説明

枠状部材及び筐体

【課題】軽量、高剛性、安価で、かつ放熱性、耐熱寸法安定性に優れた枠状部材と、この枠状部材を用いた筐体を提供する。
【解決手段】筐体1は、枠状部材2と、シャーシ10とからなる。枠状部材2は、アルミ又はアルミ合金製のフレーム本体3と、該フレーム本体3に付着された炭素繊維強化合成樹脂(CFRP)製の補強片4とを有する。フレーム本体3は、筐体1の前方を向いた長方形枠状の主面部3aと、該主面部3aの外周縁から後方に起立する周壁部3bとを有する。補強片4は、この周壁部3bの外向きの側面に接着剤、粘着剤、両面接着テープなどによって付着されている。補強片4は、細長い平板状であり、枠状部材2の4辺の各外向き側面において、長手方向の一端側から他端側まで連続して延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のフレーム本体に炭素繊維強化合成樹脂よりなる補強片を付着させた枠状部材に関する。詳しくは、本発明は、例えばパソコンやOA機器、携帯機器、フラットパネルディスプレイ等の電子機器の筐体に用いるのに好適な枠状部材に関する。また、本発明は、この枠状部材を備えた筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品、フラットパネルディスプレイなどの電気・電子機器の携帯化、薄型化、軽量化が進むにつれ、高放熱性・高耐熱寸法安定性が要求されている。そして、これらの電子機器の筐体には、薄型化による製品の捩じれを抑制し、これらに搭載される内蔵部品の破損を防ぐ必要があるため、高剛性、軽量化を達成しつつ、かつ高放熱性、高耐熱寸法安定性が求められている。
【0003】
中でも、薄型を目的とする液晶TVに搭載される導光板を用いるタイプのバックライトについては、LED光源化に伴い、その発熱によるバックライトシャーシの熱変形が問題となっている。熱変形が大きいと、LED光源と導光板との光軸が維持できず、画像の表示品位が低下するという問題があった。このため、LED光源を用いた筐体用部材は従来使用されてきた筐体用部材に対し更なる高剛性、高放熱性、高耐熱寸法安定性が要求されている。
【0004】
特開2007−38519(特許文献1)には、強化繊維を含んでいる熱可塑性樹脂の積層成形品を有した筐体が記載されている。この筐体は、広い面を含む殆ど全体が強化繊維含有合成樹脂、特に炭素繊維強化合成樹脂を用いているため、高価である。また、合成樹脂や炭素繊維強化合成樹脂は金属に比べて熱伝導率が低く、筐体内に熱が篭り易い。
【0005】
特開2006−297929(特許文献2)には、電子機器用筐体を枠体と天板とで構成し、天板を金属層/繊維強化樹脂層/金属層の3層サンドイッチ板としたものが記載されている。枠体は樹脂、金属、コンクリート、木材などよりなる。
【0006】
この筐体では、枠体の強度や剛性が低く、筐体に反りなどの変形が生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−38519号公報
【特許文献2】特開2006−297929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軽量、高剛性、安価で、かつ放熱性、耐熱寸法安定性に優れた枠状部材と、この枠状部材を用いた筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)の枠状部材は、金属製の枠状のフレーム本体と、該フレーム本体に付着された、炭素繊維強化合成樹脂よりなる補強片と、を有する電子機器用筐体の枠状部材であって、該フレーム本体は、電子機器用筐体の前方を向いた主面部と、該主面部から立設された周壁部とを備えており、該周壁部は、前記フレーム本体の周縁部に沿って延在しており、前記補強片は、該周壁部に固着され、該周壁部の長手方向に延在していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の枠状部材は、請求項1において、前記補強片は、前記周壁部の外向き面に付着されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の枠状部材は、請求項1又は2において、前記補強片は、前記周壁部と主面部との双方に付着されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の枠状部材は、請求項3において、前記補強片は前記周壁部から前記主面部にまで連続して付着されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の枠状部材は、請求項1又は2において、前記補強片は長手方向と垂直方向の断面形状が中空形状であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の枠状部材は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記補強片は前記周壁部から離反する方向に起立し、補強片の長手方向に延在するリブ部を有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明(請求項7)の筐体は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の枠状部材と、該枠状部材に係合したシャーシとを備えてなるものである。
【0016】
請求項8の筐体は、請求項7において、該シャーシは、底板部と、該底板部の周縁から起立した囲壁部とを備えており、該囲壁部が前記周壁部に内嵌状に係合していることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9の筐体は、請求項7又は8において、前記枠状部材とシャーシとは、該シャーシの熱膨張を許容する連結手段にて連結されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項10の筐体は、請求項9において、前記連結手段は、該枠状部材及びシャーシの一方に設けられた孔と、該孔を通って他方に対して螺着されたビス又はボルトよりなり、該孔が該シャーシの熱膨張方向に延在した長孔であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項11の筐体は、請求項7ないし10のいずれか1項において、シャーシは金属よりなることを特徴とするものである。
【0020】
請求項12の筐体は、請求項7ないし10のいずれか1項において、シャーシは金属よりなるシャーシ本体と、該シャーシ本体に付着された炭素繊維強化合成樹脂よりなるシャーシ用補強片とを備えたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の枠状部材及び筐体にあっては、枠状部材が金属製のフレーム本体と、該フレーム本体の周壁部に付着された炭素繊維強化合成樹脂製の補強片とを備えている。好ましくは、金属部材はアルミ(アルミニウム)又はアルミ合金よりなる。
【0022】
金属部材は高強度であり、枠状部材の強度が高いものとなる。また、金属部材は熱伝導度が高い(アルミ及びアルミ合金の場合、通常90〜240w/mK(面方向)程度)ので、シャーシからの熱が枠状部材に伝播し易い。特にアルミ又はアルミ合金は、軽量、高強度であり、熱伝導度が大きく、安価であり、好適である。金属部材は熱膨張係数が大きいが、炭素繊維強化合成樹脂製の補強片がフレーム本体の熱膨張を拘束するので、枠状部材の熱寸法安定性が高い。炭素繊維強化合成樹脂は、熱膨張係数がきわめて小さいので、枠状部材は寸法安定性に優れる。また、炭素繊維強化合成樹脂は比剛性が高いので、枠状部材の剛性も高い。炭素繊維強化合成樹脂は黒色であり、熱の放射特性も良好である。
【0023】
この枠状部材を有する筐体にあっては、シャーシの周縁部に囲壁部を設け、この囲壁部を周壁部に内嵌状に係合させるのが好ましい。これにより、機器から発生した熱が周壁部を介して金属製のフレーム本体に伝播し易くなり、筐体の放熱性が向上する。
【0024】
この枠状部材の補強片を主面部にも付着させたり、中空断面形状としたり、リブ部を設けたりすることにより、枠状部材の強度及び剛性が大きくなる。
本発明では、枠状部材は補強片によって熱膨張が拘束される。そこで、枠状部材とシャーシとを連結する場合、シャーシの熱膨張を許容するように枠状部材とシャーシとを連結するのが好ましい。このためには、枠状部材とシャーシとをビス又はボルトにて連結するに際して、ビス孔又はボルト孔をシャーシの熱膨張方向に長い長孔とすることが好ましい。
本発明の一態様では、シャーシは金属製とされる。本発明の別の一態様では、シャーシは、金属よりなるシャーシ本体と該シャーシ本体に付着された炭素繊維強化合成樹脂よりなるシャーシ用補強片とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態に係る筐体の分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】内部の機器を省略した図1の筐体の断面図である。
【図4】内部に機器を搭載した状態における図3のIV部の拡大図である。
【図5】別の実施の形態に係る枠状部材の図2と同様部分の構成図である。
【図6】別の実施の形態に係る枠状部材の図2と同様部分の構成図である。
【図7】別の実施の形態に係る枠状部材の図2と同様部分の構成図である。
【図8】別の実施の形態に係る枠状部材の図2と同様部分の構成図である。
【図9】別の実施の形態に係る枠状部材の図2と同様部分の構成図である。
【図10】別の実施の形態に係る枠状部材の図2と同様部分の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0027】
第1図は実施の形態に係る筐体の分解斜視図、第2図は第1図のII−II線断面図、第3図は内部の機器を省略した筐体の断面図、第4図は内部に機器を搭載した状態における第3図のIV部分の拡大断面図である。なお、第1図のA−A,B−B,C−Cの各断面も第2図と同一となる。
【0028】
この筐体1は、枠状部材2と、シャーシ10とからなる。枠状部材2は、アルミ又はアルミ合金製のフレーム本体3と、該フレーム本体3に付着された炭素繊維強化合成樹脂(CFRP)製の補強片4とを有する。フレーム本体3は、筐体1の前方を向いた長方形枠状の主面部3aと、該主面部3aの外周縁から後方に起立する周壁部3bとを有する。
【0029】
この周壁部3bは、この実施の形態では主面部3aの全外周に設けられている。補強片4は、この周壁部3bの外向きの側面に接着剤、粘着剤、両面接着テープなどによって付着されている。なお、主面部3a及び周壁部3bの厚みは例えば0.2〜5mm特に0.5〜3mm程度が好適である。主面部3aの幅(w)と周壁部3bの高さ(h)の比w/hは通常は10〜0.5特に5〜1程度とされるが、これに限定されない。
【0030】
補強片4は、この実施の形態では細長い平板状であり、枠状部材2の4辺の周壁部3bの外向き側面において、長手方向の一端側から他端側まで連続して延在している。
【0031】
上記補強片4は、炭素繊維とマトリックス樹脂とを含む組成物を硬化させた成形体よりなることが好ましく、特に炭素長繊維を引き揃えてマトリックス樹脂を含浸させた一方向引き揃え炭素繊維強化合成樹脂製であることが好ましい。この炭素繊維の詳細については後述する。補強片4の厚みは周壁部3bの厚みの0.01〜10倍特に0.5〜2倍程度が好適である。補強片4の幅は周壁部3bの幅の10〜100%特に50〜100%程度が好適である。
ただし、補強片4は炭素繊維の織布又は不織布に合成樹脂を含浸させて硬化させたものであってもよい。
【0032】
シャーシ10は、アルミ又はアルミ合金よりなり、長方形板状の底板部11と、この底板部11の全周縁から立設された囲壁部12とを有する。第3,4図の通り、この囲壁部12を周壁部3bに内嵌させるようにしてシャーシ10が枠状部材2に係合されて筐体1が構成される。底板部11及び囲壁部12の厚みは例えば0.1〜3mm特に0.5〜1.5mm程度とされる。
【0033】
上記のアルミとしては、例えばA1050やA1070等、アルミ合金としては、例えば押出し成形、板金加工用のAl−Mg系であるA5054等の5000番台やAl−Cu系であるA2014等の2000番台、ダイカスト用のAl−Si−Cu系合金(JIS規格 ADC12やADC10等)などを用いることができるが、これに限定されない。このアルミ又はアルミ合金製のフレーム本体3及びシャーシ10は、軽量、高強度であり、熱伝導性が高く(例えば、面方向の熱伝導率が、アルミダイキャストの場合は90W/mK以上であり、金属アルミ板の場合240W/mK程度)、しかも安価である。アルミ又はアルミ合金は熱膨張係数が大きく(アルミの場合は通常24×10−6/K)、熱変形が起きやすいが、補強片4を構成するCFRPの室温付近における熱膨張係数が10―6〜10−7/Kというアルミの1/10以下程度の非常に低い値であるので、枠状部材2の熱寸法安定性が確保される。
【0034】
次に、CFRPを構成する炭素繊維及びマトリックス樹脂について説明する。
【0035】
[炭素繊維]
炭素繊維は、好ましくは単繊維を100〜50000本集束剤により集束したものである。この炭素繊維は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維のいずれでもよい。炭素繊維に高弾性が必要であるときには、ピッチ系炭素繊維を用いるのが好ましい。
【0036】
なお、炭素繊維の繊維軸方向の引張弾性率は好ましくは200GPa以上、特に400GPa以上、更に好ましくは440GPa以上、例えば500〜900GPaである。また、繊維軸方向の熱伝導率は、好ましくは60W/mK以上、特に好ましくは110W/mK以上、例えば120〜600W/mKである。
【0037】
炭素繊維の繊維径は3〜20μm、特に5〜12μmであることが好ましい。炭素繊維の繊維径が細過ぎると、取り扱い性に劣り、また、一般に極細の炭素繊維は高コストであるため、製品コストを押し上げる原因となる。炭素繊維の繊維径が太過ぎると、繊維強度が低下し、折れ易くなるため、好ましくない。
【0038】
この炭素繊維としては、長繊維が好適である。前述の通り、補強片4としては、この長繊維が補強片4の長手方向に引き揃えられ、合成樹脂が含浸され、硬化処理された一方向引き揃え炭素繊維強化合成樹脂よりなるものが好適である。補強片4中における炭素繊維の含有量は5〜80重量%特に20〜65重量%程度が好適である。
【0039】
[マトリックス樹脂]
次に、炭素繊維と複合化するマトリックス樹脂について説明する。
【0040】
炭素繊維と複合化する樹脂は、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂のいずれでもよい。
【0041】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルケトン樹脂(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニルサルフォン樹脂(PPSU)、ポリフタルアミド樹脂(PPA)等の芳香族ポリアミド樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂(例えば紫外線硬化性樹脂)、湿気硬化性樹脂等が挙げられる。
【0043】
熱硬化性樹脂としては、常温で流動性を示し、加熱により硬化性を示す樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に、炭素繊維との接着性や剛性、取り扱い易さの観点からエポキシ樹脂が好ましい。
【0044】
光硬化性樹脂としては、ラジカル重合性成分及び光ラジカル重合開始剤、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物が用いることができる。本発明では、特に制限はないが好ましくは硬化後の樹脂剛性を考慮した場合、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物を用いることが好ましい。
【0045】
湿気硬化性樹脂としては、特開平2−16180、特開2000−36026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開2000−219855、特開2002−175510等に記載の樹脂、具体的には、ウレタン系樹脂、アルコキシド基含有シリコーン系樹脂などが挙げられる。湿気硬化型接着剤の1例として、分子末端にイソシアネート基含有ウレタンポリマーを主成分とし、このイソシアネート基が水分と反応して架橋構造を形成するものがある。湿気硬化型接着剤としては、例えば積水化学工業社製9613N、住友スリーエム社製TE030、TE100、日立化成ポリマー社製ハイボン4820、カネボウエヌエスシー社製ボンドマスター170シリーズ、Henkel社製MacroplastQR3460等があげられる。
【0046】
これらの樹脂には、難燃剤、カップリング剤、導電性付与剤、無機フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種染顔料等、通常、樹脂に配合される各種の添加剤を配合してもよい。
【0047】
上記筐体1を用いた液晶表示装置の断面構成の一例を第4図に示す。
【0048】
この液晶表示装置にあっては、シャーシ10の底板部11上に反射板31を介して導光板32が配置されている。導光板32の周縁部は押え部材36によって押えられている。この導光板32の端面に沿ってLED等の発光装置35が設置されている。この発光装置35は、シャーシ10の辺方向の囲壁部12に沿って配置されたアルミ又はアルミ合金製のブロック34の内向き側面に沿って配置されている。ブロック34はビス留め等により底板部11に固定されている。導光板32上に光学シート(図示略)を介して液晶パネル33が設置されている。この液晶パネル33の周縁部を押えるように枠状部材2が配置されている。なお、液晶パネル33の前面がガラス板で覆われてもよい。
【0049】
発光装置35で発生した熱は、主としてブロック34を介して囲壁部12からフレーム本体3へ伝播し、放散される。ブロック34、シャーシ10及びフレーム本体3がアルミ又はアルミ合金製であるので、放熱特性が良好であると共に、材料コストを大幅に低減することができる。また、アルミ又はアルミ合金製のフレーム本体3の周壁部3bの側面にCFRP製の補強片4を付着しているので、フレーム本体3の熱膨張が拘束され、筐体1の熱寸法安定性が良好となる。
【0050】
なお、シャーシ10は熱膨張するので、シャーシ10は枠状部材2に対し熱膨張が拘束されないように連結されるのが好ましい。このような連結としては、枠状部材2及びシャーシ10の一方に孔を設け、この孔に挿通されたビス又はボルトを他方に螺じ込むビス留め又はボルト留めするに際して、該孔を熱膨張方向に長い長孔とするものが例示される。
【0051】
[別の実施の形態]
上記実施の形態では、補強片4は平たく細長い帯板状となっているが、本発明ではさらに別の断面形状の補強片を用いてもよい。
【0052】
第5図の補強片20は、長手方向と垂直方向の断面が中空の「口」字形断面形状となっている。この補強片20は、例えば引き抜き成形などにより容易に成形することができる。「口」字形断面形状の代わりに「日」字形や「目」字形断面形状とされてもよい。
【0053】
第6図の補強片21は、周壁部3bに重なる主片部21aと、該主片部21aの双方の長手側辺より周壁部3bから離れる方向に起立した2条のリブ部21b,21bとを有している。この補強片21は、長手方向と垂直方向の断面がコ字形であるが、リブ部を1条だけ設けてもよく、3条のリブ部を設けることにより長手方向と垂直方向の断面がE字形となっていてもよく、4条以上のリブ部を設けてもよい。
【0054】
第7図及び第8図の補強片22,22’は、主面部3aに重なる第1片22aと、周壁部3bに重なる第2片22bとを有しており、長手方向と垂直方向の断面がL字形となっている。なお、第7図の補強片22では第1片22aが主面部3aの略全面に重なっているが、第8図の補強片22’のように第1片22aが主面部3aの周壁部3b側にのみに重なっていてもよい。第8図のように主面部3aに第1片22aで覆われていない領域を形成した場合、この領域のフレーム本体3からの放熱量が多くなる。
【0055】
第9図では、平たい帯状の補強片24を周壁部3bの内向き面に付着している。第10図の補強片25は、主面部3aの裏面に付着した第1片25aと、周壁部3bの内向き面に付着した第2片25bとを有する。第10図では第1片25aが主面部3aのうち周壁部3b側のみを覆っているが、主面部3aの略全体を覆うように幅広とされてもよい。
【0056】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。例えば、第5図、第7図、第8図の補強片20,22,22’において第6図の補強片21のようなリブ部を1条又は2条以上設けてもよい。
【0057】
本発明では、周壁部3bの外向き面及び内向き面の双方に補強片を付着させてもよい。
第4図では、導光板22の端面から発光装置35の光を入射させるエッジ型照光方式としているが、反射板の板面にLED等を、間隔をおいて多数配置し、導光板の代わりに拡散板を使用し、拡散板と反射板の間に空間を通常10〜40mm程度設けた直下型照光方式としてもよい。
【0058】
本発明の筐体は、いわゆる内装用筐体、外装用筐体のいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 筐体
2 枠状部材
3 フレーム本体
3a 主面部
3b 周壁部
4,20〜25 補強片
10 シャーシ
11 底板部
12 囲壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の枠状のフレーム本体と、
該フレーム本体に付着された、炭素繊維強化合成樹脂よりなる補強片と、
を有する電子機器用筐体の枠状部材であって、
該フレーム本体は、電子機器用筐体の前方を向いた主面部と、該主面部から立設された周壁部とを備えており、
該周壁部は、前記フレーム本体の周縁部に沿って延在しており、
前記補強片は、該周壁部に固着され、該周壁部の長手方向に延在していることを特徴とする枠状部材。
【請求項2】
請求項1において、前記補強片は、前記周壁部の外向き面に付着されていることを特徴とする枠状部材。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記補強片は、前記周壁部と主面部との双方に付着されていることを特徴とする枠状部材。
【請求項4】
請求項3において、前記補強片は前記周壁部から前記主面部にまで連続して付着されていることを特徴とする枠状部材。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記補強片は長手方向と垂直方向の断面形状が中空形状であることを特徴とする枠状部材。
【請求項6】
請求項1又ないし5のいずれか1項において、前記補強片は前記周壁部から離反する方向に起立し、補強片の長手方向に延在するリブ部を有することを特徴とする枠状部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の枠状部材と、該枠状部材に係合したシャーシとを備えてなる筐体。
【請求項8】
請求項7において、該シャーシは、底板部と、該底板部の周縁から起立した囲壁部とを備えており、該囲壁部が前記周壁部に内嵌状に係合していることを特徴とする筐体。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記枠状部材とシャーシとは、該シャーシの熱膨張を許容する連結手段にて連結されていることを特徴とする筐体。
【請求項10】
請求項9において、前記連結手段は、該枠状部材及びシャーシの一方に設けられた孔と、該孔を通って他方に対して螺着されたビス又はボルトよりなり、該孔が該シャーシの熱膨張方向に延在した長孔であることを特徴とする筐体。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項において、シャーシは金属よりなることを特徴とする筐体。
【請求項12】
請求項7ないし10のいずれか1項において、シャーシは金属よりなるシャーシ本体と、該シャーシ本体に付着された炭素繊維強化合成樹脂よりなるシャーシ用補強片とを備えたものであることを特徴とする筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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