説明

栄養補給食品

本発明は、伴侶動物の認知能力を改善するための栄養補給食品の製造にロイシン、イソロイシンおよびバリンを使用すること、ロイシン、イソロイシンおよびバリンを含むペット用栄養補給食品、並びに動物、特に伴侶動物の認知能力を改善する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伴侶動物の認知能力を改善するための栄養補給食品の製造にロイシン、イソロイシンおよびバリンを使用すること、ロイシン、イソロイシンおよびバリンを含むペット用栄養補給食品、並びに動物、特に伴侶動物の認知能力を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間と動物との間の相互関係は、多くの生活機能を果たすために人間が動物に依存するほどまで発展してきた。犬の役割、特に、盲目の人のための盲導犬、聴覚障害者のための聴導犬としての役割、追跡の役割、薬物や爆発物などの物質の検知の役割などが、社会にとって重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
動物の生活機能や要求される機能を実施する能力もしくは動物と飼い主または調教師の楽しみのための課題を実行する能力は、動物の認知能力および/または機能による。そのような認知能力が改善されれば、動物とその飼い主に多くの恩恵が与えられるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の発明者等は、分岐鎖アミノ酸のロイシン、イソロイシンおよびバリンを使用して、伴侶動物、特に、犬の認知能力を改善し、その精神的健康状態を改善できることを発見した。
【0005】
したがって、本発明の第1の態様は、伴侶動物の認知能力を改善するための栄養補給食品の製造にロイシン、イソロイシンおよびバリンを使用することを提供する。
【0006】
ロイシン、イソロイシンおよびバリンは、好ましくは結晶質形態にある、遊離アミノ酸として、もしくはロイシン、イソロイシンおよびバリンの豊富なペプチドとしてまたはロイシン、イソロイシンおよびバリンの豊富な抽出物として提供してもよい。ロイシン、イソロイシンおよびバリンの豊富な適切なペプチドとしては、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、長鎖ペプチドおよびペプチド混合物が挙げられる。そのようなペプチド混合物としてしは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの豊富なタンパク質、そのハイドロレートまたは分画が挙げられる。前記アミノ酸はさらに、塩、N−アセチルL−バリンなどのN−アシルアミノ酸誘導体および/またはN−アルカノイル誘導体として提供してもよい。バリン、ロイシンおよびイソロイシンは、L−形態で提供されることが好ましい。好ましい特徴において、ロイシン、イソロイシンおよびバリンは、炭水化物源と共に提供される。
【0007】
第1の態様の栄養補給食品は、猫、犬、馬などの家庭用動物を含む伴侶動物(任意のペット動物)のために提供される。この栄養補給食品により、伴侶動物の認知能力が増大するおよび/または維持される。特に、この栄養補給食品により、伴侶動物の知識を習得および/または適用する能力が増大するおよび/または維持される。より詳しくは、その栄養補給食品により、伴侶動物における理解、洞察および/または推論が増進するおよび/または維持される。その栄養補給食品により、動物の精神的健康状態が最適になる。第1の態様の栄養補給食品は、犬、特に、介助、ショー、機敏性、パフォーマンスのための犬、救助犬、作業犬および服従犬に特別な利点をもたらす。そのような犬の認知機能を改善するための栄養補給食品の使用は、改善されたパフォーマンス、より効率的なパフォーマンス、飼い主または調教師との改善された相互関係などを含む多くの利点を提供する。本発明に関する犬は、例えば、牧羊犬、救助犬、薬物や爆発物などの物質の検出に関わる犬、追跡犬、盲導犬、聴覚障害者のための聴導犬などの作業犬であって差し支えない。あるいは、犬は家庭のペットであってもよい。第1の態様の栄養補給食品は、ショーで公開される伴侶動物の認知能力を改善するために、特に、伴侶動物の機敏性、服従性および/またはパフォーマンスを改善するために使用できる。
【0008】
認知能力が改善されると、観察される肉体的パフォーマンスが改善されることになる。したがって、第1の態様の栄養補給食品は、精神的パフォーマンスおよび肉体的パフォーマンスの両方を改善および/または維持するために使用できる。
【0009】
本発明の栄養補給食品は、伴侶動物に、定期的に、例えば、一日一回、二回または三回、与えて差し支えない。動物にそのように定期的に投与すると、動物の認知能力を持続的に改善することができ、そのことは、一貫した認知能力が要求される盲導犬などの動物にとって有用であろう。あるいは、本発明の栄養補給食品は、認知能力を特別に改善する必要のある場合、例えば、動物が、ショーや救助などの強烈なまたは高い認知活動の期間の前に、問題を解決しなければならない場合、精神活動の期間中の動物の能力を改善するために、または救助中などの特別な骨の折れるまたは要求の多い活動中に動物に余分なエネルギーおよび/または精神能力を与えるために、与えても差し支えない。
【0010】
前記栄養補給食品は、年取った動物(8才以上)に提供することが好ましい。年取った動物、例えば、犬は、特に、本発明から恩恵を受けるであろう。
【0011】
第1の態様の栄養補給食品は、追加の食料品の有無にかかわらずに投与できる、粉末、ビスケット、スナックバー、キャンディー類、おやつ(treat)、キブル、ソース、トッピング、衣または錠剤であって差し支えない。
【0012】
前記栄養補給食品を追加の食料品と共に投与する場合、その栄養補給食品は、順次に、同時にまたは別々に投与しても差し支えない。この栄養補給食品は、食料品と混合してもよい。混合は、食料品を調製するまたは包装するときに行ってもよく、または食料品を動物に与えるときに行ってもよい。ロイシン、イソロイシンおよびバリンは、任意の他の成分に加える前に一緒に混合してもよく、または別々に加えてもよい。別々の場合、それらは、同時に加えても、異なるときに加えてもよい。あるいは、栄養補給食品は、食料品の上に撒いたり注いだり(すなわち、食料品へのトッピングとして提供される)しても、または別々に出しても差し支えない。あるいは、その栄養補給食品は、水や牛乳などの飲むために提供される液体に、または液状食料品(例えば、水性また油性飲料)に加えても差し支えない。
【0013】
栄養補給食品の配合には制限はない。飲料、スナックバーまたは他の食料品で、所定の正確な栄養補給食品の容易な輸送、投与およびモニタが可能になるであろう。食料品は、ペレット形態で提供してもよい。全ての場合において、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの栄養補給食品は、液体または固体、例えば、粉末の形態などのどのような形態にあってもよい。
【0014】
第1の態様の特に好ましい特徴において、栄養補給食品は、認知能力または機敏性の増進が要求される直前に、犬などの伴侶動物に与えられるスナックまたはおやつとして提供される。特に、スナックバーは、動物の精神的および肉体的パフォーマンスを改善するためおよび/または動物の精神的および肉体的エネルギー必要量を供給するために、1種類以上のエネルギー源を含有してもよい。食料品がスナックバーの形態にある場合、ロイシン、イソロイシンおよびバリンは、成分と混合されても、またはトッピングとして施されてもよい。
【0015】
本発明の目的に関して、栄養補給食品という用語は、ロイシン、イソロイシンおよびバリンを含む食料品も包含する。その食料品は、標準的な食品並びにペット用スナック食品であって差し支えない。食料品は、調理済み製品であることが好ましい。食料品は、肉または動物由来の材料(ビーフ、チキン、ターキー、ラム、魚、血漿、骨髄などまたはそれらの1種類以上)を含んでよい。あるいは、食料品は、タンパク質源を提供するために、肉を含んでいなくてもよい(大豆、トウモロコシグルテンまたは大豆製品などの肉代替物を含むことが好ましい)。食料品は、大豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質、グルテンなどの追加のタンパク質源を含有してもよい。食料品は、1種類以上の穀物(例えば、トウモロコシ、米、オート麦、大麦など)などのデンプン源も含有してよく、またはデンプンを含まなくてもよい。食料品は、ゼラチン化されたデンプン基質を含んでもよい。
【0016】
本発明の食料品は、完全食のバランスのとれた食品(例えば、National Reaserch Counsil, 1985, Nutritional Requirements for Dogs, National Academy Press, Washington D.C.またはAssociation of American Feed Control Officials, Official Publication 1996に記載されているような)であることが好ましく、または完全食のバランスのとれた食品と共に用いられることが好ましい。高品質の市販の食品は、National Research Council, 1985(前出)の栄養推奨にしたがって製造された規定食として定義でき、ここでは、主要栄養素の消化率は80%以上である。
【0017】
前記栄養補給食品は包装されることが好ましい。このようにして、消費者は、そのパッケージから、その栄養補給食品中の成分を確認し、それが当該の特定のペットに適していることを確かめることができる。そのパッケージは、金属(通常は、缶詰またはフレキシホイルの形態)、プラスチック(通常は、パウチまたはボトルの形態)、紙またはボール紙であってよい。どの製品中の水分量も、使用できるまたは要求されるパッケージのタイプに影響するであろう。
【0018】
特に、本発明の栄養補給食品は、任意の認知作業の前に伴侶動物に投与するための食品である。
【0019】
本発明の第2の態様は、伴侶動物の認知能力を改善する方法であって、本発明の第1の態様において定義した栄養補給食品をその必要のある伴侶動物に投与する工程を有してなる方法を提供する。
【0020】
本発明の第3の態様は、ロイシン、イソロイシンおよびバリンを含むペット用栄養補給食品を提供する。この栄養補給食品は、追加の食料品の有無にかかわらずに投与できる、粉末、ビスケット、スナックバー、キャンディー類、おやつ、キブル、ソース、トッピング、衣または錠剤であって差し支えない。この第3の態様の目的に関して、栄養補給食品という用語は、飲料や、液体に加えられ、動物に飲料として投与される栄養補給食品には関係しないことが好ましい。
【0021】
本発明の第3の態様は、特に、ロイシン、イソロイシンおよびバリンを含むスナックバーに関する。
【0022】
本発明の第4の態様は、認知能力を改善または維持するのに使用するための本発明の第3の態様に定義された栄養補給食品に関する。
【0023】
本発明の第5の態様は、第1から第4の態様の栄養補給食品を製造する方法に関する。その栄養補給食品または食料品は、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition, Ed.ATB Edney, Chapter by A.Rainbird, entitled "A Balanced Diet" in pages 57 to 74 Pergamon Press Oxfordなどの従来技術における任意の公知の方法にしたがって製造することができる。
【0024】
特に、前記栄養補給食品の成分は、加工中いつでも、一緒にまたは別々に加えることができる。それらの成分は、全て一緒に同時に加えても、任意の特定の順序で個別に加えてもよい。栄養補給食品および/または食料品の他の成分は、加工中いつ加えてもよい。栄養補給食品の2種類以上の成分を一緒に混合し、次いで、一緒にひくことが好ましい。ひいた粒子の水分および温度は、任意のさらなる加工工程の前に操作することができる。前記成分は、任意の加熱工程または調理工程の前または後に加えてもよい。加工としては、製品の成形および/または包装が挙げられるであろう。第5の態様の好ましい特徴において、その製品は、ペレットまたはキブルを形成するために押出しにより成形される。押出しは、ゲージ圧で20〜1000psi(0.14〜6.9MPa)および90〜165℃の温度で行われることが好ましい。
【0025】
栄養補給食品の成分(バリン、ロイシンおよびイソロイシン)は、その栄養補給食品の他の成分と混合してもよく、または完成した栄養補給食品に加えても差し支えない。本発明の好ましい特徴において、1種類以上の成分(例えば、バリン、ロイシンおよび/またはイソロイシン)は、栄養補給食品の表面に被覆または噴霧される。あるいは、1種類以上の成分が、栄養補給食品の1種類以上の他の成分と混合される。栄養補給食品の最終的な含水量は、冷却装置を用いて操作しても差し支えない。
【0026】
本発明の各態様の全ての特徴は、必要な変更を加えて、全ての他の態様に適用される。
【実施例】
【0027】
ここで、本発明を、以下の非限定的実施例を参照して説明する。
【0028】
方法
活動的な犬の認知機能へのロイシン、イソロイシンおよびバリンの効果を調査するための研究を行った。
【0029】
その研究は合計で24匹の犬を含み、その内の12匹は、若年のグループ(1〜3才の年齢)であり、残りの12匹は、老年のグループ(8才以上の年齢)であった。各グループの6匹の犬は、テストの日にロイシン、イソロイシンおよびバリンのおやつ(ライスケーキの形態)を与え、各グループの残りの6匹は、対照とし、栄養を補給していないライスケーキを与えた。
【0030】
研究のために選択した24匹の犬は、標準的な敏捷性コースを完了するために7週間の訓練期間を履行した。
【0031】
分岐鎖アミノ酸栄養補給
バリン、ロイシンおよびイソロイシンを、7%の炭水化物溶液(7g/100gの水)中40%のバリン、35%のロイシンおよび25%のイソロイシンの比で犬に与えた。ロイシン、イソロイシンおよびバリンの投与量は、体重30kgのラブラドールレトリーヴァーに基づいて計算した。分岐鎖アミノ酸ミックスを用いて、低タンパク質の高炭水化物ライスケーキを被覆した。このコーティングは、ライスケーキが、体重の軽い犬のためにより小さな部分に分割でき、体重に応じて給餌できるように均一に行った。
【0032】
対照のライスケーキは、美味しさを改善するためにタレに浸し、一方で、処理済みのライスケーキは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンがタレに加えられていた。
【0033】
テストの日に、ライスケーキを体重に比例して給餌した。例えば、30kgのラブラドールには1つのライスケーキを与え、それに対し、15kgのイングリッシュ・スプリンカースパニエルには、半分のライスケーキを与えた。
【0034】
ライスケーキは、水分、タンパク質、脂質と灰分、糖分およびアミノ酸について分析した。完全な結果のセットが表1に示されている。
【表1】

【0035】
これらの結果から、以下に述べる栄養補給したライスケーキと未補給のライスケーキの両方について、予測代謝可能エネルギー摂取(PME)を計算した。
【0036】
栄養補給したライスケーキと未補給のライスケーキのPMEの計算
PME(kca/100g)=タンパク質%×3.5+脂質%×8.5+NFE%*×3.5
*NEF%=100−タンパク質%−脂質%−水分%−灰分%−粗繊維質%(もし分かれば)
したがって;
栄養補給されたライスケーキ
PME=12.8×3.5+3.6×8.5+61.1×3.5
=44.8+30.6+213.85
=289.25 kcal/100g
未補給のライスケーキ
PME=8.6×3.5+5.7×8.5+66.1×3.5
=30.1+48.45+231.35
=309.9 kcal/100g
栄養補給されたライスケーキのPMEは、289.25kcal/100gと計算され、未補給のライスケーキのPMEは、309.9kcal/100gと計算された。これは、栄養補給されたライスケーキ当たり約52kcalであり、未補給のライスケーキ当たり約43kcalとなる。各栄養補給されたライスケーキは、0.85gのバリン、0.70gのロイシン、0.52gのイソロイシンを含有していた。
【0037】
犬の選択
24匹の犬を2つの年齢グループに分類した:若年(1.5と3.5才の間の年齢)および老年(8才を超える年齢)(12匹の老年と12匹の若年)。犬は、2つのグループ(栄養補給と未補給)に亘り合致する年齢と血統に基づいて選択した。
【0038】
敏捷性訓練
各犬は、7週間に亘り毎日、敏捷性の訓練を受けた。標準コースを構成するために、5つの異なるタイプの敏捷性設備を選択した:
1. ハードル
2. A−フレーム
3. 固定式トンネル
4. タイヤ
5. 折り畳み式トンネル
【0039】

標準コースは、以下の順序に配置した。
【0040】
1. ハードル
2. ハードル
3. A−フレーム
4. 左回転
5. 固定式トンネル
6. タイヤ
7. 右回転
8. ハードル
9. 組み立て式トンネル
【0041】

毎週学ぶために犬にコースのブロックを割り当てた訓練スケジュールを準備した。
【0042】
テスト手順
7週間の訓練期間の終わりに、全ての犬は、最低レベルの能力に到達した。このレベルは、最後の2週間の訓練における犬の能力についての調教師の意見と、訓練の最終日の犬の能力の審判者による評価とにより決定した。
【0043】
個々の犬の評価とテストの最終的な日付について、訓練後の3週間でそれぞれに日にちを設定した。
【0044】
テストの日に、犬にはテスト時間が割り当てられた。テストの開始から153.8±3.8分前に、栄養補給グループに分岐鎖アミノ酸を与えた。犬の調教師には、その犬にどのライスケーキが与えられたかは伏せた。
【0045】
各犬は、標準コースを3回連続して走り抜けた。その直後、犬は、近くの野原まで歩かされ(約50メートル)、新たなコースを走り抜けるように働きかけられた。この新たなコースは、標準コースと同じ設備からなったが、異なる順序と異なる位置に配置されていた。
【0046】
新たなコースは、以下の順序で配置されていた:
1. タイヤ
2. ハードル
3. A−フレーム
4. 右回転
5. 組み立て式トンネル
6. ハードル
7. 左回転
8. ハードル
9. 固定式トンネル
【0047】

能力の測定を記録した。
【0048】
評価
犬に、回転を含むコースの各設備を完了する能力について評点を付けた。犬がうまく障害物を完了した場合、その犬にはチェック印を付けた。犬がためらったり、障害物を完全にし損ねたり、障害物を嗅ぎ回ったり、気が散ったり、もしくは障害物を適切に完了しなかった場合には、バツ印を与え、再度その障害物を開始するように割り当てた。犬は、次の障害物に移動される前に、各障害物で5回の試みを許された。コースを完了するのにかかった時間も記録した。これは、犬が出発位置から放され、最後の障害物を完了するまでを計った。
【0049】
統計分析
【表2】

【0050】
ミスした数および標準コースのラウンド2とラウンド4(新たなコース)を完了するのにかかった時間が、この統計分析に用いたデータである。
【0051】
ラウンド2および4におけるパフォーマンスへの栄養補給の効果を、多因子ANOVAを用いて、ミスした数を比較することによって計算した。
【0052】
ラウンド2とラウンド4の間の個々の改善を評価するために、各犬について、改善係数を計算した。この計算は、以下のとおりであった:
【数1】

【0053】
多因子ANOVAも用いて、栄養補給の状態、血統および年齢について、ラウンド2とラウンド4との間の能力を比較した。
【0054】
ラウンド4の能力への栄養補給の効果は、多因子ANOVAを用いて、ミスの数を比較することによって計算した。
【0055】
結果
ラウンド2における基準パフォーマンスへの栄養補給の効果はなかった(栄養補給したものについて、ミスの平均数=2.58±2.71であり、未補給のものについては、2.33±2.50であった)。
【0056】
同様に、ラウンド4で行われたミスの総数において、栄養補給したものと未補給のものとの間には、著しい差(p>0.2)はなかった(栄養補給したものについて、ミスの平均数=3.92±3.00であり、未補給のものについては、5.33±2.57であった)。
【0057】
改善係数を用いて、ラウンド4における個々の犬の基準パフォーマンスにおける差と、ラウンド4におけるそのパフォーマンスにおける差(平均ミスの百分率差)を測定した。2匹の犬を除いて全ての犬が、ラウンド2とラウンド4との間の差を示した。
【0058】
栄養補給と年齢について、著しい相互関係(p<0.02)が発見された(平均ミスの百分率差は、老年の栄養補給した犬では13.33±99.33であり、老年の未補給の犬では325.00±282.40であり、若年の栄養補給した犬では158.33±115.83であり、若年の未補給の犬では98.33±62.98であった)。栄養補給は、若年の犬よりも老年の犬のほうにより影響があるようである(図1)。図1のグラフのミスのバーは、標準偏差を示している。
【0059】
議論
多くの作業犬は、長年に亘りパフォーマンスを維持するという課題に直面している。この研究の設計は、犬の快適な生活を危うくせずに、高レベルの肉体的および認知の挑戦を提供するために考えられた。ラウンド4(馴染みのないコース)において、老年の犬は、若年の犬よりも合計数で少ないミスしかしなかった。
【0060】
この研究において、2匹の犬を除いて全ての犬が、ラウンド2(馴染みのコース)からラウンド2に進行したときに、ミスの数が増加した。このパフォーマンスの損失は、老年の犬について、栄養補給されていれば、著しく減少した。この研究は、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの栄養補給が、活動的な犬にとって、特に老年の場合、認知の利点を提供することを示している。
【0061】
結論
これらの予備データは、特に、全体のパフォーマンスに影響を与えるであろう運動中の認知能力を維持するために、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの栄養補給により、老年の犬の能力が改善されることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】栄養補給の若年と老年の犬への影響を示すグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伴侶動物の認知能力を改善するために栄養補給食品の製造にロイシン、イソロイシンおよびバリンを使用する方法。
【請求項2】
前記ロイシン、イソロイシンおよびバリンが、遊離アミノ酸、該ロイシン、イソロイシンおよびバリンの1種類以上が豊富なペプチド、またはロイシン、イソロイシンおよびバリンが豊富な抽出物として提供されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記栄養補給食品が犬のために提供されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記栄養補給食品が精神的および肉体的能力を改善および/または維持するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記栄養補給食品が老年の犬のために提供されることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記栄養補給食品が、粉末、ビスケット、スナックバー、キャンディー類、おやつ、キブル、ソース、トッピング、衣または錠剤として提供されることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
伴侶動物の認知能力を改善する方法であって、請求項1から6いずれか1項記載の栄養補給食品を、その必要のある動物に投与する工程を有してなる方法。
【請求項8】
ロイシン、イソロイシンおよびバリンを含むペット用栄養補給食品であって、粉末、ビスケット、スナックバー、キャンディー類、おやつ、キブル、ソース、トッピング、衣または錠剤であることを特徴とするペット用栄養補給食品。
【請求項9】
犬のために提供されることを特徴とする請求項8記載のペット用栄養補給食品。
【請求項10】
認知能力を改善または維持するのに使用されることを特徴とする請求項8または9記載のペット用栄養補給食品。
【請求項11】
老年の犬のために提供されることを特徴とする請求項8から10いずれか1項記載のペット用栄養補給食品。
【請求項12】
請求項1から11いずれか1項記載の栄養補給食品を製造する方法であって、ロイシン、イソロイシンおよびバリンを、該栄養補給食品の別の成分と混合する工程を有してなる方法。
【請求項13】
実質的に実施例を参照して記載された使用方法。
【請求項14】
実質的に実施例を参照して記載された方法。
【請求項15】
実質的に実施例を参照して記載されたペット用栄養補給食品。
【請求項16】
実質的に実施例を参照して記載された製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−507510(P2009−507510A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530601(P2008−530601)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003363
【国際公開番号】WO2007/031725
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(500039968)マーズ ユー ケー リミテッド (3)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】