説明

栄養価を強化したペットフード

本発明は、基礎ペットフード中にマイクロカプセル化栄養添加物を含む、ペット用の栄養添加物システムを含む。基礎ペットフードは、200°F(93.3℃)以上の温度および/または100(sec)-1以上の剪断速度で形成されていることを特徴とすることができる。マイクロカプセル化栄養添加物は、マイクロカプセルシェルによって周囲環境から遮蔽され、それによって栄養添加物の酸化を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年2月20日出願の米国特許出願第10/783,866号の一部継続出願であり、その出願の開示全体を参照によって本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、栄養価を改善したペットフード製品を提供するためのシステムおよび組成物に関し、詳細には、ペットフード食餌中にビタミン/ミネラル類または他の栄養補助食品を選択的に提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
当然のことながら、ペットフード製品の製造に関する数々の開示が存在している。例えば、「乾燥ペットフードの製造方法(Method of Producing Dry Pet Food)」と題する米国特許第4,020,187号には、タンパク質材料のスラリーと乾燥デンプン質材料をブレンドした混合物を押出し調理することによって、展延した乾燥ペットフードを製造する方法が開示されている。タンパク質材料のスラリーは、脂肪含有量が少なくとも25%になるように調整され、150〜175°F(65.6〜79.4℃)の範囲の温度に加熱され、次いでホモジナイズして粒子の寸法が縮小され、脂肪分が混合物全体に均一に分散される。穀類の適切な乾燥粉末混合物を構成するデンプン質材料、ビタミン類、ミネラル類、および防腐剤が、タンパク質のスラリーに添加される。押出し調理ステップの結果として調理済み材料が展延された後に、調理済み材料が水分含有量7%〜15%にまで乾燥され、その結果、微生物学的に安定で食欲を増進するペットフードとして記載されているものが得られる。
【0004】
「ドッグフードの嗜好性増強剤および方法(Dog Food Palatability Enhancer And Process)」と題する米国特許第4,713,250号は、ドッグフードの嗜好性を改善する組成物を調製する方法を開示している。その方法によれば、多段階の酵素反応を利用して、まずタンパク質またはデンプン質基材のいずれかを消化する。次いで、第1段階の反応生成物を脂肪と共に乳化し、ドッグフードに適用されるとその嗜好性を大幅に改善する材料を提供するのに効果があるとされる条件下で、生成したエマルジョンをリパーゼおよびプロテアーゼと反応させる。
【0005】
「ペットフードプレミックス(Pet Food Premix)」と題する米国特許第5,552,176号は、未精製肉約40〜70重量%と、残りの量の少なくとも1種のデンプン質および/または植物性タンパク質担体基材との混合物を含むプレミックスの形成を開示している。そのプレミックスは、押出ペットフード製品中に組み込まれると、栄養および嗜好性をペットフード製品に付与するとともに、その有効性能を増大させるとされている。
【0006】
「ペット用スナックフードの製造方法(Method Of Making Pet Snack Food)」と題する米国特許第5,894,029号は、香味成分からなる外側シェル中に封入した膨張させた内部コアマトリックスとしての、デンプン質およびタンパク質材料と、香味成分、微量のミネラル類、ビタミン類および場合によっては薬剤、栄養剤、ならびに栄養補助剤からなる、乾燥し膨張させたペットフードを開示している。
【0007】
「乾燥した安定な中間体であるペットフード組成物のための方法(Process For Dry Stable Intermediate Pet Food Composition)」と題する米国特許第6,270,820号は、乾燥した安定な中間体であるペットフードの製造方法を開示しており、この方法は、基本的なペットフードのレシピによって指定された複数の成分を混合するステップを含み、この複数の成分には肉のスラリーが含まれる。これら複数の成分が混合されて混合物を形成し、押し出され、破片に切断され、含水量約10重量%未満に乾燥される。
【0008】
「ペットフードの嗜好性を高めるための方法および組成物」と題する米国特許第6,350,485号は、乾燥および半乾燥のペットフード組成物の嗜好性を高めるための組成物および方法を開示している。具体的には、押出キャットフード組成物が開示されている。嗜好性増強材は、最終的なペットフード生成物の約0.1重量%〜約1.0重量%のピロリン酸四ナトリウムを含有する、乾燥キャットフードコーティングを含むとされている。嗜好性増強材は、押出プロセス後に、押し出されたペットフードの粒子または小片に適用される。
【0009】
「ペットフード用の香味システム(Flavoring System For Pet Foods)」と題する米国特許第6,379,727号は、それぞれ基礎ペットフード製品に好都合に局所適用するのに適するとされる、個別個にパッケージされた異なる香味の複数の香味添加物の使用を開示している。このシステムは、使用者に、個別の給餌の際にペットに与える香味の選択肢を提供し、香味またはペットの食餌に変化をもたせるための便利な手段を提供するとされている。
【0010】
本願の譲受人が所有する、以下の米国特許も注目される。「成形生皮咀嚼玩具(チュー・トイ)(Molded Rawhide Chew Toy)」と題する米国特許第5,476,069号;1997年9月3日出願の「野菜をベースとするイヌ用咀嚼物(ドッグチュー)(Vegetable Based Dog Chew)」と題する米国特許出願第08/923,070号、現在は米国特許第6,093,427号;1997年10月25日出願の「イヌ用食用咀嚼物(Edible Dog Chew)」と題する米国特許出願第08/738,423号、現在は米国特許第5,827,565号;1997年1月17日出願の「ニンジンをベースとするイヌ用咀嚼物(Carrot-Based Dog Chew)」と題する米国特許出願第08/784,834号、現在は米国特許第5,941,197号;1998年7月14日出願の「熱改変可能なイヌ用食用咀嚼物(Heat Modifiable Edible Dog Chew)」と題する米国特許出願第09/114,872号、現在は米国特許第6,180,161号;1998年8月21日出願の「改良型イヌ用食用咀嚼物(Improved Edible Dog Chew)」と題する米国特許出願第09/138,804号、現在は米国特許第6,126,978号;1998年7月15日出願の「改変可能な質感を有する小麦およびカゼインのイヌ用咀嚼物(Wheat & Casein Dow Chew With Modifiable Texture)」と題する米国特許出願第09/116,070号、現在は米国特許第6,110,521号;1998年7月15日出願の「熱改変可能なイヌ用落花生咀嚼物(Heat Modifiable Peanut Dog Chew)」と題する、米国特許出願第09/116,555号、現在は米国特許第6,093,441号;1999年1月8日出願の「食用デンプンの形成方法(Method of Molding Edible Starch)」と題する米国特許出願第09/227,767号、現在は米国特許第6,159,516号、2001年2月23日出願の米国特許出願第09/793,799号、現在は米国特許第6,586,027号。このような特許に加えて、前記特許および出願中に引用された技術内容も本発明の背景を提供することができるので注目される。
【0011】
したがって、従来技術はペットフードの嗜好性を向上させる様々な方法および組成物を開示しているものの、乾燥および半乾燥の両方のペットフードが、例えばペット用押出乾燥食品の製造中に普通は分解されてしまうビタミン類、ミネラル類、および他の栄養添加物を供給できるようにする、改良された方法および組成物が依然として必要とされていることが当分野の技術者には理解されよう。
【特許文献1】米国特許出願第10/783,866号
【特許文献2】米国特許第4,020,187号明細書
【特許文献3】米国特許第4,713,250号明細書
【特許文献4】米国特許第5,552,176号明細書
【特許文献5】米国特許第5,894,029号明細書
【特許文献6】米国特許第6,270,820号明細書
【特許文献7】米国特許第6,350,485号明細書
【特許文献8】米国特許第6,379,727号明細書
【特許文献9】米国特許第5,476,069号明細書
【特許文献10】米国特許第6,093,427号明細書
【特許文献11】米国特許第5,827,565号明細書
【特許文献12】米国特許第5,941,197号明細書
【特許文献13】米国特許第6,180,161号明細書
【特許文献14】米国特許第6,126,978号明細書
【特許文献15】米国特許第6,110,521号明細書
【特許文献16】米国特許第6,093,441号明細書
【特許文献17】米国特許第6,159,516号明細書
【特許文献18】米国特許第6,586,027号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、このような趣旨に沿えば、乾燥および半乾燥のペットフード製品を消費者が使用し続けることを可能にする、ペットフードに便利にに使用するための栄養システムを消費者に提供することが望ましいであろう。この乾燥および半乾燥のペットフード製品は、それ自体、保存および使用に好都合ではあるが、その他の点では、所与のいかなる動物にも必要である可能性があり、かつ/またはその動物に合わせてカスタマイズすることができる、ビタミン/ミネラル類および他のタイプの食品添加物の完全で新鮮な栄養補助剤を提供しない。
【0013】
非限定的な一実施形態では、本発明は、マイクロカプセル化栄養添加物と、前記マイクロカプセル化栄養添加物を含有する基礎ペットフードとを含むペット用栄養添加物システムを含む。
【0014】
非限定的な別の実施形態では、本発明は、マイクロカプセル化栄養添加物と、前記マイクロカプセル化栄養添加物を含有する基礎ペットフードとを含み、前記基礎ペットフードが200°F(93.3℃)以上の温度、および/または100sec-1以上の剪断速度で調製されていることを特徴とする、ペット用の栄養添加物システムを含む。
【0015】
非限定的なさらに別の実施形態では、本発明は、基礎ペットフードに200°F(93.3℃)を上回る温度、および/または100sec-1以上の剪断速度を加えることによって基礎ペットフードを形成すること、ならびにマイクロカプセル化栄養添加物を補充することを含む、ペットフードの栄養価を増大させる方法を含む。この方法はさらに、マイクロカプセル化栄養添加物を基礎ペットフードと混合することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
給餌プロセスに、ビタミン、ミネラル、または他の有用な成分を修復するための本発明の栄養添加物は、一般に含水量約50重量%以下、より一般的には、約15〜50重量%である乾燥または半乾燥ペットフードに適用されることが好ましい。より好ましくは、乾燥または低含水量のペットフードには、一般に押出タイプの方法によって調製され、バルク形で安価にパッケージされ、保存および使用に非常に好都合である15%未満の水分を含有するペットフードが包含されうる。
【0017】
遺憾ながら、乾燥または低含水量のペットフードの形成に関するかなり以前からの問題の一つは、多くのペットフードが一般に、このような製品に加えられることのある例えばビタミン成分の分解を招く恐れのある、熱および剪断を伴う製造技術によって調製されることである。したがって、良かれと考えたことでも、熱履歴および剪断プロセスは、押出タイプのペットフードに組み込まれるいくつかの栄養添加物の栄養効果を低下させる傾向があり得る。したがって、本発明は、好ましくはこのようなペットフードを栄養強化のための基礎ペットフードとして利用し、またこのようなペットフードを標的とする。
【0018】
実際、本発明の広範な状況においては、以下により完全に記載するように、基礎ペットフードを、このようなビタミンやミネラルなどの栄養添加物を実質上含まないように調製されたものとすることができる。というのは、このような添加物は、給餌プロセスの前に容易に補充できるからである。このような意味で、本発明は、製造コストをより低くすることができるが、最終的には典型的な基礎ペットフード調製物の製造プロセスの条件の影響を受けやすいあらゆる必須ビタミン類、ミネラル類、および他のタイプの栄養添加物を含む高い栄養価をもたらす、基礎ペットフードの調製を実現する。したがって、本発明の状況においては、任意のビタミン類、ミネラル類、および/またはハーブ類を約1.0重量%未満、特に好ましい一実施形態では、任意のビタミン類、ミネラル類、および/またはハーブ類を0.5重量%未満、最も好ましい一実施形態では、任意のビタミン類、ミネラル類、および/またはハーブ類を0.1重量%未満、またそれらの間の0.0〜1.0重量%の間の任意の百分率(パーセンテージ)で含有する、基礎ペットフードを供給することができる。
【0019】
さらに、バルク包装したペットフードに関する別の潜在的な問題は、一般に、それらが長期間空気にさらされたままであり、特定のビタミン類の酸化、または特定のミネラルおよび微量元素の酸化など、当初の栄養成分の破壊を招く恐れがあることである。それにより、ベースフードの本来の栄養上の性能が、その本来意図される価値を実現することが制限される恐れがある。
【0020】
したがって本発明の広範な状況においては、本明細書で特定される栄養添加物は、その製造作業の結果として、普通ならビタミンまたはミネラル成分の栄養価を低下させる加工条件(例えば、熱または剪断プロファイル)にさらされる、いかなるペットフード製品での使用にも適している。したがって本発明は、押出しの温度が約200°F(93.3℃)を超える可能性があり、その温度が、このような基礎ペットフード組成物のビタミン、ミネラル、および/またはハーブ成分の分解をもたらす、例えば押出ペットフードに適用することができる。さらに本発明は、このような温度、およびその剪断速度がほぼ押出プロセスで受ける可能性のある剪断速度以上となり得る剪断条件にさらされるペットフード製品に適用される。したがって、本発明は、約100(sec)-1以上の剪断条件にさらされる、より具体的には、このようなレベルを上回るあらゆる値または範囲の温度および剪断速度を含めて、100(sec)-1以上の剪断速度と併せて200°F(93.3℃)以上の温度にさらされる、基礎ペットフード製品の使用を意図している。例えば、本発明は、約200〜500°F(93.3〜260℃)の範囲の温度、約102〜104(sec)-1の値の剪断速度で形成され得る、いかなる基礎ペットフードにも適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のペットフードは、米国飼料検査官協会(AAFCO)によってイヌに対して推奨されるビタミンを1種または複数含有することが好ましい。イヌの場合、ビタミンは、A、C、B12、D、E、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン、ピリドキシン、葉酸、およびコリンを含むことができる。ネコの場合、ビタミンは、ビタミンA、C、B12、D、E、およびK、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ならびにコリンを含むことができる。
【0022】
さらに、本発明のペットフードはまた、ミネラルを含むことが好ましい。イヌの場合、好ましいミネラルは、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレンである。ただし、Co、Mo、Cd、As、Si、V、Ni、Pb、Snなど他の微量ミネラルが示唆されていることに留意されたい。さらに、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラルは、1日当たりグラム量で必要とされるが、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、およびセレンは1日当たりmgまたはμgしか必要とされない。したがって、本明細書のペットフードは栄養上の諸要件に応じて、所定のミネラル濃度の高低を反映するように改変することができる。
【0023】
次に、ハーブ成分を考察すると、本明細書のハーブは、セイヨウオトギリソウ(St.Johns Wort)、カバ(Kava Kava)、イチョウ、チョウセンニンジン(アジア種またはシベリア種)、エキナセア(Echinacea)、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。他のハーブには、キャッツクロー、カミツレ、ヒドラスチス(Golden Seal)、ノコギリヤシ(Saw Palmetto)、カノコソウ(Valerina)、セイヨウニンジンボク(V.Agnus-Castus)、ブラックコホシュ(Black Cohosh)、 ビルベリー(Bilberry)、およびオオアザミ(Milk Thistle)が含まれる。ハーブにはまた、アロエ、ゲンゲ、ゴボウ、カモミール、セイヨウトチノキ、カワラタケ(coriolus versicolor)、カウチグラス(couchgrass)、セイヨウカンボク(crampbark)、蒲公英根、トウキ(dong quai)、オオグルマ(elecampaue)、マツヨイグサ(evening primrose)、コゴメグサ(eyebright)、フォルスユニコーンルート(false unicorn root)、ナツシロギク(feverfew)、ニンニクショウガ、ヒドラスチス(goldenseal)、ツボクサ(gota kola)、ブドウ種子エキス、チャ(green tea)、グーグル脂質(guggulipid)、カラハナソウ(hawthorn)、ホップ、ツタ、カンゾウ、オオアザミ(milk thistle)、ヤドリギ(アメリカアジアおよびヨーロッパ品種)、メハジキ(motherwort)、オートムギ(oats)、オシャ(osha)、パッションフラワー(passion flower)、カボチャピゲアム(pumpkin pygeum)、アカツメクサ(red clover)、ローズマリー、サルサパリラ(sarsparilla)、タツナミソウ(skullcap)、ノコギリヤシ(saw plametto)、イラクサ(stinging nettle)、ムラサキセンダイハギ(wild indigo)、ヤマノイモ(wild yam)、およびイェルバマンサ(yerba mansa)が含まれ得る。さらに、本明細書に記載の実施形態のいずれにも、グルコサミンおよび/またはコンドロイチンを添加することができる。
【0024】
次に、本発明のビタミン/ミネラル類および/またはハーブ添加物の組込みを考察すると、一実施形態によれば、このような添加物を給餌プロセス時に分解されていない状態で動物に与えるために、別々にパッケージし、バルクのペットフードに組み込むことが好ましい。これに関して、本発明は、このような添加物をペットフード製品に選択的に割り当てるための、いくつかの方法および代替型パッケージングを意図する。
【0025】
例えば、このような添加物は、フードの粒子または小片上に噴霧または散粉することによって乾燥または半乾燥のペットフードの粒子に適用することができる。本明細書の添加物は、特に自宅での使用に適する方式でパッケージされ、それによって、飼い主が好都合かつ経済的に栄養添加物を家庭のペットに与えることができることが好ましい。したがって、本発明では粉末のまたは粒状の栄養添加物組成物を使用し、乾燥ペレット化ペットフードなどの基礎ペットフード製品にその表面上に散布することによって適用する。
【0026】
あるいは、本発明の栄養添加物を、液体媒体、好ましくは水性媒体中で供給し、基礎ペットフード上に手動噴霧器を使用して噴霧することもできる。さらに、栄養添加物を液体媒体中に供給することに関する特に好ましい一実施形態では、液体媒体用のパッケージまたは容器を、普通なら栄養添加物の望ましくない酸化を引き起こすはずの補給空気を全く導入せずにこのような液体を供給できるものとすることができる。
【0027】
例えば、この容器は、内部フィルム膜を有する可撓性プラスチックタイプのスクィーズボトルを包含することができ、栄養添加物を、酸素にさらされない条件下でこのような容器のフィルム膜の内側に入れることができる。さらにこの容器は、例えば剛性プラスチック、安全ガラス、または金属材料を含めた任意のタイプの好適な剛性材料を含み、それによって剛直な外骨格を提供することができる。その結果、栄養添加物を含有する液体の供給が、周囲の空気に全くさらされずに完了する。さらに、容器またはフィルム膜の材料は、UV吸収剤の使用または適切な遮蔽用着色のいずれかによって、普通なら有害な光放射(UV)作用から内容物を選択的に保護する材料とすることができる。したがって、このような好ましい特定の実施形態では、栄養添加物は、酸化されず、また実質的な光劣化なしに本来の高い効果を有する状態を維持する傾向があり、その全体的な栄養効果は、基礎ペットフードの有効期間中、所定のどんなペットに対しても非常に高レベルで持続する。
【0028】
しかしより好ましくは、本発明の状況では、本発明の栄養添加物を別個にパッケージするだけでなく、基礎ペットフード製品用のパッケージ中にも入れられ、好都合である。さらに、栄養添加物を別個の容器に保存しておき、特定の動物のニーズに従って必要に応じて自動的な投与量制御を実現する容器を利用することもできる。したがって消費者は、個々の給餌の度ごとに、適切かつ制御された量の新鮮な栄養添加物(ビタミン/ミネラル類および/またはハーブ類)が提供され、供給される栄養添加物に関して不注意による過剰投与がないことを確信することができる。
【0029】
このような趣旨に沿えば、本発明の投与量制御機構は、例えば好ましい水性ベースの溶液に含まれる栄養成分の有効濃度を考慮に入れたものとなり、消費者に、基礎ペットフード上への噴霧ごとにこのような水溶液が特定量だけ供給されることを示すものとなるはずである。したがって、特定の動物について、特定の量の食物に対して、好ましい噴霧回数を容易に指定することができる。
【0030】
別の実施形態によれば、本明細書の栄養添加物は、空気および/または光に長時間さらされた後でも、例えば酸化によって生じる恐れのある添加物の栄養効果の低下に抗し得るように処理することができる。したがって、添加物をバルクのペットフードとは別個にパッケージするのではなく、フードを出荷する前にバルクのペットフードと混合することもできる。耐劣化添加物を、押出しなどペットフードの製造プロセス後に、バルクのペットフードと混合することができる。製造後に添加物をバルクのペットフードと混合することにより、ペットフードの押出しに伴う高い製造温度および/または高い剪断速度による添加物の栄養上の特性の低下を防止することができる。
【0031】
栄養添加物は、抗酸化性を持たせるために、添加物をマイクロカプセル化することによって処理することができる。本明細書から理解されるように、マイクロカプセルは、シェルに封入されたある量の材料を含むことができる。封入された材料は、マイクロカプセルのシェルの破壊、溶解、融解、消化等によって放出させることができる。本明細書では、マイクロカプセル化栄養添加物は、マイクロカプセルシェルに封入されたある量の栄養添加物を含むことができる。マイクロカプセル化栄養添加物は、添加物の劣化を避けるために、基礎ペットフードとは別個に調製することができる。マイクロカプセル化添加物のシェルは、添加物を大気中の酸素等から保護し、それによりマイクロカプセル化栄養添加物調製後の添加物の酸化および/または劣化を低減あるいは防止することができる。一般に理解されるように、本明細書のマイクロカプセルは、サイズが約0.001mm〜5.0mmの範囲であり、この間であれば様々な範囲とすることができる。したがって、マイクロカプセル化添加物は、粉末または粒状の構造でよく、バルクのペットフードと混合することができる。
【0032】
一実施形態によれば、望ましい複数の栄養添加物のそれぞれを別々にマイクロカプセル化して提供することができる。つまり、各マイクロカプセルは、単一の栄養添加物のみを含むことができる。それぞれ単独にマイクロカプセル化した栄養添加物の混合物を提供することによって、栄養添加物の望ましい組合せを実現することができる。あるいは、栄養添加物が、マイクロカプセル化した複数の栄養添加物を含むこともでき、したがって、各マイクロカプセルが複数の栄養添加物を含むようになる。したがって、この実施形態による栄養添加物には、別々にマイクロカプセル化した栄養添加物、および複数の栄養添加物のマイクロカプセル化組成物が含まれ得る。
【0033】
一般に、本明細書のマイクロカプセル化栄養添加物は、望ましい栄養特性を有するペットフードシステムを提供するために、ペットフードの粒子または小片と混合することができる。本明細書のいかなる実施形態でも使用されるように、マイクロカプセル化添加物をペットフードと混合することには、1種または複数のマイクロカプセル化添加物をペットフードの粒子および/または小片と組み合わせ、ブレンドし、あるいは別の方法で一体にすることが含まれ得る。一実施形態では、マイクロカプセル化添加物を粉末として提供することができる。このような一実施形態によれば、マイクロカプセル化添加物の粉末をペットフードの粒子または小片と混合することには、その粉末をペットフードの粒子と組み合わせることが含まれ得る。特定の一例としては、マイクロカプセル化添加物の粉末を、フードの粒子または小片上に噴霧または散粉することにより乾燥または半乾燥のペットフードの粒子に適用することによって、ペットフードの粒子または小片と混合することができる。一実施形態では、マイクロカプセル化添加物をペットフードの粒子または小片に適用する際に、そのマイクロカプセル化添加物がフードの粒子または小片の表面に付着し、それによりペットフードの出荷およびその後の取扱い中に添加物がペットフードの粒子または小片から分離するのを低減することができる。マイクロカプセル化添加物をペットフードの粒子または小片と混合すると、フードの粒子または小片にマイクロカプセル化添加物が被着するかもしれないが、マイクロカプセル化添加物と乾燥または半乾燥のペットフードの粒子との混合の広範な態様によれば、かならずしもマイクロカプセル化添加物がペットフードの粒子または小片に付着する必要はない。
【0034】
別の実施形態によれば、マイクロカプセル化添加物を、例えば懸濁液として液体媒体中にて提供することができる。このような一実施形態によれば、マイクロカプセル化添加物をペットフードの粒子または小片と混合することには、マイクロカプセル化添加物を懸濁させた液体媒体をペットフードの粒子または小片に適用することが含まれ得る。一代替法によれば、ペットフード上にその液体媒体を噴霧することによって、液体媒体中のマイクロカプセル化添加物をペットフードの粒子または小片に適用することができる。あるいは、フードの粒子または小片を、液体媒体およびマイクロカプセル化添加物の浴中を通過させることもできる。液体媒体中でマイクロカプセル化栄養添加物を適用した後、必要ならばペットフードを乾燥して所望の含水量にすることができる。
【0035】
マイクロカプセル化添加物を懸濁させるために使用される液体媒体は、適切ないかなる液体でもよい。液体媒体は、ペットフードの香味を低減しない、あるいはフードの質または安全性を損なわないことが好ましい。一実施形態によれば、液体媒体は水であってよい。液体媒体中で提供することによって、マイクロカプセルシェルの遮蔽特性が低減することなく、マイクロカプセル化栄養添加物が動物用フードに適用された後も抗酸化性を維持することができることが望ましい。
【0036】
マイクロカプセルシェルの材料は、抗酸化性を持たせる上に、UV吸収剤の使用または適切な遮蔽用着色のいずれかによって、普通なら有害となる光放射(UV)の作用から封入された添加物を選択的に保護する材料とすることもできる。したがって、このような好ましい特定の実施形態では、栄養添加物は、酸化されず、また実質的な光劣化なしに本来の高い効果を有する状態を維持する傾向があり、その全体的な栄養効果は、基礎ペットフードの有効期間中、所定のいかなるペットに対しても非常に高レベルで持続する。
【0037】
添加物を酸化および劣化から保護するために栄養添加物をマイクロカプセル化した形態で提供することによって、添加物を出荷の前にバルクのペットフードに適用することが可能になる。本明細書で意図する栄養添加物をすでに含んでいるペットフードを供給することは、多くの理由から有利となり得る。第一に、添加物を別個にパッケージするコストが削減される。さらに、添加物を適切な用量でペットフードに適用して提供することができる。したがって、最終使用者は、添加物を測定し、所望の栄養効果を提供するために適切な量の添加物をペットフードに適用する心配をする必要がなくなる。
【0038】
本発明を様々な好ましい実施形態によって記載してきたが、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、改変を加えて実施できることを当分野の技術者は理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)マイクロカプセルシェル内に封入された少なくとも1種の栄養添加物を含むマイクロカプセル化栄養添加物と、
(b)基礎ペットフードと
を含む、ペット用栄養添加物システム。
【請求項2】
前記マイクロカプセルシェルが、前記マイクロカプセル化栄養添加物が空気にさらされるのを実質的に防止する、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項3】
前記マイクロカプセルシェルが、前記栄養添加物がUVにさらされるのを防止するためのUV吸収剤を含有する、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項4】
前記マイクロカプセル化栄養添加物が、パッケージする前に前記基礎ペットフードと混合される、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項5】
前記マイクロカプセル化栄養添加物が、1種もしくは複数のビタミン、および/または1種もしくは複数のミネラル、および/または1種もしくは複数のハーブタイプの添加物を含む乾燥添加物を含む、請求項4に記載の栄養添加物システム。
【請求項6】
前記マイクロカプセル化栄養添加物が、液体媒体中に存在し、1種もしくは複数のビタミン、および/または1種もしくは複数のミネラル、および/または1種もしくは複数のハーブタイプの添加物を含む、請求項4に記載の栄養添加物システム。
【請求項7】
前記マイクロカプセル化栄養添加物が、A、C、B12、D、E、K、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、ピリドキシン、葉酸、コリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるビタミン類を含む、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項8】
前記マイクロカプセル化栄養添加物が、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン、コバルト、モリブデン、カドミウム、ヒ素、ケイ素、バナジウム、ニッケル、鉛、スズ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるミネラル類を含む、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項9】
前記マイクロカプセル化栄養添加物が、セイヨウオトギリソウ(St.Johns Wort)、カバ(Kava Kava)、エキナセア(Echinacea)、イチョウ、チョウセンニンジン、キャッツクロー、カモミール、ヒドラスチス(Golden Seal)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるハーブ類を含む、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項10】
前記基礎ペットフードが、ビタミン、ミネラル、および/またはハーブを約0.0〜1.0%(wt)含有する、請求項1に記載の栄養添加物システム。
【請求項11】
前記基礎ペットフード中の前記ビタミンまたはミネラル、またはハーブの濃度が、約0.1%(wt)未満である、請求項10に記載の栄養添加物システム。
【請求項12】
(a)マイクロカプセルシェル内に封入された栄養添加物を少なくとも1種類含むマイクロカプセル化栄養添加物と、
(b)200°F(93.3℃)以上の温度および/または100(sec)-1以上の剪断速度で調製されていることを特徴とする、前記マイクロカプセル化栄養添加物と混合された基礎ペットフードと
を含む、ペット用栄養添加物システム。
【請求項13】
前記基礎ペットフードが、約200〜500°F(93.3〜260℃)の範囲の温度および約102〜104(sec)-1の剪断速度で調製されていることを特徴とする、請求項12に記載のペット用栄養添加物システム。
【請求項14】
(a)200°F(93.3℃)を超える温度および/または100(sec)-1以上の剪断速度を加えることによって形成される、基礎ペットフードを形成すること、
(b)マイクロカプセル化栄養添加物を供給すること、ならびに
(c)前記マイクロカプセル化栄養添加物を前記基礎ペットフードと混合すること
を含む、ペットフードの栄養価を高める方法。
【請求項15】
前記マイクロカプセル化栄養添加物を補充することが、前記マイクロカプセル化添加物を乾燥添加物として供給することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロカプセル化栄養添加物を混合することが、前記基礎ペットフードを前記乾燥添加物で被覆することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロカプセル化栄養添加物を補充することが、液体媒体中の前記マイクロカプセル化栄養添加物を供給することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロカプセル化栄養添加物を前記基礎ペットフードと混合することが、前記基礎ペットフードに前記液体媒体を噴霧することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロカプセル化栄養添加物を前記基礎ペットフードと混合することが、前記基礎ペットフードを前記液体媒体中を通過させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
(a)別個にパッケージされた栄養添加物と、
(b)前記別個にパッケージされた栄養添加物を含む、基礎ペットフードのパッケージと
を含む、ペット用の栄養添加物システム。
【請求項21】
前記別個にパッケージされた栄養添加物が、空気の導入を実質的に防止し、かつ容器内へ空気を実質的に導入することなく前記栄養添加物を分配できるようにする気密容器中にパッケージされる、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項22】
前記容器がプラスチック容器であり、前記プラスチックが、前記栄養添加物がUVにさらされるのを防止するためのUV吸収剤を含有する、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項23】
前記別個にパッケージされた栄養添加物が、前記栄養添加物を前記基礎ペットフードに適用するためのアプリケータを含む、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項24】
前記アプリケータを含む前記別個にパッケージされた栄養添加物が、前記基礎ペットフードに適用することができる栄養添加物の量を調整する用量制御装置をさらに含む、請求項23に記載の栄養添加物システム。
【請求項25】
前記別個にパッケージされた栄養添加物が、1種もしくは複数のビタミン、および/または1種もしくは複数のミネラル、および/または1種もしくは複数のハーブタイプの添加物を含む乾燥添加物を含有する、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項26】
前記別個にパッケージされた栄養添加物が液状であり、1種もしくは複数のビタミン、および/または1種もしくは複数のミネラル、および/または1種もしくは複数のハーブタイプの添加物を含む、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項27】
前記栄養添加物が、A、C、B12、D、E、K、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、ピリドキシン、葉酸、コリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるビタミン類を含む、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項28】
前記栄養添加物が、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン、コバルト、モリブデン、カドミウム、ヒ素、ケイ素、バナジウム、ニッケル、鉛、スズ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるミネラル類を含む、請求項20に記載の栄養添加物システム。
【請求項29】
前記栄養添加物が、セイヨウオトギリソウ(St.Johns Wort)、カバ(Kava Kava)、エキナセア(Echinacea)、イチョウ、チョウセンニンジン、キャッツクロー、カモミール、ヒドラスチス(Golden Seal)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるハーブ類を含む、請求項20に記載の栄養システム。
【請求項30】
前記基礎ペットフードが、いずれかのビタミン類、ミネラル類、および/またはハーブ類を0.0〜1.0%(wt)含有する、請求項20に記載の栄養システム。
【請求項31】
前記基礎ペットフード中の前記ビタミン類、またはミネラル類、あるいはハーブ類の濃度が、約0.1%(wt)未満である、請求項30に記載の栄養システム。
【請求項32】
(a)別個にパッケージされた栄養添加物と、
(b)基礎ペットフードが、200°F(93.3℃)以上の温度および/または100(sec)-1以上の剪断速度で形成されていることを特徴とする、前記別個にパッケージされた栄養添加物を含む基礎ペットフードのパッケージと
を含む、ペット用栄養添加物システム。
【請求項33】
前記基礎ペットフードが、約200〜500°F(93.3〜260℃)の範囲の温度および約102〜104(sec)−1の剪断速度で調製されていることを特徴とする、請求項32に記載のペット用栄養添加物システム。
【請求項34】
(a)200°F(93.3℃)を超える温度および/または100(sec)-1以上の剪断速度を加えることによって形成される、基礎ペットフードを形成すること、
(b)前記基礎ペットフード用のパッケージを供給すること、
(c)前記基礎ペットフード用の、別個にパッケージされた栄養添加物を供給すること、ならびに
(d)前記別個にパッケージされた栄養添加物を前記基礎ペットフードのパッケージ中に組み込み、前記別個にパッケージされた栄養添加物を含む前記基礎ペットフードのパッケージを密封すること
を含む、ペットフードの栄養価を高める方法。
【請求項35】
前記栄養添加物用の前記パッケージが、容器中の前記添加物を空気に実質的にさらすことなく前記栄養添加物を分配することができる気密容器を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
基礎ペットフードの前記密封されたパッケージを開封し、前記栄養添加物を前記基礎ペットフードに分配することを含む、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2007−522821(P2007−522821A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554330(P2006−554330)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/006097
【国際公開番号】WO2005/082044
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(500013142)ティー.エフ.エイチ.パブリケーションズ、インコーポレーテッド (18)
【Fターム(参考)】