説明

枚葉ワークの位置決め搬送装置

【課題】枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、位置決めを正確に行う。
【解決手段】搬送手段12による枚葉ワークWの搬送元Dから搬送先Aへの搬送過程で、浮上式ワーク支持手段18によって枚葉ワークWをフローティング支持した状態で、付勢手段22により、枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを固定ガイド手段20に当接させる。そして、枚葉ワークWが実際にフローティング支持状態を解除された状態で、位置補正手段14から枚葉ワークWを開放することで、搬送先Aに枚葉ワークを置く際に、位置補正された状態にある枚葉ワークWの位置精度を維持する。枚葉ワークWの搬送元Dでは、各枚葉ワークWに位置ずれXが生じているような場合でも、搬送先Aへ重ねられる際には、位置ずれは解消され、枚葉ワークWの積層体の傾斜を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉ワークの搬送装置に関し、特に、枚葉ワークの位置決め機能を有するものである。
【背景技術】
【0002】
定形(規格品か否かを問わない)のシート状の形態をなす枚葉ワーク、例えば、ガラス板、半導体ウエハ、燃料電池セルのセル構成部材等を、搬送元から搬送先へと搬送する搬送装置として、従来から、ベルヌーイチャック(例えば、特許文献1参照)、静電チャック、超音波チャック等の、いわゆる浮上式ワーク支持手段が用いられている。そして、搬送先に枚葉ワークを置く際の位置決めを正確に行うために、枚葉ワークの外周端の位置を規制するガイドを浮上式ワーク支持手段に設け、このガイドによって枚葉ワークの姿勢を矯正する手法が従来から採用されている(例えば、特許文献2参照)。又、枚葉ワークの位置決めを行う手法として、画像処理装置により枚葉ワークの姿勢を認識し、搬送装置の動作に反映させる手法や、搬送先に枚葉ワークの外周端の位置を規制するガイドを設ける手法等が検討されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−162575号公報
【特許文献2】特開2002−239965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、枚葉ワークの外周端の位置を規制するガイドを、浮上式ワーク支持手段に設ける手法は、ガイドが可動式である場合には、ガイドの推力のバランス、及び、枚葉ワークとガイドとの間に生じる摩擦力の影響を受け、枚葉ワークの位置決め精度の安定化が困難である。又、搬送先に枚葉ワークを置く際のガイドの解放動作に釣られ、浮上式ワーク支持手段に対して枚葉ワークが位置ずれを起し、せっかく位置補正された状態にある枚葉ワークの位置精度を維持することが困難となる。一方、ガイドが固定式である場合には、ガイドと枚葉ワークとの間にクリアランスを設ける必要があり、このクリアランス分が位置決め精度の低下を招く原因となる。
又、画像処理装置により枚葉ワークの姿勢を認識し、搬送装置の動作に反映させる手法は、装置構成が複雑化し、なおかつ、画像処理結果を搬送装置の動作に反映させるためのサイクルタイムが増大することから、枚葉ワークの搬送作業の高速化に支障を来たす場合がある。
【0005】
又、搬送先に枚葉ワークの外周端の位置を規制するガイドを設ける手法は、枚葉ワークを搬送先に積層する場合に、積層高さに応じたガイド高さが必要となることから、ガイドの位置精度の如何により積層体が傾斜する恐れがある。しかも、枚葉ワーク間の摩擦力が大きいような場合には、積層後に枚葉ワークの位置をずらしてそろえる作業が困難となり、積層体の傾斜を補正することができないといった問題も生じ得る。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、位置決めを正確に行うことにある。又、搬送先に枚葉ワークを置く際にも、枚葉ワークが位置ずれを起すことを防ぎ、枚葉ワークを搬送先に正確に載置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)枚葉ワークの盤面を捉えて持ち上げ搬送する搬送手段と、該搬送手段による前記枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、前記枚葉ワークを所定の基準位置に対して位置補正する位置補正手段と、前記搬送手段及び前記位置補正手段の制御手段とを備え、前記位置補正手段は、前記枚葉ワークをフローティング支持する浮上式ワーク支持手段と、フローティング支持状態にある前記枚葉ワークの、外周端の角を挟んで連続する2面が当接する固定ガイド手段と、該固定ガイド手段に前記枚葉ワークを当接させる付勢手段とを備える枚葉ワークの位置決め搬送装置。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、制御手段が、浮上式ワーク支持手段によって枚葉ワークをフローティング支持した状態で、付勢手段により枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面を固定ガイド手段に当接させるように、搬送手段及び位置補正手段を制御する。そして、搬送手段による枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、固定ガイド手段を所定の基準位置として、枚葉ワークの位置決めを行うものである。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記制御手段は、前記位置補正手段による前記枚葉ワークの位置補正後に、前記浮上式ワーク支持手段による前記枚葉ワークのフローティング支持停止指令を出力し、前記枚葉ワークのフローティング支持状態が実際に解除された状態で、前記枚葉ワークを前記位置補正手段から開放する制御ロジックを備える枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項1)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置の制御手段は、位置補正手段による枚葉ワークの位置補正後に、浮上式ワーク支持手段による枚葉ワークのフローティング支持停止指令を出力するものであるが、枚葉ワークが実際にフローティング支持を解除されていない状態では、枚葉ワークを開放しないことにより、枚葉ワークの開放動作につられて生じ得る、浮上式ワーク支持手段に対する枚葉ワークの位置ずれを防止する。そして、枚葉ワークが実際にフローティング支持状態を解除された状態(すなわち、位置補正手段に対する枚葉ワークの位置が固定された状態)で、位置補正手段から枚葉ワークを開放することで、搬送先に枚葉ワークを置く際にも、位置補正された状態にある枚葉ワークの位置精度を、維持するものである。
【0009】
(3)上記(1)、(2)項において、前記搬送手段は、枚葉ワークの盤面に密着して固定する密着式ワーク保持手段を備える枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項2)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、固定ガイドを所定の基準位置として枚葉ワークを位置決めした状態で、密着式ワーク保持手段によって、枚葉ワークの盤面に密着して枚葉ワークを固定することにより、枚葉ワークが変形するようなものであっても、その変形を矯正し、浮上式ワーク支持手段に対する枚葉ワークの位置決めを正確に行うものである。なお、密着式ワーク保持手段は、例えばバキュームチャック、電磁チャック等が挙げられる。
【0010】
(4)上記(1)から(3)項において、前記位置補正手段は、前記搬送手段に設けられている枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項3)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、位置補正手段が搬送手段に設けられていることで、搬送手段による枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送中に、固定ガイドを所定の基準位置として、枚葉ワークの位置決めを行うものである。
【0011】
(5)上記(1)から(3)項において、前記位置補正手段は、前記搬送手段による前記枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送経路中の定位置に配されたステーションに設けられている枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項4)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、搬送手段による枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、搬送手段による前記枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送経路中の定位置に配されたステーションに設けられた位置補正手段に、一旦枚葉ワークを受け渡す。そして、固定ガイドを所定の基準位置として枚葉ワークを位置決めし、位置決めされた枚葉ワークを再び搬送手段によって持ち上げ、搬送先へと搬送するものである。
【0012】
(6)上記(1)から(5)項において、前記付勢手段は、前記固定ガイド手段に当接する前記枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面と対向する2面を押圧する、可動ガイド手段である枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項5)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、可動ガイド手段により、固定ガイド手段に当接する枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面と対向する2面を押圧し、枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面を固定ガイド手段に当接させ、固定ガイドを所定の基準位置として、枚葉ワークの位置決めを行うものである。
【0013】
(7)上記(5)項において、前記固定ガイド手段及び前記可動ガイド手段の少なくとも一方の、前記枚葉ワークとの接触部に、摩擦低減手段が設けられている枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項6)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、固定ガイド手段又は可動ガイド手段と、枚葉ワークとに生じる摩擦力を低減することにより、枚葉ワークを固定ガイドに押し付ける際に必要な推力を軽減する。そして、制御手段により、枚葉ワークの変形が生じない低推力で、可動ガイドを駆動するように、位置補正手段を制御するものである。なお、摩擦低減手段としては、例えば、ローラ機構や、低摩擦材の採用が挙げられる。
【0014】
(8)前記付勢手段は、浮上式ワーク支持手段を傾斜させる傾斜手段である枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項7)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、浮上式ワーク支持手段を傾斜させる傾斜手段により、枚葉ワークを傾斜させることで、枚葉ワークの自重での移動を促し、枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面を、固定ガイド手段に当接させるものである。
(9)上記(8)項において、前記傾斜手段は、前記制御手段の、前記浮上式ワーク支持手段を傾斜させる制御ロジックである枚葉ワークの位置決め搬送装置。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、制御手段によって浮上式ワーク支持手段を傾斜させることにより、枚葉ワークの自重での移動を促し、枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面を、固定ガイド手段に当接させるものである。
【0015】
(10)上記(1)から(9)項において、前記制御手段は、大きさの異なる枚葉ワークを搬送先に積層する際に、各々の枚葉ワークの中心位置が一致するように、前記搬送手段の移動量を調整する制御ロジックを備える枚葉ワークの位置決め搬送装置(請求項8)。
本項に記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置は、枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面を固定ガイドに当接させることにより、枚葉ワークの外周端を基準として、大きさの異なる枚葉ワークの位置決めを行う。そして、大きさの異なる枚葉ワークを搬送先に積層する際に、制御手段により、各々の枚葉ワークの中心位置が一致するように、搬送手段の移動量を調整することで、大きさの異なる枚葉ワークを、各々、搬送先に正確に位置決めして積層するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明はこのように構成したので、枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、位置決めを正確に行うことが可能となる。又、搬送先に枚葉ワークを置く際にも、枚葉ワークが位置ずれを起すことを防ぎ、枚葉ワークを搬送先に正確に載置することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
本発明の実施の形態に係る枚葉ワークの位置決め搬送装置10は、図1、図2に概略的に示されているように、搬送手段12、位置補正手段14、制御手段16を備えるものである。
搬送手段12は、枚葉ワークWの盤面を捉えて持ち上げ搬送するものであり、図1、図2の例では、ベースプレート24に、いわゆる浮上式ワーク支持手段18が固定されてなるものである。なお、本例では、浮上式ワーク支持手段18にベルヌーイチャックが用いられている。
【0018】
又、位置補正手段14は、搬送手段12による枚葉ワークWの搬送元Dから搬送先Aへの搬送過程で、枚葉ワークWを所定の基準位置に対して位置補正するものであり、図1、図2の例では、位置補正手段14は、搬送手段12に設けられている。具体的には、位置補正手段14は、浮上式ワーク支持手段18と、フローティング支持状態にある枚葉ワークWの、外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbが当接する固定ガイド手段20と、固定ガイド手段20に枚葉ワークWを当接させる付勢手段22とを備えている。本例では、固定ガイド手段20は、ベースプレート24に固定された固定ピンであり、枚葉ワークWの2面Wa、Wbのうち少なくとも一面に、最低1本、好ましくは2本以上設けられることで、枚葉ワークWの不用意な回転を防ぎ、必要な位置決め精度を確保している。
【0019】
又、付勢手段22は、枚葉ワークWの、外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbと対向する2面Wc、Wdに対し離間接近する可動ガイド手段26であり、本例では、ベースプレート24に固定されたリニアアクチュエータ28により駆動される可動ピンが採用されている。そして、可動ガイド手段26には、ばね30を介して、枚葉ワークWの2面Wc、Wdに当接するパッド32が固定されている。しかも、固定ガイド手段20及び可動ガイド手段26(パッド32)の枚葉ワークWとの接触部には、摩擦低減手段としてのローラ34が軸着されている。
【0020】
更に、図2の例の如く、搬送手段12は、枚葉ワークWの盤面に密着して固定する密着式ワーク保持手段36を備えることが望ましい。密着式ワーク保持手段36は、図2の例ではバキュームチャックが採用されており、枚葉ワークWの外周端の近傍に密着する位置に設けられている。尚、密着式ワーク保持手段36を設けること無く、浮上式ワーク指示手段18のみで枚葉ワークWの盤面を捉えて持ち上げるものであっても良い。
又、制御手段16は、電子計算機等の情報処理手段からなる。そして、図示の例では、搬送手段12の移動に係る駆動手段としてロボット38が用いられ、制御手段16は、ロボット38の制御手段も兼ねている。ロボット38のアームと搬送手段12のベースプレート24との連結構造は、通常採られるものであればよい。なお、説明の便宜上、ロボット38は図1にのみ示すが、搬送手段12の移動に係る駆動手段として、ロボット以外のアクチュエータ等を用いることも可能である。
【0021】
そして、制御手段16には、位置補正手段14による枚葉ワークWの位置補正後に、浮上式ワーク支持手段18による枚葉ワークWのフローティング支持停止指令を出力し、枚葉ワークWのフローティング支持状態が実際に解除された状態で、枚葉ワークWを位置補正手段14から開放する制御ロジック16aを備えている。
図1、図2の例では、ベルヌーイチャックからなる浮上式ワーク支持手段18が、図3に示されるように、Air−off(電磁弁off)指令から所定時間T(図示の例では0.3秒)経過の後に、エア流量Qが0[L/min]となるのを待って、Guide−open指令(位置補正手段14の可動ガイド手段26を解放指令)を出力し、図1、図2の例では、枚葉ワークWの2面Wc、Wdからパッド32を離間させるように、制御ロジック16aはリニアアクチュエータ28を制御するものである。なお、Guide−open指令の出力のタイミングは、ベルヌーイチャックからなる浮上式ワーク支持手段18へのエア供給回路のエア流量を実測して決定するものであってもよく、実験結果等を考慮して予め決定しておくこととしても良い。
【0022】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。まず、本発明の実施の形態に係る枚葉ワークの位置決め搬送装置10は、制御手段16が、浮上式ワーク支持手段18によって枚葉ワークWをフローティング支持した状態で、付勢手段22により、枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを固定ガイド手段20に当接させるように、搬送手段12及び位置補正手段14を制御するものである。そして、搬送手段12による枚葉ワークWの搬送元Dから搬送先Aへの搬送過程で、固定ガイド手段20を所定の基準位置として枚葉ワークWの位置決めを行うものである。従って、枚葉ワークWの搬送元Dでは、各枚葉ワークWに位置ずれXが生じているような場合でも、搬送先Aへ重ねられる際には、位置ずれXは解消され、枚葉ワークWの積層体の傾斜を防ぐことができる。
【0023】
しかも、制御手段16は、位置補正手段14による枚葉ワークWの位置補正後のワーク脱時に、浮上式ワーク支持手段による枚葉ワークWのフローティング支持停止指令を出力するが(図3:Guide−open)、枚葉ワークが実際にフローティング支持を解除されていない状態では、枚葉ワークを開放しないことにより、枚葉ワークWの開放動作に伴う、浮上式ワーク支持手段18に対する枚葉ワークWの位置ずれを防止することができる。そして、枚葉ワークWが実際にフローティング支持状態を解除された状態(すなわち、位置補正手段14に対する枚葉ワークWの位置が固定された状態)で、位置補正手段14から枚葉ワークWを開放することで、搬送先Aに枚葉ワークを置く際にも、位置補正された状態にある枚葉ワークWの位置精度を維持するものである。
【0024】
又、図2に示されるように、固定ガイド20を所定の基準位置として枚葉ワークWを位置決めした状態で、密着式ワーク保持手段36によって、枚葉ワークWの盤面に密着して枚葉ワークWを固定することにより、枚葉ワークWが変形するようなものであっても、その変形を矯正し、浮上式ワーク支持手段18に対する枚葉ワークWの位置決めを正確に行うものである。
しかも、位置補正手段14が搬送手段12に設けられていることで、搬送手段12による、枚葉ワークWの搬送元Dから搬送先Aへの搬送中に、固定ガイド20を所定の基準位置として枚葉ワークWの位置決めを行うことができる。
【0025】
又、可動ガイド手段26により、固定ガイド手段20に当接する枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbと対向する2面Wc、Wdを押圧し、枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを固定ガイド手段20に当接させ、固定ガイド20を所定の基準位置として枚葉ワークの位置決めを行うものである。
しかも、固定ガイド手段20及び可動ガイド手段26の、枚葉ワークWとの接触部に摩擦低減手段34が設けられており、固定ガイド手段20及び可動ガイド手段26と、枚葉ワークWとに生じる摩擦力を低減することにより、制御手段16は、枚葉ワークWを固定ガイド20に押し付ける際に必要な推力を軽減し、枚葉ワークWの変形が生じない低推力で、可動ガイド22を駆動するものである。
【0026】
ところで、位置補正手段14は、可動ガイド手段26に限らず、図4に示されるように、制御手段16の制御ロジック16aによって、浮上式ワーク支持手段18を図中右奥が高くなるように傾斜させるものであっても良い。この場合、枚葉ワークWの自重での移動を促し、枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを、固定ガイド手段に当接させるものであり、本例では、ロボット38のアームの動作により、ベースプレート24を傾斜させるものである。
又、位置補正手段14は、必ずしも搬送手段12に設けられている必要はなく、図5、に示されるように、搬送手段12による枚葉ワークWの搬送元Dから搬送先Aへの搬送経路中の定位置に配されたステーションSに設けられているものであっても良い。この場合、図6に示されるように、ステーションSに、例えば、エア噴射式の浮上式ワーク支持手段40が設けられている。又、固定ガイド手段20及び付勢手段22として可動ガイド手段26が設けられている。この場合、搬送手段12は、密着式ワーク保持手段36を具備するものである。
【0027】
制御手段16は、搬送手段12による枚葉ワークWの搬送元Dから搬送先Aへの搬送過程で、ステーションSに設けられた位置補正手段14に、一旦、枚葉ワークWを受け渡す。そして、浮上式ワーク支持手段40によって枚葉ワークWをフローティング支持した状態で、付勢手段22により、枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを固定ガイド手段20に当接させるように、位置補正手段14を制御する。そして、固定ガイド20を所定の基準位置として枚葉ワークWを位置決めし、位置決めされた枚葉ワークWを、再び搬送手段12によって持ち上げ(この時点では、枚葉ワークWは搬送手段12の所定の基準位置に対しても位置補正された状態にある。)、搬送先Aへと搬送するものである。
又、ステーションSに設けられた位置補正手段14は、可動ガイド手段26に限らず、図7、図8に示されるように、制御手段16の制御ロジック16aによって、浮上式ワーク支持手段18を図中右奥が高くなるように傾斜させるものであっても良い。この場合、枚葉ワークWの自重での移動を促し、枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを、固定ガイド手段20に当接させるものである。
【0028】
更に、図9に示されるように、制御手段16の制御ロジック16aは、枚葉ワークWの外周端の角を挟んで連続する2面Wa、Wbを固定ガイドに当接させることにより、枚葉ワークWの外周端を基準として、大きさの異なる枚葉ワークW、Wの位置決めを行う。そして、大きさの異なる枚葉ワークW、Wを搬送先Aに積層する際に、各々の枚葉ワークW、Wの中心位置が一致するように、搬送手段12の移動量を調整することにより、各々の枚葉ワークW、Wの中心位置が一致するように、搬送手段12の移動量を調整することも可能である。この場合には、制御手段16の制御ロジック16aは、各枚葉ワークW、W毎に異なる移動量L、L(L、Lは各枚葉ワークの大きさによって定まる。)を設定するものであり、大きさの異なる枚葉ワークW、Wを、各々、搬送先Aに正確に位置決めして積層することで、積層体の傾斜を防ぐことができる。なお、制御手段16は、大きさの異なる枚葉ワークの、各々の大きさを予め把握している限り、何種類の枚葉ワークがあっても、各々、搬送先Aに正確に位置決めして積層することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る枚葉ワークの位置決め搬送装置の概略図である。
【図2】図1に示される枚葉ワークの位置決め搬送装置の、搬送手段を拡大して示した側面図である。
【図3】図1に示される枚葉ワークの位置決め搬送装置の、制御手段の制御ロジックに基づくAir−off指令の後、時間経過と共に変化するエア流量を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る枚葉ワークの位置決め搬送装置の、位置補正手段の固定ガイド手段に枚葉ワークを当接させる付勢手段の、別例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る枚葉ワークの位置決め搬送装置の、位置補正手段をステーションに設けた、別例を示す概略図である。
【図6】図5に示される枚葉ワークの位置決め搬送装置の、搬送手段及びステーションの側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る枚葉ワークの位置決め搬送装置の、位置補正手段をステーションに設け、なおかつ、位置補正手段の固定ガイド手段に枚葉ワークを当接させる付勢手段を傾斜手段とした、別例を示す概略図である。
【図8】図7に示される枚葉ワークの位置決め搬送装置の、搬送手段及びステーションの側面図である。
【図9】制御手段の制御ロジックが、大きさの異なる枚葉ワークを搬送先に積層する際に、各々の枚葉ワークの中心位置が一致するように、搬送手段の移動量を調整する場合の、枚葉ワークの位置決め搬送装置による搬送作業を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
10:枚葉ワークの位置決め搬送装置、12:搬送手段、14:位置補正手段、16:制御手段、18:浮上式ワーク支持手段、20:固定ガイド手段(固定ピン)、22:付勢手段、26:可動ガイド手段(可動ピン)、28:リニアアクチュエータ、34:ローラ、36:密着式ワーク保持手段、40:浮上式治具、A:搬送先、D:搬送元、 W、W、W:枚葉ワーク、 Wa、Wb:枚葉ワークの、外周端の角を挟んで連続する2面、 Wc、Wd:Wa、Wbと対向する2面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉ワークの盤面を捉えて持ち上げ搬送する搬送手段と、該搬送手段による前記枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送過程で、前記枚葉ワークを所定の基準位置に対して位置補正する位置補正手段と、前記搬送手段及び前記位置補正手段の制御手段とを備え、
前記位置補正手段は、前記枚葉ワークをフローティング支持する浮上式ワーク支持手段と、フローティング支持状態にある前記枚葉ワークの、外周端の角を挟んで連続する2面が当接する固定ガイド手段と、該固定ガイド手段に前記枚葉ワークを当接させる付勢手段とを備え、
前記制御手段は、前記位置補正手段による前記枚葉ワークの位置補正後に、前記浮上式ワーク支持手段による前記枚葉ワークのフローティング支持停止指令を出力し、前記枚葉ワークのフローティング支持状態が実際に解除された状態で、前記枚葉ワークを前記位置補正手段から開放する制御ロジックを備えることを特徴とする枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、枚葉ワークの盤面に密着して固定する密着式ワーク保持手段を備えることを特徴とする請求項1記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項3】
前記位置補正手段は、前記搬送手段に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項4】
前記位置補正手段は、前記搬送手段による前記枚葉ワークの搬送元から搬送先への搬送経路中の定位置に配されたステーションに設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記固定ガイド手段に当接する前記枚葉ワークの外周端の角を挟んで連続する2面と対向する2面を押圧する、可動ガイド手段であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項6】
前記固定ガイド手段及び前記可動ガイド手段の少なくとも一方の、前記枚葉ワークとの接触部に、摩擦低減手段が設けられていることを特徴とする請求項5記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項7】
前記付勢手段は、浮上式ワーク支持手段を傾斜させる傾斜手段であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。
【請求項8】
前記制御手段は、大きさの異なる枚葉ワークを搬送先に積層する際に、各々の枚葉ワークの中心位置が一致するように、前記搬送手段の移動量を調整する制御ロジックを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の枚葉ワークの位置決め搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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