説明

枚葉印刷機

【課題】簡易な構成で、使用紙および未使用紙を判定することができる枚葉印刷機を提供する。
【解決手段】搬送される枚葉紙に絵柄を転写して印刷を行う印刷部と、枚葉紙に転写される絵柄の濃度を調整可能なインキキー開度調整部40と、搬送される枚葉紙の印刷面を読取可能なラインセンサ45と、読み取った枚葉紙の印刷面に基づいて、枚葉紙が使用済の使用紙であるか、未使用の未使用紙であるかを判別可能な枚葉紙判別部62と、枚葉紙判別部62により枚葉紙が未使用紙であると判別された場合、インキキー開度調整部40を制御して、絵柄の濃度調整を行う濃度制御部60と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される枚葉紙に印刷可能な枚葉印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、枚葉印刷機として、本刷り用の枚葉紙と試し刷り用の枚葉紙とを選択的に送り出す給紙部を備えたものが知られている。この枚葉印刷機では、印刷が安定するまで、試し刷り用の枚葉紙を送り出し、印刷が安定したら、本刷り用の枚葉紙を送り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−302348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成によれば、給紙部は、本刷り用の枚葉紙と試し刷り用の枚葉紙とを選択的に送り出す構成としなければならないため、給紙部の構成を複雑なものとしなければならず、装置コストが増大してしまう虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構成で、使用紙および未使用紙を判定することができる枚葉印刷機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の枚葉印刷機は、搬送される枚葉紙の印刷面を読取可能な印刷面読取部と、読み取った枚葉紙の印刷面に基づいて、枚葉紙が使用済の使用紙であるか、未使用の未使用紙であるかを判別可能な枚葉紙判別部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、枚葉紙判別部は、印刷面読取部により読み取った枚葉紙の印刷面に基づいて、枚葉紙が使用紙であるか未使用紙であるかを判別することができる。このため、従来のように、給紙部を、使用紙および未使用紙を選択的に送る構成とする必要がない。これにより、枚葉紙判別部による枚葉紙の判別結果に基づいて、各種制御を行うことが可能となる。
【0008】
この場合、枚葉紙判別部は、読み取った枚葉紙の印刷面の反射光量に基づく相関値から、枚葉紙が、使用紙であるか未使用紙であるかを判別していることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、枚葉紙判別部は、枚葉紙の印刷面からの反射光量に基づく相関値に基づいて、枚葉紙が使用紙であるか未使用紙であるかを正確に判別することができる。ここで、反射光量に基づく相関値とは、反射光量値を用いた評価値のことであり、例えば、濃度、XYZ三刺激値、L*a*b*表色系等の色座標値等である。これにより、枚葉紙は、枚葉紙の印刷面の濃度や色座標等に基づいて、枚葉紙が使用紙であるか未使用紙であるかを正確に判別することができる。
【0010】
この場合、枚葉紙判別部は、読み取った枚葉紙の印刷面を所定の領域に区分けして2値化し、2値化した所定の領域における一致割合に基づいて、枚葉紙が、使用紙であるか未使用紙であるかを判別していることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、枚葉紙判別部は、2値化した所定の領域における一致割合に基づいて、枚葉紙が使用紙であるか未使用紙であるかを正確に判別することができる。
【0012】
この場合、搬送される枚葉紙に絵柄を転写して印刷を行う印刷部と、枚葉紙に転写される絵柄の反射光量に基づく相関値を調整可能な相関値調整部と、枚葉紙判別部により枚葉紙が未使用紙であると判別された場合、相関値調整部を制御して、絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行う相関値制御部と、を備えたことが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、枚葉紙判別部により枚葉紙が未使用紙であると判別された場合、相関値制御部は、枚葉紙に印刷された絵柄の反射光量に基づく相関値を調整することができる。これにより、相関値制御部は、未使用紙に印刷された絵柄に基づいて、反射光量に基づく相関値の調整を行うことができるため、好適な濃度調整を行うことができる。
【0014】
この場合、相関値制御部は、枚葉紙判別部により枚葉紙が使用紙であると判別された場合、絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行わないことが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、枚葉紙判別部により枚葉紙が使用紙であると判別された場合、相関値制御部は、枚葉紙に印刷された絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行わない。つまり、使用紙には、すでに他の絵柄が印刷されているため、相関値制御部は、使用紙に基づいて、反射光量に基づく相関値の調整を行うと、適切な相関値の調整を行うことが困難となる。これにより、相関値制御部は、使用紙に印刷された絵柄に基づいて、絵柄の相関値の調整を行うことがないため、相関値の調整が不安定となることを抑制することができる。
【0016】
この場合、印刷面読取部は、枚葉紙の搬送方向において、印刷部の上流側に配置され、印刷前の枚葉紙を読取可能となっており、枚葉紙判別部は、読み取った枚葉紙の印刷面が白紙である場合は、枚葉紙が未使用紙であると判別する一方、読み取った枚葉紙の印刷面が白紙でない場合は、枚葉紙が使用紙であると判別することが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、印刷面読取部を印刷部の上流側に配置することができる。このため、枚葉紙判別部は、枚葉紙が白紙であるか否かを判定すればよいため、枚葉紙の使用紙・未使用紙の判定を容易なものとすることができる。
【0018】
この場合、印刷面読取部は、枚葉紙の搬送方向において、印刷部の下流側に配置され、印刷後の枚葉紙を読取可能となっており、枚葉紙判別部は、読み取った枚葉紙の印刷面が印刷部において印刷される所定の絵柄である場合は、枚葉紙が未使用紙であると判別する一方、読み取った枚葉紙の印刷面が印刷部において印刷される所定の絵柄でない場合は、枚葉紙が使用紙であると判別することが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、印刷面読取部を印刷部の下流側に配置することができる。このとき、印刷部の下流側に、印刷後の枚葉紙の品質を検査するための既設のセンサが設けられている場合、既設のセンサを印刷面読取部として兼用することが可能となる。この場合、装置構成を変えることがないため、装置コストを抑制することができる。
【0020】
この場合、読み取った枚葉紙の印刷面に基づいて、印刷後の枚葉紙が所定の印刷品質を満足しているか否かを判定可能な品質判定部をさらに備えたことが、好ましい。
【0021】
この構成によれば、印刷面読取部を用いて、枚葉紙の使用紙・未使用紙の判別と、印刷後の枚葉紙の品質判定とを行うことができる。これにより、印刷面読取部を兼用することができるため、装置コストを抑制することができる。
【0022】
この場合、相関値制御部は、枚葉紙判別部により枚葉紙が未使用紙であると判別された場合、未使用紙が所定枚数搬送された後に、絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行うことが、好ましい。
【0023】
この構成によれば、相関値制御部は、枚葉紙判定部により未使用紙であると判定されても、所定枚数は反射光量に基づく相関値の調整を行わず、所定枚数搬送された後に相関値の調整を行うことができる。これにより、使用紙から未使用紙に切り替わって、印刷が安定してから相関値の調整を行うことができるため、より好適に相関値の調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の枚葉印刷機によれば、簡易な構成で、枚葉紙の使用紙・未使用紙の判別を正確に行うことができ、また、枚葉紙が使用紙であると判別された場合、絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施例1に係る枚葉印刷機を表した概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1に係る枚葉印刷機の制御系を機能的に表したブロック図である。
【図3】図3は、枚葉紙が使用紙であるか未使用紙であるかを判別する一連の制御動作に関するフローチャートである。
【図4】図4は、枚葉印刷機の試し刷り印刷から本刷り印刷に至る一連の流れを表した説明図である。
【図5】図5は、実施例2に係る枚葉印刷機を表した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る枚葉印刷機について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0027】
本実施例の枚葉印刷機1は、枚葉紙Sに対して、片面印刷を実施可能なオフセット枚葉印刷機であって、図1に示すように、給紙部11と搬送部12と印刷部13と排紙部14とからなる印刷機本体5と、制御装置6とから構成されている。なお、枚葉紙Sとは、印刷用シートであればいずれであってもよく、例えば、印刷用紙や印刷用フィルム等を含む意である。
【0028】
給紙部11は、給紙台21と給紙機構(セパレータ装置)22とを有している。給紙台21は、枚葉紙Sを積み重ねて載置するものであり、また、給紙機構22は、給紙台21上に積み重ねられた多数の枚葉紙Sを上から順に1枚ずつ取り上げて送り出すものである。この場合、給紙台21は、給紙機構22が枚葉紙Sと略一定の高さ位置関係を維持できるように、枚葉紙Sの供給に対応して上下に移動可能となっている。
【0029】
搬送部12は、給紙部11から送り出された枚葉紙Sを搬送して所定の位置に位置決めすると共に、印刷部13に供給するものである。この搬送部12には、印刷部13に隣接して前当て26が配置されており、この前当て26により、枚葉紙Sの位置決めがなされる。
【0030】
印刷部13は、カラー印刷を実現できるように、黒(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)及び黄(Yellow)の4色に対応して4台の印刷ユニット28,29,30,31を有している。各印刷ユニット28,29,30,31は、ほぼ同様の構成をなし、インキ装置36と、版胴32と、ブランケット胴33と、圧胴34と、中間胴35とを備えている。なお、図示は省略したが、インキ装置36と版胴32との間には、インキの供給経路となる複数のインキローラが配設されている。
【0031】
インキ装置36は、版胴32へ向けてインキを供給するものであり、インキを貯留可能なインキ壷37と、インキ元ローラ38と、インキキー39と、インキキー開度調整部40(相関値調整部)と、を有している。インキ元ローラ38は、回転することによりインキ壷37に貯留したインキを引き出している。インキキー39は、インキキー開度調整部40によりその開度が調整されることで、インキ元ローラ38によって引き出されるインキ量を調整可能となっている。このとき、インキキー開度調整部40は、制御装置6に接続されており、制御装置6によりインキキー39の開度が制御可能となっている。
【0032】
版胴32とブランケット胴33と圧胴34とは、鉛直方向上側から下側にこの順で相互に接するように配置されており、中間胴35は、各圧胴34の間に接するように配置されている。そして、インキ装置36は、版胴32を介してブランケット胴33にインキを供給し、ブランケット胴33と圧胴34との間に枚葉紙Sを通過させると、ブランケット胴33から枚葉紙Sにインキ(絵柄)が転写される。
【0033】
排紙部14は、印刷部13で印刷された枚葉紙Sを搬送し、整列した状態で積み重ねるものである。この排紙部14は、枚葉紙Sを搬送するチェーングリッパ機構41と、印刷された枚葉紙Sが積層される排紙台42とを有している。チェーングリッパ機構41は、枚葉紙Sの進行方向に対して最下流側に配置される印刷ユニット31から枚葉紙Sを受け取って排紙台42の上方位置の所定位置まで搬送する。
【0034】
また、排紙部14には、印刷後の枚葉紙Sの品質を検査するために用いられるラインセンサ45(印刷面読取部)が配設されている。ラインセンサ45は、枚葉紙Sの全幅に亘って配設されており、枚葉紙Sが搬送されることにより、枚葉紙Sの印刷面の全面を読み取ることができる。なお、ラインセンサ45を用いた品質検査については、後述する。
【0035】
従って、上述した実施例1の枚葉印刷機1の印刷機本体5では、カラー印刷を行う場合、給紙部11の給紙台21に積載された枚葉紙Sは、給紙機構22により最上部から1枚ずつ取り出されて搬送部12に送り出され、この搬送部12は、枚葉紙Sを所定の位置に位置決めした後、順次、印刷部13に供給する。この印刷部13では、印刷ユニット28,29,30,31により枚葉紙Sの印刷面に対して4色の印刷が施される。4色の印刷が施された枚葉紙Sは、印刷部13から排紙部14のチェーングリッパ機構41に咥えられながら搬送され、排紙台42上に積み上げられる。
【0036】
ここで、図2は、実施例1に係る枚葉印刷機1の制御系を機能的に表したブロック図である。図2を参照して、制御装置6について説明する。ここで、枚葉印刷機1は、試し刷り印刷を経て本刷り印刷を行い、各印刷に応じて、制御装置6による各種制御も各印刷に応じた制御となる。制御装置6は、処理部50と、記憶部51とを有している。
【0037】
記憶部51は、各種プログラム等を実行するための作業領域となるRAM等の揮発性のメモリ、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成できる。そして、この記憶部51には、濃度調整用絵柄記憶部55と、品質判定用絵柄記憶部56と、枚葉紙判別用絵柄記憶部57と、が設けられている。
【0038】
濃度調整用絵柄記憶部55は、枚葉紙Sの試し刷り時において、枚葉紙Sに印刷される絵柄の濃度を調整する際に用いられる濃度調整用絵柄パターンD2を記憶している。この濃度調整用絵柄パターンD2は、枚葉紙Sに印刷される絵柄パターンをデータ化したものであり、版胴32に巻回される刷版を作製するために用いられる、いわゆる製版データである。そして、制御装置6は、枚葉紙Sの試し刷り時において、この濃度調整用絵柄パターンD2と、ラインセンサ45で読み取った絵柄パターンとを比較して濃度調整を行う。
【0039】
品質判定用絵柄記憶部56は、枚葉紙Sの本刷り時において、枚葉紙Sに印刷される絵柄の濃度調整および品質判定を行う際に用いられる品質判定用絵柄パターンD3を記憶している。この品質判定用絵柄パターンD3は、枚葉紙Sの試し刷り時において、枚葉紙Sに印刷された絵柄が最適な濃度となったときに、枚葉印刷機1を操作するオペレータによって決定された絵柄パターンである。そして、制御装置6は、枚葉紙Sの本刷り時において、この品質判定用絵柄パターンD3と、ラインセンサ45で読み取った絵柄パターンとを比較して、濃度調整および品質検査を行う。
【0040】
枚葉紙判別用絵柄記憶部57は、枚葉紙Sの試し刷り時において枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別する際に用いられる枚葉紙判別用絵柄パターンD1を記憶している。この枚葉紙判別用絵柄パターンD1は、上記の濃度調整用絵柄パターンD2と同じものである。そして、制御装置6は、枚葉紙Sの試し刷り時において、この枚葉紙判別用絵柄パターンD1と、ラインセンサ45で読み取った絵柄パターンとを比較して、枚葉紙Sの使用紙S1・未使用紙S2を判別する。なお、使用紙S1とは、既に使用された印刷済みの枚葉紙Sであり、未使用紙S2とは、未だに使用されていない白紙の枚葉紙Sである。
【0041】
処理部50は、各種プログラムを実行するための演算を行うCPU等で構成されており、記憶部51に記憶された各種プログラムや各種絵柄パターンに基づいて、各種制御処理を実行することが可能となる。ここで、処理部50は、濃度制御部60(相関値制御部)と、品質判定部61と、枚葉紙判別部62とを有している。
【0042】
濃度制御部60は、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンに基づいて、インキキー開度調整部40を制御して、インキキー39の開度を調整することにより、絵柄の濃度を調整している。濃度制御部60は、枚葉紙Sの試し刷り時において、濃度調整用絵柄パターンD2と、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンとを比較して、濃度調整を行う。一方で、濃度制御部60は、枚葉紙Sの本刷り時において、品質判定用絵柄パターンD3と、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンとを比較して、濃度調整を行う。
【0043】
具体的に、枚葉紙Sの試し刷り時において、濃度制御部60は、反射光量に基づく相関値の一例である濃度を用いて、枚葉紙Sに印刷される絵柄の濃度調整を行っている。濃度制御部60は、濃度調整用絵柄パターンD2の濃度と、ラインセンサ45で読み取った絵柄パターンの濃度とを、ラインセンサ45の画素単位毎あるいは所定画素数のブロック単位毎に、下記した(1)式に基づいて計算する。
【0044】
濃度D=log10(白紙反射光量/ラインセンサによって検出した反射光量)…(1)
【0045】
そして、濃度制御部60は、算出した濃度調整用絵柄パターンD2の濃度とラインセンサ45で読み取った絵柄パターンの濃度との差分(濃度差)を算出する。この後、濃度制御部60は、算出した画素毎あるいはブロック毎の濃度差が、予め設定された濃度調整しきい値と比べて大きければ、濃度調整を行う一方で、算出した濃度差が、予め設定された濃度調整しきい値と比べて小さければ、濃度調整を行わない。
【0046】
品質判定部61は、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンに基づいて、印刷後の枚葉紙Sの品質を検査している。つまり、品質判定部61は、その品質判定の内容として、枚葉紙Sに印刷された絵柄に欠損部分があるか否か、また、枚葉紙Sに印刷された絵柄以外にインキの付着(インキ汚れ)があるか否かを判定している。品質判定部61は、枚葉紙Sの本刷り時において、品質判定用絵柄パターンD3と、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンとを比較して、品質検査を行う。
【0047】
具体的に、枚葉紙Sの本刷り時において、品質判定部61は、品質判定用絵柄パターンD3の濃度と、ラインセンサ45で読み取った絵柄パターンの濃度とを、ラインセンサ45の画素単位毎あるいは所定画素数のブロック単位毎に、上記した(1)式に基づいて計算する。そして、品質判定部61は、算出した品質判定用絵柄パターンD3の濃度とラインセンサ45で読み取った絵柄パターンの濃度との差分(濃度差)を算出する。この後、品質判定部61は、算出した画素毎あるいはブロック毎の濃度差が、予め設定された品質判定しきい値と比べて大きければ、枚葉紙Sは不良品である、すなわち、絵柄に欠損部分がある、または枚葉紙Sにインキ汚れがあると判定する。一方で、品質判定部61は、算出した濃度差が、予め設定された品質判定しきい値と比べて小さければ、枚葉紙Sは良品である、すなわち、絵柄に欠損部分がない、または枚葉紙Sにインキ汚れがないと判定する。
【0048】
枚葉紙判別部62は、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンに基づいて、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別している。枚葉紙判別部62は、枚葉紙Sの試し刷り時において、枚葉紙判別用絵柄パターンD1と、ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンとを比較して、使用紙S1・未使用紙S2の判別を行っている。
【0049】
具体的に、枚葉紙Sの試し刷り時において、枚葉紙判別部62は、枚葉紙判別用絵柄パターンD1の濃度と、ラインセンサ45で読み取った絵柄パターンの濃度とを、ラインセンサ45の画素単位毎あるいは所定画素数のブロック単位毎に、上記した(1)式に基づいて計算する。そして、枚葉紙判別部62は、算出した枚葉紙判別用絵柄パターンD1の濃度とラインセンサ45で読み取った絵柄パターンの濃度との差分(濃度差)を算出する。この後、枚葉紙判別部62は、算出した画素毎あるいはブロック毎の濃度差が、予め設定された枚葉紙判別しきい値と比べて大きければ、使用紙S1であると判別する一方で、算出した濃度差が、予め設定された枚葉紙判別しきい値と比べて小さければ、未使用紙S2であると判別する。
【0050】
ここで、図3は、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別する一連の制御動作に関するフローチャートである。図3を参照して、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別し、判別後に濃度調整を行うか否かの一連の制御動作について説明する。先ず、枚葉印刷機1により枚葉紙Sが搬送されて印刷されると、印刷部13の下流側に配置されたラインセンサ45は、印刷後の枚葉紙Sの印刷面を読み取ることで、枚葉紙Sの絵柄を読み取る(ステップS1)。この後、枚葉紙判別部62は、読み取った絵柄の画素毎あるいはブロック毎の濃度を算出する(ステップS2)。そして、枚葉紙判別部62は、絵柄の画素毎あるいはブロック毎に、算出した濃度と、枚葉紙判別用絵柄パターンD1の絵柄の濃度との差分を導出し、導出した濃度差と、枚葉紙判別しきい値とを比較する(ステップS3)。
【0051】
枚葉紙判別部62は、比較した結果、算出した濃度差が、枚葉紙判別しきい値よりも小さい場合(Yes)、枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別する(ステップS4)。一方で、枚葉紙判別部62は、比較した結果、算出した濃度差が、枚葉紙判別しきい値よりも大きい場合(No)、枚葉紙Sが使用紙S1であると判別する(ステップS6)。枚葉紙判別部62が未使用紙S2と判別した場合、濃度制御部60は、濃度調整用絵柄パターンD2に基づいて、濃度調整を行う(ステップS5)、一方で、枚葉紙判別部62が使用紙S1と判別した場合、濃度制御部60は、濃度調整用絵柄パターンD2に基づく濃度調整を行わない(ステップS7)。そして上記した一連の制御動作は、枚葉紙Sの試し刷り時において、繰り返し行われる。
【0052】
続いて、図4を参照し、枚葉印刷機1による枚葉紙Sの試し刷りから本刷りに至るまでの全体の流れについて説明する。ここで、図4は、枚葉印刷機の試し刷り印刷から本刷り印刷に至る一連の流れを表した説明図である。図4に示すように、枚葉印刷機1における印刷では、試し刷り時と本刷り時とで、枚葉紙Sの給紙の行い方、各種制御に用いられる絵柄パターン、枚葉紙Sの判別制御、濃度調整制御、品質判定制御が異なっている。
【0053】
給紙部11の給紙台21にセットされる枚葉紙Sは、図1に示すように、予め使用紙S1と未使用紙S2とが交互に積み重ねられている。具体的に、給紙台21には、下から順に、多数の未使用紙S2が積み重ねられる。そして、積み重ねられた多数の未使用紙S2の上には、所定枚数の使用紙S1が積み重ねられ、その上側に所定枚数の未使用紙S2が積み重ねられている。そして、所定枚数の使用紙S1と所定枚数の未使用紙S2を1セットとして、これがNセット積み重ねられている。なお、積み重ねられた枚葉紙Sの最上位が使用紙S1となるように積み重ねられる。これにより、給紙部11は、先ず、所定枚数の使用紙S1を送り出した後、所定枚数の未使用紙S2を送り出し、これをN回繰り返した後、未使用紙S2を送り出す。
【0054】
このとき、給紙部11が枚葉紙Sの送り出しを開始してから、枚葉紙Sに印刷された絵柄が最適な濃度となったとき、すなわち、枚葉紙Sの品質が所定の品質となる(品質OK)までの間が、試し刷り印刷となっている。一方で、枚葉紙Sに印刷された絵柄が最適な濃度となってからが、本刷り印刷となっている。なお、枚葉紙Sの品質が所定の品質となったことは、枚葉印刷機1を操作するオペレータによって決定される。つまり、オペレータは、試し刷り印刷において、枚葉紙Sの品質が所定の品質となったら、本刷り印刷へ移行する操作を行い、この操作によって、本刷り印刷が行われる。
【0055】
枚葉紙Sの判別制御は、上記したように、制御装置6の枚葉紙判別部62によって行われる。枚葉紙判別部62は、試し刷り印刷において、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別している。このため、給紙部11から枚葉紙Sが送り出されると、搬送される枚葉紙Sが使用紙S1である場合、枚葉紙判別部62は、使用紙S1であると判別する。一方で、搬送される枚葉紙Sが未使用紙S2である場合、枚葉紙判別部62は、未使用紙S2であると判別する。
【0056】
濃度調整制御は、上記したように、制御装置6の濃度制御部60によって行われる。濃度制御部60は、試し刷り印刷において、濃度調整用絵柄パターンD2となるように、枚葉紙Sに印刷される絵柄の濃度を調整する。具体的に、濃度制御部60は、試し刷り印刷において、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが使用紙S1であると判別されると、濃度調整を実行しない。一方で、濃度制御部60は、試し刷り印刷において、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別されると、濃度調整を実行する。また、濃度制御部60は、本刷り印刷において、品質判定用絵柄パターンD3となるように、枚葉紙Sに印刷される絵柄の濃度を調整する。従って、濃度制御部60は、使用紙S1が搬送される間は、濃度調整を行わず、未使用紙S2が搬送される間は、濃度調整を行う。
【0057】
品質判定制御は、上記したように、制御装置6の品質判定部61によって行われる。品質判定部61は、本刷り印刷において、品質判定用絵柄パターンD3を用いて、枚葉紙Sに印刷される絵柄の品質を判定する。このため、試し刷り印刷において、オペレータの操作により、枚葉紙Sの品質が良品となったと決定されると、品質判定部61は、決定時点における印刷品質を保持すべく、その時点における絵柄パターンを品質判定用絵柄パターンD3として、品質判定用絵柄記憶部56に記憶させる。そして、決定時点から本刷り印刷が開始される。そして、品質判定部61は、本刷り印刷において、枚葉紙Sが良品であるか不良品であるかを判定する。なお、排紙部14は、品質判定部61による枚葉紙Sの良品または不良品の判定に応じて、印刷後の枚葉紙Sを良品と不良品とに選別して排紙する。
【0058】
従って、枚葉印刷機1により試し刷り印刷が開始されると、給紙部11からは、先ず、所定枚数の使用紙S1が送り出された後、所定枚数の未使用紙S2が送り出され、これをNセット繰り返す。このとき、枚葉紙判別部62は、枚葉紙判別用絵柄パターンD1に基づいて、搬送される枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別する。これと同時に、濃度制御部60は、濃度調整用絵柄パターンD2に基づいて、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別されると濃度制御を実行する一方で、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが使用紙S1であると判別されると濃度制御を実行しない。一方、試し刷り印刷において、品質判定部61による品質判定制御は実行されない。
【0059】
そして、給紙部11による給紙が、Nセット繰り返され、上記の濃度制御部60により枚葉紙Sに印刷される絵柄の濃度が調整されることにより、印刷後の枚葉紙Sの品質が所定の品質に達したとオペレータが判断すると、オペレータは、本刷り印刷へ移行する操作を行う。このとき、制御装置6は、所定の品質に達したとされる絵柄パターンを品質判定用絵柄パターンD3として、品質判定用絵柄記憶部56に記憶する。
【0060】
オペレータの操作により本刷り印刷に移行すると、給紙部11からは未使用紙S2が搬送される。このとき、本刷り印刷において、枚葉紙判別部62による枚葉紙Sの判別は実行されない。一方で、濃度制御部60は、品質判定用絵柄パターンD3に基づいて、濃度制御を実行すると共に、品質判定部61は、品質判定用絵柄パターンD3に基づいて、品質判定を実行する。
【0061】
以上の構成によれば、枚葉紙判別部62は、ラインセンサ45により読み取った枚葉紙Sの印刷面に基づいて、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別することができる。このため、従来のように、給紙部11を、使用紙S1および未使用紙S2を選択的に送る構成とする必要がない。これにより、枚葉紙判別部62による枚葉紙Sの判別結果に基づいて、各種制御を行うことが可能となる。
【0062】
また、枚葉紙判別部62は、枚葉紙Sの印刷面からの反射光量に基づく相関値となる濃度に基づいて、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを正確に判別することができる。
【0063】
また、濃度制御部60は、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別された場合、枚葉紙Sに印刷された絵柄の濃度調整を実行することができる。一方で、濃度制御部60は、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが使用紙S1であると判別された場合、枚葉紙Sに印刷された絵柄の濃度調整を実行しない。これにより、濃度制御部60は、未使用紙S2に印刷された絵柄に基づいて、好適に濃度調整を行うことができる。一方で、濃度制御部60は、使用紙S1に印刷された絵柄、つまり印刷された絵柄とは異なる絵柄に基づいて、濃度調整が行われないため、濃度調整が不安定となることを抑制することができる。
【0064】
また、制御装置6は、1つのラインセンサ45を用いて、枚葉紙Sの判別と、濃度調整制御と、品質判定制御とを実行することにより、ラインセンサ45を兼用することができるため、装置コストを抑制することができる。
【実施例2】
【0065】
次に、図5を参照して、実施例2に係る枚葉印刷機80について説明する。図5は、実施例2に係る枚葉印刷機を表した概略構成図である。なお、重複した記載を避けるべく、異なる部分についてのみ説明する。実施例2の枚葉印刷機80は、実施例1の枚葉印刷機1の構成に加え、搬送部12にラインセンサ81を設けた構成となっている。なお、以下では、搬送部12に設けられたラインセンサ81を、上流側ラインセンサ81とし、排紙部14に設けられたラインセンサ45を、下流側ラインセンサ45とする。
【0066】
この場合、制御装置6は、その枚葉紙判別部62が上流側ラインセンサ81の検出に基づいて、枚葉紙Sの判別を行っており、その濃度制御部60が下流側ラインセンサ45の検出に基づいて、濃度調整を行っており、その品質判定部61が下流側ラインセンサ45の検出に基づいて、品質判定を行っている。このため、濃度制御部60による濃度調整制御、および品質判定部61による品質判定制御は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0067】
枚葉紙判別部62による枚葉紙Sの判別は、枚葉紙判別用絵柄パターンD1に基づいて行われる。このとき、枚葉紙判別部62は、印刷前の枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別するため、実施例2において用いられる枚葉紙判別用絵柄パターンD1は、白紙の絵柄パターンとなっている。
【0068】
従って、実施例2の枚葉印刷機80により試し刷り印刷が開始されると、給紙部11からは、所定枚数の使用紙S1および所定枚数の未使用紙S2が、Nセット繰り返して送り出される。このとき、枚葉紙判別部62は、上流側ラインセンサ81によって読み取った絵柄パターンと枚葉紙判別用絵柄パターンD1とに基づいて、搬送される枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別する。一方、濃度制御部60は、下流側ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンと濃度調整用絵柄パターンD2に基づいて、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別されると濃度制御を実行する一方で、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが使用紙S1であると判別されると濃度制御を実行しない。なお、試し刷り印刷において、品質判定部61による品質判定制御は実行されない。
【0069】
続いて、実施例2の枚葉印刷機80により本刷り印刷が開始されると、給紙部11からは未使用紙S2が送り出される。このとき、本刷り印刷において、枚葉紙判別部62による枚葉紙Sの判別は実行されない。一方で、濃度制御部60は、下流側ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンと品質判定用絵柄パターンD3とに基づいて、濃度制御を実行すると共に、品質判定部61は、下流側ラインセンサ45によって読み取った絵柄パターンと品質判定用絵柄パターンD3とに基づいて、品質判定を実行する。
【0070】
以上の構成によれば、枚葉紙判別部62は、上流側ラインセンサ81により読み取った枚葉紙Sの印刷面に基づいて、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別することができる。このため、従来のように、給紙部11を、使用紙S1および未使用紙S2を選択的に送る構成とする必要がない。これにより、枚葉紙判別部62による枚葉紙Sの判別結果に基づいて、各種制御を行うことが可能となる。
【0071】
また、枚葉紙判別部62は、上流側ラインセンサ81により枚葉紙Sの絵柄を読み取って、枚葉紙Sが白紙であるか否かを判別すればよいため、枚葉紙Sの使用紙S1・未使用紙S2の判別を容易なものとすることができる。
【0072】
なお、実施例1および2において、濃度制御部60は、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別されると濃度調整を行っていた。しかしながら、使用紙S1から未使用紙S2に切り替わった直後の印刷は、枚葉紙Sに対するインキの転写が不安定となる虞がある。このため、変形例として、濃度制御部60は、枚葉紙判別部62により枚葉紙Sが未使用紙S2であると判別されると、未使用紙S2が所定枚数搬送された後に、濃度調整を行うように構成しても良い。この構成によれば、濃度制御部60は、使用紙S1から未使用紙S2に切り替わって、所定枚数見送った後に濃度調整を行うことができる。これにより、濃度制御部60は、印刷が安定してから濃度調整を行うことができるため、より好適に濃度調整を行うことができる。
【0073】
また、実施例1および2では、ラインセンサ45,81を用いたが、これに限らず、撮像カメラや他のセンサを用いて構成しても良く、反射光量を測定可能なセンサであれば何れであっても良い。
【0074】
また、実施例1および2において、枚葉紙判別部62は、反射光量に基づく相関値として、濃度を用いて、枚葉紙Sの使用紙S1・未使用紙S2の判別を行っていた。しかしながら、この構成に限らず、枚葉紙判別部62は、反射光量に基づく相関値として、XYZ三刺激値や、L*a*b*表色系等の色座標値を用いて、枚葉紙Sの使用紙S1・未使用紙S2の判別を行っても良い。つまり、枚葉紙Sを判別する場合、枚葉紙判別部62は、先ず、枚葉紙判別用絵柄パターンD1の色座標値(またはXYZ三刺激値)と、ラインセンサ45,81で読み取った絵柄パターンの色座標値(またはXYZ三刺激値)との差分(もしくは両者の色座標値の距離である色差)を算出する。この後、枚葉紙判別部62は、算出した差分または色差が、予め設定された枚葉紙判別しきい値と比べて大きければ、使用紙S1であると判別する一方で、算出した差分または色差が、予め設定された枚葉紙判別しきい値と比べて小さければ、未使用紙S2であると判別する。
【0075】
さらに、実施例1および2において、枚葉紙判別部62は、絵柄の濃度に基づいて、枚葉紙Sの使用紙S1・未使用紙S2の判別を行っていた。しかしながら、この構成に限らず、枚葉紙判別部62は、ラインセンサ45,81により読み取った枚葉紙Sの絵柄パターンを複数領域に区分けして2値化すると共に、枚葉紙判別用絵柄パターンD1を複数領域に区分けして2値化し、2値化した複数領域における一致割合に基づいて、枚葉紙Sが、使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別しても良い。この構成によれば、枚葉紙判別部62は、2値化した複数領域における一致割合に基づいて、枚葉紙Sが使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを正確に判別することができる。この場合、絵柄パターンを複数領域に区分けして比較したが、これに限らず、絵柄パターンの全面(単一面)を比較してもよい。つまり、枚葉紙判別部62は、ラインセンサ45,81により読み取った枚葉紙Sの絵柄パターンと、枚葉紙判別用絵柄パターンD1とを比較し、その一致割合に基づいて、枚葉紙Sが、使用紙S1であるか未使用紙S2であるかを判別しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明に係る枚葉印刷機は、ラインセンサを備えた枚葉印刷機において有用であり、特に、枚葉紙に印刷された絵柄の濃度調整を行う場合に適している。
【符号の説明】
【0077】
1 枚葉印刷機
5 印刷機本体
6 制御装置
11 給紙部
12 搬送部
13 印刷部
14 排紙部
32 版胴
33 ブランケット胴
34 圧胴
35 中間胴
36 インキ装置
39 インキキー
40 インキキー開度調整部
45 (下流側)ラインセンサ
50 処理部
51 記憶部
55 濃度調整用絵柄記憶部
56 品質判定用絵柄記憶部
57 枚葉紙判別用絵柄記憶部
60 濃度制御部
61 品質判定部
62 枚葉紙判別部
80 枚葉印刷機(実施例2)
81 (上流側)ラインセンサ
S 枚葉紙
S1 使用紙
S2 未使用紙
D1 枚葉紙判別用絵柄パターン
D2 濃度調整用絵柄パターン
D3 品質判定用絵柄パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される枚葉紙の印刷面を読取可能な印刷面読取部と、
読み取った前記枚葉紙の印刷面に基づいて、前記枚葉紙が使用済の使用紙であるか、未使用の未使用紙であるかを判別可能な枚葉紙判別部と、を備えたことを特徴とする枚葉印刷機。
【請求項2】
前記枚葉紙判別部は、読み取った前記枚葉紙の印刷面の反射光量に基づく相関値から、前記枚葉紙が、前記使用紙であるか前記未使用紙であるかを判別していることを特徴とする請求項1に記載の枚葉印刷機。
【請求項3】
前記枚葉紙判別部は、読み取った前記枚葉紙の印刷面を所定の領域に区分けして2値化し、2値化した前記所定の領域における一致割合に基づいて、前記枚葉紙が、前記使用紙であるか前記未使用紙であるかを判別していることを特徴とする請求項1に記載の枚葉印刷機。
【請求項4】
搬送される前記枚葉紙に絵柄を転写して印刷を行う印刷部と、
前記枚葉紙に転写される前記絵柄の反射光量に基づく相関値を調整可能な相関値調整部と、
前記枚葉紙判別部により前記枚葉紙が未使用紙であると判別された場合、前記相関値調整部を制御して、前記絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行う相関値制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の枚葉印刷機。
【請求項5】
前記相関値制御部は、前記枚葉紙判別部により前記枚葉紙が前記使用紙であると判別された場合、前記絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行わないことを特徴とする請求項4に記載の枚葉印刷機。
【請求項6】
前記印刷面読取部は、前記枚葉紙の搬送方向において、前記印刷部の上流側に配置され、印刷前の前記枚葉紙を読取可能となっており、
前記枚葉紙判別部は、読み取った前記枚葉紙の印刷面が白紙である場合は、前記枚葉紙が前記未使用紙であると判別する一方、読み取った前記枚葉紙の前記印刷面が白紙でない場合は、前記枚葉紙が前記使用紙であると判別することを特徴とする請求項4または5に記載の枚葉印刷機。
【請求項7】
前記印刷面読取部は、前記枚葉紙の搬送方向において、前記印刷部の下流側に配置され、印刷後の前記枚葉紙を読取可能となっており、
前記枚葉紙判別部は、読み取った前記枚葉紙の印刷面が前記印刷部において印刷される所定の絵柄である場合は、前記枚葉紙が前記未使用紙であると判別する一方、読み取った前記枚葉紙の印刷面が前記印刷部において印刷される所定の絵柄でない場合は、前記枚葉紙が前記使用紙であると判別することを特徴とする請求項4または5に記載の枚葉印刷機。
【請求項8】
読み取った前記枚葉紙の印刷面に基づいて、印刷後の前記枚葉紙が所定の印刷品質を満足しているか否かを判定可能な品質判定部をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の枚葉印刷機。
【請求項9】
前記相関値制御部は、前記枚葉紙判別部により前記枚葉紙が前記未使用紙であると判別された場合、前記未使用紙が所定枚数搬送された後に、前記絵柄の反射光量に基づく相関値の調整を行うことを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1項に記載の枚葉印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−177957(P2011−177957A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42410(P2010−42410)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】