説明

架橋ポリマーマトリックス及び固定化された活性液を含有する組成物及び製品、並びにその製造法及び使用法

本発明は、架橋ポリマーマトリックスと、固定化された活性液とを含む組成物及び製品、並びにその製造法及び使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーマトリックス及び、該マトリクス中に固定化された活性液体を含有する組成物及び製品、並びにその製造法及び使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー系、たとえばエポキシ系の硬化及び/又は架橋は、“Handbook Of Epoxy Resins”、Henry Lee及びKris Neville編(McGraw Hill、1967年)、“The Epoxy Formulators Manual”、the Society of Plastics Industry,Inc.(1984年)及びthe Encyclopedia of Science and Technology(Kirk-Othmer,John Wiley&Sons,1994年)などの教科書や工業用ハンドブックに記載されている。今日まで、上記の系及び該系に関連する別の系を、芳香剤を有する及び/又はこれを含むような活性液体を固定化し得る方法で硬化することは、特に上記の系から広範囲の操作条件下での耐用性及び性能が要求されるときには、非常に困難であった。
【0003】
たとえば、JP03258899Aでは固体粉末系を使用する必要があるのに対し、JP07145299では、ポリアミン及び/又は香水を含む活性液体の非存在下で架橋したプレフォームウレタン含有エポキシ樹脂を使用する必要がある。さらに上記日本国特許文献では、特にエアフレッシュナーなどのフレグランス製品だけに言及している。そのような製品を製造するための限定的な目的のために、これらの明細書に記載された反応及び反応生成物は、広範囲な適用可能性を示さない。さらにこれらは支持体の不存在下で耐用性のある製品は提供できていない。従って、任意の及び/又は全ての種類の活性液体をマトリックス内に固定化し得る持続性マトリックスを含有する動的反応生成物を提供する制御可能な反応条件が必要とされている。
【0004】
芳香剤製品、特にエアフレッシュナーなどの組成物は、屋内の部屋、公共の建物の区域(たとえば洗面所)又は自動車の中に芳香剤を放出させて、その場所の空気を居住者により心地よくするための公知のデバイスである。たとえば米国特許第6,111,655号及び同第6,503,577号に記載の熱可塑性ポリアミドベースの製品並びに、米国特許第5,780,527号及び同第6,846,491号の熱硬化性ポリ(アミノ酸)などの実質的に非水性ゲルだけが、液体状であるときに、モールドに容易に充填でき、支持体という手段を使用せずに視覚的にも魅力的な固体形状に製造することができる均質の透明な固体である。しかしながら、熱可塑性ゲルを製造する間、成分は混合物のゲル化温度よりも高い温度に加熱しなければならず、芳香剤、殺虫剤又は界面活性剤などの揮発性で、ある程度温度感受性の活性液体に悪影響を与えるプロセスもある。貯蔵又は使用の間に美しくない濁りが生じることがあるので、これらのゲルは低温に暴露してはいけない。さらに、これらのゲルは液体になって形状を失い、あるいは、容器から漏れてしまうかもしれないので、高温に暴露してはいけない。これらの欠点は、自動車内のフレッシュナーなど、広範囲の温度に必然的に曝されるエアフレッシュナーにとっては深刻である。フレッシュナーは、冬には低温に、そして夏には直射日光下で駐車する場合に、110°F(約37.7℃)を超える温度に曝されることが多い。更に、熱可塑性ゲルは、引っ掻いたり、落としたり、突いたり、拭き取ったりすることによって容易に変形する柔らかい固体である。そたがって、これらの慣用のゲルは、広範囲の操作パラメーターの下で操作可能であり且つ持続性を有する組成物及び/又は製品を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3-258899号公報
【特許文献2】特開平7-145299号公報
【特許文献3】米国特許第6,111,655号明細書
【特許文献4】米国特許第6,503,577号明細書
【特許文献5】米国特許第5,780,527号明細書
【特許文献6】米国特許第6,846,491号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ヘンリー・リー(Henry Lee)及びクリス・ネヴィル(Kris Neville)編「ハンドブック・オブ・エポキシ・レジンズ(Handbook Of Epoxy Resins)」(米国)、マグローヒル(McGraw Hill)、1967年
【非特許文献2】カーク及びオスマー(Kirk-Othmer)編「エンサイクロペディア・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー(The Encyclopedia of Science and Technology)」(米国)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)、1994年
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明者らは、広範囲の使用条件にわたって持続性を有し且つ安定である、ポリマーマトリックス内全体に均質に分布した、固定化活性液体を含む熱硬化性、即ち架橋ポリマーマトリックスを提供するためのより効率的な溶液を発見した。
【0008】
本発明の一つの目的は、有効量の活性液体の存在下で、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとを単に混合することによって得られる反応生成物である。
【0009】
本発明の他の目的は、有効量の活性液体の存在下、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つ以上の官能基をもつ化合物とポリアミンとを混合して得られる反応生成物を含む組成物、及び該反応生成物を含む物品である。非限定的な例としては、そのような物品は、エアフレッシュナー、洗濯物芳香剤シート、洗濯布帛柔軟剤シート、洗濯物静電気防止シート、保管用芳香剤製品、医薬分配製品、栄養補助食品分配製品、バイオ医薬分配製品、殺カビ剤分配製品、殺菌剤分配製品、殺虫剤分配物、装飾用品、バイオメディカルセンサー及び/又は分析用デバイスであってもよい。上記のそのような反応生成物、組成物及び/又は製品の製造法も本発明の更なる目的である。
【0010】
本発明の一つの側面は、場合により、硬化ポリマーマトリックスが、活性液体、反応速度調節剤、促進剤(即ち触媒)又は抑制剤の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である態様に関する。さらなる態様としては、そのような組成物及び製品の製造及び使用法を包含する。
【0011】
本発明の別の目的は、硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含む組成物及び/又は製品であって、ここで前記活性液体は前記硬化ポリマーマトリックス内に均一に固定化されており、且つ前記硬化ポリマーマトリックスは少なくとも二つの非芳香族イソシアナート官能基をもつ混合物を混合してなる反応生成物である。さらなる態様としては、そのような組成物及び製品の製造及び使用法が挙げられる。
【0012】
本発明の別の目的は、硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含む組成物及び/又は製品であって、ここで前記活性液体は硬化ポリマーマトリックス内に均一に固定化されており、且つ前記硬化ポリマーマトリックスは少なくとも一つ、好ましくは1個を上回るイソシアナート官能基をもつ化合物を混合してなる反応混合物であり、前記ポリアミンはアミノ安息香酸分子由来の残基で末端停止されたポリマーである。さらなる態様としては、そのような組成物及び製品の製造及び使用法が挙げられる。
【0013】
本発明の別の目的は、硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含む組成物及び/又は製品であって、ここで前記活性液体は硬化ポリマーマトリックス内で固定化され、且つ硬化ポリマーマトリックスは、活性液体及び水の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物と、ポリアミンを含む液体との反応生成物である。さらなる態様としては、そのような組成物及び製品の製造及び使用法が挙げられる。
【0014】
本発明の別の目的は、硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含む組成物及び/又は製品であって、ここで前記活性液体は硬化ポリマーマトリックス内で固定化され、且つ硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、二つ以上のイソシアナート官能基をもつ化合物とポリマー性ポリアミンとの反応生成物であり、ここで前記ポリマー性ポリアミンは1〜100meq KOH/gのアミン価と、150℃で測定して約500cP以下の粘度を有する。さらなる態様としては、そのような組成物及び製品の製造及び使用法が挙げられる。
【0015】
本発明の別の目的は、硬化ポリマーマトリックスと活性液体と含む組成物及び/又は製品であって、ここで前記活性液体は硬化ポリマーマトリックス内で固定化され、前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体若しくは水又はその混合物の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、ここで前記ポリアミンは室温で液体である。さらなる態様としては、そのような組成物及び製品の製造及び使用法が挙げられる。
【0016】
従って、本発明の追加の目的は、液体ポリエポキシ若しくはポリイソシアナート化合物と液体ポリアミンとの反応によりポリマーマトリックス内に活性液体を均一に固定化することによる、エアケア、治療的、殺菌的、栄養的、表面処理及びその他の製品において有用であり、透明性、柔軟性を有し、安定な固体の製造法を提供することである。さらに、本発明の目的は、該方法により製造される、この一般的な種類の従来公知の組成物の欠点を克服するエアケア、治療的、栄養的、表面処理及び殺菌製品を提供することである。
【0017】
上記の目的に関し、本発明に従って、エアケア、治療的、栄養補助的、及び殺生物的組成物及びその他の有用な製品を製造する方法を提供する。本方法としては、ポリアミンと液体ポリエポキシ又は液体ポリイソシアナート材料の反応生成物から選択された架橋マトリックス内に、芳香油、殺虫剤、界面活性剤、薬剤、栄養補助食品、界面活性剤、トレーサー色素(tracer dye)、又は他の活性揮発性若しくは不揮発性液体などの活性液体を均一に固定化することを含み、該反応は、活性液体の存在下で実施される。この種の製品は、(1)ポリアミン、活性液体と、希釈剤、可塑剤、充填剤、安定剤及び着色剤などの所望の任意成分をブレンドする;(2)この混合物と、追加の量の可塑剤、充填剤、安定剤及び着色剤で必要に応じて希釈したポリエポキシ又はポリイソシアナートとをブレンドする;(3)シート又はスラブとして最終ブレンド物を支持体、型(form)、容器又はモールド(mold)に注ぐ;(4)必要に応じて、注いだブレンド物を覆うか又は封止して、汚染物質から保護し、揮発性成分が蒸発しないようにする;(5)必要に応じて、ブレンド物が硬化するまで該ブレンド物を貯蔵する;及び(6)必要に応じて、硬化した固定化液体製品をシート、スラブ、型、容器又はモールドから取り出して、該固定化液体製品を別の形状に切り出し、容器内ででき上がった形状で使用することにより製造することができる。
【0018】
本願の一つの発明は、透明又はほとんど透明(たとえば、艶消しされた)で且つ丈夫であり、視覚的に魅力的な固体エアフレッシュナー、特に部屋、クローゼット、引き出し、バッグ、エリア(area)、又は自動車内フレッシュナーである。本発明のこの目的に従って、活性液体は芳香族組成物(即ち、芳香油、香気(scent)、又は香水)である。「丈夫な(robust)」とは、安価に包装でき、且つ変形することなく取り扱うことができる製品を意味する。芳香性材料を含む組成物は(即ち容器又はホルダー内に)保持してよく、又は、自立的であってよい。特に、エアフレッシュナーをそのパッケージや包装紙から取り出したら、特別な注意を払う必要はない。さらに本発明のエアフレッシュナーは、温度、湿度及び、その使用寿命の間は光への暴露による変化に耐えることを目的としており、その貯蔵及び取り扱い寿命の間に好適な包装材で適度に保護される。該エアケア組成物は、シネレシス(“発汗”としても公知)を発生させないことを目的としている。製品のマトリックス材料は、貯蔵用の包装紙から出して手に触れても、事実上毒性がなく、かぶれを引き起こさない。本発明のエアケア組成物は容易に芳香油の支持体である多孔質粉末、布帛、繊維に結び付くが、これらを必要としているわけではない。
【0019】
本発明のさらなる側面は、水が、架橋組成物中に含まれている場合に、必要に応じて、使用期間の終わりを示すために収縮させる、あるいは染料や塩などの水溶性成分を導入させるなど、有益な目的に役立つように、製品成分は、所望の最終特性(たとえば芳香剤の放出、安定性)を失うことなく、水に不溶性であってよいことである。
【0020】
本発明のさらなる目的によれば、活性液体は、防臭剤、臭気剤、清浄剤(sanitizer)、殺昆虫剤、殺虫剤、忌避剤又はフェロモンなどの生物活性材料であるか、及び/又は、これらを含んでよい。この後者の四つの場合には、製品は害虫駆除デバイスとなる。
【0021】
本発明のさらなる目的によれば、活性液体は、サイズ(size)、架橋又は触媒物質、界面活性剤、染色剤(stain)若しくは他の着色剤又は特別な染料、布帛柔軟剤、あるいは潤滑剤などの表面処理剤であるか、及び/又は、これらを含んでよい。
【0022】
本発明のさらなる目的によれば、活性液体は、治療的、栄養的及び/又はバイオ医薬的薬剤であるか、及び/又は、これらを含んでよい。かくして本発明は、パッチなどのヒト患者及び/又は患畜にバイオ医薬製品を送達するための手段、又は、餌としてトラップ若しくは罠に動物をおびき寄せるための手段に関する。
【0023】
本発明のさらなる目的によれば、活性液体は、DNA、RNA、及び/又はタンパク質、及び/又は炭水化物及び/又はステロイドなどの生体高分子であるか、及び/又は、これらを含んでよい。上記成分の被保護前駆体は全て本発明により想定されている。かくして本発明は、一部では、患者、被験動物、及び/又は環境因子の診断目的のための生物分析製品及び/又はバイオセンサに関する。
【0024】
本発明のさらなる目的によれば、より人目を引くように及び/又は有用性を高めるようにするために、不活性固体材料を配合することができる。そのような材料の例としては、フレーク、ヤスリ屑(filing)、ラメ(glitter)、フォイル、ビーズ若しくはマイカチップ、金属、プラスチック、貝殻若しくはガラスポリカーボネートフレーク、ガラスビーズ、又はコーヒー粉末などの天然材料が挙げられるが、これらに限定されない。後者の材料を含む製品の予想される用途は、ノベルティのコーヒーマグコースターである。この材料は、デザインやロゴを予め印刷した透明なプラスチックフィルムが考えられる。配合可能な別の有用な固体製品は、金属表面に架橋製品を付着させるマグネットである。配合可能な別の有用な固体製品は、砂糖、挽いたナッツ、タンパク質粉末及び塩などの害虫の餌材料である。
【0025】
本発明は方法も包含する。本方法は、香料若しくは殺虫剤などの活性液体、液体ポリエポキシ、ポリ無水物又はポリイソシアナート化合物(以後、単にエポキシ、無水物又はイソシアナートと称する)と液体若しくは低融点ポリアミンとを好ましくは室温若しくはその付近の温度でブレンドする;この混合物をモールド若しくは多孔質支持体に注ぐか、又はこれを流延して薄いシートに成形する;必要に応じて、活性成分が失われないように、未架橋(たとえば未硬化)若しくは部分的架橋製品を不浸透性フォイル若しくはフィルム又は容器に封止し、該混合物を室温で又は、必要に応じて、高温で該混合物が架橋(たとえば硬化)するまで静置する工程を含む。得られた熱硬化性固体は、種々のファクターに応じた速度で環境中に活性成分を放出するデバイスの成分として有用であり、該ファクターとしては、製品の形状、暴露表面量、温度、使用条件下で製品を取り巻く空気の流れ及び水の動き、使用時の製品の摩耗、及び活性液体の配合物中の濃度が挙げられる。
【0026】
活性液体は硬化ポリマーマトリックス内に固定化され、硬化ポリマーマトリックスが、活性液体の存在下における、エポキシ、無水物及びイソシアナートから選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であるという本発明の一側面では、組成物及び/又は製品中に活性材料を固定化することに多くの好都合な点がある。この好都合な点としては以下のものの一つ以上が含まれる。
・熱感受性のオイルに熱を加える必要がない;
・取り扱うことができる固体製品中に多量の液体を充填することが可能である;
・製品成分は、簡単な装置によって容易にブレンドされた液体であってよい;
・硬化反応は、該反応を誘発するための外部薬剤を必要とせず、発泡する可能性のある揮発性副生成物は生成せず、全体にわたって均一に起こる;
・ブレンド物は硬化の間に殆ど収縮しない;
・未充填の場合には製品は透明である;
・ほとんど匂い、着色、毒性を持たない製品成分が利用可能である;
・製品は優れた耐久性を有し、水に不溶性であり、融解しない。
・製品はプラスチック包装材料に付着しないので、特殊な剥離フィルムでない材料の内部に包装することができる;
・硬化製品の粘着性は、製品が粘着性を持たないか、又は窓などの垂直な面に一次的に付着させるのに十分に粘着性であるように、調節することができる;
・製品は染料及び顔料で容易に着色することができる;及び/又は
・流体の予備硬化液体はモールドを完全に充填するので、エンボスのロゴ又は装飾的なデザインなどの完成品の一部としてより微細な細部を表現できる。
【0027】
本発明の特徴事項と考えられる、その他の特徴は本明細書に記載されており、添付された請求の範囲でも説明される。
【0028】
本発明は、活性液体を架橋マトリックスで固定化することによって、透明性、柔軟性を有し、安定な組成物などの組成物及び製品を製造するための方法として具体化されているように、本明細書中で例示及び記載されているが、本発明の精神から逸脱することなく、請求の範囲の均等物の範囲内で種々の変形及び構造上の変更が可能であるので、本明細書に示された詳細に限定しようとするものではない。
【0029】
ポリマーマトリックス−固定化活性液体は、これらが周囲環境中に活性成分を放出するので、エアケア、害虫駆除、洗濯物のお手入れ、治療的又はその他のデバイスとして有用である。しかしながら、本発明の構成及び操作方法の他、本発明の追加の目的及び有利な点は、、以下の具体的な態様の説明とその後に続く実施例及び請求の範囲を読むことにより最も良く理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい具体的な態様の記載
本発明は、架橋ポリマーマトリックスと活性液体とを含む組成物及び/又は製品に関し、ここで前記活性液体はマトリックスにより(又はその中に)均一(即ち均質)に存在する。また本発明は、ポリマーマトリックス内で活性液体を固定化する方法に関する。さらに本発明は、ポリマーマトリックスと活性液体とを含む固体の、安定な組成物及び/又は製品の製造法に関し、ここで前記活性液体はマトリックスによって固定化されている。活性液体は、キャリヤ液体中の活性成分の溶液であってよいし、又は本質的に活性であってよい。キャリヤ液体は有機液体又は水であってよい。
【0031】
架橋ポリマーマトリックスは、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも一個、好ましくは二個以上の官能基をもつ化合物とポリアミン化合物との反応生成物であり、前記反応は活性液体の存在下で実施する。水が存在し且つマトリックスと適合的である場合、水は固定化液体の一部となる。水がもし存在し且つマトリックスと非適合的である場合、水はマトリックスと固定化液相によりトラップされるか、粒子分散液の形態でマトリックス/固定化液相を懸濁することができる。
【0032】
好ましくは二個以上のエポキシ官能基をもつ化合物は、任意のエポキシであってよいが、液状であるのが好ましい。本発明のエポキシ含有化合物の例は、“Handbook Of Epoxy Resins”、Henry Lee及びKris Neville編(McGraw Hill、1967年)、“The Epoxy Formulators Manual”、the Society of Plastics Industry,Inc.(1984年)及びthe Encyclopedia of Science and Technology(Kirk-Othmer,John Wiley&Sons,1994年)中に見い出すことができる。本発明で使用し得る液体エポキシ樹脂の具体例は、以下に列記するが、これらに限定されない。実施例では以下の成分を使用する:EPON(登録商標)828(ビスフェノールA及びFのジグリシジルエーテル(Resolution Performance Productsから入手可能なEPON(登録商標)828及びEPON(登録商標)8620)、ビスフェノールAの水素化グリシジルエーテル(EPALLOY(登録商標)5000及びEPALLOY(登録商標)5001(ビスフェノールAの水素化グリシジルエーテルを含む、CVE Specialty Chemicalsの製品)、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ダイマー酸及びトリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル(全てResolution Performance Productsから、HELOXY(登録商標)変性剤製品系列で入手可能)。
【0033】
上記のエポキシ含有化合物は単なる例示であり、本発明では多くの追加のエポキシ含有化合物が適用可能である。
【0034】
好ましくは二つ以上の無水物官能基をもつ化合物は、任意のポリ無水物であってよいが、液状であり、且つマレエート化ポリオレフィンゴムでないことが好ましい。より具体的には、好ましくは無水物は、好適なキャリヤ液体中に溶解した固体ポリマーであり、前記ポリマーは、以下のものからなる群から選択される:
(a)マレエート化ゴム以外のマレエート化オレフィンポリマー、たとえばポリブタジエン又はポリ(イソブチレン);
(b)オレフィン−無水マレイン酸コポリマー;及び
(c)アルファ−オレフィン−無水マレイン酸交互コポリマー。
【0035】
本発明の好適な無水物官能基ポリマーの具体例は、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、たとえばNOVA Chemicalsから入手可能なDYLARK(登録商標)232及びDYLARK(登録商標)332、並びに、Chevron Corporationから入手可能なポリ(1-オクタデセン-alt-無水マレイン酸)がある。これらの無水物含有ポリマーは代表例であり、本発明において多くの追加の無水物含有ポリマーが適用可能である。
【0036】
二つ以上のイソシアナート官能基をもつ化合物は、任意のポリイソシアナートであってよいが、液状の化合物であるのが好ましい。本発明のイソシアナート含有化合物の具体例としては、任意の脂肪族二官能性イソシアナート材料であってよく、たとえば液体ジイソシアナート類、たとえばイソホロン及びジイソシアナート及びビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタンがある。好ましい多官能性イソシアナートは低揮発性であるので、毒性が低い。例としては、商品名DESMODUR(登録商標)のもとBayer Corporation,Industrial Chemicals Divisionより入手可能な製品であり、制限されないが、DESMODUR(登録商標)N-シリーズ脂肪族イソシアヌレート類、特にDESMODUR(登録商標)N-3000、DESMODUR(登録商標)N-3600及びDESMODUR(登録商標)N-3800並びにDESMODUR(登録商標)Z-シリーズ、特にDESMODUR(登録商標)Z4470が挙げられる。これらのイソシアナート含有化合物は代表例であり、本発明において多くの追加のイソシアナート含有化合物が利用可能である。
【0037】
以下に詳細に記載するように、前記イソシアナート官能基はエポキシ官能基よりもかなり早くアミン官能基と反応するので、イソシアナートとの架橋反応に適したポリアミン化合物は、エポキシとの使用に関しては必ずしも満足できるものではない。エポキシ官能性化合物との反応のための本発明の好ましいポリアミン化合物は25℃で液体であり、多くの活性液体に溶解し、且つこれと混和性であり、100℃で測定して約100cP以下の粘度を有し、100〜1200meq KOH/gのアミン価を有する。このアミン価は、100、200、500、750、1000及び1200meq KOH/gであってもよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含むことができる。好ましいポリアミンは、1,2-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メタ‐キシレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)があるが、これらに限定されない。特に好ましいものは、25℃で液体であり、50重量%を超えるアミンが、たとえばHuntsman Corporation及びBASF Corporationによって供給されるオリゴマー化エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはテトラヒドロフラン又はこれらの組み合わせから誘導されるポリエーテルセグメントを含むポリ(アルキレンエポキシ)ポリアミン類(ポリエーテルアミン類とも称される)である。これらの例としては、JEFFAMINE(登録商標)D-230、D-400、D-2000、T-5000、T-403及びXT J511、XTJ-511、全てのポリエーテルジアミン類(Huntsman Corporationの供給品)がある。液体ポリアミンは、ポリアミド-アミン族(family)から選択することができ、これらの例としては、Arizona Chemicalより販売されているアミドアミド‐アミン硬化剤のUNIREZ(登録商標)シリーズがある。これらの材料は接着性を付与することが公知であり、皮膚感受性が低い。アミン類は、粘度、反応速度及び製品性能を最適化するために二種以上のアミンの混合物をブレンドしたものであってもよい。
【0038】
イソシアナート官能性化合物との反応のための本発明の好ましいポリアミン化合物は、モノマー単位の一部ではないアミン基によって末端停止されている繰り返しモノマー単位を含むポリマー骨格を有する材料である。このポリマー性ポリアミンはさらに、50℃未満の温度で液体であることが好ましく、たとえば液体又は低融点アミンである。より好ましくは、ポリアミンは通常の室温で液体である。本発明により、アミンは50℃未満、最大限でも50℃、45℃、40℃、30℃、20℃及び10℃未満、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含む融点又は軟化点を有する。最も好ましくは、ポリアミンは、10℃未満の温度で液体及び/又は粘性及び/又は半固体である。
【0039】
さらに、好ましいポリマー性ポリアミンは、多くの活性液体に溶解し、且つこれと相溶性であり、1,000を超える数平均分子量を有し、10〜100meq KOH/gのアミン価を有し、150℃で測定して約500cP以下の粘度を有する。アミン価は、10、25、50、75又は100meq KOH/gであってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。さらにポリアミンの粘度は、150℃で測定して約500cP以下であってよい。150℃で測定したポリアミンの粘度は、450、350、250、150及び100cPであってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。
【0040】
本発明のイソシアナート官能性化合物と反応させるための最も好ましいポリマー性ポリアミンは、一種以上のポリアルキレンオキシポリアミン類と、以下に箇所及び本出願の実施例部分に記載された一種以上の脂肪族ポリ酸との反応から得られるポリアミドポリエーテルブロックコポリマーである。本発明のために有用な、そのようなエーテル系ポリアミドポリアミン類(又はPAPA)は、ポリ酸若しくはポリ酸の混合物と、任意成分である低級ジアミン(例えばピペラジン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミンなど)を混合された化学量論的に過剰量のポリエーテルポリアミンとを反応させて得ることができる。PAPA製造のための好ましいポリ酸は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸若しくは他の脂肪族二酸又はそのエステル等価物である。存在する全てのアミン等価物の>50%として測定されるそのような二酸及び大部分のポリ(アルキレンオキシ)ポリアミンは、得られたポリアミドが、広範な液体(例えば、ある場合には水)で確実に優れた溶解性をもつようにする。またマトリックス成分の適切な反応性にとって重要なものは、PAPAのアミン価であり、これは希アルコール性塩酸で滴定測定して100未満でなければならず、mg KOH/gサンプルとして表され、好ましくは80mg KOH/g未満、最も好ましくは70mg KOH/g未満でなければならない。
【0041】
別の好ましいPAPAは、反応が完了した後に、ポリマー性ポリアミン製品が室温で液体であり、約5未満の酸価を有し、約10〜約70のアミン価を有し、150℃で測定して500cP未満の粘度を有するように、ダイマー酸(Arizona Chemical Companyより商品名UNIDYME(登録商標)、商品名PRIPOL(登録商標)のもとUnichema Corporation及び商品名EMPOL(登録商標)のもとCognis Corporationより製造されている材料)としても公知の重合化(polymerized)脂肪酸と、Huntsman JEFFAMINE(登録商標)ポリアミン類の群、たとえばD-400、D-2000、T-403及びXTJ-500から選択される化学量論的に過剰量の一種以上のポリ(アルキレンオキシ)ポリアミン類との反応生成物である。最も好ましいものは、室温で液体であり、2未満の酸価を有し、20〜60のアミン価を有し、且つ150℃で300cP未満の粘度を有するものである。かくして特に好ましいポリマー性ポリアミンは、酸価が約1.0に低下し、アミン価を約30〜40(以下に記載の実施例#21を参照のこと)に調節するまで、乾燥窒素を吹き込みながら、215℃でPRIPOL(登録商標)1009水素化ダイマー酸、29.5重量%、JEFFAMINE(登録商標)D-2000、44.5重量%、JEFFAMINE(登録商標)D-400、22.5重量%とJEFFAMINE(登録商標)T-403、3.5%とを反応させて得られるものである。この材料は、130℃で約100cPの粘度をもち、約25,000の重量平均分子量をもつ、室温で粘稠な液体である。
【0042】
本発明のマトリックスを製造する反応速度は、高分子ポリアミン成分の末端に存在するアミンの種類によって変動する。そのポリマー鎖が脂肪族一級又は二級アミンで終端する化合物を使用すると、硬化時間が最短になる。三級ブチル部分などの嵩高な基で置換することによりヒンダードになったアミンは、さらにゆっくり反応する。アミン環がカルボニル、特にエステル若しくはアミド基、又は他の強力な電子吸引基をもつ特定の種類の芳香族アミンで終端した高分子ポリアミンを使用すると、最長の硬化時間となる。カルボニル置換芳香族アミン類は、本発明の任意的な官能基との反応に使用することができるが、該官能基が高反応性イソシアナート基であるときに特に有用である。
【0043】
そのような末端カルボニル置換芳香族アミンは好適であると考えられているが、好ましいポリアミンの非限定例としては、パラ‐アミノ安息香酸とオルト‐アミノ安息香酸から誘導されたものがある。これらの化合物は、特定の二酸と一緒に特定のポリアミンと反応させることにより、本明細書中に記載のポリアミドの末端に容易に組み込まれる。本発明の好ましいPAPAは、パラ‐アミノ安息香酸及び/又はオルト‐アミノ安息香酸の存在下で、上記二酸とエーテルジアミンのいずれかを反応させることによって得られるポリマーである。たとえば特に好ましいPAPAは、酸価が約1.0に低下し、アミン価を非電位差滴定法により15に、及び電位差滴定法により約30〜45(以下の実施例#36を参照のこと)に調節するまで、乾燥窒素を吹き込みながら、215℃でPRIPOL(登録商標)1009水素化ダイマー酸、24.0重量%、パラ-アミノ安息香酸、5.0重量%、JEFFAMINE(登録商標)D-2000、54.0重量%、JEFFAMINE(登録商標)D-400、11.5重量%とJEFFAMINE(登録商標)T-403、5.5%とを反応させて得られるものである。この材料は、130℃で約250cPの粘度をもち、約13,000ダルトンの重量平均分子量をもつ、室温で粘稠な液体である。
【0044】
そのような全てのPAPAの具体的な態様において、PAPAの重量平均分子量(Mw)及び/又は数平均分子量(Mn)は可能な限り高くてもよいが、所望のアミン価及び粘度によって制限される。たとえばMwは好ましくは5,000〜35,000ダルトンの範囲であり、より好ましくは10,000〜30,000ダルトンの範囲である。従って、多分散性は任意の値であってよいが、1.5を超え6未満であることが好ましく、2.0〜4.0が好ましく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含むことができる。
【0045】
補助二酸(co-diacid)及び補助ジアミン(co-diamine)は、本発明のPAPAの製造において少量使用することができ、即ち、所望の特性のPAPAが得られる限り、等価ベースで50%未満である。補助二酸は、たとえばアジピン酸及び、同様の線状の脂肪族二酸である。補助ジアミンとしては、たとえばエチレンジアミン、ピペラジン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、二量体ジアミン(たとえばVERSAMINE(登録商標)551)、ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン並びに同様の、線状、分岐及び環式脂肪族ジアミンがある。ポリアミド形成反応は、酸、特にパラ‐トルエンスルホン酸、リン酸及び硫酸などの反応速度を速めるのが公知の触媒の存在下、真空を適用して反応水を除去して実施することができる。
【0046】
室温で液体ではなく、室温で固体であり(たとえば低融点ポリアミド)、且つ本発明の活性液体相溶性であるPAPAは本発明で使用可能である。そのようなPAPAは、反応完了後に、PAPAが25℃で固体であり、5未満の酸価をもち、約10〜約70のアミン価をもち、50℃未満のリングアンドボール(Ring & Ball)軟化点をもつように、主な二酸部分が1,4-シクロヘキサンジカルボン酸と、化学量論的に過剰量のポリアミンとの反応物であって、その大部分がたとえばD-400、D-2000、T-403及びXTJ-500などのHuntsman JEFFAMINE(登録商標)ポリアミンとの反応により得られる。これらのポリアミドの場合、ダイマー酸は、必要に応じて、上記のような他の補助二酸とともに、補助二酸として使用することができる。補助ジアミンも同様に任意成分であるが、望ましい成分ではない。なせなら、補助ジアミン低レベルでも存在すると、PAPA軟化点を50℃を超える温度に上昇させるのに十分であるからである 本発明の高分子ポリアミンは、本明細書中、米国特許第6,870,011号及び同第6,399,713号並びに米国特許出願第10/395,050号(該特許及び出願は参照により全体として本明細書中に援用されるものとする)に記載されているようなポリアミンであってもよい。
【0047】
本発明の活性液体は、得られた組成物及び/又は製品に機能を付与する任意の液体であってよい。すなわち、活性液体は、揮発性若しくは非揮発性の有機液体又は、半固体、又はキャリヤ液(希釈剤)中に分散された固体であってもよい。このような活性液体の例としては、芳香油、界面処理薬品、栄養補助食品、薬剤、放射性トレーサー、殺虫剤及び界面活性剤が挙げられる。
【0048】
活性液体の非限定的な一例としては、芳香油(香気又は香水とも呼ばれる)がある。芳香油は、香水業界で公知の多くの種類の合成アロマ薬品及び天然芳香油の任意のブレンド物であってもよい。本発明で有用な種類の薬品の一部としては、酢酸リナロール及び酢酸ブチル(バナナ油中に存在)などのエステル類、サリチル酸メチル(ヒメコウジ:wintergreenの油中に存在)などのフェノール類、1,8-シネオール(ユーカリ油中に存在)などのエーテル類、ゲラニオール(ローズオイル中に存在)などのアルコール類、シンナムアルデヒド(シナモン油中に存在)などのアルデヒド類、及びメントン(スペアミント油中に存在)などのケトン類がある。
【0049】
本発明で有用な数百もの市販の芳香油の具体例としては、Continental Aromatics(ニュージャー州ホーソン)により供給されるオーシャン(Ocean)(N-123-02)、カントリーワイルドフラワー(Country Wildflower)(N-122-03)、スプリングメドウ(Spring Meadow)(N-124-03)、及びモーニングレイン(Morning Rain)(Q-119-03);Belle Aire Fragrance(イリノイ州マンダライン)により供給されるエバーグリーン(Evergreen)(#42441)及びGreen Apple(#50520);Aromatics Fragrances and Flavors International(ジョージア州マリエッタ)により供給されるチェリー(Cherry)(#124559)、バニラ(Vanilla)(#122745)及びマルベリー(Mulberry)(#124561);International Fragrances Technology,Inc.(ジョージア州カントン)により供給されるガーネット(Garnet)(#242926);並びにAtlas Products(イリノイ州ティンレイパーク)により供給されるクリスプブリーズ(Crisp Breeze)、トロピカルフレグランス(Tropical Fragrance)、オーシャンサイドミスト(Oceanside Mist)がある。表Aに例を示す。
【0050】
多くの供給業者から数百もの市販の芳香油がある。本発明は、任意の特定の芳香剤に限定しないが、以下の表に提供したリストは、本発明の固定化油を形成するのに使用できる広範な選択肢と、本発明のポリマーマトリックスの使用可能性を例示する。
【0051】
【表1】

【0052】
活性液体は、本出願の組成物に効能を付与する量で使用すべきである。本活性成分はとても強力であるので、非常に低レベル、おそらく0.1%未満で十分であるが、本発明に従ってキャリヤ液体で希釈して活性液体として固定化しなければならない。そのような場合、活性液体はキャリヤ中の強力な薬剤の溶液であるといわれている。この点に留意して、本活性液体(又はキャリヤ中に溶解させた強力な薬剤)を組成物及び/又は本発明の製品中で、低量充填製品(lightly-loaded object)に関しては約1%から約90%以上のレベルで使用することができる。充填量は、存在する特定の活性液体、ポリマーマトリックス及び任意の他の化合物に依存する。充填量はまた、形成した生成物の最終形状、即ち自立的であるか、容器内に入れられているか、又は担持されているか、ということにも依存する。活性液体の量は、1、2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80及び90%であってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含めてよい。
【0053】
非限定的な例として、エアフレッシュナーの好ましい芳香油レベルは、全ての埋め込まれた物体を計算に入れないで、完成品の約15〜75重量%であり、最も好ましい使用レベルは30〜70重量%である。芳香油の量は、(全ての支持体も埋め込まれた物体の重量を計算に入れないで)組成物の15、20、25、30、40、50、60及び75重量%であってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含むことができる。不活性希釈剤又は可塑剤は、全液体レベルが組成物の約20重量%〜約90重量%、好ましくは組成物の約40重量%〜約80重量%であるように、追加的な量で配合することができる。
【0054】
同様に、反応性成分、活性液体及び任意成分の液体の混合物は、まだ硬化していない間は、水又はその他の水性媒体中に分散させることができ、得られた水中油型エマルションは界面活性剤で安定化できる。このようにして乳化させた本発明の組成物の液滴は硬化する。水中の固体固定化活性液体粒子の分散液が得られる。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性又は非イオン性であってよい。例としては、アニオン塩ナトリウムラウリルサルフェート、カチオン性四級アンモニウム塩ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロリド、コカミドプロピルベタイン及びジベンジルジメチルアンモニウムクロリド、並びに非イオン性ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエートがある。そのようなエマルションは乳白色液体であり、そのままで紙、ボール紙、セルロースパッド、セルロースパルプ、フェルト、布帛、多孔質合成フォーム、多孔質セラミック、活性炭、土壌、珪藻土、キーゼルグール(kieselguhr)、活性炭、シリカ、クレーなどの多孔質支持体上に含浸させるか、又は非多孔質支持体、以下のものに限定されないが、例えばプラスチックフィルム、金属箔、ゴム、セラミック、木材、ガラス及び革などにコーティングすることができる。
【0055】
界面活性剤は、ゲル分散液を安定化させるのに必要な過剰量で使用する場合、それ自体本発明の活性化合物であってもよい。これらは水の有無にかかわらず使用することができる。このようにして固定化した界面活性剤は、芳香剤又はその他の活性化合物と一緒に使用環境中にゆっくりと放出されて、たとえば液体状、若しくは多孔質媒体、シートに含浸された洗面所のエアフレッシュナー/クリーナー、殺虫剤/殺菌剤又は洗濯乾燥機中の布帛柔軟剤として役立てることができる。
【0056】
本発明の活性液体は、液体殺虫剤又は、キャリヤ液中に溶解させた固体殺虫剤であってよい。殺虫剤は、ヒト、貴重な動物(たとえば家畜)又は貴重な植物(たとえば花、木及び食用作物)に損害や不快感を与えたり生じさせたりする可能性のある全ての生命体を予防、撲滅、忌避又は緩和することを目的とする任意の物質又は物質の混合物である。
【0057】
殺虫剤は、食物に関してヒトと競合する、財産を破壊する、病気を蔓延させる、あるいは生活を妨害する、昆虫、植物病原体、雑草、軟体動物、鳥、哺乳類、魚、線虫(回虫)及び微生物を防除するために使用される化学物質又は生物学的薬剤(たとえばウイルス又はバクテリア)であってよい。多くの殺虫剤がヒトにとって有害であるので、害のないキャリヤ液中にこれらを溶解して、本発明のマトリックスで固定化することによって、これらの多くの殺虫剤の適用及び放出を制御することが有益である。
【0058】
殺虫剤は天然のものであっても合成由来のものであってもよい。合成殺虫剤には以下のものが挙げられる:
1.有機リン酸塩:これらの殺虫剤は、アセチルコリン、神経伝達物質を制御する酵素を混乱させることによって神経系に影響を与える。これらは通常、環境中では持続性がない。そしてこれらを固定化することによって、環境に全く悪影響を与えることなく長期有効性とすることができる。
2.カルバメート:この物質は、アセチルコリンを制御する酵素を混乱することによって神経系に影響を与えるト。
3.有機塩素系殺虫剤(たとえばDDT及びクロルデン):これらの薬剤は、従来一般的に使用されてきたが、その健康及び環境的作用、並びにその持続性のために市場から排除されてきた;並びに
4.天然ピレトリンの合成版として開発されたピレスロイド類。合成品は環境中で、その安定性を高め、そのコストを軽減するように修飾されている。
【0059】
殺虫剤のあるものは、動物、植物、バクテリアなどの天然材料から誘導され、一例としては、キクから抽出した天然材料、ピレトリンが挙げられる。生物殺虫剤としては、活性成分として微生物(たとえばバクテリア、菌類、ウイルス又は単細胞動物)からなる微生物殺虫剤(microbial pesticide)が挙げられる。微生物殺虫剤は種々の種類の害虫を防除することができるが、個々の活性成分は、その標的となる単数又は複数種類の害虫に比較的特異的である。たとえば、特定の雑草を制御する菌類があり、特定の昆虫を殺すのには別の菌類がある。最も広く使用されている微生物殺虫剤は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis:土壌細菌)、即ちBtの亜種(subspecies)及び株である。
【0060】
殺虫剤は、効力を示す害虫の種類によって分類することができる。本発明で有用なのは以下の種類の殺虫剤である:湖、運河、水泳プール、水タンク及びその他の場所において藻の繁殖を抑制するアルジサイド;ボートの底などの水面下の表面に付着する微生物を殺傷又は忌避する汚れ止め塗料;微生物(たとえばバクテリア及びウイルス)を殺傷する抗菌剤;糖などの食品などを含む(昆虫や齧歯類を罠に誘引するためなどの)害虫を引きつける誘引剤;動物、植物、バクテリアなどの天然物、及び特定の鉱物から誘導した活性成分である生物殺虫剤;微生物を殺す殺生物剤;無生物物体に病気を引き起こす微生物を殺すか、不活化させる殺菌剤及び消毒剤;菌類(たとえば害虫、うどんこ病、カビ、さび病など)を殺す殺菌剤;望ましくない場所に生える藻及び他の植物を殺す除草剤;昆虫及び他の節足動物を殺す殺昆虫剤;植物及び動物を食べるダニを殺す殺ダニ剤(ダニ殺し剤ともいう);昆虫又は他の微生物を含む害虫を殺し、阻害するか、これに対抗する微生物である微生物殺虫剤;カタツムリ及びナメクジを殺す軟体動物駆除剤;線虫(植物の根を食べる微視的なミミズ様有機体)を殺す抗線虫薬;昆虫及びダニの卵を殺す殺卵剤;昆虫の交尾行動を混乱させるフェロモン;昆虫(蚊など)などの害虫及び皮膚若しくは種などの表面から鳥を忌避する薬品である忌避剤;ネズミ及び他のげっ歯類を病気にする、忌避する又はこれらを殺す殺鼠剤;昆虫の脱皮、蛹から成虫への成熟期又は他の生命過程を妨害する昆虫成長調整物質;並びに植物の予想される成長、開花又は生殖を変更する物質(化学肥料も他の植物栄養素も除く)である植物成長調整物質。
【0061】
全てを網羅するものではないが、本発明の製品で使用し得る殺虫剤としては、2,4-D、2,4-DB、DCPA(クロルタル)、MCPA、アバメクチン、アセフェート(オルテン)、アセトクロール、アシフロルフェン、アラクロール、アルジカルブ、アレスリン、アメトリン、アミトラズ、アトラジン、アザジラチン、アジノホス-メチル、バチルス・チューリンゲンシス、ベンジオカルブ、ベノミル、ベンスリド、ベンタゾン、ビフェンスリン、ブロマシル、ブロモキシニル、ブチラート、カコジル酸、カプタフォル、カプタン、カルバリル、カルボフラン、カルボフェノチオン、カルボキシン、クロラムベン、クロルダン、クロロベンジラート、クロロピクリン、クロロタロニル、クロピリフォス、クロロプロファム、クレトジム、クロマゾン、クマフォス、シナジン、シフルスリン、シペルメスリン、ダラポン、ダミノジド、DEET、DDT、デルタメスリン、デメトン-S-メチル、ジアジノン、ジカムバ、ジクロルボス、ジクロフォプ-メチル、ジコフォル、ジクロトフォス、ジエンクロール、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジメトモルフ、ジノカプ、ジノセブ、ジファシノン、ジクォートジブロミド、ジスルフォトン、ジウロン、ドジン、エチレンジブロミド、エンドスルファン、エンドサール、EPTC、エスフェンバレラート、エセフォン、エチオン、フェナミホス、フェニトロチオン、フェノキシカルブ、フェンチオン、フルアジホプ-p-ブチル、フルシトリナート、フルメツロン、フルバリナート、ホルペット、フォノフォス、ホルモチオン、ハロキシホプ、ヘプタクロール、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサジノン、ヒドラメチルノン、イマザリル、イマザキン、イマゼタピル、イミダクロプリド、イプロジノン、イソフェンホス、ラクトフェン、ラムダ-シハロトリン、リンダン、リヌロン、マラチオン、マンコゼブ、マネブ、メコプロプ、メタラキシル、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メソミル、メトプレン、メトキシクロール、メチルブロミド、メチルパラチオン、メチラム、メトラクロール、メトリブジン、メツルフロン-メチル、メビンホス、モリナート、モノクロトホス、ナレド、ナプロパミド、ニコスルフロン、オリザリン、オキサミル、オキシフルオルフェン、パラコート、パラチオン、ペンジメタリン、ペンタクロロフェノール、ペルメスリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ピクロラム、プリミスルフロン-メチル、プロメトリン、プロンアミド、プロパニル、プロパジン、プロペタンホス、プロポキスール(Propoxur)、ピレトリン及びピレトロイド、キントゼン、キザロホプ-p-エチル(キザロホプ-p-エチル)、レスメスリン、ロテノン、ライアニア、シリロシド、セトキシジム、シマジン、ストレプトマイシン、スルホメツロン-メチル、テブチウロン、テメホス、テルバシル、テルブホス、テルブトリン、チアベンダゾール、チラム、トリアジメホン、トリアラート、トリクロルホン、トリクロピル、トリフルラリン、トリホリン、バリダマイシン、ベルノラート、ビンクロゾリン、ワルファリン、ジネブ、及びジラムがある。
【0062】
本発明は、キャリヤ液体中に溶解させた液体フェロモン又は固体フェロモンを固定化するのにも有用であるので、捕虫器、ルアーフィッシング、ねずみ取りなどの餌又は疑似餌として機能し得る製品の製造に有用である。フェロモンは通常、6〜20個の炭素原子のエステル、アルデヒド、アルコール及びケトン類であり、このため芳香剤化合物と似ているので、芳香剤化合物に関して上記のように固定化することができる。多くの動物及び昆虫に関してはそのような化合物は数百種類も同定されており、該昆虫の多くは害虫とはみなされていない。本発明の製品で使用することができる代表例としては、全てを網羅するものではないが、以下のものが挙げられる:E又はZ-13-オクタデセニルアセテート、E又はZ-11-ヘキサデセナール;E又はZ-9ヘキサデセナール;ヘキサデカナール;E又はZ-11ヘキサデセニルアセテート;E又はZ-9-ヘキサデセニルアセテート;E又はZ-11-テトラデセナール;E又はZ-9-テトラデセナール;テトラデカナール;E又はZ-11-テトラデセニルアセテート;E又はZ-9-テトラデセニルアセテート;E又はZ-7-テトラデセニルアセテート;E又はZ-5-テトラデセニルアセテート;E又はZ-4-トリデセニルアセテート;E又はZ-9-ドデセニルアセテート;E又はZ-8-ドデセニルアセテート;E又はZ-5-ドデセニルアセテート;ドデセニルアセテート;11-ドデセニルアセテート;ドデシルアセテート;E又はZ-7-デセニルアセテート;E又はZ-5-デセニルアセテート;E又はZ-3-デセニルアセテート;オクタデカナール;E又はZ、E又はZ3,13-オクタデカジエニルアセテート;E又はZ、E又はZ2,13-オクタデカジエニルアセテート;Z,Z又は,E-7,11-ヘキサデカジエニルアセテート;Z,E9,12-テトラデカジエニルアセテート;E,E-8,10-ドデカジエニルアセテート;Z,E,6,8-ヘンエイコサジエン-11-オン;E,E,7,9-ヘンエイコサジエン-11-オン;Z-6-ヘニコセン-11-オン;7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン;2-メチル-7-オクタデセン、7,8-エポキシオクタデカン、Z,Z,Z-1,3,6,9-ノナデカテトラエン;5,11-ジメチルヘプタデセン;2,5-ジメチルヘプタデカン;6-エチル-2,3-ジヒドロ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;メチルジャスモナート(jasmonate);アルファ-ピネン;ベータ-ピネン;テルピノレン;リモネン;3-カレン;p-シメン;クロトン酸エチル;ミルセン;カンフェン;カンファー;1,8-シネオール;アルファ-クベベン;アリルアニソール;ウンデカナール;ノナナール;ヘプタナール;E-2-ヘキサナール;E-3-ヘキサナール;ヘキサナール;ベルベネン;ベンベノン;ベルベノール;3-メチル-2-シクロヘキセノン;3-メチル-3-シクロヘキセノン;フロンタリン;エキソ及びエンドブレビコミン;リネアチン;ムルチストリアチン;チャルコグラン;7-メチル-1,6-ジオキサスピロ(4,5-デカン、4,8-ジメチル-4(E)-、8(E)-デカジエノリド;11-メチル-3(Z)-ウンデセノリド;Z-3-ドデセン-11-オリド;Z,Z-3,6-ドデセン-11-オリド;Z-5-テトラデセン-13-オリド;Z,Z-5,8-テトラデセン-3-オリド;Z-14-メチル-8-ヘキサデセナール;4,8-ジメチルデカナール;ガンマ-カプロラクトン;ヘキシルアセテート;E-2-ヘキシルアセテート;ブチル-2-メチルブタノエート;プロピルヘキサノエート;ヘキシルプロパノエート;ブチルヘキサノエート;ヘキシルブタノエート;酪酸ブチル;E-クロチルブチラート;Z-9-トリコセン;メチルオイゲノール;アルファ-イオノン;4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンアセテート;E-ベータ-ファルナセン;ネペタラクトン;3-メチル-6-イソプロペニル-9-デセニルアセテート;Z-3-メチル-6-イソプロペニル-3,9-デカジエニルアセテート;E又はZ-3,7-ジメチル-2,7-オクタデカジエニルプロピオネート;2,6-ジメチル-1,5-ヘプタジエン-3-オールアセテート;Z-2,2-ジメチル-3-イソプロペニルシクロブタンメタノールアセテート;E-6-イソプロピル-3,9-ジメチル-5,8-デカジエニルアセテート;Z-5-(1-デセニル)ジヒドロ-2(3H)-フラノン;2-フェネチルプロピオネート;3-メチレン-7-メチル-7-オクテニルプロピオネート;3,11-ジメチル-2-ノナコサノン;8-メチレン-5-(1-メチルエチル)スピロ(11-オキサビシクロ)8.1.0-ウンデセン-2,2-オキシラン-3-オン;2-プロピルチエタン;3-プロピル-1,2-ジチオラン;3,3-ジメチル-1,2-ジチオラン;2,2-ジメチルチエタン;E又はZ-2,4,5-トリメチルチアゾリン;2-sec-ブチル-2-チアゾリン及びイソペンテニルメチルスルフィド。具体的なフェロモンとしては、以下のものが挙げられる:8-メチル-2-デシル-プロピオネート;14-メチル-1-オクタデセン;9-トリコセン(tricosense);トリデセニルアセテート;ドデシルアセテート;ドデセニルアセテート;テトラデセニルアセテート;テトラデカジエニルアセテート;ヘキサデセニルアセテート;ヘキサデカジエニルアセテート;ヘキサデカトリエニルアセテート;オクタデセニルアセテート;ドデカジエニルアセテート;オクタデカジエニルアセテート;Z,E-9,12-テトラデカジエン-1-オール。
【0063】
活性液体は、液体状態の活性成分であるか、又はキャリヤ液体(希釈剤)中に溶解(含有)させたものか、これによって希釈されている、固体、液体若しくは気体状の活性成分であってもよい。活性液体は、水と、水に溶解させた活性剤とからなっていてもよい。活性液体は、有機液体と、この液体に溶解させた活性成分とからなっていてもよい。
【0064】
活性液体に含まれる活性成分の例としては、生物学的に許容可能なキャリヤと場合により混合した(ヒト又は動物にとって)治療的に活性な成分、たとえば薬剤、薬物、医薬品、生体医薬であってもよい。さらに活性液体に含まれる活性成分の例としては、アミノ酸、ビタミン、炭水化物及び/又はステロイドなどの生物学的化合物であってもよい。生物学的化合物の例としては、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、変性DNA、変性RNA、タンパク質、ポリペプチド、及び変性ポリペプチドなどのバイオポリマー又はバイオコポリマー又はキメラであってもよい。
【0065】
上記の好ましい態様に加えて、追加の態様としては、可塑剤、希釈剤、促進剤、遅延剤、粘着付与剤、充填剤及び着色剤などの任意成分を添加/変更することによって可能である。フタレート、ベンゾエート、サリチレート及びラクテートエステル、アルコール、ポリオール、ポリ(アルキレングリコール)、並びに、アルコール、ポリオール及びポリ(アルキレングリコール)のアルキル及びアリールエステル類は、有用な可塑剤/希釈剤の例である。これらは製品の柔軟性を高め、活性成分の放出を促進し、製品コストを下げる。
【0066】
エポキシベースの製品に影響を与えるために使用し得る因子は、同様に本出願にも適用し得る。これらの材料は、本発明のエアフレッシュナーに有利な効果を付与し得る。活性希釈剤及び不活性希釈剤を使用して、初期ブレンド物の粘度を下げることもできる。可能な希釈剤としては、種々のモノ-及びジグリシジルエーテル、グリコール及びN-メチルピロリジノンが挙げられるが、これらに限定されない。ノニルフェノール及び2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのフェノール類は、エポキシ-アミン硬化反応の可能な公知の促進剤の例である。従って、これらは、本発明のエアフレッシュナーを硬化させるのに必要な時間を短縮することにより有利な効果を与える。反応促進剤は、任意のアルコール含有化合物及び/又は水及び/又はその混合物であってもよい。特定の樹脂をエポキシ及び/又は希釈剤/可塑剤に溶解し、次いでこれを系に添加することによって、最終製品に粘着性を付与することができる。これらの例としては、SYLVATAC(登録商標)、SYLVARES(登録商標)及びSYLVALITE(登録商標)などの商品名のもと、Arizona Chemical社より市販されているロジンエステル及びポリテルペン類が挙げられる。
【0067】
本発明の組成物及び/又は製品は、活性液体の存在下で、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される好ましくは二つ以上の官能基を含む化合物と、ポリアミン化合物とを接触、混合又はブレンドすることによって製造することができる。得られた混合物は、硬化前後で均質であるのが好ましい。反応性成分及び活性液体のそのような接触、混合及びブレンドは、10〜50℃の温度で実施することができる。ブレンド操作温度は、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45及び50℃であってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。上記成分は、任意の順番で連続して添加することができるが、但し、活性液体は、マトリックスを形成する反応が、その高い粘度及び上昇する弾力性によりブレンド操作ができなくなる点まで進行した後には、添加することができない。任意成分は、任意の順番で混合物に添加することができるが、但し、上記のごとく、マトリックスを形成する反応がその高い粘度及び上昇する弾力性によりブレンド操作ができなくなる点まで進行した後には、添加することができない。アミンが固体の場合、該アミンは、最初に希釈液、又は活性液体又はその混合物に溶解するのが好ましい。
【0068】
温度及びブレンド条件は、接触、混合又はブレンド工程中に広範囲に及ぶ早期硬化を避けるように制御すべきである。この混合物はその後、均質な熱硬化性固体になるのが好ましい。硬化温度はブレンド操作温度とは異なっていてよく、10〜100℃の範囲であってよく、好ましくは10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100℃であってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。
【0069】
硬化速度は、少なくとも六つの因子:硬化温度、官能基及びアミン基の濃度、これらの割合、アミンの構造、促進剤/遅延剤の濃度、並びに芳香油/希釈剤の組成に依存する。従って硬化時間は広範囲を変動し得る。
【0070】
混合及び/又は硬化はモールド内で実施することができる。たとえば、低温手順では、室温でブレンドし、このブレンド物をモールドに注ぎ、これを封止して、室温でブレンド物を放置することを含むことができる。そのような手順は、選択した官能基及び反応条件に依存して、数分から数時間かかることがある。たとえばイソシアナート-アミンマトリックスは、エポキシ-アミンマトリックスよりもかなり早く反応する。別の例は、エポキシ-アミンマトリックスにより有用な予備硬化手順であり、これは、室温でブレンドし、しっかりと封止し、70℃に30〜90分間加熱して、部分的に硬化しているが組成物はゲル化していない硬化物を得、続いて得られた部分硬化物をモールドに注ぎ、これを室温で放冷することからなる。そのような手順は1時間から2日間かかることがある。最後に、別の例としては高温手順があり、これは室温でブレンドし、パウチ又はモールドに注ぎ、しっかりと封止し、これを60〜100℃の温度に加熱することを含む。そのような手順は数分から数時間かかることがある。
【0071】
本発明の方法は、上記工程をその順番に限定するものではなく、種々の工程の組み合わせを望むことができるだろう。さらに、硬化時間は0.01時間から60時間、より好ましくは約5分から20時間、最も好ましくは10分から100分、即ち10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100時間を変動することができ、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含むことができる。
【0072】
本発明の好ましい態様では、活性液体、液体ポリエポキシと、液体ポリアミンとをブレンドして混合物を形成することを含む。成分のブレンドは10〜40℃で実施することができる。しかしながら、ブレンドは、温度感受性の活性成分を失うことのないように実施する。ブレンド温度は、好ましくは10、15、20、25、30、35及び40℃であってもよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。エポキシ含有化合物を使用するとき、硬化温度は室温、即ち25℃であってよいが、活性液体成分の温度感受性及びその揮発性に応じて、それより高くてもよい。活性液体がすぐに分解せず、硬化を封止モールドで実施する場合、好ましい硬化温度は約60℃である。この温度では、典型的な配合物の硬化は約3〜6時間でおきるか、促進剤を使用する場合にはそれよりも短い。
【0073】
本発明の追加の好ましい態様は、活性液体、液体希釈剤、液体ポリイソシアナートと液体ポリアミンとをブレンドして、液体-固定化ポリ尿素組成物に硬化する混合物を形成することからなる。成分のブレンドは10〜40℃で実施することができる。しかしながら、ブレンドは、温度感受性の活性成分が失われないように実施する。ブレンド温度は、好ましくは10、15、20、25、30、35及び40℃であってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。
【0074】
ポリアミンとイソシアナートとの間の反応は、触媒の非存在下でさえも室温で急速である。触媒を配合しないのが好ましい。むしろ、速度調節剤、即ち「遅延剤」を使用して反応を遅らせて、成分をブレンドしてモールドに注ぐための時間を十分にとるのが好ましい。有用な速度調節剤はたとえば、アルデヒド類(一般的なエッセンシャルオイル及び芳香油中に通常存在するアルデヒド類など)がある。他には匂いがほとんどないもの、又は、活性液体の匂いを強めるようなものがある。有用な遅延剤の例としては、芳香族アルデヒド類(たとえばベンズアルデヒド)、バニリン及びサリチルアルデヒド;α,β不飽和芳香族アルデヒド類(たとえば桂皮アルデヒド及びメチル桂皮アルデヒド);テルペンアルデヒド類(たとえばシトラール、シクロシトラール及びシトロネラール);並びにC4〜C18脂肪族及び脂環式アルデヒド類(たとえばイソブチルアルデヒド、ライラール、2-フェニルプロピオンアルデヒドなど)がある。イソシアナート含有化合物を本発明に従って使用するときには上記の遅延剤が好ましいが、そのような遅延剤は、必要に応じて、本発明の反応の全てについて使用することができる。
【0075】
硬化時間を増大させるための別法では、カルボニル-置換芳香族アミンで末端停止したPAPA(その製法は上述のとおり)を使用することである。以下の表は、PAPAとDESMODUR(登録商標)N3300との反応から誘導したマトリックスで50%濃度で固定化させた四種類の市販の香料に関するセット時間(混合から流れなくなるまでの時間)を列記したものであり、PAPAは、非芳香族一級アミンにより、又はカルボニル-置換芳香族アミンのいずれかで末端停止されている、即ち、PAPAはパラ-アミノ安息香酸との反応により末端停止されている。
【0076】
【表2】

【0077】
イソシアナート含有化合物を使用する場合、好ましい硬化温度は室温、即ち25℃であるが、所望の硬化時間に応じて、該温度より高くても低くてもよい。たとえば、活性化合物が容易に分解せず、且つ非常に急速な硬化が望ましい場合、硬化は、封止モールド内で、約50℃の好ましい硬化時間で実施することができる。室温では、一級アミンにより末端停止されたPAPAをベースとする典型的な配合物の硬化は、ほとんど又は全く遅延剤を存在させることなく実施する。典型的なセット時間は1秒未満から約30分である。時間は、0.1、0.5、1、5、10、20及び30分であってよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。ポリアミンで末端停止したカルボニル置換芳香族アミンをベースとする典型的な配合物の室温における硬化は、遅延剤の存在下で実施される場合に、約10分〜2日間実施されるが、遅延剤の非存在下の場合で約20〜600分の範囲が好ましい。時間は20、50、100、200、300及び600分であってもよく、その間の全ての範囲及び下位的範囲を含んでよい。
【0078】
本発明は、部分的には、架橋ポリマーマトリックスと活性液体とを含む組成物及び/又は製品であって、前記活性液体は前記架橋ポリマーマトリックス内に固定化されており、また、架橋ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、エポキシ、無水物及びイソシアナートから選択される少なくとも一つ、好ましくは二つ以上の官能基をもつ化合物と、ポリアミン化合物との反応生成物であることを特徴とする前記組成物及び/又は製品に関する。この方法において活性液体を固定化する種々の好都合な点としては、以下のものが挙げられる:
・熱感受性のオイルに熱を加える必要がない;
・取り扱うことができる固体製品中に多量の液体を充填することが可能である;
・製品成分は、簡単な装置によって容易にブレンドされた液体であってよい;
・硬化反応は、該反応を誘発するための外部薬剤を必要とせず、発泡する可能性のある揮発性副生成物は生成せず、全体にわたって均一に起こる;
・ブレンド物は硬化の間に殆ど収縮しない;
・未充填の場合には製品は透明である;
・ほとんど匂い、着色、毒性を持たない製品成分が利用可能である;
・製品は優れた耐久性を有し、水に不溶性であり、融解しない。
・製品はプラスチック包装材料に付着しないので、特殊な剥離フィルムでない材料の内部に包装することができる;
・硬化製品の粘着性は、製品が粘着性を持たないか、又は垂直な面(例えば窓)に一次的に付着させるのに十分に粘着性であるように、調節することができる;
・製品は染料及び顔料で容易に着色することができる;及び/又は
・流体の予備硬化液体はモールドを完全に充填するので、エンボスのロゴ又は装飾的なデザインなどの完成品の一部としてより微細な細部を表現できる。
【0079】
組成物が、エポキシ官能基を保持する化合物の反応をベースとする架橋ポリマーマトリックスを含む場合、さらに二つの好都合な点がある:
・脂肪族一級アミン-末端停止ポリアミン化合物を使用する場合でも、ブレンド物は室温でゆっくり硬化するので、未硬化材料を脱気するのに十分な時間が与えられ、任意成分としての充填剤及び/又はアイコン(icon)を添加することができ、未硬化材料をモールドに移したり、くみ上げたり、注いだりすることができ、モールドはマトリックス液ブレンド物が硬化する前に貯蔵することができる。
・広範な種類のポリアミンが使用可能であるので、最終架橋製品の特性を制御することができる。
【0080】
組成物がイソシアナート官能基を保持する化合物とPAPAとの反応物をベースとする架橋ポリマーマトリックスを含むとき、さらに二つの好都合な点がある:
・ブレンド物は室温で急速に硬化する。30分以内のことが多い。
・PAPAは他のポリアミン化合物とは異なり、ほとんど又は全く匂いがなく、高粘度、薄い色及び低毒性の高分子量ポリマーである。
【0081】
活性液体を固定化する本方法は、以下の例示された欠点を克服又は回避するために調節することができる。
・硬化は発熱性であるが、前記活性成分が主成分であるとき、特に本来は優れた熱消散性の小さなモールド内でブレンドを硬化させるときには、本発明のブレンドで発生する熱はわずかである。
・エポキシ硬化はゆっくりで、25℃で1〜3日要することが多いが、製品を封止及び包装した後でモールド内で実施するのが望ましい。促進剤を使用することにより、及び製品を約60℃に加熱することによって、硬化時間はかなり短縮することができる。
・ある場合にはイソシアナート硬化は非常に急速なので、ブレンド物はモールドに注ぐことができない。これは、ブレンド温度、遅延剤、PAPA及び反応体の濃度を適切に選択することによって避けることができる。
・全てのアミン化合物は本来いくらか毒性であり、取り扱いには注意が必要であるが、比較的低レベルで使用され、硬化プロセスの間に架橋ポリマーマトリックスに不可逆的に配合することができる。架橋製品中には、ほんの痕跡量の遊離アミン基しか存在しない。
・全てのイソシアナート化合物は本来いくらか毒性であり、取り扱いには注意が必要であるが、本発明の組成物では比較的低レベルで使用される。架橋製品中にはほんの痕跡量の遊離イソシアナートしか存在せず、活性液体、希釈剤、又は水中のアルコールとの反応により経時で除去される。エポキシ樹脂はEPALLOY(登録商標)5001である。硬化剤はT-403、IPDA及び1,3-BACである。芳香油は、Belle Aire Fragrance(イリノイ州マンダライン)により供給される「エバーグリーン(Evergreen)」である。
【0082】
これらの多くは、製品を視覚的により魅力的にするためである。本発明にとって本質的ではないが、これらの材料は、本製品中に含まれる活性成分の放出速度を調節するなどの本発明の製品に有利な効果をもたらすことができるだろう。
【0083】
本発明の製品は、医薬的に活性な活性液体を有する医薬デバイス、殺虫剤である活性液体を有する殺虫剤デバイス、洗濯物お手入れ用の活性液体を有する洗濯物お手入れ用製品(即ち柔軟剤、芳香剤、コンディショナー、クリーナー、防汚剤(anti-stain)、表面処理剤など)、又は芳香剤である活性液体を有するエアフレッシュナーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明の製品は、潜在的な消費者に対して訴求力のある任意の所望の形状に加工することができる。そのような形状は、モールドの中で形成した3次元形状、又は、プリフォームされた薄いシートから刻印機で切り出した平坦な形状であってよい。形状としては、三角形、正方形、円形、球形、楕円形、幾何学的に規則正しい形状、幾何学的に不規則な形状など自然な幾何学的形状が挙げられる。非常に多くの数の3次元形状を形状し得るため、上記の例は本発明の製品を限定するものではない。
【0085】
上記のように本発明の組成物は、マトリックスで固定化された芳香油又は他の活性液体も含む。本発明の明白な利点は、本質的な成分が、混合の後、固体状態の熱硬化形に硬化する前のある時間、流体のままであるということである。これによって、非常に広範な形状のエアケア製品を製造することができる。本発明は、これらの製品、特にエアケア製品(特にエアフレッシュナー)で使用するのに好適な製品も含む。エアフレッシュナーとしては、室内用エアフレッシュナー;クローゼット用エアフレッシュナー;容器用エアフレッシュナー、箱、缶、貯蔵容器、バッグ、トランク、ケース、瓶、ゴミ容器、及び/又は樽など;自動車用エアフレッシュナー;及び/又は会社正面の通路、ショッピングモールの通路などのエリア若しくは領域のエアフレッシュナーが挙げられる。
【0086】
本発明のエアケア製品は、たとえば円盤、環、円筒、正方形、長方形、五角形、六角形、星形、ハート形、半球、球、立方体、花、動物、手紙、数字、ロゴ、商標及び顔などの非常に多くの種類の幾何学的形状及び芸術的形状であってもよいが、これらに限定されない。そのような形状は、好適な形状の成形品を製造するための公知の方法によるものにのみ限定される。
【0087】
これらの製品は、溶解性染料で、又は顔料で着色することができる。これらの着色剤は、反応性成分の最終的な混合の前に溶解又は分散させることが好ましい。これらの着色剤は、慣用の蛍光性、真珠光沢、温度感受性、光感受性、pH-感受性又は湿度感受性であってもよい。この後者の四種の着色剤によって、環境条件が変化するにつれて色が変化したり、製品中の活性成分が無くなったことを知らせる新規な商品の製造が可能になる。
【0088】
硬化前に組成物は流体であるため、組成物はそのようなモールドに容易に注ぐことができ、したがって、小さなくぼみ、曲線、ロゴ、エッチング及びその他の任意のエンボス又は彫り込み模様のイメージなどの正確な形状を描くことができる。このことは特に、製品がホルダーに直接適合するように、複雑な形状の表面、たとえば身体の部分、加熱したポプリ皿などの曲面、電球又は包装内部などに接着するように設計さる場合に好都合である。
【0089】
、あらゆる種類の不溶性物質を硬化前に活性混合物中に懸濁させ、架橋時に系が懸濁した物質を閉じこめるようにすることができる。懸濁物質は装飾製品、たとえばアイコン、ビーズ、ラメ(glitter)、破片など;植物製品、たとえば葉、種、茎、針状葉、ナッツ、など;不溶性粉末材料、たとえば蝋、砂糖、コーヒー粉末、餌粉末、不溶性の無添加の塩、着色塩、若しくは風味付けした塩、水、グリセリン、シリコーン流体、並びに、染料、活性材料、酸、及び塩基などの水溶液であり、このようにして形成された分散液を安定化させるために界面活性剤を必要に応じて使用してよく;又は、マトリックス形成流体中に発泡させるために泡立て又はその他の入念なガスとの混合によって空気又はその他の気体を加えもよい。あるいは、ガスは、窒素−、酸素−又は二酸化炭素−発生物質の熱分解などによる、化学的手段によってマトリックス形成組成物内で発生させることができる。そのような化合物の例としては、カルボン酸、アゾビス(イソブチロニトリル)、過酸化水素、並びに炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムがある。この方法で使用するのに好ましいカルボン酸は、重合化脂肪酸である。
【0090】
本発明の製品は、上に挙げられたものの中から選択される、架橋マトリックスによって固定化された芳香油又は他の活性液体及び成分のみからなっていてもよく、あるいは製品は固定化液体又は支持体からなっていてもよく、これらは、硬化が起きる前に注いだり、硬化が起きた後に活性成分、活性剤及び他の液体及び任意成分の混合物を適合させる容器、ブラケット又はホルダーであってもよい。
【0091】
容器に注がない場合には、硬化後の製品は、コーティング、印刷、又はスタンド、プレート、ボウル、皿、ブラケット、ホルダー若しくは他の支持デバイスによって装飾、包装又は支持することができる。容器内に注ぐ場合には、容器は、ガラス、セラミック、金属、紙、プラスチック又はその他の任意のオイル不浸透性材料製であってもよく、円筒状、管状、ボウル、皿などの任意の好都合な形状をとることができる。容器はそれ自体、ヒーター、ファン、送風機又は他の機械的器具を取り付けた芳香剤分配デバイスに適合するように、ホルダー、チャンバ、又は容器に成形することができる。製品が加熱するものである場合、ヒーターは架橋したマトリックス固定化活性液体の外部にあってもよく、又は、内部にあってよい(即ち、架橋製品で取り囲んだり、これに埋め込んだりしてよい)。そのようなデバイスの一例としては、マトリックスが硬化した後に電気をかけて、内部から架橋組成物を加熱できる抵抗加熱ワイヤが通った容器の内部に注がれた本発明の反応性組成物である。
【0092】
同様に、本組成物がまだ液体の間に、紙、ボール紙、セルロースパッド、セルロースパルプ、フェルト、布帛、多孔質合成フォーム、多孔質セラミック、活性炭、土壌、珪藻土、キーゼルグール(kieselguhr)、砂、炭、シリカ及びクレーなどの多孔質材料内に含浸させるか、又はプラスチックフィルム、金属箔、ゴム、セラミック、木材、ガラス及び革など(これらに限定されない)の非多孔質支持体上にコーティングすることができる。
【0093】
同様に、反応性成分、活性液体及び任意成分としての液体の混合物は、未硬化である間に、水若しくはその他の水性媒体に分散させることができ、得られたエマルションは必要に応じて界面活性剤によって安定化させることができる。このようにして乳化させた本発明の組成物の液滴は、硬化して、固体ゲル粒子の分散液となる。これは、分散された状態で封入された活性オイルを製造するプロセスと考えられる。そのような材料は乳状の液体であり、そのままで紙、、ボール紙、セルロースパッド、セルロースパルプ、フェルト、布帛、多孔質合成フォーム、多孔質セラミック、活性炭、土壌、珪藻土、キーゼルクール、砂、炭、シリカ及びクレーなどの多孔質媒体に含浸させるか、又は、プラスチックフィルム、金属フォイル、ゴム、セラミック、木材、ガラス及び革など(これらに限定されない)の非多孔質支持体上にコーティングすることができる。
【0094】
本発明の製品の別の態様は、揮発性材料でほぼ充填され、次に、本発明の組成物で充填され且つ封止された容器であって、架橋マトリックスのバリヤ又は膜の後方に揮発性材料を閉じこめる該容器である。揮発性液体のリザーバは、液体含浸マトリックスのバリヤを通して揮発性液体が拡散するにつれて非常にゆっくりと放出されるので、好都合である。
【0095】
本発明の製品がエアフレッシュナーであるとき、これは「能動的」及び/又は「受動的」であってもよい。能動的エアフレッシュナーは、濃縮若しくは希釈アロマ化合物を分配するためにファンやヒーターなどの可動性部品をもつ比較的複雑なデバイスであるか、又はアロマ薬品、キャリヤ液及び噴射剤を充填したスプレー缶を包含する。能動的エアフレッシュナーは、居住者が、処理すべきエリアに材料を分配することを必要とする。受動的エアフレッシュナーは多くの形態で利用可能であるが、本質的に「固定された(fixed)」液体薬品:固体支持体中に固定化された芳香油を含む多成分製品及び/又は固体支持体である。支持体材料は、ボール紙、吸い取り紙、綿又は他の繊維材料片など単純であってよい。支持体材料は、水性分散液(ゼラチン)又は非水性ゲル(たとえばポリアミド樹脂によりゲル化)など複雑であってよい。好ましくは、本発明のエアフレッシュナーは透明であるが、不透明であってもよい。
【0096】
本発明は、以下の実施態様によりより詳細に説明するが、該実施態様は、本発明を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0097】
実施例1〜4
実施例1
少量の緑染料を含むエアフレッシュナー成分(名前と量については以下に記載)をガラスバイアル中に秤量し、木製攪拌棒用いて手で周囲温度で一緒に攪拌した。この混合物の一部(8.0g)を平坦な、長方形の2.50インチ×3.25インチの未コーティングポリスチレン・モールドに注いだ:
・エポキシ樹脂:EPALLOY(登録商標)5001、10.00g;55.1%。
・硬化剤:1,3-BAC、3.55g;19.6%。
・芳香油:Belle Aire“エバーグリーン”、4.55g;25.1%。
・染料:緑、0.05g;0.3%。
【0098】
翌日、サンプルは硬質で、透明で、不粘着性で、柔軟であった。モールドに少し粘着したが手でモールドから外すことができた。室温で貯蔵用の「バギー(ポリ袋)」に入れたが、数週間後でもシネレシスは示さなかった。
【0099】
実施例2
実施例1の手順に従って、以下のエアフレッシュナー成分を全部で100重量部処理した:EPALLOY(登録商標)5001(53.6部)、1,3-BAC(19.0部)、Belle Aire“エバーグリーン”芳香油(25.1部)、ノニルフェノール(2.2部)。室温で1日硬化させた後に得られた製品は透明で、硬質で、柔軟で且つ不粘着性であった。
【0100】
実施例3
実施例1の手順に従って、以下のエアフレッシュナー成分を全部で100重量部処理した:シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(22.8部)、EPON(登録商標)828(22.8部)、Huntsman T-403ポリアミン(24.2部)、Continental Aromatics“カントリーメドウ”芳香油(30.0部)、プラスチックのラメ(0.1部)及び痕跡量の緑染料。室温で3時間硬化させて得られた製品は、透明で、硬質で、柔軟で不粘着性であり、平坦な垂直ガラス表面にぴったりと付着することができ、表面を損なうことなく容易に剥がすことができ、再付着することができた。
【0101】
実施例4
ポリアミドポリアミンは、アジピン酸(20.0g, 274meq 酸)、JEFFAMINE(登録商標)T-403ポリアミン(20g、132meq アミン)とHuntsman XTJ-500(80g、254meq.アミン)を、スターラーを備えた250mLガラスフラスコに充填し、この充填物を乾燥窒素のもと、210〜220℃に加熱することによって製造した。この混合物をこの条件下で5時間保持したあと、反応混合物を容器に移した。生成物は透明、粘稠で、酸価1.4、アミン価42.2及び150℃におけるブルックフィールド粘度340cPを有するほとんど無色透明の液体であった。この生成物の一部(11.63g)を水(27.5g)に溶解し、次いでポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(195 EEW;3.40g)とブレンドした。スクリューキャップのついた小さなプラスチック瓶のこの混合物の一部(20.0g)に芳香油(“サンシャインフルーツ”、Firmenich芳香油#190196)と数滴のTween 80界面活性剤とを添加すると、乳白色エマルションが生成し、これに蓋をして静置しておくと、ゲル化して固定化された硬質の均質白色固体を生じた。該固体は、蓋を外した後、徐々に芳香を放った。
【0102】
実施例5
市販のジッパーの付いたポリエチレン「バギー」に、全部で100重量部の以下のシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(13.9部)、EPON(登録商標)826(13.9部)、Arizona特許品の液体トリエチレンテトラアミン-系アミド-アミン#X54-327-004(アミン価349、酸価0.8、22.2部)、Atlas“クリスプ・ブリーズ”芳香油(50.0g)と痕跡量の青色染料の成分を添加した。「バギー」を数分間揉んで成分をブレンドし、気泡を押し出して、流体混合物を室温で1週間、平らに広げて貯蔵した。その間に材料は、固定化され、透明で柔軟になるまで架橋された。
【0103】
実施例6
磁気攪拌子の入ったガラスビーカーに、Huntsman Surfonic(登録商標)L24-5、液体エトキシル化アルコール界面活性剤(12.0g)、Atlas製品“クリスプ・ブリーズ”芳香油(8.0g)、Huntsman製T-403ポリアミン(8.4g)、FD&C #3青-緑染料(0.4g)とHELOXY(登録商標)48エポキシ樹脂(14.0g)を充填した。この混合物を58℃に約3時間、攪拌しながら殆ど硬化するまで加熱して、筒状のモールドに注ぎ、放冷した。材料を室温で約3日間静置した後、モールドから取り出すと、ややゴム状で硬質の固体であった。
【0104】
実施例7
全部で100重量部の以下のエアフレッシュナー成分:シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(25.3g部)、EPON(登録商標)828(17.2部)、Arizona特許品のポリアミド-アミン硬化剤#X54-327-004(34.5部)、Continental Aromatics“オーシャン”芳香油(23.0部)と痕跡量の緑色染料を室温でブレンドした。このブレンド物を約67℃で約45分間保持して、室温に放冷した。この段階で非常に粘稠であったが、注いで攪拌することができた。この部分的に架橋した中間体を、約2ダース1/4”の着色されたフォイル状のハートと一緒に塊の中に緩やかに分布させた。室温で3日間硬化させた後に得られた製品は硬質で、柔軟で、不粘着性であり、製品の中に均一に浮遊したフォイル状のハートがはっきりと見えた。
【0105】
実施例8
実施例1の手順に従って、以下の成分:ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル(13.0部)、EPON(登録商標)828(22.0部)、Arizon製UNI-REZ(登録商標)2801アミド-アミン(14.0部)、“バニラ”芳香油、Aromatic Flavors and Fragrances製、ジプロピレングリコールベンゾエート(19.5部)及び市販の粉末コーヒー(29.5部)を全部で100重量部処理した。硬化後に得られた製品は硬質で、やや柔軟性で、不粘着性であった。コーヒー粉末は均一分布しており、製品は濃い茶色の不透明の外観で、モールドが平滑だった底部では平滑で、粉末を自由に沈降させた上部では粗であった。
【0106】
以下の実施例においては、略号は以下の通りである:
・CHDAは、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(Eastman Chemical製)である;
・EmpolはEMPOL(登録商標)1008ダイマー酸(Cognic Corporation製)である;
・UnidymeはUNIDYME(登録商標)18ダイマー酸(Arizona Chemical社製)である;
・T-403はJAFFAMINE(登録商標)T-403ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(Huntsman Corporation製)である;
・D-400はJEFFAMINE(登録商標)D-400ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(同じくHuntsman製)である;
・D-2000はJEFFAMINE(登録商標)T-2000ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(同じくHuntsman製)である;
・V-551はVERSAMINE(登録商標)ダイマージアミン(Cognis Corporation製)である;
・N-3300は、DESMODUR(登録商標)N-3300又はN-3300A(Bayer Corporation,Industrial Chemicals Division製)である;
・N-3800は、DESMODUR(登録商標)N-3800(同じくBayer製)である;
・Z-4470は、DESMODUR(登録商標)Z4470(同じくBayer製)である。
【0107】
実施例9
ポリアミドポリアミンは、EMPOL(登録商標)1008重合化脂肪酸(63.0g,219meq 酸)、JEFFAMINE(登録商標)T-403ポリアミン(18g,118meq アミン)とJEFFAMINE(登録商標)D-400(45g,205meq.アミン)をスターラーのついた250mLガラスフラスコに充填し、この充填物を乾燥窒素流のもと、210〜220℃に加熱した。これらの条件下で5時間、この混合物を保持した後、反応混合物を容器に放出した。生成物は、酸価0.3、アミン価41.8、重量平均分子量2,270及び150℃におけるブルックフィールド粘度204cPをもつ透明、粘稠でほとんど無色透明の液体であった。
【0108】
このポリアミドポリアミン10.0gと5.0gのFINSOV(登録商標)TNベンゾエートエステルと10.0g芳香油“リネンフレッシュ”(Wessel Fragrances製)を温め、室温に冷却し、次いでDESMODUR(登録商標)Z4470と5.0gの追加の芳香油との混合物とよくブレンドすることによって溶液を製造した。この組成物に少量の赤色染料と赤色ラメとを添加した。数分後、この最終配合物約25gを平坦な円状のバラ型シリコーンゴム・モールドに注いで、残りを瓶に保持した。成分をブレンドしてから全部で33分後、保持した材料は固定化ゲルに硬化した。室温で16時間静置した後、固定化芳香油製品をモールドから外した。これはモールドにくっつかず、不粘着性で、モールドの正確な花の形状を有しており、均一な着色とラメ分布を示し、壊すことなく取り扱うことができた。ガラス及びプラスチックフィルムなどの種々の垂直面に非常に良く付着した。
【0109】
実施例10〜15
実施例9の手順に従って、以下の表Aに重量%で列記した種類の酸とアミンとを反応器に充填し、乾燥窒素流下、200〜220℃に約4〜5時間加熱し、生成物を排出することによってポリアミドポリアミンを製造した。製品の特性は測定され、また、表Aに記録されている。
【0110】
【表3】

【0111】
固定化芳香油は、実施例の2.0グラムPAPAと、2.0グラムの芳香油との混合物を約55℃に温め、次いでこの温まった混合物を攪拌棒を使用して手でブレンドすることによって製造した。試験芳香油は“オーシャン”(Continental Aromatics製)、“リネンフレッシュ”(Wessel Fragrances製)及び“チェリー”(Aromatic Flavors and Fragrances製)であった。ブレンド後、等重量の油に溶解した一当量のイソシアナート硬化剤を手で攪拌しながら添加し、ストップウォッチを始動し、そのコンシステンシーに関してモニターした。混合物が自重下でそれ以上流動できなくなったら、その時間(分)を「ゲルタイム」として記録した。表Bは、これらのポリアミドポリアミンが全て、ポリイソシアナートで架橋したときに目的の油を固定化するのに有用であったことを示している。ゲルタイムは短いが、有用な製品を製造できなくなるほどには短くはなかった。コンシステンシーパターン(consistent pattern):オーシャン<リネンフレッシュ<<チェリー。
【0112】
【表4】

【0113】
実施例16〜20
ポリアミドポリアミン(PAPA)は、重量比で表された表Cに列記された種類の酸とアミンとを反応器に充填し、この充填物を乾燥窒素流下で200〜220℃で約5時間加熱し、生成物を排出することによって、実施例9の手順に従って製造した。次いで製品の性質を測定し、表Cに記録した。
【0114】
【表5】

【0115】
固定化芳香油は、2.0グラムの実施例のポリアミドポリアミンと2.0グラムの芳香油との混合物を約55℃に温め、次いでこの温かい混合物を攪拌棒を使用して手でブレンドすることによって製造した。試験芳香剤は、オーシャンサイドミスト、トロピカル(Atlas Products製)、スプリングメドウ、カントリーワイルドフラワー、オーシャン(Continental Aromatics製)、リネンフレッシュ(Wessel Fragrances製)、ヤンキーホーム(Belle Aire製)、マルベリー及びチェリー(Aromatic Flavors and Fragrances製)であった。ブレンド後、等重量の油に溶かした一当量のイソシアネート硬化剤を手で攪拌しながら添加し、ストップウォッチを始動させ、混合物をそのコンシステンシーに関してモニターした。混合物が自重下でそれ以上流動できなくなったら、その時間(分)を「ゲルタイム」として記録した。表Dは、これらのポリアミドポリアミンが全て、ポリイソシアナートで架橋したときに目的の油を固定化するのに有用であったことを示している。ゲルタイムは短いが、有用な製品を製造できなくなるほどには短くはなかった。コンシステンシーパターン:スプリングメドウ<オーシャン<トロピカル<リネンフレッシュ<ヤンキーホーム<マルベリー<チェリー。
【0116】
【表6】

【0117】
実施例21
種々のバッチのPAPAは、EPMPOL(登録商標)1008又はUNIDYME(登録商標)12(低三量体含有量、Arizona Chemical製の水素化ダイマー酸)[29.5%]、T-403[3.7%]、D-400[22.6%]、及びD-2000[44.2%]の充填量で製造した。実施例#22〜35で使用したこのポリマーは通常、酸価30〜35(1,800〜1,600の重量と等価)、10,700〜12,100の重量平均分子量、4,300〜4,900の数平均分子量と150℃における粘度40〜70cPを有していた。
【0118】
実施例22
この実施例では、簡単な幾何学形状のエアフレッシュナーの製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のPAPA13.1gと“コットンフレッシュ”芳香油(Symrise Corp製)15gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。青色染料(2滴)を混合物に添加すると、溶液は薄い青色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A1.5gを添加した。次いでこの混合物を均質になるまで攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で13gを均一な長さ1.87インチ、高さ0.3インチ、幅1.0インチの長方形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は28分で記録した。混合物をポリエチレンフィルムで覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0119】
実施例23
この実施例では複雑な形状のエアフレッシュナーの製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン13.1gと“スナッグル・タイプ”芳香油(Alpha Aromatics製)15gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。赤色染料(3滴)を混合物に添加すると、溶液は薄い桃/赤色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 1.5gを添加した。次いで、この混合物を均質になるまで攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で10gを均一な上部幅1.875インチ、高さ0.375インチ、底幅1.625インチの円形のブリオッシュ形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は6分であった。混合物をポリエチレンフィルムで覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0120】
実施例24
この実施例では複雑な形状のエアフレッシュナーの製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン19gと“トロピカルスプラッシュ”芳香油(Symrise Corp製)20gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。青色染料(3滴)を混合物に添加すると、溶液は薄い緑色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.0gを添加した。次いで、この混合物を均質になるまで攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で20gを均一な上部幅2.375インチ、高さ0.125インチ、底幅2.25インチのホタテ貝形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は24分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0121】
実施例25
この実施例では懸濁させた不溶性粒子を含むエアフレッシュナーの製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン19gと“クリーンシトラス”芳香油(Symrise Corp製)20gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。黄色アルミニウムフレーク「ラメ」(0.04g)を混合物に添加した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.0gを添加した。次いで、この混合物を均質になるまで攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で18gを均一な周囲9.75インチ、高さ0.75インチ、幅3.0インチの円盤形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は30分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性のない触感の、ラメが均一分布している架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0122】
実施例26
ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン19gと“サンシャインフルーツ”芳香油(Firmeich,Inc.製)20gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。緑色「ラメ」(0.03g)を混合物に添加した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.0gを添加した。次いでこの混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で28gを均一な長さ2.5インチ、高さ0.3インチ、幅2.875インチのハート形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は17分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、型から剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性のない触感の、ラメが均一分布しているエアフレッシュナー製品が得られた。
【0123】
実施例27
ガラス混合ジャーに、実施例21のPAPA 19gと“マンダリングレープフルーツ”芳香油(Givaudan Corp製)20gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。青色染料(1滴)を混合物に添加すると、溶液は薄い黄色/緑色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.0gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で31.0gを均一な上部幅1.75インチ、高さ0.75インチ、底幅2.5インチのブント・ケーキ(bundt-cake)形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は67分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0124】
実施例28
この実施例では固定化相転移液体の製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン10.4gと活性オイルとして1-デカノール(凝固点、5〜7℃)18g、着臭剤としてベンズアルデヒド0.6gと、架橋反応抑制剤とを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 1.5gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で18.5gを均一な上部幅0.75インチ、高さ0.75インチ、底幅1.0インチの切頂円錐形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は30分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性のない触感の架橋製品が得られた。これを冷凍庫の中におくと、製品は硬化したが割れはしなかった。フリーザーから出して室温に放置して温めると、製品は柔軟性を回復したが、固く、硬質で透明な固体のままであった。
【0125】
実施例29
この実施例では、ハンドバッグや小さな密閉空間で使用するための小さなエアフレッシュナーの製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン5gと“オーシャン”芳香油(Orlandi,Inc.製)5gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。青色染料(2滴)を混合物に添加すると、溶液は薄い青色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 0.6gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で5.0gを均一の中程度の周囲1.5インチ、高さ1.625インチ、底幅0.5インチのトローチ型(lozenge)のポリエチレン・バルブ・モールドに注いだ。セット時間は7分であった。混合物を封止し、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0126】
実施例30
ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン28gと“カントリーガーデン”芳香油(Belle-Aire製)30gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。緑色染料(3滴)と黄色粒(sprinkle)(0.02g)を混合物に添加すると、溶液は黄/緑色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 3.0gを添加した。次いでこの混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で50.0gを底部周囲7.25インチ、高さ1.0インチ、底幅3.75インチの半球形の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は260分であった。この混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0127】
実施例31
ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン30gとコットン・フレッシュ“芳香油(Symrise製)30gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。紅葉薄葉飾りの紙吹雪(foil confetti)(6枚)を透明な混合物に添加した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 3.5gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で50gを均一周囲7.25インチ、高さ1.25インチ、底幅2.25インチのガラス瓶に注いだ。セット時間は28分で記録した。混合物に蓋をして、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、滑らかな触感であった。
【0128】
実施例32
ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン37gと“レモンシトラス”芳香油(Alpha Aromatics製)40gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。緑色粒(sprinkle)(0.02g)を混合物に添加すると、溶液は黄/緑色に変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 4.0gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で60.0gを均一上部及び底部幅0.75インチ、高さ2.75インチ、真ん中の周囲5.5インチのレモン型の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は42分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性の触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0129】
実施例33
ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン36gと“チェリーベリー”芳香油(Belle-Aire製)40gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。赤色染料(3滴)を混合物に添加すると、溶液は赤く変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 4.0gを添加した。次いで、この混合物を均質になるまで攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で60.0gを均一な上部及び底部幅3.75インチ、高さ0.75インチ、周囲12.25インチの花型の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は155分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドから剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な、粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0130】
実施例34
ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン19gと“チェリー”芳香油(Atlas,Inc製)20gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。赤色染料(3滴)を混合物に添加すると、溶液は赤く変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.0gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で28.0gを均一周囲5.25インチの中空のポリエチレンゴルフボール・モールドに注いだ。セット時間は75分で記録した。混合物を覆い、静かに24時間硬化させた。この後、モールドを剥がすと、硬質で、柔軟で、透明な粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0131】
実施例35
この実施例では、フォーム製品の製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミン15gとUNIDYME(登録商標)60重合化脂肪酸(Arizona Chemical製)15gと、“ベリーベリー”芳香油(Belmay Corp.製)30gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌すると、やや曇った溶液が得られた。赤色染料(3滴)を混合物に添加すると、溶液は赤く変化した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 4.0gを添加した。次いでこの混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で40gを均一な上部及び底部幅2.0インチ、高さ1.25インチ、周囲7.5インチのカップケーキ紙型に注いだ。セット時間は8分であった。混合物をさらに24時間、静かに放置して硬化させた。この間に、製品はトラップされた気泡(発泡体)で一杯になり、サイズは二倍になって、丸い王冠を形成した。このフ発泡エアフレッシュナーは、硬質で、不粘着性であった。圧縮(スクイーズ)すると、その丸い形状に戻った。
【0132】
実施例36
カルボニル置換芳香族アミンで末端停止したポリアミドポリアミンの多くのバッチは、PRIPOL(登録商標)1009水素化ダイマー酸[24.0]、パラ-アミノ安息香酸[5.0]、JEFFAMINE(登録商標)D-2000[54.0]、JEFFAMINE(登録商標)D-400[11.5]及びJEFFAMINE(登録商標)T-403[5.5]をオーバーヘッドメカニカルスターラーを備えた3Lガラス丸底反応器に充填し(カッコ内は重量パーセント)、この充填物を乾燥窒素流下、215℃に加熱することによって製造した。これらの条件下で約25時間、この混合物を保持した後、反応混合物を容器にあけた。生成物は透明、粘稠でやや黄色の液体であった。このポリマーは13〜15の滴定アミン価(非電位差滴定法、又は30〜35、電位差滴定、アミン反応当量1,800-1,600)、重量平均分子量13,000〜14,000、数平均分子量4,500〜5,500、130℃における粘度250cPを有していた。この材料を、30重量%使用レベルで、液体試験媒体(70重量%)中、活性剤、触媒、及び遅延剤を添加せず、一連の固定化試験で使用した。結果(以下の表)は、そのように変性したPAPAは、遅延剤アルデヒドの不存在下でも、約1日にまでセット時間が変動し得ることを示している。またこのデータは、ポリプロピレングリコール又はそのアルキルエーテルなどのアルコール性希釈剤を使用すると、硬化速度に対して促進作用があることを示している。
【0133】
【表7】

【0134】
実施例37
この実施例は、カルボニル-置換芳香族アミンで末端停止した別の種類のポリアミドポリアミンの製造について説明する。実施例37の手順に従って、T-5000[92.9]及びパラ-アミノ安息香酸[7.1]の充填物(カッコ内は重量比)を使用した。実施例38〜41で使用するポリマーは、アミン当量1.950であった。
【0135】
実施例38
この実施例では、マトリックス膜の後方にトラップされた液体芳香剤を含む製品の製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例36のポリアミン5.0g及びFINSOLV(登録商標)TN5.0gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 0.6gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、全部で1.0gを、攪拌することなく穏やかに、“リリー・オブ・バリー”緑色芳香油(Wellington Fragrances製)10gを含む1オンスガラスバイアルに注いだ。このマトリックス溶液は芳香油の上部に浮き、油はその下の別のリザーバに残った。徐々に芳香油を吸着した上部(膜)層のセット時間は80分であった。バイアルの蓋を閉めて、さらに24時間硬化させた。この後、バイアルをひっくり返した。この位置で、芳香油はゆっくりと膜に浸透し、蒸発し、徐放性エアフレッシュナーとして機能した。
【0136】
実施例39
この実施例では芳香性充填剤を含む製品の製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例36のポリアミン15g、ひまし油6gと市販の粉末コーヒー9gを充填し、この混合物を周囲温度で30分間穏やかに攪拌した。この粘稠ペーストに、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.0gを添加した。次いでこの混合物をしばらく攪拌して、数分間静置させて、気泡を全て消散させてから、(18.0g使用して)、均一な周囲の長さ8.25インチ、高さ0.25インチ、上部及び底部幅2.5インチのディスク形の柔軟なモールドに注いだ。セット時間は165分であった。この混合物を覆い、24時間静置して硬化させた。この後、モールドから外すと、芳香性の(コーヒーの香り)硬質な、柔軟な粘着性のない触感の製品が得られた。
【0137】
実施例40
この実施例では水を含む製品の製造について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例36のポリアミン20gと“スナッグル・タイプ”芳香油(Alpha Aromatics製)20gと、脱イオン水8gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌すると、マトリックス-芳香剤溶液中-水の乳白色懸濁液が得られた。青色染料(2滴)をこの混合物に添加した。この明るい青色の乳状混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 2.5gを添加した。次いで、この混合物をしばらく攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させた。次いで31.0gを、均一な上部幅1.75インチ、高さ0.75インチ、底部幅2.5インチのバント・ケーキ型の柔軟なシリコーン・モールドに注いだ。セット時間は130分と記録した。この混合物を覆い、24時間静置して硬化させた。この後、モールドから外すと、硬質で、乳白色の柔軟な粘着性のない触感の架橋エアフレッシュナーが得られた。この製品は、1ヶ月の期間にわたって水分が蒸発するにつれて、徐々に(端部から始まって中心部に移動する)透明になった。
【0138】
実施例41
この実施例では、分散液の製造について説明する。溶液A:ガラス混合ジャーに、実施例36のポリアミン8gとFINSOLV(登録商標)TN8gを充填し、この混合物を周囲温度で15分間穏やかに攪拌した。この均質混合物に、DESMODUR(登録商標)N3300A 0.8gを添加した。次いで、この混合物をしばらく(均質になるまで)攪拌し、数分間静置させて、気泡を全て消散させた。溶液B:別のガラス混合ジャーに、脱イオン水32gと界面活性剤(T-DET A-136)0.8gを充填した。この混合物を攪拌した(10分)。次いで、溶液Aを溶液Bに攪拌しながら10分間で注いだ。混合物A+B混合物のブレンドを金属パンに注ぎ、放置して水を蒸発させた(24時間)。これにより、固定化オイル粒子の、トルエン不溶性の白色の不安定な粉末が得られた。
【0139】
実施例42
本発明に従って製造し得る殺虫剤を含む製品の代表例は、以下の徐放性ジエチルトルアミド(DEET)デバイスである。DEET(20部)、ジメチルアジペートキャリヤ(50部)、芳香剤及び遅延剤としてベンズアルデヒド(1.6部)と、実施例21のポリアミドポリアミン(26.8部)と痕跡量の橙色染料で完全な混合物を製造した。このブレンドに、攪拌しながら、DESMODUR(登録商標)N3300ポリイソシアナート(3.2部)を添加し、最終混合物をホタテ貝型のシリコーン・モールドに注いだ。該混合物が硬化した後、このようにして形成したホタテ貝模様のメダルは、硬質で、不粘着性で柔軟な固体であった。
【0140】
実施例43
本発明に従って製造し得るフェロモンを含む製品の代表例は、以下のフェロモンオクタデカナールのための除放性デバイスである。オクタデカナール(30部)、キャリヤとしてのFINSOLV(登録商標)TNベンゾエートエステル(30部)、実施例21のポリアミドポリアミン(35.5部)から完全な混合物を製造した。このブレンドに、攪拌しながら、DESMODUR(登録商標)N3300ポリイソシアナート(4.5部)を添加し、最終混合物を円筒状のモールドに注いだ。硬化させた後、形成した材料は、ルアー用小型ディスクにスライスできる、硬質で、不粘着性で柔軟な固体であった。
【0141】
実施例44
この実施例では、ほのかに香りのあるディスク形エアフレッシュナーの製造のための、ポリアミドポリアミンに対して反応性を有するパートナーとしてのスチレン-無水マレイン酸コポリマーの使用について説明する。ガラス混合ジャーに、実施例21のポリアミドポリアミンの25重量%溶液FINSOLV(登録商標)TN溶液6.0g、DYLARK(登録商標)232ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸、NOVA Chemical製)20重量%溶液7.5g、“オーシャン”芳香油約2g(Wellington,Inc.製)を充填した。混合物を穏やかに周囲温度で数分間攪拌し、青色染料(4滴)を添加した。この混合物は最初不透明であったが、さらに数分後に、透明になり、透明のまま、見かけ上均質であった。次いで、この混合物を、ディスク形ポリエチレン・モールドに注ぎ(約11gを使用)、静置した。混合物は、中で約2時間後に粘着性の、柔らかい塊に硬化して、24時間後にモールドから外すことができた。この後モールドから外すと、硬質で、透明で、柔軟で、やや粘着性のある触感の架橋エアフレッシュナー製品が得られた。
【0142】
実施例45
この実施例では、布帛柔軟剤として有用な固定化芳香剤エマルションを製造するためにカチオン界面活性剤を使用することについて説明する。実施例13のPAPA(4.0g)、“シナモン・チャイ”芳香油(3.0g)とVARIQUAT(登録商標)B1216アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(80%活性、Degussa Corporation製、1.0g)のブレンドは、最初に成分を温め、攪拌することによって製造した。このブレンドに水(9.0g)を添加し、続いて攪拌しながらDESMODUR(登録商標)N3300A(0.65g)を添加した。すぐにこの混合物は粘稠で均一に曇った。この混合物は貯蔵安定性を有し、水で希釈可能であり、水中油型分散液であることを示していた。材料の光散乱法によるサイズ測定を実施すると、粒径分布はバイモーダル(二峰性)であり、粒子の約50重量%が0.4ミクロンほどのサイズを有し、約50%は約3.0ミクロンであることが判明した。
【0143】
実施例46
この実施例は、布帛柔軟剤として有用な固定化カチオン界面活性剤の製造について説明する。実施例21のPAPA(3.0g)、DOWANOL(登録商標)DPM(1.0g)及びVARIQUAT(登録商標)B1216アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(80%活性、Degussa Corporation製、6.0g)のブレンド物は最初に、成分を温め、攪拌し、次いで室温に冷却することにより製造した。第二のブレンドは、DOWANOL(登録商標)DPM(4.2g)とDESMODUR(登録商標)N3300A(0.8g)で製造した。この二つの透明混合物を一緒に混合し、直ちにモールドに注いだ。ブレンドした成分はほとんど直ちに硬化し、30分以内にモールドから取り出すのに十分なほど硬質であった。最終製品は活性四級化合物を32重量%含んでいた。
【0144】
本明細書全体わたって用いられるとおり、数値範囲は、該範囲(すべての下位的範囲を含む)内に包含されるすべての値を表わすための簡略化された表記として示されたものである。
【0145】
本発明における多くの変形及び変更は、上記の教示を考慮することにより可能である。従って、本発明は、添付の請求の範囲内において、本明細書で具体的に記載された以外のやり方で実施し得るものと理解すべきである。
【0146】
本明細書中に引用した全ての参照文献並びにその参照文献は、本発明の主題に関連する部分に関しては、参照により、本明細書中に援用されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質支持体材料及びその中に配置された組成物とを含む物品であって、前記組成物は硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含み、ここで前記活性液体は、硬化ポリマーマトリックス内で固定化され、且つ該硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であることを特徴とする、前記物品。
【請求項2】
前記多孔質支持体が、紙、ボール紙、セルロースパッド、セルロースパルプ、フェルト、布帛、多孔質合成発泡体、多孔質セラミック、活性炭、土壌、珪藻土、キーゼルグール、炭、シリカ及びクレーからなる群から選択される少なくとも一種類を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記物品が、治療用である活性液体を有する治療用製品、栄養のある活性液体を有する栄養補助製品、殺虫性である活性液体を有する殺虫剤製品、洗濯物お手入れ用の活性液体を有する洗濯物お手入れ用製品、及び、芳香油である活性液体を有するエアフレッシュナーからなる群から選択される、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体及び反応促進剤の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体及び反応抑制剤の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項3に記載の物品。
【請求項6】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、少なくとも二つの無水物の官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記無水物はマレエート化ポリオレフィンゴムではない、請求項3に記載の物品。
【請求項7】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、少なくとも二つのエポキシ官能基をもつ化合物とポリアミンと反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは芳香族ポリアミンではない、請求項3に記載の物品。
【請求項8】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、同一の又は異なる、少なくとも二つのイソシアナート官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項3に記載の物品。
【請求項9】
前記ポリアミンの反応性アミン基は、オルト−アミノ安息香酸又はパラ−アミノ安息香酸の少なくとも1つから誘導されるアミノ基を含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、同一の又は異なる、少なくとも二つの非芳香族イソシアナート官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項3に記載の物品。
【請求項11】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、前記ポリアミンは10〜100meq KOH/gのアミン価と、150℃で測定して約500cP以下の粘度をもつ、請求項3に記載の物品。
【請求項12】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは室温で液体である、請求項3に記載の物品。
【請求項13】
硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含む部品、成分又は部材を含む物品であって、前記活性液体は、前記硬化ポリマーマトリックス内で固定化され、前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、前記物品。
【請求項14】
前記物品が、治療用である活性液体を有する治療用製品、栄養のある活性液体を有する栄養補助製品、殺虫性である活性液体を有する殺虫剤製品、洗濯物お手入れ用の活性液体を有する洗濯物お手入れ用製品、及び、芳香油である活性液体を有するエアフレッシュナーからなる群から選択される、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下における、少なくとも二つのイソシアナート官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体及び反応抑制剤の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下における、少なくとも二つの無水物官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記無水物はマレエート化ポリオレフィンゴムではない、請求項14に記載の物品。
【請求項18】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、少なくとも二つのエポキシ官能基をもつ化合物とポリアミンと反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは芳香族ポリアミンではない、請求項14に記載の物品。
【請求項19】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、少なくとも二つのイソシアナート官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項14に記載の物品。
【請求項20】
前記ポリアミンの反応性アミン基は、オルト−アミノ安息香酸又はパラ−アミノ安息香酸の少なくとも1つから誘導されるアミノ基を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下における、少なくとも二つの非芳香族イソシアナート官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項14に記載の物品。
【請求項22】
前記物品は、三角形、正方形、円形、球形、楕円形、規則的幾何学的形状及び不規則的幾何学的形状からなる群から選択される形状を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項23】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、前記ポリアミンは10〜100meq KOH/gのアミン価と、150℃で測定して約500cP以下の粘度をもつ、請求項14に記載の物品。
【請求項24】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは室温で液体である、請求項14に記載の物品。
【請求項25】
支持部材とその上に担持された固体組成物とを含む物品であって、前記固体組成物は硬化ポリマーマトリックスと活性液体とを含み、ここで前記活性液体は硬化ポリマーマトリックス内で固定化され、且つ前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物と、ポリアミンとの反応生成物である、前記物品。
【請求項26】
前記物品が、治療用である活性液体を有する治療用製品、栄養のある活性液体を有する栄養補助製品、殺虫性である活性液体を有する殺虫剤製品、洗濯物お手入れ用の活性液体を有する洗濯物お手入れ用製品、及び香油である活性液体を有するエアフレッシュナーからなる群から選択される、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体及び反応促進剤の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項25に記載の物品。
【請求項28】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体及び反応抑制剤の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項25に記載の物品。
【請求項29】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、少なくとも二つの無水物の官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記無水物はマレエート化ポリオレフィンゴムではない、請求項25に記載の物品。
【請求項30】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、少なくとも二つのエポキシ官能基をもつ化合物とポリアミンと反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは芳香族ポリアミンではない、請求項25に記載の物品。
【請求項31】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、前記群から選択される少なくとも二つの官能性イソシアナート基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項25に記載の物品。
【請求項32】
前記ポリアミンの反応性アミン基は、オルト−アミノ安息香酸又はパラ−アミノ安息香酸の少なくとも1つから誘導されるアミノ基を含む、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下における、前記群から選択される少なくとも二つの非芳香族イソシアナート官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物である、請求項25に記載の物品。
【請求項34】
前記物品は、三角形、正方形、円形、球形、楕円形、規則的幾何学的形状及び不規則的幾何学的形状からなる群から選択される形状を含む、請求項31に記載の物品。
【請求項35】
前記支持部材は、ガラス、セラミック、金属、紙、プラスチック及びオイル不浸透性材料からなる群から選択される、少なくとも一つを含む、請求項25に記載の物品。
【請求項36】
前記硬化ポリマーマトリックスは、前記活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは10〜100meq KOH/gのアミン価と、150℃で測定して約500cP以下の粘度をもつ、請求項25に記載の物品。
【請求項37】
前記硬化ポリマーマトリックスは、活性液体の存在下における、エポキシ、イソシアナート、無水物及びアクリレートからなる群から選択される少なくとも二つの官能基をもつ化合物とポリアミンとの反応生成物であり、且つ前記ポリアミンは室温で液体である、請求項25に記載の物品。

【公表番号】特表2010−513700(P2010−513700A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543189(P2009−543189)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/088178
【国際公開番号】WO2008/079892
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(505333816)アリゾナ・ケミカル・カンパニー・エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】