果実袋
【課題】カラスその他の鳥類からの果実の被害を防ぐことができるようにした、果実袋を提供する。
【解決手段】外袋13と、外袋13の内側に設ける内袋12とを備え、外袋13の内表面S13i及び/又は内袋12の外表面S12oに、忌避剤12b、13bを塗布した
【解決手段】外袋13と、外袋13の内側に設ける内袋12とを備え、外袋13の内表面S13i及び/又は内袋12の外表面S12oに、忌避剤12b、13bを塗布した
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実袋に関し、特に、カラスその他の鳥類等からの果実の被害を防ぐことができるようにした、果実袋に関する。
【背景技術】
【0002】
二十世紀梨その他の梨、桃その他の果実を生産する際に、果実が小さい間に、果実に果実袋をかぶせ、果実の耐病性や防虫性を高め、更には、表面に傷等がつかないようにするようなことが行われている。
【0003】
特に、二十世紀梨のような果実にあっては、例えば、図15(a)に示すように、果実Fの直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実Fへの病害虫対策として、一重の果実袋(一番袋)101を果実Fにかぶせ、袋101の開口部近傍を、果実Fの茎部分Stmに対し、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実Fの茎部分Stm、及び、この茎部分Stmを覆う袋101の開口部近傍を巻きまわりして、果実Fへの果実袋101の袋かけ作業を終了するようにしている。
【0004】
また、果実の生育がさらに進むと、例えば、図15(b)に示すように、果実Fへの病害虫対策に加えて、果実Fの肌の仕上がりをよくするため(すべすべ感の向上や、つやつや感の向上のため)や、果実Fの表面の着色ムラを防ぐため、内袋202と、外袋203とを備える2重袋201が用いられることが、多い。
【特許文献1】特開2000−188975号公報
【特許文献2】特開2000−37142号公報
【特許文献3】特開2001−8561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、果実Fに果実袋201をかぶせた状態にして、果実Fが実るようにした場合、果実Fが実ってくると、例えば、カラスその他の鳥類が、果実袋201を破って、その中にある果実Fをついばむということがしばしばある。
【0006】
カラスその他の鳥類が、果実Fをついばむと、果実Fには、傷がついてしまう。
【0007】
そして、傷のついた果実Fは、商品価値がないため、通常、全て廃棄処分されている。
【0008】
しかしながら、傷のついた果実Fを廃棄処分した場合には、そのような果実Fを生育する際にかけた労力が全く無駄になる、という問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、果実に果実袋をかぶせておけば、例えば、少なくとも、果実が実る間、カラスその他の鳥が、果実袋を破って、その中にある果実をついばむことが殆ど無くなるようにした、カラスその他の鳥が果実をつつくことを防止するようにした果実袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の果実袋は、果実を覆う袋として、その表面に忌避剤を塗布したものを用いた。
【0011】
ここで、本明細書で用いる用語、「忌避剤」は、鳥を忌避する鳥忌避剤、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤が含まれる。
【0012】
請求項2に記載の果実袋は、請求項1に記載の果実袋の忌避剤を塗布した表面を更にパラフィンで覆った。
【0013】
請求項3に記載の果実袋は、外袋と、外袋の内側に設ける内袋とを備え、外袋の内表面及び/又は内袋の外表面に、忌避剤を塗布した。
【0014】
請求項4に記載の果実袋は、外袋と、外袋の内側に設ける内袋とを備え、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面に、忌避剤を塗布し、忌避剤を塗布した、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆った。
【0015】
請求項5に記載の果実袋は、請求項1〜4に記載の果実袋で用いる、忌避剤が、カプサイシンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の果実袋は、果実を覆う袋の表面に、忌避剤を塗布しているので、例えば、カラスその他の鳥類が、この果実袋で覆われている果実をついばもうとして果実袋を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、忌避剤が入ることになるので、カラスその他の鳥類は、果実袋を破った時点で、果実をついばむことを諦める。この結果、果実をこの果実袋で覆えば、果実が、カラスその他の鳥についばまれることが防止される。
【0017】
また、カラスのように学習能力の高い鳥類は、一度、果実袋で覆われている果実をついばもうとして果実袋を破った際に、口内に、忌避剤が入ったということを学習し、記憶するので、学習した、記憶にともなって、果実袋で覆われている果実をついばむことをしなくなる。このため、果実が、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0018】
請求項2に記載の果実袋では、果実を覆う袋の、忌避剤を塗布した表面を更にパラフィンで覆うようにしているので、忌避剤が果実に転着することが無いので、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0019】
請求項3に記載の果実袋は、請求項1に記載の果実袋と同様、果実を覆う袋の表面に、忌避剤を塗布しているので、請求項1に記載の果実袋と同様の効果を奏する。
【0020】
のみならず、この果実袋では、袋を二重にし、内袋の外表面及び外袋の内表面の少なくとも一方に、忌避剤を塗布するようにしている。
【0021】
即ち、この果実袋では、内袋の内表面には、忌避剤を塗布していない結果、果実の表面に、忌避剤が転着することが無いので、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0022】
また、この果実袋は、外袋の外表面に忌避剤を塗布したものに比べ、忌避剤が、経時的に失われ難くなっているので、果実に対する、鳥類の被害を、長期的に防ぐことができる。
【0023】
請求項4に記載の果実袋では、忌避剤を塗布した、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆うようにしているので、忌避剤が果実に転着することが無い。
【0024】
この結果、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0025】
また、この果実袋では、忌避剤を塗布した、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆うようにしているので、長期間、忌避剤の効果が持続する。
【0026】
請求項5に記載の果実袋では、忌避剤として、カプサイシンを用いている。
【0027】
これは、本発明者が、カラス等が多分いやがるであろうと思われる材料・成分を表面に塗布した梨等の果物をカラス等に対し与え、カラス等が、食さなかった果物に塗布されている材料をスクリーニングした結果、カラス等の鳥類には、忌避剤として、カプサイシンが有効である、ということを見出したものである。
【0028】
また、本発明者は、調査・試験・研究の結果、カプサイシンは、鳥忌避剤として有効な他、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤としても有効である、ということを見出している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る果実袋の一例を、更に、詳しく説明する。
(発明の実施の形態1)
図1は、本発明に係る果実袋の一例を概略的に示す構成図であり、図1(a)は、果実の直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実への病害虫対策として用いる、一重の果実袋を示しており、また、図1(b)は、果実の生育がさらに進んだ際に、病害虫対策に加えて、果実の肌の仕上がりをよくするため(すべすべ感の向上や、つやつや感の向上のため)や、果実の表面の着色ムラを防ぐため、内袋12と、外袋13とを備える2重袋を示している。
【0030】
図1(a)に示す果実袋1は、果実袋101と同様である。
【0031】
即ち、二十世紀梨のような果実にあっては、図1(a)に示すように、果実Fの直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実Fへの病害虫対策として、一重の果実袋(一番袋)1を果実Fにかぶせ、袋1の開口部近傍を、果実Fの茎部分Stmに対し、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実Fの茎部分Stm、及び、この茎部分Stmを覆う袋1の開口部近傍を巻きまわりして、果実Fへの果実袋1の袋かけ作業を終了する。
【0032】
図1(b)に示す果実袋11は、本発明に係る果実袋であって、内袋12と、外袋13とを備える。
【0033】
図2(a)は、果実袋11を構成する外袋13の構成を示す模式的な断面図であり、また、図2(b)は、果実袋11を構成する内袋12の構成を示す模式的な断面図である。
【0034】
この果実袋11では、図2(a)に示すように、外袋13として、紙13aの内表面S13iに、忌避剤(この例では、カプサイシン)13bを塗布したものを用い、且つ、図2(b)に示すように、内袋12として、紙12aの外表面S12oに、忌避剤(この例では、カプサイシン)12bを塗布したものを用いている。
【0035】
より詳しく説明すると、この果実袋11では、外袋13として、紙13aの外表面S13oに、パラフィン処理が施され、その内表面S13iに、忌避剤(この例では、カプサイシン)13bを塗布したものを用い、且つ、内袋12として、紙12aの内表面S12iに、パラフィン処理が施され、外表面S12oに、忌避剤(この例では、カプサイシン)12bを塗布したものを用いている。
【0036】
尚、唐辛子からカプサイシンを抽出する場合には、溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン等の有機溶媒を用いる。
【0037】
次に、この果実袋11の使用方法を例示的に説明する。
【0038】
この果実袋11は、図1(b)に示すように、果実Fに果実袋11をかぶせ、果実Fへの病害虫対策に加えて、果実Fの表面に傷等がつかないようにするために使用するものである。
【0039】
この果実袋11を、果実Fに袋がけ作業をする際には、まず、内袋12で果実Fを覆い、内袋12で覆われた果実Fを、内袋12を覆うように、外袋13で覆う。
【0040】
次に、内袋12の開口部近傍と、外袋13の開口部近傍とを重ね合わせ、果実Fの茎部分Stmに対し、例えば、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実Fの茎部分Stm、この茎部分Stmを覆う内袋12の開口部近傍、及び、この茎部分Stmを覆う内袋2を覆うように設けられている外袋13の開口部近傍を巻きまわりして、果実Fへの果実袋11の袋かけ作業を終了する。
【0041】
この果実袋11は、果実Fを覆う袋12、13の表面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布しているので、カラスその他の鳥類が、この果実袋11で覆われている果実Fをついばもうとして果実袋11を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、忌避剤(この例では、カプサイシン)が入ることになる。
【0042】
この結果、カラスその他の鳥類は、果実袋11を破った時点で、果実Fをついばむことを諦める。
【0043】
従って、果実Fをこの果実袋11で覆えば、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0044】
また、カラスのように学習能力の高い鳥類は、一度、果実袋11で覆われている果実Fをついばもうとして果実袋11を破った際に、口内に、忌避剤が入ったということを学習し、記憶するので、学習し、記憶にともなって、果実袋11で覆われている果実Fをついばむことをしなくなる。このため、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0045】
更に、この果実袋11では、袋を、内袋12と、外袋13との二重にし、内袋12の外表面S12oと、外袋13の内表面S13iとの双方に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布するようにしているので、カラスその他の鳥類が、この果実袋11で覆われている果実Fをついばもうとして果実袋11を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、内袋12の外表面S12oに塗布されている忌避剤(この例では、カプサイシン)と、外袋13の内表面S13iに塗布されている忌避剤(この例では、カプサイシン)とが入ることになるので、カラスその他の鳥類は、果実袋11を破った時点で、より一層、果実Fをついばむことを諦める。この結果、果実Fをこの果実袋1で覆えば、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが、より一層、防止される。
【0046】
また、この果実袋11では、内袋12の外表面S12oに、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、内袋12の内表面S12iには、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布しないようにしているので、果実Fの表面には、忌避剤(この例では、カプサイシン)が転着することが無い。この結果、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤(この例では、カプサイシン)よる舌刺激(辛いという感覚)を受けることが無い。
【0047】
また、この果実袋11は、外袋13の外表面S13oに忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布した場合に比べ、忌避剤(この例では、カプサイシン)が、経時的に失われ難くなっているので、果実Fに対する、鳥類の被害を、長期的に防ぐことができる。
【0048】
次に、この果実袋11で用いる、外袋13又は内袋12の製造方法を例示的に説明する。
【0049】
図3は、外袋13又は内袋12用の忌避剤を塗布した忌避剤塗布紙を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【0050】
この忌避剤塗布紙製造装置21は、基紙Pが巻き取られている基紙供給用リール22と、リール22から供給されてくる基紙Pの表面に忌避剤を塗布する忌避剤塗布装置23と、忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙を乾燥させる乾燥装置24と、乾燥装置24により乾燥させた、忌避剤塗布紙を巻き取る、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25とを備える。
【0051】
基紙供給用リール22は、基紙供給用リール取り付け軸26に回転可能に取り付けられる。
【0052】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25は、駆動手段(図示せず。)により回転可能にされた、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27に固定的に取り付けられる。
【0053】
尚、図3中、28a、28b、28c、28dで示す部材装置は、紙搬送用ローラを示している。
【0054】
忌避剤塗布装置23は、忌避剤貯留槽29と、忌避剤供給管30と、忌避剤塗布部31とを備える。
【0055】
忌避剤供給管30は、その一端e30aが、忌避剤貯留槽29の底面に接続され、その他端e30bが、忌避剤塗布部31に接続され、また、その途中の位置には、開閉バルブ32が設けられ、開閉バルブ32を開閉することにより、忌避剤貯留槽29に貯留された忌避剤の忌避剤塗布部31への供給、停止、及び、流量の調整ができるようになっている。
【0056】
図4(a)は、忌避剤塗布装置23の忌避剤塗布部31の構成を概略的に示す断面図であり、また、図4(b)は、忌避剤塗布部31を構成している刷毛部の一本の毛の模式的な横断面図である。
【0057】
忌避剤塗布部31は、筐体部35と、筐体部35の下方に設けられた刷毛部33とを備える。
【0058】
筐体部35内には、ゴム多孔質体34が収容されている。
【0059】
ゴム多孔質体34の下面S34bには、刷毛部33を構成する複数の毛が植え込まれている。
【0060】
刷毛部33を構成する複数の毛の各々には、その側面に、その長さ方向に伸びる溝d4が、少なくとも1本形成されている(この例では、一本の毛の側面に、その長さ方向に伸びる溝d4を、4本形成したものを例示している。)。
【0061】
このゴム多孔質体34は、その上面S34aから下面S34bに連通する連通孔(図示せず。)を多数有している。
【0062】
そして、忌避剤塗布部31に、忌避剤供給管30を介して、忌避剤貯留槽29から供給された忌避剤は、連通孔(図示せず。)を毛細管現象により、その上面S34aから下面S34bに滲みだすようにして供給されるようになっている。
【0063】
ゴム多孔質体34の下面S34bに供給された忌避剤は、図4(b)に示すように、毛の側面に設けられた溝d4を毛細管現象によりその先端(下端)まで、移動し、刷毛部33の下方位置を通過する基紙の表面に、忌避剤を塗布できるようになっている。
【0064】
乾燥装置24は、乾燥室24aと、乾燥室24aへ供給する温風を発生させる空気源24bとを備える。
【0065】
空気源24bとしては、例えば、ブロア等を用いる。
【0066】
また、忌避剤が塗布された基紙は、乾燥室24a内を通過するようにされている。
【0067】
尚、この乾燥装置24では、乾燥室24a内に供給された温風は、溶媒とともに大気中へ放出されるようになっている。
【0068】
次に、忌避剤塗布紙製造装置21を用い、忌避剤塗布紙を製造する、忌避剤塗布紙の製造方法の一例を概略的に説明する。
【0069】
忌避剤塗布紙を製造する際には、まず、基紙が巻き取られている、基紙供給用リール22を、基紙供給用リール取り付け軸26に回転可能に取り付ける。
【0070】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25を取り付ける。
【0071】
その後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27に、基紙供給用リール取り付け軸26に巻き取られている基紙の先端を、ローラ28aとローラ28bとの間、忌避剤塗布装置23の刷毛部33の下方、乾燥室24a内、及び、ローラ28cとローラ28dとの間を通過するようにして、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25に取り付ける。
【0072】
また、忌避剤塗布装置23の忌避剤貯留槽29内に、忌避剤(溶液)を収容する。
【0073】
次に、開閉バルブ32を所定の開口量に調整し、忌避剤貯留槽29に貯留された忌避剤を忌避剤塗布部31へ供給し、忌避剤塗布部31の刷毛部33の毛先(先端)に、忌避剤(溶液)が供給された状態にする。
【0074】
次に、乾燥装置24を駆動し、乾燥室24a内へ温風を供給する。
【0075】
次に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27を駆動手段(図示せず。)を用い、所定の速度で、基紙供給用リール22に巻き取られている基紙を、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25側に搬送する。
【0076】
基紙供給用リール22から忌避剤塗布紙巻き取り用リール25側に搬送される基紙の表面には、忌避剤塗布部31の刷毛部33を用いて、忌避剤(溶液)が塗布される。
【0077】
忌避剤(溶液)が表面に塗布された基紙は、乾燥室24aを通過する際に、十分に乾燥される。
【0078】
その後、乾燥した忌避剤塗布紙を、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25に巻き取る。
【0079】
次に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25に巻き取られた忌避剤塗布紙を用いて、内袋12と、外袋13とを作成する。
【0080】
この際、内袋12の外表面S12oに、忌避剤層が来るように、また、外袋13の内表面S13iに、忌避剤層が来るようにする。
【0081】
尚、上記した発明の実施の形態1では、内袋12の外表面S12o及び外袋13の内表面S13iの双方に、忌避剤層を設けた果実袋11について説明したが、これは、単なる例示であって、本発明に係る果実袋には、内袋12の外表面S12o又は外袋13の内表面S13iのいずれか一方にのみ、忌避剤層を設けたものや、広くは、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層を設けたものも含まれる。
【0082】
より具体的に説明すると、果実袋1のように、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層を設けたものも含まれることを付記しておく。
【0083】
(発明の実施の形態2)
図5は、本発明に係る果実袋の他の一例を概略的に示す断面図であり、図5(a)は、本発明に係る果実袋を構成する外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図5(b)は、本発明に係る果実袋を構成する内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【0084】
この果実袋41では、図5(a)に示すように、外袋43として、紙43aの外表面S43o及び内表面S43iの各々に、忌避剤(この例では、カプサイシン)43b、43bを塗布し、紙43aの外表面S43o及び内表面S43iの各々に塗布された忌避剤(この例では、カプサイシン)43b、43bの各々を更にパラフィン43c、43cで覆うようにしたものを用い、且つ、図5(b)に示すように、内袋42として、紙42aの外表面S42o及び内表面S42iの各々に、忌避剤(この例では、カプサイシン)42b、42bを塗布し、紙42aの外表面S42o及び内表面S42iの各々に塗布された忌避剤(この例では、カプサイシン)42b、42bの各々を更にパラフィン42c、42cで覆うようにしたものを用いている。
【0085】
尚、唐辛子からカプサイシンを抽出する場合には、溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン等の有機溶媒を用いる。
【0086】
尚、この果実袋41の使用方法は、果実袋11の使用方法と同様である。
【0087】
即ち、この果実袋41を、果実に袋がけ作業をする際には、まず、内袋42で果実を覆い、内袋42で覆われた果実を、内袋42を覆うように、外袋43で覆う。
【0088】
次に、内袋42の開口部近傍と、外袋43の開口部近傍とを重ね合わせ、果実の茎部分に対し、針金、紐その他の締結手段を用い、果実の茎部分、この茎部分を覆う内袋42の開口部近傍、及び、この茎部分を覆う内袋42を覆うように設けられている外袋43の開口部近傍を巻きまわりして、果実への果実袋41の袋かけ作業を終了する。
【0089】
この果実袋41は、果実を覆う内袋42の表面(この例では、紙42aの外表面S42o及び内表面S42iの各々)に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、外袋43の表面(この例では、紙43aの外表面S43o及び内表面S43iの各々)に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布しているので、カラスその他の鳥類が、この果実袋41で覆われている果実をついばもうとして果実袋41を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、忌避剤(この例では、カプサイシン)が入ることになる。
【0090】
この結果、カラスその他の鳥類は、果実袋41を破った時点で、果実をついばむことを諦める。
【0091】
従って、果実をこの果実袋41で覆えば、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0092】
また、カラスのように学習能力の高い鳥類は、一度、果実袋41で覆われている果実をついばもうとして果実袋41を破った際に、口内に、忌避剤が入ったということを学習し、記憶するので、学習し、記憶にともなって、果実袋41で覆われている果実をついばむことをしなくなる。このため、果実が、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0093】
更に、この果実袋41では、忌避剤を塗布した、外袋43の内表面S43i及び外表面S43oの各々を更にパラフィン43c、43cで覆うようにし、内袋42の内表面S42i及び外表面S42oの各々を更にパラフィン42c、42cで覆うようにしているので、忌避剤が果実に転着することが無い。
【0094】
この結果、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0095】
また、この果実袋41では、忌避剤を塗布した、外袋43の内表面S43i及び外表面S43o、内袋42の内表面S42i及び外表面S42oを更にパラフィンで覆うようにしているので、長期に亘って、忌避剤の効果が持続する。
【0096】
次に、この果実袋41で用いる、外袋43又は内袋42の製造方法を例示的に説明する。
【0097】
図6は、外袋43又は内袋42用の忌避剤を塗布した忌避剤塗布紙を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【0098】
この忌避剤塗布紙製造装置51は、基紙Pが巻き取られている基紙供給用リール52と、リール52から供給されてくる基紙Pの表面に忌避剤を塗布する忌避剤収容槽53と、忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙を乾燥させる第1の乾燥装置54と、忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙の表面にパラフィンを塗布するパラフィン収容槽59と、忌避剤及び忌避剤層の上にパラフィンが塗布された忌避剤塗布紙を乾燥させる第2の乾燥装置60と、第2の乾燥装置60により乾燥させた、忌避剤塗布紙を巻き取る、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55とを備える。
【0099】
基紙供給用リール52は、基紙供給用リール取り付け軸56に回転可能に取り付けられる。
【0100】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55は、駆動手段(図示せず。)により回転可能にされた、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に固定的に取り付けられる。
【0101】
尚、図6中、58a、58b、58c、58d、58e、58f、58g、58h、58i、58j、58k、58l、58m、58n、58o、58p、58q、58r、58s、58t、58u及び58vで示す部材装置の各々は、紙搬送用ローラを示している。
【0102】
紙搬送用ローラ58a、58b、58c、58dは、基紙供給用リール取り付け軸56に回転可能に取り付けられている基紙供給用リール52に巻き回りされている基紙を、基紙供給用リール52から忌避剤収容槽53へ搬送するためのものである。
【0103】
紙搬送用ローラ58e、58f、58g、58hは、基紙を忌避剤中に浸漬し、基紙の表面に忌避剤を塗布するためのものであり、忌避剤収容槽53内に設けられている。
【0104】
紙搬送用ローラ58i、58j、58k、58lは、忌避剤が塗布された基紙を第1の乾燥装置54の乾燥室54a内へ搬送するためのものである。
【0105】
紙搬送用ローラ58m、58n、58o、58pは、忌避剤が塗布された基紙を、乾燥後、パラフィン中に浸漬し、忌避剤が塗布された基紙の表面にパラフィンを塗布するためのものであり、パラフィン収容槽60内に設けられている。
【0106】
紙搬送用ローラ58s、58t、58u、58vは、忌避剤及び忌避剤の表面にパラフィンが塗布された基紙を、乾燥後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に回転可能に取り付けられている忌避剤塗布紙巻き取り用リール55へ搬送するためのものである。
【0107】
第1の乾燥装置54は、乾燥室54aと、乾燥室54aへ供給する温風を発生させる空気源54bとを備える。
【0108】
空気源54bとしては、例えば、ブロア等を用いる。
【0109】
また、忌避剤が塗布された基紙は、乾燥室54a内を通過するようにされている。
【0110】
尚、この乾燥装置54では、乾燥室54a内に供給された温風は、溶媒とともに大気中へ放出されるようになっている。
【0111】
パラフィン収容槽59は、ヒータ等の加熱手段(図示せず。)を備え、パラフィン収容槽59内に収容したパラフィンを溶融(液状)に保持できるようになっている。
【0112】
第2の乾燥装置60は、乾燥室60aと、乾燥室60aへ供給する温風を発生させる空気源60bとを備える。
【0113】
空気源60bとしては、例えば、ブロア等を用いる。
【0114】
また、忌避剤及びパラフィンが塗布された基紙は、乾燥室60a内を通過するようにされている。
【0115】
次に、忌避剤塗布紙製造装置51を用い、忌避剤及びパラフィンが塗布された忌避剤塗布紙を製造する、忌避剤塗布紙の製造方法の一例を概略的に説明する。
【0116】
忌避剤及びパラフィンが塗布された忌避剤塗布紙を製造する際には、まず、所望の濃度の忌避剤溶液を忌避剤収容槽53内に収容する。
【0117】
また、パラフィンをパラフィン収容槽59内に収容後、ヒータ等の加熱手段(図示せず。)を用い、パラフィン収容槽59内に収容したパラフィンを所定の温度に保持し、溶融(液状)に保持する。
【0118】
また、基紙が巻き取られている、基紙供給用リール52を、基紙供給用リール取り付け軸56に回転可能に取り付ける。
【0119】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55を取り付ける。
【0120】
その後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に、基紙供給用リール取り付け軸56に巻き取られている基紙の先端を、ローラ58aとローラ58bとの間、ローラ58cとローラ58dとの間、ローラ58eとローラ58fとの間、ローラ58iとローラ58jとの間、ローラ58kとローラ58lとの間、ローラ58mとローラ58nとの間、ローラ58oとローラ58pとの間、ローラ58qとローラ58rとの間、ローラ58sとローラ58tとの間、ローラ58uとローラ58vとの間を通過するようにして、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55に取り付ける。
【0121】
次に、第1の乾燥装置54を駆動し、乾燥室54a内へ温風を供給する。
【0122】
また、第2の乾燥装置60を駆動し、乾燥室60a内へ温風を供給する。
【0123】
次に、忌避剤塗布紙用リール取り付け軸57を駆動手段(図示せず。)を用い、所定の速度で、基紙供給用リール52に巻き取られている基紙を、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55側に搬送する。
【0124】
基紙供給用リール52から忌避剤塗布紙巻き取り用リール55側に搬送される基紙の表面には、忌避剤収容槽53内を通過する際に、忌避剤(溶液)が塗布される。
【0125】
忌避剤(溶液)が表面に塗布された基紙は、乾燥室54aを通過する際に、十分に乾燥される。
【0126】
その後、忌避剤(溶液)が表面に塗布された基紙は、パラフィン収容槽59内を通過する際に、その表面にパラフィンが塗布される。
【0127】
忌避剤(溶液)及びパラフィンが表面に塗布された基紙は、乾燥室60aを通過した後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55に巻き取る。
【0128】
次に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55に巻き取られた忌避剤塗布紙を用いて、内袋42と、外袋43とを作成する。
【0129】
尚、上記した発明の実施の形態2では、内袋42の内表面S42i及び外表面S42oの各々に、忌避剤及びパラフィンが塗布され、外袋13の内表面S43i及び外表面S43oの各々に、忌避剤及びパラフィンが塗布された果実袋41について説明したが、これは、単なる例示であって、本発明に係る果実袋には、図7に示す果実袋も含まれる。
【0130】
この果実袋71は、内袋72と、外袋73とを備え、外袋73の紙73aの内表面S73iには、忌避剤73b、及び、忌避剤73bを覆うようにパラフィン73cが塗布され、外袋73の紙73aの外表面S73oには、パラフィン73cが塗布され、内袋72の外表面S72oには、忌避剤72b、及び、忌避剤72bを覆うようにパラフィン72cが塗布され、内袋72の内表面S72iには、パラフィン73cが塗布されている。
【0131】
尚、果実袋71を作製する際に用いる、忌避剤塗布紙の表面にパラフィンが、その表面に凹凸を有する状態で形成されたり、又は、厚さにムラを生じた状態で形成されている場合には、図8に例示するように、そのような表面に凹凸を有する状態で形成されたり、又は、厚さにムラを生じた状態で形成されているパラフィン層をブレードBLで削ることで、パラフィン層の表面を平になるように表面仕上げしてもよい。
【0132】
この果実袋71は、例えば、発明の実施の形態1の中において説明した、一方の表面に忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙を、パラフィン(溶融、液状)中に浸漬した後、内袋72の紙72aの外表面S72oに、忌避剤層が来るように、また、外袋73の紙73aの内表面S73iに、忌避剤層が来るようにして製造すればよい。
【0133】
また、内袋と、外袋とを備え、外袋の外表面に、忌避剤、及び、忌避剤を覆うようにパラフィンが塗布され、外袋の内表面には、パラフィンが塗布され、内袋の外表面及び/又は内表面にはパラフィンのみが塗布されている果実袋も本願発明に係る果実袋に含まれる。
【0134】
また、広くは、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層を設けたものも含まれる。
【0135】
より具体的に説明すると、果実袋1のように、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層及び忌避剤層を覆うようにパラフィン層を設けたものも含まれる。
【0136】
また、発明の実施の形態1では、忌避剤(この例では、カプサイシン)を、忌避剤塗布部31の刷毛部33を用いて、基紙に塗布した例を説明し、また、発明の実施の形態2では、忌避剤(この例では、カプサイシン)を、いわゆる浸漬法により、基紙に塗布した例を説明したが、これは、単なる例示であって、忌避剤(この例では、カプサイシン)を、ローラー又はスプレー手段を用いて、基紙に塗布するようにしてもよい。
【0137】
また、発明の実施の形態2では、パラフィン層を、いわゆる浸漬法により、基紙に塗布した例を説明したが、これは、単なる例示であって、パラフィン層を、ローラー又はスプレー手段を用いて、基紙に塗布するようにしてもよい。
【0138】
次に、本発明に係る果実袋の形状について、例示的に、説明する。
(発明の実施の形態3)
ここでは、本発明に係る果実袋の形状を例示的に説明する。
【0139】
図9は、本発明に係る果実袋の一例の使用例を模式的に示す斜視図である。
【0140】
また、図10(a)は、図9に示す果実袋を模式的に示す斜視図であり、また、図10(b)は、図9に示す果実袋の模式的な展開図である。
【0141】
この果実袋81は、いわゆる一番袋の一例を示している。
【0142】
果実袋(一番袋)としては、従来の果実袋101を用いても良いが、ここでは、果実袋81の紙として、忌避剤(この例では、カプサイシン)をその片面又は両面に塗布した紙、又は、忌避剤(この例では、カプサイシン)をその片面又は両面に塗布し、忌避剤(この例では、カプサイシン)を更にパラフィン層で覆った紙を用いている。
【0143】
この果実袋81は、折れ線f1により、一対の袋半体部81a、81bを形成するとともに、一対の袋半体部81a、81bの一方の袋半体部81aの、折れ線f1に対向する長辺sl、及び、長辺slに隣接する、一対の短辺ssa、ssbの一方の短辺ssaの各々の外方に、のりしろ面t1、t2を各々を備え、のりしろ面t1、t2の各々にのり面を形成し、のりしろ面t1、t2の各々を一対の袋半体部81a、81bの他方の袋半体部81bにのり止めし、袋体が形成されるようにしている。且つ、この果実袋81は、長辺slに隣接する、一対の短辺ssa、ssbの他方の短辺ssbの外方に、のりしろ面t3を備え、のりしろ面t3に、のり面を形成している。
【0144】
のりしろ面t3は、のりしろ面t3で、袋体の上部開口部huを塞いだ際に、袋体の上部開口部huの両端の各々に隙間sp1、sp2が形成されるように、その両端を斜めにカットし、切欠部Lを形成している。
【0145】
この果実袋81は、果実Fの直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実Fを、果実袋81の上部開口部huを通じて、袋内に収容し、のりしろ面t3を用いて、上部開口部huを接着止めする。この際、図9に示すように、果実Fの茎部分Stmを切欠部Lを通じて袋の外に出すようにする。
【0146】
また、図11は、本発明に係る果実袋(二重袋)の一例を模式的に示す斜視図である。
【0147】
また、図12(a)は、図11に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、又、図12(b)は、図11に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である。
【0148】
この果実袋91は、内袋92と、外袋93とを備える。
【0149】
尚、図11中、Wで示す部材は、針金、紐その他の締結手段を示している。
【0150】
また、この例では、使用の際の便宜を考慮して、果実袋91の一枚毎に、一対の締結手段W、Wを仮止めしているが、本発明に係る果実袋は、果実袋91の一枚毎に、一対の締結手段W、Wを仮止めしているものには限られない。
【0151】
内袋92としては、例えば、ティッシュペーパーなどに用いられている繊維が比較的太く且つ柔かい紙質の基紙の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布した紙、又は、ティッシュペーパーなどに用いられている繊維が比較的太く且つ柔かい紙質の基紙の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、忌避剤(この例では、カプサイシン)を更にパラフィン層で覆った紙を用いている。
【0152】
外袋93としては、例えば、基紙(この例では、クラフト紙(1m2当たり50g程度の重量を有する紙)の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布した紙、又は、基紙(この例では、クラフト紙(1m2当たり50g程度の重量を有する紙)の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、忌避剤(この例では、カプサイシン)を更にパラフィン層で覆った紙を用いている。
【0153】
内袋92は、図12(a)に示すように、折れ線f2、f3により、内袋表面部92a、と、内袋裏面半体部92b、92cを形成するとともに、内袋表面部92aの、折れ線f2と折れ線f3とに挟まれる一対の短辺ss2a、ss2bの一方の短辺ss2aの外方にのりしろ面t4を備え、袋裏面半体部92bの、折れ線f2に対向する長辺sl1に、のりしろ面t5を備える。
【0154】
また、内袋92は、内袋表面部92aの、折れ線f2と折れ線f3とに挟まれる一対の短辺ss2a、ss2bの他方の短辺ss2bの外方にのりしろ面t6を備える。
【0155】
のりしろ面t6の両端の各々には切欠部L2、L2が、形成されている。
【0156】
且つ、この内袋92では、のりしろ面t4、t5、t6の各々にのり面を形成している。
【0157】
また、外袋93は、図12(b)に示すように、折れ線f4、f5により、外袋表面部93aと、外袋裏面半体部93b、93cを形成するとともに、袋表面部93aの、折れ線f4と折れ線f5とに挟まれる一対の短辺ss3a、ss3bの一方の短辺ss3aの外方にのりしろ面t7を備え、袋裏面半体部93bの、折れ線f4に対向する長辺sl3に、のりしろ面t8を備える。
【0158】
尚、この例では、内袋92ののりしろ面t6にのり面を形成した例を示したが、これは、単なる例示であって、果実袋91を果実に締結手段W、Wを用いて取り付ける場合にあっては、のりしろ面t6に、必ずしも、のり面を形成しなくくてもよい。
【0159】
且つ、この外袋93では、のりしろ面t7、t8の各々にのり面を形成している。
【0160】
外袋93の縦横寸法は、内袋92を、外袋93内に収容できるように、内袋92の縦横寸法よりも、やや大きめにされている。
【0161】
この果実袋91は、のりしろ面t5を用いて、内袋裏面半体部92bと、内袋裏面半体部92cとを接着した後、これを、外袋93の外袋表面部93a上に載置し、のりしろ面t8を用いて、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとを接着した後、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を重ね合わせた状態で、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとに接着する。
【0162】
この果実袋91は、果実の生育がさらに進み、果実Fへの病害虫対策に加えて、果実Fの肌の仕上がりをよくするため(すべすべ感の向上や、つやつや感の向上のため)や、果実Fの表面の着色ムラを防ぐために使用する。
【0163】
この際、果実を、果実袋91の内袋92の上部開口部hu2を通じて、内袋92内に収容し、のりしろ面t6を用いて、果実の茎部分を切欠部L2を通じて内袋92の外に出すようにして、上部開口部hu2を接着止めするとともに、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実の茎部分、内袋92の上部開口部近傍、及び、外袋93の上部開口部近傍を巻きまわりして、果実への果実袋91の袋かけ作業を終了するようにする。
【0164】
図13は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例を模式的に示す平面図であり、図13(a)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の内袋を模式的に示す平面図であり、また、図13(b)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の外袋を模式的に示す平面図である。
【0165】
また、図14(a)は、図13(a)に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、また、図14(b)は、図13(b)に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である。
【0166】
この果実袋91Aは、下記に示す構成以外の構成は、果実袋91と同様の構成であるので、果実袋91Aの構成部材中、果実袋91の構成部材に相当する構成部材については、果実袋91の構成部材に付した参照符号と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0167】
この果実袋91Aでは、その内袋92Aの下方位置に、折れ線f2を中心線として、内袋半体部92bと、内袋表面部92aにまたがるように、三角形状の切欠部L3を設け、折れ線f3を中心線として、内袋半体部92cと、内袋表面部92aにまたがるように、三角形状の切欠部L3を設けている。
【0168】
また、この果実袋91Aでは、内袋92Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L4・・・を形成している。
【0169】
また、この果実袋91Aでは、その外袋93Aの下方位置に、折れ線f4から外袋半体部93b方向に、三角形状の切欠部L5を設け、折れ線f5から外袋半体部93c方向に三角形状の切欠部L5を設けている。
【0170】
また、この果実袋91Aでは、その外袋93Aの下方位置に、外袋表面部92aの、折れ線f4から外袋表面部93a方向に、三角形状ののりしろ部t10を設け、外袋表面部93aの、折れ線f5から外袋表面部92a方向に、三角形状ののりしろ部t10を設けている。
【0171】
のりしろ部t10の形状及び大きさ、三角形状の切欠部L5の形状及び大きさ、切欠部L3を折れ線f3を中心線として、半分にした際の三角形状の切欠部半体部の形状及び大きさ、及び、切欠部L3を折れ線f4を中心線として、半分にした際の三角形状の切欠部半体部の形状及び大きさは、同じ形状及び同じ大きさ、または、概ね同じ形状及び同じ大きさにされている。
【0172】
また、この果実袋91Aでは、外袋93Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L6・・・を形成している。
【0173】
この果実袋91Aは、のりしろ面t5を用いて、内袋裏面半体部92bと、内袋裏面半体部92cとを接着した後、これを、外袋93の外袋表面部93a上に載置し、のりしろ面t8を用いて、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとを接着した後、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を重ね合わせた状態で、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとに接着する。
【0174】
果実袋91Aの以上の製造工程は、果実袋91の製造工程と同様である。
【0175】
更に、この果実袋91Aでは、のりしろ面t10、t10にのり面を形成し、のりしろ面t10、t10の各々を、外袋裏面半体部93b及び外袋裏面半体部93cの各々に背着し、果実袋91Aの形状を平面視した場合、上部開口部hu2と反対側が、先に行くにつれ先尖る、先尖形状にしている。
【0176】
尚、この果実袋91Aの果実への袋かけ作業は、果実袋91の果実への袋かけ作業と同様であるので、ここでの説明は、省略する。
【0177】
この果実袋91Aでは、内袋92Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L4・・・を形成し、外袋93Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L6・・・を形成しているので、果実を、果実袋91Aの内袋92Aの上部開口部hu2を通じて、内袋92A内に収容し、のりしろ面t6を用いて、果実の茎部分を切欠部L2を通じて内袋92Aの外に出すようにして、上部開口部hu2を接着止めするとともに、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実の茎部分、内袋92Aの上部開口部近傍、及び、外袋93Aの上部開口部近傍を巻きまわりする際に、果実袋91Aの上部を絞る作業を容易に行える。
【0178】
また、果実袋91Aの形状を平面視した場合、上部開口部hu2と反対側が、先に行くにつれ先尖る、先尖形状にしているので、果実に果実袋91Aの袋かけ作業をした後に、強い風が吹いても、果実袋91Aがクルクルと回転するようなことが低減する。
【0179】
この結果、この果実袋91Aを用いれば、果実に果実袋91Aの袋かけ作業をした後に、強い風が吹いても、果実袋91Aがクルクルと回転することが低減するので、果実の落下を防ぐことができる。
【0180】
尚、上記発明の実施の形態1〜3では、本発明の果実袋の用途を、果実に対する鳥害防止を中心に説明したが、カプサイシンは、鳥忌避剤として有効な他、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤としても有効である。
【0181】
即ち、本発明者は、調査・試験・研究の結果、カプサイシンは、鳥忌避剤として有効な他、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤としても有効である、ということを見出している。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明に係る果実袋は、梨その他の果実を保護するとともに、果実に対する鳥害等を防止できるので、果実を保護する果実袋として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明に係る果実袋の一例を概略的に示す構成図である。
【図2】図2(a)は、本発明に係る果実袋の一例の外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図2(b)は、本発明に係る果実袋の一例の内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る果実袋に用いる忌避剤塗布紙の一例を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【図4】図4(a)は、忌避剤塗布装置の忌避剤塗布部の構成を概略的に示す断面図であり、また、図4(b)は、忌避剤塗布部を構成している刷毛部の一本の毛の模式的な横断面図である。
【図5】図5(a)は、本発明に係る果実袋の他の一例の外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図5(b)は、本発明に係る果実袋の他の一例の内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明に係る果実袋に用いる忌避剤塗布紙の他の一例を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【図7】図7(a)は、本発明に係る果実袋の他の一例の外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図7(b)は、本発明に係る果実袋の他の一例の内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【図8】パラフィン層に凹凸やムラが生じた場合の処理方法を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明に係る果実袋の一例の使用例を模式的に示す斜視図である。
【図10】図10(a)は、図9に示す果実袋を模式的に示す斜視図であり、また、図10(b)は、図9に示す果実袋の模式的な展開図である。
【図11】本発明に係る果実袋(二重袋)の一例を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、図11に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、又、図12(b)は、図11に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である。
【図13】本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例を模式的に示す平面図であり、図13(a)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の内袋を模式的に示す平面図であり、また、図13(b)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の外袋を模式的に示す平面図である。
【図14】図14(a)は、図13(a)に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、また、図14(b)は、図13(b)に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である
【図15】図15(a)及び図15(b)の各々は、従来の果実袋の一例を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0184】
1、11、41、71、81、91、91A 果実袋
12、42、72、82、92 内袋
12a、13a、42a、43a、72a、73a 紙(基紙)
12b、13b、42b、43b、72b、73b 忌避剤(層)
42c、43c、72c、73c パラフィン(層)
13、43、73、83、93 外袋
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実袋に関し、特に、カラスその他の鳥類等からの果実の被害を防ぐことができるようにした、果実袋に関する。
【背景技術】
【0002】
二十世紀梨その他の梨、桃その他の果実を生産する際に、果実が小さい間に、果実に果実袋をかぶせ、果実の耐病性や防虫性を高め、更には、表面に傷等がつかないようにするようなことが行われている。
【0003】
特に、二十世紀梨のような果実にあっては、例えば、図15(a)に示すように、果実Fの直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実Fへの病害虫対策として、一重の果実袋(一番袋)101を果実Fにかぶせ、袋101の開口部近傍を、果実Fの茎部分Stmに対し、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実Fの茎部分Stm、及び、この茎部分Stmを覆う袋101の開口部近傍を巻きまわりして、果実Fへの果実袋101の袋かけ作業を終了するようにしている。
【0004】
また、果実の生育がさらに進むと、例えば、図15(b)に示すように、果実Fへの病害虫対策に加えて、果実Fの肌の仕上がりをよくするため(すべすべ感の向上や、つやつや感の向上のため)や、果実Fの表面の着色ムラを防ぐため、内袋202と、外袋203とを備える2重袋201が用いられることが、多い。
【特許文献1】特開2000−188975号公報
【特許文献2】特開2000−37142号公報
【特許文献3】特開2001−8561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、果実Fに果実袋201をかぶせた状態にして、果実Fが実るようにした場合、果実Fが実ってくると、例えば、カラスその他の鳥類が、果実袋201を破って、その中にある果実Fをついばむということがしばしばある。
【0006】
カラスその他の鳥類が、果実Fをついばむと、果実Fには、傷がついてしまう。
【0007】
そして、傷のついた果実Fは、商品価値がないため、通常、全て廃棄処分されている。
【0008】
しかしながら、傷のついた果実Fを廃棄処分した場合には、そのような果実Fを生育する際にかけた労力が全く無駄になる、という問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、果実に果実袋をかぶせておけば、例えば、少なくとも、果実が実る間、カラスその他の鳥が、果実袋を破って、その中にある果実をついばむことが殆ど無くなるようにした、カラスその他の鳥が果実をつつくことを防止するようにした果実袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の果実袋は、果実を覆う袋として、その表面に忌避剤を塗布したものを用いた。
【0011】
ここで、本明細書で用いる用語、「忌避剤」は、鳥を忌避する鳥忌避剤、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤が含まれる。
【0012】
請求項2に記載の果実袋は、請求項1に記載の果実袋の忌避剤を塗布した表面を更にパラフィンで覆った。
【0013】
請求項3に記載の果実袋は、外袋と、外袋の内側に設ける内袋とを備え、外袋の内表面及び/又は内袋の外表面に、忌避剤を塗布した。
【0014】
請求項4に記載の果実袋は、外袋と、外袋の内側に設ける内袋とを備え、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面に、忌避剤を塗布し、忌避剤を塗布した、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆った。
【0015】
請求項5に記載の果実袋は、請求項1〜4に記載の果実袋で用いる、忌避剤が、カプサイシンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の果実袋は、果実を覆う袋の表面に、忌避剤を塗布しているので、例えば、カラスその他の鳥類が、この果実袋で覆われている果実をついばもうとして果実袋を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、忌避剤が入ることになるので、カラスその他の鳥類は、果実袋を破った時点で、果実をついばむことを諦める。この結果、果実をこの果実袋で覆えば、果実が、カラスその他の鳥についばまれることが防止される。
【0017】
また、カラスのように学習能力の高い鳥類は、一度、果実袋で覆われている果実をついばもうとして果実袋を破った際に、口内に、忌避剤が入ったということを学習し、記憶するので、学習した、記憶にともなって、果実袋で覆われている果実をついばむことをしなくなる。このため、果実が、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0018】
請求項2に記載の果実袋では、果実を覆う袋の、忌避剤を塗布した表面を更にパラフィンで覆うようにしているので、忌避剤が果実に転着することが無いので、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0019】
請求項3に記載の果実袋は、請求項1に記載の果実袋と同様、果実を覆う袋の表面に、忌避剤を塗布しているので、請求項1に記載の果実袋と同様の効果を奏する。
【0020】
のみならず、この果実袋では、袋を二重にし、内袋の外表面及び外袋の内表面の少なくとも一方に、忌避剤を塗布するようにしている。
【0021】
即ち、この果実袋では、内袋の内表面には、忌避剤を塗布していない結果、果実の表面に、忌避剤が転着することが無いので、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0022】
また、この果実袋は、外袋の外表面に忌避剤を塗布したものに比べ、忌避剤が、経時的に失われ難くなっているので、果実に対する、鳥類の被害を、長期的に防ぐことができる。
【0023】
請求項4に記載の果実袋では、忌避剤を塗布した、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆うようにしているので、忌避剤が果実に転着することが無い。
【0024】
この結果、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0025】
また、この果実袋では、忌避剤を塗布した、外袋の内表面及び外表面、内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆うようにしているので、長期間、忌避剤の効果が持続する。
【0026】
請求項5に記載の果実袋では、忌避剤として、カプサイシンを用いている。
【0027】
これは、本発明者が、カラス等が多分いやがるであろうと思われる材料・成分を表面に塗布した梨等の果物をカラス等に対し与え、カラス等が、食さなかった果物に塗布されている材料をスクリーニングした結果、カラス等の鳥類には、忌避剤として、カプサイシンが有効である、ということを見出したものである。
【0028】
また、本発明者は、調査・試験・研究の結果、カプサイシンは、鳥忌避剤として有効な他、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤としても有効である、ということを見出している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る果実袋の一例を、更に、詳しく説明する。
(発明の実施の形態1)
図1は、本発明に係る果実袋の一例を概略的に示す構成図であり、図1(a)は、果実の直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実への病害虫対策として用いる、一重の果実袋を示しており、また、図1(b)は、果実の生育がさらに進んだ際に、病害虫対策に加えて、果実の肌の仕上がりをよくするため(すべすべ感の向上や、つやつや感の向上のため)や、果実の表面の着色ムラを防ぐため、内袋12と、外袋13とを備える2重袋を示している。
【0030】
図1(a)に示す果実袋1は、果実袋101と同様である。
【0031】
即ち、二十世紀梨のような果実にあっては、図1(a)に示すように、果実Fの直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実Fへの病害虫対策として、一重の果実袋(一番袋)1を果実Fにかぶせ、袋1の開口部近傍を、果実Fの茎部分Stmに対し、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実Fの茎部分Stm、及び、この茎部分Stmを覆う袋1の開口部近傍を巻きまわりして、果実Fへの果実袋1の袋かけ作業を終了する。
【0032】
図1(b)に示す果実袋11は、本発明に係る果実袋であって、内袋12と、外袋13とを備える。
【0033】
図2(a)は、果実袋11を構成する外袋13の構成を示す模式的な断面図であり、また、図2(b)は、果実袋11を構成する内袋12の構成を示す模式的な断面図である。
【0034】
この果実袋11では、図2(a)に示すように、外袋13として、紙13aの内表面S13iに、忌避剤(この例では、カプサイシン)13bを塗布したものを用い、且つ、図2(b)に示すように、内袋12として、紙12aの外表面S12oに、忌避剤(この例では、カプサイシン)12bを塗布したものを用いている。
【0035】
より詳しく説明すると、この果実袋11では、外袋13として、紙13aの外表面S13oに、パラフィン処理が施され、その内表面S13iに、忌避剤(この例では、カプサイシン)13bを塗布したものを用い、且つ、内袋12として、紙12aの内表面S12iに、パラフィン処理が施され、外表面S12oに、忌避剤(この例では、カプサイシン)12bを塗布したものを用いている。
【0036】
尚、唐辛子からカプサイシンを抽出する場合には、溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン等の有機溶媒を用いる。
【0037】
次に、この果実袋11の使用方法を例示的に説明する。
【0038】
この果実袋11は、図1(b)に示すように、果実Fに果実袋11をかぶせ、果実Fへの病害虫対策に加えて、果実Fの表面に傷等がつかないようにするために使用するものである。
【0039】
この果実袋11を、果実Fに袋がけ作業をする際には、まず、内袋12で果実Fを覆い、内袋12で覆われた果実Fを、内袋12を覆うように、外袋13で覆う。
【0040】
次に、内袋12の開口部近傍と、外袋13の開口部近傍とを重ね合わせ、果実Fの茎部分Stmに対し、例えば、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実Fの茎部分Stm、この茎部分Stmを覆う内袋12の開口部近傍、及び、この茎部分Stmを覆う内袋2を覆うように設けられている外袋13の開口部近傍を巻きまわりして、果実Fへの果実袋11の袋かけ作業を終了する。
【0041】
この果実袋11は、果実Fを覆う袋12、13の表面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布しているので、カラスその他の鳥類が、この果実袋11で覆われている果実Fをついばもうとして果実袋11を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、忌避剤(この例では、カプサイシン)が入ることになる。
【0042】
この結果、カラスその他の鳥類は、果実袋11を破った時点で、果実Fをついばむことを諦める。
【0043】
従って、果実Fをこの果実袋11で覆えば、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0044】
また、カラスのように学習能力の高い鳥類は、一度、果実袋11で覆われている果実Fをついばもうとして果実袋11を破った際に、口内に、忌避剤が入ったということを学習し、記憶するので、学習し、記憶にともなって、果実袋11で覆われている果実Fをついばむことをしなくなる。このため、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0045】
更に、この果実袋11では、袋を、内袋12と、外袋13との二重にし、内袋12の外表面S12oと、外袋13の内表面S13iとの双方に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布するようにしているので、カラスその他の鳥類が、この果実袋11で覆われている果実Fをついばもうとして果実袋11を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、内袋12の外表面S12oに塗布されている忌避剤(この例では、カプサイシン)と、外袋13の内表面S13iに塗布されている忌避剤(この例では、カプサイシン)とが入ることになるので、カラスその他の鳥類は、果実袋11を破った時点で、より一層、果実Fをついばむことを諦める。この結果、果実Fをこの果実袋1で覆えば、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが、より一層、防止される。
【0046】
また、この果実袋11では、内袋12の外表面S12oに、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、内袋12の内表面S12iには、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布しないようにしているので、果実Fの表面には、忌避剤(この例では、カプサイシン)が転着することが無い。この結果、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤(この例では、カプサイシン)よる舌刺激(辛いという感覚)を受けることが無い。
【0047】
また、この果実袋11は、外袋13の外表面S13oに忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布した場合に比べ、忌避剤(この例では、カプサイシン)が、経時的に失われ難くなっているので、果実Fに対する、鳥類の被害を、長期的に防ぐことができる。
【0048】
次に、この果実袋11で用いる、外袋13又は内袋12の製造方法を例示的に説明する。
【0049】
図3は、外袋13又は内袋12用の忌避剤を塗布した忌避剤塗布紙を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【0050】
この忌避剤塗布紙製造装置21は、基紙Pが巻き取られている基紙供給用リール22と、リール22から供給されてくる基紙Pの表面に忌避剤を塗布する忌避剤塗布装置23と、忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙を乾燥させる乾燥装置24と、乾燥装置24により乾燥させた、忌避剤塗布紙を巻き取る、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25とを備える。
【0051】
基紙供給用リール22は、基紙供給用リール取り付け軸26に回転可能に取り付けられる。
【0052】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25は、駆動手段(図示せず。)により回転可能にされた、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27に固定的に取り付けられる。
【0053】
尚、図3中、28a、28b、28c、28dで示す部材装置は、紙搬送用ローラを示している。
【0054】
忌避剤塗布装置23は、忌避剤貯留槽29と、忌避剤供給管30と、忌避剤塗布部31とを備える。
【0055】
忌避剤供給管30は、その一端e30aが、忌避剤貯留槽29の底面に接続され、その他端e30bが、忌避剤塗布部31に接続され、また、その途中の位置には、開閉バルブ32が設けられ、開閉バルブ32を開閉することにより、忌避剤貯留槽29に貯留された忌避剤の忌避剤塗布部31への供給、停止、及び、流量の調整ができるようになっている。
【0056】
図4(a)は、忌避剤塗布装置23の忌避剤塗布部31の構成を概略的に示す断面図であり、また、図4(b)は、忌避剤塗布部31を構成している刷毛部の一本の毛の模式的な横断面図である。
【0057】
忌避剤塗布部31は、筐体部35と、筐体部35の下方に設けられた刷毛部33とを備える。
【0058】
筐体部35内には、ゴム多孔質体34が収容されている。
【0059】
ゴム多孔質体34の下面S34bには、刷毛部33を構成する複数の毛が植え込まれている。
【0060】
刷毛部33を構成する複数の毛の各々には、その側面に、その長さ方向に伸びる溝d4が、少なくとも1本形成されている(この例では、一本の毛の側面に、その長さ方向に伸びる溝d4を、4本形成したものを例示している。)。
【0061】
このゴム多孔質体34は、その上面S34aから下面S34bに連通する連通孔(図示せず。)を多数有している。
【0062】
そして、忌避剤塗布部31に、忌避剤供給管30を介して、忌避剤貯留槽29から供給された忌避剤は、連通孔(図示せず。)を毛細管現象により、その上面S34aから下面S34bに滲みだすようにして供給されるようになっている。
【0063】
ゴム多孔質体34の下面S34bに供給された忌避剤は、図4(b)に示すように、毛の側面に設けられた溝d4を毛細管現象によりその先端(下端)まで、移動し、刷毛部33の下方位置を通過する基紙の表面に、忌避剤を塗布できるようになっている。
【0064】
乾燥装置24は、乾燥室24aと、乾燥室24aへ供給する温風を発生させる空気源24bとを備える。
【0065】
空気源24bとしては、例えば、ブロア等を用いる。
【0066】
また、忌避剤が塗布された基紙は、乾燥室24a内を通過するようにされている。
【0067】
尚、この乾燥装置24では、乾燥室24a内に供給された温風は、溶媒とともに大気中へ放出されるようになっている。
【0068】
次に、忌避剤塗布紙製造装置21を用い、忌避剤塗布紙を製造する、忌避剤塗布紙の製造方法の一例を概略的に説明する。
【0069】
忌避剤塗布紙を製造する際には、まず、基紙が巻き取られている、基紙供給用リール22を、基紙供給用リール取り付け軸26に回転可能に取り付ける。
【0070】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25を取り付ける。
【0071】
その後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27に、基紙供給用リール取り付け軸26に巻き取られている基紙の先端を、ローラ28aとローラ28bとの間、忌避剤塗布装置23の刷毛部33の下方、乾燥室24a内、及び、ローラ28cとローラ28dとの間を通過するようにして、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25に取り付ける。
【0072】
また、忌避剤塗布装置23の忌避剤貯留槽29内に、忌避剤(溶液)を収容する。
【0073】
次に、開閉バルブ32を所定の開口量に調整し、忌避剤貯留槽29に貯留された忌避剤を忌避剤塗布部31へ供給し、忌避剤塗布部31の刷毛部33の毛先(先端)に、忌避剤(溶液)が供給された状態にする。
【0074】
次に、乾燥装置24を駆動し、乾燥室24a内へ温風を供給する。
【0075】
次に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸27を駆動手段(図示せず。)を用い、所定の速度で、基紙供給用リール22に巻き取られている基紙を、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25側に搬送する。
【0076】
基紙供給用リール22から忌避剤塗布紙巻き取り用リール25側に搬送される基紙の表面には、忌避剤塗布部31の刷毛部33を用いて、忌避剤(溶液)が塗布される。
【0077】
忌避剤(溶液)が表面に塗布された基紙は、乾燥室24aを通過する際に、十分に乾燥される。
【0078】
その後、乾燥した忌避剤塗布紙を、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25に巻き取る。
【0079】
次に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール25に巻き取られた忌避剤塗布紙を用いて、内袋12と、外袋13とを作成する。
【0080】
この際、内袋12の外表面S12oに、忌避剤層が来るように、また、外袋13の内表面S13iに、忌避剤層が来るようにする。
【0081】
尚、上記した発明の実施の形態1では、内袋12の外表面S12o及び外袋13の内表面S13iの双方に、忌避剤層を設けた果実袋11について説明したが、これは、単なる例示であって、本発明に係る果実袋には、内袋12の外表面S12o又は外袋13の内表面S13iのいずれか一方にのみ、忌避剤層を設けたものや、広くは、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層を設けたものも含まれる。
【0082】
より具体的に説明すると、果実袋1のように、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層を設けたものも含まれることを付記しておく。
【0083】
(発明の実施の形態2)
図5は、本発明に係る果実袋の他の一例を概略的に示す断面図であり、図5(a)は、本発明に係る果実袋を構成する外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図5(b)は、本発明に係る果実袋を構成する内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【0084】
この果実袋41では、図5(a)に示すように、外袋43として、紙43aの外表面S43o及び内表面S43iの各々に、忌避剤(この例では、カプサイシン)43b、43bを塗布し、紙43aの外表面S43o及び内表面S43iの各々に塗布された忌避剤(この例では、カプサイシン)43b、43bの各々を更にパラフィン43c、43cで覆うようにしたものを用い、且つ、図5(b)に示すように、内袋42として、紙42aの外表面S42o及び内表面S42iの各々に、忌避剤(この例では、カプサイシン)42b、42bを塗布し、紙42aの外表面S42o及び内表面S42iの各々に塗布された忌避剤(この例では、カプサイシン)42b、42bの各々を更にパラフィン42c、42cで覆うようにしたものを用いている。
【0085】
尚、唐辛子からカプサイシンを抽出する場合には、溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン等の有機溶媒を用いる。
【0086】
尚、この果実袋41の使用方法は、果実袋11の使用方法と同様である。
【0087】
即ち、この果実袋41を、果実に袋がけ作業をする際には、まず、内袋42で果実を覆い、内袋42で覆われた果実を、内袋42を覆うように、外袋43で覆う。
【0088】
次に、内袋42の開口部近傍と、外袋43の開口部近傍とを重ね合わせ、果実の茎部分に対し、針金、紐その他の締結手段を用い、果実の茎部分、この茎部分を覆う内袋42の開口部近傍、及び、この茎部分を覆う内袋42を覆うように設けられている外袋43の開口部近傍を巻きまわりして、果実への果実袋41の袋かけ作業を終了する。
【0089】
この果実袋41は、果実を覆う内袋42の表面(この例では、紙42aの外表面S42o及び内表面S42iの各々)に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、外袋43の表面(この例では、紙43aの外表面S43o及び内表面S43iの各々)に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布しているので、カラスその他の鳥類が、この果実袋41で覆われている果実をついばもうとして果実袋41を破った際に、カラスその他の鳥類の口内に、忌避剤(この例では、カプサイシン)が入ることになる。
【0090】
この結果、カラスその他の鳥類は、果実袋41を破った時点で、果実をついばむことを諦める。
【0091】
従って、果実をこの果実袋41で覆えば、果実Fが、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0092】
また、カラスのように学習能力の高い鳥類は、一度、果実袋41で覆われている果実をついばもうとして果実袋41を破った際に、口内に、忌避剤が入ったということを学習し、記憶するので、学習し、記憶にともなって、果実袋41で覆われている果実をついばむことをしなくなる。このため、果実が、カラスその他の鳥類についばまれることが防止される。
【0093】
更に、この果実袋41では、忌避剤を塗布した、外袋43の内表面S43i及び外表面S43oの各々を更にパラフィン43c、43cで覆うようにし、内袋42の内表面S42i及び外表面S42oの各々を更にパラフィン42c、42cで覆うようにしているので、忌避剤が果実に転着することが無い。
【0094】
この結果、果実をそのまま食した場合に、果実をそのまま食した者が、忌避剤による舌刺激を受けることが無い。
【0095】
また、この果実袋41では、忌避剤を塗布した、外袋43の内表面S43i及び外表面S43o、内袋42の内表面S42i及び外表面S42oを更にパラフィンで覆うようにしているので、長期に亘って、忌避剤の効果が持続する。
【0096】
次に、この果実袋41で用いる、外袋43又は内袋42の製造方法を例示的に説明する。
【0097】
図6は、外袋43又は内袋42用の忌避剤を塗布した忌避剤塗布紙を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【0098】
この忌避剤塗布紙製造装置51は、基紙Pが巻き取られている基紙供給用リール52と、リール52から供給されてくる基紙Pの表面に忌避剤を塗布する忌避剤収容槽53と、忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙を乾燥させる第1の乾燥装置54と、忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙の表面にパラフィンを塗布するパラフィン収容槽59と、忌避剤及び忌避剤層の上にパラフィンが塗布された忌避剤塗布紙を乾燥させる第2の乾燥装置60と、第2の乾燥装置60により乾燥させた、忌避剤塗布紙を巻き取る、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55とを備える。
【0099】
基紙供給用リール52は、基紙供給用リール取り付け軸56に回転可能に取り付けられる。
【0100】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55は、駆動手段(図示せず。)により回転可能にされた、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に固定的に取り付けられる。
【0101】
尚、図6中、58a、58b、58c、58d、58e、58f、58g、58h、58i、58j、58k、58l、58m、58n、58o、58p、58q、58r、58s、58t、58u及び58vで示す部材装置の各々は、紙搬送用ローラを示している。
【0102】
紙搬送用ローラ58a、58b、58c、58dは、基紙供給用リール取り付け軸56に回転可能に取り付けられている基紙供給用リール52に巻き回りされている基紙を、基紙供給用リール52から忌避剤収容槽53へ搬送するためのものである。
【0103】
紙搬送用ローラ58e、58f、58g、58hは、基紙を忌避剤中に浸漬し、基紙の表面に忌避剤を塗布するためのものであり、忌避剤収容槽53内に設けられている。
【0104】
紙搬送用ローラ58i、58j、58k、58lは、忌避剤が塗布された基紙を第1の乾燥装置54の乾燥室54a内へ搬送するためのものである。
【0105】
紙搬送用ローラ58m、58n、58o、58pは、忌避剤が塗布された基紙を、乾燥後、パラフィン中に浸漬し、忌避剤が塗布された基紙の表面にパラフィンを塗布するためのものであり、パラフィン収容槽60内に設けられている。
【0106】
紙搬送用ローラ58s、58t、58u、58vは、忌避剤及び忌避剤の表面にパラフィンが塗布された基紙を、乾燥後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に回転可能に取り付けられている忌避剤塗布紙巻き取り用リール55へ搬送するためのものである。
【0107】
第1の乾燥装置54は、乾燥室54aと、乾燥室54aへ供給する温風を発生させる空気源54bとを備える。
【0108】
空気源54bとしては、例えば、ブロア等を用いる。
【0109】
また、忌避剤が塗布された基紙は、乾燥室54a内を通過するようにされている。
【0110】
尚、この乾燥装置54では、乾燥室54a内に供給された温風は、溶媒とともに大気中へ放出されるようになっている。
【0111】
パラフィン収容槽59は、ヒータ等の加熱手段(図示せず。)を備え、パラフィン収容槽59内に収容したパラフィンを溶融(液状)に保持できるようになっている。
【0112】
第2の乾燥装置60は、乾燥室60aと、乾燥室60aへ供給する温風を発生させる空気源60bとを備える。
【0113】
空気源60bとしては、例えば、ブロア等を用いる。
【0114】
また、忌避剤及びパラフィンが塗布された基紙は、乾燥室60a内を通過するようにされている。
【0115】
次に、忌避剤塗布紙製造装置51を用い、忌避剤及びパラフィンが塗布された忌避剤塗布紙を製造する、忌避剤塗布紙の製造方法の一例を概略的に説明する。
【0116】
忌避剤及びパラフィンが塗布された忌避剤塗布紙を製造する際には、まず、所望の濃度の忌避剤溶液を忌避剤収容槽53内に収容する。
【0117】
また、パラフィンをパラフィン収容槽59内に収容後、ヒータ等の加熱手段(図示せず。)を用い、パラフィン収容槽59内に収容したパラフィンを所定の温度に保持し、溶融(液状)に保持する。
【0118】
また、基紙が巻き取られている、基紙供給用リール52を、基紙供給用リール取り付け軸56に回転可能に取り付ける。
【0119】
また、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55を取り付ける。
【0120】
その後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール取り付け軸57に、基紙供給用リール取り付け軸56に巻き取られている基紙の先端を、ローラ58aとローラ58bとの間、ローラ58cとローラ58dとの間、ローラ58eとローラ58fとの間、ローラ58iとローラ58jとの間、ローラ58kとローラ58lとの間、ローラ58mとローラ58nとの間、ローラ58oとローラ58pとの間、ローラ58qとローラ58rとの間、ローラ58sとローラ58tとの間、ローラ58uとローラ58vとの間を通過するようにして、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55に取り付ける。
【0121】
次に、第1の乾燥装置54を駆動し、乾燥室54a内へ温風を供給する。
【0122】
また、第2の乾燥装置60を駆動し、乾燥室60a内へ温風を供給する。
【0123】
次に、忌避剤塗布紙用リール取り付け軸57を駆動手段(図示せず。)を用い、所定の速度で、基紙供給用リール52に巻き取られている基紙を、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55側に搬送する。
【0124】
基紙供給用リール52から忌避剤塗布紙巻き取り用リール55側に搬送される基紙の表面には、忌避剤収容槽53内を通過する際に、忌避剤(溶液)が塗布される。
【0125】
忌避剤(溶液)が表面に塗布された基紙は、乾燥室54aを通過する際に、十分に乾燥される。
【0126】
その後、忌避剤(溶液)が表面に塗布された基紙は、パラフィン収容槽59内を通過する際に、その表面にパラフィンが塗布される。
【0127】
忌避剤(溶液)及びパラフィンが表面に塗布された基紙は、乾燥室60aを通過した後、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55に巻き取る。
【0128】
次に、忌避剤塗布紙巻き取り用リール55に巻き取られた忌避剤塗布紙を用いて、内袋42と、外袋43とを作成する。
【0129】
尚、上記した発明の実施の形態2では、内袋42の内表面S42i及び外表面S42oの各々に、忌避剤及びパラフィンが塗布され、外袋13の内表面S43i及び外表面S43oの各々に、忌避剤及びパラフィンが塗布された果実袋41について説明したが、これは、単なる例示であって、本発明に係る果実袋には、図7に示す果実袋も含まれる。
【0130】
この果実袋71は、内袋72と、外袋73とを備え、外袋73の紙73aの内表面S73iには、忌避剤73b、及び、忌避剤73bを覆うようにパラフィン73cが塗布され、外袋73の紙73aの外表面S73oには、パラフィン73cが塗布され、内袋72の外表面S72oには、忌避剤72b、及び、忌避剤72bを覆うようにパラフィン72cが塗布され、内袋72の内表面S72iには、パラフィン73cが塗布されている。
【0131】
尚、果実袋71を作製する際に用いる、忌避剤塗布紙の表面にパラフィンが、その表面に凹凸を有する状態で形成されたり、又は、厚さにムラを生じた状態で形成されている場合には、図8に例示するように、そのような表面に凹凸を有する状態で形成されたり、又は、厚さにムラを生じた状態で形成されているパラフィン層をブレードBLで削ることで、パラフィン層の表面を平になるように表面仕上げしてもよい。
【0132】
この果実袋71は、例えば、発明の実施の形態1の中において説明した、一方の表面に忌避剤が塗布された忌避剤塗布紙を、パラフィン(溶融、液状)中に浸漬した後、内袋72の紙72aの外表面S72oに、忌避剤層が来るように、また、外袋73の紙73aの内表面S73iに、忌避剤層が来るようにして製造すればよい。
【0133】
また、内袋と、外袋とを備え、外袋の外表面に、忌避剤、及び、忌避剤を覆うようにパラフィンが塗布され、外袋の内表面には、パラフィンが塗布され、内袋の外表面及び/又は内表面にはパラフィンのみが塗布されている果実袋も本願発明に係る果実袋に含まれる。
【0134】
また、広くは、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層を設けたものも含まれる。
【0135】
より具体的に説明すると、果実袋1のように、袋が一枚で構成され、その内表面及び/又は外表面に忌避剤層及び忌避剤層を覆うようにパラフィン層を設けたものも含まれる。
【0136】
また、発明の実施の形態1では、忌避剤(この例では、カプサイシン)を、忌避剤塗布部31の刷毛部33を用いて、基紙に塗布した例を説明し、また、発明の実施の形態2では、忌避剤(この例では、カプサイシン)を、いわゆる浸漬法により、基紙に塗布した例を説明したが、これは、単なる例示であって、忌避剤(この例では、カプサイシン)を、ローラー又はスプレー手段を用いて、基紙に塗布するようにしてもよい。
【0137】
また、発明の実施の形態2では、パラフィン層を、いわゆる浸漬法により、基紙に塗布した例を説明したが、これは、単なる例示であって、パラフィン層を、ローラー又はスプレー手段を用いて、基紙に塗布するようにしてもよい。
【0138】
次に、本発明に係る果実袋の形状について、例示的に、説明する。
(発明の実施の形態3)
ここでは、本発明に係る果実袋の形状を例示的に説明する。
【0139】
図9は、本発明に係る果実袋の一例の使用例を模式的に示す斜視図である。
【0140】
また、図10(a)は、図9に示す果実袋を模式的に示す斜視図であり、また、図10(b)は、図9に示す果実袋の模式的な展開図である。
【0141】
この果実袋81は、いわゆる一番袋の一例を示している。
【0142】
果実袋(一番袋)としては、従来の果実袋101を用いても良いが、ここでは、果実袋81の紙として、忌避剤(この例では、カプサイシン)をその片面又は両面に塗布した紙、又は、忌避剤(この例では、カプサイシン)をその片面又は両面に塗布し、忌避剤(この例では、カプサイシン)を更にパラフィン層で覆った紙を用いている。
【0143】
この果実袋81は、折れ線f1により、一対の袋半体部81a、81bを形成するとともに、一対の袋半体部81a、81bの一方の袋半体部81aの、折れ線f1に対向する長辺sl、及び、長辺slに隣接する、一対の短辺ssa、ssbの一方の短辺ssaの各々の外方に、のりしろ面t1、t2を各々を備え、のりしろ面t1、t2の各々にのり面を形成し、のりしろ面t1、t2の各々を一対の袋半体部81a、81bの他方の袋半体部81bにのり止めし、袋体が形成されるようにしている。且つ、この果実袋81は、長辺slに隣接する、一対の短辺ssa、ssbの他方の短辺ssbの外方に、のりしろ面t3を備え、のりしろ面t3に、のり面を形成している。
【0144】
のりしろ面t3は、のりしろ面t3で、袋体の上部開口部huを塞いだ際に、袋体の上部開口部huの両端の各々に隙間sp1、sp2が形成されるように、その両端を斜めにカットし、切欠部Lを形成している。
【0145】
この果実袋81は、果実Fの直径が約1.5cm位に生育した頃に、果実Fを、果実袋81の上部開口部huを通じて、袋内に収容し、のりしろ面t3を用いて、上部開口部huを接着止めする。この際、図9に示すように、果実Fの茎部分Stmを切欠部Lを通じて袋の外に出すようにする。
【0146】
また、図11は、本発明に係る果実袋(二重袋)の一例を模式的に示す斜視図である。
【0147】
また、図12(a)は、図11に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、又、図12(b)は、図11に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である。
【0148】
この果実袋91は、内袋92と、外袋93とを備える。
【0149】
尚、図11中、Wで示す部材は、針金、紐その他の締結手段を示している。
【0150】
また、この例では、使用の際の便宜を考慮して、果実袋91の一枚毎に、一対の締結手段W、Wを仮止めしているが、本発明に係る果実袋は、果実袋91の一枚毎に、一対の締結手段W、Wを仮止めしているものには限られない。
【0151】
内袋92としては、例えば、ティッシュペーパーなどに用いられている繊維が比較的太く且つ柔かい紙質の基紙の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布した紙、又は、ティッシュペーパーなどに用いられている繊維が比較的太く且つ柔かい紙質の基紙の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、忌避剤(この例では、カプサイシン)を更にパラフィン層で覆った紙を用いている。
【0152】
外袋93としては、例えば、基紙(この例では、クラフト紙(1m2当たり50g程度の重量を有する紙)の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布した紙、又は、基紙(この例では、クラフト紙(1m2当たり50g程度の重量を有する紙)の片面又は両面に、忌避剤(この例では、カプサイシン)を塗布し、忌避剤(この例では、カプサイシン)を更にパラフィン層で覆った紙を用いている。
【0153】
内袋92は、図12(a)に示すように、折れ線f2、f3により、内袋表面部92a、と、内袋裏面半体部92b、92cを形成するとともに、内袋表面部92aの、折れ線f2と折れ線f3とに挟まれる一対の短辺ss2a、ss2bの一方の短辺ss2aの外方にのりしろ面t4を備え、袋裏面半体部92bの、折れ線f2に対向する長辺sl1に、のりしろ面t5を備える。
【0154】
また、内袋92は、内袋表面部92aの、折れ線f2と折れ線f3とに挟まれる一対の短辺ss2a、ss2bの他方の短辺ss2bの外方にのりしろ面t6を備える。
【0155】
のりしろ面t6の両端の各々には切欠部L2、L2が、形成されている。
【0156】
且つ、この内袋92では、のりしろ面t4、t5、t6の各々にのり面を形成している。
【0157】
また、外袋93は、図12(b)に示すように、折れ線f4、f5により、外袋表面部93aと、外袋裏面半体部93b、93cを形成するとともに、袋表面部93aの、折れ線f4と折れ線f5とに挟まれる一対の短辺ss3a、ss3bの一方の短辺ss3aの外方にのりしろ面t7を備え、袋裏面半体部93bの、折れ線f4に対向する長辺sl3に、のりしろ面t8を備える。
【0158】
尚、この例では、内袋92ののりしろ面t6にのり面を形成した例を示したが、これは、単なる例示であって、果実袋91を果実に締結手段W、Wを用いて取り付ける場合にあっては、のりしろ面t6に、必ずしも、のり面を形成しなくくてもよい。
【0159】
且つ、この外袋93では、のりしろ面t7、t8の各々にのり面を形成している。
【0160】
外袋93の縦横寸法は、内袋92を、外袋93内に収容できるように、内袋92の縦横寸法よりも、やや大きめにされている。
【0161】
この果実袋91は、のりしろ面t5を用いて、内袋裏面半体部92bと、内袋裏面半体部92cとを接着した後、これを、外袋93の外袋表面部93a上に載置し、のりしろ面t8を用いて、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとを接着した後、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を重ね合わせた状態で、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとに接着する。
【0162】
この果実袋91は、果実の生育がさらに進み、果実Fへの病害虫対策に加えて、果実Fの肌の仕上がりをよくするため(すべすべ感の向上や、つやつや感の向上のため)や、果実Fの表面の着色ムラを防ぐために使用する。
【0163】
この際、果実を、果実袋91の内袋92の上部開口部hu2を通じて、内袋92内に収容し、のりしろ面t6を用いて、果実の茎部分を切欠部L2を通じて内袋92の外に出すようにして、上部開口部hu2を接着止めするとともに、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実の茎部分、内袋92の上部開口部近傍、及び、外袋93の上部開口部近傍を巻きまわりして、果実への果実袋91の袋かけ作業を終了するようにする。
【0164】
図13は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例を模式的に示す平面図であり、図13(a)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の内袋を模式的に示す平面図であり、また、図13(b)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の外袋を模式的に示す平面図である。
【0165】
また、図14(a)は、図13(a)に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、また、図14(b)は、図13(b)に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である。
【0166】
この果実袋91Aは、下記に示す構成以外の構成は、果実袋91と同様の構成であるので、果実袋91Aの構成部材中、果実袋91の構成部材に相当する構成部材については、果実袋91の構成部材に付した参照符号と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0167】
この果実袋91Aでは、その内袋92Aの下方位置に、折れ線f2を中心線として、内袋半体部92bと、内袋表面部92aにまたがるように、三角形状の切欠部L3を設け、折れ線f3を中心線として、内袋半体部92cと、内袋表面部92aにまたがるように、三角形状の切欠部L3を設けている。
【0168】
また、この果実袋91Aでは、内袋92Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L4・・・を形成している。
【0169】
また、この果実袋91Aでは、その外袋93Aの下方位置に、折れ線f4から外袋半体部93b方向に、三角形状の切欠部L5を設け、折れ線f5から外袋半体部93c方向に三角形状の切欠部L5を設けている。
【0170】
また、この果実袋91Aでは、その外袋93Aの下方位置に、外袋表面部92aの、折れ線f4から外袋表面部93a方向に、三角形状ののりしろ部t10を設け、外袋表面部93aの、折れ線f5から外袋表面部92a方向に、三角形状ののりしろ部t10を設けている。
【0171】
のりしろ部t10の形状及び大きさ、三角形状の切欠部L5の形状及び大きさ、切欠部L3を折れ線f3を中心線として、半分にした際の三角形状の切欠部半体部の形状及び大きさ、及び、切欠部L3を折れ線f4を中心線として、半分にした際の三角形状の切欠部半体部の形状及び大きさは、同じ形状及び同じ大きさ、または、概ね同じ形状及び同じ大きさにされている。
【0172】
また、この果実袋91Aでは、外袋93Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L6・・・を形成している。
【0173】
この果実袋91Aは、のりしろ面t5を用いて、内袋裏面半体部92bと、内袋裏面半体部92cとを接着した後、これを、外袋93の外袋表面部93a上に載置し、のりしろ面t8を用いて、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとを接着した後、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を重ね合わせた状態で、のりしろ面t4と、のりしろ面t7を、外袋裏面半体部93bと、外袋裏面半体部93cとに接着する。
【0174】
果実袋91Aの以上の製造工程は、果実袋91の製造工程と同様である。
【0175】
更に、この果実袋91Aでは、のりしろ面t10、t10にのり面を形成し、のりしろ面t10、t10の各々を、外袋裏面半体部93b及び外袋裏面半体部93cの各々に背着し、果実袋91Aの形状を平面視した場合、上部開口部hu2と反対側が、先に行くにつれ先尖る、先尖形状にしている。
【0176】
尚、この果実袋91Aの果実への袋かけ作業は、果実袋91の果実への袋かけ作業と同様であるので、ここでの説明は、省略する。
【0177】
この果実袋91Aでは、内袋92Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L4・・・を形成し、外袋93Aの上部に、その下部方向に伸びる切込線L6・・・を形成しているので、果実を、果実袋91Aの内袋92Aの上部開口部hu2を通じて、内袋92A内に収容し、のりしろ面t6を用いて、果実の茎部分を切欠部L2を通じて内袋92Aの外に出すようにして、上部開口部hu2を接着止めするとともに、針金、紐その他の締結手段Wを用い、果実の茎部分、内袋92Aの上部開口部近傍、及び、外袋93Aの上部開口部近傍を巻きまわりする際に、果実袋91Aの上部を絞る作業を容易に行える。
【0178】
また、果実袋91Aの形状を平面視した場合、上部開口部hu2と反対側が、先に行くにつれ先尖る、先尖形状にしているので、果実に果実袋91Aの袋かけ作業をした後に、強い風が吹いても、果実袋91Aがクルクルと回転するようなことが低減する。
【0179】
この結果、この果実袋91Aを用いれば、果実に果実袋91Aの袋かけ作業をした後に、強い風が吹いても、果実袋91Aがクルクルと回転することが低減するので、果実の落下を防ぐことができる。
【0180】
尚、上記発明の実施の形態1〜3では、本発明の果実袋の用途を、果実に対する鳥害防止を中心に説明したが、カプサイシンは、鳥忌避剤として有効な他、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤としても有効である。
【0181】
即ち、本発明者は、調査・試験・研究の結果、カプサイシンは、鳥忌避剤として有効な他、害虫を忌避する虫忌避剤、果実等にカビが生えるのを防止するカビ忌避剤、又は、果実が病気にかかるのを防止する細菌忌避剤としても有効である、ということを見出している。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明に係る果実袋は、梨その他の果実を保護するとともに、果実に対する鳥害等を防止できるので、果実を保護する果実袋として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明に係る果実袋の一例を概略的に示す構成図である。
【図2】図2(a)は、本発明に係る果実袋の一例の外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図2(b)は、本発明に係る果実袋の一例の内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る果実袋に用いる忌避剤塗布紙の一例を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【図4】図4(a)は、忌避剤塗布装置の忌避剤塗布部の構成を概略的に示す断面図であり、また、図4(b)は、忌避剤塗布部を構成している刷毛部の一本の毛の模式的な横断面図である。
【図5】図5(a)は、本発明に係る果実袋の他の一例の外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図5(b)は、本発明に係る果実袋の他の一例の内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明に係る果実袋に用いる忌避剤塗布紙の他の一例を製造する忌避剤塗布紙製造装置を模式的に示す構成図である。
【図7】図7(a)は、本発明に係る果実袋の他の一例の外袋の構成を示す模式的な断面図であり、また、図7(b)は、本発明に係る果実袋の他の一例の内袋の構成を示す模式的な断面図である。
【図8】パラフィン層に凹凸やムラが生じた場合の処理方法を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明に係る果実袋の一例の使用例を模式的に示す斜視図である。
【図10】図10(a)は、図9に示す果実袋を模式的に示す斜視図であり、また、図10(b)は、図9に示す果実袋の模式的な展開図である。
【図11】本発明に係る果実袋(二重袋)の一例を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、図11に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、又、図12(b)は、図11に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である。
【図13】本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例を模式的に示す平面図であり、図13(a)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の内袋を模式的に示す平面図であり、また、図13(b)は、本発明に係る果実袋(二重袋)の他の一例の外袋を模式的に示す平面図である。
【図14】図14(a)は、図13(a)に示す果実袋(二重袋)の内袋の模式的な展開図であり、また、図14(b)は、図13(b)に示す果実袋(二重袋)の外袋の模式的な展開図である
【図15】図15(a)及び図15(b)の各々は、従来の果実袋の一例を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0184】
1、11、41、71、81、91、91A 果実袋
12、42、72、82、92 内袋
12a、13a、42a、43a、72a、73a 紙(基紙)
12b、13b、42b、43b、72b、73b 忌避剤(層)
42c、43c、72c、73c パラフィン(層)
13、43、73、83、93 外袋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実を覆う袋として、その表面に忌避剤を塗布したものを用いた、果実袋。
【請求項2】
前記忌避剤を塗布した表面を更にパラフィンで覆った、請求項1に記載の果実袋。
【請求項3】
外袋と、
前記外袋の内側に設ける内袋とを備え、
前記外袋の内表面及び/又は前記内袋の外表面に、忌避剤を塗布した、果実袋。
【請求項4】
外袋と、
前記外袋の内側に設ける内袋とを備え、
前記外袋の内表面及び外表面、前記内袋の内表面及び外表面に、忌避剤を塗布し、前記忌避剤を塗布した、前記外袋の内表面及び外表面、前記内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆った、果実袋。
【請求項5】
前記忌避剤が、カプサイシンである、請求項1〜4のいずれかに記載の果実袋。
【請求項1】
果実を覆う袋として、その表面に忌避剤を塗布したものを用いた、果実袋。
【請求項2】
前記忌避剤を塗布した表面を更にパラフィンで覆った、請求項1に記載の果実袋。
【請求項3】
外袋と、
前記外袋の内側に設ける内袋とを備え、
前記外袋の内表面及び/又は前記内袋の外表面に、忌避剤を塗布した、果実袋。
【請求項4】
外袋と、
前記外袋の内側に設ける内袋とを備え、
前記外袋の内表面及び外表面、前記内袋の内表面及び外表面に、忌避剤を塗布し、前記忌避剤を塗布した、前記外袋の内表面及び外表面、前記内袋の内表面及び外表面を更にパラフィンで覆った、果実袋。
【請求項5】
前記忌避剤が、カプサイシンである、請求項1〜4のいずれかに記載の果実袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−67846(P2006−67846A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252802(P2004−252802)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(504331451)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(504331451)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]