柱状構造物の切断装置
【課題】 構造を簡単にし、設置が容易となるとともに故障の発生を減少できる。
【解決手段】 切断装置1は、エンドレスのワイヤーソー4と、ワイヤーソー4に走行動力を与えるためのワイヤーソー駆動手段5と、ワイヤーソー4に張力を与えるためのワイヤーソー緊張手段6と、ワイヤーソー4を既存杭2に当接させて走行可能に支持するワイヤーソー案内手段8を備えた支持フレーム7とを構成している。支持フレーム7は、既存杭2の外周を囲うように設置され、ワイヤーソー駆動手段5とワイヤーソー緊張手段6とを搭載している。
【解決手段】 切断装置1は、エンドレスのワイヤーソー4と、ワイヤーソー4に走行動力を与えるためのワイヤーソー駆動手段5と、ワイヤーソー4に張力を与えるためのワイヤーソー緊張手段6と、ワイヤーソー4を既存杭2に当接させて走行可能に支持するワイヤーソー案内手段8を備えた支持フレーム7とを構成している。支持フレーム7は、既存杭2の外周を囲うように設置され、ワイヤーソー駆動手段5とワイヤーソー緊張手段6とを搭載している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば既存杭の一部を切断して撤去する際に使用される柱状構造物の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されている既存杭を切断して撤去する工法として、人力に依存する撤去工法に比べて既存杭周りの掘削量を低減できるなどの理由から、ワイヤーソーを備えた切断装置を用いる工法が採用されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。
この切断装置を使用した既存杭の撤去方法は、先ず既存杭より大きい内径をなす円筒形状のケーシングを、既存杭とほぼ同軸にして切断位置に対応する地中の所定深度まで圧入して、既存杭の周囲に空間を設けるとともに土留めを行う。そして、切断装置に備えられた無端状のワイヤーソーの動力源となる駆動装置が地上に設けられている。そして、この駆動装置によって水平方向に走行するワイヤーソーは、既存杭の上方位置でプーリーなどの案内手段によって上下方向に方向転換されて既存杭の切断位置まで延長され、この切断位置で水平方向に既存杭の外周に巻きつけられている。そして、ワイヤーソーを既存杭に押圧させながら水平移動させて、既存杭を切断していた。
【特許文献1】特開2001−262570号公報
【特許文献2】特開2003−155746号公報
【非特許文献1】目時、竹石、目黒、「既存杭の水平切断に関する一考察」、土木学会年次学術講演会講演概要集第6部、社団法人土木学会、2002年、57巻、p.707〜708
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような従来のワイヤーソーを備えた切断装置では、地上などに設置されたワイヤーソーの駆動装置と既存杭の切断位置との距離が離れているため、その間にワイヤーソーが連続して配設された複雑な構造となっている。このため、ワイヤーソーの位置の調整など設置作業に時間がかかり、工期が遅延するという問題があった。
また、この切断装置では、ワイヤーソーの長さが長くなるため、ワイヤーソーが走行時にぶれて、プーリーなどの案内手段から外れるなど故障し易いという欠点があった。しかも、このような故障が発生した場合には、切断装置が複雑な構造であることから修理して再開するまでに時間がかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、構造を簡単にし、設置が容易となるとともに故障の発生を減少できる柱状構造物の切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る柱状構造物の切断装置では、ワイヤーソーを走行させて既存杭を切断する切断装置において、ワイヤーソーに走行動力を与えるための駆動手段と、ワイヤーソーに張力を与えるための緊張手段と、駆動手段及び緊張手段を搭載すると共に、ワイヤーソーを既存杭に当接させて走行可能に支持する案内手段を備えた支持架台とを備え、支持架台は、ワイヤーソーと既存杭とが当接する切断位置で、既存杭を囲むように中空状に形成されていることを特徴としている。
本発明では、既存杭の切断部を有する支持架台に、ワイヤーソーを走行駆動させる駆動手段が搭載されている構造であるため、従来のようにワイヤーソーの駆動手段が支持架台から離れておらず、ワイヤーソーの必要長さを短縮化することができ、切断装置の構造の簡易化が図れる。このため、切断装置の設置或いは搬出作業を簡略化でき、これにともなう設置、搬出時間の短縮を図ることができる。
また、切断装置がこのような構造であるため、従来の構造と比較すると、ワイヤーソーの長さが短いために、走行時のぶれが小さくなり、ワイヤーソーが例えばプーリーなどの案内手段から外れたり、切れるなどの故障を減少できる。そして、このようなワイヤーソーの故障が発生した場合には、切断装置の構造が簡易であることから、短時間で修理ができ復旧することができる。
【0006】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置では、吊り手段によって支持架台が吊下げられて、既存杭の切断位置に設置されることが好ましい。
本発明では、吊り手段を使用して切断装置の設置、搬出作業を簡略化することができ、切断装置の設置、搬出にかかわる作業時間を短縮できる。
【0007】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置は、支持架台には、支持架台の外方に固定することができる固定手段が設けられていることが好ましい。
本発明では、支持架台に備えられている固定手段によって、容易に切断装置を既存杭の切断位置に固定することができる。
【0008】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置は、ワイヤーソーによって切断される前記既存杭の切断溝に押し込まれる突出部材が設けられていることが好ましい。
本発明では、例えば既存杭の切断中において、ワイヤーソーによって形成されている切断溝に突出部材が押し込まれることによって、自重で既存杭の切断部分が変形してワイヤーソーが切断溝に挟まれて噛み込んでしまうことを防止できる。
【0009】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置は、ワイヤーソーと既存杭との間に配置され、ワイヤーソーによって切削可能で、少なくとも既存杭より切削抵抗が小さい薄板部材からなる抵抗低減部材が設けられていることが好ましい。
本発明では、切削始動時において走行が開始したワイヤーソーは、既存杭より先に抵抗低減部材に当接し、表面を滑りながら切削することになる。抵抗低減部材は既存杭よりも切削抵抗が小さい材質であるため、ワイヤーソーは接触負荷を小さくして滑らかに走行することができる。したがって、ワイヤーソーを駆動させる駆動プーリーは、過度な負荷がかかることがないため、空転を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の柱状構造物の切断装置によれば、既存杭の切断部を有する支持架台に、ワイヤーソーの駆動手段と案内手段とが搭載されている構造であるため、ワイヤーソーの必要長さを短縮化することができ、切断装置の構造の簡易化が図れる。このため、切断装置の設置或いは搬出作業を簡略化でき、これにともなう設置、搬出時間の短縮を図ることができる。また、切断装置のワイヤーソーの長さが短いために、走行時のぶれが小さくなり、ワイヤーソーが例えばプーリーなどの案内手段から外れたり、切れるなどの故障を減少できる。
さらに、切断装置のワイヤーソーが短くなってコンパクトで簡易な構造となるため、切断装置のコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1は実施の形態による切断装置を示す正面図、図2は図1に示す切断装置の切断前の水平断面図、図3は図1に示す切断装置の切断過程の水平断面図、図4は切断装置のワイヤーソー緊張手段を示す側面図、図5は既存杭の切断完了時の切断装置の状態を説明するための説明図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図、図6は突出部材の設置状態を説明するための説明図、図7は切断装置を用いた既存杭撤去の作業状態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその立面図、図8は本実施の形態による既存杭の切断状態の構成を示す説明図である。
【0012】
本実施の形態による柱状構造物の切断装置1は、例えば、既設構造物の下方の地下に地下構造物を新設する場合に、施工範囲に存在する既存杭2が工事の障害となり、その既存杭2の一部を撤去して新たな杭(図示省略)で受け替えするアンダーピニングを実施する工事などにおける既存杭2の切断作業に適用される(図8参照)。
図8に示すように、本工事で切断する既存杭2には、既存杭2より大きい内径をなし、既存杭2とほぼ同軸にして地中の所定深度まで圧入された円筒形状のケーシング3が施工されている。そして、切断装置1は、既存杭2とケーシング3との間の空間Mで、上方より吊り下げられて、既存杭2の切断位置Rを取り囲むように設置されている。
【0013】
図1および図2に示すように、切断装置1は、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだビーズなどを金属製のワイヤーに一定間隔に取り付けてなるエンドレスのワイヤーソー4と、ワイヤーソー4を走行駆動させるためのワイヤーソー駆動手段5(駆動手段)と、ワイヤーソー4に所定の張力を与えるためのワイヤーソー緊張手段6(緊張手段)と、既存杭2を囲繞するように配設された略円筒形状をなす支持フレーム7(支持架台)とから概略構成されている。支持フレーム7は、ワイヤーソー駆動手段5とワイヤーソー緊張手段6とを搭載し、ワイヤーソー4が切断位置Rで既存杭2の外周に沿うようにして、一定の間隔をもって巻かれている。
また、切断装置1には、ワイヤーソー4の走行をワイヤーソー駆動手段5およびワイヤーソー緊張手段6へ案内するプーリーなどからなるワイヤーソー案内手段8(案内手段)が設けられている(図1参照)。
【0014】
図1に示すように、支持フレーム7の上下面には、中央で既存杭2を挿通させる中空のドーナツ形状(図2参照)をなす上方リング部材71と下方リング部材72とが備えられている。そして、この両リング部材71、72同士を上下方向に接続する縦部材73が周方向に適宜数設けられている。
なお、この支持フレーム7は、既存杭2とケーシング3との間の空間Mにおいて、両リング部材71、72に既存杭2を挿通させた状態で、既存杭2に沿って上下移動できる外形に形成されている。
【0015】
また、図2に示すように、下方リング部材72の上面72aには、周方向に等間隔で固定手段9が複数備えられている。なお、本実施の形態では、3箇所に設けている。これらの固定手段9の外方側の先端9aが、径方向(図2に示す矢印E方向)外方に向かって張り出し、ケーシング3の内周面3aを押し付けることで支持フレーム7が固定される。このように、簡易な固定手段によって、容易に切断装置1を切断位置Rに固定することができる。なお、固定手段9は、このような押し付けによる固定に限定されることはなく、例えば打込み部材等を外方側に突出させて固定する方法としてもよい。
【0016】
ワイヤーソー案内手段8は、図1に示すように、回転可能な状態で位置が移動される可動プーリー81と、位置が固定されている固定プーリー82と、上下方向に走行するワイヤーソー4を既存杭2の切断位置Rで水平方向に略90°で方向転換させる方向変更プーリー83とから構成されている。そして、図2に示すように、水平走行するワイヤーソー4は、並列する2個の方向転換プーリー83、83の間で、既存杭2に当接するように巻きつけられている。
【0017】
ワイヤーソー駆動手段5は、図4に示すように、駆動モータ5aと、駆動モータ5aの回転軸5cに取り付けられて駆動モータ5aの動力をワイヤーソー4に伝達する駆動プーリー5bとからなる(図1参照)。
【0018】
ワイヤーソー緊張手段6において、図4に示すように、上端を上部リング部材71に、下端を下部リング部材72に固定され上下方向に延設され、内部に空間を有した固定支柱10が設けられている。この固定支柱10の内部には、上下に伸縮可能な可動支柱11が備えられ、この可動支柱11の上端には上部可動部材12が取り付けられている。また、図4に示すように、固定支柱10の外周には、この外周に案内されて上下に摺動する下部可動部材13が外装されている。
図4に示すように、固定支柱10には、上部可動部材12および下部可動部材13を上下方向に移動させる油圧シリンダ14が内装されている。そして、この油圧シリンダ14の先端14aと下部可動部材13とを連結する連結部材15が設けられ、油圧シリンダ14の伸縮によって、下部可動部材13は連結部材15を介して上下に移動する。
【0019】
そして、図1に示すように、上部可動部材12には可動プーリー81a、81aが取り付けられていて、上部可動部材12と同時に移動する。また、下部可動部材13には駆動プーリー5bと可動プーリー81b、81bとが取り付けられていて、下部可動部材13と同時に移動する。
可動プーリー81aに巻かれたワイヤーソー4は、可動プーリー81bを介して巻き回されている。そして、上部可動部材12が矢印F方向に上昇し、下部可動部材13は矢印G方向に下降して夫々が上下反対方向に移動すると、ワイヤーソー4が互いに引っ張り合うことになる。これにより、ワイヤーソー4には、継続して張力が与えられることになる。
【0020】
また、図1に示すように、切断装置1には、ワイヤーソー4の長さや張り具合を調整する第1調整プーリー82aと、引きバネ(図示省略)や圧縮ダンパー(図示省略)などの付勢力を利用してワイヤーソー4の張力を適宜調節する第2調節プーリー82bが備えられている。ここで、切断装置1内で循環して切削走行するワイヤーソー4は、引き側と弛み側に分かれていて同一の張力を得ることはなく、引き側においては切削負荷が増すほど緊張状態となり、その反動として弛み側は弛みが増加するという不均衡な状態となっている。したがって、第1および第2調整プーリー82a、82bを備えることにより、このようなワイヤーソー4の不均衡現象の発生を抑えることができる。
【0021】
なお、ワイヤーソー案内手段8において、ワイヤーソー4の弛みによる各プーリーのプーリー溝からの脱輪を防止するために脱輪防止ガイド(図示省略)を備えておくことが好ましい。
【0022】
また、図2に示すように、下方リング部材72の切断位置Rで、ワイヤーソー4と既存杭2との間に帯状の薄板部材をなす抵抗低減部材23が取り外し可能に設けられている。この抵抗低減部材23は、例えば高分子材料からなる塩化ビニル板などがよく、少なくとも既存杭2よりも切削抵抗が小さい材料とする。また、抵抗低減部材23は、帯状の面を既存杭2側に向けて、下方リング部材72の上面72aの内周側に適宜数設けられた固定部材24によって、既存杭2とワイヤーソー4との間に配置されるように取り付けられている。
この抵抗低減部材23を使用することにより、ワイヤーソー4の始動時の接触抵抗が小さくなり、初期走行がスムーズとなることから、駆動プーリー5bの空転や、ワイヤーソー4を保持している駆動プーリー5bのゴムリングの磨耗を防止することができる。
【0023】
このような構成により、切断位置Rを走行するワイヤーソー4に矢印H方向(図2参照)も押圧力がかかり、図3に示すように、既存杭2の当接部が徐々に矢印H方向に移動して、既存杭2が切断される。
このように切断装置1は、緊張手段の上部可動部材12と下部可動部材13とが上下二方向に移動する構造であることから、ワイヤーソー緊張手段6の緊張移動距離が小さくなり、小型化を図ることができる。
【0024】
図2に示すように、下方リング部材72の上面72aには、周方向で等間隔に配置され先端16aがクサビ形状をなし、径方向で既存杭2側に突出する突出部材16が複数設けられている。なお、本実施の形態では、3箇所に設けている。
そして、図6に示すように、既存杭2の切断において、切断位置Rで切断される杭体を切断体2aとし、切断によって残置する杭体を非切断体2bとすると、この両者の間に形成される切断溝2cに、この突出部材16が突出されて押し込まれる。これにより、自重で既存杭2の切断部分が変形してワイヤーソー4が切断溝2cに挟まれて噛み込んでしまうことを防止できる。
【0025】
図1に示すように、上方リング部材71の上面71aには、逆U字形状をなす吊り金物17が固定されている。そして、図7(b)に示すように、この吊り金物17に吊りワイヤー22cを掛けて、例えば地上に設けられた吊り手段22などで吊りワイヤー22cを吊ることによって、切断装置1は、既存杭2の切断位置Rとなるように上方より吊り下げられて設置することができる。
【0026】
また、図1に示すように、既存杭2とケーシング3との間の空間Mには地下水などが溜まる場合があり、この地下水位が切断位置Rより高くならないように、下方リング部材72の下方に水中ポンプ18が設置され、地上に揚水される。
さらに、図1に示すように、支持フレーム7には、既存杭2の切断状態を監視できる位置に適宜数の監視カメラ19が備えられ、この監視カメラ19のレンズに付着した粉塵や水などを取り除くために水を噴射する洗浄ノズル20が設けられている。
【0027】
以上、本実施の形態による既存杭2を切断する切断装置1について説明したが、次に、本切断装置1を用いた既存杭撤去工法について、図1乃至図8に基づいて説明する。
上述したように、本工事は、既設構造物21(図7(b)参照)の下方で新たに地下構造物(図示省略)を設置する場合に、本実施の形態による切断装置1を用いて既存杭2の一部を撤去する施工である。
【0028】
先ず、図8に示すように、既存杭2の切断位置Rに切断装置1を設置するために、必要とされる所定の深度まで、既存杭2より大きな径のケーシング3を地上より圧入する。このとき、ケーシング3は、既存杭2とほぼ同軸に圧入されるため、既存杭2とケーシング3との間には、全周等間隔となる平面視ドーナツ形状の装置設置空間M(前述した空間Mと同符号)が設けられる。
そして、ケーシング3の圧入完了時には、この装置設置空間Mに土砂が満たされているため、例えばオーガによる機械掘削工法によって、この土砂を取り除き装置設置空間Mを確保する。
【0029】
続いて、図7に示すように、この装置設置空間M内に切断装置1を吊り下ろすために、地上に吊り手段22を設置する。ここで、吊り手段22は、鋼材などで組み合わされて装置設置空間Mの上方を囲い、図7(b)に示す門型形状をなす吊下げフレーム22aと、吊下げフレーム22aに備えられワイヤー22cを介して切断装置1を上下移動するための巻上げ機22bとからなる。
【0030】
次に、切断装置1を既存杭2の切断位置Rに設置する工程について説明する。
図7(b)に示すように、巻上げ機22bは吊りワイヤー22cによって切断装置1に備えられた吊り金物17を吊って、上下リング部材71、72の内周を既存杭2に挿通させた状態で、既存杭2に沿うように下方に移動させ、ワイヤーソー4の水平走行部を既存杭2の切断位置Rに合致させる。そして、その位置で、下部リング部材72に固定されている固定手段9(図2参照)を張り出してケーシング3に反力を取り、切断装置1を固定させて、切断前の準備が完了となる。
【0031】
続いて、図1に示すように、既存杭2の切断に際し、ワイヤーソー4をワイヤーソー駆動手段5によって一定方向に走行駆動させながら、上部可動部材12を矢印F方向に、下部可動部材13を矢印G方向に移動させてワイヤーソー4に張力が与えられる。
そうすると、図2に示すように、ワイヤーソー4は、まず塩化ビニル板をなす抵抗低減部材23の表面を滑るように循環走行を開始する。そして、ワイヤーソー4は徐々に所定の走行速度に達すると同時に、ワイヤーソー4が当接している抵抗低減部材23が押圧されて切り込まれ、続いて既存杭2の切断が開始されることになる。ワイヤーソー4の切断部は、図2に示す矢印H方向に向かって移動することで、既存杭2が切断されることになる。
【0032】
図3に示すように、例えば既存杭2の2/3程度の切断過程において、突出部材16(図6参照)を切断溝2cに押し込ませ突出部材16を残すことで、切断溝2cでワイヤーソー4が噛み込むことを防止する。
なお、このような突出部材16の押し込み作業は、切断装置1に設けた監視カメラ19(図1参照)によって切断の進行を確認して、遠隔操作してもよい。
さらに、図3に示すように、既存杭2の切断が進むにつれて切断位置Rにあるワイヤーソー4の長さが短くなり、切断の完了時には、図5(b)に示すように方向変更プーリー83、83間のワイヤーソー4がほぼ直線状態となる。
【0033】
次いで、既存杭2の切断完了後には、図5(b)に示すように、既存杭2側に突出させていた突出部材16を引き戻し、ケーシング3側に張り出していた固定手段9を引き戻してケーシング3と切断装置1との固定を解除する。そして、切断装置1を吊り手段22によって地上に引き上げて搬出する。なお、切断した切断体2aの搬出は、切断装置1の搬出と同時あるいは搬出前後であってもかまわない。
また、吊り手段22は、移動可能な車輪22d(図7(b)参照)を設けているため、順次、既存杭2の切断作業箇所に移動させて使用することができる。
【0034】
なお、ワイヤーソー4によって切削する際に使用する給水は、例えば分配器を地上に設置し、複数の給水ホース(図示省略)を所要箇所に配置して、適宜給水するような方法としてもよい。
また、切断装置1の内部に配置されている制御および駆動機器(図示省略)を水中使用方式に組み替えることによって、地下水などの中で水中切断を行えるようにすることもできる。
さらに、切断装置1の操作方法として、監視カメラ19や集音器(図示省略)などを地上からテレビモニタを通じて遠隔操作を行うこともできる。
【0035】
上述した本実施の形態による柱状構造物の切断装置では、既存杭2の切断位置Rを有する支持フレーム7に、ワイヤーソー4を走行駆動させるワイヤーソー駆動手段5が搭載されている構造であるため、ワイヤーソー4の必要長さを短縮化することができ、切断装置1の構造の簡易化が図れる。そして、このような構造の切断装置1では、ワイヤーソー4を短くできるため、従来のようなワイヤーソー駆動手段5が地上に設けられた構造と比較すると、ワイヤーソー4の走行時のぶれが小さくなり、ワイヤーソー4がワイヤーソー案内手段8から外れたり、切れるなどの故障を減少できる。なお、ワイヤーソー4の故障が発生した場合であても、切断装置1が簡略された構造であることから、短時間で修理して復旧することができる。
【0036】
本実施の形態による切断装置1が簡易な構造となるため、コストの低減化が可能となる。これにより、故障時に備えて切断装置1の予備を確保しておくこともできる。
また、本実施の形態による切断装置1は、コンパクトな構造であることから、上述した既存杭撤去工法の説明のように吊り手段22を使用することで、切断装置1の設置、搬出作業の簡略化が図られ、切断装置の設置、搬出にかかわる作業時間を短縮できる。
【0037】
次に、実施の形態の各変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の実施例と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施の形態と異なる構成について説明する。
まず、図9は実施の形態による第1の変形例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
第1の変形例は、図9に示すように、上述した実施の形態の上方リング部材71(図1参照)が設けられていない支持フレーム7を構成したものであり、固定支柱10の下部10aに、既存杭2の外周部を囲うように下方リング部材72が設けられている。
【0038】
次に、図10は実施の形態による第2の変形例を示す支持フレームの概略図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
第2の変形例では、図10(a)、(b)に示すように、支持フレーム7は、実施の形態で示した略円筒形状の支持フレーム7でなく、下方リング部材72は実施の形態と同形状となるリング形状をなしているが、それより上方部分の支持フレーム7は、上面に上方半円部材74が設けられ、上方半円部材74と下方リング部材72との間には、適宜数の縦部材73が連結されて略半円筒形状をなす支持フレーム7となっている。
【0039】
図11は実施の形態による第3の変形例の切断装置を示す平面図である。
第3の変形例では、切断位置Rにおいて、図2に示す実施の形態における既存杭2に対するワイヤーソー4の巻き回し方向を変えた変形例である。
図11に示すように、下方リング部材72の上面72aに、既存杭2を挟んで方向変更プーリー83、83に対向する位置に固定プーリー84a、84aが設けられている。そして、方向変更プーリー83から中間プーリー84bを介して案内されたワイヤーソー4は、緊張状態となったときに図中矢印I方向に移動するように固定プーリー84aを軸にして巻き回されている。これにより、実施の形態と逆方向となるI方向(図11参照)に既存杭2を押圧して切断する構造となる。
【0040】
以上、本発明による柱状構造物の切断装置の実施の形態および第1〜3の変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではワイヤーソー駆動手段5、ワイヤーソー緊張手段6、ワイヤーソー案内手段8に関して、図1に示すような配置、取り合いとしているが、必ずしもこれに限定されることはない。要は、ワイヤーソー駆動手段5が、支持フレーム7に搭載されることで、切断位置Rの近傍にワイヤーソー駆動手段5が配置されている構造であればよいのである。
また、本実施の形態では支持フレーム7が既存杭2の外周をとり囲む略円筒形状としているが、この形状に限定されることはなく、水平走行部のワイヤーソー4を支持することができ、同時にワイヤーソー駆動手段5および緊張手段6が搭載されていれば、支持フレーム7はどのような形状であっても構わない。
【0041】
本実施の形態では吊り手段22として吊下げフレーム22a及び巻上げ機22bを使用しているが、必ずしもこれらに限定されることはなく、例えば、クレーン車などを使用して吊下げてもよい。
また、本実施の形態では吊り手段22によって切断装置1を切断位置Rまで吊り下ろして設置する方法としているが、この方法に限定されることはない。例えば、既存杭2の切断場所の上部に高さ制限が無い場合には、既存杭2とケーシング3との間の空間Mに縦方向のラックレールを挿入し、切断装置1にラックレールと嵌合するピニオンを設けたラック&ピニオン方式やローラなどを設けてもよい。これにより、切断装置1がラックレールに支持されて、切断位置Rに移動できる方法であり、この場合、吊り手段22は不要となる。
【0042】
また、本実施の形態では切断位置Rでワイヤーソー4を既存杭2に巻きつけているが、このような切断方法に限定されることはなく、例えば直線をなすワイヤーソー4を既存杭2の外周端部から水平方向に移動させて切断する方法でもよい。
さらに、本実施の形態ではワイヤーソー緊張手段6において、上部可動部材12を上昇させて、上下部可動部材13を下降させることにより上下に移動させる二段式の緊張構造となっているが、どちらか一方を上昇又は下降させる一段式の緊張構造であってもよい。また、ワイヤーソー4に緊張を与える方法としては、駆動プーリー5bを重力式によって上方より下降させる方法であってもかまわない
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態による切断装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す切断装置の切断前の水平断面図である。
【図3】図1に示す切断装置の切断過程の水平断面図である。
【図4】切断装置のワイヤーソー緊張手段を示す側面図である。
【図5】既存杭の切断完了時の切断装置の状態を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図である。
【図6】突出部材の設置状態を説明するための説明図である。
【図7】切断装置を用いた既存杭撤去の作業状態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその立面図である。
【図8】本実施の形態による既存杭の切断状態の構成を示す説明図である。
【図9】本実施の形態による第1の変形例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図10】本実施の形態による第2の変形例を示す支持フレームの概略図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
【図11】本実施の形態による第3の変形例の切断装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 切断装置
2 既存杭
2a 切断体
2b 非切断体
2c 切断溝
3 ケーシング
4 ワイヤーソー
5 ワイヤーソー駆動手段(駆動手段)
6 ワイヤーソー緊張手段(緊張手段)
7 支持フレーム(支持架台)
8 ワイヤーソー案内手段(案内手段)
9 固定手段
10 固定支柱
11 可動支柱
12 上部可動部材
13 下部可動部材
16 突出部材
22 吊り手段
23 抵抗低減部材
R 切断位置
M 装置設置空間(空間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば既存杭の一部を切断して撤去する際に使用される柱状構造物の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されている既存杭を切断して撤去する工法として、人力に依存する撤去工法に比べて既存杭周りの掘削量を低減できるなどの理由から、ワイヤーソーを備えた切断装置を用いる工法が採用されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。
この切断装置を使用した既存杭の撤去方法は、先ず既存杭より大きい内径をなす円筒形状のケーシングを、既存杭とほぼ同軸にして切断位置に対応する地中の所定深度まで圧入して、既存杭の周囲に空間を設けるとともに土留めを行う。そして、切断装置に備えられた無端状のワイヤーソーの動力源となる駆動装置が地上に設けられている。そして、この駆動装置によって水平方向に走行するワイヤーソーは、既存杭の上方位置でプーリーなどの案内手段によって上下方向に方向転換されて既存杭の切断位置まで延長され、この切断位置で水平方向に既存杭の外周に巻きつけられている。そして、ワイヤーソーを既存杭に押圧させながら水平移動させて、既存杭を切断していた。
【特許文献1】特開2001−262570号公報
【特許文献2】特開2003−155746号公報
【非特許文献1】目時、竹石、目黒、「既存杭の水平切断に関する一考察」、土木学会年次学術講演会講演概要集第6部、社団法人土木学会、2002年、57巻、p.707〜708
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような従来のワイヤーソーを備えた切断装置では、地上などに設置されたワイヤーソーの駆動装置と既存杭の切断位置との距離が離れているため、その間にワイヤーソーが連続して配設された複雑な構造となっている。このため、ワイヤーソーの位置の調整など設置作業に時間がかかり、工期が遅延するという問題があった。
また、この切断装置では、ワイヤーソーの長さが長くなるため、ワイヤーソーが走行時にぶれて、プーリーなどの案内手段から外れるなど故障し易いという欠点があった。しかも、このような故障が発生した場合には、切断装置が複雑な構造であることから修理して再開するまでに時間がかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、構造を簡単にし、設置が容易となるとともに故障の発生を減少できる柱状構造物の切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る柱状構造物の切断装置では、ワイヤーソーを走行させて既存杭を切断する切断装置において、ワイヤーソーに走行動力を与えるための駆動手段と、ワイヤーソーに張力を与えるための緊張手段と、駆動手段及び緊張手段を搭載すると共に、ワイヤーソーを既存杭に当接させて走行可能に支持する案内手段を備えた支持架台とを備え、支持架台は、ワイヤーソーと既存杭とが当接する切断位置で、既存杭を囲むように中空状に形成されていることを特徴としている。
本発明では、既存杭の切断部を有する支持架台に、ワイヤーソーを走行駆動させる駆動手段が搭載されている構造であるため、従来のようにワイヤーソーの駆動手段が支持架台から離れておらず、ワイヤーソーの必要長さを短縮化することができ、切断装置の構造の簡易化が図れる。このため、切断装置の設置或いは搬出作業を簡略化でき、これにともなう設置、搬出時間の短縮を図ることができる。
また、切断装置がこのような構造であるため、従来の構造と比較すると、ワイヤーソーの長さが短いために、走行時のぶれが小さくなり、ワイヤーソーが例えばプーリーなどの案内手段から外れたり、切れるなどの故障を減少できる。そして、このようなワイヤーソーの故障が発生した場合には、切断装置の構造が簡易であることから、短時間で修理ができ復旧することができる。
【0006】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置では、吊り手段によって支持架台が吊下げられて、既存杭の切断位置に設置されることが好ましい。
本発明では、吊り手段を使用して切断装置の設置、搬出作業を簡略化することができ、切断装置の設置、搬出にかかわる作業時間を短縮できる。
【0007】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置は、支持架台には、支持架台の外方に固定することができる固定手段が設けられていることが好ましい。
本発明では、支持架台に備えられている固定手段によって、容易に切断装置を既存杭の切断位置に固定することができる。
【0008】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置は、ワイヤーソーによって切断される前記既存杭の切断溝に押し込まれる突出部材が設けられていることが好ましい。
本発明では、例えば既存杭の切断中において、ワイヤーソーによって形成されている切断溝に突出部材が押し込まれることによって、自重で既存杭の切断部分が変形してワイヤーソーが切断溝に挟まれて噛み込んでしまうことを防止できる。
【0009】
また、本発明に係る柱状構造物の切断装置は、ワイヤーソーと既存杭との間に配置され、ワイヤーソーによって切削可能で、少なくとも既存杭より切削抵抗が小さい薄板部材からなる抵抗低減部材が設けられていることが好ましい。
本発明では、切削始動時において走行が開始したワイヤーソーは、既存杭より先に抵抗低減部材に当接し、表面を滑りながら切削することになる。抵抗低減部材は既存杭よりも切削抵抗が小さい材質であるため、ワイヤーソーは接触負荷を小さくして滑らかに走行することができる。したがって、ワイヤーソーを駆動させる駆動プーリーは、過度な負荷がかかることがないため、空転を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の柱状構造物の切断装置によれば、既存杭の切断部を有する支持架台に、ワイヤーソーの駆動手段と案内手段とが搭載されている構造であるため、ワイヤーソーの必要長さを短縮化することができ、切断装置の構造の簡易化が図れる。このため、切断装置の設置或いは搬出作業を簡略化でき、これにともなう設置、搬出時間の短縮を図ることができる。また、切断装置のワイヤーソーの長さが短いために、走行時のぶれが小さくなり、ワイヤーソーが例えばプーリーなどの案内手段から外れたり、切れるなどの故障を減少できる。
さらに、切断装置のワイヤーソーが短くなってコンパクトで簡易な構造となるため、切断装置のコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1は実施の形態による切断装置を示す正面図、図2は図1に示す切断装置の切断前の水平断面図、図3は図1に示す切断装置の切断過程の水平断面図、図4は切断装置のワイヤーソー緊張手段を示す側面図、図5は既存杭の切断完了時の切断装置の状態を説明するための説明図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図、図6は突出部材の設置状態を説明するための説明図、図7は切断装置を用いた既存杭撤去の作業状態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその立面図、図8は本実施の形態による既存杭の切断状態の構成を示す説明図である。
【0012】
本実施の形態による柱状構造物の切断装置1は、例えば、既設構造物の下方の地下に地下構造物を新設する場合に、施工範囲に存在する既存杭2が工事の障害となり、その既存杭2の一部を撤去して新たな杭(図示省略)で受け替えするアンダーピニングを実施する工事などにおける既存杭2の切断作業に適用される(図8参照)。
図8に示すように、本工事で切断する既存杭2には、既存杭2より大きい内径をなし、既存杭2とほぼ同軸にして地中の所定深度まで圧入された円筒形状のケーシング3が施工されている。そして、切断装置1は、既存杭2とケーシング3との間の空間Mで、上方より吊り下げられて、既存杭2の切断位置Rを取り囲むように設置されている。
【0013】
図1および図2に示すように、切断装置1は、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだビーズなどを金属製のワイヤーに一定間隔に取り付けてなるエンドレスのワイヤーソー4と、ワイヤーソー4を走行駆動させるためのワイヤーソー駆動手段5(駆動手段)と、ワイヤーソー4に所定の張力を与えるためのワイヤーソー緊張手段6(緊張手段)と、既存杭2を囲繞するように配設された略円筒形状をなす支持フレーム7(支持架台)とから概略構成されている。支持フレーム7は、ワイヤーソー駆動手段5とワイヤーソー緊張手段6とを搭載し、ワイヤーソー4が切断位置Rで既存杭2の外周に沿うようにして、一定の間隔をもって巻かれている。
また、切断装置1には、ワイヤーソー4の走行をワイヤーソー駆動手段5およびワイヤーソー緊張手段6へ案内するプーリーなどからなるワイヤーソー案内手段8(案内手段)が設けられている(図1参照)。
【0014】
図1に示すように、支持フレーム7の上下面には、中央で既存杭2を挿通させる中空のドーナツ形状(図2参照)をなす上方リング部材71と下方リング部材72とが備えられている。そして、この両リング部材71、72同士を上下方向に接続する縦部材73が周方向に適宜数設けられている。
なお、この支持フレーム7は、既存杭2とケーシング3との間の空間Mにおいて、両リング部材71、72に既存杭2を挿通させた状態で、既存杭2に沿って上下移動できる外形に形成されている。
【0015】
また、図2に示すように、下方リング部材72の上面72aには、周方向に等間隔で固定手段9が複数備えられている。なお、本実施の形態では、3箇所に設けている。これらの固定手段9の外方側の先端9aが、径方向(図2に示す矢印E方向)外方に向かって張り出し、ケーシング3の内周面3aを押し付けることで支持フレーム7が固定される。このように、簡易な固定手段によって、容易に切断装置1を切断位置Rに固定することができる。なお、固定手段9は、このような押し付けによる固定に限定されることはなく、例えば打込み部材等を外方側に突出させて固定する方法としてもよい。
【0016】
ワイヤーソー案内手段8は、図1に示すように、回転可能な状態で位置が移動される可動プーリー81と、位置が固定されている固定プーリー82と、上下方向に走行するワイヤーソー4を既存杭2の切断位置Rで水平方向に略90°で方向転換させる方向変更プーリー83とから構成されている。そして、図2に示すように、水平走行するワイヤーソー4は、並列する2個の方向転換プーリー83、83の間で、既存杭2に当接するように巻きつけられている。
【0017】
ワイヤーソー駆動手段5は、図4に示すように、駆動モータ5aと、駆動モータ5aの回転軸5cに取り付けられて駆動モータ5aの動力をワイヤーソー4に伝達する駆動プーリー5bとからなる(図1参照)。
【0018】
ワイヤーソー緊張手段6において、図4に示すように、上端を上部リング部材71に、下端を下部リング部材72に固定され上下方向に延設され、内部に空間を有した固定支柱10が設けられている。この固定支柱10の内部には、上下に伸縮可能な可動支柱11が備えられ、この可動支柱11の上端には上部可動部材12が取り付けられている。また、図4に示すように、固定支柱10の外周には、この外周に案内されて上下に摺動する下部可動部材13が外装されている。
図4に示すように、固定支柱10には、上部可動部材12および下部可動部材13を上下方向に移動させる油圧シリンダ14が内装されている。そして、この油圧シリンダ14の先端14aと下部可動部材13とを連結する連結部材15が設けられ、油圧シリンダ14の伸縮によって、下部可動部材13は連結部材15を介して上下に移動する。
【0019】
そして、図1に示すように、上部可動部材12には可動プーリー81a、81aが取り付けられていて、上部可動部材12と同時に移動する。また、下部可動部材13には駆動プーリー5bと可動プーリー81b、81bとが取り付けられていて、下部可動部材13と同時に移動する。
可動プーリー81aに巻かれたワイヤーソー4は、可動プーリー81bを介して巻き回されている。そして、上部可動部材12が矢印F方向に上昇し、下部可動部材13は矢印G方向に下降して夫々が上下反対方向に移動すると、ワイヤーソー4が互いに引っ張り合うことになる。これにより、ワイヤーソー4には、継続して張力が与えられることになる。
【0020】
また、図1に示すように、切断装置1には、ワイヤーソー4の長さや張り具合を調整する第1調整プーリー82aと、引きバネ(図示省略)や圧縮ダンパー(図示省略)などの付勢力を利用してワイヤーソー4の張力を適宜調節する第2調節プーリー82bが備えられている。ここで、切断装置1内で循環して切削走行するワイヤーソー4は、引き側と弛み側に分かれていて同一の張力を得ることはなく、引き側においては切削負荷が増すほど緊張状態となり、その反動として弛み側は弛みが増加するという不均衡な状態となっている。したがって、第1および第2調整プーリー82a、82bを備えることにより、このようなワイヤーソー4の不均衡現象の発生を抑えることができる。
【0021】
なお、ワイヤーソー案内手段8において、ワイヤーソー4の弛みによる各プーリーのプーリー溝からの脱輪を防止するために脱輪防止ガイド(図示省略)を備えておくことが好ましい。
【0022】
また、図2に示すように、下方リング部材72の切断位置Rで、ワイヤーソー4と既存杭2との間に帯状の薄板部材をなす抵抗低減部材23が取り外し可能に設けられている。この抵抗低減部材23は、例えば高分子材料からなる塩化ビニル板などがよく、少なくとも既存杭2よりも切削抵抗が小さい材料とする。また、抵抗低減部材23は、帯状の面を既存杭2側に向けて、下方リング部材72の上面72aの内周側に適宜数設けられた固定部材24によって、既存杭2とワイヤーソー4との間に配置されるように取り付けられている。
この抵抗低減部材23を使用することにより、ワイヤーソー4の始動時の接触抵抗が小さくなり、初期走行がスムーズとなることから、駆動プーリー5bの空転や、ワイヤーソー4を保持している駆動プーリー5bのゴムリングの磨耗を防止することができる。
【0023】
このような構成により、切断位置Rを走行するワイヤーソー4に矢印H方向(図2参照)も押圧力がかかり、図3に示すように、既存杭2の当接部が徐々に矢印H方向に移動して、既存杭2が切断される。
このように切断装置1は、緊張手段の上部可動部材12と下部可動部材13とが上下二方向に移動する構造であることから、ワイヤーソー緊張手段6の緊張移動距離が小さくなり、小型化を図ることができる。
【0024】
図2に示すように、下方リング部材72の上面72aには、周方向で等間隔に配置され先端16aがクサビ形状をなし、径方向で既存杭2側に突出する突出部材16が複数設けられている。なお、本実施の形態では、3箇所に設けている。
そして、図6に示すように、既存杭2の切断において、切断位置Rで切断される杭体を切断体2aとし、切断によって残置する杭体を非切断体2bとすると、この両者の間に形成される切断溝2cに、この突出部材16が突出されて押し込まれる。これにより、自重で既存杭2の切断部分が変形してワイヤーソー4が切断溝2cに挟まれて噛み込んでしまうことを防止できる。
【0025】
図1に示すように、上方リング部材71の上面71aには、逆U字形状をなす吊り金物17が固定されている。そして、図7(b)に示すように、この吊り金物17に吊りワイヤー22cを掛けて、例えば地上に設けられた吊り手段22などで吊りワイヤー22cを吊ることによって、切断装置1は、既存杭2の切断位置Rとなるように上方より吊り下げられて設置することができる。
【0026】
また、図1に示すように、既存杭2とケーシング3との間の空間Mには地下水などが溜まる場合があり、この地下水位が切断位置Rより高くならないように、下方リング部材72の下方に水中ポンプ18が設置され、地上に揚水される。
さらに、図1に示すように、支持フレーム7には、既存杭2の切断状態を監視できる位置に適宜数の監視カメラ19が備えられ、この監視カメラ19のレンズに付着した粉塵や水などを取り除くために水を噴射する洗浄ノズル20が設けられている。
【0027】
以上、本実施の形態による既存杭2を切断する切断装置1について説明したが、次に、本切断装置1を用いた既存杭撤去工法について、図1乃至図8に基づいて説明する。
上述したように、本工事は、既設構造物21(図7(b)参照)の下方で新たに地下構造物(図示省略)を設置する場合に、本実施の形態による切断装置1を用いて既存杭2の一部を撤去する施工である。
【0028】
先ず、図8に示すように、既存杭2の切断位置Rに切断装置1を設置するために、必要とされる所定の深度まで、既存杭2より大きな径のケーシング3を地上より圧入する。このとき、ケーシング3は、既存杭2とほぼ同軸に圧入されるため、既存杭2とケーシング3との間には、全周等間隔となる平面視ドーナツ形状の装置設置空間M(前述した空間Mと同符号)が設けられる。
そして、ケーシング3の圧入完了時には、この装置設置空間Mに土砂が満たされているため、例えばオーガによる機械掘削工法によって、この土砂を取り除き装置設置空間Mを確保する。
【0029】
続いて、図7に示すように、この装置設置空間M内に切断装置1を吊り下ろすために、地上に吊り手段22を設置する。ここで、吊り手段22は、鋼材などで組み合わされて装置設置空間Mの上方を囲い、図7(b)に示す門型形状をなす吊下げフレーム22aと、吊下げフレーム22aに備えられワイヤー22cを介して切断装置1を上下移動するための巻上げ機22bとからなる。
【0030】
次に、切断装置1を既存杭2の切断位置Rに設置する工程について説明する。
図7(b)に示すように、巻上げ機22bは吊りワイヤー22cによって切断装置1に備えられた吊り金物17を吊って、上下リング部材71、72の内周を既存杭2に挿通させた状態で、既存杭2に沿うように下方に移動させ、ワイヤーソー4の水平走行部を既存杭2の切断位置Rに合致させる。そして、その位置で、下部リング部材72に固定されている固定手段9(図2参照)を張り出してケーシング3に反力を取り、切断装置1を固定させて、切断前の準備が完了となる。
【0031】
続いて、図1に示すように、既存杭2の切断に際し、ワイヤーソー4をワイヤーソー駆動手段5によって一定方向に走行駆動させながら、上部可動部材12を矢印F方向に、下部可動部材13を矢印G方向に移動させてワイヤーソー4に張力が与えられる。
そうすると、図2に示すように、ワイヤーソー4は、まず塩化ビニル板をなす抵抗低減部材23の表面を滑るように循環走行を開始する。そして、ワイヤーソー4は徐々に所定の走行速度に達すると同時に、ワイヤーソー4が当接している抵抗低減部材23が押圧されて切り込まれ、続いて既存杭2の切断が開始されることになる。ワイヤーソー4の切断部は、図2に示す矢印H方向に向かって移動することで、既存杭2が切断されることになる。
【0032】
図3に示すように、例えば既存杭2の2/3程度の切断過程において、突出部材16(図6参照)を切断溝2cに押し込ませ突出部材16を残すことで、切断溝2cでワイヤーソー4が噛み込むことを防止する。
なお、このような突出部材16の押し込み作業は、切断装置1に設けた監視カメラ19(図1参照)によって切断の進行を確認して、遠隔操作してもよい。
さらに、図3に示すように、既存杭2の切断が進むにつれて切断位置Rにあるワイヤーソー4の長さが短くなり、切断の完了時には、図5(b)に示すように方向変更プーリー83、83間のワイヤーソー4がほぼ直線状態となる。
【0033】
次いで、既存杭2の切断完了後には、図5(b)に示すように、既存杭2側に突出させていた突出部材16を引き戻し、ケーシング3側に張り出していた固定手段9を引き戻してケーシング3と切断装置1との固定を解除する。そして、切断装置1を吊り手段22によって地上に引き上げて搬出する。なお、切断した切断体2aの搬出は、切断装置1の搬出と同時あるいは搬出前後であってもかまわない。
また、吊り手段22は、移動可能な車輪22d(図7(b)参照)を設けているため、順次、既存杭2の切断作業箇所に移動させて使用することができる。
【0034】
なお、ワイヤーソー4によって切削する際に使用する給水は、例えば分配器を地上に設置し、複数の給水ホース(図示省略)を所要箇所に配置して、適宜給水するような方法としてもよい。
また、切断装置1の内部に配置されている制御および駆動機器(図示省略)を水中使用方式に組み替えることによって、地下水などの中で水中切断を行えるようにすることもできる。
さらに、切断装置1の操作方法として、監視カメラ19や集音器(図示省略)などを地上からテレビモニタを通じて遠隔操作を行うこともできる。
【0035】
上述した本実施の形態による柱状構造物の切断装置では、既存杭2の切断位置Rを有する支持フレーム7に、ワイヤーソー4を走行駆動させるワイヤーソー駆動手段5が搭載されている構造であるため、ワイヤーソー4の必要長さを短縮化することができ、切断装置1の構造の簡易化が図れる。そして、このような構造の切断装置1では、ワイヤーソー4を短くできるため、従来のようなワイヤーソー駆動手段5が地上に設けられた構造と比較すると、ワイヤーソー4の走行時のぶれが小さくなり、ワイヤーソー4がワイヤーソー案内手段8から外れたり、切れるなどの故障を減少できる。なお、ワイヤーソー4の故障が発生した場合であても、切断装置1が簡略された構造であることから、短時間で修理して復旧することができる。
【0036】
本実施の形態による切断装置1が簡易な構造となるため、コストの低減化が可能となる。これにより、故障時に備えて切断装置1の予備を確保しておくこともできる。
また、本実施の形態による切断装置1は、コンパクトな構造であることから、上述した既存杭撤去工法の説明のように吊り手段22を使用することで、切断装置1の設置、搬出作業の簡略化が図られ、切断装置の設置、搬出にかかわる作業時間を短縮できる。
【0037】
次に、実施の形態の各変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の実施例と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施の形態と異なる構成について説明する。
まず、図9は実施の形態による第1の変形例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
第1の変形例は、図9に示すように、上述した実施の形態の上方リング部材71(図1参照)が設けられていない支持フレーム7を構成したものであり、固定支柱10の下部10aに、既存杭2の外周部を囲うように下方リング部材72が設けられている。
【0038】
次に、図10は実施の形態による第2の変形例を示す支持フレームの概略図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
第2の変形例では、図10(a)、(b)に示すように、支持フレーム7は、実施の形態で示した略円筒形状の支持フレーム7でなく、下方リング部材72は実施の形態と同形状となるリング形状をなしているが、それより上方部分の支持フレーム7は、上面に上方半円部材74が設けられ、上方半円部材74と下方リング部材72との間には、適宜数の縦部材73が連結されて略半円筒形状をなす支持フレーム7となっている。
【0039】
図11は実施の形態による第3の変形例の切断装置を示す平面図である。
第3の変形例では、切断位置Rにおいて、図2に示す実施の形態における既存杭2に対するワイヤーソー4の巻き回し方向を変えた変形例である。
図11に示すように、下方リング部材72の上面72aに、既存杭2を挟んで方向変更プーリー83、83に対向する位置に固定プーリー84a、84aが設けられている。そして、方向変更プーリー83から中間プーリー84bを介して案内されたワイヤーソー4は、緊張状態となったときに図中矢印I方向に移動するように固定プーリー84aを軸にして巻き回されている。これにより、実施の形態と逆方向となるI方向(図11参照)に既存杭2を押圧して切断する構造となる。
【0040】
以上、本発明による柱状構造物の切断装置の実施の形態および第1〜3の変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではワイヤーソー駆動手段5、ワイヤーソー緊張手段6、ワイヤーソー案内手段8に関して、図1に示すような配置、取り合いとしているが、必ずしもこれに限定されることはない。要は、ワイヤーソー駆動手段5が、支持フレーム7に搭載されることで、切断位置Rの近傍にワイヤーソー駆動手段5が配置されている構造であればよいのである。
また、本実施の形態では支持フレーム7が既存杭2の外周をとり囲む略円筒形状としているが、この形状に限定されることはなく、水平走行部のワイヤーソー4を支持することができ、同時にワイヤーソー駆動手段5および緊張手段6が搭載されていれば、支持フレーム7はどのような形状であっても構わない。
【0041】
本実施の形態では吊り手段22として吊下げフレーム22a及び巻上げ機22bを使用しているが、必ずしもこれらに限定されることはなく、例えば、クレーン車などを使用して吊下げてもよい。
また、本実施の形態では吊り手段22によって切断装置1を切断位置Rまで吊り下ろして設置する方法としているが、この方法に限定されることはない。例えば、既存杭2の切断場所の上部に高さ制限が無い場合には、既存杭2とケーシング3との間の空間Mに縦方向のラックレールを挿入し、切断装置1にラックレールと嵌合するピニオンを設けたラック&ピニオン方式やローラなどを設けてもよい。これにより、切断装置1がラックレールに支持されて、切断位置Rに移動できる方法であり、この場合、吊り手段22は不要となる。
【0042】
また、本実施の形態では切断位置Rでワイヤーソー4を既存杭2に巻きつけているが、このような切断方法に限定されることはなく、例えば直線をなすワイヤーソー4を既存杭2の外周端部から水平方向に移動させて切断する方法でもよい。
さらに、本実施の形態ではワイヤーソー緊張手段6において、上部可動部材12を上昇させて、上下部可動部材13を下降させることにより上下に移動させる二段式の緊張構造となっているが、どちらか一方を上昇又は下降させる一段式の緊張構造であってもよい。また、ワイヤーソー4に緊張を与える方法としては、駆動プーリー5bを重力式によって上方より下降させる方法であってもかまわない
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態による切断装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す切断装置の切断前の水平断面図である。
【図3】図1に示す切断装置の切断過程の水平断面図である。
【図4】切断装置のワイヤーソー緊張手段を示す側面図である。
【図5】既存杭の切断完了時の切断装置の状態を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその平面図である。
【図6】突出部材の設置状態を説明するための説明図である。
【図7】切断装置を用いた既存杭撤去の作業状態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその立面図である。
【図8】本実施の形態による既存杭の切断状態の構成を示す説明図である。
【図9】本実施の形態による第1の変形例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図10】本実施の形態による第2の変形例を示す支持フレームの概略図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
【図11】本実施の形態による第3の変形例の切断装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 切断装置
2 既存杭
2a 切断体
2b 非切断体
2c 切断溝
3 ケーシング
4 ワイヤーソー
5 ワイヤーソー駆動手段(駆動手段)
6 ワイヤーソー緊張手段(緊張手段)
7 支持フレーム(支持架台)
8 ワイヤーソー案内手段(案内手段)
9 固定手段
10 固定支柱
11 可動支柱
12 上部可動部材
13 下部可動部材
16 突出部材
22 吊り手段
23 抵抗低減部材
R 切断位置
M 装置設置空間(空間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーソーを走行させて既存杭を切断する切断装置において、
前記ワイヤーソーに走行動力を与えるための駆動手段と、
前記ワイヤーソーに張力を与えるための緊張手段と、
前記駆動手段及び前記緊張手段を搭載すると共に、前記ワイヤーソーを前記既存杭に当接させて走行可能に支持する案内手段を備えた支持架台と、
を備え、
前記支持架台は、前記ワイヤーソーと前記既存杭とが当接する切断位置で、前記既存杭を囲むように中空状に形成されていることを特徴とする柱状構造物の切断装置。
【請求項2】
吊り手段によって前記支持架台が吊下げられて、前記既存杭の切断位置に設置されることを特徴とする請求項1に記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項3】
前記支持架台には、前記支持架台の外方に固定することができる固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項4】
前記ワイヤーソーによって切断される前記既存杭の切断溝に押し込まれる突出部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項5】
前記ワイヤーソーと前記既存杭との間に配置され、前記ワイヤーソーによって切削可能で、少なくとも前記既存杭より切削抵抗が小さい薄板部材からなる抵抗低減部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項1】
ワイヤーソーを走行させて既存杭を切断する切断装置において、
前記ワイヤーソーに走行動力を与えるための駆動手段と、
前記ワイヤーソーに張力を与えるための緊張手段と、
前記駆動手段及び前記緊張手段を搭載すると共に、前記ワイヤーソーを前記既存杭に当接させて走行可能に支持する案内手段を備えた支持架台と、
を備え、
前記支持架台は、前記ワイヤーソーと前記既存杭とが当接する切断位置で、前記既存杭を囲むように中空状に形成されていることを特徴とする柱状構造物の切断装置。
【請求項2】
吊り手段によって前記支持架台が吊下げられて、前記既存杭の切断位置に設置されることを特徴とする請求項1に記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項3】
前記支持架台には、前記支持架台の外方に固定することができる固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項4】
前記ワイヤーソーによって切断される前記既存杭の切断溝に押し込まれる突出部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の柱状構造物の切断装置。
【請求項5】
前記ワイヤーソーと前記既存杭との間に配置され、前記ワイヤーソーによって切削可能で、少なくとも前記既存杭より切削抵抗が小さい薄板部材からなる抵抗低減部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の柱状構造物の切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−316450(P2006−316450A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138374(P2005−138374)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(505171908)福井企業株式会社 (1)
【出願人】(305025544)大木建設株式会社 (4)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(505171908)福井企業株式会社 (1)
【出願人】(305025544)大木建設株式会社 (4)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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