm程度のビニールパイプを長さ8mm〜15mm程度に切り取って構成され、適度の弾性復元性を備えている。なお、この弾性ピース4は、ビニールパイプで構成されるものに限らず、適度の弾性復元性を備えるものならば、その素材、形状は限定されず、またパイプ体に限定されるものではなく、例えば、図3(ハ)に示すような適度の弾性復元性を備えたスポンジ体で構成することも可能である。
【0039】
以上のように構成された枕1は、図4及び図5に示すように、仰臥姿勢で使用するのが一般的であるが、これに限らず、横臥姿勢(図示省略)で使用されることもある。
【0040】
また、枕1の人20に対する配置方向としては、図4に示すように、該枕1の第1枕部1Aを頭頂部側へ向けた状態で配置する場合と、図5に示すように、上記枕1の第2枕部1Bを頭頂部側へ向けた状態で配置する場合とがあり、この配置位置は使用者の好み、あるいは使用状況等に応じて適宜選択されるものである。
【0041】
この実施形態の枕1においては、以下のような特有の作用効果が得られるものである。
【0042】
即ち、この枕1は、上記袋2の第1袋部2A及び第2袋部2B内に、多数の木材玉3,3,・・と多数の弾性ピース4,4,・・を充填して構成されているので、図4及び図5に示すように、休息あるいは睡眠に際して、人20がその頚部22から頭部23にかけての部分を上記枕1に預けると、該枕1内の上記木材玉3,3,・・によって、これに接した頭部23の後頭部とか側頭部、さらに頚部22とか肩部21に、該木材玉3,3,・・からの反力として押圧力が作用し、適度の押圧刺激が加えられる。この結果、人20は、心地よい押圧刺激によって体内の血行が促進され、疲労の回復が図られることになる。
【0043】
この場合、上記木材玉3,3,・・と共に上記袋2内に充填された上記弾性ピース4,4,・・が弾性変形作用をもつことから、人20頭部23の重みを受けてこれが適度に弾性変形し、これによって、上記木材玉3,3,・・による頭部23に対する押圧作用が適度に緩和される。この結果、例え枕1を長時間使用しても頭部23等に疼痛感を与えない、快適な押圧刺激を受けることができ、疲労回復効果がさらに促進される。
【0044】
また、上記弾性ピース4,4,・・は弾性復元作用をもつことから、上記枕1に対する押圧力が一時的に軽減あるいは解除され、再度押圧力が掛かるような場合、例えば、寝返りを打ったことで上記枕1に当接する頭部23側の部位が、後頭部と側頭部の間で変化したような場合、該枕1は押圧力の軽減あるいは解除とともに即座に所期形状への復帰作用を受けるとともに、新たな当接部位からの押圧力を受けてこの当接部位の形状に沿うように素早く変形してこれを的確にサポートする構造とになる。即ち、上記枕1の形状が、該枕1に当接する部位の変化に追従して変化するものであり、これによってサポート作用の中断の無い快適な使用感が得られ、延いては、上記枕1の使用による安息感あるいは安眠感がより一層促進されることになる。
【0045】
さらに、この実施形態では、上記木材玉3,3,・・を、芳香性をもつ檜材で形成しているので、上記枕1を使用する人は、該木材玉3,3,・・から放散される芳香あるいは有効成分(例えば、マイナスイオン)によって適度の芳香刺激が与えられ、精神的な安定が促進される等の癒し効果を享受することができる。
【0046】
また、この実施形態の枕1では、上記袋2を上記第1袋部2Aと上記第2袋部2Bを連設した構成とし、これら各袋部2A、2Bのそれぞれによって上記第1枕部1Aと第2枕部1Bを形成するとともに、これら各袋部2A,2Bのそれぞれを開閉自在としているので、該各袋部2A,2Bへの木材玉3及び弾性ピース4の出し入れを容易且つ簡便に行なうことができる。この結果、例えば、上記各袋部2A,2Bへの木材玉3と弾性ピース4の充填量を調整して上記各枕部1A,1Bの高さ調整を行なうこととか、上記各袋部2A,2Bへの木材玉3と弾性ピース4の充填比率を調整して上記各枕部1A,1Bの硬さ調整を行なうとか、さらにこれら枕高さと枕硬さを上記各枕部1A,1B相互間において相対的に調整すること、等が容易であり、上記枕1の使用者の枕高さとか枕硬さについての好みの多様化に容易に且つ的確に応えることができ、延いては、上記枕1の商品価値の向上が期待できる。
【0047】
また、このような上記各袋部2A,2Bへの木材玉3と弾性ピース4の出し入れの容易さから、例えば、上記枕1の長期の使用によって上記木材玉3が変形・変質し、あるいは芳香の放散性が低下したような場合には、容易に木材玉3及び弾性ピース4を新しいものと取り換えることができ、これによって上記枕1の長期に亘る使用が可能となり、延いては枕1の経済性が確保される。
【0048】
一方、この実施形態の枕1では、上記袋2を第1袋部2Aと第2袋部2Bを連設した構成とし、該各袋部2A,2Bのそれぞれによって上記各枕部1A,1Bを形成するとともに、該複数の枕部1A,1B相互間にこれらの表面側から裏面側へ切れ込む隙間空間6を形成しているので、例えば、顔を横に向けた横臥姿勢で枕1を使用する場合には、上記隙間空間6に耳24が対応するように位置設定をして使用することで、頭部23の重さによる耳24への圧迫感が可及的に軽減され、横臥姿勢での使用感が格段に向上し、使用者に快適な安息感あるいは安眠感を与えることができる。
【0049】
さらに、例えば、図5に示すように、眼鏡28を掛けた人がそのまま横臥姿勢で枕1を使用するような場合には、該眼鏡28の位置を上記枕1の隙間空間6に合わせることで、また、図4に示すように、耳たぶ部分に耳飾27を装着した人が横臥姿勢で枕1を使用するような場合には、該耳飾27の位置を上記枕1の隙間空間6に合わせることで、共に、眼鏡28の側部及び耳飾27に対する圧迫が上記隙間空間6の存在によって可及的に低減され、これによって横臥姿勢で枕1を使用する場合における制約が少なくなり、その使用上の利便性が向上する。
【0050】
また、この実施形態の枕1では、上記各枕部1A,1B相互間でその平面視における短辺方向寸法を異ならせているので、例えば、人20が、頚部22部分を確実にサポートしたいと思う場合には、図4に示すように、短辺方向寸法の小さい第2枕部1Bを頚部22に合わせるようにして使用し、また、上肩部21から頚部22に掛けての範囲を確実にサポートしたいと思う場合には、図5に示すように、短辺方向寸法の大きい第1枕部1Aを上肩部21から頚部22に掛けての範囲に合わせるようにして使用するなど、必要に応じて上記枕1を平面上において180°反転させて使用することができ、それだけ枕1の使用上の利便性が向上することになる。
【0051】
さらに、上述のように、使用者が眼鏡28を装着し、あるいは耳飾27を装着しているような場合には、頭部23における眼鏡28の装着位置は耳飾27の装着位置よりも頭頂部寄りとなり、これら両者間に位置的なズレがあるため、このズレに合わせるように、人20が眼鏡28を装着している場合には上記枕1の第2枕部1Bが頭頂部寄りに位置するように、人20が耳飾27を装着している場合には上記第1枕部1Aが頭頂部寄りに位置するように、上記枕1を平面上において180°反転させて使用することで、使用者の状況に対応した枕1の使用が可能となり、その使用上の利便性がさらに向上することになる。
【0052】
B:第2の実施形態
図6及び図7には、本願の第2の実施形態に係る枕1を示している。この枕1は、上記第1の実施形態に係る枕1を基本形態とし、これに「芳香による癒し効果の持続性」という新たな効果を実現するための構成を付加したものである。
【0053】
即ち、この枕1は、二分構成の袋2の各袋部2A,2Bに、木材玉3及び弾性ピース4を充填することで、上記第1袋部2Aに対応する第1枕部1Aと、上記第2袋部2Bに対応する第2枕部1Bを設けた二分構成の枕を基本形態とし、さらにこの基本形態において、上記袋2の各袋部2A,2B内の上記縫合部5の近傍位置に、上記袋2と同様の布材で構成され且つその内部を空室33とする袋状の区画材32、32を、上記縫合部5において上記各袋部2A,2Bと一体的に縫合固定した状態で、それぞれ設けたものである。なお、この各区画材32、32の、上記各袋部2A、2Bの上記各止着材7,8を取付けた側の端部2Aa,2Baに対応する端部は開放されており、該端部は上記各止着材7,8の開放によって外方に露出するようになっている。
【0054】
上記各各区画材32、32の各空室33、33には、上記 開放側の端部側から次述の木材玉パッケージ30が挿脱自在とされている。この木材玉パッケージ30は、図8に示すように、上記袋2と同様の布材で構成された円筒状形体をもつ内袋31内に上記木材玉3のみを所定量充填して構成される。なお、この内袋31の一端は止着材7によって開閉自在とされ、必要に応じて該止着材7を開放して上記木材玉3の詰め替えができるようになっている。
【0055】
このように、上記袋2の各袋部2A,2B内に、さらに上記木材玉パッケージ30を挿脱可能とし、且つ該木材玉パッケージ30の上記内袋31内に充填された木材玉3の詰め替えを可能としたことで、上記枕1の使用者は、木材玉3からの芳香の放散が減少したと思われるとき、上記木材玉パッケージ30を上記枕1側から取り出して、上記内袋31内に充填された木材玉3の詰め替えを行なうことで、新しい木材玉3から放散される芳香によって「芳香による癒し効果」を再度享受できる。従って、係る木材玉3の詰め替えを必要に応じて繰り返すことで、「芳香による癒し効果」を長期に亘って継続的に享受できることになり、延いては、上記枕1の経済性が促進されることになる。
【0056】
なお、上記木材玉パッケージ30の木材玉3からの芳香の他に、上記袋2の各袋部2A,2B内に充填された木材玉3からの芳香によっても「芳香による癒し効果」が得られることは言うまでも無い。
【0057】
一方、図9には、上記枕1の他の構造例を示している。この枕1は、上記実施形態の枕1においては、上記袋2の各袋部2A,2B内に木材玉3と弾性ピース4を混合状態で充填していたのに対して、上記袋2の各袋部2A,2B内に弾性ピース4のみを充填したものである。従って、この枕1は、木材玉3の押圧力による「指圧効果」を抑え、「癒し効果」を重視した枕であって、例えば、「指圧効果」を好まない使用者にとって好適な枕である。
【0058】
なお、上記以外の作用効果は上記第1の実施形態における枕1の場合と同様であるので、該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】 本願発明の第1の実施形態に係る枕の全体斜視図である。
【図2】 図1のII−II断面図である。
【図3】 枕の充填物を示す斜視図である。
【図4】 枕の第1の使用状態の説明図である。
【図5】 枕の第2の使用状態の説明図である。
【図6】 本願発明の第2の実施形態に係る枕の全体斜視図である。
【図7】 図6のVII−VII断面図である。
【図8】 図6に示した木材玉パッケージの全体斜視図である。
【図9】 上記枕の他の構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ・・枕
1A ・・第1枕部
1B ・・第2枕部
2 ・・袋
2A ・・第1袋部
2B ・・第2袋部
3 ・・木材玉
4 ・・弾性ピース
5 ・・縫合部
6 ・・隙間空間
7 ・・止着材
8 ・・止着材
10 ・・床面
20 ・・人
21 ・・肩部
22 ・・頚部
23 ・・頭部
24 ・・耳
27 ・・耳飾
28 ・・眼鏡
30 ・・木材玉パッケージ
31 ・・内袋
32 ・・区画材
33 ・・空室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(2)内に、木材玉(3),(3),・・と弾性ピース(4),(4),・・を充填して構成されたことを特徴とする枕。
【請求項2】
請求項1において、
上記袋(2)が複数の袋部(2A),(2B)を連設した構成であって、該複数の袋部(2A),(2B)のそれぞれによって複数の枕部(1A),(1B)が形成されていることを特徴とする枕。
【請求項3】
請求項2において、
上記複数の枕部(1A),(1B)相互間にこれらの表面側から裏面側へ切れ込む隙間空間(6)が形成されたことを特徴とする枕。
【請求項4】
請求項2又は3において、
上記複数の枕部(1A),(1B)相互間でその平面視における短辺方向寸法が異なっていることを特徴とする枕。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4において、
上記袋(2)、又は上記各袋部(2A),(2B)が開閉自在とされるとともに、
上記袋(2)内に、又は上記各袋部(2A),(2B)内に、空室(33)を形成する区画材(32)が設けられ、
該空室(33)に、内袋(31)内に上記木材玉(3),(3),・・を充填してなる木材玉パッケーッジ(30)が着脱自在に装着可能とされていることを特徴とする枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−94479(P2010−94479A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291529(P2008−291529)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(508078547)株式会社アバンセ (4)
【Fターム(参考)】