説明

柱状改良杭の杭芯管理方法

【課題】柱状改良杭の天端部を掘り起こして均した天端面に、打設された柱状改良杭の実際の中心位置を正確にマーキングできるようにして、柱状改良杭の打設位置を精度良く管理できる柱状改良杭の杭芯管理方法を提供する。
【解決手段】切削攪拌ロッド11を切削孔14から引き抜いたら、切削ビット12を切削孔14の直上部分に配置した状態で、切削攪拌ロッド11の中心部11aに当てた定規部材16を介して中心部11aの逃げポイント20a,20bを切削孔14の両側の地盤面15に一対取っておき、柱状改良杭10の天端面10aを均しモルタル17で均した後に、天端面10aに逃げポイント20a,20bから復元した切削攪拌ロッド11の中心部11aをマーキングし、周囲の基準点から柱状改良杭10の設計中心位置19を均した天端面10aに落としてマーキングの位置と比較することにより、柱状改良杭10の施工精度を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状改良杭の杭芯管理方法に関し、特に、切削攪拌ロッドを用いて切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合することにより形成される柱状改良杭の打設位置を管理するための柱状改良杭の杭芯管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントミルク等の固化材を切削土砂と地中で攪拌混合することにより柱状改良杭を形成する湿式柱状改良工法は、切削ビット及び攪拌ビットを先端部分に備える切削攪拌ロッドを用いて、切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合することにより、例えば500〜600mm程度の直径の柱状改良杭を形成する工法である(例えば、特許文献1参照)。このような湿式柱状改良工法によれば、住宅建築部等の建物の基礎地盤を補強したり、建物を支持する基礎杭として、複数本の柱状改良杭を、狭い敷地においても簡易に且つ効率良く形成することが可能である。
【0003】
また、湿式柱状改良工法によって形成される柱状改良杭は、予め設計された所定の位置にできるだけ精度良く打設して、その機能を効果的に発揮できるようにする必要があるが、例えば転石や地盤の硬軟等の影響を受けて、切削の開始時にセットした設計中心位置からその中心位置がずれて打設される場合がある。このため、柱状改良杭の打設位置を適切に管理して、例えば設計上の中心位置からその杭芯が100mm程度以上ずれて打設された場合には、施工管理者は、柱状改良杭を打設し直したり、別途補強工事を行うといった判断を下すことになる。
【0004】
一方、湿式柱状改良工法では、切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合しつつ切削攪拌ロッドを切削孔から引き抜いた直後は、切削孔の周囲の地盤面は、切削土砂や泥土等によって乱れた状態となっており、また形成された柱状改良杭の天端部は地盤面よりも低く打ち止めされているため、その正確な位置を目視によって判別することは困難である。したがって、柱状改良杭の打設位置を管理するには、一般に、一連の柱状改良杭の施工が終了した後に、好ましくは切削孔の周囲の地盤面の整地を行うと共に、柱状改良杭の天端部を掘り起こし、これの天端面を例えば均しモルタル等を用いて均した後に、均した天端面の中心位置を柱状改良杭の杭芯としてマーキングし、さらに均した天端面に周囲の基準点から柱状改良杭の設計中心位置を落としてマーキングの位置と比較することにより、打設された柱状改良杭の施工精度を確認する方法が採用されていた。
【特許文献1】特開2000−8398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の柱状改良杭の打設位置を管理する方法では、柱状改良杭の天端部を掘り起こした後に均しモルタル等によって均した天端面の中心位置は、当該均した天端面の形状が、柱状改良杭の天端部の輪郭を必ずしも正確に反映するのもではないことから、柱状改良杭の打設位置を精度良く管理できる方法であるとは言い難かった。
【0006】
すなわち、掘り起こした柱状改良杭の天端部の輪郭は、目視によって把握し難いものであると共に、例えば柱状改良杭の天端部の周囲の孔壁が崩れていた場合には、均しモルタル等による天端面は、大きく仕上がったり、崩れた側に偏って仕上がることになるため、打設された柱状改良杭の実際の中心位置と均した天端面の中心位置とがずれていることになる。したがって、均した天端面の中心位置と天端面に落とされた柱状改良杭の設計中心位置との間の変位を測定しても、打設された柱状改良杭の実際の中心位置と設計中心位置との間の変位が正確に測定されないことになる。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、柱状改良杭の天端部を掘り起こして均した天端面に、打設された柱状改良杭の実際の中心位置を正確にマーキングできるようにして、柱状改良杭の打設位置を精度良く管理することのできる柱状改良杭の杭芯管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、切削ビット及び攪拌ビットを先端部分に備える切削攪拌ロッドを用いて、切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合することにより柱状改良杭を形成する湿式柱状改良工法において、前記柱状改良杭の打設位置を管理するための杭芯管理方法であって、切削土砂と固化材とを攪拌混合して前記切削攪拌ロッドを切削孔から引き抜いたら、前記切削ビットを切削孔の直上部分に配置した状態で、前記切削攪拌ロッドの中心部に当てた定規部材を介して該中心部の逃げポイントを前記切削孔を挟んだ両側の地盤面に少なくとも一対取っておき、例えば周囲の地盤面を整地すると共に前記柱状改良杭の天端面を均した後に、該均した天端面に前記逃げポイントから復元した前記切削攪拌ロッドの中心部の位置をマーキングし、周囲の基準点から前記柱状改良杭の設計中心位置を前記均した天端面に落として前記マーキングの位置と比較することにより、打設された前記柱状改良杭の施工精度を管理する柱状改良杭の杭芯管理方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
そして、本発明の柱状改良杭の杭芯管理方法によれば、前記切削攪拌ロッドの中心部の逃げポイントを取る際に、前記定規部材に沿った前記逃げポイントと前記切削攪拌ロッドの中心部との間の距離を定めておき、前記切削攪拌ロッドの中心部の位置を前記均した天端面に復元する際に、前記逃げポイントに当てた前記定規部材における前記逃げポイントから前記定められた距離の位置を前記攪拌ビットの中心部の位置とすることが好ましい。
【0010】
また、本発明の柱状改良杭の杭芯管理方法によれば、前記定規部材における前記切削攪拌ロッドの中心部の位置を、下げ振りを介して前記均した天端面に落として前記切削攪拌ロッドの中心部の位置をマーキングすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の柱状改良杭の杭芯管理方法によれば、柱状改良杭の天端部を掘り起こして均した天端面に、打設された柱状改良杭の実際の中心位置を正確にマーキングできるようにして、柱状改良杭の打設位置を精度良く管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図7に示す本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法は、例えば住宅建築物等の建物の基礎地盤に、当該基礎地盤を補強すると共に建物を支持する基礎杭として、複数の柱状改良杭10を地中に打設して形成する際に(図7参照)、打設された柱状改良杭10が、予め設計された所定の打設位置がらどの程度偏心して形成されたかを精度良く管理できるようにするための方法として採用されたものである。
【0013】
すなわち、湿式柱状改良工法では、切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合しつつ切削攪拌ロッド11を切削孔から引き抜いた直後は、切削孔の周囲の地盤面15は、切削土砂や泥土等によって乱れた状態となっており、また形成された柱状改良杭10の天端部は地盤面15よりも低く打ち止めされているため、その正確な位置を目視によって判別することは困難である(図1〜図3参照)。さらに、一連の柱状改良杭10の施工が終了した後に、切削孔の周囲の地盤面15の整地を行うと共に、柱状改良杭10の天端部を掘り起こし、これの天端面10aを例えば均しモルタル等を用いて均しても、均した天端面10aの中心位置は、打設した柱状改良杭10の実際の中心位置を必ずしも正確に反映するのもではない。このようなことから、本実施形態の杭芯管理方法は、均した天端面10aに、打設された柱状改良杭10の実際の中心位置を、正確にマーキングできるようにするために採用されたものである(図4〜図6参照)。
【0014】
そして、本実施形態の柱状改良杭の杭芯管理方法は、図1に示すように、切削ビット12及び攪拌ビット13を先端部分に備える切削攪拌ロッド11を用いて、切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合することにより柱状改良杭10を形成する湿式柱状改良工法において、柱状改良杭10の打設位置を管理するための杭芯管理方法であって、図2及び図3に示すように、切削土砂と固化材とを攪拌混合して切削攪拌ロッド11を切削孔14から引き抜いたら、切削ビット12を切削孔14の直上部分に配置した状態で、切削攪拌ロッド11の中心部11aに当てた定規部材16を介してこの中心部11aの逃げポイント20a,20bを切削孔14を挟んだ両側の地盤面15に少なくとも一対(本実施形態では一対)取っておき、図4〜図6に示すように、周囲の地盤面15を整地すると共に柱状改良杭10の天端面10aを均しモルタル17等を用いて均した後に、この均した天端面10aに逃げポイント20a,20bから復元した切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置をマーキングし、図7に示すように、周囲の基準点から柱状改良杭10の設計中心位置19を均した天端面10aに落としてマーキングの位置と比較することにより、打設された柱状改良杭10の施工精度を管理するようになっている。
【0015】
本実施形態では、切削攪拌ロッド11は、湿式柱状改良工法用の切削攪拌ロッドとして公知のものであり、鋼製パイプ状の主ロッド21の先端部分(下端部分)に、切削ビット12、攪拌ビット13、回転翼22等が取り付けられている共に、例えばセメントミルク等の固化材を圧送して噴射するための圧送パイプや噴射ノズル等を備えている。切削攪拌ロッド11は、例えば圧入打設用の重機に取り付けて用いられ、圧入打設用の重機からの操作により、回転しながら所定の深さまで地中に圧入された後に引き上げられて、切削ビット12で切削した土砂と噴射した固化材とを攪拌ビット12によって攪拌混合することにより、例えば500〜600mm程度の杭径の柱状改良杭10を地中に形成する。
【0016】
切削攪拌ロッド11を用いて柱状改良杭10を地中に形成するには、まず図1に示すように、周囲に設けた基準点を基準に測量して施工前の地盤面15にカラースプレー等を用いて印を付けた柱状改良杭10の設計中心位置19に、先端の中心部11aを位置合わせして、切削攪拌ロッド11を地中に向けて建て込む。しかる後に、切削攪拌ロッド11を回転駆動すると共に、噴射ノズルからセメントミルク等の固化材を噴射しつつ、切削攪拌ロッド13を例えば1〜10m程度の予め定められた所定の深さまで圧入する(図2参照)。切削攪拌ロッド11を所定の深さまで圧入したら、切削攪拌ロッド11を回転しつつ引き上げることによって、切削した土砂と固化材とが攪拌混合されて、硬化後に固結体となる柱状改良杭10が地中に打設形成されることになる。
【0017】
このようにして柱状改良杭10を地中に打設形成する作業中に、切削攪拌ロッド11は、例えば転石や地盤の硬軟等の影響を受けて位置ずれすることにより、形成された柱状改良杭10もまた、その中心位置が切削の開始時にセットした設計中心位置19からずれた状態で形成される場合がある。本実施形態では、後述する方法によって、打設された柱状改良杭10の実際の中心位置を均した天端面10aに正確に復元して、柱状改良杭10が予め設計された所定の打設位置がらどの程度偏心して形成されたかを精度良く管理できるようにする。
【0018】
すなわち、本実施形態では、図3に示すように、切削攪拌ロッド11を切削孔14から引き抜いたら、切削ビット12を切削孔14の直上部分に配置した状態で、切削攪拌ロッド11の下端の中心部11aに当てた定規部材16を介して、この中心部11aの逃げポイント20a,20bを切削孔14を挟んだ両側の地盤面15に一対取っておく。ここで、定規部材16としては、例えば一般の測量作業に用いるスタッフを用いることができる。例えばスタッフ16の目盛りが書かれた側の側縁部を切削攪拌ロッド11の下端の中心部11aに当てた状態で、切削孔14の縁部から例えば20〜30cm程度離れた位置において、スタッフ16の基端が位置する地盤面15に、例えば上端に位置探し用線条部材23としてワイヤーや紐等が取り付けられたアンカー棒24を逃げ釘として打ち込むことにより、一方の逃げポイント20aとする。また、切削孔14を挟んだスタッフ16の基端とは反対側の位置の地盤面15に、同様に例えば上端に位置探し用線条部材23が取り付けられたアンカー棒24を逃げ釘として打ち込むことにより、他方の逃げポイント20aとする。
【0019】
ここで、アンカー棒24の上端に位置探し用線条部材23を取り付けておくことにより、切削孔14の周囲の地盤面15を整地した後に、アンカー棒24による逃げポイント20a,20bを容易に探し出すことが可能になる。また、スタッフ16の基端に一方の逃げポイント20aを取る際に、当該逃げポイント20aからスタッフ16を当てた切削攪拌ロッド11の中心部11aまでの距離を読んでおき、この距離を逃げポイント20aと切削攪拌ロッド11の中心部11aとの間の定められた距離として、切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を柱状改良杭10の均した天端面10aに復元することもできる。さらに、例えばスタッフ16の目盛りが書かれた側の側縁部の、例えば500mmの目盛り位置を、切削攪拌ロッド11の中心部11aを当てる位置として当該中心部11aを当てた状態で、スタッフ16の基端や基端とは反対側の位置の地盤面15に、逃げポイント20a,20bを取ることもできる。
【0020】
切削孔14を挟んだ両側の地盤面15に逃げポイント20a,20bを取ったら、切削孔14の周囲の地盤面15を整地すると共に、柱状改良杭10の天端面10aを掘り起して、掘り起した天端面10aを例えば均しモルタルを用いて均す作業を行う。これらの作業は、従来の方法と同様にして容易に行うことができる。
【0021】
掘り起した柱状改良杭10の天端面10aを均したら、図4に示すように、均した天端面10aに切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を復元する。均した天端面10aに切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を復元するには、例えば整地された切削孔14の周囲の地盤面15から位置探し用線条部材23を介してアンカー棒24による逃げポイント20a,20bを探し出すと共に、これらの逃げポイント20a,20bにスタッフ16の側縁部を当てて、スタッフ16の基端から予め読んでおいた定められた距離のところを切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置とする。さらに、この位置から、例えば下げ振り25を介して均した天端面10aに中心部11aの位置を落として例えば鉛筆によってマーキングすることによって、当該中心部11aの位置を天端面10aに容易に復元することできる。
【0022】
また、本実施形態では、図5に示すように、例えばマーキング用テンプレート26を用いることによって、鉛筆によって施されたマーキングから、視認が容易なように、柱状改良杭10の均した天端面10aにカラースプレー等による本マーキング18を施すようになっている。本実施形態では、マーキング用テンプレート26は、例えば直径が500〜600mm程度、厚さが3mm程度の塩化ビニル、アクリル等からなる円形のプレート部材であって、その中央には、十字形状に切り込まれた、例えば幅が10mm程度、中心からの長さが100mm程度の切り込み27が形成されている。
【0023】
そして、この切り込み27の中心を、柱状改良杭10の天端面10aの鉛筆によるマーキングに位置合わせしつつ、マーキング用テンプレート26を柱状改良杭10の天端面10aに載置した後に、切り込み27に向けて例えばカラースプレーを吹き付ける。これによって、図6に示すように、視認しやすい適度な太さを備えると共に、ゆがみのない本マーキング18が柱状改良杭10の天端面10に表示されるので、この本マーキング18によって、柱状改良杭10の中心位置を正確に反映する切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を、柱状改良杭10の均した天端面10aに容易に明示することが可能になる。また、柱状改良杭10の杭径と同じ直径のマーキング用テンプレート26を用いることにより、柱状改良杭10の天端部の出来形(杭径)を管理することも可能になる。
【0024】
このようにして、切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を、柱状改良杭10の均した天端面10aに明示したら、図7に示すように、周囲の基準点から柱状改良杭10の設計中心位置19を均した天端面10aに落として本マーキング18の位置と比較することにより、打設された柱状改良杭10の施工精度を管理する。
【0025】
そして、本実施形態の柱状改良杭の杭芯管理方法によれば、柱状改良杭11の天端部を掘り起こして均した天端面10aに、打設された柱状改良杭10の実際の中心位置を正確にマーキングできるようにして、柱状改良杭10の打設位置を精度良く管理することが可能になる。
【0026】
すなわち、本実施形態によれば、切削孔14から引き抜いた直後の切削ビット12を、切削孔14の直上部分に配置した状態で、切削攪拌ロッド11の中心部11aに当てた定規部材16を介して逃げポイント20a,20bを切削孔14の両側の地盤面15に取っておき、柱状改良杭10の天端面10aを均した後に、この均した天端面10aに逃げポイント20a,20bから復元した切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置をマーキングし、周囲の基準点から天端面10aに落とした柱状改良杭10の設計中心位置19と比較することにより、柱状改良杭10の施工精度を管理するので、柱状改良杭10の中心位置を正確に反映する切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を、柱状改良杭10の均した天端面10aに精度良く復元して、打設された柱状改良杭10の設計中心位置19からの位置ずれを精度良く管理することが可能になる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、攪拌ビットの中心部の逃げポイントを取る際に逃げポイントと切削攪拌ロッドの中心部との間の距離を定めておき、切削攪拌ロッドの中心部の位置を復元する際に、逃げポイントから定められた距離の位置を攪拌ビットの中心部とする必要は必ずしもなく、例えば切削攪拌ロッドの中心部の逃げポイントを交差する方向に2対以上とっておき、各一対の逃げポイントを結んだ線の交点を切削攪拌ロッドの中心部として、柱状改良杭10の天端面10aに復元することもできる。
【0028】
また、切削孔の直上部分に配置した切削攪拌ロッドの中心部に当てて逃げポイントを取るための定規部材として、図8(a),(b)に示すような専用の定規部材30を用いることもできる。図8(a),(b)に示す定規部材30は、上述のマーキング用テンプレート26に、当該マーキング用テンプレート26の裏面側に取り付けた支持枠31を介して、径方向外方に延設する一対のスタッフ部32を着脱可能に装着したものである。図8(a),(b)に示す定規部材30によれば、マーキング用テンプレート26の切り込み27の中心を切削攪拌ロッド11の中心部11aに当てた状態で、スタッフ部32を介して逃げポイント20a,20bを容易に取ることができる。また、切削攪拌ロッド11の中心部11aを柱状改良杭10の均した天端面10aに復元する際には、下げ振り25の上端に取り付けた係止棒33を切り込み27の下方から挿入してマーキング用テンプレート26の上面に係止することにより、切削攪拌ロッド11の中心部11aの位置を柱状改良杭10の均した天端面10aに落とすことができる。さらに、例えばマーキング用テンプレート26からスタッフ部32を取り外し、当該マーキング用テンプレート26を用いてカラースプレーによる本マーキング18を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図4】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図5】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図6】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図7】本発明の好ましい一実施形態に係る柱状改良杭の杭芯管理方法の一作業工程を説明する斜視図である。
【図8】(a)は定規部材の他の形態を例示する斜視図、(b)は裏面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 柱状改良杭
10a 柱状改良杭の均した天端面
11 切削攪拌ロッド
11a 切削攪拌ロッドの中心部
12 切削ビット
13 攪拌ビット
14 切削孔
15 地盤面
16 定規部材(スタッフ)
17 均しモルタル
18 本マーキング(切削攪拌ロッドの中心部の位置のマーキング)
19 柱状改良杭の設計中心位置
20a,20b 逃げポイント
23 位置探し用線条部材
24 アンカー棒
25 下げ振り
26 マーキング用テンプレート
27 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削ビット及び攪拌ビットを先端部分に備える切削攪拌ロッドを用いて、切削土砂と固化材とを地中で攪拌混合することにより柱状改良杭を形成する湿式柱状改良工法において、前記柱状改良杭の打設位置を管理するための杭芯管理方法であって、
切削土砂と固化材とを攪拌混合して前記切削攪拌ロッドを切削孔から引き抜いたら、前記切削ビットを切削孔の直上部分に配置した状態で、前記切削攪拌ロッドの中心部に当てた定規部材を介して該中心部の逃げポイントを前記切削孔を挟んだ両側の地盤面に少なくとも一対取っておき、前記柱状改良杭の天端面を均した後に、該均した天端面に前記逃げポイントから復元した前記攪拌ビットの中心部の位置をマーキングし、周囲の基準点から前記柱状改良杭の設計中心位置を前記均した天端面に落として前記マーキングの位置と比較することにより、打設された前記柱状改良杭の施工精度を管理する柱状改良杭の杭芯管理方法。
【請求項2】
前記攪拌ビットの中心部の逃げポイントを取る際に、前記定規部材に沿った前記逃げポイントと前記切削攪拌ロッドの中心部との間の距離を定めておき、前記切削攪拌ロッドの中心部の位置を前記均した天端面に復元する際に、前記逃げポイントに当てた前記定規部材における前記逃げポイントから前記定められた距離の位置を前記攪拌ビットの中心部の位置とする請求項1に記載の柱状改良杭の杭芯管理方法。
【請求項3】
前記定規部材における前記切削攪拌ロッドの中心部の位置を、下げ振りを介して前記均した天端面に落として前記切削攪拌ロッドの中心部の位置をマーキングする請求項1又は2に記載の柱状改良杭の杭芯管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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