説明

架橋性マトリックス前駆体および気孔発生体を含有する組成物、並びにそれから製造された多孔質マトリックス

【課題】半導体を製作する際に必要とされる苛酷な加工条件に安定である超低誘電材料を提供する。
【解決手段】a)炭化水素含有マトリックス前駆体およびb)気孔発生体を含む組成物であって、該マトリックス前駆体が、硬化時に300℃より高いTgを有する架橋炭化水素含有物質を形成するように選択される組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性マトリックス前駆体および気孔発生体(ポラゲン(poragen))を含有する組成物、並びにそれから製造された多孔質マトリックスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスがますます小さくなりそしてチップ実装密度が相応して増大するにつれて、望ましくないキャパシタンス関連遅れおよび金属配線間のクロストークがより鋭く現れる。キャパシタンス関連遅れおよびクロストークは絶縁体の誘電率に関係するので、超低誘電率材料(すなわち、≦2.0の誘電率を有する誘電材料)の創造に注意が集中されてきた。かかる努力は、多孔質の無機(たとえば、二酸化ケイ素)または熱可塑性ポリマー(たとえば、ポリイミド)物質の創造を含む。
【0003】
過去40年間主要なレベル間誘電材料(ILD)であってきた二酸化ケイ素は、Proc.Mat.Res.Soc.381,261(1995);Proc.Mat.Res.Soc.443,91(1997);およびProc.Mat.Res.Soc.443,99(1997)に開示されているもののような十分に発達したゾル−ゲル技法により多孔性にされ得る。二酸化ケイ素中への気孔の導入は4.2から2.0未満への誘電率の低減を引き起こすけれども、生じる多孔質物質は有意的に弱化される。かくして、多孔質二酸化ケイ素は、低誘電率材料として実用的でない。
【0004】
多孔質熱可塑性ポリマー、特にポリイミドのような熱安定性ポリマーもまた、超低誘電材料としての使用について調査されてきた。たとえば米国特許5,895,263および5,776,990参照。これらの多孔質熱可塑性物質は受容可能な誘電率を有するように作製され得るけれども、気孔は後続の高温加工中崩壊する傾向にあり、それによりこれらの物質の興味ある用途用の使用を排除する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術におけるかかる欠陥にかんがみて、半導体を製作する際に必要とされる苛酷な加工条件に安定である超低誘電材料を得ることは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、a)炭化水素含有マトリックス前駆体およびb)気孔発生体を含む組成物であって、該マトリックス前駆体が、硬化時に300℃より高いTgを有する架橋炭化水素含有物質を形成するように選択される該組成物を提供することにより、先行技術の問題に取り組む。架橋炭化水素含有物質は、好ましくは、少なくとも400℃の熱安定性を有する。
【0007】
第2の具体的態様において、本発明は、300℃より高いTgを有する多孔質架橋炭化水素含有マトリックスを含む低誘電率材料である。該材料は、好ましくは、基板上の薄いフィルムの形態にある。
【0008】
第3の具体的態様において、本発明は、基板上において多孔質フィルムを作製する方法であって、
少なくとも300℃のTgを有するマトリックス材料を形成するよう硬化するマトリックス前駆体、気孔発生体および溶媒を含む溶液を基板上に塗布すること、
該溶媒を除去すること、
該マトリックス前駆体を反応させて、該マトリックス材料を形成させ、そして
該気孔発生体を分解して、該マトリックス中に気孔を形成させること
を含む方法である。除去、反応および分解の工程は、下記に一層詳細に記載されるように、1つまたはそれ以上の加熱工程により遂行される。
【0009】
第4の具体的態様において、本発明は、トランジスターを含有する能動基板および少なくとも部分的に多孔質誘電材料の層または領域により分離されたパターン化金属線路を含有する電気配線構造体を含む集積回路物品であって、該誘電材料が、300℃より高いTgを有する架橋炭化水素含有マトリックスを含む上記集積回路物品である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、超小型電子工学用途用の中間層誘電体として適合しかつ300℃より高い加工温度に安定である低誘電率の多孔質マトリックス材料を提供することにより、当該技術における問題を解決する。
【0011】
「B段階」は、部分重合モノマー、またはモノマーと部分重合モノマーの混合物を指す。B段階生成物は、通常、「プレポリマー」または「オリゴマー」と同義である。
【0012】
「架橋性」は、再造形または再成形され得ない材料に不可逆的に硬化されることが可能であるマトリックス前駆体を指す。架橋は、UV、マイクロ波、X線またはEビームの照射により助成され得る。架橋が熱的になされる場合、しばしば「熱硬化性」と互換的に用いられる。
【0013】
「マトリックス前駆体」は、硬化時に架橋マトリックス材料を形成するモノマー、プレポリマーもしくはポリマー、またはそれらの混合物を指す。
「モノマー」は、重合性化合物または重合性化合物の混合物を指す。
【0014】
「官能価」は、重合のために利用され得るモノマー中の基の数を指す。たとえば、ビスシクロペンタジエノンおよびビス−アセチレンは各々2の官能価を有するのに対して、モノマー1,1,1−トリス(4−トリフルオロビニルオキシフェニル)エタンは3の官能価を有する。
【0015】
「炭化水素含有」は、炭素および水素を含有するがしかし他の元素を含有していてもよいマトリックスまたはマトリックス前駆体を指す。マトリックスまたはマトリックス前駆体は、好ましくは50重量パーセントより多くないケイ素、一層好ましくは30重量パーセントより多くないケイ素、最も好ましくは20重量パーセントより多くないケイ素を含有する。
【0016】
「気孔発生体」は、後続的に完全に硬化されるマトリックス中に気孔または空隙を発生し、それによりその樹脂の有効誘電率を低下するよう部分的にまたは完全に架橋されたマトリックスから除去可能である固体状、液体状または気体状物質を指す。
【0017】
「熱安定性温度」は、最大温度Tであって、不活性環境中にその温度において維持された試料の重量損失が1時間当たり1パーセント未満である最大温度Tを指す。
【0018】
「マトリックス」は、明確な組成の分散領域を取り囲む連続相を指す。最終物品において、マトリックスは、分散された空隙または気孔を取り囲む固相である。
【0019】
本発明の多孔質マトリックスは、気孔発生体および架橋性炭化水素含有マトリックス前駆体の混合物から製造され得る。気孔発生体は気孔発生体がポリマーマトリックス中に化学的に結合されるようになるように反応性であり得、またはそれは非反応性であり得る。
【0020】
適当なマトリックス前駆体は、300℃より高い、より好ましくは350℃より高いTgを有する架橋樹脂を形成するものである。
好ましくは、マトリックス前駆体は、更に、硬化中モジュラスの低減を全くまたは比較的小さい低減しか受けないことにおいて特徴づけられる。この物質が硬化中大きいモジュラス降下を受ける場合、特に低いモジュラスが気孔発生体の分解温度に近い温度において発生する場合、気孔崩壊が起こり得る。
【0021】
マトリックス前駆体の一つの好ましいクラスは、米国特許4,540,763および米国特許4,812,588に記載されているもののような、熱硬化性ベンゾシクロブテン(BCB)またはそれらのB段階生成物を含む。特に好ましいBCBは、1,3−ビス(2−ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イルエチニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(DVS−ビスBCBと称される)であり、しかしてそのB段階樹脂はCYCLO(登録商標)TENETM樹脂として商業的に入手できる(The Dow Chemical Companyから)。
【0022】
マトリックス材料の別の第2の好ましいクラスは、ポリアリーレンを含む。ここにおいて用いられるポリアリーレンは、繰返しアリーレン単位から作られた主鎖を有する化合物、および主鎖中においてアリーレン単位を他の結合単位(たとえば、ポリアリーレンエーテルにおける酸素)と一緒に有する化合物を含む。商業的に入手できるポリアリーレン組成物の例は、SiLKTM半導体誘電体(The Dow Chemical Companyから)、FlareTM誘電体(Allied Signal,Inc.から)およびVeloxTM(ポリ(アリーレンエーテル))(AirProducts/Shumacherから)を含む。ポリアリーレンマトリックス前駆体の好ましいクラスは、WO98/11149に記載されているもののような、ポリシクロペンタジエノンとポリアセチレンの熱硬化性混合物またはB段階生成物である。本発明の組成物において用いられ得る熱硬化性組成物または架橋性ポリアリーレンの例は、WO97/10193に示されているような、芳香族環上において互いにオルトにてエチニル基で置換された芳香族化合物のようなモノマー;WO98/11149に示されているような、芳香族アセチレン化合物と組み合わせられたシクロペンタジエノン官能性化合物;並びに米国特許第5,115,082号、第5,155,175号、第5,179,188号および第5,874,516号並びにPCT WO91/09081、WO97/01593およびEP0755957−81のポリアリーレンエーテルを含む。一層好ましくは、熱硬化性組成物は、上記に挙げられたモノマーの部分重合反応生成物(すなわち、B段階オリゴマー)(たとえばWO98/11149、WO97/10193参照)を含む。
【0023】
好ましくは、ポリアリーレン前駆体は、組成物の加熱中300〜400℃の温度範囲において観測される最小測定モジュラスが温度Tminにおいて発生しそして該最小測定モジュラスが最大温度に加熱しそしてTminまで冷却し戻した後の組成物の測定硬化モジュラスの20パーセント一層好ましくは50パーセントに等しい値より大きいことにおいて特徴づけられるところの、ねじり含浸布分析(TICA)により測定されるときのモジュラスプロフィールにより特徴づけられる。「測定昇温モジュラス」は、モジュラス対温度のプロットにおいて試験の加熱段階中試験複合材について検出された所与温度におけるモジュラスである。「最小測定昇温モジュラス」は、300〜450℃の温度範囲において発生する最小測定昇温モジュラスである。「測定硬化モジュラス」は、冷却段階中の試験複合材についての所与温度におけるモジュラスである。このTICA技法において、ガラス織布(好ましくは、たとえば厚さ0.3mm、幅15mmおよび長さ35mm,TA Instrumentsの部品番号980228.902)が、DuPont 983 DMAのような動的機械分析器、好ましくは、感度を高めるための低質量垂直クランプ付属品または同等の機能体を備えたものに取り付けられる。該布の端は、長さ10mmを暴露したままにしてアルミニウム箔中に包まれる。次いで、該布は、動的機械分析器の垂直クランプ(これらのクランプは10mm離して据え付けられる)に取り付けられる。該クランプは、トルクレンチを用いて12インチ(34.48cm)ポンドに締められる。該布は、前駆体化合物を10〜30パーセント固形分にて含む溶液を用いて、ピペットを経て含浸される。該布は該溶液を完全に染み込まされ、そして過剰分はピペットを用いて除去される。熱ディフレクターおよびオーブンが取り付けられ、そして1時間当たり3標準立方フィートの窒素流が確立される。変位の振幅は1.00mmにそして周波数は1Hzに設定される。試料は1分当たり5℃にて500℃に加熱され、そして次いで冷却される。データは、加熱および冷却の段階の両方中集められる。データ分析は、ガラスと処方物の複合材について温度対曲げモジュラス値を得るように遂行され得る。DuPontのDMA標準データ分析バージョン4.2またはTA Instrumentsのウインドウズ95/98/NT用汎用分析バージョン2.5Hのような既製ソフトウエアプログラムは、該データ分析を遂行するために用いられ得る。該モジュラス値それら自体は、ガラス布の寄与および試料負荷の不可避な変動に因り、試験処方物についての絶対値ではない。しかしながら、ある一貫した温度までの硬化および冷却後の複合材のモジュラスに対する加熱中のある点におけるモジュラス値の比率を用いると、異なる処方物を比較するために用いられ得る値が与えられる。
【0024】
好ましいポリアリーレン型マトリックス前駆体は、次の化合物または一層好ましくは次の化合物の部分重合(B段階)反応生成物を含む。すなわち、
(a)式
【化1】

のビスシクロペンタジエノン
(b)式
【化2】

の多官能性アセチレン
(c)および任意に式
【化3】

のジアセチレン、
ここで、R1およびR2は独立的にHまたは未置換もしくは不活性置換芳香族部でありそしてAr1、Ar2およびAr3は独立に未置換芳香族部分または不活性置換芳香族部分であり、そしてyは3またはそれ以上の整数である。
【0025】
その代わりに述べられる最も好ましいマトリックス前駆体物質は、式
[A]w[B]z[EG]v
の硬化性ポリマーを含み、
ここで、
Aは構造
【化4】

を有し、
そしてBは構造
【化5】

を有し、
末端基EGは独立的に式
EG=
【化6】

のいずれか一つにより表され、
1およびR2は独立にHまたは未置換もしくは不活性置換芳香族部分でありそしてAr1、Ar2およびAr3は独立に未置換芳香族部分または不活性置換芳香族部分でありそしてMは結合であり、そしてyは3またはそれ以上の整数であり、pは所定のモノマー単位における未反応アセチレン基の数であり、rは所定のモノマー単位における反応アセチレン基の数より1小さくかつp+r=y−1であり、zは1〜1000の整数であり、wは0〜1000の整数であり、そしてvは2またはそれ以上の整数である。
【0026】
マトリックス前駆体がポリシクロペンタジエノンとポリアセチレンの熱硬化性混合物またはB段階生成物を含む場合、該前駆体は、好ましくは、分岐が硬化過程中比較的早く起こるように特徴づけられる。硬化過程中早期における分岐状マトリックスの形成は、該マトリックスのモジュラス降下を最小にし、そして硬化過程中あり得る気孔崩壊を最小にするのを助けおよび/またはより低い温度において分解する気孔発生体の使用を許容する。これを達成する一つの手法は、前駆体組成物におけるシクロペンタジエノン官能価対アセチレン官能価の、3:4より大きいかつ好ましくは2:1より小さい一層好ましくは1:1の比率を用いることである。3部の3,3′−(オキシジ−1,4−フェニレン)ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン)および2部の1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(モル比)からなるマトリックス前駆体は、かかる系の例である。その代わりに、ポリシクロペンタジエノンとポリアセチレンの熱硬化性混合物またはB段階生成物を架橋することの可能な追加的試薬が、硬化過程中マトリックスのモジュラス降下を最小にするために添加され得る。適当な試薬の例は、たとえばWO97/10193に開示されているようなビスオルトジアセチレン;モノオルトジアセチレン;ビストリアゼン;1,3−ジフェニルテトラジンのようなテトラジン;ビススルホニルアジドのようなビスアジド;および二過酸化物を含めて過酸化物を含む。試薬の負荷レベルは、固形分を基準として<1重量パーセントから固形分を基準として>30重量パーセントで変動し得る。
【0027】
本発明の多孔質マトリックスの製造のために適したマトリックス前駆体の第3の例は、熱硬化性ペルフルオロエチレンモノマー(3またはそれ以上の官能価を有する)またはそのB段階生成物であり、そしてその開示および製造は米国特許5,023,380(第4欄第38行以下)および米国特許5,540,997(第3欄第4ないし46行)に見られ得る。好ましい熱硬化性ペルフルオロエチレンは、1,1,1−トリス(4−トリフルオロビニルオキシフェニル)エタンである。熱硬化性ペルフルオロエチレンモノマーはまた、好都合には、米国特許5,021,602、5,037,917および5,246,782に記載されているように製造された2の官能価を有するペルフルオロエチレンと共重合され得る。
【0028】
別のポリアリーレンマトリックス前駆体は、WO97/10193に記載されているような熱硬化性ビス−o−ジアセチレンまたはそのB段階生成物である。この具体的態様によれば、前駆体は、式
【化7】

の化合物を含み、ここで各Arは芳香族基または不活性置換芳香族基でありかつ各Arは少なくとも1個の芳香族環を含み;各Rは独立に水素、アルキル、アリールまたは不活性置換のアルキルもしくはアリール基であり;Lは共有結合または1個のArを少なくとも1個の他のArに連結する基、好ましくは置換または未置換アルキル基であり;nおよびmは少なくとも2の整数であり;そしてqは少なくとも1の整数であり;しかも芳香族環の一つの上にあるエチニル基の少なくとも二つは互いにオルトである。
【0029】
気孔発生体および多孔質架橋誘電体を形成する方法
気孔発生体物質は、マトリックスまたはマトリックス前駆体においてドメイン(または離散領域)を形成する物質である。好ましくは、ドメインは、最終所望気孔サイズより大きくないべきである。
【0030】
多くのポリマー物質は、気孔発生体として有用であり得る。しかしながら、第1マトリックス系に関して良好に機能する気孔発生体は、別のマトリックス系に関して必ずしも良好に機能するとは限らない。マトリックス系との気孔発生体の相溶性は、非常に大きいドメインが形成されないよう十分に高くなければならないが、しかしドメインが形成されない程十分に高くはあり得ない。
【0031】
本発明において有用な気孔発生体は、好ましくは、マトリックス材料の熱安定性温度より低い温度において熱分解する(すなわち、バーンアウト)ものである。分解温度範囲は、硬化が分解より速く(または分解の前に)起こって気孔発生体が実質的に除去される前にマトリックスが硬化するのを可能にする限り、硬化温度範囲と重なり得る。これらの物質は、好ましくは、主として低分子量種に分解しそしてかくして実質的な「炭」を多孔質マトリックス中に残さない。
【0032】
気孔発生体、およびそれらがマトリックス前駆体と共に用いられて多孔質架橋マトリックス材料を形成し得る方法の例は、次のように記載される。
【0033】
気孔発生体は、ブロックコポリマー(たとえば、ジブロックポリマー)であり得る。かかる物質は、これらのブロックがナノメートルサイズ範囲の分離ドメインを与えるよう非混和性であるならば、Physics Today,1999年2月号p.32に記載されているように自己集合することが可能であり得る。かかるブロックコポリマーは、加工に適した処方物を得るために溶媒と共にまたは溶媒なしに、架橋性マトリックス前駆体に添加され得る。ブロックコポリマーは、加工中(たとえば、回転塗布後しかしマトリックスが形成される前)自己集合し得る。ブロックの一つまたはそれ以上はマトリックスと反応性であり得、またはブロックは非反応性であり得る。ブロックの一つまたはそれ以上はマトリックスまたはその前駆体と相溶性であり得るが、しかし好ましくは少なくとも1つのブロックはマトリックスと非相溶性である。有用なポリマーブロックは、マトリックス前駆体のオリゴマー、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリビニル芳香族化合物のような)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのような)、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリメタクリレート(ポリメチルメタクリレートのような)またはポリメタクリル酸、ポリアクリレート(ポリメチルアクリレートのような)およびポリアクリル酸、ポリジエン(ポリブタジエンおよびポリイソプレンのような)、ポリビニルクロライド、ポリアセタール、およびアミンキャップドアルキレンオキシド(Huntsman Corp.からJeffamineTMポリエーテルアミンとして商業的に入手できる)を含み得る。たとえば、ポリスチレンとポリメチルメタクリレートを基剤としたジブロックポリマーは、メシチレンのような適当な溶媒中のCYCLO(登録商標)TENE樹脂の溶液に、樹脂対ジブロックポリマーの、好ましくは1:1より小さくない一層好ましくは2:1より小さくない最も好ましくは3:1より小さくない重量:重量の比率にて添加され得る。総固形分含有率は用途依存性であるが、しかし好ましくは1重量パーセントより少なくなく一層好ましくは5重量パーセントより少なくなく最も好ましくは10重量パーセントより少なくなくかつ好ましくは70重量パーセントより多くない一層好ましくは50重量パーセントより多くない最も好ましくは30重量パーセントより多くない。該溶液は、次いでシリコンウェーハ上に回転塗布されて、DVS−ビスBCBの連続相中のジブロックコポリマーの分散相を含有する薄いフィルムを残し得る。次いで、該フィルムは、熱硬化されて、架橋DVS−ビスBCBの連続相中のポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)の分散相を含有する架橋ポリマー系を残し得る。次いで、ジブロックコポリマーは分解または除去されて、多孔質架橋DVS−ビスBCBポリマーが残され得る。同様に、ポリスチレンとポリブタジエンを基剤としたジブロックポリマーは、ジシクロペンタジエノン(たとえば、3,3′−(オキシジ−1,4−フェニレン)ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン))とトリスアセチレン(たとえば、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン)のB段階溶液に添加され得る。
【0034】
熱可塑性のホモポリマーおよびランダム(ブロックとは対照的に)コポリマーもまた、気孔発生体として利用され得る。ここにおいて用いられる「ホモポリマー」は、単一モノマーからの繰返し単位を含む化合物を意味する。適当な熱可塑性物質は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、これらの物質のコポリマー、およびこれらの物質の混合物を含む。熱可塑性物質は、特質上において線状、分岐状、超分岐状、樹枝状または星様状であり得る。
【0035】
ポリスチレンは、WO98/11149に記載されているもののようなポリシクロペンタジエノンとポリアセチレンの熱硬化性混合物またはB段階生成物に関して特に適合することが分かり、何故ならそれは高温(たとえば、約420℃〜450℃)において分解し、また主としてモノマーに分解しそして該モノマーはマトリックスから拡散して出ていき得るからである。いかなる公知のポリスチレンも、気孔発生体として有用であり得る。たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))はすべて、気孔発生体として用いられ得る。未置換ポリスチレンが特に好ましい。
【0036】
たとえば、8,500の数平均分子量を有するアニオン重合ポリスチレンは、ポリシクロペンタジエノンとポリアセチレンのポリアリーレンB段階反応生成物とブレンドされ得る。次いで、この溶液は、ポリアリーレンマトリックス前駆体中のポリスチレンの分散相を含有する薄いフィルムを生じるようにシリコンウェーハ上に回転塗布され得る。被覆されたウェーハはホットプレート上で硬化されてマトリックスを形成し、次いでポリスチレン気孔発生体はオーブン中での熱処理により除去されて多孔質ポリアリーレンマトリックスが形成される。
【0037】
気孔発生体はまた、B段階中またはB段階に後続して架橋性マトリックス前駆体と反応してポリマー鎖のブロックまたはペンダント状(懸垂状)置換を形成するように設計され得る。かくして、たとえばビニル、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニルエーテル、マレイミド、スチリル、アセチレン、ニトリル、フラン、シクロペンタジエノン、ペルフルオロエチレン、BCB、ピロン、プロピオレートまたはオルト−ジアセチレン基のような反応性基を含有する熱可塑性ポリマーは、架橋性マトリックス前駆体と化学結合を形成し得、そして次いで該熱可塑性ポリマーは除去されて気孔を残し得る。熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸およびポリビニルピリジンのホモポリマーもしくはコポリマー、またはそれらの混合物であり得る。1個の反応性基または多数の反応性基が、熱可塑性ポリマー上に存在し得る。反応性基の数およびタイプは、熱可塑性気孔発生体がペンダント状物質としてまたはブロックとしてマトリックス中に合体されるかどうかで決まる。熱可塑性物質は、特質上において線状、分岐状、超分岐状、樹枝状または星様状であり得る。
【0038】
たとえば、低分子量(<10,000Mn)ポリプロピレングリコールオリゴマーは、シンナメート基で末端がキャップされそして次いで純DVS−ビスBCBモノマーに10〜30重量パーセントにて添加され得る。次いで、この混合物は、加熱によりB段階にされ、次いでメシチレンのような適当な溶媒で希釈されそしてシリコンウェーハ上に回転塗布されて、B段階DVS−ビスBCBに化学的に結合されたポリプロピレングリコールオリゴマーの分散相を含有する薄いフィルムを生じ得る。次いで、分散ポリプロピレングリコールオリゴマーは分解されて、多孔質架橋DVS−ビスBCBポリマーが残され得る。
【0039】
ポリマー気孔発生体の所望分子量は、マトリックス前駆体および硬化マトリックスとのそれらの相溶性、所望気孔サイズ、等のような様々な因子と共に変動する。しかしながら、一般に、気孔発生体の数平均分子量は、2000より大でかつ100,000より小である。一層好ましくは分子量は、5000〜50,000の範囲にあり、そして最も好ましくは35,000より小である。気孔発生体ポリマーはまた、好ましくは、狭い分子量分布を有する。
【0040】
気孔発生体はまた、1〜50nmの平均直径を有する物質であり得る。かかる物質の例は、デンドリマー(Dendritech,Inc.を通じて入手でき並びにPolymer J.(東京),Vol.17,117(1985)にTomalia等により記載されているポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー;DSM Corporationから入手できるポリプロピレンイミンポリアミン(DAB−Am)デンドリマー;フレチェット型ポリエーテルデンドリマー(J.Am.Chem.Soc.,Vol.112,7638(1990)、Vol.113,4252(1991)にFrechet等により記載されている);パーセク型液晶モノデンドロン、デンドロン化ポリマーおよびそれらの自己集合高分子(Nature,Vol.391,161(1998)、J.Am.Chem.Soc.,Vol.119,1539(1997)にPercec等により記載されている);ボルトロンHシリーズ樹枝状ポリエステル(Perstorp ABから商業的に入手できる)のような超分岐状ポリマー系およびラテックス粒子、特に架橋ポリスチレン含有ラテックスを含む。これらの物質は、架橋性マトリックス前駆体に対して非反応性であり得、または上記に記載されたように反応性であり得る。たとえば、Dendritech,Inc.の第2世代PAMAM(ポリアミドアミン)デンドリマーはビニルベンジルクロライドで官能化されて、デンドリマーの表面上のアミン基がビニルベンジル基に転化され得る。次いで、この官能化デンドリマーはメシチレン中のB段階DVS−ビスBCBの溶液に添加され得、そして次いでこの混合物はシリコンウェーハ上に回転塗布されて、DVS−ビスBCBオリゴマー中のPAMAMデンドリマーの分散相が得られ得る。このフィルムは熱硬化されて、架橋DVS−ビスBCBの連続相に化学的に結合されたPAMAMデンドリマーの分散相を含有する架橋ポリマー系が得られ得る。次いで、デンドリマーは熱分解されて、多孔質架橋DVS−ビスBCBポリマーが得られ得る。その代わりに、Perstorp ABの第4世代ボルトロン樹枝状ポリマー(H40)はその周辺にてベンゾイルクロライドで変性されて、デンドリマーの表面上のヒドロキシ基がフェニルエステル基に転化され得る。次いで、この官能化デンドリマーは、ガンマ−ブチロラクトンとシクロヘキサノンの溶媒混合物中のポリシクロペンタジエン化合物とポリアセチレン化合物の部分重合(すなわち、B段階)反応生成物の前駆体溶液に添加され得る。次いで、この混合物はシリコンウェーハ上に回転塗布されて、前駆体オリゴマー中のボルトロンH40ベンゾエート樹枝状ポリマーの分散相が得られ得る。このフィルムは熱硬化されて、架橋ポリアリーレンの連続相に化学的に結合されたデンドリマーの分散相を含有する架橋ポリマー系が得られ得る。次いで、デンドリマーは400℃にて熱分解されて、多孔質架橋ポリアリーレンが得られ得る。
【0041】
その代わりに、気孔発生体はまた、溶媒であり得る。たとえば、B段階プレポリマーまたは部分架橋ポリマーは、最初に、適当な溶媒またはガスの存在下で膨潤され得る。次いで、膨潤物質は、構造保全性を増大するために更に架橋され得、しかしてその後溶媒またはガスは、真空または加熱を適用することにより除去され得る。適当な溶媒は、メシチレン、ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルピロリジノン(NMP)、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロヘキシルピロリジノン、およびジベンジルエーテル、ジグリム、トリグリム、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなエーテルまたはヒドロキシエーテル、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジクロロベンゼン、プロピレンカーボネート、ナフタレン、ジフェニルエーテル、ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、並びにそれらの混合物を含む。
【0042】
多孔質マトリックス中の気孔の濃度は、マトリックスの誘電率を下げるのに十分に高いが、しかしマトリックスが所望の超小型電子装置(たとえば、集積回路、マルチチップモジュールまたはフラットパネル表示装置)の製造において必要とされるプロセス工程に耐えることを可能にするのに十分に低い。好ましくは、気孔の密度は、マトリックスの誘電率を2.5未満に一層好ましくは2.0未満に下げるのに十分である。好ましくは、気孔の濃度は、多孔質マトリックスの総容積を基準として少なくとも5容量パーセント一層好ましくは少なくとも10容量パーセント最も好ましくは少なくとも20容量パーセントかつ好ましくは70容量パーセントより大でない一層好ましくは60容量パーセントより大でない。
【0043】
気孔の平均直径は、好ましくは400nm未満、一層好ましくは100nm未満、なお一層好ましくは50nmより大でなく、更に一層好ましくは20nmより大でなく、最も好ましくは10nmより大でない。
【0044】
多孔質マトリックス層を製造する方法
理論により縛られないけれども、次の出来事がマトリックス前駆体と気孔発生体を含有する溶液の加工中起こると考えられる。マトリックス前駆体と気孔発生体の溶液は、回転塗布のような方法により基板上に施用される。この施用中、溶媒のいくらかは蒸発して、基板上により濃厚な溶液が残される。次いで、被覆基板はホットプレート上で加熱されて残存溶媒のほとんどが除去されて、マトリックス前駆体中に分散された気孔発生体が残される。溶媒除去過程中および/または後続の熱加工中、気孔発生体相はマトリックス前駆体から分離する。この相分離は、溶媒の損失(濃縮効果および/または溶液の溶解パラメーター変化)、マトリックス前駆体の分子量増加、特定位置における十分な気孔発生体量の集合もしくは凝集、またはそれらの組合わせにより推進され得る。更なる熱処理でもって、マトリックスは一層完全に硬化されるようになる。高められた温度において、気孔発生体は断片に分解し始め、しかして該断片は拡散して被覆フィルムから出ていって気孔を残し、かくして多孔質マトリックスを形成し得る。
【0045】
マトリックス前駆体、気孔発生体および溶媒は一緒にされそして混合されて、光学的に透明な溶液を形成する。気孔発生体の量に関してのマトリックス前駆体の量は、所望多孔度を生じるように調整され得る。しかしながら、好ましくは、気孔発生体およびマトリックスの重量を基準として気孔発生体の重量パーセントは、少なくとも5パーセント一層好ましくは少なくとも10パーセント最も好ましくは少なくとも20パーセントである。気孔発生体の最大量は、最終製品において所望される機械的および電気的性質により決定される。好ましくは、気孔発生体重量パーセントは、80パーセントより大でなく一層好ましくは70パーセントより大でなく最も好ましくは60パーセントより大でない。
【0046】
光学的に透明な溶液をもたらすのに十分な溶媒が用いられるべきである。加えて、溶媒の量は、様々な被膜厚を得ることが可能であるように変動され得る。用いられる溶媒が多ければ多いほど、最終フィルムの層はより薄い。好ましくは、溶媒の量は、全溶液の50〜95重量パーセントの範囲にある。
【0047】
いかなる公知の塗布方法も、前駆体/気孔発生体/溶媒の組成物を基板に施用するために用いられ得る。回転塗布は、所望の非常に薄いフィルム層をもたらすために特に適合する。好ましいフィルム厚は、レベル間誘電フィルムについて10ミクロン未満好ましくは5ミクロン未満である。該組成物は、薄い多孔性フィルムが所望されるいかなる基板にも施用され得る。好ましくは、基板は、シリコンウェーハを含む。基板は、集積回路において見られるような他の層または特徴(たとえば、ゲート、金属配線線路、他の絶縁材、等)を更に含み得る。
【0048】
用いられる溶媒は、気孔発生体およびマトリックス前駆体の組合わせが溶液を形成するいかなる溶媒または溶媒の組合わせでもよい。適当な溶媒の例は、メシチレン、ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルピロリジノン(NMP)、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロヘキシルピロリジノン、およびジベンジルエーテル、ジグリム、トリグリム、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなエーテルまたはヒドロキシエーテル、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジクロロベンゼン、プロピレンカーボネート、ナフタレン、ジフェニルエーテル、ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、並びにそれらの混合物を含む。
【0049】
気孔発生体およびマトリックス前駆体は施用に先だって単に混合され得、またはそれらは所望基板への溶液の施用に先だって部分的に反応されもしくはB段階にされ得る。気孔発生体は、マトリックス前駆体B段階過程の様々な段階において所望に応じて添加され得る。
【0050】
マトリックス前駆体フィルムが形成された後、フィルムは、溶媒を除去しかつマトリックス前駆体の更なる重合を引き起こすのに十分な条件下で焼き付けられ得る。焼付け温度は系依存性であり、そして過度の実験なしに当業者により決定され得る。マトリックス前駆体またはマトリックス材料の引き続いて形成された被膜(典型的には0.1〜5ミクロンの厚さである)は、所望されるなら、化学的機械的磨き(CMP)により滑らかにされ得る。気孔発生体は、CMP過程の前または後のいずれかにて除去され得る。
【0051】
マトリックス中に実質的残渣を残さない低分子量種への気孔発生体の熱分解が好ましい。基板への組成物の施用後、溶媒は、典型的には中温への加熱により、除去される。次いで、組成物は、前駆体物質を架橋しそしてマトリックスを形成するのに少なくとも十分な温度に急速に加熱される。気孔発生体は、気孔発生体を分解するのに十分な温度への加熱により除去される。ポリスチレン含有気孔発生体が用いられる場合、加熱は酸素の不存在下で行われることが好ましい。乾燥(溶媒除去)、硬化および分解の工程は別々の加熱工程により行われ得るけれども、単一加熱工程が用いられ得ることも可能であり、そして多段加熱段階が用いられるとしても、諸過程のうちの一つより多い過程がいかなる所与の加熱工程においても起こっていることがあり得ることが認識される。
【0052】
好ましくは気孔発生体の少なくとも80パーセント、一層好ましくは少なくとも90パーセントそして最も好ましくは少なくとも95パーセントが除去される。気孔発生体の除去は、赤外分光法、透過電子顕微鏡法、等のような技法により決定され得る。気孔発生体の除去は、フィルムから拡散し得る低分子量種に気孔発生体が分解する場合起こり得る。好ましくは気孔発生体の少なくとも80パーセント、一層好ましくは少なくとも90パーセントそして最も好ましくは少なくとも95パーセントが、低分子量種に分解する。熱可塑性気孔発生体の好ましくは少なくとも80パーセント一層好ましくは少なくとも90パーセント最も好ましくは少なくとも95パーセントは、そのモノマー単位またはより小さい単位に分解する。
【0053】
一つの好ましい具体的態様によれば、塗布後、被覆基板は、急速硬化を引き起こすのに十分なしかし気孔発生体についての分解温度未満の温度に加熱される。かかる急速加熱工程を遂行するための適当な方法は、ホットプレート上での焼付けおよび赤外線ランプ下での急速熱アニールを含む。WO98/11149に見られるもののような好ましいマトリックス材料について、組成物は、好ましくは、300℃一層好ましくは350℃を越える温度に、1秒当たり少なくとも20℃一層好ましくは1秒当たり少なくとも50℃の速度にて上げられる。この初期硬化工程は、気孔発生体およびマトリックスの構造を「固定」するのに十分にマトリックスが硬化される限り、完全硬化を引き起こす必要はない。次いで、少なくとも1つの追加的加熱工程が、硬化を完全に完了させるために(必要ならば)および気孔発生体を分解するために遂行される。この後続加熱工程は、好ましくは400℃を越える一層好ましくは420℃を越えるかつ好ましくは500℃未満一層好ましくは470℃未満の温度にて行われる。
【0054】
別の具体的態様によれば、硬化および気孔発生体の分解の両方を引き起こすのに十分な温度への、好ましくは1秒当たり少なくとも20℃一層好ましくは1秒当たり少なくとも50℃の速度にての単一急速加熱工程が用いられ得る。この具体的態様において、乾燥後または別個の乾燥工程を用いないのいずれかにおいて、温度は急速に上げられる。WO98/11149に見られるもののような好ましいマトリックス材料について、温度は、400℃より高く一層好ましくは420℃より高く上げられる。
【0055】
フィルムの多層が所望される場合、上記の工程は、繰り返され得る。また、多孔質フィルムを形成した後、その層は、集積回路物品および他の超小型電子装置の製造において所望されるような溝、バイア、穴を形成するために、公知の方法によりエッチングまたは作像され得る。
【0056】
架橋炭化水素含有マトリックス/気孔発生体系は、気孔発生体が分解する前にマトリックスが形成しかつマトリックスが分解する前に気孔発生体が完全にまたは実質的に完全に分解するように選択される。マトリックスの架橋から分解までの温度窓は、気孔発生体の選択における最大融通性を有するように広いことが好ましい。
【0057】
気孔発生体は、上記に論じられた好ましい熱的バーンアウト法を含めて多数の方法により除去され得る。該熱的バーンアウトは、酸素の不存在下で、または気孔発生体の除去を促進するために酸素を存在させてもしくは酸素を添加してさえ行われ得る。この第2の手法は、熱硬化性マトリックスが比較的熱酸化的に安定である場合特に望ましい。気孔発生体はまた、気孔発生体が適切な溶媒でもって熱硬化マトリックスから効果的に溶解除去される湿式溶解によりまたは気孔発生体を選択的に除去するようにプラズマ化学が用いられる乾式すなわちプラズマ除去により除去され得る。たとえば、上記に列挙されたもののような溶媒または超臨界ガスは、分散第2相を溶解しそして除去するために用いられ得る。第2相は、熱可塑性物質、ジブロックポリマー、無機物質、またはナノ規模レベルにて分散され得かつポリマー系中に拡散しそして出ていき得る溶媒中に溶解されることが可能であるいかなる物質でもよい。
【0058】
本発明の多孔質架橋マトリックスは、集積回路、マルチチップモジュールまたはフラットパネル表示装置用の単一または多層電気配線アーキテクチャにおいて絶縁または誘電層の一つまたはそれ以上として用いられ得る。本発明のポリマーは、これらの用途において単独誘電体として、または二酸化ケイ素、窒化ケイ素もしくはオキシ窒化ケイ素のような無機誘電体ともしくは他の有機ポリマーと共に用いられ得る。
【0059】
本発明の多孔質炭化水素含有マトリックス材料は、ケイ素またはガリウムのヒ化物でもって製作されるもののような集積回路の配線構造において低誘電率絶縁材料として特に有用である。多孔質炭化水素含有マトリックス材料はまた、米国特許5,550,405および5,591,677に開示されているような集積回路装置を作製する方法において用いられ得る。
次の例は、例示的目的のみのためであり、そして本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0060】
実施例1−反応性熱可塑性オリゴマーを用いての多孔質ベンゾシクロブテンマトリックスの製造
ポリ(プロピレングリコール)ビスシンナメートの製造
磁気撹拌機、平衡添加漏斗、および窒素導入口を有する還流凝縮器を備えた250mL丸底フラスコ中に、撹拌しながら、8000の数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)(38.21g,4.78mmol)およびクロロホルム(40mL)を添加した。次いで、この撹拌溶液に、ピリジン(0.60g,7.64mmol)を添加した。この溶液に、シンナモイルクロライド(0.64g,3.82mmol)を15分かけて滴加した。添加の完了時に、反応混合物を還流下で18時間加熱した。次いで、反応を室温に冷却した。この溶液を10パーセントHCl(3×25mL)、次いで水(1×50mL)、次いで1M−NaOH(2×25mL)、次いで再び水(1×50mL)、次いでブライン(1×50mL)で洗浄した。次いで、有機分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして溶媒を除去して生成物(37.5g)が得られ、しかしてその構造は陽子および炭素NMR分光法により確認された。
【0061】
ジビニルシロキサン−ビス−ベンゾシクロブテンとポリ(プロピレングリコール)ビスシンナメートのコポリマーの製造
ガラス反応器中に、ジビニルシロキサン−ビス−ベンゾシクロブテン(CAS#124221−30−3)(4.0g,1.024×10-2mol)およびポリ(プロピレングリコール)ビスシンナメート(1.0g,1.22×10-4mol)を入れた。単一相を形成したこの混合物を200℃にて18時間加熱し、その結果物質は白くかつ固くなっていた。この物質を窒素下で50時間325℃に加熱して、10〜50nmの範囲の気孔サイズ(透過電子顕微鏡法により決定されるとき)を有する多孔質物品が得られた。
【0062】
実施例2−反応性熱可塑性オリゴマーを用いてのベンゾシクロブテンマトリックスの多孔質の薄いフィルムの製造
メシチレン中のMw49600のオリゴマーのジビニルシロキサン−ビスベンゾシクロブテン80部の溶液をMw4000のポリ(プロピレングリコール)から製造されたポリ(プロピレングリコール)ビスシンナメート20部と一緒にした。この溶液を165℃にて窒素下で4.5時間加熱して、分子量を更に高めた。室温に冷却してから、この溶液の固形分総パーセントを、適切量のメシチレンの添加により20パーセントに調整した。
【0063】
上記の溶液の10ミリリットルを4インチ(10.16cm)シリコンウェーハ上に溜まらせ、そして最初に500rpmにて3秒間回転させそして次いで2,000rpmにて30秒間回転させた。次いで、このウェーハを、次の熱条件に付した。すなわち、ホットプレート200℃にて5分間、250℃にて6分間、350℃にて10分間。このウェーハを、窒素雰囲気を有するオーブンに移しそして300℃に9時間保持した。透過電子顕微鏡法は、サイズが60〜70nmの平均値で20〜100nmの範囲にある気孔の存在を指摘した。
【0064】
実施例3−反応性ポリスチレン気孔発生体を用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンゾイルクロライドの製造
a.)メチル3,5−ジブロモベンゾエートの製造
凝縮器および窒素導入口を備えた250mL丸底フラスコに、3,5−ジブロモ安息香酸(30.06g,0.1074モル)、メタノール(60g,1.87モル)および濃硫酸(1.8mL)を添加した。この混合物を23時間加熱還流し、そしてこの混合物を室温に冷却し、しかして冷却期間中に固体が沈殿した。この混合物を氷浴中で冷却し、そして固体を濾過により単離した。この固体を冷メタノールですすぎ、そして次いで真空中で40℃にて乾燥した。反応の進行を監視するためにおよび生成物の純度を評価するために、反応および最終生成物をGCにより分析した。
【0065】
b.)メチル3,5−ジブロモベンゾエートとフェニルアセチレンとのカップリング
窒素導入口を備えた1L丸底フラスコに、メチル3,5−ジブロモベンゾエート(26.4g,0.08981モル)、塩化パラジウムビス(トリフェニルホスフィン)(6.258g,0.008916モル)、トリフェニルホスフィン(1.18g,0.004504モル)、フェニルアセチレン(27.40g,0.2682モル)、トリエチルアミン(36.13g,0.3569モル)およびテトラヒドロフラン(THF)(500mL)を添加した。この混合物を、室温にて20分間撹拌した。次いで、ヨウ化銅(I)(0.428g,0.00225モル)を添加し、そしてこの混合物を室温にて95時間撹拌した。反応を、GCにより追跡した。溶媒を、真空中で除去した。残渣をメタノールでスラリー化し、そして濾過により単離した。固体を塩化メチレン中に溶解し、そして濾過用漏斗中のシリカゲルの詰め物を通じて濾過した。溶媒を真空中で除去して、褐色固体が得られた。
【0066】
c.)3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸の製造
1L丸底フラスコに、メチル3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンゾエート(32.7g,0.00972モル)およびイソプロパノール(261mL)を添加した。この混合物を、固体のすべてが溶解するまで加熱還流した。水酸化カリウム(24.24gの45パーセントKOHaq,0.1944モル)を添加し、そしてこの混合物を熱い状態に4時間保った。この混合物を冷却し、そして次いで固体が沈殿するまで濃HClで酸性化した。この固体を濾過により単離し、そして真空中で80℃にて一晩乾燥して、帯灰色固体(22g)が得られた。この固体をトルエン中で脱色炭と共に還流し、濾過助剤を通じて熱いまま濾過し、そして冷却し、しかして冷却期間中に固体が沈殿した。固体を濾過により単離し、そして真空中で一晩乾燥した。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析は、この物質が純粋であると示した。この物質を、1H−NMRおよび13C−NMRにより更に分析した。スペクトルは、所望構造と一致していた。
【0067】
d.)3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンゾイルクロライドの製造
3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸(2.7982g,0.008680モル)、オキサリルクロライド(2.2mL,0.02521モル)およびトルエン(7mL)を、50mL丸底フラスコに添加した。この混合物を、固体のすべてが溶解するまでおよび加えて更に1時間50℃にて加熱した。溶媒および過剰のオキサリルクロライドを、真空を適用することにより除去した。この固体を室温にてトルエン中に再溶解し、そして次いで真空を適用することにより溶媒を除去した。固体を、更なる精製なしに引き続いて用いた。
【0068】
3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸のポリ(スチレン)エステルの製造
還流トルエンで清浄にしそして真空下で乾燥した1.5Lガラス製重合反応器に、700mLのシクロヘキサン(活性アルミナに通された)を装填した。反応器を55℃に加熱し、そして103.3gのスチレン(使用に先だって、活性アルミナに通され、水素化カルシウムおよびジブチルマグネシウムから蒸留された)を添加した。重合を、9.0mL(3.456ミリモル)の0.384Mのsec−ブチルリチウム溶液を添加することにより開始させた。1時間撹拌した後、0.60gのエチレンオキシド(水素化カルシウム上で乾燥された)を添加し、それにより橙色溶液が無色になった。30min後、10mLのテトラヒドロフラン(活性アルミナに通された)中の1.778g(3.456ミリモル,1.0当量)の3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンゾイルクロライドを添加した。30分後、この溶液を冷却し、そして反応器から取り出した。1.5Lのメタノール中で沈殿させそして真空下で80℃にて一晩乾燥することにより、ポリマーを単離した。収量は、定量的であった。狭い分子量のポリスチレン標準品に対する該ポリマーのGPC分析は、Mn=39,353、Mw=41,303およびMw/Mn=1.050を与えた。類似的に、46,500および50,000のMn値を有する官能化ポリスチレンもまた製造された。
【0069】
4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテル、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンおよび3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸のポリスチレンエステルからのオリゴマー溶液の製造
500mLの三口丸底フラスコに、4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン)ジフェニルエーテル(45.38g,0.0580モル)、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(14.62g,0.0386モル)、3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸のポリスチレンエステル(Mn=39,353)(15.00g,0.000375モル)およびガンマ−ブチロラクトン(140g)を添加した。フラスコを、窒素/真空導入口に取り付けた。磁気式に撹拌されている溶液を、5回の真空の適用および窒素の再充填により脱ガスした。次いで、この溶液を、200℃の内部温度に加熱した。55.5時間の加熱後、溶液を145℃に冷却し、次いでシクロヘキサノン(205g)で希釈した。次いで、この溶液を室温に冷却した。ゲル透過クロマトグラフィーによる最終溶液の分析は、ポリスチレン標準品に関してMn=5362およびMw=34022を指摘した。他の分子量の反応性ポリスチレンを用いての同様な溶液が、類似的に製造された。
【0070】
多孔質の薄いフィルムの製造および評価
3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸のポリスチレンエステル(Mn=46,500)を気孔発生体として含有するところの、4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからの樹脂溶液を、上記に記載されたようにして製造した。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、1.16・m厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で450℃にて20分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいて、気孔は直径120nmであった。屈折率は、1.58であった。
【0071】
実施例4−非反応性ポリスチレン気孔発生体を用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
モル比率3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液の製造
500mLの三口丸底フラスコに、4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン)ジフェニルエーテル(60.00g,0.07662モル)、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(19.34g,0.0511モル)およびガンマ−ブチロラクトン(185g)を添加した。フラスコを、窒素/真空導入口に取り付けた。磁気式に撹拌されている溶液を、5回の真空の適用および窒素の再充填により脱ガスした。次いで、この溶液を、200℃の内部温度に加熱した。48時間の加熱後、溶液を145℃に冷却し、次いでシクロヘキサノン(132g)で希釈した。次いで、この溶液を室温に冷却した。ゲル透過クロマトグラフィーによる最終溶液の分析は、ポリスチレン標準品に関してMn=5550およびMw=30550を指摘した。
【0072】
アニオン重合ポリスチレンの製造
還流シクロヘキサンで清浄にしそして真空下で乾燥した1.5Lガラス製重合反応器に、750mLのシクロヘキサン(活性アルミナに通された)を装填した。反応器を55℃に加熱し、そして103.22gのスチレン(活性アルミナおよびQ5触媒床に通された)を添加した。重合を、7.8mLの1.32Mのsec−ブチルリチウム溶液を添加することにより開始させた。1時間撹拌した後、1mLのメタノールを添加して重合をクエンチした。この溶液を更に30分間撹拌し、しかして反応器は冷えた。2Lのメタノール中で沈殿させそして真空下で90℃にて一晩乾燥することにより、ポリマーを単離した。総量101.96g(99パーセントの収率)が採取された。狭い分子量のポリスチレン標準品に対する該ポリマーのGPC分析は、Mn=8,296、Mw=8,679およびMw/Mn=1.046を与えた。他の分子量のポリスチレンが、類似的に製造された。
【0073】
ヒドロキシ末端アニオン重合ポリスチレンの製造
磁気撹拌子、セプタムを有するセプタムポートおよび窒素導入アダプターを備えた1Lの一口丸底フラスコに、208gのシクロヘキサン(活性アルミナに通された)および52.64gのスチレン(活性アルミナに通され、水素化カルシウムおよびジブチルマグネシウムから蒸留された)を装填した。重合を、5.6mLの0.624Mのsec−ブチルリチウム溶液を添加して橙色溶液をもたらすことにより、室温にて開始させた。2時間後、2.31gのエチレンオキシド(水素化カルシウム上で乾燥された)を添加して、無色の溶液が得られた。30分後、2mLのメタノール(MeOH)を添加して重合を停止させた。MeOH中で沈殿させそして真空下で90℃にて一晩乾燥することにより、ポリマーを単離した。収量は、定量的であった。狭い分子量のポリスチレン標準品に対するGPC分析は、Mn=14,960、Mw=16,035およびMw/Mn=1.072を与えた。他の分子量のヒドロキシ末端ポリスチレンが、類似的に製造された。
【0074】
星状ポリスチレンの製造
ディーン・スタークトラップ/凝縮器/窒素導入口を備えた250mL丸底フラスコに、ヒドロキシ末端ポリスチレン(Mn=4837)(10.00g,0.0207モル)およびトルエン(150mL)を添加した。この混合物を、固体が溶解するまで撹拌した。この混合物を2時間加熱還流して、水を共沸的に除去した。この溶液を室温に冷却し、次いでフラスコをゴムセプタムで密封した。四塩化ケイ素(59マイクロリットル,0.000517モル)を注射器により添加し、そしてこの混合物を5分間撹拌した。ピリジン(50マイクロリットル)を注射器により添加し、そしてこの混合物を室温にて48時間撹拌した。次いで、この混合物を、1.5時間加熱還流した。次いで、溶媒を真空中で除去した。残渣をメチレンクロライド中に溶解し、HCl(aq)およびNaCl(飽和)で洗浄し、次いで乾燥し(MgSO4)、そして溶媒を真空中で除去した。ゲル透過クロマトグラフィーによるこの物質の分析は、ポリスチレン標準品に関してMn=16876およびMw=17222を指摘した。
【0075】
8700Mnポリスチレンを用いての処方、薄いフィルムの形成および評価
8700のMnを有するアニオン重合ポリスチレンを、上記に記載されたようにして製造されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に、固形分に関して20質量パーセント添加した。この溶液は光学的に透明である共に、B段階樹脂中へのポリスチレンの溶解を指摘する暗赤色の色合いを有していた。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、3.5μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で425℃にて60分間更に加熱した。この後者の加熱工程後、ポリスチレンの95パーセントが除去されたと、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)により決定された。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、300nmであった。多孔質被膜の屈折率は、1.5であった。これは、完全緻密マトリックスについての1.63の屈折率と対照される。
【0076】
上記からのポリスチレン含有溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、3.3μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、ホットプレート上で窒素下で380℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、オーブン中で窒素下で425℃にて6分間更に加熱した。この後者の加熱工程は、FTIRにより測定されたとき、ポリスチレンの80パーセントを除去した。推定平均気孔サイズは30nmであった。20分間の450℃における引き続く加熱により、残存ポリスチレンのほとんどが除去された。気孔の形態は本質的に未変化であり、30nmの平均気孔サイズを有していた。
【0077】
上記からのポリスチレン含有溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、5.8μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で340℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で425℃にて60分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、300nmであった。
【0078】
15,800Mnポリスチレンを用いての処方、薄いフィルムの形成および評価
Scientific Polymer Products Inc.から購入されるような15,800のMnを有するアニオン重合ポリスチレンを、上記に記載されたようにして製造されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に添加(固形分に関して20質量パーセント)した。メシチレンを、総固形分含有率が20パーセントなるように添加した。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、1.85μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、ホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。次いで、ウェーハ上のこの被膜を、オーブン中で窒素下で450℃にて20分間更に加熱した。推定平均気孔サイズは200nmであった。容積分率は、TEM顕微鏡写真の画像分析を用いて、11パーセントと15パーセントの間にあると測定された。0.25インチ(.635cm)直径の平行板コンデンサーでもって測定された誘電率は2.3であった。
【0079】
12,400Mnポリスチレンを用いての処方、薄いフィルムの形成および評価
Scientific Polymer Products Inc.から購入されるような12,400MnのMnを有するアニオン重合ポリスチレンを、上記に記載されたようにして製造されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に、添加(固形分に関して20質量パーセント)した。総固形分含有率を、シクロヘキサノンでもって15パーセントに調整した。この溶液を4枚のほぼ同一の200mmシリコンウェーハに施用し、そしてMTI200mmトラックコーターにて回転塗布により流延して、0.9μm厚の被膜を形成させた。これらのフィルムを、該トラック上のホットプレート上で窒素下で150℃にて2分間焼き付けた。引き続いて、これらのフィルムの二つを、該トラックコーターに隣接したホットプレートモジュール上で7psiの窒素パージ下で320℃にて焼き付けた。残りのウェーハを、該トラックに隣接した該ホットプレートと同様な孤立型モジュールホットプレート上で55psiの窒素パージ下で320℃にて焼き付けた。次いで、四つのフィルムのすべてを、55psiの窒素パージ下で400℃にて10分間焼き付け、そして最後にオーブン中で窒素下で450℃にて20分間加熱してポリスチレンを除去した。7psiの窒素パージのホットプレート上で320℃にて焼き付けられたウェーハは、気孔発生体含有率に比例したフィルムの損失を被り、0.68μmの最終厚さおよび1.63の屈折率を有し、しかしてこれは気孔の形成の代わりにフィルムの崩壊を指摘している。55psiのパージ下で焼き付けられたウェーハは、0.83μmの最終厚さおよび1.55の屈折率を有し、しかしてこれは450℃の加熱工程中における気孔の形成を指摘している。
【0080】
モル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液中の星状ポリスチレンの処方、薄いフィルムの形成および評価
上記からの星状ポリスチレン物質を、上記に記載されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に、固形分に関して20重量パーセントレベルにて添加した。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、2.2μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で425℃にて60分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、120nmであった。多孔質被膜の屈折率は、1.56であった。
【0081】
実施例5−反応性ポリアミド気孔発生体を用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
セバコイルジクロライドおよび2,5−ジメチルピペラジンからのポリアミドの製造
1Lの丸底フラスコに、2,5−ジメチルピペラジン(アセトンから再結晶された)(10.0000g,0.08757モル)およびクロロホルム(400mL)を添加した。トリエチルアミン(23.1mL,0.1656モル)を、注射器により添加した。セバコイルクロライド(19.799g,0.08279モル)をビーカー中に量り取り、クロロホルム(300mL)中に溶解し、そして1L丸底フラスコに取り付けられた滴下漏斗に移した。この酸塩化物の溶液を、上記のジアミンの溶液に急速に添加した。滴下漏斗をクロロホルム(50mL)ですすぎ、しかしてこのクロロホルムは反応混合物に添加された。この混合物を、室温にて10分間撹拌した。次いで、この混合物をヘキサン(2L)中に注ぐと、白色固体が沈殿した。水(1L)を添加し、そしてこの混合物を撹拌した。液体層を、白色固体からデカントした。この固体をクロロホルム中に採取し、そして上部の水性層を除去しそして捨てた。溶媒を真空中で除去した。残渣をジメチルホルムアミド中に採取し、そして次いで水中に沈殿させた。生じた固体を濾過により単離し、そして真空中で100℃にて一晩乾燥した。
【0082】
セバコイルジクロライドおよび2,5−ジメチルピペラジンからのポリアミドと3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンゾイルクロライドとの反応
3,5−ビス(フェニルエチニル)安息香酸(0.3224g,0.001モル)を、25mL丸底フラスコ中に量り取った。チオニルクロライド(10mL)を添加し、そしてこの混合物を室温にて2時間撹拌した。過剰のチオニルクロライドを、蒸留によりおよび次いで真空の適用により除去した。生じた固体を、2回、クロロホルム中に溶解しそして溶媒を真空中で除去した。次いで、この固体をクロロホルム中に溶解した。上記に記載されたようにして製造されたポリアミド(5.0g,0.0005モル)を100mL丸底フラスコ中に量り取り、そしてクロロホルム(50mL)中に溶解した。次いで、上記の酸塩化物の溶液を添加し、そして次いでトリエチルアミン(0.5mL)を添加した。この混合物を、室温にて17時間撹拌した。この反応混合物を1ミクロンフィルターを通じて濾過し、次いでヘキサンで希釈すると、薄黄色固体が沈殿した。溶媒をこの固体からデカントし、そして追加的ヘキサンを添加した。溶媒を再びデカント除去し、そして固体を真空中で室温にて乾燥した。試料をゲル透過クロマトグラフィーにより分析し、しかしてMn=24100およびMw=43803が指摘された。
【0083】
4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテル、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンおよび3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンズアミド基で末端がキャップされたポリアミドからのオリゴマー溶液の製造
500mLの三口丸底フラスコに、4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン)ジフェニルエーテル(10.0000g,0.01277モル)、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(4.8340g,0.01277モル)、上記からの3,5−ビス(フェニルエチニル)ベンズアミド基で末端がキャップされたポリアミド(3.7085g,0.000154モル)およびガンマ−ブチロラクトン(43.27g)を添加した。フラスコを、窒素/真空導入口に取り付けた。磁気式に撹拌されている溶液を、5回の真空の適用および窒素の再充填により脱ガスした。次いで、この溶液を、200℃の内部温度に加熱した。48時間の加熱後、溶液を145℃に冷却し、次いでシクロヘキサノン(30.89g)で希釈した。次いで、この溶液を室温に冷却した。ゲル透過クロマトグラフィーによる最終溶液の分析は、ポリスチレン標準品に関してMn=5071およびMw=14378を指摘した。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、1.5μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で450℃にて20分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた気孔サイズは、大きい方の気孔が250nm直径でそして小さい方の気孔が30nmである二モードであるように見えた。
【0084】
実施例6−気孔発生体としてラテックス粒子を用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
モル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液中のラテックス粒子の形成
架橋ラテックス溶液(the Dow Chemical Companyから入手できるもののような)を、上記に記載されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液(水中に沈殿され、乾燥されそしてDowanol PMアセテート中に再溶解されていた)に、固形分対固形分に基づいて20重量パーセントレベルにて添加した。この溶液をディーン・スタークトラップ/凝縮器/窒素導入口を備えた丸底フラスコ中で加熱還流して、ラテックス粒子でもって導入された水を共沸蒸留により除去した。生じた溶液を冷却し、そして次いで後続の加工において用いた。気孔発生体としてDW−110NAラテックス(The Dow Chemical Companyから)を含有する樹脂溶液を、記載されたようにして製造した。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、2.7μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で450℃にて20分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいて、気孔は、長軸がフィルムの平面にある偏球状であるように見えた。長軸は150nmであり、そして短軸は50nmであった。
【0085】
実施例7−気孔発生体として樹枝状ポリエステルを用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
ボルトロンH40ベンゾエートの製造
磁気撹拌機、平衡添加漏斗、および窒素導入口を有する還流凝縮器を備えた250mL丸底フラスコ中に、撹拌しながら、1モル当たり7,316gの理論分子量を有するボルトロンH40樹枝状ポリエステルポリマー(5.0g,1g当たり8.75ミリモルのOH,44ミリモル)およびTHF(70mL)を添加した。次いで、この撹拌溶液に、ピリジン(7mL)を添加した。この溶液に、ベンゾイルクロライド(7.03g,50mmol)を15分かけて滴加した。添加の完了時に、反応混合物を還流下で2時間加熱した。次いで、反応を室温に冷却した。この溶液を濾過し、200mLのメチレンクロライドで希釈し、10パーセントHCl(3×25mL)、次いで水(1×50mL)、次いで1M−NaOH(2×25mL)、次いで再び水(1×50mL)そして次いでブライン(1×50mL)で洗浄した。次いで、有機分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして溶媒を除去して粗生成物が得られ、しかしてこの粗生成物をメタノール中への沈殿により更に精製して7.4gの生成物(77パーセント)が得られ、その構造は陽子および炭素NMR分光法により確認された。
【0086】
1,2,3,4−テトラキス(フェニルエチニル)ベンゼンの合成
250mLフラスコ中に、11.81g(0.030モル)の1,2,3,4−テトラブロモベンゼン(Collins,I.、Suschitzky,H.,J.Chem.Soc.,C,1969,2337)、27.0g(0.267モル)のトリエチルアミン、13.6g(0.132モル)のフェニルアセチレンおよび60mLのN,N−ジメチルホルムアミドを入れた。この反応混合物を窒素で15分間パージし、そして次いで0.945g(0.0036モル)のトリフェニルホスフィンおよび0.135g(0.0006モル)の酢酸パラジウムを添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で80℃にて20時間加熱した後、フラスコを室温に冷却し、水(100mL)およびトルエン(100mL)を添加した。生じた有機層を10パーセントHCl、水および飽和NaClで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥した。溶媒の除去およびヘキサン/トルエン混合物からの再結晶にて、純粋な生成物(5.4g,38パーセント)が得られた。1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ7.37(m,12H)、7.50(s,2H)、7.62(m,8H)。13C−NMR(CDCl3,75MHz)δ87.3、88.1、95.5、98.2、123.1、123.4、125.7、128.4、128.5、128.8、130.9、131.8、131.9。
【0087】
モル比1:1の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液中のボルトロンH40ベンゾエート+1,2,3,4−テトラキス(フェニルエチニル)ベンゼンの処方、薄いフィルムの形成および評価
上記に製造されたようなボルトロンH40ベンゾエートを固形分に関して25質量パーセントおよび1,2,3,4−テトラキス(フェニルエチニル)ベンゼンを固形分に関して20質量パーセント、WO98/11149に記載されているような、ガンマ−ブチロラクトンおよびシクロヘキサノン中のモル比1:1の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に添加した。この溶液は光学的に透明である共に、B段階樹脂中へのボルトロンH40ベンゾエートおよび1,2,3,4−テトラキス(フェニルエチニル)ベンゼンの溶解を指摘する暗赤色の色合いを有していた。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、1.6μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で425℃にて60分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、300nmであった。また、5nmと10nmの間のサイズを有するより小さい気孔構造が見えた。
【0088】
実施例8−気孔発生体としてブロックコポリマーを用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
ポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PS−b−PMMA)の製造
磁気撹拌子、セプタムを有するセプタムポート、およびセプタムおよび窒素導入口を有する添加漏斗を備えた500mLの一口丸底フラスコに、193gのテトラヒドロフラン(活性アルミナに通された)を装填した。フラスコを−78℃に冷却し、そして12.73gのスチレン(活性アルミナおよびQ5触媒床に通された)を添加した。重合を、1.15mL(0.84ミリモル)の0.733Mのsec−ブチルリチウム溶液を添加して橙色溶液をもたらすことにより開始させた。2時間後、アリコートを取り出しそしてそれをメタノール(MeOH)に添加することによりポリ(スチレン)(PS)ブロックをサンプリングし、そして0.19g(1.05ミリモル,1.25当量)のジフェニルエチレン(ジフェニルヘキシルリチウムから蒸留された)を添加すると暗赤色を生じた。25分後、13.18gのメチルメタクリレート(MMA)(水素化カルシウムおよびトリエチルアルミニウムから蒸留された)を、20分の期間をかけて添加漏斗を経て滴加した。赤色は、MMAの最初の数滴後に消失した。1時間後、0.2mLのMeOHを添加することにより重合を停止させた。この溶液を室温に温め、そして600mLのMeOH中で沈殿させそして濾過により採取することによりポリマーを単離した。両方のポリマーを、真空下で60℃にて数時間乾燥した。総量24.69g(95パーセントの収率)のPS−b−PMMAが採取された。狭い分子量のポリスチレン標準品に対するPSブロックのGPC分析は、Mn=14,567、Mw=15,821およびMw/Mn=1.086を与えた。PS−b−PMMAコポリマーは、Mn=26,825、Mw=28,893およびMw/Mn=1.077を与えた。このブロックコポリマーのNMR分析は、PMMAブロックがMn=15,364を有することを示し、しかして該コポリマーについてMn=29,913が与えられた。
【0089】
ポリ(ブタジエン−ブロック−ε−カプロラクトン)(PB−b−PCL)の製造
還流トルエンで清浄にしそして真空下で乾燥した1.5Lガラス製重合反応器に、650mLのシクロヘキサン(活性アルミナに通された)を装填した。反応器を50℃に加熱し、そして32.55gの1,3−ブタジエン(活性アルミナおよびQ5触媒床に通された)を添加した。重合を、7.0mL(9.1ミリモル)の1.3Mのsec−ブチルリチウム溶液を添加することにより開始させた。2.5時間撹拌した後、アリコートを取り出しそしてそれをメタノール(MeOH)に添加することによりポリ(ブタジエン)(PB)ブロックをサンプリングし、そして1.58g(3.59ミリモル,3.9当量)のエチレンオキシド(水素化カルシウム上で乾燥された)を添加した。反応温度を70℃に上げた。20分後、9.1mL(9.1ミリモル,1.0当量)の1.0Mジエチルアルミニウムクロライドおよび0.1mLのテトラヒドロフラン(活性アルミナを通された)を添加すると、濁った溶液が得られた。反応器を60℃に冷却し、そして34.81gのε−カプロラクトン(2回水素化カルシウムから蒸留された)を添加すると、乳白色溶液が得られた。90分後、0.5mLのMeOHを添加して重合を停止させた。この溶液を更に30分間撹拌して完全停止を確実にし、そして次いで0.75gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールに添加した。1.2Lのメタノール中で沈殿させそして真空下で50℃にて数時間乾燥することにより、ポリマーを単離した。総量48.1g(71パーセントの収率)のPB−b−PCLが採取された。狭い分子量のポリ(ブタジエン)標準品に対するPBブロックのGPC分析は、Mn=4,890、Mw=5,080およびMw/Mn=1.039を与えた。PB−b−PCLコポリマーは、Mn=5,655、Mw=6,629およびMw/Mn=1.172を与えた。このブロックコポリマーのNMR分析は、PCLブロックがMn=4,794を有することを示し、しかして該コポリマーについてMn=9,685が与えられた。
【0090】
モル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液中のポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PS−b−PMMA)の処方、薄いフィルムの形成および評価
上記に記載されたようなポリスチレンとPMMAのブロックコポリマーを、上記に記載されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に、添加(固形分に関して20質量パーセント)した。この溶液は光学的に透明である共に、B段階樹脂中への該ブロックコポリマーの溶解を指摘する暗赤色の色合いを有していた。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、1.94μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で4500℃にて20分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、200nmであった。
【0091】
モル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液中のポリ(ブタジエン−ブロック−b−カプロラクトン)(PB−b−PCL)の処方、薄いフィルムの形成および評価
上記に記載されたポリスチレンとポリカプロラクトンのブロックコポリマーを、上記に記載されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に添加(固形分に関して20質量パーセント)した。この溶液は光学的に透明である共に、B段階樹脂中への該ブロックコポリマーの溶解を指摘する暗赤色の色合いを有していた。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、2.85μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で450℃にて20分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、20nmであった。
【0092】
実施例9−気孔発生体として官能化デンドリマーを用いての多孔質ベンゾシクロブテンフィルムの製造
Dendritech,Inc.から入手できる第2世代のポリアミドアミンデンドリマーをフェニルプロピオル酸で官能化して、周辺に16個のフェニルプロピオルアミドを有するデンドリマーが得られた。この官能化プロピオルアミド(0.3g)を、N−シクロヘキシルピロリジノン中の25重量パーセントオリゴマージビニルシロキサン−ビス−ベンゾシクロブテンの溶液6.9gに添加した。この混合物を60℃に温め、そして次いで室温に冷却しそして48時間放置した。デンドリマー対ベンゾシクロブテンオリゴマーの重量比は16.7:83.3であり、そして固形分総パーセントは28.6パーセントであった。このプレポリマー溶液を2.7gのN−シクロヘキシルピロリジノンで更に希釈して、20重量パーセント固形分の最終溶液が得られた。この溶液を4インチ(10.16cm)シリコンウェーハ上で回転させ(500rpmで3秒、次いで2000rpmで30秒)、そして次いで次の熱処理に付した。すなわち、200℃で5分、250℃で6分、ホットプレート350℃で10分、そしてオーブン300℃で9時間。フィルムはわずかに曇っており、そして透過電子顕微鏡法(TEM)により調べた場合、直径5〜200nmの範囲の球状の閉鎖セル気孔の分布を示した。
【0093】
実施例10−気孔発生体として非反応性星状ポリエチレングリコールを用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
8腕型ポリ(エチレングリコール)ベンゾエートの製造
磁気撹拌機、平衡添加漏斗、および窒素導入口を有する還流凝縮器を備えた250mL丸底フラスコ中に、撹拌しながら、1モル当たり10,000gの分子量を有する分岐状PEG(8腕型,Shearwater Polymersから)ポリマー(5.0g,4ミリモルOH)およびメチレンクロライド(40mL)を添加した。次いで、この撹拌溶液に、トリエチルアミン(5mL)を添加した。この溶液に、20mLのメチレンクロライド中のベンゾイルクロライド(1.69g,12ミリモル)を15分かけて滴加した。添加の完了時に、反応混合物を還流下で2時間加熱した。次いで、反応を室温に冷却した。この溶液を10パーセントHCl(3×25mL)、次いで水(1×50mL)、次いで1M−NaOH(2×25mL)、次いで再び水(1×50mL)、次いでブライン(1×50mL)で洗浄した。次いで、有機分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして溶媒を除去して粗生成物が得られ、しかしてこの粗生成物をエーテル中への沈殿により更に精製して、4.4gの生成物(81パーセント)が得られた。その構造は、陽子および炭素NMR分光法により確認された。
【0094】
モル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液中の8腕型星状ポリ(エチレングリコール)ベンゾエートの処方、薄いフィルムの形成および評価
上記に記載された8腕型星状ポリ(エチレングリコール)ベンゾエートを、上記に記載されたモル比3:2の4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテルおよび1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンからのオリゴマー溶液に、固形分に関して20質量パーセント添加した。この溶液は光学的に透明である共に、B段階樹脂中への気孔発生体の溶解を指摘する暗赤色の色合いを有していた。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、2.5μm厚の被膜を形成させた。このフィルムをMTIホットプレート上で窒素下で400℃にて2分間焼き付け、そしてウェーハ上のこの被膜をBlue Mオーブン中で窒素下で450℃にて20分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、180nmであった。
【0095】
実施例11−ポリスチレン−ブロック−ポリアリーレンを用いての多孔質のポリアリーレンの薄いフィルムの製造
4−フェニルエチニル安息香酸のポリスチレンエステルの製造
磁気撹拌機、平衡添加漏斗、および窒素導入口を有する還流凝縮器を備えた250mL丸底フラスコ中に、撹拌しながら、1モル当たり10,000gの分子量を有するモノヒドロキシル末端ポリスチレン(Scientific Polymer Productsから)(10.0g,1.0ミリモル)であるポリスチレンおよびTHF(50mL)を添加した。次いで、この撹拌溶液に、ピリジン(5mL)を添加した。この溶液に、10mLのTHF中の4−フェニルエチニルベンゾイルクロライド(0.96g,4ミリモル)を15分かけて滴加した。この反応混合物を還流下で2時間加熱し、そして次いで室温に冷却した。この溶液を濾過し、200mLのクロロホルムで希釈し、そして10パーセントHCl(25mL)、次いで水(50mL)、次いで1M−NaOH(25mL)、次いで再び水(50mL)そして次いでブライン(50mL)で洗浄した。次いで、有機分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして溶媒を除去して粗生成物が得られ、しかしてこの粗生成物をメタノール中への沈殿により更に精製して、9.3gの生成物が得られた。
【0096】
4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエン−3−オン)ジフェニルエーテル、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼンおよび4−フェニルエチニル安息香酸のポリスチレンエステルからのオリゴマー溶液の製造並びに薄いフィルムの処方および評価
250mLの三口丸底フラスコに、4,4′−ビス(2,4,5−トリフェニルシクロペンタジエノン)ジフェニルエーテル(8.0g,0.0102モル)、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン(3.71g,0.0098モル)、4−フェニルエチニル安息香酸のポリスチレンエステル(Mw=1モル当たり10,000g)(3.0g,他の固形分に関して20パーセント)およびガンマ−ブチロラクトン(37.3g)を添加した。フラスコを、窒素/真空導入口に取り付けた。磁気式に撹拌されている溶液を、5回の真空の適用および窒素の再充填により脱ガスした。次いで、この溶液を、200℃の内部温度に加熱した。46時間の加熱後、溶液を145℃に冷却し、次いでシクロヘキサノン(19.6g)で希釈した。次いで、この溶液を室温に冷却した。この溶液をシリコンウェーハに施用し、そして回転塗布により流延して、4.7μm厚の被膜を形成させた。このフィルムを、MTIホットプレート上で窒素下で320℃にて2分間そして次いで窒素下で400℃にて10分間焼き付けた。ウェーハ上のこの被膜を、Blue Mオーブン中で窒素下で425℃にて60分間更に加熱した。このフィルムのTEM観察の目視検査に基づいた平均気孔サイズの推定は、110nmであった。
【0097】
実施例12−ゲル化−膨潤−硬化の手順を用いての多孔質のペルフルオルシクロブタンの熱硬化の薄いフィルムの製造
この例において、我々は、メシチレン中に溶解されたペルフルオルシクロブテン樹脂のオリゴマー溶液を用いた。この樹脂を、厚さがほぼ1ミクロンになるように、3000rpmにて4インチ(10.16cm)シリコンウェーハ上に回転塗布した。次いで、これらのウェーハを161℃にてアイドリングしているオーブン中に入れることにより、樹脂をそのゲル化点を越えるまで反応させた。オーブンは、5分で175℃に上昇され、そして次いで175℃に46分間保持された。室温に冷却した後、これらのウェーハを、膨潤溶液なし、90重量パーセントのメシチレンと10重量パーセントのスチリル−ベンゾシクロブテンの溶液または90重量パーセントメシチレンと10重量パーセントスチリル−ベンゾシクロブテンの溶液の溶液のいずれかに曝した。この曝しは、網状構造を膨潤させるために溶液をウェーハ上に1分間溜まらせることにより行われた。次いで、該ウェーハを3000rpmにて45秒間回転させて、過剰の溶媒を除去した。回転後、該ウェーハをホットプレート上に窒素パージ下で325℃にて1分間置いて、フィルムを硬化した。ウェーハは上記の過程における様々な時点においてサンプリングされ、そして5つの異なる箇所においてエリプソメトリーを用いて屈折率が測定されそして次いで平均された。それらの結果は、下記の表中に列挙されている。
【0098】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)炭化水素含有マトリックス前駆体およびb)気孔発生体を含む組成物であって、該マトリックス前駆体が、硬化時に300℃より高いTgを有する架橋炭化水素含有物質を形成するように選択される組成物。
【請求項2】
架橋炭化水素含有物質が、少なくとも400℃の熱安定性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
マトリックス前駆体が、ベンゾシクロブテン;ベンゾシクロブテンのB段階生成物;ポリシクロペンタジエノン官能性化合物とポリアセチレン官能性化合物の混合物であって、それらの少なくともいくらかが3個またはそれ以上の反応性官能基を有する該混合物;ポリシクロペンタジエノンとポリアセチレンの混合物のB段階生成物であって、それらの少なくともいくらかが3個またはそれ以上の反応性官能基を有する該B段階生成物;3またはそれ以上の官能価を有するペルフルオロエチレン化合物;3またはそれ以上の官能価を有するペルフルオロエチレン化合物のB段階生成物;ビス−オルト−ジアセチレン芳香族化合物;およびビス−オルト−ジアセチレン芳香族化合物のB段階反応生成物から選択された化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
マトリックス前駆体が、ジビニルシロキサン−ビス−ベンゾシクロブテンのB段階反応生成物を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
マトリックス前駆体が、
(a)式
【化1】

のビスシクロペンタジエノン
(b)式
【化2】

の多官能性アセチレン
(c)および任意に式
【化3】

のジアセチレン
〔ここで、R1およびR2は独立にHまたは未置換もしくは不活性置換芳香族部分でありそしてAr1、Ar2およびAr3は独立に未置換芳香族部分または不活性置換芳香族部分であり、そしてyは3またはそれ以上の整数である〕
を含む反応体の部分重合反応生成物を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
気孔発生体がポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
気孔発生体が、架橋炭化水素含有物質の熱安定性温度より低い温度において分解するポリマーである、請求項2記載の組成物。
【請求項8】
気孔発生体が、ブロックコポリマーである、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
気孔発生体が、ホモポリマーである、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
気孔発生体がポリスチレンであり、そして架橋炭化水素含有物質がポリアリーレンである、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
気孔発生体が、マトリックス前駆体と反応して架橋炭化水素含有物質から枝分かれしている基を形成する、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
気孔発生体が1〜50nmの平均直径を有する粒子であり、かつ該粒子がデンドリマー、超分岐状ポリマーおよびラテックス粒子から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも350℃のTgを有する請求項1記載の組成物であって、気孔発生体が、反応性または非反応性の、a)ブロックの一方が架橋ポリマーマトリックス樹脂と相溶性でありかつ他方のブロックがそれと非相溶性であるジブロックポリマー、b)デンドリマー、c)ラテックス粒子、d)溶媒、e)ガス、f)熱可塑性オリゴマーまたはg)溶媒もしくは超臨界ガス中に溶解され得る物質である、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
溶媒を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
溶媒が、メシチレン、ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルピロリジノン(NMP)、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロヘキシルピロリジノン、およびジベンジルエーテル、ジグリム、トリグリム、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなエーテルまたはヒドロキシエーテル、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジクロロベンゼン、プロピレンカーボネート、ナフタレン、ジフェニルエーテル、ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、並びにそれらの混合物から選択される、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
気孔発生体が、アルキレン基が2〜5個の炭素原子を有するポリ(アルキレングリコール)、ポリアルキレングリコールのブロックコポリマー、ポリアミドアミンデンドリマー、およびポリカプロラクトンから選択される、請求項4記載の組成物。
【請求項17】
気孔発生体が、反応性および非反応性の、ポリスチレン含有ポリマー、超分岐状ポリエステル、架橋ポリスチレン含有ラテックス、脂肪族ポリアミド、アルキレン基が2〜5個の炭素原子を有するポリアルキレングリコール含有ポリマー、スチレンとアクリレートまたはメタクリレートのブロックコポリマー、およびブタジエンとカプロラクトンのブロックコポリマーから選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項18】
基板上において多孔質フィルムを作製する方法であって、
基板を用意すること、
請求項2記載の組成物と溶媒を含む溶液を該基板上に塗布すること、
該溶媒を除去し、該マトリックス前駆体を硬化して架橋炭化水素含有物質を形成させ、そして該架橋炭化水素含有物質の熱安定性温度より低い温度に加熱することにより該気孔発生体を分解すること、
を含む方法。
【請求項19】
除去、反応および分解の工程が、単一加熱工程中で行われる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
分解工程が、被膜から熱可塑性物質の少なくとも80パーセントを除去することを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
架橋炭化水素含有物質がポリアリーレンであり、そして気孔発生体がポリスチレンである、請求項18記載の方法。
【請求項22】
基板上において多孔質フィルムを作製する方法であって、
基板を用意すること、
請求項16記載の組成物と溶媒を含む溶液を該基板上に塗布すること、
該溶媒を除去し、該マトリックス前駆体を硬化して架橋炭化水素含有物質を形成させ、そして該気孔発生体を加熱により分解すること
を含む方法。
【請求項23】
基板上において多孔質フィルムを作製する方法であって、
基板を用意すること、
請求項16記載の組成物と溶媒を含む溶液を該基板上に塗布すること、
該溶媒を除去し、該マトリックス前駆体を硬化して架橋炭化水素含有物質を形成させ、そして該気孔発生体を加熱により分解すること
を含む方法。
【請求項24】
低誘電率材料であって、300℃より高いTgを有する多孔質架橋炭化水素含有マトリックスを含む材料。
【請求項25】
2.5未満の誘電率を有する、請求項24記載の材料。
【請求項26】
2.2未満の誘電率を有する、請求項24記載の材料。
【請求項27】
気孔の平均直径が、400nm未満である、請求項24記載の材料。
【請求項28】
気孔の平均直径が、20nm未満である、請求項24記載の材料。
【請求項29】
気孔が、材料の少なくとも10容積パーセントを占める、請求項24記載の材料。
【請求項30】
10ミクロン未満の厚さを有するフィルムである、請求項24記載の材料。
【請求項31】
ポリアリーレンである、請求項24記載の材料。
【請求項32】
基板および請求項31記載の材料を含む、物品。
【請求項33】
材料が、ポリアリーレンである、請求項32記載の物品。
【請求項34】
トランジスターを含有する能動基板および少なくとも部分的に多孔質誘電材料の層または領域により分離されたパターン化金属線路を含有する電気配線構造体を含む集積回路物品であって、該誘電材料が、300℃より高いTgを有する架橋炭化水素含有マトリックスである物品。
【請求項35】
架橋樹脂が、ポリシクロペンタジエノン官能性化合物とポリアセチレン官能性化合物の硬化生成物である、請求項34記載の物品。
【請求項36】
液晶表示装置である、請求項32記載の物品。

【公開番号】特開2011−12272(P2011−12272A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−181420(P2010−181420)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2000−584005(P2000−584005)の分割
【原出願日】平成11年11月22日(1999.11.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
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【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】