核医学イメージング方法、核医学イメージング装置及び記憶媒体
【課題】最適な画像を得ること。
【解決手段】実施形態の核医学イメージング方法は、第1決定ステップと、定義ステップと、第2決定ステップと、生成ステップと、第3決定ステップと、算出ステップとを含む。第1決定ステップでは、1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する。定義ステップでは、同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する。第2決定ステップでは、同時計数線に対応する放出点のアレイ内の点ごとに、同時計数線を定める1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する。生成ステップでは、立体角を平均して平均立体角を生成する。第3決定ステップでは、相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する。算出ステップでは、平均立体角の逆数に位置係数を掛けることにより、同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する。
【解決手段】実施形態の核医学イメージング方法は、第1決定ステップと、定義ステップと、第2決定ステップと、生成ステップと、第3決定ステップと、算出ステップとを含む。第1決定ステップでは、1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する。定義ステップでは、同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する。第2決定ステップでは、同時計数線に対応する放出点のアレイ内の点ごとに、同時計数線を定める1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する。生成ステップでは、立体角を平均して平均立体角を生成する。第3決定ステップでは、相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する。算出ステップでは、平均立体角の逆数に位置係数を掛けることにより、同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、核医学イメージング方法、核医学イメージング装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)は、核医学の1部門であり、ポジトロン放出型の放射性医薬品が被検体の体内に導入される。放射性医薬品が崩壊する際に、ポジトロンが生成される。具体的には、複数のポジトロンのそれぞれが電子と反応することにより、ポジトロンの対消滅事象(Positron annihilation)として知られている現象において、同時計数線に沿って略反対方向に移動する同時発生対のガンマ光子が生成される。同時計数時間内に検出されるガンマ光子の対は、通常、対消滅事象としてPETスキャナによって記録される。飛行時間(Time Of Flight:TOF)イメージングにおいて、同時発生対の各ガンマ光子が検出される同時計数インターバル内の時間も測定される。飛行時間情報は、検出された事象の、同時計数線における位置を示す。スキャン対象の被検体または被検物の画像を再構成または生成するために、複数の対消滅事象のデータが使用される。
【0003】
図1は、PETイメージング装置の幾何学的配置の一例を示す図である。図1では、PETイメージング装置が有する3次元検出器(3D detector)において、放出されたポジトロンと、計測された同時計数線(Line Of Response:LOR)との横断座標(transaxial coordinate)及び軸座標(axial coordinate)を示す。横断座標は、例えば、スキャナの軸方向や被検体の体軸方向に垂直な断面内で設定される座標であり、軸座標は、例えば、スキャナの軸方向や被検体の体軸方向に沿った断面内で設定される座標である。座標(xe,ye,ze)又は(se,te,ze)は、放出されたポジトロン「e」の画像座標を示す。また、座標(xa,ya,za)は、LORとして測定された一方のガンマ線を検出した検出器結晶「a」の位置を示し、また、座標(xb,yb,zb)は、LORとして測定された他方のガンマ線を検出した検出器結晶「b」の位置を示す。測定されたLORの投影座標は、非TOFでは、「(s,φ,z、θ)、ここでz=(za+zb)/2」で表すことができる。「φ」は、横断座標における線分abの傾きに対応し、「θ」は、軸座標における線分abの傾きに対応する。或いは、測定されたLORの投影座標は、TOF−LOR用のさらなる次元「t」を含んでもよい。「t」は、時間に対応する値であり、例えば、「ta」は、同時計数時間内に「a」がガンマ光子を検出した時間に対応し、「tb」は、同時計数時間内に「b」がガンマ光子を検出した時間に対応し、「te」は、同時計数時間内に「a」がガンマ光子を検出した時間と「b」がガンマ光子を検出した時間との時間差に対応する。「t」の情報を用いることで、測定されたLORの投影座標の「z」を、特定することができる。これらのタイプ(非TOF、TOF)のPETイメージング装置において、個々の結晶の検出器効率にばらつきがあることに加え、スキャナ全体の検出効率は、幾何学的要因によって決まり、ひいては、領域で形成された立体角、検出器結晶から放出点までの距離及びLORの結晶への入射角度に依存する。
【0004】
立体角は、物体が「ある点」に対して形成する3次元空間における2次元の角度である。数学的に、面Sを底面として形成される立体角Ωは、以下の式(1)で表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、式(1)の「nハット(hat)」は、「ある点」からの単位ベクトルであり、式(1)の「da」は、面部分の微分面積であり、式(1)の「r」は、原点から面部分までの距離である。立体角は、「ある点」から観測した際の物体の見かけの大きさを示す尺度である。物体の立体角は、物体によって限定された単位球面(角頂を中心とする)の扇形の面積に等しい。この定義は、1次元及び2次元を含む任意の次元で適用できる。図2Aは、2次元立体角の概念を示す図である。図2Aは、PETの同時発生事象の検出において用いられる立体角の概念を示す。単位円内に示される立体角は、点「p」から計測した結晶対(i,j)の立体角、又は、LORijの立体角を表している。すなわち、図1に示されるPETスキャナにおいて、LORの立体角は、(se,te,ze)で表される放出点の位置に依存する。(se,te)座標は、横断面(図1の左図)における放出点の位置を示し、ze座標は、スキャナの軸方向における同じ位置を示している。LORの立体角は、横断面の視野の端に向かって、すなわち「|s|(sの絶対値)」が大きいほど、大きくなる。
【0007】
放出位置からの2つのガンマ線それぞれがLOR上の2つの結晶に当たると、2つのガンマ線の入射角によりLORの入射角が決まる。図2Bは、ガンマ線の入射角を示す図である。放出ポジトロンから放出されたガンマ線の各入射角は、図2Bに示すように、極角(polar angle)である「α」と方位角(azimuthal angle)である「β」とによって説明することができる。「α」及び「β」のどちらの角度も、ガンマ線の飛行方向とガンマ線が入射する結晶表面の法線との関係に依存する。角度「α」又は「β」が大きくなるにつれて、ガンマ線の入射角度も大きくなる。ガンマ線の入射角度により、結晶へのガンマ線の透過量、すなわち、相互作用の深さ方向の位置(Depth-Of-Interaction:DOI)が決まる。結果として、「|s|」が大きいほど、又は「θ」が大きいほど、LORの1つの結晶の法線は、角度「α」又は「β」が大きくなるように変化し、そのためDOIの影響が変化する。この状況は、LORがより傾斜していることにより特徴付けられる。
【0008】
加えて、幾何学的要素は、更に、検出器ブロックにおけるLORの結晶位置による影響を受ける。LORの結晶が検出器ブロックの端に近いほど、検出器ブロックの1つの側面が、検出器ブロックの前面(front face)のLORの結晶よりも大きな影響を立体角および入射角に与える。
【0009】
計測された生データを補正するために用いられる幾何学的補正係数は、高計数の平面又は回転する線のデータを取得することによって決めてもよい。最初に、計数の生データは、線源の幾何学的配列、減衰及び個々の結晶効率の違いに対して補正される。次に、図1に例示する「s」に沿った半径方向のプロファイルが、断面ごとに、リング差(zb−za)の関数として生成される。そして、これらの半径方向のプロファイルは、その逆数をとって、そのまま幾何学的補正係数として適用される。
【0010】
図3は、非TOF−PETイメージング装置における平面状の光子放出線源及び回転する線状の光子放出線源を示す図である。従来の測定方法では、補正係数を測定するために、図3の左図に示すように、平面状の線源を中央に置いたり、又は、図3の右図に示すように、透過スキャン用の線状線源を回転させたりしている。補正係数用のデータが、全ての検出器対を平面状の線源に曝露させることにより、収集される。そして、補正係数が、ある特定のLORについての計数値に対する、全てのLORについて測定した平均同時計数値の割合に基づき、計算される。しかしながら、平面状の線源や回転させる透過スキャン用の線状線源のいずれかを用いる測定方法には、いくらかの制限がある。図4は、TOF−PETイメージング装置における複数の平面状の光子放出線源及び複数の回転する線状の光子放出線源を示す図である。第1に、TOF−PETスキャナの正規化のために、様々な放出位置を捕捉するための測定技術を用いた場合、図4の左図に示すように、平面状の線源は、複数の水平位置に置く必要がある。或いは、TOF−PETスキャナの正規化のためには、図4の右図に示すように、線状線源を様々な半径で回転させる必要がある。複数の取得スキャンを用いると、複雑な正規化スキャン手順、複数の線状又は複数の平面状の線源の配置、複数のデータ取得、はるかに長いスキャン時間等、TOF−PETスキャナの正規化にとって重大なデメリットがいくつか生じる。第2に、高計数の正規化スキャンは一般的にノイズを低減させるために実行されるが、未だに最終的な画像にはマイナスの効果が予測される。正規化データにおけるノイズ分布は均一ではない、すなわち、大きなリング差(zb−za)を有するLORには、より高いノイズがある。また、補正係数を生成する前に、検出器に用いられている結晶の効率等、他の補正が必要となる。これらの補正によりさらなるノイズが増える可能性がある。さらに、現行のPET再構成では、ポワソンモデルの有効性を保つためには、補正係数をシステム応答に含めることが理論的には好ましい。統計的ノイズを伴うそれ従来の方法ではどれも、ポワソンモデルから逸脱した再構成を行うことになる。このため、結果として得られるPET画像は、理論的観点からすると最適ではないかもしれない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】R.D. BADAWI, et al. “DEVELOPMENTS IN COMPONENT-BASED NORMALIZATION FOR 3D PET”, Phys. Med. Biol. 44(1999) 571-594, Printed in the UK.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、最適な画像を得ることができる核医学イメージング方法、核医学イメージング装置及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態の核医学イメージング方法は、第1決定ステップと、定義ステップと、第2決定ステップと、生成ステップと、第3決定ステップと、算出ステップとを含む。第1決定ステップでは、核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する。定義ステップでは、前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する。第2決定ステップでは、前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する。生成ステップでは、前記第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する。第3決定ステップでは、前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する。算出ステップでは、前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、PETイメージング装置の幾何学的配置の一例を示す図である。
【図2A】図2Aは、2次元立体角の概念を示す図である。
【図2B】図2Bは、ガンマ線の入射角を示す図である。
【図3】図3は、非TOF−PETイメージング装置における平面状の光子放出線源及び回転する線状の光子放出線源を示す図である。
【図4】図4は、TOF−PETイメージング装置における複数の平面状の光子放出線源及び複数の回転する線状の光子放出線源を示す図である。
【図5】図5は、非TOF−PET用の幾何学的補正係数を計算する方法を示す図である。
【図6】図6は、核医学イメージング装置における点アレイを示す図である。
【図7A】図7Aは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図(1)である。
【図7B】図7Bは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図(2)である。
【図7C】図7Cは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図(2)である。
【図8】図8は、相互作用の深さ方向の位置係数の計算を示す図(1)である。
【図9】図9は、相互作用の深さ方向の位置係数の計算を示す図(2)である。
【図10】図10は、TOF−PET用の幾何学的補正係数を計算する例示的方法を示す図である。
【図11】図11は、TOF−PETイメージング装置における点アレイを示す図である。
【図12】図12は、ガンマ線検出システムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態の一態様では、核医学イメージング方法は、(1)核医学イメージング装置であるPETイメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まるLORを決定する第1決定ステップと、(2)上記決定されたLORに対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、(3)上記LORに対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、上記LORを定める上記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、(4)上記決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップと、(5)上記イメージング装置の上記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する「相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数」であるDOI係数を決定する第3決定ステップと、(6)上記平均立体角の逆数に上記決定されたDOI係数を掛けることにより上記決定されたLORに対する幾何学的補正係数(geometric corrective factor)を算出する算出ステップとを含む。別の実施形態の一態様では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は命令で符号化され、コンピュータによって実行されると、コンピュータに上記方法を実行させる。別の実施形態の一態様では、核医学イメージング装置は、コンピュータで実行可能な命令を格納するように構成されたメモリと、上記方法を実行するために上記コンピュータで実行可能な命令を実行するように構成されたコンピュータを含む。
【0016】
以下、添付図面を参照して、核医学イメージング方法の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
(非TOF−PETデータの補正)
再構成プロセスにより画像データを生成する前に、非TOF−PET検出器によって生成された生データを、一連の幾何学的補正係数を用いて補正する必要がある。検出器と光電子増倍管の数が非常に多いこと、光電子倍増管のゲインのばらつき、検出器の物理的なばらつき、および検出器結晶の検出効率のばらつきにより、生データには、非均一性が生じる。こうした不規則性を補正するために、幾何学的補正係数が、ガンマ線に由来する光子を計数した生データに適用される。
【0018】
放出点に対する立体角が大きいほど、その検出の感度は良くなる。より均一な生データを形成するために、高い感度のLORとなるLORに起因する計数は減らすことができ、低い感度のLORとなるLORに起因する計数は増やすことができる。
【0019】
本実施形態の技術的進歩は、図1に示される「s方向」及び「t方向」に沿ったばらつきを補正する解析計算された幾何学的補正係数を提供することである。この方法は、測定ではなく、解析計算に基づく。幾何学的計数は、立体角と入射角に基づく。このため、この解析計算の例示的実施形態では、幾何学的補正係数「ng」は以下の式(2)に示すように、2つの副因子に分解される。なお、式(2)の「ns」は、同時発生事象の検出のための対をなす結晶の表面を底面として形成される立体角に反比例し、式(2)の「nd」は、DOIの影響を表している。
【0020】
【数2】
【0021】
「ns」と「nd」とは、互いに独立したものと見なされる。「ns」は、2つの検出器結晶「i」と「j」とで定まるLORij及び放出点の位置によって決まり、「nd」は、シンチレーション材料、検出器ブロックの幾何学的配置、検出器ブロック内の結晶の相対位置及びLORについての結晶表面に対する傾斜角θによって決まる。
【0022】
図5は、非TOF−PET用の幾何学的補正係数を計算する方法を示す図である。図5は、幾何学的補正係数「ng」を計算する例示的方法を示す。図5に示すステップS501では、各LORijが、図1に示す座標(s,φ,z、θ)で表される。以下に述べる図6も、ステップS501で表される全てのLORijの中の1つのLORijを示す。ステップS501は、核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップに対応する。
【0023】
図5に示すステップS502では、特定のφについて全てのLORijが評価される。ステップS502では、各φでの評価がループで繰り返される。ステップS502では、繰り返し回数を減らして、計算の複雑さを低減するために「ns」と「nd」の「φの対称性」を利用できる。これにより、ブロック検出器内の全ての横断方向の数の結晶では、「ns」と「nd」とが同じになる。すなわち、ブロック検出器内の全ての横断方向の一対の結晶では、「ns」と「nd」とが同じになる。
【0024】
図5に示すステップS503では、特定のφに対し、次元「t」及び次元「s」に沿って、点線源アレイ(point source array)がシミュレートされる。すなわち、ステップS503では、特定のφに対し、「t」の大きさや「s」の大きさを変えて点線源アレイをシミュレートする。ステップS503は、第1決定ステップにより決定された同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップに対応する。放出点のアレイは、ガンマ線が放出される点である点線源のアレイであり、あくまでも、仮想的に複数の点線源を配置したものである。この点線源アレイの例を図6に示す。図6は、核医学イメージング装置における点アレイを示す図である。図6において、黒い四角形601はLORijを決める結晶である(i及びjは結晶対を定義する)。図6における破線は、LORijの関心領域(Region Of Interest:ROI)が分かるように示している。黒丸と白抜き丸とは、放出点、つまり、消滅位置を表す。白抜き丸は、LORijのROI内のアレイの点である。点アレイ(点線源アレイ)は、s軸の下方にも伸びていてもよいし、又は、計算数を減らすために対称性を利用してもよい。なお、図6に示すように、アレイの向きはφと共に変化することに注意が必要である。
【0025】
図5に示すステップS504では、LORijのROI内の点線源ごとに、立体角が求められる。そして、図5に示すステップS504では、同一、又は、略同じφについて全てのLORijに対して平均立体角を計算する。ステップS504は、同時計数線に対応する放出点のアレイ内の点ごとに、同時計数線を定める1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップに対応する。また、ステップS504は、第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップに対応する。立体角が計算される点は、図6に示す白抜き丸の点である。nsは、非TOF−PETスキャナの実施形態におけるLORijのROI内の全ての白抜き丸の点の平均立体角の逆数である。応答が光電効果によって支配されるため、LORijのROI内の全ての点についてnsが計算される。LORijのROI内の点ごとに、点位置及びLORijを決める2つの結晶の前面に基づいて、立体角の計算が行われる。結晶の1つが検出器の境界にある場合は、立体角の計算の間に境界効果が考慮される。すなわち、結晶が境界に位置すると、結晶の側面によって立体角を大きくすることがある。LORijのROI内の全ての点に対する立体角の値は、まとめて平均され、この平均値の逆数がnsとして使用される。立体角の計算については、以下でより詳細に説明する。
【0026】
図7A、図7B及び図7Cは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図である。図7Aは、真向かいの結晶対に対して、どのように立体角が求めることができるかを示す図である。図7Aでは、結晶の前面がy方向と平行し、結晶の境界面がx方向と平行する真向かいの結晶対において、放出点「p」から結晶前面までのx方向の距離「D」が、当該結晶のy方向の厚さ「W」より非常に大きい「D>>W」のとき、立体角δが略「W/D」として求められることを示している。図7Bは、傾斜した結晶対に対して、どのように立体角が求めることができるかを示す図である。図7Bでは、結晶の前面及び境界面がy方向及びx方向に対して傾斜した結晶対に対して、放出点「p」から「結晶前面と境界面との交点を通り、xy平面と直交する断面」までの距離「D’」が、放出点「p」から結晶が観察される観察範囲における当該断面のy方向の長さ「W’」より非常に大きい「D’>>W’」のとき、立体角δが略「W’/D’」として求められることを示している。W’とD’との解析計算は空間内の結晶対の境界及び向きを考慮する必要があり、複雑である。図7Cは、傾斜した結晶対に対する同時発生の立体角δは全ての線(実線+破線)の数に対する実線の数の割合に略比例することを示している。
【0027】
ガンマ光子は、検出器材料及び光子エネルギーによって統計的に決定される「ある距離」だけ検出器内を移動しなければならない。この限定された移動距離は「透過」として解釈され、この透過に関する感度が「nd」である。図8及び図9は、相互作用の深さ方向の位置係数の計算を示す図である。このため、図5に示すステップS505では、LORijを貫通するように、LORの傾斜角θと共に平行光線を用いDOIの影響を計算しndを求める。ステップS505は、核医学イメージング装置の1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する「相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数(nd)」を決定する第3決定ステップに対応する。ステップS505では、図8に示すように、傾斜角度が「LORijの傾斜角度であるθ」となる「かなり細い平行光線(すなわち、平行光線における隣接する線間距離が、例えば、1mm以下のレベル)」を用いて、平行光線の2つの結晶それぞれとの交点を計算するために、LORijを貫通するようにする。各交点は、単純な物理減衰モデルを用いて感度ndに関連付けられる。結果的にndの計算は、全ての線の検出器結晶との交点に基づいている。光線の線ごとに、対象のLORの結晶の交点間長さが計算されるだけでなく、他の結晶材料内の全ての移動距離も計算される。図9に示すように、2つの濃灰色の結晶が、ndを計算するためのLORijを定義する。図9に示す矢印は、2つの511keVのガンマ光子を表している。光子が対象の結晶に到達する前に、光子は既に他の結晶内のいくらかの距離を通過している。そして、ndは、「e−μL1(1−e−μL0)e−μl1(1−e−μl0)」として計算される。ここで、μは511keVのガンマ光子を吸収するためにシンチレーション結晶毎に与えられる線形減衰係数を表している。なお、「L1」は、図9に示すように、光子が検出器に到達してから一方の対象の結晶に到達するまでの移動距離であり、「L0」は、光子が一方の対象の結晶内を移動する距離である。また、「l1」は、図9に示すように、光子が検出器に到達してから他方の対象の結晶に到達するまでの移動距離であり、「l0」は、光子が他方の対象の結晶内を移動する距離である。
【0028】
図5に示すステップS506で、nsとndとを掛け合わせると、幾何学的補正係数ngが得られる。ステップS506は、平均立体角の逆数に第3決定ステップにより決定された位置係数を掛けることにより、決定ステップにより決定された同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップに対応する。定義ステップ、第2決定ステップ、生成ステップ、第3決定ステップ及び算出ステップは、ステップS502で説明したように、複数の同時計数線それぞれについて繰り返される。そして、実際の撮影において核医学イメージング装置(非飛行時間型PET装置)を用いた物体のスキャンから取得したデータ(生データ)に、幾何学的補正係数を適用することにより、データ(生データ)を正規化する。具体的には、生データを補正するため、幾何学的補正係数ngは逆数をとって、LORijを定義する検出器結晶iおよび検出器結晶jによって検出される計数と掛け合わされる。本実施形態の技術的進歩によると、立体角が大きくなるほど、幾何学的補正係数ngは小さくなり、ひいては、幾何学的補正係数ngを生データに適用する際に計数の数が少なくなる。このため、本実施形態の技術的進歩により、過度に感度の高いLORの計数を減らし、低い感度のLORの計数を増やすことができる補正係数を計算する解析的方法が提供される。これにより、本実施形態では、非TOF−PET装置を用いて、最適な画像を得ることができる。
【0029】
上記の幾何学的補正係数は、2次元の非TOF−PET装置に基づいている(ここでは、全てのLORが同一リングの検出器におけるものである)。しかしながら、上記の幾何学的補正係数は3次元に適用範囲を広げてもよい(異なるリングの組み合わせを用いた斜めのLORとしてもよい)。2次元とは単一リングのPETスキャナのことを指している。たとえ単一リング用であっても、検出器結晶および幾何学的配置は3次元である。
【0030】
PET装置を設計する際に、幾何学的補正係数が決定される。このため、無制限的な実施形態では、幾何学的補正係数を1度だけ事前計算して、その後の正規化処理の間にコンピュータによってアクセスできる幾何学的補正係数を格納できる方法を含む。
【0031】
上で説明した解析方法は、ポジトロン範囲や結晶内の散乱等、他の物理モデルと組み合わせてもよい。基本的に、本方法は点像分布関数(point spread function:PSF)の計算を実行するものである。このため、本方法を再構成におけるPSF計算に組み込むことができる。
【0032】
(TOF−PETデータの補正)
本実施形態の技術的進歩は、TOF−PETデータにも適用できる。非TOF−PETスキャナにおいて、「t」に対する立体角のばらつきは、従来、正規化手順の中で無視されている。すなわち、立体角は「t」の大きさと共に変化しないと想定されている。しかしながら、放出点が「t」の大きさと共に変化する時、放出点に対する立体角も変化することになる。特に、TOF−PETスキャナにとって、「t」に対する立体角のばらつきは補正する必要があり、そうしなければ、結果として得られる画像は均一なものにならない。
【0033】
ndの計算は非TOF−PETの場合と同じである。TOF−PETでは、立体角nsが非TOF−PETと異なる方法で計算される。
【0034】
図10は、TOF−PET用の幾何学的補正係数(ng)を計算する例示的方法を示す図である。図10の方法は、図5で示す方法に似ており、以下では、その違いのみ詳しく説明する。
【0035】
図10に示すステップS1001では、各LORijが、図1に示す座標(s,φ,z、θ)で表される。ステップS1001は、上記の第1決定ステップに対応する。
【0036】
ステップ1002で、特定のφについて全てのLORijが評価される。計算の複雑さを低減するためにnsとndのφ対称性を利用することができる。ステップS1002では、繰り返し回数を減らして、計算の複雑さを低減するために「ns」と「nd」の「φの対称性」を利用できる。
【0037】
図10に示すステップS1003では、特定のφに対し、次元「t」(及び次元「s」)に沿って、点線源アレイ(point source array)がシミュレートされる。すなわち、ステップS503では、特定のφに対し、「t」の大きさや「s」の大きさを変えて点線源アレイをシミュレートする。ステップS1003は、上記の定義ステップに対応する。また、放出点のアレイは、上記と同様に、ガンマ線が放出される点のアレイに対応する。アレイの向きは、図6に示すようにφと共に変化する。
【0038】
図10に示すステップS1004では、TOF検出器のタイミング分解能を用いてLORijのROIおよび点線源アレイが、LORijの向きに沿って別々のグループ(サブグループ)に分割される。ステップS1004では、飛行時間情報として定義されているように、LORijのROI内の点線源がサブグループに分割される。図11は、TOF−PETイメージング装置における点アレイを示す図である。図11は、LORijのROIに対応する点線源アレイ内の点のサブグループの例を示す。これらのサブグループは、1101、1102、1103及び1104である。
【0039】
そして、図10に示すステップS1004では、LORijのROIに対応する点線源アレイ内の点ごとの立体角が求められる。そして、ステップS1004では、LORijのROI内の点線源のサブグループそれぞれに対して立体角が求められ、サブグループごとの平均立体角が計算される。そして、S1004では、同一、又は、略同じφについて全てのLORijに対して平均立体角を、点線源のサブグループごとに計算する。すなわち、ステップS1004は、上記の第2決定ステップ(特定のLORにおけるアレイ内の点それぞれの立体角の決定)と、同時計数線に対応する放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割する分割ステップと、サブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成する生成ステップとを含む。なお、分割ステップとしてのステップS1004では、飛行時間型PET装置のタイミング分解能に基づき同時計数線に対応する放出点のアレイが複数の放出点からなるサブグループに分割される。すなわち、分割ステップでは、検出器結晶iと検出器結晶jとにより形成可能なLORの中で同じ傾きとなる全てのLORについて、各LOR上で放出点の位置が推定可能な範囲が、飛行時間差の検出精度に応じて、複数のサブグループとして分割される。立体角が計算される点は、図11の白抜き丸の点である。ステップS1004では、サブグループのそれぞれにおける立体角が平均され、複数のnsが算出される。すなわち、ステップS1004では、サブグループごとに1つのns値が算出される。
【0040】
図10に示すステップ1005では、nsを得ることを目的として、DOIの影響の計算のためLORijを貫通するようにLORの傾斜角θを持つ1つの平行光線が用いられる。ステップ1005では、LORijを貫通するように、LORの傾斜角θと共に平行光線を用いDOIの影響を計算しndを求める。ステップS1005は、上記の第3決定ステップに対応する。
【0041】
図10に示すステップ1006で、nsとndを掛け合わせると、LORij内の対応するサブグループ用の幾何学的補正係数ngが得られる。ステップ1006は、複数の放出点からなるサブグループごとに、平均立体角の逆数に位置係数を掛けることにより、同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップに対応する。定義ステップ、第2決定ステップ、生成ステップ、分割ステップ、第3決定ステップ及び算出ステップは、ステップS1002で説明したように、複数の同時計数線それぞれについて繰り返される。そして、飛行時間型PET(TOF−PET)装置における正規化処理では、TOF−PET装置を用いた物体のスキャンから取得したデータに、幾何学的補正係数を適用することにより、データが正規化される。ここで、正規化処理では、データに含まれる対消滅事象ごとに、当該対消滅事象のタイミング及び当該消滅事象の同時計数線に基づき対応する幾何学的補正係数が選択される。すなわち、正規化処理では、対消滅事象が属するサブグループを特定するために、当該対消滅事象のタイミングが用いられる。まず、計数データの補正のために、1つの事象の放出点位置が、事象のTOF情報「Δt」を用いて算出される。次に、この位置を用いて、サブグループ1101、1102、1103及び1104のいずれかから、このTOF事象のための1つのnsが取り出される。
【0042】
2つのルックアップテーブルが、上述の非TOF−PET及びTOF−PETの実施形態の両方で用いられる。すなわち、同時計数線ごとに、放出点のアレイの個々の点ごとの立体角を含むテーブルが生成される。換言すると、全てのφについて、点線源アレイの個々の点ごとに各LORijの立体角が第1のルックアップテーブル(Tab−I)に記憶される。その結果、Tab−Iにおいて、1つのLORijが、「t」の大きさと共に変化する複数の立体角を有する。更に、LORijごとのndは、第2のテーブル(Tab−II)に保存される。ndは、点線源アレイに依存しない。非TOF−PETでは、1つのLORij(座標(s,φ,z、θ)を有する)をTab−Iと共に用いて、このLORijに対応する立体角として、全ての可能性のある立体角が得られ、平均されその逆数をとってnsが求められる。また同様に、LORijをTab−IIと共に用いてndが求められる。nsとndが掛け合わされ非TOF幾何学的正規化のためのngが求められる。
【0043】
一方、TOF−PETでは、LORijで検出した1つの対消滅事象は、座標(s,φ,z、θ)に加えTOF情報(Δt)を含む。そして、全ての「t」の大きさに渡ってLORijに対応する全ての立体角がTab−Iから得られる。Δtは、放出点tの位置を計算するために用いられ、これによってサブグループ(図11に示す)のどれがこの対消滅事象に対応するかが判定される。サブグループが判定されると、サブグループに含まれる立体角が平均され、その逆数をとってnsが求められる。LORijのndが非TOF−PETと同じ方法でTab−IIから得られる。そして、nsとndが掛け合わされTOF−PET幾何学的正規化のためのngが得られる。非TOF−PET及びTOF−PETそれぞれで、両方のルックアップテーブルや、幾何学的補正係数を同時計数線と関連付けたデータがPET装置のメモリ内に記憶され、または非一時的コンピュータ可読記憶媒体(ハードディスク、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、CD−ROM、DVD、等)に記憶される。
【0044】
(ハードウェア)
図12に、本実施形態の技術的進歩と共に用いることができる例示的ハードウェア構成を示す。図12は、ガンマ線検出システムの例を示す図である。図12では、光電子倍増管(Photomultiplier Tube:PMT)135及び光電子増倍管140がライトガイド130の上に配置され、シンチレーション結晶からなるアレイ105がライトガイドの130の下に配置されている。第2のシンチレーション結晶からなるアレイ125が、シンチレーション結晶105に対向して、ライトガイド115と光電子倍増管195、110に重ねて配置される。
【0045】
図12では、ガンマ線が被検体(図示せず)から放出されると、ガンマ線は互いに約180度の反対方向に進む。ガンマ線は、シンチレーション結晶100及び120で略同時に検出される。そして、既定制限時間内にシンチレーション結晶100及び120でガンマ線が検出されると、シンチレーション事象が特定される。こうして、ガンマ線タイミング検出システムは、一対のガンマ線を、シンチレーション結晶100及び120で略同時に検出する。しかし簡略化のために、シンチレーション結晶100でのガンマ検出のみをここで説明する。当業者には自明であるが、シンチレーション結晶100についての説明は、シンチレーション結晶120でのガンマ線検出にも同様に適用できる。
【0046】
各光電子増倍管110、135、140、195はそれぞれ、データ取得装置150に接続されている。データ取得装置150は、光電子倍増管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを含む。データ取得装置150は、ガンマ線の到達時間を測定する。データ所得装置150は、システムクロック(図示せず)に対する識別パルスの時間を符号化する2つの出力(1つはPMT135/140の組み合わせ用であり、1つはPMT110/195の組み合わせ用である)を生成する。飛行時間型PETシステムでは、データ取得装置150が、典型的に15〜20ピコ秒の精度でタイムスタンプを生成する。データ取得装置150は、各PMTの信号(データ取得装置150への4つの信号)の大きさを測定する。
【0047】
データ取得装置150の出力は、処理のためにCPU170に送られる。その処理は、データ取得装置150の出力からエネルギー、位置及び対消滅事象ごとに出力されたタイムスタンプから到達時間をそれぞれ推定する処理からなり、エネルギー、位置及び時間の推定値の精度を改善するために、事前の校正に基づき、多くの補正ステップの適用を含んでもよい。当業者には自明であるが、CPU170は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field−Programmable Gate Array:FPGA)、又は、複合プログラマブル論理回路(Complex Programmable Logic Device:CPLD)等の個別論理ゲートとして実装することができる。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL(VHSIC Hardware Description Language)、Verilog、又は、その他のハードウェア記述言語でコード化してもよく、またそのコードを直接FPGA又はCPLD内の電子メモリの中に、または別の電子メモリとして、格納してもよい。さらに電子メモリは、ROM、EPROM(electrically programmable read only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性のものでもよい。また、電子メモリは、スタティックまたはダイナミックRAMなどの揮発性のものでもよい。また、FPGAまたはCPLDと電子メモリの間の対話のみならず電子メモリを管理するためにマイクロコントローラやマイクロプロセッサ等の処理装置を備えてもよい。
【0048】
或いは、CPU170は、上記の電子メモリとハードディスク、CD、DVD、フラッシュドライブ等の既知の記憶媒体の両方または一方のいずれかに格納されている一連のコンピュータ可読命令として実装してもよい。さらに、コンピュータ可読命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、あるいはこれらの組み合わせとして提供され、米国Intel社製のXeonプロセッサ(登録商標)、又は、米国AMD社製のOpteronプロセッサ(登録商標)等の処理装置、およびMicrosoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、及びApple MAC−OS(登録商標)等の当業者に知られているオペレーティングシステムと連動して実行される。
【0049】
一旦CPU170で処理されると、処理された信号は電子記憶装置180への記憶と、ディスプレイ145への表示の両方または一方が行われる。当業者には自明であるが、電子記憶装置180は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM等の当技術分野で知られている電子記憶装置でもよい。ディスプレイ145は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)、ブラウン管ディスプレイ(cathod ray tube:CRT)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)、発光ダイオード(LED)等の当技術分野で知られているディスプレイとして実装してもよい。このように、ここで説明した電子記憶装置180およびディスプレイ145の記載は例示にすぎず、決して本実施形態の進歩の範囲を制限するものではない。
【0050】
また、図12は、ガンマ線検出システムを他の外部装置とユーザーの両方または一方と接続するインタフェース175を含む。例えば、インタフェース175は、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)インタフェース、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(Personal Computer Memory Card International Association:PCMCIA)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース等の当技術分野で知られているインタフェースであってよい。また、インタフェース175は、有線または無線であってもよく、キーボードとマウスの両方または一方、等のユーザーと対話するためのヒューマンインタフェースを含んでよい。
【0051】
以上、説明したとおり本実施形態によれば、最適な画像を得ることができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
100、120 シンチレーション結晶
105、125 シンチレーション結晶からなるアレイ
110、135、140、195 光電子増倍管
145 ディスプレイ
150 データ取得装置
170 CPU
175 インタフェース
180 電子記憶装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、核医学イメージング方法、核医学イメージング装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)は、核医学の1部門であり、ポジトロン放出型の放射性医薬品が被検体の体内に導入される。放射性医薬品が崩壊する際に、ポジトロンが生成される。具体的には、複数のポジトロンのそれぞれが電子と反応することにより、ポジトロンの対消滅事象(Positron annihilation)として知られている現象において、同時計数線に沿って略反対方向に移動する同時発生対のガンマ光子が生成される。同時計数時間内に検出されるガンマ光子の対は、通常、対消滅事象としてPETスキャナによって記録される。飛行時間(Time Of Flight:TOF)イメージングにおいて、同時発生対の各ガンマ光子が検出される同時計数インターバル内の時間も測定される。飛行時間情報は、検出された事象の、同時計数線における位置を示す。スキャン対象の被検体または被検物の画像を再構成または生成するために、複数の対消滅事象のデータが使用される。
【0003】
図1は、PETイメージング装置の幾何学的配置の一例を示す図である。図1では、PETイメージング装置が有する3次元検出器(3D detector)において、放出されたポジトロンと、計測された同時計数線(Line Of Response:LOR)との横断座標(transaxial coordinate)及び軸座標(axial coordinate)を示す。横断座標は、例えば、スキャナの軸方向や被検体の体軸方向に垂直な断面内で設定される座標であり、軸座標は、例えば、スキャナの軸方向や被検体の体軸方向に沿った断面内で設定される座標である。座標(xe,ye,ze)又は(se,te,ze)は、放出されたポジトロン「e」の画像座標を示す。また、座標(xa,ya,za)は、LORとして測定された一方のガンマ線を検出した検出器結晶「a」の位置を示し、また、座標(xb,yb,zb)は、LORとして測定された他方のガンマ線を検出した検出器結晶「b」の位置を示す。測定されたLORの投影座標は、非TOFでは、「(s,φ,z、θ)、ここでz=(za+zb)/2」で表すことができる。「φ」は、横断座標における線分abの傾きに対応し、「θ」は、軸座標における線分abの傾きに対応する。或いは、測定されたLORの投影座標は、TOF−LOR用のさらなる次元「t」を含んでもよい。「t」は、時間に対応する値であり、例えば、「ta」は、同時計数時間内に「a」がガンマ光子を検出した時間に対応し、「tb」は、同時計数時間内に「b」がガンマ光子を検出した時間に対応し、「te」は、同時計数時間内に「a」がガンマ光子を検出した時間と「b」がガンマ光子を検出した時間との時間差に対応する。「t」の情報を用いることで、測定されたLORの投影座標の「z」を、特定することができる。これらのタイプ(非TOF、TOF)のPETイメージング装置において、個々の結晶の検出器効率にばらつきがあることに加え、スキャナ全体の検出効率は、幾何学的要因によって決まり、ひいては、領域で形成された立体角、検出器結晶から放出点までの距離及びLORの結晶への入射角度に依存する。
【0004】
立体角は、物体が「ある点」に対して形成する3次元空間における2次元の角度である。数学的に、面Sを底面として形成される立体角Ωは、以下の式(1)で表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、式(1)の「nハット(hat)」は、「ある点」からの単位ベクトルであり、式(1)の「da」は、面部分の微分面積であり、式(1)の「r」は、原点から面部分までの距離である。立体角は、「ある点」から観測した際の物体の見かけの大きさを示す尺度である。物体の立体角は、物体によって限定された単位球面(角頂を中心とする)の扇形の面積に等しい。この定義は、1次元及び2次元を含む任意の次元で適用できる。図2Aは、2次元立体角の概念を示す図である。図2Aは、PETの同時発生事象の検出において用いられる立体角の概念を示す。単位円内に示される立体角は、点「p」から計測した結晶対(i,j)の立体角、又は、LORijの立体角を表している。すなわち、図1に示されるPETスキャナにおいて、LORの立体角は、(se,te,ze)で表される放出点の位置に依存する。(se,te)座標は、横断面(図1の左図)における放出点の位置を示し、ze座標は、スキャナの軸方向における同じ位置を示している。LORの立体角は、横断面の視野の端に向かって、すなわち「|s|(sの絶対値)」が大きいほど、大きくなる。
【0007】
放出位置からの2つのガンマ線それぞれがLOR上の2つの結晶に当たると、2つのガンマ線の入射角によりLORの入射角が決まる。図2Bは、ガンマ線の入射角を示す図である。放出ポジトロンから放出されたガンマ線の各入射角は、図2Bに示すように、極角(polar angle)である「α」と方位角(azimuthal angle)である「β」とによって説明することができる。「α」及び「β」のどちらの角度も、ガンマ線の飛行方向とガンマ線が入射する結晶表面の法線との関係に依存する。角度「α」又は「β」が大きくなるにつれて、ガンマ線の入射角度も大きくなる。ガンマ線の入射角度により、結晶へのガンマ線の透過量、すなわち、相互作用の深さ方向の位置(Depth-Of-Interaction:DOI)が決まる。結果として、「|s|」が大きいほど、又は「θ」が大きいほど、LORの1つの結晶の法線は、角度「α」又は「β」が大きくなるように変化し、そのためDOIの影響が変化する。この状況は、LORがより傾斜していることにより特徴付けられる。
【0008】
加えて、幾何学的要素は、更に、検出器ブロックにおけるLORの結晶位置による影響を受ける。LORの結晶が検出器ブロックの端に近いほど、検出器ブロックの1つの側面が、検出器ブロックの前面(front face)のLORの結晶よりも大きな影響を立体角および入射角に与える。
【0009】
計測された生データを補正するために用いられる幾何学的補正係数は、高計数の平面又は回転する線のデータを取得することによって決めてもよい。最初に、計数の生データは、線源の幾何学的配列、減衰及び個々の結晶効率の違いに対して補正される。次に、図1に例示する「s」に沿った半径方向のプロファイルが、断面ごとに、リング差(zb−za)の関数として生成される。そして、これらの半径方向のプロファイルは、その逆数をとって、そのまま幾何学的補正係数として適用される。
【0010】
図3は、非TOF−PETイメージング装置における平面状の光子放出線源及び回転する線状の光子放出線源を示す図である。従来の測定方法では、補正係数を測定するために、図3の左図に示すように、平面状の線源を中央に置いたり、又は、図3の右図に示すように、透過スキャン用の線状線源を回転させたりしている。補正係数用のデータが、全ての検出器対を平面状の線源に曝露させることにより、収集される。そして、補正係数が、ある特定のLORについての計数値に対する、全てのLORについて測定した平均同時計数値の割合に基づき、計算される。しかしながら、平面状の線源や回転させる透過スキャン用の線状線源のいずれかを用いる測定方法には、いくらかの制限がある。図4は、TOF−PETイメージング装置における複数の平面状の光子放出線源及び複数の回転する線状の光子放出線源を示す図である。第1に、TOF−PETスキャナの正規化のために、様々な放出位置を捕捉するための測定技術を用いた場合、図4の左図に示すように、平面状の線源は、複数の水平位置に置く必要がある。或いは、TOF−PETスキャナの正規化のためには、図4の右図に示すように、線状線源を様々な半径で回転させる必要がある。複数の取得スキャンを用いると、複雑な正規化スキャン手順、複数の線状又は複数の平面状の線源の配置、複数のデータ取得、はるかに長いスキャン時間等、TOF−PETスキャナの正規化にとって重大なデメリットがいくつか生じる。第2に、高計数の正規化スキャンは一般的にノイズを低減させるために実行されるが、未だに最終的な画像にはマイナスの効果が予測される。正規化データにおけるノイズ分布は均一ではない、すなわち、大きなリング差(zb−za)を有するLORには、より高いノイズがある。また、補正係数を生成する前に、検出器に用いられている結晶の効率等、他の補正が必要となる。これらの補正によりさらなるノイズが増える可能性がある。さらに、現行のPET再構成では、ポワソンモデルの有効性を保つためには、補正係数をシステム応答に含めることが理論的には好ましい。統計的ノイズを伴うそれ従来の方法ではどれも、ポワソンモデルから逸脱した再構成を行うことになる。このため、結果として得られるPET画像は、理論的観点からすると最適ではないかもしれない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】R.D. BADAWI, et al. “DEVELOPMENTS IN COMPONENT-BASED NORMALIZATION FOR 3D PET”, Phys. Med. Biol. 44(1999) 571-594, Printed in the UK.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、最適な画像を得ることができる核医学イメージング方法、核医学イメージング装置及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態の核医学イメージング方法は、第1決定ステップと、定義ステップと、第2決定ステップと、生成ステップと、第3決定ステップと、算出ステップとを含む。第1決定ステップでは、核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する。定義ステップでは、前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する。第2決定ステップでは、前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する。生成ステップでは、前記第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する。第3決定ステップでは、前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する。算出ステップでは、前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、PETイメージング装置の幾何学的配置の一例を示す図である。
【図2A】図2Aは、2次元立体角の概念を示す図である。
【図2B】図2Bは、ガンマ線の入射角を示す図である。
【図3】図3は、非TOF−PETイメージング装置における平面状の光子放出線源及び回転する線状の光子放出線源を示す図である。
【図4】図4は、TOF−PETイメージング装置における複数の平面状の光子放出線源及び複数の回転する線状の光子放出線源を示す図である。
【図5】図5は、非TOF−PET用の幾何学的補正係数を計算する方法を示す図である。
【図6】図6は、核医学イメージング装置における点アレイを示す図である。
【図7A】図7Aは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図(1)である。
【図7B】図7Bは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図(2)である。
【図7C】図7Cは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図(2)である。
【図8】図8は、相互作用の深さ方向の位置係数の計算を示す図(1)である。
【図9】図9は、相互作用の深さ方向の位置係数の計算を示す図(2)である。
【図10】図10は、TOF−PET用の幾何学的補正係数を計算する例示的方法を示す図である。
【図11】図11は、TOF−PETイメージング装置における点アレイを示す図である。
【図12】図12は、ガンマ線検出システムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態の一態様では、核医学イメージング方法は、(1)核医学イメージング装置であるPETイメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まるLORを決定する第1決定ステップと、(2)上記決定されたLORに対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、(3)上記LORに対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、上記LORを定める上記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、(4)上記決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップと、(5)上記イメージング装置の上記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する「相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数」であるDOI係数を決定する第3決定ステップと、(6)上記平均立体角の逆数に上記決定されたDOI係数を掛けることにより上記決定されたLORに対する幾何学的補正係数(geometric corrective factor)を算出する算出ステップとを含む。別の実施形態の一態様では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は命令で符号化され、コンピュータによって実行されると、コンピュータに上記方法を実行させる。別の実施形態の一態様では、核医学イメージング装置は、コンピュータで実行可能な命令を格納するように構成されたメモリと、上記方法を実行するために上記コンピュータで実行可能な命令を実行するように構成されたコンピュータを含む。
【0016】
以下、添付図面を参照して、核医学イメージング方法の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
(非TOF−PETデータの補正)
再構成プロセスにより画像データを生成する前に、非TOF−PET検出器によって生成された生データを、一連の幾何学的補正係数を用いて補正する必要がある。検出器と光電子増倍管の数が非常に多いこと、光電子倍増管のゲインのばらつき、検出器の物理的なばらつき、および検出器結晶の検出効率のばらつきにより、生データには、非均一性が生じる。こうした不規則性を補正するために、幾何学的補正係数が、ガンマ線に由来する光子を計数した生データに適用される。
【0018】
放出点に対する立体角が大きいほど、その検出の感度は良くなる。より均一な生データを形成するために、高い感度のLORとなるLORに起因する計数は減らすことができ、低い感度のLORとなるLORに起因する計数は増やすことができる。
【0019】
本実施形態の技術的進歩は、図1に示される「s方向」及び「t方向」に沿ったばらつきを補正する解析計算された幾何学的補正係数を提供することである。この方法は、測定ではなく、解析計算に基づく。幾何学的計数は、立体角と入射角に基づく。このため、この解析計算の例示的実施形態では、幾何学的補正係数「ng」は以下の式(2)に示すように、2つの副因子に分解される。なお、式(2)の「ns」は、同時発生事象の検出のための対をなす結晶の表面を底面として形成される立体角に反比例し、式(2)の「nd」は、DOIの影響を表している。
【0020】
【数2】
【0021】
「ns」と「nd」とは、互いに独立したものと見なされる。「ns」は、2つの検出器結晶「i」と「j」とで定まるLORij及び放出点の位置によって決まり、「nd」は、シンチレーション材料、検出器ブロックの幾何学的配置、検出器ブロック内の結晶の相対位置及びLORについての結晶表面に対する傾斜角θによって決まる。
【0022】
図5は、非TOF−PET用の幾何学的補正係数を計算する方法を示す図である。図5は、幾何学的補正係数「ng」を計算する例示的方法を示す。図5に示すステップS501では、各LORijが、図1に示す座標(s,φ,z、θ)で表される。以下に述べる図6も、ステップS501で表される全てのLORijの中の1つのLORijを示す。ステップS501は、核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップに対応する。
【0023】
図5に示すステップS502では、特定のφについて全てのLORijが評価される。ステップS502では、各φでの評価がループで繰り返される。ステップS502では、繰り返し回数を減らして、計算の複雑さを低減するために「ns」と「nd」の「φの対称性」を利用できる。これにより、ブロック検出器内の全ての横断方向の数の結晶では、「ns」と「nd」とが同じになる。すなわち、ブロック検出器内の全ての横断方向の一対の結晶では、「ns」と「nd」とが同じになる。
【0024】
図5に示すステップS503では、特定のφに対し、次元「t」及び次元「s」に沿って、点線源アレイ(point source array)がシミュレートされる。すなわち、ステップS503では、特定のφに対し、「t」の大きさや「s」の大きさを変えて点線源アレイをシミュレートする。ステップS503は、第1決定ステップにより決定された同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップに対応する。放出点のアレイは、ガンマ線が放出される点である点線源のアレイであり、あくまでも、仮想的に複数の点線源を配置したものである。この点線源アレイの例を図6に示す。図6は、核医学イメージング装置における点アレイを示す図である。図6において、黒い四角形601はLORijを決める結晶である(i及びjは結晶対を定義する)。図6における破線は、LORijの関心領域(Region Of Interest:ROI)が分かるように示している。黒丸と白抜き丸とは、放出点、つまり、消滅位置を表す。白抜き丸は、LORijのROI内のアレイの点である。点アレイ(点線源アレイ)は、s軸の下方にも伸びていてもよいし、又は、計算数を減らすために対称性を利用してもよい。なお、図6に示すように、アレイの向きはφと共に変化することに注意が必要である。
【0025】
図5に示すステップS504では、LORijのROI内の点線源ごとに、立体角が求められる。そして、図5に示すステップS504では、同一、又は、略同じφについて全てのLORijに対して平均立体角を計算する。ステップS504は、同時計数線に対応する放出点のアレイ内の点ごとに、同時計数線を定める1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップに対応する。また、ステップS504は、第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップに対応する。立体角が計算される点は、図6に示す白抜き丸の点である。nsは、非TOF−PETスキャナの実施形態におけるLORijのROI内の全ての白抜き丸の点の平均立体角の逆数である。応答が光電効果によって支配されるため、LORijのROI内の全ての点についてnsが計算される。LORijのROI内の点ごとに、点位置及びLORijを決める2つの結晶の前面に基づいて、立体角の計算が行われる。結晶の1つが検出器の境界にある場合は、立体角の計算の間に境界効果が考慮される。すなわち、結晶が境界に位置すると、結晶の側面によって立体角を大きくすることがある。LORijのROI内の全ての点に対する立体角の値は、まとめて平均され、この平均値の逆数がnsとして使用される。立体角の計算については、以下でより詳細に説明する。
【0026】
図7A、図7B及び図7Cは、核医学イメージング装置に関して立体角を計算する概念を示す図である。図7Aは、真向かいの結晶対に対して、どのように立体角が求めることができるかを示す図である。図7Aでは、結晶の前面がy方向と平行し、結晶の境界面がx方向と平行する真向かいの結晶対において、放出点「p」から結晶前面までのx方向の距離「D」が、当該結晶のy方向の厚さ「W」より非常に大きい「D>>W」のとき、立体角δが略「W/D」として求められることを示している。図7Bは、傾斜した結晶対に対して、どのように立体角が求めることができるかを示す図である。図7Bでは、結晶の前面及び境界面がy方向及びx方向に対して傾斜した結晶対に対して、放出点「p」から「結晶前面と境界面との交点を通り、xy平面と直交する断面」までの距離「D’」が、放出点「p」から結晶が観察される観察範囲における当該断面のy方向の長さ「W’」より非常に大きい「D’>>W’」のとき、立体角δが略「W’/D’」として求められることを示している。W’とD’との解析計算は空間内の結晶対の境界及び向きを考慮する必要があり、複雑である。図7Cは、傾斜した結晶対に対する同時発生の立体角δは全ての線(実線+破線)の数に対する実線の数の割合に略比例することを示している。
【0027】
ガンマ光子は、検出器材料及び光子エネルギーによって統計的に決定される「ある距離」だけ検出器内を移動しなければならない。この限定された移動距離は「透過」として解釈され、この透過に関する感度が「nd」である。図8及び図9は、相互作用の深さ方向の位置係数の計算を示す図である。このため、図5に示すステップS505では、LORijを貫通するように、LORの傾斜角θと共に平行光線を用いDOIの影響を計算しndを求める。ステップS505は、核医学イメージング装置の1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する「相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数(nd)」を決定する第3決定ステップに対応する。ステップS505では、図8に示すように、傾斜角度が「LORijの傾斜角度であるθ」となる「かなり細い平行光線(すなわち、平行光線における隣接する線間距離が、例えば、1mm以下のレベル)」を用いて、平行光線の2つの結晶それぞれとの交点を計算するために、LORijを貫通するようにする。各交点は、単純な物理減衰モデルを用いて感度ndに関連付けられる。結果的にndの計算は、全ての線の検出器結晶との交点に基づいている。光線の線ごとに、対象のLORの結晶の交点間長さが計算されるだけでなく、他の結晶材料内の全ての移動距離も計算される。図9に示すように、2つの濃灰色の結晶が、ndを計算するためのLORijを定義する。図9に示す矢印は、2つの511keVのガンマ光子を表している。光子が対象の結晶に到達する前に、光子は既に他の結晶内のいくらかの距離を通過している。そして、ndは、「e−μL1(1−e−μL0)e−μl1(1−e−μl0)」として計算される。ここで、μは511keVのガンマ光子を吸収するためにシンチレーション結晶毎に与えられる線形減衰係数を表している。なお、「L1」は、図9に示すように、光子が検出器に到達してから一方の対象の結晶に到達するまでの移動距離であり、「L0」は、光子が一方の対象の結晶内を移動する距離である。また、「l1」は、図9に示すように、光子が検出器に到達してから他方の対象の結晶に到達するまでの移動距離であり、「l0」は、光子が他方の対象の結晶内を移動する距離である。
【0028】
図5に示すステップS506で、nsとndとを掛け合わせると、幾何学的補正係数ngが得られる。ステップS506は、平均立体角の逆数に第3決定ステップにより決定された位置係数を掛けることにより、決定ステップにより決定された同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップに対応する。定義ステップ、第2決定ステップ、生成ステップ、第3決定ステップ及び算出ステップは、ステップS502で説明したように、複数の同時計数線それぞれについて繰り返される。そして、実際の撮影において核医学イメージング装置(非飛行時間型PET装置)を用いた物体のスキャンから取得したデータ(生データ)に、幾何学的補正係数を適用することにより、データ(生データ)を正規化する。具体的には、生データを補正するため、幾何学的補正係数ngは逆数をとって、LORijを定義する検出器結晶iおよび検出器結晶jによって検出される計数と掛け合わされる。本実施形態の技術的進歩によると、立体角が大きくなるほど、幾何学的補正係数ngは小さくなり、ひいては、幾何学的補正係数ngを生データに適用する際に計数の数が少なくなる。このため、本実施形態の技術的進歩により、過度に感度の高いLORの計数を減らし、低い感度のLORの計数を増やすことができる補正係数を計算する解析的方法が提供される。これにより、本実施形態では、非TOF−PET装置を用いて、最適な画像を得ることができる。
【0029】
上記の幾何学的補正係数は、2次元の非TOF−PET装置に基づいている(ここでは、全てのLORが同一リングの検出器におけるものである)。しかしながら、上記の幾何学的補正係数は3次元に適用範囲を広げてもよい(異なるリングの組み合わせを用いた斜めのLORとしてもよい)。2次元とは単一リングのPETスキャナのことを指している。たとえ単一リング用であっても、検出器結晶および幾何学的配置は3次元である。
【0030】
PET装置を設計する際に、幾何学的補正係数が決定される。このため、無制限的な実施形態では、幾何学的補正係数を1度だけ事前計算して、その後の正規化処理の間にコンピュータによってアクセスできる幾何学的補正係数を格納できる方法を含む。
【0031】
上で説明した解析方法は、ポジトロン範囲や結晶内の散乱等、他の物理モデルと組み合わせてもよい。基本的に、本方法は点像分布関数(point spread function:PSF)の計算を実行するものである。このため、本方法を再構成におけるPSF計算に組み込むことができる。
【0032】
(TOF−PETデータの補正)
本実施形態の技術的進歩は、TOF−PETデータにも適用できる。非TOF−PETスキャナにおいて、「t」に対する立体角のばらつきは、従来、正規化手順の中で無視されている。すなわち、立体角は「t」の大きさと共に変化しないと想定されている。しかしながら、放出点が「t」の大きさと共に変化する時、放出点に対する立体角も変化することになる。特に、TOF−PETスキャナにとって、「t」に対する立体角のばらつきは補正する必要があり、そうしなければ、結果として得られる画像は均一なものにならない。
【0033】
ndの計算は非TOF−PETの場合と同じである。TOF−PETでは、立体角nsが非TOF−PETと異なる方法で計算される。
【0034】
図10は、TOF−PET用の幾何学的補正係数(ng)を計算する例示的方法を示す図である。図10の方法は、図5で示す方法に似ており、以下では、その違いのみ詳しく説明する。
【0035】
図10に示すステップS1001では、各LORijが、図1に示す座標(s,φ,z、θ)で表される。ステップS1001は、上記の第1決定ステップに対応する。
【0036】
ステップ1002で、特定のφについて全てのLORijが評価される。計算の複雑さを低減するためにnsとndのφ対称性を利用することができる。ステップS1002では、繰り返し回数を減らして、計算の複雑さを低減するために「ns」と「nd」の「φの対称性」を利用できる。
【0037】
図10に示すステップS1003では、特定のφに対し、次元「t」(及び次元「s」)に沿って、点線源アレイ(point source array)がシミュレートされる。すなわち、ステップS503では、特定のφに対し、「t」の大きさや「s」の大きさを変えて点線源アレイをシミュレートする。ステップS1003は、上記の定義ステップに対応する。また、放出点のアレイは、上記と同様に、ガンマ線が放出される点のアレイに対応する。アレイの向きは、図6に示すようにφと共に変化する。
【0038】
図10に示すステップS1004では、TOF検出器のタイミング分解能を用いてLORijのROIおよび点線源アレイが、LORijの向きに沿って別々のグループ(サブグループ)に分割される。ステップS1004では、飛行時間情報として定義されているように、LORijのROI内の点線源がサブグループに分割される。図11は、TOF−PETイメージング装置における点アレイを示す図である。図11は、LORijのROIに対応する点線源アレイ内の点のサブグループの例を示す。これらのサブグループは、1101、1102、1103及び1104である。
【0039】
そして、図10に示すステップS1004では、LORijのROIに対応する点線源アレイ内の点ごとの立体角が求められる。そして、ステップS1004では、LORijのROI内の点線源のサブグループそれぞれに対して立体角が求められ、サブグループごとの平均立体角が計算される。そして、S1004では、同一、又は、略同じφについて全てのLORijに対して平均立体角を、点線源のサブグループごとに計算する。すなわち、ステップS1004は、上記の第2決定ステップ(特定のLORにおけるアレイ内の点それぞれの立体角の決定)と、同時計数線に対応する放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割する分割ステップと、サブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成する生成ステップとを含む。なお、分割ステップとしてのステップS1004では、飛行時間型PET装置のタイミング分解能に基づき同時計数線に対応する放出点のアレイが複数の放出点からなるサブグループに分割される。すなわち、分割ステップでは、検出器結晶iと検出器結晶jとにより形成可能なLORの中で同じ傾きとなる全てのLORについて、各LOR上で放出点の位置が推定可能な範囲が、飛行時間差の検出精度に応じて、複数のサブグループとして分割される。立体角が計算される点は、図11の白抜き丸の点である。ステップS1004では、サブグループのそれぞれにおける立体角が平均され、複数のnsが算出される。すなわち、ステップS1004では、サブグループごとに1つのns値が算出される。
【0040】
図10に示すステップ1005では、nsを得ることを目的として、DOIの影響の計算のためLORijを貫通するようにLORの傾斜角θを持つ1つの平行光線が用いられる。ステップ1005では、LORijを貫通するように、LORの傾斜角θと共に平行光線を用いDOIの影響を計算しndを求める。ステップS1005は、上記の第3決定ステップに対応する。
【0041】
図10に示すステップ1006で、nsとndを掛け合わせると、LORij内の対応するサブグループ用の幾何学的補正係数ngが得られる。ステップ1006は、複数の放出点からなるサブグループごとに、平均立体角の逆数に位置係数を掛けることにより、同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップに対応する。定義ステップ、第2決定ステップ、生成ステップ、分割ステップ、第3決定ステップ及び算出ステップは、ステップS1002で説明したように、複数の同時計数線それぞれについて繰り返される。そして、飛行時間型PET(TOF−PET)装置における正規化処理では、TOF−PET装置を用いた物体のスキャンから取得したデータに、幾何学的補正係数を適用することにより、データが正規化される。ここで、正規化処理では、データに含まれる対消滅事象ごとに、当該対消滅事象のタイミング及び当該消滅事象の同時計数線に基づき対応する幾何学的補正係数が選択される。すなわち、正規化処理では、対消滅事象が属するサブグループを特定するために、当該対消滅事象のタイミングが用いられる。まず、計数データの補正のために、1つの事象の放出点位置が、事象のTOF情報「Δt」を用いて算出される。次に、この位置を用いて、サブグループ1101、1102、1103及び1104のいずれかから、このTOF事象のための1つのnsが取り出される。
【0042】
2つのルックアップテーブルが、上述の非TOF−PET及びTOF−PETの実施形態の両方で用いられる。すなわち、同時計数線ごとに、放出点のアレイの個々の点ごとの立体角を含むテーブルが生成される。換言すると、全てのφについて、点線源アレイの個々の点ごとに各LORijの立体角が第1のルックアップテーブル(Tab−I)に記憶される。その結果、Tab−Iにおいて、1つのLORijが、「t」の大きさと共に変化する複数の立体角を有する。更に、LORijごとのndは、第2のテーブル(Tab−II)に保存される。ndは、点線源アレイに依存しない。非TOF−PETでは、1つのLORij(座標(s,φ,z、θ)を有する)をTab−Iと共に用いて、このLORijに対応する立体角として、全ての可能性のある立体角が得られ、平均されその逆数をとってnsが求められる。また同様に、LORijをTab−IIと共に用いてndが求められる。nsとndが掛け合わされ非TOF幾何学的正規化のためのngが求められる。
【0043】
一方、TOF−PETでは、LORijで検出した1つの対消滅事象は、座標(s,φ,z、θ)に加えTOF情報(Δt)を含む。そして、全ての「t」の大きさに渡ってLORijに対応する全ての立体角がTab−Iから得られる。Δtは、放出点tの位置を計算するために用いられ、これによってサブグループ(図11に示す)のどれがこの対消滅事象に対応するかが判定される。サブグループが判定されると、サブグループに含まれる立体角が平均され、その逆数をとってnsが求められる。LORijのndが非TOF−PETと同じ方法でTab−IIから得られる。そして、nsとndが掛け合わされTOF−PET幾何学的正規化のためのngが得られる。非TOF−PET及びTOF−PETそれぞれで、両方のルックアップテーブルや、幾何学的補正係数を同時計数線と関連付けたデータがPET装置のメモリ内に記憶され、または非一時的コンピュータ可読記憶媒体(ハードディスク、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、CD−ROM、DVD、等)に記憶される。
【0044】
(ハードウェア)
図12に、本実施形態の技術的進歩と共に用いることができる例示的ハードウェア構成を示す。図12は、ガンマ線検出システムの例を示す図である。図12では、光電子倍増管(Photomultiplier Tube:PMT)135及び光電子増倍管140がライトガイド130の上に配置され、シンチレーション結晶からなるアレイ105がライトガイドの130の下に配置されている。第2のシンチレーション結晶からなるアレイ125が、シンチレーション結晶105に対向して、ライトガイド115と光電子倍増管195、110に重ねて配置される。
【0045】
図12では、ガンマ線が被検体(図示せず)から放出されると、ガンマ線は互いに約180度の反対方向に進む。ガンマ線は、シンチレーション結晶100及び120で略同時に検出される。そして、既定制限時間内にシンチレーション結晶100及び120でガンマ線が検出されると、シンチレーション事象が特定される。こうして、ガンマ線タイミング検出システムは、一対のガンマ線を、シンチレーション結晶100及び120で略同時に検出する。しかし簡略化のために、シンチレーション結晶100でのガンマ検出のみをここで説明する。当業者には自明であるが、シンチレーション結晶100についての説明は、シンチレーション結晶120でのガンマ線検出にも同様に適用できる。
【0046】
各光電子増倍管110、135、140、195はそれぞれ、データ取得装置150に接続されている。データ取得装置150は、光電子倍増管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを含む。データ取得装置150は、ガンマ線の到達時間を測定する。データ所得装置150は、システムクロック(図示せず)に対する識別パルスの時間を符号化する2つの出力(1つはPMT135/140の組み合わせ用であり、1つはPMT110/195の組み合わせ用である)を生成する。飛行時間型PETシステムでは、データ取得装置150が、典型的に15〜20ピコ秒の精度でタイムスタンプを生成する。データ取得装置150は、各PMTの信号(データ取得装置150への4つの信号)の大きさを測定する。
【0047】
データ取得装置150の出力は、処理のためにCPU170に送られる。その処理は、データ取得装置150の出力からエネルギー、位置及び対消滅事象ごとに出力されたタイムスタンプから到達時間をそれぞれ推定する処理からなり、エネルギー、位置及び時間の推定値の精度を改善するために、事前の校正に基づき、多くの補正ステップの適用を含んでもよい。当業者には自明であるが、CPU170は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field−Programmable Gate Array:FPGA)、又は、複合プログラマブル論理回路(Complex Programmable Logic Device:CPLD)等の個別論理ゲートとして実装することができる。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL(VHSIC Hardware Description Language)、Verilog、又は、その他のハードウェア記述言語でコード化してもよく、またそのコードを直接FPGA又はCPLD内の電子メモリの中に、または別の電子メモリとして、格納してもよい。さらに電子メモリは、ROM、EPROM(electrically programmable read only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性のものでもよい。また、電子メモリは、スタティックまたはダイナミックRAMなどの揮発性のものでもよい。また、FPGAまたはCPLDと電子メモリの間の対話のみならず電子メモリを管理するためにマイクロコントローラやマイクロプロセッサ等の処理装置を備えてもよい。
【0048】
或いは、CPU170は、上記の電子メモリとハードディスク、CD、DVD、フラッシュドライブ等の既知の記憶媒体の両方または一方のいずれかに格納されている一連のコンピュータ可読命令として実装してもよい。さらに、コンピュータ可読命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、あるいはこれらの組み合わせとして提供され、米国Intel社製のXeonプロセッサ(登録商標)、又は、米国AMD社製のOpteronプロセッサ(登録商標)等の処理装置、およびMicrosoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、及びApple MAC−OS(登録商標)等の当業者に知られているオペレーティングシステムと連動して実行される。
【0049】
一旦CPU170で処理されると、処理された信号は電子記憶装置180への記憶と、ディスプレイ145への表示の両方または一方が行われる。当業者には自明であるが、電子記憶装置180は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM等の当技術分野で知られている電子記憶装置でもよい。ディスプレイ145は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)、ブラウン管ディスプレイ(cathod ray tube:CRT)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)、発光ダイオード(LED)等の当技術分野で知られているディスプレイとして実装してもよい。このように、ここで説明した電子記憶装置180およびディスプレイ145の記載は例示にすぎず、決して本実施形態の進歩の範囲を制限するものではない。
【0050】
また、図12は、ガンマ線検出システムを他の外部装置とユーザーの両方または一方と接続するインタフェース175を含む。例えば、インタフェース175は、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)インタフェース、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(Personal Computer Memory Card International Association:PCMCIA)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース等の当技術分野で知られているインタフェースであってよい。また、インタフェース175は、有線または無線であってもよく、キーボードとマウスの両方または一方、等のユーザーと対話するためのヒューマンインタフェースを含んでよい。
【0051】
以上、説明したとおり本実施形態によれば、最適な画像を得ることができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
100、120 シンチレーション結晶
105、125 シンチレーション結晶からなるアレイ
110、135、140、195 光電子増倍管
145 ディスプレイ
150 データ取得装置
170 CPU
175 インタフェース
180 電子記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする核医学イメージング方法。
【請求項2】
前記定義ステップ、前記第2決定ステップ、前記生成ステップ、前記第3決定ステップ及び前記算出ステップを、複数の同時計数線それぞれについて繰り返すステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項3】
前記核医学イメージング装置を用いた物体のスキャンから取得したデータに、前記算出ステップにより算出された前記幾何学的補正係数を適用することにより、前記データを正規化する正規化ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項4】
前記放出点のアレイは、ガンマ線が放出される点に対応することを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項5】
前記核医学イメージング装置は、非飛行時間型PET装置であることを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項6】
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割する分割ステップと、
前記分割ステップにより分割された複数の放出点からなるサブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする核医学イメージング方法。
【請求項7】
前記定義ステップ、前記第2決定ステップ、前記分割ステップ、前記生成ステップ、前記第3決定ステップ及び前記算出ステップを、複数の同時計数線それぞれについて繰り返すステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項8】
前記核医学イメージング装置を用いた物体のスキャンから取得したデータに、前記算出ステップにより算出された前記幾何学的補正係数を適用することにより、前記データを正規化する正規化ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項9】
前記正規化ステップは、前記データに含まれる対消滅事象ごとに、当該対消滅事象のタイミング及び当該消滅事象の同時計数線に基づき対応する幾何学的補正係数を選択するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の核医学イメージング方法。
【請求項10】
前記対消滅事象が属するサブグループを特定するために、当該対消滅事象のタイミングを用いる特定ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の核医学イメージング方法。
【請求項11】
前記放出点のアレイは、ガンマ線が放出される点に対応することを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項12】
前記核医学イメージング装置は、飛行時間型PET装置であることを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項13】
前記分割ステップは、前記飛行時間型PET装置のタイミング分解能に基づき前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを複数の放出点からなるサブグループに分割することを特徴とする請求項12に記載の核医学イメージング方法。
【請求項14】
同時計数線ごとに、前記放出点のアレイの個々の点ごとの立体角を含むテーブルを生成するテーブル生成ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の核医学イメージング方法。
【請求項15】
1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定し、
前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義し、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定し、
前記決定された立体角を平均して平均立体角を生成し、
前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定し、
前記平均立体角の逆数に前記位置係数を掛けることにより、前記決定された同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出するために、
コンピュータが実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサを備えることを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項16】
前記幾何学的補正係数を前記決定された同時計数線と関連付けて記憶するメモリ
を更に備える、請求項15に記載の核医学イメージング装置。
【請求項17】
1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定し、
前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義し、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定し、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割し、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成し、
前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定し、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、前記平均立体角の逆数に前記位置係数を掛けることにより、前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出するために、
コンピュータが実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサを備えることを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項18】
前記幾何学的補正係数を前記決定された同時計数線と関連付けて記憶するメモリ、
を更に備える、請求項17に記載の核医学イメージング装置。
【請求項19】
命令で符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含む核医学イメージング方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項20】
命令で符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割する分割ステップと、
前記分割ステップにより分割された複数の放出点からなるサブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含む核医学イメージング方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする核医学イメージング方法。
【請求項2】
前記定義ステップ、前記第2決定ステップ、前記生成ステップ、前記第3決定ステップ及び前記算出ステップを、複数の同時計数線それぞれについて繰り返すステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項3】
前記核医学イメージング装置を用いた物体のスキャンから取得したデータに、前記算出ステップにより算出された前記幾何学的補正係数を適用することにより、前記データを正規化する正規化ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項4】
前記放出点のアレイは、ガンマ線が放出される点に対応することを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項5】
前記核医学イメージング装置は、非飛行時間型PET装置であることを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング方法。
【請求項6】
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割する分割ステップと、
前記分割ステップにより分割された複数の放出点からなるサブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする核医学イメージング方法。
【請求項7】
前記定義ステップ、前記第2決定ステップ、前記分割ステップ、前記生成ステップ、前記第3決定ステップ及び前記算出ステップを、複数の同時計数線それぞれについて繰り返すステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項8】
前記核医学イメージング装置を用いた物体のスキャンから取得したデータに、前記算出ステップにより算出された前記幾何学的補正係数を適用することにより、前記データを正規化する正規化ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項9】
前記正規化ステップは、前記データに含まれる対消滅事象ごとに、当該対消滅事象のタイミング及び当該消滅事象の同時計数線に基づき対応する幾何学的補正係数を選択するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の核医学イメージング方法。
【請求項10】
前記対消滅事象が属するサブグループを特定するために、当該対消滅事象のタイミングを用いる特定ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の核医学イメージング方法。
【請求項11】
前記放出点のアレイは、ガンマ線が放出される点に対応することを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項12】
前記核医学イメージング装置は、飛行時間型PET装置であることを特徴とする請求項6に記載の核医学イメージング方法。
【請求項13】
前記分割ステップは、前記飛行時間型PET装置のタイミング分解能に基づき前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを複数の放出点からなるサブグループに分割することを特徴とする請求項12に記載の核医学イメージング方法。
【請求項14】
同時計数線ごとに、前記放出点のアレイの個々の点ごとの立体角を含むテーブルを生成するテーブル生成ステップ、
を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の核医学イメージング方法。
【請求項15】
1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定し、
前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義し、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定し、
前記決定された立体角を平均して平均立体角を生成し、
前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定し、
前記平均立体角の逆数に前記位置係数を掛けることにより、前記決定された同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出するために、
コンピュータが実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサを備えることを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項16】
前記幾何学的補正係数を前記決定された同時計数線と関連付けて記憶するメモリ
を更に備える、請求項15に記載の核医学イメージング装置。
【請求項17】
1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定し、
前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義し、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定し、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割し、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成し、
前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定し、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、前記平均立体角の逆数に前記位置係数を掛けることにより、前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出するために、
コンピュータが実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサを備えることを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項18】
前記幾何学的補正係数を前記決定された同時計数線と関連付けて記憶するメモリ、
を更に備える、請求項17に記載の核医学イメージング装置。
【請求項19】
命令で符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記第2決定ステップにより決定された立体角を平均して平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含む核医学イメージング方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項20】
命令で符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、
核医学イメージング装置が有する検出器の1対の検出器結晶それぞれの位置により定まる同時計数線を決定する第1決定ステップと、
前記第1決定ステップにより決定された前記同時計数線に対応する放出点のアレイを定義する定義ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイ内の点ごとに、前記同時計数線を定める前記1対の検出器結晶の表面を底面として形成される立体角を決定する第2決定ステップと、
前記同時計数線に対応する前記放出点のアレイを、複数の放出点からなるサブグループに分割する分割ステップと、
前記分割ステップにより分割された複数の放出点からなるサブグループごとに、サブグループ内の点それぞれで決定された立体角を平均して、平均立体角を生成する生成ステップと、
前記核医学イメージング装置の前記1対の検出器結晶の中へのガンマ線の透過に依存する相互作用の深さ方向の位置に関する位置係数を決定する第3決定ステップと、
前記複数の放出点からなるサブグループごとに、前記平均立体角の逆数に前記第3決定ステップにより決定された前記位置係数を掛けることにより、前記決定ステップにより決定された前記同時計数線に対する幾何学的補正係数を算出する算出ステップと、
を含む核医学イメージング方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−233881(P2012−233881A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85541(P2012−85541)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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