説明

栄養繁殖作物の品種識別マーカー

【課題】コンニャク品種間多型の検出が可能なDNAマーカーを構築し、コンニャク産業における品種識別の判断材料を提供することを課題とする。
【解決手段】コンニャク主要栽培品種4品種(あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、みやままさり)および他1系統(支那種)を制限酵素ランドマークゲノムスキャニング(RLGS)法に供することで、これら品種・系統のゲノムDNAの中から、品種・系統に特異的なDNA断片を検出した。検出されたDNA断片の塩基配列情報から、品種・系統間多型を示すDNA断片を特異的に増幅可能なプライマーを構築した。構築したプライマーを用いてPCR反応を試みた結果、コンニャク主要栽培品種4品種の識別が可能であることが判明した。さらに、主要栽培品種4品種を識別するためのCAPSマーカーの開発にも成功した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンニャク生芋および一次加工品においてコンニャク主要栽培品種と他の品種・系統を識別するためのDNAマーカー、および該マーカーを標的としてコンニャク主要栽培品種の候補を絞り込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンニャクは主に栄養繁殖で増殖・栽培されており、最初に優良品種を少量購入すれば自家増殖で高品質なコンニャクの生産が可能となる。
これまで、コンニャクの品種識別は地上部葉柄の斑紋や小葉の色・形状、球茎・生子の形等、外観観察で行われてきた。しかし、これらの特性は生育環境に応じて変化するため複数の特徴から品種を推定する程度の精度に過ぎず、確実に品種を識別するマーカーとしては利用不可能であった。また、収穫された球茎は荒粉や精粉に一次加工されるが、これら加工品では品種識別の手段が全く存在しなかった。このため、優良品種の海外への持ち出し、不正栽培を防止・規制することができず、国内コンニャク産業に深刻な影響が生じる可能性があった。
【0003】
近年の分子生物学的手法の適用に関しては、群馬県農業技術センターが平成5年〜13年にRFLP法やRAPD法を用いたコンニャクの品種識別技術について研究を行った。しかし、安定なDNA多型の検出が極めて難しく、実用的な品種識別マーカーは全く得られなかった。このため、コンニャクの「あかぎおおだま」、「はるなくろ」、「みょうぎゆたか」、「みやままさり」の主要4品種を識別することは現在まで極めて困難であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「コンニャク品種識別マーカーの開発」野口 友嗣、細渕 朗子、高宮 知子、飯塚 弘明、村上 康文、山下 秀次、奥泉 久人 DNA多型 vol.15 p.154-158、2007
【非特許文献2】「RLGS法を用いたコンニャク品種識別共優性マーカーの開発」野口 友嗣、細渕 朗子、高宮 知子、飯塚 弘明、山下 秀次、村上 康文、奥泉 久人 DNA多型 vol.16 p.65-71、2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものであり、本発明は、分子生物学的手法を用いて、コンニャクの品種に特異的なDNAマーカーを提供することを課題とする。また本発明は、該マーカーを標的としてコンニャクの品種の候補を絞り込む方法、該方法に用いるための試薬やキット、該方法に使用できるオリゴヌクレオチド、該方法に使用できるオリゴヌクレオチドのセットなどを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。本発明者らは、コンニャク主要栽培品種4品種(あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、みやままさり)、および他1系統(支那種)を制限酵素ランドマークゲノムスキャニング法(RLGS法;特許第2794047号広報参照)に供することで、品種・系統間に特異的なDNA断片を合計38個検出することに成功した。本発明者らは、品種・系統間に特異的なDNA断片を解析したところ、当該DNA断片に含まれる遺伝子型を指標とすることにより、被検コンニャクの品種の候補の絞り込みを行えることを見出した。
【0007】
具体的には、本発明者らは、RLGS法により得られた品種・系統間に特異的なDNA断片に含まれる塩基配列情報から、品種・系統間多型を示すDNA断片を特異的に増幅可能な3対のプライマー(配列番号:1〜6)を合成した。そして、コンニャク主要栽培品種「あかぎおおだま」、「はるなくろ」、「みょうぎゆたか」、「みやままさり」および他1系統(支那種)のゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行った。
得られた増幅産物を電気泳動で分離した結果、コンニャクの品種の候補を特定することが可能なPCR断片が検出され、当該PCR断片長を指標にコンニャクの品種の候補の判定を行えることが判明した。
【0008】
さらに本発明者らは、主要栽培品種4品種を識別するためのCAPSマーカーの開発にも成功した。本発明者らは、配列番号:7及び8に記載の塩基配列からなるプライマーペアを設計し、PCRを行った。さらに、PCRにより得られた増幅産物を制限酵素HhaIにより分解した。
得られた分解産物を電気泳動で分離した結果、コンニャクの品種の候補を特定することが可能なDNA断片が検出され、当該DNA断片を指標にコンニャクの品種の候補の判定を行えることが判明した。
【0009】
本発明はこのような知見に基づくものであり、より詳細には、以下の〔1〕から〔17〕に記載の発明に関する。
〔1〕以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
〔2〕対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つのDNA領域の遺伝子型である、〔1〕に記載の方法;
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
〔3〕対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)及び(2)に記載のDNA領域の遺伝子型である、〔2〕に記載の方法;
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
〔4〕対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)及び(2)に記載のDNA領域の遺伝子型である、〔2〕に記載の方法;
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(2)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
〔5〕対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)及び(2)に記載のDNA領域の遺伝子型である、〔2〕に記載の方法;
(1)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(2)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
〔6〕以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみやままさりが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
〔7〕以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補がはるなくろ又はみやままさりであると絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかのコンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
〔8〕以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又ははるなくろのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又ははるなくろが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみやままさりが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかのコンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
〔9〕以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみやままさりが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける対照コンニャクに特異的な遺伝子型であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域を含むDNA断片を取得する工程、及び
(ii)工程(i)で取得されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程、
〔10〕〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の方法に用いるためのコンニャク品種の候補を絞り込むためのキット、
〔11〕配列番号:1から8のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
〔12〕以下(A)から(D)からなる群より選択される少なくとも1組のセット;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、及び
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
〔13〕〔11〕に記載のオリゴヌクレオチド、又は〔12〕に記載のセットを含有するコンニャク品種の候補を絞り込むためのキット、
〔14〕制限酵素HhaIをさらに含有する〔13〕に記載のキット、
〔15〕コンニャク品種のうちあかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるコンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、下記(i)から(iv)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるDNA断片;
(i)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、及び
(iv)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
〔16〕以下(a)及び(b)に記載の工程により得られるDNA断片;
(a)コンニャク品種のうちあかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるコンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセットをプライマーセットとするPCRによってDNA断片を増幅する工程、及び
(b)工程(a)で得られたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程、
〔17〕配列番号:10〜12、14、18〜21のいずれかに記載の塩基配列又は当該塩基配列に相補的な塩基配列の全部又は一部を含むDNA。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、分子生物学的手法を用いてコンニャクの品種の候補を絞り込むことが可能となった。従来、コンニャクの品種の識別は外観観察で行われてきた。しかし、コンニャクの外観は生育環境に応じて変化するため、品種識別の精度が低いという問題があった。また、コンニャクが加工された場合、品種を識別する手段が全く存在しなかった。
本発明では、コンニャクの品種を品種に特異的なDNA断片を指標として識別する。そのため、生育環境の影響を受けやすい外観を指標とした識別と比べ、コンニャクの品種を高精度に判定することが可能である。また、これまで品種の識別が困難であった加工品の状態でも、コンニャクの品種を予測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】品種識別プライマーkon601を用いたコンニャク品種の識別結果(電気泳動結果)を示す図及び写真である。
【図2】品種識別プライマーkon603を用いたコンニャク品種の識別結果(電気泳動結果)を示す写真である。
【図3】品種識別プライマーkon272を用いたコンニャク品種の識別結果(電気泳動結果)を示す写真である。
【図4】品種識別プライマーkon601 CAPSを用いたコンニャク品種の識別結果(電気泳動結果)を示す図及び写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、制限酵素ランドマークゲノムスキャニング法(RLGS法)により得られた品種・系統間に特異的なDNA断片を解析したところ、当該DNA断片に含まれる遺伝子型を指標とすることにより、被検コンニャクの品種の候補の絞り込みを行えることを見出した。本発明はこのような知見に基づき、以下の発明を提供する。
【0013】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【0014】
「対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型」としては、例えば、「対照コンニャクのゲノムDNAにおける以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つのDNA領域の遺伝子型」が挙げられる。
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【0015】
なお、この方法では、遺伝子型が一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補として対照コンニャクの品種が絞り込まれる。
また、遺伝子型が一致しない場合に、被検コンニャクの品種の候補から対照コンニャクの品種が除外される。
【0016】
本発明において、「遺伝子型」とは、アリルの種類(パターン)を意味する。よって、本発明の「遺伝子型」は「アリルパターン」と表現することもできる。また、本発明の「アリル」は「アレル」や「対立遺伝子」、「多型」と表現することもできる。
【0017】
本発明において、「少なくとも1つのDNA領域の遺伝子型」には、1つのDNA領域の遺伝子型、及び、複数(例えば、2つ又は3つ以上)のDNA領域それぞれの遺伝子型の組み合わせが含まれる。
【0018】
本発明における「対照コンニャクに特異的な遺伝子型」は「対照コンニャク品種に特異的な遺伝子型」と表現することもできる。
また「DNA領域の遺伝子型」は「DNA領域に存在する遺伝子型」、「DNA上の部位に存在する遺伝子型」と表現することもできる。
また「DNA」は「二本鎖DNA」と表現することも出来る。
【0019】
本発明における対照コンニャクは、そのコンニャクのゲノムDNAにおける上記(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つのDNA領域の遺伝子型であって、そのコンニャクに特異的な遺伝子型が検出されるコンニャクである。対照コンニャクとしては、例えば、以下の1から4からなる群より選択される少なくとも1つのコンニャクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下の1から4のコンニャクと類縁のコンニャクや遠縁のコンニャクもまた本発明の対照コンニャクに含まれる。
1.あかぎおおだま(農林認定番号:こんにゃく農林1号、育成機関:群馬県農業技術センター)
2.はるなくろ(農林認定番号:こんにゃく農林2号、育成機関:群馬県農業技術センター)
3.みょうぎゆたか(登録番号:第9035号、育成者権者:群馬県)
4.みやままさり(登録番号:第13194号、育成者権者:群馬県)
これらの対照コンニャクは、例えば群馬県農業技術センターから入手することが出来る。またコンニャク栽培農家から入手することも出来る。
【0020】
なお、「農林認定番号」及び「育成機関」とは、日本国の農林認定制度(従来の命名登録制度)における農林認定番号及び育成機関を意味する。また、「登録番号」及び「育成者権者」とは、日本国の品種登録制度における登録番号及び育成者権者を意味する。
【0021】
本発明において、被検コンニャクとしては、コンニャクの特徴を有する植物、コンニャクの可能性がある植物、遺伝的にコンニャクに近縁な植物種およびこれら植物を原料とした加工品等が例示できるが、これらに制限されない。加工品としては生イモ切片、荒粉、精粉などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
またコンニャクの特徴としては、種子による種子繁殖と吸枝やムカゴによる栄養繁殖の特性を併せ持ち、地下部には茎が肥大した栄養体である球茎、地上部は1枚の葉が変化した小葉および葉柄から構成される植物が例示できるが、これらに限定されない。
【0023】
また、本発明における「品種」は、品種登録されている場合、「品種又は育成系統」と表現することもできる。「品種又は育成系統」における「品種」は品種登録制度における登録品種を意味し、「品種又は育成系統」における「育成系統」は品種登録制度における未登録品種(例えば、品種として確立される前の育成段階のもの、広く流通している系統などが例示できる)を意味する。
【0024】
本発明において「品種の候補を絞り込む」は、「品種の候補を選択する」、「品種の候補を識別する」、「品種の候補を判別する」、「品種の候補を同定する」、「品種の候補を鑑定する」又は「品種の候補を判定する」と表現することが出来る。
また、本発明における「品種の候補を絞り込む」は、「品種を識別する」、「品種を判別する」、「品種を同定する」、「品種を鑑定する」又は「品種を判定する」と表現することも出来る。
また「(a)と同じDNA領域の遺伝子型」は「対照コンニャクに特異的な遺伝子型を含むDNA領域の遺伝子型」、「(a)と同じ工程を経て同定される遺伝子型」と表現することも出来る。より具体的には、例えば、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域における遺伝子型
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域における遺伝子型
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域における遺伝子型
などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として本明細書に例示された発明、およびそれらの発明を任意に組み合わせた発明もまた、以下の形式で表現することができる。
【0026】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む、以下(b)に記載の遺伝子型が以下(a)に記載の遺伝子型と一致するか否かを判定する方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける上記(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つのDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
遺伝子型同士が一致すると判定された場合、対照コンニャクの品種が被検コンニャクの品種の候補として絞り込まれる。
【0027】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として本明細書に例示された発明、およびそれらの発明を任意に組み合わせた発明もまた、以下の形式で表現することができる。
【0028】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として、対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)以下(A)から(C)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRの増幅対象となる、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、及び
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【0029】
本発明において「含む」という文言の代わりに、「からなる」という文言を使用できる。
【0030】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として本明細書に例示された発明、およびそれらの発明を任意に組み合わせた発明もまた、以下の形式で表現することができる。
【0031】
以下(a)に記載のPCR産物の種類、及び、以下(b)に記載のPCR産物の種類を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較したPCR産物の種類が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(C)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物の種類であって、対照コンニャクに特異的なPCR産物の種類、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、(a)と同じセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物の種類。
【0032】
本発明において、「PCR産物の種類」とは、PCR産物の有無又は分子サイズによって分類されたPCR産物のパターンを意味し、「PCR産物の種類」は「PCRパターン」と表現することができる。「PCR産物の種類(PCRパターン)」は「遺伝子型(アレルパターン)」に相当する。
【0033】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として本明細書に例示された発明、およびそれらの発明を任意に組み合わせた発明もまた、以下の形式で表現することができる。
【0034】
以下(a)に記載のPCR産物、及び、以下(b)に記載のPCR産物の同一性を決定する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程においてPCR産物が同一であったときに、被検コンニャクの品種の候補として、対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(C)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物であって、対照コンニャクに特異的なPCR産物、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、(a)と同じセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物。
【0035】
また本発明は、以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法を提供する。
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける対照コンニャクに特異的な遺伝子型であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域を含むDNA断片を取得する工程、及び
(ii)工程(a)で取得されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
【0036】
上記発明において、「遺伝子型」、「対照コンニャク」、「被検コンニャク」、「品種」、「品種の候補を絞り込む」の定義は上述の通りである。
【0037】
上記発明において、「(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型」は「(a)の対照コンニャクと同じ工程を経て同定される遺伝子型」と表現することも出来る。
【0038】
また上記発明は、以下のように別の形式で表現することができる。
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む、以下(b)に記載の遺伝子型が以下(a)に記載の遺伝子型と一致するか否かを判定する方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける対照コンニャクに特異的な遺伝子型であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域を含むDNA断片を取得する工程、及び
(ii)工程(a)で取得されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
遺伝子型同士が一致すると判定された場合、対照コンニャクの品種が被検コンニャクの品種の候補として絞り込まれる。
また遺伝子型同士が一致しないと判定された場合、対照コンニャクの品種が被検コンニャクの品種の候補から除外される。
【0039】
また上記発明は、以下のように別の形式で表現することができる。
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として、対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける対照コンニャクに特異的な遺伝子型であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセットをプライマーとし、対照コンニャクのゲノムDNAを増幅する工程、及び
(ii)工程(a)で増幅されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
本発明において「含む」という文言の代わりに、「からなる」という文言を使用できる。
【0040】
また上記発明は、以下のように別の形式で表現することができる。
以下(a)に記載の制限酵素処理産物の種類、及び、以下(b)に記載の制限酵素処理産物の種類を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較した制限酵素処理産物の種類が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として、対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクにおける対照コンニャクに特異的な制限酵素処理産物の種類であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される制限酵素処理産物の種類、及び
(b)被検コンニャクにおける制限酵素処理産物の種類であって、(a)の対照コンニャクと同じ工程を経て同定される制限酵素処理産物の種類、
(i)対照コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセットをプライマーセットとするPCRによって、対照コンニャクのゲノムDNAを増幅する工程、及び
(ii)工程(a)で増幅されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
【0041】
上記発明において、「制限酵素処理産物の種類」とは、分子サイズによって分類された制限酵素HhaI処理の産物のパターンを意味し、「制限酵素処理産物の種類」は「制限酵素処理産物のパターン」と表現することができる。「制限酵素処理産物の種類(制限酵素処理産物パターン)」は「遺伝子型(アレルパターン)」に相当する。
【0042】
また上記発明は、以下のように別の形式で表現することができる。
以下(a)に記載の制限酵素処理産物、及び、以下(b)に記載の制限酵素処理産物の同一性を決定する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において制限酵素処理産物が同一であったときに、被検コンニャクの品種の候補として、対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクにおける対照コンニャクに特異的な制限酵素処理産物の種類であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される制限酵素処理産物の種類、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける制限酵素処理産物の種類であって、(a)の対照コンニャクと同じ工程を経て同定される制限酵素処理産物の種類、
(i)対照コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセットをプライマーセットとするPCRによって、対照コンニャクのゲノムDNAを増幅する工程、及び
(ii)工程(a)で増幅されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
【0043】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。
以下(a)〜(c)に記載の工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、制限酵素処理産物が同一であったときに、被検コンニャクの品種の候補として、対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかの対照コンニャク、及び被検コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセットをプライマーセットとするPCRによって、対照コンニャク及び被検コンニャクのゲノムDNAを増幅する工程、
(b)工程(a)で増幅されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程、及び
(c)工程(b)で得られた制限酵素処理産物の同一性を決定する工程。
【0044】
以下に本発明の方法を例示するが、これに限定されるものではない。
本発明においては、まず、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりから選択されるコンニャクそれぞれについて、ゲノムDNAにおける上記(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つのDNA領域に存在する遺伝子型を検出する。次いで、多品種・系統のコンニャクのうち特定又は1つの品種のコンニャクに特異的な遺伝子型(以下、遺伝子型Xと称する)、及び、該遺伝子型Xを示すDNA領域(以下、DNA領域Yと称する)を同定する。また、該特定又は1つの品種のコンニャクを対照コンニャクとする。次いで、被検コンニャクのゲノムDNAにおいて、DNA領域Yと同じDNA領域の遺伝子型(以下、遺伝子型Zと称する)を同定する。次いで、遺伝子型X、及び、遺伝子型Zを比較する。比較した遺伝子型が一致したときに、対照コンニャクの品種が、被検コンニャクの品種の候補として絞り込まれる。
【0045】
具体的には、まず、上記(1)から(3)からなる群より選択されるいずれかのDNA領域をPCRにより増幅するためのプライマーを設計する。プライマーを設計する際には、プライマーの長さが20bp前後、Tm値が55〜60℃程度になることが好ましいが、これに制限されるものではない。プライマーはPrimer3 (Rozen and Skaletsky, 2000, In: Krawets and Misener (eds.) Bioinfomatics Methods and Protocols: Methods in Molecular Biology, Totowa, NJ, USA: Humana Press, 365-386)によって設計できる。上記(1)から(3)からなる群より選択されるいずれかのDNA領域としては、上記(A)から(C)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRの増幅対象となるコンニャクのゲノムDNAにおける領域である。
【0046】
次いで、設計したプライマーを合成する。プライマーは、その塩基配列情報に従って化学的に合成することができる。任意の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する方法が公知である。たとえば、オリゴヌクレオチドは、DNA合成装置(DNA synthesizer)によって合成することができる。具体的には、現在、ホスホロアミダイト法やホスホン酸エステル法などの原理に基づく、DNA合成装置が実用化されている。これらのDNA合成装置は、与えられた塩基配列にしたがって、固相上に、ヌクレオチドモノマーをひとつずつ化学的に連結する。全ての反応工程は自動化されていて、目的とする塩基配列情報を入力することで合成が開始される。したがって、このようなDNA合成装置に対して、設計したプライマーの塩基配列を与えることによって、目的とするDNAを合成することができる。
【0047】
次いで、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりから選択される対照コンニャクそれぞれについて、ゲノムDNAを鋳型とし、合成したプライマーセットを用いてPCRを行う。本発明においては、好ましくは、まず対照コンニャクのゲノムDNAの調製(ゲノムDNAの抽出)を行う。ゲノムDNAの調製は、例えば、対照コンニャクの葉、根、花、種子、葉柄、球茎、吸枝、カルス、培養細胞、精粉等を用いて行うことができるが、これらに特に限定されない。コンニャクもしくはコンニャク細胞からのゲノムDNAの抽出は、当業者においては一般的に公知の方法、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法(Murray and Thompson, Nucleic Acids Research 8, p.4321−4325, 1980)等によって行うことができる。また、DNeasy(登録商標) Plant Mini Kit(QIAGEN)等を利用してゲノムDNAを抽出することができる。また、ゲノムDNAの抽出処理を行わず、例えば、直接細胞破砕液等を用いてPCRを実施することも可能である。
【0048】
PCR法としては、例えば、タッチダウンPCR法(Sato et al. 2005, DNA Res. 12, 301-364)、ネステッドPCR法(PCR法 利用の手引き、矢崎義雄 監修、中外医学社、1998)が挙げられるが、これに限定されるものではなく、当業者においては、その反応条件等について実験または経験によって最適な条件を適宜選択して実施することが可能である。
【0049】
通常、PCRは、反応液および耐熱性ポリメラーゼを含む市販の試薬キット(rTaq, ExTaq, Takara; BIOTAQ, BIOLINEなど)、および市販のPCR装置(GeneAmp(登録商標) PCR System 9700, ABIなど)等を利用して、簡便に実施することができる。
【0050】
次いで、PCR産物の有無、又はPCRによって増幅されたPCR産物の分子サイズを測定する。PCR産物の有無、又はPCRによって増幅されたPCR産物の分子サイズの測定方法としては、当業者に周知の方法が挙げられる。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いる方法、アガロースゲル電気泳動を用いる方法、フラグメントアナライザーを用いる方法、マイクロチップ電気泳動装置(Multina, 島津)が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
PCR産物の分子サイズを測定する場合、具体的には、PCR産物を蛍光ラベルした後にキャピラリー電気泳動で分離、分離された各々のPCR産物の分子サイズを測定する。あるいは、PCR産物を(ポリアクリルアミドゲル/アガロースゲルで)電気泳動で分離し、分離された各々のPCR産物の分子サイズを測定する。通常、予めサイズが既知のDNA断片(例えば、サイズマーカー)を対照として、分離された各々のPCR産物の分子サイズ(例えば、分子量や長さ)を測定する。次いで、分子サイズによってPCR産物を分類し、PCR産物の種類を特定する。特定されたPCR産物の種類は、対照コンニャクに特異的な遺伝子型に相当する。
【0052】
次いで、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりから選択される対照コンニャクうち特定又は1つの対照コンニャクに特異的な遺伝子型を同定する。
【0053】
次いで、被検コンニャクのゲノムDNAにおいて、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりから選択される対照コンニャクのうち特定又は1つの対照コンニャクに特異的な遺伝子型を示すDNA領域と同じ領域に存在する遺伝子型(以下、「被検コンニャクにおける遺伝子型」と称する)を同定する。被検コンニャクにおける遺伝子型の同定は、対照コンニャクと同一の実験方法及び実験条件で行われることが好ましい。次いで、例えばBioNumerics (販売元:インフォコム、作製者:Applied Maths社)によって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型と被検コンニャクにおける遺伝子型を比較する。
【0054】
また本発明は、以下(4)のDNA領域に存在する遺伝子型を検出する工程を含む発明も提供する。
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
上記(4)のDNA領域に存在する遺伝子型を検出する場合、プライマーの設計、設計したプライマーの合成、設計したプライマーによるPCR反応の工程に加え、PCR反応によって得られたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程、及び、制限酵素処理によって得られた産物の分子サイズを測定する工程が必要である。プライマーの設計、設計したプライマーの合成、PCR反応、分子サイズの測定は上述の方法によって行うことが可能である。分子サイズを測定することによって特定された制限酵素処理産物の種類は、対照コンニャク及び被検コンニャクに特異的な遺伝子型に相当する。対照コンニャクに特異的な遺伝子型と被検コンニャクにおける遺伝子型の比較は上述の方法によって行うことが出来る。
【0055】
本発明において、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかの対照コンニャクに特異的な遺伝子型としては、本実施例に記載された遺伝子型が例示できるが、これに限定されない。例えば、これら対照コンニャクに特異的な遺伝子型としては、本実施例と異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を本実施例と同じ分離方法及び分離条件で分離したときに検出されるPCR産物の種類に相当する遺伝子型でもよいし、本実施例と同じPCR条件又は異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を本実施例と異なる分離方法及び分離条件で分離したときに検出されるPCR産物の種類に相当する遺伝子型でもよい。
また、本実施例と異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を、本実施例と同じ又は異なる制限酵素処理条件によって分解し、得られた制限酵素処理産物を本実施例と同じ分離方法及び分離条件、又は異なる分離方法及び分離条件で分離したときに検出される制限酵素処理産物の種類に相当する遺伝子型でもよいし、本実施例と同じPCR条件によって増幅されたPCR産物を、本実施例と同じ制限酵素処理条件又は異なる制限酵素処理条件によって分解し、得られた制限酵素処理産物を本実施例と同じ分離方法及び分離条件、又は異なる分離方法及び分離条件で分離したときに検出される制限酵素処理産物の種類に相当する遺伝子型でもよい。
【0056】
本発明の具体的な態様としては、以下(I)〜(VII)の発明、及び(I)〜(VII)を任意に組み合わせた発明が例示できるが、これらに限定されるものではなく、本発明には実施例の結果に基づき特定可能な全ての発明が含まれる。
【0057】
(I)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみやままさりが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【0058】
(II)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補がはるなくろ又はみやままさりであると絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかのコンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【0059】
(III)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又ははるなくろのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又ははるなくろが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみやままさりが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかのコンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【0060】
(IV)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだまのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだまが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみやままさりが絞り込まれる方法;
(a)対照コンニャクのゲノムDNAにおける以下(1)及び(2)に記載のDNA領域に存在する遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【0061】
(V)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだまのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだまが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみやままさりが絞り込まれる方法;
(a)対照コンニャクのゲノムDNAにおける以下(1)及び(2)に記載のDNA領域に存在する遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
(2)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【0062】
(VI)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだまのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだまが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみやままさりが絞り込まれる方法;
(a)対照コンニャクのゲノムDNAにおける以下(1)及び(2)に記載のDNA領域に存在する遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型、
(1)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
(2)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【0063】
(VII)
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみやままさりが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける対照コンニャクに特異的な遺伝子型であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域を含むDNA断片を取得する工程、及び
(ii)工程(a)で取得されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
【0064】
なお、(I)〜(VII)を任意に組み合わせた発明として以下を例示できるがこれらに限定されない。
・(I)の発明と(VI)の発明を組み合わせた発明
・(II)の発明と(V)の発明を組み合わせた発明
・(III)の発明と(IV)の発明を組み合わせた発明
・(I)の発明と(VII)の発明を組み合わせた発明
・(II)の発明と(VII)の発明を組み合わせた発明
・(III)の発明と(VII)の発明を組み合わせた発明
・(IV)の発明と(VII)の発明を組み合わせた発明
・(V)の発明と(VII)の発明を組み合わせた発明
・(VI)の発明と(VII)の発明を組み合わせた発明
【0065】
また、本発明は、本発明の方法に用いるためのコンニャクの品種の候補を絞り込むための試薬やコンニャクの品種を絞り込むためのキットを提供する。このような試薬やキットには、少なくとも次の構成要素(i)が含まれる。
(i)以下(1)から(4)からなる群より選択されるいずれかのDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセット
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【0066】
上記(1)から(4)のDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセットの一例として以下(A)から(D)のセットが挙げられるが、これらに限定されない。
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【0067】
また本発明の試薬やキットには、上記構成要素(i)に加え、構成要素(ii)が含まれてもよい。
(ii)制限酵素HhaI
特に、本発明の試薬やキットに上記(4)のDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセットが含まれる場合、該試薬やキットには、さらに制限酵素HhaIが含まれることが好ましい。
【0068】
上記試薬やキットには、前記構成要素(i)及び(ii)に加え、さらに次のような付加的な要素(iii)又は(iv)を含むことができる。
(iii)DNAポリメラーゼ:本発明の試薬やキットは、鋳型依存性の相補鎖合成反応を触媒するDNAポリメラーゼを含むことができる。PCRなどの公知の核酸合成反応に利用されている種々のDNAポリメラーゼは、本発明に利用することができる。
(iv)ヌクレオチド基質:本発明の試薬又やキットは、核酸の相補鎖合成反応の基質として利用されるヌクレオチド類を含むことができる。具体的には、dCTP、dGTP、dTPT、およびdATPの少なくとも一つ、通常はこれらの全て(dNTP)をキットに含むことができる。これらのヌクレオチド類は、天然の構造のみならず、誘導体を利用することもできる。蛍光物質や結合性リガンドで修飾したヌクレオチド類が公知である。上記試薬やキットには、PCRによる増幅産物の有無や、PCRにより増幅されたPCR産物のサイズが記載された書類を添付することができる。また、PCRにより増幅されたPCR産物のサイズ情報を機械読み取り可能なデータとし、それを格納した記録媒体として、試薬やキットに加えることもできる。
【0069】
例えば、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみややまさりが絞り込まれるか、それとも、はるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれるかを判別するために用いられる試薬やキットとしては、上記(A)から(D)からなる群より選択される少なくとも(A)に記載のセットを含む試薬やキット、又は、少なくとも(D)に記載のセット及び制限酵素HhaIを含む試薬やキットが例示できる。
【0070】
例えば、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみややまさりが絞り込まれるか、それとも、あかぎおおだま又はみょうぎゆたかが絞り込まれるかを判別するために用いられる試薬やキットとしては、上記(A)から(D)からなる群より選択される少なくとも(B)に記載のセットを含む試薬やキット例示できる。
【0071】
例えば、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又ははるなくろが絞り込まれるか、みょうぎゆたかが絞り込まれるか、それとも、みやままさりが絞り込まれるかを判別するために用いられる試薬やキットとしては、上記(A)から(D)からなる群より選択される少なくとも(C)に記載のセットを含む試薬やキットが例示できる。
【0072】
例えば、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだまが絞り込まれるか、はるなくろが絞り込まれるか、みょうぎゆたかが絞り込まれるか、それともみやままさりが絞り込まれるかを判別するために用いられる試薬やキットとしては、上記(A)から(D)からなる群より選択される少なくとも(A)及び(B)のセットを含む試薬やキット、少なくとも(A)及び(C)のセットを含む試薬やキット、少なくとも(B)及び(C)のセットを含む試薬やキット、少なくとも(A)及び(D)のセット並びに制限酵素HhaIを含む試薬やキット、少なくとも(B)及び(D)のセット並びに制限酵素HhaIを含む試薬やキット、少なくとも(C)及び(D)のセット並びに制限酵素HhaIを含む試薬やキットが例示できる。
【0073】
さらに本発明は、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかの対照コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(D)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物を提供する。また本発明は、あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかの対照コンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、上記(D)のセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物を、制限酵素HhaIにより分解することによって得られる産物を提供する。このようなPCR産物やHhaIの分解産物として、例えば、配列番号:10〜12、14、18〜21のいずれかに記載の塩基配列、又は当該塩基配列に相補的な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。該PCR産物やHhaIの分解産物の製造方法や利用方法は上述の通りである。
なおHhaIの分解産物は突出末端を有する。そのため、2本鎖DNAの一方の鎖(例えば配列番号:18又は19に記載の塩基配列)は、その相補鎖(例えば配列番号:18、19に記載の塩基配列に相補的な塩基配列)と完全には相補的ではない(突出末端を有する2本鎖DNAはその末端部分において塩基対を形成しないため)。本発明はこのような理由から、あるいはPCR産物の配列がヘテロであるという理由から2本鎖DNAの一方の鎖とその相補鎖が完全には相補的ではない場合であっても、2本鎖を形成しうる限り、「相補的な」の意味に含まれる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に制限されるものではない。
【0075】
〔実施例1〕品種識別プライマーkon601を用いたコンニャク品種の識別
(1)コンニャクゲノムDNAの抽出
主要栽培品種「あかぎおおだま」、「はるなくろ」、「みょうぎゆたか」、「みやままさり」および他1系統(支那種)を含めた5品種・系統のコンニャク球茎を入手し、その試料からDNA抽出を行った。前記の5品種・系統の球茎頂芽を液体窒素中で凍結磨砕し、磨砕した組織0.1gにpolyvinylpyrrolidone (PVP) 20mg、sodium dodecyl sulfate (SDS) 20mgを加え、これらを0.8ml cetyl trimethyl ammonium bromide (CTAB) 抽出液で懸濁した。このときの抽出液の組成は、1%CTAB, 0.1M Tris-HCl (pH8.0), 50mM ethylene diamine tetraacetic acid (EDTA), 1.4M sodium chloride (NaCl), 0.1% β-mercaptoethanol (CTAB法)であった。溶解液にproteinase K (MERCK) 40μgを加え、56℃で30分間静置した後、PCI (Phenol/Chloroform/Isoamylalchohol (25:24:1)), CIA (Chloroform/Isoamylalchohol (24:1)) 処理を行って上清を回収した。その後イソプロピルアルコール沈澱による精製を行うことでコンニャク各品種・系統のゲノムDNAを抽出した。
【0076】
(2)PCR反応
抽出したゲノムDNA2ngをテンプレートとしてPCRを行った。
PCRの試薬組成は、2ngの抽出DNAに1Units TaKaRa Ex Taq HS (タカラバイオ社製)、2μlの10×Ex Taq Buffer、5nmolのdNTP Mixture、品種識別プライマーkon601-F及びkon601-R(配列番号:1及び2)それぞれ(0.75 pmol)1.5μl、20μlの滅菌水を加えた合計20μlをPCRチューブに調製して反応を開始した。
PCR反応の条件は、iCycler(BIO RAD社製)を用いて95℃で10分間の反応後、95℃15秒間、67℃10秒間、72℃5秒間の反応を36サイクル繰り返す条件で行った。
【0077】
(3)アガロースゲル電気泳動を用いた増幅断片長の解析
反応後得られた増幅産物20μlに6×ローディングバッファー4μlを添加し、0.5×TBE(50mM Tris, 62mM Boric acid, 1mM EDTA)中、3%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動装置はミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用した。電気泳動後のアガロースゲルをエチジウムブロマイド溶液に浸漬させて染色し、脱色後、紫外線照射下でバンドを検出した。写真を撮って品種・系統間の多型を比較した(図1)。また、検出結果を表1(kon601マーカーによる品種の識別)にまとめた。
【0078】
【表1】

【0079】
みやままさりのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:1及び2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片を、配列番号:10に示す。
【0080】
〔実施例2〕品種識別プライマーkon603を用いたコンニャク品種の識別
品種識別プライマーとしてkon603-F及びkon603-R(配列番号:3及び4)を用いたこと、PCR反応の条件を95℃で10分間の反応後、95℃15秒間、65℃10秒間、72℃2秒間の反応を38サイクル繰り返す条件で行ったこと以外は実施例1と同様にしてコンニャク品種・系統の識別を行った。その結果を図2と表2(kon603マーカーによる品種の識別)に示す。なお、表中の記号は表2と同じである。
【0081】
【表2】

【0082】
あかぎおおだま及びみょうぎゆたかのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:3及び4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片の塩基配列を、配列番号:11に示す。
【0083】
〔実施例3〕品種識別プライマーkon272を用いたコンニャク品種の識別
抽出したゲノムDNA20ngを使用したこと、品種識別プライマーとしてkon272-F及びkon272-R(配列番号:5及び6)を用いたこと、PCR反応の条件を95℃で10分間の反応後、95℃15秒間、55℃30秒間、72℃10秒間の反応を30サイクル繰り返す条件で行ったこと以外は実施例1と同様にしてコンニャク品種・系統の識別を行った。その結果を図3と表3(kon272マーカーによる品種の識別)に示す。なお、表中の「C1」、「C2」、「C3」、「C4」、「C5」は増幅DNA断片の異なる鎖長(サイズ)を表す。その他の記号は表2と同じである。
【0084】
【表3】

【0085】
あかぎおおだまのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:5及び6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片の塩基配列を、配列番号:12(バンド名C4)に示す。
あかぎおおだまのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:5及び6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片の塩基配列を、配列番号:20(バンド名C2)に示す。
みょうぎゆたかのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:5及び6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片の塩基配列を、配列番号:14(バンド名C3)に示す。
【0086】
〔実施例4〕品種識別プライマーkon601-CAPSを用いたコンニャク品種の識別
(1)コンニャクゲノムDNAの抽出
主要栽培品種「あかぎおおだま」、「はるなくろ」、「みょうぎゆたか」、「みやままさり」および他1系統(支那種)を含めた5品種・系統のコンニャク球茎を入手し、その試料からDNA抽出を行った。前記の5品種・系統の球茎頂芽を液体窒素中で凍結磨砕し、磨砕した組織0.1gにpolyvinylpyrrolidone (PVP) 20mg、sodium dodecyl sulfate (SDS) 20mgを加え、これらを0.8ml cetyl trimethyl ammonium bromide (CTAB) 抽出液で懸濁した。このときの抽出液の組成は、1%CTAB, 0.1M Tris-HCl (pH8.0), 50mM ethylene diamine tetraacetic acid (EDTA), 1.4M sodium chloride (NaCl), 0.1% β-mercaptoethanol (CTAB法)であった。溶解液にproteinase K (MERCK) 40μgを加え、56℃で30分間静置した後、PCI (Phenol/Chloroform/Isoamylalchohol (25:24:1)), CIA (Chloroform/Isoamylalchohol (24:1)) 処理を行って上清を回収した。その後イソプロピルアルコール沈澱による精製を行うことでコンニャク各品種・系統のゲノムDNAを抽出した。
【0087】
(2)PCR反応
抽出したゲノムDNA20ngをテンプレートとしてPCRを行った。
PCRの試薬組成は、20ngの抽出DNAに1Units TaKaRa Ex Taq HS (タカラバイオ社製)、2μlの10×Ex Taq Buffer、5nmolのdNTP Mixture、品種識別プライマーkon601CAPS-F及びkon601CAPS-R(配列番号:7及び8)それぞれ(0.75 pmol)1.5μl、滅菌水を加えた合計20μlをPCRチューブに調製して反応を開始した。
PCR反応の条件は、iCycler(BIO RAD社製)を用いて95℃で10分間の反応後、95℃15秒間、65℃30秒間、72℃30秒間の反応を35サイクル繰り返す条件で行った。
【0088】
(3)制限酵素HhaIによるDNA消化
反応後得られた増幅産物を、制限酵素HhaIにより切断消化した。
制限酵素消化は、10μlの増幅産物に4Units HhaI (NEB社製)、4μlの10×NEBuffer 4、0.4μlの100×BSA、25.4μlの滅菌水を加えた合計40μlを0.5mlチューブに調製して、37℃で2時間反応させた。
【0089】
(4)アガロースゲル電気泳動を用いた切断増幅多型の解析
反応後の消化産物8μlに6×ローディングバッファー1.6μlを添加し、0.5×TBE(50mM Tris, 62mM Boric acid, 1mM EDTA)中、3%アガロースゲル上で電気泳動を行った。電気泳動装置はミューピッドII(コスモバイオ社製)を使用した。電気泳動後のアガロースゲルをエチジウムブロマイド溶液に浸漬させて染色し、脱色後、紫外線照射下でバンドを検出した。写真を撮って品種・系統間の多型を比較した(図4)。また、検出結果を表4にまとめた。
【0090】
【表4】

【0091】
はるなくろのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7及び8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片の塩基配列を、配列番号:21に示す。
はるなくろのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7及び8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR反応により得られるDNA断片を、制限酵素HhaIにより消化した結果得られるDNA断片の塩基配列を、配列番号:18(バンド名223)及び19(バンド名130)に示す。
なお表4に記載のバンド名は、2本鎖DNAのうち一方の鎖の長さをもとに命名した。HhaIの分解産物は突出末端を有するため、2本鎖DNAの一方の鎖とその相補鎖との間で鎖長が異なる場合があるが、鎖長の命名に使用しなかった鎖を本願発明から排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検コンニャクの品種の候補として対照コンニャクの品種が絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【請求項2】
対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)から(3)からなる群より選択される少なくとも1つのDNA領域の遺伝子型である、請求項1に記載の方法;
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【請求項3】
対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)及び(2)に記載のDNA領域の遺伝子型である、請求項2に記載の方法;
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【請求項4】
対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)及び(2)に記載のDNA領域の遺伝子型である、請求項2に記載の方法;
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(2)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【請求項5】
対照コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型が以下(1)及び(2)に記載のDNA領域の遺伝子型である、請求項2に記載の方法;
(1)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域、及び
(2)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域。
【請求項6】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみやままさりが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【請求項7】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補がはるなくろ又はみやままさりであると絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかのコンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【請求項8】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又ははるなくろのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又ははるなくろが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみょうぎゆたかが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてみやままさりが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるいずれかのコンニャクのゲノムDNAにおける、配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域の遺伝子型であって、対照コンニャクに特異的な遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける(a)と同じDNA領域の遺伝子型。
【請求項9】
以下(a)に記載の遺伝子型、及び、以下(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検コンニャクの品種の候補を絞り込む方法であって、
(b)に記載の遺伝子型があかぎおおだま又はみやままさりのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてあかぎおおだま又はみやままさりが絞り込まれ、
(b)に記載の遺伝子型がはるなくろ又はみょうぎゆたかのそれと一致した場合に、被検コンニャクの品種の候補としてはるなくろ又はみょうぎゆたかが絞り込まれる方法;
(a)あかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択される対照コンニャクのゲノムDNAにおける対照コンニャクに特異的な遺伝子型であって、少なくとも以下(i)及び(ii)に記載の工程を経て同定される遺伝子型、及び
(b)被検コンニャクのゲノムDNAにおける遺伝子型であって、(a)の対照コンニャクと同じDNA領域の遺伝子型、
(i)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるDNA領域を含むDNA断片を取得する工程、及び
(ii)工程(i)で取得されたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法に用いるためのコンニャク品種の候補を絞り込むためのキット。
【請求項11】
配列番号:1から8のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
以下(A)から(D)からなる群より選択される少なくとも1組のセット;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、及び
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【請求項13】
請求項11に記載のオリゴヌクレオチド、又は請求項12に記載のセットを含有するコンニャク品種の候補を絞り込むためのキット。
【請求項14】
制限酵素HhaIをさらに含有する請求項13に記載のキット。
【請求項15】
コンニャク品種のうちあかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるコンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、下記(i)から(iv)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるDNA断片;
(i)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、及び
(iv)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【請求項16】
以下(a)及び(b)に記載の工程により得られるDNA断片;
(a)コンニャク品種のうちあかぎおおだま、はるなくろ、みょうぎゆたか、及びみやままさりからなる群より選択されるコンニャクのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセットをプライマーセットとするPCRによってDNA断片を増幅する工程、及び
(b)工程(a)で得られたDNA断片を制限酵素HhaIで分解する工程。
【請求項17】
配列番号:10〜12、14、18〜21のいずれかに記載の塩基配列又は当該塩基配列に相補的な塩基配列の全部又は一部を含むDNA。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−239960(P2010−239960A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60304(P2010−60304)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度農林水産省、食品総合研究所「食品・農産物の表示の信頼性確保と機能性解析のための基盤技術の開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501167644)独立行政法人農業生物資源研究所 (200)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【Fターム(参考)】