説明

柱状化ケイ酸塩の製造方法

本発明は、(1)少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、(2)上記層状ケイ酸塩を水と次式で表わされる少なくとも一種のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m
(式中、少なくとも一つの基Rは脱離基であり、残渣RのいずれもSiを含まず、mが0,1、2,3、あるいは4であり、nが0以上の整数である)と混合することからなるケイ酸塩化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ酸塩化合物の製造方法、特に柱状化層状ケイ酸塩の製造に関する。本発明はまた、本方法により得られるケイ酸塩、特に焼成ケイ酸塩およびその成型物に関する。本発明は同様に、これらのケイ酸塩それ自体とその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒の分野では、また例えば吸着または吸収プロセスの分野では、新らしい孔構造をもつ新しい骨格配列を提供することが、新規の反応性及び/又は改善された性能を示す触媒や触媒成分、触媒支持体材料の開発に極めて重要な役割を果たす。例えば、過去に、元素置換方法による層状ケイ酸塩の新規なゼオライト骨格への変換が研究された。
【0003】
MWWやFER、CDO、MCM−47構造をもついくつかの層状ケイ酸塩とジエトキシジメチルシランとの反応による生成物の合成と同定が、Wu et al.; J. Am. Chem. Soc., 130, 2008、pp.8178−8187に開示されている。特に、ここに記載のシリル化生成物は、特定の層状ケイ酸塩前駆体を2M−HNO3中で還流し、次いで焼成することで得られている。
【0004】
しかしながら、従来のシリル化手法は、非常に狭い範囲のケイ酸塩構造に限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、シリル化層状ケイ酸塩、即ち柱状化層状ケイ酸塩の新規な製造方法を提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、熱的に安定であり大きな空孔をもつ新規のゼオライト骨格を、特に大きな層間空孔を有する層状構造を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、モレキュラーシーブ及び/又は、単離及び/又は分離用の吸着剤として使用可能な化合物を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、触媒及び/又は触媒支持体として使用可能な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、特に、従来の特定のケイ酸塩構造のシリル化例とは対照的に、RUB−15構造やRUB−36構造、RUB−39構造のシリル化が可能であり、予想外の特性をもつ新規の材料を提供することが可能であることが明らかとなった。これに加えて、本発明において、特定のシリル化剤を用いて新規の積層材料を得る新規の方法が使用可能であり、このため予想外で新たな特性を示す新規の柱状化ケイ酸塩が製造可能となることが明らかとなった。
【0010】
特に,本発明によれば、シリル化の過程で水熱条件を用いると、簡単かついろいろな方法で層状ケイ酸塩のシリル化を行うことができることが明らかとなった。
【0011】
また、新規の柱状化ケイ酸塩の製造のための、特にシリル化に水熱条件を用いる製造のための層状ケイ酸塩前駆体構造として用いることのできる新規の層状ケイ酸塩の製造方法が見出された。
【0012】
しかしながら、まったく予想外にも、トリアルキルシランとトリアルキルシラン基を持つシラン、特にヘキサアルキルシランの使用もまた、柱状化ケイ酸塩生成物を与えることが明らかとなった。これは、シラン基中に3個のアルキル基が存在すると、層状ケイ酸塩前駆体のモノシリル化のみが可能となり、柱状化ケイ酸塩生成物中に存在するシランブリッジの形成を防止すると考えられため、特に驚くべきことである。
【0013】
したがって,本発明は、
(1)少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、
(2)上記層状ケイ酸塩を、水と少なくとも一種の式(I)に記載のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3または4であり、
nは、0以上の整数であり、
式中nが0の時、少なくとも一つの基Rが脱離基であり、
また式中、いずれの基RもSiを含まない)と混合するケイ酸塩化合物の製造方法に関する。
【0014】
本発明によれば、工程(1)で層状ケイ酸塩が供給される。(1)で供給される層状ケイ酸塩は、適当に選ばれた反応条件下で式(I)であらわされる少なくとも一種のケイ素含有化合物と反応可能な化学官能基を有してさえいれば、考えられうるいずれの層状構造を示すケイ酸塩であってもよい。特に、層状ケイ酸塩は、そのX線回折パターンにおいて、低回折角で一本以上の強い反射、好ましくは一本の強い反射を示す。
【0015】
本発明の好ましい実施様態においては、(1)で供給されるこれら少なくとも一種の層状ケイ酸塩が、同形置換された層状ケイ酸塩である。一般的には、このような同形置換に好適な層状ケイ酸塩中のSi原子の少なくとも一部を同形置換可能であるあらゆる元素が、この層状ケイ酸塩中に含まれていてもよい。本発明の好ましい好適な元素は、Al、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれる。本発明のある特定の実施様態においては、例えば、P. Wu et al.; J. Am. Chem. Soc., 130, 2008、pp.8178−8187に開示されている構造を持つ層状ケイ酸塩を使用する場合は、(1)において供給される層状ケイ酸塩中のこの少なくとも一種の他の元素が、Ti、B、Al、Ga、またはFeでない。
【0016】
本発明において、(1)で得られる層状ケイ酸塩は、好ましくはRUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3とからなる群から選ばれる。しかしながら、特に式(I)中の数値nが1以上である本発明の好ましい実施様態が関する限り、本発明の序の部分で述べた材料などの他の層状ケイ酸塩を、好ましい出発原料としてあげることもできる。
【0017】
特に好ましい実施様態においては、(1)で表される層状ケイ酸塩が、RUB−15とRUB−36、BLS−1、BLS−3とからなる群から選ばれるか、RUB−15とRUB−39、BLS−1、BLS−3とからなる群から選ばれるか、RUB−36とRUB−39、BLS−1、BLS−3とからなる群から選ばれる。より好ましくは、この層状ケイ酸塩は、RUB−15とBLS−1とBLS−3とからなる群から選ばれか、RUB−39とBLS−1とBLS−3とからなる群から選ばか、RUB−36とBLS−1とBLS−3とからなる群から選ばれる。この層状ケイ酸塩がBLS−1及び/又はBLS−3である実施様態が極めて好ましい。
【0018】
好ましい層状ケイ酸塩
RUB−36
構造型RUB−36の層状ケイ酸塩は公知である。例えば、J. Song, H. Gies; Studies in Surface Science and Catalysis, volume 15, 2004, pp.295−300に記載のSiとOとからなる全シリカRUB−36層状ケイ酸塩を参照。本発明によれば、このRUB−36層状ケイ酸塩は、好ましくは少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する化合物と定義される。
【0019】
【表1】

【0020】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0021】
特に好ましい実施様態においては、このRUB−36前駆体が、実施例1で得られる層状ケイ酸塩、またはそれに同一または実質的に同一の層状ケイ酸塩またはそのいずれかの同形誘導体を与えるいずれか他の考えうる手法により得られる層状ケイ酸塩である。
【0022】
RUB−36ケイ酸塩の同形置換に関する限り、特に好ましいケイ酸塩は、Al、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、あるいはこれらの二つ以上の混合物を置換元素として含んでいる。これらのケイ酸塩は、ケイ酸塩構造中にSi原子だけでなく、少なくとも一種の適当な元素を、ケイ酸塩構造中のSi原子の少なくとも一部を同形置換するものとして含んでいる。これらの同形置換RUB−36ケイ酸塩は、例えば、
(1)シリカ、好ましくは非晶質シリカ、及び/又は少なくとも一種のシリカ前駆体と、
水と、ジエチルジメチルアンモニウム化合物、トリエチルメチルアンモニウム化合物、およびジエチルジメチルアンモニウムとトリエチルメチルアンモニウム化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラアルキルアンモニウム化合物と、必要に応じて少なくとも一種の塩基を含む混合物を供給し、
(2)(1)で得られる混合物を水熱条件下で加熱して、RUB−36ケイ酸塩を含む懸濁液を与え、
(3)(2)で得られる懸濁液からRUB−36ケイ酸塩を分離し、必要に応じて(4)洗浄及び/又は(5)乾燥することからなる同形置換RUB−36層状ケイ酸塩の製造方法であって、
(a)(1)の混合物が、ケイ酸塩中のSi原子の少なくとも一部を同形置換するのに好適な少なくとも一種の元素の少なくとも一種の供給源を含み、及び/又は
(b)分離された、また必要に応じて洗浄及び/又は乾燥された(3)のRUB−36ケイ酸塩)を後処理して、ケイ酸塩中のSi原子の少なくとも一部を少なくとも一種の好適な元素で同形置換する方法により製造できる。
【0023】
他の好ましい方法では、構造型RUB−36ケイ酸塩の同形置換が、
(1)シリカまたはその前駆体と、層状ケイ酸塩を結晶化させる少なくとも一種の構造指向剤(SDA)と水との混合物を供給し、
(2)(1)で得られる混合物を水熱条件下で加熱して前駆体懸濁液を与え、
(3)層状ケイ酸塩中のSi原子の少なくとも一部の同形置換に好適な少なくとも一種の元素の少なくとも一種の供給源を、該前駆体懸濁液に添加し、
(4)(3)で得られる混合物を水熱条件下で加熱して層状ケイ酸塩を与える二工程プロセスにより製造できる。
【0024】
RUB−39
本発明の前駆体層状ケイ酸塩RUB−39は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンをもつ化合物と定義される。
【0025】
【表2】

【0026】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0027】
可能なRUB−39ケイ酸塩の製造方法については、WO2005/100242A1(特にp.32と33の実施例1と2)と、WO2007/042531A1(特に、p.38の実施例1、p.39の実施例2、p.40の実施例3、p.41の実施例6、およびp.42の実施例7)とWO2008/122579A2(特に、p.36の実施例1とp.37の実施例3)とを参照されたい。
【0028】
特に好ましい実施様態においては、このRUB−39前駆体は、実施例2により得られる層状ケイ酸塩、または同一または実質的に同一の層状ケイ酸塩またはそのいずれかの同形誘導体を与えるいずれか他の考えうる手法により得られる層状ケイ酸塩である。同形置換されたRUB−39ケイ酸塩に関する限り、特に好ましいケイ酸塩は、Al、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、あるいはこれらの二つ以上の混合物を置換元素として含み、特に好ましくはAlを含んでいる。これらのケイ酸塩は、ケイ酸塩構造中にSi原子を有するばかりか、少なくとも一種の適当な元素をケイ酸塩構造中のSi原子の少なくとも一部の同形置換として有している。このような同形置換RUB−39ケイ酸塩は、例えば、
(1)シリカまたはその前駆体と層状ケイ酸塩を結晶化させる少なくとも一種の構造指向剤(SDA)と水との混合物を供給し、
(2)(1)で得られる混合物を水熱条件下で加熱して前駆体懸濁液を与え、
(3)層状ケイ酸塩中のSi原子の少なくとも一部の同形置換に好適な少なくとも一種の元素の少なくとも一種の供給源を、該前駆体懸濁液に添加し、
(4)(3)で得られる混合物を水熱条件下で加熱して層状ケイ酸塩を与える
二工程プロセスにより製造できる。
【0029】
RUB−15
層状ケイ酸塩RUB−15の製造が、例えば、Oberhagemann、U.、P. Bayat、B. Marler, H. Gies、and J. Rius:ゼオライト前駆体RUB−15: [N(CH348 [Si2452 (OH)4]・20H2Oの合成と構造、Angewandte Chemie、Intern. Ed. Engl. 35、No. 23/24: (1996)、pp. 2869−2872に開示されている。
【0030】
BLS−1
本発明によれば、前駆体層状ケイ酸塩BLS−1は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンをもつ化合物と定義される。
【0031】
【表3】

【0032】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0033】
特に、BLS−1前駆体は、実施例3により得られる層状ケイ酸塩、または同一または実質的に同一の層状ケイ酸塩またはそのいずれかの同形誘導体を与えるいずれか他の考えうる手法により得られる層状ケイ酸塩である。
【0034】
好ましい実施様態においては、この前駆体層状ケイ酸塩BLS−1が、
(1)シリカ及び/又は少なくとも一種のシリカ前駆体と、水と、ジエチルジメチルアンモニウム化合物、トリエチルメチルアンモニウム化合物、およびジエチルジメチルアンモニウムとトリエチルメチルアンモニウム化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラアルキルアンモニウム化合物と、少なくとも一種の塩基と、必要に応じて少なくとも一種の適当な種形成材料とを含む混合物を、好ましくは非晶質シリカと水とジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシドと少なくとも一種の適当な種形成材料、好ましくはBLS−1を種形成材料として含む混合物を供給し、
(2)(1)で得られる混合物を自発圧力(水熱条件)下で120〜160℃の範囲の温度で8.5〜9.5日間加熱して層状ケイ酸塩BLS−1を含む懸濁液含有を与える、好ましくは139〜141℃の範囲の温度で8.6〜8.9日間加熱して層状ケイ酸塩BLS−1を含む懸濁液を与える方法により得られか得られうる。
【0035】
なお、(1)で得られる混合物は、SiO2及び/又はSiO2として計算されるシリカ前駆体と少なくとも一種のテトラアルキルアンモニウム化合物と水とを、SiO2:テトラアルキルアンモニウム化合物:水のモル比で、1:(0.45〜0.55):(9.5〜10.5)、好ましくは1:(0.49〜0.51):(9.9〜10.1)で含んでいる。
【0036】
BLS−3
本発明によれば、前駆体層状ケイ酸塩BLS−3は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンをもつ化合物と定義される。
【0037】
【表4】

【0038】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0039】
特に、BLS−3前駆体は、実施例4で得られる層状ケイ酸塩、または同一または実質的に同一の層状ケイ酸塩またはそのいずれかの同形誘導体を与えるいずれか他の考えうる手法により得られる層状ケイ酸塩である。
【0040】
好ましい実施様態においては、この前駆体層状ケイ酸塩BLS−3が、
(1)シリカ及び/又は少なくとも一種のシリカ前駆体と、水と、
ジエチルジメチルアンモニウム化合物、トリエチルメチルアンモニウム化合物、およびジエチルジメチルアンモニウムとトリエチルメチルアンモニウム化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラアルキルアンモニウム化合物と、少なくとも一種の塩基と、必要に応じて少なくとも一種の適当な種形成材料とを含む混合物を含む混合物、好ましくは非晶質シリカと水とジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシドと少なくとも一種の適当な種形成材料、好ましくはBLS−3を種形成材料として含む混合物を供給し、
(2)(1)で得られる混合物を自発圧力(水熱条件)下で120〜160℃の範囲の温度で7.5〜8.5日間加熱して層状ケイ酸塩BLS−3を含む懸濁液含有を与える、
好ましくは139〜141℃の範囲の温度で7.8〜8.2日間加熱して層状ケイ酸塩BLS−3を含む懸濁液を与える方法で得られるか得られうる。
【0041】
なお、(1)で得られる混合物は、SiO2及び/又はSiO2として計算されるシリカ前駆体と少なくとも一種のテトラアルキルアンモニウム化合物と水とを、SiO2:テトラアルキルアンモニウム化合物:水のモル比で、1:(0.45〜0.55):(12.0〜13.0)、好ましくは1:(0.49〜0.51):(12.5〜12.7)で含んでいる。
【0042】
シリル化剤
本発明の方法の工程(2)において、上記層状ケイ酸塩は、水と少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、mは、1、2、3または4であり、
nは、0以上の整数であり、
式中nが0の場合は、少なくとも一つの基Rが脱離基であり、また式中、いずれの基RもSiを含まない)と混合される。
【0043】
一般的には、式(I)の化合物と混合される層状ケイ酸塩は、「製造直後の」のものとして、即ち層状ケイ酸塩の結晶化の結果得られる母液を含有する層状ケイ酸塩として使用することができる。本発明の工程(2)に先立ち、層状ケイ酸塩をその母液から分離することが好ましく、この分離は、例えば濾過、限外濾過、膜濾過または遠心分離法などの手段で、あるいは、例えば、噴霧乾燥や噴霧造粒法により行うことができる。この分離された層状ケイ酸塩を少なくとも一回の洗浄工程及び/又は少なくとも一回の乾燥工程にかけることがより好ましくは、本発明の工程(2)に先立って少なくとも一回の洗浄工程と少なくとも一回の乾燥工程にかけることがより好ましい。乾燥温度は、通常は室温〜180℃の範囲であり、より好ましくは55〜165℃、より好ましくは65〜150℃、特に好ましくは75〜125℃の範囲である。使用できる洗浄剤としては、例えば、水、さらにはメタノールやエタノールまたはプロパノール、またはこれらの二種以上の混合物などのアルコールがあげられる。
【0044】
原理的には、内部に含まれるケイ素の少なくとも一部が(1)で供給される層状ケイ酸塩と反応して上記ケイ素と層状ケイ酸塩の両方を含む化合物を形成するなら、いずれの式(I)のケイ素含有化合物を、本発明の方法に用いることができる。
【0045】
好ましく用いられる式(I)のケイ素含有化合物は、基Rの少なくとも一つがアルキル基である化合物である。好ましくは、上記の少なくとも一種のアルキル基は、C1〜C5アルキルからなる群から、より好ましくはC1〜C4アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキル、さらにより好ましくはC1〜C2アルキルからなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、この少なくとも一種のアルキル基がC1アルキルである。
【0046】
これらの好ましい実施様態の中では、この少なくとも一種のアルキル基が、メチルとエチル、n−プロピル、n−ブチルからなる群から選ばれることが好ましく、メチルとエチルからなる群から選ばれることがさらに好ましい。特に好ましい実施様態においては、この少なくとも一種のアルキル基がメチルである。
【0047】
したがって、この少なくとも一種のケイ素含有化合物は、ジアルキルシランとジクロロジアルキルシラン、ジブロモジアルキルシラン、ジアルコキソジアルキルシラン、トリアルキルシラン、クロロトリアルキルシラン、ブロモトリアルキルシラン、アルコキシトリアルキルシラン、テトラアルキルジシラン、ペンタアルキルジシラン、ヘキサアルキルジシラン、トリス(トリアルキルシリル)シラン、テトラキス(トリアルキルシリル)シランおよびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれてもよい。
【0048】
好ましい実施様態においては、この少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシランとジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、ヘキサメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、より好ましくはジクロロジメチルシランとジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、ヘキサメチルジシランからなる群から選ばれる。
【0049】
特に好ましい実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシランとジエトキシジメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ヘキサメチルジシランからなる群から選ばれてもよい。
【0050】
したがって、本発明はまた、この少なくとも一種のケイ素含有式(I)の化合物の中の官能基Rが、相互に独立して、C1〜C5アルキル基と脱離基とからなる群から選ばれる方法に関する。
【0051】
本発明の他の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、トリアルキルシランとクロロトリアルキルシラン、ブロモトリアルキルシラン、アルコキシトリアルキルシラン、テトラアルキルジシラン、ペンタアルキルジシラン、ヘキサアルキルジシラン、トリス(トリアルキルシリル)シラン、テトラキス(トリアルキルシリル)シラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれることが好ましい。
【0052】
上記の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、トリメチルシランとトリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、ヘキサメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれることが好ましく、トリメチルシランとトリエチルシラン、クロロトリメチシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、ヘキサメチルジシラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。
【0053】
上記の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、トリエチルシランとクロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれることが特に好ましい。
【0054】
したがって、本発明はまた、この少なくとも一種のケイ素含有式(I)の化合物において、nが0の場合に、基Rの一つが脱離基である方法に関する。
【0055】
本発明の特定の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、テトラエトキシシラン、またはこれらの二種以上を含まない。
【0056】
本発明によれば、少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物が二個以上のケイ素原子を含む場合には、Rは必要に応じて脱離基となる。この脱離基は、本発明の方法によりケイ素含有化合物から解離さえするなら、いずれの化学官能基から適当に選択される。
【0057】
本発明の他の実施様態においては、この少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物が、テトラアルキルジシランとペンタアルキルジシラン、ヘキサアルキルジシラン、トリス(トリアルキルシリル)シラン、テトラキス(トリアルキルシリル)シラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる
上記の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、好ましくはヘキサメチルジシランと1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、ヘキサメチルジシランが特に好ましい。
【0058】
したがって、本発明はまた、この少なくとも一種のケイ素含有式(I)の化合物中において、nが1以上である方法に関する。
【0059】
本発明の他の実施様態においては、この少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物が、テトラアルキルジシランとペンタアルキルジシラン、ヘキサアルキルジシラン、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0060】
上記の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物は、ヘキサメチルジシラン及び/又は1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシランであることが好ましく、ヘキサメチルジシランが特に好ましい。
【0061】
数値n=0
本発明によれば、式(I)の化合物においてnが0の場合は、少なくとも一つの基Rが脱離基である。
【0062】
本発明において「脱離基」とは、本発明の方法の工程(2)及び/又は工程(3)において式(I)のケイ素含有化合物から解離する化学官能基を意味する。特に、本発明の意味において、脱離基は、式(I)の少なくとも一つのケイ素原子に共有結合する炭素原子を有する官能基を意味するのではない。特に脱離基はアルキル基でない。
【0063】
本発明によれば、式(I)のケイ素含有化合物が一個のケイ素原子のみを含む場合は、化学官能基Rの少なくとも一つが脱離基である。これらの実施様態においては、本発明において、この少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物が1〜3個の脱離基を含むことが好ましい。特に好ましい実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が1または2個の脱離基を有し、最も好ましくは1個の脱離基を有する。
【0064】
本発明において、この少なくとも一種の脱離基が、水素とハロゲン、C1〜C3アルコキシからなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは水素と塩素、臭素、C1〜C2アルコキシからなる群から、より好ましくは水素とエトキシ、メトキシ、塩素からなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、この少なくとも一種の脱離基が、エトキシ及び/又は塩素である。
【0065】
n=0の場合には、最も好ましい(1)で供給されるケイ酸塩は、RUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる。
【0066】
したがって、本発明は、
(1)RUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる、好ましくはRUB−36とRUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、
(2)混合上記層状ケイ酸塩を、水および少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3、または4であり、n=0であり、
式中、少なくとも一つの基Rが脱離基であり、
式中、いずれの基RもSiを含まない)とに混合するケイ酸塩化合物の製造方法に関する。
【0067】
また、n=0の場合、この少なくとも一種のケイ素含有化合物は、ジアルキルシランとジクロロジアルキルシラン、ジブロモジアルキルシラン、ジアルコキソジアルキルシラン、トリアルキルシラン、クロロトリアルキルシラン、ブロモトリアルキルシラン、アルコキシトリアルキルシラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれることが好ましい。
【0068】
n=0の場合、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシランとジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれることがより好ましく、ジクロロジメチルシランとジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれることがさらに好ましい。
【0069】
特に好ましい実施様態においては、n=0の場合、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシランとジエトキシジメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれる。
【0070】
したがって、本発明はまた、この少なくとも一種のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシランとジエトキシジメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれ、この(1)で表される層状ケイ酸塩が、RUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる上述の方法に関する。
【0071】
本発明の他の好ましい実施様態によれば、n=0の場合、一つの基Rのみが脱離基である。したがって、本発明はまた、少なくとも一種のケイ素含有式(I)の化合物において、nが0の場合、一つのみの基Rが脱離基である方法に関する。この実施様態は、あらゆる考えうる(1)で供給される層状ケイ酸塩に対して特に好ましく、RUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる層状ケイ酸塩に対してさらに好ましい。
【0072】
したがって、本発明は、
(1)好ましくはRUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる、より好ましくはRUB−36とRUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、
(2)上記の層状ケイ酸塩を水および少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3、または4であり、n=0であり、
式中、残渣Rの正確に一つが脱離基であり、また式中、いずれの基RもSiを含まない) と混合することからなるケイ酸塩化合物の製造方法に関する。
【0073】
式(I)のケイ素含有化合物が一個のみの脱離基を有するこの実施様態においては、
この少なくとも一種のケイ素含有化合物がトリエチルシランとクロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれることが特に好ましい。
【0074】
本発明の特定の実施様態においては、この少なくとも一種のケイ素含有化合物は、ジクロロジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、またはテトラエトキシシランを含まない。
【0075】
数値nは、1またはそれ以上である。
【0076】
本発明によれば、驚くべきことに、式(I)のケイ素含有化合物も、一般的に層状ケイ酸塩から出発して柱状化ケイ酸塩を製造するのに使えることが見出された。
【0077】
したがって、好ましい実施様態によれば、本発明は、
(1)少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、
(2)上記の層状ケイ酸塩を水と少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3または4であり、
nは1以上の整数であり、
式中、いずれの基RもSiを含まない)とを混合することからなるからなるケイ酸塩化合物の製造方法に関する。
【0078】
また、本発明は、(1)で表される層状ケイ酸塩が、RUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれ、好ましくはRUB−36とRUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる。
方法に関する。
【0079】
一般的には、nは、それぞれのニーズに応じて選ぶことができる。好ましくは、nは1〜5の範囲であり、より好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。
【0080】
nが1以上のとき、式(I)の数値mは、一般的には1〜4の範囲であり、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2の範囲であり、特に好ましくは1である。
【0081】
したがって、本発明はまた、nが1以上であり、好ましくは1であり、mが1である上記の方法に関する。
【0082】
nが1以上である場合は、少なくとも一種のケイ素含有化合物がテトラアルキルジシランとペンタアルキルジシラン、ヘキサアルキルジシラン、トリス(トリアルキルシリル)シラン、テトラキス(トリアルキルシリル)シラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれることが好ましく、ヘキサメチルジシランと1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、およびこれらの二種以上の混合物からなる群から選ばれることがより好ましい。さらに好ましくは、ケイ素含有化合物がヘキサメチルジシランである。
【0083】
本発明はまた、本発明の方法の工程(2)で得られるか得られうる混合物に関する。
【0084】
(2)で得られる混合物
(2)の混合物中に含まれる層状ケイ酸塩と少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物と水の重量比は、(2)及び/又は(3)で少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩が得られることが保証されるなら、実質的に望むように調整可能である。
【0085】
好ましくは、(2)で得られる混合物中での層状ケイ酸塩:水の重量比は、好ましくは1:(20〜80)の範囲であり、より好ましくは1:(30〜75)、より好ましくは1:(40〜70)、より好ましくは1:(50〜65)、さらに好ましくは1:(55〜65)の範囲である。
【0086】
また好ましくは、(2)で得られる混合物中での少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物と水のモル比は、好ましくは1:(500〜3000)の範囲であり、より好ましくは1:(800〜2800)、さらに好ましくは1:(1500〜2500)、さらに好ましくは1:(1800〜2200)の範囲である。
【0087】
混合物の水分率をある目標値に調整することが必要であろう。特に好ましい好適な方法として、少なくとも一種の適当な装置内で水を除いて水分率が調整される。水の除去は、60〜85℃の範囲の温度で行われ、より好ましくは65〜80℃、特に好ましくは65〜75℃の範囲の温度で行われる。少なくとも一つの好適な装置として、特にロータリーエバボレータまたはオーブンがあげられる。この場合は特に、減圧で、したがって低温で水の除去が可能な装置が好ましいであろう。
【0088】
下記のように(2)の混合物を水熱条件にかける前に、少なくとも一種の適当な酸を、この混合物に加えることが特に好ましい。無機酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。本発明の特に好ましい実施様態によれば、この少なくとも一種の適当な酸はHNO3ではない。
【0089】
(3)での水熱処理の後に得られる混合物の、既存のガラス電極で示される値を測定し求めたpHは、好ましくは7未満であり、より好ましくは6以下、より好ましくは0.1〜5の範囲、より好ましくは0.2〜3、さらに0.5〜2の範囲である。
【0090】
水熱的結晶化
特に好ましい実施様態によれば、本発明はまた、工程(1)と(2)に加えて、さらに工程(2)の後に、
(3)(2)で得られる混合物を水熱条件にかけることからなる上述の方法に関する。
【0091】
(2)で得られる混合物を水熱条件にかけることにより、柱状化ケイ酸塩を含む懸濁液が得られる。したがって、本発明はまた、工程(1)と(2)に加えて、さらに工程(2)の後に、
(3)(2)で得られる混合物を水熱条件にかけて、柱状化ケイ酸塩を含む懸濁液を得る上述の方法に関する。
【0092】
したがって、本発明はまた、
(1)少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、
(2)上記層状ケイ酸塩を水および少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3、または4であり、
nは、0以上の整数であり、
式中、nが0の時、少なくとも一つの基Rが脱離基であり、
式中、いずれの基RもSiを含まない)と混合し、
(3)(2)で得られる混合物と水熱条件にかけて柱状化ケイ酸塩を含む懸濁液を得ることからなる柱状ケイ酸の塩製造方法に関する。
【0093】
本発明の好ましい実施様態においては、反応(2)の混合物が、常圧よりも高い圧力にかけられる。本発明において用いられる「常圧」とは、理想的な場合は101,325Paの圧力のことである。しかしながら、この圧力は当業界の熟練者には公知の範囲で変動することがある。例えば、この圧力の範囲は、95,000〜106,000であってもよく、96,000〜105,000または97,000〜104,000または98,000〜103,000または99,000〜102,000Paであってもよい。特に、本発明の方法において、このケイ酸塩は、好ましくは自発圧力下で得られる。
【0094】
原理的には、(2)で得られる反応混合物を、いかなる適当な温度で加熱することができる。この好ましい温度は、(2)で得られる溶液の沸点を超える温度である。特に、最高で200℃の温度がより好ましい。特に、工程(3)の水熱処理は、120〜200℃の範囲の温度で、好ましくは130〜195℃、より好ましくは140〜190℃の範囲の温度で行われる。
【0095】
好ましい水熱処理温度の維持時間は、一般的には1時間から数日間である。工程(3)の水熱処理温度の維持時間は、1時間〜48時間が好ましく、より好ましくは2時間〜36時間、より好ましくは5時間〜24時間である。
【0096】
結晶化温度を一つ以上の所望温度に調整するために、内部及び/又は外部の加熱及び/又は冷却手段を備えた、具体的には加熱及び/又は冷却ジャケットをなどの加熱及び/又は冷却手段を備えたオートクレーブを、工程(3)で用いることがさらに好ましい。このオートクレーブを、合成混合物中を所望温度に維持可能な環境に、例えば循環空気流オーブンなどのオーブンに移動させることも可能である。
【0097】
(4)の結晶化のためにこの合成混合物を適度に攪拌することが好ましい。結晶化用の反応容器を回転させることもできる。
【0098】
また、(3)の水熱処理の際に、2つ以上の異なる温度を用いることもできる。この点で、温度を上述の範囲内の一定の値に調整し、この温度を一定時間維持し、次いで温度を上述の範囲内の他の値にまで増加または減少させることができる。この段階的な温度調整とは別にあるいはこれと共に、水熱結晶化の際に結晶化温度を徐々に減少または増加させてもよい。
【0099】
一般に、加えられる加熱速度は、(3)の温度での(2)の混合物の加熱及び/又は(3)の間の混合物の加熱に関する限り、適当に選択可能である。好ましくは、加熱速度は、0.1℃/分〜20℃/分の範囲であり、好ましくは0.3℃/分〜15℃/分、特に0.5℃/分〜10℃/分の範囲である。
【0100】
本発明の方法のある実施様態によれば、(2)の加熱及び/又は(3)の水熱処理を、適当な冷却で停止することができる。この場合、反応混合物に、結晶化を停止するのに適当な温度の水を加えることが特に好ましい。
【0101】
本発明はまた、上述の方法により工程(3)の後に得られるか得られうる懸濁液に関する。
【0102】
分離
したがって、本発明はまた、工程(1)〜(3)からなる方法で得られるか得られうる柱状化ケイ酸塩に関する。
【0103】
本発明の方法によれば、(3)の水熱処理後に得られる懸濁液に含まれる柱状化ケイ酸塩は、少なくとも一つの工程で懸濁液から適当な方法で分離されることが好ましい。この分離は、例えば濾過や限外濾過、膜濾過、膜濾過などの方法で、あるいは例えば噴霧乾燥や噴霧造粒法で実施できる。噴霧乾燥または濾過による分離が好ましい。
【0104】
したがって、本発明はまた、さらに、
(4)(3)で得られる懸濁液から柱状化ケイ酸塩を分離することからなる上述の方法に関する。
【0105】
この分離に続けて、少なくとも一回の洗浄工程及び/又は少なくとも一回の乾燥工程を設けてもよく、その際、少なくとも2回の洗浄工程中で同じか異なる洗浄剤または洗浄剤混合物を使用してもよく、少なくとも2回の乾燥工程で同じか異なる乾燥温度を用いてもよい。
【0106】
使用可能な洗浄剤としては、例えば水や、メタノール、エタノールまたはプロパノールなどのアルコール、またはこれらの二種以上の混合物があげられる。混合物の例としては、2種以上のアルコールの混合物、具体的には、メタノールとエタノール、またはメタノールとプロパノール、またはエタノールとプロパノール、またはメタノールとエタノールとプロパノールの混合物が、または水と少なくとも一種のアルコールの混合物、具体的には水とメタノール、または水とエタノール、または水とプロパノール、または水とメタノールとエタノール、または水とメタノールとプロパノールまたは水とエタノールとプロパノール、または水とメタノールとエタノールとプロパノールの混合物があげられる。水、または水と少なくとも一種のアルコールの混合物、特に水とエタノール、が好ましく、水を唯一の洗浄剤として用いることが極めて好ましい。
【0107】
本発明の特に好ましい実施様態によれば、分離された柱状化ケイ酸塩を第一の工程中で、少なくとも1度、分離後に得られる濾液で洗浄し、次いで第二の工程で、上述のように少なくとも1度、適当な洗浄剤で洗浄する。
【0108】
好ましくは、分離された柱状材料を、標準的なガラス電極で求めたpHが、6〜8の範囲となるまで、好ましくは6.5〜7.5の範囲となるまで洗浄剤で、好ましくは洗浄水で洗浄する。
【0109】
したがって、本発明はまた、さらに
(5)(4)から濾過により得られる柱状化ケイ酸塩を洗浄し、
該洗浄が好ましくは、
(a)分離された柱状化ケイ酸塩を少なくとも1回、好ましくは1回、(4)から得られる濾液で洗浄し、
(b)(a)から得られる柱状材料を少なくとも1回、上記濾液とは異なる少なくとも一種の適当な洗浄剤で、好ましくは水で洗浄することからなる上述のプロセスに関する。
【0110】
本発明のさらに他の好ましい実施様態によれば、分離された及び/又は洗浄された柱状材料が、少なくとも一つ適当な工程で乾燥される。この乾燥温度は、好ましくは室温〜150℃の範囲であり、より好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜145℃、特に好ましくは100〜140℃の範囲である。
【0111】
好ましい乾燥温度が維持される時間は、通常1時間〜数日間である。好ましくは、工程(3)の水熱処理の温度を、1時間〜48時間維持し、好ましくは2時間〜36時間、より好ましくは5時間〜24時間維持する。
【0112】
したがって、本発明はまた、さらに、
(6)必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された柱状化ケイ酸塩を乾燥し、該乾燥が好ましくは、80〜150℃の温度範囲で、好ましくは100〜140℃の温度範囲で実施される上述の方法に関する。
【0113】
さらに、本発明はまた、工程(1)、(2)、(3)、(4)及び/又は(5)及び/又は(6)からなる方法により得られるか得られうる柱状化ケイ酸塩に関する。
【0114】
本発明はまた、
(4)(3)で得られる懸濁液から柱状化ケイ酸塩を分離し、
(5)濾過により(4)で得られる柱状化ケイ酸塩を洗浄し、該洗浄が、好ましくは
(a)分離された柱状化ケイ酸塩を少なくとも1回、好ましくは1回、(4)で得られる濾液で洗浄し、
(b)(a)で得られる柱状材料を少なくとも1回、上記濾液とは異なる少なくとも一種の適当な洗浄剤、好ましくは水で洗浄し、
(6)必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された柱状化ケイ酸塩を乾燥し、該乾燥を、好ましくは80〜150℃の範囲の温度で、好ましくは100〜140℃の範囲の温度で行う上述の方法に関する。
【0115】
焼成
本発明の方法の他の実施様態においては、(2)及び/又は(3)で得られる柱状化ケイ酸塩を、少なくとも一つの他の工程(7)で焼成する。原理的には、(2)及び/又は(3)得られる柱状化ケイ酸塩を含む懸濁液を、直接焼成にかけることもできる。好ましくは、焼成の前に柱状化ケイ酸塩が、上述のように(4)で懸濁液から分離される。焼成の前に懸濁液から分離されたケイ酸塩を、少なくとも一回の上述の洗浄工程(5)及び/又は少なくとも一回の上述の乾燥工程(6)にかけてもよい。
【0116】
(2)または(3)または(4)または(5)または(6)で得られるケイ酸塩の(7)の焼成は、好ましくは最高700℃の温度範囲で行われ、柱状化テクトケイ酸塩を与える。より好ましくは、この焼成温度が450〜700℃の範囲あり、より好ましくは500〜650℃の範囲である。
【0117】
その際、本発明の方法のある好ましい実施様態によれば、柱状化ケイ酸塩の加熱が、室温または乾燥温度から最高700℃の温度で行われ、その加熱速度はさらに好ましくは、0.1〜20℃/分の範囲であり、より好ましくは0.2〜10℃/分、特に好ましくは0.5〜5℃/分の範囲である。
【0118】
本発明の方法のある可能な実施様態によれば、この焼成が、温度を変えながら段階的に行われる。本発明において「温度を変えながら段階的に」とは、被焼成ケイ酸塩を一定の温度に加熱し、この温度に一定時間維持し、この温度から少なくとも一つの他の温度に加熱し、再びそこで一定時間維持する焼成をいう。段階的な焼成を行う場合は、被焼成ケイ酸塩を、最大で4温度に、より好ましくは最大で3温度、特に好ましくは2温度に維持することが好ましい。
【0119】
この焼成は、いかなる適当な雰囲気下でも、例えば空気、リーン空気、窒素、水蒸気、合成の空気または二酸化炭素下でも実施できる。焼成は大気下で行うことが好ましい。
【0120】
焼成を、本目的に適したいずれの装置で行ってもよい。この焼成は、回転管中で、ベルト焼成機中で、マッフル炉中で行うことが好ましく、あるいはケイ酸塩を目的用途に、例えばモレキュラーシーブとしての用途に、あるいは下記の他の用途に使用するための装置内で行うことが好ましい。なお、回転管とベルト焼成機が特に好ましい。
【0121】
したがって、本発明はまた、さらに、
(7)必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された及び/又は乾燥された、工程(2)または(3)または(4)または(5)または(6)で得られる生成物を乾燥し、該焼成を好ましくは450〜700℃の範囲の温度で、好ましくは500〜650℃の範囲の温度で行う上述の方法に関する。
【0122】
したがって、本発明はまた、(7)の焼成を含む上述の方法により得られるか得られうる柱状化テクトケイ酸塩に関する。
【0123】
したがって、本発明はまた、
(1)少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給し、
(2)上記層状ケイ酸塩を水および少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3または4であり、
nは、0以上の整数であり、
式中、nが0の時、少なくとも一つの基Rが脱離基であり、式中、いずれの基RもSiを含まず)と混合し、
(3)(2)で得られる混合物を水熱条件にかけて、柱状化ケイ酸塩を含む懸濁液を得、
(4)柱状化ケイ酸塩を(3)で得られる懸濁液から分離し、
(5)(4)から濾過により得られる柱状化ケイ酸塩を洗浄し
(該洗浄が好ましくは、
(a)分離された柱状化ケイ酸塩を少なくとも1回、好ましくは1回、(4)から得られる濾液で洗浄し、
(b)(a)から得られる柱状材料を少なくとも1回、上記濾液とは異なる少なくとも一種の適当な洗浄剤で、好ましくは水で洗浄し)、
(6)必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された柱状化ケイ酸塩を乾燥し
(該乾燥が好ましくは、80〜150℃の範囲の温度で、好ましくは100〜140℃の範囲の温度で実施され)、
(7)必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された及び/又は乾燥された、工程(6)で得られる生成物を乾燥して(該焼成を好ましくは450〜700℃の範囲の温度で、好ましくは500〜650℃の範囲の温度で行い)、柱状化テクトケイ酸塩を得る柱状化テクトケイ酸塩の製造方法に関する。
【0124】
特に本発明は、必要に応じて同形置換されたRUB−36構造、RUB−39構造、RUB−15構造、BLS−1構造またはBLS−3構造をもつ層状ケイ酸塩から得られる柱状化テクトケイ酸塩に関する。
【0125】
さらに本発明は、柱状化テクトケイ酸塩自体、または上述の方法により得られるか得られうる柱状化テクトケイ酸塩であって、上記テクトケイ酸塩のエックス線粉末回折パターンが、その極大ピーク(100%強度)を、回折試験でCu K(α1)波長を用いた場合の2θ回折角として、7.20〜8.00°であり、好ましくは7.50〜7.70、より好ましくは7.55〜7.65、より好ましくは7.58〜7.62のところに持つものに関する。
【0126】
特に好ましい実施様態によれば、本発明は、必要に応じて同形置換されたRUB−36構造をもつ層状ケイ酸塩から得られる必要に応じて同形置換されたテクトケイ酸塩で、そのX線回折パターンが、少なくとも以下の他の反射を含むものに関する。
【0127】
【表5】

【0128】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0129】
好ましくは、このケイ酸塩のDIN66135によるBET表面積は、200〜600m2/gの範囲であり、好ましくは300〜500m2/g、より好ましくは340〜440m2/gの範囲である。
【0130】
特に好ましい実施様態によれば、本発明は、必要に応じて同形置換されたRUB−39構造をもつ層状ケイ酸塩から得られる必要に応じて同形置換されたテクトケイ酸塩で、そのX線回折パターンが少なくとも以下の他の反射を含むものに関する。
【0131】
【表6】

【0132】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0133】
好ましくは、このケイ酸塩のDIN66135によるBET表面積は、150〜600m2/gの範囲であり、好ましくは200〜400m2/g、より好ましくは260〜360m2/gの範囲である。
【0134】
特に好ましい実施様態によれば、本発明は、必要に応じて同形置換されたBLS−1構造をもつ層状ケイ酸塩から得られる必要に応じて同形置換されたテクトケイ酸塩で、そのX線回折パターンが少なくとも以下の他の反射を含むものに関する。
【0135】
【表7】

【0136】
表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【0137】
好ましくは、このケイ酸塩のDIN66135によるBET表面積は、150〜600m2/gの範囲であり、好ましくは250〜400m2/g、より好ましくは270〜360m2/gの範囲である。
【0138】
上述のように、(1)で表される層状ケイ酸塩は少なくとも一種の適当な元素で同形置換されていてもよい。同形置換に関する限り、これが好ましい。しかしながら、本発明によれば、シリカのみからなる層状ケイ酸塩系の柱状化ケイ酸塩を製造し、(3)での水熱処理の際に同形置換を行うことも考えられる。さらに、柱状化ケイ酸塩を製造し、例えば(3)または(4)または(5)または(6)の後で適当にこの柱状化ケイ酸塩を後処理して、柱状化ケイ酸塩構造のSi原子の少なくとも一部を同形置換することも考えられる。(7)で得られるテクトケイ酸塩を適当に後処理し、テクトケイ酸塩構造のSi原子の少なくとも一部を同形置換することも考えられる。これらの場合においても、本発明で好ましい好適な元素は、AlとB、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、およびこれらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれる。
【0139】
成型物
多くの工業用途において、利用者は、ケイ酸塩をそのまま使用するのでなく、加工されたケイ酸塩の使用を望む場合が多い。このような成型物は、特に多くの工業プロセスで、例えばチューブ反応器中の混合物から本物質を分離するために必要である。
【0140】
したがって本発明はまた、上述のように、少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物を含む成型物、あるいは少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物に関する。特に、以下に用いる「ケイ酸塩」は、本発明の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物、また上述の方法で得られうる柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物、さらには二種以上のこれらのケイ酸塩の混合物をさす。
【0141】
一般に、成型物は、上記の本発明の少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物に加えて、得られる成型物が目的用途に適してさえいれば考えうるすべての他の化合物を含むことができる。
【0142】
本発明において、成型物の製造において、少なくとも一種の適当なバインダー材料を使用することが好ましい。この好ましい実施様態においては、少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物と少なくとも一種のバインダーとの混合物を製造することがより好ましい。好適なバインダーは、結合させたいRUB−36及び/又はRUB−37の粒子間を、バインダーが無い場合に存在する物理吸着より強く接着及び/又は結合させる一般的なあらゆる化合物である。このようなバインダーの例としては、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2またはMgO、または粘土またはこれらの化合物の二種以上の混合物などの金属酸化物があげられる。Al23バインダーとしては、粘土鉱物や、α−、β−、γ−、δ−、η−、κ−、χ−またはθ−アルミナなどの天然または合成アルミナ、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイト、擬ベーマイトなどのこれらの無機または有機金属の前駆化合物、またはアルミニウムトリイソプロピラートなどのアルミン酸トリアルコキシが特に好ましい。他の好ましいバインダーは、高極性基と無極性基をもつ両親媒性化合物やグラファイトである。他のバインダーとしては、例えば、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ジッカイト、ナクライトまたはアナキサイトなどの粘土があげられる。これらのバインダーはそのまま使用できる。本発明において、成型物の製造中の少なくとも一つの他の工程でバインダーが形成されるような化合物を用いることもできる。このようなバインダー前駆体の例としては、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタネート、テトラアルコキシジルコネート、または2種以上の異なるテトラアルコキシシランの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコキシチタネートの混合物、または2種以上の異なるテトラアルコキシジルコネートの混合物、または少なくとも一種のテトラアルコキシシランと少なくとも一種のテトラアルコキシチタネートの混合物、または少なくとも一種のテトラアルコキシシランと少なくとも一種のテトラアルコキシジルコネートの混合物、または少なくとも一種のテトラアルコキシチタネートと少なくとも一種のテトラアルコキシジルコネートの混合物、または少なくとも一種のテトラアルコキシシランと少なくとも一種のテトラアルコキシチタネートと少なくとも一種のテトラアルコキシジルコネートの混合物があげられる。本発明において、完全にあるいは部分的にSiO2からなるバインダーとはSiO2の前駆体であり、成型物の製造中の少なくとも一つの他の工程でこれよりSiO2が形成されるものである。この点で、コロイダルシリカと「湿式プロセス」シリカと「乾式プロセス」シリカの両方が使用できる。これらは、極めて好ましくは非晶質シリカであり、そのシリカ粒子の大きさは、例えば、5〜100nmの範囲であり、シリカ粒子の表面積は50〜500m2/gの範囲である。コロイダルシリカ、好ましくはアルカリ溶液及び/又はアンモニア溶液の形のもの、より好ましくはアンモニア溶液の形のものは、例えば、特に、ルドックス(登録商標)、シントン(登録商標)、ナルコ(登録商標)またはスノーテックス(登録商標)として市販されている。「湿式プロセス」シリカは、例えば、特にハイシル(登録商標)、ウルトラシル(登録商標)、ブルカシル(登録商標)、サントセル(登録商標)、バルロン−エステルシル(登録商標)、トクシル(登録商標)またはニップシル(登録商標)として市販されている。「乾式プロセス」シリカは、例えば、特にアエロジル(登録商標)、レオロシル(登録商標)、カブ−O−シル(登録商標)、フランシル(登録商標)またはア−クシリカ(登録商標)として市販されている。これらのバインダーは、最終成型物のバインダー含量が、最終成型物の総重量に対して最大で80重量%で使用することが、より好ましくは5〜80重量%の範囲の量で、より好ましくは10〜70重量%の範囲の、より好ましくは10〜60重量%の範囲の、より好ましくは15〜50重量%の範囲の、より好ましくは15〜45重量%の範囲の、特に好ましくは15〜40重量%の範囲の量で使用することが好ましい。本発明において用いられる「最終成型物」は、乾燥および焼成工程(IV)及び/又は(V)の後で、後述のように、特に好ましくは工程(V)の後で得られる成型物をいう。
【0143】
さらなる加工のために、またプラスチック材料の形成のために、バインダーまたはバインダー前駆体と少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物の混合物を、少なくとも一種の他の化合物と混合してもよい。特に発泡剤が好ましくあげられる。本発明の方法において、最終成型物に、一定の孔径及び/又は一定の孔径分布及び/又は一定の空孔体積を与えるすべての化合物が、発泡剤として使用できる。本発明の方法で好ましく用いられる発泡剤は、水中にあるいは水系溶媒混合物中に分散、懸濁または乳化可能なポリマーである。好ましいポリマーとしては、ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシドや、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィンなどの高分子ビニル化合物、ポリアミド、ポリエステル、セルロースまたはメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの炭水化物類、糖類または天然繊維があげられる。他の好適な発泡剤は、例えばパルプまたはグラファイトである。(I)の混合物の製造に発泡剤を使用する場合、この発泡剤の含量は好ましくは(I)の混合物中のポリマー含量は、(I)の混合物中のその少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又は焼成テクトケイ酸塩生成物の量に対して、好ましくは5〜90重量%の範囲であり、好ましくは15〜75重量%の範囲、特に好ましくは25〜55重量%の範囲である。この孔径分布を達成するために、2種以上の発泡剤の混合物を使用することもできる。本発明の方法の特に好ましい実施様態においては、後述のように工程(V)において焼成により発泡剤を除いて多孔性成型物を得る。
【0144】
本発明の同様に好ましい実施様態においては、(I)の混合物の製造に少なくとも一種のペースト剤が使用される。使用可能なペースト剤は、本目的に好適なあらゆる化合物である。これらは、好ましくは有機ポリマー、特に親水性ポリマーであり、例えばセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、バレイショ澱粉などの澱粉、壁紙糊、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブテンまたはポリテトラヒドロフランである。したがって、発泡剤として作用する特定の化合物を、ペースト剤として使用することができる。本発明の方法の特に好ましい実施様態においては、後述のようにこれらのペースト剤が工程(V)で焼成により除かれて、多孔性成型物を与える。
【0145】
本発明の他の実施様態においては、(I)の混合物の製造の際に少なくとも一種の酸性添加物を加えてもよい。後述のように、好ましい工程(V)で焼成により除去可能な有機酸性化合物が極めて好ましい。カルボン酸が、具体的にはギ酸、シュウ酸及び/又はクエン酸が特に好ましい。これらの酸性化合物を二種以上用いることもできる。
【0146】
少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物を含む(I)の混合物のいろいろな成分の添加順序は特に重要ではない。少なくとも一種のバインダーをまず添加し、次いで少なくとも一種の発泡剤と少なくとも一種の酸性の化合物を加え、最後に少なくとも一種のペースト剤を加えてもよく、またこれらの少なくとも一種のバインダー、少なくとも一種の発泡剤、少なくとも一種の酸性の化合物、および少なくとも一種のペースト剤の添加順序を変えることもできる。
【0147】
適当なら少なくとも一種の上述の化合物が加えられた少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩及び/又はその焼成テクトケイ酸塩生成物にバインダーを添加した後、(I)の混合物は、原則として、10〜180分間均質化される。特に均質化には、ニーダー、エッジミルまたはエクストルーダーが特に好ましく用いられる。この混合物は、好ましくはニーダーで混練される。工業規模ではエッジミル中での処理が均質化に好ましく用いられる。この均質化は、原則として約10℃〜ペースト剤の沸点の範囲の温度で、常圧下または小さな加圧下で行われる。その後適当なら、上述の少なくとも一種の化合物を加えることができる。このようにして得られる混合物を、押し出し可能なプラスチック材料ができるまで、好ましくはニーダー中で混練する。
【0148】
本発明のより好ましい実施様態によれば、この均質化された混合物を成型する。本発明において、成型物を既存のエクストルーダー中で押出して、例えば直径が好ましくは1〜10mm、特に好ましくは2〜5mmである押出物を与えるプロセスが、成型プロセスに好ましい。このような押出し成型装置は、例えば、Ullmann’s Enzyklopadie der Technischen Chemie、4th Edition、Vol. 2、p.295以下、1972に記載されている。スクリュー型押出機の使用の他に、プランジャ型エクストルーダーも成型に好ましく用いられる。しかしながら、原理的には、すべての既知の及び/又は適当な混練成型用装置やプロセスを成型に用いてもよい。これらの例としては、特に、ブリケット化、即ち他のバインダー材料の添加または無添加での機械的な圧縮や、ペレット化、即ち円形及び/又は回転運動による成型や、焼き付け、即ち成型材料を熱処理があげられる。本発明により製造される成型物の形状は、好きなように選ばれる。特に、球、卵形、円柱または板状が可能である。
【0149】
本発明において、工程(III)の後に少なくとも一回の乾燥工程が続くことが好ましい。
【0150】
本発明において、工程(IV)の後に少なくとも一回の焼成工程が続くことが好ましい。焼成は、一般に300〜700℃の温度範囲で、好ましくは400〜600℃の温度範囲で行われる。焼成を、いずれか適当なガス雰囲気下で行うことができ、空気及び/又は希薄空気が好ましい。また、焼成は、マッフル炉、回転式のキルン及び/又はベルト焼成オーブン中で行われることが好ましい。焼成工程中の温度を一定とすることもできるし、連続的または不連続的に変化させることもできる。焼成を2回以上行う場合、この焼成温度が、個々の工程で異なっていても同じであってもよい。
【0151】
したがって、本発明はまた、
(I)少なくとも一種の柱状化ケイ酸塩および/またはその焼成テクトケイ酸塩生成物と、必要に応じて少なくとも一種のバインダーを含む混合物を製造し、
(II)該混合物を混練し、
(III)混練混合物を成型して少なくとも一種の成型物を与え、
(IV)該少なくとも一種の成型物を乾燥させ、
(V)該少なくとも一種の乾燥成型物を焼成する
工程からなる上述の成型物の製造方法に関する。
【0152】
乾燥の前及び/又は後で、及び/又は焼成の前及び/又は後で、この少なくとも一種の成型物を、適当なら濃厚または希薄なブレンステッド酸あるいは2種以上のブレンステッド酸の混合物で処理してもよい。好適な酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、またはカルボン酸、ジカルボン酸またはニトリロ三酢酸などのオリゴカルボン酸またはポリカルボン酸、スルホサリチル酸またはエチレンジアミン四酢酸があげられる。適当ならこの少なくとも一種のブレンステッド酸での少なくとも一回の処理の後に少なくとも一回の乾燥工程及び/又は少なくとも一回の焼成工程が続き、いずれの場合も上述の条件下で実施される。
【0153】
本発明の方法の他の実施様態においては、硬化を進めるために本発明で得られる成型物を水蒸気処理にかけることができ、その後、好ましくは乾燥を少なくとも再度1回行い、及び/又は焼成を再度少なくとも1回行う。例えば、少なくとも一回の乾燥工程と続く少なくとも一回の焼成工程の後で、焼成成型物が水蒸気処理にかけられ、もう一度少なくとも1回乾燥し及び/又はもう一度少なくとも1回焼成される。
【0154】
用途
本発明はさらに、本発明のケイ酸塩、特に新規のケイ酸塩、及び/又は本発明の成型物の、モレキュラーシーブや触媒、触媒支持体またはそのバインダー、吸着剤、顔料、洗剤の添加物、建材用の添加物としての、また塗布ペーストや仕上げ剤にチキソトロピック性を与えるための利用、さらには、外部および内部潤滑剤や難燃剤、紙製品中の補助剤やフィラー、殺菌及び/又は殺真菌及び/又は除草剤組成物としての、イオン交換のための、セラミックス製造のための、ポリマー中での、電気、光学または電気光学部品や開閉素子またはセンサー中での利用に関する。
特に好ましくは、本発明のケイ酸塩は、モレキュラーシーブや触媒、触媒成分、触媒支持体またはそのバインダー、吸着剤として、イオン交換用に、セラミックス製造用に、ポリマー内で使用される。
【0155】
以下、本発明を実施例と図面と表を参照しながら詳述する。
【0156】
図に示される粉末X線回折パターンは、単色化Cu Kα−1を放射するジーメンスD−5000を用いて記録した。なお、好ましい配向を避けるために毛細管試料ホルダーを使用した。回折データは、Braun社の位置検知検出器を用い、8〜96°(2θ)の範囲で、0.0678°の間隔で収集した。粉末図のピークの同定は、粉末−X線で用いられるプログラムTreor90により行なった(Treor90は、URLがhttp://www.ch.iucr.org/sincris−top/logiciel/で無償で利用可能なパブリックドメインプログラムである)。この図において、角度2θ(単位:°)を横軸に、また強度を縦座標にプロットした。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、実施例1で得られたRUB−36のX線回折パターンを示す。図1はまた、比較用のRUB−36構造の線パターンを含む。
【図2】図2は、実施例2で得られたRUB−39のX線回折パターンを示す。図は、さらに比較用のRUB−39構造の線パターンを含む。
【図3】図3は、実施例3で得られたBLS−1のX線回折パターンを示す。図3は、さらに比較用のRUB−36構造の線パターンを含む。
【図4】図4は、実施例4で得られたBLS−3のX線回折パターンを示す。
【図5a】図5aは、実施例5で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。図5aは、比較用のSiO2とH−Al23−SiO2構造の線パターンを含む。
【図5b】図5bは、実施例5の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図6】図6は、実施例6で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図7a】図7aは、実施例7で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。図7aはさらに、比較用のSiO2とH−Al23−SiO2構造の線パターンを含む。
【図7b】図7bは、実施例7の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図8】図8は、実施例8で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図9a】図9aは、実施例9で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図9b】図9bは、実施例9の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図10a】図10aは、実施例10で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図10b】図10bは、実施例10の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図11a】図11aは、実施例11で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図11b】図11bは、実施例11の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図12a】図12aは、実施例12で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。図はさらに、比較用のRUB−36構造の線パターンを含む。
【図12b】図12bは、実施例12の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図13a】図13aは、実施例13で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。図はさらに、比較用のRUB−36構造の線パターンを含む。
【図13b】図13bは、実施例13の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図14a】図14aは、実施例14で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。図はさらに、比較用のRUB−36構造の線パターンを含む。
【図14b】図14bは、実施例14の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【図15】図15は、実施例15で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図16】図16は、実施例16で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図17a】図17aは、実施例17で得られた柱状化ケイ酸塩のX線回折パターンを示す。
【図17b】図17bは、実施例17の窒素吸着等温図を示す。図中で、相対圧力p/p0を横軸にプロットし、77KでDIN66134に準じて求めた(STP(標準的圧力と温度)での)空孔体積(ml/g)を縦軸にプロットした。
【実施例】
【0158】
実施例1:RUB−36の調製
651.6gのジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド(20.62重量%)水溶液を評量してビーカーに入れ、そこに136.5gの非晶質シリカ(アエロジル(登録商標)を少量ずつ加え、混合物を2時間攪拌して黄色味を帯びた懸濁液を得た。得られた混合物からロータリーエバボレータを用いて107.8gの水を除き、濃縮混合物を30分間攪拌した。169.0gの上記混合物を評量して圧力消化容器に入れ、その中で水熱条件下で140℃で336時間加熱し、銀白色にきらめく懸濁液を得た。
【0159】
次いで、遠心分離により得られた懸濁液を分離し、120℃で72時間乾燥して、32.6gの白色粉末を得た。
【0160】
合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表1に示す反射を示した。
【0161】
【表8】

【0162】
実施例2:RUB−39ケイ酸塩の調製
17.2gの水酸化ナトリウムを458.6gの水中に溶解し、そこに1306.8gのジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド(39重量%)水溶液を添加し、得られた溶液を10分間攪拌した。
次いで、17.2gのRUB−39の種結晶を加え、得られた混合物をさらに20分間攪拌した。この溶液に417.0gの非晶質シリカ(アエロジル(登録商標))を少量ずつ加え、混合物を1時間攪拌した。1100.4gの得られた混合物を評量して圧力消化容器に入れ、その中で水熱条件下150℃で24時間加熱し、白色粒子を含む褐色がかった白色にきらめく懸濁液を得た。
【0163】
9.1gのアルミン酸ナトリウムを333.6gの水に溶解し、20分間攪拌した。次いで、この溶液を1025.4gの上記の得られた懸濁液に加え、得られた混合物を30分間攪拌した。次いで、ロータリーエバボレータを用いて混合物から333.6gの水を除き、濃縮混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下140℃で48時間加熱して小さな固体粒子を含む褐色がかった白色にきらめく懸濁液を得た。
【0164】
次いで反応生成物を吸引濾過で分離し、3リットルの蒸留水で洗浄した。次いで生成物を120℃で16時間乾燥して、19.7gの白色粉末を得た。
合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表2に示す反射を示した。
【0165】
【表9】

【0166】
【表10】

【0167】
実施例3:層状ケイ酸塩BLS−1の調製
1139.7gのジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド(20.62重量%)水溶液を評量してビーカーに入れ、ここに238.9gの非晶質シリカ(アエロジル(登録商標))を少量ずつ加え、混合物を2時間攪拌して黄色味を帯びた懸濁液を得た。得られた混合物からロータリーエバボレータを用いて188.6gの水を除き、濃縮混合物を1時間攪拌した。172.5gの上記混合物を評量して圧力消化容器に入れ、その中で水熱条件下140℃で208時間加熱した。得られた銀白色にきらめく懸濁液を遠心分離で分離し、蒸留水でpH7まで洗浄し、120℃で24時間乾燥して31.8gの白色粉末を得た。合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表3に示す反射を示した。
【0168】
【表11】

【0169】
【表12】

【0170】
実施例4:層状ケイ酸塩BLS−3の調製
1628.2gのジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド(20.62重量%)水溶液を評量してビーカーに入れ、そこに341.2gの非晶質シリカ(アエロジル(登録商標))を少量ずつ加え、混合物を2時間攪拌して、黄色味を帯びた懸濁液を得た。
【0171】
得られた混合物を圧力消化容器に入れ、24時間静置し、次いで水熱条件下140℃で192時間加熱した。得られた銀白色にきらめく懸濁液は、pHが12.57であった。
【0172】
この固体状反応生成物を吸引式濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで9リットルの蒸留水で、洗液の電気伝導度が105μS/cmとなるまで洗浄した。この生成物を120℃で24時間乾燥して205.0gの白色粉末を得た。
【0173】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表4に示す反射を示した。
【0174】
【表13】

【0175】
【表14】

【0176】
実施例5:クロロトリメチルシランを用いる柱状RUB−36ケイ酸塩の調製
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例1のRUB−36を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.5gのクロロトリメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0177】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0178】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで2.4リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0179】
このようにして得られた生成物を7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成し、2.1gの白色粉末を得た。
【0180】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表5に示す反射を示した。
【0181】
【表15】

【0182】
窒素を用いる測定
実施例7で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0183】
図7bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が499.68m2/gであり、BET表面積が380.50m2/gであった。
【0184】
実施例6:エトキシトリメチルシランを用いる柱状RUB−36ケイ酸塩の調製
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例1のRUB−36を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.5gのエトキシトリメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0185】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0186】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで3リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0187】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.1gの白色粉末を得た。
【0188】
窒素を用いる測定
実施例8で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0189】
このデータの解析の結果、BET表面積は423.4m2/gであり、ラングミュア法での等価表面積が572.8m2/gであった。
【0190】
実施例7:トリエチルシランを用いる柱状RUB−36ケイ酸塩の調製
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例1のRUB−36を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.4gのトリエチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0191】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0192】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで1.2リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0193】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.2gの白色粉末を得た。
【0194】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表6に示す反射を示した。
【0195】
【表16】

【0196】
窒素を用いる測定
実施例9で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
図9bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が502.30m2/gであり、BET表面積が380.53m2/gであった。
【0197】
実施例8:トリエチルクロロシランを用いる柱状RUB−36ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例1のRUB−36を116.4gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.7gのトリエチルクロロシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0198】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0199】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで3リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0200】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.2gの白色粉末を得た。
【0201】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表7に示す反射を示した。
【0202】
【表17】

【0203】
窒素を用いる測定
実施例10で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0204】
このデータの解析の結果、BET表面積は384.4m2/gであり、ラングミュア法での等価表面積が521.7m2/gであった。
【0205】
実施例9:ジクロロジメチルシランを用いる柱状RUB−36ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例1のRUB−36を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.6gのジクロロジメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0206】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0207】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで3リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0208】
このようにして得られた生成物を、1℃/分の速度で500℃まで加熱し、その温度で12時間維持して焼成して2.3gの白色粉末を得た。
【0209】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表8に示す反射を示した。
【0210】
【表18】

【0211】
窒素を用いる測定
実施例11で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
図11bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が458.96m2/gであり、BET表面積が380.58m2/gであった。
【0212】
実施例10:ヘキサメチルジシランを用いる柱状RUB−36ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例1のRUB−36を116.4gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.7gのヘキサメチルジシランを加え、溶液を15分間攪拌した。この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで1リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.1gの白色粉末を得た。
【0213】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表9に示す反射を示した。
【0214】
【表19】

【0215】
窒素を用いる測定
実施例12で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0216】
図12bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が554.84m2/gであり、BET表面積が419.74m2/gであった。
【0217】
実施例11:ジクロロジメチルシランを用いる柱状RUB−39ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例2のRUB−39を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.6gのジクロロジメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで2リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。このようにして得られた生成物の一部(3.2g)を、1時間で120℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成し、1.2gの白色粉末を得た。この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表10に示す反射を示した。
【0218】
【表20】

【0219】
上述の生成物(3.5g)の残りを、1時間で120℃に加熱し、その温度で15時間維持し、次いで7時間で500℃に加熱し、その温度に15時間維持して焼成して1.3gの白色粉末を得た。
【0220】
焼成後の合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表11に示す反射を示した。
【0221】
【表21】

【0222】
実施例12:ジクロロジメチルシランを用いる柱状BLS−1ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例5のBLS−1を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.6gのジクロロジメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで2リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.0gの白色粉末を得た。
【0223】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表12に示す反射を示した。
【0224】
【表22】

【0225】
窒素を用いる測定
実施例14で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0226】
図14bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が373.11m2/gであり、BET表面積が282.97m2/gであった。
【0227】
実施例13:クロロトリエチルシランを用いる柱状BLS−1ケイ酸塩の調整
50.1gの1M塩酸と2.8gの実施例5のBLS−1を116.4gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.7gのクロロトリエチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0228】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、ペースト状の白色固体を含む溶液を得た。
【0229】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで2リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0230】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.0gの白色粉末を得た。
【0231】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表13に示す反射を示した。
【0232】
【表23】

【0233】
窒素を用いる測定
実施例15で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0234】
図15bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が452.69m2/gであり、BET表面積が344.53m2/gであった。
【0235】
実施例14:トリエチルシランを用いる柱状BLS−1ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例5のBLS−1を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.4gのトリエチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0236】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色個体を含む溶液を得た。
【0237】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで2リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0238】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して1.9gの白色粉末を得た。
【0239】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表14に示す反射を示した。
【0240】
【表24】

【0241】
窒素を用いる測定
実施例16で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0242】
図16bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が369.67m2/gであり、BET表面積が278.29m2/gであった。
【0243】
実施例15:クロロトリメチルシランを用いる柱状BLS−1ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例5のBLS−1を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.5gのクロロトリメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0244】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0245】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで3リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0246】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.1gの白色粉末を得た。
【0247】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表15に示す反射を示した。
【0248】
【表25】

【0249】
実施例16:エトキシトリメチルシランを用いる柱状BLS−1ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例5のBLS−1を116.5gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.5gのエトキシトリメチルシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0250】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0251】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで3リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0252】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成して2.2gの白色粉末を得た。
【0253】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表16に示す反射を示した。
【0254】
【表26】

【0255】
実施例17:ヘキサメチルジシランを用いる柱状BLS−1ケイ酸塩の調整
50.2gの1M塩酸と2.8gの実施例5のBLS−1を116.4gの蒸留水に加え、得られた混合液を5分間攪拌した。次いで0.7gのヘキサメチルジシランを加え、溶液を15分間攪拌した。
【0256】
この混合物を圧力消化容器に移し、その中で水熱条件下170℃で24時間加熱して、白色沈殿物を含む透明な溶液を得た。
【0257】
この固体反応生成物を吸引濾過で分離し、まず濾液で洗浄し、次いで2リットルの蒸留水で洗液がpH=7となるまで洗浄した。この生成物を1時間で120℃にまで加熱し、その温度で15時間維持した。
【0258】
このようにして得られた生成物を、7時間で500℃まで加熱し、その温度で15時間維持して焼成し、2.0gの白色粉末を得た。
【0259】
この合成生成物は、そのX線回折パターン(Cu Kα1)中に表17に示す反射を示した。
【0260】
【表27】

【0261】
窒素を用いる測定
実施例19で得られたテクトケイ酸塩(約40mg)の新たに焼成した粉末状試料を評量し、120℃で約10-6MPaの減圧下で一夜脱気した。測定は、77Kの窒素を用いて、容量式吸着装置(オートソルブAS−6、クアンタクロム社製)で行った。
【0262】
図19bは、得られた等温線を示す。微孔固体に特徴的なI型吸着等温線の階段状の曲線であることが明白である(DIN66135を参照)。このデータの解析の結果、ラングミュア法での等価表面積が410.20m2/gであり、BET表面積が309.40m2/gであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも一種の層状ケイ酸塩を供給する工程、
(2)上記層状ケイ酸塩を水および少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物:
4-mSi[−(SiR2n−R]m (I)
(式中、
mは、1、2、3または4であり、
nは、0以上の整数であり、
式中、nが0の時、少なくとも一つの基Rが脱離基であり、
式中、いずれの基RもSiを含まない)と混合する工程を含むケイ酸塩化合物の製造方法。
【請求項2】
さらに、
(3)(2)で得られた混合物を水熱条件に付す工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脱離基が、工程(2)及び/又は(3)の過程で、前記少なくとも一種のケイ素含有化合物から解離する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Rが、相互に独立して、C1〜C5アルキル基と脱離基とからなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一種の層状ケイ酸塩が、RUB−15とRUB−36、RUB−39、BLS−1、BLS−3からなる群から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物が、ジクロロジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、ヘキサメチルジシランからなる群から選ばれ、より好ましくはジクロロジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ヘキサメチルジシランからなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
nが0の時、基Rの一つのみが脱離基である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
nが1以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
mが1である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも一種の層状ケイ酸塩が、同形置換され、好ましくはAl、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、およびこれらの二つ以上の混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素で同形置換されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(2)で得られる混合物中で、層状ケイ酸塩と水の重量比(層状ケイ酸塩:水)が、1:(20〜80)の範囲、好ましくは1:(30〜75)、より好ましくは1:(40〜70)、より好ましくは1:(50〜65)、最も好ましくは1:(55〜65)の範囲である請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(2)で得られる混合物中で、前記少なくとも一種の式(I)のケイ素含有化合物中のケイ素と水のモル比(ケイ素:水)が、1:(500〜3000)の範囲、好ましくは1:(800〜2800)、より好ましくは1:(1500〜2500)、より好ましくは1:(1800〜2200)の範囲である請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(3)の水熱処理に付される混合物のpHが、0.1〜5の範囲に、好ましくは0.2〜3、より好ましくは0.5〜2の範囲に調整されている請求項2及び請求項2に従属する請求項3〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(3)での水熱処理が、120〜200℃の温度範囲で、好ましくは130〜195℃、より好ましくは140〜190℃の温度範囲で行われる請求項2及び請求項2に従属する請求項3〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(3)での水熱処理の温度が、1時間〜48時間、好ましくは2時間〜36時間、より好ましくは5時間〜24時間維持される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
(4)(3)で得られた懸濁液から柱状化ケイ酸塩を分離する工程、
(5)濾過により(4)で得られた柱状化ケイ酸塩を洗浄し、
該洗浄が、好ましくは
(a)分離された柱状化ケイ酸塩を、少なくとも1回、好ましくは1回、(4)で得られた濾液で洗浄する工程、
(b)(a)で得られた柱状材料を、少なくとも1回、少なくとも一種の上記濾液以外の適当な洗浄剤、好ましくは水で洗浄する工程、を含む工程、
(6)必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された柱状化ケイ酸塩を乾燥し、
該乾燥が、80〜150℃の範囲の温度で、好ましくは100〜140℃の範囲の温度で行われる工程を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
さらに、
(7)上記必要に応じて分離された及び/又は必要に応じて洗浄された及び/又は乾燥された、工程(2)または(3)または(4)または(5)または(6)で得られる生成物を焼成し、
該焼成が、450〜700℃の範囲の温度で、好ましくは500〜650℃の範囲の温度で行われる工程を含む請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
回折試験においてCu K(α1)波長を用いた場合、極大ピーク(100%強度)を、2θ回折角で7.20〜8.00°の範囲、好ましくは7.50〜7.70、より好ましくは7.55〜7.65、より好ましくは7.58〜7.62の範囲にもつエックス線粉末回折パターンを示す請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法で得られるケイ酸塩化合物。
【請求項19】
そのエックス線粉末回折パターンが、回折試験にCu K(α1)波長を用いた場合、極大ピーク(100%強度)を、2θ回折角で7.20〜8.00°の範囲、好ましくは7.50〜7.70、より好ましくは7.55〜7.65、より好ましくは7.58〜7.62の範囲にもつ請求項18に記載のケイ酸塩。
【請求項20】
少なくとも以下の他の反射を含むX線回折パターンをもつケイ酸塩:

【表1】

表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【請求項21】
DIN66135に準じて求めたBET表面積が200〜600m2/gの範囲、好ましくは300〜500m2/g、より好ましくは340〜440m2/gの範囲にある請求項20に記載のケイ酸塩。
【請求項22】
少なくとも以下の他の反射を含むX線回折パターンをもつケイ酸塩:
【表2】

表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【請求項23】
DIN66135に準じて求めたBET表面積が150〜600m2/gの範囲、好ましくは200〜400m2/g、より好ましくは260〜360m2/gの範囲にある請求項22に記載のケイ酸塩。
【請求項24】
少なくとも以下の他の反射を含むX線回折パターンをもつケイ酸塩:
【表3】

表中、100%は、X線回折パターン中の最大のピークの強度である。
【請求項25】
DIN66135に準じて求めたBET表面積が150〜600m2/gの範囲、好ましくは250〜400m2/g、より好ましくは270〜360m2/gの範囲にある請項24に記載のケイ酸塩。
【請求項26】
成型物中に含まれている請求項18〜25のいずれか一項に記載のケイ酸塩。
【請求項27】
請求項18〜26のいずれか一項に記載のケイ酸塩を、モレキュラーシーブ、触媒、触媒成分、触媒支持体またはそのバインダーとして、吸着剤として、イオン交換用に、セラミックスの生産用に、ポリマー中で使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【公表番号】特表2012−519637(P2012−519637A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552431(P2011−552431)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052695
【国際公開番号】WO2010/100191
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】