説明

架橋されていない線状イソブテンポリマーの一の相を有する、透明な半相互侵入網目構造体

本発明は、架橋されていない線状イソブテンポリマーの第一相及び架橋されたポリマーの第二相を有する半相互侵入網目構造体に関する。この架橋されたポリマーは、第一のエチレン性不飽和モノマーと第二のエチレン性不飽和モノマーのラジカル共重合によって得られ、この場合、第一のエチレン性不飽和モノマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレートであり、かつ第二のエチレン性不飽和モノマーは、直鎖及び分枝のC〜C20−アルキル(メタ)アクリレートの群から選択される。第一のエチレン性不飽和モノマー対第二のエチレン性不飽和モノマーの比を変更することによって、半相互侵入網目構造体の振動減衰特性を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋されていない線状イソブテンポリマーの第一相と、架橋されたポリマーの第二相とを有する半相互侵入網目構造体に関する。
【0002】
線状ポリイソブテンは、気体及び湿分の遮断作用が高いこと、及び粘着性付与作用といった特別な特性により特徴付けられる。ポリイソブテンの気体及び湿分遮断作用は、例えば封止剤で利用される。線状ポリイソブテンの不利な点は、激しいクリープ傾向若しくはコールドフローを示すことであり、これらは多くの適用に対して好ましくない。
【0003】
ポリイソブテンの粘着性付与作用は、接着剤で利用される。ただしこの接着剤は、ポリイソブテンの凝集性が弱いことが原因で、完全に満足できるものではない。
【0004】
例えばPaul D.R.及びBarlow J.W.,J.Macromol.Sci.,Rev.Macromol.Chem.,18,109(1980)及びKrause S."PolymerBlends"1,66,Paul D.R.及びNewman S.Hrsg.,Academic Press New York (1978)から、ポリアルキレンポリマーとアタクチックポリスチレンが完全に非相容性であることは公知である。前記ポリマーの物理的な混合物は不均一であり、かつこの不十分な混和性のために、前記の純粋な成分の双方のガラス転移温度を示す。
【0005】
前記ポリマーを分子レベルで混合し、かついわゆる相互侵入網目を得ることを、架橋したポリアルキレンポリマーをスチレンで膨潤させ、前記スチレンを引き続きin situで重合することにより試みた。但し、達成可能な膨潤率は制限され、かつこの方法により10%よりも大幅に高いポリスチレン割合を前記網目構造体中に導入することはできなかった。更に、これに関連した特性改質は安定的でなく、かつ熱的な負荷の際には脱混合現象のために消失する。
【0006】
多様な適用、例えば包装分野のための透明なポリマー製品による明確な要求を有する。
【0007】
早期の出願PCT/EP2008/057815には、架橋されていない線状イソブテンポリマーの第一相と架橋されたポリマーの第二相を有する、半相互侵入網目構造体が記載されており、その際、架橋されたポリマーは、イソブテンポリマーの存在下で架橋合成反応によって得られる。これは、イソブテンポリマーと類似の屈折数を有するモノマーを選択することによって、透明な半相互侵入網目構造体を得ることが可能であることを説明する。したがって、透明な半相互侵入網目構造体は、モノマーとしてシクロヘキシルメタクリレートを使用する場合に得られるべきである。
【0008】
透明なポリマー生成物は、生成物を新規利用分野に利用可能にする目的で、しばしば特性の改変が望ましい。特に、機械的特性の調整は、生成物の透明性を妨げることなしに実施できなければならない。
【0009】
本発明によれば、この課題は、架橋されていない線状イソブテンポリマーの第一相及び架橋されたポリマーの第二相を有する半相互侵入網目構造体によって解決され、その際、架橋されたポリマーは、第一のエチレン性不飽和モノマーと第二のエチレン性不飽和モノマーのラジカル共重合によって得られ、この場合、第一のエチレン性不飽和モノマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレートであり、かつ第二のエチレン性不飽和モノマーは、直鎖及び分枝のC〜C20−アルキル(メタ)アクリレートの群、好ましくは直鎖及び分枝のC〜C18−アルキル(メタ)アクリレートの群から選択される。
【0010】
以下の実施例に示すように、第一のエチレン性不飽和モノマーと第二のエチレン性不飽和モノマーとの比を変化させることによって、性質、例えば半相互侵入網目構造体の振動減衰率(Schwingungsdampfung)を調製することができる。第一相対第二相の質量比、及び/又は第二相の架橋度を変えることにより、半相互侵入網目構造体の特性をその都度の要求に適合させることができる。
【0011】
半相互侵入網目構造体とは、架橋されたポリマーと、架橋されていない線状ポリマーの組み合わせと理解され、この際、一のポリマーは他のポリマーの存在下で合成されている。双方のポリマー構成要素の間には、本質的に共有結合は存在しない。架橋されていないポリマーは、架橋されたポリマーの網目構造体に侵入し、双方の成分はフック(Verhakung)とループ(Verschlaufung)により物理的にほとんど分離不可能である。この半相互侵入網目構造体によって、2つのポリマーが熱力学的に相容性でなくでも、これらのポリマーの特性を組み合わせることが可能になる。慣用のポリマーブレンドと比較して、半相互侵入網目構造体は、脱混合に対するより良好な耐性、及びより良好な機械的特性を特徴とする。半相互侵入網目構造体の分解耐性は通常、非相溶性ポリマーがブロックとして相互に共有結合されているコポリマーの当該耐性よりも良好である。
【0012】
本発明では、イソブテンポリマーを架橋されていない線状ポリマーとして使用する。半相互侵入網目構造体は、(1)接着性もコールドフローも無く、気体及び湿分遮断作用が高いことを特徴とする材料、(2)接着性と非常に僅かなコールドフローを特徴とする材料、又は(3)コールドフローが無く、気体及び湿分遮断作用が高いことと、高い接着性を特徴とする材料の製造を可能にする。
【0013】
本発明による成形材料中の第一相対第二相の質量割合は、一般的には5:95〜95:5、好適には5:95〜80:20、とりわけ30:70〜70:30である。
【0014】
架橋されたポリマーの高い含分を有する材料(例えば第一相対第二相の質量比が60:40〜10:90、好適には50:50〜30:70)は、本質的に接着性が無く、コールドフローも無い。ポリイソブテンの気体及び湿分遮断作用が得られる。これらの材料は、形態安定性の封止材料、又は空気及び/又は水蒸気に対してバリア作用のある成形体として適している。
【0015】
イソブテンポリマーの高い含分を有する本発明による材料(例えば第一相対第二相の質量比が60:40〜90:10、好適には60:40〜80:20)は、ポリイソブテンの粘着性付与特性を依然として十分に得られる。しかしながらこの材料はコールドフローがほとんど無く、かつポリイソブテンに対して改善された凝集性を示す。
【0016】
架橋された第二相が存在することによって、イソブテンポリマー含分が高い成形体であっても製造することができる。
【0017】
イソブテンポリマー
イソブテンポリマーは、少なくとも80質量%、とりわけ少なくとも90質量%、及び特に好ましくは少なくとも95質量%、及び殊に好ましくは少なくとも99質量%のイソブテン単位を含む。イソブテン単位の他にこのイソブテンポリマーは、オレフィン性不飽和モノマー単位(これは、イソブテンと共重合可能である)も含むことができる。このコポリマーは、ポリマー中でランダムに分散しているか又はブロックとして配置されていてよい。共重合可能なモノマーとして考慮されるのは、特にビニル芳香族、例えばスチレン、C〜Cアルキルスチレン、例えばα−メチルスチレン、3−及び4−メチルスチレン、又は4−t−ブチルスチレン、並びに5〜10個のC原子を有するイソオレフィン、例えば2−メチルブテン−1、2−メチルペンテン−1、2−メチルヘキセン−1、2−エチルペンテン−1、2−エチルヘキセン−1及び2−プロピルヘプテン−1、又はジエン、例えばイソプレン若しくはブタジエンである。
【0018】
好適にはこのイソブテンポリマーは、数平均分子量が500〜500,000、とりわけ1,000〜200,000、特に好ましくは20,000〜100,000である。
【0019】
本発明に適しているポリイソブテン、及びその製造は例えば、US-A-5137980、EP-A-145235及びUS-A-5068490に記載されている。これらのポリイソブテンは通常、イソブテンのカチオン重合により得られる。この重合は例えば、三フッ化ホウ素触媒のもとで進行する。
【0020】
適切なポリイソブテンは、Oppanol(登録商標)B10、Oppanol(登録商標)B12又はOppanol(登録商標)B15(BASF Aktiengesellschaft, Ludwigshafen, Deutschland)という名称で得られる。
【0021】
通常このポリイソブテンはカチオン重合により製造されるため、分子末端にエチレン性不飽和を有する。このエチレン性不飽和は通常、ラジカル重合によって単独重合又は共重合させることができない。従ってイソブテンポリマーの存在下でのエチレン性不飽和モノマーのラジカル重合において、イソブテンポリマーは基本的に反応に関与しない。生成する架橋されたポリマーとイソブテンポリマーとの間に、共有結合は形成されない。このイソブテンポリマーは好適には、(任意のエチレン性不飽和末端を除いて)官能基を有さない。
【0022】
架橋されたポリマー
本発明による半相互侵入網目構造体の第二相は、架橋されたポリマーにより形成される。架橋ポリマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレートの形での第一のエチレン性不飽和モノマーと、直鎖及び分枝のC〜C20−アルキル(メタ)アクリレートの群、好ましくは直鎖及び分枝のC〜C18−アルキル(メタ)アクリレートの群から選択される第二のエチレン性不飽和モノマーを共重合することによって得られる。
【0023】
エチレン性不飽和モノマーの共重合は、ラジカル的、アニオン的またはカチオン的に触媒することができる。ラジカル共重合は、一般に好ましい。
【0024】
第一のエチレン性不飽和モノマーと第二のエチレン性不飽和モノマーとの質量比は、一般には99:1〜1:99、好ましくは90:10〜10:90、特に好ましくは80:20〜20:80である。
【0025】
シクロアルキル(メタ)アクリレートは、単環または多環式のシクロアルキル基を含有し、この基は、直接またはC〜C−アルキル基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基に結合している。シクロアルキル基は、例えば1〜4個のC〜C−アルキル置換基を有していてもよい。
【0026】
特別な例は、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルアクリレート、4−メチルシクロヘキシルメタクリレート、2,6−ジメチルシクロヘキシルアクリレート、2,6−ジメチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、3,5−ジメチル−アダマンチルアクリレート及び3,5−ジメチルアダマンチルメタクリレートである。
【0027】
シクロヘキシルメタクリレートの使用は好ましい。
【0028】
〜C20−アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基中に1〜20個のC原子を有するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘンシル(メタ)アクリレートである。
【0029】
〜C18−アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
その中でもヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート及びこれらの混合物が好ましい。
【0031】
モノマーの全体量に対して僅かな割合、例えば2質量%で、水溶性モノマー又は親水性モノマーを併用することができる。水溶性モノマーは例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドである。親水性のモノマーはとりわけ、ヒドロキシ基及び/又はアミノ基を有するもの、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0032】
好ましくは、−70℃を上回る、好ましくは+20℃を上回り、かつ特に好ましくは+50℃を上回る、ガラス転移温度を有するコポリマーを製造する好ましいモノマー混合物を使用する。
【0033】
好ましくは、1MPa1/2を下回り、好ましくは0.7MPa1/2を下回り、特に好ましくは0.5MPa1/2を下回る程度に、イソブテンポリマーのものとは異なる溶解パラメータを有するポリマーまたはコポリマーを製造する、モノマー混合物を使用する。イソブテンポリマーの溶解パラメータと、架橋されたポリマーの当該パラメータとの差異が僅かな場合、ポリマー相互の相容性は高く、かつ網目構造体の抽出可能含分は、僅かである。
【0034】
この観点からすると、シクロヘキシルメタクリレート(ポリシクロヘキシルメタクリレート/ポリスチレンの溶解パラメータの差=0.20MPa1/2)の同時使用は、特に好ましい。
【0035】
測定方法は(Hoftyzer-Van Krevelenの増分法)と、溶解パラメータに対する実験測定値は、US 6362274 B1, J. Applied Polym. Sci. 2000, 78, 639、及び以下の研究論文で説明されている:D. W. van Krevelen,"Properties of polymers. Their correlation with chemical structure; their numerical estimation and prediction from additive group contributions",第3版、Elsevier, 1990年, 第189〜225頁。
【0036】
上述の一価エチレン性不飽和モノマーは、多価エチレン性不飽和モノマーと一緒に重合して、架橋ポリマーを得ることができる。
【0037】
多価エチレン性不飽和モノマーに該当するのは、少なくとも2つの非共役エチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、例えば二価のアルコールと、α−,β−モノエチレン性不飽和C〜C10−モノカルボン酸とのジエステルである。このような化合物の例は、アルキレングリコールジアクリレート及びアルキレングリコールジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリレート、トリシクロデセニル(メタ)アクリレート、N,N′−ジビニルイミダゾリン−2−オン又はトリアリルシアヌレートである。
【0038】
エチレングリコールジアクリレート及び1,4−ブタンジオールジアクリレートは、好ましくは多価エチレン性不飽和モノマーである。
【0039】
さらに架橋性モノマーとは、例えば、エポキシド(メタ)アクリレート、又はウレタン(メタ)アクリレートであってよい。
【0040】
エポキシド(メタ)アクリレートは、例えば、ポリグリシジルエーテル若しくはジグリシジルエーテルの反応、例えばビスフェノールA−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応により得られる。
【0041】
この反応は当業者には公知であり、例えばR. Holmann, U.V. and E.B. Curing Formulation for Printing Inks and Paints, London 1984に記載されている。
【0042】
ウレタン(メタ)アクリレートとはとりわけ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネート若しくはジイソシアネートとの反応生成物(同様にR. Holmann, U.V. and E.B. Curing Formulation for Printing Inks and Paints, London 1984参照)である。
【0043】
ウレタン(メタ)アクリレートに該当するのはまた、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、イソシアヌレートとの反応生成物である。イソシアヌレートとして好ましいのは、通常のジイソシアネートのイソシアヌレートである。特にジイソシアネートX(NCO)を挙げることができ、ここで、Xは、炭素原子4〜15個を有する脂肪族炭化水素基、炭素原子6〜15個を有する脂環式炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基又は炭素原子7〜15個を有する芳香脂肪族炭化水素基を表す。そのようなジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,2−ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−プロパン、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4′−ジイソシアナト−ジフェニルメタン、2,4′−ジイソシアナト−ジフェニルメタン、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)の異性体、例えばトランス/トランス−異性体、シス/シス−異性体及びシス/トランス−異性体並びにこれらの化合物からなる混合物である。
【0044】
架橋性モノマーは通常、構成モノマーの全体量に対して0.1〜100モル%の量で、例えば0.1〜30モル%、好適には1〜20モル%、とりわけ3〜10モル%の量で使用する。
【0045】
場合によりまた、後架橋性モノマーを併用することができる。後架橋性モノマーの架橋活性箇所は、合成反応に関与しないが、後の工程で選択的に後架橋させることができる。適切な後架橋性モノマーは例えば、グリシジルメタクリレート、アクリルアミドグリコール酸、メチルアクリルアミドグリコール酸メチルエステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアリルカルバメート、N−メチロールアクリルアミドのアルキルエーテル及びエステル、並びにN−メチロールメタクリルアミドのアルキルエーテル及びエステル、並びにN−メチロールアリルカルバメートのアルキルエーテル及びエステル、並びにアクリロキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、及びメタクリロキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、ビニルトリアルコキシシラン、及びビニルメチルジアルコキシシランである。
【0046】
架橋性モノマーの量は、所望の架橋度が調整されるように選択する。架橋度は、架橋剤の物質量(モル)を全体で存在するモノマーの物質量(モル)で割ったものと定義されている。架橋度は、好ましくは1〜20%、特に好ましくは3〜10%である。
【0047】
この重合は、ラジカル形成開始剤を使用して、及び/又は高エネルギー線、例えばUV放射又は電子線放射によって開始させる。また、酸化剤と還元剤を含むレドックス開始剤のペアを使用することもできる。この開始剤は通常、前記の架橋されたポリマーのモノマーの全体量に対して、0.1〜2質量%の量で使用される。過酸化物化合物、アゾ化合物又はアゾ過酸化物化合物の種類から成る適切な開始剤は当業者に公知であり、かつ市販されている。
【0048】
適した開始剤の例として、ジ−tert−ブチルオキシピバラート、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジアセチル、ジ−tert−ブチルペルオクトエート、過酸化ジベンゾイル、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、tert−ブチルペルベンゾエート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、1,1−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル2,5−ビス−(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン、1,4−ジ−(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、ジ−tert−ブチルジペルオキシアゼレート、又はジ−tert−ブチルペルオキシカルボネートが挙げられる。このうち、過酸化ジラウロイル、過酸化ジベンゾイル、tert−ブチルペルベンゾエート、及びtert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネートが好ましい。
【0049】
適切なアゾ開始剤は例えば、アゾイソブチロニトリルである(AIBN)。
【0050】
特定の実施態様では、光開始剤を使用する。
【0051】
光開始剤として、例えばいわゆるα開裂剤であってもよく、この場合、これは、化学的結合を分断することによって2個のラジカルを生じ、さらなる架橋反応または重合反応を開始させる光開始剤である。
【0052】
例えばアシルホスフィンオキシド(Lucirin(登録商標)BASF)、ヒドロキシアルキルフェノン(例えば、Irgacure(登録商標)184)、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、ジアルキルオキシアセトフェノンが適している。
【0053】
これはとりわけ、ポリマー鎖の水素原子を解き放つ、いわゆるH−引き抜き剤であってよく、これはここでは例えば、カルボニル基を有する光開始剤である。このカルボニル基は、C−H結合へと移行して原子団C−C−O−Hを形成する。
【0054】
ここで挙げられるのはとりわけ、アセトフェノン、ベンゾフェノン及びこれらの誘導体である。
【0055】
双方の種類の光開始剤を単独で、又は混合物でも使用することができる。
【0056】
熱重合は通常は高められた温度で行われ、その際温度範囲は40〜180℃、有利には60〜120℃が適している。有利には、前記温度を段階的に高めてもよい。前記重合が高エネルギー線によって開始される場合には、より低い温度、例えば周囲温度もまた適している。
【0057】
前記重合は、様々な方法で行うことができる。前記重合は通常、塊状重合、溶液重合、エマルション重合、又はミニエマルション重合として行う。
【0058】
溶剤は場合により併用されてよい。低〜中程度の含分、例えば第一相対第二相の質量比が70:30の場合、イソブテンポリマーが架橋されたポリマーの前駆体、例えば構成モノマーに溶解性であれば、溶剤の不存在下で合成を行うことができる。これらのモノマーは、反応性溶剤として働く。反応混合物の粘度を減少させるために、溶剤を一緒に使用することは有利であってもよい。第一相対第二相の質量比が70:30より高い場合、又はイソブテンポリマーが架橋されたポリマーの前駆体に不溶性、又は充分に溶解性ではない場合、溶剤の添加は通常不可避である。
【0059】
このために、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジイソブテン、トリイソブテン、テトライソブテン、ペンタイソブテン、ヘキサイソブテン又はこれらの混合物、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン化された炭化水素、例えばジクロロメタン若しくはトリクロロメタン、又はこれらの混合物が適している。
【0060】
前記重合はまた、可塑剤又は可塑剤混合物、例えば脂肪族若しくは芳香族アルコールのフタラート及びアジパート、例えばジ−(2−エチルヘキシル)アジパート、ジ(2−エチルヘキシル)フタラート、ジイソノニルアジパート、又はジイソノニルフタラートの存在下で実施してもよい。
【0061】
本発明による網目構造体の製造のために、例えばイソブテンポリマーを、エチレン性不飽和モノマー中で、場合によっては溶剤の添加下で、溶解または分散させ、この溶液または分散液を鋳型に装填し、かつ共重合を、たとえば温度上昇によってか、あるいはエネルギー線照射によって開始させる。網目構造体の形成後、その材料を離型することができる。
【0062】
代替的には、溶液又は分散液を、充填材及び/又は粘稠剤を添加してプラスチック成形可能な状態にする。その後この材料を、任意の所望の形状に成形することができる。成形は、有利には、成形ノズルによる押出によって実施することができる。この方法で例えば、封止用異形材が容易に製造可能である。成形された材料の形状はこの後、共重合の開始により、固定される。
【0063】
代替的には、1つの溶液又は分散液を調製し、そして共重合を開始し、この際架橋度は、最初に得られる網目構造体がなお成形可能であるように調整する。最初に得られる網目構造体はこの後、場合により充填材を添加後、任意の所望の形状に成形することができる。成形された材料の形状は、この後、後架橋により固定される。この後架橋は、温度上昇、高エネルギー線、及び/又は適切な触媒などにより達成することができる。共重合において、架橋活性箇所が共重合には関与せず、かつ共重合と成形の後、選択的に後架橋することができる後架橋性モノマーを併用すれば、後架橋は容易になる。
【0064】
本発明による材料は、一緒に、その都度の使用に通常である常用の助剤を含有することができる。これに該当するのは例えば、充填材、希釈剤又は安定剤である。
【0065】
好ましい実施態様では、本発明による半相互侵入網目構造体に作用物質若しくは効果物質を混入する。適切な作用物質は例えば、殺生剤であり、適切な効果物質は着色剤である。これらの作用物質又は効果物質は通常、純粋なポリイソブテンと混合することができないが、半相互侵入網目構造体には溶解性又は分散可能であるか、或いは架橋されたポリマー内で共有結合により固定されている。従って本発明がまず示すのは、イソブテンポリマーの特性を作用物質及び効果物質の特性と組み合わせるための方法である。
【0066】
適した充填剤は、例えばケイ酸、コロイドケイ酸、炭酸カルシウム、カーボンブラック、二酸化チタン、雲母、石英、ガラス繊維及びガラス球、などである。
【0067】
適した希釈剤は、例えばポリブテン、液状ポリブタジエン、水素化ポリブタジエン、パラフィンオイル、ナフテネート、アタクチックポリプロピレン、ジアルキルフタレート、反応性希釈剤、例えばアルコール及びオリゴイソブテンである。
【0068】
適した安定剤は、例えば2−ベンゾチアゾリル硫化物、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンジカルボキシレート、ジエチルアセチレンジカルボキシレート、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEである。
【0069】
本発明によれば、半相互侵入網目構造体は、平面形状の成形体として、特にシートとして製造することができ、その際、架橋されていない線状のイソブテンポリマー及び多官能性樹脂前駆体及び/またはモノマーを、少なくとも1個の架橋剤と一緒に含有する組成物を担体上に塗布し、かつこの組成物中で共重合が開始される。
【0070】
コポリマーは好ましくは、熱により、又は高エネルギー線により、とりわけUV光により開始する。高エネルギー線により開始する場合、組成物は好ましくは少なくとも1種の光安定剤を含む。被覆された担体は、高エネルギー光、好ましくはUV光で照射し、所望の架橋を得る。照射エネルギーは例えば、照射される面について10mJ/cm〜1500mJ/cmであってよい。
【0071】
担体材料は、一時的な担体(この担体から平面状構造物を製造後に、又は適用の前に直接再度剥がす)、例えばローラ、紙製の剥離シート(シリコナイズされていてもよい)、ポリオレフィン又はPVCから成るプラスチックシートであってよい。
【0072】
担体への塗布は、公知の方法、例えばローラ塗り、ドクターブレード、浸漬などにより行うことができる。塗布量はとりわけ、担体1平方メートルあたり10〜300g、好ましくは10〜150g、及び通常はしばしば20〜80gである。
【0073】
本発明による材料は、以下の適用のために適している。適用目的に従って、予備成形された半相互侵入網目構造体(例えばシートの形態)が使用されるか、又はこの半相互侵入網目構造体は、架橋されていない半−IPNからその場で(in-situ)で得られる:
− 窓又はドアのための封止材料。本発明による半相互侵入網目構造体は、窓封止分野において純粋なPIBより高い温度でもにじみ出ることなく使用することができる。
− サニタリー分野のための封止材料。架橋されていない半IPNを導入し、その場で重合/架橋させて、建築材料に対して良好な接着性を有する耐水性被覆材料を製造することができる。この封止材料は、菌類又は細菌類による繁茂を阻害することができる。このような材料により、湿分架橋性シリコーン系を置き換えることができる。
− 微生物、例えば細菌又は藻類の増殖を妨げる、又は低下させる防汚性コーティング。
− 耐水性の防水シート、例えば地面の穴や地理的構成内にある中空部のライニングのために、例えば燃焼残渣に用いられる。
− 建物の屋根葺きのための素材又は成形部材、帯状シート又はプレートの形態。
− ガラス被覆のためのポリマーシート。本発明による半相互侵入網目構造体から成るシートは、ガラス表面、とりわけガラス板に平面的に、接着することができる。これらのシートは、光線からの保護に用いられるか、又はガラス板に色を付与する(自動車ガラス着色)。
− 苔、藻類又はカビから保護するために、対象物、例えば彫刻、絵画、古書又は文化財的建造物に塗布される超薄型フィルム。
− 接触面における接着性と、内部での凝集性が高い接着物質。おそらくは、一定の相分離が生じ、その結果、イソブテンポリマーが外部表面に出てくる。このイソブテンポリマーは微視的な表面不均一部分、及び接合すべき平面の中空部分に侵入する。従って平面の良好な濡れ性及び粘着力が保証される。接着剤の内部においては、網目構造体は構造的な一体化、ひいては材料の良好な凝集性をもたらす。当該接着剤は、透明に調整することができる。水との接触の際に色が濁ってしまうことがある分散液ベースの接着剤と比較して、当該接着剤は利点を示す。
− 疎水性表面のための接着剤、例えばプラスチッック。
− ガラス表面のための接着剤、例えば複層ガラス接着剤/安全ガラスのための接着剤であり、この場合、安全ガラスは、ガラス/ポリマーシート/ガラスのサンドウィッチ構造から構成される。シートとしては、従来慣用のポリビニルブチラールを使用する。接着特性と機械的強化はまた、本発明による半相互侵入網目構造体からなるシートによっても、達成することができる。
− 接着剤の硬化を、塗布後に事後的な架橋により行う、いわゆる100%系のための接着剤。電子工業のための絶縁層である。本発明による半相互侵入網目構造体により、電子工業でPIBを電子部材の耐水性閉鎖/包装のために利用することができ、ショート、腐蝕などを避けることができる。
【0074】
考えられる適用のこれらの列挙は、排他的なものではない。
【0075】
本発明を添付の図面および以下の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0076】
図1は、温度に依存する、架橋された(コ)ポリマー中のPIB(PIB:(コ)ポリマーの質量比50/50)から成る半IPNの貯蔵弾性率を示す;左から:ラウリルメタクリレートホモポリマー;ラウリルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−コポリマー25−co−75;50−co−50;75−co−25;シクロヘキシルメタクリレートホモポリマー。
【0077】
図2は、温度に依存する、架橋された(コ)ポリマー(50/50)中のPIBから成る半IPNに関する損失係数(タンジェントデルタtan δ)を示す;左から:ラウリルメタクリレートホモポリマー、ラウリルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−コポリマー25−co−75;50−co−50;75−co−25;シクロヘキシルメタクリレートホモポリマー。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】温度に依存する、架橋された(コ)ポリマー中のPIB(PIB:(コ)ポリマーの質量比50/50)から成る半IPNの貯蔵弾性率を示すグラフ図
【図2】温度に依存する、架橋された(コ)ポリマー(50/50)中のPIBから成る半IPNに関する損失係数(tan δ)を示すグラフ図
【0079】
実施例:
次の実施例において、次の略符号が使用される:
半IPN=半相互侵入網目構造体
CHMA=シクロヘキシルメタクリレート
HMA=ヘキシルメタクリレート
LMA=ラウリルメタクリレート
iDMA=イソドデシルメタクリレート
SMA=ステアリルメタクリレート
PIB=ポリイソブテン
P(CHMA−co−XX)=シクロヘキシルメタクリレート及びモノマーXXから成るコポリマー
【0080】
実施例において、ポリイソブテンとしてOppanol B15SFNを使用する。これは、分子量85000g/モル(粘度調整剤)を有するポリイソブテンである。
【0081】
半IPNの熱機械的性質は、商標DMTA Q800(TA Instruments, New Castle, Delaware (USA) )の熱機械ダイナミクス解析を用いて測定する。条件は以下のとおりである:負荷率=0.05%、周波数=1Hz、加熱ランプ=3℃/分。
【0082】
実施例1:PIB/P(CHMA−co−HMA25−co−75)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、0.5gのシクロヘキシルメタクリレート、1.5gのヘキシルメタクリレート、0.12gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.06gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これは、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0083】
半IPNは、PIB相またはP(CHMA−co−HMA25−co−75)相に関して特徴的な−50℃及び58℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−HMA25−co−75)50/50半−IPNは、20℃で、73MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0084】
例2:PIB/P(CHMA−co−HMA25−co−75)70/30半−IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびヘキシルメタクリレートに関する架橋剤および開始剤の同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0085】
実施例3:PIB/P(CHMA−co−HMA50−co−50)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、1.0gのシクロヘキシルメタクリレート、1gのヘキシルメタクリレート、0.12gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.06gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。
【0086】
均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これを、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0087】
半IPNは、PIB相またはP(CHMA−co−HMA50−co−50)相に関して特徴的な−50℃及び85℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−HMA50−co−50)50/50半−IPNは、20℃で、167MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0088】
実施例4:PIB/P(CHMA−co−HMA50−co−50)70/30半−IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびヘキシルメタクリレートに関する架橋剤および開始剤の同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0089】
実施例5:PIB/P(CHMA−co−HMA75−co−25)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、1.5gのシクロヘキシルメタクリレート、0.5gのヘキシルメタクリレート、0.12gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.06gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これを、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチは、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0090】
半IPNは、PIB相またはP(CHMA−co−HMA75−co−25)相に関して特徴的な−50℃及び117℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−HMA75−co−25)50/50半−IPNは、20℃で、182MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0091】
実施例6:PIB/P(CHMA−co−HMA75−co−25)70/30半IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびヘキシルメタクリレートに関して架橋剤と開始剤との同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0092】
実施例7:PIB/P(CHMA−co−LMA25−co−75)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、0.5gのシクロヘキシルメタクリレート、1.5gのラウリルメタクリレート、0.09gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.04gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これを、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0093】
半IPNを、PIB相またはP(CHMA−co−LMA25−co−75)相に関して特徴的な−50℃及び24℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−LMA25−co−75)50/50半−IPNは、20℃で、6MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0094】
実施例8:PIB/P(CHMA−co−LMA25−co−75)70/30半IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートに関して架橋剤と開始剤との同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0095】
実施例9:PIB/P(CHMA−co−LMA50−co−50)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、1gのシクロヘキシルメタクリレート、1gのラウリルメタクリレート、0.1gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.05gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これを、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0096】
半IPNは、PIB相またはP(CHMA−co−LMA50−co−50)相に関して特徴的な−50℃及び61℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−LMA50−co−50)50/50半−IPNは、20℃で、83MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0097】
実施例10:PIB/P(CHMA−co−LMA25−co−75)70/30半IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートに関して架橋剤と開始剤との同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0098】
実施例11:PIB/P(CHMA−co−LMA75−co−25)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、0.5gのシクロヘキシルメタクリレート、1.5gのラウリルメタクリレート、0.11gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.05gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これを、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0099】
半IPNは、PIB相またはP(CHMA−co−LMA75−co−25)相に関して特徴的な−50℃及び103℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−LMA75−co−25)50/50半−IPNは、20℃で、171MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0100】
実施例12:PIB/P(CHMA−co−LMA75−co−25)70/30半IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートに関して架橋剤と開始剤との同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0101】
実施例13:PIB/P(CHMA−co−iDMA50−co−50)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、1gのシクロヘキシルメタクリレート、1gのイソデシルメタクリレート、0.1gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.05gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これを、ガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0102】
半IPNは、PIBまたはP(CHMA−co−iDMA50−co−50)−相に関して特徴付けられる−50℃及び78℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−iDMA50−co−50)50/50半−IPNは、20℃で、114MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(200℃まで)コールドフローを示さない。
【0103】
実施例14:PIB/P(CHMA−co−iDMA50−co−50)70/30半IPN
半IPNを、同一の試験条件下(シクロヘキシルメタクリレートおよびイソデシルメタクリレートに関して架橋剤と開始剤との同一のモル比)で、上述の実施例のようにして製造した。
【0104】
実施例15:PIB/P(CHMA−co−SMA50−co−50)50/50半IPN
2gのPIBを、機械的攪拌下で、1gのシクロヘキシルメタクリレート、1gのステアリルメタクリレート、0.09gのエチレングリコールジメタクリレート及び0.04gの過酸化ベンゾイル中に溶解した。均一な粘性を有する溶液が得られるやいなや、これをガラスから成る鋳型中に1mmのテフロン厚で装入した。製造バッチを、80℃で25分及び100℃で5分硬化させた。透明な材料が得られた。
【0105】
半IPNは、PIB相またはP(CHMA−co−SMA50−co−50)相に関して特徴的な−50℃及び58℃の2つの機械的応力緩和を示す。PIB/P(CHMA−co−SMA50−co−50)50/50半−IPNは、20℃で、38MPaの貯蔵弾性率で、かつ高い温度であっても(160℃まで)コールドフローを示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されていない線状イソブテンポリマーの第一相及び架橋されたポリマーの第二相を有する半相互侵入網目構造体において、架橋されたポリマーが、第一のエチレン性不飽和モノマーと第二のエチレン性不飽和モノマーの共重合によって得られ、この際、第一のエチレン性不飽和モノマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレートであり、かつ第二のエチレン性不飽和モノマーは、直鎖及び分枝のC〜C20−アルキル(メタ)アクリレートの群から選択される、前記半相互侵入網目構造体。
【請求項2】
第一のエチレン性不飽和モノマーが、シクロヘキシルメタクリレートである、請求項1に記載の網目構造体。
【請求項3】
第二のエチレン性不飽和モノマーが、C〜C18−アルキル(メタ)アクリレートの群から選択される、請求項1または2に記載の網目構造体。
【請求項4】
第二のエチレン性不飽和モノマーが、ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート及びこれらの混合物の群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項5】
架橋されたポリマーが、多価エチレン性不飽和モノマーの存在下で共重合によって得られる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項6】
多価エチレン性不飽和モノマーが、エチレングリコールジメタクリレート及び1,4−ブタンジオールジメタクリレートの群から選択される、請求項5に記載の網目構造体。
【請求項7】
第一のエチレン性不飽和モノマーと第二のエチレン性不飽和モノマーとの質量比が90:10〜10:90である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項8】
モノマーが、イソブテンポリマーの溶解パラメータとは1MPa1/2を下回る程度に異なる溶解パラメータを有するポリマーを製造する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項9】
架橋されたポリマーの架橋度が1〜20%である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項10】
第一の相と第二の相との質量比が5:95〜95:5である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項11】
イソブテンポリマーが500〜500000の数平均分子量を示す、請求項1から10までのいずれか1項に記載の網目構造体。
【請求項12】
気体および湿分遮断作用を有する成形材料として、あるいは接着剤および/または封止材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の網目構造体の使用。
【請求項13】
第一のエチレン性不飽和モノマー、第二のエチレン性不飽和モノマーおよび多価エチレン性不飽和モノマーを、イソブテンポリマーの存在下でラジカル重合する、請求項1に記載の半相互侵入網目構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−511605(P2012−511605A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540085(P2011−540085)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066767
【国際公開番号】WO2010/066809
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】