説明

柔軟で拡開可能なステント

柔軟で拡開可能なステントアセンブリは、通常、円筒状に形作られた通路であって、長手軸を有し、複数の開口部を含む通路を備える。開口部は、通常、「ヘアピン状」のループの金属製の網である周方向配置ループアレイの長手方向の配置によって輪郭が形作られ、長手方向に隣接する周方向配置ループアレイの間に周方向に配置された複数の「松の木」形状の環状の開口隙間が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば人体の生体管状構造における管状器官及び導管を開くように支えその開放状態を維持するための埋め込み可能デバイスである医療用ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2006年12月20日付けで出願された米国特許出願第11/613,443号であって、2006年1月25日付けで出願された米国特許出願第29/252,669号及び2006年1月25日付けで出願された米国特許出願第29/252,668号の部分継続出願の優先権を主張し、さらに、2006年8月28日付けで出願された米国特許出願第60/823,692号、2006年9月13日付けで出願された米国特許出願第60/825,434号の優先権を主張する。各々の内容は全体として参照によってここに援用される。
【0003】
ステントは、様々な医療状態を措置及び/又は防ぐために、生体管状構造及び内腔の導管を維持及び/又は補強するために使用される埋め込み可能な人工器官である。典型的な使用方法は、血管形成手術を通じてのように、切開されて障害を取り除かれた後に冠動脈を維持し支持することを含む。ステントは、典型的にはカテーテルを使用して未拡開の又は縮退された状態で配備され、管状器官内に適切に位置決めされた後に、それから(カテーテル内に組み込まれた拡開可能なバルーンを用いるときのように)最終的な形状に拡開される。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6432133号明細書
【特許文献2】米国特許第6174329号明細書
【特許文献3】米国特許第6315794号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管状器官内に挿入される外部物体として、ステントは、血液の流れを阻害する可能性を有する。この作用はまた、ステントの上及び周囲における望ましくない組織の成長によって悪化されることがあり、これによって血栓と狭窄を含む合併症に至る可能性がある。かくて、ステントは、その拡開した状態を維持することができる一方で、管状器官の機能阻害を最小化するようにして製造される。典型的なステントは、複数の薄い支柱でその間に開口部を有する網状構造によって支持され、両端が開口するチューブ状要素の基本形態を有している。多くのステント設計においては、典型的には、強靭で柔軟な展性のある基材材料を含み、そして、過度の組織の成長に抵抗できるように、しばしば不活性金属及び/又は様々なポリマのような生体適合性表面を含む。その他のステント技術は、徐放性溶出のためにステント表面に耐成長性薬剤を組み込むことを含んでいる。
【0006】
強靭性と、望ましくない成長要素に対する抵抗性に加えて、大抵のステントは、縮退して配備された状態において信頼性のある変形可能性を有するように製造される。配備に先立って、ステントは通常、カテーテルの先端部で拡開可能なバルーンの周囲に縮退された状態でしっかりと固定される。そして、所定の位置に挿入されて拡開されたときに、ステントは、管状器官壁に沿って滑らかな輪郭のチューブ状構造を好ましくは形成しなければ案らない。しかし、多くの商業的に入手可能なステントは、不均一な拡開、拡開後の形状保持の失敗、汚染、フレーク状剥離、ひび割れ、及びその他の支柱と表面の欠陥を含む多くの問題に遭遇する。
【0007】
ステントの不規則な拡開は、ステントを拡開するために必要とされる半径方向の力が、その長さに沿って及び/又はその周縁に沿って一様ではないという支柱の設計によってしばしば引き起こされる。これは、いくつかの設計で、ステントの終端点において長手方向の支持が突然減少するために両端部で生じることがあり、その結果として、拡開中に「犬の骨」のように両端部が余計に拡開することが生じる。いくつかのステントは、長手方向の過度の支持のために、管状器官の湾曲に沿ってうまく曲がらず適合が不十分となる。ステントの設計における他の共通の問題は、半径方向の拡開の間にステントが縮まり(つまり奥行きが縮まり)、管状器官の壁に対しこすってすり減らす力を作り出すことである。
【0008】
さらに他のステントは、十分に結合していないか又は安定ではない表面コーティングのために、拡開の間又は内部体液への露出の後に、フレーク状剥離又はひび割れをする傾向がある。表面材料のフレーク状剥離又はひび割れの作用は、より滑らかでない表面を生成し、また、耐成長性の性質を実質的に打ち消すことが生じ、場合によって結果として死亡に至るような深刻な閉塞生じる可能性がありえる。現在の薬剤溶出ステントのいくつかは、これらの課題を含み得る薬剤埋め込みポリマ表面を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る実施形態は、例えば、生活している人体の内部で拡開して、管状器官又は導管を開くように支えることができる金属製の細長いチューブ状のパターンを備える医療用ステントアセンブリに関する。本発明のある観点から見た1つの側面は、「弓形に形作られたヘアピン状」湾曲又は屈曲の形態のような、スイッチバックループの複数を周方向に配列したアレイ、すなわち周方向配置ループアレイを複数備えている。スイッチバックループすなわちヘアピン状湾曲の複数を周方向に配列した周方向配置ループアレイは、お互いに間隔を空けて、ステントの長手方向に沿って複数配置される。
【0010】
本発明に係る実施形態では、お互いに隣接する周方向配置ループアレイは、その長手方向に隣接する他の周方向配置ループアレイと、2つ又はそれ以上の弓形の連結リンクによって結合される。本発明に係るさらなる実施形態では、これらの連結リンクの各々は、スイッチバックループの弓形の湾曲区間の中点から、長手方向に隣接する他の周方向配置ループアレイのスイッチバックループ上の湾曲した弓形の頂点部分まで、延びている。本発明に係るある実施形態では、連結リンクは、結合されるスイッチバックループの頂点部分の弓形の曲率を滑らかに拡張する。
【0011】
本発明のある観点から見た1つの側面では、隣接する2つの周方向配置ループアレイ及びこれらを結合する連結リンクは、径方向に内側から見た放射状方向の視点を平面上に展開したときに、通常、「松の木」形状と呼ばれる形状に見え、周方向に拡張されて配置された「開口小室」的な隙間を形成する。以下に記述されるように、ステントが管状器官の分岐に用いられるとき、拡張された「開口小室」的な隙間は、もう1つの第2のステントアセンブリがそこを通過して、二重の分岐配置の形態で、外向きに拡開することが容易となる。
【0012】
本発明に係る実施形態では、ステントを構成する支柱の幅は、例えば対象の管状器官の寸法(すなわち、小、中、又は大)に応じて、例えば約50〜80μm、約80〜100μm、又は110〜150μmであることができる。
【0013】
本発明に係るある実施形態において、ステントの挿入後、及び各周方向網配置アレイの周方向に隣接するループの拡開の間において、隣接する周方向配置ループアレイの間の2つ又はそれ以上の連結リンクが、径方向の内側で見るときに、ピボット回転することができる。これによって、ステントアセンブリの長手軸についての位置あわせに関し、斜めの方向から、そのステントアセンブリのその長手軸に対して「より平行な」方向に回転することができる。周方向に配置されるループの拡開及び動きと、連結リンクのピボット動作は、患者の管状器官構造内部で拡開するときに、ステントアセンブリの長さが縮められる現象を妨げる助けとなることができる。
【0014】
ステントの長手方向に隣接する周方向配置ループアレイの間の連結リンクの最小数(例えば2つ)は、患者の湾曲した管状器官構造におけるそのステントアセンブリの柔軟性及び適合性を増すことができる。同様に、それぞれの周方向配置ループアレイにおいて連結リンクによって結合されていない隣接するループは、ステントアセンブリの全長に渡って実質的に一様な強度を与えることができ、管状器官内での拡開の間に、そのステントアセンブリの「犬の骨」作用、つまり奥行き短縮作用を避けながら、実質的に一様な拡開を可能にする。
【0015】
本発明に係る実施形態では、通常、長手方向に対応付けられて位置合わせされた複数のヘアピン状湾曲ループのパターンはまた、様々な拡開した及び未拡開の状態にあるときに、スイッチバックループの非接触側面の間の有害な干渉接触の傾向を最小化又は抑制することができる。
【0016】
本発明に係るある実施形態では、環状の周方向配置ループアレイは、コバルト・クロム合金から構成される。コバルト・クロム基材は、金、銀、白金、又は様々な非金属ポリマを含む不活性の生体適合性材料と層状とすることができる。表面層は、さらに、徐放性溶出のための耐成長性薬剤を含む生物学的に活性な材料を含んで構成されることができる。
【0017】
本発明に係るさらなる実施形態では、比較的薄く実質的に一様な生体適合性金属層が、例えば非平衡磁場を有するマグネトロンを使用して、コバルト・クロム基材にイオン注入される。
【0018】
本発明のある観点から見た1つの側面では、柔軟で拡開可能なステントアセンブリが、通常、円筒形状の通路であって、長手軸を有し、そして複数の開口部を含む通路を備える。複数の開口部は、通常、弓形に形作られてヘアピン状に湾曲した金属製の網又はループが複数個長手方向に位置合わせされた周方向配置ループアレイによって、その輪郭を定めることができる。周方向配置ループアレイの各々は、第1の長手方向寸法パターンのループと、第2の長手方向寸法パターンのループとを含んで構成することができる。第2の長手方向寸法パターンのループは、第1の長手方向寸法パターンのループよりも長手方向に長いことが好ましい。
【0019】
本発明に係るある実施形態では、通常、弓形に形作られたヘアピン状に湾曲した網又はループを配置した周方向配置ループアレイは、長手方向に隣接した2つの周方向配置ループアレイにおいて、対角線的に隣接するループの間に結合された連結リンク配置によって、お互いに結合されている。本発明に係るある実施形態では、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイの間の連結リンク配置は、隣接する周方向配置ループアレイを結合する2つの連結リンクから構成されることが好ましい。連結リンクは、隣接する周方向配置ループアレイにおいて、それぞれの第2の長めの長手方向寸法パターンのループの間を結合するものとすることができる。連結リンクによって結合された第2の長めの長手方向寸法パターンのループは、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイにおいて、対角線方向にお互いに隣接して間隔を空けることができる。周方向の開口隙間は、周方向に隣接する連結リンクの間に配置されて、例えば、人体の生体管状構造におけるステントアセンブリの適切な撓みを許容する。本発明に係るある実施形態では、周方向の開口隙間は、径方向の内側で見るときは、「松の木」形状の輪郭であり、ステントアセンブリに対する柔軟性を促進する。隣接する周方向配置ループアレイの間の連結リンクは、例えば、人体の管腔におけるステントアセンブリの拡開のときに、ステントアセンブリの長手軸に沿って、通常、長手方向に位置合わせするようにピボット回転することができる。ステントアセンブリは、例えばコバルト・クロムから構成される基材表面を有するものとできる。ステントアセンブリは、基材表面上に、生体適合性表面層を有するものとできる。生体適合性表面層は、例えば白金を含んで構成するものとできる。生体適合性表面層は、白金原子及びパラジウム原子の傾斜構造層を含んで構成するものとできる。傾斜構造層は、実質的にパラジウムを備えた密着層と、パラジウム組成の比率が次第に減少して白金組成の比率が次第に増加する転移層とを含み、最外層は実質的に白金を含んで構成されるものとできる。密着パラジウム層と最外層とは、例えば、約50nm〜約500nm(約500オングストローム〜約5000オングストローム)の間の厚さを有するものとすることができる。密着層及び最外層の少なくとも一つは、例えば、約250nm(約2500オングストローム)よりも大きくない厚さを有する。白金層及びパラジウム層は、好ましくは、例えばイオン注入法によってステントアセンブリに注入されるものとすることができる。
【0020】
本発明のある観点から見た1つの側面では、人間の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリが、周方向に延在している湾曲した網の細長い集合を備えており、周方向に延在している湾曲した網である周方向配置ループアレイの各々は、通常、お互いに対応付けられて位置合わせされている。周方向配置ループアレイの各々は、一対の連結リンクによって隣接した間において結合されることができる。一対の連結リンクの各々は、隣接する周方向配置ループアレイの間で、お互いに対角線方向に間隔を空けて配置されるものとできる。連結リンクの対の各々は、隣接する周方向配置ループアレイの間で、径方向に見た放射状の方向の視点を平面上に展開したときに、「松の木」形状の弓形に形作られた開口隙間を、好ましくは形成することがよい。周方向配置ループアレイの各々は、少なくとも2種類のループを含んで構成される。周方向配置ループアレイの各々は、長手方向に短い第1のループの対を含んで構成され、その第1のループの対は、周方向配置ループアレイ上で3つごとに1つのループの位置で、長手方向に長めの第2のループの1つによって間隔を空けて配置される。周方向配置ループアレイの長手方向に隣接する2つの間を結合する連結リンクは、長手方向に隣接する周方向配置ループアレイの上で対角線方向に隣接した第2のループの間に取り付けられることができる。連結リンクは、ステントアセンブリの拡開の間に、長手方向に隣接する周方向配置ループアレイの間でピボット回転可能とすることができる。
【0021】
本発明のある観点から見た1つの側面はまた、患者の分岐した管状器官にステントを配置する方法及びそのための装置を含む。本発明に係るある実施形態は、以下の1ないしそれ以上のステップを含んで構成される。すなわち、その管状器官分岐において、第1のステントアセンブリを、例えば、人体の管状器官内に配置し、そして、その管状器官分岐の第1の分枝内にも配置するステップと、第2のステントアセンブリを、管状器官内の第1のステントアセンブリの中に配置するステップと、そして、第2のステントを、少なくとも部分的に第1のステントアセンブリの壁部の開口部を通って、そして管状器官分岐の第2の分枝の中に向かうように方向付けけるステップと、を含む。ここで、第1及び第2のステントアセンブリは各々長手軸を有している。第1のステントアセンブリの壁部の開口部は、長手方向に隣接したループの間に、周方向に向いた開口隙間を含んで構成するものとできる。周方向に向いた開口隙間は、通常、「松の木」形状の開口小室を含んで構成するものとできる。この方法は、長手方向に隣接するヘアピン状ループの間の周方向に向いた開口隙間に斜めに配置された連結リンクを配置するステップと、斜めに配置された連結リンクを、ステントアセンブリの長手軸に、通常、平行な配置になるようにピボット回転するステップとを含んで構成するものとできる。
【0022】
本発明に係るある実施形態は、患者の分岐した管状器官にステントを配置する方法を包含し、その方法は、以下の1又はそれ以上のステップを含んで構成される。すなわち、その管状器官分岐において、第1のステントアセンブリを、例えば、人体の管状器官内に配置し、そして、その管状器官分岐の第1の分枝内にも配置するステップと、第2のステントアセンブリを、管状器官内の第1のステントアセンブリの中に配置するステップと、そして、第2のステントを、少なくとも部分的に第1のステントアセンブリの壁部の開口部を通って、そして管状器官分岐の第2の分枝の中に向かうように方向付けけるステップと、を含む。ここで、第1及び第2のステントアセンブリは各々長手軸を有している。第1のステントアセンブリの壁部の開口部は、長手方向に隣接したループの間に、周方向に向いた開口隙間を含んで構成するものとできる。周方向に向いた開口隙間は、通常、「松の木」形状の開口小室を含んで構成するものとできる。この方法は、長手方向に隣接するヘアピン状ループの間の周方向に向いた開口隙間に斜めに配置された連結リンクを配置するステップと、斜めに配置された連結リンクを、ステントアセンブリの長手軸に、通常、平行な配置になるようにピボット回転するステップと、第2のステントアセンブリの少なくとも一部を、分岐において第1のステントアセンブリ内に残し、そして第1のステントアセンブリと流体連通するステップと、第1のステントアセンブリの周方向に向いた開口隙間を第2のステントアセンブリの周方向に向いた開口隙間に位置合わせして第1及び第2のステントアセンブリの交互嵌合を許容するステップと、第2のステントアセンブリの周方向に向いた開口隙間を第1のステントアセンブリの中央管腔に位置合わせしてそれらの間の流体連通を促進するステップと、第1のステントアセンブリ及び第2のステントアセンブリを同時に、例えば、人体の管状器官に挿入するステップと、例えば、人体管状器官への同時導入の間に第2のステントアセンブリの長手部分を第1のステントアセンブリの長手部分に重ね合わせるステップと、第1のステントアセンブリと第2のステントアセンブリとの例えば人体管状器官内への同時導入に引き続いて第2のステントアセンブリの先端部分を第1のステントアセンブリの周方向に向いた開口隙間に向けるステップと、を含んで構成するものとできる。
【0023】
本発明のある観点から見た1つの側面はまた、例えば、人体の管状器官への埋め込み及びその分岐にステントを配置するための柔軟で拡開可能なステントアセンブリを備えており、それは以下の構成を含んでいる。すなわち、通常、円筒状に形作られた第1の通路であって、長手軸を有し複数の開口部を含み、その開口部が、弓形に形作られた、通常、ヘアピン状に湾曲した金属製の網又はループが長手方向に位置合わせされた周方向配置ループアレイによって輪郭が形成される第1の通路と、通常、円筒状に形作られた第2の通路であって、長手軸を有し複数の開口部を含み、その開口部が、弓形に形作られた、通常、ヘアピン状に湾曲した金属製の網又はループが長手方向に位置合わせされた周方向配置ループアレイによって輪郭が形成される第2の通路とを含み、第2の通路が、第1の通路の内部に、少なくとも部分的に長手方向に延在している。
【0024】
本発明のある観点から見た1つの側面は、例えば、人体の管腔に拡開可能に挿入可能なステントアセンブリにおいて奥行き方向の短縮を防ぐ方法を包含する。本発明に係るある実施形態は、以下の1つ又はそれ以上のステップを含んで構成することができる。すなわち、第1及び第2の長さの金属製のヘアピン形状のループの網を含む周方向配置ループアレイであって、長手方向に結合された複数の環状の周方向配置ループアレイを径方向に外向きに拡開するステップと、複数の環状の周方向配置ループアレイを、隣接する周方向配置ループアレイに配置された第2の長さのループの対の間に配置された少なくとも2つの連結リンクによって結合するステップと、ステントアセンブリが、例えば、人体の管腔の内部で拡開するときに、ステントアセンブリの元々の長さを維持するために、第1及び第2の長さのループを再方向付けするステップと、隣接する第2の長さのループの間に配置された連結リンクを再方向付けするステップとを含んで構成される。ここで、第1及び第2のループならびに連結リンクは、対応して滑らかに湾曲することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の目的及び効果は、以下の図面とともに参照されると、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
添付の図面が以下に記述され、そこでは本発明に係る例示的な実施形態が示される。ここに開示された特定の構造的及び機能的な詳細は、単に例示的なものである。本発明は、多くの代替的な形態に具現化され得て、ここに示される例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0027】
したがって、特定の実施形態は、図面に例として示される。しかし、本発明を開示される特定の形態に限定することが意図されるのではなく、反対に、本発明が、請求項の思想及び範囲内に入る全ての改変、等価、及び代替をカバーすることが意図されることが、理解されるべきである。同様の番号は、図面の描写を通して同様の要素を指す。
【0028】
第1、第2などの用語が様々な構成要素を示すためにここで使用され得るが、これらの構成要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことが、理解されるべきである。これらの用語は、ある構成要素を他のものから区別するために使用される。例えば、本開示の範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と呼ばれることができ、同様に第2の構成要素は第1の構成要素と呼ばれることができる。ここで使用されるように、「及び/又は」という用語は、関連してリストされた項目の一つ又はそれ以上の任意の組合せ、及び全ての組み合わせを含む。
【0029】
「隣接する」は必ずしも接触を示唆しないが、「隣接する」構成要素の間に同じ種類の構成要素が存在しないことを言外に含み得ることが、理解されるであろう。
【0030】
ある構成要素が他の構成要素の「上に」ある、「接続」又は「結合」されていると言及されるとき、それは、直接その他の構成要素の上にあるか、接続されるか又は結合されることができ、あるいはその間に介在する構成要素が存在してもよい。対照的に、ある構成要素が他の構成要素の「上に直接」ある、「直接に接続」又は「直接に結合」されていると言及されるとき、その間に介在する構成要素は存在しない。構成要素の間の関係を記述するために使用されるその他の用語は、同様の様式で解釈されるべきである(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接」対「直接的に隣接」、など)。
【0031】
ここで使用される用語法は、特定の実施形態を記述する目的であり、本発明を限定することは意図されていない。ここで使用されるように、単数形は、文脈が逆のことをはっきりと示していない限りは、複数形も同様に含むことが意図されている。「備える」、「含む」、「有する」という用語は、ここで使用されるとき、言及された特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、及び/又は部品の存在を明示しているが、一つ又はそれ以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品、及び/又はそれらのグループの存在又は付加を排除しないことが、さらに理解されるであろう。
【0032】
ここで図面、特に図1を詳細に参照すると、本発明のある実施形態に従ったステントアセンブリ10が、理解を容易にするために平坦化して、すなわち平面状に展開配置した形で示されている。医療用のステントアセンブリ10は、図2A及び図2Bに円筒形で描かれているように、拡開して、例えば、人体内の管状器官又は導管を開いたままに支持することができる金属製の細長いチューブ状パターンを備えている。ステントアセンブリ10は、図1に示される破線の長方形「X」の内部に示されるように、通常、弓形に形作られた「ヘアピン状」のループのスイッチバックループを周方向に複数配置した網状のアレイである周方向配置ループアレイ12、12A等を備える。スイッチバックループ14は、図1Aに拡大図で示されている。弓形に形作られた「ヘアピン状」のループ14は、滑らかに湾曲した凹部の部分17と滑らかに湾曲した凸部の部分19とを有する。これより、そのような凹部の部分17及び凸部の部分19は、対応付けられて周方向に湾曲している。すなわち、各々の個別のループ14のそれぞれの輪郭において、ステントアセンブリ10の周方向に沿って「同じ方向」に円弧状に湾曲される。
【0033】
図1、図2A及び図2Bに示されているように、例えば、スイッチバックループを周方向に配置した網である複数の周方向配置ループアレイ12、12A、12B、12C、12D、12E及び12Fが、ステントアセンブリ10の長手軸「L」に沿って、お互いに間隔を空けて隔てられて示されている。第1の周方向配置ループアレイ12におけるステントアセンブリ10の第1の端部16における複数のループ14は、破線「11」と位置合わせされたそれらのエッジによって示されているように、全て通常、お互いに周縁が位置合わせされている。第1の、つまり図1で最も左側の周方向配置ループアレイ12の内側に向いた側部における複数のループ14において3つごとに1つ配置される長めのループ18は、それらの隣接したループについて破線「15」によって示されているように、周縁境界の位置合わせを長手方向に越えて延在する。さらに、ループ14の少なくとも3つごとに1つ配置される長めのループ18を有する周方向配置ループアレイ12、12Aなどの各々における長めのループ18は、図1で最も左側として示される2つの周方向配置ループアレイ12及び12Aに対し、例示的な方法で隣接したループの破線「11及び15」によって示されているように、それらの周縁境界の位置合わせの一つ又はそれ以上を長手方向に越えて延在し得る。
【0034】
複数の滑らかに湾曲し弓形に形作られた連結リンク50は、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイ12、12A等の間で、対角線方向に隣接した長めのループ18の2つを相互に結合するように配置される。それらの長めのループ18は、図1に最も容易に見られるように、複数のループ14の配置位置で3つごとに1つのものであることが好ましい。
【0035】
スイッチバック又はヘアピン状のループ14を配置した第2及びそれに引き続く周方向配置ループアレイ12A、12B等は、ステントアセンブリ10の第1の端部16において、第1の周方向配置ループアレイ12のスイッチバック又はヘアピン状ループ14と、通常、長手方向に対応付けられた位置合わせが行われる。これは、図1に示されるループ14の頂点を通る線CAで示されており、これは、以下にさらに述べられる「松の木」形状を保つ「葉状体」と呼ブことができる。すなわち、N番目の周方向配置ループアレイ12Nのループ14は、N+1番目の周方向配置ループアレイ12N+1の対応するループ14と、通常、長手方向に位置合わせされている。
【0036】
ループ14が配置される周方向配置ループアレイ12、12A等においてそれぞれの隣接する周方向配置ループアレイは、少なくとも2つの滑らかに湾曲し弓形に形作られた連結リンク50によって、長手方向に隣接する他の周方向配置ループアレイ12A、12B等と結ばれている。図1に最もよく示され、図2A及び図2Bに見られ得るように、これらの連結リンク50の各々は、長めのスイッチバックループ18の弓形の湾曲区間の中点52から、通常、対角線上に隣接する他の長めのスイッチバックループ18のヘアピン状湾曲の頂点56まで延在している。頂点56から延在している複数の連結リンク50は、周方向配置ループアレイ12、12A等のそれぞれにおいて同じ長手端の上に揃ってあり、中点52から延在する複数の連結リンク50は、対応する周方向配置ループアレイのこれとは反対側の長手端の上にある。これによって、ステントの一様な拡開が促進される。
【0037】
本発明に係る様々な実施形態において、必要に応じて変更される異なる寸法のステント、又は異なる強度のステントに対して、一般的なパターンが適合される。例えば、周方向配置ループアレイの頻度又は数を変更でき、ヘアピン状のループの数も、各周方向配置ループアレイの必要に応じて変更できる。例えば、各周方向配置ループアレイに対して6個のヘアピン状のループを有するパターンの実施形態において、約9mmのステントの長さのときは3列の周方向配置ループアレイを、約12mmの長さのときは4列の周方向配置ループアレイを、約15mmの長さのときは5列の周方向配置ループアレイを用いてに提供することができる。これらの実施形態は、例えば、約2mmの初期外径、約0.7mmの縮退された内径、および約2.75mm、3.0mm、3.5mm、又は4.0mmの配置時の外形を有するものとできる。
【0038】
隣接した周方向配置ループアレイ12A等の上において、周縁的に隣接したスイッチバックループの湾曲の一連のそれぞれにおける長めのスイッチバックループ18は、図1の破線15、21、及び42によって示されるように、それらに対し周方向に隣接した他のヘアピン状のループ14の湾曲の頂点よりもステントの長手方向に越えて延在する。
【0039】
周方向配置ループアレイ12とこれに対し長手方向に隣接する周方向配置ループアレイ12Aとの間において、通常、半ば周方向に延在し、それぞれの周方向に配置されたループ14と弓形の連結リンク50によって輪郭付けられている環状で周方向に細長い開口隙間30は、図1に最もはっきりと示されているように、先述の分岐した「松の木」形態によく似ている。
【0040】
ステントアセンブリ10の第2の端部32における最後の周方向配置ループアレイ12Fは、その上にスイッチバック又はヘアピン状のループ14の端部の集合を有しており、それらは、図1に破線40について共通した位置合わせとして示されるように、通常、相互に周縁についての位置合わせが行われる。ステントアセンブリ10の第2の端部32のその最後の周方向配置ループアレイ12Fはまた、長めのループである長めのスイッチバックループ18を有しており、図1の破線42を越えて、長手方向に「内向きに」延在して示されるように、その特定の周方向配置ループアレイ12Fの隣接するスイッチバックループ又はヘアピン状のループ14の周縁の境界を越えて、ステントの長手方向に延在している。
【0041】
これにより、スイッチバックループ又はヘアピン状のループが配置される周方向配置ループアレイ12、12A等において、隣接する周方向配置ループアレイの間には環状の開口隙間30があり、隣接するアレイ12、12A等の間のその特定の長手位置にて、約180度の見込み角度を有するステントアセンブリ10の周方向開口隙間を構成する。隣接する周方向配置ループアレイ12、12A等の間のその180度の明瞭な開口の周方向に配置された「松の木」形状の「開口小室」隙間30は、通常、ステントアセンブリ10の「半周縁」を構成し、図3において以下に述べるように、第2のステントアセンブリ10’がそこを通過し、管状器官分岐におけるように外向きに拡開することを可能にする。これは、各々の特定のステントアセンブリ10において、長手方向に分散して配置される複数の半周縁の「開口小室」構造が、そのような複数のステントアセンブリの交互嵌合を可能にするからである。本発明の範囲内の更なる実施形態は、隣接する周方向配置ループアレイ12、12A等の間の各環状の開口隙間を分割する連結リンク50の数に依存して、ループ14の周方向配置ループアレイ12、12A等の間の2つより多くの環状の「開口小室」隙間を含むようにできる。例えば、一つの実施形態は、開口隙間30の一般的なパターンを拡大して、3つの環状の開口隙間30を備え、その各々は、ステントアセンブリ10の外周の1/3(見込み角度で約120度)に広がるものとできる。更なる実施形態では、可変数(例えば2、3、又はそれ以上)の連結リンクが隣接する周方向配置ループアレイ12、12A等の間に配置されるものとでき、これによっていくつかのステントアセンブリ10、10’等による撓み及び/又は壁貫通の受容性における任意の特定の所望の変更形態を提供することが企図される。
【0042】
ここで図3を参照すると、例えば、人体の管状器官分岐「B」内部における第1のステントアセンブリ10と第2のステントアセンブリ10’の交互嵌合が示されている。このような複数のステントの配備は、図1に描かれているような拡張可能な周方向の「松の木」形状の開口小室の隙間30によって、より容易に形成される。隣接する周方向配置ループアレイ12、12A等の間の連結リンク50を最小の数(例えば2)とすることは、各ステント10及び10’の曲がり方を促して、相互に適合し合い、また顕著な干渉無しに他のステント10’によって貫通されるようにする。これは、そのような分岐処置を必要とする患者に対しては、高い利点がある。分岐した管状器官「B」におけるこの二重ステントは、まず一つのステント配備を行い、次に第2のステントアセンブリ10’を第1のステントアセンブリ10の長手方向開口部を通るように方向付けられ、それから、ステント配備が行われる分岐「B」において更なる管状器官「V」に位置合わせされた「松の木」形状等の側部の開口隙間30を通るように角度を曲げられて方向付けられる。
【0043】
本発明のある観点から見たさらなる1つの側面は、第1及び第2のステントアセンブリ10及び10’が、共通のカテーテル(簡単化するために図示していない)に同時に導入されることを企図する。すなわち、各ステントアセンブリ10及び10’は、例えば、人体の管状器官内へ、及びその管状器官の分岐に向けた導入の間に、長手方向に重なり合う関係を有する。分岐「B」に到達すると、第2のステントアセンブリ10’は、送達ワイヤ62を介して、第1のステントアセンブリ10における「松の木」状の周方向開口隙間30を通って、外向きに方向付けられることができる。一つの実施形態では、各ステントアセンブリ10及び10’が独立して操作可能な共線形式の送達ワイヤ60及び62を有するものとでき、図3に示されるように、第1のステントアセンブリ10の周方向「松の木」開口隙間30の側方及びその外への第2のステントアセンブリ10’のそのような舵取り操作を効果的にする。本発明のある観点から見たさらなる1つの側面は、第2のステント10’は、2つのステントアセンブリの間の相対的な動きを容易にするために、より小さな直径であってもよい。さらに、本発明に係る分岐処理において、第2のステントアセンブリ10’は、分岐Bへのステント配備を容易にするため、あるいは、親管状器官のステント延長止めを必要とする比較的短い分枝のみに適合するために、第1及び第2のステントアセンブリ10及び10’の間の不必要なオーバーラップを最小化して、より短い長さとすることができる。
【0044】
本発明に係るステントアセンブリ10の分岐された又はそうではない管状器官への挿入と、各周方向配置ループアレイ12、12A等における隣接する周方向に配置されたループ14の拡開の後に、隣接する周方向配置ループアレイ12、12A等の間の連結リンク50の各々は、ある実施形態では、例えば、径方向に内側に見るときに、図1に矢印「P」で示されるように、ステントアセンブリ10の長手軸「L」との位置合わせに対して斜めの方向から、そのステントアセンブリ10のその長手軸「L」に「より平行な」方向まで、回転又はピボット回転するように、わずかに再方向付け又はピボット回転して動くものとできる。これらの連結リンク50のそのような動きは、患者の管状器官構造内部で拡開するときに、ステントアセンブリ10の長さの様々な短縮を抑制する手助けとなる。ステントアセンブリ10の拡開における半周縁状の開口隙間30の環状又は周方向の配置、及び連結リンク50の回転は、しかしながら、ステントアセンブリ10の長手軸に対して、通常、周方向に配置されるように行われた位置決めが保持され、それに対して斜めには角度が付けられていない。その拡開の間におけるステントアセンブリ10の奥行き方向の短縮は、しかしながら、半径方向に外向きに動かされる構造を備える独特の曲線状構造のために、複数のループ14について拡開可能な共通の周方向及び長手方向に方向付けられた変形によって、第一義的に抑制される。
【0045】
長手方向に隣接した周方向配置ループアレイ12、12A等の間の連結リンク50の最小数は、ステントアセンブリの柔軟性、及び患者の湾曲した生体管状構造におけるそのステントアセンブリ10の適合性を増す。同様に、それぞれの周方向配置ループアレイ12、12A等における結合されていない隣接したループ14は、ステントアセンブリ10の長さの全体に渡って実質的に一様な径方向強度を可能とし、実質的に一様な拡開、および、患者の内部でのそのステントアセンブリ10の「犬の骨」作用、すなわち奥行き方向短縮作用を回避することを可能とする。
【0046】
本発明のある観点から見た1つの側面では、本発明に係る支柱の設計に従って、ステントアセンブリの長手方向端部(例えば、図1に示される第1の端部16又は第2の端部32)の一部を重ね合わせることによって、「キッシング・ステント」と呼ばれる配置を生成して、第2のステントアセンブリを伴う第1のステントアセンブリの拡開のための方法を提供する。第1のステントアセンブリ10は、管状器官内に挿入されて拡開される。そこで、第2のステントアセンブリ10は、第1のステントアセンブリの長手開口部に挿入され、第1のステントアセンブリ10の長手区間と部分的に重ね合わされ、その後に、第2のステントアセンブリが所定の場所で拡開される。第2のステントアセンブリは、第1のステントアセンブリ10の内部での調和性及び/又は同時配備/拡開(ここでは、複数のステントが最初に重ねあわされて一緒に挿入される)をよりよく適合させるために、より小さい初期直径であることがよい。本発明に係る各ステントアセンブリで具現化された支柱構造を最小量にすることは、それらの外周の重なり部分に沿った生体組織材料との相互作用の可能性を低減させる。
【0047】
本発明に係るある実施形態では、環状の周方向配置ループアレイ12、12A等の支柱、ならびに連結リンク50は、コバルト・クロムを含んで構成される。支柱は、金、銀、白金、又は様々な非金属ポリマを含む不活性の生体適合性材料と層をなすことができる。表面層は、ディングらによる米国特許第6,120,536号に記述されているような徐放性溶出のための耐成長性薬剤を含む生物学的に活性な材料をさらに含むものとできる。
【0048】
支柱の厚さは、柔軟性、最小の表面接触、及び支柱の間のスペースの拡開性を促進するために、最適化されることができる。本発明に係るある実施形態では、支柱は厚さ約60〜100μmであり、非結合接続部のところでは幅が平均で約80μmであることができる。これは、例えば中サイズの管状器官(直径3mmから4mm未満)に適したものとできる。本発明に係る他の実施形態では、支柱は厚さ約50〜80μmであり、非結合接続部のところでは幅が平均で約65μmである。これは、例えば、より小さい寸法の管状器官(直径3mm未満)に適したものとできる。本発明に係る他の実施形態では、支柱は厚さ約110〜150μmであり、非結合接続部のところでは幅が平均で約130μmであることができる。これは、例えば、より大きなサイズの管状器官(直径4mm及びそれ以上)に適したものとできる。
【0049】
本発明に係るある実施形態では、生体適合性金属層は、例えば、米国特許出願第2002/0138130A1号として2006年9月26日付けで発行されたサハジアンによる係属中の米国特許出願第09/999,349号、及びサハジアンらによる係属中の米国特許出願第60/823,692号に記述されているような非平衡磁場を有するマグネトロンを使用する方法を用いる等により、コバルト・クロム基材にイオン注入される。上記特許出願の各々の内容は、全体として参照によってここに援用される。
【0050】
本発明の更なる実施形態では、白金及びパラジウムイオンの傾斜構造がコバルト・クロム基材に、これらの方法の変形を通じて注入されて、実質的にパラジウムの密着層と、白金組成の比率が増加しパラジウム組成の比率が減少する転移層と、実質的に白金の生体適合性表面層とが生成される。本発明に係る更なる実施形態では、パラジウム及び白金層は、約10nmから約500nm(約100オングストロームから約5000オングストローム)までの厚さであることができ、好ましくは、厚さが例えば、約50nm(約500オングストローム)よりも大きく、約250nm(約2500オングストローム)よりも小さく、各層の滑らかさ及び安定性を最大化するように最適化される。厚さは、ステントアセンブリの寸法及び予定される拡開を含む様々なパラメータに依存し得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る実施形態において、ステントアセンブリの長手方向について、平坦化し、すなわち、「平面状に」配置して示す図である。
【図1A】図1に示されるステントアセンブリの弓形に形作られたヘアピン状のスイッチバックループ含む周方向配置ループアレイの一部の平面状拡大図である。
【図2A】本発明に係るある実施形態において、円筒形状のステントアセンブリの側方正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟で拡開可能な細長いステントアセンブリにおいて、
円筒状に形作られた通路であって、長手軸を有し、複数の開口部を含む通路を備え、
開口部は、弓形に形作られヘアピン状に滑らかに湾曲した網又はループを周方向に整列させた複数の周方向配置ループアレイを長手方向に配置する構造によって輪郭が形作られることを特徴とする柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項2】
周方向配置ループアレイの各々が、第1の長さ寸法パターンを有するループと、第1の長さ寸法よりも長めの第2の長さ寸法のパターンを有するループとを、各周方向配置ループアレイ上において予め定められた配置間隔で配置して構成されることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項3】
第2の長さ寸法のパターンを有するループの予め定められた配置間隔が、各々の周方向配置ループアレイにおける長手方向の端部の少なくとも一方の上のループ配置位置で3つごとに1つであることを特徴とする請求項2に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項4】
弓形に形作られたヘアピン状の湾曲した網又はループの各々が、ステントアセンブリの周方向に沿って同じ向きの円弧を形作ることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項5】
弓形に形作られたヘアピン状の湾曲した網又はループを配置した周方向配置ループアレイが、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイの間で対角線上に配置されるループの間を結合する連結リンク配置によって、相互に結合されることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項6】
対角線上に配置されたループが、対角線上で隣接していることを特徴とする請求項5に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項7】
長手方向に隣接した周方向配置ループアレイの間の連結リンク配置は、隣接する周方向配置ループアレイを結合する2つ又はそれ以上の連結リンクから構成されることを特徴とする請求項6に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項8】
隣接する周方向配置ループアレイを結合する連結リンクは、2つの連結リンクから構成されることを特徴とする請求項8に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項9】
連結リンクの各々は、ループの長手方向に延在している湾曲区間の中点から、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイにおいて結合される対象のループの湾曲の頂点まで延在していることを特徴とする請求項7に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項10】
長手方向に隣接する周方向配置ループアレイのループの湾曲の頂点までの連結リンクの結合は、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイのループの弓形に形作られた湾曲の曲率を滑らかに拡張することを特徴とする請求項9に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項11】
連結リンクは、隣接した周方向配置ループアレイにおいて、他のループに比べ長手方向に長めの寸法を有するループの間を結合することを特徴とする請求項7に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項12】
複数の連結リンクは、長手方向に隣接した周方向配置ループアレイの間における対角線上で相互に間隔を空けて隣接することを特徴とする請求項11に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項13】
周方向開口隙間であって、周方向に隣接した連結リンクの間に配置され、管状構造におけるステントアセンブリの滑らかな拡開及び適当な撓みを促進するように、径方向に内側から見た放射状視点を平面上に展開したときに「松の木」形状の開口部を有する周方向開口隙間が配置されることを特徴とする請求項7に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項14】
ステントアセンブリがコバルト・クロム合金を含む基材表面を有することを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項15】
ステントアセンブリが厚さ60〜100μmの基材を備えることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項16】
ステントアセンブリが厚さ50〜80μmの基材を備えることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項17】
ステントアセンブリが厚さ110〜150μmの基材を備えることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項18】
ステントアセンブリが生体適合性表面層を基材の上に備えることを特徴とする請求項1に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項19】
生体適合性表面層が生体適合性金属を含むことを特徴とする請求項18に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項20】
生体適合性金属が、白金、金、及び銀からなるグループの中から選択されることを特徴とする請求項19に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項21】
生体適合性表面層がステントアセンブリの基材表面に密着する金属を組み込んだ傾斜構造下地層を備えていることを特徴とする請求項18に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項22】
傾斜構造下地層は、パラジウムを含む密着層と、パラジウム組成の比率が次第に減少して白金組成の比率が次第に増加する転移層とを含み、最外層が白金を含むことを特徴とする請求項21に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項23】
生体適合性表面層は、10nmから500nmの厚さを有することを特徴とする請求項19に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項24】
生体適合性表面層は、250nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項23に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項25】
生体適合性表面層は、イオン注入法を使用してステントアセンブリに注入されて形成されることを特徴とする請求項19に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項26】
管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリであって、周方向に延在し滑らかに湾曲して弓形に形作られたヘアピン状の網又はループの細長い集合を備え、周方向に延在している湾曲した網の各々は、お互いに対応して位置合わせされることを特徴とする管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項27】
弓形に形作られたヘアピン状の網又はループの各々が、ステントアセンブリの周方向に沿って同じ向きの円弧を形作ることを特徴とする請求項26に記載の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項28】
周方向に延在し湾曲したヘアピン状の網又はループの各々は、少なくとも2つの連結リンクによって隣接して結合されていることを特徴とする請求項26に記載の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項29】
連結リンクの各々は、隣接した周方向に延在する湾曲した網又はループの間において、対角線状に横切って配置されていることを特徴とする請求項26に記載の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項30】
「松の木」形状の弓形に形作られた開口隙間が、周方向に延在している湾曲した網又はループの長手方向に隣接した間であって、連結リンクの周方向に隣接した間に配置されることを特徴とする請求項28に記載の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項31】
周方向に延在している湾曲した網又はループの各々は、少なくとも2種類のヘアピン状のループを含んで構成され、その各々は、1つの長手方向に長めの寸法を有する第2のヘアピン状ループによって隔てられた一対の長手方向に短かめの寸法を有する第1のヘアピン状ループを含むことを特徴とする請求項26に記載の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項32】
長手方向に隣接し周方向に延在している湾曲した網又はループを結合している連結リンクは、長手方向に隣接し周方向に湾曲した網又はループ上における対角線上で隣接した第2のループの間に取り付けられることを特徴とする請求項31に記載の管状器官への埋め込みのためのステントアセンブリ。
【請求項33】
分岐した管状器官にステントを配備する方法であって、
第1の分枝と第2の分枝とを有する分岐した管状器官において、管状器官の中と第1の分枝の中に第1のステントアセンブリを配置するステップと、
管状器官内の第1のステントアセンブリに第2のステントアセンブリを配置するステップと、
第2のステントアセンブリを少なくとも部分的に、第1のステントアセンブリの側壁部における周方向に細長く延在する開口部を通り、さらに分岐した管状器官の第2の分枝に向かわせるステップと、
を含み、
第1及び第2のステントアセンブリは、各々長手軸を有して複数の開口部を含み、
開口部は、滑らかに湾曲し弓形に形作られたヘアピン状の網又はループであって2種類の第1及び第2のパターンを有する網又はループを長手方向に位置合わせして配置された周方向配置ループアレイの構造によって輪郭が形作られることを特徴とする分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項34】
周方向に細長く延在している開口部は、径方向に内側から見た放射状視点を平面上に展開するときに、「松の木」形状を有することを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項35】
第2のパターンを有する網又はループが、第1のパターンを有する網又はループよりも長手方向に長い寸法を有することを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官をステントする方法。
【請求項36】
第2のパターンを有する網又はループが、長手方向に隣接した第2のパターンを有する他の網又はループとの間に配置される連結リンクによって結合されていることを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項37】
連結リンクが、長手方向に隣接している第2のパターンを有する網又はループの弓形に形作られた湾曲を滑らかに延在する方法で、弓形に形作られた形状を有することを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項38】
第2のステントアセンブリの少なくとも一部を、分岐において第1のステントアセンブリの内部に流体連通を可能にして残すステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項39】
第1のステントアセンブリと第2のステントアセンブリとを同時に管状器官に導入するステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項40】
第2のステントアセンブリの長手部分を第1のステントアセンブリの長手部分に、管状器官へのそれらの同時導入の間に、重ね合わせるステップを含むことを特徴とする請求項39に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項41】
第1のステントアセンブリと第2のステントアセンブリが管状器官へ同時に導入されるのに引き続いて、第2のステントアセンブリの先端部分を第1のステントアセンブリの周方向開口隙間を通るように方向付けるステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の分岐した管状器官にステントを配備する方法。
【請求項42】
管状器官の分岐にステントを配備するために用いられる柔軟で拡開可能なステントアセンブリにおいて、
長手軸を有し複数の開口部を含む第1の円筒形状の通路と、
長手軸を有し複数の開口部を含む第2の円筒形状の通路であって、第1の円筒形状の通路の内部に、少なくとも部分的に長手方向に延在している第2の円筒形状の通路と、
を備え、
それぞれの開口部は、弓形に形作られたヘアピン状に滑らかに湾曲した金属製の網又はループを長手方向に位置合わせして周方向に配置した周方向配置ループアレイによって輪郭が形作られることを特徴とする柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項43】
第2の円筒形状の通路が、第1の円筒形状の通路よりも小さい直径を有することを特徴とする請求項42に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項44】
第2の円筒形状の通路が、第1の円筒形状の通路よりも短い長さを有することを特徴とする請求項42に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項45】
第2の円筒形状の通路が、第1の円筒形状の通路よりも小さい直径と短い長さとを有することを特徴とする請求項42に記載の柔軟で拡開可能なステントアセンブリ。
【請求項46】
管腔に挿入して拡開可能なステントアセンブリにおける奥行き方向の短縮を抑制する方法であって、
第1の長さを有するループと、第1の長さより長めの第2の長さを有するループとを含む金属製のヘアピン形状の網の環状の周方向配置ループアレイを長手方向に複数接続したステントアセンブリを径方向に外向きに拡開するステップと、
ヘアピン形状の網を配置した環状の周方向配置ループアレイにおいて、隣接する周方向配置ループアレイに配置された一対の第2の長さを有するループの間に間隔を空けて設けられる少なくとも2つの連結リンクによって、複数の周方向配置ループを結合するステップと、
ステントアセンブリが管腔の内部で拡開するときに、第1の長さを有するループと第2の長さを有するループとを再方向付けして、ステントアセンブリの元々の長さを維持するステップと、
を含むことを特徴とするステントアセンブリにおける奥行き方向の短縮を抑制する方法。
【請求項47】
隣接する第2の長さを有するループの間に配置された連結リンクを再方向付けするステップを含むことを特徴とする請求項46に記載のステントアセンブリにおける奥行き方向の短縮を抑制する方法。
【請求項48】
第1の長さを有するループと、第2の長さを有するループと、連結リンクとは、対応して滑らかに撓むことを特徴とする請求項46に記載のステントアセンブリにおける奥行き方向の短縮を抑制する方法。
【請求項49】
ステントアセンブリを長手方向に延ばす方法であって、
各々が長手軸を有し複数の開口部を含み、開口部は、弓形に形作られたヘアピン状に滑らかに湾曲した金属製の網又はループを長手方向に位置合わせして周方向に配置した周方向配置ループアレイによって輪郭が形作られる第1及び第2の円筒形状の通路を準備するステップと、
第2の通路の長手方向の端部を第1の通路の長手方向の端部の中に、それぞれの長手方向の端部が部分的に重なり合うように挿入するステップと、
を含むことを特徴とするステントアセンブリを長手方向に延ばす方法。
【請求項50】
第2の通路の長手方向の端部を第1の通路の長手方向の端部の中に挿入するステップに先立って、第1の通路が管状器官内に配備されることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第2の通路の長手方向の端部を第1のチャンネルの長手方向の端部の中に挿入するステップの後に、これらの通路が管状器官内に同時に配備されることを特徴とする請求項49に記載の方法。

【図2A】図2Aのステントアセンブリの斜視図である。
【図3】本発明に係るある実施形態において、管状器官分岐に交互嵌合されて示される2つのステントアセンブリの斜視図である。
【図1】
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【図1A】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−524476(P2009−524476A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552309(P2008−552309)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/062478
【国際公開番号】WO2007/102926
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508096910)コルノヴァ インク (3)
【Fターム(参考)】