説明

枠体構築用ブロック

【課題】 型枠を用いずに、コンクリート流し込み用の枠体を簡単に構築し、かつ当該枠体がコンクリート構造物の外面にもなる枠体構築用ブロックを提供することを目的とする。
【解決手段】 枠体構築用ブロック5を組み合わせていくことによりコンクリート流し込み用の枠体を構築し、コンクリート施工後には当該ブロックを柱、擁壁、マンホールの副管の囲み部などのコンクリート構造物の一部としている。枠体構築用ブロック5には位置決め用凹部5bや位置決め用凸部5dを形成してブロック同士の組合せ作業をより簡単で確実なものとし、また、枠体構築用ブロック5の外面に加工を施しておくことにより、コンクリート構造物に対する施工現場での仕上工事を不要としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種建造物の柱、基礎、外壁などのコンクリート構造物の施工に使用するコンクリート流し込み用の枠体を構築する枠体構築用ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築・土木工事などの施工現場では一般的に、合板製の型枠を組み合わせた枠体の中にコンクリートを流し込み一定期間養生して硬化させた後、枠体を解体し柱などのコンクリート構造物を得ていた。
【0003】図7は、従来の、上・下水道などのマンホール部分の説明図であり、図において、1は地中に埋設した上・下水道管などのヒューム管、2はマンホール、2aは底面、2bは上側流入部、2cは下側流入部、3は副管、4は補強用コンクリート、Hは底面2aと上側流入部2bとの高低差をそれぞれ示している。
【0004】上・下水道管として地中に埋設したヒューム管1には、中を水が流れやすいように下流側に向けてわずかな下り勾配がつけられている。そして一定距離ごとにマンホール2を設けているが、上側流入部2bとマンホール2の底面2aとの高低差Hが600 ミリメートル以上ある場合には、副管3を設けてヒューム管1からの水を一部迂回させて下側流入部2cからマンホール内に流すことにより、上側流入部2bから落下した水が底面2aに直接ぶつからないようにしている。この副管3には通常、塩化ビニールなどのパイプを用い、その周囲には補強用コンクリート4を打設している。
【0005】この補強用コンクリート4の施工を行うときは、■マンホールや副管、補強用コンクリートを埋設する部分およびその周辺の土を掘り下げ、■マンホールを施工し、■副管を施工し、■型枠で枠体を組み、■コンクリートを流し込み、■コンクリートの硬化を待ち、■枠体を解体し、■土を埋め戻す、などの作業が必要となる。
【0006】ここで、補強用コンクリート4を施工するためには、掘り下げた地中に型枠で枠体を形成し、その中にコンクリートを打設しなければならないため、補強用コンクリート4の周りに一回り以上大きな穴を掘り下げる必要があった。また、補強用コンクリート4を打設した後の穴の中での枠体の作成や解体は狭い場所での作業となるため手間のかかるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の型枠を用いる方法で、コンクリート構造体を施工するには、施工現場での型枠から枠体の組立・解体作業や、型枠の施工現場への搬入・撤去作業が必要であり、手間がかかるものであった。
【0008】そこで、本発明では、枠体構築用ブロックを組み合わせてコンクリート流し込み用の枠体を構築し、さらには枠体構築用ブロックを人手で運べる程度の容積および重量を有するものとすることにより、構築対象となる枠体の大きさの自由度を高め、また使用されるまでの保管スペースの効率化や枠体構築作業の効率化・容易化を図るとともに、施工後には当該枠体をそのままコンクリート構造物の付加物として用いることで、施工現場での枠体の解体作業および型枠の撤去作業を不要として、工期の短縮を図ることを目的とする。
【0009】また、枠体構築用ブロックに隣接するもの同士の上下・左右方向の位置決め部や、連結部材を用いるための凹部を形成することによってそれほどの手間をかけずに各ブロックを整然と組み上げることができるようにしている。
【0010】また、結合度確保用の補強材を入れるための孔部を形成することにより強度や免震勢性を向上させ、外面に加工を施した枠体構築用ブロックを用いることにより出来型をきれいに仕上げることを目的としている
【0011】また、複数の枠体構築用ブロックを同一平面内で閉状態に組み合わせてその中にコンクリート流し込み用の空間部を形成することにより、柱などの構造物にも対応できるようにしている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、この目的を達成するため、次の構成からなる枠体構築用ブロックを用いている。
■積み重ねにより所定高さのコンクリート流し込み用の枠体を構築することが可能で、かつ当該枠体を用いて施工されるコンクリート構造物の付加物としても用いられること■人手で運べる程度の容積および重量を有すること■上下方向に隣接するもの同士の位置を特定するための位置決め部を形成したこと■積み重ねたもの同士の結合度確保用の補強材をいれるための孔部を形成したこと■複数に分割されて、それらを結合することにより閉状態となること■分割されたもの同士の連結材を取り付けるための凹部を形成したこと■コンクリート構造物の外面としての加工を別途施したこと
【0013】
【発明の実施の形態】図1ないし図6を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、枠体構築用ブロックを用いて柱を施工する場合の説明図であり、5は枠体構築用ブロック、5aは枠体構築用ブロックの上面、5bは位置決め用凹部、5cは枠体構築用ブロックの下面、5dは位置決め用凸部、5eは連結用凹部、5fは雌ネジ、5gは枠体構築用ブロックの外面、5hは孔、6は連結部材であるプレート、7はボルト、8は枠体構築用ブロック5によって形成された枠体、9は枠体8内部の空間をそれぞれ示している。
【0014】枠体構築用ブロック5はコンクリートなどの施工後の柱の外面となりうる材料であらかじめ工場で作成されており、その寸法は柱の外周部分に対応する。そして、枠体構築用ブロック5を人手で運べる程度のものとする場合には、例えば厚さ100 ミリメートル、高さ200 ミリメートル、長辺500 ミリメートル、短辺250ミリメートル、重量25kgのコの字型のものとしている。
【0015】枠体構築用ブロック5のコの字型の上面5aには、位置決め用凹部5bが中央よりやや内側に上面5aの全周に渡って形成されており、下面5cには位置決め用凹部5bに対応するように位置決め用凸部5dが形成されている。
【0016】さらに、上面5aから下面5cへ貫通する孔5hが、凹部5b及び凸部5dの外側に多数形成されておりその位置は、枠体構築用ブロック5を図に示すように90°向きを変えた状態で上下に重ねたときに、連通するようになっている。
【0017】また、上面5aのコの字型の両端にはプレート6に対応した連結用凹部5eが形成され、この連結用凹部5eの底面にはボルト7を取り付けるための金属製の雌ネジ5fが埋め込まれている。
【0018】この枠体構築用ブロック5によって柱を作成するときは、工場であらかじめ作成された枠体構築用ブロック5を施工現場へ搬入し、基礎の上に枠体構築用ブロック5を互いに向き合うように配置し、それぞれのコンクリート枠体構築用ブロック5同士をプレート6とボルト7によって連結する。このとき、ボルト7に替えてタッピングネジを用いれば、枠体構築用ブロック5の作成時に雌ネジ5fを埋め込んでおく必要はない。また、プレート6やボルト7に代えてコの字型のかすがいを用い、雌ネジ5fの位置に形成した孔にかすがいを挿入するようにすれば、作業時間をより短縮できる。
【0019】2段目の枠体構築用ブロック5を組み合わせるときは、1段目の枠構築用ブロック1の上に、2段目の枠体構築用ブロック5を、向きを90°代えた状態で配置し1段目と同様に2段目の枠体構築用ブロック5同士をプレート6とボルト7を使って連結する。上下間の枠体構築用ブロック5同士は1段目の上面5aに設けた位置決め用凹部5bと2段目の下面5cに設けた位置決め用凸部5dとの組み合わせによって位置が特定され、水平方向にずれることはない。このとき、枠体構築用ブロック5の連結に用いたプレート6とボルト7とは連結用凹部5eの中に潜り込み、プレート6やボルト7の頭は上面5aから露出しないので、その上の段の枠体構築用ブロック5を積み重ねるときに邪魔になることはない。
【0020】このようにして、柱の必要な高さまで枠体構築用ブロック5を組み上げてコンクリート製の枠体8を形成し、その中の空間9にコンクリートを流し込めば、型枠を使わずにコンクリート製の柱ができる。
【0021】枠体構築用ブロック5に形成した孔5hは、枠体8として組み立てられたときに枠体8の最上部から最下部まで連通しており、当該孔5hに鉄筋やピアノ線を挿入したり、ゴム質のボンド等を注入することで枠体構築用ブロック7同士の結合度が強くなり、柱の強度や免震性を向上させることができる。また、孔5hの直径は挿入される鉄筋の径や注入されるボンドの粘度、量などに合わせて任意に決定される。なお、この孔を形成するかどうかは任意である。
【0022】さらに、強度の高い柱を作成するときには、鉄筋により内部配筋をして、その周囲を枠体構築用ブロック5で囲むように施工してから、コンクリートを流し込み、硬化させればよい。
【0023】このように、それ自身例えばコンクリートで作成された枠体構築用ブロック5で枠体を形成し、これを施工後のコンクリート構造物の外面としても用いるようにしているので、枠体の解体作業を必要とせずに短時間でコンクリート製の柱を施工できる。
【0024】なお、枠体構築用ブロック5は人手で持ち運べる程度の容積と重さに作成してあれば、互いの結合も簡単にできるようにすることにより、施工現場への搬入や施工に際しても特殊な機材や工具を用いずに短時間で作業を行うようにすることができる。
【0025】図2は枠体構築用ブロックにより断面形状が長方形の柱を施工する場合の説明図、図3は枠体構築用ブロックにより断面形状が円形の柱を施工する場合の説明図であり、両図において10は片側が長く他方が短いコの字型に形成された枠体構築用ブロック、10aは枠体構築用ブロックの上面、10bは位置決め用凹部、10cは枠体構築用ブロックの下面、10dは位置決め用凸部、10eは連結用凹部、10fは雌ネジ、10gは枠体構築用ブロックの外面、10hは孔、11はエクステンション、12は半円形に形成された枠体構築用ブロック、12aは枠体構築用ブロックの上面、12bは位置決め用凹部、12cは枠体構築用ブロックの下面、12dは位置決め用凸部、12eは連結用凹部、12fは雌ネジ、12gは枠体構築用ブロックの外面、12hは孔をそれぞれ示している。
【0026】図2のように、断面形状が長方形の柱を施工するときは、エクステンション11の長さや、数量を適宜選定すれば様々な寸法の柱を同一の枠体構築用ブロック10で施工できる。
【0027】また、円形の柱を施工する際には図3の様に、柱の外面に当たる円周を分割した形の枠体構築用ブロック12を用いることで図1の場合と同様に施工できる。なお、施工方法は図2、図3の場合とも図1と同様である。
【0028】また、その場合には位置決め用凹部12b、位置決め用凸部12dの形状は連続した凹状や凸状ではなく、円柱や角柱の形状をしたものの組合せ(図示省略)とすれば、水平方向の位置や角度を容易に特定できる。
【0029】また、外面に各種石板を貼り付けたり、絵を描いたりした柱が必要なときには、工場で外面5g、10g、12gに各種石板を貼り付けたり、絵を描くなどの加工を施した枠体構築用ブロック7を工場で作成しておけば、この外面5g、10g、12gがそのまま柱の外面になるので施工現場での柱の外面への仕上げ工事が不要となる。
【0030】次に、図4を用いて枠体構築用ブロックによる擁壁の施工の様子を説明する。図4において、13は枠体構築用ブロック、13aは枠体構築用ブロック13の上面、13bは位置決め用凹部、13cは枠体構築用ブロック13の下面、13dは位置決め用凸部、13eは位置決め用凸部、13fは位置決め用凹部、13gは枠体構築用ブロック13に埋め込まれた雌ネジ、13hは枠体構築用ブロック13の外面、14は補強用バー、15は張り金具、16はアングルをそれぞれ示している。
【0031】枠体構築用ブロック13は例えば柱の場合よりやや大きめの容積と重量(例えば、長さ800 ミリメートル、高さ400 ミリメートル、厚さ150 ミリメートル、重さ30kg)のものに形成してある。ただし、つり機械(レッカー等)の使用ができる場合には、それぞれの枠体構築用ブロック13の大きさ、重さ、形状を任意に定めることもできる。
【0032】枠体構築用ブロック13の上面13aには、位置決め部用凹部13bが連続した形で形成してあり、下面13cには上面の位置決め部用凹部13bに対応する形状の位置決め用凸部13dを形成してある。図では、位置決め用凹部13bおよび位置決め用凸部13dは連続した形状としているが、複数の円柱、三角形柱や四角柱状の凸部と凹部の組合せとしてもよい。また、位置決め用の凹凸部を枠体構築用ブロックの上面および下面にそれぞれ飛び飛びのかたちで設けるようにしてもよい。
【0033】本発明の枠体構築用ブロック13によって擁壁を施工する場合は、基礎に1段目の枠体構築用ブロック13を固定し、その上に表側(図面手前側)と裏側(図面奥側)の2段目の枠体構築用ブロック13を長手方向へ配置する。このとき、2段目の枠体構築用ブロック13は、1段目とはそれ自身の長さの半分だけずらした位置に重ねていく。
【0034】そして、裏側(図面奥側)の枠体構築用ブロック13の内側から、補強用バー14およびアングル16を雌ネジ13gに固定し、さらにアングル16の他辺には張り金具15の一方をネジ結合している。張り金具15の他端は表側(図面手前側)に施工された枠体構築用ブロック13の内側に固定されたアングル16に結合されている。また、補強用バー14は、図示のように縦方向だけでなく横方向に用いても良い。
【0035】上下に隣接する枠体構築用ブロック13同士は補強用バー14とボルトを使って固定されるが、より結合度を強くしたい場合には、上下の枠体構築用ブロック13間に接着剤入りモルタルを塗布すれば良い。
【0036】枠体構築用ブロック13の組み合わせは上下の互いの位置決め用凹部13bと位置決め用凸部13dとの係合と、左右の互いの位置決め用凸部13eと位置決め用凹部13fとの係合により、位置決めは容易に行え、従来の型枠から枠体を組立て、この枠体の中にコンクリートを注入して擁壁を構築するといった作業に比べ短時間で施工できる。
【0037】このように、枠体構築用ブロック13を組み合わせることによって、施工距離や施工高さも、様々な擁壁を施工することができる。
【0038】また、型枠を用いて高い擁壁を施工する場合は、打設されるコンクリートの重みで、型枠が割れるのを防ぐために、コンクリートを数次の段階に分けて打設する方法が採られるが、そのような場合には各次の段階に対応する高さまで、本発明の枠体構築用ブロック13を組み合わせ、コンクリートを打設した後に、次の段階の高さまで枠体構築用ブロック13を組み合わせ、コンクリートを打設するという作業を、擁壁が必要な高さまで繰り返せばよい。こうすることで、前の段階で施工した枠体構築用ブロック13およびコンクリートは次の段階の枠体構築用ブロック13を施工する際の足場となりうるので、擁壁の外側から足場を組む必要がなく、狭い場所での施工も容易に行える。
【0039】また、本発明では雌ネジ13gは枠体構築用ブロック13の片側にのみ設けたが、両面に設けておけば施工の際に枠体構築用ブロック13の表裏を気にせず施工できる。また、枠体構築用ブロック13の形状は、長方形に限るものではなく三角形や六角形、円形(および隙間補充用形状)のものを用いても良い。
【0040】さらに、外面に各種石板を貼り付けたり、絵を描いたりした擁壁を施工するときにも柱の場合と同様に、工場で外面13hに各種石板を貼り付けたり、絵を描くなどの加工を施した枠体構築用ブロック13を用いれば、この外面13hがそのまま擁壁の外面になるので出来型がきれいに仕上がる。
【0041】次に、図5および図6を参照して、枠体構築用ブロックを用いてマンホールの副管の周りに補強用コンクリートを施工する場合を説明する。図5は補強用コンクリートの枠体の全体概要を示す説明図であり、図6R>6は補強用コンクリートの枠体の詳細を示す説明図である。
【0042】図5および図6において、3は副管、3aは副管のマンホール側開口部、3bは副管3の水平部、3cは副管3のエルボ、3dは副管3の垂直部、17は下段、18は中段、19は上段、20〜22は枠体構築用ブロック、20a〜22aは枠体構築用ブロック20〜22の上面、20b〜22bは上面20a〜22aに形成した位置決め用凹部、21c、22cは枠体構築用ブロック21、22の下面、21d、22dは下面21c、22cに形成した位置決め用凸部、20cは係止用凹部、20dは係止用凹部20cに設けた金属製の雌ネジ、20e〜22eは窪み部、20fは窪み部20eに形成した台、23は枠体構築用ブロック17〜19によって形成された枠体、24は窪み部20e〜22eと副管3との間の空間、25はプレート、26はボルトをそれぞれ示している。
【0043】本発明の枠体構築用ブロックを用いて、図7R>7に示す補強用コンクリート4を施工する場合は、副管3の周囲に形成しようとする補強用コンクリート4の内、その外周部分を垂直方向に分割し、副管3の水平部3bの中心から下を下段17、水平部3bの中心から上を覆う部分を中段18、垂直部3dに対応する部分を上段19としており、さらに下段17は2つの枠体構築用ブロック20に分割しており、中段18も2つの枠体構築用ブロック21に分割しており、上段19も同様に2つの枠体構築用ブロック22に分割している。これらの枠体構築用ブロック20〜22が補強用コンクリート4施工用の枠体23を構成する。(図5参照)
【0044】次に、図5と図6を用いて各枠体構築用ブロック20〜22を用いて補強用コンクリート4を施工する様子を説明する。図7の場合と同様に掘り下げた穴の中にマンホール2とともに下段17を構成する枠体構築用ブロック20を設置してプレート25を連結用凹部20dに挿入し、ボルト26を雌ネジ20dにネジ結合させ、1枚のプレート状の下段17にする。
【0045】下段17の台20fの上に、地上であらかじめ水平部3b、エルボ3c、鉛直部3dを組み合わせて作った副官3を置いて、水平部3bの開口部3aをマンホール2の下側開口部2cに接着する。
【0046】次に、枠体構築用ブロック20の上に枠体構築用ブロック21を置いて中段18を構成する。このとき、下段17と中段18とには位置決め用凹部20b、位置決め用凸部21dが複数個形成されているので、位置決め用凹部20bと位置決め用凸部21dの組合せのみで水平方向の位置のみだけでなく水平方向の角度も簡単に特定され、上下方向の位置合わせが簡単に行え、中段18は下段17の上に正確に位置が特定される。
【0047】同様に、上段19を構成する枠体構築用ブロック22を垂直部3dの高さに対応するまで積み上げていけばよい。
【0048】枠体23の各辺は、丸形のマンホールにも角形のマンホールにも対応できるようになっており、枠体23を構成する枠体構築用ブロック20〜22の外面形状は凹部と直線部との組み合わせからなっている。また、枠体構築用ブロック22の組み合わせでできる上段19は向きを90°変えた状態でも重ねることができるので向きを気にせず施工できる。
【0049】こうして、構成された枠体23と副管3との間の空間24にコンクリートを流し込み、硬化させれば、穴の中の狭い場所で、型枠で枠体を作成したり、解体したりせずに、補強用コンクリート4を施工できる。
【0050】なお、図4ないし図6で示した枠体構築用ブロックに、鉄筋などを通すための孔部(図1〜図3参照)を形成してもよいことは勿論である。
【0050】
【発明の効果】このように、本発明では、枠体構築用ブロックを組み合わせてコンクリート流し込み用の枠体を構築し、さらには枠体構築用ブロックを人手で運べる程度の容積および重量を有するものとしているので、構築対象となる枠体の大きさの自由度を高め、また使用されるまでの保管スペースの効率化や枠体構築作業の効率化・容易化を図ることができる。
【0051】また、施工後には当該枠体をそのままコンクリート構造物の付加物として用いることで、施工現場での枠体の解体作業および型枠の撤去作業を不要として、工期の短縮を図ることがてきる。
【0052】また、複数の枠体構築用ブロックを同一平面内で閉状態に組み合わせてその中にコンクリート流し込み用の空間部を形成できるので、柱などの構造物にも対応することができる。
【0053】また、枠体構築用ブロックに隣接するもの同士の上下・左右方向の位置決め部や、連結部材を用いるための凹部を形成しているので、それほどの手間をかけずに各ブロックを整然と組み上げることができる。
【0054】また、枠体構築用ブロック同士の結合用補強材(鉄筋など)を入れるための孔部を形成しているので、構築後の枠体全体の強度や免震勢性を向上させることができる。
【0055】また、枠体構築用ブロックの外面に加工を施しているので、構造物の一部としての出来型をきれいに仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】枠体構築用ブロックを用いて柱を施工する場合を示すの説明図である。
【図2】枠体構築用ブロックにより断面形状が長方形の柱を施工する場合を示す説明図である。
【図3】枠体構築用ブロックにより断面形状が円形の柱を施工する場合を示す説明図である。
【図4】枠体構築用ブロックによる擁壁の施工の様子を示す説明図である。
【図5】補強用コンクリートの枠体の全体概要を示す説明図である。
【図6】補強用コンクリートの枠体の詳細を示す説明図である。
【図7】従来の、高低差のある場所における上・下水道などのマンホール部分を示す説明図である。
【符号の説明】
1:地中に埋設した上・下水道管などのヒューム管
2:マンホール
2a:底面
2b:上側流入部
2c:下側流入部
3:副管
3a:副管のマンホール側開口部
3b:副管3の水平部
3c:副管3のエルボ
3d:副管3の鉛直部
H:底面2aと上側流入部2bとの高低差
5:枠体構築用ブロック
5a:枠体構築用ブロックの上面
5b:位置決め用凹部
5c:枠体構築用ブロックの下面
5d:位置決め用凸部
5e:連結用凹部
5f:雌ネジ
5g:枠体構築用ブロックの外面
5h:孔
6:連結部材であるプレート
7:ボルト
8:枠体構築用ブロック5によって形成された枠体
9:枠体8内部の空間
10:片側が長く他方が短いコの字型に形成された枠体構築用ブロック
10a:枠体構築用ブロックの上面
10b:位置決め用凹部
10c:枠体構築用ブロックの下面
10d:位置決め用凸部
10e:連結用凹部
10f:雌ネジ
10g:枠体構築用ブロックの外面
10h:孔
11:エクステンション
12:半円形に形成された枠体構築用ブロック
12a:枠体構築用ブロックの上面
12b:位置決め用凹部
12c:枠体構築用ブロックの下面
12d:位置決め用凸部
12e:連結用凹部
12f:雌ネジ
12g:枠体構築用ブロックの外面
12h:孔
13:枠体構築用ブロック
13a:枠体構築用ブロック13の上面
13b:位置決め用凹部
13c:枠体構築用ブロック13の下面
13d:位置決め用凸部
13e:位置決め用凸部
13f:位置決め用凹部
13g:枠体構築用ブロック13に埋め込まれた雌ネジ
13h:枠体構築用ブロック13の外面
14:補強用バー
15:張り金具
16:アングル
17:下段
18:中段
19:上段
20〜22:枠体構築用ブロック
20a〜22a:枠体構築用ブロック20〜22の上面
20b〜22b:上面20a〜22aに形成した位置決め用凹部
21c、22c:枠体構築用ブロック21、22の下面
21d、22d:下面21c、22cに形成した位置決め用凸部
20c:係止用凹部
20d:係止用凹部20cに設けた金属製の雌ネジ
20e〜22e:窪み部
20f:窪み部20eに形成した台
23:枠体構築用ブロック17〜19によって形成された枠体
24:窪み部20e〜22eと副管3との間の空間
25:プレート
26:ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 積み重ねにより所定高さのコンクリート流し込み用の枠体を構築することが可能で、かつ当該枠体を用いて施工されるコンクリート構造物の付加物としても用いられることを特徴とする枠体構築用ブロック。
【請求項2】 人手で運べる程度の容積および重量を有することを特徴とする請求項1記載の枠体構築用ブロック。
【請求項3】 上下方向に隣接するもの同士の位置を特定するための位置決め部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の枠体構築用ブロック。
【請求項4】 積み重ねたもの同士の結合度確保用の補強材をいれるための孔部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3記載の枠体構築用ブロック。
【請求項5】 複数に分割されて、それらを結合することにより閉状態となることを特徴とする請求項1乃至4記載の枠体構築用ブロック。
【請求項6】 分割されたもの同士の連結材を取り付けるための凹部を形成したことを特徴とする請求項5記載の枠体構築用ブロック。
【請求項7】 前記コンクリート構造物の外面としての加工を別途施したことを特徴とする請求項1乃至6記載の枠体構築用ブロック。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図5】
image rotate


【図7】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図6】
image rotate