柵の出入口の開閉機構
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば牧柵,競馬場柵,イベント会場等の仮設安全柵,建物出入口の保安柵,簡易門扉等として適用可能な柵の出入口の開閉機構に係り、特には牧柵や競馬場柵として好適であり、安全性の向上等を図った柵の出入口の開閉機構に関する。
【0002】
【従来の技術】柵特に牧柵や競馬場柵などでは、牛馬の出入りのために比較的幅広の出入口を設ける必要があり、この出入口を開閉するために従来では例えば踏切の遮断機状に上下に開閉する可動柵やドア状に水平に開閉する可動柵などが使用されていたが、開閉操作に手間がかかったり広い操作面積を必要とする等の問題点があった。
【0003】そこで、本出願人は、上記問題点を解決するために、柵の出入口の両側の柵部材を中空筒として形成し、一方の側の柵部材の下面に切除部を形成し、この切除部を介して上記柵部材内に部分的に突入されるローラにより柵部材内に入子式に嵌挿し得る可動柵体を転動支承させ、他方の側の柵部材にはこの可動柵体の端部を突入させる開口を設けてなる柵の出入口の開閉機構を先に出願した(実公昭61−480号公報参照)。この開閉機構によれば、可動柵体がローラで支えられて案内されることから、片手で簡単に開閉操作することができる等の効果が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記開閉機構においては、上記ローラを取付けるためのブラケットが上記柵部材の外部に露出した状態となるため、デザイン性が低く、しかも、馬等が衝突した際に負傷する虞れがある。また、上記柵部材に切除部を形成しているため、その部分の強度が弱く、耐久性が十分にあるとは言い難かった。
【0005】この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、安全性の向上、デザイン性の向上及び耐久性の向上が図れる柵の出入口の開閉機構を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、柵の出入口の両側の柵部材を中空筒として形成し、一方の側の柵部材内に可動柵体を挿入し、この可動柵体を一方の側の柵部材内に引き込んで上記出入口を開け、可動柵体の先端部を他方の側の柵部材の開口部に突入させて上記出入口を閉じるようにした柵の出入口の開閉機構において、上記可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部を設け、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪を設けてなることを特徴とする。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けているこを特徴とする。
【0008】更に、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、段設又は並設される複数の可動柵体を連結部材で連結してなることを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明によれば、上記可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部が設けられ、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪が設けられているため、上記可動柵体の先端側を持って軽い力で簡単に開閉することが可能となり、操作性が向上する。特に、車輪が可動柵体の少なくとも後端部を支持して柵部材内のガイドレール部上を移動する構造であるため、従来の開閉機構と異なり、柵部材に外部に露出する部材や切欠部を設ける必要がなくなり、安全性の向上、デザイン性の向上及び耐久性の向上が図れる。
【0010】請求項2記載の発明によれば、上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けているので、上記可動柵体の開閉位置を確実に規制することができ、可動柵体が柵部材内の奥部に入り込む虞れがない。
【0011】請求項3記載の発明によれば、段設又は並設される複数の可動柵体が一動作で開閉できるようになるので、より利便性が付加される。
【0012】
【実施例】以下に、この発明の実施例を添付図面に基いて詳述する。
【0013】図1において、1は牧柵等として使用される柵で、この柵1はその長手方向に添って適宜間隔で配設された支柱2と、この支柱2に横架された柵部材3とから主に構成されている。本実施例の支柱2は、例えばアルミニウム合金によりパイプ状に形成され、図2に示すように下端部が地中に垂直に埋設されようになっていると共に、上方が上記柵部材3と直交する方向へ湾曲して形成されている。また、この支柱2の上端部と高さ方向略中間部とに上記柵部材3が2段構成で取付けられている。
【0014】更に具体的に説明すると、上記柵部材3は例えばアルミニウム合金からなる中空筒(パイプ)として形成され、この柵部材3を上記支柱2の上端部に取付けるために、図3に示すように支柱2の上端部にはT字筒状のジョイント部材4の垂直筒部4aがネジ等で取付けられ、このジョイント部材4の水平筒部4bに上記柵部材3が嵌挿されてネジ等で固定されている。
【0015】なお、上記ジョイント部材4を介して上記柵部材3を順次長手方向に継ぎ足すようにしてもよい。また、上記支柱2の中間部に柵部材3を取付けるために、図4に示すようにその柵部材3には支柱を挟む左右の支持片5が設けられ、両支持片5がボルト6とナット7で支柱2に取付けられている。
【0016】上記柵1の所定の箇所には、図1に示すように出入口8が設けられている。この出入口8は、隣り合う支柱2間に柵部材3を設けないことにより形成される。そして、上記出入口8の開閉機構として、上記出入口8の一方の側(図1で左側)の柵部材3a内には可動柵体9が挿入され、この可動柵体9を一方の側の柵部材3a内に引き込んで収容することにより出入口8を開け、可動柵体9の先端部を他方の側(図1で右側)の柵部材3bの端部の開口部10に突入させることにより出入口8を閉じるように構成されている。
【0017】また、上記可動柵体9の開閉操作を円滑にするために、図5に示すように上記可動柵体9が挿入される側の柵部材3a内にはガイドレール部11が設けられ、可動柵体9の後端部には上記ガイドレール部11上を移動する車輪12が取付けられている。
【0018】上記ガイドレール部11は、図6に示すように上記柵部材3aの内壁下面に長手方向に沿って一体形成され、また、その高さ方向略中間部には補強用の膨隆部11aが形成され、例えば押出加工で製作される。なお、上記ガイドレール部11は少なくとも上記柵部材3a内に可動柵体9の移動範囲内で形成されていれば足りるが、全ての柵部材3内の全長に渡って形成されていてもよい。上記可動柵体9は例えばアルミニウム合金により上記柵部材3aの内径よりも小さい外径のパイプ状に形成され、かつ、上記出入口8の幅例えば1〜8m程度よりも長尺に形成されている。また、上記可動柵体9の下面には、上記ガイドレール部11との干渉を避けるための溝部13が長手方向に沿って形成され、例えば押出加工で製作される。
【0019】上記可動柵体9の後端部に車輪12を取付けるために、図7にも示すように可動柵体9の後端部には端板14を介して左右一対の支持片15が設けられ、両支持片15間に例えば合成樹脂製の戸車からなる車輪12が車軸16を介して回転可能に取付けられている。
【0020】また、上記可動柵体9の先端部には、図5に示すように例えばゴム等の弾性材からなる緩衝体17が取付けられ、この緩衝体17の下面にも上記可動柵体9と同様に上記ガイドレール部11との干渉を避けるための溝部18が形成されている。上記緩衝体17は、基部側を可動柵体9の先端内に嵌合させ、中空部の内壁にあてがった当板19に対して外側からネジを締め付けることにより取付けられている。なお、上記可動柵体9の先端部に設けられた緩衝体17には溝部18が設けられているが、この溝部18は必ずしも設けられている必要はない。
【0021】一方、上記可動柵体9が挿入される側の柵部材3aの内部には、可動柵体9の引き込み運動の終端を規制するためのストッパ20が設けられている。このストッパ20は、図8に示すように上記柵部材3aに直径方向に貫通して設けられたピンによって構成されている。また、上記可動柵体9の先端部が突入される側の柵部材3bの内部にも、可動柵体9の先端部が突入する運動の終端を規制するための上記ストッパ20と同様のストッパ21が設けられている(図1参照)。
【0022】以上の構成からなる柵の出入口の開閉機構においては、上記可動柵体9が挿入される側の柵部材3a内にガイドレール部11が設けられ、上記可動柵体9の後端部にこれを支持して上記ガイドレール部11上を移動する車輪12が設けられているため、上記可動柵体9の先端側を持って軽い力で簡単に開閉することができ、操作性が向上する。特に、車輪12が可動柵体9の少なくとも後端部を支持して柵部材3a内のガイドレール部11上を移動する構造であるため、従来の開閉機構と異なり、柵部材3aに外部に露出する部材を設ける必要がない。従って、馬等が柵部材3aに衝突しても負傷する虞れがなく、安全性の向上が図れると共に、デザイン性の向上が図れる。また、柵部材3aに切除部を設ける必要がないので、強度的にも強く、耐久性の向上が図れる。
【0023】更に、上述したように可動柵体9の後端部に設けた車輪12が上記柵部材3a内に設けられたガイドレール部11により案内されて移動する構造であることから、常に安定した円滑な操作性を維持することができる。また、上記可動柵体9の下面に上記ガイドレール部11との干渉を避けるための溝部13を形成したので、可動柵体9の円滑な操作性を確保できることは勿論のこと、柵部材3aの内径の範囲内で可動柵体9の外径を十分太くすることができると共に、可動柵体9の軸回りの勝手な回転を防止することができる。更に、上記両柵部材3a,3b内に可動柵体9の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパ20,21を設けているので、上記可動柵体9の開閉位置を確実に規制することができ、可動柵体9が柵部材3a,3b内の奥深くに入り込んだり、可動柵体9の後端部が柵部材3a内から離脱する虞れがない。
【0024】以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上記実施例では可動柵体9の後端部のみに車輪12が設けられているが、図9に示すように可動柵体9の後端部及び中間部に車輪12をそれぞれ設けてるようにしてもよい。この場合、中間部に設けられる車輪12は、可動柵体9を閉じ状態にしたときに、上記柵部材3a内より外部に出ない位置に設けられていることが好ましい。また、上記実施例では上下の可動柵体3が互いに独立して構成されているが、図10に示すように上下の可動柵体3の先端側を連結部材22で互いに連結した構成としてもよい。これにより、上下の可動柵体3を同時に開閉操作することができる。
【0025】上記実施例では牧柵として好適な態様例として可動柵体9及びこれを収容する柵部材3aが断面円形に形成されているが、可動柵体9及び柵部材3aは図1111に示すように両側が円形で上下が平坦な断面形状であってもよく、或いは用途に応じて楕円形,長円形,四角形,多角形等の断面形状であってもよい。上記支柱2に下部の柵部材3を取付ける構造としては、図12の(a),(b)に示すように支柱に対して筒状のジョイント部材23をボルト24等で取付け、このジョイント部材23内に柵部材3を嵌挿させてネジ等で固定するようにしてもよい。上記実施例では柵部材3を上下方向に2段構成としたが、一段構成或いは3段以上の構成であってもよい。上記支柱2としては、上方が湾曲した曲柱でなく、直柱であってもよい。また、図13に示すように支柱2の上端部に左右に分岐し、両端部に筒部25aを有する分岐ジョイント部材25を介して柵部材3を平行に取付けるようにしてもよい。更に、これらの適宜の組合せとしてもよい。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明に係る柵の出入口の開閉機構によれば、以下のような効果が得られる。
【0027】(1)請求項1記載の発明によれば、可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部を設け、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪を設けたので、上記可動柵体の先端側を持って軽い力で簡単に開閉することができ、操作性の向上が図れることは勿論、特に車輪が可動柵体の少なくとも後端部を支持して柵部材内のガイドレール部上を移動する構造であるため、従来の開閉機構と異なり、柵部材に外部に露出する部材や切欠部を設ける必要がなくなり、安全性の向上、デザイン性の向上及び耐久性の向上が図れる。
【0028】(2)請求項2記載の発明によれば、上記の効果に加えて上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けているので、上記可動柵体の開閉位置を確実に規制することができ、可動柵体が柵部材内の奥部に入り込む虞れがない。
【0029】(3)請求項3記載の発明によれば、上記の発明の効果に加えて、一動作で複数の可動柵体を作動させることができるようになり、より開閉操作が簡便に行えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す柵の正面図である。
【図2】柵の支柱を示す側面図である。
【図3】支柱に対する上部柵部材の取付構造を示す正面図である。
【図4】支柱に対する下部柵部材の取付構造を示す一部断面平面図である。
【図5】柵部材内に挿入された可動柵体の一部断面側面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図5のB−B線断面図である。
【図8】柵部材に設けられたストッパを示す断面図である。
【図9】この発明の他の実施例を示す可動柵体の側面図である。
【図10】上下の可動柵体を連結した変形例を示す側面図である。
【図11】柵部材及び可動柵体の断面形状を変えた変形例を示す断面図である。
【図12】支柱に対する下部柵部材の取付構造の変形例を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図13】支柱の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 柵
3a,3b 柵部材
8 出入口
9 可動柵体
10 開口部
11 ガイドレール部
12 車輪
20,21 ストッパ
22 連結部材
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば牧柵,競馬場柵,イベント会場等の仮設安全柵,建物出入口の保安柵,簡易門扉等として適用可能な柵の出入口の開閉機構に係り、特には牧柵や競馬場柵として好適であり、安全性の向上等を図った柵の出入口の開閉機構に関する。
【0002】
【従来の技術】柵特に牧柵や競馬場柵などでは、牛馬の出入りのために比較的幅広の出入口を設ける必要があり、この出入口を開閉するために従来では例えば踏切の遮断機状に上下に開閉する可動柵やドア状に水平に開閉する可動柵などが使用されていたが、開閉操作に手間がかかったり広い操作面積を必要とする等の問題点があった。
【0003】そこで、本出願人は、上記問題点を解決するために、柵の出入口の両側の柵部材を中空筒として形成し、一方の側の柵部材の下面に切除部を形成し、この切除部を介して上記柵部材内に部分的に突入されるローラにより柵部材内に入子式に嵌挿し得る可動柵体を転動支承させ、他方の側の柵部材にはこの可動柵体の端部を突入させる開口を設けてなる柵の出入口の開閉機構を先に出願した(実公昭61−480号公報参照)。この開閉機構によれば、可動柵体がローラで支えられて案内されることから、片手で簡単に開閉操作することができる等の効果が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記開閉機構においては、上記ローラを取付けるためのブラケットが上記柵部材の外部に露出した状態となるため、デザイン性が低く、しかも、馬等が衝突した際に負傷する虞れがある。また、上記柵部材に切除部を形成しているため、その部分の強度が弱く、耐久性が十分にあるとは言い難かった。
【0005】この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、安全性の向上、デザイン性の向上及び耐久性の向上が図れる柵の出入口の開閉機構を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、柵の出入口の両側の柵部材を中空筒として形成し、一方の側の柵部材内に可動柵体を挿入し、この可動柵体を一方の側の柵部材内に引き込んで上記出入口を開け、可動柵体の先端部を他方の側の柵部材の開口部に突入させて上記出入口を閉じるようにした柵の出入口の開閉機構において、上記可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部を設け、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪を設けてなることを特徴とする。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けているこを特徴とする。
【0008】更に、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、段設又は並設される複数の可動柵体を連結部材で連結してなることを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明によれば、上記可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部が設けられ、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪が設けられているため、上記可動柵体の先端側を持って軽い力で簡単に開閉することが可能となり、操作性が向上する。特に、車輪が可動柵体の少なくとも後端部を支持して柵部材内のガイドレール部上を移動する構造であるため、従来の開閉機構と異なり、柵部材に外部に露出する部材や切欠部を設ける必要がなくなり、安全性の向上、デザイン性の向上及び耐久性の向上が図れる。
【0010】請求項2記載の発明によれば、上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けているので、上記可動柵体の開閉位置を確実に規制することができ、可動柵体が柵部材内の奥部に入り込む虞れがない。
【0011】請求項3記載の発明によれば、段設又は並設される複数の可動柵体が一動作で開閉できるようになるので、より利便性が付加される。
【0012】
【実施例】以下に、この発明の実施例を添付図面に基いて詳述する。
【0013】図1において、1は牧柵等として使用される柵で、この柵1はその長手方向に添って適宜間隔で配設された支柱2と、この支柱2に横架された柵部材3とから主に構成されている。本実施例の支柱2は、例えばアルミニウム合金によりパイプ状に形成され、図2に示すように下端部が地中に垂直に埋設されようになっていると共に、上方が上記柵部材3と直交する方向へ湾曲して形成されている。また、この支柱2の上端部と高さ方向略中間部とに上記柵部材3が2段構成で取付けられている。
【0014】更に具体的に説明すると、上記柵部材3は例えばアルミニウム合金からなる中空筒(パイプ)として形成され、この柵部材3を上記支柱2の上端部に取付けるために、図3に示すように支柱2の上端部にはT字筒状のジョイント部材4の垂直筒部4aがネジ等で取付けられ、このジョイント部材4の水平筒部4bに上記柵部材3が嵌挿されてネジ等で固定されている。
【0015】なお、上記ジョイント部材4を介して上記柵部材3を順次長手方向に継ぎ足すようにしてもよい。また、上記支柱2の中間部に柵部材3を取付けるために、図4に示すようにその柵部材3には支柱を挟む左右の支持片5が設けられ、両支持片5がボルト6とナット7で支柱2に取付けられている。
【0016】上記柵1の所定の箇所には、図1に示すように出入口8が設けられている。この出入口8は、隣り合う支柱2間に柵部材3を設けないことにより形成される。そして、上記出入口8の開閉機構として、上記出入口8の一方の側(図1で左側)の柵部材3a内には可動柵体9が挿入され、この可動柵体9を一方の側の柵部材3a内に引き込んで収容することにより出入口8を開け、可動柵体9の先端部を他方の側(図1で右側)の柵部材3bの端部の開口部10に突入させることにより出入口8を閉じるように構成されている。
【0017】また、上記可動柵体9の開閉操作を円滑にするために、図5に示すように上記可動柵体9が挿入される側の柵部材3a内にはガイドレール部11が設けられ、可動柵体9の後端部には上記ガイドレール部11上を移動する車輪12が取付けられている。
【0018】上記ガイドレール部11は、図6に示すように上記柵部材3aの内壁下面に長手方向に沿って一体形成され、また、その高さ方向略中間部には補強用の膨隆部11aが形成され、例えば押出加工で製作される。なお、上記ガイドレール部11は少なくとも上記柵部材3a内に可動柵体9の移動範囲内で形成されていれば足りるが、全ての柵部材3内の全長に渡って形成されていてもよい。上記可動柵体9は例えばアルミニウム合金により上記柵部材3aの内径よりも小さい外径のパイプ状に形成され、かつ、上記出入口8の幅例えば1〜8m程度よりも長尺に形成されている。また、上記可動柵体9の下面には、上記ガイドレール部11との干渉を避けるための溝部13が長手方向に沿って形成され、例えば押出加工で製作される。
【0019】上記可動柵体9の後端部に車輪12を取付けるために、図7にも示すように可動柵体9の後端部には端板14を介して左右一対の支持片15が設けられ、両支持片15間に例えば合成樹脂製の戸車からなる車輪12が車軸16を介して回転可能に取付けられている。
【0020】また、上記可動柵体9の先端部には、図5に示すように例えばゴム等の弾性材からなる緩衝体17が取付けられ、この緩衝体17の下面にも上記可動柵体9と同様に上記ガイドレール部11との干渉を避けるための溝部18が形成されている。上記緩衝体17は、基部側を可動柵体9の先端内に嵌合させ、中空部の内壁にあてがった当板19に対して外側からネジを締め付けることにより取付けられている。なお、上記可動柵体9の先端部に設けられた緩衝体17には溝部18が設けられているが、この溝部18は必ずしも設けられている必要はない。
【0021】一方、上記可動柵体9が挿入される側の柵部材3aの内部には、可動柵体9の引き込み運動の終端を規制するためのストッパ20が設けられている。このストッパ20は、図8に示すように上記柵部材3aに直径方向に貫通して設けられたピンによって構成されている。また、上記可動柵体9の先端部が突入される側の柵部材3bの内部にも、可動柵体9の先端部が突入する運動の終端を規制するための上記ストッパ20と同様のストッパ21が設けられている(図1参照)。
【0022】以上の構成からなる柵の出入口の開閉機構においては、上記可動柵体9が挿入される側の柵部材3a内にガイドレール部11が設けられ、上記可動柵体9の後端部にこれを支持して上記ガイドレール部11上を移動する車輪12が設けられているため、上記可動柵体9の先端側を持って軽い力で簡単に開閉することができ、操作性が向上する。特に、車輪12が可動柵体9の少なくとも後端部を支持して柵部材3a内のガイドレール部11上を移動する構造であるため、従来の開閉機構と異なり、柵部材3aに外部に露出する部材を設ける必要がない。従って、馬等が柵部材3aに衝突しても負傷する虞れがなく、安全性の向上が図れると共に、デザイン性の向上が図れる。また、柵部材3aに切除部を設ける必要がないので、強度的にも強く、耐久性の向上が図れる。
【0023】更に、上述したように可動柵体9の後端部に設けた車輪12が上記柵部材3a内に設けられたガイドレール部11により案内されて移動する構造であることから、常に安定した円滑な操作性を維持することができる。また、上記可動柵体9の下面に上記ガイドレール部11との干渉を避けるための溝部13を形成したので、可動柵体9の円滑な操作性を確保できることは勿論のこと、柵部材3aの内径の範囲内で可動柵体9の外径を十分太くすることができると共に、可動柵体9の軸回りの勝手な回転を防止することができる。更に、上記両柵部材3a,3b内に可動柵体9の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパ20,21を設けているので、上記可動柵体9の開閉位置を確実に規制することができ、可動柵体9が柵部材3a,3b内の奥深くに入り込んだり、可動柵体9の後端部が柵部材3a内から離脱する虞れがない。
【0024】以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上記実施例では可動柵体9の後端部のみに車輪12が設けられているが、図9に示すように可動柵体9の後端部及び中間部に車輪12をそれぞれ設けてるようにしてもよい。この場合、中間部に設けられる車輪12は、可動柵体9を閉じ状態にしたときに、上記柵部材3a内より外部に出ない位置に設けられていることが好ましい。また、上記実施例では上下の可動柵体3が互いに独立して構成されているが、図10に示すように上下の可動柵体3の先端側を連結部材22で互いに連結した構成としてもよい。これにより、上下の可動柵体3を同時に開閉操作することができる。
【0025】上記実施例では牧柵として好適な態様例として可動柵体9及びこれを収容する柵部材3aが断面円形に形成されているが、可動柵体9及び柵部材3aは図1111に示すように両側が円形で上下が平坦な断面形状であってもよく、或いは用途に応じて楕円形,長円形,四角形,多角形等の断面形状であってもよい。上記支柱2に下部の柵部材3を取付ける構造としては、図12の(a),(b)に示すように支柱に対して筒状のジョイント部材23をボルト24等で取付け、このジョイント部材23内に柵部材3を嵌挿させてネジ等で固定するようにしてもよい。上記実施例では柵部材3を上下方向に2段構成としたが、一段構成或いは3段以上の構成であってもよい。上記支柱2としては、上方が湾曲した曲柱でなく、直柱であってもよい。また、図13に示すように支柱2の上端部に左右に分岐し、両端部に筒部25aを有する分岐ジョイント部材25を介して柵部材3を平行に取付けるようにしてもよい。更に、これらの適宜の組合せとしてもよい。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明に係る柵の出入口の開閉機構によれば、以下のような効果が得られる。
【0027】(1)請求項1記載の発明によれば、可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部を設け、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪を設けたので、上記可動柵体の先端側を持って軽い力で簡単に開閉することができ、操作性の向上が図れることは勿論、特に車輪が可動柵体の少なくとも後端部を支持して柵部材内のガイドレール部上を移動する構造であるため、従来の開閉機構と異なり、柵部材に外部に露出する部材や切欠部を設ける必要がなくなり、安全性の向上、デザイン性の向上及び耐久性の向上が図れる。
【0028】(2)請求項2記載の発明によれば、上記の効果に加えて上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けているので、上記可動柵体の開閉位置を確実に規制することができ、可動柵体が柵部材内の奥部に入り込む虞れがない。
【0029】(3)請求項3記載の発明によれば、上記の発明の効果に加えて、一動作で複数の可動柵体を作動させることができるようになり、より開閉操作が簡便に行えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す柵の正面図である。
【図2】柵の支柱を示す側面図である。
【図3】支柱に対する上部柵部材の取付構造を示す正面図である。
【図4】支柱に対する下部柵部材の取付構造を示す一部断面平面図である。
【図5】柵部材内に挿入された可動柵体の一部断面側面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図5のB−B線断面図である。
【図8】柵部材に設けられたストッパを示す断面図である。
【図9】この発明の他の実施例を示す可動柵体の側面図である。
【図10】上下の可動柵体を連結した変形例を示す側面図である。
【図11】柵部材及び可動柵体の断面形状を変えた変形例を示す断面図である。
【図12】支柱に対する下部柵部材の取付構造の変形例を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図13】支柱の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 柵
3a,3b 柵部材
8 出入口
9 可動柵体
10 開口部
11 ガイドレール部
12 車輪
20,21 ストッパ
22 連結部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】 柵の出入口の両側の柵部材を中空筒として形成し、一方の側の柵部材内に可動柵体を挿入し、この可動柵体を一方の側の柵部材内に引き込んで上記出入口を開け、可動柵体の先端部を他方の側の柵部材の開口部に突入させて上記出入口を閉じるようにした柵の出入口の開閉機構において、上記可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部を設け、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪を設けてなることを特徴とする柵の出入口の開閉機構。
【請求項2】 上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けてなることを特徴とする請求項1記載の柵の出入口の開閉機構。
【請求項3】 段設又は並設される複数の可動柵体を連結部材で連結してなることを特徴とする請求項1記載の柵の出入口の開閉機構。
【請求項1】 柵の出入口の両側の柵部材を中空筒として形成し、一方の側の柵部材内に可動柵体を挿入し、この可動柵体を一方の側の柵部材内に引き込んで上記出入口を開け、可動柵体の先端部を他方の側の柵部材の開口部に突入させて上記出入口を閉じるようにした柵の出入口の開閉機構において、上記可動柵体が挿入される側の柵部材内にガイドレール部を設け、上記可動柵体の少なくとも後端部にこれを支持して上記ガイドレール部上を移動する車輪を設けてなることを特徴とする柵の出入口の開閉機構。
【請求項2】 上記両柵部材内に可動柵体の引き込み及び突入の運動の終端を規制するストッパを設けてなることを特徴とする請求項1記載の柵の出入口の開閉機構。
【請求項3】 段設又は並設される複数の可動柵体を連結部材で連結してなることを特徴とする請求項1記載の柵の出入口の開閉機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【特許番号】第2888414号
【登録日】平成11年(1999)2月19日
【発行日】平成11年(1999)5月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−165790
【出願日】平成6年(1994)6月27日
【公開番号】特開平8−13857
【公開日】平成8年(1996)1月16日
【審査請求日】平成9年(1997)10月15日
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【登録日】平成11年(1999)2月19日
【発行日】平成11年(1999)5月10日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)6月27日
【公開番号】特開平8−13857
【公開日】平成8年(1996)1月16日
【審査請求日】平成9年(1997)10月15日
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
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